JP2025004411A - 遮音構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易かつ効果的に一方の空間から他方の空間への遮音性を高めることのできる遮音構造を提供する。
【解決手段】遮音構造は、音源側の第1空間(Ro)から、第1空間と第2空間とを仕切る仕切り面(91)を通過して第2空間(Ri)に入射する音を遮音するための遮音構造であって、仕切り面との間に間隔をあけて第2空間に立設され、仕切り面に対面する第1の対面板部(20b)を含む筒状の柱部材(20)と、柱部材を支持する支持部材(30)とを備える。第1の対面板部には、上下方向に間隔をあけて複数の貫通孔(23)が設けられており、第1の対面板部がヘルムホルツ共鳴器の穿孔板を構成することを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】遮音構造は、音源側の第1空間(Ro)から、第1空間と第2空間とを仕切る仕切り面(91)を通過して第2空間(Ri)に入射する音を遮音するための遮音構造であって、仕切り面との間に間隔をあけて第2空間に立設され、仕切り面に対面する第1の対面板部(20b)を含む筒状の柱部材(20)と、柱部材を支持する支持部材(30)とを備える。第1の対面板部には、上下方向に間隔をあけて複数の貫通孔(23)が設けられており、第1の対面板部がヘルムホルツ共鳴器の穿孔板を構成することを特徴とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、遮音構造に関し、特に、建物内の部屋に後付け可能な遮音構造に関する。
建物内の部屋の壁を対象とした防音対策として、吸音材(例えばグラスウール)に薄手の遮音シートを合体させた防音パネルを、部屋の壁に貼るものが市販の商品として存在する。また、実用新案登録第3239254号公報(特許文献1)に開示されているように、部屋の床と天井とを突っ張る一対の突っ張り棒により取り付け・取り外しを容易にした防音カーテンも存在する。この防音カーテンは、市販の防音パネルを内蔵可能である。
特開2002-356934号公報(特許文献2)では、二重壁や二重窓の間にヘルムホルツ共鳴器を設けることで、低音域の遮音を可能とした遮音構造が提案されている。また、特開2005-146650号公報(特許文献3)では、二重壁の間の間柱の側面(間柱間の空気層を向く面)に、筒型形状の頸部を形成することで、間柱をヘルムホルツ共鳴器とした遮音構造が提案されている。
市販品の防音パネルは、大工工事を必要とせず、原状回復も容易であるため、賃貸住宅等にも用いることができる。しかしながら、このような防音パネルは、取り付けやすさが求められるため軽い素材でできており、高音域の遮音には効果があるが、低音域や中音域(日常生活音の主な帯域であり、250~1000Hz帯域)に対する遮音効果は低い。
特許文献2および3のヘルムホルツ共鳴器は、二枚の壁部材(面材)に挟まれた中空層(空気層)を向いて頸部が設けられており、中空層に入射した音を吸音する構成である。このような構成では、たとえば界壁を介して隣室から聞こえる生活音を遮音したいような場合、狙い通りの遮音が見込めない可能性がある。また、特許文献3では、間柱に複数の筒型形状の頸部を形成する必要があり、製造コストが上昇する懸念もある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、簡易かつ効果的に一方の空間から他方の空間への遮音性を高めることのできる遮音構造を提供することである。
この発明のある局面に従う遮音構造は、音源側の第1空間から、第1空間と第2空間とを仕切る仕切り面を通過して第2空間に入射する音を遮音するための遮音構造であって、仕切り面との間に間隔をあけて第2空間に立設され、仕切り面に対面する第1の対面板部を含む筒状の柱部材と、柱部材を支持する支持部材とを備える。第1の対面板部には、上下方向に間隔をあけて複数の貫通孔が設けられており、第1の対面板部がヘルムホルツ共鳴器の穿孔板を構成することを特徴とする。
好ましくは、柱部材は、第2空間側の表面部および第1空間側の裏面部を含む角形のスタッドと、裏面部に重ねて固定され、上下方向に延在する板部材とを含み、第1の対面板部が、スタッドの裏面部と板部材とにより構成されている。
板部材の厚み寸法、貫通孔の直径、および貫通孔の配置ピッチの少なくとも1つが、柱部材での目標吸音周波数に応じて選ばれていることが望ましい。
好ましくは、遮音構造は、スタッドの表面部に固定され、第2空間に露出する防音パネル部材をさらに備える。この場合、遮音構造は、防音壁として機能する。
