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JP2742569B2 - ω3位及びω6位に2重結合を有する高度不飽和脂肪酸エステルの分離方法 - Google Patents

ω3位及びω6位に2重結合を有する高度不飽和脂肪酸エステルの分離方法

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Publication number
JP2742569B2
JP2742569B2 JP1203793A JP20379389A JP2742569B2 JP 2742569 B2 JP2742569 B2 JP 2742569B2 JP 1203793 A JP1203793 A JP 1203793A JP 20379389 A JP20379389 A JP 20379389A JP 2742569 B2 JP2742569 B2 JP 2742569B2
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JP
Japan
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fatty acid
acid ester
adsorption
mixture
ethyl ester
Prior art date
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Expired - Lifetime
Application number
JP1203793A
Other languages
English (en)
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JPH0368698A (ja
Inventor
義美 白戸
憲治 下川
光則 志村
誠也 広浜
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chiyoda Corp
Original Assignee
Chiyoda Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
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Publication date
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Priority to JP1203793A priority Critical patent/JP2742569B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】 (技術分野) 本発明は、油脂由来の不飽和脂肪酸エステル混合物か
ら、少なくともω3位及びω6位に2重結合を有する高
度不飽和脂肪酸エステルを分離する方法に関するもので
ある。
(従来技術及びその問題点) γ−リノレン酸や、エイコサペンタエン酸、ドコヘコ
サエン酸等のω3位とω6位に2重結合を有する高度不
飽和脂肪酸は、必須脂肪酸と呼ばれ、動物体の健康の維
持に不可欠のものであるが、動物体内では生合成ができ
ないことから、外部から摂取する必要のある化合物であ
る。
このような必須脂肪酸は、魚油や、植物油、菌体油等
の油脂中にトリグリセリドの形で存在する。油脂中から
必須脂肪酸成分を分離するための方法としては、油脂を
エステル交換反応させて脂肪酸エステル混合物となした
後、この混合物を、尿素アダクト法(特願昭57−187397
号、特開昭58−8037号、特開昭60−133094号、特開昭62
−72793号)や、晶析法(特開昭59−67241号等)、分配
クロマト法(特開昭60−208940号)で処理する方法が提
案されているが、工業的見地から見た場合、未だ満足し
得る方法ではなかった。即ち、尿素アダクト法では目的
物の分離係数が小さいため高純度製品を得ることは難し
い。晶析法では極めて低い温度まで冷却する必要がある
ことから経済的に不利な上、目的物の分離係数も低いこ
とから高純度製品を得ることが困難である。分配クロマ
ト法では、カラムの吸着容量が小さく、しかも高価なカ
ラムを多量に使用する必要がある上、製品が溶離液で薄
められてしまうという問題があり、実用的な方法とはな
り得ない。
特開昭63−264555号公報によれば、γ−リノレン酸エ
ステルを分離するために、ゼオライト吸着剤を用いた吸
着分離法が提案されている。しかし、この分離方法では
操作法が回分式であるため吸着剤及び脱着剤の所要量が
