JP2767681B2 - 食肉用粉末調味料 - Google Patents
食肉用粉末調味料Info
- Publication number
- JP2767681B2 JP2767681B2 JP6036375A JP3637594A JP2767681B2 JP 2767681 B2 JP2767681 B2 JP 2767681B2 JP 6036375 A JP6036375 A JP 6036375A JP 3637594 A JP3637594 A JP 3637594A JP 2767681 B2 JP2767681 B2 JP 2767681B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- meat
- weight
- raffinose
- erythritol
- enzyme
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)
- Seasonings (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食肉を手軽な方法で、
すみやかに、おいしくやわらかくする粉末調味料の配合
組成に関する。
すみやかに、おいしくやわらかくする粉末調味料の配合
組成に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、食肉に関する調理技術として、食
肉に砂糖をもみこむと、その後の加熱調理の際に食肉が
硬くならず、ふっくらとやわらかく仕上がることが知ら
れている。この技術は、焼肉の前処理や食肉の粕漬け等
として昔から利用されてきている。これは、砂糖がタン
パク質と水とを結びつけて食肉の保水性を向上させ、食
肉の硬化や縮みを防ぐ役割をしているためと考えられ
る。しかし、効果を得るためには、ある程度の量の砂糖
を使わなければならず、その結果、食肉に必要以上の甘
みがついてしまうことが長所であり逆に短所でもある。
肉に砂糖をもみこむと、その後の加熱調理の際に食肉が
硬くならず、ふっくらとやわらかく仕上がることが知ら
れている。この技術は、焼肉の前処理や食肉の粕漬け等
として昔から利用されてきている。これは、砂糖がタン
パク質と水とを結びつけて食肉の保水性を向上させ、食
肉の硬化や縮みを防ぐ役割をしているためと考えられ
る。しかし、効果を得るためには、ある程度の量の砂糖
を使わなければならず、その結果、食肉に必要以上の甘
みがついてしまうことが長所であり逆に短所でもある。
【0003】また、食肉をおいしくやわらかくするため
の技術としては、(1)タンパク質分解酵素や、(2)
重曹を利用する方法が知られている。(1)のタンパク
質分解酵素を利用する方法に関しては、小巻利章著「酵
素応用の知識」、(株)幸書房刊(1986年1月30
日初版発行)の「6.3.4肉の軟化」第213頁17
〜24行に、食肉を軟化するために外部からプロテアー
ゼを加えることや、スイギュウの肉をやわらかくして食
べる目的で古くから植物由来のプロテアーゼであるパパ
インが利用されてきたことが述べられており、「New
Food Industry」、Vol.33,No
1(1991)の「食肉軟化剤としてのアクチニジン
(キウィフルーツ蛋白質分解酵素)の効果」第57頁左
欄3〜11行にも、食肉の軟化を目的として微生物酵素
や植物酵素が用いられている旨が述べられている。ま
た、タンパク質分解酵素を利用した特許として、(イ)
「食肉の調味・軟化用シート」(特公平4−55652
号公報)、(ロ)「食肉加工品の製造方法および注入
液」(特開平5−103633号公報)、(ハ)「肉の
軟化法」(TENDERIZATION OF MEA
T・米国特許第3,166,423号明細書)、(ニ)
「コーンミート製品の製造方法」(METHOD FO
R PRODUCING CORNED MEAT P
RODUCTS・米国特許第3,549,385号明細
書)、(ホ)「食肉の調理用素材及び食肉の調理方法」
(特開平5−252911号公報)等が公知である。
の技術としては、(1)タンパク質分解酵素や、(2)
重曹を利用する方法が知られている。(1)のタンパク
質分解酵素を利用する方法に関しては、小巻利章著「酵
素応用の知識」、(株)幸書房刊(1986年1月30
日初版発行)の「6.3.4肉の軟化」第213頁17
〜24行に、食肉を軟化するために外部からプロテアー
ゼを加えることや、スイギュウの肉をやわらかくして食
べる目的で古くから植物由来のプロテアーゼであるパパ
インが利用されてきたことが述べられており、「New
Food Industry」、Vol.33,No
1(1991)の「食肉軟化剤としてのアクチニジン
(キウィフルーツ蛋白質分解酵素)の効果」第57頁左
欄3〜11行にも、食肉の軟化を目的として微生物酵素
や植物酵素が用いられている旨が述べられている。ま
た、タンパク質分解酵素を利用した特許として、(イ)
「食肉の調味・軟化用シート」(特公平4−55652
号公報)、(ロ)「食肉加工品の製造方法および注入
液」(特開平5−103633号公報)、(ハ)「肉の
軟化法」(TENDERIZATION OF MEA
T・米国特許第3,166,423号明細書)、(ニ)
「コーンミート製品の製造方法」(METHOD FO
R PRODUCING CORNED MEAT P
RODUCTS・米国特許第3,549,385号明細
書)、(ホ)「食肉の調理用素材及び食肉の調理方法」
(特開平5−252911号公報)等が公知である。
【0004】(イ)はプロテアーゼ活性を有する天然発
酵調味料の粉末、あるいは粉末エキス、粉末調味料、粉
末ソース等とプロテアーゼ製剤の混合物とを保持する薄
いシートを形成し、このシートを食肉に被覆することに
より、調味と軟化を行うものである。しかし、シート状
であるがために食肉の表面積あたり同量の調味料が接触
