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JP2630186B2 - 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム - Google Patents

農業用塩化ビニル系樹脂フィルム

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Publication number
JP2630186B2
JP2630186B2 JP4280210A JP28021092A JP2630186B2 JP 2630186 B2 JP2630186 B2 JP 2630186B2 JP 4280210 A JP4280210 A JP 4280210A JP 28021092 A JP28021092 A JP 28021092A JP 2630186 B2 JP2630186 B2 JP 2630186B2
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JP
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vinyl chloride
chloride resin
coating
phosphate
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一也 木下
賢教 金山
章子 眞田
厚 大林
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Mitsubishi Chemical MKV Co
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Mitsubishi Chemical MKV Co
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Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical MKV Co filed Critical Mitsubishi Chemical MKV Co
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、農業用塩化ビニル系樹
脂フィルムに関する。更に詳しくは、屋外での展張によ
って引き起こされる変色、脆化、防塵性の低下などの好
ましくない劣化現象に対して、耐久性の改良された農業
用塩化ビニル系樹脂フィルムに係わるものである。
【0002】
【従来の技術】従来から農業用被覆資材として使用され
る塩化ビニル系樹脂フィルムは、使用を開始して一年も
経過すると、太陽光線、特に紫外線などにより影響をう
けて外観の劣化や、フィルムの柔軟性の低下などの経時
変化をおこす。更に、最近の改良された農業技術、特に
経済性、省力化を指向した農業技術は、被覆資材に、従
来にもました過酷な条件にも耐える性質を、要求するよ
うになってきている。そのため、耐候性を向上させる目
的で基材の塩化ビニル系樹脂に、有機リン酸エステル又
は、有機リン酸金属塩を添加配合し、フィルム化する技
術が広く採用されている。
【0003】一方、従来の経験からすると、農業用に使
用される軟質塩化ビニル系樹脂フィルムは、展張使用さ
れる地域、場所等によって程度の差はあるが、使用を開
始してから2年も経過すると、ハウスまたはトンネルの
外側に位置している面の防塵性が著しく低下し、使用に
耐えられなくなる。上記欠点を排除する方法として、特
公昭47−28740号公報、特公昭50−31195
号公報、特開昭56−99237号公報、特公昭56−
99665号公報等に記載されているように、特定のア
クリル系樹脂の被膜を、基体の塩化ビニル系樹脂フィル
ムの片面又は両面に形成する方法がある。
【0004】さらに、特開昭51−70282号公報に
は、紫外線吸収剤を配合した特定組成のアクリル系樹脂
の被膜を、基体のフィルム表面に形成する手法が記載さ
れている。しかし、これら手法を用いられる組成のアク
リル系樹脂は、特に夏季の外気温が高い時期に基体フィ
ルムに配合されている添加剤が被膜を通して表面に移行
し、流し去られ消失してしまうのを、完全に抑制するこ
とは困難であり、フィルムを長期間屋外で展張して使用
するには未だ問題があった。又、特開昭61−2156
30号公報、特公昭63−9987号公報等は、アクリ
ル系樹脂の分子量や分子量分布に着目したものである
が、長期の展張を行った場合には諸性能が低下したり、
耐クラック性に劣る等、未だ十分満足し得るものではな
かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は屋外での展張
によって引き起こされる変色、脆化、防塵性の低下など
の好ましくない劣化現象が大幅に改善され、耐久性を向
上させた農業用塩化ビニル系樹脂フィルムの提供を目的
とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、塩化ビニ
ル系樹脂フィルムの被膜成分としてリン酸エステル基を
含有するアクリル系樹脂を使用することにより、従来法
による叙上の課題を解決し得ることを見出し本発明に到
達した。即ち、本発明の要旨は、有機リン酸エステルま
たは有機リン酸金属塩を含有する塩化ビニル系樹脂フィ
ルムの片面または両面に、アクリル酸あるいはメタクリ
ル酸のアルキルエステル類とリン酸エステル基を含有す
るアクリル系単量体との、重量比で前者99.9〜70
対後者0.1〜30(両者の合計量を100とする)の
混合物を共重合して得られる、ガラス転移温度が30〜
90℃の範囲にあるアクリル系樹脂の被膜が形成されて
なる農業用塩化ビニル系樹脂フィルムに存する。以下、
本発明を詳細に説明する。
【0007】1.塩化ビニル系樹脂 本発明において塩化ビニル系樹脂とは、ポリ塩化ビニル
