JP2742892B2 - エステル化ポリエステルグラフト化澱粉 - Google Patents
エステル化ポリエステルグラフト化澱粉Info
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Description
エステルグラフト化澱粉及びその合成方法、該エステル
化ポリエステルグラフト化澱粉を用いた生分解性を有す
る熱可塑性樹脂組成物に関する。
S)」とは、ポリエステルの末端水酸基と澱粉分子直結
の水酸基のエステル型封鎖率を意味し、DS=3は10
0%封鎖を意味する。
の生分解性プラスチック(熱可塑性樹脂組成物)の開発
が盛んである。 その中で、高度エステル化澱粉やポリ
エステルグラフト澱粉等の澱粉誘導体を使用する生分解
性プラスチックに関する提案も種々なされている。 な
お、本発明の発明性に直接的な影響を与えるものではな
いが、公知文献として下記のようなものが存在する。
エステル化澱粉の例としては、USP5367067.
PCT/US92/02003等があり、他方、グラフ
ト化澱粉の例としては、特開平5−125101号、及
び ”A New Bio-degradable Plastic Made from Starc
h Graft Poly( methyl Acrylate )Copolymer ”(Jour
nal of Applied Polymer Science,Vol.22 ,459-465,19
78)等がある。
知る限りにおいては、澱粉誘導体を使用する生分解性プ
ラスチックが実用化され上市された例を見聞しない。
る。
グラフト重合化のみの澱粉を使用した成形品等(成形品
・フィルム・シートを言う。)について、本発明者ら
が、物性試験を行った結果によれば、 成形品等に形成した場合において、脆く実用化レベル
の靱性を得難い。実用化レベルの靱性を得ようとした
り、また軟質成形品を得ようとすると多量に可塑剤を配
合する必要がある(可塑剤の多量配合は強度低下・物性
の経時劣化等の問題を引き起こす)。
ち、感水性が高く、耐水性・耐湿性・撥水性・耐水蒸気
透過性等の水環境下物性において実用化レベルのものを
得難い。
形成した場合において、可塑剤の無配合または少量配合
で成形品に所要の柔軟性及び実用化レベルの靱性を容易
に得ることができ、しかも、成形品に実用化レベルの水
分関連物性のものが容易に得られる澱粉誘導体及びその
合成方法並びに熱可塑性樹脂組成物を提供することを目
的とする。
を解決するために、澱粉系生分解樹脂の研究開発に鋭意
努力をした結果、下記構成のエステル化ポリエステルグ
ラフト化澱粉及びその合成方法並びに熱可塑性樹脂組成
物に想到した。
ステルグラフト化澱粉は、エステル化と共に、ポリエス
テルのグラフト化がなされている澱粉であって、エステ
ル化の対応酸が、炭素数2〜18の飽和・不飽和脂肪酸
類、芳香族カルボン酸類の1種または2種以上から選択
され、ポリエステルが、環員数4〜12の1種または2
種以上から選択されるラクトンの開環重合体であり、末
端水酸基が略エステル封鎖されている、ことを構成の全
部または要部とするものである。
ステルグラフト化澱粉の合成方法は、請求項1または2
に記載のエステル化ポリエステルグラフト化澱粉を合成
する方法であって、ビニルエステル又は酸無水物・塩化
物をエステル化試薬とし、ラクトンをグラフト化試薬と
して、非水有機溶媒中でエステル化/グラフト化触媒を
使用して澱粉と反応させ、エステル化及びグラフト化の
両反応を同時的または逐次的に行うこと、を構成の全部
または要部とするものである。
物は、ベースポリマーの全部または一部が、請求項1ま
たは2に記載のエステル化ポリエステルグラフト化澱粉
で構成され、必要に応じて副資材として生分解性可塑剤
及び/またはフィラーが配合されてなることを構成の全
