JP2607713B2 - 土作業用ビットアセンブリ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は一般的に土作業用ビットアセンブリに関し、
さらに詳しくは地均し用のカーバイド挿入物を利用した
ビットアセンブリに関する。

背景技術 硬化された挿入切断刃を利用した土作業用ビットアセ
ンブリは、多くのタイプの地均し作業において通常用い
られている。特に限定されるものではないが、多くのビ
ットアセンブリはモータグレーダの撥土板のアタッチメ
ントとして使用されている。

モータグレーダのビットアセンブリがさらされる土砂
の状態が数多くあるために、モータグレードのビットア
センブリの多くの改良が開発されている。柔らかな土を
均すためには、撥土板の下端エッジにボルト止めされた
一つの交換可能な切断刃が適している。しかし、硬くて
起伏が多く研磨性のある土の層を耕す必要があるときに
は、上述したような連続した鋼製の切断刃は不適当であ
る。

切断刃の寿命を延ばすためには通常タングステンカー
バイドから形成されている硬化された挿入物を付加する
だけで良いことが広く知られている。グレーダ用のビッ
トアセンブリの一つが1970年９月22日にE.W.Stephenson
に対して発行された米国特許第3,529,677号に示されて
いる。この構造においては、切断刃アタッチメントの底
部表面の全長に沿って形成された連続したスロット中に
複数のカーバイド挿入物が並んでロー付けされる。この
グレーダ用のビットアセンブリは切断刃の寿命を延ばす
ものではあるが、その利用によっては多くの問題点が残
っている。硬く突き硬められた土層においては、連続し
た切断刃はブレードが地面の上部部分を貫通することを
妨げ、ブレードは地面の表面部分を滑りやすくなる。

連続した切断刃の他の不利益は、土の表面が非常に研
磨性がある岩のように詰め込まれた状態のときに明らか
となる。硬化された挿入物により形成された連続した切
断刃は、硬く岩のように詰め込まれた地面表面による強
い力が刃先に加わるためにクラックが入り破片になりや
すい。多くのカーバイド挿入物が抜け出てしまい、それ
により不連続な刃先となって高価なカーバイドを早い時
期に失うことになる。カーバイドが破壊されるか或いは
抜け出た場合には、鋼製の刃は非常に早い速度で摩耗す
る。

不連続の切断刃は連続した切断刃に比べて硬い表面上
における性能において遥かに優れていることが知られて
いる。不連続な切断刃が鋼により製造された場合には、
問題が発生する。硬い土の表面を貫通するのに必要な高
い下向きの圧力のために、しばしば工具が破壊されるこ
とになる。その結果多くの非作業時間が生じコストが増
加することになる。グレーダのブレードに適用される高
い下向きの圧力のために、硬い土表面への貫通が突然生
じた場合には、他の問題が発生する。通常不規則な間隔
で突然の貫通が生じた場合には、地均しされた表面に溝
が掘られて穴ぼこを形成するとともに表面が不規則にな
る。

1988年６月28日にThomas A.Meyersに対して発行され
た米国特許第4,753,299号は、硬い土表面を地均しする
のに関連した上述した問題を避けることを提案してお
り、破壊され摩耗したカーバイド切断刃とカーバイド挿
入物の交換に関連した非作業時間を減少するブレードビ
ットアセンブリを提供する。この発明は複数のつるはし
（Pick）アセンブリが取り付けられた撥土板アタッチメ
ントを提供している。各々のつるはしアセンブリにはそ
の先端エッジに一つの薄い長方形状カーバイド挿入物が
ロー付けされている。この撥土板つるはしアセンブリは
過酷な地面に対して適度な地均し作業を提供し、個々の
つるはしが摩耗し破壊したときにはその交換をするが、
この構造には未だ多くの問題点がある。