する結果、食肉の厚みによって調味の過不足が生じる。
同様に、酵素による軟化作用も、薄切り肉には過多とな
り、厚い肉では不足してしまう。更に、当該シートを利
用する上で、不定形のブロック肉に均一に調味と軟化を
行うには、食肉の厚さや形状に制限があり不向きである
等、不都合である。また、シート状で提供するために
は、製造や包装にコストがかかり過ぎる等、当該特許に
はさまざまな問題があるものと認められる。
酵調味料の粉末、あるいは粉末エキス、粉末調味料、粉
末ソース等とプロテアーゼ製剤の混合物とを保持する薄
いシートを形成し、このシートを食肉に被覆することに
より、調味と軟化を行うものである。しかし、シート状
であるがために食肉の表面積あたり同量の調味料が接触
する結果、食肉の厚みによって調味の過不足が生じる。
同様に、酵素による軟化作用も、薄切り肉には過多とな
り、厚い肉では不足してしまう。更に、当該シートを利
用する上で、不定形のブロック肉に均一に調味と軟化を
行うには、食肉の厚さや形状に制限があり不向きである
等、不都合である。また、シート状で提供するために
は、製造や包装にコストがかかり過ぎる等、当該特許に
はさまざまな問題があるものと認められる。
【0005】(ロ)はキウイフルーツ抽出物と、食用油
脂の水中油滴型乳化液とからなる注入液を食肉に注入
し、軟らかくてジューシー(juicy)感を有する、
食感の改良された食肉加工品を製造する方法と、注入液
に関するものである。(ハ)、(ニ)も食肉加工品を製
造する際の注入液や浸漬液に、タンパク質分解酵素を加
えることで、軟らかな食感を得ようとするものである。
しかし、当該注入液や浸漬液の調整には煩雑さがともな
う。そして、食肉内部に注入するためにはピックルイン
ジェクター等の装置が必要であり、浸漬する方法では数
日間の浸漬が必要である。従って、食肉加工品の製造メ
ーカーであれば注入液や浸漬液の調整や注入・浸漬操作
を行うことができるが、一般家庭やレストラン等で食肉
の調理に利用する目的には、(ロ)、(ハ)、(ニ)の
方法は不向きである。
脂の水中油滴型乳化液とからなる注入液を食肉に注入
し、軟らかくてジューシー(juicy)感を有する、
食感の改良された食肉加工品を製造する方法と、注入液
に関するものである。(ハ)、(ニ)も食肉加工品を製
造する際の注入液や浸漬液に、タンパク質分解酵素を加
えることで、軟らかな食感を得ようとするものである。
しかし、当該注入液や浸漬液の調整には煩雑さがともな
う。そして、食肉内部に注入するためにはピックルイン
ジェクター等の装置が必要であり、浸漬する方法では数
日間の浸漬が必要である。従って、食肉加工品の製造メ
ーカーであれば注入液や浸漬液の調整や注入・浸漬操作
を行うことができるが、一般家庭やレストラン等で食肉
の調理に利用する目的には、(ロ)、(ハ)、(ニ)の
方法は不向きである。
【0006】(ホ)はタンパク質分解酵素を含有するか
ら揚げ粉、天ぷら粉、フライの衣ミックス、フリッター
ミックスや、調味料・香辛料等を混合した複合調味料等
の食肉調理用素材を食肉に付着させ所定時間放置した後
調理することで、食肉の軟化したソフトな食感の肉調理
品を得るものである。しかし、調理用素材に酵素を配合
することや、酵素を食肉に作用させて軟化を行わせるた
めに一定の放置時間をとることは従来から行われてお
り、特に新規な技術思想を有していない。
ら揚げ粉、天ぷら粉、フライの衣ミックス、フリッター
ミックスや、調味料・香辛料等を混合した複合調味料等
の食肉調理用素材を食肉に付着させ所定時間放置した後
調理することで、食肉の軟化したソフトな食感の肉調理
品を得るものである。しかし、調理用素材に酵素を配合
することや、酵素を食肉に作用させて軟化を行わせるた
めに一定の放置時間をとることは従来から行われてお
り、特に新規な技術思想を有していない。
【0007】(2)の重曹を利用する方法に関しては、
「調理肉」(特開平4−36167号公報)が公知であ
る。この方法は、重曹を直接食肉に振りかけるか、また
は重曹の水溶液中に食肉を浸漬して重曹を食肉中に浸透
させた後に調理すると、重曹が分解して炭酸ガスを発生
し、食肉の繊維同士が収縮するのを妨害することによ
り、食感のソフトな調理肉が得られるというものであ
る。しかし、本発明者らが、実際に当該方法で食肉の処
理を行った後に調理した結果では、食感のソフトな調理
肉とはならず、軟化効果は認められなかった。結局、使
う方法としてみた場合には、一般家庭やレストラン等で
食肉を手軽な方法で、すみやかに、おいしくやわらかく
するためには、タンパク質分解酵素を食肉表面に適量を
均一に振りかける方法が良いと考えられる。しかし、単
に酵素だけを振りかける方法では、食肉の内部まですみ
やかに浸透させることは難しく、また食肉表面に均一に
振りかけることも難しいため、当該酵素を、食塩、その
他の調味料や香辛料に配合して希釈した後に食肉に振り
かける方法が、前述した小巻利章著「酵素応用の知識」
の第214頁14〜19行に述べられている。
「調理肉」(特開平4−36167号公報)が公知であ
る。この方法は、重曹を直接食肉に振りかけるか、また
は重曹の水溶液中に食肉を浸漬して重曹を食肉中に浸透
させた後に調理すると、重曹が分解して炭酸ガスを発生
し、食肉の繊維同士が収縮するのを妨害することによ
り、食感のソフトな調理肉が得られるというものであ
る。しかし、本発明者らが、実際に当該方法で食肉の処
理を行った後に調理した結果では、食感のソフトな調理
肉とはならず、軟化効果は認められなかった。結局、使
う方法としてみた場合には、一般家庭やレストラン等で
食肉を手軽な方法で、すみやかに、おいしくやわらかく
するためには、タンパク質分解酵素を食肉表面に適量を
均一に振りかける方法が良いと考えられる。しかし、単
に酵素だけを振りかける方法では、食肉の内部まですみ
