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JP2603677B2 - 新規なチトクロムp−450及びその製造法 - Google Patents

新規なチトクロムp−450及びその製造法

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JP2603677B2
JP2603677B2 JP1912488A JP1912488A JP2603677B2 JP 2603677 B2 JP2603677 B2 JP 2603677B2 JP 1912488 A JP1912488 A JP 1912488A JP 1912488 A JP1912488 A JP 1912488A JP 2603677 B2 JP2603677 B2 JP 2603677B2
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sca
sodium
cytochrome
nadp
ferredoxin
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JP1912488A
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達司 松岡
俊一 宮越
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Sankyo Co Ltd
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Sankyo Co Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 本発明は新規な酸素添加酵素であるチトクロムP−45
0に関するものである。
従来チトクロムP−450は動物、植物、微生物に存在
し、重要な生理活性物質の生合成を行なったり、生体外
異物の解毒作用を行なう一原子酸素添加酵素である。基
質としては天然物、薬物等の広い範囲にわたる。チトク
ロムP−450は補酵素としてNAD(P)H、電子伝達系蛋
白質、分子状酸素を要求し、下記の如き機構が考えられ
ている。
上記の図において、還元力として使用される電子はNA
D(P)Hから電子伝達系蛋白により供給される。
公知のチトクロムP−450は真核生物由来の水不溶性
のチトクロムP−450が多い。原核生物から精製された
チトクロムP−450としては例えばシュードモナス・プ
チダ(Pseudomonas putida)のP−450cam(ジャーナ
ル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Che
m.)249巻、94頁、1974年)、バチルス・メガテリウム
Bacillus megaterium)ATCC14581のP−450BM-1(ビ
オキミカ・ビオフイジカ・アクタ(Biochim.Biophys,Ac
ta.)838巻,302頁,1985年)、及びP−450BM-3(ジャー
ナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.C
hem.)261巻,7160頁,1986年)、リゾビウム・ジャポニ
カム(Rhizobium japonicum)のP−450a,P−450b及び
P−450c(ビオキミカ・ビオフイジカ・アクタ(Biochi
m.Biophys.Acta)147巻,399頁,1967年)、ノカルデイア
NHI(Nocardia NHI)のP−450npd(ミクロビオス(Mic
robios)9巻,119頁,1974年)等が知られている。しか
しながら、ストレプトミセス(Streptomyces)属放線菌
から精製されたチトクロムP−450の例は少ない。例え
ばストレプトミセス・グリゼウス(Streptomyces gris
eus)のチトクロムP−450が大豆粉から誘導されること
(バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサー
チ・コミュニケーション(Biochem.and Biophys.Res.Co
