JP2538829B2 - 電気コネクタ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、電気コネクタの技術
に関するもので、特にハウジングと端子間のロック手段
を有する電気コネクタ装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】電気コネクタ装置には、様々な種類があ
り、一般に雄型および雌型コネクタとして構成される。

【０００３】上記の型の電気コネクタ装置において使用
される端子は、細長い打ち抜き金属板部材で成形されて
おり、前側接合部、中間部、後端部を有している。前側
接合部は、一つ以上のバネ接触アームを有している。中
間部は、バネ接触アームと一体成形されている上方に延
びた側壁を有するＵ字形状に形成されている。後端部
は、例えば、導体にクランプされる折曲手段を有してい
る。

【０００４】このような電気コネクタ装置は、コネクタ
装置のハウジング内に、端子をロックする手段を有す
る。ハウジングは、プラスチックまたはその他同種類の
誘電性材料で一体成形されており、少なくとも一対の内
壁によりそれぞれ規定されている端子収容通路を有して
いる。端子とハウジングとの最も一般的なロック手段
は、通常端子の中間部の側壁より打ち抜き形成される係
止片を使用している。本質的に係止片は、外向きに折り
曲げられた片持ち支持されたバネアームによって形成さ
れ、ハウジング内の端子収容通路の内壁において形成さ
れている係止面の後側でスナップ嵌合される。勿論、端
子収容通路内でハウジング上の係止面を嵌合させるため
の、端子の端子側壁に貫通形成されるスリット、側壁に
切り欠き形成される凹部等の他のロック手段も知られて
いる。また実開昭５５−１４９２７４号開示された電気
接続器における、ハウジングの前方に向って狭くした案
内溝の一端を端子の爪部に係合させるようなロック手段
も知られている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このような片持ち支持
された係止片や爪部は、様々な問題の原因となりやす
い。例えば、片持ち支持された係止片は、操作中に損傷
や破損を受けやすい。また片持ち係止片は、側壁から打
ち抜かれたりしているので、前側接合部から後端部へ端
子を通して電気を伝導させるための側壁の断面積を減ら
して電気の導電性能を変化させている。

【０００６】本発明は、上記の課題を解決するものであ
る。そこで、本発明の目的は、コネクタハウジング内で
電気端子を弾性保持するための、新規であり改良された
ロック手段を提供することにある。また他の目的は、端
子の電気導電性能を端子の全長でほぼ一定にしたコネク
タ装置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明において、ロック
手段は、少なくとも一対の対向する内壁により規定され
る、少なくとも一つの端子収容通路を有する、誘電性ハ
ウジングを有する電気コネクタ装置において開示されて
いる。少なくとも、一つの細長い端子は、通路内での位
置決めが可能であり、前側接合部、中間部、後端部を有
している。端子は、板状金属材料により一体成形されて
おり、前側接合部は、前方に延びたバネ接触アームを有
し、中間部は底壁および底壁の両縁から立上がって形成
されたバネ接触アームと一体成形された上方に延びた一
対の縦側壁を有している。

【０００８】そして、端子中間部の縦側壁の上端縁に後
ろ向きノッチとが形成され、他方、誘電性ハウジングの
端子収容通路の対向する内壁上には、上記後ろ向きノッ
チと係合する係止ショルダを規定するための係止ボスが
形成されている。而も、係止ショルダ位置での端子の縦
側壁の幅は、この縦側壁と、一体成形されているバネ接
触アームとの接合点の幅と、ほぼ同じである。

【０００９】

【実施例】図面について詳細に説明すれば、まず図１
は、符号１２で示される雌型コネクタと、符号１４で示
される雄型コネクタを有する、符号１０で示される本発
明の電気コネクタ装置の一例を示している。

【００１０】雌型コネクタ１２は、プラスチック等の誘
電性材料により一体成形されたハウジング１６を有して
いる。ハウジング１６は、符号２０で示される雄型端子
が開口後端部２２を通って矢印Ａの方向に挿入される一
つ以上の符号１８で示される貫通路１８を有している。
後述するように、貫通路１８は、雄型コネクタ１４を収
容するために開口前端部２４を有している。ハウジング
１６は、図２より明らかなように、接合状態の雌型と雄
型コネクタをラッチさせるために、傾斜面２８を有する
ラッチ戻り止め２６を有している。

