JP2503224B2 - 深絞り性に優れた厚物冷延鋼板の製造方法 - Google Patents
深絞り性に優れた厚物冷延鋼板の製造方法Info
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- JP2503224B2 JP2503224B2 JP62066804A JP6680487A JP2503224B2 JP 2503224 B2 JP2503224 B2 JP 2503224B2 JP 62066804 A JP62066804 A JP 62066804A JP 6680487 A JP6680487 A JP 6680487A JP 2503224 B2 JP2503224 B2 JP 2503224B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、深絞り性に優れた厚物冷延鋼板の製造方
法に関する。
法に関する。
従来、厚物冷延鋼板の製造工程においては、A3変態点
以上の仕上温度で熱間圧延した素材を酸洗した後、冷
延,焼鈍するのが一般的である。ところがこの従来方法
では、深絞り性が悪いという問題がある。即ち、例えば
3.2mmの冷延鋼板を製造する場合、熱延仕上板厚を酸洗
ライン通過可能な最大厚さ6mm程度ぎりぎりに仕上げた
としても、46%の冷延率しか取れず、十分な冷延集合組
織の発達が望めず、再結晶焼鈍後に深絞り性に有効な集
合組織が発達せず、結局ランクフォード値(以下r値と
記す)が1.0前後となって深絞り性に悪かった。
以上の仕上温度で熱間圧延した素材を酸洗した後、冷
延,焼鈍するのが一般的である。ところがこの従来方法
では、深絞り性が悪いという問題がある。即ち、例えば
3.2mmの冷延鋼板を製造する場合、熱延仕上板厚を酸洗
ライン通過可能な最大厚さ6mm程度ぎりぎりに仕上げた
としても、46%の冷延率しか取れず、十分な冷延集合組
織の発達が望めず、再結晶焼鈍後に深絞り性に有効な集
合組織が発達せず、結局ランクフォード値(以下r値と
記す)が1.0前後となって深絞り性に悪かった。
一方、熱延鋼板の製造方法として、従来より、熱間圧
延を温間で行い、再結晶焼鈍することによって、高いr
値を得る方法があり、かかる方法でも深絞り性に優れた
厚物鋼板の製造が可能であるが、この方法では板の寸法
精度及び表面粗度等の点で冷延鋼板に劣る。
延を温間で行い、再結晶焼鈍することによって、高いr
値を得る方法があり、かかる方法でも深絞り性に優れた
厚物鋼板の製造が可能であるが、この方法では板の寸法
精度及び表面粗度等の点で冷延鋼板に劣る。
以上のように、従来の厚物冷延鋼板の製造方法では、
冷延率が取れずに十分な冷延集合組織が得られないた
め、良好な深絞り性が得られないという問題があった。
冷延率が取れずに十分な冷延集合組織が得られないた
め、良好な深絞り性が得られないという問題があった。
この発明は、係る問題点に鑑み、板厚が2.5〜4.0mmと
極厚で、しかも深絞り性の良好な厚物冷延鋼板の製造方
法を提供せんとするものである。
極厚で、しかも深絞り性の良好な厚物冷延鋼板の製造方
法を提供せんとするものである。
そして本件発明者は、係る課題を解決すべく鋭意研究
し、冷間圧延の集合組織の一部又はそのほとんどを熱延
段階で作り、続く冷間圧延でそれを完全なものとし、又
冷延鋼板に要求される形状精度については冷延段階で作
り上げればよいことを知見し、本発明をなしたものであ
る。
し、冷間圧延の集合組織の一部又はそのほとんどを熱延
段階で作り、続く冷間圧延でそれを完全なものとし、又
冷延鋼板に要求される形状精度については冷延段階で作
り上げればよいことを知見し、本発明をなしたものであ
る。
そこで本件出願の第1の発明は、C:0.03重量%以下、
