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JP2553198B2 - 安定化された粉末状カルシトニン類医薬組成物 - Google Patents

安定化された粉末状カルシトニン類医薬組成物

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JP2553198B2
JP2553198B2 JP1187248A JP18724889A JP2553198B2 JP 2553198 B2 JP2553198 B2 JP 2553198B2 JP 1187248 A JP1187248 A JP 1187248A JP 18724889 A JP18724889 A JP 18724889A JP 2553198 B2 JP2553198 B2 JP 2553198B2
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citric acid
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tartaric acid
powdery
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英樹 小林
勢司 望月
悠治 牧野
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Teijin Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は安定性の改良された粉末状カルシトニン類医
薬組成物に関する。更に詳細には、本発明はカルシトニ
ン類と、クエン酸類及び又は酒石酸類とを含んでなる安
定性の改良された粉末状カルシトニン類医薬組成物に関
する。
<従来の技術> カルシトニンは、哺乳動物の甲状腺から又は非哺乳動
物の外側甲状腺から分泌されるカルシウム調節ホルモン
である。その化学構造は、アミノ酸残基32個を含有する
単一ポリペプチド類に相当する。しかし、アミノ酸の配
列は動物の種の間で非常に異なり、特に哺乳動物性カル
シトニン(主としてヒトカルシトニン及び豚カルシトニ
ン)と非哺乳動物性カルシトニン(主として鮭カルシト
ニン及びうなぎカルシトニン)との間では明らかな差異
がある。
これらの天然型カルシトニンの他に、非天然型とし
て、例えば天然カルシトニンのアミノ酸残基または配列
の1個またはそれ以上をとり除き、あるいは置換し、ま
たは逆配置し、またはその他の方法で誘導し、あるいは
そのN末端基またはC末端基を修飾した多数の誘導体及
び類似体が合成されている。また、カルシトニン遺伝子
関連ペプチドは、哺乳類の脳、心臓等に存在するといわ
れる39個のアミノ酸よりなり2位と7位のシステインが
S−S結合で結ばれているホルモンである。
これらの天然型カルシトニン及び非天然型カルシトニ
ンとを総称してカルシトニン類とよぶ。
これらカルシトニン類の作用は、上皮小体ホルモンの
骨及び腎臓に対する影響に逆行するもので、骨吸収を阻
害し、血清カルシウム低下作用及び血清リン低下作用を
示す。従って、腫瘍、上皮小体亢進症及びビタミンD中
毒に伴なう重篤な高カルシウム血症の治療に動物性カル
シトニンの投与が行なわれている。さらに、乳児の突発
性高カルシウム血症、骨粗鬆症及びsudek氏病及びPaget
氏病の治療にも適している。また、カルシトニン遺伝子
関連ペプチドは、細胞内に貯えられているCaの細胞外へ
の流出を阻害する。一方、細胞外液に存在するCaの細胞
内への流入は阻害しない。冠動脈においてはこのような
機構によって血管の筋肉の収縮はゆるみ血圧が低下す
る。このような作用の結果、脳や心臓の虚血性疾患や高
血圧の治療、あるいは中枢での神経伝達物質として作用
することから中枢性疾患の治療に有用と期待される。
このように有用なカルシトニン類は製剤化されて医療
の現場に提供されてはいるが、ポリペプチドが一般にそ
うであるようにカルシトニン類は化学的には不安定であ
り、力価の保証された安定化された製剤が望まれてき
た。
従来、カルシトニン類の安定化方法としては、カルシ
トニンとヒトアルブミンとを凍結乾燥する方法(特開昭
63−5028号公報)、ゼラチンおよび/又はヒドロキシプ
ロピルメチルセルロースにカルシトニンを分散させる方
