JP2602295B2 - 多糖類,その単離法および該多糖類を含む薬剤組成物 - Google Patents
多糖類,その単離法および該多糖類を含む薬剤組成物Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は新規な多糖類,特に薬用ニンジンまたはその
組織培養物より単離し得るカルサンA,カルサンB,カルサ
ンC,カルサンDおよびカルサンEと命名された多糖類,
その単離法および該多糖類を含み血糖降下作用を有する
薬剤組成物に関する。
組織培養物より単離し得るカルサンA,カルサンB,カルサ
ンC,カルサンDおよびカルサンEと命名された多糖類,
その単離法および該多糖類を含み血糖降下作用を有する
薬剤組成物に関する。
(従来の技術) 薬用ニンジン,特にオタネニンジン(Panax ginseng
C.A.Meyer)は古くから生薬として使用され,抗疲労作
用,抗ストレス作用,整腸作用,利尿作用,新陳代謝亢
進作用などが知られている。糖尿病の治療薬としても利
用されている。薬用ニンジンの有効成分としては,ジン
セノサイドが知られているが,例えば,上記糖尿病に有
効であろうと考えられる血糖降下作用を示す成分につい
ては全く知られていない。
C.A.Meyer)は古くから生薬として使用され,抗疲労作
用,抗ストレス作用,整腸作用,利尿作用,新陳代謝亢
進作用などが知られている。糖尿病の治療薬としても利
用されている。薬用ニンジンの有効成分としては,ジン
セノサイドが知られているが,例えば,上記糖尿病に有
効であろうと考えられる血糖降下作用を示す成分につい
ては全く知られていない。
(発明の目的) 本発明の目的は、薬用ニンジンに含有される血糖降下
作用を有する成分を見出すことである。本発明の他の目
的は,該成分の単離法を提供することにある。本発明の
さらに他の目的は,該成分を有効成分として含有する薬
剤組成物を提供することにある。
作用を有する成分を見出すことである。本発明の他の目
的は,該成分の単離法を提供することにある。本発明の
さらに他の目的は,該成分を有効成分として含有する薬
剤組成物を提供することにある。
(発明の構成) 発明者らは,薬用ニンジンの水可溶画分に薬効成分が
含有されているという知見に基づいて研究を重ねた結
果,一群の新規な多糖類を見出した。
含有されているという知見に基づいて研究を重ねた結
果,一群の新規な多糖類を見出した。
本発明の多糖類は血糖降下作用を有し,次の物理化学
的特性をもつカルサンA,カルサンB,カルサンC,カルサン
DおよびカルサンEでなる群から選択される少なくとも
一種であり,そのことにより上記目的が達成される: カルサンA 分子量(ゲル濾過法):9.1×103 比旋光度:〔α〕D−22.9゜ (c 0.14,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3440,10701 H核磁気共鳴(D2O)δ:4.91(巾広い) 5.16(巾広い) 5.34(巾広い) 元素分析値(%):C,37.34; H, 6.41; N, 0.47 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 13.0cm(グルコース 11.0cm) ポリアクリルアミドゲル(30%)電気泳動度: 1.3cm(ブロモフェノールブルー3.3cm) カルサンB 分子量(ゲル濾過法):1.4×104 比旋光度:〔α〕D−17.6゜ (C 0.14,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3450,10601 H核磁気共鳴δ:4.96(巾広い) 5.21(巾広い) 5.40(巾広い) 元素分析値(%):C,33.84; H, 4.83; N, 1.34 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 16.3cm(グルコース 14.5cm) ポリアクリルアミドゲル(10%)電気泳動度: 1.5cm(ブロモフェノールブルー3.9cm) カルサンC 分子量(ゲル濾過法):5.6×103 比旋光度:〔α〕D+30.4゜ (C 0.12,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3400,10501 H核磁気共鳴δ:4.94(巾広い) 5.19(巾広い) 5.36(巾広い) 元素分析値(%):C,36.75; H, 5.90; N, 2.09 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 16.3cm(グルコース 14.5cm) ポリアクリルアミドゲル(30%)電気泳動度: 1.0cm(ブロモフェノールブルー4.7cm) カルサンD 分子量(ゲル濾過法):1.9×103 比旋光度:〔α〕D+21.6゜ (C 0.11,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3400,10411 H核磁気共鳴δ:5.12(巾広い) 5.26(巾広い) 元素分析値(%):C,35.22; H, 6.14; N, 3.19 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 16.3cm(グルコース 14.5cm) ポリアクリルアミドゲル(30%)電気泳動度: 1.0cm(ブロモフェノールブルー4.7cm) カルサンE 分子量(ゲル濾過法):5.8×105 比旋光度:〔α〕D−28.8゜ (C 0.16,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3450,10621 H核磁気共鳴δ:5.15(巾広い) 5.35(巾広い) 元素分析値(%):C,36.59; H, 6.31; N, 0.89 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 14.5cm(グルコース 14.5cm) ポリアクリルアミドゲル(30%)電気泳動度: 0.5cm(ブロモフェノールブルー3.4cm)。
的特性をもつカルサンA,カルサンB,カルサンC,カルサン
DおよびカルサンEでなる群から選択される少なくとも
