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JP2024536497A - 酢酸デナトニウムの一水和物塩 - Google Patents

酢酸デナトニウムの一水和物塩 Download PDF

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JP2024536497A JP2024522230A JP2024522230A JP2024536497A JP 2024536497 A JP2024536497 A JP 2024536497A JP 2024522230 A JP2024522230 A JP 2024522230A JP 2024522230 A JP2024522230 A JP 2024522230A JP 2024536497 A JP2024536497 A JP 2024536497A
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Abstract

新規な酢酸デナトニウムの一水和物塩形態を開示する。より具体的には、新規な塩形態および水和物結晶形態は、メタボリック症候群、肥満、NASH、血糖コントロール/糖尿病およびIBD(腸疾患)などの疾患および状態の処置および予防に有用である。

Description

(関連出願の相互参照)
本開示は、2021年10月14日出願の米国仮出願第63/255,947号の優先権の利益を主張し、この出願をあらゆる目的のためにその全体として出典明示により本明細書に組み込まれる。
(発明の分野)
本開示は、新規な酢酸デナトニウムの一水和物塩形態を提供する。より具体的には、本新規の塩形態および水和物結晶形態は、疾患および状態の処置および予防に有用である。特に、このような疾患および状態は、メタボリック症候群、肥満、NASH、血糖コントロール/糖尿病、プラダー・ウィリ症候群およびIBD(腸疾患(intestinal bowel disease))を含む。
酢酸デナトリウムは、US2015/0252305に記載されている塩である(「苦味剤は、好ましくはデナトニウム塩またはその誘導体である。一態様において、苦味剤は、塩化デナトニウム、クエン酸デナトニウム、デナトニウムサッカライド、炭酸デナトニウム、酢酸デナトニウム、安息香酸デナトニウム、およびこれらの混合物からなる群より選択されるデナトリウム塩である。一態様において、液体組成物は第1のデナトニウム塩を含み、フィルムは第1のデナトニウム塩と異なる第2のデナトニウム塩を含む。」)。しかしながら、酢酸デナトニウムは合成されておらず、デナトニウムをカチオンとする多くの理論上の塩としてのみ記載されていると考えられる。その後、Aardvark Therapeutics, Inc.に譲渡された一連の特許出願には、酢酸デナトリウムが医薬組成物として記載され、リドカインから酢酸デナトリウムを合成する合成プロセスが含まれていた。例えば、WO2021/062061を参照。この合成プロセスにより、酢酸デナトニウム無水物(DAA)が生成される。しかしながら、その後、DAAは安定性が不十分であり、DAAが満たしていない活性医薬成分の安定性に関するFDA規制要件があるため、API(活性医薬成分)として使用するには適さないと判断された。したがって、当技術分野において、より安定な塩形態の酢酸デナトニウム(DA)が必要とされている。酢酸デナトリウムは、メタボリック症候群、肥満および高血糖などの様々な状態の処置に有用であることが知られている。例えば、WO2021/133908を参照。
本開示は、DAAが不安定であり、少なくともいくつかの条件下では分解するという発見に基づく。DAAを水和し、安定な塩、すなわち、酢酸デナトニウム一水和物(DAM)に再結晶化した。本開示は、新規な酢酸デナトニウム一水和物塩およびその結晶形態を提供する。酢酸デナトリウム一水和物および結晶形態は、酢酸デナトリウムの製造において、より高い安定性、取り扱いおよび投与などの利点を提供することができる。特に、DAMは、例えばDAAと比較して、ストレス、高温および湿度に対する物理的および化学的安定性の改善を示すことができる。
本開示は、構造式1:
で示される、酢酸デナトニウム一水和物塩を提供する。好ましくは、塩は、一水和物結晶である。塩は、実質的に図5Aまたは図5Bに示すX線粉末回折(XRPD)スペクトルによって特徴付けられ得る。