得られる製品に比べて非常に多くなると共に運転操作が
煩雑となり工業的に有利な方法とは言えない。また、脂
肪酸エステルの連続吸着分離法に関しては、例えば、特
開昭54−119503号、特開昭55−136248号等に記載されて
いるが、これらの分離方法は、あくまでも脂肪酸エステ
ル混合物からそれに含まれる飽和脂肪酸成分を高純度で
分離することを目的としたもので、必須脂肪酸成分の分
離を開示するものではない。
(発明の課題) 本発明は、油脂由来の不飽和脂肪酸エステル混合物か
ら、それに含まれる少なくともω3位及びω6位に2重
結合を有する高純度不飽和脂肪酸エステルを分離する方
法を提供することをその課題とする。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ね
た結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、油脂由来の不飽和脂肪酸
エステル混合物からそれに含まれる少なくともω3位及
びω6位に2重結合を有する高度不飽和脂肪酸エステル
を分離するにあたり、該不飽和脂肪酸エステル混合物か
ら分離された同一炭素数留分を、IA族金属カチオンで置
換されたホージャトイト型ゼオライト吸着剤及び下記一
般式(I)又は(II)で表わされる脱着剤を含む擬似移
動床吸着分離装置に導入して該吸着剤及び脱着剤と接触
させ、該吸着分離装置から少なくともω3位及びω6位
に2重結合を有する高度不飽和脂肪酸エステルをエクス
トラクトとして分離することを特徴とするω3位及びω
6位に2重結合を有する高度不飽和脂肪酸エステルの分
離方法が提供される。
(式中、R1及びR2は水素又は低級アルキル基である) R3−O−R4 (II) (式中、R3及びR4は低級アルキル基である) 本発明において用いる原料は、油脂由来の不飽和脂肪
酸エステル混合物である。このような原料は、油脂を加
水分解した後エステル化することによって、あるいは油
脂を直接エステル交換することによって得ることができ
る。この場合、不飽和脂肪酸エステルとしては、メチル
エステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチル
エステル等のアルキルエステルが挙げられる。また、油
脂としては、イワシ油、ニシン油等の魚油、月見草油、
パーム油等の植物油、モルティエレラ属菌やアスペルギ
ス属菌等の菌体から得られる菌体油等が挙げられる。
本発明においては、先ず、不飽和脂肪酸エステル混合
物から、所望するω3位とω6位に2重結合を有する高
度不飽和脂肪酸エステル成分(以下、単に必須脂肪酸エ
ステル成分とも言う)と同一炭素数を有する留分を分離
する。この分離は、蒸留処理や溶剤抽出法等の従来公知
の方法を採用することができる。この同一炭素数留分の
分離は、同一炭素数の脂肪酸エステル成分が、90重量%
以上、好ましくは95重量%以上となるように行う。
次に、このようにして分離された同一炭素数留分は、
これを吸着剤及び脱着剤を含む擬似移動床吸着分離装置
に導入して吸着分離処理を行ない、必須脂肪酸エステル
をエクストラクトとして分離する。このエクストラクト
は、必須脂肪酸エステルと脱着剤とからなるもので、こ
れを蒸留処理することにより、必須脂肪酸エステルを回
収することができる。
前記同一炭素数留分の吸着分離においては、IA族金属
の中から選ばれた少なくとも1種の金属カチオンで置換
されたホージャサイト型ゼオライト吸着剤が用いられ
る。
このホージャサイト型ゼオライトは、次の一般式で表
わされる結晶性アルミノシリケートである。
0.9±M2O:Al2O3:xSiO2:yH2O 前記式中、MはIA族金属カチオンであり、ナトリウ
ム、カリウム、リチウムが挙げられる。ホージャサイト
型ゼオライトはX型とY型とに分類され、X型の場合、
Xは2.5±0.5であり、Y型の場合、xは3〜6である。
yは水和の程度により異なるが、一般には0〜9であ
る。
本発明で用いるホージャサイト型ゼオライトは、その
構造の一部を変更してもよく、例えば、脱アルミ処理を
施してもよく、場合によっては他の金属を含有させても
よい。本発明においては、Y型のものの使用が好まし
い。本発明において用いるホージャサイト型ゼオライト
は、IA族金属カチオンで置換されていることが必要であ
る。カルシウムやマグネシウム等の多価金属イオンで置
換されたものを用いると、吸着分離に際し、不飽和脂肪
酸エステルの重合反応が生じて良好な結果を得ることが
できない。
本発明における脱着剤としては、前記一般式(I)又
は(II)で表わされる化合物を用いる。両者を混合して
