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JP2547115C - - Google Patents

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JP2547115C
JP2547115C JP2547115C JP 2547115 C JP2547115 C JP 2547115C JP 2547115 C JP2547115 C JP 2547115C
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Japan
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alumina
zeolite
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Cosmo Oil Co Ltd
Japan Petroleum Energy Center JPEC
Original Assignee
Cosmo Oil Co Ltd
Petroleum Energy Center PEC
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、炭化水素油の水素化処理に使用される触媒の組成物、詳しくは粒径
と粒径分布の特定されたゼオライトと特有の細孔分布を有するアルミナ又はアル
ミナ含有物等の混合物を担体とし、これに活性金属を分散性よく担持させた高活
性の水素化処理触媒組成物及び該触媒組成物を使用する水素化処理方法に関する
。 〔従来の技術〕 従来、一般に、炭化水素油の水素化処理方法においては、耐火性酸化物担体に 周期律表第6B族及び周期律表第8族の群から選択される1種又は2種以上の金
属を担持させた触媒が使用されている。 例えば、アルミナに担持させたコバルト−モリブデン系又はニッケル−モリブ
デン系等の水素化処理用触媒が広く使用されており、これにより脱硫、脱窒素、
脱金属、脱アスファルテン及び水素化分解等が種々の目的に応じて実施されてい
る。 このような水素化処理用触媒に要求される性能は、高活性で、かつその性能が
いかに長期間維持できるかということである。 そのためには、第1に、活性金属を担体上にいかに多量に、しかも高度に分散
させた状態で担持させるかにあり、第2に、原料炭化水素油中に含まれる金属、
アスファルテン、硫黄及び窒素分という巨大分子構造を有する触媒毒に対するガ
ード機能をいかに保持させるかにある。 上記第1の対策としては、高い比表面積を有する担体を使用すること、第2の
対策としては、触媒の細孔分布を制御し、(1)小さくして、スルーさせる、(
2)マクロポアーを付与し、触媒内部への拡散性をアップすること等が提案され
、また一般に実施されているのが現状である。 更に、近年、水素化精製プロセス、特にアスファルトを含有する残渣油を処理
する水素化精製プロセスの場合、原料油は重質化しているが、需要は軽質化や高
品位化の要請が益々強まる傾向にあり、水素化脱硫触媒として、脱硫と同時に原
料油を分解する触媒、あるいは脱窒素率が高い触媒が求められるようになって来
ている。 ここで、脱硫と分解の反応性を比較した場合、一般に分解反応は進行しにくく
、かつ同一活性点上で水素化脱硫反応と水素化分解反応が競争的に進行している
ため、脱硫活性と分解活性の相対反応活性比は、種々の反応温度領域でほぼ一定
値を示す。 すなわち、比較的苛酷度の高い脱硫率90%で一定とするような運転下では、
分解率もほぼ一定値を示し、それ以上の分解活性を望むことはできない。 そこで、その対策として、脱硫活性はないが、分解活性能を発揮するシリカ、
チタニア等の酸性質を添加することによって、同一脱硫率において、酸量が増加 した分、分解活性の向上を図るといった触媒が提供されている。 〔発明が解決しようとする課題〕 ところで、従来提供されている触媒には、次のような問題がある。 触媒の物性として、高表面積を得るために平均細孔径を小さくすることは、活
性金属の分散性を高めるという点では良い。しかし、触媒毒たる巨大分子の金属
成分等により、小さい細孔は容易に閉塞されてしまう。 逆に、平均細孔径を大きくすると、細孔内部まで金属の蓄積が可能となるとい
う点で好ましい。しかし、表面積は小さくなり、活性金属の分散性は劣る。 このように、活性と寿命に対し、いかなる平均細孔径のものとするかは、極め
て難しい問題である。 一方、分解反応を伴う水素化処理を指向する時の対応策としては、従来技術で
述べたように、シリカ、チタニア等の酸性質の添加が挙げられる。しかし、一般
に、アルミナと混合して酸性点を形成するような金属酸化物は、アルミナに比べ
Mo金属との親和性が弱いため、酸性質添加量が増加するに伴い、Mo金属の分
散性は低下し、延いては触媒の脱硫性能を低下させるという欠点を有している。 また、酸性点を形成する金属酸化物を添加しても、特に原料油が幅広い沸点留
分や分子量の大きな重質油成分で構成されているような場合、例えば常圧残油(
AR)を処理するような場合には、分解による軽質化あるいは白油化の要望を満
足することは極めて困難という問題がある。 常圧残油(AR)中には減圧残油(VR)留分が組成的に50%強含有されて
おり、この留分はMo金属上あるいは酸性点上で水素化分解及び酸的分解反応が
