JP2563427B2 - チャンネルファスナ脱着装置及びチャンネルファスナ収納容器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） 本発明は、沸騰水型原子力発電所において燃料集合体
とこれを覆うチャンネルボックスとを連結するチャンネ
ルファスナの脱着を行なうチャンネルファスナ脱着装置
及びチャンネルファスナ収納容器に関する。

（従来の技術） 沸騰水型原子力発電所の原子炉の燃料集合体は、上方
からチャンネルボックスで覆われている。そしてチャン
ネルボックスはチャンネルファスナによって燃料集合体
に締結固定される。

一般に、定期点検時、照射燃料体の点検時、または使
用済燃料集合体の再処理時においては、燃料集合体から
チャンネルボックスを取外す作業が行なわれる。

次に第６図乃至第８図に、チャンネルボックスを取外
す作業について説明する。

まず、第６図および第７図に示すように、原子炉40の
内部からチャンネルボックス付燃料集合体２を、原子炉
ウェル39を経て原子炉40に隣接した燃料プール41内の燃
料貯蔵ラック５内部に移動する。次にこのチャンネルボ
ックス付燃料集合体２を、燃料貯蔵プール41の壁面に設
けられチャンネルボックス取外機42にセットする。この
チャンネルボックス取外機42において、作業員43がボル
トレンチ44を用いてチャンネルファスナを緩め取外して
いる。次に燃料集合体２からチャンネルボックス４が取
外される。これら燃料集合体２の移動は、燃料プール41
上に配置された燃料交換機38によって行なわれる。

第８図に燃料集合体２とこれを覆うチャンネルボック
ス４とを示す。第８図に示すように、燃料集合体２は多
数の燃料棒2aを配置して構成され、燃料集合体２の上端
部には、燃料取手３および４本のスタッド８が取付けら
れている。燃料集合体２は上方からチャンネルボックス
４で覆われ、チャンネルファスナ６によって締結固定さ
れる。すなわち、チャンネルファスナ６にはボルト７が
設けられ、このボルト７を燃料集合体２のスタッド８に
装着させることによってチャンネルファスナ６がチャン
ネルボックス４を外方から固定する。

（発明が解決しようとする課題） 上述したようにチャンネルボックス付燃料集合体２
は、一担燃料貯蔵ラック５内部に貯蔵され、次にチャン
ネルボックス取外機42においてチャンネルファスナ６が
作業員によって取外される。続いて燃料集合体２からチ
ャンネルボックス４が取外され、これらは燃料交換機38
によって別々に燃料貯蔵ラック５に戻され、それぞれ別
個の所定箇所に貯蔵される。

この取外作業は、作業員によって燃料集合体２につい
て１本ずつ行なわれる。また、例えば新設の沸騰水型原
子力発電所においては、年間200本程度の燃料集合体２
について行なっている。このため、チャンネルボックス
の取外作業時間に長時間要するという問題がある。

このような場合、作業員によらず貯蔵ラック５内でチ
ャンネルファスナ６を外しておくことができれば、燃料
集合体から容易にチャンネルボックスを取外すことがで
き都合が良い。

本発明はこのような点を考慮してなされたものであ
り、チャンネルボックス付燃料集合体からチャンネルボ
ックスを容易かつ簡単に外すことができるチャンネルフ
ァスナ脱着装置及びチャンネルファスナ収納容器を提供
することを目的とする。

〔発明の構成〕

（課題を解決するための手段） 本発明は、燃料集合体の燃料取手に下端部が装着され
る装置本体と、この装置本体の側方に設けられた垂直駆
動機構と、この垂直駆動機構の下方に設けられ、下端に
チャンネルファスナのボルトに係合する回転自在のボル
ト係合部を有するファスナ挾持機構とを備え、前記垂直
駆動機構は装置本体に旋回軸を介して設けられるととも
に旋回軸に固着された旋回モータにより旋回する駆動シ
リンダと、この駆動シリンダから下方に延びるシャフト
とを有し、前記ファスナ挾持機構は外方に前記装置本体
の溝部に沿って摺動する突部を有するとともに前記シャ
フトに連結された挾持体と、前記係合部を回転させる回
転モータと、前記挾持体内に前記回転モータに連結して
設けられ、ボルトの緩みまたは締付け回転に伴って上下
方向に移動するボルトのストローク分を吸収する吸収シ
リンダとを有することを特徴とするチャンネルファスナ
脱着装置、 およびチャンネルファスナを収納する容器本体と、こ
の容器本体の上端部に設けられ、燃料貯蔵ラックの上端
に係合される固定冶具と、前記容器本体の下端部に錐状
に形成してなるガイドとを有することを特徴とするチャ
ンネルファスナ収納容器である。