mm.)141巻,405頁,1986年)や、サッカロポリスポラ・
エリスラエア(Saccharopolyspora erythraea)(以前
はストレプトミセス・エリスラエウス(Streptomyces e
rythraeus)として分類されていた)の6−デオキシエ
リスロノライドBの水酸化を触媒する2つのチトクロム
P−450の精製と性質についての報告がある(バイオケ
ミストリー(Biochemstyr)26巻,6204頁,1987年)にす
ぎない。
〔発明の構成〕
本発明のチトクロムP−450sca-1,同P−450sca-2
よび同P−450sca-3はストレプトミセス・カルボフィラ
スSANK 62585(Streptomyces carbophilus SANK 6258
5,FERM BP−1145)から抽出精製された。
次に、本発明の使用菌であるストレプトミセス・カル
ボフィラスSANK 62585株の菌学的性状を述べる。
1. 形態学的特徴 形態はISP〔インターナショナル・ストレプトマイセ
ス・プロジェクト(International Streptomyces Proje
ct)〕規定の培地上、28℃、14日間培養後、顕微鏡下で
観察した。SANK62585株の基生菌糸は分枝して良く伸長
し、気菌糸は単純分枝である。
SANK 62585株の胞子鎖の形態は通常直状〜曲状である
が螺旋状を示す場合もある。胞子鎖の表面構造は平滑
(smooth)を示す。また気菌糸の車軸分枝、菌核、基生
菌糸の断裂、胞子のうなどの特殊器官は観察されなかっ
た。
2. 各種培養基上の諸性質 各種培養基上で28℃、14日間培養後の性状は表Iに示
す通りである。色調の表示は日本色彩研究所版、“標準
色票”のカラーチップ ナンバーを表わす。
3. 生理学的性質 SANK 62585株の生理学的性質は表IIに示す通りであ
る。
表II SANK 62585株の性状 澱粉の水解 陽 性 ゼラチンの液化 陰 性 硝酸塩の還元 陽 性 ミルクの凝固 陽 性 ミルクのペプトン化 陽 性 生育温度範囲(培地1) 4〜45℃ 生育適正温度(培地1) 15〜35℃ メラニン様色素生産地(培地2) 陰 性 (培地3) 疑陽性** (培地4) 陰 性 *:培地1;イーストエキス・麦芽エキス寒天(ISP 2) 2;トリプトン・イーストエキス・ブロス(ISP 1) 3;ペプトン・イーストエキス・鉄寒天(ISP 6) 4;チロシン寒天(ISP 7) **:培養後期にメラニン様色素が生産される場合もあ
る。
また、プリドハム・ゴトリーブ、寒天培地を使用し
て、14日間培養後の炭素源、即ちD−グルコース、L−
アラビノース、D−キシロース、イノシトール、D−マ
ンニトール、D−フルクトース、L−ラムノース、シュ
クロース、ラフイノース、セロビオース、トレハロース
の資化性を調べた。SANK 62585株は炭素源無添加の対照
培地でも良好に生育がみられるため、正確な資化性を記
述することは困難である。しかしながら、D−グルコー
ス、D−キシロース、イノシトール、ラフイノース、セ
ロビオース、トレハロース添加培地では無添加対照培地
に比べ著しく良好な生育がみられた。
4. 菌体成分について SANK 62585株の細胞壁はビー・ベッカーらの方法〔B.
Becker et al.,アプライド・マイクロバイオロジー(Ap
plied Microbiology)、12巻,421〜423頁,1964年〕に従
い検討した結果、L,L−ジアミノピメリン酸およびグリ
シンが検出されたことから、細胞壁タイプIであること
が確認された。また、SANK 62585株の全細胞中の糖成分
をエム・ピー・レシエバリエの方法〔M.P.Lechevalier,
ジャーナル・オブ・ラボラトリイ・アンド・クリニカル
・メデイシン(Journal of Laboratory and Clinical M
edicine),71巻,934頁,1968年〕に従い検討した結果、
特徴的なパターンは認められなかった。
以上のことから、本菌株は放線菌の中でもストレプト
ミセス属に属することが判明したので、ストレプトミセ
ス・カルボフイラス(Streptomyces carbophilus)SANK
62585(微工研条寄第1145号(FERM BP−1145))と命