法(特開昭61−282320号公報)が知られている。
<発明が解決しようとする課題> しかし、前記の方法で安定化されたカルシトニン類の
製剤の安定性は、安定化される前の安定性と比較して改
善されてはいるものの、未だ十分とはいいがたく、冷蔵
保存を余儀なくされているのが実情である。従って、よ
り安定性の改善されたカシトニン類の製剤が望まれてい
る。
また、カルシトニン類の中でも天然型のカルシトニン
の一部を化学修飾して安定性が改善された非天然型カル
シトニン(例えばエルカトニン)製剤は天然型カルシト
ニンの製剤よりも安定性は改善されており、室温で保存
可能のものもあるが、これとても安定性は十分とはいえ
ず、流通上苛酷な条件にさらされて活性が低下するおそ
れが指摘されている。従って、天然型、非天然型を問わ
ず何れのカルシトニン類においても安定性が更に改善さ
れた製剤が望まれている。
<課題を解決するための手段> 本発明者らは、安定性の改良されたカルシトニン類の
製剤について鋭意研究した結果、カルシトニン類と、ク
エン酸類及び又は酒石酸類とを含んでなる粉末状カルシ
トニン類医薬組成物がカルシトニン類の安定性を著しく
改善することを知見し、本発明に至った。
すなわち、カルシトニン類とクンエン酸類及び又は酒
石酸類とを固体組成物とすることによりその固体組成物
を含んでなる粉末状カルシトニン類医薬組成物中のカル
シトニン類の安定性が著しく改善されること、又その効
果が単にカルシトニン類とクエン酸類及び又は酒石酸類
との物理的混合物では現われず、固体組成物とした場合
にのみ現われること、その効果がクエン酸類及び又は酒
石酸類に特異的であること、更にその効果が水溶液中で
は現われず、固体状組成物とした場合にのみ認められる
ことを見出した。これらの知見を更により詳細に説明す
ると下記の通りである。
すなわち、先ずカルシトニン類とクエン酸類及び又は
酒石酸類とを固体組成物とする場合にのみ安定化効果が
現われる知見については、カルシトニン類とクエン酸類
及び又は酒石酸類とを水中に溶解し、それを凍結乾燥し
て得た固体組成物と、一方対照としてカルシトニン類と
クエン酸類及び又は酒石酸類との物理的混合物との熱的
安定性を比較した結果(後記、実施例1と比較例2)、
凍結乾燥により得られた固体組成物にのみカルシトニン
類の安定化効果を認めた。
次に、上記と同様の方法でカルシトニン類とクエン酸
類及び又は酒石酸類との固体組成物の安定性を、カルシ
トニン類とその他の化合物、特に従来カルシトニン類の
安定化に有効と報告されている化合物との固体組成物の
安定性と比較した(後記、実施例1と比較例3〜8)。
その結果、従来知られているカルシトニン類を安定化す
る化合物よりもクエン酸類及び又は酒石酸類が有意に有
効であることが明らかとなった。
このようなカルシトニン類とクエン酸類及び又は酒石
酸類との固体組成物が良好な安定性を示す理由について
は明らかではない。しかし、クエン酸類及び又は酒石酸
類のキレート効果によってカルシトニン類の安定性に悪
影響を及ぼす金属類が捕捉されたためではない、と推定
されることは本発明の新規性を示す上で極めて重要であ
る。すなわち、カルシトニン類の水溶液中の安定性を調
べた結果、金属イオンはその安定性に必ずしも関係しな
いことが明らかとなった(参考例1)。従って、カルシ
トニン類とクエン酸類及び又は酒石酸類との固体組成物
を調製する際に、たとえクエン酸類及び又は酒石酸類が
両者を溶解した水溶液中で微量に共存する金属イオンを
捕捉したとしても、凍結乾燥後得られる固体組成物の安
定性には何ら関係のないことは明らかである。クエン酸
類及び又は酒石酸類を添加することにより、金属を捕捉
して酸化等を防ぐ安定化方法は常識的であり何ら新規で
はないが、本発明のようにクエン酸類及び又は酒石酸類
の安定化効果がまったく金属イオンの捕捉と関係がない
ことは特記すべきことである。
更に、本発明のクエン酸類及び又は酒石酸類のカルシ
トニン類安定化効果が固体組成物の場合にのみ認めら
れ、水溶液状態でカルシトニン類とクエン酸類及び又は
酒石酸類とを共存させた場合には安定化効果がないばか
りか、かえって逆の作用も認められる事実(参考例2)
は、本発明のクエン酸類及び又は酒石酸類の効果を説明
する上で重要である。これらの事実および参考例1で述
べたようにクエン酸類及び又は酒石酸類が単なる物理的
混合物では安定化を示さない事実は、クエン酸類及び又