進行し、重質分は逐次的に分解され、軽質化が進行する。 しかし、その場合になされる分解反応は、LGO留分ほどには軽質化は容易に
進まず、分解されても大部分は一次生成物のVGO留分程度に止まる。例えば、
減圧残油を処理する場合は、殆どVGO留分までの分解生成物に止まる。このこ
とは、一度水素化分解されたもの(一次生成物)は、それ以降極端にその反応性
が低下することを意味しており、重質油から選択的に所望の軽質留分の得率を期
待することは、従来の触媒では非常に困難となっている。 本発明が解決しようとする課題は、脱硫活性に優れ、かつ分解活性も高い、す なわち脱硫,分解の両機能を併せ持つ水素化処理用触媒を開発することにある。 更に詳しくは、第1に、活性金属の分散性を高めるのに充分でかつ最適な平均
細孔径や細孔分布を見い出すことにある。第2に、活性金属の分散性を低下させ
ずに、触媒上にいかに酸性点を付与し、かつ一度水素化されたものを更に選択的
に分解し、有効に軽質留分を得るという機能を付与するかにある。 更なる課題としては、勿論、上記の触媒に経済面からより長寿命を付与するこ
と、高度な活性を付与することにある。 〔課題を解決するための手段〕 本発明者等は、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、特定の平
均細孔径と細孔分布を持つアルミナあるいはアルミナ含有担体の一部に酸性質を
有し、かつ特定の粒子径と粒子分布を有するゼオライトを特定量用いることが上
記課題を解決するために有効であること、更にこの触媒を使用するに際しては、
2以上の反応領域からなる水素化処理方法において、第二反応領域以降で使用す
れば、その活性が安定に長期間維持し得ることを見い出し、本発明を完成するに
至った。 すなわち、本発明は、 (1)担体としてゼオライトを2〜35重量%、アルミナ又はアルミナ含有物を
65〜98重量%有し、該担体上に少なくとも1種の周期律表第6B族金属又は
周期律表第8族金属の水素化活性金属成分を担持させてなり、 (A)上記アルミナ又はアルミナ含有物の特性が、 平均細孔直径が70〜100Å, 平均細孔直径の±10Åの直径を有する細孔容積がアルミナ又はアルミナ含有
物の全細孔容積の85〜98%、 (B)上記ゼオライトの特性が、 平均粒子径が6μm以下、 粒子径6μm以下のものがゼオライト全粒子の70〜98%、 (C)上記周期律表第6B族金属が酸化物として触媒に対し2〜30重量%、周
期律表第8族金属が酸化物として触媒に対し0.5〜20重量%、 であることを特徴とする炭化水素油用水素化処理触媒組成物、及び、 (2)2以上の反応領域からなる炭化水素油の水素化処理方法において、第二反
応領域以降の反応領域において、上記の触媒組成物を使用することを特徴とする
炭化水素油の水素化処理方法を要旨とする。 本発明触媒の担体の一部であるゼオライトは、天然のものでも合成されたもの
でもよく、その例としては、フォージャサイトX型ゼオライト、フォージャサイ
トY型ゼオライト(以下、「Yゼオライト」という)、チャパサイト型ゼオライ
ト、モルデナイト型ゼオライト、有機カチオンを含む所謂ZSM系ゼオライト(
ZSM系ゼオライトとしては、ZSM−4,ZSM−5,ZSM−8,ZSM−
11,ZSM−12,ZSM−20,ZSM−21,ZSM−23,ZSM−3
4,ZSM−35,ZSM−38,ZSM−43等がある)等が挙げられ、特に
、Yゼオライト、安定化YゼオライトあるいはZSM−5等が好ましい。 ゼオライト中のケイ素元素対アルミニウム元素の原子数比Si/Alは、約1
以上のものが好ましい。 ゼオライトのカチオン種は、アンモニウムあるいは水素型のもの、及びゼオラ
イトの酸性質を制御するため、これらをアルカリ土類金属イオン、希土類金属イ
オン、第8族の貴金属イオンの多価金属イオン、例えば、マグネシウム、ランタ
ン、白金、ルテニウム、パラジウム等の金属イオンでイオン交換したものが好ま
しい。 ゼオライト中のナトリウムのようなアルカリ金属イオンは、含有量が多いと触
媒活性を低下させてしまうので、通常はゼオライトに対し約0.5重量%以下に
することが好ましい。 上記のYゼオライトあるいは安定化Yゼオライトは、公知のものを用いること
ができる。 Yゼオライトは、天然のフォージャサイトと基本的には同一の結晶構造を有し
、酸化物として表わすと、下記の組成式のように表現し得る。 0.7〜1.1R2/mO・Al23・3〜5SiO2・7〜9H2O (式中、RはNa,K,その他のアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオ
ンであり、mはその原子価である。) 安定化Yゼオライトは、例えば、米国特許第3,293,192号、同第3, 402,996号に記載されているものが好ましく使用される。 安定化Yゼオライトは、高温での水蒸気処理を数回行うことにより、結晶度の
劣化に対し著しい耐性を示す。 安定化Yゼオライトは、R2/mOの含量が約4重量%以下、好ましくは約1重
量%以下で、単位格子寸法が約24.5Åである。 安定化Yゼオライトは、Si/Alの原子比が約3〜7あるいはそれ以上であ
ることを特徴とするYゼオライトのことを意味する。 これらYゼオライトあるいは安定化Yゼオライトは、アルカリ金属又はアルカ
リ土類金属の酸化物が多い場合は、イオン交換を行ってこれら望ましくないアル
カリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物を除去して用いる。 ZSM−5は、米国特許第3,894,106号、同第3,894,107号
、同第3,928,483号、英国特許第1,402,981号、特公昭55−
67522号に記載された合成法により得られるものが好ましく使用される。 これらのゼオライトは、平均粒子径が約6μm以下、好ましくは約5μm以下
のものであり、更に好ましくは約4.5μm以下のものである。 また、このゼオライトは、粒子径6μm以下のものがゼオライト全粒子に対し
て占める割合が、約70〜98%、好ましくは約75〜98%、更に好ましくは
約80〜98%のものである。 平均粒子径が大き過ぎたり、その大きな粒子径の含有量が多かったりすると、
担体調製過程で、そのアルミナとゼオライトの吸着水量や結晶性の違いから、加
熱焼成時にアルミナとゼオライトの収縮率が異なり、新たに担体の細孔として比
較的大きなメゾあるいはマクロポアーが生じる。これらの大きな細孔は、表面積
を低下させるばかりでなく、残油を処理するような場合には触媒毒となるメタル
成分の内部拡散を容易ならしめ、延いては脱硫、脱窒素及び分解活性を低下させ
ることとなる。 なお、本発明におけるゼオライトの粒子径は、電子顕微鏡写真にて測定した。 担体中、ゼオライトの占める割合は、約2〜35重量%、好ましくは約5〜3
0重量%、更に好ましくは約7〜25重量%である。ゼオライトの占める割合が
少な過ぎると、触媒の酸量が少なくなり、分解活性及び活性金属の分散性が充 分でなくなり、逆に占める割合が多過ぎると、水素化脱硫反応が充分でなくなる
。 担体の一部であるアルミナとしては、γ−アルミナ、χ−アルミナ、又はη−
アルミナのいずれか1種又はこれらの混合体が好適である。 また、アルミナ含有物とは、アルミナの他に担体物質を配合することにより得
られる組成物をいい、例えば、シリカ,マグネシア,酸化カルシウム,ジルコニ
ア,チタニア,ボリア,ハフニア等のアルミナ以外の耐火性無機酸化物の1種又
は2種以上をアルミナに配合することができる。 このアルミナ又はアルミナ含有物は、水銀圧入法により測定した平均細孔直径
が約70〜100Åであり、平均細孔径の±10Åの細孔径のものがアルミナ又
はアルミナ含有物全容積の約85〜98%である。 このような平均細孔径や細孔分布が炭化水素油の水素化処理、特に水素化脱硫
における活性及び活性の維持に顕著な効果を示すことの理由については明らかで
ないが、原料油中のアスファルト,レジン分及び金属含有化合物等の触媒毒が、
触媒表面に付着した際に、細孔径が小さ過ぎると細孔は閉塞され、触媒の活性点
は完全に隔離される。 これに対し、細孔径を上記のような特定範囲で大きくし、かつ上記のようなシ
ャープな細孔分布としておくことにより、上記の触媒毒は触媒表面に付着はする
が、細孔を完全に閉塞せず、次に触媒上に到達する炭化水素分子及び硫黄分を活
性点に接近させることができ、従って高性能を発揮するものと推定することがで
きる。 担体中アルミナ又はアルミナ含有物の占める割合は、約65〜98重量%、好
ましくは約70〜95重量%、更に好ましくは約75〜93重量%である。割合
が少な過ぎると、成型しにくく、脱硫活性も悪くなる。 本発明におけるアルミナ又はアルミナ含有物の「全細孔容積」とは、実在する
細孔の容積を全部測定することは不可能であるので、水銀ポロシメータによる4
225Kg/cm2・G(60000psig)での水銀吸収量をもって全細孔
容積とみなしたものをいう。 また、本発明におけるアルミナ又はアルミナ含有物の「平均細孔直径」の値 は、水銀ポロシメータの圧力と触媒による水銀の吸収量との関係を0〜4225
Kg/cm2・Gについて求め、4225Kg/cm2・Gにおける吸収量の1/
2の吸収量を示した時の圧力から平均細孔直径を求めたものである。なお、本発
明では、水銀の接触角は130°、表面張力は470dyne/cmとして求め
た。水銀ポロシメータの圧力とそれに対する細孔径との関係は、既に知られてい
る。 次に、本発明触媒の調製方法について述べる。 先ず、乾燥アルミナ又はアルミナ含有物ゲルを調製する(第1工程)。 使用する原料としては、水溶性化合物、例えば水溶性酸性アルミニウム化合物
又は水溶性アルカリ性アルミニウム化合物、具体的には、アルミニウムの硫酸塩
,塩化物,硝酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩、アルミニウムアルコキシド、そ
の他の無機塩及び有機塩が使用できる。また、アルミニウム以外の金属成分の水
溶性化合物を、上記のような原料溶液中に加えてもよい。具体的形態で示せば、
酸性アルミニウム水溶液(濃度約0.3〜2モル)及びアルミン酸アルカリ溶液
に水酸化アルカリ溶液を添加し、pH約6.0〜11.0、好ましくは約8.0
〜10.5の範囲でヒドロゲル又はヒドロゾルを生成させるか、あるいはアンモ
ニア水、硝酸又は酢酸等を適宜添加し、pHを調整しながら、この懸濁液を約5
0〜90℃に加熱して少なくとも2時間保持する。次いで、沈澱をフィルターで
ロ別し、炭酸アンモニウム及び水で洗浄して不純物イオンを除去する。 ここで述べるアルミナゲルの調製は、アルミナ又はアルミナ含有物が水素化処
理用触媒として必要な平均細孔径、及び細孔分布を得るように、アルミナあるい
はアルミナ含有物の水和物の沈澱及び熟成における温度、時間等の調製条件を調