名された。
なお、SANK 62585株の同定はISP〔ジ・インターナシ
ョナル・ストレプトマイセス・プロジェクト(The Inte
rnational Streptomyces Project)〕基準〕バージーズ
・マニュアル(Bergey's Manual of Determinative Bac
teriology)版;エス・エイ・ワックスマン(S.A.Waksm
an)著ジ・アクチノミセイテス(The Actinomycetes)
第2巻および放線菌に関する最近の文献によって行っ
た。
以上、SANK 62585株について説明したが、放線菌は諸
性質は一定したものでなく、自然的、人工的に容易に変
化することは周知のとおりであり、本発明で使用しうる
菌株はストレプトミセス属に属し、本発明のチトクロム
P−450を生産し得る菌株すべてを包含するものであ
る。
次に本酵素の製造法について具体的に述べる。
本発明における菌株の培養は適当な炭素源、窒素源
等、例えば無機塩類、脱脂大豆、小麦、コーンスチープ
リカー、グルコース、酵母エキス、ペプトン等を適宜含
有させ、常法により殺菌した液体培地(pH5〜8に調節
したもの)に種菌を接種して行なう。そしてP−450
sca-1,P−450sca-2,P−450sca-3を生産するには、培養
を以下の方法で行なう。即ち、接種後4時間〜3日後に
適当な誘導剤を1〜5mM、好ましくは2mMを加え、その後
2時間から1週間、特に1日間培養を行なうのが好適で
ある。培養温度は20〜45℃、好ましくは25〜30℃、最適
には28℃付近が望ましい。また、培養は振盪、通気培養
のいずれを用いてもよい。培養して得られた菌体を緩衝
液中で超音波破砕し、次いで遠心分離して得られた上清
を粗酵素液として用いる。電気泳動的に均一なP−450
sca-1,P−450sca-2,P−450sca-3を得るには、粗酵素液
をイオン交換カラムクロマトグラフィーによる吸着及び
溶出、ハイドロキシルアパタイトカラムクロマトグラフ
ィーによる吸着及び溶出、ゲル過等を適宜選択、組合
せて実施する。
本発明の酵素は水酸化酵素として有用である。これら
は種々の化合物を水酸化する。
酵素を基質と接触させるには、好ましくは水性媒体中
である。例えばリン酸緩衝液中でpH範囲が5〜9、好ま
しくは6.5〜8.0、最適には約7.4である。反応温度は好
ましくは20〜45℃であり、更に好ましくは25〜30℃であ
る。最適には約30℃である。基質濃度は好ましくは0.01
〜5.0%重量の範囲である。反応に要する時間は通常1
分〜5日であり、好ましくは1〜5日であるが、反応混
合物中の基質濃度、反応温度、その他の要因により変わ
る。
変換反応終了後、得られた水酸化化合物は常法、例え
ばろ過、抽出、クロマトグラフィー、再結晶その他の分
取手段により分取される。
本発明は更に互に著るしく構造の異なる化合物、即ち
ミルベマイシンのようなマクロライド化合物やML−236B
化合物に関する。
16員環マクロライド構造をもつ数種の既知化合物が各
種微生物の醗酵あるいはそのような天然醗酵産物からの
化学的誘導により半合成的に得られ、そして殺ダニ、殺
虫、駆虫およびその他の殺寄生虫活性を示す。ミルベマ
イシン類とアベルメクチン類は既知化合物のこのような
二つのクラスの例であるが、他にもまた種々のクラスが
存在し、別の名称あるいはコード番号によって同定され
ている。これらの種々のマクロライド化合物の名称は、
一般に各クラスの天然物を産生する微生物の名称または
コード番号から採られてきた。そしてこれらの名称は、
従来そのような化合物に一般的に使用しうる標準的組織
的な命名法がなかったために、さらに同じクラスの化学
的誘導体に対しても用いられる。天然のミルベマイシン
類は次のように式(A)で定義されている。
疑いを避けるために、式(A)は本発明化合物に最も
適切な若干の炭素原子の番号をも示している。4位のメ
チル基の炭素原子には26と番号を付けられた。
天然に産生されたミルベマイシンA3およびA4はその他
多数のものと共に特公昭56−45890に、またミルベマイ
シンDは特開昭56−32481に公表された。これら特許に
おいてミルベマイシンは「化合物B−41」として示され
