JP2508430Y2 - 作業車の安全装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、運転キャビン内と作業
装置に、車両の走行および作業装置の駆動源たる油圧ポ
ンプの駆動用として用いられるエンジンを作動・停止さ
せるためのキースイッチを有する作業車の安全装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、走行自在な車両の車体に、起伏
作動等が自在なブームと、このブームの先端に取り付け
られた作業台とからなる作業装置を架装してなる高所作
業車には、車両の走行用のエンジンの出力によって、上
記ブーム等を作動させるための作動油を吐出する油圧ポ
ンプを駆動するよう構成されたものがある。ここで、こ
のような高所作業車によって作業を行う際、ブームの作
動等によって作業台を所望の高所に移動させた後は、一
旦エンジンを停止させ、作業台を別の場所に移動させる
ときや作業終了後に、再びエンジンを作動させるように
して、省エネや作業騒音の防止を図ることが望ましい。
このため、エンジンを作動・停止させるための手段とし
て上記車両の運転キャビン内に設けられた車両部キース
イッチのほかに、作業台上にもキースイッチ（架装部キ
ースイッチ）を設け、さらに、両キースイッチのオン・
オフ操作によって確実にエンジンの作動・停止制御が行
えるように、両キースイッチのうちいずれか一方のキー
スイッチを通じてのみエンジンを作動・停止可能とすべ
く運転キャビン内において切換え操作できるエンジン作
動回路切換手段が設けられることが多い。このようなエ
ンジン作動回路切換手段を備えた高所作業車では、ま
ず、エンジン作動回路切換手段を車両部キースイッチ側
に切換作動させた後、車両部キースイッチをオン操作し
てエンジンを作動させて車両を作業現場まで走行させ、
作業現場到着後、車両部キースイッチをオフ操作して一
旦エンジンを停止させる。次に、エンジン作動回路切換
手段を架装部キースイッチ側に切換えておき、作業台に
搭乗した時点で架装部キースイッチをオン操作してエン
ジンを作動させ、ブームを作動させる。前述のように一
定場所での作業中は架装部キースイッチをオフに戻して
おきエンジンを停止させておく。そしてそこでの作業終
了後、再びブームを作動させるときに改めて架装部キー
スイッチをオン操作してエンジンを作動させ、例えば、
ブームを車両に対して格納した時点で架装部キースイッ
チをオフに戻しておく。その後、エンジン作動回路切換
手段を車両部キースイッチ側に切換作動させ、車両部キ
ースイッチのオン操作によって車両を走行させることが
できるようになる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、エンジ
ン作動回路切換手段の切換操作が運転キャビン内におい
て行われるようになっているため、車両の走行中に、運
転者等が誤って操作し、エンジン作動回路切換手段を車
両部キースイッチ側から架装部キースイッチ側へ切換作
動させてしまうおそれがあるという問題がある。この場
合には、上記のように架装部キースイッチはオフになっ
ているため、エンジンが停止してしまい走行不能とな
る。

【０００４】本考案は、上記のような問題に鑑みてなさ
れたものであり、車両の走行中には、エンジン作動回路
切換手段の車両部キースイッチ側から架装部キースイッ
チ側へ切換を規制するようにした作業車の安全装置を提
供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本考案では、車両の走行および作業装置の駆動源
たる油圧ポンプの駆動用に用いられるエンジンを作動・
停止させるための手段として車両の運転キャビン内に取
り付けられた車両部キースイッチおよび車両に架装され
た作業装置上に取り付けられた架装部キースイッチのい
ずれか一方を通じてのみエンジンを作動・停止可能とす
べく上記運転キャビン内で切換操作を可能としたエンジ
ン作動回路切換手段における車両部キースイッチ側から
架装部キースイッチ側への切換えは、運転キャビン内に
設けられた車両のサイドブレーキがオンされているとき
のみ許容されるよう構成している。