さらに好ましくは、遮音構造は、仕切り面と防音パネル部材との間の空気層内に位置し、左右方向に隣り合う柱部材間に設けられた吸音材をさらに備える。
好ましくは、支持部材は、左右方向に延在し、仕切り面に対面する第2の対面板部を含む。第2の対面板部には、左右方向に間隔をあけて複数の貫通孔が設けられており、第1の対面板部とともに、第2の対面板部がヘルムホルツ共鳴器の穿孔板を構成する。
好ましくは、支持部材は、一対の鍔部を有するランナーと、ランナーの少なくとも一部に組み込まれた中空の箱体とを含む。この場合、第2の対面板部が、一対の鍔部のうち第1空間側に位置する裏側鍔部と、当該裏側鍔部に重ねられる箱体の横板部とにより構成されている。
本発明によれば、簡易かつ効果的に一方の空間から他方の空間への遮音性を高めることができる。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
本実施の形態では、建物の既存壁に後付けで取り付け可能な防音壁について説明する。本実施の形態において、既存壁は集合住宅の界壁であると仮定する。本実施の形態に係る防音壁は、音源側の隣室(第1空間)から界壁を通過してユーザの部屋(第2空間)に入射する音を遮音するための遮音構造を有している。
(後付け防音壁の概略構成)
図1および図2を参照して、本実施の形態に係る後付け防音壁10の概略構成について説明する。図1は、後付け防音壁10をユーザの部屋Ri側から見た正面図である。図2(A)は、後付け防音壁10を模式的に示す縦断面図であり、図1のIIA-IIA線に対応する。図2(B)は、図2(A)のIIB方向から(既存壁91の方から)見た後付け防音壁10の裏面図である。
図1および図2を参照して、本実施の形態に係る後付け防音壁10の概略構成について説明する。図1は、後付け防音壁10をユーザの部屋Ri側から見た正面図である。図2(A)は、後付け防音壁10を模式的に示す縦断面図であり、図1のIIA-IIA線に対応する。図2(B)は、図2(A)のIIB方向から(既存壁91の方から)見た後付け防音壁10の裏面図である。
図2(A)を参照して、後付け防音壁(以下「防音壁」と略す)10は、既存壁91を介して隣室Roから部屋Riに入射する音を遮音するために、既存壁91の前方(部屋Ri内)に設けられている。既存壁91は、部屋Riと隣室Roとを仕切る仕切り面を構成する界壁である。なお、図1等において、既存壁91の横幅方向および上下方向のそれぞれを、矢印A1および矢印A2で示している。また、既存壁91の奥行き方向であって、隣室Roから部屋Riへ向かう音の侵入方向を矢印A3で示す。
防音壁10は、既存壁91との間に間隔をあけて上下方向に延在する複数の筒状の柱部材20と、柱部材20を支持する支持部材30と、柱部材20の部屋Ri側の面(表面)に取り付け固定される防音パネル部材40とを備えている。防音パネル部材40は部屋Riに露出する。既存壁91と防音壁10の防音パネル部材40とにより、簡易的に二重壁が構成される。防音パネル部材40は、縦横に並べられた複数の防音パネルにより構成される。この防音パネルは、グラスウールなどの吸音材を内蔵する市販品であってよい。防音パネルは、所望の大きさ、所望の形状に(たとえば窓やエアコンに被らないように)カット可能である。
図1および図2(B)に示すように、複数の柱部材20は、左右方向に沿って互いに間隔をあけて(たとえば一定の間隔で)配置されている。典型的には、柱部材20は、既存壁91の左右方向両端部に1本ずつ設けられ、中央部に少なくとも1本設けられる。柱部材20は、既存壁91から離れて配置されているため、後述の図3(A)に示すように、既存壁91と防音パネル部材40との間には、左右方向に隣り合う柱部材20間の空間(以下「空気層」という)52だけでなく、柱部材20の裏側(隣室Ro側)にも空間(以下「柱裏空間」という)51が形成されている。なお、柱部材20は少なくとも左右に一対設けられていればよい。空気層52には、グラスウールなどの吸音材が充填されてもよい(図示せず)。
図1および図2(B)に示すように、支持部材30は、柱部材20の上下端部を受け入れる上側ランナー31および下側ランナー32を含む。これらのランナー31,32は、既存壁91との間に間隔をあけて左右方向に延在する。上側ランナー31は部屋Riの天井面92に固定され、下側ランナー32は部屋Riの床面93に固定される。なお、各ランナー31,32の固定方法は、上下方向に延びる突っ張り棒(図示せず)による固定であることが望ましい。突っ張り棒は、柱部材20と一体的化されていてもよい。