た。これらの化合物は、上記式(A)において25位にそ
れぞれメチル基、エチル基またはイソプロピル基が置換
している。25位がsec−ブチル基が置換したミルベマイ
シン類縁体は特開昭54−145699に公表されている。
13−ヒドロキシ−5−ケトミルベマイシン誘導体は米
国特許第4423209号に公表されている。ミルベマイシン
5−オキシム誘導体は特開昭60−14299に、そして特開
昭62−89685に公表された。特開昭61−180787は5位の
ヒドロキシまたはエステル化ヒドロキシ置換基と組合せ
て13位にエステル化カルボキシ置換基をもつミルベマイ
シン誘導体を公表した。
ミルベマイシン類のように、アベルメクチン類も16員
環マクロライド構造を有している。アベルメクチン類は
例えば、Antimicrobial Agents Chemotherapy 1979,15,
361(1979)およびJ.Am.Chem.Soc.,1981,103,4216に公
表された。これらの化合物は13位が4′−(α−−オ
レアンドロシル)−α−−オレアンドロシルオキシ基
で置換されている以外、上記式(A)によって表わされ
る。25位はイソプロピル基またはsec−ブチル基で置換
されていて、そして22位と23位の間は炭素−炭素二重結
合があるかまたは23位に水酸基があり、4位にメチルが
置換されている。
アベルメクチン類は(文献によってはC076化合物と称
されている)次のように定義される。
“db"は22位と23位の間の二重結合を示し、 “sb"は22位と23位の間の一重結合を示す。
アベルメクチンA2a,A2b,B2aおよびB2bの23位ケト誘導
体は特開昭57−18684から知られている。22,23位ジヒド
ロアベルメクチン類は22位および23位の間の二重結合の
還元によって得られ、特開昭54−61198に公表されてい
る。ミルベマイシン類縁体であるアベルメクチン類のア
グリコン誘導体からさらに種々の誘導体が知られてい
る。例えば、特開昭54−61197は13位が低級アルカノイ
ル基で置換されたような誘導体を公表した。
特開昭58−59988は4位メチル基において誘導されて
いるアベルメクチン化合物を公表した。4位メチル基の
ヒドロキシメチル基への変換がアセチルオキシメチル、
ベンゾイルオキシメチルおよびその他のカルボニルオキ
シメチル化合物のような各種のオキシメチル誘導体の形
成と共に記載されている。
特開昭61−10589はコード番号LL−F28249によって一
括して同定され、醗酵により産生され、生物活性を有す
る一群の化合物を公表した。それらのうちの若干のもの
は23位が水酸基によって、また25位が1−メチル−1−
プロペニル、1−メチル−1−ブテニルまたは1,3−ジ
メチル−1−ブテニルで置換された上記式(A)に対応
する16員環マクロライド構造を有している。これらの化
合物の中で、5位の水酸基はメトキシ基によって置換さ
れることもある。
S−541として同定される同一または類似の化合物は
特開昭61−118387に知られている。S−541の23位ケト
誘導体および23位デオキシ誘導体は特開昭61−280496に
知られている。22位および23位に炭素−炭素二重結合を
もつS−541誘導体は特開昭62−67087に公表されてい
る。S−541およびS−541の23位ケトおよび23位デオキ
シ誘導体の26位ヒイドロキシおよび26位C1-4アルカノイ
ルオキシ誘導体は特開昭62−226984に知られている。
特開昭61−280496は5位に水酸基または置換された水
酸基、23位に水酸基、置換された水酸基、またはケト
基、また25位にα−分岐したアルケニル基を有し、上記
式(A)に対応するマクロライド抗生物質の他の一群を
公表した。
上記の各種のクラスのミルベマイシン関連マクロライ
ド化合物はすべて駆虫剤、殺外部寄生虫剤、殺ダニ剤あ
るいはその他の農薬としての一つまたはそれ以上の活性
を有するといわれている。
本発明の酵素を用いて、水酸化マクロライド化合物が
製造できる。
次に、ML−236Bナトリウムの6β−ヒドロキシ体はCS
−514である。両者は共にコレステロール生合成の律速
酵素である3−ヒドロキシ−3−メチルグリタリルコエ
