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JP2695492B2 - ポリアミド・ポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents

ポリアミド・ポリオレフィン樹脂組成物

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JP2695492B2
JP2695492B2 JP28478589A JP28478589A JP2695492B2 JP 2695492 B2 JP2695492 B2 JP 2695492B2 JP 28478589 A JP28478589 A JP 28478589A JP 28478589 A JP28478589 A JP 28478589A JP 2695492 B2 JP2695492 B2 JP 2695492B2
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勇志 長尾
純一 中村
栄治 安藤
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昭和電工株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はポリアミド・ポリオレフィン樹脂組成物に関
し、詳しくは、ポリアミド樹脂とポリプロピレン樹脂の
それぞれの優れた特性を併せ有し、特に塗装性に優れた
ポリアミド・ポリオレフィン樹脂組成物に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
一般に、ポリアミド樹脂は、物理的,化学的性質に優
れていることから合成繊維などとして幅広く利用されて
いるが、近年成形材料としても利用されるようになって
いる。これは、ポリアミド樹脂が熱可塑性樹脂の中にあ
って、高い機械的強度,優れた耐摩耗性,耐薬品性,耐
熱性及び比較的優れた電気的性質を有し、エンジニアリ
ングプラスチックとしての性能を充分有していることに
よる。しかし、その反面、アミド基(−CONH−)に起因
して吸水による寸法変化や機械的強度の低下が生ずるな
どの好ましからざる性能を有しており、それが故に、成
形材料としての市場性が限定されている。
一方、ポリプロピレン樹脂は安価で、かつ吸水性はほ
とんど示さないが、軟質であり、高温時の物性が劣るな
どの欠点がある。
したがって、ポリアミド樹脂およびポリプロピレン樹
脂のそれぞれの欠点を改善するために、これらの樹脂を
併用することは当然考えられるが、ポリアミド樹脂とポ
リプロピレン樹脂を通常の方法で混合して得た樹脂混合
物、あるいはそれらを単に溶融混練して得た樹脂組成物
では相溶性が劣り、目的とする優れた物性を持つ組成物
とはなりえない。
そのため、従来からポリアミド樹脂とポリプロピレン
樹脂のそれぞれの優れた特性を併せ有する樹脂組成物、
すなわちポリアミド樹脂が有する優れた耐摩耗性,電気
特性,耐熱性,機械的強度,耐油性、さらにポリプロピ
レン樹脂が有する低吸水性,耐熱水性,耐ハロゲン化金
属性,低温耐衝撃性を併せ有する樹脂組成物を得ること
を目的として、ポリアミド樹脂,オルフィン重合体及び
不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトした変性
ポリオレフィンの三成分を溶融混合して、強度,耐熱変
形性,外観,成形加工性のバランスが優れた組成物を得
ることについては、すでに特公昭42−12546号公報,特
公昭45−30945号公報,特公昭50−7636号公報などに示
されている。また、このような優れた性質を利用して、
自動車部品,電機器具,機械部品,工業部品などの強度
や耐熱変形性の要求される用途で実用化が検討された
り、一部では実用化がなされている。
しかしながら、このような特徴を有する樹脂組成物
(ポリマーアロイ組成物)であっても、塗装性が未だ充
分でないという問題がある。これらのポリマーアロイ組
成物には、ポリアミド樹脂に比べて塗装性の悪いポリプ
ロピレン樹脂が含まれるため、かなり用途が限定されて
いるのが現状である。
本発明者らは、ポリアミド樹脂ならびにポリプロピレ
