JP2795326B2 - 光学ガラス - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、屈折率（Ｎｄ）１．５
３〜１．６９未満、アッベ数（νｄ）４１〜６３の範囲
の光学恒数を有するＳｉＯ₂−Ｂ₂Ｏ₃−ＴｉＯ₂−Ｎｂ₂
Ｏ₅−ＢａＯ−Ｒ′₂Ｏ（Ｒ′はアルカリ金属元素）系の
光学ガラスに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、上記の光学恒数を有する光学ガラ
スとして、 （１） ＳｉＯ_２−ＰｂＯ−ＢａＯ−Ｒ″Ｏ（Ｒ″はＢ
ａ以外の２価金属元素）系ガラス （２） ＳｉＯ_２−ＰｂＯ−ＢａＯ−Ｒ′_２Ｏ系ガラス （３） ＳｉＯ_２−Ｂ_２Ｏ_３−ＢａＯ−Ｒ′_２Ｏ系ガラ
ス 等が知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
（１）に示したガラスは、一般に溶融性が悪く、また、
上記（２）および（３）に示したガラスは化学的耐久性
に劣り、さらに（１）および（２）に示したガラスは有
害なＰｂＯ成分を含有している。本発明は、上記従来の
ガラスにみられる諸欠点を改善することを目的としてい
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的達
成のため種々試験研究を重ねた結果、ＳｉＯ_２−Ｂ_２Ｏ
_３−ＴｉＯ_２−Ｎｂ_２Ｏ_５−ＢａＯ−Ｒ′_２Ｏ系におい
て、前記光学恒数を有し、ＰｂＯフリーであって、良好
な耐失透性および化学的耐久性を維持しつつ一段と溶融
性に優れた有用なガラスが存在することをみいだすこと
ができ、本発明を成した。

【０００５】本発明にかかる光学ガラスの特徴は、重量
％で、ＳｉＯ₂ ３７＜〜６０％、Ｂ₂Ｏ₃ １０〜２０
％、ただし、ＳｉＯ₂＋Ｂ₂Ｏ₃ ４７＜〜７０％、Ａｌ₂
Ｏ₃０〜１５％、ＴｉＯ₂ ０．５〜３０％、Ｎｂ₂Ｏ₅
０．５〜５％未満、ＺｒＯ₂ ０〜１０％、ＢａＯ ５
＜〜４５％、他の２価金属酸化物としてＳｒＯ０〜３０
％、ＭｇＯ ０〜８％、ＣａＯ ０〜６％およびＺｎＯ
０〜２５％、Ｌｉ₂Ｏ ０〜１５％、Ｎａ₂Ｏ ０〜２
５％、Ｋ₂Ｏ ０〜２０％、ただしＬｉ₂Ｏ＋Ｎａ₂Ｏ＋
Ｋ₂Ｏ ０．５〜３０％およびＳｂ ₂ Ｏ ₃ ０〜１％の範
囲の各成分からなり、ＰｂＯを含有せず、かつ屈折率
（Ｎｄ）が１．５３〜１．６９未満、アッベ数（νｄ）
が４１〜６３の範囲の光学恒数を有することにある。

【０００６】つぎに、各成分の含有量を上記のとおり限
定した理由について述べる。すなわち、ガラス形成成分
であるＳｉＯ₂とＢ₂Ｏ₃のうち、ＳｉＯ₂の量は、ガラス
の化学的耐久性および目標の光学恒数維持のため、３７
％＜〜６０％までの範囲とすべきである。また、Ｂ₂Ｏ₃
の量は、ガラスの溶融性および耐失透性維持のため、１
０〜２０％、好ましくは１０〜１５％の範囲とする。さ
らに、これらの成分の合計量は、ガラスの耐失透性、化
学的耐久性を維持しつつ、溶融性を改善するため、４７
＜〜７０％とすべきである。

【０００７】Ａｌ_２Ｏ_３成分は、ガラスの化学的耐久性
および安定性向上のため添加し得るが、その量が１５％
を越えると溶融性が悪化する。

【０００８】ＴｉＯ₂およびＮｂ₂Ｏ₅成分は、本発明の
ガラスの光学恒数の調整のため必要であり、また溶融性
を悪化させずに化学的耐久性を向上する効果がある。こ
れらの効果を発揮させるためには、これらの成分はいず
れも０．５％以上必要であるが、ＴｉＯ ₂ の量が３０％
を越えるとガラスは失透し易くなる。また、Ｎｂ ₂ Ｏ ₅ の
量が５％以上であるとガラスは失透し易くなる。