【０００６】

【作用】このような安全装置では、サイドブレーキがオ
ンされているとき、即ち、車両が停止しているときに以
外は、エンジン作動回路切換手段に、車両部キースイッ
チ側から架装部キースイッチ側への切換えを行わせるこ
とはできないので、車両の走行中に誤って上記切換えを
行わせるような操作を行っても、エンジンが停止して走
行不能に陥ることはない。

【０００７】

【実施例】以下、本考案の好ましい実施例について図面
を参照しながら説明する。まず、本考案に係る安全装置
を備えた高所作業車について、図１を用いて説明する。
この高所作業車１は、走行自在なトラック（車両）Ｔの
車体２の後部に、旋回自在な旋回台３と、この旋回台３
の上部に起伏作動自在に枢着され、伸縮作動自在に構成
されたブーム４と、このブーム４の先端部に取り付けら
れた作業台５とからなる高所用作業装置を架装してな
る。作業者は、上記作業台５に搭乗して、旋回台３およ
びブーム４を作動させることにより、任意の高所に移動
して作業を行うことができる。なお、上記旋回台３およ
びブーム４の各作動は、油圧アクチュエータ（旋回モー
タ７、起伏シリンダ８および伸縮シリンダ９）の作動に
よって行われ、これら油圧アクチュエータに作動油を供
給するのが、車体２に取り付けられた油圧ポンプＰであ
る。ここで、上記油圧ポンプＰは、トラックＴの走行時
には変速機ＴＭを介して後輪を駆動する走行用のエンジ
ンＥの出力を、パワーテイクオフ機構ＰＴＯによって取
り出して駆動される。また、エンジンＥは、車体２の下
部に搭載されたバッテリＢから電力供給を受けて作動す
る。

【０００８】ところで、トラックＴの運転キャビンＣ内
には、エンジンＥを作動・停止させるための車両部キー
スイッチ１１が設けられているが、この高所作業車１で
は、同様にエンジンＥを作動・停止させるためのキース
イッチ（架装部キースイッチ）１２が作業台５上にも設
けられている。これにより、ブーム４等を作動させて所
望の高所に移動した後、同じ場所で作業を行っている間
は、作業台５上からエンジンＥを停止させておき、再び
ブーム５等を作動させるときに作業台５上からエンジン
Ｅを作動させることができ、省エネ等に有効である。

【０００９】これら車両部キースイッチ１１および架装
部キースイッチ１２を通じてエンジンＥにバッテリＢか
ら電力を供給するための電気回路は、図２に示してい
る。ここで、バッテリＢと車両部キースイッチ１１およ
び架装部キースイッチ１２との間には、エンジン作動回
路切換回路２０が設けられている。このエンジン作動回
路切換回路２０は、図１にも示すように運転キャビンＣ
内に設けられ、バッテリＢに接続された切換操作スイッ
チ２１と、この切換操作スイッチ２１がオフのとき非励
磁となり、切換操作スイッチ２１がオンのときに励磁可
能とされるリレーコイル２２と、このリレーコイル２２
が非励磁のときはバッテリＢと車両部キースイッチ１１
を接続すべく車両部キースイッチ１１側に強制的に位置
され、リレーコイル２２が励磁されたときは、その励磁
力により、バッテリＢと架装部キースイッチ１２を接続
すべく架装部キースイッチ１２側に位置する切換子２３
とから構成されている。このような構成のエンジン作動
回路切換回路２０において、切換操作スイッチ２１をオ
フとしたまま車両部キースイッチ１１をオン操作する
と、その車両部キースイッチ１１を通じてのみバッテリ
Ｂの電力がエンジンＥに供給され、エンジンＥを作動さ
せてトラックＴを走行させることができる。一方、切換
操作スイッチ２１をオン操作して、作業台５に搭乗した
時点で架装部キースイッチ１２をオン操作すると、上記
電力は架装部キースイッチ１２を通じてのみエンジンＥ
に供給され、油圧ポンプＰを作動させ、ブーム４等を作
動させることができる。