（作用） 旋回モータを駆動することによって旋回軸を中心とし
て駆動シリンダを旋回させることができ、また駆動シリ
ンダを駆動することにより、シャフトを上下方向に昇降
させることができる。旋回モータによって駆動シリンダ
を旋回軸を中心として旋回させ、駆動シリンダによって
シャフトを降下させることにより、ファスナ挾持機構を
降下させることができる。この場合、ファスナ挾持機構
の挾持体に設けられた突部を、下端部が燃料取手に係合
する装置本体の溝部に係合させることにより、ファスナ
挾持機構を所望のボルト直上まで導くことができ、この
ためボルト係合部を所望のボルトに対して容易に係合さ
せることができる。またファスナ挾持機構の回転モータ
を駆動させてボルト係合部によってボルトを緩めたり締
付けることができ、ボルトの緩みまたは締付け回転に伴
って上下方向に移動するボルトのストローク分を吸収シ
リンダによって吸収することができる。

ボルト係合部によってボルトを緩めた後、チャンネル
ファスナを取外す。取外されたチャンネルファスナにチ
ャンネルファスナ収納容器の容器本体の上方から、内部
に投入される。

（実施例） 以下図面を参照して本発明の実施例について説明す
る。

第１図は本発明によるチャンネルファスナ脱着装置の
一実施例を示す図であり、第２図はその詳細図、第３図
は作用を示す図である。

第１図において、チャンネルファスナ脱着装置は、燃
料交換機38のホイスト９に吊設された装置本体10を備え
ている。またこの装置本体10の下端部には、燃料貯蔵ラ
ック５内の燃料集合体２の燃料取手３と係合するガイド
10aが形成されている。

なお、燃料集合体２はチャンネルボックス４で覆われ
ており、このチャンネルボックス４は、燃料集合体２の
スタッド８にチャンネルファスナ６のボルト７を装着さ
せることによって、締結固定される。

装置本体10の側方に、装置本体10内に設けられた旋回
軸11を介して垂直駆動機構を構成するエアシリンダ（駆
動シリンダ）14が旋回自在に設けられている。この旋回
軸11はトルクガード12を介して旋回モータ13によって回
転駆動される。このトルクガード12は過負荷から旋回モ
ータ13を保護するものである。

エアシリンダ14の下方には、シャフト15を介してファ
スナ挟持機構22が垂直方向に移動自在に設けられてい
る。このファスナ挟持機構22は、挟持体23と挟持対23内
に設けられたエアシリンダ（吸収シリンダ）24とを備え
ている。

次に第２図によって、ファスナ挟持機構22の詳細を説
明する。

挟持体23内のエアシリンダ24には、シャフト24aを介
して円筒体29が垂直方向に移動自在に取付けられてい
る。また挟持体23内には、円筒体29と独立して回転モー
タ25が取付けられている。また、回転モータ25には、ト
リクガード26を介して鋼球28を有するボルト係合部27が
取付けられている。この鋼球28は、エアシリンダ24によ
って下降する円筒体29と当接して半径方向内方へ引込
み、ボルト７の首部に嵌込まれてボルト７を挟持するも
のである。また、トルクガード26は過負荷から回転モー
タ25を保護するものである。

また挟持体23の外面には、長手方向に伸びる突部23a
が設けられ、一方装置本体10には突部23aと係合する溝
部16が設けられている。そして溝部16および突部23aに
よって案内装置が構成され、この案内装置によってファ
スナ挟持機構22がチャンネルファスナ６の直上に導びか
れる。また溝部16および突部23aの上下両端部にはテー
パが形成され、両者がスムーズに係合できるようになっ
ている。

なお、それぞれのエアシリンダ14,24およびモータ13,
25の駆動は、燃料交換機38より供給されるエアー及び専
用の電源により行なわれる。また、装置本体10の内部に
電磁弁（図示せず）が内装されており、燃料交換機38の
制御箱からの制御信号により、電磁弁が切換わってエア
シリンダ14の駆動、エアシリンダ24の駆動およびエアシ
リンダ24の供給断の３つの選択ができるようになってい
る。