整しながら、行う。 次いで、ゼオライトを調製する(第2工程)。 ゼオライトは、市販品あるいは公知の方法にて調製される。 市販品については粒子径が大きいような場合、摺りつぶして用いることができ
る。公知方法にて調製する場合には、調製後、結合剤を用いない限り、本発明の
範囲に含まれるものが多い。 この後、上記第1工程で得られたアルミナ又はアルミナ含有物とゼオライトを 混合して担体を調製する(第3工程)。 この混合方法は特に規定するものではなく、アルミナ又はアルミナ含有物ゲル
を調製する時にゼオライトを混入する方法(湿式法)、乾燥アルミナゲルとゼオ
ライト粉末を混練する方法(乾式法)、ゼオライトをアルミナ化合物の溶液に浸
漬した後に、塩基性物質を適量添加してアルミナゲル又はアルミナ含有物ゲルを
ゼオライト上に沈着させる方法等を使用することができる。 例えば、乾式法では、アルミナ又はアルミナ含有物とゼオライトの混合物をニ
ーダーで混練する。その際に、成型可能な含水量になるまで適宜水分量を調節す
る。次に押し出し成型機にて所望の形状に成型する。成型は、所望の平均細孔径
と細孔分布を得るため、成型圧力を調整しつつ行う。成型物は、約100〜14
0℃で数時間乾燥し、更に約200〜700℃で数時間焼成して担体に仕上げる
。 このようにして成型した担体に、水素化活性金属成分を担持させる(第4工程
)。 水素化活性金属成分を担体に担持させる方法は、特に規定するもはのではなく
、種々の方法が採用される。例えば、含浸方法においても、水素化活性金属成分
を溶解した溶液を担体粒子上に噴霧する噴霧含浸法、比較的大量の含浸溶液中に
浸漬する浸漬含浸方法、繰り返し接触させる多段含浸法が挙げられる。 また、水素化活性金属成分を2種以上用いる場合、周期律表第6B族と第8族
の担持順位は、どちらが先でもよいし、また同時でもよい。 担持させる周期律表第6B族金属は、クロム,モリブデン,タングステン等の
第6B族金属の群から選ばれる1種又は2種以上が選択して使用される。好まし
くは、モリブデン又はタングステンの単独又は両者の組合せである。また、所望
に応じて、第3の金属を添加することも可能である。 また、担持させる周期律表第8族金属は、鉄,コバルト,ニッケル,パラジウ
ム,白金,オスミウム,イリジウム,ルテニウム,ロジウム等の第8族金属の群
から選ばれる1種又は2種以上が選択して使用される。好ましくは、ニッケル又
はコバルトの単独又は両者の組合せである。 上記第6B族及び第8族の水素化活性金属成分は、酸化物及び/又は硫化物と して担持させることが好適である。 このような水素化活性金属成分の担持量は、酸化物として触媒基準で、第6B
族金属は約2〜30重量%、好ましくは約7〜25重量%、より好ましくは約1
0〜20重量%であり、第8族金属は約0.5〜20重量%、好ましくは約1〜
12重量%、より好ましくは約2〜8重量%である。 第6B族金属が2重量%未満では好ましい活性が得られず、また30重量%を
超えると分散性が低下すると同時に、第8族金属の助触媒効果が発揮されない。 一方、第8族金属が0.5重量%未満であると充分な効果が得られず、また2
0重量%を超えると担体と結合しない遊離の水素化活性金属成分が増加する。 水素化活性金属成分を担持した担体は、含浸溶液から分離した後、水洗、乾燥
及び焼成を行う。乾燥及び焼成条件は、上記した担体の場合の条件と同一でよい
。 また、本発明の触媒は、上記の他に、比表面積が約200〜400m2/g、
全細孔容積約が約0.4〜0.9ml/g、かさ密度が約0.5〜1.0g/m
l、側面破壊強度が約0.8〜3.5Kg/mmであって、炭化水素油の良好な
水素化処理用触媒を実現する。 以上詳述した本発明触媒の物性を第1表に示す。 上述の本発明触媒は、活性劣化が小さく、苛酷度の低い反応条件、特に、低反
応圧においても高い脱硫率を達成することができる。 本発明触媒は、水素化処理を行うにあたり、固定床、流動床又は移動床のいず
れの形式でも使用できるが、装置面又は操作上からは固定床反応塔を使用するこ
とが好ましい。 また、本発明の水素化処理方法において、例えば2基以上の複数の反応塔を結
合して複数の反応領域で水素化処理を行うに際し、上述した本発明触媒を、第2
基目の反応塔以降の反応領域で使用することにより、高度の脱硫率を達成する。 特に、アスファルト等を含む重質油を処理する際に、金属の除去を目的とする
前処理触媒(第1水素化処理用触媒)を前段(第1段)の反応領域で使用し、本
発明触媒を第2段以降の反応領域で使用することにより、長時間に渡って高い脱
硫率及びLGO以下の留分の分解率を高度に維持するこができる。 本発明触媒は、本発明方法に使用するに先立ち、予備硫化を行うことが好まし
い。予備硫化は、反応塔のその場において行うことができる。すなわち、本発明
触媒を、含硫炭化水素油(例えば、含硫留出油)と、温度約150〜400℃、
圧力(全圧)約15〜150Kg/cm2、液空間速度約0.3〜8.0Hr-1
で、約50〜1500l/lの水素含有ガスの存在下において接触させ、この処
理の終了後、上記の含硫留出油を原料油(含硫炭化水素油)に切替え、該原料油
の脱硫に適当な運転条件に設定して、運転を開始する。 本発明触媒の硫化処理の方法としては、上記のような方法の他に、硫化水素,
その他の硫黄化合物を直接触媒と接触させるか、あるいはこれらの硫黄化合物を
適当な留出物に添加したものを触媒と接触させる方法等も適用できる。 本発明における炭化水素油とは、原油の常圧蒸留あるいは減圧蒸留で得られる