部または要部とするものである。
は、基本的には、エステル化と共に、ポリエステルのグ
ラフト化がなされている澱粉であって、エステル化の対
応酸が、炭素数2〜18の飽和・不飽和脂肪酸類、芳香
族カルボン酸類の1種または2種以上から選択され、ポ
リエステルが、環員数4〜12の1種または2種以上か
ら選択されるラクトンの開環重合体であり、末端水酸基
がエステル封鎖構成である。
澱粉は、下記構造式で示されるものである。
む)分子残基 R1:炭素数1〜17(望ましくは1〜7)のアルキル
基、アルケニル基、アリール基のいずれか R2:水素または炭素数2〜18のアシル基 R3:炭素数2〜18のアシル基または水素 R4:CmH2m(m=1〜11)で代表される1種又
は2種以上のアルキレン基、又はエチリデン基 なお、R1、上記アシル基におけるアルキル基として
は、メチル・エチル・プロピル・ブチル・オクチル・ド
デシル・ステアリル等を、アルケニル基としては、アク
リル・ヘキセニル・オクテニル等のアルケニル基等を、
アリール基としては、ベンジル・Pトルイル・キシリル
等を、それぞれ具体的に挙げることができる。これらの
内で、メチル・エチル・プロピル等のアルキル基がとく
に好ましい。
0.1〜3.0(望ましくは0.5〜3.0)であり、
ポリエステル(ポリラクトン)のグラフト化分子置換度
が0.1〜20(望ましくは、0.2〜10)である。
は、下記計算式で求めたものを言う。
トン重量)/ラクトン分子量}/(仕込み澱粉重量/澱
粉分子量) ここで、DSが0.1未満では吸湿性・成形性等の物性
に改善効果が薄い。可及的に3.0に近い方が、成形品
の耐水性等の水環境下物性が向上して望ましい。また、
MSが、0.1未満でも可塑化は可能であるが、成形品
に関する物性改善効果(生分解性を維持しながら水環境
下物性を向上させる。)が薄く、20を越えるとコスト
・反応時間と成形品物性の面から実際的ではない。
化澱粉の合成方法は、特に限定されないが、下記方法で
合成することが望ましい。
または酸無水物・酸塩化物をエステル化試薬とし、ラク
トンをグラフト化試薬として、非水有機溶媒中でエステ
ル化/グラフト化触媒を使用して澱粉と反応させ、前記
両反応を同時的または逐次的に行うこと、を構成の全部
または要部とするものである。
原料澱粉としては、コーンスターチ、ハイアミロース
コーンスターチ、小麦澱粉等の地上茎未変性澱粉、馬
鈴薯澱粉、タピオカ澱粉等の地下茎未変性澱粉、及び、
それらの澱粉の低度エステル化・エーテル化・酸化・
酸処理化・デキストリン化された化工澱粉、等を、単独
または複数併用して使用する。
に行う場合は、どちらを先にしてもよく、グラフト化後
エステル化、エステル化後グラフト化等、任意であり、
さらには、市販のエステル化澱粉またはポリエステル
(ポリラクトン)グラフト化澱粉を、それぞれ、ビニル
エステル・酸無水物・酸塩化物又はラクトンを試薬とし
てグラフト化またはエステル化しても良い。
エステル基炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜7)
のものを、単独または複数併用して使用する。エステル
基炭素数が18を越えると、試薬有効率は高くなるが、
反応効率が低下する。また、エステル基炭素数2〜7の
範囲では、反応効率の面で高レベルを維持できて(70
%以上)望ましい。
内はエステル基炭素数の数)、それらの内で、特に、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニルが、高い反応効率の観点
から望ましい。
ル(C3)、ブタン酸ビニル(C4)、カプロン酸ビニ
ル(C6)、カプリル酸ビニル(C8)、ラウリン酸ビ
ニル(C12)、パルミチン酸ビニル(C16)、ステ
