[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2024527471A - グランザイムb検出 - Google Patents

グランザイムb検出 Download PDF

Info

Publication number
JP2024527471A
JP2024527471A JP2023575535A JP2023575535A JP2024527471A JP 2024527471 A JP2024527471 A JP 2024527471A JP 2023575535 A JP2023575535 A JP 2023575535A JP 2023575535 A JP2023575535 A JP 2023575535A JP 2024527471 A JP2024527471 A JP 2024527471A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
probe
granzyme
peptide
cells
moiety
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023575535A
Other languages
English (en)
Inventor
マーク ベンドレル、
ジェイミー アイ. スコット、
ドリアン ゴードン、
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
University of Edinburgh
Original Assignee
University of Edinburgh
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by University of Edinburgh filed Critical University of Edinburgh
Publication of JP2024527471A publication Critical patent/JP2024527471A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K7/00Peptides having 5 to 20 amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • C07K7/04Linear peptides containing only normal peptide links
    • C07K7/06Linear peptides containing only normal peptide links having 5 to 11 amino acids
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/34Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving hydrolase
    • C12Q1/37Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving hydrolase involving peptidase or proteinase
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2800/00Detection or diagnosis of diseases
    • G01N2800/52Predicting or monitoring the response to treatment, e.g. for selection of therapy based on assay results in personalised medicine; Prognosis

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

本開示は、グランザイムBの検出に使用するための新規な切断可能ペプチドプローブの開発、ならびに医療および生物学的環境におけるプローブの使用方法に関する。プローブは、ペプチドに連結または結合した蛍光部分、およびペプチドに連結または結合した消光部分を含むことができ、ペプチドの切断時に、蛍光部分は発光する。

Description

本開示は、グランザイムBの検出に使用する新規プローブの開発、ならびに医療および生物学的設定におけるプローブの使用方法に関する。
CD8+T細胞の応答は、癌から人体を保護する主要な免疫機構の一つである。腫瘍におけるCD8+T細胞の存在は、癌患者における良好な予後を示す。しかしながら、患者が免疫療法にどのように反応するかには大きなばらつきがある。臨床画像は腫瘍の大きさや、CD8+T細胞の浸潤をある程度は測定できるが、免疫系が癌細胞(cancer cell)に対してどの程度効率的に反応しているかを読み取ることはできない。この限界によって、新薬の評価や、標的外毒性を最小化するための免疫療法の個別最適化が妨げられる。腫瘍浸潤T細胞の活性を直接測定する化学的アプローチは、治療に対する反応の信頼できる指標を提供し、抗癌剤のスクリーニングを加速する。
CD8+T細胞のin vitroモニタリングのための標準的方法として、細胞毒性LDH、MTSまたは51Cr放出アッセイが用いられる。これらのアッセイは、T細胞特異的抗癌反応よりもむしろバルクの細胞毒性を報告する。CD8+T細胞の活性は、抗体を用いて細胞外サイトカインと膜蛋白質(例えば、CD107a)の濃度を測定することにより間接的にモニターできる。これらの方法はT細胞機能を評価するが、癌細胞死を直接報告しないので、腫瘍における免疫殺傷能力のバイオマーカーではない。グランザイムB(GzmB)の活性感知レポーターの化学的なデザインは、癌におけるCD8+T細胞の細胞毒性活性をモニターするための効果的な戦略である。GzmBは、抗原による認識によって癌細胞内での放出と活性化が促されるまで、T細胞内で不活性に貯蔵されるセリンプロテアーゼである。GzmBを検出するためのプローブには、この酵素の活性化型と不活性化型を区別しない抗体と融合蛋白質、およびThornberryらによって最初に記述されたIle-Glu-Pro-Asp(IEPD)配列に基づく活性化可能な構築物が含まれる。後者のいくつかの例には、尿分析のためのナノプローブが含まれる3,4。これらの構築物はすべて、限られた触媒効率(例えば、pmol min-1の範囲のVmaxおよびmM-1-1付近のkcat/K比は表1参照)の化学足場に依存する。
本開示の目的の一つは、上述の欠点の一つ以上を回避および/または軽減することである。
本開示は、グランザイムBによって切断可能であり、切断時に、例えば、シグナルの増加、1つ以上の物理化学的特性の変化またはシグナルノイズ比の増加によって検出可能な切断ペプチドを生成するプローブの開発に部分的に基づいている。
第1の態様において、グランザイムBの検出に使用するためのプローブが提供され、該プローブは、検出可能な部分に連結または結合されたグランザイムB切断可能ペプチドを含み、該グランザイムB切断可能ペプチドは、下記の配列を有するヘキサペプチド配列を含む、または本質的にそれから成る、またはそれから成る。
P4-P3-P2-P1-X1-X2
ここで、P4はIまたはVである;P3はE、QまたはMである;P2は任意のアミノ酸である;P1はD、X1はA、S、W、またはRである;X2はG、L、またはRである。
ペプチドはP1アミノ酸残基とX1アミノ酸残基の間で切断される。本開示を通して、慣習的な1文字アミノ酸コードを用いてアミノ酸を定義する。
必要に応じて、ヘキサペプチド配列は、下記の配列を含む、または本質的にそれから成る、またはそれから成る。
I-E-P/F-D-X1-X2
ここで、X1はA、S、W、またはR;であり、X2はG、L、またはRである。
誤解を避けるために、P/FはPまたはFを意味すると理解されている。
本明細書に記載された方法は、定性的または定量的な意味で使用することができる。したがって、特定の態様において、それらの方法は、グランザイムB活性の測定に使用することができる。
ペプチドの切断後、検出可能な部分を含む切断されたペプチドが生成され、これを検出することができる。放射線測定、常磁性造影剤、常磁性または超常磁性粒子および光学的に検出可能な部分を含む、種々の検出可能な部分を想定することができる。1つの共示では、検出可能な部分は、ペプチドと連結または結合したときに最初は消光されている。しかし、グランザイムBによるペプチドの切断に続いて、最初は消光されているシグナルの脱消光が起こり、検出可能なシグナルの増加と物理化学的性質の変化が観察される。
本開示によれば、切断されたペプチドを非切断ペプチドから識別することが可能である。想定される1つの方法は、無傷のペプチド中ではシグナルを消光するように設計されているが、ペプチド切断後には消光されない、消光部分の使用を採用する。消光または脱消光されない検出可能なシグナルを使用することも可能である。一実施形態では、非切断ペプチドは細胞によって取り込まれ、切断が内部的に行われるので、グランザイムBを有する標的細胞は、シグナルの増加(例えば蛍光)および/または物理化学的特性の変化を示す。別の実施形態では、切断ペプチドは細胞によって取り込まれ得るが、非切断ペプチドは内部化されないことが想定される。このようにして、切断ペプチドは細胞の取り込みに続いて検出され得る。非切断ペプチドは、細胞による内部化を防止または低減する、部分または全体的な負電荷を有することができる。しかしながら、ペプチドが切断された後は、切断ペプチドは、その部分または負電荷を含まないため、それが内部化され、切断ペプチドが検出されるようになり得る。
本開示のプローブは、グランザイムBに対して高度に特異的であり得る。この点に関して、高度に特異的とは、プローブが、カスパーゼ-3およびグランザイムAを含む他のカスパーゼなどの他の酵素よりもグランザイムBに対してより特異的であることを意味する。典型的には、本開示のプローブは、グランザイムBに対して30μM、25μM、20μM、15μM、または10μM未満のKおよび/または1×10、1×10、1×10、または1×10より大きいkcat/K値を示す。
1つの教示において、検出される信号は、光信号であり得る。光信号は、視覚的および分光高度法的、並びにCCD、CMOSセンサ、およびフォトダイオード等を含む光センサの使用を含む、当該技術分野で公知の様々な方法によって検出され得る。任意の適切な光検出方法を採用することができ、また、これに制限されない。
本開示の1つの教示に従って、信号部分は蛍光部分であってもよく、これはクエンチャー(Quencher)や蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の方法の使用によって最初に消光される。蛍光信号の検出は、例えば、蛍光強度(Fluorescence intensity)の増加または蛍光寿命の変化であってもよい。蛍光は、例えば、蛍光分光法、蛍光顕微鏡法、共焦点蛍光顕微鏡法、蛍光画像分析、フローサイトメトリー、レーザースキャンサイトメトリー、プレートマルチウェル蛍光リーダー、またはシンチレーションカウンターによって検出されてもよい。
Forster共鳴エネルギー移動(FRET)、共鳴エネルギー移動(RET)、および電子エネルギー移動(EET)としても知られるFRETの原理は、励起されたドナー色素から空間的に近接して位置するアクセプタ色素またはクエンチャーへのエネルギー移動に基づく。ダークアクセプタまたはダーククエンチャーは、蛍光体(Fluorophore)からの励起エネルギーを吸収し、そのエネルギーを熱として放散する物質である;一方、蛍光アクセプタまたは蛍光クエンチャーは、このエネルギーの多くを光として再放出する。アクセプタ種の蛍光量子効率に応じて、ドナー種からアクセプタ種に転送されたエネルギーは、内部変換によって非放射緩和を受けてドナーエネルギーのクエンチングにつながるか、アクセプタ種の蛍光によって放出されるかのいずれかになる。
FRETは、ドナー種とアクセプタ種が十分に近接している場合に、ドナー種とアクセプタ種の電子励起状態の間で発生し、ドナー種の励起状態エネルギーがアクセプタ種に転送される。その結果、ドナー種の蛍光期間が短くなり、ドナー種の蛍光が消光する。この原理の1つの応用では、本明細書で適用可能なように、蛍光部分は消光部分に近接するように配置される。この配置では、励起されたドナー蛍光部分からのエネルギーはアクセプタ消光部分に伝達され、蛍光ではなく熱として放散される。しかしながら、グランザイムBによるペプチドの切断後のように、蛍光部分が消光部分に近接していない場合、蛍光部分の蛍光は消光部分によってもはや消光されず、例えば、蛍光強度の増加によって検出することができる。
したがって、本開示の1つの教示に従って、グランザイムBの検出に使用するための高度に特異的なプローブが供給される。該プローブは、該ペプチドと連結または結合した蛍光部分、および該ペプチドと連結または結合した消光部分を含み、該ペプチドは、下記の配列を有するグランザイムB切断可能ヘキサペプチド配列を含む、該配列から本質的に成る、または該配列から成る。
P4-P3-P2-P1-X1-X2
ここで、P4はIまたはVである;P3はE、QまたはMである;P2は任意のアミノ酸である;P1はD、または任意である
I E P/F D X1 X2
ここで、X1はA、S、W、またはR;であり、X2はG、L、またはR;であり、
ここで、グランザイムBによるペプチドの切断後、蛍光部分の脱消光が起こり、蛍光シグナルの検出可能な変化が観察され得る。
本開示がグランザイムBによるペプチドの切断を対象としているため、本明細書に記載されるプローブおよび方法は、酵素的に活性なグランザイムBの検出に関与している。したがって、本開示は、グランザイムBが活性でない可能性のある他の教示を区別することができる。例えば、酵素による切断を伴わない基質結合は、その結合分子が酵素的に活性であるかどうかを示さない。さらに、グランザイムBに結合する抗体を使用する方法は、グランザイムBの活性化型と非活性化型を必ずしも区別しない。したがって、有利なことに、本発明は、不活性化型を含む可能性のあるグランザイムBの単なる存在ではなく、活性化型グランザイムBを同定することができる。さらに、本方法は、総グランザイムBレベルを検出するための他の方法と組み合わせて使用することができる。このようにして、総グランザイムBに対する活性化型グランザイムBの比率を計算することが可能であり、不活性酵素の量の同定も可能である。
蛍光部分のような検出可能な部分は、任意の適切な方法によってペプチドに連結され得る。典型的には、検出可能な部分は、共有結合によってペプチドに連結される。例えば、検出可能な部分は、アミド結合を介してペプチドに連結され得る。検出可能な部分は、ペプチド配列に沿った任意の場所に連結され得るが、一実施形態では、検出可能な部分は、アミド結合を介して、ペプチドのNまたはC末端のアミノ酸に共有結合され得る。一実施形態では、シグナル生成部分は、N末端のアミノ酸に共有結合され得る。アミノ酸側鎖を介した連結または共有結合も想定される。シグナル生成部分は、ペプチドに直接連結または共有結合してもよいし、検出可能部分とペプチドとの間のリンカー(Linker)分子を介して結合してもよい。
使用される場合、クエンチャー部分は、上述のように、検出可能部分と同様の方法でペプチドに連結または結合してもよい。しかしながら、クエンチャー部分は、一般に、ペプチド上の検出可能部分と同じ位置に連結または結合されない。一実施形態では、検出可能部分は、NまたはC末端のアミノ酸に、クエンチャー部分は、CまたはN末端のアミノ酸を介してそれぞれ連結または共有結合する。
検出可能部分、蛍光部分および/またはクエンチャー部分は、ペプチドに間接的に連結してもよい。例えば、1つの教示において、蛍光部分および/またはクエンチャー部分は、ラテックスナノ粒子などのナノ粒子内に連結、結合および/または埋め込まれてもよく、そのナノ粒子はペプチドに結合されてもよい。
使用される場合、適切なリンカー分子は、アルキル、アルケニル、またはポリエーテル鎖のような脂肪族化合物を含み、必要に応じてC~C24反復単位を有する。脂肪族分子は、例えば、1つ以上のカルボン酸および/またはアミノ基を含み得る。適切な脂肪族リンカーは、脂肪族ジアミン、例えば、1,2-ジアミノエタン~1,10-ジアミノデカン、およびペグ化ジアミン、例えば、2,2’-オキシジエタナミン~1,8-ジアミノ-3,6-ジオキサオクタンを含む。
あるいは、1つ以上の天然または非天然に存在するアミノ酸および/またはイミノ酸を、連結基として使用することができる。
本発明での使用に適した蛍光部分は、単一の分子または分子色素を含むことができる。本発明に有用な色素は、400から1000nmの範囲で蛍光を発する蛍光性の疎水性色素を含む。色素類には、オキソノール、ピリリウム、スクエア、クロコニック、ロジゾン、ポリアザインダセンまたはクマリン、シンチレーション色素(通常オキサゾール、ベンゾチアジアゾール、オキサジアゾール)、アリール置換およびヘテロアリール置換ポリオレフィン(C2-C8オレフィン部分)、メロシアニン類、ローダミン類、スルホシアニン類、カルボシアニン類、フタロシアニン類、オキサジン類、カルボスチリル類、ポルフィリン色素、ジピロメテナボロンジフルオリド色素、アザ-ジピロメテナボロンジフルオリド色素、およびオキサジン色素が含まれるが、これらに限定されるわけではない。市販の蛍光色素(Fluorogenic dye)は、例えば、Thermofisher、Sigma Aldrichから得ることができる。
本開示での使用に適した例示的なクエンチャー色素化合物は、単一分子または分子色素を含むことができる。適切なクエンチャー色素には、例えば、モレキュラープローブからのDABCYLおよびQSYシリーズ(www.probes.com)、Amersham BiosciencesからのDark Cy-dyes(www.amershambiosciences.com)、Epoch BiosciencesからのEclipse Dark Quencher dyes(www.epochbio.com)、Biosearch TechnologiesからのBlack Hole Quencher dyes(www.biosearchtech.com)、DYQ-dyes(www.dyomics.com)、Berry&AssociatesからのBlack Berry Quencher(www.berryassoc.com)、AnaSpec, Inc.からのQXLクエンチャーおよびOswel(www.oswel.com)からのElleQuencher)))が含まれる。その他のクエンチャーには、メチルレッド、アイオワ・ブラックFQ、アイオワ・ブラックRQ(Integrated DNA Technologies)、IRDye QC-1(Licor)およびSi-ローダミン系NIR暗クエンチャー(Mycohin et al., J. Am. Chem. Soc. 2015, 137, 14, 4759-4765)がある。
蛍光部分および消光色素は、ペプチド切断前に、任意の蛍光シグナルの適切な消光を確保するために、ペプチドに結合したときに十分に近接している必要がある。ここに示すように、ヘキサペプチドを使用し、蛍光部分および消光部分をペプチドの両端に結合すると、十分な消光が観察される。当業者は、より長いペプチドの消光能力、並びに蛍光部分および/または消光部分がペプチド末端に結合できるかどうか、または蛍光部分および/または消光部分がペプチドの内部基を介して連結または結合しなければならないかどうか、を容易に試験することができる。
一実施形態では、ペプチド配列は、以下の配列を含むかまたは配列からなる:
I E P D X1 X2、上記に定義されたようにX1およびX2は定義される。
一実施形態では、X1はA、S、またはWであり、および/またはX2はG、またはLである。
一実施形態では、ペプチドは、以下からなる群から選択される。
I E P D A G; I E P D S G; I E P D S L; I E P D W L; I E P D W G; I E P D A L; I E F D A L.
本開示のプローブが検出できるグランザイムBの量は10nM未満が好ましく、1nM未満、500pM未満、250pM未満、100pM未満、または50pM未満が好ましい。
本開示のプローブは、迅速な反応性を示すことが望ましい。この文脈において、迅速な反応性は、グランザイムBを用いてペプチドを短時間で切断する能力を意味してもよい。一実施形態において、これは、2時間以内などの数時間でペプチドを何パーセント切断できるかの能力である。本明細書に記載された1つの試験において、採用された試験は、2時間でペプチドの何パーセントが切断されたかを確認することであった。いくつかの実施形態では、この試験に従って、70%以上の切断を示すペプチドが望ましく、少なくとも75%または80%の切断を示すペプチドが望ましい。
本明細書に記載されるようなプローブは、溶液中に提供されてもよく、または、マイクロタイタープレートのウェル、マイクロ流体チャネルの表面、横流システム内の表面、または既知の分析物検出アッセイで使用される他の適切な表面のような基板に結合されてもよい。プローブはまた、体液または排泄物、細胞サンプル、または生検内で遊離しているグランザイムB、並びに本明細書に記載されるようなグランザイムB特異的結合剤の使用によって最初に捕捉されたグランザイムBと接触されてもよい。
グランザイムB介在性細胞毒性は、細胞毒性Tリンパ球(CTL)およびナチュラルキラー(NK)細胞が、病原体感染細胞(COVID-19などのウイルス病原体を含む)、形質転換癌細胞、IBDに関連する上皮細胞などの上皮細胞、および腎臓、肝臓または肺移植などの移植拒絶事象における非自己細胞を排除する主要なメカニズムである。
したがって、本開示のプローブは、Tおよび/またはNK細胞の細胞毒性活性のような免疫介在性細胞死を、異常または望ましくない細胞で検出する際に応用できる。異常または望ましくない細胞は、異常に増殖している細胞、例えば、悪性(すなわち、がん)または非悪性腫瘍細胞であってもよく、グランザイムBは、CD4+T細胞、肥満細胞、活性化マクロファージ、好中球、好塩基球、樹状細胞、制御性T細胞、平滑筋細胞、軟骨細胞、ケラチノサイト、II型肺細胞、セルトリ細胞、一次精母細胞、顆粒膜細胞、合胞体栄養芽細胞と同様に、腸上皮細胞、ウイルスまたは細菌感染細胞にも見出される。
グランザイムBの活性は細胞外でも検出できる。GzmBは健常者(約20~40pg/mL)の血清中に存在し、例えばHIV、Epstein Barrウイルス、関節炎および炎症性腸疾患(IBD)患者の血清中で増加している。GzmBは関節リウマチ患者の滑液、多発性硬化症患者の脳脊髄液およびラスムッセン脳炎患者にも見出される。例えば、COPD患者、および肺炎症または肺サルコイドーシスに罹患している患者の気管支肺胞洗浄にも見出される。GzmBは急性移植拒絶にも関連する。
したがって、1つの教示では、上述のように、サンプルおよび/または体液中の細胞中のグランザイムBのレベル、例えば異常なレベル、を検出する際に、本明細書に記載されているようなプローブの使用が提供される。適切なサンプルは、組織または生検サンプルを含むことができる。体液は、任意の適切な体液脳脊髄液(CSF)、全血、血清、血漿、細胞質液、尿、糞便、胃液、消化液、唾液、鼻または他の気道液、膣液または精液を含むことができ、最も典型的には、生物学的体液は、血液、血漿または血清である。典型的には、サンプルは、任意の適切な動物、最も典型的にはヒトのような哺乳類から得られる。一実施形態では、検出される疾患/病態はIBDであり、サンプルは便、または血液(例えば血清または血漿)サンプルである。一実施形態では、病態は急性移植拒絶であり、試料は尿(腎臓用)、血液(血清または血漿)、または洗浄(肺用)試料である。異常レベルは、グランザイムBのレベルが正常またはベースラインレベルに対して実質的に増加または減少(または同じ)しているかどうかを決定するために、非疾患細胞または前述の同定された疾患または病態に罹患していない被験者からの体液から得られる、正常またはベースラインレベルのグランザイムBと比較して、識別されうると理解される。増加または減少レベルは、正常またはベースラインレベルに対して少なくとも10%、20%、30%、50%、100%、200%またはそれ以上の差であることを理解されたい。
したがって、一実施形態では、便サンプルの一部を含む上清を提供するために、便サンプルが処理される。上清は、例えば、便サンプルの一部に存在する任意のグランザイムBを結合させるために、表面に付着または接着され得る抗グランザイムB捕捉抗体のような適切なグランザイムB結合剤と接触される。その後、本明細書で定義されるように、ペプチドは、抗グランザイムB抗体に結合した、便サンプルの一部に存在する任意のグランザイムBを検出し、必要に応じて定量するために接触される。
他の結合剤は、グランザイムBに特異的に結合することができる抗体断片、ナノボディ、アプタマー、およびグランザイムBに特異的に結合することができる受容体その他のタンパク質を含む。
表面は、スライド、マイクロプレート、流体デバイスの壁などの表面のような任意の適切な表面であってもよいが、結合剤が接着、付着、または他の方法で固定されている、例えばビーズまたはマイクロまたはナノ粒子の表面であってもよい。
細胞は、例えば組織生検または検体から得られるような単一の細胞集団または多様な細胞集団であってもよい。
さらなる教示において、細胞または体液中のグランザイムBを検出する方法が提供され、その方法は、本明細書に記載のプローブを、被験体から単離された細胞または体液試料と、in situまたはin vitroで接触させ、ペプチドの切断および検出可能なシグナル部分の放出によりグランザイムBのレベルを検出することを含む。
本発明のプローブは、さらに、in vitro、ex vivoまたはin vivoで、細胞集団に対する薬剤の任意の効果(治療効果または細胞毒性効果など)を検出する方法において使用することができる。
[詳細な説明]
本開示は、以下に示す図を参照して、例によってさらに説明される。
図1.ヘキサペプチドH5は、特異な結合ポケットにアクセスすることにより、GzmBに対して高い反応性と選択性を達成している。a)蛍光性ヘキサペプチドH5並びに無傷および開裂プローブの蛍光量子収率。b)hGzmBとインキュベーションした際のテトラおよびヘキサペプチド配列、蛍光増加(Fluorescence increase)およびt50値。平均値±SEM(n=3)としてのデータ。c)37℃でhGzmB(20nM)とインキュベートした後のH5(25μM、ダークグレー、510mm)およびAc-IEPD-AMC(25μM、ライトグレー、450nm)の経時蛍光(25μM、黒、510nm)。平均値±SEM(n=5)としてのデータ。d)プロテアーゼ(20nM)と37℃で60分間インキュベートした後のペプチドH5(25μM)の蛍光変化。平均値±SEM(n=3)としてのデータ。e)基質濃度の機能としてのhGzmB(20nM)によるペプチドH5の切断速度(n=3)。f)MDシミュレーションに基づく、T1におけるIEPD-Dabcyl(左)とH5におけるIEPD-Dabcyl(右)の代表的結合様式。g)ペプチドH5のP1’とP2’部位における詳細な相互作用と3つの独立な実験に基づくオーバーレイ構造。
図2.プローブH5はCD8+T細胞のGzmB介在性抗癌活性を検出する。a)共培養(co-culture)アッセイの概略手順。b)再活性化前後のCD8+T細胞の代表的顕微鏡画像および抗GzmB(白色矢印は蛍光シグナルを示す)およびHoechst33342(灰色で描かれた核の輪郭)による染色(n=3)。スケールバー:10μm。c)活性化(IL-2、24時間)または不活性(IL-2、2時間)CD8+T細胞との共培養、またはスタウロスポリン(1μm、1時間)存在下での単独培養におけるE0771細胞のフローサイトメトリー():生存(白色)、H5で染色(灰色)、アポトーシス(黒色)。(n=3)。d)活性化T細胞(左)、非活性化T細胞(中央)または活性化T細胞+Ac-IEPD-CHO(右)との共培養下でH5()で染色されたmKate発現E0771癌細胞(核は大きな円形のシグナルを示す)の共焦点顕微鏡画像。黒い矢印はT細胞を、白い矢印はH5で染色された細胞内GzmB班点を強調する。スケールバー:10μm。e)H5(t=2時間後に見えるようになる)の存在下でOVA-EL4癌細胞を殺すOT-I CD8+T細胞(文字Tで強調)の経時的蛍光顕微鏡画像。スケールバー:7μm。f)e(n=3)の実験からのOVA-EL4癌細胞のフローサイトメトリー分析。両側t検定によるP値。
図3.プローブH5は扁平上皮癌マウスモデルにおいてT細胞介在性腫瘍退縮を検出する。a)CD8+T細胞介在性腫瘍退縮モデルの実験的タイムライン。b)野生型SCCおよびSCC FAK(-/-)腫瘍で見出された細胞集団。c-f)SCCおよびSCC FAK(-/-)細胞をFVB免疫応答マウス(1×10細胞/マウス)に注射し、腫瘍を14日目に採取した。生/死染色による細胞生存率(Percentage of live cells)のための野生型SCCおよびSCC FAK(-/-)腫瘍のフローサイトメトリー(c);抗CD8-PEによるCD8+T細胞浸潤(d);H5染色によるGzmB陽性SCC癌細胞の割合(e);SCC癌細胞内のH5の蛍光強度(525 nm)(f)。(n=4)。SCC FAK(-/-)腫瘍(g)および野生型SCC腫瘍(h)(ex vivoで5μM化合物H5で染色された)をフローサイトメトリーで分析し、異なる細胞集団におけるプローブの分布(左)およびH5染色の蛍光強度(右)を決定するための疑似着色二次元tSNE(t分布確率的近傍埋込み)プロットとして提示した(n=4)。i)癌細胞注入後14日目に採取したSCC7.1およびSCC7.1 FAK -/-腫瘍の代表的な画像。j)組織分散と蛋白質抽出後の両腫瘍の、ELISAによるGzmBレベルの定量。GzmBレベルはBCA法で測定した総蛋白質量で標準化した。データは平均値±SD(n=4)で示した。P値は両側t検定から得た。j)複数の細胞サブセットにおける蛍光発光。データは平均値±SEM(2つの独立した実験)で示した。
図4.プローブH5は、表現型スクリーニングにおける免疫調節作用およびヒト肺癌生検におけるT細胞による細胞傷害活性を検出する。a)表現型スクリーニングの実験プロトコル。b)低分子(C1-C44)存在下でE0771細胞とIL-2活性化CD8+T細胞を共培養させた後のプローブH5の蛍光強度。活性化CD8+T細胞の陽性対照として高濃度のIL-2を用い、陰性対照としてラパマイシンを用いた。プローブH5を1時間インキュベートし、蛍光画像を得た(n≧8)。陽性対照以上のH5蛍光シグナルを示す薬物の化学構造。c)肺腺癌患者から採取した生検における健常(左)と癌(右)領域の代表的なH&E顕微鏡画像。d)プローブH5によるインキュベーション後の癌患者からのペア(健常対癌)生検におけるEpCAM+H5+細胞のサイトメトリー分析。(n=3)。
図5.hGzmBとの反応前後のプローブH5のHPLCトレース。段階的に濃度を増加させたhGzmBとの反応前後のプローブH5のHPLCクロマトグラムおよび質量分析。Mcalc。(無傷プローブ):1246.6[M+Na];Mcalc。(切断プローブ):747.2[M+H]。
図6.ヘキサペプチドH5の、酵素選択性および検出限界の比較。a)hGzmB(薄い灰色のバー)、ヒトカスパーゼ-3(濃い灰色のバー)およびhGzmA(白いバー)(n=3)とのインキュベーション後の蛍光性ペプチドH5、T1およびAc-IEPD-AMCの蛍光応答。b)37℃での、段階的に増加させたhGzmB(0、9.6、32、96,320,960、3,200、9,600、32,000および96,000pg mL-1)との反応後のヘキサペプチドH5の蛍光発光(530nm)によるhGzmBの検出限界。データは平均値±SDで示された(それぞれ少なくとも3回の反復を伴う2つの独立した実験)。
図7.組換えマウスGzmBに対するヘキサペプチドH5およびH5mの反応性。マウスカテプシンCで4時間前活性化した後、組換えマウスpro-GzmB(100nM)と37℃で90分間インキュベートした後の蛍光性ペプチドH5およびH5m(いずれも25μM)の蛍光の増加倍率。励起/発光波長:450nm/510nm。データは平均値±SEM(それぞれ3つの別々の反復を含む3つの独立した実験)で示した。
図8.mKate-E0771癌細胞における細胞生存性アッセイ。mKate-E0771細胞を96ウェルプレート(50,000細胞ウェル-1)にまき、表示された濃度のプローブH5と37℃で1時間インキュベートした。細胞生存性は、未処理細胞に対して標準化した値で市販のMTTキット(Invitrogen)を用いて測定した。データは平均値±SEM(それぞれ3回の反復による2つの独立した実験)で示した。
図9.OT-I CD8+T細胞とOVA-EL4癌細胞の共培養。a)CD8+T細胞と癌細胞の間の免疫学的シナプスの模式図。細胞がアポトーシスする前のペプチドH5(緑色)と、グランザイムBがアポトーシスを開始した後の死細胞マーカーSytox Blue(青色)の蛍光染色を強調している。b)時間0と、矢印で強調した異なる時点(hGzmB 1nM増加)でhGzmBを急激に増加させた際のプローブH5(1nM)の縦方向蛍光放出(n=3)。
図10.プローブH5は、IL-2およびAZD5363により誘導された癌細胞のCD8+T細胞介在性細胞死を検出する。a)E0771細胞単独(50,000細胞ウェル-1)またはCD8+T細胞との共培養(200,000細胞ウェル-1)およびAZD5363(1μM)処理におけるプローブH5染色の代表的ヒストグラム。励起/発光波長:488nm/525nm。b)マウスCD8+T細胞(200,000細胞ウェル-1)との共培養およびIL-2(200U mL-1)およびAZD5363(1μM)との二重処理後のE0771細胞(50,000細胞ウェル-1)の代表的なフローサイトメトリー等高線プロット()。共培養した細胞はプローブH5(5μM)およびAF647-アネキシンV(10nM)で染色した。励起/発光波長:488nm/525nm(プローブH5)、633/670nm(AF647-アネキシンV)。c)a)に記載した実験条件下でプローブH5とAF647-アネキシンVで二重染色したE0771細胞の割合。データは平均値±SEM(n=3)で示した。
図11.A)尿中で組換えヒトグランザイムB(15nM)存在下、37℃で1.5時間インキュベートした後のプローブH5またはR7(25μM、黒丸、黒丸四角)、あるいは尿中でグランザイムBなしでインキュベートしたプローブH5またはR7(H5:三角形、R7:逆三角形)の蛍光応答(n=3)。ヒト尿中で、グランザイムB存在下(下)または非存在下(上)で37℃で3時間インキュベートした後のR7(パネルB)およびH5(パネルC)を示すHPLCクロマトグラム。D)プローブH5と37℃で3時間インキュベートした後のヒト尿中にスパイクされたヒト組換えグランザイムBの検出限界。E)プローブR7と37℃で3時間インキュベートした後のヒト尿中にスパイクされたヒト組換えグランザイムBの検出限界。
図12.自社開発したグランザイムB抗体捕捉アッセイの概略図。励起/発光H5:450/510nm,R7:620/660nm。
図13.プローブH5(A)またはR7(B)(いずれも25μM)と、健常者の便(Stool)(n=46)検体およびIBD患者の便(n=48)検体を、図12に概説した方法を用いて37℃で18時間インキュベートした後の、グランザイムB検量線の補間により測定した群当たりのグランザイムBの平均濃度。H5λexc/emi:450/510nm。R7λexc/emi:620/660nm。非対t検定で算出した有意差、p値をグラフに示す。カルプロテクチン(Calprotectin)レベルが500ug/mg試料より高いと高カルプロテクチンとして分類される。カルプロテクチンレベルが100ug/mg未満だと低カルプロテクチンとして分類される。
図14.A)ヒト組換えグランザイムB(20nM)と37℃で2時間インキュベートしたプローブR1-10(25μM)の蛍光倍率変化(n=6)、エラーバーはSEM。B)グランザイムBと37℃で2時間インキュベートする前(上)と後(下)のプローブR7の代表的なHPLCスペクトル。C)あらかじめ市販の阻害剤(Ac-IEPD-CHO、Enzo life sciences)で阻害しておいたグランザイムBを含む、選択された酵素(Casp-3:カスパーゼ-3、GzmA:グランザイムA、GzmB=グランザイムB)とのインキュベーション後のプローブR7の蛍光倍率変化(n=3)。エラーバーはSEM。D)グランザイムB存在下(灰色)あるいは非存在下(黒)でのインキュベーション後のR7(25μM)の蛍光動態および関連するkcat/K値。(n=3)。プローブ励起:620nm,プローブ発光:660nm。
[方法]
[化学合成]
C末端官能化の手順
CHCl:DMF(1:1,1mL)中のペプチドフルオロフォア複合体(1eq)の溶液にベンジル(2-アミノエチル)カルバメート(2eq)、Oxyma(2.5eq)およびPyOxim(2.5eq)を加えた。反応混合物を-20℃で5分間撹拌した。次にDIPEA(5eq)を添加し、撹拌を-20℃で3時間維持した。反応物を室温まで加温した。溶媒を減圧下で除去した。残渣を半分取HPLCで精製し、精製ペプチドを得た。
水素化の一般的手順
蛍光ペプチド(1eq)およびPd/C(10%)(0.5eq)またはPd(OH)/C(20%)(0.5eq)を、あらかじめNでパージしたMeOH(5mL)中の2%ギ酸に溶解した。反応容器をNで洗浄し、排気して、Hガスで満たした。反応混合物をHガス下で室温で攪拌した。大気圧下で2時間攪拌した。その後、反応混合物をセライトで濾過して触媒を除去し、濾液を減圧下で蒸発させて脱保護ペプチドを単離した。
ダブシルカップリングの一般的手順
CHCl:DMF(1:1,1mL)中のダブシル-OSu(1.2eq)の溶液にペプチド(1eq)およびDIPEA(2eq)を添加した。撹拌は室温で24時間維持した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をMeOHに溶解し、セミ分取HPLCで精製して最終ペプチドを得た。
(2-アミノエチル)カルバミン酸ベンジル
Figure 2024527471000002