上述した構造の主たる不利益はつるはしアセンブリの
性質及びその設計特性にある。挿入物はつるはしボデー
の先端面に位置しているので、挿入物は衝撃力に遭遇し
この高い衝撃力がビットアセンブリを下側方向に移動さ
せようとする。これらの力によりカーバイド挿入物にク
ラックが発生しカーバイド挿入物が破壊されやすくな
る。これにより工具は時期尚早に摩耗し、非効率なカー
バイドの損失が起こり、先端面が非常に早く摩耗するこ
とになる。

カーバイド挿入物のデザイン及び性質のために、挿入
物にはしばしばクラックが発生し挿入物の破壊が起こる
ことになる。薄いカーバイド挿入物がつるはしアセンブ
リの先端面にロー付けされている。熱膨張係数の相違に
より、鋼は薄い長方形状カーバイド挿入物に比較してよ
り早く伸縮する。鋼及びカーバイド挿入物の膨張速度及
び収縮速度が異なるために、鋼が隣接したカーバイド挿
入物に対して高い残留応力を発生させることになる。こ
の問題は薄い長方形状カーバイド片を使用しているため
にさらに拡大される。薄い（前部及び後部表面の間の断
面積が小さいこと）カーバイドと熱膨張係数の相違の組
み合わせにより、硬くて岩のように突き硬められた表面
上に使用したとき、カーバイド挿入物にクラック及び破
壊が発生する。

上述した構造の他の不利益は、“ローリング現象”が
起こった場合に明らかである。撥土板のつるはしアセン
ブリがでこぼこで研磨性の高い表面を地均しすると、挿
入物は実際土の表面から物質を削り取ることになる。物
質が削り取られると、この削り取られた物質がつるはし
アセンブリのベースの下で回転し挿入物の後方の鋼製の
支持体を摩耗させる。鋼製の支持体は補強支持部材とし
て作用する。挿入物の後方の鋼製の支持体が失われる
と、地均し中に遭遇する力によりカーバイド挿入物の大
部分が破壊されてしまう。

ローリング現象を回避するために、第２の長方形状カ
ーバイド挿入物が第１挿入物の後方の離間した位置にそ
れと平行に付加されている。この場合、ローリング現象
は両方の挿入物の後方で発生し、その結果両方の挿入物
が必要とする鋼製の支持体を失い、両方の挿入物にクラ
ックが発生し挿入物が破壊されることになる。第２の挿
入物を付加することは、カーバイドの使用量が増え、第
２のカーバイド挿入物を適当に位置付けするのに余分の
機械加工を必要とするので、つるはしアセンブリのコス
トを増加させるだけである。

本発明は上述した問題点の一つ或いはそれ以上を克服
することを目的とする。

発明の開示 本発明の一つの側面によると、土作業用ビットアセン
ブリが提供される。土作業用ビットアセンブリは先端表
面を有するボデーと、上部及び底部部分と第１及び第２
対向表面を有する挿入物を含んでいる。第１及び第２対
向表面間の挿入物の厚さは、上部部分から底部部分にい
くに従い増加している。挿入物の第１の対向表面は上述
したボデーの先端表面に固着される。

本発明は、土表面が岩のように突き硬められ、研磨性
があって硬い場合のモータグレーダの作業に使用するた
めの土作業用ビットアセンブリを提供する。本発明のビ
ットアセンブリが上述した厳格な条件のもとに使用され
た場合には、その厚さが増加するというユニークなデザ
インのために、カーバイド挿入物にクラックが発生し又
はカーバイド挿入物が破壊される傾向がなくなる。カー
バイド挿入物は概略台形形状をしているので、ロー付け
作業の間に発生された残留応力をより良く発散すること
ができ、さらに高価なカーバイドをより経済的に使用で
きる。大きくて厚い長方形状カーバイド挿入物は薄い挿
入物よりもより良く機能すると認められるが、余分なカ
ーバイドは非常に高価なので、このようなビットアセン
ブリは商業的には受け入れられない。

新しい台形状カーバイド挿入物を利用したビットアセ
ンブリは工具の寿命を顕著に増加させ、ビットアセンブ
リの摩耗及び／又は破壊に関連する非作業時間が非常に
減少され、カーバイドの破壊が完全に除去される。よっ
て、本発明の結果需要者はより寿命が長くて堅牢な、且
つより経済的な土作業用ビットアセンブリを得られるこ
とになる。