一種であり,そのことにより上記目的が達成される: カルサンA 分子量(ゲル濾過法):9.1×103 比旋光度:〔α〕D−22.9゜ (c 0.14,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3440,10701 H核磁気共鳴(D2O)δ:4.91(巾広い) 5.16(巾広い) 5.34(巾広い) 元素分析値(%):C,37.34; H, 6.41; N, 0.47 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 13.0cm(グルコース 11.0cm) ポリアクリルアミドゲル(30%)電気泳動度: 1.3cm(ブロモフェノールブルー3.3cm) カルサンB 分子量(ゲル濾過法):1.4×104 比旋光度:〔α〕D−17.6゜ (C 0.14,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3450,10601 H核磁気共鳴δ:4.96(巾広い) 5.21(巾広い) 5.40(巾広い) 元素分析値(%):C,33.84; H, 4.83; N, 1.34 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 16.3cm(グルコース 14.5cm) ポリアクリルアミドゲル(10%)電気泳動度: 1.5cm(ブロモフェノールブルー3.9cm) カルサンC 分子量(ゲル濾過法):5.6×103 比旋光度:〔α〕D+30.4゜ (C 0.12,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3400,10501 H核磁気共鳴δ:4.94(巾広い) 5.19(巾広い) 5.36(巾広い) 元素分析値(%):C,36.75; H, 5.90; N, 2.09 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 16.3cm(グルコース 14.5cm) ポリアクリルアミドゲル(30%)電気泳動度: 1.0cm(ブロモフェノールブルー4.7cm) カルサンD 分子量(ゲル濾過法):1.9×103 比旋光度:〔α〕D+21.6゜ (C 0.11,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3400,10411 H核磁気共鳴δ:5.12(巾広い) 5.26(巾広い) 元素分析値(%):C,35.22; H, 6.14; N, 3.19 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 16.3cm(グルコース 14.5cm) ポリアクリルアミドゲル(30%)電気泳動度: 1.0cm(ブロモフェノールブルー4.7cm) カルサンE 分子量(ゲル濾過法):5.8×105 比旋光度:〔α〕D−28.8゜ (C 0.16,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3450,10621 H核磁気共鳴δ:5.15(巾広い) 5.35(巾広い) 元素分析値(%):C,36.59; H, 6.31; N, 0.89 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 14.5cm(グルコース 14.5cm) ポリアクリルアミドゲル(30%)電気泳動度: 0.5cm(ブロモフェノールブルー3.4cm)。
本発明の多糖類の単離法はウコギ科に属する薬用ニン
ジンの根部もしくは薬用ニンジンの組織培養物,または
それらの乾燥物を水および/または水性有機溶媒で抽出
する工程,および得られた抽出液を透析または限外濾過
に付して上記カルサンA,カルサンB,カルサンC,カルサン
DおよびカルサンEを含むカルサン混合物を得る工程を
包含し,そのことにより上記目的が達成される。
ジンの根部もしくは薬用ニンジンの組織培養物,または
それらの乾燥物を水および/または水性有機溶媒で抽出
する工程,および得られた抽出液を透析または限外濾過
に付して上記カルサンA,カルサンB,カルサンC,カルサン
DおよびカルサンEを含むカルサン混合物を得る工程を
包含し,そのことにより上記目的が達成される。
本発明の薬剤組成物は,上記カルサンA,カルサンB,カ
ルサンC,カルサンDおよびカルサンEでなる群から選択
される少なくとも一種である多糖類を有効成分として含
有し,血糖降下作用を有し,そのことにより上記目的が
達成される。
ルサンC,カルサンDおよびカルサンEでなる群から選択
される少なくとも一種である多糖類を有効成分として含
有し,血糖降下作用を有し,そのことにより上記目的が
達成される。
本発明の多糖類は上記物理化学的特性を有する,文献
に記載されていない新規な化合物である。これらの化合
物は,ウコギ科に属する薬用ニンジンまたはその組織培
養物に含有される。薬用ニンジンとしては,オタネニン
ジン(Panax ginseng C.A.Meyer),トチバニンジン
(Panax japonicus C.A.Meyer),アメリカニンジン
(Panax quinquefolium L.),サンシチニンジン(Pan
ax notoginseng(Burk)F.H.Chen),および,ヒマラ
ヤニンジン(Panax pseudoginseng subsp.himalaicus
Hara)などが挙げられる。これらの薬用ニンジンのう
ち,特にオタネニンジンが好適である。カルサンを得る
には,上記薬用ニンジンの根部もしくはその乾燥物(例
えば,白参,紅参などの漢方薬として提供される)が用
いられる。カルサンを薬用ニンジンの組織培養物から得
るときには,該組織培養物は,通常の方法により調製さ
れる。例えば,上記薬用ニンジンの組織の一部を,植物
ホルモンを含む固体培地上で無菌的に培養してカルスを
発生させ,このカルスを液体もしくは固体培地上で培養
することにより調製される。
に記載されていない新規な化合物である。これらの化合
物は,ウコギ科に属する薬用ニンジンまたはその組織培
養物に含有される。薬用ニンジンとしては,オタネニン
ジン(Panax ginseng C.A.Meyer),トチバニンジン
(Panax japonicus C.A.Meyer),アメリカニンジン
(Panax quinquefolium L.),サンシチニンジン(Pan
ax notoginseng(Burk)F.H.Chen),および,ヒマラ
ヤニンジン(Panax pseudoginseng subsp.himalaicus
Hara)などが挙げられる。これらの薬用ニンジンのう
ち,特にオタネニンジンが好適である。カルサンを得る
には,上記薬用ニンジンの根部もしくはその乾燥物(例
えば,白参,紅参などの漢方薬として提供される)が用
いられる。カルサンを薬用ニンジンの組織培養物から得
るときには,該組織培養物は,通常の方法により調製さ
れる。例えば,上記薬用ニンジンの組織の一部を,植物
ホルモンを含む固体培地上で無菌的に培養してカルスを
発生させ,このカルスを液体もしくは固体培地上で培養
することにより調製される。