N:0.01重量%以下を含有し、Ti:0.2重量%以下、Nb:0.3
重量%以下で、かつ(C/12+N/14)<(Ti/48+Nb/93)
となる量のTiあるいはNbの一方又は双方を添加した鋼に
対し、900℃〜1000℃の温度範囲にて粗圧延を施すこと
によりTi,Nbの炭,窒化物を圧延誘起析出させるととも
に、該粗圧延から仕上圧延までの待機時間を4分以上と
することによりTi,Nbの炭,窒化物を析出させて固溶
(C,N)を30ppm以下とし、800℃〜400℃で潤滑を施しつ
つ仕上板厚t1に対してロール径D1がD1>100t1となる圧
延ロールを用いて圧下率R1の仕上圧延を行い、酸洗後、
仕上板厚t2に対してロール径D2がD2>100t2となる圧延
ロールを用いて圧下率R2(但し、R1とR2との合計圧下率
R>60%、R2>5%)の冷間圧延を施した後、焼鈍する
ようにしたものである。なお、ここで合計圧下率Rは下
記式で求められる。
N:0.01重量%以下を含有し、Ti:0.2重量%以下、Nb:0.3
重量%以下で、かつ(C/12+N/14)<(Ti/48+Nb/93)
となる量のTiあるいはNbの一方又は双方を添加した鋼に
対し、900℃〜1000℃の温度範囲にて粗圧延を施すこと
によりTi,Nbの炭,窒化物を圧延誘起析出させるととも
に、該粗圧延から仕上圧延までの待機時間を4分以上と
することによりTi,Nbの炭,窒化物を析出させて固溶
(C,N)を30ppm以下とし、800℃〜400℃で潤滑を施しつ
つ仕上板厚t1に対してロール径D1がD1>100t1となる圧
延ロールを用いて圧下率R1の仕上圧延を行い、酸洗後、
仕上板厚t2に対してロール径D2がD2>100t2となる圧延
ロールを用いて圧下率R2(但し、R1とR2との合計圧下率
R>60%、R2>5%)の冷間圧延を施した後、焼鈍する
ようにしたものである。なお、ここで合計圧下率Rは下
記式で求められる。
R=1−(1−R1)(1−R2) また、粗圧延については従来の再加熱圧延でも、鋳造
後ただちに圧延を行う直接圧延であっても良い。
後ただちに圧延を行う直接圧延であっても良い。
また本件出願の第2の発明は、C:0.03重量%以下、N:
0.01重量%以下、B:0.0005〜0.005重量%を含有し、Ti:
0.2重量%以下、Nb:0.3重量%以下で、かつ(C/12+N/1
4)<(Ti/48+Nb/93)となるような量のTiあるいはNb
の一方又は双方を添加してなる鋼に対し、900℃〜1000
℃の温度範囲にて粗圧延を施すことによりTi,Nbの炭,
窒化物を圧延誘起析出させるとともに、該粗圧延から仕
上圧延までの待機時間を4分以上とすることにより、T
i,Nbの炭,窒化物を析出させて固溶(C,N)を30ppm以下
とし、800℃〜400℃で潤滑を施しつつ仕上板厚t1に対し
てロール径D1がD1>100t1となる圧延ロールを用いて圧
下率R1の仕上圧延を行い、酸洗後、仕上板厚t2に対して
ロール径D2がD2>100t2となる圧延ロールを用いて圧下
率R2(但し、合計圧下率R>60%、R2>5%)の冷間圧
延を施した後、焼鈍するようにしたものである。
0.01重量%以下、B:0.0005〜0.005重量%を含有し、Ti:
0.2重量%以下、Nb:0.3重量%以下で、かつ(C/12+N/1
4)<(Ti/48+Nb/93)となるような量のTiあるいはNb
の一方又は双方を添加してなる鋼に対し、900℃〜1000
℃の温度範囲にて粗圧延を施すことによりTi,Nbの炭,
窒化物を圧延誘起析出させるとともに、該粗圧延から仕
上圧延までの待機時間を4分以上とすることにより、T
i,Nbの炭,窒化物を析出させて固溶(C,N)を30ppm以下
とし、800℃〜400℃で潤滑を施しつつ仕上板厚t1に対し
てロール径D1がD1>100t1となる圧延ロールを用いて圧
下率R1の仕上圧延を行い、酸洗後、仕上板厚t2に対して
ロール径D2がD2>100t2となる圧延ロールを用いて圧下
率R2(但し、合計圧下率R>60%、R2>5%)の冷間圧
延を施した後、焼鈍するようにしたものである。
ここで本願発明の成分限定理由及び製造条件について
説明する。
説明する。
まず第1の発明における成分限定理由について説明す
る。
る。
C,N:C,Nは0.03%、0.01%を越えて添加すると、製品
の加工性が悪くなり、又これを固着するためのTi,Nbの
量が多くなって高価になることから、C≦0.03%、N≦
0.01%とする。
の加工性が悪くなり、又これを固着するためのTi,Nbの
量が多くなって高価になることから、C≦0.03%、N≦
0.01%とする。
Ti,Nb:Ti,Nbはこれを添加することで、その炭,窒化
物を形成させて鋼中の固溶(C,N)を減じ、さらにフェ
ライト再結晶温度を大幅に上げることができ、加工中の
回復も遅らせることが可能になる。これによって冶金的
にみた場合、冷間で圧延したのと同様な状態を高温域80
0℃以下まで延長することができ、冷間集合組織の大部
分を熱間圧延時に作ることが可能となる。そしてこのT
i,Nbの添加量を炭,窒化物を形成して鋼中の固溶(C,
N)を固定するに必要な量、即ち(C/12+N/14)<(Ti/
48+Nb/93)を満足する量とし、かつ経済性をも考慮し
てTi:0.2重量%以下、Nb:0.3重量%以下とした。
物を形成させて鋼中の固溶(C,N)を減じ、さらにフェ
ライト再結晶温度を大幅に上げることができ、加工中の
回復も遅らせることが可能になる。これによって冶金的
にみた場合、冷間で圧延したのと同様な状態を高温域80
0℃以下まで延長することができ、冷間集合組織の大部
分を熱間圧延時に作ることが可能となる。そしてこのT
i,Nbの添加量を炭,窒化物を形成して鋼中の固溶(C,
N)を固定するに必要な量、即ち(C/12+N/14)<(Ti/
48+Nb/93)を満足する量とし、かつ経済性をも考慮し
てTi:0.2重量%以下、Nb:0.3重量%以下とした。
他の成分:他の成分については限定していないが、加
工用冷延鋼板として通常含まれている成分、例えばMn<
1.0%、Si<1.0%、P<1.0%、S<0.02%、Al<0.1%
等がある。
工用冷延鋼板として通常含まれている成分、例えばMn<
1.0%、Si<1.0%、P<1.0%、S<0.02%、Al<0.1%
等がある。
次に第2発明における成分限定理由について説明す
る。なお、、C,N,Ti,Nbについては第1の発明と同様で
あるので、その説明は省略する。
る。なお、、C,N,Ti,Nbについては第1の発明と同様で
あるので、その説明は省略する。
B:Bはこれを添加することで、耐たて割れ性を改善で
きる。即ち、Ti,Nbを添加することにより、固溶Cを低
減することができるが、この固溶Cの低減は結晶粒界の
結合力を弱め、2次加工時の耐たて割れ性を劣化させ
る。そこでBを添加することで、Bを結晶粒界に偏析さ
せて結晶粒界の結合力を強めることができる。Bの添加
量については0.0005%未満では上述の効果が得られず、
0.005%を越える添加は経済的に不利な上、過剰なBの
添加は製品の深絞り性に悪影響を及ぼすことから、0.00
05%〜0.005%とする。
きる。即ち、Ti,Nbを添加することにより、固溶Cを低
減することができるが、この固溶Cの低減は結晶粒界の
結合力を弱め、2次加工時の耐たて割れ性を劣化させ
る。そこでBを添加することで、Bを結晶粒界に偏析さ
せて結晶粒界の結合力を強めることができる。Bの添加
量については0.0005%未満では上述の効果が得られず、
0.005%を越える添加は経済的に不利な上、過剰なBの
添加は製品の深絞り性に悪影響を及ぼすことから、0.00
05%〜0.005%とする。
次に製造条件について説明する。
Ti,Nbの炭,窒化物析出処理を行う点:固溶(C,N)が
多量に含まれている状態で未再結晶圧延を施しても、再
結晶焼鈍時に板面に平行な(111)集合組織は発達せ
ず、深絞り性に悪影響を及ぼす(200)集合組織が発達
する。冷間圧延で高い深絞り性を得ようとする場合に
は、熱間圧延終了後に高温で巻取って炭,窒化物を析出
させておくことが必要であるが、これと同様に、800℃
〜400℃の温度範囲での未再結晶圧延前に、Ti,Nbの炭,
窒化物を析出させて、鋼中の固溶(C,N)を減じておく
ことが必要である。ここで熱延仕上前に、Ti(C,N),Nb
(C,N)を充分に析出させる方法としては粗圧延温度を9
00℃〜1000℃と低くして、Ti,Nbの炭,窒化物を圧延誘
起析出させるとともに、粗圧延の終了から熱延仕上まで
の待機時間を4分以上とすることによりこの間の炭,窒
化物を析出させる方法が採用できる。
多量に含まれている状態で未再結晶圧延を施しても、再
結晶焼鈍時に板面に平行な(111)集合組織は発達せ
ず、深絞り性に悪影響を及ぼす(200)集合組織が発達
する。冷間圧延で高い深絞り性を得ようとする場合に
は、熱間圧延終了後に高温で巻取って炭,窒化物を析出
させておくことが必要であるが、これと同様に、800℃
〜400℃の温度範囲での未再結晶圧延前に、Ti,Nbの炭,
窒化物を析出させて、鋼中の固溶(C,N)を減じておく
ことが必要である。ここで熱延仕上前に、Ti(C,N),Nb
(C,N)を充分に析出させる方法としては粗圧延温度を9
00℃〜1000℃と低くして、Ti,Nbの炭,窒化物を圧延誘
起析出させるとともに、粗圧延の終了から熱延仕上まで
の待機時間を4分以上とすることによりこの間の炭,窒
化物を析出させる方法が採用できる。
温間圧延温度を800〜400℃とした点、及び合計圧下率
を60%以下とした点:800℃を越える温度での圧延ではフ
ェライトが再結晶してしまい、加工組織は残らない。一
方400℃未満の温度での圧延では材料の変形抵抗が大き
すぎるので、実際的ではない。そのため800℃〜400℃と
する。
を60%以下とした点:800℃を越える温度での圧延ではフ
ェライトが再結晶してしまい、加工組織は残らない。一
方400℃未満の温度での圧延では材料の変形抵抗が大き
すぎるので、実際的ではない。そのため800℃〜400℃と
する。
また再結晶焼鈍で深絞り性に有効な集合組織を得るた
めには、冷延集合組織を十分に発達させておかなければ
ならない。そのためにはフェライト未再結晶域での圧延
率が合計で60%以上必要である。即ち、温間圧延での圧
下率R1はそれに続く冷間圧延の圧下率R2との合計圧下率
R(=1−(1−R1)(1−R2))が60%以上となるよ
うにする。
めには、冷延集合組織を十分に発達させておかなければ
ならない。そのためにはフェライト未再結晶域での圧延
率が合計で60%以上必要である。即ち、温間圧延での圧
下率R1はそれに続く冷間圧延の圧下率R2との合計圧下率
R(=1−(1−R1)(1−R2))が60%以上となるよ
うにする。
この場合、冷間圧延については、上記熱間圧延で作ら
れた集合組織を完全なものとし、かつ表面形状を整える
ために必要な圧下率を確保すればよく、5%以上であれ
ばよい。
れた集合組織を完全なものとし、かつ表面形状を整える
ために必要な圧下率を確保すればよく、5%以上であれ
ばよい。
熱間圧延における潤滑:潤滑については、これを行わ
ずに圧延すると、ロールと板との間の摩擦の影響で、板
の表面層に著しいせん断変形を受けた部分が生成され、
正常な冷延集合組織とは異なった集合組織、即ち板面に
平行に(110)方位の集合組織が発達し、深絞り性に悪
影響を及ぼす。そのため、板とロール間に潤滑を施し、
摩擦係数は少なくとも0.25以下とする必要がある。
ずに圧延すると、ロールと板との間の摩擦の影響で、板
の表面層に著しいせん断変形を受けた部分が生成され、
正常な冷延集合組織とは異なった集合組織、即ち板面に
平行に(110)方位の集合組織が発達し、深絞り性に悪
影響を及ぼす。そのため、板とロール間に潤滑を施し、
摩擦係数は少なくとも0.25以下とする必要がある。
ロール径を規定した点:ロール径が仕上板厚に比して
あまり小さいと、冷延率を高くしても板の中心部まで塑
性歪が入らず、十分な冷延集合組織が得られない。その
ため、仕上板厚tに対してロール径DをD>100tとなる
ようにする。なおこのことは冷延ロールについても同様
である。
あまり小さいと、冷延率を高くしても板の中心部まで塑
性歪が入らず、十分な冷延集合組織が得られない。その
ため、仕上板厚tに対してロール径DをD>100tとなる
ようにする。なおこのことは冷延ロールについても同様
である。
本願の第1,第2の発明においては、Ti,Nbの炭,窒化
物を析出させて鋼中の固溶(C,N)を低減するととも
に、所定ロール径の圧延ロールによって所定圧下率の温
間圧延を行うようにしたので、冶金的に見て冷間で圧延
したのとほぼ同様の状態を高温域800℃以下まで延長す
ることができ、深絞り性に影響する冷延集合組織をこの
段階で作ることが可能となり、高い深絞り性が得られ
る。又冷間圧延では上記集合組織を完全なものとし、か
つ表面形状を整えるようにしたことから、冷延圧下率を
それほど大きくする必要がなく、優れた表面性状,寸法
精度が得られる。
物を析出させて鋼中の固溶(C,N)を低減するととも
に、所定ロール径の圧延ロールによって所定圧下率の温
間圧延を行うようにしたので、冶金的に見て冷間で圧延
したのとほぼ同様の状態を高温域800℃以下まで延長す
ることができ、深絞り性に影響する冷延集合組織をこの
段階で作ることが可能となり、高い深絞り性が得られ
る。又冷間圧延では上記集合組織を完全なものとし、か
つ表面形状を整えるようにしたことから、冷延圧下率を
それほど大きくする必要がなく、優れた表面性状,寸法
精度が得られる。
また本願の第2の発明においては、Bを添加するよう
にしたことから、上述の効果に加えて鋼中の固溶(C,
N)の低減に起因する耐たて割れ性の劣化が防止でき
る。
にしたことから、上述の効果に加えて鋼中の固溶(C,
N)の低減に起因する耐たて割れ性の劣化が防止でき
る。
以下、本発明の実施例を図について説明する。
まず本願の第1の発明の実施例について説明する。
第1表は本発明の鋼(表中、C,D)及び比較鋼(表
中、A,B)の化学成分を示す。
中、A,B)の化学成分を示す。
本実施例では第1表に示す4鋼種を転炉で溶製し、通
常の行程でスラブを製造した後、第2表に示す条件で熱
間圧延を行い、コイルに巻取り、これを酸洗した後、こ
れも第2表に示す条件で冷間圧延を行い、750℃×3時
間のバッチ焼鈍を行い、材料のr値を測定した。その結
果を第2表に示す。また第2表には材料の表面性状につ
いても示している。
常の行程でスラブを製造した後、第2表に示す条件で熱
間圧延を行い、コイルに巻取り、これを酸洗した後、こ
れも第2表に示す条件で冷間圧延を行い、750℃×3時
間のバッチ焼鈍を行い、材料のr値を測定した。その結
果を第2表に示す。また第2表には材料の表面性状につ
いても示している。
これによれば、本願発明では、r値が1.75以上と高
く、良好な深絞り性が得られ、又表面性状についても良
好なことがわかる。
く、良好な深絞り性が得られ、又表面性状についても良
好なことがわかる。
また本件発明者は、ロール径と深絞り性との関係につ
いて実験を行った。
いて実験を行った。
この実験では、0.0032%C−0.01%Si−0.18%Mn−0.
001%S−0.1%Ti−0.0030%Nの熱延板を種々のロール
径の圧延ロールで冷間圧延して、850℃×2分の再結晶
焼鈍した後、r値を測定した。冷延率は75%と一定に
し、パス回数も15パスと一定にした。素材の熱延板は、
熱延仕上温度900℃で圧延仕上したものを700℃で巻取っ
た。
001%S−0.1%Ti−0.0030%Nの熱延板を種々のロール
径の圧延ロールで冷間圧延して、850℃×2分の再結晶
焼鈍した後、r値を測定した。冷延率は75%と一定に
し、パス回数も15パスと一定にした。素材の熱延板は、
熱延仕上温度900℃で圧延仕上したものを700℃で巻取っ
た。
ロール径D,仕上板厚t,r値の関係を図面に示した。図
中の数字はr値を、境界線AはD=100tを示し、これよ
り右側部分が本発明範囲のロールを使用した結果であ
る。
中の数字はr値を、境界線AはD=100tを示し、これよ
り右側部分が本発明範囲のロールを使用した結果であ
る。
同図によれば、概ねD>100tの関係にある範囲で高い
r値が得られることが理解される。
r値が得られることが理解される。
次に本願の第2の発明の実施例について説明する。
第3表は本発明の鋼(表中のE)及び比較鋼(表中の
C)の化学成分を示す。本実施例では第3表に示す2鋼
種を溶製し、通常の工程でスラブを製造した後、1000℃
に再加熱してγ域で30mm厚さに粗圧延し、800℃になっ
たところで仕上圧延して5.5mmの厚さに仕上げた。仕上
温度は両鋼とも700℃程度とした。これを巻取った後、
酸洗して冷間圧延した。冷間圧延の仕上板厚は4.0mmで
あるから、800℃以下の温度範囲での圧下率は合計87%
である。また熱間圧延のロール径はφ800、冷間圧延の
ロール径はφ580である。得られた鋼板を750℃で3時間
箱焼鈍した後、r値の測定及び2次加工時の耐たて割れ
性の試験を行った。
C)の化学成分を示す。本実施例では第3表に示す2鋼
種を溶製し、通常の工程でスラブを製造した後、1000℃
に再加熱してγ域で30mm厚さに粗圧延し、800℃になっ
たところで仕上圧延して5.5mmの厚さに仕上げた。仕上
温度は両鋼とも700℃程度とした。これを巻取った後、
酸洗して冷間圧延した。冷間圧延の仕上板厚は4.0mmで
あるから、800℃以下の温度範囲での圧下率は合計87%
である。また熱間圧延のロール径はφ800、冷間圧延の
ロール径はφ580である。得られた鋼板を750℃で3時間
箱焼鈍した後、r値の測定及び2次加工時の耐たて割れ
性の試験を行った。
耐たて割れ性の試験はカップ縦割れ試験を行った。即
ち、鋼板をφ145でブランクした後、絞り比α:2.0で試
験用カップを作製し、これを液体窒素温度から常温まで
の温度範囲で、円錐ポンチにかぶせてカップ底面から荷
重をかけて破壊し、その時の脆性破壊率から遷移温度を
測定した。実 験結果を第4表に示す。
ち、鋼板をφ145でブランクした後、絞り比α:2.0で試
験用カップを作製し、これを液体窒素温度から常温まで
の温度範囲で、円錐ポンチにかぶせてカップ底面から荷
重をかけて破壊し、その時の脆性破壊率から遷移温度を
測定した。実 験結果を第4表に示す。
同表によれば、本発明ではBを添加することによっ
て、脆性遷移温度が低下し、耐たて割れ性が改善してい
ることがわかる。
て、脆性遷移温度が低下し、耐たて割れ性が改善してい
ることがわかる。
以上のように、本願の第1,第2の発明によれば、Ti,N
bの炭,窒化物を析出させて鋼中の固溶(C,N)を低減す
るとともに、熱延段階で冷間圧延集合組織の一部又はそ
のほとんどを作り、冷延段階でこの集合組織を完全なも
のとするとともに表面性状を整えるようにしたので、表
面性状に優れ、かつ深絞り性に優れた厚物冷延鋼板の製
造できる効果がある。
bの炭,窒化物を析出させて鋼中の固溶(C,N)を低減す
るとともに、熱延段階で冷間圧延集合組織の一部又はそ
のほとんどを作り、冷延段階でこの集合組織を完全なも
のとするとともに表面性状を整えるようにしたので、表
面性状に優れ、かつ深絞り性に優れた厚物冷延鋼板の製
造できる効果がある。
また本願の第2の発明によれば、さらにBを添加する
ようにしたので、上記効果に加えて耐たて割れ性を向上
できる効果がある。
ようにしたので、上記効果に加えて耐たて割れ性を向上
できる効果がある。
図面は仕上板厚,ロール径比とr値との関係を示す図で
ある。
ある。
Claims (2)
- 【請求項1】C:0.03重量%以下、N:0.01重量%以下を含
有し、Ti:0.2重量%以下、Nb:0.3重量%以下で、かつ
(C/12+N/14)<(Ti/48+Nb/93)となるような量のTi
あるいはNbの一方又は双方を添加した残部Fe及び不可避
的不純物よりなる鋼に対し、900℃〜1000℃の温度範囲
にて粗圧延を施すことによりTi又はNbの炭,窒化物を圧
延誘起析出させるとともに、該粗圧延から仕上圧延まで
の待機時間を4分以上とすることによりTi又はNbの炭,
窒化物を析出させて鋼中の固溶C及び固溶Nの総量を30
ppm以下とし、800℃〜400℃の温度範囲で潤滑を施しつ
つ仕上板厚t1に対してロール径D1がD1>100t1となる圧
延ロールを用いて圧下率R1の仕上圧延を施した後、酸洗
を行い、さらに仕上板厚t2に対してロール径D2がD2>10
0t2となる圧延ロールを用いて圧下率R2(但し、R1とR2
の合計圧下率R>60%、R2>5%)の冷間圧延を施した
後、焼鈍を行うようにしたことを特徴とする深絞り性に
優れた厚物冷延鋼板の製造方法。 - 【請求項2】C:0.03重量%以下、N:0.01重量%以下、B:
0.0005〜0.005重量%を含有し、Ti:0.2重量%以下、Nb:
0.3重量%以下で、かつ(C/12+N/14)<(Ti/48+Nb/9
3)となるような量のTiあるいはNbの一方又は双方を添
加した残部Fe及び不可避的不純物よりなる鋼に対し、90
0℃〜1000℃の温度範囲にて粗圧延を施すことによりTi
又はNbの炭,窒化物を圧延誘起析出させるとともに、該
粗圧延から仕上圧延までの待機時間を4分以上とするこ
とによりTi又はNbの炭,窒化物を析出させて鋼中の固溶
C及び固溶Nの総量を30ppm以下とし、800℃〜400℃の
温度範囲で潤滑を施しつつ仕上板厚t1に対してロール径
D1がD1>100t1となる圧延ロールを用いて圧下率R1の仕
上圧延を施した後、酸洗を行い、さらに仕上板厚t2に対
してロール径D2がD2>100t2となる圧延ロールを用いて
圧下率R2(但し、R1とR2の合計圧下率R>60%、R2>5
%)の冷間圧延を施した後、焼鈍を行うようにしたこと
を特徴とする深絞り性に優れた厚物冷延鋼板の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62066804A JP2503224B2 (ja) | 1987-03-19 | 1987-03-19 | 深絞り性に優れた厚物冷延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62066804A JP2503224B2 (ja) | 1987-03-19 | 1987-03-19 | 深絞り性に優れた厚物冷延鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63230828A JPS63230828A (ja) | 1988-09-27 |
JP2503224B2 true JP2503224B2 (ja) | 1996-06-05 |
Family
ID=13326419
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62066804A Expired - Lifetime JP2503224B2 (ja) | 1987-03-19 | 1987-03-19 | 深絞り性に優れた厚物冷延鋼板の製造方法 |
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ES2021257A6 (es) * | 1989-08-22 | 1991-10-16 | Acos Especiais Itabira Acesita | Procedimiento para la produccion de acero inoxidable ferritico. |
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-
1987
- 1987-03-19 JP JP62066804A patent/JP2503224B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPS63230828A (ja) | 1988-09-27 |
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