JP2776480B2 - 組み換え型ヒトリンホトキシン - Google Patents
組み換え型ヒトリンホトキシンInfo
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規生理活性ポリペ
プチドの遺伝情報を有するポリデオキシリボ核酸(以下
DNAと略す)に関する。本発明は又、該DNAを含む
複製可能な組み換えDNA及び該複製可能な組換DNA
で形質転換された大腸菌、枯草菌又は酵母に関する。該
DNAが有する遺伝情報を発現して得られる新規生理活
性ポリペプチド及びその製造方法に関しても参考のため
に説明する。本明細書においてアミノ酸およびペプチド
は IUPAC-IUB生化学命名委員会(CBN)で採用された略記
法により表示され、例えば下記の略号が使用される。な
お、アミノ酸などに関し光学異性体があり得る場合は、
特に明示しなければL体を示すものとする。 Gln:グルタミン残基 Asp:アスパラギン酸残基 Pro:プロリン残基 Tyr:チロシン残基 Val:バリン残基 Lys:リジン残基 Glu:グルタミン酸残基 Ala:アラニン残基 Asn:アスパラギン残基 Leu:ロイシン残基 Phe:フエニルアラニン残基 Gly:グリシン残基 His:ヒスチジン残基 Ser:セリン残基 Thr:スレオニン残基 Ile:イソロイシン残基 Trp:トリプトフアン残基 Arg:アルギニン残基 Met:メチオニン残基 又、本明細書中においてDNAのポリマー又はオリゴマ
ーは下記の如き略号の配列により表記する。 A:2’−デオキシアデニル酸残基 C:2’−デオキシシチジル酸残基 G:2’−デオキシグアニル酸残基 T:チミジル酸残基 特にことわらない限り、配列の左から右への方向は5’
から3’への方向を示すものとする。 【0002】 【従来の技術】リンホトキシン(以下LTと略す)はリ
ンパ球由来の抗腫瘍活性を有する蛋白で、マクロフアー
ジ由来の癌壊死因子(以下TNFと略す)と共にその臨
床応用に期待が寄せられている。これらのLTやTNF
はそれぞれリンパ球やマクロフアージにエンドトキシン
やホルボールエステルを添加し活性化することにより得
られていたが、近年遺伝子操作技術の進歩に伴いその構
造が明らかになり、これらの蛋白をコードする遺伝子を
用いることにより微生物又は細胞培養で該蛋白を製造す
ることが可能となった。Grayら〔ネイチャー(Nature),
312巻(1984年)721頁〕及びPennicaら〔ネイチャー(Natu
re),312巻(1984年)724頁〕はそれぞれこの遺伝子操作技
術を駆使してそのクローニングに成功した。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】一方これらの技術の進
歩に伴い、形質転換体よりの該蛋白の抽出が大きな問題
となっている。上記のLTに関してもその抗腫瘍性を損
うことなく菌体より効率良く該LTを抽出する方法につ
いて満足すべき結果を得ていないのが現状である。すな
わち形質転換体内に産生されたLTを抽出するためには
菌体の破砕が必要であるが、この際蛋白変性剤として7
Mグアニジン塩酸塩や8M尿素もしくは2%ドデシル硫
酸ナトリウム(SDS)を用いるとLTの活性に重大な影響
を与え非可逆的な失活をもたらす。そのため緩和な菌体
破砕条件としてリゾチーム分解と超音波処理が考えられ
るが、この条件では回収率が低い。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる技
術的背景のもとに遺伝子操作技術を用いて、抗腫瘍活性
の高い蛋白を好収率で抽出することを目的として種々の
LT遺伝子を構築し、該組み換えDNAを含有する形質
転換体で遺伝情報を発現させ産生されたLTの細胞毒性
を測定した結果、N末端にProもしくはPheを有
し、かつ10から21個のN末端アミノ酸、ペプチドを
欠損するLTムテインが171個の全アミノ酸配列を有
するLTよりも生物活性を損わない緩和な条件で好収率
で抽出、精製されるという新知見を得、これに基づいて
更に研究した結果、本発明を完成したものである。すな
わち、本発明は次の如きアミノ酸配列を有する蛋白質を
コードする塩基配列を含むポリデオキシリボ核酸を包含
する。 H-(Met)n-R1-R2-Ala-His-Ser-Thr-Leu-Lys-Pro-Ala- Ala-His-Leu-Ile-Gly-Asp-Pro-Ser-Lys- Gln-Asn-Ser-Leu-Leu-Trp-Arg-Ala-Asn- Thr-Asp-Arg-Ala-Phe-Leu-Gln-Asp-Gly- Phe-Ser-Leu-Ser-Asn-Asn-Ser-Leu-Leu- Val-Pro-Thr-Ser-Gly-Ile-Tyr-Phe-Val- Tyr-Ser-Gln-Val-Val-Phe-Ser-Gly-Lys- Ala-Tyr-Ser-Pro-Lys-Ala-Thr-Ser-Ser- Pro-Leu-Tyr-Leu-Ala-His-Glu-Val-Gln- Leu-Phe-Ser-Ser-Gln-Tyr-Pro-Phe-His- Val-Pro-Leu-Leu-Ser-Ser-Gln-Lys-Met- Val-Tyr-Pro-Gly-Leu-Gln-Glu-Pro-Trp- Leu-His-Ser-Met-Tyr-His-Gly-Ala-Ala- Phe-Gln-Leu-Thr-Gln-Gly-Asp-Gln-Leu- Ser-Thr-His-Thr-Asp-Gly-Ile-Pro-His- Leu-Val-Leu-Ser-Pro-Ser-Thr-Val-Phe- Phe-Gly-Ala-Phe-Ala-Leu-OH ???、R1はPro又はPhe、R2はAla-Gln-Thr-Ala-Arg
-Gln-His-Pro-Lys-Met-His-Leu のC末端から数えて1
個または2個以上のアミノ酸を示し、nは0又は1を示
す。〕本発明は形質転換された微生物中で上記のアミノ
酸配列を含むポリペプチドを発現しうる複製可能な組み
換えDNAに係る。このような組み換えDNAとして
は、例えば pTB622、pTB697、pTB848および pT
B849などが挙げられる。更に本発明は上記LTのアミ
ノ酸配列を示すポリペプチドを発現しうる複製可能な組
み換えDNAで形質転換された微生物に係り、このよう
な微生物は、大腸菌、枯草菌、酵母である。更に本発明
では、N末端欠損LT遺伝子をコードする遺伝子を、微
生物中で発現させることからなるLTの製造方法につい
ても参考のため説明する。詳しくは、複製可能な組み換
えDNAで形質転換された微生物を増殖させ、該ペプチ
ドを効率良く回収することからなる該ポリペプチドの製
造方法について説明する。 【0005】本発明のN末端欠損LTをコードするDN
Aは、例えば下記の方法により調製できる。 1. 12−O−テトラデカノイルホルボール− 13−アセ
テート(TPA)およびコンカナバリンA(ConA)で
LT合成を誘導させたヒト末梢リンパ球より公知の方法
でm−RNAを採取することができ、さらにそれから約
5×105個のcDNAライブラリーを作製することができ
る。 2. LTの部分ペプチド鎖をコードする通常10-merか
ら50-merのオリゴヌクレオチドを合成しプローブとして
使用し、LT cDNAのスクリーニングを実施する。例
えばC末端側18-mer(TCCAAAGAAGACAGT
ACT)の合成ヌクレオチドを使用した時、約50個のク
ローンを得ることができる。 3. 得られたLT cDNAクローンからプラスミドを
単離し塩基配列を決定する。既報のLTのアミノ酸配列
をコードするプラスミドを選択し、これを適当な制限酵
素で切断し、適宜発現ベクターに導入して、そのDNA
を含む組み換えDNAを作製することができる。 4. 3.で調製されたベクターを使用して各種宿主、
例えば大腸菌を形質転換し、LTをコードするDNAを
保持する菌株を得ることができる。 5. 4.で形質転換体を培養しプラスミドを単離した
のち、以下のようにしてN末端欠損LTをコードするD
NAを調製できる。 ヒトLT遺伝子の場合には、N末端側より20−21番
目のメチオニン−ヒスチジンをコードする領域に制限酵
素NsiI認識部位が存在する。そこでLT遺伝子を Ns
iI で切断することにより、N末端欠損LTをコードす
るDNA断片を得ることができる。この断片に 【0006】 【化1】 【0007】の配列を含む適当なアダプターを結合させ
ることによりLT(20−171)をコードするDNAを作製
し、適当なベクターに挿入する。 NsiI切断後のN末端欠損LTをコードするDNA
断片に化学合成したDNAを結合させる。その際、LT
のN末端10番目のアラニンから20番目のメチオニンまで
のペプチド鎖をコードするDNAか、あるいは該ペプチ
ド鎖内の一部のアミノ酸またはペプチドを欠損もしくは
他のものに置換したペプチドをコードするDNAを使用
することができ、読み枠を正しく保つように合成すれば
よい。 同様にヒトLT遺伝子の場合、N末端側より9−10
番目のセリン−アラニンをコードする領域に制限酵素P
vuII認識部位が存在する。そこでLT遺伝子をPvuIIで
切断し、N末端欠損LTをコードするDNA断片を得る
ことができる。この断片に 【0008】 【化2】 【0009】の配列を含む適当なアダプターを結合させ
ることによりLT(10−171)をコードするDNAを作製
し、適当なベクターに挿入する。 PvuII切断後のN末端欠損LTをコードするDNA
断片をさらにエキソヌクレアーゼ、例えばヌクレアーゼ
BAL31で1−10個のアミノ酸をコードする領域を除去
し、その中で遺伝子の読み枠が正しく保たれているもの
を選び出すことによりLT(x−171),x=10〜20をコ
ードするDNAを調製することができる。 また特定部位指向性変異(site-directed mutagene
sis)〔Smith,M.and Gillam,S,「ジェネティック エンジ
ニアリング(Genetic Engineering)」,3,1(1981)〕の
手法を応用することもできる。すなわちPvuII切断後の
N末端欠損LTをコードするDNA断片をベクターM13
に挿入し、これを大腸菌JM103(Pharmacia P-L Bioche
micals)に感染させる。成育後、ブロス中に放出された
M13ファージをポリエチレングリコールで沈殿させ、つ
いでフェノール処理によってM13ファージ1本鎖DNA
を得ることができる。次にLTのN末端側10番目のアラ
ニンから20番目のメチオニンまでのペプチド鎖内の一部
のアミノ酸またはペプチドを欠損もしくは他のものに置
換したペプチドをコードするDNAを化学合成によって
作製しプライマーとして使用できる。このプライマーと
先に調製したM13ファージDNAとを混合し、DNAポ
リメラーゼIラージ・フラグメントの作用によって2本
鎖にしたのち、T4DNAリガーゼの作用によって環状
化することができる。この環状DNAを大腸菌JM103
に導入し、放出されてくるM13ファージDNAをフィル
ターに転移させたのち、32Pで標識した該合成プライマ
ーを用いてプラーク・ハイブリダイゼイション〔Maniat
is,T.ら「モレキュラー クローニング, ア ラボラトリ
ィー・マニュアル(Molecular Cloning,A Laboratory Man
nual)」,Cold Spring Harbor Laboratory,P.312(198
2)〕を行う。強いシグナルが検出されたファージからD
NAを調製し、適当な制限酵素で切り出し、このDNA
断片をプラスミドに組み込むことにより修飾されたN末
端欠損LTをコードするDNAが得られる。ヒトLT遺
伝子の全体または一部を含むプラスミドDNA、コスミ
ドDNA、ファージDNAなどを特定部位指向性変異の
ための鋳型DNAとして用いることができる。M13ファ
ージやφX174ファージは、1本鎖DNAが容易に調製で
きるので、鋳型DNAとしてより望ましい。例えばM13
ファージやφX174ファージにヒトLT遺伝子の全体また
は一部が組み込まれたものを使用する時は、ブロス中に
存在するファージ粒子をポリエチレングリコールで沈殿
させ、フェノール処理で除蛋白を行い、ついでエタノー
ル沈殿を行いファージ粒子内にあった1本鎖DNAを得
ることができる。また鋳型DNAとしてヒトLT遺伝子
の全体または一部が組み込まれた2本鎖のプラスミドD
NAやコスミドDNAを用いる時は、2本鎖DNAを 1
00℃で1分から10分、望ましくは3分から5分熱処理し
た後、氷水で急冷し1本鎖DNAに変性させて使用する
ことができる。特定部位指向性変異のためのプライマー
は、変換しようとするDNA配列を持ち、鋳型DNAと
ハイブリダイズしてDNA合成時のプライマーとして機
能しうるものであれば、どのようなDNA配列のもので
もよい。またプライマーの作製は、どのような方法でも
よいが、化学合成で適当な配列の1本鎖DNAを作るこ
とが望ましい。このようなプライマーと先に調製した1
本鎖DNAとを混合し、DNAポリメラーゼIラージ・
フラグメントの作用によって2本鎖DNAに修復した
後、T4 DNAリガーゼの作用によって環状化すること
ができる。この環状DNAを大腸菌に導入した後、ラジ
オアイソトープで標識したプライマーをプローブに用い
て、プラーク・ハイブリダイゼイション〔Maniatis,T.