ンザイムAレダクターゼの拮抗阻害剤であるが、CS−51
4の方がより臓器特異的である(ビオキミカ・ビオフイ
ジカ・アクタ(Biochim.Biophys.Acta)877巻,50頁,198
6年)。本発明のチトクロムP−450sca-1、同sca-2およ
び同sca-3を適当な補酵素とくみ合わせればML−236Bナ
トリウムを6−ヒドロキシ−ML−236Bナトリウムへ変換
しうる。
本発明によって得られるチトクロムP−450sca-1,同
sca-2および同sca-3の諸性質について述べ、併せてこれ
らの酵素が従来公知のチトクロムP−450と異なる新規
な酵素であることについて述べる。
(1) 作 用 いずれもフエレドキシン、フエレドキシン−NADP+
レダクターゼ、NADPHおよび溶存酸素の存在下で、少な
くともミルベマイシンA4の13位の水酸化およびML−236B
ナトリウムの6位の水酸化を行なう。
主生成物として6β−ヒドロキシ−ML−236Bナトリウ
ムが得られ、副生成物として6α−ヒドロキシ−ML−23
6Bナトリウムが得られる。
なお、補酵素としてはフエレドキシン、フエレドキシ
ン−NADP+−レダクターゼ、酸素およびNADPHに特定され
るものではなく、チトクロムP−450の活性種を作りう
るものならば何でもよい。
(2) 基質特異性 いずれも少なくともミルベマイシンA4およびML−236B
ナトリウムを基質とするが、これに限定されるものでは
はい。
(3) 至適pH及び安定pH範囲 イ フエレドキシン、ロ フエレドキシン−NADP+
レダクターゼ、ハ NADP+、ニ NADPHを再生する系、お
よびホ 溶存酸素存在下で、基質としてML−236Bナトリ
ウムを用いた場合、いずれも反応至適pHは6.5−8.0であ
った。
また、pH6.0−9.0の範囲で、いずれも4℃で24時間安
定であった。
(4) 酵素の局在 いずれもストレプトミセス・カルボフイラスSANK 625
85(FERMBP−1145)の粗酵素液(界面活性剤等は含まれ
ない)を105,000gで1時間遠心分離した上清に存在す
る。
(5) 酵素の誘導 当該酵素はいずれも培地中に適当な誘導剤をストレプ
トミセス・カルボフイラスSANK 62585(FERM BP−114
5)がある程度生育した後に添加しないと、生産されな
い。即ち、いずれも適当な誘導剤による誘導酵素であ
る。
(6) 精製方法 精製方法を表1に示す。菌体破砕後、透析、イオン交
換クロマトグラフィー、ゲル過及びハイドロキシルア
パタイトカラムクロマトグラフィーにより精製した。な
お、ハイドロキシルアパタイトクロマトグラフィーにお
いて、チトクロムP−450sca-1はリン酸緩衝液濃度約0.
06M,同sca-2は約0.08M,同sca-3は約0.10Mにて溶出され
た。
(7) 単一性 いずれも精製標品はSDS−ポリアクリルアミド電気泳
動法により陽極側へ移動し単一なバンドを与えた。
(8) 分子量 SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法により測定した
結果、本酵素の分子量はいずれも約46,000±1,000であ
った。
(9) 活性測定法 チトクロムP−450sca-1,同sca-2および同sca-3
測定法 大村と佐藤らの方法(J.Biol.Chem.,239巻,2370頁,19
64年)に従って測定した。即ち、CO−差スペクトルの45
0nmと490nmの吸収強度の差から次式により、チトクロム
P−450sca-1,同sca-2および同sca-3を定量する。
チトクロムP−450(nmol/ml) =(O.D.450nm−O.D.490nm)×1,000/91(nmol/ml) ML−236BナトリウムからCS−514への変換速度測定
法 表2の系を用い全量配合の後、30℃で5分間振盪し、
10μの6規定の水酸化ナトリウムで反応を止め、生成
されたCS−514をHPLCで測定した。 表 2 P−450を含む酵素液 0.14 ml NADPH再生系 NADP+ 0.26 mM グルコース−6−リン酸 14.0 mM グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ 0.2 unit ニコチンアミド 10.0 mM 塩化マグネシウム 2.5 mM フエレドキシン−NADP+−レダクターゼ(ホウレンソ