本開示は、治療有効量の酢酸デナトニウム一水和物塩結晶を1つ以上の医薬的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物をさらに提供する。1つ以上の医薬的に許容される担体は、生体適合性ポリマーを含み得る。生体適合性ポリマーは、セルロースであり得る。1つ以上の医薬的に許容される担体は、サッカライドを含み得る。サッカライドは、糖アルコールであり得る。糖アルコールは、マンニトールであり得る。1つ以上の医薬的に許容される担体は、タルクを含み得る。1つ以上の医薬的に許容される担体は、有機酸を含む。有機酸は、酢酸であり得る。医薬組成物は、経口投与用に製剤化され得る。医薬組成物は、固形顆粒を含み得る。
また、本開示は、水の濃度が10重量%を超えるように、一定当量のDAA(酢酸デナトニウム無水物)を低級アルキルイソブチルケトン、例えばメチルイソブチルケトン、および水と接触させる工程、得られた固相を回収する工程、およびそこから固体を取る工程を含む、酢酸デナトニウム一水和物塩結晶の製造方法を提供する。本開示は、酢酸デナトニウム無水物を低級アルキルイソブチルケトンおよび水と接触させて、酢酸デナトニウム一水和物を含む固相を形成させる工程を含む、本明細書に記載の酢酸デナトニウム一水和物塩結晶の製造方法を提供する。低級アルキルイソブチルケトンは、メチルイソブチルケトンまたはエチルイソブチルケトンであり得る。酢酸デナトニウム無水物と低級アルキルイソブチルケトンおよび水との接触は、水の濃度が10重量%を超える組成物を形成する。酢酸デナトニウム一水和物は、一水和物結晶である。一水和物結晶は、実質的に図5Aまたは図5Bに示すX線粉末回折(XRPD)スペクトルによって特徴付けられ得る。
図1は、DAAからDAMを製造する合成プロセスを示す。
図2は、DAMについて見られた多形パターン間の関係を示すフォーム図を示す。
図3は、パターン1(下のトレース)とパターン2(上のトレース)のDAMの重ね合わせディフラクトグラムを示す。
図4は、パターン1(下のトレース)とパターン5(赤)(上のトレース)のDAMの重ね合わせディフラクトグラムを示す。
図5Aは、パターン1のDAMのディフラクトグラムを示す。
図5Bは、パターン1のDAMのディフラクトグラムの0から約5500カウントまでの領域の拡大版を示す。
DAMを合成するプロセスは、リドカイン塩基で始まり、水酸化デナトニウムを生成し、その後DAAを生成する。
工程1:リドカインからの水酸化デナトニウムの合成
還流装置に、25gのリドカイン、60mLの水および17.5gの塩化ベンジルを加え、撹拌しながら、70~90℃に加熱する。溶液を、前記の値において24時間加熱および撹拌する必要があり、溶液を30℃まで冷却する必要がある。未反応の試薬を、3×10mLのトルエンで除去する。撹拌しながら、65gの水酸化ナトリウムを65mLの冷水に溶解させ、それを水溶液に撹拌しながら3時間かけて加える。混合物をろ過し、水で洗浄し、大気中乾燥させる。熱クロロホルムまたは熱エタノール中で再結晶化する。
工程2:水酸化デナトニウムから酢酸デナトニウム無水物(DAA)の製造
還流装置に、10gの水酸化デナトニウム(MW:342.475g/mol、0.029mol)、20mLのアセトン、および15mLのアセトンに溶解させた2gの氷酢酸(0.033mol)を加え、混合物を撹拌し、35℃まで3時間加熱する。その後、蒸発乾固させ、熱アセトン中で再結晶化する。
DAAは分解し、DAAは(A)リドカインおよび酢酸ベンジルに分解するか、または(B)2-(ジエチルアミノ)-3-フェニル-N-(2,6-ジメチルフェニルプロピオンアミドに分解することが分かった。したがって、DAAは、中間体として用いるには、低温を必要とした。工程3では、DAAを有機層で維持し、150torr未満で温度が65~67℃に達するまで真空下で蒸留した。メチルイソブチルケトンを加え、真空下で還流して共沸蒸留により水を除去し、DAMを形成した。DAMはイソプロピルアルコールを加えることで結晶化した。残留塩を除去した。混合物を真空下で蒸留した。次にメチルイソブチルケトンを加え、その後水を加えた。いくつかの実施態様において、低級アルキルイソブチルケトンを、メチルイソブチルケトンの代わりに用いる。いくつかの実施態様において、低級アルキルは、C1-3アルキルである。いくつかの実施態様において、低級アルキルは、メチルまたはエチルである。温度を10℃未満に下げた。残った固体を単離し、メチルイソブチルケトンで洗浄して、最終のDAM(酢酸デナトニウム一水和物)を得た。
本開示は、酢酸デナトニウム一水和物結晶を提供する。いくつかの実施態様において、酢酸デナトニウム一水和物結晶は、実質的に図5Aまたは図5Bに示すX線粉末回折(XRPD)スペクトルによって特徴付けられる。