ら「モレキュラー クローニング, ア ラボラトリィー・
マニュアル(Molecular Cloning,A Laboratory Mannua
l)」, Cold Spring Harbor Laboratory,P.312(1982)〕
や、コロニー・ハイブリダイゼイション〔同 P.326〕を
行い、目的とする変異体を選び出すことができる。この
ようにして得られたプラークやコロニーからファージD
NAやプラスミドDNAを調製し、該DNAを用いてN
末端欠損LT遺伝子を調製することができる。 【0010】このようにして得られるN末端欠損LTを
コードするDNAを各種宿主(例、大腸菌,枯草菌,酵
母)で機能するプロモーター領域の3′末端に挿入する
ことにより、N末端欠損LTをコードするDNAを発現
させうる組み換えDNAを構築することができる。プロ
モーター領域は、RNAポリメラーゼが結合することに
よってmRNA合成を開始させるのに必要な部位を含む
領域であれば、いかなるものであってもよい。たとえば
大腸菌を宿主として用いる場合、N末端欠損LTをコー
ドするDNAを大腸菌で機能しうるプロモーター領域の
3′末端に挿入すれば、N末端欠損LTをコードするD
NAを発現しうる組み換えDNAが構築できる。またこ
のように大腸菌を宿主とする場合のベクターとしてpB
R322,pBR325,ptrp781,pUC8,pUC9,pJB8
などが用いられ、これにN末端欠損LTをコードするD
NAをT4DNAリガーゼの作用により挿入する。この
反応液を用いて、大腸菌(例、C600株,MM294株,DH
1株,W3110株,RR1株,PR13株など)を公知の方
法〔Cohen,S.N.ら,「プロシージング オブ ナショナル
アカデミー オブサイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.
A)」 69,2110(1972)〕もしくはそれに準ずる方法によ
って形質転換する。使用するプロモーターは、trpプロ
モーター(trp-p)に限定する必要はなく、たとえばrecA
プロモーター〔特開昭59−65099号〕,lacプロモーター,
λPLプロモーターなどを使用してもよい。上記のよう
にして得られたN末端欠損LTをコードするDNAを含
む新規な組み換えプラスミドDNAを保持する形質転換
体は、たとえばアンピシリン耐性、テトラサイクリン耐
性あるいはこれら両薬剤耐性を表現形として選ぶことが
できる。上記の形質転換体をそれ自体公知の培地で培養
する。培地としては、例えばLブロス,ペナセイ(Penas
say) ブロスおよびグルコース,カザミノ酸を含むM−9
培地〔 Miller,J.,「エクスペリメンツ イン モレキュ
ラー ジェネティクス(Experiments in Molecular Genet
ics)」,431-433(Cold Spring Harbor Laboratory,New Y
ork,1972)〕が挙げられる。ここに、必要によりプロモ
ーターを効率よく働かせるために、たとえば3β-インド
リルアクリル酸のような薬剤を加えることができる。該
形質転換体の培養は通常 15〜43℃,好ましくは28〜40℃
で2〜24時間,好ましくは4〜16時間行い、必要により
通気や攪拌を加えることもできる。 宿主として、たとえ
ば枯草菌または酵母を使用する場合においては枯草菌ま
たは酵母で機能し得るプロモーター領域の3’末端にN
末端欠損LTをコードするDNAを挿入し、自体公知の
方法により、該組み換えDNAで宿主を形質転換させ、
形質転換体を培養することにより、N末端欠損LTを製
造することができる。この場合ベクターとして、すでに
多くのものが知られており、該遺伝子の発現に利用でき
るものであれば、いかなるものであってもよい。具体的
には酵母の場合には、pPHO17,pGLD906,p
GLD906−1やpcDX〔Okayama,H.,& Berg,P.,「モ
レキュラー・アンド・セルラー・バイオロジー(Mol.Ce
ll.Biol.)」3,280(1983)〕および pKSV−10(フ
ァルマシア社製)などが挙げられ、枯草菌の場合には、
pUB110,pTB5,pC195などが挙げられる。プロ
モーターとしては、酵母について例えば、PH05,G
LD,PGK,ADH,PHO81プロモーターなど
が、枯草菌について例えばSP01,SP02,pen
Pなどが挙げられる。上記の宿主のなかでも、大腸菌が
より好ましい。 培養後、公知の方法で菌体を集め、大
腸菌の形質転換体の場合には菌体を適当な緩衝液、例え
ばトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)に懸濁し、超音波処
理、リゾチームおよび/または凍結融解によって菌体を
破壊したのち、遠心分離によりN末端欠損LTを含む上
澄液を得る方法などが適宜用い得る。好ましくは、菌体
を集めて緩衝液に懸濁しリゾチームを加えて0〜10℃で
10分〜3時間インキュベートし、0〜10℃で30秒〜5分
間超音波処理後、遠心分離して上澄を得る方法が用いら
れる。抽出液からのN末端欠損LTの分離、精製はたと
えばゲルろ過、ヒドロキシアパタイトカラムクロマトグ
ラフィー、イオン交換カラムクロマトグラフィー、超遠
心、ヒトLT抗体を用いるアフィニティクロマトグラフ
ィーにより行うことができる。以上により、本発明者が
N末端欠損LTの遺伝子を取得し、この遺伝子を用いる
N末端欠損LTの製造方法が示されたが、本発明は以上
に限定されるものではない。本発明において各アミノ酸
に対応するコドン(遺伝暗号)の使用頻度が異なる等の理
由により、アミノ酸配列を変えることなく塩基配列の一
部又は全部を有機化学的に合成された人工のDNAに置
き換えることも可能である。本発明の生理活性ポリペプ
チドは正常細胞にはその細胞毒性を発揮せず、腫瘍細胞
や形質転換細胞を選択的に殺傷するので制癌剤としてそ
の有用性が期待される。又該ペプチドは既報の171個の
アミノ酸配列を有するLT(1-171)と同等の生物活性を有
し、しかも遺伝子操作技術を駆使して産生され菌体内に
貯溜した該蛋白は、前記LT(1-171)の数10倍以上の好収
率で回収されうる。 【0011】 【実施例】以下に参考例・実施例により本発明を具体的
に説明するが、これらが本発明の範囲を制限するもので
ないことはいうまでもない。本発明の実施にあたり組み
換えDNAの作製、組み換え体の微生物への導入は特に
断わらない限り下記の実験書に従って実施した。 (1)T.Maniatis, E.F.Fritsch, J.Sambrook,「モレキュ
ラー クローニング(Molecular Clo ning)」, Cold S
pring Harbor Laboratory刊(米国) (2)高木康敬 編著、「遺伝子操作実験法」、講談社刊 参考例 1. L929細胞障害活性評価 LTの細胞毒性能はL929細胞を用いて〔ジャーナル・オ
ブ・イムノロジー(J.Immunol.), 126巻(1981年)235頁〕
あるいは〔ジャーナル・オブ・イムノロジカル・メソッズ
(J.Immunol. Methods), 70巻(1984年)257頁〕の方法に
準じて測定した。即ち、96穴の組織培養用マイクロプレ
ート(フローラボラトリー社)を用いて10%のウシ胎児血
清(FCS)を含むRPMI 1640培地で2倍階段希釈した試料50
μlにマイトマイシンC 4μg/mlを含む上記培地に懸濁
した4×105個/mlの濃度のL929細胞50μlを添加し5%炭
酸ガス中37℃,48時間培養した。培養終了後ジメチルチ
アゾイル・ジフェニルテトラゾリウム臭酸塩 (MTT)を用
いて生細胞を染色し10%SDS-0.01N HClで溶解後590nmに
おける吸光度をタイターテック・マルチスキャン(フロー
ラボラトリー社)で測定した。得られた吸光度は生細胞
数に比例する。L929細胞の50%を殺すために必要な生
物活性量を1ユニット/mlと定義し試料の生物活性をユニ
ット/mlで表した。 参考例 2. 天然の(Natural)LTの採取 Hinumaら〔Microbiol, Immunol, 28巻 (1984年) 935
頁〕の方法に従い、TPAとConAとで活性化した正常ヒ
ト末梢リンパ球を、10%Fetal Calf Serum (FCS)含有R
PMI 1640培地中37℃,5% CO2で2〜3日間培養し、その
培養上清からLT含有液を得た。 参考例 3.形質転換用大腸菌株の作製 大腸菌DH1株のコロニーをSOB培地〔実験書(1)69
頁〕を用いて550nmの吸光度が0.5になるまで培養した。
該培養30mlを集め、12mlの0.1M RbCl-10mM CaCl2-50m
M MnCl2-15%グリセロールを含む0.2M酢酸緩衝液(pH5.
8)に懸濁し5分間氷冷後遠心し、次いで10mM RbCl-75m
M CaCl2-15%グリセロールを含む10mM MOPS緩衝液(p
H6.5 )に再懸濁した。15分間氷冷後ドライアイス-エタ
ノールで急冷凍結後−70℃で保存した。 参考例 4.形質転換用大腸菌株の作製 DH1,C600,MM294 の各種大腸菌株のコロニーをS
OB培地10mlを用いて550nm の吸光度が0.3になるまで培
養した。氷冷後遠心分離し得られた菌体を5mlの10mM Na
Clで洗浄した。菌体を5mlの50mM CaCl2に再懸濁し氷冷
下15分間放置した。遠心分離後、0.5mlの50mM CaCl2に
懸濁し直ちに使用した。 参考例 5.形質転換用酵母菌株の作製 Beggs,J.D.らの方法に従った、すなわち、Saccharomyce
s cerevisiae AH22R~のコロニーをYPDA培地(10
g/l酵母エキス, 20g/lポリペプトン, 10g/lグルコー
スおよび0.4g/lアデニンを含有)を用いて一晩静置培
養した。該培養4mlを集め、菌体を4mlの0.1M sodi
um citrate(pH5.8)−0.01M EDTA−1.2M sorbi
tolで洗浄した後、4mlの1mg/ml Zymolyase 100T
(生化学工業)−1.1M sodium citrate(pH5.8)−0.0
1M EDTA−1.2M sorbitolに懸濁し、30℃にて2時
間反応させ細胞壁を溶解させた。次いで菌体を 10mM
CaCl2−1.2M sorbitolで2回洗浄した後、同溶液0.