アリン酸ビニル(C18)等の飽和;または、アクリル
酸ビニル(C3)、クロトン酸ビニル(C4)、イソク
ロトン酸ビニル(C4)、オレイン酸ビニル(C18)
等の不飽和の脂肪族カルボン酸ビニルエステル、 安息香酸ビニル、P−メチル安息香酸ビニル等の芳香
族カルボン酸のビニルエステル)を使用可能である。
8(望ましくは炭素数2〜8)の有機酸の酸無水物・塩
化物を挙げることができる。例えば、無水酢酸・プロピ
オン酸・酪酸、または、酢酸・プロピオン酸・酪酸クロ
ライドを好適に使用可能である。
エステルを有機溶媒として使用する場合である。
回収工程は不要となる。なお、従来のビニルエステルを
使用したエステル化反応において、このような反応形式
は採用されていない。
効果及びビニルエステルの反応効率が向上して望ましい
一方、ビニルエステルが液状(加熱溶融したものを含
む。)のものに限られるとともに、若干の反応不均一性
を有する。
は、前項記載のビニルエステルを挙げることができる。
薬であるエステル化試薬を非水有機溶媒として使用でき
ない、または、使用しない場合である。
種類にとらわれず、反応溶液濃度・反応速度の調整が容
易である利点を有し、ビニルエステルを有機溶媒として
使用する場合に比して、反応均一性が高い反面、ビニル
エステル又は酸無水物・酸塩化物と溶媒との分離回収を
必要とする。
ルエステルをジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメ
チルホルムアミド(DMF)、ピリジン等の澱粉溶解性
の極性溶媒、又は、酢酸エチル・アセトン等の澱粉非
溶解性であって、また、ビニルエステル・酸無水物・酸
塩化物・生成エステル化澱粉溶解性(但しビニルエステ
ル・酸無水物・酸塩化物と非反応性)の極性溶媒を、単
独または複数併用して使用することができる。
粉溶解性の非水有機溶媒が、反応効率、反応の均一性の
観点から望ましい。
のアルカリ・アルカリ土類・両性金属のいずれかに属
する金属の水酸化物及び/又は鉱酸塩もしくは有機酸
塩、炭酸塩、或いは金属アルコキシド、有機物層間転
移触媒、及び、アミノ化合物、の各群のいずれかから
選択して使用する。これらの内で、が反応効率及び触
媒コストの観点から好ましい。
等のアルカリ金属水酸化物; 酢酸ソーダ、プロピオン酸ソーダ、p−トルエンスルホ
ン酸ソーダ等のアルカリ金属有機酸塩;水酸化バリウ
ム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;
酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、p−トルエ
ンスルホン酸バリウム等のアルカリ土類金属有機酸塩;
燐酸ソーダ、燐酸カルシウム、重亜硫酸ソーダ、重炭酸
ソーダ、硫酸カリ等の鉱酸塩;アルミン酸ソーダ、亜鉛
酸カリ、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛等の両性金属
の金属酸塩や水酸化物;炭酸ソーダ、重炭酸カリウム等
の炭酸塩;ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラー
ト等のナトリウムアルコラート;アルミニウムイソプロ
ピレート、アルミニウムエチレート等のトリアルコキシ
アルミニウム化合物;アルミニウムエチルアセトアセテ
ートジイソプロピレート等のアルコキシ系アルミニウム
キレート化合物等の金属アルコキシド。
ノ酢酸等のアミノ化合物。
ウムクロリド、N−テトラエチルアンモニウムクロリド
等の第4級アンモニウム化合物。
澱粉に含浸させておくことが、ビニルエステルを媒体と
する反応や澱粉を溶解させない非水媒体中で反応を行う
場合に、反応効率が向上して望ましい。
ては、原料澱粉を触媒を含む水溶液や溶媒に漬ける方