やかに浸透させることは難しく、また食肉表面に均一に
振りかけることも難しいため、当該酵素を、食塩、その
他の調味料や香辛料に配合して希釈した後に食肉に振り
かける方法が、前述した小巻利章著「酵素応用の知識」
の第214頁14〜19行に述べられている。
【0008】ところで、新鮮な食肉の水分は約75%で
あり、その内の70%が筋原繊維中に、20%が筋漿中
に、残りの10%が結合組織中にある。4〜5%の結合
水を除けば、ほとんどの水は比較的ゆるやかな形で組織
中に自由に存在する遊離水である。従って、食肉に食塩
を振りかけると、食塩の浸透圧によって遊離水がひっぱ
り出され食肉の水分が減少する結果、肉質が締まって焼
き上がりが硬い食感になることが経験的にも知られてい
る。また、遊離水に溶け込んだ食塩は、筋原繊維タンパ
ク質もあわせ溶出させる効果があり、焼き上げる時に、
当該タンパク質が溶け込んだ遊離水が肉汁として出てき
てしまう。このため、食塩は焼く直前か焼き上がる直前
に食肉に振りかけるのが肉料理の基本知識となってい
る。食塩のような電解質は、タンパク質の極性基の解離
を抑え、分子間の反発力を小さくするので、加熱により
分子表面に露出した疎水基間の疎水結合による分子間の
会合を促進する。すなわち、食塩だけを振りかけて30
分以上放置した食肉を加熱調理した際には、保水性の低
下した肉質の締まった硬い食感となり好ましくない。以
上述べたように、食肉を手軽な方法で、すみやかに、お
いしくやわらかくすることは、従来技術では問題があ
り、困難であった。
あり、その内の70%が筋原繊維中に、20%が筋漿中
に、残りの10%が結合組織中にある。4〜5%の結合
水を除けば、ほとんどの水は比較的ゆるやかな形で組織
中に自由に存在する遊離水である。従って、食肉に食塩
を振りかけると、食塩の浸透圧によって遊離水がひっぱ
り出され食肉の水分が減少する結果、肉質が締まって焼
き上がりが硬い食感になることが経験的にも知られてい
る。また、遊離水に溶け込んだ食塩は、筋原繊維タンパ
ク質もあわせ溶出させる効果があり、焼き上げる時に、
当該タンパク質が溶け込んだ遊離水が肉汁として出てき
てしまう。このため、食塩は焼く直前か焼き上がる直前
に食肉に振りかけるのが肉料理の基本知識となってい
る。食塩のような電解質は、タンパク質の極性基の解離
を抑え、分子間の反発力を小さくするので、加熱により
分子表面に露出した疎水基間の疎水結合による分子間の
会合を促進する。すなわち、食塩だけを振りかけて30
分以上放置した食肉を加熱調理した際には、保水性の低
下した肉質の締まった硬い食感となり好ましくない。以
上述べたように、食肉を手軽な方法で、すみやかに、お
いしくやわらかくすることは、従来技術では問題があ
り、困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、食肉を手軽
な方法で、すみやかに、おいしくやわらかくする粉末調
味料の配合組成に関するものである。前述したように、
一般家庭やレストラン等での食肉の調理においては、操
作が煩雑であったり装置が必要であるような方法は適し
ていない。従って、食肉に調理用素材を振りかける方法
が最も手軽であり、しかも、できるだけ短い放置時間の
後調理できることが好ましい。第1に、食肉中の水分や
旨味成分をドリップとして逃がさないように、食肉タン
パク質と水とを安定的に結合させて食肉の保水性を良く
することと、第2に、タンパク質分解酵素を短時間のう
ちに食肉中に浸透させることが前記課題を達成するため
には、解決しなければならない課題であった。
な方法で、すみやかに、おいしくやわらかくする粉末調
味料の配合組成に関するものである。前述したように、
一般家庭やレストラン等での食肉の調理においては、操
作が煩雑であったり装置が必要であるような方法は適し
ていない。従って、食肉に調理用素材を振りかける方法
が最も手軽であり、しかも、できるだけ短い放置時間の
後調理できることが好ましい。第1に、食肉中の水分や
旨味成分をドリップとして逃がさないように、食肉タン
パク質と水とを安定的に結合させて食肉の保水性を良く
することと、第2に、タンパク質分解酵素を短時間のう
ちに食肉中に浸透させることが前記課題を達成するため
には、解決しなければならない課題であった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決して、食肉を手軽な方法で、すみやかに、おいし
くやわらかくする粉末調味料等の原材料および配合組成
について鋭意研究の結果、本発明の配合組成物を得たも
のである。具体的には、本発明の特徴は、食肉用粉末調
味料としての配合組成中に、ラフィノース、エリスリト
ール、および貝殻焼成カルシウムを含有せしめ、更にパ
パインまたはブロメラインのいずれか一種または二種と
もに含有せしめることにあり、その上に、本発明は食肉
に対するラフィノースとエリスリトールの使用量がラフ
ィノースにおいては0.4〜0.8重量%であり、更に
エリスリトールにあっては0.2〜0.4重量%になる
ように配合するものである。そして、上記配合組成より
なる粉末調味料を食肉に振りかけて一定時間放置した後
調理することにより、前記課題が解決された食肉調理品
を得ることができた。以下に本発明が完成するまでの経
緯を述べる。
を解決して、食肉を手軽な方法で、すみやかに、おいし
くやわらかくする粉末調味料等の原材料および配合組成
について鋭意研究の結果、本発明の配合組成物を得たも
のである。具体的には、本発明の特徴は、食肉用粉末調
味料としての配合組成中に、ラフィノース、エリスリト
ール、および貝殻焼成カルシウムを含有せしめ、更にパ
パインまたはブロメラインのいずれか一種または二種と
もに含有せしめることにあり、その上に、本発明は食肉
に対するラフィノースとエリスリトールの使用量がラフ
ィノースにおいては0.4〜0.8重量%であり、更に