エアシリンダ24の供給断の状態は、ボルト７の緩みま
たは締付け回転に従って上下方向に移動するボルト７の
ストローク分を、このエアシリンダ24部で吸収させるた
めである。また各々のモータ13,25は、燃料交換機38上
に設けられた制御箱で切換えて回転駆動させる。

次にこのような構成からなる本実施例の作用について
説明する。

まず、第３図に示すように原子炉40の内部からチャン
ネルボックス付燃料集合体２を、原子炉ウェル39を経て
燃料貯蔵ラック５内部に移動する。

次に燃料交換機38のホイスト９によって、本発明のチ
ャンネルファスナ装置をチャンネルボックス付燃料集合
体２の直上に装着する。チャンネルファスナ装置の装着
作業は、装置本体10のガイド10aを燃料取手３に係合さ
せることによって行なわれる。

次にモータ13を駆動させて旋回軸11を旋回させ、エア
シリンダ14を燃料集合体２のチャンネルファスナ６の直
上に持ってくる。この場合、あらかじめエアシリンダ14
によってファスナ挟持機構22を上方に持上げておくとと
もに、エアシリンダ24によって円筒体29を上方に持上げ
ておく。

次にエアシリンダ14を駆動させてファスナ挟持機構22
を、突部23aを装置本体10の溝部16に係合させつつ下降
させ、ファスナ挟持機構22のボルト係合部27をチャンネ
ルファスナ６のボルト７に着座させて係合させる。この
着座状態は、燃料交換機38の制御箱に検知される。

次にエアシリンダ24を駆動させて円筒体29を下降さ
せ、ボルト７の首部を鋼球28によって挟持する。続いて
エアシリンダ24をエア供給断の状態とし、モータ15を駆
動させてボルト係合部27を回転させ、ボルト７を燃料集
合体２のスタッド８から取外す。続いてエアシリンダ14
を駆動させてファスナ挟持機構22を上昇させ、チャンネ
ルファスナ６およびボルト７を一体として持上げる。続
いてモータ13を駆動させてエアシリンダ14を旋回させ、
チャンネルファスナ６を装置本体10の下方に設けられた
チャンネルファスナ受30の直上まで持ってくる。続い
て、エアシリンダ24を駆動させて円筒体29を持上げ、ボ
ルト７の首部を鋼球28によって挟持する状態を解除し、
チャンネルファスナ６およびボルト７をチャンネルファ
スナ受30内に落下させて収納する。

このようにチャンネルファスナ脱着装置によって、チ
ャンネルファスナ６が燃料集合体２から取外され、チャ
ンネルファスナ脱着装置は次の燃料集合体２に装着され
る。

次に第４図および第５図によって、本発明のチャンネ
ルファスナ脱着装置の他の実施例について説明する。

第４図に示すように、装置本体10の側方一側にエアシ
リンダ14が固着され、装置本体10の側方他側に装置本体
10のバランスを保つためのバランス調整器31が固着され
ている。

一方、燃料貯蔵ラック５には、チャンネルファスナ脱
着装置と独立してチャンネルファスナ収納容器32が装着
されている。このチャンネルファスナ収納容器32は、上
端に固定冶具36が取付けられた容器本体34からなってい
る。この固定治具36は燃料貯蔵ラック５の上端に係合さ
れるものである。また容器本体34の上端一側に容器取手
33が取付けられており、一方容器本体34の上端他側にチ
ャンネルファスナ収納容器32を吊下げた場合のバランス
を保つため、カウンタウエイト37が取付けられている。
容器取手33は燃料交換器38によって把持できるよう、燃
料取手３と同様の形状となっている。さらに容器本体34
の下端部には、チャンネルファスナ収納容器32を燃料貯
蔵ラック５内にスムースに装着させるためガイド35が設
けられている。なお、容器本体34は燃料貯蔵ラック５よ
りわずかに小さくなって、スムースに燃料貯蔵ラック５
内に装着できるようになっている。