用いることも有効である。アルコールやエステルを用い
ても、必須脂肪酸エステルの有効な分離を行うことがで
きない。
前記一般式(I)で示される脱着剤としては、例え
ば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、
イソプロピルベンゼン、n−プロピルベンゼン等が挙げ
られる。また、一般式(II)で示される脱着剤として
は、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ
イソプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等が挙げ
られる。
本発明者の研究によれば、前記一般式(I)及び(I
I)で表わされる化合物のゼオライト吸着剤に対する吸
着強度及び脱着強度は、必須脂肪酸エステルに比べ、そ
れぞれ強すぎもせずかつ弱すぎることもなく、脱着剤と
して非常にすぐれた特性を有することが見出された。
本発明における吸着分離は、擬似移動床方式によって
実施される。擬似移動床方式による吸着分離は、既に確
立された技術であり、キシレン異性体混合物の吸着分離
に適用されており、例えば、特公昭42−15681号公報、
特公昭50−10547号公報等に記載されている。このよう
な吸着分離技術においては、必須脂肪酸エステルと脱着
剤とからなるエクストラクトが得られ、必須脂肪酸エス
テル以外の脂肪酸エステル成分と脱着剤とからなるラフ
ィネートが得られる。これらのエクストラクト及びラフ
ィネートは蒸留処理に付されてそれぞれの成分に分離さ
れ、そして分離された脱着剤は再び循環使用される。
次に、擬似移動床方式による吸着分離技術についてさ
らに詳述すると、この吸着分離技術は、基本的操作とし
て次に示す吸着操作、濃縮操作、脱着操作及び脱着剤回
収操作を連続的に循環して実施される。
(1)吸着操作:必須脂肪酸エステルを含む混合物が吸
着剤と接触し、強吸着成分として必須脂肪酸エステルが
選択的に吸着され、弱吸着成分である他の成分が、ラフ
ィネート流れとして脱着剤とともに回収される。
(2)濃縮操作:必須脂肪酸エステルを選択的に吸着し
た吸着剤は後で述べるエクストラクトの一部と接触させ
られ、吸着剤上に残存している弱吸着成分が追い出さ
れ、必須脂肪酸エステルが濃縮される。
(3)脱着操作:濃縮された必須脂肪酸エステルを含む
吸着剤は、脱着剤と接触させられ、必須脂肪酸エステル
が吸着剤から追い出され、脱着剤を伴なってエクストラ
クト流れとして回収される。
(4)吸着剤回収操作:実質的に吸着剤のみを吸着した
吸着剤は、ラフィネート流れの一部と接触し、吸着剤に
含まれる脱着剤の一部が脱着剤回収流れとして回収され
る。
第1図に擬似移動床による吸着分離装置の模式図を示
す。この図において、1〜12は吸着剤の入った吸着室で
あり、相互に連結されている。13は脱着剤供給ライン、
14はエキストラクト抜出ライン、15は原料供給ライン、
16はラフィネート抜出ライン、17はリサイクルラインを
示す。図面に示した吸着室1〜12と各ライン13〜16の配
置状態では、吸着室1〜3で脱着操作、吸着室4〜7で
濃縮操作、吸着室7〜10で吸着操作、吸着室11〜12で脱
着剤回収操作がそれぞれ行われている。
このような擬似移動床吸着分離装置では、一定時間間
隔ごとに、バルブ操作により、各供給及び抜出ラインを
液流れ方向に吸着室1室分だけそれぞれ移動させる。従
って、次の吸着室の配置状態では、吸着室2〜4で脱着
操作、吸着室5〜7で濃縮操作、吸着室8〜11で吸着操
作、吸着室12〜1で脱着剤回収操作がそれぞれ行われる
ようになる。このような操作を順次行うことによって、
吸着分離処理が達成される。なお、図面においては、吸
着室は12個に特定されているが、この吸着室の数は限定
されるものではないことを留意すべきである。
次に、擬似移動床により吸着分離を行う場合の具体的
操作条件を示す。
(i)脱着操作帯域 L(I)/S(I)>0.3A+L(IV)/S(IV) (式中、L(I)は脱着操作帯域を流れる液流量(cc/h
r)、S(I)は脱着操作帯域を移動する吸着剤流量(c
c/hr)、L(IV)は脱着剤回収帯域を流れる液流量(cc
/hr)、S(IV)は脱着剤回収帯域を移動する吸着剤流
量(cc/hr)を各示す) (ii)濃縮操作帯域 L(II)/S(II)>0.1/A+L(IV)/S(IV) (式中、L(II)は濃縮操作帯域を流れる液流量(cc/h
r)、S(II)は濃縮操作帯域を移動する吸着剤流量(c
c/hr)を各示す) (iii)吸着操作帯域 L(III)/S(III)<0.6A+L(IV)/S(IV) (式中、L(III)は吸着操作帯域を流れる液流量(cc/