エリスリトールにあっては0.2〜0.4重量%になる
ように配合するものである。そして、上記配合組成より
なる粉末調味料を食肉に振りかけて一定時間放置した後
調理することにより、前記課題が解決された食肉調理品
を得ることができた。以下に本発明が完成するまでの経
緯を述べる。
【0011】本発明者らは、まず第1の課題である食肉
中のタンパク質と水との親和性を高め、加熱調理時にタ
ンパク質と水との分離を防ぎジューシーな調理肉を得る
ため、砂糖以外で当該効果を示す物質として、各種多糖
類、オリゴ糖、糖アルコール等親水性の高い物質につい
て鋭意研究を行った。結果の一部を表1に示す。
中のタンパク質と水との親和性を高め、加熱調理時にタ
ンパク質と水との分離を防ぎジューシーな調理肉を得る
ため、砂糖以外で当該効果を示す物質として、各種多糖
類、オリゴ糖、糖アルコール等親水性の高い物質につい
て鋭意研究を行った。結果の一部を表1に示す。
【0012】
【表1】
【0013】その結果、甘味度が低く、吸湿性がないこ
とや加熱調理性が良いこと等、食肉用粉末調味料として
好ましい諸物性を持つ物質としてラフィノースを見いだ
した。ラフィノースは、化1の構造式で示されるように
シュクロース(砂糖)のグルコース部分にガラクトース
が1分子結合したオリゴ糖であり、ビート(砂糖大根)
中に多量に含まれている。
とや加熱調理性が良いこと等、食肉用粉末調味料として
好ましい諸物性を持つ物質としてラフィノースを見いだ
した。ラフィノースは、化1の構造式で示されるように
シュクロース(砂糖)のグルコース部分にガラクトース
が1分子結合したオリゴ糖であり、ビート(砂糖大根)
中に多量に含まれている。
【0014】
【化1】
【0015】表1の結果からわかるように、ラフィノー
スは(1)食肉中のタンパク質と水との親和性を高めて
加熱時にタンパク質と水とが分離するのを防ぐ性能を有
しているだけでなく、(2)甘味度が砂糖の5分の1程
度であるため、前述した砂糖の例のように食肉が甘くな
り過ぎることがなく、(3)極めて吸湿性が低い結晶で
あるため酵素の活性を低下させず、調味料や香辛料を配
合した場合でもケーキングを起こしにくく、(4)加熱
調理の際のアミノカルボニル反応による褐変は、砂糖よ
りも少ない等、食肉用粉末調味料をつくるのに好ましい
性能を有していた。
スは(1)食肉中のタンパク質と水との親和性を高めて
加熱時にタンパク質と水とが分離するのを防ぐ性能を有
しているだけでなく、(2)甘味度が砂糖の5分の1程
度であるため、前述した砂糖の例のように食肉が甘くな
り過ぎることがなく、(3)極めて吸湿性が低い結晶で
あるため酵素の活性を低下させず、調味料や香辛料を配
合した場合でもケーキングを起こしにくく、(4)加熱
調理の際のアミノカルボニル反応による褐変は、砂糖よ
りも少ない等、食肉用粉末調味料をつくるのに好ましい
性能を有していた。
【0016】本発明者らは、食肉の保水性を向上させる
方法について更に研究を行った。前述したように、新鮮
な食肉には、約75%の水分が含まれている。このた
め、保水性は、食肉のやわらかさ、ジューシーさ、おい
しさを決める重要な要素である。食肉の保水性は、筋肉
タンパク質の主成分であるミオシンの等電点に近いpH
5付近で最低となり、それよりもpHが低くても高くて
も食肉の保水性は向上する。そして、食肉のpHがpH
5の時に比べpH6の時では、保水性に約2〜3倍の差
が出ることが知られている。牛、豚等一般的な食肉の保
水性は、死後5〜10日間くらいの間にpH6.8くら
いからpH5.5くらいにまで徐々に低下していく。従
って、熟成を終了した食肉の最終pHは5.5くらいで
ある。これは、前述したように筋肉タンパク質の主成分
であるミオシンの等電点に近いため、一般消費者は、食
用に際して保水性の最も低い状態の食肉を利用している
ことになる。
方法について更に研究を行った。前述したように、新鮮
な食肉には、約75%の水分が含まれている。このた
め、保水性は、食肉のやわらかさ、ジューシーさ、おい
しさを決める重要な要素である。食肉の保水性は、筋肉
タンパク質の主成分であるミオシンの等電点に近いpH
5付近で最低となり、それよりもpHが低くても高くて
も食肉の保水性は向上する。そして、食肉のpHがpH
5の時に比べpH6の時では、保水性に約2〜3倍の差
が出ることが知られている。牛、豚等一般的な食肉の保
水性は、死後5〜10日間くらいの間にpH6.8くら
いからpH5.5くらいにまで徐々に低下していく。従
って、熟成を終了した食肉の最終pHは5.5くらいで
ある。これは、前述したように筋肉タンパク質の主成分
であるミオシンの等電点に近いため、一般消費者は、食
用に際して保水性の最も低い状態の食肉を利用している
ことになる。
【0017】タンパク質分解酵素のうち、パパインは、
食肉に対してpH3〜12の範囲で酵素活性を示し、ブ
ロメラインは、pH5〜9程度の範囲で酵素活性を示
す。食肉自体は、pH8くらいを境にそれよりpHが高
くなると、色が悪くなり味にもエグ味が感じられるよう
になった。従って、食肉の保水性、色調、味、酵素活性
を考えると、調理直前の食肉のpHは6〜7の範囲に調
整することが好ましい。
食肉に対してpH3〜12の範囲で酵素活性を示し、ブ
ロメラインは、pH5〜9程度の範囲で酵素活性を示
す。食肉自体は、pH8くらいを境にそれよりpHが高
くなると、色が悪くなり味にもエグ味が感じられるよう
になった。従って、食肉の保水性、色調、味、酵素活性
を考えると、調理直前の食肉のpHは6〜7の範囲に調
整することが好ましい。
【0018】本発明者らは、食肉のpHを調整するため
に種々の物質を検討した結果、貝殻焼成カルシウムを見
いだした。貝殻焼成カルシウムの主成分は、酸化カルシ
ウムであり水に触れると水酸化カルシウムになりアルカ
リ性を示す性質がある。このため、調理前の食肉の遊離