本実施の形態に係る防音壁10は、図3に示すように、空気層52を介して既存壁91に対面する防音パネル部材40を備えているため、既存壁91を通過して空気層52に入射した音を防音パネル部材40で吸音することができる。加えて、本実施の形態では、既存壁91から離れて配置される柱部材20および支持部材30の双方を、ヘルムホルツ共鳴器として機能させることにより、既存壁91を通過して柱裏空間51に入射した音を柱部材20および支持部材30において吸音する構成である。これにより、隣室Roからの音漏れを効果的に防止することができる。
以下に、柱部材20および支持部材30の具体的な構成例について説明する。
(柱部材の構成について)
図3をさらに参照して、柱部材20の構成例について説明する。図3(A)は、柱部材20の設置状態を模式的に示す横断面図であり、図2(A)のIIIA-IIIA線に対応する。図3(B)は、柱部材20の構成例を模式的に示す分解斜視図である。
図3をさらに参照して、柱部材20の構成例について説明する。図3(A)は、柱部材20の設置状態を模式的に示す横断面図であり、図2(A)のIIIA-IIIA線に対応する。図3(B)は、柱部材20の構成例を模式的に示す分解斜視図である。
図3(A),(B)に示されるように、柱部材20は、上下方向に延在する角形スタッド21と、スタッド21と一体的に設けられた板部材22とを含む。スタッド21は、部屋Ri側の表面部211、および、隣室Ro側(既存壁91側)の裏面部212を含む。スタッド21は流通品であってよく、たとえば鋼製の軽量スタッドである。板部材22は、スタッド21の裏面部212に重ねられて上下方向に延在する。板部材22は、たとえば平坦な合板等により構成され、スタッド21の裏面部212の外側に面接触した状態で固定される。この場合、板部材22は既存壁91に対面した状態で固定されている。
スタッド21の表面部211は、防音パネル部材40を固定するための固定部20aを構成する。スタッド21の裏面部212は、板部材22ととともに、既存壁91に対面する対面板部(第1の対面板部)20bを構成する。
スタッド21は、たとえば横幅寸法L1が40mm、奥行き寸法L2が50mm、厚み寸法T1が0.5mmの角筒形状を有している。スタッド21の長さ寸法は、既存壁91の高さに応じて定められる。スタッド21の表面部211に、防音パネル部材40の左右方向端部が、固定金物や接着剤等で固定される。なお、スタッド21の形状例として、奥行き方向に長い長方形状を示したが、左右方向に長い長方形状であってもよいし、正方形状であってもよい。
板部材22は、上下方向に長く、スタッド21と同等の長さを有している。板部材22は、典型的には、スタッド21の厚み寸法T1よりも大きい厚み(T2)を有している。本実施の形態では、板部材22の横幅寸法L3は、スタッド21の横幅寸法L1と略同じであり、スタッド21の裏面部212は板部材22により被覆されている。なお、板部材22の横幅寸法L3は、スタッド21の横幅寸法L1よりも若干短くてもよいし、若干長くてもよい。なお、図2(A)に示されるように、板部材22はスタッド21よりも短く、スタッド21のみがランナー31,32に嵌め入れられてもよい。
図2(B)等に示されるように、柱部材20の対面板部20bには、板厚方向に貫通する複数の貫通孔23が上下方向に一定ピッチPaで設けられている。貫通孔23は、スタッド21の裏面部212および板部材22の双方を貫通する。図3(B)に示すように、貫通孔23は、スタッド21の裏面部212を貫通する丸孔231と、板部材22を貫通する丸孔232とにより構成されている。丸孔231,232の位置および大きさ(径)は一致している。対面板部20bの貫通孔23は全て同じ大きさであり、対面板部20bは、ヘルムホルツ共鳴器の穿孔板を構成する。すなわち、対面板部20bにおける貫通孔23を取り囲む環状部分を、ヘルムホルツ共鳴器の頸部として機能させることができる。
柱部材20により吸音可能な周波数(共鳴周波数)は、特許文献3に示されるような公知の数式により計算可能である。図2(A)を参照して、柱部材20における共鳴周波数は、貫通孔23の面積d、対面板部20bの厚み寸法l、スタッド21内の空間の奥行き寸法L、単位面積当たりの貫通孔23の個数nにより求められる。一例として、貫通孔23の面積dを20mm、対面板部20bの厚み寸法l(T1+T2)を15mm(上記例では、板部材22の厚み寸法T2が10mm)、スタッド21内の空間の奥行き寸法Lを40mm、単位面積当たりの貫通孔23の個数nを100(貫通孔23のピッチPaが100mm)と仮定すると、共振周波数は約272Hzとなる。この計算結果から、柱部材20において、中低音の音を集中的に吸音できることが分かる。