1mlの同溶液に懸濁し直ちに使用した。 【0012】実施例1. ヒトリンパ球由来mRNAを用いたcDNAライブラリー
の作製 ヒト末梢血より調製したリンパ球をTPA(15ng/ml)と
ConA(40μg/ml)とを含むRPMI 1640培地(10%FCSを
含む )中、37℃で培養し、LTを誘導させた。24時間
後、この誘導した1×1010個のヒトリンパ球を5Mグラ
ニジンチオシアネート、5%メルカプトエタノール、50
mM Tris・HClpH 7.6, 10mM EDTA溶液中でテフロンホ
モゲナイザーによって破壊変性した後N-ラウロイリル
ザルコシン酸ナトリウムを4%になるように加え、均質
化した混合物を5.7M塩化セシウム溶液(5.7M塩化セシ
ウム、0.1M EDTA)6ml上に重層し、ベックマン S
W28のローターを用いて15℃で24,000rpm 48時間遠心処
理を行い、RNA沈殿を得た。このRNA沈殿を0.25%
N-ラウロイルザルコシン酸ナトリウム溶液にとかした
後、エタノールで沈殿させ、10mgのRNAを得た。この
RNAを高塩溶液(0.5M NaCl, 10mM Tris・HCl pH 7.6,
1mM EDTA,0.3% SDS)中でオリゴ(dT)セルロースカラム
に吸着させ、ポリ(A)を含む mRNAを低塩溶液(10mM
Tris-HCl・pH 7.6,1mM EDTA0.3% SDS )で溶出させる
ことにより、ポリ(A)を含むmRNA 300μgを分取し
た。この mRNAをさらにエタノールで沈殿させ、0.2m
lの溶液(10mM Tris・HClpH 7.6, 2mM EDTA,0.3% SDS
)に溶かし、65℃で2分間処理して10−35%ショ糖密度
勾配遠心処理(ベックマンSW28のローターを用いて20
℃,25,000rpmで21時間遠心分離)することにより分画し
た。この各分画につき RNAの一部づつを、アフリカツメ
ガエルの卵母細胞に注入し、合成される蛋白質中のLT
活性を測定し、沈降定数16S近辺に相当する分画にLT
の活性を検出した。この分画のLT mRNAは約25μg
であった。このポリ(A)RNAを鋳型として cDNAラ
イブラリーを OkayamaとBerg の方法〔モレキュラー ア
ンド セルラー・バイオロジー(Mol.Cell.Biol.),2巻(19
82年)161頁;同誌,3巻(1983年)280頁〕に従って pcD
V1ベクター、pL1リンカーを用いて作製した。環状
化した cDNAを含むベクタープラスミドは大腸菌DH
1に感染させ、5μgのポリ(A)RNAより出発して約
5×105個のクローンよりなる大腸菌DH1を宿主とし
た cDNAライブラリーを得ることができた。 【0013】実施例2. ヒトLTcDNAを含むプラスミドの単離とその塩基配
列の決定 上記大腸菌DH1を用いたヒト cDNAライブラリーを
ニトロセルロースフィルター(ミリポア社、HATFフィル
ター )上に約3×104クローン/フィルターとなるよ
うに10枚まき、このフィルターをマスターフィルター
としている各2枚ずつを1組としたレプリカフィルター
計20枚を作製した。このレプリカフィルター上の大腸
菌を 0.5N NaOH溶液でとかし露出変性したプラスミ
ドDNAをフィルター上に乾燥固定した〔Grunstein,M,
& Hogness,D,S.,「プロシージング・オブ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンス」(Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA),72巻(1975年)3961頁〕。一方、既に報告されて
いるLT遺伝子の塩基配列〔 Gray,ら,「ネイチャー(Na
ture)」,312巻(1984年)721頁〕の一部(アミノ酸NO.162
−167に対応する遺伝子部分)に相当するオリゴヌクレオ
チド 【0014】 【化3】 【0015】を合成してヒトLTcDNAのスクリーニ
ングプローブとした。これらオリゴヌクレオチドプロー
ブの5′末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼ,〔γ−
32P〕ATPを用いて32Pで標識した。標識したプロー
ブをDNAを固定したレプリカフィルターに別々に会合
させた。会合反応は10μCiの標識プローブを含む5
×SSC(0.15M NaCl,0.015MSodium citrate),5×De
nhardt's,0.1%SDS,100μg/ml変性サケ精子DNA
溶液10ml中で40℃16時間行い、反応後、フィルタ
ーを6×SSC,0.1%SDS溶液で室温で30分ず
つ3回、さらに43℃で60分ずつ2回洗浄した。〔実
験書(1)309頁〕。洗浄したフィルターよりラジオオ
ートグラムをとり、プローブに対して反応する菌株を1
組2枚のレプリカフィルターのラジオオートグラムを重
ね合わせることにより探した。この方法により約3×1
05coloniesより、プローブに対して反応する50株の
E.coli DH1株を得た。これらの菌株よりプラ
スミドDNAをアルカリ法〔Birnboim,H.C. & Doly,J.,
「ヌクレイック アシッズ リサーチ(Nucleic Acids Re
s.),11巻(1979年)1513頁〕によって抽出精製した。DN
Aを制限酵素BamHI(宝酒造製)で切断し、アガロ
ースゲル電気泳動で分画した後、DNA断片をアガロー
スゲル中よりニトロセルロースフィルター(エス アンド
エス社,BA85)上に移した〔サザンブロッティン
グ法、実験書(1)382頁〕。このフィルターを前記の
オリゴヌクレオチドプローブと会合させると、プラスミ
ドDNA断片はプローブと反応した。そこで、これらの
うち最大のBamHIDNA断片( cDNA部分)を生じ
たプラスミドを有する1株 E.coli K12 DH1/p
TB618 を選び出した。このプラスミドDNAの cDN
A部分の塩基配列をジデオキシヌクレオチド合成鎖停止
法〔 J.Messingら,「ヌクレイック アシッズ リサーチ
(Nucleic Acids Res.),9巻(1981年) 309頁〕によって
決定した。その結果、プラスミドpTB618 に含まれる
LT遺伝子は完全ではなく3′末端側非翻訳部分より上
流側No.18のアミノ酸であるProのコドンCCCの第3
番目のCまでを含むことが判明した。 【0016】実施例3. ヒトLT(21-171)発現ベクターpTB622の構築 上記で作製したプラスミドpTB618を制限酵素NsiI
(宝酒造製)とBamHIで切断し、LT遺伝子を含む
1.1キロ塩基対(以下、Kbp と略す)のDNA断片を
分離した。このDNAに T4 DNAポリメラーゼ(P
L社製)を反応させ、末端を平滑化させた後、フレーム
が合うように、16-merのATGつきEcoRIリンカー
(AACATGAATTCATGTT)をT4DNAリ
ガーゼによって結合させた。T4DNAリガーゼを65℃
10分間の熱処理によって失活させたのちさらに制限酵素
EcoRIで切断し、アガロース電気泳動でリンカーの結
合したLT遺伝子を含む0.6Kbp のDNA断片を分離し
た。一方、Kurokawa, T.ら.,「ヌクレイック アシッ
ズリサーチ(Nucl.Acids Res)」11巻(1983年)3077頁に記
載のプラスミドptrp781を制限酵素EcoRIで切断し、5'末
端のリン酸をアルカリ性ホスファターゼ処理によって除
去した。このDNAと、ATGつきEcoRIリンカーの結合し
た、0.6Kbp のLTDNA断片を混合し、T4 DNA
リガーゼを作用させて、トリプトファンプロモーターの
下流にLT遺伝子の挿入された、大腸菌のヒトLT発現
ベクターpTB622を構築した(図1)。 【0017】実施例4.ヒトLT(1-171)発現ベクタ
ーpTB694の構築 工程1(pTB693プラスミドDNAの調製) 図2に示すように、2μgのプラスミドpTB618を0.6ユ
ニットのBal I(宝酒造製)を用いて37℃で6時間分解し
た。一方CAGATCTGの8- merで示されるBgl II
リンカー2μgを0.5mM ATPと 2.5ユニットのT4ポ
リヌクレオチドキナーゼとでリン酸化後、そのリン酸化
リンカー0.2μgを1.6μgの上記Bal I消化pTB618に添
加し35ユニットのT4 DNAリガーゼ存在下で14℃、
一夜反応した。65℃で5分間不活化後 30ユニットBgl
IIを用いてトリミングし、1.2 %のアガロースゲル電気
泳動に供した。4.3Kbp に相当する主バンドを切り取
り、トリス・塩酸緩衝液で抽出後 RDPミニカラム(バイオ
ラッド社)で精製した。上記直鎖状DNA100ngに10ユニ
ットのT4DNAリガーゼを添加しpTB693プラスミド
含有DNAを得、次いで常法に従い大腸菌DH1株へ形
質転換した。詳しくは、参考例3で作製、−70℃で凍結
保存した形質転換用DH1菌体を氷冷下除々に融解し、
その懸濁液 100μlにpTB693 含有DNA 30ngを添加
した。氷冷下30分間反応後、42℃で90秒間ヒートシヨッ
クを与え、1−2分間氷冷した。0.2mlの20mMグルコー
スを含むSOB培地を添加し37℃で1時間培養後、該懸
濁液を 35μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天プレー
ト上にまき37℃で一夜培養した。その結果プラスミドp
TB693からアンピシリン耐性形質転換のコロニーを得
ることができた。プラスミドpTB693を含有する上記大
腸菌DH1株を、35μg/ml のアンピシリンを含むLB
培地〔実験書(1)68頁〕250ml中で培養後、実験書(1)88
頁の方法に従ってプラスミドを単離し約300μgのpTB6
93が得られた。 工程2(ヒトLT−cDNAの作成) pTB693プラスミド50μgを100ユニットのNsiIと120
ユニットのBgl II(宝酒造製)とで37℃、1時間分解
し、2%アガロースゲル電気泳動に供した。LT−cD
NAを含むNsiI−Bgl II断片に相当する0.56Kbpの
バンドを切り取り、工程1で述べたRDPミニカラムを用
いて精製した。一方、LTのN末端ペプチド(1−20)
をコードする下記の6本のオリゴヌクレオチド鎖をAppl
ied Biosystems社(米国)の Model 380A-DMA synthesi
zer で化学合成し〔「テトラヘドロン レターズ( Tetra
hedron Lett.)」,21巻( 1980年)3243頁〕、それら各
1μg の混合物にT4ポリヌクレオチドキナーゼ12.5ユ
ニットと1mM ATPとを加えて37℃、1時間でリン酸
化した。 【0018】 【化4】 【0019】70℃、5分間不活化後さらに350ユニット
のT4DNAリガーゼで14℃、一夜反応させ、次いで65
℃で5分間不活化後反応終了液(約3.5μgのDNAを含
む)にEcoRI(宝酒造製)45ユニット及びNsiI35ユニ
ットを添加し37℃で2時間分解し、10%のポリアクリル
アミドゲル電気泳動に供した。 約70bp に相当するバ
ンドを切り取り、RDPミニカラムで精製した。上記約
70bp のEcoRI−NsiI断片 30ng に0.56KbpのNsi
I−Bgl II断片110ngを添加し35ユニットのT4DNA
リガーゼ存在下で14℃、2時間反応させた。反応終了液
に6ユニットの Bgl IIと9ユニットの EcoRIとで
37℃、1時間分解トリミングし 0.63KbpのヒトLT
(1−171)の全アミノ酸配列をコードする cDNAを作
製することができた。 工程3(pTB692プラスミドDNAの調製) 2μgのプラスミドptrp781を32ユニットのPstI(宝酒
造製)で37℃、1時間分解した。反応終了後、TNE緩
衝液〔 実験書(1)448頁〕と最終濃度 0.2%のSDS
を添加してフェノール−クロロホルムで抽出、精製し
た。上記PstI消化 ptrp781 1μgに0.1mMXTPと4ユ
ニットのT4DNAポリメラーゼとを加え、37℃、5分
間反応後、TNE緩衝液およびSDSを添加しフェノー
ル−クロロホルムで抽出、精製した。次に工程1に記載
のリン酸化Bgl IIリンカー0.2μgと35ユニットのT4
DNAリガーゼとを上記の ptrp781 DNA 0.8μgに加
