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JP2750467B2 - ペプチド混合物及び経腸栄養組成物 - Google Patents

ペプチド混合物及び経腸栄養組成物

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JP2750467B2
JP2750467B2 JP2157271A JP15727190A JP2750467B2 JP 2750467 B2 JP2750467 B2 JP 2750467B2 JP 2157271 A JP2157271 A JP 2157271A JP 15727190 A JP15727190 A JP 15727190A JP 2750467 B2 JP2750467 B2 JP 2750467B2
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JP
Japan
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enteral nutrition
nitrogen source
peptide mixture
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nutrition composition
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実 木本
高明 松尾
利明 船戸
昭三 青井
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Fuji Oil Co Ltd
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Fuji Oil Co Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、人体に供給される蛋白源として有用な改善
された性質を有する植物性蛋白由来のペプチド混合物、
より詳しくはフィチン酸含量が1重量%以下と少なく、
カルシウムイオン等の2価金属イオンの存在する水系で
も沈殿を生じない新しい植物性蛋白由来のペプチド混合
物、及び該ペプチド混合物を利用した経腸栄養組成物に
関する。
従来の技術 大豆、コーン、綿実等の油糧種子、米、小麦等の穀
物、じゃがいも等の塊茎類等多くの植物は、リン、カチ
オン、エネルギーの供給源としてフィチン酸を含んでお
り、之等から得られる植物性蛋白もフィチン酸含量の高
いものが多い。
上記フィチン酸は、カルシウムイオン、マグネシウム
イオン、鉄イオン、亜鉛イオン等の主に2価の金属イオ
ンと反応して沈殿を生じることが知られている。一方、
植物性蛋白も之等2価の金属イオンと反応して沈殿を生
じたり、凝固する性質があり、この性質を利用した代表
的なものとして豆腐が知られている。
植物性蛋白とフィチン酸とは、上記溶解、沈殿等の挙
動において類似しており、一般にそれらの分離は困難で
あり、従来より下記分離法(1)〜(4)が知られてい
るが、之等方法によれば、以下の如き弊害が伴われる。
(1) pH11以上の高アルカリ域で蛋白を溶解した状態
でフィチン酸を沈殿除去する方法では、脱アミノ反応が
併起したり、リジノアラニンが生成したり、色調が悪く
なったり、特有の臭いが発生する等の欠点がある。
(2) UF膜やイオン交換樹脂を用いてフィチン酸を分
離除去する方法では、蛋白濃度の低い条件でしか分離で
きず、膜が詰まる等の問題があり、コスト的にも高くつ
き実用的ではない。
(3) 中性乃至弱アルカリ下で食塩濃度を8.5%以上
と高くすることにより、塩溶性植物性蛋白からフィチン
酸を沈殿除去する方法では、塩濃度が高すぎ、得られる
蛋白はそのままでは用途に極めて制約を受け、後で蛋白
を等電沈殿させようとしてもうまく沈殿分離ができない
欠点がある。
(4) フィターゼによるフィチン酸の分解除去方法で
は、高価に過ぎ、しかも酵素失活のために加熱すると蛋
白が沈殿する等の問題がある。
以上のように、蛋白からの公知のフィチン酸の分離除
去方法は、いずれも蛋白が高分子のために処理中に不溶
化したり、得られる蛋白の風味が変化してしまう等の問
題があった。
また、植物性蛋白を酵素分解する方法は、従来より数
多く知られているが、フィチン酸を除去して後酵素分解
したり、酵素分解して後フィチン酸を除去する方法は知
られておらず、勿論、フィチン酸含量を低減された植物
性蛋白由来のペプチド混合物及びその製造方法は全く知
られていない。
上記植物性蛋白を酵素分解して得られる如き植物性蛋
白加分解物、即ちペプチド混合物は蛋白に比べて消化吸
収性に優れ、アミノ酸に比べて水系にて浸透圧が低く、
アミノ酸臭がないことから、飲料等や減腸栄養剤等の栄
養補給剤として用いられている。
しかして、通常の食事等を摂取できない手術前後の患
者等への人工栄養の減腸投与、即ち経腸栄養法は、該患
者等に栄養補給を行ない、その体力等の回復や治癒を促
進させるものとして欠かせないものである。上記経腸栄