スタッド21の仕様(大きさ、板厚)を固定しておき、板部材22の厚み寸法T2、貫通孔23の直径、および貫通孔23の配置ピッチPaを調整することで、狙い通りの周波数の音を柱部材20において吸音することができる。また、板部材22の厚み寸法T2、貫通孔23の直径、および貫通孔23の配置ピッチPaのうちのいずれかの数値を固定とし、他の数値のみを調整することもできる。すなわち、板部材22の厚み寸法、貫通孔23の直径、および貫通孔23の配置ピッチPaの少なくとも1つが、柱部材20における目標吸音周波数に応じて選ばれていることが望ましい。目標吸音周波数は、たとえば250Hz~1000Hz帯域が想定される。
(支持部材の構成例について)
図4をさらに参照して、支持部材30の構成例について説明する。図4(A)は、支持部材30の設置状態を模式的に示す横断面図であり、図2(A)のIVA-IVA線に対応する。図4(B)は、支持部材30の構成例を模式的に示す斜視図である。
図4をさらに参照して、支持部材30の構成例について説明する。図4(A)は、支持部材30の設置状態を模式的に示す横断面図であり、図2(A)のIVA-IVA線に対応する。図4(B)は、支持部材30の構成例を模式的に示す斜視図である。
図2(B)、図4(A),(B)に示されるように、支持部材30は、左右方向に延在する上側ランナー31および下側ランナー32と、各ランナー31,32に一体的に組み込まれた複数の箱体33とを含む。箱体33は、ランナー31,32の内部に嵌め入れられた状態で固定されている。ランナー31,32は流通品であり、たとえば鋼製の軽量ランナーである。箱体33は、たとえば木製である。
箱体33は、ランナー31,32内において、スタッド21(柱部材20)の上下方向端部を嵌合する嵌合領域とは異なる領域に設けられている。すなわち、箱体33は、左右方向に隣り合うスタッド21の端部間に配置されている。
箱体33は左右方向に長い直方体形状を有している。箱体33は中空である。箱体33は、各ランナー31,32の一対の鍔部311,312に面接触し、左右方向に延びる一対の横板部331,332と、一対の横板部331,332の端部同士を接続して奥行き方向に延びる一対の縦板部333,334と、横板部331,332および縦板部333,334に四方が囲まれた空間を塞ぐ底板部335とを有している。このような箱体33がランナー31,32の底面部313に突き当てられた状態で、ランナー31,32に固定される。箱体33の固定方法は、たとえば接着剤などにより実現される。
ランナー31の表側の鍔部311は、箱体33の横板部331とともに、防音パネル部材40を固定するための固定部30aを構成する。ランナー31の裏側の鍔部312は、箱体33の横板部332とともに、既存壁91に対面する対面板部(第2の対面板部)30bを構成する。なお、固定部30aを構成する箱体33の横板部331は省略してもよい。
図4(A)を参照して、ランナー31,32の厚み寸法T3は、スタッド21の厚み寸法T1と同等であってよく、たとえば0.5mmである。対面板部30bを構成する箱体33の横板部332の厚み寸法T4は、典型的には、ランナー31,32の厚み寸法T3よりも大きい。
図2(B)および図4(B)に示されるように、支持部材30の対面板部30bには、板厚方向に貫通する複数の貫通孔34が左右方向に一定ピッチPbで設けられている。貫通孔34は、ランナー31,32の鍔部312および箱体33の横板部332の双方を貫通する。図4(A),(B)に示すように、ランナー31,32の鍔部312を貫通する丸孔341と、横板部332を貫通する丸孔342とにより、貫通孔34が構成されている。丸孔341,342の位置および大きさ(径)は一致している。対面板部30bの貫通孔34は全て同じ大きさであり、対面板部30bは穿孔板を構成する。すなわち、対面板部30bにおける貫通孔34を取り囲む環状部分を、ヘルムホルツ共鳴器の頸部として機能させることができる。
支持部材30により吸音可能な周波数(共鳴周波数)もまた、柱部材20のケースと同様の方法により計算可能である。支持部材30においても、ランナー31,32の仕様(大きさ、板厚)を固定しておき、箱体33の板厚寸法T4、貫通孔34の直径、および貫通孔34の配置ピッチPbを調整することで、狙い通りの周波数の音を支持部材30において吸音することができる。この場合においても、箱体33の板厚寸法T4、貫通孔34の直径、および貫通孔34の配置ピッチPbの少なくとも1つが、支持部材30における目標吸音周波数に応じて選ばれていることが望ましい。