図面の簡単な説明 第１図は本発明をより良く示すために台形状カーバイ
ド挿入物がわきに置かれたビットアセンブリの斜視図； 第２図はモータグレーダの撥土板に組み合わせられた
本発明の断面図； 第３図は伸長したボデー部材と組み合わせられた本発
明の正面図である。

発明を実施するための最良の態様 図面、特に第１図を参照すると、土作業用ビットアセ
ンブリ10が提供される。ビットアセンブリ10は硬い鋼製
のボデー12と、タングステンカーバイドから形成された
硬化された挿入物14を含んでいる。

ボデー12は上部エッジ18と底部エッジ20を有する実質
上平面状の先端表面16を含んでいる。ボデー12はさら
に、先端表面16に近接した底部ヒール部分21と、先端表
面16の上部エッジ18から外側方向に伸長した肩部22を含
んでいる。ボデーはさらに、その端部近傍に溝24を画成
する支持シャンク（柄）23を含んでいる。

カーバイド挿入物14は上部部分25と、底部部分26と、
第１対向表面28と、第２対向表面30を含んでいる。上部
部分25と、底部部分26と、第１対向表面28と、第２対向
表面30により画成される硬化された挿入物14の幾何学的
な断面形状は概略台形である。第１及び第２対向表面2
8,30の間の硬化された挿入物14の厚さは、上部部分25か
ら底部部分26にかけて増加している。本実施態様におい
ては、上部部分25は上端面32であり、底部部分26は実質
上平らな底部端面34である。使用時には、カーバイド挿
入物の第２対向表面30は概略平らな作業面であり、底部
表面34はこの作業面に概略垂直である。

カーバイド挿入物の概略平らな第１対向表面28は、例
えば、ロー付けによりボデー12の先端表面16に固着され
る。硬化された挿入物14の上端面32はボデー12の肩部22
に接触する。肩部22は硬化された挿入物14を位置決めし
支持する作用をする。挿入物14の底部端面34はボデー12
の底部ヒール部分21に近接する。底部ヒール部分21に近
接したボデーの部分は、カーバイド挿入物14の重要な支
持を提供する。底部ヒール部分21における支持がない場
合には、作業中にカーバイド挿入物14が破壊するか又は
カーバイド挿入物にクラックが発生することになる。

次に第２図及び第３図を参照すると、土作業用ビット
アセンブリ10が、伸長したボデー部材40とモータグレー
ダ（図示せず）に作用されるのに適した撥土板42の下部
部分と組み合わされて示されている。伸長したボデー部
材40は等間隔に離間した複数のソケット44を画成してい
る。各々のソケット44はビットアセンブリ10を受け入れ
るのに適合している。

複数のスロット46が伸長したボデー部材40に画成され
ている。各々のスロット46は、複数のソケットの各々に
直交して、伸長したボデー部材40の底部に位置してい
る。各々のスロット46はボデー12の幅と同じ幅を有して
おり、ボデーの部分を受け入れて各々のソケット44中で
ボデーのシャンク23が回転するのを防止している。伸長
したボデー部材40はさらにその上部部分に互いに離間し
た複数のボルト穴48を有している。

撥土板42はその下部部分に互いに離間した複数のボル
ト穴50を有している。撥土板42のボルト穴50と伸長した
ボデー部材40のボルト穴48とは、組立て時に互いに整合
するようになっている。複数のナットとボルトアセンブ
リ52により伸長したボデー40と撥土板42は通常の方法で
固定される。

ビットアセンブリ10を伸長したボデー部材40に保持す
るために手段58が設けられている。保持手段58は保持リ
ング60を含んでいる。組立てられると、保持リング60は
シャンク23の溝24に位置付けされる。本発明の精神を逸
脱せずして他の保持手段が使用可能であること勿論であ
る。