軽質留分や常圧蒸留残渣及び減圧蒸留残渣を意味し、勿論、コーカー軽油,溶剤
脱瀝油,タールサンド油,シェールオイル,石炭液化油を包含するものである。 また、本発明方法における水素化処理条件は、原料油の種類,脱硫率等により
適宜選択することができるが、温度約320〜450℃,圧力約15〜200K
g/cm2、水素含有ガス比約50〜1500l/l、液空間速度約0.1〜1
5Hr-1とすることが好ましい。なお、水素含有ガス中の水素濃度 は、約60〜100%の範囲が好ましい。 〔作用〕 本発明触媒では、担体がゼオライト及びアルミナ又はアルミナ含有物で構成さ
れているため、ゼオライトの主要構成元素であるシリカ原子と酸素原子がアルミ
ナ上のアルミニウム原子と化学的に結合して、新たに酸性点を形成し、水素化活
性金属成分の分散性を向上させる。 本発明方法では、このような本発明触媒を、複数の反応領域からなる炭化水素
油の水素化処理の第二反応領域以降で使用することにより、上記の高い活性金属
成分の分散性により、高度の脱硫率及び分解率を得ることができる。 このとき、常圧残油又は減圧残油等の重質油の分解反応に対しては、ゼオライ
トの形状選択性から、前段の反応領域(第一反応領域)において一旦水素化分解
した生成物であるVGO留分を、選択的に再度分解することができる。 すなわち、VGO留分より重質な分子は、たとえ反応性が高くても、分子径が
大き過ぎてゼオライトの酸性点には到達することができない。一方、第一反応領
域で既に一旦反応して反応性が低下したような一次水素化分解生成物は、ゼオラ
イトの酸性点に到達でき、該酸性点を選択的に利用することができる。 この結果、本発明触媒を使用する本発明方法では、従来のアルミナ単独又はシ
リカ−アルミナ,チタニア−アルミナ等のアルミナ含有担体を利用した触媒を使
用する従来の処理方法に比べて、LGO等の軽質油の得率が大幅に向上できる。 また、従来の触媒では、アルミナとゼオライトを混合するような場合、アルミ
ナに比べてゼオライトあるいはシリカは疎水性であるため、アルミナとゼオライ
トの含水率(吸着水率、吸水率等)が異なり、両者の加熱焼成時の収縮率の差か
らメゾやマクロ細孔が新たに発生したり、場合によってはその歪みを吸収しきれ
ず、ヒビ割れが生じる等の数々の問題点が指摘されていた。 本発明触媒では、このような収縮率の違いを極力抑制するために、ゼオライト
の含有率ばかりでなく、その平均粒子径を6μm以下と小さくし、かつ粒子径6
μm以下のものをゼオライト全粒子の70〜98%とするという制限を加えるこ
とにより、焼成時のメゾやマクロ細孔の形成を抑制する。 この結果、ゼオライト自体の配合量の増加,ゼオライトの分散性の向上,アル ミナのアルミニウム原子との化学的結合による新たな酸性点の増加を可能とする
。 また、本発明触媒では、上記のアルミナ又はアルミナ含有物として、平均細孔
直径が70〜100Å、平均細孔径の±10Åの直径を有する細孔容積をアルミ
ナ又はアルミナ含有物全容積の85〜98%とシャープな細孔分布とすることに
より、原料油中のアスファルトやレジン、あるいは金属含有化合物等の触媒毒が
触媒表面に付着した際の細孔の閉塞を防止し、炭化水素分子及び硫黄分の活性点
への接近を助長して、高性能を発揮する。 このように、本発明触媒及び本発明方法は、脱硫,分解の両反応活性が大幅に
向上する有用な触媒組成物であり、かつ該触媒組成物を使用した有用な水素化処
理方法である。 なお、本発明における「水素化処理」とは、上記したように、炭化水素油と水
素との接触による処理を称し、比較的反応条件の苛酷度の低い水素化精製、比較
的苛酷度の高い若干の分解反応を伴う水素化精製、水添異性化、水素化脱アルキ
ル化、その他の水素の存在下における炭化水素油の反応を包含するものである。 例えば、常圧蒸留又は減圧蒸留の留出液及び残渣油の水素化脱硫,水素化脱窒
素,水素化分解を含み、また灯油留分,軽油留分,ワックス,潤滑油留分の水素
化精製等を包含する。 〔実施例〕 以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明する。 後述の実施例1〜8及び比較例1〜3で得られた触媒を、下記条件の水素化脱
硫分解の相対活性評価試験で評価し、その結果は適宜実施例中及び比較中におい
て示す。 水素化脱硫・分解の相対活性評価試験: 触媒A〜H(実施例)及び触媒Q〜S(比較例)につき、アラビアンヘビー直
脱重油に対する水素化脱硫・分解反応の相対活性を内径14mmφの固定床式反
応管を用い、25日目(反応初期には生成物の硫黄分は少ないが、日数とともに
増加安定するため、25日目とした。)の反応生成物の残留硫黄分(重量%)か
ら求めた脱硫率(%)及び常圧残油の分解率(%)で評価した。 分解率は、原料油中の所定カット温度より高沸点成分の反応処理後の減少率を
分解率として定義し、以下の式を用いて算出した。 直脱重油の性状及び試験条件は、次の通りである。 重油(アラビアンヘビー直脱重油,AH−DDSP)の性状; 硫黄分(重量%) 0.62 窒素分(重量%) 0.15 ニッケル(ppm) 12 バナジウム(ppm) 16 試験条件; 反応温度(℃) 400 反応圧力(Kg/cm2・G) 145 液空間速度(Hr-1) 0.2 実施例1(触媒Aの製法) (第1工程)乾燥アルミナゲルの調製; 20lのポリ容器に6.4lのイオン交換水を入れ、1.89Kgのアルミン