ン樹脂の優れた特性を維持しつつ、特に塗装性を改良す
ることを目的として鋭意研究を重ねた。その結果、成形
加工温度における溶融粘度の比が一定の関係にあるポリ
アミド樹脂とポリプロピレン樹脂を適宜組み合わせて用
いるとともに、変性ポリオレフィンとともに配合するこ
とにより、目的を達成できることを見出した。
本発明は、かかる知見に基いて完成したものである。
すなわち本発明は、 (A)ポリアミド樹脂80〜40重量%(但し、40重量%を
除く。), (B)変性ポリオレフィン1〜40重量%及び (C)ポリプロピレン樹脂20〜60重量%からなり、かつ
成形加工温度,剪断速度3500sec-1における前記(A)
ポリアミド樹脂の溶融粘度ηPA(poise)と(C)ポリ
プロピレン樹脂の溶融粘度ηPP(poise)の比が、 式 ηPPPA>0.75 ・・・〔I〕 を満たすことを特徴とするポリアミド・ポリオレフィン
樹脂組成物を提供するものである。
本発明に用いる(A)ポリアミド樹脂としては各種の
ものが使用可能であるが、具体的にはナイロン6,ナイロ
ン11,ナイロン12などのポリラクタム類;ナイロン66,ナ
イロン610,ナイロン612,ナイロン46等のジカルボン酸と
ジアミンとから得られるポリアミド類;ナイロン6/66,
ナイロン6/12,ナイロン6/66/610等の共重合体ポリアミ
ド類;ナイロン6/6T(T:テレフタル酸成分),イソフタ
ル酸のような芳香族ジカルボン酸とメタキシレンジアミ
ンあるいは脂環族ジアミンから得られる半芳香族ポリア
ミド類;ポリエステルアミド,ポリエーテルアミド及び
ポリエステルエーテルアミドを挙げることができる。な
お、(A)成分のポリアミド樹脂としては、上記各種の
ポリアミドを単独で用いてもよく、また二種以上のポリ
アミドを併用することもできる。
さらに、本発明において使用できるポリアミド樹脂
は、上述のポリアミドより選択されたものであれば、こ
れらのポリアミドの末端基の種類や濃度および分子量な
どにより制限されることなく種々のものを使用すること
ができるが、とりわけ高アミノ未端ポリアミドが好まし
い。また、ポリアミドの重合時に残存または生成するモ
ノマー,オリゴマー等の低分子量物が混在しているポリ
アミドも用いることが可能である。
次に、本発明に用いられる(B)変性ポリオレフィン
としては、各種のものがあるが、通常はカルボン酸基
(酢酸基,アクリル酸基,メタクリル酸基,フマル酸
基,イタコン酸基など),カルボン酸金属塩基(ナトリ
ウム塩,カルシウム塩,マグネシウム塩,亜鉛塩な
ど),カルボン酸エステル基(メチルエステル基,エチ
ルエステル基,プロピルエステル基,ブチルエステル
基,ビニルエステル基など),酸無水物基(無水マレイ
ン酸基など)およびエポキシ基から選ばれた少なくとも
一種の官能基を有するポリオレフィンである。またこの
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン,ポリプロピレ
ン,ポリブテン,エチレン/プロピレン共重合体,エチ
レン/ブテン共重合体,エチレン/ヘキセン共重合体さ
らにはこれらに少量のジエンを含む共重合体などをあげ
ることができる。
このような変性ポリオレフィンの具体例としては、エ
チレン/アクリル酸共重合体,エチレン/メタクリル酸
共重合体,エチレン/フマル酸共重合体,エチレン/メ
タクリル酸/メタクリル酸亜鉛共重合体,エチレン/ア
クリル酸/メタクリル酸ナトリウム共重合体,エチレン
/アクリル酸イソブチル/メタクリル酸/メタクリル酸
亜鉛共重合体,エチレン/メタクリル酸メチル/メタク
リル酸/メタクリル酸マグネシウム共重合体,エチレン
/アクリル酸エチル共重合体,エチレン/酢酸ビニル共
重合体,エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体,
エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合
体,無水マレイン酸グラフトポリエチレン,アクリル酸
グラフトポリエチレン,無水マレイン酸グラフトポリプ
ロピレン,無水マレイン酸グラフトエチレン/プロピレ
ン共重合体,アクリル酸グラフトエチレン/プロピレン
共重合体,フマル酸グラフトエチレン/1−ブデン共重合