のほか、塩化ビニルが主成分を占める共重合体をいう。
塩化ビニルと共重合しうる単量体化合物としては、塩化
ビニリデン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリ
ル、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル
酸、酢酸ビニル等があげられる。これら塩化ビニル系樹
脂は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合
法等の従来公知の製造法のうち、いずれの方法によって
製造されたものであってもよい。
【0008】上記基体となる塩化ビニル系樹脂には、柔
軟性を付与するために、この樹脂100重量部に対し
て、20〜60重量部の可塑剤が配合される。可塑剤の
配合量を上記範囲とすることにより、目的の軟質塩化ビ
ニル成形品に、すぐれた柔軟性と機械的性質を付与させ
ることができる。可塑剤としては、例えば、ジ−n−オ
クチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレー
ト、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、
ジドデシルフタレート、ジウンデシルフタレート等のフ
タル酸誘導体;ジオクチルフタレート等のイソフタル酸
誘導体;ジ−n−ブチルアジペート、ジオクチルアジペ
ート等のアジピン酸誘導体;ジ−n−ブチルマレート等
のマレイン酸誘導体;トリ−n−ブチルシトレート等の
クエン酸誘導体;モノブチルイタコネート等のイタコン
酸誘導体;ブチルオレエート等のオレイン酸誘導体;グ
リセリンモノリシノレート等のリシノール酸誘導体;そ
の他、エポキシ化大豆油、エポキシ樹脂系可塑剤等があ
げられる。
【0009】本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
には、上記塩化ビニル系樹脂に、有機リン酸エステル又
は有機リン酸金属塩が配合されている。有機リン酸エス
テルとしては、トリイソプロピルフェニルホスフェー
ト、イソデシルジフェニルホスフェート、トリクレジル
ホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフ
ェート、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェ
ート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチル
ホスフェート、トリフェニルホスフェート、オクチルジ
フェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等
があるが中でもトリクレジルホスフェート、及びトリキ
シレニルホスフェートが特に好ましい。
【0010】上記の有機リン酸エステルは、単独さらに
複合物にしても使用できる。具体的には、有機リン酸エ
ステルと有機亜リン酸エステルの複合物が挙げられ、有
機亜リン酸エステルには、例えばジフェニルホスホネー
トのようなホスホネート系化合物も含まれる。有機リン
酸金属塩としては、一般式〔I〕または〔II〕で示さ
れるものが挙げられる。
【0011】
【化1】
【0012】(式中、Mは、亜鉛、カルシウム、バリウ
ム、マグネシウム、コバルト又はストロンチウムを意味
する。また、R1 、R2 およびR3 は各々、アルキル、
アリール、アリールアルキル、アルキルアリール又はエ
ーテル結合を有するアルキル基を意味する。) R1 、R2 およびR3 で表わされるアルキル基の例とし
ては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、イソブチル、第2ブチル、第3ブチル、アミル、ネ
オペンチル、イソアミル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘ
プチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシ
ル、デシル、イソデシル、ラウリル、トリデシル、C12
〜C13混合アルキル、ステアリル、シクロペンチル、シ
クロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、4−
メチルシクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0013】アリール基の例としては、フェニル、ナフ
チル基等を挙げることができる。アリールアルキル基の
例としては、ベンジル、β−フェニルエチル、α−フェ
ニルプロピル、β−フェニルプロピル基等を挙げること
ができる。アルキルアリール基の例としては、トリル、
キシリル、エチルフェニル、ブチルフェニル、第3ブチ
ルフェニル、オクチルフェニル、イソオクチルフェニ
ル、第3オクチルフェニル、ノニルフェニル、2,4−
ジ−第3ブチルフェニル基等が挙げられる。
【0014】エーテル結合を有するアルキル基として
は、フルフリル、テトラヒドロフルフリル、5−メチル
フルフリル及びα−メチルフルフリル基、又は、メチル
−、エチル−、イソプロピル−、ブチル−、イソブチル
−、ヘキシル−、シクロヘキシル−、フェニルセロソル
ブ残基;メチル−、エチル−、イソプロピル−、ブチル
−、イソブチルカルビトール残基;トリエチレングルコ
ールモノメチルエーテル、−モノエチルエーテル、−モ
ノブチルエーテル残基;グリセリン1,2−ジメチルエ
ーテル、−モノエチルエーテル、−モノブチルエーテル
残基;グリセリン1,2−ジメチルエーテル、−1,3
−ジエチルエーテル、−1−エチル−2−プロピルエー
テル残基;ノニルフェノキシポリエトキシエチル、ラウ
ロキシポリエトキシエチル残基等が挙げられる。
【0015】又、Mで表わされる金属は、亜鉛、カルシ