なお、本実施の形態では、箱体33がランナー31,32の内部に組み込まれているため、箱体33内の空間(支持部材30内の空洞)30sの奥行き寸法(L)が、スタッド21の空間(柱部材20内の空洞)20sの奥行き寸法よりも若干短い。そのため、たとえば貫通孔34の配置ピッチPbを柱部材20の貫通孔23の配置ピッチPaよりも短く(あるいは長く)することにより、柱部材20および支持部材30で吸音される周波数帯域を一致させるようにしてもよい。
あるいは、本実施の形態では、板部材22がスタッド21の外側に設けられることとしたが、板部材22をスタッド21の内側に設ける(挿入する)ことにより、柱部材20の空洞20sの奥行き寸法と支持部材30の空洞30sの奥行き寸法とを凡そ一致させてもよい。この場合、箱体33の板厚寸法T4および貫通孔34の配置ピッチPbの調整を、柱部材20の板部材22の厚み寸法T2および貫通孔23の配置ピッチPaの調整と同様にすることができる。
あるいは、箱体33の横板部332をランナー31,32の鍔部312の外側に配置することで、柱部材20と同様の条件とすることも可能である。この場合、箱体33が、たとえば、ランナー31,32の一対の鍔部311,312を内包する(外側から嵌め込む)U字状部材と、一対の鍔部311,312に直交する一対の側板部とを含む構成とすることができる。
(防音壁の作用効果)
上述のように、防音壁10は、建物の既存壁91から離れて配置された柱部材20および支持部材30を含み、柱部材20および支持部材30が、柱裏空間51に連通する複数の貫通孔23,34を有する穿孔板、すなわち対面板部20b,30bを含む。つまり、貫通孔23,34が音の垂直入射方向を向いて設けられている。これにより、本実施の形態の防音壁10によれば、狙い通りの周波数帯域の音を吸音することができる。本実施の形態の防音壁10の対比例を図5に示す。
上述のように、防音壁10は、建物の既存壁91から離れて配置された柱部材20および支持部材30を含み、柱部材20および支持部材30が、柱裏空間51に連通する複数の貫通孔23,34を有する穿孔板、すなわち対面板部20b,30bを含む。つまり、貫通孔23,34が音の垂直入射方向を向いて設けられている。これにより、本実施の形態の防音壁10によれば、狙い通りの周波数帯域の音を吸音することができる。本実施の形態の防音壁10の対比例を図5に示す。
図5の防音壁100は、スタッド121と、スタッド121の奥行き方向両側に固定されたパネル部材141,142とを含む。スタッド121の一方の側面には、空気層152に向けて開口する頸部123が設けられている。この場合、隣室Ro側のパネル部材142を通過して空気層152に侵入した音に対しては、ある程度の吸音効果があるとしても、パネル部材142を通過してスタッド121に入射した音は部屋Ri側のパネル部材142に固体伝搬するため、期待通り吸音効果が見込めない。また、頸部123の突出長さを調整したとしても、狙い通りの周波数の吸音効果を得ることは困難である。
これに対し、本実施の形態では、既存壁91を通過した音は貫通孔23,34に垂直入射するため、所望の周波数帯域の音を効果的に遮音することができる。
また、柱部材20および支持部材30には、高音域の吸音が特異な防音パネル部材40が固定されているため、本実施の形態の防音壁10によれば、幅広い周波数帯域の音の遮音効果を実現することができる。また、柱部材20間の空気層52に吸音材が配置される構成においては、より高い遮音効果が見込まれる。
さらに、本実施の形態の防音壁10は、少なくとも一対の柱部材20を自立させることで設置可能であるため、ユーザ自身で防音壁10を既存の部屋Riに設置することが可能である。つまり、大工業者による防音工事と異なり、他人が介入することがないため、部屋Riの防音対策を手軽に実施することができる。また、突っ張り棒(図示せず)を利用することで、部屋Riへのビス固定等が不要となるため、原状回復も容易である。したがって、防音壁10は、賃貸住宅にも好適である。なお、支持部材30は、部屋Riの床面93側にのみ設けられていてもよい。この場合、柱部材20を突っ張り棒で天井面92に直接固定するようにしてもよい。
(変形例)
本実施の形態では、1つの柱部材20が1つのスタッド21を含むこととしたが、1つの柱部材20が隣接または近接する複数(たとえば2つ)のスタッドを含む構成としてもよい。
本実施の形態では、1つの柱部材20が1つのスタッド21を含むこととしたが、1つの柱部材20が隣接または近接する複数(たとえば2つ)のスタッドを含む構成としてもよい。