酸ソーダ水溶液(Na2O:17.4%,Al23:22%含有)を加えてAl2
3として5%含有する液を8.29Kg作成した。 次に、21gの50%グルコン酸水溶液を加えて攪拌し、8.4%の硫酸アル
ミニウム水溶液をpH9.5になるまで急速に加えた。このときの添加量は、8
.3Kg程度であった。調合時の液温は、常温であった。 白色スラリー状の調合液は、1夜静置熟成後、ヌッチェで脱水し、更に0.2
%アンモニア水で調合液量の5倍量掛け水洗浄した。 このようにして得られたアルミナ水和物ケーキは、Al23濃度で7.5〜8
%,不純物のNa2Oが0.001%,SO4 -2が0.00%であった。 (第2工程)Yゼオライトの調製; 市販のYゼオライト(米国リンデ社製SK−41Na型)を使用した。 使用に際し、Yゼオライトを摺りつぶして、粒子径約2.5μm,粒子径6μ
m以下の粒子が全Yゼオライト粒子の約85%のものを得た。 (第3工程)担体の調製; 第2工程で得られた結晶性Yゼオライトを担体基準として乾燥比で10重量%
となるように第1工程生成物に混入し、ニーダーで成型可能な含水量になるまで
乾燥しながら充分に混練した。 次に、押し出し成型機にて直径1/16インチの円柱状に成型した。 成型は、所望の平均細孔径と細孔分布を得るため、成型圧力を調整しつつ行っ
た。 成型されたペレットは、120℃で3時間乾燥し、更に450℃で3時間焼成
して担体を得た。 (第4工程)金属の担持; 得られた担体に、酸化物換算で15重量%となるようにモリブデン成分〔(N
46Mo724・4H2O〕水溶液を含浸させ、空気中120℃で乾燥し、更に
450℃で焼成した。 次に、酸化物換算で5.0重量%となるようにニッケル成分〔Ni(NO33
・6H2O〕水溶液に再び浸漬させ、空気中120℃で乾燥後、350℃まで1
0℃/minの速度で加熱し、更に350〜600℃まで5℃/minの速度で
加熱し、その後600℃で約4時間焼成処理して触媒Aを得た。 実施例2〜4(触媒B〜Dの調製) 第3工程でYゼオライトを乾燥比で20重量%になるように混入させた以外は
、実施例1と同様の方法により触媒B(実施例2)を得た。 更に、第3工程で平均粒子径が1.7μm及び3.9μmのYゼオライトを使
用した以外は、実施例1と同様の方法により触媒C(実施例3)及び触媒D(実
施例4)を得た。 触媒A,B,C,Dの組成及び脱硫・分解の相対活性評価を第2表に示す。 実施例5(触媒Eの調製) (第1工程)乾燥アルミナ含有物ゲルの調製; 蒸留水2lに室温下で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH278g,蒸留水2
l)と硫酸アルミニウム水溶液(硫酸アルミニウム396g,蒸留水1β)を加
えた後、水酸化ナトリウム水溶液又は硝酸溶液でpHを8.5〜9.2に調整し
、その後85℃に加温し、約5時間静置熟成した。 これにケイ酸ナトリウム溶液(3号水ガラス(SiO235〜38%,Na2
17〜19%)35.5g,蒸留水500g)を加えた。この際、溶液のpHが
約8.5となるように硝酸溶液を加えて調整し、液温85℃で約5時間熟成した
。 生じた泥漿をロ過し、ロ別された沈澱物は2.0%炭酸アンモニウム溶液で再
泥漿化した後、再びロ過した。 ロ液のナトリウム濃度が6ppm以下になるまで上記の炭酸アンモニウム溶液
での洗浄を繰り返した後、加圧ロ過機にて脱水乾燥した。 このようにして、アルミナゲル粒子にシリカゲルを沈着させて、ゲルケーキを
調製した。 第2〜4工程については、実施例1と同様の方法により行い、触媒Eを得た。 実施例6,7(触媒F,Gの調製) 第1工程は、水ガラスの代わりに塩化チタンTiCl431.1g又はホウ酸
ナトリウム13.1gを用いた以外は実施例5と同様の方法で、第4工程は、硝
酸ニッケル水溶液の代わりに硝酸コバルト水溶液を用いた以外は実施例1と同様
の方法で行った。 第2,3工程については、実施例1と同様の方法で行い、触媒F,Gを得た。 実施例8(触媒Hの調製) 第1工程は実施例5と、第2,3工程は実施例1と同様の方法で行った。 第4工程(金属の担持); 第1〜3工程を経て得られた担体に、酸化物換算で15重量%となるようにモ
リブデン酸アンモニウム水溶液を含浸させ、Mo成分を担持させ、空気中120
℃で乾燥し、更に450℃で焼成した。 次に、酸化物換算で各々2.5重量%となるように硝酸ニッケルと硝酸コバル
トの混合溶液を用いて、同時に浸漬させ、空気中120℃で乾燥後、350℃ま
で10℃/minの速度で加熱し、更に350〜600℃まで5℃/minの速
度で加熱し、その後600℃で約4時間焼成処理して触媒Hを得た。 触媒E〜Hの組成及び脱硫・分解の相対活性評価を第3表に示す。 比較例1 アルミナ単独の担体として使用するために、第2,3工程を省略した以外は、
実施例1と同様の方法により行い、触媒Qを得た。 比較例2 第3工程において、第2工程で得られた結晶性Yゼオライトを担体基準として
乾燥比で40重量%となるように混入した以外は、実施例1と同様の方法により
行い、触媒Rを得た。 比較例3 第2工程において、市販のYゼオライトを摺りつぶし平均粒子径約9.0μm
,粒子径6μm以下の粒子が全Yゼオライト粒子の約60%のものを得た以外は
、実施例1と同様の方法により行い、触媒Sを得た。 比較触媒Q〜Sの組成の組成及び脱硫・分解の相対活性評価を第4表に示す。 後述の実施例9〜14及び上述の比較例1で得られた触媒を、下記条件の水素