法、溶媒を含む水溶液や溶媒と澱粉をニーダー等の混練
装置を使用して混ぜる方法、触媒を含む水溶液は、溶媒
と澱粉をドラムドライヤー等の澱粉のアルファー化装置
でアルファー化する方法、触媒を含む水溶液や溶媒と澱
粉をバッチクッカー又は連続クッカーで糊化含浸させる
方法等、各種の含浸方法が採用可能である。
特に規定されないが、通常、30〜200℃、反応効率
の見地から望ましくは、60〜150℃とする。
は、澱粉の低分子量化(加水分解)を防ぐ目的で、40
℃以下の温度条件が採用されていたが、ビニルエステル
を使用する場合は、酸の副成がないため、それらより高
温で反応を行わすことができ、反応効率を増大できる。
テルの使用量に関しては、原料澱粉1モルに対し、1〜
20倍モルとし、より好ましくは、1〜7倍モルとす
る。
澱粉無水物当たり1〜30%とする。
体環状エステルを含む)は、環員数4〜12の1種また
は2種以上から選択される。具体的には、β−プロピオ
ンラクトン(4)、γ−、δ−バレロラクトン(6)、
δ−、ε−カプロラクトン(6、7)、ジサリチリド
(8)、トリサリチリド(12)、1,4−ジオキサン
−2−オン、グリコリド、ラクチド、トリメチレンカー
ボネート、エチレンオキサレート等が使用可能である。
好ましくは環員数4から7のラクトン、特に、ε−カプ
ロラクトン、ラクチドが好ましい。
たは後工程のいずれで行ってもよく、さらには、市販の
適宜置換度のエステル澱粉をグラフト化しても良い。
ニオン重合、カチオン重合、配位重合等、任意である
が、グラフト化触媒をエステル化触媒と併用できるアニ
オン重合が望ましい。
に使用する非水有機溶媒(極性溶媒)中で行うことが望
ましい。
によりグラフト化時の条件に準ずる。
のエステル化で使用するものも使用できる。カチオン重
合の場合は、オキソニウム塩、プロトン酸、ルイス酸
や、ルイス酸に共触媒を加えた系を使用可能である。こ
のとき、グラフト触媒の配合量は、モノマーに対して、
5ppm 〜50wt%とする。
亜鉛の有機金属化合物に0.5〜1.0モル量の水やア
セチルアセトンあるいはこの両者を加えて反応させた系
で行うことができる。
脂組成物は、ベースポリマーの全部または一部が、上記
エステル化ポリエステルグラフト化澱粉で構成され、必
要に応じて副資材として生分解性可塑剤及び/またはフ
ィラーが配合されてなることを基本的構成とする。ここ
で、ベースポリマー中のエステル化ポリエステルグラフ
ト化澱粉の比率は、5〜100wt%、望ましくは、25
〜100wt%とする。可塑剤の配合量は、通常、0〜6
0phr、望ましくは30phr以下とする。また、フ
ィラー配合量は、通常、0〜200phr、望ましくは
0〜150phrとする。
エステルグラフト化澱粉に混合するポリマーとしては、
エステル及び/又はエーテル系澱粉誘導体、及び、生分
解性ポリエステル、セルロース誘導体、ポリビニルアル
コール、及びポリビニルエステル、群から1種または2
種以上を選択して使用することが望ましい。さらに、ポ
リアミド系、ポリカーボネート、ポリウレタン等の縮合
重合物、ポリビニルエステル以外のビニルモノマー、ポ
リオレフィン、ポリアルキレンオキシド、及び、生分解
性ポリアルキレンオキシド、エチレン酢酸ビニル共重合
体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンメ
チルアクリレート共重合体、ABS樹脂、スチレンアク
リロニトリル共重合体等も使用可能である。
カプロラクトン、ポリ乳酸、ポリアジペート、ポリヒド
ロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートバレエー
ト等。
ロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロ
ース等。
リアクリロニトリル、ポリビニルカルバゾール、ポリア
クリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、等。
ブチレン、ポリプロピレン、等。
く):塩化ビニル、ポリスチレン。
キシド、ポリプロピレンオキシド、等。
ステル、芳香族カルボン酸エステル、脂肪族二塩基酸エ
ステル、脂肪酸エステル誘導体、リン酸エステル、ポリ
エステル系可塑剤、エポキシ可塑剤、及び高分子系可塑
剤のいずれからか1種または2種以上が選択して使用す
る。
オクチル等のフタル酸エステル、エチルフタリルエチル
グリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート等 脂肪族二塩基酸エステル:オレイン酸ブチル、グリセリ
ンモノオレイン酸エステル、アジピン酸ブチル、アジピ
ン酸nヘキシル等 芳香族カルボン酸エステル:トリメリット酸トリオクチ
ル、ジエチレングリコールベンゾエート、オキシ安息香
酸オクチル等 脂肪酸エステル誘導体:スークロースオクタアセテー
ト、ジエチレングリコールジベンゾエートオキシ酸エス
テル:アセチルリシノール酸メチル、アセチルクエン酸
トリエチルチル、トリアセチン、トリプロピオニン、ジ
アセチルグリセリン、グリセリンモノステアレート等 燐酸エステル:燐酸トリブチル、燐酸トリフェニル等 エポキシ可塑剤:エポキシ化大豆油、エポキシ化ヒマシ
油、アルキルエポキシステアレート等 高分子系可塑剤:各種液状ゴム、テルペン類、リニアポ
リエステル等 (3) フィラーとしては、天然系無機質フィラーまたは天
然系有機質フィラーから1種または2種以上が選択して
使用する。
ク、ライムストーン、炭酸カルシウム、マイカ、ガラ
ス、ケイソウ土、ウォールアストナイト、各種のシリカ
塩、マグネシウム塩、マンガン塩、ガラス繊維、各種セ
ラミック粉末等。
導体含む)、木粉、パルプ、ピーカンファイバー、綿
粉、穀物外皮粉、コットンリンター、木材繊維、バカス
等 D.用途 上記本発明のエステル化ポリエステルグラフト化澱粉及
び熱可塑性樹脂組成物の用途としては、下記の如く幅広
い展開が可能である。
インフレーション等によるフィルム化・シート化する。
工に使用して、ラミネート製品、塗工製品を得る。
して機能性を紙・紙加工製品に付与する。
添加して機能性を不織布・不織布加工製品に付与する。
ョン化して使用する。
ー・圧縮成形等により中実ないし発泡体成形品を得る。
澱粉及びその合成方法並びに合成樹脂組成物は、後述の
実施例で支持される如く、成形品等に形成した場合にお
いて、可塑剤の無配合または少量配合で成形品に実用化
レベルの常態物性(乾燥強度)(特に耐衝撃性及び柔軟
性)を容易に得ることができ、しかも、成形品に実用化
レベルの水環境下物性のものが容易に得られる。
ルグラフト化澱粉ないし熱可塑性樹脂組成物からなる成
形品等は、 1)成形品等の応力伸びが10%以上のものが容易に得
られる。
れた。
ム化させる為の、即ち、樹脂弾性率と可塑剤量との比較
において、可塑剤量が大幅に減少ないしは無可塑剤処方
が可能となった。
した。
炭酸カルシウム等)を50wt%まで、良好な成形性を維
持しながら混合できる様になった。
を与えることができた。 という、新しい効果も見いだされた。しかも、生分解性
は尚も確保されている。
基を介して導入したアシル基(エステル)と末端水酸基
が略封鎖されたグラフトポリラクトンとの存在が相乗し
て、分子量の増大とともに、適度な結晶性・極性分布、
内部可塑化、さらには、ほとんどの澱粉アルコール性水
酸基の封鎖及びグラフトポリラクトンの末端水酸基が略
封鎖された等に起因すると推定される。
テルグラフト化澱粉の製造方法は、従来の高度エステル
化澱粉やポリエステルグラフト重合澱粉の製法では予想