は酒石酸類とカルシトニン類との間の固体状態での相互
作用の存在を想像させるものである。現在本発明者ら
は、この安定化機構の本性を鋭意研究中ではあるが、本
固体組成物が従来知られていなかった新規の組成物であ
り、その効果がクエン酸類及び又は酒石酸類の従来知ら
れていた効果にはもとづかない新規のものであり、当該
業者によって容易には到達しえない新規で有用な知見で
あることは上記の説明から明らかであろう。
本発明者らは、かくして上記の如く、安定性の改善さ
れたカルシトニン類製剤を提供すべく鋭意研究した結
果、カルシトニン類と、クエン酸類及び又は酒石酸類と
を含んでなる粉末状カルシトニン類医薬組成物がカルシ
トニン類を安定化させることを見出し本発明に到達した
ものである。
しかして、本発明は治療有効量のカルシトニン類とク
エン酸類及び酒石酸(但し、クエン酸単独、酒石酸単
独、及びクエン酸と酒石酸とのみからなるものを除く)
とを含んでなる粉末状カルシトニン類医薬組成物であ
る。
本発明に用いられるカルシトニン類としては天然型カ
ルシトニンと非天然型カルシトニンとがあげられる。天
然型カルシトニンの例としては、哺乳動物性カルシトニ
ンとしてヒトカルシトニン、豚カルシトニン等が、又非
哺乳動物性カルシトニンとして鶏カルシトニン、鮭カル
シトニン、うなぎカルシトニン等があげられる、非天然
型カルシトニンの例としてはエルカトニン等があげられ
る。又カルシトニン遺伝子関連ペプチドとしてはヒトカ
ルシトニン遺伝子関連ペプチド、ブタカルシトニン遺伝
子関連ペプチド等があげられる。
本発明に用いられるクエン酸類及び又は酒石酸類とし
てはクエン酸類としてクエン酸及び又はクエン酸アルカ
リ金属塩が、又、酒石酸類として酒石酸及び又は酒石酸
アルカリ金属塩があげられる。クエン酸アルカリ金属塩
としてはクエン酸三ナトリウム、クエン酸三ナトリウム
二水和物等があげられる。酒石酸アルカリ金属塩として
は酒石酸二ナトリウム等があげられる。
これらのクエン酸類の内の一種又は二種以上、あるい
は酒石酸類の内の一種又は二種以上、あるいはクエン酸
類と酒石酸類の混合物を用いることができる。但し、本
願発明のクエン酸類及び又は酒石酸類として、クエン酸
単独、酒石酸単独、及びクエン酸と酒石酸とのみからな
るものは除かれる。
本発明の粉末状カルシトニン類医薬組成物中のカルシ
トニン類の量は医薬組成物の剤形、単位投与形態の容量
等により一概に規定することは困難である。より重要で
あるのはカルシトニン類に対するクエン酸類及び又は酒
石酸類の量である。
本発明に用いられるクエン酸類及び又は酒石酸類の量
は、カルシトニン類1I.U.あたりおおよそ0.005〜50μg
である。更に好ましくはカルシトニン類1I.U.あたり0.0
2〜0.5μgである。
本発明のカルシトニン類とクエン酸類及び又は酒石酸
類とを含んでなる粉末状カルシトニン類医薬組成物は、
カルシトニン類とクエン酸類及び又は酒石酸類とを固体
組成物にすることにより製造される。このカルシトニン
類とクエン酸類及び又は酒石酸類との固体組成物は、カ
ルシトニン類とクエン酸類及び又は酒石酸類とを水に溶
解し、該水溶液を凍結乾燥するかあるいは有機溶媒を加
えて析出させ次いで乾燥することによって得られる。有
機溶媒によりカルシトニン類が変性することもありうる
ので凍結乾燥することが好ましい。こうして得られたカ
ルシトニン類とクエン酸類及び又は酒石酸類との固体組
成物は、このまま粉末状カルシトニン類医薬組成物とす
ることができる。このような粉末状カルシトニン類医薬
組成物は、粉末状注射剤、粉末状鼻腔内投与製剤とする
ことができる。又、更に他の添加物を加えて粉末状カル
シトニン類医薬組成物とすることもできる。この場合添
加剤の種類、量は投与部位、投与剤形により異なる。例
えば用時溶解型の粉末注射剤の場合は、緩衝剤、等張化
剤、無痛化剤等を添加して医薬組成物とすることができ
る。緩衝剤としてはリン酸二水素ナトリウム、リン酸一
水素ナトリウム等があげられる。等張化剤としては塩化
ナトリウム等があげられる。無痛化剤としてはキシロカ
イン等があげられる。又、粉末状鼻腔内投与製剤の場合
は、水吸収性基剤、滑沢剤等を添加して医薬組成物とす
ることができる。水吸収性基剤としては結晶セルロー
ス、デキストリン、メチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、乳糖、