え14℃で一夜反応した。65℃で5分間不活化後、30ユニ
ットの Bgl IIでトリミングしフェノール−クロロホル
ムで抽出し、さらにセファロース4Bカラムで精製し
た。その後、10ユニットのT4DNAリガーゼを添加し
pTB692含有DNAを得、次いで工程1記載の常法に従
い大腸菌DH1株へ形質転換した。但し35μg/mlのアン
ピシリンの代りに10μg/mlのテトラサイクリンを含むL
B寒天プレートを使用し、テトラサイクリン耐性形質転
換菌のコロニーが得られた。該コロニーを10μg/mlの
テトラサイクリンを含むLB培地で培養し、工程1の方
法に従いpTB692プラスミドが得られた。 工程4(pTB694プラスミドDNAの調製) 工程3記載 pTB692プラスミドDNA10μgにEcoRI
54ユニットおよびBglII30ユニットを加え5℃で一夜反
応後、1%アガロースゲル電気泳動で精製し3.3Kbpの
DNAバンドを切り出した。この3.3KbpのDNA36ng
に工程2記載の0.63KbpのDNA 15ngを加え10ユニッ
トT4DNAリガーゼでpTB694含有DNAを得、工程
3記載の方法に従いテトラサイクリン耐性の形質転換体
を作製し、ヒトLT(1−171)発現用プラスミドpTB
694を得ることができた。 【0020】実施例5.ヒトLT(11−171)発現ベク
ターpTB697の構築 図3に示すように、10μgのプラスミドpTB694に30ユ
ニットのPvuII(宝酒造製)を加えて37℃で2時間反応
後、フェノール−クロロホルムで抽出・精製した。一
方、GCATGAATTCATGCの14-merで示される
EcoRIリンカー2μgを 0.5mM ATPと2.5 ユニット
のT4ポリヌクレオチドキナーゼとでリン酸化後、その
0.5μgを上記のPvuII消化 pTB6942μgに添加し35ユ
ニットのT4DNAリガーゼ存在下で14℃一夜反応し
た。65℃で5分間不活化後、45ユニットEcoRIを加え
てトリミングし、0.8 %のアガロースゲル電気泳動に供
した。3.9Kbp に相当する主バンドを切り取り、実施例
4工程1に述べたように RDPミニカラムを用いて精製
し、その直鎖状DNA100 ngに10ユニットのT4DNA
リガーゼを添加しpTB697プラスミド含有DNAを得、
次いで実施例4工程3記載の常法に従い大腸菌DH1株
へ形質転換し、その形質転換体からpTB697プラスミド
を得ることができた。 【0021】実施例6.ヒトLT(21−171)発現ベク
ターpTB848の構築(図4) 実施例4で作製したプラスミドpTB694を制限酵素Ns
iIで切断し、T4DNAポリメラーゼを反応させ末端
を平滑化後、フレームが合うように16-merのATGつき
EcoRIリンカー(GGCATGAATTCATGC
C)をT4DNAリガーゼによって結合させた。T4D
NAリガーゼを熱処理により失活させたのち、さらに2
種の制限酵素 EcoRIとBgl IIとで切断し、アガロー
ス電気泳動で0.56 kbpのDNA断片を分離した。一方、
同じプラスミドpTB 694を EcoRIとBgl IIとで切
断し、次いで上記の 0.56 kbpのDNA断片を添加し、
T4DNAリガーゼを作用させて、トリプトファンプロ
モーターの下流にLT遺伝子の挿入された、大腸菌のヒ
トLT発現ベクターpTB848を構築した(図4)。 実施例7.ヒトLT(21−171)酵母菌発現ベクターpT
B849の構築(図5) プラスミドpTB 694を制限酵素NsiIとBgl IIとで
切断し、LT遺伝子を含む 0.56Kbp DNA断片を分離
した。このDNAにT4DNAポリメラーゼを反応さ
せ、末端を平滑化後フレームが合うように20-merの合成
オリゴマー 【0022】 【化5】 【0023】をT4DNAリガーゼによって結合させ
た。T4DNAリガーゼを熱処理により失活化後、制限
酵素XhoIで切断しアガロース電気泳動でXhoIリ
ンカーの結合したLT遺伝子を含む 0.6KbpのDNA断
片を分離した。一方、〔Itoh,Y.ら,「バイオケミカル
アンド バイオフィジカル リサーチ コミュニケーショ
ン(Biochem. Bio phys. Res.Comm.)」,138, 268(198
6)〕 に記載のプラスミドpGLD906−1を制限酵素X
hoIで切断し、このDNAと上記の 0.6KbpのDNA
断片とを混合しT4DNAリガーゼを作用させて、GL
Dプロモーターの下流にヒトLT遺伝子を有する酵母菌
発現用ベクター pTB849を構築した(図5)。 【0024】実施例8.細胞毒性能の評価 1.大腸菌株におけるヒトLTの発現 実施例3,4,5および6で作製したプラスミド pTB
622,694,697および848を用いて参考例4記載の大腸菌
DH1およびC 600株を形質転換させた。得られた形質
転換体をM9−CA培地〔実験書(1)69頁〕4ml中37
℃、4時間培養し、インドールアクリル酸25μg/ml添
加し、さらに4時間培養を継続した。集菌後、0.01%リ
ゾチームおよび10%庶糖を含むトリス・塩酸緩衝液(p
H7.5)0.3mlに懸濁し5℃で1時間反応後氷冷下45秒間
超音波処理した。pTB622,694および 697のDH1形質
転換体の比較を表1に示した。表2にはpTB622および
694のC600形質転換体の各種コロニーの比較を示した。
pTB622/C600−11形質転換体が最大の生物活性を示
した。表3には pTB694および848のDH1形質転換体
の比較を示した。 【0025】 【表1】 【0026】 【表2】 【0027】 【表3】 【0028】2.酵母菌株におけるヒトLTの発現 実施例7で作製したプラスミドpTB849を用いて参考例
5.記載の酵母菌株AH22R-を形質転換させた。得られ
た形質転換体を8%庶糖を含む改変 Burkholder 最少培
地〔Toh-E,A.ら「J.Bacteriol.」,113,727(1973)〕 5
ml中 30℃で数日間培養し、適宜25%アンモニア水でp
Hを6−7に調整した。培養終了後、遠心分離操作によ
り培養上清と菌体はさらに Zymolyaseで溶解後、遠心分
離し菌体抽出液を採取した。培養上清および菌体抽出液
のL929 細胞障害活性を測定したところ表4の結果を得
た。 【0029】 【表4】 【0030】実施例9.ヒトLTの精製 実施例3に記載された方法で調製したプラスミドpTB6
22を用いて参考例4記載の形質転換用大腸菌株DH1、
C600 およびMM294をトランスフォームし発現量の大
きいコロニーを選択した。結果は表5に示す通りであっ
た。 【0031】 【表5】 【0032】最大の生物活性を示したC600−3をM9
−CA培地1.5l中37℃で培養し、約4時間後インドール
アクリル酸25μg/mlを添加し、さらに37℃で4時間培
養した。遠心分離操作で菌体採取後、該菌体を0.03%リ
ゾチーム処理および4回の繰り返し超音波処理で破砕
し、ヒトLTを含む菌体抽出液(A)を得た。この溶液の
比活性は 1.1 ×105U/mgであった。次いで該抽出液を
5mMリン酸緩衝液(pH8.0)で平衡化したDEAE−セ
ファロースCL−6B(ファルマシア社)のカラムに添加
し、同緩衝液で洗浄後0.1MNaClを含む同緩衝液で溶
出し比活性7.8×105U/mgの粗精製液(B)を得た。上
記粗精製液(B)を塩酸を用いてpH 6.0に調整後、0.1
M NaCl含有5mMリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化し
たブルーセファロースCL-6Bカラムに添加し十分洗
浄後、0.5M NaClを含む5mMリン酸緩衝液(pH8.0)
で溶出した。同溶出液(C)の比活性は 7.4 ×106U/m
gであった。さらに溶出液(C)を5mMリン酸緩衝液
(pH7.3)で平衡化したセファクリルS−200 のカラム
でゲルろ過し、比活性 1.6 ×107U/mg の精製液(D)
を得た。その結果を表6に示した。 【0033】 【表6】 【0034】実施例10.抗ヒトLT抗体 実施例9に記載した方法で精製されたヒトLT100μg/
0.8ml生理食塩水に等量のフロイント・コンプリート・
アジュバンドを添加し十分乳濁後、マウス Balb/c
(♀,n=4;25μg/0.4ml/マウス)に腹腔内投与し、
3週間隔で追加免疫を実施した。3回免疫後、マウス眼
窩静脈叢より採血し抗ヒトLT含有血清を得た。実施例
9記載の精製ヒトLTを固相抗原として用いる酵素イム
ノアッセイにおけるマウス血清の抗体価を図6に示し
た。 次に該抗血清のヒトLTに対する中和抗体価を測
定した。詳しくは2倍階段希釈したマウス血清に等量の
ヒトLT抗原液(2ユニット)を添加し37℃で1時間反
応後、L929 細胞を添加して参考例1記載の通常の細胞
毒性能試験を実施した。ヒトLT抗原液として参考例2
記載の活性化リンパ球培養上清および実施例9記載の菌
体抽出液(A)を使用した。結果は図7に示した通りで
あった。ヒトLTに対する中和抗体の産生が4種の抗血
清で確認された。本明細書に記載のC600株,プラスミ
ド pTB622またはpTB 697を保持するC600株(E.c
oli C600/pTB 622,E.coli C600/pTB697),
プラスミド pTB618,pTB848,およびptrp781を保持
するDH1株(E.coli DH1/pTB 618,E.coli
DH1/pTB848,E.coli DH1/ptrp 781)プラス
ミド pTB849を保持するAH22R-株(S.cerevisiae
AH22R-/pTB849)の寄託機関の受託番号は表7に
示すとおりである。 【0035】 【表7】
プチドの遺伝情報を有するポリデオキシリボ核酸(以下
DNAと略す)に関する。本発明は又、該DNAを含む
複製可能な組み換えDNA及び該複製可能な組換DNA
で形質転換された大腸菌、枯草菌又は酵母に関する。該
DNAが有する遺伝情報を発現して得られる新規生理活
性ポリペプチド及びその製造方法に関しても参考のため
に説明する。本明細書においてアミノ酸およびペプチド
は IUPAC-IUB生化学命名委員会(CBN)で採用された略記
法により表示され、例えば下記の略号が使用される。な
お、アミノ酸などに関し光学異性体があり得る場合は、
特に明示しなければL体を示すものとする。 Gln:グルタミン残基 Asp:アスパラギン酸残基 Pro:プロリン残基 Tyr:チロシン残基 Val:バリン残基 Lys:リジン残基 Glu:グルタミン酸残基 Ala:アラニン残基 Asn:アスパラギン残基 Leu:ロイシン残基 Phe:フエニルアラニン残基 Gly:グリシン残基 His:ヒスチジン残基 Ser:セリン残基 Thr:スレオニン残基 Ile:イソロイシン残基 Trp:トリプトフアン残基 Arg:アルギニン残基 Met:メチオニン残基 又、本明細書中においてDNAのポリマー又はオリゴマ
ーは下記の如き略号の配列により表記する。 A:2’−デオキシアデニル酸残基 C:2’−デオキシシチジル酸残基 G:2’−デオキシグアニル酸残基 T:チミジル酸残基 特にことわらない限り、配列の左から右への方向は5’
から3’への方向を示すものとする。 【0002】 【従来の技術】リンホトキシン(以下LTと略す)はリ
ンパ球由来の抗腫瘍活性を有する蛋白で、マクロフアー
ジ由来の癌壊死因子(以下TNFと略す)と共にその臨
床応用に期待が寄せられている。これらのLTやTNF
はそれぞれリンパ球やマクロフアージにエンドトキシン
やホルボールエステルを添加し活性化することにより得
られていたが、近年遺伝子操作技術の進歩に伴いその構
造が明らかになり、これらの蛋白をコードする遺伝子を
用いることにより微生物又は細胞培養で該蛋白を製造す
ることが可能となった。Grayら〔ネイチャー(Nature),
312巻(1984年)721頁〕及びPennicaら〔ネイチャー(Natu
re),312巻(1984年)724頁〕はそれぞれこの遺伝子操作技
術を駆使してそのクローニングに成功した。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】一方これらの技術の進
歩に伴い、形質転換体よりの該蛋白の抽出が大きな問題
となっている。上記のLTに関してもその抗腫瘍性を損
うことなく菌体より効率良く該LTを抽出する方法につ