されない下記のような作用・効果を奏する。
合)を行う新しい方法の発見により、澱粉の熱解裂によ
る低分子化が防止される。また、澱粉を予めエステル化
/グラフト化の共通触媒により下記式の如く、澱粉のア
ルコール性水酸基を活性化処理(アニオン化)して、ラ
クトングラフト重合反応とエステル化反応を同一系内で
生じさせることができる。 Starch−O- M+ (M+ :金属イオン) これにより、重合反応機構上、ポリエステルホモポリマ
ーの生成を防ぎ、澱粉上に確実にグラフト側鎖を生じさ
せることが可能となる。
り、開環重合の停止を行いながら、同時にグラフトポリ
ラクトン末端水酸基の封鎖が可能となるために、グラフ
ト側鎖の重合度が低くとも生成物は疎水性となり、水中
でのハンドリング・回収が容易となった、即ち、これ
は、毒性の無い、安価な触媒を使用して、側鎖重合度の
色々異なったエステル化ポリエステルグラフト重合澱粉
の製造が、反応制御容易に可能ということを意味してい
る。
較例と共に行った実施例について説明をするが、本発明
はそれらの実施例により、何等制約を受けるものではな
い。なお、以下の説明で配合単位を示す「部」は、とく
に断らない限り重量単位を意味する。 A−1.エステ
ル化ポリエステルグラフト化澱粉の調製(合成): [実施例1] 図1に示す処方により、澱粉に触媒と
非水溶媒(極性溶剤)を加えて加温混練したものに、ε
−カプロラクトンを加えてグラフト化後、酢酸ビニルモ
ノマーを加えてエステル化を行って、エステル化ポリエ
ステルグラフト化澱粉を調製した。
を極性溶剤中で糊化後、触媒を加え、さらに、ε−カプ
ロラクトン及びプロピオン酸ビニルモノマーを加えて、
エステル化及びグラフト化を同時的に行って、エステル
化ポリエステルグラフト化澱粉を調製した。
澱粉に触媒と非水溶媒(極性溶剤)を加えて加温混練し
たものに、ε−カプロラクトンを加えてグラフト化後、
酢酸ビニルモノマーを加えてエステル化を行って、エス
テル化ポリエステルグラフト化澱粉を調製した。
換アセチル化澱粉に触媒と水と非水溶媒(極性溶剤)を
加えて加温混練したものに、ε−カプロラクトンを加え
てグラフト化後、酢酸ビニルモノマーを加えてエステル
化を行って、エステル化ポリエステルグラフト化澱粉を
調製した。
理澱粉を極性溶剤中で糊化後、触媒を加え、さらに、無
水酢酸を加えてエステル化を行ない高置換度のエステル
化澱粉を調製した。
に極性溶媒及び触媒(アルカリ金属塩)を加えて攪拌し
たものに、ε−カプロラクトンおよび触媒(トリエチル
アミン)を加えて反応させてグラフト化澱粉を調製し
た。
生成物(澱粉誘導体)について、下記各項目の物性試験
を行った。その結果を表1に示す。
常に悪いので、代わりに有機溶媒(具体的にアセトン)
を使用して回収したものをサンプルとした(以下、同
じ)。
の通りである。
のグルコースユニットに存在する全ての2,3,6位の
反応性水酸基及びグラフト化ポリエステル末端水酸基の
うち、どれだけがエステル結合に変わったかを示す割
合。置換度3が全て変わった状態(100%)。
反応生成物の回収の容易さは、下記表2に示す通りであ
った。
ト化澱粉(アセチル化カプロラクトン開環重合体グラフ
ト化澱粉)、比較例1(高置換度アセチル化澱粉)、比
較例2(ε−カプロラクトン開環重合体グラフト澱粉)
の各々100部に対し、可塑剤(トリアセチン)を、略
同じレベルの引張り弾性率を示すように、それぞれ表示
部数配合して各樹脂組成物を調製した。
ジョン後、射出成形してJIS標準のダンベル試験片、
曲げ試験片、円盤試験片を調製する。
験を下記方法に従って行なった。
応力伸び…JIS K 7113 (2) 吸湿性…上記1号形小型試験片を23℃・75%湿
度に96時間保存後の重量増加を保存前の重量に対して