架橋ポリアクリル酸塩等があげられる。滑沢剤としては
ステアリン酸マグネシウム等があげられる。又用時溶解
型の粉末点眼剤の場合は、前記の緩衝剤、等張化剤等を
添加して医薬組成物とすることができる。
かくしてカルシトニン類とクエン酸類及び又は酒石酸
類とを含んでなる粉末状カルシトニン類医薬組成物が製
造される。これによりカルシトニン類が安定化された鼻
腔内投与製剤、点眼剤あるいは注射剤が製造されて臨床
の場に提供されることは意義が大きい。
本発明の粉末状カルシトニン類医薬組成物は、例え
ば、ゼラチンカプセル剤等の鼻腔内投与製剤にした場合
に、カルシトニンの長期使用における患者の負担が軽減
されるので好ましい。特に、鼻腔内投与製剤の形態が、
ディポーザブル投与器である場合が、携帯に便利となる
ので好ましい。かかるディスポーザブル投与器として
は、例えばWO89/01348号等に記載されているものを挙げ
ることができる。
以下、本発明の優れた効果を明らかにするため、実施
例、参考例を用いて説明するが、本発明はもちろんこれ
によって限定されるものではない。
実施例1,比較例1〜8 サケカルシトニン(5,000I.U./mg)2mgとクエン酸三
ナトリウム二水和物(小松屋化学(株))5mgをとり精
製水2mlを加えて均一に溶解してから試験管に分注し凍
結乾燥して本発明の粉末状組成物(実施例1)を得た。
粉末状組成物中のサケカルシトニン含量は約28.6%であ
った。本粉末状組成物を40℃、25%RHの条件で2週間保
存した後のサケカルシトニン含量をHPLCにより測定し
た。
同時に比較例として下記の粉末状サケカルシトニン含
有物質を製造した。先ず、サケカルシトニン(5,000I.
U./mg)2mgをとり精製水2mlを加えて溶解した後凍結乾
燥して粉末状物質を得た(比較例1)。又、サケカルシ
トニン(5,000I.U./mg)2mgとクエン酸三ナトリウム二
水和物5mgをとり、乳鉢上で十分に混合して均一な物理
的混合物である粉末状物質を得た(比較例2)。更に、
実施例1と同様の方法でクエン酸三ナトリウム二水和物
のかわりに、塩化ベンザルコニウム(ナカライテスク
社)、塩化ベンゼトニウム(ナカライテスク社)、ヒト
アルブミン(ICN Immuno Biologicals社)、アスコルビ
ン酸Na(和光純薬社)、ゼラチン(DIFCO社)、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース(信越化学社)を用いて
粉末状物質を得た(比較例3〜8)。これらの比較例に
ついても実施例1と同様の条件で保存し、サケカルシト
ニン含量の対開始時残存率(%)(保存開始前の含有量
に対する保存後の含有量)を測定し、実施例1と比較し
た。その結果を表−1に示す。
実施例2〜5 実施例1と同様の方法で、クエン酸三ナトリウム二水
和物5mgのかわりに表−2に示したクエン酸類及び又は
酒石酸類を用いて凍結乾燥し本発明の粉末状組成物を得
た。(実施例2〜5) これらの本発明の粉末状組成物を40℃、25%RHの条件
で2週間保存した後のサケカルシトニン含量をHPLCによ
り測定し、その結果を表−2に記載した。
実施例6 サケカルシトニン−クエン酸三ナトリウム二水和物凍結
乾燥組成物を含んでなる粉末状鼻腔内投与用製剤の製造 サケカルシトニン(5,000I.U./mg)2mgとクエン酸三
ナトリウム二水和物5mgをガラス容器に取り、精製水1ml
を加えて均一にしてから凍結乾燥することによって均一
な組成物を得た。次いでこの凍結乾燥組成物に90重量%
以上の粒子が46〜149ミクロンの粒径を有する微結晶セ
ルロース3gを添加し、混合することにより均一な経鼻投
与用粉末状サケカルシトニン医薬組成物を得た。このよ
うにして得られた粉末状組成物は1mg中に1.667μgのク
エン酸三ナトリウム二水和物と3.334I.U.のサケカルシ
トニンを含有する。本粉末状組成物を硬ゼラチンカプセ
ルに約30mg充填し、使用時に開孔して空気流により本粉
末状組成物を鼻腔内に投与する、鼻腔内投与製剤を得
た。
実施例7 サケカルシトニンとクエン酸三ナトリウム二水和物とを
含む用時溶解型粉末状注射剤の製造 サケカルシトニン(5,000I.U./mg)2mgとクエン酸三
ナトリウム二水和物5mgとをとり、注射用蒸留水100mlに
溶解する。この溶液をミリポアフィルター(0.22μm)
にて過し、この液を注射用バイアルに1mlずつ分注