養法の中でも、患者に経鼻的に挿入されたチューブや胃
瘻、空腸瘻等を介して、栄養を消化管に直接投与する方
法は、経管栄養法と呼ばれ、傾向摂取移行前の術後患者
等に適用され、所望の効果を挙げている。また術後初期
患者に対しては、消化された化学成分の形態(成分栄
養)で栄養素を投与する経腸栄養法が施行されており、
これによれば高カロリー投与が可能となり、更に患者の
栄養吸収速度を速め得る利点がある。加えてこの方法は
向残渣性であること、流動性がよいこと、調製が比較的
容易であること等の利点もあり、中心静脈栄養法(TP
N)と並んで、外科領域における栄養管理法の一つとし
て極めて重要視されている。
上記経腸栄養法に利用される成分栄養用組成物につい
ては、従来より種々の処方が検討、提案されており、特
に窒素源については、ペプチド混合物の利用が、遊離ア
ミノ酸のみの混合物の利用の場合に比して、より吸収性
の向上をはかり得ると共に、浸透圧が低く抑えられてい
る点より、投与時の下痢の防止あるいは軽減に有効であ
るとされている。
発明が解決しようとする課題 しかるに、上記提案された植物性蛋白加水分解物(ペ
プチド混合物)を窒素源とする経腸栄養剤や飲料等は、
カルシウム、マグネシウム等のミネラル類、特に2価の
金属イオンとの混合により、水に不溶な沈殿を生じる等
の問題がある。しかして、経管投与の際、投与すべき栄
養剤中に沈殿物や固形物が存在すると、チューブが途中
で詰まってしまい、投与に支障をきたし、更に患者に危
険な状況に追い込んでしまう。その上、もし之等沈殿物
等が体内に入った場合、之等は異物として患者に悪影響
を及ぼしかねない。殊に、経管投与用栄養剤は、その投
与の際に各栄養成分をすべて含んだ一剤形態に調製され
るのが普通であり、この混合調製後も均一な液状である
ことが上記の点からも不可欠であり、医療現場におい
て、上記沈殿等の生成は看過できない大きな問題であ
る。
課題を解決するための手段 本発明者らは、上記課題に鑑み、日夜研究を重ねた結
果、フィチン酸を除去したペプチド混合物によれば、上
記課題を解決できる知見を得、ここに本発明を完成する
に至った。
即ち、本発明は植物性蛋白に由来し、平均ペプチド鎖
長が2〜10であり、乾燥固形分中のフィチン酸含量が1
重量%以下であり且つ遊離アミノ酸含量が20重量%以下
であることを特徴とするペプチド混合物、並びに上記ペ
プチド混合物を窒素源の一部として用いたことを特徴と
する経腸栄養組成物に係わる。
本発明ペプチド混合物は、その平均ペプチド鎖長が2
〜10、好ましくは2〜8であり、これは消化吸収性に優
れているだけでなく、2価の金属イオン存在下でたとえ
加熱しても蛋白のように2価の金属イオンと反応して凝
固したり沈殿を生ずることがない。
また本発明ペプチド混合物は、その乾燥固形分中のフ
ィチン酸含量が1重量%以下、好ましくは0.5重量%以
下、より好ましくは0.2重量%以下であり、これに基づ
いて、後述する経腸栄養組成物を調製する際に、該組成
物の濃度(飲料の場合は低濃度が多い)、pH、イオン濃
度、含まれる2価の金属イオンの種類や濃度にもよる
が、実質的に沈殿を生じることがない。
本発明に係わるペプチド混合物は、例えばこれを窒素
源として経腸栄養組成物を調製した場合、調剤後の安定
性に優れ、とりわけミネラル類との混合の場合も不溶物
の沈殿が生成せず、安全且つ確実な投与が可能となり、
栄養効果も損なわれない。また本発明のペプチド混合物
は、上記利点より、栄養剤等の医薬品としてや栄養補給
を目的とする飲料等の飲食物としても有用である。
本発明ペプチド混合物は、例えば以下の方法により調
製される。即ち、まず植物性蛋白を水系下に酵素分解
し、得られる分解溶液を要すれば濃縮、乾燥後、通常5
〜35%溶液となし、これに2価の金属イオンに解離する
物質を加え、更に要すれば加熱処理して生じる沈殿を除
去し、必要に応じて濃縮又は乾燥する。
上記において原料とする植物性蛋白としては、前述の
ようなフィチン酸を含む公知のものをいずれも使用で
き、その代表例としては大豆蛋白を例示できる。
水系下に酵素分解する態様も公知の方法に従うことが
できる。ここで酵素としては、特に限定はないが、例え
ばアスペルギルス属(Aspergillus)又はストレプトマ
イセス(Streptomyces)属微生物由来のエンド型プロテ
アーゼ及びエキソ型プロテアーゼを同時に用いることが
できる。上記酵素は同一起源でも異なる起源でもよい
が、同一起源のものが好ましい。上記エンド型とエキソ
型との併用により風味の優れた、苦みの少ない所望のペ
プチド混合物が得られる。
上記酵素分解は酸性域やアルカリ域で行なうこともで
きるが、好ましくは中性域(通常pH6〜8)で行なわれ
るのがよく、これによれば後に中和等の塩の生成が生じ
ることが少なく有利である。酵素分解の程度は、酵素分
解後のペプチド混合物の平均鎖長が2〜10程度となるよ
うに調整され、これに応じて作用温度、作用時間、基質
/酵素比等を適宜決定できる。尚、上記酵素分解後、必
要に応じて、活性炭、イオン交換樹脂、疎水性吸着樹脂
等を利用した吸着剤処理、上記吸着剤処理に引き続く遠