水のpHを調整することができる。また、カルシウム
は、2価の陽イオンとして水溶性タンパク質の架橋に関
与して、加熱凝固の際に強固なゲルを形成する効果を示
した。貝殻焼成カルシウムの量は、食肉に対して0.0
15重量%前後が適当であった。以上のように、本発明
者らは、食肉の保存性を向上させ食感を改善する効果を
あわせもつ物質として、貝殻焼成カルシウムを見いだし
た。なお、貝殻焼成カルシウムは、牡蠣、帆立貝等の貝
殻が原料であるが、貝の種類は限定されない。これによ
って第1の課題を解決することができた。
に種々の物質を検討した結果、貝殻焼成カルシウムを見
いだした。貝殻焼成カルシウムの主成分は、酸化カルシ
ウムであり水に触れると水酸化カルシウムになりアルカ
リ性を示す性質がある。このため、調理前の食肉の遊離
水のpHを調整することができる。また、カルシウム
は、2価の陽イオンとして水溶性タンパク質の架橋に関
与して、加熱凝固の際に強固なゲルを形成する効果を示
した。貝殻焼成カルシウムの量は、食肉に対して0.0
15重量%前後が適当であった。以上のように、本発明
者らは、食肉の保存性を向上させ食感を改善する効果を
あわせもつ物質として、貝殻焼成カルシウムを見いだし
た。なお、貝殻焼成カルシウムは、牡蠣、帆立貝等の貝
殻が原料であるが、貝の種類は限定されない。これによ
って第1の課題を解決することができた。
【0019】次に第2の課題である、タンパク質分解酵
素を短時間のうちに食肉内部まで浸透させる方法につい
て検討した。浸透圧の高い食塩に酵素を配合して食肉に
振りかけると、酵素は食肉の内部まで浸透しやすいこと
が知られている。しかし、食塩は、食肉の味に影響を与
えるため多用できない。更に、食肉のタンパク質は両性
電解質であるため食塩等の電解質が共存した場合にはタ
ンパク質と水との親和性が低下してしまう。本発明者ら
は、分子内に水酸基等の親水基を多く持ち、非電解質で
あり、かつできるだけ分子量の小さい物質ほど有効であ
るとの仮説をたてて、糖およびアルコール類に着目して
鋭意研究を行った。結果の一部を表2に示した。
素を短時間のうちに食肉内部まで浸透させる方法につい
て検討した。浸透圧の高い食塩に酵素を配合して食肉に
振りかけると、酵素は食肉の内部まで浸透しやすいこと
が知られている。しかし、食塩は、食肉の味に影響を与
えるため多用できない。更に、食肉のタンパク質は両性
電解質であるため食塩等の電解質が共存した場合にはタ
ンパク質と水との親和性が低下してしまう。本発明者ら
は、分子内に水酸基等の親水基を多く持ち、非電解質で
あり、かつできるだけ分子量の小さい物質ほど有効であ
るとの仮説をたてて、糖およびアルコール類に着目して
鋭意研究を行った。結果の一部を表2に示した。
【0020】
【表2】
【0021】表2の結果から、浸透力が大きいだけでな
く吸湿性がないことや加熱調理性が良いこと等、食肉用
粉末調味料として好ましい諸物性を持つ物質としてエリ
スリトールを見いだした。エリスリトールは、化2の構
造式で示される分子量122、炭素数4の糖アルコール
であり、天然界では果実類等に含まれている。
く吸湿性がないことや加熱調理性が良いこと等、食肉用
粉末調味料として好ましい諸物性を持つ物質としてエリ
スリトールを見いだした。エリスリトールは、化2の構
造式で示される分子量122、炭素数4の糖アルコール
であり、天然界では果実類等に含まれている。
【0022】
【化2】
【0023】そして、表2に示したように、エリスリト
ールは(1)極めて効率よく酵素を食肉中に浸透させる
性能を有しているだけでなく、(2)非電解質でありタ
ンパク質と水との親和性を損なわない、(3)加熱調理
の際、アミノカルボニル反応による褐変が起こらない、
(4)吸湿性がないため酵素の活性を低下させず、調味
料や香辛料を配合した場合にもケーキングを起こしにく
い等、食肉用粉末調味料を作るために好ましい性能を有
していた。これによって第2の課題を解決することがで
きた。
ールは(1)極めて効率よく酵素を食肉中に浸透させる
性能を有しているだけでなく、(2)非電解質でありタ
ンパク質と水との親和性を損なわない、(3)加熱調理
の際、アミノカルボニル反応による褐変が起こらない、
(4)吸湿性がないため酵素の活性を低下させず、調味
料や香辛料を配合した場合にもケーキングを起こしにく
い等、食肉用粉末調味料を作るために好ましい性能を有
していた。これによって第2の課題を解決することがで
きた。
【0024】更に、本発明者らはタンパク質分解酵素に
ついて検討した。一般に、タンパク質分解酵素は、タン
パク質に作用していくつかのペプチドにするプロテイナ
ーゼ(エンドペプチダーゼ)と、ペプチドをそのアミノ
末端やカルボキシル末端から切断してアミノ酸にする酵
素であるペプチダーゼ(エキソペプチダーゼ)の2種類
に大別できる。また、プロテイナーゼには、微生物由来
のものと動植物由来のものがある。食肉の筋肉は、筋原
繊維より構成される直径が20〜50μmの筋繊維があ
り、これを筋内膜が包んでいる。この筋内膜に包まれた
筋繊維が寄り集まって1つの結合組織を形成し、これを
筋周膜が包んでいる。更に、筋周膜で包まれた筋繊維の
結合組織は、筋上膜で束ねられて1つの筋肉を形成して
いる。食肉の味は筋原繊維のタンパク質に由来し、歯ご
たえ等は膜類のタンパク質に由来している。この膜類を
形成するタンパク質は硬タンパク質とよばれ、コラーゲ
ン、レティキュリン、エラスチン等で構成されている。
ついて検討した。一般に、タンパク質分解酵素は、タン
パク質に作用していくつかのペプチドにするプロテイナ
ーゼ(エンドペプチダーゼ)と、ペプチドをそのアミノ
末端やカルボキシル末端から切断してアミノ酸にする酵
素であるペプチダーゼ(エキソペプチダーゼ)の2種類
に大別できる。また、プロテイナーゼには、微生物由来
のものと動植物由来のものがある。食肉の筋肉は、筋原
繊維より構成される直径が20〜50μmの筋繊維があ