本発明のカルサン類は,上記薬用ニンジンまたはその
組織培養物から,例えば,次の方法により単離される。
まず,薬用ニンジンまたはその組織培養物を必要に応じ
て乾燥する。必要に応じてこれを通常の脂溶性有機溶媒
を用いて脱脂した後,水および/もしくは水性有機溶媒
で抽出する。抽出は水で充分行なえるが,抽出液の腐敗
を防止し,また抽出を促進するために水性有機溶媒を用
いてもよい。また両方で抽出してもよい。水性有機溶媒
としてはメタノール,エタノールなどの低級アルコー
ル,アセトン,アセトニトリル,ジメチルホルムアミ
ド,ジメチルアセトアミドなどの水溶性有機溶媒と水と
の混合溶液が用いられる。その濃度は,原料の種類など
によって異なるが,約1%の低濃度から約60%の温度の
ものが用いられる。抽出時に加温したり,被抽出物であ
る薬用ニンジンやその組織培養物を粉砕すると抽出が促
進されるため好ましい。
組織培養物から,例えば,次の方法により単離される。
まず,薬用ニンジンまたはその組織培養物を必要に応じ
て乾燥する。必要に応じてこれを通常の脂溶性有機溶媒
を用いて脱脂した後,水および/もしくは水性有機溶媒
で抽出する。抽出は水で充分行なえるが,抽出液の腐敗
を防止し,また抽出を促進するために水性有機溶媒を用
いてもよい。また両方で抽出してもよい。水性有機溶媒
としてはメタノール,エタノールなどの低級アルコー
ル,アセトン,アセトニトリル,ジメチルホルムアミ
ド,ジメチルアセトアミドなどの水溶性有機溶媒と水と
の混合溶液が用いられる。その濃度は,原料の種類など
によって異なるが,約1%の低濃度から約60%の温度の
ものが用いられる。抽出時に加温したり,被抽出物であ
る薬用ニンジンやその組織培養物を粉砕すると抽出が促
進されるため好ましい。
上記抽出液を透析もしくは限外濾過処理に付してカル
サン混合物が得られる。透析もしくは限外濾過に付す場
合は,上記抽出液をそのまま用いてもよく,濃縮したも
のを用いてもよい。このほか,上記抽出液にメタノー
ル,エタノールなどの水溶性有機溶媒を加えて目的とす
るカルサン類を含有する沈澱物を析出させた後,得られ
た沈澱物に水または上記の水性有機溶媒を適量加えて希
釈したものを用いてもよい。
サン混合物が得られる。透析もしくは限外濾過に付す場
合は,上記抽出液をそのまま用いてもよく,濃縮したも
のを用いてもよい。このほか,上記抽出液にメタノー
ル,エタノールなどの水溶性有機溶媒を加えて目的とす
るカルサン類を含有する沈澱物を析出させた後,得られ
た沈澱物に水または上記の水性有機溶媒を適量加えて希
釈したものを用いてもよい。
このようにして得られたカルサン混合物は,通常,カ
ルサンA,B,C,DおよびEをその合計量で少なくとも60%
以上含有する。カルサン含有量は80%以上であることが
望ましい。このようなカルサン混合物はそれ自体,血糖
降下剤として使用され得る。しかし,さらにこの混合物
を,例えば下記の分画処理に付して各カルサン成分に単
離して血糖降下剤として使用してもよい。
ルサンA,B,C,DおよびEをその合計量で少なくとも60%
以上含有する。カルサン含有量は80%以上であることが
望ましい。このようなカルサン混合物はそれ自体,血糖
降下剤として使用され得る。しかし,さらにこの混合物
を,例えば下記の分画処理に付して各カルサン成分に単
離して血糖降下剤として使用してもよい。
まず,上記カルサン混合物を陰イオン交換樹脂,例え
ばDEAE−セファデックス(商品名)で処理して,カルサ
ンA,B,CおよびDを含有するフラクションと,カルサン
Eを含有するフラクションとに分画する。このようにし
て得られたカルサンA,B,CおよびDを含有するフラクシ
ョンを次に分子量分画法に付す。この分子量分画法とし
てはセファロース,セファクリル,セファデックス,ア
ガロースビーズ(いずれも商品名)などを用いるゲル濾
過法;分画分子量1000〜10万の限外濾過膜を用いる方法
などが挙げられる。このように分子量分画法により,カ
ルサンAを含有するフラクション;およびカルサンB,C
およびDを含有するフラクションとに分画される。カル
サンB,CおよびDを含むフラクションは陰イオン交換樹
脂(例えば,DEAE−セファデックス,DEAE−トヨパールを
用いたクロマトグラフィー)で処理し,さらにセファデ
ックス−G50(商品名)を用いて精製され,カルサンB,
カルサンC,カルサンDがそれぞれ得られる。カルサンA
を含むフラクションおよびカルサンEを含有するフラク
ションはさらに陰イオン交換樹脂(例えば,DEAE−セフ
ァデックス,DEAE−トヨパール)を用いたクロマトグラ
フィーにより精製される。
ばDEAE−セファデックス(商品名)で処理して,カルサ
ンA,B,CおよびDを含有するフラクションと,カルサン
Eを含有するフラクションとに分画する。このようにし
て得られたカルサンA,B,CおよびDを含有するフラクシ
ョンを次に分子量分画法に付す。この分子量分画法とし
てはセファロース,セファクリル,セファデックス,ア
ガロースビーズ(いずれも商品名)などを用いるゲル濾
過法;分画分子量1000〜10万の限外濾過膜を用いる方法
などが挙げられる。このように分子量分画法により,カ
ルサンAを含有するフラクション;およびカルサンB,C
およびDを含有するフラクションとに分画される。カル
サンB,CおよびDを含むフラクションは陰イオン交換樹
脂(例えば,DEAE−セファデックス,DEAE−トヨパールを
用いたクロマトグラフィー)で処理し,さらにセファデ
ックス−G50(商品名)を用いて精製され,カルサンB,
カルサンC,カルサンDがそれぞれ得られる。カルサンA
を含むフラクションおよびカルサンEを含有するフラク
ションはさらに陰イオン交換樹脂(例えば,DEAE−セフ
ァデックス,DEAE−トヨパール)を用いたクロマトグラ
フィーにより精製される。
上記のようにして得られた多糖類であるカルサンA,B,
C,DおよびEは後述の実験例に示すように優れた血糖降
下作用を有し,かつ副作用がほとんど認められないこと
が判明した。従って,本発明により,カルサンA,B,C,D
およびEの少なくとも一種である多糖類を有効成分とし
て含有し,血糖降下作用を有する薬剤組成物が提供され
る。この薬剤組成物の投与量は病状に応じて異なるが成
人に対する内服による投与の場合には,カルサン類(カ
ルサンA,B,C,DおよびEのうちの少なくとも一種)とし
て1日当り50〜500mg,好ましくは100〜250mgである。こ
の量のカルサン類を2〜3回に分けて投与することによ
って所期の効力を発揮することができる。このような薬
剤組成物は内服薬としても注射剤としても投与が可能で
ある。内服薬の剤型としては,例えば,散剤,舌下錠を
含む錠剤,乳剤,カプセル剤,茶剤,顆粒剤,液剤(流