産業上の利用可能性 本明細書に開示された土作業用ビットアセンブリ10は
より長い工具の寿命と、硬化された挿入物14に使用され
る高価なカーバイドのより良い利用を提供する。作業時
には、ビットアセンブリ10は研磨性の摩耗及び衝撃負荷
に耐えなければならない。

硬化された挿入物14は衝撃及び研磨性摩耗の両方に耐
えられるものでなければならない。底部部分34で挿入物
14をより厚く形成することにより、より多くの硬化され
た表面領域が作業される表面に露出されるので、挿入物
14はより長い耐摩耗性を得られることになる。挿入物が
摩耗するにつれて挿入物14の厚さが減少するが、コスト
対寿命の一番良い割合が達成されることになる。

挿入物14がより良い耐衝撃性を達成するために、ボデ
ー12の底部ヒール部分21が挿入物14の底部表面34に近接
してその後ろに配置されている。底部ヒール部分21によ
り形成される支持が、硬化された挿入物14が破壊される
のを防止する手助けをする。

硬化された挿入物14の形状もより良い耐衝撃性を与え
るための助けとなる。挿入物14をボデー12の先端表面16
にロー付けするときに、応力が生じることは良く知られ
ている。これらの応力はボデー12中の物質の熱膨張係数
と挿入物14中の物質の熱膨張係数の差により起こるもの
である。加熱段階において、ボデー12の鋼が挿入物14の
タングステンカーバイドよりもより大きな割合で膨張す
る。同様に、冷却段階において、鋼はカーバイドよりも
より大きな割合で収縮する。冷却の早い段階において
は、ロー付け剤が固化して挿入物をボデーに固着させ
る。さらに冷却が進むと、ボデー12中の鋼がより早く収
縮するので、鋼が挿入物の外周をボデーに対して内側方
向にカールさせる傾向を有するようになる。このカール
する傾向の結果、外部又は対向表面には非常に高い引っ
張り力が発生する。厚さが増加する本発明の挿入物14
は、第２対向表面30に引っ張りが発生するのを実質上除
去することができる。

第２図及び第３図に最も良く示されているように、ビ
ットアセンブリ10は伸長したボデー部材40の各々のソケ
ット44中に差し込まれて、保持リング60によりそこに固
定される。ボデー12の各々の部分が各々のスロット46中
に受け入れられるので、ビットアセンブリ10の回転が防
止される。次いで、ビットアセンブリ10が取り付けられ
た伸長したボデー部材40は、複数のナット及びボルトア
センブリ52により撥土板42に固定される。

挿入物14の第１及び第２対向表面28,30の間の角度が1
0゜〜45゜の間のとき満足する結果が得られた。概略20
゜の角度のとき最良の結果を達成することが出来た。

作業時には、第２対向表面30が土又は作業される面に
対して概略垂直に維持される。本明細書で使用される
“土”という用語は、作業を達成するためにビットアセ
ンブリ10が使用される如何なる表面をも意味することを
理解すべきである。

本発明の他の側面、目的及び利益は図面、詳細な説明
及び添付請求の範囲を研究することにより得ることがで
きる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平１−210526（ＪＰ，Ａ) 米国特許4006936（ＵＳ，Ａ) 米国特許4753299（ＵＳ，Ａ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】実質上平らな先端表面（16）を有する鋼ボ
   デーと； 上部及び底部部分（25,26）と第１及び第２対向表面（2
   8,30）を有するカーバイド挿入物（14）とから構成さ
   れ； 前記第１及び第２対向表面（28,30）の間の前記カーバ
   イド挿入物（14）の厚さは上部部分（25）から底部部分
   （26）にいくに従い増加し、第１及び第２対向表面（2
   8,30）の間に10゜〜45゜の範囲内の角度を画成し、前記
   カーバイド挿入物（14）の第１対向表面（28）が前記鋼
   ボデー（12）の先端表面（16）にロー付けされ、前記カ
   ーバイド挿入物（14）の底部部分（26）が前記鋼ボデー
   （12）の先端表面（16）の底部エッジ（20）に隣接する
   ように配置されている土作業用ビットアセンブリ（1
   0）。