化脱硫・脱窒素の相対活性評価試験で評価し、その結果は適宜実施例中において
示す。 水素化脱硫・脱窒素の相対活性評価試験: 触媒I〜N(実施例)及び触媒Q(比較例)につき、アラビアンライト減圧軽
油に対する水素化脱硫・脱窒素反応の相対活性を内径14mmφの固定床式反応
管を用い、25日目(反応初期には生成物の硫黄分は少ないが、日数とともに増
加安定するため、25日目とした。)の反応生成物の残留硫黄分(重量%)及び
残留窒素分(重量%)から求めた脱硫率(%)及び脱窒素率(%)で評価した。 減圧軽油の性状及び試験条件は、次の通りである。 減圧軽油(アラビアンライト減圧軽油,AL−VGO)の性状; 硫黄分(重量%) 2.45 窒素分(重量%) 0.084 試験条件; 反応温度(℃) 350 反応圧力(Kg/cm2・G) 50 液空間速度(Hr-2) 0.4 実施例9(触媒Iの調製) 第1,3,4工程は実施例1(触媒A)と同様の方法により行い、第2工程に
ついては下記の方法により行って触媒Iを調整した。 (第2工程)金属イオン交換型ゼオライトの調製; 市販のYゼオライト(米国リンデ社製SK−41Na型)を用いて次のように
して調製した。 ゼオライトのイオン交換は、先ずNH4型とし、次に金属イオン交換する方法
で実施した。 先ず、NH4型Yゼオライトの調製は、1000mlの三角フラスコに市販の
Na−Yゼオライト150gをとり、これに1N−NH4Cl水溶液を750m
l程度加え、70℃で3時間攪拌した。その後、デカンテーションにより交換液
を除き、新しい交換液を加えた。この操作を6回繰り返し、最後に充分洗浄し、 ロ過乾燥することにより行った(A工程)。 次に、NH4型Yゼオライトの金属イオン交換は、1000mlの三角フラス
コにNH4型Yゼオライト150gをとり、これに1Nのカチオン水溶液(1N
−LaCl3)を750ml程度加え、還流コンデンサーを装着して、70℃に
調節した恒温水槽中に浸した。約3時間毎にデカンテーションにより交換液を除
き、新しい交換液を加えた。この操作を10回繰り返し、最後に充分洗浄し、ロ
過乾燥することにより行った(B工程)。 B工程によりランタンイオン交換率は、76.1%を示した。 実施例10〜14(触媒J〜Nの調製) 第2工程の1N−LaCl3水溶液に代えて、夫々0.01N−Pt(NH3
4Cl2水溶液,0.015N−Ru(NH36Cl3水溶液,0.01N−〔P
d(NH34Cl2水溶液を用いた以外は、実施例9と同様の方法により行い、
触媒J(実施例10),触媒K(実施例11),触媒L(実施例12)を得た。
イオン交換率は、夫々72.6%,63.1%,66.8%を示した。 また、第3工程のYゼオライトに代えて、ZSM−5,モルデナイトを用いた
以外は、実施例1と同様の方法により行い、触媒M(実施例13),触媒N(実
施例14)を得た。 触媒J〜N及び比較触媒Qの組成及び脱硫・脱窒素の相対活性評価を第5表に
示す。 第2〜5表から明らかなように、本発明の触媒A(実施例1)は、ゼオライト
を含まない比較触媒Q(比較例1)に比べて脱硫活性及び分解活性が高くなる効
果があり、かつ脱窒素活性も向上することが判る。 また、これらの触媒活性については、直脱重油に比べて減圧軽油を処理する場
合に、ゼオライトの含有効果がより顕著に認められることが判る。 更に、各種金属をイオン交換した触媒I〜Lについては、活性に及ぼすゼオラ
イト含有の効果を更に助長する良好な結果が得られることが判る。 また、Yゼオライトに代えてZSM−5,モルデナイトを用いた触媒M,N(
実施例13,14)においても同様な効果が認められ、特に触媒Mは脱窒素活性
に優れる特徴を示すことがことが判る。 後述の実施例15,16及び比較例4〜6で得散れた触媒は、下記条件の水素
化脱硫の相対活性評価試験と金属堆積に対する耐久性試験で評価し、その結果は
実施例中に示す。水素化脱硫の相対活性評価試験: 触媒O,P(実施例)及び触媒T〜V(比較例)につき、アラビアンヘビー常
圧残油に対する水素化脱硫の相対活性を内径14mmφの固定床式反応管を用い
、20日目(反応初期には生成物の硫黄分は少ないが、日数とともに増加安定す
るため、20日目とした。)の反応生成物の残留硫黄分 (重量%)から求めた脱硫率(%)で評価した。 常圧残油の性状及び試験条件は、次の通りである。 常圧残油(アラビアンヘビー常圧残油,AH−AR)の性状; 硫黄分(重量%) 4.3 ニッケル分(ppm) 30 バナジウム(ppm) 96 試験条件; 反応温度(℃) 390 反応圧力(Kg/cm2・G) 105 液空間速度(Hr-1) 1.0 金属に対する耐久性試験: アラビアンヘビー常圧残油の代わりに、超高金属含有量の重質油(ボスカン原 油)を用いて、金属堆積に対する耐久性を試験した。 耐久性の評価は、生成油中の脱硫率が20%に低下するまでに耐え得た日数(
寿命)における堆積金属量により評価した。 重質油(ボスカン原油)の性状; 比重(15/4℃) 0.9994 硫黄分(重量%) 4.91 窒素分(重量%) 0.57 粘度(50℃)(cSt) 5315 流動点(℃) +10.0 ニッケル(ppm) 110 バナジウム(ppm) 1200 残留炭素(重量%) 16.4 アスファルテン(重量%) 12.9 反応条件; 反応温度(℃) 395 反応圧力(Kg/cm2・G) 105 液空間速度(Hr-1) 0.5 水素/油比(Nm3/Kl) 1780 実施例15,16(触媒O,Pの調製) 第1工程で熟成時間を、第3工程で成型圧力を夫々調整してアルミナの平均細