ウム及びバリウムが特に好ましい。これら有機リン酸エ
ステル又は有機リン酸金属塩は、それぞれ1種又は2種
以上配合することができる。本発明の農業用フィルム
は、有機リン酸エステル及び有機リン酸金属塩を併用す
るのが被膜の形成性、屋外展張性の点から好ましい。有
機リン酸エステル又は有機リン酸金属塩の配合量は、塩
化ビニル系樹脂100重量部に対して0.1〜15重量
部の範囲内、好ましくは、0.2〜10重量部の範囲内
で選ばれる。配合量が0.1重量部未満では軟質塩化ビ
ニル系樹脂フィルムの耐候性及び防塵性は向上しない。
配合量が15重量部より多いとフィルムの透明性が極度
に劣ってしまうので好ましくない。前記範囲内では0.
2〜8重量部の範囲であるのが特に好ましい。
【0016】また、前記塩化ビニル系樹脂には、上記可
塑剤、有機リン酸エステル又は有機リン酸金属塩のほか
に、必要に応じて、成形用の合成樹脂に通常配合される
公知の樹脂添加物、例えば、滑剤、熱安定剤、紫外線吸
収剤、光安定剤、酸化防止剤、安定化助剤、帯電防止
剤、防曇剤、防カビ剤、防藻剤、無機フィラー、着色剤
等を配合することができる。
【0017】本発明に係るフィルムに配合しうる滑剤、
熱安定剤、ないし酸化防止剤としては、例えばポリエチ
レンワックス、ビスアマイド系化合物、流動パラフィ
ン、有機フォスファイト化合物、β−ジケトン化合物等
が挙げられる。以上の各種樹脂添加物は、それぞれ1種
又は数種を組み合わせて使用することができる。上記各
種樹脂添加物の添加量は、フィルムの性質を悪化させな
い範囲、通常は基体の塩化ビニル系樹脂100重量部に
対して、10重量部以下の範囲で選ぶことができる。
【0018】フィルムの基体となる塩化ビニル系樹脂
に、前記可塑剤、有機リン酸エステル又は有機リン酸金
属塩、更に他の樹脂添加物を配合するには、各々必要量
秤量し、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、スー
パーミキサーその他従来から知られている配合機、混合
機を使用すればよい。このようにして得られた樹脂組成
物をフィルム化するには、それ自体公知の方法、例えば
溶融押出成形法(T−ダイ法、インフレーション法を含
む)、カレンダー成形法、溶液流延法等によればよい。
【0019】2.被膜成分 2−1.アクリル酸あるいはメタクリル酸のアルキルエ
ステル類 アクリル酸あるいはメタクリル酸のアルキルエステル類
(以下単に「アクリル系単量体」という)としては、メ
チルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピル
アクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブ
チルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、シク
ロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレ
ート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ト
リデシルアクリレート、ステアリルアクリレート等のよ
うなアクリル酸のC1 〜C22のアルキルエステル類:メ
チルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロ
ピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレー
ト、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタク
リレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチル
ヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデ
シルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステ
アリルメタクリレート等のようなメタクリル酸のC1
22のアルキルエステル類等があげられる。これら単量
体を数種組み合わせて用いてもよい。
【0020】2−2.リン酸エステル基を含有するアク
リル系単量体 リン酸エステル基を含有するアクリル系単量体とは、ア
クリル酸あるいはメタクリル酸のアルキルエステル類の
エステル部分をリン酸エステルで置換したものをいう。
リン酸エステルには、トリアルキルエステル、ジアルキ
ルエステル、モノアルキルエステルがあり、その種類に
応じて、1置換、2置換、3置換となる。
【0021】具体的には例えば、モノ(2−ヒドロキシ
エチルアクリレート)アシドホスフェート、モノ(2−
ヒドロキシエチルメタクリレート)アジドホスフェー
ト、モノ(2−ヒドロキシプロピルアクリレート)アシ
ドホスフェート、モノ(2−ヒドロキシプロピルメタク
リレート)アシドホスフェート、モノ(3−ヒドロキシ
プロピルアクリレート)アシドホスフェート、モノ(3
−ヒドロキシプロピルメタクリレート)アシドホスフェ
ート、モノ(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタ
クリレート)アシドホスフェート、アシドホスホオキシ
ポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、ジ
(2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート)アシド
ホスフェート、ジ(2,3−ジヒドロキシプルピルメタ
クリレート)アシドホスフェート等があげられる。
【0022】3.被膜 3−1.被膜組成物の配合 アクリル系単量体とリン酸エステル基を含有するアクリ
ル系単量体との配合割合は、重量比で前者99.9〜7
0対後者0.1〜30(両者の合計量を100とする)
の割合であり特に好ましいのは、99.5〜80対0.