hr)、S(III)は吸着操作帯域を移動する吸着剤流量
(cc/hr)を各示す) (iv)脱着剤回収操作帯域 0.8<L(IV)/S(IV)<1.3 (式中、L(IV)は脱着剤回収操作帯域を流れる液流量
(cc/hr)、S(IV)は脱着剤回収操作帯域を移動する
吸着剤流量(cc/hr)を各示す) 前記式中のAの値は、エイコサペンタエン酸エチルエ
ステルの分離を行なう場合:1.0〜5.0、ドコサヘキサエ
ン酸エチルエステルの分離を行なう場合:0.5〜3.0、γ
−リノレン酸エチルエステルの分離を行なう場合:1.0〜
4.2の値となり、予備実験により適当に決める。
吸着分離における温度は、30〜200℃、好ましくは60
〜100℃であり、圧力は常圧〜50kg/cm2G、好ましくは3
〜30kg/cm2Gである。
(発明の効果) 本発明によれば、油脂由来の不飽和脂肪酸エステル混
合物から、それに含まれる必須脂肪酸エステルを効率よ
くかつ高純度で連続的に分離することができる。
(実施例) 次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
なお、以下において吸着剤の吸着特性を表わす指標と
して用いた必須脂肪酸エステル(IA)を基準とした相対
分離係数β(IA/i)及びβ(IA/D)は、それぞれ成分i
及び脱着剤に対するものを示し、以下の式で表わされ
る。
β(IA/i)=K(IA)/K(i) β(IA/D)=K(IA)/K(D) 前記式中、K(IA)、K(i)及びK(D)は、それ
ぞれ、必須脂肪酸エステル、i成分及び脱着剤の各固液
平衡定数であり、次の式で定義される。
相対分離係数β(IA/i)が1より大きい値を示すほど
必須脂肪酸エステルがその混合成分iよりも吸着剤に強
く吸着することを意味する。逆に、β(IA/i)が1に近
いか又は1より小さい値を示す混合成分iは、必須脂肪
酸エステルと同等又はそれより強く吸着剤に吸着するこ
とを示す。必須脂肪酸エステルを高純度で分離する点か
らは、相対分離係数β(IA/i)は必須脂肪酸エステルの
相対分離係数の2倍以上の値であることが好ましい。
参考例1 (1)エステル交換 イワシ油又はモルテイエレラ菌体油(トリグリセライ
ド)15kgとエタノール1.5kgとを混合し、この混合物に
触媒としてナトリウムエチラート30gを加え、80〜90℃
で約2時間エステル交換反応を行なった。
次いで得られた反応生成物を飽和食塩水約3.0kgと混
合し、高級脂肪酸エチルエステル混合物からなる油相を
採取した。このイワシ油から得られた高級脂肪酸エチル
エステル混合物の組成をガスクロマトグラフィーで測定
した結果を表−1に示す。また、モルテイエラ菌体油か
ら得られた高級脂肪酸エチルエステル混合物の組成をガ
スクロマトグラフィーで測定した結果を表−2に示す。
なお、表−1、表−2及び以下において示す「CX:y」
は、炭素数Xの脂肪酸のエチルエステルで、不飽和結合
をy個有するものを意味する。従って、EPA(エイコサ
ペンタエン酸)エチルエステルは、「C20:5」で表わさ
れ、DHA(ドコヘキサエン酸)エチルエステルは「C22:
5」で表わされ、γ−リノレン酸エチルエステルは「C1
8:3」で表わされる。
(2)吸着実験 前記エステル交換により得られた表−1及び表−2に
示したイワシ油又はモルテイエラ菌体油由来の脂肪酸エ
チルエステル混合物を用いて吸着実験を以下のようにし
て行なった。
各エステル混合物を2g、希釈剤としてイソオクタン6g
及び吸着剤としてナトリウム型Y型ゼオライト4gを三角
フラスコに入れ、よく撹拌した後、一昼夜放置した。次
に、液相の試料(ラフィネート)を採取した後、フラス
コ内の液相を廃棄し、イソオクタンを投入して、ゼオラ
イトに吸着していないエチルエステルを洗浄、除去し
た。最後に、フラスコにエタノールを投入し、ゼオライ
トに吸着しているエチルエステル混合物を脱着させた。
フラスコの液相をすべてビーカーに採取し、次いでフラ
スコに新たにエタノールを投入してゼオライトを洗浄
し、再び、フラスコ内の液相をビーカーに採取すること
により、吸着していたエチルエステル混合物をすべてビ
ーカーに採取した。このビーカー内の液相をエクストラ
クトとし、先に採取したラフィネートの組成と、このエ
クストラクトの組成をガスクトマトグラフィーにより測
定し、その測定結果に基づいて相対分離係数を求めた。
その結果を表−3及び表−4に示した。表−3はイワシ
油エステルについての結果、及び表−4は菌体油エステ
ルについての結果を示す。
表−3及び表−4に示した結果から、同一炭素数の脂