【００１１】雄型端子２０は細長く、前側接合部３０
と、中間部３２及び後端部３４を有している。雄型端子
２０は、板状金属材料で一体に打ち抜き成形されてい
る。後端部３４は、雄型端子２０の後端に一対の折曲ア
ーム３４ａと、折曲アーム３４ａの前方に一対の折曲ア
ーム３４ｂを有している。折曲アーム３４ａ，３４ｂ
は、絶縁導線をクランプする為に設けられている。折曲
アーム３４ａは、導線の絶縁部にクランプされ、折曲ア
ーム３４ｂは、導線の露出した導体コアにクランプされ
る。

【００１２】図１に関連して図３について説明すれば、
雄型端子２０の前側接合部３０は平らであり、線を成す
符号３６（図１参照）の所で折り曲げられて前方に延び
たバネ接触アーム３０ａにより形成されており、バネ接
触アーム３０ａは雄型端子２０の平らな接合雄型部を形
成するために、背中合わせに配置されている。後述する
ように、バネ接触アーム３０ａの先端３８は、雄型端子
を雌型端子へ誘導するために、傾斜されている。

【００１３】雄型端子２０の中間部３２は、Ｕ字型であ
り、底壁３２ａ及び一対の縦側壁３２ｂを有している。
縦側壁３２ｂは、前側接合部３０のバネ接触アーム３０
ａとつながって一体成形されている。図１から明らかな
ように、前側接合部３０（バネ接触アーム３０ａを含
む）は、前向きノッチ４０を中間部の底壁３２ａの前側
に形成するために、中間部３２に対して段を成してい
る。雄端子２０が、矢印Ａの方向にハウジング１６の貫
通路１８に挿入されると、雄型端子２０の前向きノッチ
４０は、ハウジング１６と一体成形され貫通路１８に突
出している下部リブ４６により区画されている位置決め
ショルダ４４に当接する。雄型端子２０が貫通路１８に
挿入される際、中間部３２の縦側壁３２ｂは、ハウジン
グ１６と一体成形され、貫通路１８の対向する側壁から
内側へ突出している一対の係止ボス５０の傾斜面４８に
より、互いに内方へ付勢される。雄型端子２０の前向き
ノッチ４０がハウジングの位置決めショルダ４４に当接
する位置に完全に挿入されると、中間部３２の縦側壁３
２ｂは、係止ボス５０の前側の係止ショルダ５２の前方
で外側に拡開し、後ろ向きノッチ４２とロック係合す
る。従って、雄型端子２０は、ハウジング１６の位置決
めショルダ４４に当接する前向きノッチ４０および、係
止ショルダ５２の前方で嵌合する後ろ向きノッチ４２に
より、前向き又は後ろ向きの動きに対してロックされ
る。

【００１４】雄型コネクタ１４は、雌型コネクタ１２と
同様に構成されており、プラスチック等の誘電性材料に
より一体成形されたハウジング５４を有している。ハウ
ジング５４は、雌型コネクタ１２のハウシング１６の貫
通路１８の開口前端部２４に挿入される前側雄型端５４
ａを有している。ラッチアーム５６は、ハウジング５４
の上部に一体成形されており、雌型コネクタ１２のラッ
チ戻り止め２６の後側にラッチ係合する。特に、雄型コ
ネクタ１４が、矢印Ｂの方向（図１）に、雌型コネクタ
１２内へ挿入されると、ラッチアーム５６の前側端部上
の傾斜面５６ａは、ラッチ戻り止め２６上の傾斜面２８
に当接する。これにより、ラッチアーム５６を矢印Ｃの
方向に上向きに押し上げ、ラッチアーム５６は、ラッチ
アーム５６上のラッチフック５６ｂがラッチ戻り止め２
６により形成されているラッチショルダ５８の後側でス
ナップ嵌合するまで、ラッチ戻り止め上に乗り上げる。
その時に、図２で示されているように、コネクタ１２，
１４は、完全にラッチされ接合状態となる。

【００１５】雄型コネクタ１４のハウジング５４は、符
号６２で示される雌型端子が、後部開口端６４を通っ
て、矢印Ｄの方向に挿入される為の、符号６０で示され
る貫通路を有している。雌型コネクタ１２に関して上述
したのと同様に、雌型端子６２は、その下部ノッチ６６
がハウジング５４の位置決めショルダ６８に当接するま
で、貫通路６０に挿入される。