体,エチレン/1−ヘキセン−イタコン酸共重合体,エチ
レン/プロピレン−エンドビシクロ〔2.2.1〕−5−ヘ
プテン−2,3−無水ジカルボン酸共重合体,エチレン/
プロピレン−メタクリル酸グラフトグリシジル共重合
体,無水マレイン酸グラフトエチレン/プロピレン/1,4
−ヘキサジエン共重合体,フマル酸グラフトエチレン/
プロピレン/ジシクロペンタジエン共重合体,マレイン
酸グラフトエチレン/プロピレン/ノルボルナジエン共
重合体およびアクリル酸グラフトエチレン/酢酸ビニル
共重合体などであり、これらの変性ポリオレフィンを単
独で使用してもよく、また二種以上を併用することも可
能である。
上記変性ポリオレフィンの製造は公知の方法、例えば
特公昭39−6810号公報,特公昭46−27527号公報,特公
昭50−2630号公報,特公昭52−43677号公報,特公昭53
−5716号公報,特公昭53−19037号公報,特公昭53−411
73号公報,特公昭56−9925号公報などに示された方法に
従って製造することができる。なお、エチレン系アイオ
ノマーについては一般に“サーリン",“ハイミラン",
“コーポレン”なる商品名で市販されている各種グレー
ドを用いることができる。また、本発明で用いられる変
性ポリオレフィンの重合度は特に制限はないが、通常メ
ルトインデックスが0.01〜100g/10分の範囲内にあるも
のを任意に選択できる。
次に(C)ポリプロピレン樹脂としては、プロピレン
単独重合体および/あるいはプロピレン共重合体が用い
られる。ここでプロピレン共重合体としては、プロピレ
ン−エチレン共重合体,プロピレン−ブテン−1共重合
体などがあり、これらのブロック共重合体やランダム共
重合体が用いられる。なお、このポリプロピレン樹脂
は、プロピレン単独重合体やプロピレン共重合体を一種
類で使用してもよく、あるいは二種類以上併用すること
もできる。この際プロピレン単独重合体,プロピレン共
重合体の分子量は、特に制限されないが、一般にはメル
トフローレート(MFR)が1〜50g/10分のものが好適に
使用される。
本発明の組成物では、(A)〜(C)成分として、上
記の如き種々のものが使用可能であるが、これらのうち
(A)成分及び(C)成分の間では、成形加工温度,剪
断速度3500sec-1における(A)成分の溶融粘度ηPA(p
oise)及び(C)成分の溶融粘度ηPP(poise)の比率
が、 式 ηPPPA>0.75 ・・・〔I〕 好ましくは 式 ηPPPA>1 ・・・〔I′〕 を満たすものを組合せて選定することが必要である。こ
こでηPPPAの値が0.75以下であると、得られる樹脂
組成物に所望の塗装性に付与することができず、好まし
くない。なお、ここで成形加工温度とは、本発明の組成
物を成形して各種の成形品を製造する際の温度であり、
一般には180〜350℃の範囲である。
本発明において、塗装性に優れたポリアミド・ポリオ
レフィン樹脂組成物を製造するための各成分の配合割合
は、(A)ポリアミド樹脂80〜40重量%(正しくは40重
量%を越え、かつ80重量%以下)、好ましくは80〜45重
量%であり、(B)変性ポリオレフィン1〜40重量%、
好ましくは3〜30重量%である。また、(C)ポリオレ
フィン樹脂は20〜60重量%、好ましくは20〜50重量%で
ある。
ここで、(A)ポリアミド樹脂が40重量%以下では、
得られる組成物の塗装性を充分に改善されない。逆に80
重量%を超えると、ポリプロピレン樹脂本来の特性が失
われる。また、(B)変性ポリオレフィンが1重量%未
満では、(A)成分であるポリアミド樹脂と(C)成分
であるポリプロピレン樹との相溶性を改善することが難
しく、その結果、得られる組成物に所望の物性を付与す
ることができない場合がある。一方、(B)変性ポリオ
レフィンが40重量%を超えても、配合量に相当する効果
は少なく、むしろ得られる樹脂組成物の諸物性を低下さ
せるおそれがある。さらに、(C)ポリプロピレン樹脂
が20重量%未満では、組成物にポリプロピレン本来の特
性を付与することができない。逆に60重量%を超えると
目的とする塗装性の改善効果が充分発現しない。
本発明の樹脂組成物は、上記の(A),(B)及び
(C)の三成分を主成分とするものであるが、必要によ
り他の添加剤を上記成分の特性を阻害しない範囲で添加