心分離や過等の手段や濃縮処理等を施すことができ
る。また、上記吸着剤処理以外にも、チロシンの溶解度
の低い特性を利用した等電点沈殿法等によるチロシンの
分離除去や、pH調整処理、酸処理、苦味軽減のためのア
ミダーゼ、デアミナーゼ等の酵素処理、イオン交換膜や
イオン交換樹脂等による脱塩処理等を施すことも可能で
ある。
上記酵素分解後の処理に用いられる2価の金属イオン
に解離する物質としては、2価の金属水酸化物等の公知
の各種のもののいずれでもよいが、好ましくは溶解して
もpHの変動が少ない金属塩が適当である。該金属塩とし
ては、例えば塩化カルシウム、乳酸カルシウム、グリセ
ロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム等のカルシ
ウムイオンを溶解する物質や、対応するマグネシウムイ
オンを解離する物質等を例示できる。その添加量はカル
シウム等の2価金属として酵素分解液の乾燥固形物に対
して一般に約0.4重量%以上、好ましくは約0.4〜1.6重
量%程度の範囲から選ばれるのがよい。これが多すぎる
と得られるペプチド混合物を窒素源として経腸栄養組成
物を調製する際に乳化の妨げとなり、また少なすぎると
上記カルシウム塩添加による沈殿物除去処理が不完全と
なり、いずれも好ましくない。
上記処理は、要すれば加熱下に行なうことができ、こ
の加熱下での処理によれば、フィチン酸と2価の金属イ
オンとの相互作用により沈殿物の生成が促進され、得ら
れるペプチド混合物のフィチン酸含量をより低減できる
利点がある。またこの加熱処理は、酵素の失活、溶液の
殺菌を兼ねることもでき、好適である。加熱処理の温度
は一般に70℃以上、好ましくは90℃以上とするのがよ
く、加熱時間は用いられる2価の金属イオンの種類や濃
度にもよるが、およそ20分以上が適当である。尚、上記
加熱処理には100℃以上の所謂高温瞬間加熱装置を用い
ることもでき、この場合加熱時間は数秒以上で効果があ
る。
上記処理におけるフィチン酸と2価の金属イオンとに
よる沈澱生成のpHは2価の金属イオンの種類により異な
り、例えばカルシウムイオンであれば、pH5以上、マグ
ネシウムイオンであればpH7以上が好適である。特に中
性域での沈殿生成を行ない得るものは、後に得られるペ
プチド混合物の塩濃度を低くすることができ好適であ
る。
上記で生じる沈澱は、公知の分離手段により除去する
ことができる。該分離手段としては、例えば遠心分離、
濾過(膜利用等)等を例示できる。殊に上記分離手段と
して精密濾過を採用すれば、これが除菌操作をも兼ねる
ので好適である。
上記で得られるフィチン酸含量の低い所望のペプチド
混合物は溶液形態のまま、本発明経腸栄養組成物の窒素
源等として移用することもでき、また常法に従い濃縮し
て濃縮液の形態で、或いは噴霧乾燥(スプレードライ)
等を行なって粉末状形態として本発明経腸栄養組成物の
窒素源等の用途に利用できる。
以上のように、植物性蛋白を酵素分解して後、2価の
金属イオンで処理すると、植物性蛋白を直接2価の金属
イオンで処理する場合のように、かなりの蛋白がフィチ
ン酸と同時に凝固もしくは沈澱として除かれて収率低下
が起こるような弊害もなく、高収率で目的のペプチド混
合物を収得でき、しかも得られるペプチド混合物はもは
や2価の金属イオンと反応して沈澱を生成するおそれも
ない。
かくして得られる本発明ペプチド混合物は、その平均
鎖長や、遊離アミノ酸含量、アミノ酸パターン等におい
て、処理前の原料植物性蛋白加水分解物のそれらをほと
んど変化なく維持しており、従って、原料の栄養効果や
脂質低下効果等をそのまま保持しており、経腸栄養組成
物調製用窒素源として有用である。本発明はかかる本発
明ペプチド混合物を窒素源として利用した経腸栄養組成
物をも提供するものである。
本発明の上記経腸栄養組成物は、その窒素源として本
発明ペプチド混合物を用いることを必須とするが、これ
に加えてアミノ酸パターンを栄養学的により好ましいも
のとするため、別途他の窒素源を添加して、以下のアミ
ノ酸組成(遊離アミノ酸換算組成、以下同じ)とするの
が望ましい。
アミノ酸成分 g/100g L−ロイシン 6 〜16 L−イソロイシン 3.5〜10 L−バリン 3.5〜10 L−リジン 3 〜 7 L−スレオニン 1.5〜 5 L−トリプトファン 0.5〜 3 L−メチオニン 2 〜 6 L−シスチン 0.5〜 2 L−フェニルアラニン 2 〜 6 L−チロシン 1 〜 4 L−アルギニン 4 〜30 L−ヒスチジン 1 〜 4 L−アラニン 1.5〜10 グリシン 2 〜 5 L−プロリン 2 〜 6 L−セリン 2 〜 6 L−アスパラギン+L−アスパラギン酸5.5〜15 L−グルタミン+L−グルタミン酸 10 〜40 上記組成とするために本発明ペプチド混合物に添加配
合される他の窒素源は、例えばカゼイン類の加水分解
物、ゼラチン、小麦蛋白加水分解物等の各種蛋白質原料
でもよいが、之等は本発明ペプチド混合物の所期の効果
を妨げない範囲、通常該ペプチド混合物に対して50重量
%以下の範囲で用いられる必要がある。特に好ましい上
記他の窒素源としては、例えばバリン、ロイシン、イソ