ウ) 0.04 unit フエレドキシン(ホウレンソウ) 320 μgML−236Bナトリウム 0.233mM 合計容量 0.20 ml (10) 温度による失活、及びpHによる失活 いずれもpH7.4,20%グリセロール,2mMジチオスレイト
ール存在下で70℃で60分間の熱処理で完全に失活する。
いずれも20%グリセロール、2mMジチオスレイトール
存在下でpH3およびpH11以上(4℃,24時間処理)で完全
に失活する。
(但し、ML−236Bナトリウムを基質として反応させた場
合である) (11) 作用適温 いずれも作用適温は4℃〜60℃の範囲内にあり、特に
30℃付近が最適である(イ フエレドキシン、ロ フエ
レドキシン−NADP+−レダクターゼ、ハ NADP+、ニ NA
DPHを再生する系、およびホ 溶存酸素の存在下で、基
質としてML−236Bナトリウムを用いて、pH7.4のもとに
5分間作用させた場合)。
(12) 阻害剤 チトクロムP−450sca-1,チトクロムP−450sca-2,チ
トクロムP−450sca-3に対する阻害剤及び金属イオンの
影響を前記の(9)活性測定法のの方法で、検討し
た。その結果を第3に示す。
いずれの酵素もCo2+,Mn2+,Cu2+により有意に阻害され
た。また、いずれの酵素もSKF−525A(2−ジエチルア
ミノエチル−2,2−ジフェニルバレレイトヒドロクロラ
イド)、シメチジン、一酸化炭素等の典型的なチトクロ
ムP−450の阻害剤により阻害された。
(13) 吸収スペクトル 絶対スペクトルはいずれも417nmで吸収極大を有す
る。
CO−差スペクトルはチトクロムP−450sca-1は449n
m、同sca-2および同sca-3は448nmで吸収極大を有する。
(14) アミノ酸組成 アミノ酸分析は以下の如く行なった。
システィン(Cys)とトリプトファン(Trp)を除い
たすべてのアミノ酸は6N塩酸で110℃,24時間試料を加水
分解することにより得られた(詳細にはJ.W.Eveleigh a
nd G.D.Winter(1970)Protein Sequence Determinatio
n,Ed SBNeedleman,Springer−Verlag,92を参照)。
システィンに関してはE.Schrau et al(Biochem,
J.57,33,(1954))の方法によって分析を行なった。即
ち、過酸化水素−ギ酸の系でまず試料を酸化し、次に塩
酸加水分解して得られるシスティン酸を定量した。より
詳細には以下の通りである。
80μの試料水溶液を100μの99%ギ酸と20μ
のメタノールに溶解する。次に10μの過酸化水素と
190μの99%ギ酸を25℃で2時間静置する。との
両溶液は−10℃で30分冷却後、合わせる。この混合液を
−10℃で2.5時間静置する。そして、そのうちの160μ
の反応混合液の溶媒を留去し、凍結乾燥し、さらに6N塩
酸で110℃で24時間加水分解を行なった。
トリプトファンは3Nメルカプトエタンスルホン酸で
110℃、24時間加水分解することにより得られた(詳細
にはB Penke et al in Anal.Biochem.60,45,(1974)
参照)。
以上の全てのアミノ酸の定量は日立アミノ酸分析器Mo
del 835により行なわれた。
そして、以下のデータが得られた。
分析データの誤差は試料が完全に純粋だとすれば通常
±5%の範囲にある。加水分解を24時間,48時間,72時間
というように経時的に行なえば誤差範囲を±2%まで下
げることもできるデータの信頼性は2つの要因によって
左右される。その一つは各ペプチド結合の加水分解のさ
れやすさである。例えばVal−Val,Val−Gly等の結合さ
は比較的加水分解されにくい。これは加水分解の時間を
のばすことによりさけられる。他の一つは各アミノ酸の
加水分解の際の安定性である。例えばSerやThr等は比較
的不安定であることが知られている。この誤差は逆に加
水分解の時間をのばすことにより増大していく。
以上のように、まずP−450sca-1,同sca-2および同
sca-3は105,000gで1時間遠心分離した上清に存在する