肪酸エステル中では、不飽和結合数の多い脂肪酸エステ
ルほど吸着が強く、また、不飽和結合数は数が同一でも
炭素数が異なることにより吸着力が異なることがわか
る。従って、これらの混合物より、必須脂肪酸エステル
であるγ−リノレン酸エチル、エイコサペンタエン酸エ
チル及びドコサヘキサエン酸エチルをそれぞれ高純度で
分離するためには、予め蒸留や溶剤抽出などの方法によ
り同一炭素数の脂肪酸エステルに富む成分に分離するこ
とが不可欠であることがわかる。
(4)蒸留処理 前記表−1及び表−2で示した各高級脂肪酸エチルエ
ステル混合物1.0kgを、内径20mm、高さ180mmのマクマホ
ンパッキンを充填した回分式蒸留装置により蒸留処理し
た。蒸留時の圧力は1mmHg、還流比20とした。この結
果、イワシ油から得られたエチルエステル混合物より、
炭素数が20の脂肪酸のエチルエステル混合物(C20留
分)が170g、また炭素数22の脂肪酸のエチルエステル混
合物(C22留分)が103g得られた。これらの留分の組成
をガスクロマトグラフィーで測定した結果を表−5及び
表−6にそれぞれ示す。
また、同様にしてモルテイエラ菌体油から得られたエ
チルエステル混合物1.0kgから炭素数18の留分が約100g
得られた。この炭素数18の脂肪酸エステル混合物の組成
をガスクロマトグラフィーで測定した結果を表−7に示
す。
参考例2 (1)脱着剤の存在下におけるEPAエチルエステル(C
20:5)を基準とした相対分離係数を求めるために、前記
表−5で示したC20留分2g、脱着剤2g、及び希釈剤(イ
ソオクタン)2gを三角フラスコに入れ、ホージャサイト
型のイオン交換金属種がNaであるY型ゼオライト4gをこ
のフラスコに投入してよく撹拌した後、一昼夜放置し
た。次に、液相の試料(ラフィネート)を採取した後、
フラスコ内の液相を廃棄し、イソオクタンを投入して、
ゼオライトに吸着していないエチルエステルを洗浄、除
去した。最後に、フラスコにエタノールを投入し、ゼオ
ライトに吸着しているエチルエステル混合物を脱着させ
た。フラスコの液相をすべてビーカーに採取し、次いで
フラスコに新たにエタノールを投入してゼオライトを洗
浄し、再び、フラスコ内の液相をビーカーに採取するこ
とにより、吸着していたエチルエステル混合物をすべて
ビーカーに採取した。このビーカー内の液相をエクスト
ラクトとし、先に採取したラフィネートの組成と、この
エクストラクトの組成をガスクトマトグラフィーにより
測定した。これらの測定結果に基づき、EPAエチルエス
テル(C20:5)を基準とする各成分の相対分離係数βを
算出した。その結果を表−8に示す。なお、吸着剤の吸
着容量は0.2〜0.3g/gであった。
(2)脱着剤存在下におけるDHAエチルエステル(C2
2:6)を基準としたC22成分の相対分離係数を求めるため
に、前記表−6に示したC22留分を用いて、前記(1)
と同様にして吸着試験を行なった。その結果を表−9に
示す。なお、この際の吸着容量は約0.3g/gであった。
(3)γ−リノレン酸エチルエステル(C18:3)を基
準としたC18成分の相対分離係数を求めるために、表−
7に示すC18留分を用いて、前記(1)と同様にして吸
着試験を行なった。その結果を表−10に示す。なお、こ
の際の吸着容量は0.3g/gであった。
比較参考例 参考例2と同様な方法により、EPAエチルエステル、D
HAエチルエステル、γ−リノレン酸エチルエステルを含
む3種の油を原料油として用いるとともに、脱着剤とし
てエタノール、シクロヘキサノール、酢酸プロピルエス
テル、ジエチルケトンを用いて吸着実験を行なった。こ
れらの脱着剤を用いた場合、エクストラクト中には、必
須脂肪酸エステルはほとんど存在せず、脱着剤の吸着力
が強すぎて、本発明における脱着剤としては不適である
ことが確認された。
実施例1 表−5に示したC20留分の吸着分離を、第1図に示し
た擬似移動床連続吸着分離装置を用いて実施し、原料混
合物中からEPAエチルエステルをエクストラクトとして
分離した。
第1図に示した装置において、内容積20cm3の吸着剤
カラム1〜12に参考例1で示した吸着剤を充填した。ラ
イン15から表−5に示した原料油を100cm3/hrで供給
し、ライン13から脱着剤(ベンゼンとp−キシレンの混
合物)を159cm3/hrで供給した。ライン14からエクスト
ラクトを129cm3/hrで抜き出し、ライン16からラフィネ
ートを129cm3/hrで抜きだした。このとき497秒間隔でカ
ラム1を2に、11を10に、7を6に、4を3に同時に移
動させた。吸着温度は40℃、圧力は5kg/cm2Gであった。
この際、エクストラクト中におけるEPAエチルエステル