孔径95Å(実施例15),75Å(実施例16)とし、第4工程では酸化物換
算で12重量%となるようにモリブデン成分〔(NH46Mo724・4H2O〕
水溶液を含浸させ、酸化物換算で4.0重量%となるようにニッケル成分〔Ni
(NO33・6H2O〕水溶液を含浸させた以外は、実施例1と同様の方法によ
り、触媒O,Pを得た。 比較例4〜6(触媒T,U,Vの調製) 第1工程で熟成時間を、第3工程で成型圧力を夫々調整して、アルミナの平均
細孔径60Å,平均細孔径±10Åを有する細孔容積90%(対アルミナ比)(
比較例4),同様に140Å,80%(比較例5),85Å,60%(比較例 6)とし、第4工程では酸化物換算で12重量%となるようにモリブデン成分〔
(NH46Mo724・4H2O〕水溶液を含浸させ、酸化物換算で4重量%とな
るようにニッケル成分〔Ni(NO33・6H2O〕水溶液を含浸させた以外は
、実施例1と同様の方法により、触媒T,U,Vを得た。 触媒O,P及び比較触媒T,U,Vの組成及び水素化脱硫の相対活性評価と金
属堆積に対する耐久性評価を第6表に示す。 第6表から明らかなように、本発明の特定の平均細孔径を有し、かつ特定範囲
に細孔分布を有する触媒0,P(実施例15,16)は、金属許容量値を低下さ
せることなく(言い換えれば、短命化することなく)、高い脱硫活性を維持でき
ることが判る。 そして、比較触媒T(比較例4)のように細孔径が小さ過ぎると、金属許容量
が大幅に低下し、比較触媒U(比較例5)のように細孔分布がシャープであって
も細孔が大きいもの、及び比較触媒V(比較例6)のように細孔が適当でも細孔
分布がブロードのものは、脱硫率が小さく、満足すべき性能は得られないことが
判る。 実施例17,比較例7〜9 アラビアンライト常圧残油に対する水素化脱硫活性金属成分の相対寿命試験に
おいて、前段触媒(第1水素化処理用触媒)として第7表に示す物性を有する触
媒を、後段触媒には実施例1(触媒A),比較例1(触媒Q),比較例7(触媒
W)を使用し、前段/後段触媒を夫々容積比で30/70vol%で組み合わせ
た触媒系の場合について、脱硫活性を評価した。 この時の反応条件は、次の通りとした。 反応条件; 反応温度(℃) 生成油の硫黄分が0.3重量%となる温度 反応圧力(Kg/cm2) 105 液空間速度(Hr-1) 0.25 本例の評価試験により得られた反応温度の経時変化を第1図に、また反応温度
が385℃となった時点での各触媒系により得られた生成油の性状を第8表に夫
々比較して示す。 〔発明の効果〕 以上詳述したように、本発明触媒によれば、特定粒度のゼオライトと、特定細
孔分布を有するアルミナ又はアルミナ含有物を、一定の割合で混合した担体を使
用するため、炭化水素油の水素化処理用触媒として脱硫活性と分解活性の双方に
優れると共に、その優れた活性を長時間維持することができる。 また、複数の反応領域を有する炭化水素油の水素化処理工程においては、第二
反応領域以降で上記の本発明触媒を使用すると、触媒毒の許容含有量を低下させ
る必要はなく、しかも第一反応領域で既に水素化処理されて反応性が低下したも
のでも、高効率で水素化処理することができ、最近の原料炭化水素油の重質化,
製品炭化水素油の軽質化及び高品質化に良好に応じることができる。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明触媒及び方法の効果を立証するためのグラフであり、炭化水素
油を2段階で水素化処理するにあたり、実施例及び比較例の触媒組成物を後段で
使用し、第1水素化処理用触媒を前段で使用した場合における相対寿命試験を、
横軸を日数、縦軸を反応生成油中の硫黄含有量が0.3重量%になるように反応
温度としてプロットした図である。 1:第1水素化処理用触媒/実施例17触媒(容積比30/70) 2:第1水素化処理用触媒/比較例8触媒(容積比30/70) 3:第1水素化処理用触媒/比較例9触媒(容積比30/70)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1)担体としてゼオライトを2〜35重量%、アルミナ又はアルミナ含有物を
    65〜98重量%有し、該担体上に少なくとも1種の周期律表第6B族金属又は
    周期律表第8族金属の水素化活性金属成分を担持させてなり、 (A)上記アルミナ又はアルミナ含有物の特性が、 平均細孔直径が70〜100Å, 平均細孔直径の±10Åの直径を有する細孔容積がアルミナ又はアルミナ含有
    物の全細孔容積の85〜98%、 (B)上記ゼオライトの特性が、 平均粒子径が6μm以下、 粒子径6μm以下のものがゼオライト全粒子の70〜98%、 (C)上記周期律表第6B族金属が酸化物として触媒に対し2〜30重量%、周
    期律表第8族金属が酸化物として触媒に対し0.5〜20重量%、 であることを特徴とする炭化水素油用水素化処理触媒組成物。 (2)2以上の反応領域からなる炭化水素油の水素化処理方法において、第二反
    応領域以降の反応領域において、第1項記載の触媒組成物を使用することを特徴
    とする炭化水素油の水素化処理方法。

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