り、これを筋内膜が包んでいる。この筋内膜に包まれた
筋繊維が寄り集まって1つの結合組織を形成し、これを
筋周膜が包んでいる。更に、筋周膜で包まれた筋繊維の
結合組織は、筋上膜で束ねられて1つの筋肉を形成して
いる。食肉の味は筋原繊維のタンパク質に由来し、歯ご
たえ等は膜類のタンパク質に由来している。この膜類を
形成するタンパク質は硬タンパク質とよばれ、コラーゲ
ン、レティキュリン、エラスチン等で構成されている。
【0025】種々のプロテイナーゼを検討した結果、硬
タンパク質を特異的に分解する酵素が食肉の軟化に最も
適しており、これらの酵素はすべて植物由来のものであ
った。微生物由来の酵素は筋原繊維にも作用するため、
食肉組織がペースト状になる傾向が認められた。植物由
来の酵素には、パパイヤ由来のパパイン、パイナップル
由来のブロメライン、イチジク由来のフィシン、キウイ
フルーツ由来のアクチニジン等がある。このうち、フィ
シンは、コラーゲンとエラスチンに対して最も強くかつ
特異的に作用するが、特有の臭気があることや、熱によ
って失活しにくいため取扱いに熟練を要する等の欠点を
有している。アクチニジンはまだ研究段階にある酵素で
あり、食品加工用として安定的に入手することは困難で
ある。以上の点から、パパインおよびブロメラインが現
実的には最も優れていた。
タンパク質を特異的に分解する酵素が食肉の軟化に最も
適しており、これらの酵素はすべて植物由来のものであ
った。微生物由来の酵素は筋原繊維にも作用するため、
食肉組織がペースト状になる傾向が認められた。植物由
来の酵素には、パパイヤ由来のパパイン、パイナップル
由来のブロメライン、イチジク由来のフィシン、キウイ
フルーツ由来のアクチニジン等がある。このうち、フィ
シンは、コラーゲンとエラスチンに対して最も強くかつ
特異的に作用するが、特有の臭気があることや、熱によ
って失活しにくいため取扱いに熟練を要する等の欠点を
有している。アクチニジンはまだ研究段階にある酵素で
あり、食品加工用として安定的に入手することは困難で
ある。以上の点から、パパインおよびブロメラインが現
実的には最も優れていた。
【0026】実際に食肉用粉末調味料に配合する場合、
パパインおよびブロメラインはそれぞれ単独でもよく、
またパパインとブロメラインを適宜の割合で混合した酵
素製剤でもよいが、混合した場合の方が食感的にバラン
スのよい軟化効果が得られた。酵素の使用量は、食肉に
対して0.005〜0.1重量%(商品名:パパインW
−40、ブロメラインF;ともに天野製薬(株)製)の
範囲内であった。0.005重量%未満では、酵素を食
肉に均一に振りかけることがむずかしく、また、食肉に
対する十分な軟化効果が得られなかった。また0.1重
量%以上では、酵素の軟化効果が必ずしも酵素の量に比
例して向上せず、分子中にSH基を持つ酵素のためイオ
ウの様な臭いが発生して食味が悪くなった。更に酵素が
高価なこともあって経済的ではない。また、酵素を振り
かけた後、何等かの都合で長時間経過した場合は、酵素
による軟化が進み過ぎて食肉組織が脆くなったり、表面
がペースト状になったりして外観や食味の損なわれる現
象が認められた。
パパインおよびブロメラインはそれぞれ単独でもよく、
またパパインとブロメラインを適宜の割合で混合した酵
素製剤でもよいが、混合した場合の方が食感的にバラン
スのよい軟化効果が得られた。酵素の使用量は、食肉に
対して0.005〜0.1重量%(商品名:パパインW
−40、ブロメラインF;ともに天野製薬(株)製)の
範囲内であった。0.005重量%未満では、酵素を食
肉に均一に振りかけることがむずかしく、また、食肉に
対する十分な軟化効果が得られなかった。また0.1重
量%以上では、酵素の軟化効果が必ずしも酵素の量に比
例して向上せず、分子中にSH基を持つ酵素のためイオ
ウの様な臭いが発生して食味が悪くなった。更に酵素が
高価なこともあって経済的ではない。また、酵素を振り
かけた後、何等かの都合で長時間経過した場合は、酵素
による軟化が進み過ぎて食肉組織が脆くなったり、表面
がペースト状になったりして外観や食味の損なわれる現
象が認められた。
【0027】以上述べてきたように、本発明者らは食肉
を手軽な方法で、すみやかに、おいしくやわらかくする
ために、まず、食肉のタンパク質と水とを安定的に結合
させて食肉中の保水性を向上させる物質としてラフィノ
ースを新たに見いだし、pHの調整による保水性とカル
シウムイオンによる食感の改善効果をあわせもつ物質と
して貝殻焼成カルシウムをも見いだして、第1の課題を
解決した。次に、タンパク質分解酵素を食肉中にすみや
かに浸透させる物質としてエリスリトールを新たに見い
だして、第2の課題を解決した。そして更に、食肉の軟
化に適したタンパク質分解酵素の選定をあわせ行った。
最後に、当該課題を解決できるラフィノースとエリスリ
トールの使用量について検討したところ、保水性の向上
効果とタンパク質分解酵素の浸透効果は、ラフィノース
とエリスリトールの使用量に比例して向上せず、必要以
上に使用することは、経済的ではないことがわかった。
結果を表3に示した。
を手軽な方法で、すみやかに、おいしくやわらかくする
ために、まず、食肉のタンパク質と水とを安定的に結合
させて食肉中の保水性を向上させる物質としてラフィノ
ースを新たに見いだし、pHの調整による保水性とカル
シウムイオンによる食感の改善効果をあわせもつ物質と
して貝殻焼成カルシウムをも見いだして、第1の課題を
解決した。次に、タンパク質分解酵素を食肉中にすみや
かに浸透させる物質としてエリスリトールを新たに見い
だして、第2の課題を解決した。そして更に、食肉の軟
化に適したタンパク質分解酵素の選定をあわせ行った。
最後に、当該課題を解決できるラフィノースとエリスリ
トールの使用量について検討したところ、保水性の向上
効果とタンパク質分解酵素の浸透効果は、ラフィノース