いて満足すべき結果を得ていないのが現状である。すな
わち形質転換体内に産生されたLTを抽出するためには
菌体の破砕が必要であるが、この際蛋白変性剤として7
Mグアニジン塩酸塩や8M尿素もしくは2%ドデシル硫
酸ナトリウム(SDS)を用いるとLTの活性に重大な影響
を与え非可逆的な失活をもたらす。そのため緩和な菌体
破砕条件としてリゾチーム分解と超音波処理が考えられ
るが、この条件では回収率が低い。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる技
術的背景のもとに遺伝子操作技術を用いて、抗腫瘍活性
の高い蛋白を好収率で抽出することを目的として種々の
LT遺伝子を構築し、該組み換えDNAを含有する形質
転換体で遺伝情報を発現させ産生されたLTの細胞毒性
を測定した結果、N末端にProもしくはPheを有
し、かつ10から21個のN末端アミノ酸、ペプチドを
欠損するLTムテインが171個の全アミノ酸配列を有
するLTよりも生物活性を損わない緩和な条件で好収率
で抽出、精製されるという新知見を得、これに基づいて
更に研究した結果、本発明を完成したものである。すな
わち、本発明は次の如きアミノ酸配列を有する蛋白質を
コードする塩基配列を含むポリデオキシリボ核酸を包含
する。 H-(Met)n-R1-R2-Ala-His-Ser-Thr-Leu-Lys-Pro-Ala- Ala-His-Leu-Ile-Gly-Asp-Pro-Ser-Lys- Gln-Asn-Ser-Leu-Leu-Trp-Arg-Ala-Asn- Thr-Asp-Arg-Ala-Phe-Leu-Gln-Asp-Gly- Phe-Ser-Leu-Ser-Asn-Asn-Ser-Leu-Leu- Val-Pro-Thr-Ser-Gly-Ile-Tyr-Phe-Val- Tyr-Ser-Gln-Val-Val-Phe-Ser-Gly-Lys- Ala-Tyr-Ser-Pro-Lys-Ala-Thr-Ser-Ser- Pro-Leu-Tyr-Leu-Ala-His-Glu-Val-Gln- Leu-Phe-Ser-Ser-Gln-Tyr-Pro-Phe-His- Val-Pro-Leu-Leu-Ser-Ser-Gln-Lys-Met- Val-Tyr-Pro-Gly-Leu-Gln-Glu-Pro-Trp- Leu-His-Ser-Met-Tyr-His-Gly-Ala-Ala- Phe-Gln-Leu-Thr-Gln-Gly-Asp-Gln-Leu- Ser-Thr-His-Thr-Asp-Gly-Ile-Pro-His- Leu-Val-Leu-Ser-Pro-Ser-Thr-Val-Phe- Phe-Gly-Ala-Phe-Ala-Leu-OH ???、R1はPro又はPhe、R2はAla-Gln-Thr-Ala-Arg
-Gln-His-Pro-Lys-Met-His-Leu のC末端から数えて1
個または2個以上のアミノ酸を示し、nは0又は1を示
す。〕本発明は形質転換された微生物中で上記のアミノ
酸配列を含むポリペプチドを発現しうる複製可能な組み
換えDNAに係る。このような組み換えDNAとして
は、例えば pTB622、pTB697、pTB848および pT
B849などが挙げられる。更に本発明は上記LTのアミ
ノ酸配列を示すポリペプチドを発現しうる複製可能な組
み換えDNAで形質転換された微生物に係り、このよう
な微生物は、大腸菌、枯草菌、酵母である。更に本発明
では、N末端欠損LT遺伝子をコードする遺伝子を、微
生物中で発現させることからなるLTの製造方法につい
ても参考のため説明する。詳しくは、複製可能な組み換
えDNAで形質転換された微生物を増殖させ、該ペプチ
ドを効率良く回収することからなる該ポリペプチドの製
造方法について説明する。 【0005】本発明のN末端欠損LTをコードするDN
Aは、例えば下記の方法により調製できる。 1. 12−O−テトラデカノイルホルボール− 13−アセ
テート(TPA)およびコンカナバリンA(ConA)で
LT合成を誘導させたヒト末梢リンパ球より公知の方法
でm−RNAを採取することができ、さらにそれから約
5×105個のcDNAライブラリーを作製することができ
る。 2. LTの部分ペプチド鎖をコードする通常10-merか
ら50-merのオリゴヌクレオチドを合成しプローブとして
使用し、LT cDNAのスクリーニングを実施する。例
えばC末端側18-mer(TCCAAAGAAGACAGT
ACT)の合成ヌクレオチドを使用した時、約50個のク
ローンを得ることができる。 3. 得られたLT cDNAクローンからプラスミドを
単離し塩基配列を決定する。既報のLTのアミノ酸配列
をコードするプラスミドを選択し、これを適当な制限酵
素で切断し、適宜発現ベクターに導入して、そのDNA
を含む組み換えDNAを作製することができる。 4. 3.で調製されたベクターを使用して各種宿主、
例えば大腸菌を形質転換し、LTをコードするDNAを
保持する菌株を得ることができる。 5. 4.で形質転換体を培養しプラスミドを単離した
のち、以下のようにしてN末端欠損LTをコードするD
NAを調製できる。 ヒトLT遺伝子の場合には、N末端側より20−21番
目のメチオニン−ヒスチジンをコードする領域に制限酵
素NsiI認識部位が存在する。そこでLT遺伝子を Ns
iI で切断することにより、N末端欠損LTをコードす
るDNA断片を得ることができる。この断片に 【0006】 【化1】 【0007】の配列を含む適当なアダプターを結合させ
ることによりLT(20−171)をコードするDNAを作製
し、適当なベクターに挿入する。 NsiI切断後のN末端欠損LTをコードするDNA
断片に化学合成したDNAを結合させる。その際、LT
のN末端10番目のアラニンから20番目のメチオニンまで
のペプチド鎖をコードするDNAか、あるいは該ペプチ
ド鎖内の一部のアミノ酸またはペプチドを欠損もしくは
他のものに置換したペプチドをコードするDNAを使用
することができ、読み枠を正しく保つように合成すれば
よい。 同様にヒトLT遺伝子の場合、N末端側より9−10
番目のセリン−アラニンをコードする領域に制限酵素P
vuII認識部位が存在する。そこでLT遺伝子をPvuIIで
切断し、N末端欠損LTをコードするDNA断片を得る
ことができる。この断片に 【0008】 【化2】 【0009】の配列を含む適当なアダプターを結合させ
ることによりLT(10−171)をコードするDNAを作製
し、適当なベクターに挿入する。 PvuII切断後のN末端欠損LTをコードするDNA
断片をさらにエキソヌクレアーゼ、例えばヌクレアーゼ
BAL31で1−10個のアミノ酸をコードする領域を除去
し、その中で遺伝子の読み枠が正しく保たれているもの
を選び出すことによりLT(x−171),x=10〜20をコ
ードするDNAを調製することができる。 また特定部位指向性変異(site-directed mutagene
sis)〔Smith,M.and Gillam,S,「ジェネティック エンジ
ニアリング(Genetic Engineering)」,3,1(1981)〕の
手法を応用することもできる。すなわちPvuII切断後の
N末端欠損LTをコードするDNA断片をベクターM13
に挿入し、これを大腸菌JM103(Pharmacia P-L Bioche
micals)に感染させる。成育後、ブロス中に放出された
M13ファージをポリエチレングリコールで沈殿させ、つ
いでフェノール処理によってM13ファージ1本鎖DNA
を得ることができる。次にLTのN末端側10番目のアラ
ニンから20番目のメチオニンまでのペプチド鎖内の一部
のアミノ酸またはペプチドを欠損もしくは他のものに置
換したペプチドをコードするDNAを化学合成によって
作製しプライマーとして使用できる。このプライマーと
先に調製したM13ファージDNAとを混合し、DNAポ
リメラーゼIラージ・フラグメントの作用によって2本
鎖にしたのち、T4DNAリガーゼの作用によって環状
化することができる。この環状DNAを大腸菌JM103
に導入し、放出されてくるM13ファージDNAをフィル
ターに転移させたのち、32Pで標識した該合成プライマ
ーを用いてプラーク・ハイブリダイゼイション〔Maniat
is,T.ら「モレキュラー クローニング, ア ラボラトリ
ィー・マニュアル(Molecular Cloning,A Laboratory Man
nual)」,Cold Spring Harbor Laboratory,P.312(198
2)〕を行う。強いシグナルが検出されたファージからD
NAを調製し、適当な制限酵素で切り出し、このDNA
断片をプラスミドに組み込むことにより修飾されたN末
端欠損LTをコードするDNAが得られる。ヒトLT遺
伝子の全体または一部を含むプラスミドDNA、コスミ
ドDNA、ファージDNAなどを特定部位指向性変異の
ための鋳型DNAとして用いることができる。M13ファ
ージやφX174ファージは、1本鎖DNAが容易に調製で
きるので、鋳型DNAとしてより望ましい。例えばM13
ファージやφX174ファージにヒトLT遺伝子の全体また
は一部が組み込まれたものを使用する時は、ブロス中に
存在するファージ粒子をポリエチレングリコールで沈殿
させ、フェノール処理で除蛋白を行い、ついでエタノー
ル沈殿を行いファージ粒子内にあった1本鎖DNAを得
ることができる。また鋳型DNAとしてヒトLT遺伝子
の全体または一部が組み込まれた2本鎖のプラスミドD
NAやコスミドDNAを用いる時は、2本鎖DNAを 1
00℃で1分から10分、望ましくは3分から5分熱処理し
た後、氷水で急冷し1本鎖DNAに変性させて使用する
ことができる。特定部位指向性変異のためのプライマー
は、変換しようとするDNA配列を持ち、鋳型DNAと
ハイブリダイズしてDNA合成時のプライマーとして機
能しうるものであれば、どのようなDNA配列のもので
もよい。またプライマーの作製は、どのような方法でも
よいが、化学合成で適当な配列の1本鎖DNAを作るこ
とが望ましい。このようなプライマーと先に調製した1
本鎖DNAとを混合し、DNAポリメラーゼIラージ・
フラグメントの作用によって2本鎖DNAに修復した
後、T4 DNAリガーゼの作用によって環状化すること
ができる。この環状DNAを大腸菌に導入した後、ラジ
オアイソトープで標識したプライマーをプローブに用い
て、プラーク・ハイブリダイゼイション〔Maniatis,T.
ら「モレキュラー クローニング, ア ラボラトリィー・
マニュアル(Molecular Cloning,A Laboratory Mannua
l)」, Cold Spring Harbor Laboratory,P.312(1982)〕
や、コロニー・ハイブリダイゼイション〔同 P.326〕を
行い、目的とする変異体を選び出すことができる。この
ようにして得られたプラークやコロニーからファージD
NAやプラスミドDNAを調製し、該DNAを用いてN
末端欠損LT遺伝子を調製することができる。 【0010】このようにして得られるN末端欠損LTを
コードするDNAを各種宿主(例、大腸菌,枯草菌,酵
母)で機能するプロモーター領域の3′末端に挿入する
ことにより、N末端欠損LTをコードするDNAを発現
させうる組み換えDNAを構築することができる。プロ
モーター領域は、RNAポリメラーゼが結合することに
よってmRNA合成を開始させるのに必要な部位を含む
領域であれば、いかなるものであってもよい。たとえば
大腸菌を宿主として用いる場合、N末端欠損LTをコー
ドするDNAを大腸菌で機能しうるプロモーター領域の
3′末端に挿入すれば、N末端欠損LTをコードするD
NAを発現しうる組み換えDNAが構築できる。またこ
のように大腸菌を宿主とする場合のベクターとしてpB
R322,pBR325,ptrp781,pUC8,pUC9,pJB8
などが用いられ、これにN末端欠損LTをコードするD
NAをT4DNAリガーゼの作用により挿入する。この
反応液を用いて、大腸菌(例、C600株,MM294株,DH
1株,W3110株,RR1株,PR13株など)を公知の方
法〔Cohen,S.N.ら,「プロシージング オブ ナショナル
アカデミー オブサイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.