比率で表した。
℃の冷水中に24時間浸漬した後の重量増加を保存前の
重量に対して比率で表した。(表面水分は除く) それらの試験結果を、表3に示すが、実施例1は、比較
例1・2に比して、同じレベルの引張弾性率を得るため
に、可塑剤の量が少なくて済むと共に、引張強度・靱性
等においても優れ、さらには、耐水性、吸水性等の水分
環境下物性も格段に向上していることが分かる。
プロラクトングラフト化澱粉)、比較例1、及び比較例
2の各生成物100部に対し、可塑剤(トリプロピオニ
ン)を表4に示す各部数配合してフィルムの伸び率が略
合致するように、各樹脂組成物を調製した。
ージョンして、厚さ30μのフィルムを作成する。
クラフト紙にヒートシールラミネートを行ってラミネー
ト紙を調製する。 該ラミネート紙を用いて、下記項目
を物性試験を下記方法に従って行った。
40 (3) 耐折強度……JIS P8114 この、耐折強度
はフィルムの可塑剤保持力の尺度となる。
2は、比較例1・2に比して、耐水蒸気透過性、耐水性
等の水分環境下物性も格段に向上していることが分か
る。さらに、可塑剤保持性も実施例2は、比較例1・2
のいずれに比しても格段に高いことが分かる。
ラクトングラフト化澱粉)、比較例1及び比較例2の各
生成物に100部に対して、可塑剤(トリアセチン)及
びフィラー(タルク)を表5に示す各部数配合して各樹
脂組成物を調製した。
形によりJIS標準曲げ試験片(JIS K 7203)を調製
し、各試験片について曲げ強度と曲げ弾性率を測定し
た。
(65%)2次(35%)3次(30%)、射出成形機
=日精樹脂工業製PS−40 それらの試験結果を表5に示すが、実施例3は、比較例
1・2に比して、無機質フィラーを多量に配合でき、か
つ、等量フィラー配合においては、曲げ弾性率が小さ
く、剛さの低い成形品が得易いことが分かる。
ラクトングラフト化澱粉)、比較例1のそれぞれ1gを
20gの頁岩土壌に混ぜ、最大容水量60%となるよう
に水を加え、炭酸ガス発生量測定装置を使って、25℃
で、分解により発生する炭酸ガス量を測定して生分解性
の試験を行った。
4は、比較例1・2に優るとも劣らない生分解性が維持
されていることが分かる。
成物について、ガラス転移点を「島津熱流束示差走査熱
量計DSC−50」で、下記条件により分析した。
ミニウム、 ガス種類/流量:窒素/50.00mL/min 加熱速度:10℃/min 、ホールド温度:220℃ それらの試験結果を表7に示すが、実施例1は、比較例
1に比してガラス転移温度が低温側にも存在し、可塑剤
なしでも成形可能であることが分かる。
澱粉の調製処方を示す流れ図
澱粉の調製処方を示す流れ図
澱粉の調製処方を示す流れ図
澱粉の調製処方を示す流れ図
れ図
れ図
Claims (13)
- 【請求項1】 エステル化と共に、ポリエステルのグラ
フト化がなされている澱粉であって、 前記エステル化の対応酸が、炭素数2〜18の飽和・不
飽和脂肪酸類、芳香族カルボン酸類の1種または2種以
上から選択され、 前記ポリエステルが、環員数4〜12の1種または2種
以上から選択されるラクトンの開環重合体であり、末端
水酸基が略エステル封鎖されている、 ことを特徴とするエステル化ポリエステルグラフト化澱
粉。 - 【請求項2】 請求項1において、前記エステル化の置
換度(DS)が0.1〜3.0であり、前記ポリエステ
ルのグラフト化分子置換度が0.1〜20であることを
特徴とするエステル化ポリエステルグラフト化澱粉。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載のエステル化ポ
リエステルグラフト化澱粉を合成する方法であって、 ビニルエステルまたは酸無水物・塩化物をエステル化試
薬とし、ラクトンをグラフト化試薬として、非水有機溶