【０００９】ＢａＯ成分は、ガラスの屈折率を高めつ
つ、安定性を改善する効果がある。しかし、この効果を
発揮させるためには、その量は５％を超え、好ましくは
７％以上含有させる必要があるが、化学的耐久性維持の
ため４５％までとする。ＢａＯ以外の他の２価金属成分
としてＳｒＯ、ＭｇＯ、ＣａＯ、およびＺｎＯの各成分
は、ガラスの溶融性を向上させながら屈折率を変化させ
る効果があり、それぞれ３０％、８％、６％および２５
％まで添加することができる。とくにＳｒＯ成分は、こ
の効果が最も大きいので、しばしば好んで含有させ得
る。しかし、ガラスの失透傾向防止のためには、他の２
価金属成分として、ＳｒＯ、ＭｇＯおよびＺｎＯをそれ
ぞれ２５％、８％および２０％まで含有させるのが好ま
しい。ただし、ＢａＯ、ＳｒＯ、ＭｇＯ、ＺｎＯ成分と
下記アルカリ金属酸化物成分との合計量は、ガラスの溶
融性、耐失透性および化学的耐久性維持のため、１０〜
５０％の範囲とすることが好ましい。

【００１０】Ｌｉ_２Ｏ、Ｎａ_２ＯおよびＫ_２Ｏのアルカ
リ金属酸化物成分は、いずれもガラスの溶融性増大効果
が大きいため、これらの成分の１種以上を含有させる必
要があるが、化学的耐久性維持のため、それぞれ１５
％、２５％および２０％を限度とする。また、これらの
成分の１種または２種以上の合計量は、０．５％以上、
好ましくは２％以上ないし３０％までとする。

【００１１】なお、本発明のガラスに脱泡剤として１％
以内のＳｂ_２Ｏ_３や公知の他の脱泡剤を適宜添加し得
る。また、必要に応じ、ＴｉＯ_２成分によるガラスの着
色を低減するため、Ｎｂ_２Ｏ_３やＣｏ_２Ｏ_３等の公知の
消色剤を適宜添加可能である。

【００１２】つぎに、本発明にかかる光学ガラスの好適
な実施組成例（Ｎｏ．１，２）および公知の光学ガラス
の比較組成例（Ｎｏ．Ａ，Ｎｏ．Ｂ）を得られたガラス
の屈折率（Ｎｄ）、アッベ数（νｄ）および溶融時のガ
ラスの脱泡清澄温度（℃）と共に表１に示した。なお、
脱泡清澄温度は、所定の光学ガラス原料を３００ｃｃ白
金ルツボ中で３時間溶融して脱泡清澄化する温度を求め
たものである。

【００１３】

【表１】

【００１４】表１において、実施例Ｎｏ．１のガラス
は、比較例Ｎｏ．Ｂのガラスに比べ、光学恒数がほぼ同
等であるが、脱泡清澄温度が５０〜１００℃も低く、溶
融性に優れている。また、他の実施例のガラスも同様に
溶融性に優れている。本実施例のガラスは、いずれも前
記所望の光学恒数を有するうえ、耐失透性にもすぐれて
いるので、容易に製造することができ、化学的耐久性に
も優れている。

【００１５】

【発明の効果】以上に述べたとおり、本発明の光学ガラ
スは、特定範囲量のＳｉＯ ₂ −Ｂ₂Ｏ₃−ＴｉＯ₂−Ｎｂ₂
Ｏ₅−ＢａＯ−Ｒ′₂Ｏ成分系組成を有するものであるか
ら、Ｎｄが１．５３〜１．６９未満、νｄが４１〜６３
の範囲の光学恒数を有し、溶融性、耐失透性に優れてい
るため容易に製造することができ、かつ化学的耐久性に
も優れているので、有用である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) C03C 3/066 C03C 3/097

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 重量％で、ＳｉＯ₂ ３７＜〜６０％、
   Ｂ₂Ｏ₃ １０〜２０％、ただし、ＳｉＯ₂＋Ｂ₂Ｏ₃ ４
   ７＜〜７０％、Ａｌ₂Ｏ₃ ０〜１５％、ＴｉＯ₂０．５
   〜３０％、Ｎｂ₂Ｏ₅ ０．５〜５％未満、ＺｒＯ₂ ０
   〜１０％、ＢａＯ ５＜〜４５％、他の２価金属酸化物
   としてＳｒＯ ０〜３０％、ＭｇＯ ０〜８％、ＣａＯ
   ０〜６％、Ｋ₂Ｏ ０〜２０％、ただしＬｉ₂Ｏ＋Ｎａ
   ₂Ｏ＋Ｋ₂Ｏ ０．５〜３０％およびＳｂ ₂ Ｏ ₃ ０〜１％
   の範囲の各成分からなり、ＰｂＯを含有せず、かつ屈折
   率（Ｎｄ）が１．５３〜１．６９未満、アッベ数（ν
   ｄ）が４１〜６３の範囲の光学恒数を有することを特徴
   とする光学ガラス。
2. 【請求項２】 ＢａＯ ７〜４５％、他の２価金属酸化
   物としてＳｒＯ ０〜２５％、ＭｇＯ ０〜８％および
   ＺｎＯ ０〜２０％、およびＬｉ₂Ｏ＋Ｎａ₂Ｏ＋Ｋ₂Ｏ
   ２〜３０％、ただしＢａＯ＋ＳｒＯ＋ＭｇＯ＋ＺｎＯ
   ＋Ｌｉ₂Ｏ＋Ｎａ₂Ｏ＋Ｋ₂Ｏ １０〜５０％の範囲の各
   成分を含有することを特徴とする請求項１に記載の光学
   ガラス。