いくつかの実施態様において、酢酸デナトニウム一水和物および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。医薬的に許容される担体は、例えば、生体適合性ポリマー、例えばセルロース、および/またはサッカライド、例えば糖アルコール、例えばマンニトールを含み得る。いくつかの実施態様において、医薬的に許容される担体は、タルクを含む。いくつかの実施態様において、医薬的に許容される担体は、タルク、セルロースおよびサッカライドを含む。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、経口製剤である。いくつかの実施態様において、医薬組成物(例えば経口製剤)は、徐放性セルロース系およびマンニトール添加剤製剤である。いくつかの実施態様において、医薬的に許容される担体は、有機酸、例えば酢酸を含み、これは、前記の成分または成分の組合せのいずれかと組み合わせて存在してもよい。医薬組成物は、経口投与用に製剤化され得る。医薬組成物は、固形顆粒を含み得る。
実施例1
この実施例は、酢酸デナトニウム一水和物(DAM)のバッチの特性評価、および該物質を用いて実施した多形スクリーニング試験を記載する。DAMは結晶性が高く、パターン1と称するXRPDパターンを有する(図5A、拡大バージョンは図5B)。
DAMに対して実施した重量蒸気吸着(GVS)実験およびストレス条件下での保存は、該物質が80%超の相対湿度(RH)レベルで極めて吸湿性であることを示す。96%RHで5日後、潮解することが観察された。相対湿度レベルが10%未満になると、質量が減少した。0%RHに保ったDAM試料は、パターン5に変換された。このパターンは、準安定であり、実験室の周囲条件下で数時間以内にパターン1に変換された。
DAMは、DSCにおいて150℃(融点をわずかに超える)に加熱したとき熱不安定であり、UPLC分析により投入物質の約54.9%のみが残っていることが示された。
様々な溶媒からの凍結乾燥、急速蒸発または貧溶媒沈殿による非晶質物質を製造する試みでは、非晶質物質は得られなかった。供給されたパターン1を、48個の溶媒を用いた多形スクリーニング試験ならびに溶媒/貧溶媒スクリーニング試験のための投入物質として用いた。DAMに関するすべての調査中に、4つの更なるXRPDパターンが見つかった。
パターン2を、t-ブタノール中のDAMの溶液の凍結乾燥による非晶質物質の製造の試みから得た。密閉バイアル中で7週間保存後、パターン1に変換されたことが観察された。
パターン3(ギ酸エチル中のDAMの溶液の蒸発から)は、1H NMRに基づいてデナトリウムの酢酸塩とギ酸塩の混合物であることが分かったため、酢酸デナトニウム単独を表すパターンを表すパターンではない。
パターン4を、2-メトキシエタノール中のDAMの溶液の蒸発による多形スクリーニングから得た。6週間の密閉バイアル中での保存後にXRPDによって再分析した試料は、パターン1への変換を示す。
パターン5は、0%RHでのDAMの保存、室温での真空乾燥、またはDSCで120℃への加熱と急速冷却により観察された。実験室の周囲条件下でXRPDディスク上で放置すると、4時間後、パターン1に容易に変換されることが観察された。見られたパターン間の関係を示すフォーム図を図2に示す。
DAMの最初の特性評価の要約を表1に示す。
Figure 2024536497000005
粒子径分布を測定し、D90が約65μmの二峰性分布を示した。DAMのES+質量スペクトルは、第四級成分と一致する325.4のM+を示す。試料は結晶性が高かった。10℃/分での示差走査熱量測定(DSC)によるDAMの熱分析は、44~124℃での広く浅い吸熱事象、融解の可能性と一致する開始が135℃の広い吸熱事象、および149~206℃での更なる吸熱事象を示した。10℃/分での熱重量分析(TGA)は、40~153℃で4.3%、154~192℃で12.3%、193~220℃で7.8%の質量損失、その後更なる質量損失を示した。
いくつかの重量蒸気吸着(GVS)実験を実施して、様々な相対湿度レベルに対するDAMの挙動を調べた。相対湿度範囲(40-90-0-90-0-40%)でのGVS実験(GVS1)は、DAMが極めて吸湿性であることを示し、0~90%相対湿度範囲(第2吸着サイクル)で23%質量増加した。質量増加の大部分が80%RHを超えると観察された。注目すべきは、実験では最高湿度段階で平衡に達しなかった(平衡に達しない場合、各段階で最大24時間まで許容する方法を用いたとしても)ため、23%の質量増加は吸湿性の過小評価である可能性が高いことである。