媒中でエステル化/グラフト化触媒を使用して澱粉と反
応させ、前記エステル化及びグラフト化の両反応を同時
的または逐次的に行うことを特徴とするエステル化ポリ
エステルグラフト化澱粉の合成方法。 - 【請求項4】 請求項3において、前記非水有機溶媒
が、澱粉溶解性の有機溶媒、及び/又は澱粉非溶解
性であって、ビニルエステル・ラクトン・エステル化グ
ラフト化澱粉溶解性(相溶性)の有機溶媒、であること
を特徴とするエステル化ポリエステルグラフト化澱粉の
合成方法。 - 【請求項5】 請求項3又は4において、前記エステル
化/グラフト化触媒が、周期表中第5周期までに属す
る金属の水酸化物・鉱酸塩・炭酸塩又は金属アルコキシ
ドジメチルアミノピリジン等の有機物層間転移触媒、
及び、第4級アンモニウム塩等のアミノ化合物、の各
群のいずれかから選択されることを特徴とするエステル
化ポリエステルグラフト化澱粉の合成方法。 - 【請求項6】 請求項3〜5のいずれかにおいて、前記
エステル化及び/又はグラフト化触媒を、原料澱粉に予
め含浸させておくことを特徴とするエステル化ポリエス
テルグラフト化澱粉の合成方法。 - 【請求項7】 請求項5又は6において、前記エステル
化/グラフト化触媒として、アルカリ金属水酸化物、塩
基性アルカリ金属塩及び金属アルコキシドのいずれかで
あることを特徴とするエステル化ポリエステルグラフト
化澱粉の合成方法。 - 【請求項8】 請求項7において、澱粉に前記エステル
化/グラフト化触媒及び澱粉溶解性の非水有機溶媒を加
えて加温混練後、前エステル化試薬を加えて反応をさせ
た後、グラフト化試薬を加えて反応させることを特徴と
するエステル化ポリエステルグラフト化澱粉の合成方
法。 - 【請求項9】 請求項7において、高置換度エステル化
澱粉(DS:2.0以上)に、前記エステル化/グラフ
ト化触媒及び脱エステル化試薬として水を添加して脱エ
ステル化後、グラフト化試薬を加えて反応させ、続いて
エステル化試薬を加えて反応させることを特徴とするエ
ステル化ポリエステルグラフト化澱粉の合成方法。 - 【請求項10】 生分解性を有する熱可塑性樹脂組成物
において、 ベースポリマーの全部または一部が、請求項1または2
に記載のエステル化ポリエステルグラフト化澱粉で構成
され、必要に応じて副資材として生分解性可塑剤及び/
又はフィラーが配合されてなることを特徴とする熱可塑
性樹脂組成物。 - 【請求項11】 請求項10において、前記ベースポリ
マーとしてエステル化ポリエステルグラフト化澱粉に混
合されるポリマーが、エステル及び/又はエーテル系澱
粉誘導体、及び、それぞれ生分解性ポリエステル、セル
ロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリラクトンの
群から1種または2種以上が選択されることを特徴とす
る熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項12】 請求項10または11において、前記
生分解性可塑剤として、フタル酸エステル、芳香族カル
ボン酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、脂肪酸エス
テル誘導体、リン酸エステル、ポリエステル系可塑剤、
エポキシ可塑剤、及び高分子系可塑剤のいずれかから1
種または2種以上が選択されることを特徴とする熱可塑
性樹脂組成物。 - 【請求項13】 請求項10〜12のいずれかにおい
て、前記フィラーとして、天然系無機質フィラー、天然
系有機質フィラー、及び合成系フィラーのいずれかから
1種または2種以上が選択されることを特徴とする熱可
塑性樹脂組成物。
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