また、本実施の形態では、柱部材20および支持部材30の双方をヘルムホルツ共鳴器として機能させる構成を示したが、少なくとも一方(たとえば柱部材20)がヘルムホルツ共鳴器として機能していればよい。その場合、柱部材20を部屋Ri内で支持するための支持部材は、ランナー以外の部材により実現されてもよい。
また、本実施の形態では、防音壁10が防音パネル部材40を含むこととしたが、防音パネル部材40がなく、柱部材20および支持部材30が剥き出しであってもよい。
また、本実施の形態では、既存壁91に近接した状態で防音壁10を設置する例を示したが、このような例に限定されず、防音壁10は2つの空間の間に配置されていればよい。たとえば、音源側の第1空間と第2空間(たとえばユーザが過ごす空間)とを仕切る仕切り面は、仮想面であってもよい。あるいは、防音壁10が後付けである例に限定されず、建物の間仕切り壁の構成として適用することも可能である。
また、本実施の形態の遮音構造を、二重窓等にも適用することが可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 後付け防音壁、20 柱部材、20b,30b 対面板部、21 スタッド、22 板部材、23,34 貫通孔、30 支持部材、31,32 ランナー、33 箱体、40 防音パネル部材、51 柱裏空間、52 空気層、91 既存壁(仕切り面)、Ri 部屋、Ro 隣室。
Claims (7)
- 音源側の第1空間から、前記第1空間と第2空間とを仕切る仕切り面を通過して前記第2空間に入射する音を遮音するための遮音構造であって、
前記仕切り面との間に間隔をあけて前記第2空間に立設され、前記仕切り面に対面する第1の対面板部を含む筒状の柱部材と、
前記柱部材を支持する支持部材とを備え、
前記第1の対面板部には、上下方向に間隔をあけて複数の貫通孔が設けられており、
前記第1の対面板部がヘルムホルツ共鳴器の穿孔板を構成することを特徴とする、遮音構造。 - 前記柱部材は、前記第2空間側の表面部および前記第1空間側の裏面部を含む角形のスタッドと、前記裏面部に重ねて固定され、上下方向に延在する板部材とを含み、
前記第1の対面板部が、前記スタッドの前記裏面部と前記板部材とにより構成されている、請求項1に記載の遮音構造。 - 前記板部材の厚み寸法、前記貫通孔の直径、および前記貫通孔の配置ピッチの少なくとも1つが、前記柱部材での目標吸音周波数に応じて選ばれている、請求項2に記載の遮音構造。
- 前記スタッドの前記表面部に固定され、前記第2空間に露出する防音パネル部材をさらに備える、請求項2に記載の遮音構造。
- 前記仕切り面と前記防音パネル部材との間の空気層内に位置し、左右方向に隣り合う前記柱部材間に設けられた吸音材をさらに備える、請求項4に記載の遮音構造。
- 前記支持部材は、左右方向に延在し、前記仕切り面に対面する第2の対面板部を含み、
前記第2の対面板部には、左右方向に間隔をあけて複数の貫通孔が設けられており、
前記第1の対面板部とともに、前記第2の対面板部がヘルムホルツ共鳴器の穿孔板を構成する、請求項1に記載の遮音構造。 - 前記支持部材は、一対の鍔部を有するランナーと、前記ランナーの少なくとも一部に組み込まれた中空の箱体とを含み、
前記第2の対面板部が、前記一対の鍔部のうち前記第1空間側に位置する裏側鍔部と、当該裏側鍔部に重ねられる前記箱体の横板部とにより構成されている、請求項6に記載の遮音構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2023104087A JP2025004411A (ja) | 2023-06-26 | 2023-06-26 | 遮音構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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ID=94217247
Family Applications (1)
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JP2023104087A Pending JP2025004411A (ja) | 2023-06-26 | 2023-06-26 | 遮音構造 |
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-
2023
- 2023-06-26 JP JP2023104087A patent/JP2025004411A/ja active Pending
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