A)」 69,2110(1972)〕もしくはそれに準ずる方法によ
って形質転換する。使用するプロモーターは、trpプロ
モーター(trp-p)に限定する必要はなく、たとえばrecA
プロモーター〔特開昭59−65099号〕,lacプロモーター,
λPLプロモーターなどを使用してもよい。上記のよう
にして得られたN末端欠損LTをコードするDNAを含
む新規な組み換えプラスミドDNAを保持する形質転換
体は、たとえばアンピシリン耐性、テトラサイクリン耐
性あるいはこれら両薬剤耐性を表現形として選ぶことが
できる。上記の形質転換体をそれ自体公知の培地で培養
する。培地としては、例えばLブロス,ペナセイ(Penas
say) ブロスおよびグルコース,カザミノ酸を含むM−9
培地〔 Miller,J.,「エクスペリメンツ イン モレキュ
ラー ジェネティクス(Experiments in Molecular Genet
ics)」,431-433(Cold Spring Harbor Laboratory,New Y
ork,1972)〕が挙げられる。ここに、必要によりプロモ
ーターを効率よく働かせるために、たとえば3β-インド
リルアクリル酸のような薬剤を加えることができる。該
形質転換体の培養は通常 15〜43℃,好ましくは28〜40℃
で2〜24時間,好ましくは4〜16時間行い、必要により
通気や攪拌を加えることもできる。 宿主として、たとえ
ば枯草菌または酵母を使用する場合においては枯草菌ま
たは酵母で機能し得るプロモーター領域の3’末端にN
末端欠損LTをコードするDNAを挿入し、自体公知の
方法により、該組み換えDNAで宿主を形質転換させ、
形質転換体を培養することにより、N末端欠損LTを製
造することができる。この場合ベクターとして、すでに
多くのものが知られており、該遺伝子の発現に利用でき
るものであれば、いかなるものであってもよい。具体的
には酵母の場合には、pPHO17,pGLD906,p
GLD906−1やpcDX〔Okayama,H.,& Berg,P.,「モ
レキュラー・アンド・セルラー・バイオロジー(Mol.Ce
ll.Biol.)」3,280(1983)〕および pKSV−10(フ
ァルマシア社製)などが挙げられ、枯草菌の場合には、
pUB110,pTB5,pC195などが挙げられる。プロ
モーターとしては、酵母について例えば、PH05,G
LD,PGK,ADH,PHO81プロモーターなど
が、枯草菌について例えばSP01,SP02,pen
Pなどが挙げられる。上記の宿主のなかでも、大腸菌が
より好ましい。 培養後、公知の方法で菌体を集め、大
腸菌の形質転換体の場合には菌体を適当な緩衝液、例え
ばトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)に懸濁し、超音波処
理、リゾチームおよび/または凍結融解によって菌体を
破壊したのち、遠心分離によりN末端欠損LTを含む上
澄液を得る方法などが適宜用い得る。好ましくは、菌体
を集めて緩衝液に懸濁しリゾチームを加えて0〜10℃で
10分〜3時間インキュベートし、0〜10℃で30秒〜5分
間超音波処理後、遠心分離して上澄を得る方法が用いら
れる。抽出液からのN末端欠損LTの分離、精製はたと
えばゲルろ過、ヒドロキシアパタイトカラムクロマトグ
ラフィー、イオン交換カラムクロマトグラフィー、超遠
心、ヒトLT抗体を用いるアフィニティクロマトグラフ
ィーにより行うことができる。以上により、本発明者が
N末端欠損LTの遺伝子を取得し、この遺伝子を用いる
N末端欠損LTの製造方法が示されたが、本発明は以上
に限定されるものではない。本発明において各アミノ酸
に対応するコドン(遺伝暗号)の使用頻度が異なる等の理
由により、アミノ酸配列を変えることなく塩基配列の一
部又は全部を有機化学的に合成された人工のDNAに置
き換えることも可能である。本発明の生理活性ポリペプ
チドは正常細胞にはその細胞毒性を発揮せず、腫瘍細胞
や形質転換細胞を選択的に殺傷するので制癌剤としてそ
の有用性が期待される。又該ペプチドは既報の171個の
アミノ酸配列を有するLT(1-171)と同等の生物活性を有
し、しかも遺伝子操作技術を駆使して産生され菌体内に
貯溜した該蛋白は、前記LT(1-171)の数10倍以上の好収
率で回収されうる。 【0011】 【実施例】以下に参考例・実施例により本発明を具体的
に説明するが、これらが本発明の範囲を制限するもので
ないことはいうまでもない。本発明の実施にあたり組み
換えDNAの作製、組み換え体の微生物への導入は特に
断わらない限り下記の実験書に従って実施した。 (1)T.Maniatis, E.F.Fritsch, J.Sambrook,「モレキュ
ラー クローニング(Molecular Clo ning)」, Cold S
pring Harbor Laboratory刊(米国) (2)高木康敬 編著、「遺伝子操作実験法」、講談社刊 参考例 1. L929細胞障害活性評価 LTの細胞毒性能はL929細胞を用いて〔ジャーナル・オ
ブ・イムノロジー(J.Immunol.), 126巻(1981年)235頁〕
あるいは〔ジャーナル・オブ・イムノロジカル・メソッズ
(J.Immunol. Methods), 70巻(1984年)257頁〕の方法に
準じて測定した。即ち、96穴の組織培養用マイクロプレ
ート(フローラボラトリー社)を用いて10%のウシ胎児血
清(FCS)を含むRPMI 1640培地で2倍階段希釈した試料50
μlにマイトマイシンC 4μg/mlを含む上記培地に懸濁
した4×105個/mlの濃度のL929細胞50μlを添加し5%炭
酸ガス中37℃,48時間培養した。培養終了後ジメチルチ
アゾイル・ジフェニルテトラゾリウム臭酸塩 (MTT)を用
いて生細胞を染色し10%SDS-0.01N HClで溶解後590nmに
おける吸光度をタイターテック・マルチスキャン(フロー
ラボラトリー社)で測定した。得られた吸光度は生細胞
数に比例する。L929細胞の50%を殺すために必要な生
物活性量を1ユニット/mlと定義し試料の生物活性をユニ
ット/mlで表した。 参考例 2. 天然の(Natural)LTの採取 Hinumaら〔Microbiol, Immunol, 28巻 (1984年) 935
頁〕の方法に従い、TPAとConAとで活性化した正常ヒ
ト末梢リンパ球を、10%Fetal Calf Serum (FCS)含有R
PMI 1640培地中37℃,5% CO2で2〜3日間培養し、その
培養上清からLT含有液を得た。 参考例 3.形質転換用大腸菌株の作製 大腸菌DH1株のコロニーをSOB培地〔実験書(1)69
頁〕を用いて550nmの吸光度が0.5になるまで培養した。
該培養30mlを集め、12mlの0.1M RbCl-10mM CaCl2-50m
M MnCl2-15%グリセロールを含む0.2M酢酸緩衝液(pH5.
8)に懸濁し5分間氷冷後遠心し、次いで10mM RbCl-75m
M CaCl2-15%グリセロールを含む10mM MOPS緩衝液(p
H6.5 )に再懸濁した。15分間氷冷後ドライアイス-エタ
ノールで急冷凍結後−70℃で保存した。 参考例 4.形質転換用大腸菌株の作製 DH1,C600,MM294 の各種大腸菌株のコロニーをS
OB培地10mlを用いて550nm の吸光度が0.3になるまで培
養した。氷冷後遠心分離し得られた菌体を5mlの10mM Na
Clで洗浄した。菌体を5mlの50mM CaCl2に再懸濁し氷冷
下15分間放置した。遠心分離後、0.5mlの50mM CaCl2に
懸濁し直ちに使用した。 参考例 5.形質転換用酵母菌株の作製 Beggs,J.D.らの方法に従った、すなわち、Saccharomyce
s cerevisiae AH22R~のコロニーをYPDA培地(10
g/l酵母エキス, 20g/lポリペプトン, 10g/lグルコー
スおよび0.4g/lアデニンを含有)を用いて一晩静置培
養した。該培養4mlを集め、菌体を4mlの0.1M sodi
um citrate(pH5.8)−0.01M EDTA−1.2M sorbi
tolで洗浄した後、4mlの1mg/ml Zymolyase 100T
(生化学工業)−1.1M sodium citrate(pH5.8)−0.0
1M EDTA−1.2M sorbitolに懸濁し、30℃にて2時
間反応させ細胞壁を溶解させた。次いで菌体を 10mM
CaCl2−1.2M sorbitolで2回洗浄した後、同溶液0.
1mlの同溶液に懸濁し直ちに使用した。 【0012】実施例1. ヒトリンパ球由来mRNAを用いたcDNAライブラリー
の作製 ヒト末梢血より調製したリンパ球をTPA(15ng/ml)と
ConA(40μg/ml)とを含むRPMI 1640培地(10%FCSを
含む )中、37℃で培養し、LTを誘導させた。24時間
後、この誘導した1×1010個のヒトリンパ球を5Mグラ
ニジンチオシアネート、5%メルカプトエタノール、50
mM Tris・HClpH 7.6, 10mM EDTA溶液中でテフロンホ
モゲナイザーによって破壊変性した後N-ラウロイリル
ザルコシン酸ナトリウムを4%になるように加え、均質
化した混合物を5.7M塩化セシウム溶液(5.7M塩化セシ
ウム、0.1M EDTA)6ml上に重層し、ベックマン S
W28のローターを用いて15℃で24,000rpm 48時間遠心処
理を行い、RNA沈殿を得た。このRNA沈殿を0.25%
N-ラウロイルザルコシン酸ナトリウム溶液にとかした
後、エタノールで沈殿させ、10mgのRNAを得た。この
RNAを高塩溶液(0.5M NaCl, 10mM Tris・HCl pH 7.6,
1mM EDTA,0.3% SDS)中でオリゴ(dT)セルロースカラム
に吸着させ、ポリ(A)を含む mRNAを低塩溶液(10mM
Tris-HCl・pH 7.6,1mM EDTA0.3% SDS )で溶出させる
ことにより、ポリ(A)を含むmRNA 300μgを分取し
た。この mRNAをさらにエタノールで沈殿させ、0.2m
lの溶液(10mM Tris・HClpH 7.6, 2mM EDTA,0.3% SDS
)に溶かし、65℃で2分間処理して10−35%ショ糖密度
勾配遠心処理(ベックマンSW28のローターを用いて20
℃,25,000rpmで21時間遠心分離)することにより分画し
た。この各分画につき RNAの一部づつを、アフリカツメ
ガエルの卵母細胞に注入し、合成される蛋白質中のLT
活性を測定し、沈降定数16S近辺に相当する分画にLT
の活性を検出した。この分画のLT mRNAは約25μg
であった。このポリ(A)RNAを鋳型として cDNAラ
イブラリーを OkayamaとBerg の方法〔モレキュラー ア
ンド セルラー・バイオロジー(Mol.Cell.Biol.),2巻(19
82年)161頁;同誌,3巻(1983年)280頁〕に従って pcD
V1ベクター、pL1リンカーを用いて作製した。環状
化した cDNAを含むベクタープラスミドは大腸菌DH
1に感染させ、5μgのポリ(A)RNAより出発して約
5×105個のクローンよりなる大腸菌DH1を宿主とし
た cDNAライブラリーを得ることができた。 【0013】実施例2. ヒトLTcDNAを含むプラスミドの単離とその塩基配
列の決定 上記大腸菌DH1を用いたヒト cDNAライブラリーを
ニトロセルロースフィルター(ミリポア社、HATFフィル
ター )上に約3×104クローン/フィルターとなるよ
うに10枚まき、このフィルターをマスターフィルター
としている各2枚ずつを1組としたレプリカフィルター
計20枚を作製した。このレプリカフィルター上の大腸
菌を 0.5N NaOH溶液でとかし露出変性したプラスミ
ドDNAをフィルター上に乾燥固定した〔Grunstein,M,
& Hogness,D,S.,「プロシージング・オブ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンス」(Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA),72巻(1975年)3961頁〕。一方、既に報告されて
いるLT遺伝子の塩基配列〔 Gray,ら,「ネイチャー(Na
ture)」,312巻(1984年)721頁〕の一部(アミノ酸NO.162
−167に対応する遺伝子部分)に相当するオリゴヌクレオ
チド 【0014】 【化3】 【0015】を合成してヒトLTcDNAのスクリーニ
ングプローブとした。これらオリゴヌクレオチドプロー
ブの5′末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼ,〔γ−
32P〕ATPを用いて32Pで標識した。標識したプロー
ブをDNAを固定したレプリカフィルターに別々に会合
させた。会合反応は10μCiの標識プローブを含む5
×SSC(0.15M NaCl,0.015MSodium citrate),5×De
nhardt's,0.1%SDS,100μg/ml変性サケ精子DNA
溶液10ml中で40℃16時間行い、反応後、フィルタ
ーを6×SSC,0.1%SDS溶液で室温で30分ず
つ3回、さらに43℃で60分ずつ2回洗浄した。〔実
験書(1)309頁〕。洗浄したフィルターよりラジオオ
ートグラムをとり、プローブに対して反応する菌株を1
組2枚のレプリカフィルターのラジオオートグラムを重
ね合わせることにより探した。この方法により約3×1
05coloniesより、プローブに対して反応する50株の
E.coli DH1株を得た。これらの菌株よりプラ
スミドDNAをアルカリ法〔Birnboim,H.C. & Doly,J.,
「ヌクレイック アシッズ リサーチ(Nucleic Acids Re
s.),11巻(1979年)1513頁〕によって抽出精製した。DN
Aを制限酵素BamHI(宝酒造製)で切断し、アガロ
ースゲル電気泳動で分画した後、DNA断片をアガロー
スゲル中よりニトロセルロースフィルター(エス アンド
エス社,BA85)上に移した〔サザンブロッティン
グ法、実験書(1)382頁〕。このフィルターを前記の
オリゴヌクレオチドプローブと会合させると、プラスミ
ドDNA断片はプローブと反応した。そこで、これらの
うち最大のBamHIDNA断片( cDNA部分)を生じ
たプラスミドを有する1株 E.coli K12 DH1/p
TB618 を選び出した。このプラスミドDNAの cDN
A部分の塩基配列をジデオキシヌクレオチド合成鎖停止
法〔 J.Messingら,「ヌクレイック アシッズ リサーチ
(Nucleic Acids Res.),9巻(1981年) 309頁〕によって
決定した。その結果、プラスミドpTB618 に含まれる
LT遺伝子は完全ではなく3′末端側非翻訳部分より上
流側No.18のアミノ酸であるProのコドンCCCの第3
番目のCまでを含むことが判明した。 【0016】実施例3. ヒトLT(21-171)発現ベクターpTB622の構築 上記で作製したプラスミドpTB618を制限酵素NsiI
(宝酒造製)とBamHIで切断し、LT遺伝子を含む
1.1キロ塩基対(以下、Kbp と略す)のDNA断片を
分離した。このDNAに T4 DNAポリメラーゼ(P
L社製)を反応させ、末端を平滑化させた後、フレーム
が合うように、16-merのATGつきEcoRIリンカー
(AACATGAATTCATGTT)をT4DNAリ
ガーゼによって結合させた。T4DNAリガーゼを65℃
10分間の熱処理によって失活させたのちさらに制限酵素
EcoRIで切断し、アガロース電気泳動でリンカーの結
合したLT遺伝子を含む0.6Kbp のDNA断片を分離し
た。一方、Kurokawa, T.ら.,「ヌクレイック アシッ
ズリサーチ(Nucl.Acids Res)」11巻(1983年)3077頁に記
載のプラスミドptrp781を制限酵素EcoRIで切断し、5'末
端のリン酸をアルカリ性ホスファターゼ処理によって除
去した。このDNAと、ATGつきEcoRIリンカーの結合し
た、0.6Kbp のLTDNA断片を混合し、T4 DNA
リガーゼを作用させて、トリプトファンプロモーターの
下流にLT遺伝子の挿入された、大腸菌のヒトLT発現
ベクターpTB622を構築した(図1)。 【0017】実施例4.ヒトLT(1-171)発現ベクタ
ーpTB694の構築 工程1(pTB693プラスミドDNAの調製) 図2に示すように、2μgのプラスミドpTB618を0.6ユ
ニットのBal I(宝酒造製)を用いて37℃で6時間分解し
た。一方CAGATCTGの8- merで示されるBgl II
リンカー2μgを0.5mM ATPと 2.5ユニットのT4ポ
リヌクレオチドキナーゼとでリン酸化後、そのリン酸化
リンカー0.2μgを1.6μgの上記Bal I消化pTB618に添
加し35ユニットのT4 DNAリガーゼ存在下で14℃、
一夜反応した。65℃で5分間不活化後 30ユニットBgl
IIを用いてトリミングし、1.2 %のアガロースゲル電気
泳動に供した。4.3Kbp に相当する主バンドを切り取
り、トリス・塩酸緩衝液で抽出後 RDPミニカラム(バイオ
ラッド社)で精製した。上記直鎖状DNA100ngに10ユニ
ットのT4DNAリガーゼを添加しpTB693プラスミド
含有DNAを得、次いで常法に従い大腸菌DH1株へ形
質転換した。詳しくは、参考例3で作製、−70℃で凍結
保存した形質転換用DH1菌体を氷冷下除々に融解し、
その懸濁液 100μlにpTB693 含有DNA 30ngを添加
した。氷冷下30分間反応後、42℃で90秒間ヒートシヨッ
クを与え、1−2分間氷冷した。0.2mlの20mMグルコー
スを含むSOB培地を添加し37℃で1時間培養後、該懸
濁液を 35μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天プレー
ト上にまき37℃で一夜培養した。その結果プラスミドp
TB693からアンピシリン耐性形質転換のコロニーを得
ることができた。プラスミドpTB693を含有する上記大
腸菌DH1株を、35μg/ml のアンピシリンを含むLB
培地〔実験書(1)68頁〕250ml中で培養後、実験書(1)88
頁の方法に従ってプラスミドを単離し約300μgのpTB6
93が得られた。 工程2(ヒトLT−cDNAの作成) pTB693プラスミド50μgを100ユニットのNsiIと120
ユニットのBgl II(宝酒造製)とで37℃、1時間分解
し、2%アガロースゲル電気泳動に供した。LT−cD
NAを含むNsiI−Bgl II断片に相当する0.56Kbpの
バンドを切り取り、工程1で述べたRDPミニカラムを用
いて精製した。一方、LTのN末端ペプチド(1−20)
をコードする下記の6本のオリゴヌクレオチド鎖をAppl
ied Biosystems社(米国)の Model 380A-DMA synthesi
zer で化学合成し〔「テトラヘドロン レターズ( Tetra
hedron Lett.)」,21巻( 1980年)3243頁〕、それら各
1μg の混合物にT4ポリヌクレオチドキナーゼ12.5ユ
ニットと1mM ATPとを加えて37℃、1時間でリン酸
化した。 【0018】 【化4】 【0019】70℃、5分間不活化後さらに350ユニット
のT4DNAリガーゼで14℃、一夜反応させ、次いで65
℃で5分間不活化後反応終了液(約3.5μgのDNAを含
む)にEcoRI(宝酒造製)45ユニット及びNsiI35ユニ
ットを添加し37℃で2時間分解し、10%のポリアクリル
アミドゲル電気泳動に供した。 約70bp に相当するバ
ンドを切り取り、RDPミニカラムで精製した。上記約
70bp のEcoRI−NsiI断片 30ng に0.56KbpのNsi
I−Bgl II断片110ngを添加し35ユニットのT4DNA
リガーゼ存在下で14℃、2時間反応させた。反応終了液
に6ユニットの Bgl IIと9ユニットの EcoRIとで
37℃、1時間分解トリミングし 0.63KbpのヒトLT
(1−171)の全アミノ酸配列をコードする cDNAを作
製することができた。 工程3(pTB692プラスミドDNAの調製) 2μgのプラスミドptrp781を32ユニットのPstI(宝酒
造製)で37℃、1時間分解した。反応終了後、TNE緩
衝液〔 実験書(1)448頁〕と最終濃度 0.2%のSDS
を添加してフェノール−クロロホルムで抽出、精製し
た。上記PstI消化 ptrp781 1μgに0.1mMXTPと4ユ
ニットのT4DNAポリメラーゼとを加え、37℃、5分
間反応後、TNE緩衝液およびSDSを添加しフェノー
ル−クロロホルムで抽出、精製した。次に工程1に記載
のリン酸化Bgl IIリンカー0.2μgと35ユニットのT4
DNAリガーゼとを上記の ptrp781 DNA 0.8μgに加
え14℃で一夜反応した。65℃で5分間不活化後、30ユニ
ットの Bgl IIでトリミングしフェノール−クロロホル
ムで抽出し、さらにセファロース4Bカラムで精製し
た。その後、10ユニットのT4DNAリガーゼを添加し
pTB692含有DNAを得、次いで工程1記載の常法に従
い大腸菌DH1株へ形質転換した。但し35μg/mlのアン
ピシリンの代りに10μg/mlのテトラサイクリンを含むL
B寒天プレートを使用し、テトラサイクリン耐性形質転
換菌のコロニーが得られた。該コロニーを10μg/mlの
テトラサイクリンを含むLB培地で培養し、工程1の方
法に従いpTB692プラスミドが得られた。 工程4(pTB694プラスミドDNAの調製) 工程3記載 pTB692プラスミドDNA10μgにEcoRI
54ユニットおよびBglII30ユニットを加え5℃で一夜反
応後、1%アガロースゲル電気泳動で精製し3.3Kbpの
DNAバンドを切り出した。この3.3KbpのDNA36ng
に工程2記載の0.63KbpのDNA 15ngを加え10ユニッ
トT4DNAリガーゼでpTB694含有DNAを得、工程
3記載の方法に従いテトラサイクリン耐性の形質転換体
を作製し、ヒトLT(1−171)発現用プラスミドpTB
694を得ることができた。 【0020】実施例5.ヒトLT(11−171)発現ベク
ターpTB697の構築 図3に示すように、10μgのプラスミドpTB694に30ユ
ニットのPvuII(宝酒造製)を加えて37℃で2時間反応
後、フェノール−クロロホルムで抽出・精製した。一
方、GCATGAATTCATGCの14-merで示される
EcoRIリンカー2μgを 0.5mM ATPと2.5 ユニット
のT4ポリヌクレオチドキナーゼとでリン酸化後、その
0.5μgを上記のPvuII消化 pTB6942μgに添加し35ユ
ニットのT4DNAリガーゼ存在下で14℃一夜反応し
た。65℃で5分間不活化後、45ユニットEcoRIを加え
てトリミングし、0.8 %のアガロースゲル電気泳動に供
した。3.9Kbp に相当する主バンドを切り取り、実施例
4工程1に述べたように RDPミニカラムを用いて精製
し、その直鎖状DNA100 ngに10ユニットのT4DNA
リガーゼを添加しpTB697プラスミド含有DNAを得、
次いで実施例4工程3記載の常法に従い大腸菌DH1株
へ形質転換し、その形質転換体からpTB697プラスミド
を得ることができた。 【0021】実施例6.ヒトLT(21−171)発現ベク
ターpTB848の構築(図4) 実施例4で作製したプラスミドpTB694を制限酵素Ns
iIで切断し、T4DNAポリメラーゼを反応させ末端
を平滑化後、フレームが合うように16-merのATGつき
EcoRIリンカー(GGCATGAATTCATGC
C)をT4DNAリガーゼによって結合させた。T4D
NAリガーゼを熱処理により失活させたのち、さらに2
種の制限酵素 EcoRIとBgl IIとで切断し、アガロー
ス電気泳動で0.56 kbpのDNA断片を分離した。一方、
同じプラスミドpTB 694を EcoRIとBgl IIとで切
断し、次いで上記の 0.56 kbpのDNA断片を添加し、
T4DNAリガーゼを作用させて、トリプトファンプロ
モーターの下流にLT遺伝子の挿入された、大腸菌のヒ
トLT発現ベクターpTB848を構築した(図4)。 実施例7.ヒトLT(21−171)酵母菌発現ベクターpT
B849の構築(図5) プラスミドpTB 694を制限酵素NsiIとBgl IIとで
切断し、LT遺伝子を含む 0.56Kbp DNA断片を分離
した。このDNAにT4DNAポリメラーゼを反応さ
せ、末端を平滑化後フレームが合うように20-merの合成
オリゴマー 【0022】 【化5】 【0023】をT4DNAリガーゼによって結合させ
た。T4DNAリガーゼを熱処理により失活化後、制限
酵素XhoIで切断しアガロース電気泳動でXhoIリ
ンカーの結合したLT遺伝子を含む 0.6KbpのDNA断
片を分離した。一方、〔Itoh,Y.ら,「バイオケミカル
アンド バイオフィジカル リサーチ コミュニケーショ
ン(Biochem. Bio phys. Res.Comm.)」,138, 268(198
6)〕 に記載のプラスミドpGLD906−1を制限酵素X
hoIで切断し、このDNAと上記の 0.6KbpのDNA
断片とを混合しT4DNAリガーゼを作用させて、GL
Dプロモーターの下流にヒトLT遺伝子を有する酵母菌
発現用ベクター pTB849を構築した(図5)。 【0024】実施例8.細胞毒性能の評価 1.大腸菌株におけるヒトLTの発現 実施例3,4,5および6で作製したプラスミド pTB
622,694,697および848を用いて参考例4記載の大腸菌
DH1およびC 600株を形質転換させた。得られた形質
転換体をM9−CA培地〔実験書(1)69頁〕4ml中37
℃、4時間培養し、インドールアクリル酸25μg/ml添
加し、さらに4時間培養を継続した。集菌後、0.01%リ
ゾチームおよび10%庶糖を含むトリス・塩酸緩衝液(p
H7.5)0.3mlに懸濁し5℃で1時間反応後氷冷下45秒間
超音波処理した。pTB622,694および 697のDH1形質
転換体の比較を表1に示した。表2にはpTB622および
694のC600形質転換体の各種コロニーの比較を示した。
pTB622/C600−11形質転換体が最大の生物活性を示
した。表3には pTB694および848のDH1形質転換体
の比較を示した。 【0025】 【表1】 【0026】 【表2】 【0027】 【表3】 【0028】2.酵母菌株におけるヒトLTの発現 実施例7で作製したプラスミドpTB849を用いて参考例
5.記載の酵母菌株AH22R-を形質転換させた。得られ
た形質転換体を8%庶糖を含む改変 Burkholder 最少培
地〔Toh-E,A.ら「J.Bacteriol.」,113,727(1973)〕 5
ml中 30℃で数日間培養し、適宜25%アンモニア水でp
Hを6−7に調整した。培養終了後、遠心分離操作によ
り培養上清と菌体はさらに Zymolyaseで溶解後、遠心分
離し菌体抽出液を採取した。培養上清および菌体抽出液
のL929 細胞障害活性を測定したところ表4の結果を得
た。 【0029】 【表4】 【0030】実施例9.ヒトLTの精製 実施例3に記載された方法で調製したプラスミドpTB6
22を用いて参考例4記載の形質転換用大腸菌株DH1、
C600 およびMM294をトランスフォームし発現量の大
きいコロニーを選択した。結果は表5に示す通りであっ
た。 【0031】 【表5】 【0032】最大の生物活性を示したC600−3をM9
−CA培地1.5l中37℃で培養し、約4時間後インドール
アクリル酸25μg/mlを添加し、さらに37℃で4時間培
養した。遠心分離操作で菌体採取後、該菌体を0.03%リ
ゾチーム処理および4回の繰り返し超音波処理で破砕
し、ヒトLTを含む菌体抽出液(A)を得た。この溶液の
比活性は 1.1 ×105U/mgであった。次いで該抽出液を
5mMリン酸緩衝液(pH8.0)で平衡化したDEAE−セ
ファロースCL−6B(ファルマシア社)のカラムに添加
し、同緩衝液で洗浄後0.1MNaClを含む同緩衝液で溶
出し比活性7.8×105U/mgの粗精製液(B)を得た。上
記粗精製液(B)を塩酸を用いてpH 6.0に調整後、0.1
M NaCl含有5mMリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化し
たブルーセファロースCL-6Bカラムに添加し十分洗
浄後、0.5M NaClを含む5mMリン酸緩衝液(pH8.0)
で溶出した。同溶出液(C)の比活性は 7.4 ×106U/m
gであった。さらに溶出液(C)を5mMリン酸緩衝液
(pH7.3)で平衡化したセファクリルS−200 のカラム
でゲルろ過し、比活性 1.6 ×107U/mg の精製液(D)
を得た。その結果を表6に示した。 【0033】 【表6】 【0034】実施例10.抗ヒトLT抗体 実施例9に記載した方法で精製されたヒトLT100μg/
0.8ml生理食塩水に等量のフロイント・コンプリート・
アジュバンドを添加し十分乳濁後、マウス Balb/c
(♀,n=4;25μg/0.4ml/マウス)に腹腔内投与し、
3週間隔で追加免疫を実施した。3回免疫後、マウス眼
窩静脈叢より採血し抗ヒトLT含有血清を得た。実施例
9記載の精製ヒトLTを固相抗原として用いる酵素イム
ノアッセイにおけるマウス血清の抗体価を図6に示し
た。 次に該抗血清のヒトLTに対する中和抗体価を測
定した。詳しくは2倍階段希釈したマウス血清に等量の
ヒトLT抗原液(2ユニット)を添加し37℃で1時間反
応後、L929 細胞を添加して参考例1記載の通常の細胞
毒性能試験を実施した。ヒトLT抗原液として参考例2
記載の活性化リンパ球培養上清および実施例9記載の菌
体抽出液(A)を使用した。結果は図7に示した通りで
あった。ヒトLTに対する中和抗体の産生が4種の抗血
清で確認された。本明細書に記載のC600株,プラスミ
ド pTB622またはpTB 697を保持するC600株(E.c
oli C600/pTB 622,E.coli C600/pTB697),
プラスミド pTB618,pTB848,およびptrp781を保持
するDH1株(E.coli DH1/pTB 618,E.coli
DH1/pTB848,E.coli DH1/ptrp 781)プラス
ミド pTB849を保持するAH22R-株(S.cerevisiae
AH22R-/pTB849)の寄託機関の受託番号は表7に
示すとおりである。 【0035】 【表7】
【図面の簡単な説明】
【図1】組み換えプラスミドpTB622の組み立てを示す
模式図である。 【図2】組み換えプラスミドpTB694の組み立てを示す
模式図である。 【図3】組み換えプラスミドpTB697の組み立てを示す
模式図である。 【図4】組み換えプラスミドpTB848の組み立てを示す
模式図である。 【図5】組み換えプラスミドpTB849の組み立てを示す
模式図である。 【図6】抗LT血清のELISA 抗体価を測定した結果を示
すグラフである。 【図7】抗LT血清の中和抗体価を測定し、(A)、(B)
はそれぞれ活性化リンパ球培養上清およびLT発現大腸
菌体抽出液を抗原とした時の結果を示すグラフである。 【符号の説明】 ●,○,□,△ はLT免疫マウス血清、■ は非免疫マ
ウス血清を表わす。 B :Bal I Ba:Bam HI Bg:Bgl II C :Cla I E :Eco RI H :Hind III N :Nsi I PもしくはPs:Pst I Pu:Pvu II S :Sal I X :Xho I
模式図である。 【図2】組み換えプラスミドpTB694の組み立てを示す
模式図である。 【図3】組み換えプラスミドpTB697の組み立てを示す
模式図である。 【図4】組み換えプラスミドpTB848の組み立てを示す
模式図である。 【図5】組み換えプラスミドpTB849の組み立てを示す
模式図である。 【図6】抗LT血清のELISA 抗体価を測定した結果を示
すグラフである。 【図7】抗LT血清の中和抗体価を測定し、(A)、(B)
はそれぞれ活性化リンパ球培養上清およびLT発現大腸
菌体抽出液を抗原とした時の結果を示すグラフである。 【符号の説明】 ●,○,□,△ はLT免疫マウス血清、■ は非免疫マ
ウス血清を表わす。 B :Bal I Ba:Bam HI Bg:Bgl II C :Cla I E :Eco RI H :Hind III N :Nsi I PもしくはPs:Pst I Pu:Pvu II S :Sal I X :Xho I
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C12R 1:19)
(C12P 21/02
C12R 1:19)
(C12P 21/02
C12R 1:865)
(56)参考文献 特開 昭61−56197(JP,A)
特開 昭62−181298(JP,A)
J.BIOCHEM.,100(3)
(1986).P.727−733
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.下記のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むこ
とを特徴とするポリデオキシリボ核酸。 H-(Met)n-R1-R2-Ala-His-Ser-Thr-Leu-Lys-Pro-Ala- Ala-His-Leu-Ile-Gly-Asp-Pro-Ser-Lys- Gln-Asn-Ser-Leu-Leu-Trp-Arg-Ala-Asn- Thr-Asp-Arg-Ala-Phe-Leu-Gln-Asp-Gly- Phe-Ser-Leu-Ser-Asn-Asn-Ser-Leu-Leu- Val-Pro-Thr-Ser-Gly-Ile-Tyr-Phe-Val- Tyr-Ser-Gln-Val-Val-Phe-Ser-Gly-Lys- Ala-Tyr-Ser-Pro-Lys-Ala-Thr-Ser-Ser- Pro-Leu-Tyr-Leu-Ala-His-Glu-Val-Gln- Leu-Phe-Ser-Ser-Gln-Tyr-Pro-Phe-His- Val-Pro-Leu-Leu-Ser-Ser-Gln-Lys-Met- Val-Tyr-Pro-Gly-Leu-Gln-Glu-Pro-Trp- Leu-His-Ser-Met-Tyr-His-Gly-Ala-Ala- Phe-Gln-Leu-Thr-Gln-Gly-Asp-Gln-Leu- Ser-Thr-His-Thr-Asp-Gly-Ile-Pro-His- Leu-Val-Leu-Ser-Pro-Ser-Thr-Val-Phe- Phe-Gly-Ala-Phe-Ala-Leu-OH 〔式中、R1はPro又はPhe、R2はAla-Gln-Thr-Al
a-Arg-Gln-His-Pro-Lys-Met-His-Leu のC末端から数え
て1個または2個以上のアミノ酸を示し、nは0又は1
を示す。〕 2.下記のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むこ
とを特徴とするポリデオキシリボ核酸および複製可能な
ベクターを含む複製可能な組み換えDNA。 H-(Met)n-R1-R2-Ala-His-Ser-Thr-Leu-Lys-Pro-Ala- Ala-His-Leu-Ile-Gly-Asp-Pro-Ser-Lys- Gln-Asn-Ser-Leu-Leu-Trp-Arg-Ala-Asn- Thr-Asp-Arg-Ala-Phe-Leu-Gln-Asp-Gly- Phe-Ser-Leu-Ser-Asn-Asn-Ser-Leu-Leu- Val-Pro-Thr-Ser-Gly-Ile-Tyr-Phe-Val- Tyr-Ser-Gln-Val-Val-Phe-Ser-Gly-Lys- Ala-Tyr-Ser-Pro-Lys-Ala-Thr-Ser-Ser- Pro-Leu-Tyr-Leu-Ala-His-Glu-Val-Gln- Leu-Phe-Ser-Ser-Gln-Tyr-Pro-Phe-His- Val-Pro-Leu-Leu-Ser-Ser-Gln-Lys-Met- Val-Tyr-Pro-Gly-Leu-Gln-Glu-Pro-Trp- Leu-His-Ser-Met-Tyr-His-Gly-Ala-Ala- Phe-Gln-Leu-Thr-Gln-Gly-Asp-Gln-Leu- Ser-Thr-His-Thr-Asp-Gly-Ile-Pro-His- Leu-Val-Leu-Ser-Pro-Ser-Thr-Val-Phe- Phe-Gly-Ala-Phe-Ala-Leu-OH 〔式中、R1はPro又はPhe、R2はAla-Gln-Thr-Al
a-Arg-Gln-His-Pro-Lys-Met-His-Leu のC末端から数え
て1個または2個以上のアミノ酸を示し、nは0又は1
を示す。〕 3.プラスミドpTB622、pTB697、pTB8
48またはpTB849である請求項2記載の組み換え
DNA。 4.下記のアミノ酸配列 H-(Met)n-R1-R2-Ala-His-Ser-Thr-Leu-Lys-Pro-Ala- Ala-His-Leu-Ile-Gly-Asp-Pro-Ser-Lys- Gln-Asn-Ser-Leu-Leu-Trp-Arg-Ala-Asn- Thr-Asp-Arg-Ala-Phe-Leu-Gln-Asp-Gly- Phe-Ser-Leu-Ser-Asn-Asn-Ser-Leu-Leu- Val-Pro-Thr-Ser-Gly-Ile-Tyr-Phe-Val- Tyr-Ser-Gln-Val-Val-Phe-Ser-Gly-Lys- Ala-Tyr-Ser-Pro-Lys-Ala-Thr-Ser-Ser- Pro-Leu-Tyr-Leu-Ala-His-Glu-Val-Gln- Leu-Phe-Ser-Ser-Gln-Tyr-Pro-Phe-His- Val-Pro-Leu-Leu-Ser-Ser-Gln-Lys-Met- Val-Tyr-Pro-Gly-Leu-Gln-Glu-Pro-Trp- Leu-His-Ser-Met-Tyr-His-Gly-Ala-Ala- Phe-Gln-Leu-Thr-Gln-Gly-Asp-Gln-Leu- Ser-Thr-His-Thr-Asp-Gly-Ile-Pro-His- Leu-Val-Leu-Ser-Pro-Ser-Thr-Val-Phe- Phe-Gly-Ala-Phe-Ala-Leu-OH 〔式中、R1はPro又はPhe、R2はAla-Gln-Thr-Al
a-Arg-Gln-His-Pro-Lys-Met-His-Leu のC末端から数え
て1個または2個以上のアミノ酸を示し、nは0又は1
を示す。〕をコードする塩基配列を含むことを特徴とす
るポリデオキシリボ核酸および複製可能なベクターを含
む複製可能な組み換えDNAで形質転換された大腸菌、
枯草菌又は酵母。
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---|---|---|---|
JP8323933A JP2776480B2 (ja) | 1986-12-24 | 1996-12-04 | 組み換え型ヒトリンホトキシン |
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JP30638586 | 1986-12-24 | ||
JP61-306385 | 1986-12-24 | ||
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP8323933A Expired - Fee Related JP2776480B2 (ja) | 1986-12-24 | 1996-12-04 | 組み換え型ヒトリンホトキシン |
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-
1996
- 1996-12-04 JP JP8323933A patent/JP2776480B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
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