エキス剤,シロップ剤などを含む)がある。薬剤組成物
はカルサン類のほかに,通常,固体もしくは液体の賦形
剤を含有する。賦形剤としては,当該分野で公知のもの
が使用され,1回の投与量に必要なカルサン類を含むよう
に製剤下するのが望ましい。散剤,その他の内服用粉末
剤における賦形剤としては,乳糖,澱粉,デキストリ
ン,リン酸カルシウム,炭酸カルシウム,合成および天
然ケイ酸アルミニウム,酸化マグネシウム,乾燥水酸化
アルミニウム,ステアリン酸マグネシウム,重炭酸ナト
リウム,乾燥酵母などが挙げられる。この他,通常の賦
形剤を添加して調製した経皮吸収剤も本発明の薬剤組成
物に含まれる。
C,DおよびEは後述の実験例に示すように優れた血糖降
下作用を有し,かつ副作用がほとんど認められないこと
が判明した。従って,本発明により,カルサンA,B,C,D
およびEの少なくとも一種である多糖類を有効成分とし
て含有し,血糖降下作用を有する薬剤組成物が提供され
る。この薬剤組成物の投与量は病状に応じて異なるが成
人に対する内服による投与の場合には,カルサン類(カ
ルサンA,B,C,DおよびEのうちの少なくとも一種)とし
て1日当り50〜500mg,好ましくは100〜250mgである。こ
の量のカルサン類を2〜3回に分けて投与することによ
って所期の効力を発揮することができる。このような薬
剤組成物は内服薬としても注射剤としても投与が可能で
ある。内服薬の剤型としては,例えば,散剤,舌下錠を
含む錠剤,乳剤,カプセル剤,茶剤,顆粒剤,液剤(流
エキス剤,シロップ剤などを含む)がある。薬剤組成物
はカルサン類のほかに,通常,固体もしくは液体の賦形
剤を含有する。賦形剤としては,当該分野で公知のもの
が使用され,1回の投与量に必要なカルサン類を含むよう
に製剤下するのが望ましい。散剤,その他の内服用粉末
剤における賦形剤としては,乳糖,澱粉,デキストリ
ン,リン酸カルシウム,炭酸カルシウム,合成および天
然ケイ酸アルミニウム,酸化マグネシウム,乾燥水酸化
アルミニウム,ステアリン酸マグネシウム,重炭酸ナト
リウム,乾燥酵母などが挙げられる。この他,通常の賦
形剤を添加して調製した経皮吸収剤も本発明の薬剤組成
物に含まれる。
(実施例) 次に本発明の実施例について述べる。
実施例 (A)カルサンの単離 薬用ニンジンの根部から得た組織の一部を,植物ホル
モンを含む寒天培地で無菌的に培養してカルスを発生さ
せ,このカルスの液体培養を行なった。得られた粒状の
カルス(組織培養物)を乾燥し,20kgの乾燥カルスを得
た。この乾燥カルスにメタノール40を加えて,1日毎に
1回ずつ,合計3回の抽出を行なった。このようにして
脱脂した乾燥カルスに水40を加え,3回抽出を行なっ
た。抽出液を合併し,これを減圧濃縮して,1.5kgの抽出
物を得た。この抽出物を水15に溶解させ,エタノール
60を加えて沈澱物を析出させた。沈澱物(610g)およ
び上清部(870g)のうち,沈澱物を採取し,これを水に
溶解させた。次に,これをセルロースチューブ(Viskin
g,Co;36/32)を用いて7日間透析を行った。この透析内
液60gをDEAE−トヨパール650Mのカラム(C1型;2.2cm内
径×40cm)にかけ,まず水で溶出し,次いで1MのNaCl水
溶液で溶出した。このようにして800mgの固形分を含む
フラクションC−1および2.5gの固形分を含むフラクシ
ョンC−2を得た。
モンを含む寒天培地で無菌的に培養してカルスを発生さ
せ,このカルスの液体培養を行なった。得られた粒状の
カルス(組織培養物)を乾燥し,20kgの乾燥カルスを得
た。この乾燥カルスにメタノール40を加えて,1日毎に
1回ずつ,合計3回の抽出を行なった。このようにして
脱脂した乾燥カルスに水40を加え,3回抽出を行なっ
た。抽出液を合併し,これを減圧濃縮して,1.5kgの抽出
物を得た。この抽出物を水15に溶解させ,エタノール
60を加えて沈澱物を析出させた。沈澱物(610g)およ
び上清部(870g)のうち,沈澱物を採取し,これを水に
溶解させた。次に,これをセルロースチューブ(Viskin
g,Co;36/32)を用いて7日間透析を行った。この透析内
液60gをDEAE−トヨパール650Mのカラム(C1型;2.2cm内
径×40cm)にかけ,まず水で溶出し,次いで1MのNaCl水
溶液で溶出した。このようにして800mgの固形分を含む
フラクションC−1および2.5gの固形分を含むフラクシ
ョンC−2を得た。
フラクションC−1をセファクリルS−200カラム
(4.0cm内径×90cm)にかけ,(0.1Mトリス−塩酸緩衝
液(pH7.0)−0.5M食塩)で溶出を行なった。このよう
にしてフラクションC−3とC−4とを得た。フラクシ
ョンC−3をDEAE−トヨパール650Mカラム(OH型,2.2cm
内径×40cm;0.05Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)−0〜1
M食塩)にかけ,白色粉末を得た。これをセファデック
スG−10(2.2cm内径×80cm)で脱塩し,ゲル濾過およ
び電気泳動により単一物質であることを確認した。この
白色粉末の物理化学的特性を調べたところ次に示す測定
値が得られ,これは,カルサンAであることが判明し
た: 分子量(ゲル濾過法):9.1×103 比旋光度:〔α〕D−22.9゜ (c 0.14,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3440,10701 H核磁気共鳴(D2O)δ:4.91(巾広い) 5.16(巾広い) 5.34(巾広い) 元素分析値(%):C,37.34; H, 6.41; N, 0.47 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 13.0cm(グルコース 11.0cm) ポリアクリルアミドゲル(30%)電気泳動度: 1.3cm(ブロモフェノールブルー3.3cm)。
(4.0cm内径×90cm)にかけ,(0.1Mトリス−塩酸緩衝
液(pH7.0)−0.5M食塩)で溶出を行なった。このよう
にしてフラクションC−3とC−4とを得た。フラクシ
ョンC−3をDEAE−トヨパール650Mカラム(OH型,2.2cm
内径×40cm;0.05Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)−0〜1
M食塩)にかけ,白色粉末を得た。これをセファデック
スG−10(2.2cm内径×80cm)で脱塩し,ゲル濾過およ
び電気泳動により単一物質であることを確認した。この
白色粉末の物理化学的特性を調べたところ次に示す測定
値が得られ,これは,カルサンAであることが判明し