ロイシン、メチオニン等やトリプトフィン、アルギニ
ン、グルタミン等の各種アミノ酸を例示でき、之等アミ
ノ酸はその添加配合によって得られる窒素源が上記組成
となる量で、それぞれ本発明ペプチド混合物に添加配合
れる。尚、之等アミノ酸は通常の遊離アミノ酸形態で利
用できることは勿論のこと、一般に用いられている薬学
的に許容される塩、エステル、ジペプチド、トリペプチ
ド等の形態で利用することも可能である。かかる窒素源
を利用して上記アミノ酸組成とすることによって、得ら
れる組成物は血液中のアミノ酸バランスの是正と共に栄
養状態の改善に優れた効果を奏し得る。
本発明の経腸栄養組成物は、通常のこの種組成物と同
様に、上記特定の窒素源に更に適当な糖質や脂質等の栄
養成分を添加配合して調製される。
上記糖質としては、例えばグルコース、マルトース、
蔗糖、イソマルトース、マルトテトラオース、マルトト
リオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、
マルトデキストリン、乳糖、グリコーゲン、デキストリ
ン、デンプン等の単糖類、オリゴ糖類、食物繊維、多糖
類等をいずれも使用できるが、得られる経腸栄養組成物
の浸透圧を低くすることを考慮すれば、オリゴ糖類の利
用が好ましく、中でも平均鎖長が3〜10のマルトデキス
トリンは好適である。
また上記脂質としては、例えば米油、綿実油、コーン
油、大豆油、ヒマワリ油、カカオ脂、ゴマ油、サフラワ
ー油、落花生油、バター、ラード、ヤシ油、ナッツ油、
パーム油、菜種油等の長鎖脂肪酸トリグリセリド(LC
T)及び中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)等を単独で又
は混合して使用でき、一般には上記LCTとMCTの混合物の
利用が好ましく、特にLCTとMCTとの1:1(重量比)混合
物は好適である。
上記糖質及び脂質の配合量は、之等を前記窒素源と共
に添加配合して得られる本発明組成物が、窒素源:糖
質:脂質=1:2〜7:0.3〜2.5のカロリー比となる範囲か
ら選択され、この範囲での配合によって、本発明所期の
栄養学的に好ましい経腸栄養組成物を提供できる。
更に、本発明組成物には人体にとって必要であるか又
は好ましいものである他の各種の添加物を配合すること
ができる。該添加物には、従来よりこの種経腸栄養組成
物に配合されることのよく知られている各種ビタミン類
及びミネラル類が包含される。上記ビタミン類は、人体
にとって必要な種類及び量がそれぞれ知られており、そ
れに基づいて例えばビタミンA、ビタミンB1、ビタミン
B2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミン
D、ビタミンE、ビタミンK、ニコチン酸アミド、葉
酸、パントテン酸、ビオチン、コリン等を利用できる。
またミネラル類は、本発明ペプチド混合物に含まれてい
るものの不足分を補うものであればよく、例えば塩化ナ
トリウム、塩化カリウム、グリセロリン酸カルシウム、
硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸鉄、
硫酸銅等をそれぞれ適当量で使用することができる。更
に、本発明経腸栄養組成物への配合可能な他の添加物と
しては、通常よく知られている合成香料及び天然香料等
の香料、甘味料、着色料、乳化剤、安定剤、防腐剤、保
存剤、pH調節剤等を利用できる。
本発明組成物は、種々の方法により製造、調製するこ
とができる。その代表的調製方法としては、以下の方法
を例示できる。即ちまず、窒素源及び脂質を水に加え、
必要に応じて無水クエン酸等のpH調整剤を添加し、得ら
れる混合物をショ糖脂肪酸エステルやレシチン等の乳化
剤を用いて、通常の方法により乳化して乳液製剤を調整
する。一方、糖質、ビタミン類、ミネラル類等を入手で
きる粉末形態のまま混合し、必要に応じて混合物にソル
ビン酸カリウム等の保存剤を加えて粉末製剤を調製す
る。上記で調製される両製剤は之等の配合による変化を
避けるために別々にしておくことが望ましく、従って、
本発明組成物は、例えば之等両製剤を二室容器に窒素置
換充填して、用時混合形態の製剤とされるのが適用であ
る。また、上記すべての成分を粉末のまま混合後、アル
ミラミネートフィルム等の適当な容器に封入することに
より、投与時に水中に入れて均一に撹拌混合して調製さ
れる、用時溶解用製剤形態の本発明組成物を調製でき
る。
かくして得られる本発明組成物は、いずれの製剤の場
合もその投与時に全体の濃度が約0.5〜2.5Kcal/mlとな
るように調製されるのがよく、またその時のpHは約6.0
〜6.7程度であるのが望ましい。
上記で得られる本発明経腸栄養組成物は、これを人体
に適用する(投与)するに当っては、一般の経腸栄養組
成物と同様に、通常一日成人一人当り約1600〜2400Kcal
に相当する量で、胃、十二指腸又は小腸に直接経管投与
されるのが適当であり、この投与量は、これを適用され
る患者の病態、栄養状態、年齢、体重等に応じて適宜増
減させることができる。尚、本発明組成物は患者の嗜好