次に本実施例の作用について説明する。

チャンネルファスナ収納容器32は、容器取手33を燃料
交換機38によって把持し吊上げられて、燃料貯蔵ラック
５内に装着される。次に燃料交換機38がチャンネルファ
スナ脱着装置を吊上げて移動させ、所定のチャンネルボ
ックス付燃料集合体２の直上に持ってくる。このチャン
ネルファスナ脱着装置によって前述と同様にしてチャン
ネルファスナ６が取外される。そして取外されたチャン
ネルファスナ６は、燃料交換機38を移動させることによ
ってチャンネルファスナ収納容器32の直上に運ばれ、次
にチャンネルファスナ収納容器32内に落下し収容され
る。

なお、上記各実施例において、チャンネルファスナ脱
着装置を、燃料貯蔵ラック５内に配置されたチャンネル
ボックス付燃料集合体２上に装着してチャンネルファス
ナ６を取外した例を示したが、燃料チャンネル着脱機42
上にチャンネルボックス付燃料集合体２を配置し、この
チャンネルボックス付燃料集合体２上にチャンネルファ
スナ脱着装置を装着してもよい。

〔発明の効果〕

本発明によれば、旋回モータによって駆動シリンダを
旋回軸を中心として旋回させ、駆動シリンダによってシ
ャフトを降下させるとともに、ファスナ挾持機構の挾持
体に設けられた突部を装置本体の溝部に係合させること
により、ファスナ挾持機構を所望のボルト直上まで導く
ことができ、これによりボルト係合部を所望のボルトに
対して容易に係合させることができる。また回転モータ
を駆動させボルト係合部により、ボルトを緩めたり締付
ける場合、上下方向に移動するボルトのストローク分を
吸収シリンダによって吸収することができる。このよう
にしてチャンネルボックス付燃料集合体からチャンネル
ファスナを容易かつ簡単に取外すことができる。また取
外されたチャンネルボックスを、容器本体内に上方から
容易かつ簡単に投入することができ、取外されたチャン
ネルボックスを容易に保管することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるチャンネルファスナ脱着装置の一
実施例を示す側面図、第２図はファスナ挟持機構を示す
拡大詳細図、第３図は本発明の作用を示す図、第４図は
本発明による他の実施例を示す側面図、第５図はチャン
ネルファスナ収納容器を示す側面図、第６図および第７
図は従来のチャンネルボックス取外作業を示す図であ
り、第８図は燃料集合体とチャンネルボックスを示す斜
視図である。 ２……燃料集合体、３……燃料取手、４……チャンネル
ボックス、５……燃料貯蔵ラック、６……チャンネルフ
ァスナ、７……ボルト、10……装置本体、14……エアシ
リンダ、22……ファスナ挟持機構、24……エアシリン
ダ、27……ボルト係合部、28……鋼球、29……円筒体、
30……チャンネルファスナ受、32……チャンネルファス
ナ収納容器、34……容器本体、35……ガイド、36……固
定治具。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭60−156497（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−148994（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−127597（ＪＰ，Ｕ)

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】燃料集合体の燃料取手に下端部が装着され
   る装置本体と、 この装置本体の側方に設けられた垂直駆動機構と、 この垂直駆動機構の下方に設けられ、下端にチャンネル
   ファスナのボルトに係合する回転自在のボルト係合部を
   有するファスナ挾持機構とを備え、 前記垂直駆動機構は装置本体に旋回軸を介して設けられ
   るとともに旋回軸に固着された旋回モータにより旋回す
   る駆動シリンダと、この駆動シリンダから下方に延びる
   シャフトとを有し、 前記ファスナ挾持機構は外方に前記装置本体の溝部に沿
   って摺動する突部を有するとともに前記シャフトに連結
   された挾持体と、前記係合部を回転させる回転モータ
   と、前記挾持体内に前記回転モータに連結して設けら
   れ、ボルトの緩みまたは締付け回転に伴って上下方向に
   移動するボルトのストローク分を吸収する吸収シリンダ
   とを有することを特徴とするチャンネルファスナ脱着装
   置。
2. 【請求項２】前記装置本体は、前記垂直駆動機構が設け
   られた側方の反対側に、バランス調整器を有することを
   特徴とする請求項１記載のチャンネルファスナ脱着装
   置。
3. 【請求項３】チャンネルファスナを収納する容器本体
   と、 この容器本体の上端部に設けられ、燃料貯蔵ラックの上
   端に係合される固定冶具と、 前記容器本体の下端部に錐状に形成してなるガイドとを
   有することを特徴とするチャンネルファスナ収納容器。