5〜20である。後者の配合割合がこれより多い場合に
は、塩化ビニル系樹脂フィルムと形成被膜との密着性が
悪くなるので好ましくない。又、逆に後者の配合割合が
これより少ない場合には、形成被膜の防塵性、耐候性を
十分改良することができないので好ましくない。
【0023】単量体の混合物には、その他に単量体と共
重合可能な他の単量体を配合することができる。他の単
量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレ
イン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタ
コン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸類;エ
チレンスルホン酸のようなα,β−エチレン性不飽和ス
ルホン酸類;2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
酸;α,β−エチレン性不飽和ホスホン酸類;アクリル
酸又はメタクリル酸のヒドロキシエチル等の水酸基含有
ビニル単量体;アクリロニトリル類;アクリルアマイド
類;アクリル酸又はメタクリル酸のグリシジルエステル
類等がある。これら単量体は、単独で用いても、または
2種以上の併用でもよい。
【0024】3−2.被膜の重合 アクリル系単量体とリン酸エステル基を含有するアクリ
ル系単量体を規定割合配合した混合物とその他単量体と
共重合可能な他の単量体を有機溶媒ないし水とともに重
合缶に仕込み、重合開始剤、必要に応じて分子量調節剤
を加えて、攪拌しつつ加熱重合して得られる。重合は、
通常公知の方法、例えば懸濁重合法、溶液重合法、ソー
プフリー重合法などが採用される。
【0025】重合に用いる有機溶媒としては、メタノー
ル、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−
ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコ
ール、tert−アミルアルコール、n−ヘキシルアル
コール、シクロヘキサノール等のアルコール類;ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エ
チル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル
イソブチルケトン、ジエチルケトン、2−ヘキサノン、
3−ヘキサノン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソプロ
ピルケトン、ジ−n−アミルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン類;テトラヒドロフラン等があり、これらは
1種もしくは2種以上混合して使用することができる。
使用しうる重合開始剤としては、α,α−アゾビスイソ
ブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハ
イドロパーオキサイド等のラジカル生成触媒があげら
れ、分子量調節剤としてはブチルメルカプタン、n−ド
デシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタ
ン、β−メルカプトエタノール等があげられる。
【0026】又、上記アクリル系樹脂には、これら成分
の外に、補助的な成分、例えば酸化防止剤、中和剤、紫
外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、顔料、染料、防カ
ビ剤、防藻剤、発泡剤、滑剤等を配合することができ、
水又は、有機溶媒に分散及び/又は溶解して用いること
ができる。
【0027】有機溶媒としては、例えば脂肪族炭化水素
としてヘプタン、シクロヘキサン等;芳香族炭化水素と
してベンゼン、トルエン、キシレン等;アルコール類と
してメタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、ポリオキシエチレングリコール等;ハロゲン化炭化
水素としてクロロホルム、四塩化炭化水素、クロルベン
ゼン等;ケトン類としてアセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン等;エステル類としてメチ
ルアセテート、アリルアセテート、エチルステアレート
等;アミン類としてトリメチルアミン、ジフェニルアミ
ン、ヘキサメチレンジアミン等;その他ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド、ジオキサン、ジエチル