た: 分子量(ゲル濾過法):9.1×103 比旋光度:〔α〕D−22.9゜ (c 0.14,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3440,10701 H核磁気共鳴(D2O)δ:4.91(巾広い) 5.16(巾広い) 5.34(巾広い) 元素分析値(%):C,37.34; H, 6.41; N, 0.47 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 13.0cm(グルコース 11.0cm) ポリアクリルアミドゲル(30%)電気泳動度: 1.3cm(ブロモフェノールブルー3.3cm)。
次に,フラクションC−4をDEAE−トヨパール650Mカ
ラム(OH型;2.2cm内径×45cm;0.05Mトリス−塩酸緩衝液
(pH8.0)−0〜1M食塩)にかけ,さらにセファデック
スG−50カラム(4.0cm内径×60cm;0.1Mトリス−塩酸緩
衝液(pH7.0)−0.5M食塩)にかけた。溶出時間の相違
により,3種の白色粉末(I),(II)および(III)を
得た。これらをそれぞれセファデックスG−10(2.2cm
内径×80cm)カラムにかけて脱塩し,ゲル濾過および電
気泳動により単一物質であることを確認した。それぞれ
の物理化学的特性を調べたところ次に示す測定値が得ら
れ、(I)はカルサンB,(II)はカルサンC,そして(II
I)はカルサンDであることが判明した: (I)の物理化学的特性 分子量(ゲル濾過法):1.4×104 比旋光度:〔α〕D−17.6゜ (C 0.14,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3450,10601 H核磁気共鳴δ:4.96(巾広い) 5.21(巾広い) 5.40(巾広い) 元素分析値(%):C,33.84; H, 4.83; N, 1.34 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 16.3cm(グルコース 14.5cm) ポリアクリルアミドゲル(10%)電気泳動度: 1.5cm(ブロモフェノールブルー3.9cm) (II)の物理化学的特性 分子量(ゲル濾過法):5.6×103 比旋光度:〔α〕D+30.4゜ (C 0.12,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3400,10501 H核磁気共鳴δ:4.94(巾広い) 5.19(巾広い) 5.36(巾広い) 元素分析値(%):C,36.75; H, 5.90; N, 2.09 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 16.3cm(グルコース 14.5cm) ポリアクリルアミドゲル(30%)電気泳動度: 1.0cm(ブロモフェノールブルー4.7cm) (III)の物理的科学的特性 分子量(ゲル濾過法):1.9×103 比旋光度:〔α〕D+21.6゜ (C 0.11,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3400,10411 H核磁気共鳴δ:5.12(巾広い) 5.26(巾広い) 元素分析値(%):C,35.22; H, 6.14; N, 3.19 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 16.3cm(グルコース 14.5cm) ポリアクリルアミドゲル(30%)電気泳動度: 1.0cm(ブロモフェノールブルー4.7cm)。
ラム(OH型;2.2cm内径×45cm;0.05Mトリス−塩酸緩衝液
(pH8.0)−0〜1M食塩)にかけ,さらにセファデック
スG−50カラム(4.0cm内径×60cm;0.1Mトリス−塩酸緩
衝液(pH7.0)−0.5M食塩)にかけた。溶出時間の相違
により,3種の白色粉末(I),(II)および(III)を
得た。これらをそれぞれセファデックスG−10(2.2cm
内径×80cm)カラムにかけて脱塩し,ゲル濾過および電
気泳動により単一物質であることを確認した。それぞれ
の物理化学的特性を調べたところ次に示す測定値が得ら
れ、(I)はカルサンB,(II)はカルサンC,そして(II
I)はカルサンDであることが判明した: (I)の物理化学的特性 分子量(ゲル濾過法):1.4×104 比旋光度:〔α〕D−17.6゜ (C 0.14,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3450,10601 H核磁気共鳴δ:4.96(巾広い) 5.21(巾広い) 5.40(巾広い) 元素分析値(%):C,33.84; H, 4.83; N, 1.34 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 16.3cm(グルコース 14.5cm) ポリアクリルアミドゲル(10%)電気泳動度: 1.5cm(ブロモフェノールブルー3.9cm) (II)の物理化学的特性 分子量(ゲル濾過法):5.6×103 比旋光度:〔α〕D+30.4゜ (C 0.12,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3400,10501 H核磁気共鳴δ:4.94(巾広い) 5.19(巾広い) 5.36(巾広い) 元素分析値(%):C,36.75; H, 5.90; N, 2.09 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 16.3cm(グルコース 14.5cm) ポリアクリルアミドゲル(30%)電気泳動度: 1.0cm(ブロモフェノールブルー4.7cm) (III)の物理的科学的特性 分子量(ゲル濾過法):1.9×103 比旋光度:〔α〕D+21.6゜ (C 0.11,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3400,10411 H核磁気共鳴δ:5.12(巾広い) 5.26(巾広い) 元素分析値(%):C,35.22; H, 6.14; N, 3.19 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 16.3cm(グルコース 14.5cm) ポリアクリルアミドゲル(30%)電気泳動度: 1.0cm(ブロモフェノールブルー4.7cm)。
次に,フラクションC−2をセファクリルS−200カ
ラム(4.0cm内径×90cm;0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.