してもよい。ここで配合できる添加剤としては、染料,
顔料,充填剤,核剤,繊維状物,可塑剤,滑剤,離型
剤,カップリング剤,発泡剤,耐熱剤,耐候剤,難燃
剤,帯電防止剤,摺動剤等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、上記三成分及び必要により添
加する添加剤を所定量配合してなる樹脂組成物である。
配合の順序について特に制限はなく、各成分を順次ある
いは同時に配合してもよい。また重合反応終了後の粉末
状あるいはペレット状の(A)成分に(B)及び(C)
成分を配合してもよい。
本発明の樹脂組成物は、各成分を前述の配合割合で混
合乃至混練することによって調製するが、その方法とし
ては、従来知られている溶融混練法が好ましい。混合は
バンバリーミキサー,ヘンシェルミキサー等を用いて行
われ、混練機としては一般に単軸または二軸の押出機が
用いられる。溶融混練する際の温度は、成分,配合量等
により、各成分の溶融が充分進行しかつ分解しない温度
を適宜選定すればよい。通常は180〜350℃、好ましくは
200〜300℃の範囲で選定される。
得られた樹脂組成物は押出成形,圧縮成形,射出成形
等により任意の形状に成形してパイプ,チューブ等の所
望の樹脂製品とすればよい。さらにその後メッキ,塗装
などの加工を施すこともできる。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例および比較例に基いてさらに詳
しく説明する。
なお、以下の各例において得られたポリアミド・ポリ
オレフィン樹脂組成物の各種物性は次の如き試験方法に
基いて測定したものである。
塗装用平板(100×100×3mm厚)の作成法 平板は、組成物をスクリューインライン式射出成形機
で成形した。この時のシリンダー温度は、(A)ポリア
ミド樹脂の種類によらず280℃とした。また、金型温度
は60℃とした。
溶融粘度 東洋精機(株)製キャピログラフを用い、設定温度28
0℃,剪断速度3500sec-1における溶融粘度を測定した。
塗装性 塗料として2液型ポリウレタン樹脂塗料(ストロンエ
ース#680,カシュー(株)製)を用い、平板にスプレー
式で塗布し、乾燥条件は100℃で40分とした。そのサン
プルを1日室温に放置した後、碁盤目剥離試験,塗膜の
密着強度の測定を実施した。
実施例1〜9及び比較例1〜4 第1表に示す(A)ポリアミド樹脂,(B)変性ポリ
オレフィン及び(C)ポリプロピレン樹脂を所定量配合
し、ヘンシェルミキサーにより5分間乾式混合を行い、
得られた混合物をベント付同方向二軸押出機(内径30m
m、L/D=17)により溶融混練し、ペレットを作成した。
ペレット作成時の加熱温度もすべて280℃とした。
このペレットを減圧下で加熱乾燥した後、射出成形に
より平板を成形し、塗装試験を行った。結果を第1表に
示す。
なお、この第1表には280℃,剪断速度3500sec-1にお
けるηPPPAを併せて示す。
〔発明の効果〕 以上説明したように、本発明のよれば、ポリアミドと
ポリプロピレンのそれぞれの優れた特性を併せ有し、特
に塗装性に優れた各種強化ポリアミド・ポリプロピレン
樹脂組成物を製造することができ、塗装性が要求される
用途に適した樹脂組成物を容易に得ることができる。
従って、本発明のポリアミド・ポリオレフィン樹脂組
成物は、塗装性が要求される自動車部品(外板,外装な
ど),機械部品,工業部品等に好適に利用される。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリアミド樹脂80〜40重量%(但
    し、40重量%を除く。),(B)変性ポリオレフィン1
    〜40重量%及び(C)ポリプロピレン樹脂20〜60重量%
    からなり、かつ成形加工温度,剪断速度3500sec-1にお
    ける前記(A)ポリアミド樹脂の溶融粘度ηPA(pois
    e)と(C)ポリプロピレン樹脂の溶融粘度ηPP(pois
    e)の比が、 式 ηPPPA>0.75 ・・・〔I〕 を満たすことを特徴とするポリアミド・ポリオレフィン
    樹脂組成物。
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