エーテル、ジエチレンジチオグリコール、ジアセトンア
ルコール、ベンゾニトリル、ジメチルスルホキサイド等
があり、これら単独もしくは2種以上の併用で使うこと
ができる。
【0028】共重合して得られたアクリル系樹脂のガラ
ス転移温度(Tg)は、30〜90℃の範囲である。こ
のようなTgのものは、使用する単量体の種類及び使用
量(配合量)の選択によって得られる。しかして使用す
るアクリル系樹脂のTgが90℃を超えると、このよう
な樹脂を含む被覆組成物から形成される被膜は可撓性が
不十分で好ましくない。またTgが30℃に満たないと
きは、粘着性があり、汚れが付着しやすく、防塵性の点
で好ましくない。
【0029】3−2.被膜形成 塩化ビニル系樹脂フィルム表面に被膜を形成するには、
成形品の形状に応じて公知の各種方法が適用される。例
えば、溶液状態で被膜を形成する場合は、ドクターブレ
ードコート法、グラビアロールコート法、エヤナイフコ
ート法、リバースロールコート法、ディブコート法、カ
ーテンロールコート法、スプレイコート法、ロッドコー
ト法等の塗布方法が用いられる。
【0030】溶剤の乾燥方法としては、例えば自然乾燥
法、熱風乾燥法、赤外線乾燥法、遠赤外線乾燥法等があ
るが、乾燥速度、安全性を勘案すれば熱風乾燥法が有利
である。この場合の温度条件は50〜150℃の範囲と
し、時間は10秒〜15分の間で選ぶのがよい。また、
溶液状態とせず被膜樹脂を単独の被膜として形成する場
合は、共押出し法、押出しコーティング法、押出しラミ
ネート法、ラミネート法が用いられる。
【0031】本発明において、基体フィルムの表面に形
成させる被膜の厚さは、基体フィルムの厚さの1/10
以下であるのが好ましい。被膜の厚さが基体フィルムの
1/10より大であると、基体フィルムと被膜とでは屈
曲性に差があるため、被膜が基体フィルムから剥離する
等の現象がおこりやすく、また、被膜に亀裂が生じて基
体フィルムの強度を低下させるという現象が生起し、好
ましくない。
【0032】なお、上記被膜組成物を塗布する前に、塩
化ビニル系樹脂フィルムの表面を予め、アルコールまた
は水で洗浄したり、プラズマ放電処理、あるいはコロナ
放電処理したり、他の塗料あるいはプライマーを下塗り
する等の前処理を施しておいてもよい。本発明に係る農
業用塩化ビニル系樹脂フィルムを実際に農業用に使用す
るにあたっては、被膜が片面のみに形成されているとき
は、この被膜の設けられた面を、ハウスまたはトンネル
の外側となるようにして使用する。
【0033】
【発明の効果】本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィル
ムは、基体フィルムとその表面に形成された特定のアク
リル系樹脂被膜組成物に由来する被膜との密着性に富む
ことから、被膜は剥離しにくく、又、長時間、物性及び
防塵性の低下が少ないことから、屋外に展張使用する農
業用フィルムとして好適である。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例にもとづいて詳細に説
明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の例
に限定されるものではない。 実施例1〜5、比較例1〜3
【0035】I.基体フィルムの調製 ポリ塩化ビニル(平均重合度1400)100重量部、
ジオクチルフタレート50重量部、エポキシ化大豆油3
重量部、バリウム−亜鉛系複合液状安定剤1.5重量
部、ステアリン酸バリウム0.2重量部、ステアリン酸
亜鉛0.4重量部、ソルビタンラウレート1.5重量
部、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン0.5重量部
よりなる樹脂組成物を準備し、表2に示した種類及び量
の有機リン酸エステル又は有機リン酸金属塩を配合し
た。各配合物を、スーパーミキサーで10分間攪拌混合
したのち、180℃に加温したミルロール上で混練し、
厚さ0.15mmの基体フィルムを調製した。
【0036】II.被膜樹脂の調製 温度計、攪拌機、還流冷却器および仕込用ノズルを備え
た反応器にアクリル系単量体とリン酸エステル基含有ア
クリル系単量体を表1に示した種類及び量で加え、更に
過酸化ベンゾイル1重量部、イソプロピルアルコール1
50重量部を加えて、窒素ガス気流中で攪拌しつつ、8
0℃で3時間、更に過酸化ベンゾイルを0.5重量部添
加して反応を約3時間、同温度で継続してアクリル系樹
脂であるa〜gを得た。得られた樹脂のTgは表1に示