点で従来の真核生物中の膜結合性チトクロムP−450と
は異なる。また、分子量が46,000±1,000であること、
特有のアミノ酸組成を有すること等から、従来の原核生
物中のチトクロムP−450とも異なり、更にこれらはス
トレプトミセス属放線菌由来である点で文献未記録の新
規な酵素であると認めた。
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する
が、本発明はこれらの実施例に制約されるものではな
い。
実施例 2%グルコース、1%ペプトン、0.1%酵母エキスを
含み、pH7.0に調整した培地20mlずつを10本の100ml容三
角フラスコに分注したものを121℃、15分間加熱殺菌し
た後、ストレプトミセス・カルボフイラスSANK 62585
(FERM BP−1145)を一白金耳接種し、28℃,220rpmにて
3日間前培養を行なった。同じ培地が100mlずつを50本
の500ml容三角フラスコに分注したものを121℃,15分間
加熱殺菌した。次いで、前培養液0.5mlずつを各500ml容
三角フラスコに接種して、同条件にて本培養を行なっ
た。本培養1日後、ML−236Bナトリウムを培地中0.1%
になるように添加し、更に1日間培養を行なった。培養
後、遠心分離機で菌体を採取し、190gの菌体を得た。こ
の菌体を2倍量の2mMジチオスレイトール及び20%グリ
セリンを含むpH7.4の80mMトリス−塩酸緩衝液に懸濁
し、超音波による菌体破砕を行なった。遠心分離により
細胞片を除き上清を粗酵素液として得た。この粗酵素液
に対して表1に示す方法でチトクロムP−450sca-1,同
sca-2および同sca-3を精製した。粗酵素液を透析後、DE
AE−トヨパールクロマトグラフィーを2回実施し、次い
でセルロフアインクロマトグラフィーによるゲル過を
実施した。最後にハイドロキシルアパタイトカラムクロ
マトグラフィーに付して、リン酸を溶離剤として溶出し
た。チトクロムP−450sca-1はリン酸緩衝液濃度約0.06
Mで、同sca-2は約0.08M、同sca-3は約0.10Mで溶出され
た。いずれも電気泳動的に均一なP−450を得た。精製
結果を下の表4に示す。
〔発明の効果〕 試験例1. チトクロムP−450sca-1,同sca-2または同sca-3を用
いてML−236BナトリウムよりCS−514が生産される。
即ち、下記の系で常法に従い30℃で1時間、ML−236B
ナトリウムを基質として反応させた。
P−450(精製標品) NADPH再生系 NADP+ 0.26mM グルコース−6−リン酸 14.0 mM グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ 0.2 unit ニコチンアミド 10.0 mM 塩化マグネシウム 2.5 mM フエレドキシン−NADP+−レダクターゼ(ホウレンソ
ウ) 0.04unit フエレドキシン(ホウレンソウ) 320 μgML−236Bナトリウム 2.33mM 合計容量 0.2 ml 但し、P−450の量はP−450sca-1の系では0.862n mo
l,同sca-2の系では1.292n mol,同sca-3の系では0.377n
molであった。
結果を表5に示す。
表5から明らかのようにML−236ナトリウムから高い
ジアステレオ選択性でCS−514が得られた。
試験例2. チトクロムP−450sca-1,同sca-2または同sca-3を用
いてミルベマイシンA4より13−ヒドロキシミルベマイシ
ンA4が生産される。
即ち、下記の系で常法に従い30℃で1時間、ミルベマ
イシンA4を基質として反応させた。
P−450(精製標品) NADPH再生系 NADP+ 0.26mM グルコース−6−リン酸 14.0 mM グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ 0.2unit ニコチンアミド 10.0 mM 塩化マグネシウム 2.5 mM フエレドキシン−NADP+−レダクターゼ(ホウレンソ
ウ) 0.04unit フエドキシン(ホウレンソウ) 320 μg ミルベマイシンA4 0.92mM 1.4−ジオキサン 1.0 μ 合計容量 0.2 ml 但し、P−450の量はP−450sca-1の系では0.431n mo