【００１０】ところが、前述のように切換操作スイッチ
２１が運転キャビンＣ内に設けられているため、トラッ
クＴの走行中に誤ってこれをオン操作してしまった場合
には、走行エンジンＥが突然停止するという事態とな
る。そこで、このような切換操作スイッチ２１の誤操作
に基づく走行エンジンＥの停止を防止すべく、上記安全
装置が取り付けられている。この安全装置３０は、上記
リレーコイル２２をアースするアースライン３１を開通
・遮断するサイドブレーキ連動スイッチ３２からなる。
このサイドブレーキ連動スイッチ３２は、図１に示すよ
うに運転キャビンＣ内に設けられたトラックＴのサイド
ブレーキＳＢがオフのときは上記アースライン３１を遮
断して、リレーコイル２２を励磁不能とする。また、サ
イドブレーキＳＢがオン操作されたときは、そのオン操
作に連動して上記アースライン３１を開通させ、リレー
コイル２２を励磁可能とする。この安全装置３０によ
り、サイドブレーキＳＢがオン操作されている間、即
ち、トラックＴが停止している間は、エンジン作動回路
切換回路２０におけるリレーコイル２２の非励磁状態か
ら励磁状態への切換え、即ち、切換子２３の車両部キー
スイッチ１１側から架装部キースイッチ１１側への切換
え、およびその逆の切換えはいずれも自在に行われる。
一方、サイドブレーキＳＢがオフとされている間、即
ち、トラックＴが走行している間は、エンジン作動回路
切換回路２０におけるリレーコイル２２の非励磁状態か
ら励磁状態への切換えは、切換操作スイッチ２１のオン
・オフにかかわらず阻止される。これにより、上記のよ
うにトラックＴの走行中に切換操作スイッチ２１が誤操
作されても、バッテリＢの電力は、オン操作された車両
部キースイッチ１１を通じてエンジンＥに供給され、こ
れを作動させ続け、トラックＴの走行状態を維持する。

【００１１】

【考案の効果】以上のように、本考案の安全装置を用い
れば、車両のサイドブレーキがオフされている間、即
ち、車両が走行している間は、エンジン作動回路切換手
段における車両部キースイッチ側から架装部キースイッ
チ側への切換えが規制されるため、車両の走行中に誤っ
て上記切換えを行わせるような操作をしてしまった場合
でも、車両のエンジンは停止することなく、車両の走行
状態を維持することができ、車両の安全走行を確保でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る安全装置を備えた高所作業車の側
面図である。

【図２】上記安全装置およびエンジン作動回路切換回路
等の電気回路図である。 ４ ブーム ５ 作業台 １１ 車両部キースイッチ １２ 架装部キースイッチ ２０ エンジン作動回路切換回路 ２１ 切換操作スイッチ ２２ リレーコイル ２３ 切換子 ３２ サイドブレーキ連動スイッチ Ｅ エンジン ＳＢ サイドブレーキ ＰＴＯ パワーテイクオフ機構 Ｔ トラック

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 走行自在な車両に作業装置を架装してな
   るとともに、前記車両の走行および前記作業装置の駆動
   源たる油圧ポンプの駆動用に用いられるエンジンを作動
   ・停止させるための手段として、前記車両の運転キャビ
   ン内に取り付けられた車両部キースイッチのほかに、前
   記作業装置に取り付けられた架装部キースイッチを備
   え、さらに、前記車両部キースイッチおよび前記架装部
   キースイッチのいずれか一方を通じてのみ前記エンジン
   を作動・停止可能とすべく前記運転キャビン内において
   切換操作できるエンジン作動回路切換手段を備えてなる
   作業車の安全装置であって、前記エンジン作動回路切換
   手段における前記車両部キースイッチ側から前記架装部
   キースイッチ側への切換えは、前記運転キャビン内に設
   けられた前記車両のサイドブレーキがオンされていると
   きのみ許容されるよう構成したことを特徴とする作業車
   の安全装置。