DAM(DAM、ロット:ED21356-001-001-00)でのGVS実験(GVS2)を、80%までの相対す都度レベルでの物質の挙動を調べるために実施した。この実験では、大きな質量変化が観察され平衡に達しなかった90%RHを含む工程を除いて、GVS1と同様の方法を使用した。吸着サイクルから始まる相対湿度範囲(40-80-0-80-0-40%)でのGVS2は、2.1%の質量増加(第2吸着サイクルにおける0~80%の相対湿度で)を示し、この質量変化の大部分(+1.4%)が0~10%RHで生じた。物質は、実験後に流動性のある粉末のままであり、XRPD分析は、パターン1と一致するディフラクトグラムを示した。
相対湿度範囲(40-0-80-0-80-0-40%)でのDAMの更なるGVS実験(GVS3)を実施して、0~80%RHの吸着サイクルの開始前に高い(80%)曝露させなかった場合に挙動に顕著な違いがあるかを調べた。脱着サイクルから始まるこの実験(GVS3)は、2%の質量増加(第1および第2の両方の吸着サイクルにおける0~80%の相対湿度で)を示した。これは実験の両方の吸着サイクルで同じであり、GVS2で得られた2.1%の結果と同等であった。質量変化の大部分(1.3~1.4%の増加)は、0~10%RHで生じた。物質は、実験後に流動性のある粉末のままであり、XRPD分析は、パターン1と一致するディフラクトグラムを示した。
DAMを用いて実施したGVS実験およびストレス条件下での保存は、物質が80%超の相対湿度レベルで極めて吸湿性であることを示す。0~10%RHで1.4%、0~80%RH(GVS2)で2.1%、0~90%RH(GVS1)で23%の質量増加を示した。96%RHで5日間保存後、潮解することが観察された。相対湿度レベルが10%未満になると、質量もまた減少する。
上記のGSV実験で10%RHから0%RHになるとDAMが質量損失することが観察された後、DAMの一部を開放バイアルに入れ、GSV装置中で0%RHに2日間保った。その後、それを装置から取り出し、一部を直ちにXRPDによって分析した。パターン5と一致するディフラクトグラムを示した。ディスク上で実験室の周囲条件下で4時間放置後の試料の再分析は、パターン1への変換を示した。
DAMを用いて実施したGVSおよびストレス条件下での保存の実験は、該物質が80%超の相対湿度レベルで極めて吸湿性であることを示す。相対湿度レベルが10%未満になると、質量が減少する。0%RHに保ったDAM試料は、パターン5に変換されたが、このパターンは、準安定であり、実験室の周囲条件下で数時間以内にパターン1に変換される。
一連の更なるDSC実験を実施して、DAMの熱挙動をさらに調べた。DAMの試料(5mg)を、10℃/分でのDSCにおいて150℃に加熱し、その後30℃に冷却した。実験後に、パンを装置から取り出し、パンを開けて、物質(DAM、ロット:ED21356-003-001-00)を調べて、分解の兆候を確認した。UPLCは、分解の顕著な兆候を示し、投入物質の約54.9%のみが残った。1H NMRはまた、実質的な分解の証拠を示している。
DAMの試料(4.55mg)を、10℃/分でのDSCにおいて120に加熱し、120℃にて2分間保持し、その後30℃に冷却した。実験後に、パンを装置から取り出し、パンを開けて、物質を調べて、分解の兆候を確認した。UPLCおよび1H NMRは、分解の顕著な兆候を示さなかった。
DAMを用いて実施したDSC実験は、物質が150℃に加熱したとき熱不安定であり、NMRおよびUPLCにより顕著な分解が示されたことを示す。試料を120℃に短時間加熱したとき顕著な化学分解は観察されなかったが、XRPDディフラクトグラムにおいてパターン1からパターン5への変化が観察された。室温で一晩放置後、物質はパターン1に戻った。パターン5は、準安定であり、XRPDディスク上で一晩放置後実験室の周囲条件下でパターン1に変換される。DAMの最初および更なる特性評価の要約を表2に示す。
Figure 2024536497000006
DAMの一部(8mg)をt-ブタノール(0.5mL)に完全に溶解させ、その後ドライアイスに入れて凍結した。凍結試料を、すべての溶媒が除去されるまで、凍結乾燥機で凍結乾燥した。得られた固体物質(DAM、ロット:ED21356-005-001-01)をXRPDにより分析した。非晶質ではなく、投入物とはことなるパターンを示した。これをパターン2と称した。図3は、パターン1(黒)とパターン2(赤)のDAMの重ね合わせディフラクトグラムを示している。パターン2の試料は、密閉バイアル中で7週間保存後にXRPDにより再分析され、パターン1と一致するディフラクトグラムを示した。
DAMの一部(10.9mg)を、室温で一晩真空乾燥して、固体のED21356-004-001-00を得た。XRPDにより分析し、非晶質ではないことが分かった。結晶物質と一致する回折ピークを示した。これはパターン1とよく似たパターンを示したが、18°2θに追加のピークがあり、図4の重ね合わせに示すように、その他の小さな違いがいくつかあった。これをパターン5と称した。
これらの試験条件下で、真空乾燥、DCMからの急速蒸発、貧溶媒沈殿、または水、1,4-ジオキサン/水(1:1)、MeCN/水(1:1)またはt-ブタノールからの凍結乾燥によって非晶質を製造する試みでは、非晶質物質は得られなかった。パターン1と一致する結晶物質を、DCMからの急速蒸発、または水、1,4-ジオキサン/水(1:1)またはMeCN/水(1:1)からの凍結乾燥から得た。DCM中のDAMの濃縮溶液をヘプタンに急速に添加すると沈殿が生じた。XRPDによる固体の分析は、DAMパターン1の回折ピークを示した。t-BuOHからの凍結乾燥の場合、パターン2と称する新パターンが単離された。密閉バイアル中で7週間保存後に、パターン1に変換されたことが分かった。
室温でのDAM試料の真空乾燥によりパターン5を得た。密閉バイアル中で6週間保存後に、パターン1に変換されたことが分かった。
幅広い溶媒系からAPI(DAM)を結晶化して、新しい結晶形態を生成しようとする試みがなされた。DAMをこれらのスクリーニング試験の投入物質として用い、選択した溶媒は主に、下記表3に示すような様々な特性を有するICHクラスIIおよびIIIであった。
Figure 2024536497000007
DAM結晶の一部(各約10mg)を、溶液を形成するまで、または1mLを添加するまで溶媒で処理した。得られた試料を、数日間凍結するか(溶液)または室温で振とうした(懸濁液)。最初に溶液を形成した試料を、冷蔵後の固体形成の兆候について試験した。固体物質が形成された場合、XRPDにより分析した。固体が形成されない場合、バイアルのキャップを外して溶液を蒸発させ、固体残留物をXRPDにより分析した。最初に懸濁液を形成した試料については、固体がまだ存在する場合、XRPDにより分析した。懸濁液の上清をろ過し、その後ろ液を上記の溶液として処理した。一部の実験では、更なる固体をろ液の蒸発から得て、物質の量が許す場合XRPDにより分析した。
結果の以下の表4および表5に要約する。
Figure 2024536497000008
最初の24種類の溶媒を使用した実験のほとんどでは、パターン1と一致するXRPDディフラクトグラムを示す固体物質が得られた。ギ酸エチルにより新パターン(パターン3と称する)が得られ、ギ酸により実験の蒸発後にシロップが得られた。パターン3について収集した更なるデータは、それがデナトリウムのギ酸塩と酢酸塩の混合物であることを示唆した。
実験25~48では、ほぼすべての溶媒からパターン1と一致するXRPDディフラクトグラムを有する固体物質が得られた。3つの試料は、6週間蒸発後も溶液のままであった。パターン4と称する新パターンを、2-メトキシエタノールから得た。
Figure 2024536497000009
パターン2を、t-ブタノール中のDAMの溶液の凍結乾燥による非晶質物質の製造の試みから得て、DAM(ロット:ED21356-005-001-01)を得た。特性評価データを以下の表6に要約する。
Figure 2024536497000010
パターン3を、ギ酸エチル中のDAMの溶液の蒸発による多形スクリーニングから得た。1H NMR分析は、酢酸塩のピークの減少およびギ酸塩のピークの追加を示す。これは、デナトリウムのギ酸塩と酢酸塩の混合物と一致する。特性評価データを以下の表7に要約する。
Figure 2024536497000011
パターン4を、2-メトキシエタノール中のDAMの溶液の蒸発による多形スクリーニングから得た。6週間の密閉バイアル中での保存後にXRPDによって再分析した試料は、パターン1への変換を示す。特性評価データを以下の表8に要約する。
Figure 2024536497000012
パターン5は、0%RHでのDAM(パターン1)の保存、室温での真空乾燥、またはDSCで120℃への加熱と急速冷却により観察された。XRPDディスク上で実験室の周囲条件下で4時間放置後、パターン5はパターン1に変換された。RPDディスク上で実験室の周囲条件下で一晩放置した試料も、パターン1に変換されることが分かった。密閉バイアル中で6週間保存した試料も、パターン1に変換された。パターン5の試料についての特性評価データの要約を表9に示す。
Figure 2024536497000013
DAMは結晶性が高く、パターン1と称するXRPDパターンを有した。DAMに関する調査中に、4つの更なるXRPDパターンが見つかった。これらの1つ(パターン3)は、1H NMRに基づいてデナトリウムの酢酸塩とギ酸塩の混合物であることが分かったため、酢酸デナトニウム単独を表すパターンを表すパターンではない。パターン2を、t-ブタノール中のDAMの溶液の凍結乾燥による非晶質物質の製造の試みから得た。密閉バイアル中で7週間保存後、パターン1に変換されたことが観察された。パターン4を、2-メトキシエタノール中のDAMの溶液の蒸発による多形スクリーニングから得た。6週間の密閉バイアル中での保存後にXRPDによって再分析した試料は、パターン1への変換を示した。パターン5は、0%RHでのDAM(パターン1)の保存、室温での真空乾燥、またはDSCで120℃への加熱と急速冷却により観察された。実験室の周囲条件下でXRPDディスク上で放置すると、4時間後、パターン1に容易に変換されることが観察された。

Claims (20)

  1. 構造式1:
    で示される、酢酸デナトニウム一水和物塩。
  2. 一水和物結晶である、請求項1に記載の塩。
  3. 実質的に図5Aまたは図5Bに示すX線粉末回折(XRPD)スペクトルによって特徴付けられる、請求項2に記載の塩。
  4. 治療有効量の請求項1~3のいずれか一項に記載の塩を1つ以上の医薬的に許容される担体と組み合わせて含む、医薬組成物。
  5. 1つ以上の医薬的に許容される担体が、生体適合性ポリマーを含む、請求項4に記載の医薬組成物。
  6. 生体適合性ポリマーが、セルロースである、請求項5に記載の医薬組成物。
  7. 1つ以上の医薬的に許容される担体が、サッカライドを含む、請求項4~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  8. サッカライドが、糖アルコールである、請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 糖アルコールが、マンニトールである、請求項8に記載の医薬組成物。
  10. 1つ以上の医薬的に許容される担体が、タルクを含む、請求項4~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  11. 1つ以上の医薬的に許容される担体が、有機酸を含む、請求項4~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  12. 有機酸が、酢酸である、請求項11に記載の医薬組成物。
  13. 医薬組成物が、経口投与用に製剤化される、請求項4~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  14. 医薬組成物が、固形顆粒を含む、請求項4~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  15. (1)水の濃度が10重量%を超えるように、一定当量のDAA(酢酸デナトニウム無水物)をメチルイソブチルケトンおよび水を接触させる工程、(2)得られた固相を回収する工程、および(3)そこから固体を取る工程を含む、請求項1に記載の塩の製造方法。
  16. 酢酸デナトニウム無水物を低級アルキルイソブチルケトンおよび水と接触させて、酢酸デナトニウム一水和物を含む固相を形成させる工程を含む、請求項1に記載の塩の製造方法。
  17. 低級アルキルイソブチルケトンが、メチルイソブチルケトンまたはエチルイソブチルケトンである、請求項16に記載の製造方法。
  18. 酢酸デナトニウム無水物と低級アルキルイソブチルケトンおよび水との接触が、水の濃度が10重量%を超える組成物を形成する、請求項16または17に記載の製造方法。
  19. 酢酸デナトニウム一水和物が、一水和物結晶である、請求項16~18にいずれか一項に記載の製造方法。
  20. 一水和物結晶が、実質的に図5Aまたは図5Bに示すX線粉末回折(XRPD)スペクトルによって特徴付けられる、請求項19に記載の製造方法。
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