l,同sca-2の系では0.646n mol,同sca-3の系では0.188n
molであった。
結果を表6に示す。
表6から明らかのようにミルベマイシンA4から13−ヒ
ドロキシミルベマイシンA4が得られた。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】放線菌由来であり、且つ可溶性であること
    を特徴とし、 以下の理化学的性状を有するチトクロムP−450sca-1,
    sca-2および同sca-3: (1)作用:少なくとも下記の反応を触媒する。 (2)基質特異性:いずれも少なくとも、ML−236Bナト
    リウムを基質として6位への水酸基の導入を行なう。 (3)至適pH:いずれも至適pHは6.5−8.0 (pH7.4,30℃でフェレドキシン、フェレドキシン−NADP
    +−レダクターゼ、NADP+、NADPH再生系および溶存酸素
    の存在下でML−236Bナトリウムを基質として反応させた
    場合)である。 (4)安定pH:いずれも安定pHは6.0−9.0[4℃、24時
    間処理](ML−236Bナトリウムを基質として反応させた
    場合)である。 (5)酵素の性状:いずれも可溶性である。 (6)酵素の誘導:いずれも少なくともML−236Bナトリ
    ウムによる誘導酵素である。 (7)精製方法:ハイドロキシアパタイトクロマトグラ
    フィーにおいて、チトクロムP−450sca-1はリン酸緩衝
    液濃度約0.06Mで溶出、同sca-2は約0.08Mで溶出、およ
    び同sca-3は約0.10Mで溶出する。 (8)分子量:いずれも46,000±1,000である。 (9)温度による失活及びpHによる失活:いずれも70
    ℃、60分で完全に失活する。 また、いずれもpH3以下およびpH11以上で完全に失活す
    る。 (ML−236Bナトリウムを基質として反応させた場合) (10)作用適温:いずれも最適作用温度は30℃付近であ
    る。(pH7.4でフェレドキシン、フェレドキシン−NADP+
    −レダクターゼ、NADP+、NADPH再生系および溶存酸素の
    存在下でML−236Bナトリウムを基質として反応させた場
    合) (11)阻害剤:いずれもSKF−525A(2−ジエチルアミ
    ノエチル−2,2−ジフェニルバレレイトヒドロクロライ
    ド)、ジメチジンにより阻害をうける。また、いずれも
    一酸化炭素をふきこむことによっても阻害される。ま
    た、いずれもCo2+,Mn2+,Cu2+により有意に阻害される。
    (pH7.4,30℃でフェレドキシン、フェレドキシン−NADP
    +−レダクターゼ、NADP+、NADPH再生系および溶存酸素
    の存在下でML−236Bナトリウムを基質として反応させた
    場合) (12)吸収スペクトル: 絶対スペクトルはいずれも417nmで吸収極大を有す
    る。 CO−差スペクトルはチトクロムP−450sca-1は449n
    m、同sca-2および同sca-3は448nmで吸収極大を有する。
  2. 【請求項2】ストレプトミセス属に属するML−236Bナト
    リウムを6−ヒドロキシ−ML−236Bナトリウムに変換す
    る放線菌を、ML−236Bの存在下で培養し、次いでその菌
    体より特許請求の範囲1記載のチトクロムP−45
    0sca-1、同sca-2および/又は同sca-3を抽出、精製する
    ことを特徴とする、チトクロムP−450sca-1、同sca-2
    および/又は同sca-3の製造法。
  3. 【請求項3】ストレプトミセス属に属する、ML−236Bナ
    トリウムを6−ヒドロキシML−236Bナトリウムに変換す
    る放線菌がストレプトミセス・カルボフィラスSANK6258
    5(FERM BP−1145)である特許請求の範囲2記載の製造
    法。
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