する。次いでこれを凍結乾燥し、凍結乾燥終了後ゴム栓
にて打栓して密封した。以上の操作は全て無菌室内にて
行った。次いで密封したバイアル瓶を無菌室から出しア
ルミニウムキャップをして粉末状注射剤を製造した。本
粉末状注射剤に、別に製造した溶解液アンプル(緩衝剤
と等張化剤とを含有した注射用蒸留水のアンプル)を添
付し、用時溶解型粉末状注射剤を得た。
参考例1 カルシトニン類の水溶液中の安定性に及ぼす金属イオン
の影響に関する実験 サケカルシトニン(5,000I.U./mg)1mgをとり精製水1
0mlに溶解し、得られた溶液をミリポアフィルター(0.2
2μm)で過し、無菌下にアンプル中に充填し溶閉し
た(A)。この液状組成物中のサケカルシトニン含量を
HPLCで測定した結果は0.1mg/mlであった。これを40℃に
2週間保存した後のサケカルシトニン含量をHPLCにて測
定した。
一方、上記試料(A)と同様にサケカルシトニン1mg
とともに、塩化亜鉛あるいは塩化マグネシウムを共存さ
せて溶解し、過後アンプルに充填した試料(B,C)に
ついても40℃に保存しサケカルシトニンの残存率を上記
試料Aと比較した。(なお、[Zn2+]および[Mg2+]の
イオン濃度は5×10-4mole/である。)この結果を表
−3に示す。
参考例2 カルシトニン類の水溶液中の安定性に及ぼすクエン酸類
及び又は酒石酸類の影響についての実験 サケカルシトニン(5,000I.U./mg)1mgをとり精製水1
0mlに溶解し、得られた溶液をミリポアフィルター(0.2
2μm)で過し、無菌下にアンプル中に充填し溶閉し
た(A)。この液状組成物中のサケカルシトニン含量を
HPLCで測定した結果は0.1mg/mlであった。これを40℃に
2週間保存した後のサケカルシトニン含量をHPLCにて測
定した。
一方、上記試料(A)と同様にサケカルシトニン1mg
とともに、クエン酸三ナトリウム二水和物あるいは酒石
酸ナトリウム2.5mgを共存させて溶解し、過後アンプ
ルに充填した試料(B,C)についても40℃に保存しサケ
カルシトニンの残存率を上記試料Aと比較した。この結
果を表−4に示す。
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 嘉樹 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝 人株式会社東京研究センター内 (56)参考文献 特開 平2−111(JP,A) 特開 平2−160725(JP,A)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】治療有効量のカルシトニン類と、クエン酸
    類及び又は酒石酸類(但し、クエン酸単独、酒石酸単
    独、及びクエン酸と酒石酸とのみからなるものを除く)
    とを含んでなる粉末状カルシトニン類医薬組成物。
  2. 【請求項2】クエン酸類がクエン酸及び又はクエン酸ア
    ルカリ金属塩である請求項1記載の粉末状カルシトニン
    類医薬組成物。
  3. 【請求項3】酒石酸類が酒石酸及び又は酒石酸アルカリ
    金属塩である請求項1記載の粉末状カルシトニン類医薬
    組成物。
  4. 【請求項4】クエン酸類及び又は酒石酸類の量が、カル
    シトニン類1I.U.あたり0.005〜50μgである請求項1記
    載の粉末状カルシトニン類医薬組成物。
  5. 【請求項5】該カルシトニン類と、該クエン酸類及び又
    は酒石酸類(但し、クエン酸単独、酒石酸単独、及びク
    エン酸と酒石酸とのみからなるものを除く)とを含む水
    溶液を凍結乾燥して得られる請求項1記載の粉末状カル
    シトニン類医薬組成物。
  6. 【請求項6】鼻腔内投与製剤の形態を有する請求項1記
    載の粉末状カルシトニン類医薬組成物。
  7. 【請求項7】鼻腔内投与製剤の形態が硬ゼラチンカプセ
    ル剤である請求項6記載の粉末状カルシトニン類医薬組
    成物。
  8. 【請求項8】用時溶解型注射剤の形態を有する請求項1
    記載の粉末状カルシトニン類医薬組成物。
  9. 【請求項9】用時溶解型点眼剤の形態を有する請求項1
    記載の粉末状カルシトニン類医薬組成物。
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