した。
【0037】III.被膜の形成 I記載の方法で調製した基体フィルムの片面に、IIで
調製した被膜樹脂を、♯5バーコーターを用いて、各々
塗布した。塗布したフィルムを130℃のオーブン中に
て1分間保持して、溶剤を揮散させた。得られた各フィ
ルムの被膜の量は約3g/m2 であった。
【0038】IV.フィルムの評価 以下の方法において8種のフィルムの各性能を評価し、
その結果を表3に示した。 (i)初期外観 フィルム外観を肉眼で観察した。この評価基準は、次の
とおりである。 ◎・・無色で、透明性に優れるもの。 ○・・やや白色を呈するが、透明性を有するもの。 △・・白色を呈し、半透明であるもの。 ×・・白濁し、失透しているもの。
【0039】(ii)被膜の柔軟性 各フィルムを、幅5cm、長さ15cmに切断し、長さ方向
に対して直角の方向に、2cmの間隔で交互に折り返し
た。この状態で、上から2kgの荷重をかけ、15℃に保
持した恒温槽内に24時間放置した。ついで、荷重をと
り、フィルムの折り目をのばして、被膜の外観を肉眼で
観察した。 ◎・・折り目部分の被膜に変化が全く認められないも
の。 △・・折り目部分の被膜に、クラックが認められるも
の。 ×・・折り目部分の被膜に、クラックが著しく認められ
るもの。
【0040】(iii)屋外展張試験 各フィルムを、三重県一志郡の試験圃場に設置した屋根
型ハウス(間口3m、奥行き5m、棟高1.5m、屋根
勾配30度)に、被膜を設けた面をハウスの外側にして
被覆し、平成2年6月から平成4年6月までの2年間展
張試験を行った。展張したフィルムについて、以下の方
法により、フィルムの外観試験、フィルムの伸度保持率
を測定し、展張試験中のフィルムについて、防塵性を評
価した。・フィルムの外観:外観を肉眼で観察したも
の。評価基準は、次のとおりである。 ◎・・変色等の外観変化が認められないもの。 ○・・わずかな変色等の外観変化が一部認められるも
の。 △・・変色等の外観変化がかなり認められるもの。 ×・・全面に変色が認められるもの。
【0041】・フィルムの伸度保持率:次式により算出
した値を意味する。 (展張後のフィルムの伸度)÷(展張前のフィルムの伸
度)×100(%) ・防塵性:次式により算出した値から評価した。 (展張後、経時的に回収したフィルムの光線透過率)÷
(展張前のフィルムの光線透過率*)×100(%) *波長555mμにおける直光線透過率(日立製作所
製、EPS−2U型使用) 測定結果の表示は、次のとおりとした。 ◎・・展張後の光線透過率が展張前の90%以上のも
の。 ○・・展張後の光線透過率が展張前の70〜89%の範
囲のもの。 △・・展張後の光線透過率が展張前の50〜69%の範
囲のもの。 ×・・展張後の光線透過率が展張前の50%未満のも
の。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大林 厚 愛知県名古屋市中村区岩塚町大池2番地 三菱化成ビニル株式会社名古屋工場内 (56)参考文献 特開 平4−250037(JP,A) 特開 昭63−137933(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機リン酸エステルまたは有機リン酸金
    属塩を含有する塩化ビニル系樹脂フィルムの片面または
    両面に、アクリル酸あるいはメタクリル酸のアルキルエ
    ステル類とリン酸エステル基を含有するアクリル系単量
    体との、重量比で前者99.9〜70対後者0.1〜3
    0(両者の合計量を100とする)の混合物を共重合し
    て得られる、ガラス転移温度が30〜90℃の範囲にあ
    るアクリル系樹脂の被膜が形成されてなる農業用塩化ビ
    ニル系樹脂フィルム。
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JPS63137933A (ja) * 1986-12-01 1988-06-09 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co Ltd 被覆用組成物およびそれを塗装してなる表面特性に優れた樹脂成形品
JPH04250037A (ja) * 1991-01-17 1992-09-04 Mitsubishi Kasei Vinyl Co 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム

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