【００１６】雌型端子６２は、雄型端子２０と同様に、
前側接合部７０、中間部７２、後端部７４を有してい
る。中間部７２及び後端部７４は、雄型端子２０の後端
部３４及び中間部３２とほぼ同じであるため、詳細な説
明は省略する。なお、後端部７４は、一対の折曲アーム
７４ａと、折曲アーム７４ａの前方の一対の折曲アーム
７４ｂを有している。中間部７２はＵ字型であり、底壁
７２ａ及び縦型側壁７２ｂを有している。後ろ向きノッ
チ７６は、一体成形され貫通路６０の側壁の内側に突出
している一対の係止ボス８０の、係止ショルダ７８の前
方でスナップ嵌合するために、中間部７２の側壁７２ｂ
の上端縁に形成されている。雌型端子６２の側壁７２ｂ
の上端縁の後ろ向きノッチ７６が、係止ボス８０の係止
ショルダ７８の前方で外側にスナップ嵌合するまで、雌
型端子６２が矢印Ｄの方向に貫通路６０を通って挿入さ
れると、傾斜面８２は、雌型端子６２の側壁７２ｂをそ
れぞれ内向きに付勢させる。

【００１７】最後に、雌型端子６２の前側接合部７０
は、上下一対のバネ接触アーム８４ａ及び８４ｂにより
形成されている。それぞれ対の符け８４ａと８４ｂの二
つのバネ接触アームは、雄型端子２０の前側接合部３０
の幅より狭く離間しており、コネクタの接合時及び雌型
端子６２への雄型端子２０の挿入時に、雄型端子２０の
前側接合部３０は、バネ接触アーム８４ａ，８４ｂをそ
れ自体のバネバイアスに対して外側に広げることによ
り、バネ接触アーム８４ａ，８４ｂとの電気接合を行
う。

【００１８】そして、ここに記載した型の電気端子に関
する従来技術の課題の一つは、従来の端子が、雄型端子
２０の中間部３２の側壁３２ｂまたは、雌型端子６２の
中間部７２の側壁７２ｂに相当する部分に切り欠き、ス
リット等を形成することにより、それら従来の端子をハ
ウジング内にロックするということであったが、これら
の切り欠き又はスリット等は、これら端子の中間部を通
って前側接合部のバネ接触アームへ至る端子の断面積を
減らしてしまっている。これにより、端子の後端部から
端子の前側接合端部へ電気を導伝させるために、利用で
きる断面積が減らされている。そして上記の切り欠き又
はスリットは、しばしばロックの目的のために、片持ち
支持されたバネ片を形成するのに使われるが、これらの
バネ片は、損傷または破損を受け易く、端子本体または
端子側壁自体と同じように丈夫ではないという欠点があ
った。

【００１９】このような先行技術の課題が上述した本発
明の電気コネクタ装置によって解決される。即ち、図１
及び図２それぞれにおける雄型端子２０と雌型端子６２
の側面図を参照すると、後ろ向きノッチ４２と７６の位
置における端子の側壁の断面積は、端子の前側接合部３
０と７０を通して電気を伝導させるために、端子の先方
の断面積に等しいということが分かる。換言すれば、図
２の雄型端子２０を参照すると、後ろ向きノッチ４２の
位置の中間部３２の側壁３２ｂの幅即ち、双方向矢印Ｅ
で示されている幅は、同じく双方向矢印Ｆで示されてい
る端子の前方接合部へ続いている接合点の幅と同じで電
気の導電性能がほぼ一定である。更に、中間部側壁の上
端縁に、後ろ向きノッチを設けることにより、端子がそ
れぞれのハウジング内のそれぞれの通路に挿入され、傾
斜面４８と８２により内向きに付勢されると、端子側壁
の全体が、内向きに撓む。このことにより側壁全体は、
先行技術の係止片の如き顕著な損傷または破損を受けに
くい。