0)−0.5M食塩)にかけた後,さらにDEAE−トヨパール6
50Mカラム(OH型;2.2cm内径×40cm;0.05Mトリス−塩酸
緩衝液(pH8.0)−0〜1M食塩)にかけ,白色粉末を得
た。これをセファデックスG−10(2.2cm内径×80cm)
で脱塩し,ゲル濾過および電気泳動により単一物質であ
ることを確認した。この白色粉末の物理化学的特性を調
べたところ次に示す測定値が得られ,これはカルサンE
であることが判明した: 分子量(ゲル濾過法):5.8×105 比旋光度:〔α〕D−28.8゜ (C 0.16,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3450,10621 H核磁気共鳴δ:5.15(巾広い) 5.35(巾広い) 元素分析値(%):C,36.59; H, 6.31; N, 0.89 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 14.5cm(グルコース 14.5cm) ポリアクリルアミドゲル(30%)電気泳動度: 0.5cm(ブロモフェノールブルー3.4cm)。
ラム(4.0cm内径×90cm;0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.
0)−0.5M食塩)にかけた後,さらにDEAE−トヨパール6
50Mカラム(OH型;2.2cm内径×40cm;0.05Mトリス−塩酸
緩衝液(pH8.0)−0〜1M食塩)にかけ,白色粉末を得
た。これをセファデックスG−10(2.2cm内径×80cm)
で脱塩し,ゲル濾過および電気泳動により単一物質であ
ることを確認した。この白色粉末の物理化学的特性を調
べたところ次に示す測定値が得られ,これはカルサンE
であることが判明した: 分子量(ゲル濾過法):5.8×105 比旋光度:〔α〕D−28.8゜ (C 0.16,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3450,10621 H核磁気共鳴δ:5.15(巾広い) 5.35(巾広い) 元素分析値(%):C,36.59; H, 6.31; N, 0.89 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 14.5cm(グルコース 14.5cm) ポリアクリルアミドゲル(30%)電気泳動度: 0.5cm(ブロモフェノールブルー3.4cm)。
上記の各データのうち分子量,グラスファイバー濾紙
電気泳動度およびポリアクリルアミドゲル電気泳動度の
測定は次のようにして行った。なお,元素分析値のC,H,
N以外の成分は0である。
電気泳動度およびポリアクリルアミドゲル電気泳動度の
測定は次のようにして行った。なお,元素分析値のC,H,
N以外の成分は0である。
1)分子量 各カルサンはセファクリルS−200または500を用いて
ゲル濾過を行ってそれぞれの保持容量を求め,デキスト
ランTシリーズを用いて作成した標準曲線から分子量を
算出した。
ゲル濾過を行ってそれぞれの保持容量を求め,デキスト
ランTシリーズを用いて作成した標準曲線から分子量を
算出した。
分子量 測定に使ったセファクリル カルサンA 9.1×103 S−200 カルサンB 1.4×104 S−200 カルサンC 5.6×103 S−200 カルサンD 1.9×103 S−200 カルサンE 5.8×105 S−500 2)グラスファイバー濾紙電気泳動度 グラスファイバー濾紙(ワットマンGF/C,15×40cm)
を用いて移動距離を測定した。
を用いて移動距離を測定した。
条件:アルカリ性ホウ酸緩衝液pH9.3,450V,2時間;発
色は,p−アニシジン硫酸溶液を噴霧後,100℃にて10分間
加熱。
色は,p−アニシジン硫酸溶液を噴霧後,100℃にて10分間
加熱。
3)ポリアクリルアミドゲル電気泳動度 10%または30%ポリアクリルアミドゲルを充填したカ
ラム(5mm内径×7cm)を用い,移動距離を測定した。
ラム(5mm内径×7cm)を用い,移動距離を測定した。
条件:ホウ酸緩衝液pH9.3,2mA,2時間;発色はチモー
ル硫酸法。
ル硫酸法。
(B)カルサンの糖含量およびペプチド含量の測定 上記カルサンA,B,C,DおよびEの糖含有量およびペプ
チド含量について調べた。
チド含量について調べた。
カルサンA,B,C,DおよびEのそれぞれに2N硫酸を加え,
100℃で6時間加熱し,加水分解を行った。これを水中
でナトリウムボロヒドリドを用いて還元し,さらにピリ
ジン中無水酢酸でアセチル化した。3%ECNSS−M/Gasch
rom Qカラム(100−200メッシュ,内径3mm,長さ2m)を
用い,190℃で窒素(60ml/min.)によりガスクロマトグ
ラフィーを行い,以下の中性糖の存在を確認した。
( )内は存在モル比を示す。
100℃で6時間加熱し,加水分解を行った。これを水中
でナトリウムボロヒドリドを用いて還元し,さらにピリ
ジン中無水酢酸でアセチル化した。3%ECNSS−M/Gasch
rom Qカラム(100−200メッシュ,内径3mm,長さ2m)を
用い,190℃で窒素(60ml/min.)によりガスクロマトグ
ラフィーを行い,以下の中性糖の存在を確認した。
( )内は存在モル比を示す。
カルサンA:ラムノース,アラビノース,キシロース,ガ
ラクトース(0.2:0.8:1.4:1.0) カルサンB:アラビノース,キシロース(1.1:1.0) カルサンC:アラビノース,ガラクトース(0.3:1.0) カルサンD:アラビノース,キシロース,マンノース,ガ
ラクトース,グルコース(1.3:0.3:0.4:1.0:1.0) カルサンE:ラムノース,アラビノース,キシロース,ガ
ラクトース(0.1:0.7:0.1:1.0) 別に中性糖含量をフェノール硫酸法,クロモトロプ酸
硫酸法およびアンスロン硫酸法によって測定したとこ
ろ,以下の結果を得た。
ラクトース(0.2:0.8:1.4:1.0) カルサンB:アラビノース,キシロース(1.1:1.0) カルサンC:アラビノース,ガラクトース(0.3:1.0) カルサンD:アラビノース,キシロース,マンノース,ガ