とエリスリトールの使用量に比例して向上せず、必要以
上に使用することは、経済的ではないことがわかった。
結果を表3に示した。
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】食肉をすみやかに、おいしくやわらかくす
る効果を得るための食肉に対するラフィノースとエリス
リトールの使用量は、ラフィノースにおいては0.4〜
0.8重量%、またエリスリトールにあっては0.2〜
0.4重量%が適当であった。ラフィノースとエリスリ
トールの配合比率は任意の割合をとることができるが、
好ましくは2:1程度である。本発明の効果を得るため
には、10〜15mmの厚さの食肉にあっては30分程
度が適当であるが、3〜5mmの薄切り肉にあっては1
5分程度にまで放置時間を短縮してもよく、また20m
mを越える厚い肉については2時間程度まで放置時間を
延長することが好ましい。
る効果を得るための食肉に対するラフィノースとエリス
リトールの使用量は、ラフィノースにおいては0.4〜
0.8重量%、またエリスリトールにあっては0.2〜
0.4重量%が適当であった。ラフィノースとエリスリ
トールの配合比率は任意の割合をとることができるが、
好ましくは2:1程度である。本発明の効果を得るため
には、10〜15mmの厚さの食肉にあっては30分程
度が適当であるが、3〜5mmの薄切り肉にあっては1
5分程度にまで放置時間を短縮してもよく、また20m
mを越える厚い肉については2時間程度まで放置時間を
延長することが好ましい。
【0031】
【実施例】以下、本発明の効果を実施例に基づき具体的
に説明する。 実施例1 ラフィノース33重量部、エリスリトール17重量部、
食塩35重量部、コショー12重量部、パパイン1重量
部、ブロメライン1重量部、牡蠣殻焼成カルシウム1重
量部を混合して食肉用粉末調味料を得た。厚さ15mm
にスライスしたpH5.6の牛もも精肉に、当該粉末調
味料を精肉に対して1.6重量%振りかけて室温で30
分間放置した。この時精肉に対するラフィノースとエリ
スリトールの使用量はラフィノースにおいては0.53
重量%であり、エリスリトールにあっては0.27重量
%であった。また精肉のpHは6.2であった。次に、
フライパンで両面を焼き上げて牛もも肉のステーキを作
った。出来上ったステーキは、肉の縮みやそりがなく、
また適度の焼色とパリッとした表面を有し、かつ甘過ぎ
ることなく中心部までやわらかいジューシーなおいしい
牛もも肉のステーキであった。
に説明する。 実施例1 ラフィノース33重量部、エリスリトール17重量部、
食塩35重量部、コショー12重量部、パパイン1重量
部、ブロメライン1重量部、牡蠣殻焼成カルシウム1重
量部を混合して食肉用粉末調味料を得た。厚さ15mm
にスライスしたpH5.6の牛もも精肉に、当該粉末調
味料を精肉に対して1.6重量%振りかけて室温で30
分間放置した。この時精肉に対するラフィノースとエリ
スリトールの使用量はラフィノースにおいては0.53
重量%であり、エリスリトールにあっては0.27重量
%であった。また精肉のpHは6.2であった。次に、
フライパンで両面を焼き上げて牛もも肉のステーキを作
った。出来上ったステーキは、肉の縮みやそりがなく、
また適度の焼色とパリッとした表面を有し、かつ甘過ぎ
ることなく中心部までやわらかいジューシーなおいしい
牛もも肉のステーキであった。
【0032】比較例 食塩62重量部、コショー22重量部、砂糖13重量
部、パパイン1.5重量部、ブロメライン1.5重量部
を混合して食肉用粉末調味料を得た。厚さ15mmにス
ライスしたpH5.6の牛もも精肉に、当該粉末調味料
を精肉に対して1.0重量%振りかけて室温で30分間
放置した。この時精肉のpHは5.6であり変化がなか
った。次に、フライパンで両面を焼き上げて牛もも肉の
ステーキを作った。このステーキは、肉の縮みとそりが
あり、表面だけやわらかく中心部は硬いままであり、ま
た肉汁が溶出してパサついた牛もも肉のステーキであっ
た。
部、パパイン1.5重量部、ブロメライン1.5重量部
を混合して食肉用粉末調味料を得た。厚さ15mmにス
ライスしたpH5.6の牛もも精肉に、当該粉末調味料
を精肉に対して1.0重量%振りかけて室温で30分間
放置した。この時精肉のpHは5.6であり変化がなか
った。次に、フライパンで両面を焼き上げて牛もも肉の
ステーキを作った。このステーキは、肉の縮みとそりが
あり、表面だけやわらかく中心部は硬いままであり、ま
た肉汁が溶出してパサついた牛もも肉のステーキであっ
た。
【0033】実施例2 ラフィノース40重量部、エリスリトール20重量部、
食塩17重量部、粉末しょうゆ10重量部、コショー1
0重量部、パパイン2重量部、帆立貝殻焼成カルシウム
1重量部を混合して食肉用粉末調味料を得た。厚さ15
mmにスライスしたpH5.6の豚もも精肉に、当該粉
末調味料を精肉に対して1.5重量%振りかけて室温で
30分間放置した。この時精肉に対するラフィノースと
エリスリトールの使用量はラフィノースにおいては0.
6重量%であり、エリスリトールにあっては0.3重量
%であった。また精肉のpHは6.4であった。次に、
フライパンで、両面を焼き上げて豚もも肉のソテーを作
った。このソテーは、肉の縮みやそりがなく、また適度
な焼色とパリッとした表面を有し、かつ甘過ぎることな
く中心部までやわらかいジューシーなおいしい豚もも肉
のソテーであった。
食塩17重量部、粉末しょうゆ10重量部、コショー1
0重量部、パパイン2重量部、帆立貝殻焼成カルシウム
1重量部を混合して食肉用粉末調味料を得た。厚さ15
mmにスライスしたpH5.6の豚もも精肉に、当該粉
末調味料を精肉に対して1.5重量%振りかけて室温で
30分間放置した。この時精肉に対するラフィノースと
エリスリトールの使用量はラフィノースにおいては0.