の濃度は約10wt%であり、EPAエチルエステルの回収率
は98%であった。
次に、得られたエクストラクトから脱着剤を蒸留によ
り除去し、製品EPAエチルエステルを得た。製品中のEPA
エチルエステルの濃度は99wt%以上であった。
実施例2 表−6に示したC22留分の吸着分離を、第1図に示し
た擬似移動床連続吸着分離装置を用いて実施し、原料混
合物中からDHAエチルエステルをエクストラクトとして
分離した。
第1図に示した装置において、内容積50cm3の吸着剤
カラム1〜12に参考例1で示した吸着剤を充填した。ラ
イン15から表−6に示した原料油を100cm3/hrで供給
し、ライン13から脱着剤(ベンゼンとジイソプロピルエ
ーテルの混合物)を280cm3/hrで供給した。ライン14か
らエクストラクトを151cm3/hrで抜き出し、ライン16か
らラフィネートを229cm3/hrで抜きだした。このとき463
秒間隔でカラム1を2に、11を10に、7を6に、4を3
に同時に移動させた。吸着温度は40℃、圧力は5kg/cm3G
であった。この際、エクストラクト中におけるDHAエチ
ルエステルの濃度は約10wt%であり、DHAエチルエステ
ルの回収率は98%であった。
次に、得られたエクストラクトから脱着剤を蒸留によ
り除去し、製品DHAエチルエステルを得た。製品中のDHA
エチルエステルの濃度は99wt%以上であった。
実施例3 表−7に示したC18留分の吸着分離を、第1図に示し
た擬似移動床連続吸着分離装置を用いて実施し、原料混
合物中からγ−リノレン酸エチルエステルをエクストラ
クトとして分離した。
第1図に示した装置において、内容積20cm3の吸着剤
カラム1〜12に参考例1で示した吸着剤を充填した。ラ
イン15から表−7に示した原料油を100cm3/hrで供給
し、ライン13から脱着剤(ベンゼン)を145cm3/hrで供
給した。ライン14からエクストラクトを129cm3/hrで抜
き出し、ライン16からラフィネートを115cm3/hrで抜き
だした。このとき437秒間隔でカラム1を2に、11を10
に、7を6に、4を3に同時に移動させた。吸着温度は
40℃、圧力は5kg/cm2Gであった。この際、エクストラク
ト中におけるγ−リノレン酸エチルエステルの濃度は約
10wt%であり、γ−リノレン酸エチルエステルの回収率
は98%であった。
次に、得られたエクストラクトから脱着剤を蒸留によ
り除去し、製品γ−リノレン酸エチルエステルを得た。
製品中のγ−リノレン酸エチルエステルの濃度は99wt%
以上であった。
【図面の簡単な説明】
第1図は擬似移動床による吸着分離装置の模式図であ
る。 1〜12……吸着室 13……脱着剤供給ライン 14……エクストラクト抜出ライン 15……原料混合物供給ライン 16……ラフィネート抜出ライン 17……リサイクルライン 18……ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 広浜 誠也 神奈川県横浜市保土ケ谷区東川島町63― 2 上星川寮 (56)参考文献 特開 昭63−264555(JP,A) 特開 昭63−290845(JP,A) 特開 昭54−119503(JP,A) 特開 平2−145695(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】油脂由来の不飽和脂肪酸エステル混合物か
    らそれに含まれる少なくともω3位及びω6位に2重結
    合を有する高度不飽和脂肪酸エステルを分離するにあた
    り、該不飽和脂肪酸エステル混合物から分離された同一
    炭素数留分を、IA族金属カチオンで置換されたホージャ
    トイト型ゼオライト吸着剤及び下記一般式(I)又は
    (II)で表わされる脱着剤を含む擬似移動床吸着分離装
    置に導入して該吸着剤及び脱着剤と接触させ、該吸着分
    離装置から少なくともω3位及びω6位に2重結合を有
    する高度不飽和脂肪酸エステルをエクストラクトとして
    分離することを特徴とするω3位及びω6位に2重結合
    を有する高度不飽和脂肪酸エステルの分離方法。 (式中、R1及びR2は水素又は低級アルキル基である) R3−O−R4 (II) (式中、R3及びR4は低級アルキル基である)
  2. 【請求項2】該分離される高度不飽和脂肪酸エステル
    が、γ−リノレン酸エステル、エイコサペンタエン酸エ
    ステル又はドコヘキサエン酸エステルである請求項1の
    方法。
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