ラクトース,グルコース(1.3:0.3:0.4:1.0:1.0) カルサンE:ラムノース,アラビノース,キシロース,ガ
ラクトース(0.1:0.7:0.1:1.0) 別に中性糖含量をフェノール硫酸法,クロモトロプ酸
硫酸法およびアンスロン硫酸法によって測定したとこ
ろ,以下の結果を得た。
酸性糖含量を改良カルバゾール硫酸法によって測定し
たところ,以下の結果を得た。
たところ,以下の結果を得た。
次に,ペプチド含量をローリー法によって測定したと
ころ以下の結果を得た。
ころ以下の結果を得た。
(C)カルサンによる血糖降下試験 実験例1(正常マウスの血糖降下試験) 血糖値140〜170mg/dl,重量25〜30gの正常dd系マウス
の5匹を一群とした。これらの群ごとにこの発明のカル
サン類を第1表に示す投与量で腹腔内投与し,7時間後お
よび24時間後の相対血糖値(コントロールに対する%)
を測定した。その結果を第1表に示す。第1表における
透析内液とは(A)項で得られた組織培養物の透析内液
を示す。
の5匹を一群とした。これらの群ごとにこの発明のカル
サン類を第1表に示す投与量で腹腔内投与し,7時間後お
よび24時間後の相対血糖値(コントロールに対する%)
を測定した。その結果を第1表に示す。第1表における
透析内液とは(A)項で得られた組織培養物の透析内液
を示す。
その結果,カルサン類投与群はコントロール群よりも
相対血糖類が低いことは明らかである。
相対血糖類が低いことは明らかである。
実験例2(アロキサン糖尿マウスの血糖降下試験) 実験例1で用いたのと同様の正常dd系マウスにアロキ
サン35mg/kgを静注した。5日間経過後の血糖値は250〜
450mg/dlであり,これをアロキサン糖尿マウス群とし
た。これに対しカルサン類の主成分であるカルサンEを
第2表に示す投与量で腹腔内投与し,一定時間後の相対
血糖値(コントロールに対する%)を測定した。その結
果を第2表に示す。
サン35mg/kgを静注した。5日間経過後の血糖値は250〜
450mg/dlであり,これをアロキサン糖尿マウス群とし
た。これに対しカルサン類の主成分であるカルサンEを
第2表に示す投与量で腹腔内投与し,一定時間後の相対
血糖値(コントロールに対する%)を測定した。その結
果を第2表に示す。
その結果カルサン類はアロキサン糖尿マウスにも血糖
降下作用を有することは明らかである。
降下作用を有することは明らかである。
(発明の効果) 本発明によれば,このように,薬用ニンジンおよび/
またはその組織培養物から血糖降下作用を有する新規な
多糖類であるカルサンA,カルサンB,カルサンC,カルサン
DおよびカルサンEが得られる。これらのカルサン類は
容易に単離され,顕著な薬理効果を有するうえ,副作用
がほとんど認められない。これらのカルサン類を含有す
る薬剤組成物は経口投与剤としても注射剤としても用い
ることが可能であるため,例えば,糖尿病治療薬として
広く利用されうる。
またはその組織培養物から血糖降下作用を有する新規な
多糖類であるカルサンA,カルサンB,カルサンC,カルサン
DおよびカルサンEが得られる。これらのカルサン類は
容易に単離され,顕著な薬理効果を有するうえ,副作用
がほとんど認められない。これらのカルサン類を含有す
る薬剤組成物は経口投与剤としても注射剤としても用い
ることが可能であるため,例えば,糖尿病治療薬として
広く利用されうる。
Claims (8)
- 【請求項1】血糖降下作用を有し,次の物理化学的特性
をもつカルサンA,カルサンB,カルサンC,カルサンDおよ
びカルサンEでなる群から選択される少なくとも一種で
ある多糖類: カルサンA 分子量(ゲル濾過法):9.1×103 比旋光度:〔α〕D−22.9゜ (c 0.14,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3440,10701 H核磁気共鳴(D2O)δ:4.91(巾広い) 5.16(巾広い) 5.34(巾広い) 元素分析値(%):C,37.34; H, 6.41; N, 0.47 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 13.0cm(グルコース 11.0cm) ポリアクリルアミドゲル(30%)電気泳動度: 1.3cm(ブロモフェノールブルー3.3cm) カルサンB 分子量(ゲル濾過法):1.4×104 比旋光度:〔α〕D−17.6゜ (C 0.14,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3450,10601 H核磁気共鳴δ:4.96(巾広い) 5.21(巾広い) 5.40(巾広い) 元素分析値(%):C,33.84; H, 4.83; N, 1.34 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 16.3cm(グルコース 14.5cm) ポリアクリルアミドゲル(10%)電気泳動度: 1.5cm(ブロモフェノールブルー3.9cm) カルサンC 分子量(ゲル濾過法):5.6×103 比旋光度:〔α〕D+30.4゜ (C 0.12,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3400,10501 H核磁気共鳴δ:4.94(巾広い) 5.19(巾広い) 5.36(巾広い) 元素分析値(%):C,36.75; H, 5.90; N, 2.09 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 16.3cm(グルコース 14.5cm) ポリアクリルアミドゲル(30%)電気泳動度: 1.0cm(ブロモフェノールブルー4.7cm) カルサンD 分子量(ゲル濾過法):1.9×103 比旋光度:〔α〕D+21.6゜ (C 0.11,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3400,10411 H核磁気共鳴δ:5.12(巾広い) 5.26(巾広い) 元素分析値(%):C,35.22; H, 6.14; N, 3.19 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 16.3cm(グルコース 14.5cm) ポリアクリルアミドゲル(30%)電気泳動度: 1.0cm(ブロモフェノールブルー4.7cm) カルサンE 分子量(ゲル濾過法):5.8×105 比旋光度:〔α〕D−28.8゜ (C 0.16,水) 赤外線吸収スペクトル(KBr)νmax (cm-1):3450,10621 H核磁気共鳴δ:5.15(巾広い) 5.35(巾広い) 元素分析値(%):C,36.59; H, 6.31; N, 0.89 グラスファイバー濾紙電気泳動度: 14.5cm(グルコース 14.5cm) ポリアクリルアミドゲル(30%)電気泳動度: 0.5cm(ブロモフェノールブルー3.4cm)。 - 【請求項2】ウコギ科に属する薬用ニンジンの根部もし
くは薬用ニンジンの組織培養物,またはそれらの乾燥物
を水および/または水性有機溶媒で抽出する工程,およ
び 得られた抽出液を透析または限外濾過に付して特許請求
の範囲第1項に記載のカルサンA,カルサンB,カルサンC,
カルサンDおよびカルサンEを含むカルサン混合物を得
る工程, を包含する多糖類の単離法。 - 【請求項3】前記カルサン混合物を分画処理に付して前
記カルサンA,カルサンB,カルサンC,カルサンDおよびカ
ルサンEをそれぞれ単離する工程をさらに包含する特許
請求の範囲第2項に記載の単離法。 - 【請求項4】前記薬用ニンジンが,オタネニンジン(Pa
nax ginseng C.A.Meyer),トチバニンジン(Panax j
aponicus C.A.Meyer),アメリカニンジン(Panax qui
nquefolium L.),サンシチニンジン(Panax notogins
eng(Burk)F.H.Chen),およびヒマラヤニンジン(Pan
ax pseudoginseng subsp.himalaicus Hara)でなる群
から選択される特許請求の範囲第2項に記載の単離法。 - 【請求項5】前記抽出液を濃縮し,もしくは該抽出液に
水溶性有機溶媒を加えて析出した沈澱物を得,これら濃
縮液もしくは沈澱物を水または水性有機溶媒に溶解させ
た後,透析もしくは限外濾過に付す工程を包含する,特
許請求の範囲第2項に記載の単離法。 - 【請求項6】前記水性有機溶媒が低級脂肪族アルコー
ル,アセトン,アセトニトリル,ジメチルホルムアミド
およびジメチルアセトアミドでなる群から選択される少
なくとも一種を含有する水溶液である特許請求の範囲第
2項に記載の単離法。 - 【請求項7】前記分画処理が分子量分画処理とイオン交
換樹脂処理とで行われる特許請求の範囲第2項に記載の
単離法。 - 【請求項8】特許請求の範囲第1項に記載のカルサンA,
カルサンB,カルサンC,カルサンDおよびカルサンEでな
る群から選択される少なくとも一種である多糖類を有効
成分として含有し,血糖降下作用を有する薬剤組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63219398A JP2602295B2 (ja) | 1988-09-01 | 1988-09-01 | 多糖類,その単離法および該多糖類を含む薬剤組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63219398A JP2602295B2 (ja) | 1988-09-01 | 1988-09-01 | 多糖類,その単離法および該多糖類を含む薬剤組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0267301A JPH0267301A (ja) | 1990-03-07 |
JP2602295B2 true JP2602295B2 (ja) | 1997-04-23 |
Family
ID=16734788
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63219398A Expired - Lifetime JP2602295B2 (ja) | 1988-09-01 | 1988-09-01 | 多糖類,その単離法および該多糖類を含む薬剤組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2602295B2 (ja) |
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US8039027B1 (en) | 1999-02-25 | 2011-10-18 | Fx Life Sciences Ag | Treatment of autoimmune diseases with American ginseng extract |
KR19990068441A (ko) * | 1999-05-20 | 1999-09-06 | 이승준 | 인삼으로부터다당체를추출정제하는방법 |
JP5080709B2 (ja) * | 2001-09-10 | 2012-11-21 | 正 五井野 | 抗高脂血症組成物及びその製造方法 |
KR100773136B1 (ko) * | 2007-05-30 | 2007-11-05 | 주식회사 코인텍 | 다당체 함량이 우수한 수용성 인삼다당체 추출분말 |
CN105017442B (zh) * | 2015-08-31 | 2017-04-12 | 桂林茗兴生物科技有限公司 | 人参多糖的提取方法 |
-
1988
- 1988-09-01 JP JP63219398A patent/JP2602295B2/ja not_active Expired - Lifetime
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---|---|
JPH0267301A (ja) | 1990-03-07 |
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