6重量%であり、エリスリトールにあっては0.3重量
%であった。また精肉のpHは6.4であった。次に、
フライパンで、両面を焼き上げて豚もも肉のソテーを作
った。このソテーは、肉の縮みやそりがなく、また適度
な焼色とパリッとした表面を有し、かつ甘過ぎることな
く中心部までやわらかいジューシーなおいしい豚もも肉
のソテーであった。
【0034】
【発明の効果】本発明の効果は、第1に、食肉タンパク
質と水とを安定的に結合させて食肉の保水性を向上させ
る物質としてのラフィノースとタンパク質分解酵素を食
肉中にすみやかに浸透させる物質としてのエリスリトー
ルとを見いだしたことにあり、第2に、食肉用粉末調味
料の配合組成中にラフィノースとエリスリトールと貝殻
焼成カルシウムとパパインまたはブロメラインもしくは
これらの混合物とをあわせ用いることによって、手軽な
方法で、すみやかに、おいしくやわらかな調理肉が得ら
れることを見いだしたことにあり、第3に、食肉に対す
るラフィノースとエリスリトールの使用量がラフィノー
スにおいては0.4〜0.8重量%であり、更にエリス
リトールにあっては0.2〜0.4重量%であることを
特定しえたことにある。
質と水とを安定的に結合させて食肉の保水性を向上させ
る物質としてのラフィノースとタンパク質分解酵素を食
肉中にすみやかに浸透させる物質としてのエリスリトー
ルとを見いだしたことにあり、第2に、食肉用粉末調味
料の配合組成中にラフィノースとエリスリトールと貝殻
焼成カルシウムとパパインまたはブロメラインもしくは
これらの混合物とをあわせ用いることによって、手軽な
方法で、すみやかに、おいしくやわらかな調理肉が得ら
れることを見いだしたことにあり、第3に、食肉に対す
るラフィノースとエリスリトールの使用量がラフィノー
スにおいては0.4〜0.8重量%であり、更にエリス
リトールにあっては0.2〜0.4重量%であることを
特定しえたことにある。
Claims (2)
- 【請求項1】 食肉用粉末調味料としての配合組成中に
ラフィノース、エリスリトール、および貝殻焼成カルシ
ウムを含有せしめ、更にパパイン、ブロメラインのいず
れか一種または二種ともに含有せしめることを特徴とす
る食肉用粉末調味料。 - 【請求項2】 食肉に対するラフィノースとエリスリト
ールの使用量がラフィノースにおいては0.4〜0.8
重量%であり、更にエリスリトールにあっては0.2〜
0.4重量%になるように配合した請求項1記載の食肉
用粉末調味料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6036375A JP2767681B2 (ja) | 1994-02-10 | 1994-02-10 | 食肉用粉末調味料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6036375A JP2767681B2 (ja) | 1994-02-10 | 1994-02-10 | 食肉用粉末調味料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07222569A JPH07222569A (ja) | 1995-08-22 |
JP2767681B2 true JP2767681B2 (ja) | 1998-06-18 |
Family
ID=12468105
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6036375A Expired - Fee Related JP2767681B2 (ja) | 1994-02-10 | 1994-02-10 | 食肉用粉末調味料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2767681B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4416356B2 (ja) * | 2001-07-10 | 2010-02-17 | 克博 山本 | 食肉・食肉加工品退色防止方法 |
US7250184B2 (en) * | 2004-08-23 | 2007-07-31 | Micro-Tender Industries | Composition and method for tenderizing meat |
-
1994
- 1994-02-10 JP JP6036375A patent/JP2767681B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07222569A (ja) | 1995-08-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100352145B1 (ko) | 가공축류육 및 그것을 사용한 축류육식제 및 가공축류육 제조방법 | |
CN102038202A (zh) | 肉添加剂、腌渍液和加工肉制品 | |
JP2007319166A (ja) | 動物性蛋白質からなる食品及び同動物性蛋白質の軟化方法及び動物性蛋白質の軟化処理に用いる軟化剤 | |
JP5802214B2 (ja) | 畜肉加工食品の製造方法及び畜肉加工食品改質用の酵素製剤 | |
JP4138889B2 (ja) | 食肉改質剤 | |
JP3585072B2 (ja) | 加工動物性蛋白食材の製造方法 | |
JP2829312B2 (ja) | 加工魚肉及びそれを用いた魚肉食材、及び加工魚肉の製造方法 | |
JP2767681B2 (ja) | 食肉用粉末調味料 | |
JP3503854B2 (ja) | 飲食品添加剤 | |
RU2727357C1 (ru) | Способ посола филе деликатесных рыб | |
JPH06133738A (ja) | 調理加工食品の品質改良剤 | |
JP4842298B2 (ja) | 肉質改質剤 | |
JPH09140352A (ja) | 食肉の改質剤組成物 | |
JP7298479B2 (ja) | 食肉改質用組成物 | |
JP7456698B2 (ja) | タンパク質食材含有食品の食感改良剤、並びにこれを使用する食感改良方法及びタンパク質食材含有食品の製造方法 | |
CA2166735C (en) | Processed meat, meat food material using the same, and production method for processed meat | |
JPS58198254A (ja) | 加工食品の品質改良法 | |
JP2004267057A (ja) | 肉質改善効果をもつ調味料 | |
CN113854503B (zh) | 一种棒棒鸡调味料及棒棒鸡加工方法 | |
WO2021200993A1 (ja) | 冷却保存用の加熱済畜肉加工品の品質低下抑制用組成物 | |
JPH0616691B2 (ja) | 熟成風味を有する肉製品の製造法 | |
Hatta et al. | Traditional Egg and Egg Products | |
JPH0947254A (ja) | 水系食肉用改質剤及びこれで処理した食肉又は肉製品 | |
JPH02245162A (ja) | ピックル剤組成物 | |
JP2006254817A (ja) | 調理材およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080410 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090410 Year of fee payment: 11 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |