JP2594560Y2 - 液体注出ポンプ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は液体注出ポンプに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】

【考案が解決しようとする課題】液体注出ポンプとし
て、シリンダ底壁上面に下面周縁部を密接載置させて、
この部分を吸い込み弁として構成した弁棒を有し、ピス
トン，ステム，ヘッドよりなる作動部材を押し下げるこ
とによりシリンダ内の加圧液がステム内上端の吐出弁を
開いてヘッドのノズル孔より注出され、また、作動部材
の上昇によりシリンダ内が負圧化され上記弁棒が上昇し
て吸い込み弁が開く如く構成したものが知られている。
これらは非使用時には作動部材を押し下げた最下降状態
でシリンダ上端の螺筒部に螺着係止可能に構成してい
る。

【０００３】従来のこの種容器では、使用当初この作動
部材螺着状態から螺合を外して上昇させた際、弁棒下面
とシリンダ底壁上面との吸い込み弁を形成する接触部分
が剥がれずに弁棒が上昇せず、何度も作動部材を上下動
させた末やっと剥がれるという不都合が生じる場合があ
り、使用者に不良品と誤解される虞がある。

【０００４】また、ステム内上部に玉弁体を用いた吐出
弁を設けているが、この玉弁体を用いた吐出弁では容器
を誤って倒した場合に玉弁体が弁座からズレて液のシー
ルが出来なくなり、その結果液がノズルより漏出してし
まう不都合を生じる。

【０００５】本考案は上記した従来技術の欠点を解消し
た優れた液体注出ポンプを提案するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案ポンプは上記課題
を解決するため、容器体口頚部６外周に嵌合させる装着
キャップ２と、該キャップ２に上端を固着するととも
に、下端を容器体６内に垂下させ、且つ、内面下端部に
周方向複数のリブ１９を縦設してなるシリンダ３と、シ
リンダ３の底壁１６上面に下端周縁部より突設したフラ
ンジ２１下面を密接載置させて両者で吸い込み弁３５を
構成するとともに、上端をシリンダ３内上部に延設させ
た弁棒４と、シリンダ３内面に外面を液密且つ上下に摺
動可能に嵌合させた環状ピストン２３と、該ピストン２
３を下端に固定するとともに、内部に弁棒４上部を上下
動可能に収納させて上方へ延設し、且つ、内部上端に吐
出弁２９を設けてなるステム２４と、該ステム２４上端
に固定するとともに、装着キャップ２上方に上下動可能
に突出させたノズル付き押し下げヘッド２６と、環状ピ
ストン２３下面とリブ１９上面との間に介在させて、ピ
ストン２３，ステム２４，押し下げヘッド２６よりなる
作動部材５を上方へ付勢させるスプリング３０とからな
り、作動部材５下降状態でシリンダ３上端の螺筒部１４
に作動部材５を螺着係止可能に構成するとともに、フラ
ンジ２１下面がシリンダ底壁１６上面に当接する状態か
らフランジ２１上面がスプリング３０下面に当接する状
態までの間の作動部材５の上下動が可能に構成してなる
液体注出ポンプにおいて、作動部材下降係止状態で環状
ピストン２３内面を弁棒４外面に凹凸係合手段を介して
液密に係止させるとともに、作動部材５上昇状態で弁棒
４外周上端部に周設した突条３４下面にピストン２３の
内側上部スカート部２３ｃが液密に当接する如く構成し
た。

【０００７】

【作用】図１の状態ではピストン23の嵌合凹溝32と突条
31が液密に嵌合しているため、誤って容器を倒して吐出
弁の玉弁体が弁座からズレてもこの部分で液がシールさ
れ、ノズルから液の漏出は起こらない。

【０００８】また、図１の状態から作動部材５の螺筒部
１４との螺合を解除すればスプリング３０の作用で作動
部材５は上昇して液の注出が可能となる。この際、環状
ピストン２３と弁棒４とは凹凸係合手段により係止され
ているため、弁棒４はそのフランジ２１部分上面がスプ
リング３０下面に当接するまで一緒に上昇し、弁棒４下
面とシリンダ底壁１６上面との接触面が剥がれないとい
う不都合を生じることはない。また、図２の如き作動部
材５上昇状態でピストン２３の内側上部スカート部２３
ｃが弁棒４上端の突条３４下面に液密に当接するため、
容器を誤って倒してもノズルから液の漏出はない。

【０００９】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面を参照して説明
する。

【００１０】図１及び図２は本考案の一実施例を示し、
図中１は液体注出ポンプを示す。該ポンプ１は、装着キ
ャップ２と、シリンダ３と、弁棒４と、作動部材５とを
主要部材として構成している。

【００１１】装着キャップ２は容器体６の口頚部７外周
に螺合させた周壁８上端縁より内向きフランジ状の頂壁
９を延設した下端面開口の円筒状をなし、容器体６内に
下端を垂下させるシリンダ３外周上部より突設し且つ上
記口頚部７上面にパッキン11を介して載置させた外向き
フランジ10上面を頂壁９により押圧係止させて容器体６
に着脱自在に装着させる。

【００１２】また、シリンダ３上端には螺筒部材12を嵌
着固定している。該部材12は、シリンダ３外周上端に嵌
合させた嵌合筒部13上端縁より延設した内向きフランジ
内周縁よりシリンダ３上端内面に嵌合する螺筒部14を垂
設して構成しており、上記嵌合筒部13により装着キャッ
プ２の上方への抜け出しを防止させている。

【００１３】シリンダ３は、周壁１５下端縁より内方へ
下るテーパ状の底壁１６を延設し、該底壁１６中央部に
円形の吸い上げ口１７を穿設し、更に、底壁１６下面か
らは吸い上げ管を嵌合させるための嵌合筒部１８を垂設
している。また、周壁１５内面下端部には周方向複数の
リブ１９を縦設している。

【００１４】弁棒４は、上部に縮径部20を有する棒状
で、外周下端部より外方へ、下面が上記シリンダ底壁16
上面のテーパ面と密接するテーパ面をなすフランジ21を
突設し、上記底壁16上面と弁棒４とで吸い込み弁35を形
成している。このフランジ21は液を流通させるための一
乃至二以上の透孔22を穿設している。更に、フランジ21
には上記シリンダ３の各リブ19が挿通可能な切り溝を周
方向放射状に設けている。そして、各切り溝を各リブ19
に嵌合させるとともに、下面をシリンダ底壁16上面に密
接載置させてシリンダ３中央部に上下動可能に起立させ
ている。

【００１５】作動部材５は、シリンダ周壁15内面に外側
上部及び外側下部スカート部23ａ，23ｂを液密且つ上下
に摺動可能に嵌合させた断面略Ｈ状の環状ピストン23
を、円筒状のステム24下端に固定させ、また、ステム24
上端には、上記螺筒部材12上方を上下動するノズル25付
き押し下げヘッド26を固定して上下動可能に装着してい
る。上記ピストン23はゴム，合成樹脂等の柔軟で弾力性
のある材質で形成する。また、ステム24内上端部には弁
座27上に玉弁体28を上下動可能に載置させた吐出弁29を
設けて上流より下流へ一方的に流通する如く構成してい
る。

【００１６】この作動部材５は、そのピストン23下面と
上記各リブ19上面との間に設置したコイルスプリング30
により常時上方へ付勢させるとともに、ステム24上端部
分外周には上記螺筒部14内面螺条と螺合する螺条を周設
して最下降位置で作動部材５を係止可能に構成してい
る。

【００１７】また、上記作動部材５の最下降螺着状態に
おいて、弁棒４外周所定位置に周設した突条３１をピス
トン２３の内側下部スカート部２３ｄ内面に周設した嵌
合凹溝３２に液密に嵌合係止させて、この部分にシール
性を付与するとともに、弁棒４を確実に上昇させる如く
構成している。尚、弁棒５外周下端部には周方向複数の
リブ３３を突設して上記突条３１と嵌合凹溝３２との嵌
合を確実に行える様構成している。

【００１８】また、ピストン23の内側上部スカート部23
ｃは、スプリング30の作用で作動部材５が最上方位置に
押し上げられた際に、弁棒４の上端部外周に周設した突
条34下面に液密に当接してシリンダ３内とステム24内と
を遮断する如く構成し、誤って容器が倒れた場合等に吐
出弁29の玉弁体28が移動してノズル25から液の漏出がお
きるのを防止している。

【００１９】上記の如く構成したポンプ１は、図１の状
態から螺筒部14との螺合を解除させると作動部材５がス
プリング30の作用で上昇し、この際弁棒４も一緒に上昇
するが、そのフランジ21上面がスプリング30下面に当接
した時点で突条31と嵌合凹溝32との係合が外れて作動部
材５のみが所定位置まで上昇し、この際、外側上部スカ
ート部23ｃが弁棒４上端の突条34下面に圧接して液密に
シールする如く構成している。

【００２０】次いで、図２に示す作動部材５上昇状態か
ら作動部材５を押し下げると、弁棒４が下降してその下
面がシリンダ底壁16上面と密接して吸い込み弁35が閉じ
るため、シリンダ３内の加圧液はステム24内より吐出弁
29を開いてヘッド26のノズル25より吐出される。次に作
動部材５の押圧を解除するとスプリング30の作用で作動
部材５は上昇するが、この際シリンダ３内は負圧化する
ため吐出弁29は閉じ、代わりに吸い込み弁35が開いて容
器体６内の液がシリンダ３内に吸入される。

【００２１】尚、上記各部材は特に断りの無い限り全て
合成樹脂により形成する。

【００２２】

【考案の効果】以上説明した如く本考案容器は既述構成
としたことにより、非使用時の作動部材下降係止状態で
あっても、或いは使用時の作動部材上昇状態であって
も、誤って容器を倒すことによる液の漏出がない。

【００２３】また、作動部材下降係止状態から作動部材
の螺合を外した場合に、弁棒下面とシリンダ上面との当
接面が剥れずに故障と誤解される様な虞はない。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の一実施例を示す半縦断面図である。

【図２】 同実施例の作動部材上昇状態を示す半断面図
である。

【符号の説明】

２…装着キャップ，３…シリンダ，４…弁棒，５…作動
部材，６…容器体，14…螺筒部，23…ピストン，23ｃ…
内側上部スカート部，24…ステム，25…ノズル，26…押
し下げヘッド，29…吐出弁，30…コイルスプリング，31
…突条，32…嵌合凹溝，34…突条

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 容器体口頚部６外周に嵌合させる装着キ
   ャップ２と、該キャップ２に上端を固着するとともに、
   下端を容器体６内に垂下させ、且つ、内面下端部に周方
   向複数のリブ１９を縦設してなるシリンダ３と、シリン
   ダ３の底壁１６上面に下端周縁部より突設したフランジ
   ２１下面を密接載置させて両者で吸い込み弁３５を構成
   するとともに、上端をシリンダ３内上部に延設させた弁
   棒４と、シリンダ３内面に外面を液密且つ上下に摺動可
   能に嵌合させた環状ピストン２３と、該ピストン２３を
   下端に固定するとともに、内部に弁棒４上部を上下動可
   能に収納させて上方へ延設し、且つ、内部上端に吐出弁
   ２９を設けてなるステム２４と、該ステム２４上端に固
   定するとともに、装着キャップ２上方に上下動可能に突
   出させたノズル付き押し下げヘッド２６と、環状ピスト
   ン２３下面とリブ１９上面との間に介在させて、ピスト
   ン２３，ステム２４，押し下げヘッド２６よりなる作動
   部材５を上方へ付勢させるスプリング３０とからなり、
   作動部材５下降状態でシリンダ３上端の螺筒部１４に作
   動部材５を螺着係止可能に構成するとともに、フランジ
   ２１下面がシリンダ底壁１６上面に当接する状態からフ
   ランジ２１上面がスプリング３０下面に当接する状態ま
   での間の作動部材５の上下動が可能に構成してなる液体
   注出ポンプにおいて、作動部材下降係止状態で環状ピス
   トン２３内面を弁棒４外面に凹凸係合手段を介して液密
   に係止させるとともに、作動部材５上昇状態で弁棒４外
   周上端部に周設した突条３４下面にピストン２３の内側
   上部スカート部２３ｃが液密に当接する如く構成したこ
   とを特徴とする液体注出ポンプ。