を考慮して、通常の食事と併用されてもよく、勿論、経
口投与することもできる。
発明の効果 本発明ペプチド混合物は、特定範囲の鎖長を有すると
共にフィチン酸含量が少ないことに基づいて、ミネラル
との混合の場合にも不溶物の沈殿を全く認めず、従っ
て、栄養剤等の医薬品として好適であり、また飲料等、
殊にカルシウム等のミネラルを含有する飲料等の食品と
しても好適である。
とりわけ、本発明ペプチド混合物はこれを必須窒素源
として経腸栄養組成物を調製することによって、得られ
る組成物はその経管投与時にチューブを詰まらせる恐れ
が確実に回避され、安全で且つ好適な栄養補給効果を奏
し得るものとなる。
また上記ペプチド混合物に更に他の窒素源を追加して
そのアミノ酸組成を特定のものとし、且つ上記窒素源と
脂質及び糖質との配合比をカロリー比で窒素源:脂質:
糖質=1:2〜7:0.3〜2.5とした本発明の経腸栄養組成物
は、より一層優れた栄養効果を奏し得ると共に、その投
与により血清中及び臓器中に脂質レベルを正常状態に維
持でき、手術前後の患者等への栄養補給のための経腸栄
養剤として極めて有用である。
実 施 例 以下、本発明を一層明らかにするため、本発明ペプチ
ド混合物の調製例及び本発明経腸栄養組成物の製造例
を、それぞれ実施例として挙げ、次いで該経腸栄養組成
物を用いた試験例を挙げる。
尚、各例中部とあるは重量部を示す。
実施例 1 分離大豆蛋白(不二製油株式会社製、「フジブロー
R」、以下「ISP」という)200部を水に溶かしてpH7の1
0%溶液となし、これに市販プロテアーゼ(大和化成株
式会社製、「プロチンFN」)2部を添加し、50℃で5時
間酵素分解させた後、遠心分離(5000rpm×20分)して
沈澱を除去して上澄液を得た。該上澄液を凍結乾燥し
て、ペプチド混合物120部を得た。これを「PEP1」とい
う。
次いで、上記で得たPEP1の100部に水400部を加え、水
酸化カリウムを用いてpHを7に調節し、これに塩化カル
シウム・二水和物を2.4部(カルシウムとして0.65%)
添加し、90〜95℃で30分間加熱して酵素失活と同時にフ
ィチン酸を沈澱させ、次に精密濾過膜(0.45μm、旭化
成株式会社製)を用いて濾過及び除菌を行ない、更に噴
霧乾燥してペプチド混合物90部を得た。これを「PEP2」
という。
上記において原料として用いたISP並びに処理して得
られたPEP1及びPEP2のそれぞれの乾燥物の成分分析結果
(重量%)及び平均鎖長を下記第1表に示す。
尚、フィチン酸の定量は以下の方法によった。
A MODIFIED METHOD FOR RHYTATE ANALYSIS USING AN
ION−EXCHANGE PROCEDURE:APPLICATION TO TEXTURED VE
GITABLE PROTEIN by B.F.HARLAND et al.,Cerial Che
m.,54(4),827−832(1977) また、得られたペプチド混合物PEP2を20重量%溶液と
なし、塩化カルシウム・二水和物を3.3重量%加え、加
熱(105℃で40分間)した所、沈澱も濁りも生じなかっ
た。
一方、PEP1について同様の試験を行なった所、沈澱の
生成が認められた。
実施例 2 下記窒素源、糖質、脂質、ビタミン類、ミネラル類を
用いて、以下の通り本発明経腸栄養組成物を調製した。
窒素源 ペプチド混合物(実施例1で得られたもの) 80g L−ロイシン 7g L−イソロイシン 4g L−バリン 4g L−メチオニン 3g L−トリプトファン 0.3g 糖 質 マルトデキストリン 325g (パインデックス#3、松谷化学社製) 脂 質 大豆油 20g MCT 20g (パナセート810、日本油脂社製) ビタミン類 パルミチン酸レチノール 4000 IU ビスベンチアミン 2.9mg リボフラビン 2.8mg 塩酸ピリドキシン 4.8mg ジアノコバラミン 0.004mg アスコルビン酸ナトリウム 225 mg コレカルシフェロール 400 IU 酢酸トコフェロール 44 IU フィトナジオン 0.32mg ニコチン酸アミド 34 mg パントテン酸カルシウム 15 mg ビオチン 0.2mg 重酒石酸コリン 167 mg ミネラル類 塩化カリウム 2.4g グリセロリン酸カルシウム 3.8g 硫酸マグネシウム 2.8g 硫酸マンガン 0.01g 硫酸鉄 0.06g 硫酸亜鉛 0.06g 硫酸銅 0.004g 即ち、上記窒素源及び無水クエン酸0.75g精製水600ml
に、またショ糖脂肪酸エステル(DK−160、第一工業製
薬社製)5.5gを精製水270mlに、更に大豆レシチン(エ
ピクロン200、ルーカスマイヤー社製)1.3gを上記の脂
質にそれぞれ加熱して溶かし、70〜80℃の溶液とした。
次いで之等各溶液を混合し、高速ミキサーで粗乳化
後、これに70〜80℃精製水800mlを加えて高圧ホモジナ
イザーで精乳化し、過後、二室容器の下室に充填し、
加熱滅菌した。
一方、上記の糖質、ビタミン類及びミネラル類に、保
存剤としてのソルビン酸カリウム0.5gを加えて均一に混
合し、二室容器の上室中に窒素置換包装して、本発明経
腸栄養組成物試料製品を調製した。
このものは、用時(投与時)に上記二室容器の上室と
下室の隔壁を破り、二剤を混合することにより、約2000
mlの均一な乳液状経腸栄養組成物とすることができる。
尚、得られた経腸栄養組成物は、窒素源と糖質及び脂
質のカロリー比が1:3.81.1であり、窒素源全体の遊離ア
ミノ酸換算組成が、以下の通りのものであった。
アミノ酸 g/100g L−ロイシン 13.9 L−イソロイシン 8.1 L−バリン 8.1 L−リジン 4.9 L−スレオニン 3.0 L−トリプトファン 1.4 L−メチオニン 4.5 L−シスチン 1.0 L−フェニルアラニン 3.9 L−チロシン 2.7 L−アルギニン 6.1 L−ヒスチジン 1.9 L−アラニン 3.1 グリシン 3.1 L−プロリン 4.3 L−セリン 4.1 L−アスパラギン+L−アスパラギン酸 9.4 L−グルタミン+L−グルタミン酸 16.4 実施例 3 下記窒素源、糖質、脂質、ビタミン類、ミネラル類を
用いて、以下の通り本発明経腸栄養組成物を調製した。
窒素源 ペプチド混合物(実施例1で得られたもの) 75g
L−ロイシン 7g L−イソロイシン 4g L−バリン 4g L−メチオニン 3g L−トリプトファン 0.3g L−アルギニン 20g 糖 質 マルトース 120g マルトデキストリン 200g (バインデックス#4、松谷化学社製) 脂 質 大豆油 35g 即ち、上記窒素源、糖質、脂質及び乳化剤としてショ
糖脂肪酸エステル(DK−160、第一工業製薬社製)2.0g
とポリオキシエチレンソルビタンモノエステル(TW−O1
20、花王社製)1.0gの混合物並びに大豆レシチン(エピ
クロン200、ルーカスマイヤー社製)1.0gを用い、またp
H調整剤として無水クエン酸3.5gを、更に実施例2と同
一のビタミン混合物及びミネラル混合物を用いて、実施
例2と同様にして、本発明経腸栄養組成物試料を調製し
た。
得られた経腸栄養組成物試料は、窒素源と糖質及び脂
質のカロリー比が1:3.2:0.8であり、窒素源全体の遊離
アミノ酸換算組成が、以下の通りのものであった。
アミノ酸 g/100g L−ロイシン 11.4 L−イソロイシン 6.7 L−バリン 6.7 L−リジン 3.9 L−スレオニン 2.4 L−トリプトファン 1.1 L−メチオニン 3.7 L−シスチン 0.8 L−フェニルアラニン 3.1 L−チロシン 2.1 L−アルギニン 24.6 L−ヒスチジン 1.5 L−アラニン 2.4 グリシン 2.5 L−プロリン 3.4 L−セリン 3.2 L−アスパラギン+L−アスパラギン酸 7.5 L−グルタミン+L−グルタミン酸 13.0 実施例 4 下記窒素源、糖質、脂質、ビタミン類、ミネラル類を
用いて、以下の通り本発明経腸栄養組成物を調製した。
窒素源 ペプチド混合物(実施例1で得られたもの) 60g
L−ロイシン 9g L−イソロイシン 5g L−バリン 5g L−メチオニン 4g L−トリプトファン 0.5g L−アラニル−L−グルタミン 15g 糖 質 マルトデキストリン 310g (パインデックスGSP、松谷化学社製) 脂 質 大豆油 15g コーン油 10g MCT 20g (パナセート810、日本油脂社製) 即ち、上記窒素源、糖質、脂質及び乳化剤としてポリ
グリセリン脂肪酸エステル(デカグリン10−S、日光ケ
ミカルズ社製)4.0gとポリオキシエチレンソルビタンモ
ノエステル(TW−O120、花王社製)0.5gの混合物並びに
大豆レシチン(エピクロン200、ルーカスマイヤー社
製)1.5gを用い、またpH調製剤として無水クエン酸0.5g
を、更に実施例2と同一のビタミン混合物及びミネラル
混合物を用いて、実施例2と同様にして、本発明経腸栄
養組成物試料を調製した。
得られた経腸栄養組成物試料は、窒素源と糖質及び脂
質のカロリー比が1:3.5:1.1であり、窒素源全体の遊離
アミノ酸換算組成が、以下の通りのものであった。
アミノ酸 g/100g L−ロイシン 14.2 L−イソロイシン 8.1 L−バリン 8.1 L−リジン 3.5 L−スレオニン 2.2 L−トリプトファン 1.3 L−メチオニン 5.2 L−シスチン 0.7 L−フェニルアラニン 2.8 L−チロシン 1.9 L−アルギニン 4.4 L−ヒスチジン 1.4 L−アラニン 8.6 グリシン 2.3 L−プロリン 3.1 L−セリン 2.9 L−アスパラギン+L−アスパラギン酸 6.8 L−グルタミン+L−グルタミン酸 22.3 実施例 5 下記窒素源、糖質、脂質、ビタミン類、ミネラル類を
用いて、以下の通り本発明経腸栄養組成物を調製した。
窒素源 ペプチド混合物(実施例1で得られたもの)100g L−メチオニン 2g 糖 質 マルトデキストリン 324g (パインデックス#3、松谷化学社製) 脂 質 大豆油 10g コーン油 30g 即ち、上記窒素源、糖質、脂質、及び乳化剤としてシ
ョ糖脂肪酸エステル(DK−160、第一工業製薬社製)6.4
g及び大豆レシチン(エピクロン200、ルーカスマイヤー
社製)1.0gを用い、またpH調整剤として無水クエン酸0.
1gを、更に実施例2と同一のビタミン混合物及びミネラ
ル混合物を用いて、実施例2と同様にして、本発明経腸
栄養組成物試料を調製した。
得られた経腸栄養組成物試料は、窒素源と糖質及び脂
質のカロリー比が1:3.8:1.0であり、窒素源全体の遊離
アミノ酸換算組成が、以下の通りのものであった。
アミノ酸 g/100g L−ロイシン 7.0 L−イソロイシン 4.3 L−バリン 4.3 L−リジン 6.1 L−スレオニン 3.7 L−トリプトファン 1.3 L−メチオニン 3.5 L−シスチン 1.3 L−フェニルアラニン 4.9 L−チロシン 3.3 L−アルギニン 7.6 L−ヒスチジン 2.3 L−アラニン 3.8 グリシン 3.9 L−プロリン 5.4 L−セリン 5.1 L−アスパラギン+L−アスパラギン酸 11.7 L−グルタミン+L−グルタミン酸 20.4 実施例 6 下記窒素源、糖質、脂質、ビタミン類、ミネラル類を
用いて、以下の通り本発明経腸栄養組成物を調製した。
窒素源 ペプチド混合物(実施例1で得られたもの) 80g L−ロイシン 4g L−イソロイシン 2g L−バリン 2g L−メチオニン 3g L−トリプトファン 0.3g L−グルタミン 20g 糖 質 マルトース 289g 脂 質 大豆油(粉末油脂、日本油脂社製) 25g MCT(粉末油脂、日本油脂社製) 25g 即ち、上記窒素源、糖質、脂質及び実施例2と同一の
ビタミン混合物とミネラル混合物とを用い、また乳化剤
としてショ糖脂肪酸エステル(DK−160、第一工業社
製)2.0g、ポリオキシエチレンソルビタンモノエステル
(TW−O120、花王社製)1.0g、ソルビタンモノエステル
(AS−10、花王社製)1.0g及び大豆レシチン(エピクロ
ン200、ルーカスマイヤー社製)1.0gを用い、更にpH調
整剤として無水クエン酸0.5gと保存剤としてソルビン酸
カリウム0.5gを用い、之等をすべて均一に混合後、アル
ミラミネート袋中に窒素置換包装して、用時溶解用粉末
製剤形態の本発明経腸栄養組成物試料を調整した。
尚、この製剤試料は、投与時に精製水中に入れて全体
を2000mlとし、ミキサーで撹拌して、乳液状組成物とさ
れる。
得られた経腸栄養組成物試料は、窒素源と糖質及び脂
質のカロリー比が1:2.9:1.1であり、窒素源全体の遊離
アミノ酸換算組成が、以下の通りのものであった。
アミノ酸 g/100g L−ロイシン 9.0 L−イソロイシン 5.0 L−バリン 5.0 L−リジン 4.2 L−スレオニン 2.6 L−トリプトファン 1.2 L−メチオニン 3.9 L−シスチン 0.9 L−フェニルアラニン 3.4 L−チロシン 2.3 L−アルギニン 5.3 L−ヒスチジン 1.6 L−アラニン 2.7 グリシン 2.7 L−プロリン 3.8 L−セリン 3.5 L−アスパラギン+L−アスパラギン酸 8.2 L−グルタミン+L−グルタミン酸 34.6 実施例 7 下記窒素源、糖質、脂質、ビタミン類、ミネラル類を
用いて、以下の通り本発明経腸栄養組成物を調製した。
窒素源 ペプチド混合物(実施例1で得られたもの) 60g L−ロイシン 4g L−イソロイシン 2g L−バリン 2g L−メチオニン 3g L−トリプトファン 0.5g アルギニン 15g L−グルタミン 15g 糖 質 マルトデキストリン 318g (パインデックス#3、松谷化学社製) 脂 質 大豆油(粉末油脂、日本油脂社製) 40g 即ち、上記窒素源、糖質、脂質及び実施例4と同一の
ビタミン混合物とミネラル混合物とを用い、乳化剤とし
てポリグリセリン糖脂肪酸エステル(デカグリン10−
S、日光ケミカルズ社製)1.0g、ポリオキシエチレンソ
ルビタンモノエステル(TW−O120、花王社製)1.0g及び
大豆レシチン(エピクロン200、ルーカスマイヤー社
製)1.0gを用い、更にpH調整剤として無水クエン酸3.0g
と保存剤としてソルビン酸カリウム0.5gを用いて、実施
例6と同様にして粉末製剤形態の本発明経腸栄養組成物
試料を調製した。
得られた経腸栄養組成物試料は、窒素源と糖質及び脂
質のカロリー比が1:3.5:1.0であり、窒素源全体の遊離
アミノ酸換算組成が、以下の通りのものであった。
アミノ酸 g/100g L−ロイシン 8.3 L−イソロイシン 4.6 L−バリン 4.6 L−リジン 3.4 L−スレオニン 2.1 L−トリプトファン 1.3 L−メチオニン 3.9 L−シスチン 0.7 L−フェニルアラニン 2.7 L−チロシン 1.9 L−アルギニン 20.6 L−ヒスチジン 1.3 L−アラニン 2.1 グリシン 2.2 L−プロリン 3.0 L−セリン 2.9 L−アスパラギン+L−アスパラギン酸 6.6 L−グルタミン+L−グルタミン酸 27.8 試験例 1 実施例2で得られた本発明経腸栄養組成物と、市販の
大豆蛋白加水分解物をそのまま用いた他は該実施例2と
同様にして得られた比較経腸栄養組成物とについて、以
下の試験を行なった。
即ち、それぞれの組成物の混合調製後の経時変化を肉
眼観察した。
結果を下記第2表に示す。
上記第2表より、本発明ペプチド混合用を用いて調製
された経腸栄養組成物は、調製48時間後も沈降物を生じ
ることなく、均一な乳液形態を維持しており、従って、
その投与の際、チューブやカテテル等を詰まらせる恐れ
はなく、非常に安定で有利に利用できるものであること
が判る。
試験例 2 実施例2で得られた本発明経腸栄養組成物と、比較の
ため市販の経腸栄養組成物[「エレンタール」(森下製
薬、味の素社製)及び「エンテルード」(テルモ社
製)]とを用いて、以下の栄養効果の対比試験を行なっ
た。
即ち、供試動物として7週齢のウイスター系雄ラット
(平均体重200g)を、それぞれ本発明組成物投与群(本
発明群、n=8)、エレンタール投与群(比較群1、n
=9)及びエンテルード投与群(比較群2、n=10)の
3群に分けた。
各群ラットのそれぞれを2日間絶食させた後、ネンブ
タール麻酔下に正中切開(2cm)し、胃部を取り出し
て、後胃に胃瘻を設けた。
次に、チューブを幽門部より4cm挿入し、十二指腸内
にチューブを留置した。胃瘻をチューブと共に縫合し、
チューブは腹部から皮下を通して背部に出し、背部に装
着したプロテクティブコイルを通してスイベルに接続し
た。各供試組成物を、マイクロチューブポンプを用いて
下記第3表に示すスケジュールで10日間投与した。
尚、対照として自由摂食群(n=8)を設けた。
投与開始後から10日に亘り、各群ラットの体重変化及
び累積窒素出納を調べ、また10日目に採血を行なって、
血清中の総コレステロール濃度を日立705形自動分析装
置を用いて測定した。更に、肝臓を摘出し、肝臓中のト
リグリセライド量をトリグリセライド−テストワコー
(和光純薬工業社製)により測定した。
得られた結果を第1図(体重増加、g)、第2図(累
積窒素出納、g/kg/10日)、第3図(血清中総コレステ
ロール濃度、mg/dl)及び第4図(肝臓中トリグリセラ
イド量、mg/g wet tissue)に示す。
尚、第1図乃至第4図はいずれも各群の平均値±標準
偏差を示す。
また第1図乃至第4図における*印及び**印は、そ
れぞれ比較群1に対するp<0.05及びp<0.01を、第4
図における#印は比較群2に対するp<0.05を示す。
上記第1図及び第2図より、本発明群は、体重増加及
び累積窒素出納の両者において、比較群1に比し高値を
示しており、比較群2とほぼ同値を示していることが判
り、このことから本発明組成物は市販品と同等もしくは
それ以上の優れた栄養効果を奏することが明らかであ
る。
また第3図及び第4図から、本発明群は血清中総コレ
ステロール濃度及び肝臓中トリグリセライド量の両者に
おいて、比較群1及び比較群2に比し、より低値を示
し、より正常値に近いことが判り、このことから、本発
明組成物は、脂肪肝や高脂質血症を引き起こす可能性が
なく、むしろ之等を抑制する効果を奏することが明らか
である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明経腸栄養組成物を用いて行われた試験に
おける体重増加を示すグラフ、第2図は同試験における
累積窒素出納を示すグラフ、第3図は同試験における血
清中総コレステロール濃度を示すグラフ及び第4図は同
試験における肝臓中トリグリセライド量を示すグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青井 昭三 徳島県鳴門市撫養町南浜字東浜561 (56)参考文献 特開 昭59−159743(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】植物性蛋白に由来し、平均ペプチド鎖長が
    2〜10であり、乾燥固形分中のフィチン酸含量が1重量
    %以下であり且つ遊離アミノ酸含量が20重量%以下であ
    ることを特徴とするペプチド混合物。
  2. 【請求項2】植物性蛋白が、大豆蛋白である請求項に
    記載のペプチド混合物。
  3. 【請求項3】窒素源の一部として、請求項又はに記
    載のペプチド混合物を用いたことを特徴とする経腸栄養
    組成物。
  4. 【請求項4】窒素源全体の組成が、遊離アミノ酸形態換
    算で、以下の範囲から選択される請求項に記載の経腸
    栄養組成物。アミノ酸成分 g/100g L−ロイシン 6 〜16 L−イソロイシン 3.5〜10 L−バリン 3.5〜10 L−リジン 3 〜 7 L−スレオニン 1.5〜 5 L−トリプトファン 0.5〜 3 L−メチオニン 2 〜 6 L−シスチン 0.5〜 2 L−フェニルアラニン 2 〜 6 L−チロシン 1 〜 4 L−アルギニン 4 〜30 L−ヒスチジン 1 〜 4 L−アラニン 1.5〜10 グリシン 2 〜 5 L−プロリン 2 〜 6 L−セリン 2 〜 6 L−アスパラギン+L−アスパラギン酸 5.5〜15 L−グルタミン+L−グルタミン酸 10 〜40
  5. 【請求項5】窒素源、糖質及び脂質が、カロリー比で下
    記の割合で含有され、更にビタミン類及びミネラル類が
    転化配合された請求項に記載の経腸栄養組成物。 窒素源:糖質:脂質= 1:2〜7:0.3〜2.5
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