【００２０】

【発明の効果】以上詳述した如く、本発明は、複数の導
線を他のコネクタ装置に接続するためのコネクタであっ
て、一対の対向する内壁によって規定される少なくとも
一つの細長い端子収容通路を持つ誘導性ハウジングと、
前記収容通路内に配設可能であり、前記他のコネクタ装
置の対応する端子に接合する前側接合部と、中間部及び
前記導線に接続される後端部とを有する少なくとも一つ
の、板状金属材料により打抜き形成された、細長い端子
とにより構成され、前記端子が前側に延長形成された少
なくとも一つのバネ接触アームを含む前側接合部ととも
に一体に打ち抜き形成され、中間部が底壁と、その底壁
の両縁から各々上方に延長され、前側接合部のバネ接触
アームと一体の縦側壁とによって構成された電気コネク
タ装置において前記端子の中間部の各縦側壁の上縁部
に、前記後端部に向けて後ろ向きノッチとを各々形成す
ると共に、他方、端子の挿入方向に対する横断方向で減
少する寸法の断面を有する通路を規定するハウシングの
端子収容通路の対向する各内壁に、上記端子の後ろ向き
ノッチに各々係合する係止ショルダを画成するための係
止ボスを形成し、端子が端子収容通路に挿入された時
に、前記の上方に延びる各縦側壁の上側部が前記各係止
ボスの側面に当接し、前記一対の縦側壁が前記寸法を減
少された断面を通って行いに内側に向くように付勢さ
れ、各係止ボスを通過した後に非付勢状態に復帰して、
前記各々の後ろ向きノッチと前記各々の係止ボスの前記
係止ショルダが係合することによって、ハウシングに端
子を係止するようにしてあると共に、前記バネ接触アー
ム及び中間部の前記各縦側壁が、ほぼ全長にわたり、ほ
ぼ一定の断面積としてあるので、操作中に損傷や破損さ
れるおそれのないロック手段を提供できると共に、導電
性能を一定として、安定性にすぐれた電気コネクタ装置
を提供できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例による解除状態の電気コネクタ
装置の軸方向断面図である。

【図２】接合状態の電気コネクタ装置の図１と同じ軸方
向断面図である。

【図３】図１の３−３線水平断面図である。

【符号の説明】

１０ コネクタ装置 １２ 雌型コネクタ １４ 雄型コネクタ １６，５４ ハウジング １８，６０ 貫通路 ２０ 雄型端子 ６２ 雌型端子 ３０ 前側接合部 ３２ 中間部 ３２ａ 底壁 ３２ｂ 縦側壁 ３４ 後端部 ４２ 後ろ向ノッチ ４８ 傾斜面 ５０ ボス ５２ 係止ショルダ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の導線を他のコネクタ装置に接続す
   るためのコネクタであって、一対の対向する内壁によっ
   て規定される少なくとも一つの細長い端子収容通路を持
   つ誘電性ハウジングと、前記収容通路内に配設可能であ
   り、前記他のコネクタ装置の対応する端子に接合する前
   側接合部と、中間部及び前記導線に接続される後端部と
   を有する少なくとも一つの、板状金属材料により打抜き
   形成された、細長い端子とにより構成され、前記端子が
   前側に延長形成された少なくとも一つのバネ接触アーム
   を含む前側接合部とともに一体に打ち抜き形成され、中
   間部が底壁と、その底壁の両縁から各々上方に延長さ
   れ、前側接合部のバネ接触アームと一体の縦側壁とによ
   って構成された電気コネクタ装置において、 前記端子の中間部の各縦側壁の上縁部に、前記後端部に
   向けて後ろ向きノッチとを各々形成すると共に、他方、
   端子の挿入方向に対する横断方向で減少する寸法の断面
   を有する通路を規定するハウジングの端子収容通路の対
   向する各内壁に、上記端子の後ろ向きノッチに各々係合
   する係止ショルダを画成するための係止ボスを形成し、
   端子が端子収容通路に挿入された時に、前記の上方に延
   びる各縦側壁の上側部が前記各係止ボスの側面に当接
   し、前記一対の縦側壁が前記寸法を減少された断面を通
   って互いに内側に向くように付勢され、各係止ボスを通
   過した後に非付勢状態に復帰して、前記各々の後ろ向き
   ノッチと前記各々の係止ボスの前記係止ショルダが係合
   することによって、ハウジングに端子を係止するように
   してあると共に、前記バネ接触アーム及び中間部の前記
   各縦側壁が、ほぼ全長にわたり、ほぼ一定の断面積とし
   てあることを特徴とする電気コネクタ装置。