CHCl(10mL)中のクロロギ酸ベンジル(428μL、3mmol)をCHCl(40mL)中の1,2-ジアミノエタン(2mL、30mmol)溶液に0℃で1時間かけて滴加した。反応物を0℃で1.5時間攪拌した後、室温で一晩攪拌した。TLC分析(CHCl:MeOH,7:3)は反応が完了したことを示した。反応で生成した沈殿物を濾過により除去し、次いで濾液を塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、溶媒を減圧下で除去して非晶質黄色固体(570mg,収率98%)として化合物を得た。粗生成物を更なる精製なしで次の工程で使用した。
H NMR(500MHz、CDOD)δ7.44-7.25(m,5H)、5.09(s,2H)、3.22(t,J=6.2Hz,2H)、2.75(t,J=6.2Hz,2H)。
13C NMR(126MHz、CDOD)δ157.7,136.9,128.0,127.5,127.4,66.0,42.6,40.8。
MS(ESI+、HO/MeCN):[M+H]calcd。C1015の場合:195.1;found:195.3。
すべてのスペクトル特性は文献による。
2,5-ジオキソピロリジン-1-イル4-((4-(ジメチルアミノ)フェニル)ジアゼニル)安息香酸(ダブシル-OSU)
Figure 2024527471000003
N-ヒドロキシスクシンイミド(85mg,0.74mmol)、4-((4-(ジメチルアミノ)フェニル)ジアゼニル)-安息香酸(100mg、0.37mmol)およびEDC HCl(142mg,0.74mmol)をCHCl:DMF(1:1,10mL)の混合物に溶解し、室温で16時間撹拌した。次いで溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を得た。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH,99:1)により精製し、化合物をオレンジ色固体(100mg,収率88%)として得た。
H NMR(500 MHz,DMSO-d)δ8.25-8.20(d,J=8.6Hz,2H),7.98-7.93(d,J=8.7Hz,2H),7.89-7.84(d,J=8.7Hz,2H),6.90-6.85(d,J=8.8Hz2H),3.11(s,6H),2.91(s,4H).
13C NMR(126MHz,DMSO-d)δ170.8,161.9,157.0,153.9,143.2,131.9,126.2,124.4,122.9,112.1,26.0.
MS(ESI+,HO/MeCN):[M+H]calcd for C1919:366.1;found:366.0.
プローブH5
Figure 2024527471000004
H NMR(500MHz,MeOD)δ7.98(d,J=8.5Hz,2H),7.86(dd,J=10.2,8.8Hz,4H),7.42(s,1H),7.01(d,J=4.1Hz,1H),6.86(d,J=9.3Hz,2H),6.33(d,J=4.0Hz,1H),6.22(s,1H),4.68(dd,J=8.7,5.4Hz,1H),4.55(t,J=6.4Hz,1H),4.39-4.29(m,2H),4.25-4.13(m,2H),3.93-3.83(m,1H),3.81-3.74(m,1H),3.65-3.53(m,3H),3.47(t,J=5.9Hz,2H),3.24(t,J=7.6Hz,2H),3.01(s,1H),2.88(s,1H),2.83(d,J=6.4Hz,2H),2.77-2.65(m,3H),2.52(s,3H),2.46(t,J=7.1Hz,2H),2.29(s,3H),2.22-2.15(m,2H),2.11-1.99(m,2H),1.98-1.90(m,3H),1.85-1.62(m,5H),1.52-1.47(m,2H),1.45(d,J=7.3Hz,3H),1.38(d,J=7.2Hz,1H),1.35-1.30(m,3H),1.15(m,2H),1.00-0.74(m,12H).
13C NMR(126MHz,MeOD)δ174.1,173.9,173.2,172.5,168.4,157.0,155.0,153.2,143.4,134.3,133.5,128.2,128.1,125.0,124.3,121.5,119.9,116.4,111.2,61.2,57.8,57.6,52.3,50.9,50.7,39.7,39.2,39.0,38.7,38.636.5,34.2,29.3,29.0,28.9,24.8,24.7,24.6,24.1,23.9,22.1,20.1,15.9,14.5,13.5,9.9,9.7.
HRMS:[M+Na]calcd. for C6080BF13NaO12:1246.5989;found:1246.6013.
計算方法
PDB id 1IAUを持つGzmBの結晶構造からシミュレーションシステムを構築した。プローブT1とH5はMaestroを用いて構築され、IEPD部分のペプチド骨格を、立体衝突を避けるために手動で調整された側鎖とDabcylを共結晶化阻害剤(Ac-IEPD-CHO)のそれに重畳した。蛋白質とプローブのペプチドフラグメントの原子型は、FF14SB力場を用いて割り当てられた。リンカーとDabcylクエンチャーは、GAFF2原子型によってパラメータ化された。Cys対49-65,142-209および173-208の間に3つのジスルフィド結合を構築した。蛋白質およびプローブからなる各系を、12Åの緩衝領域を有する切断八面体TIP3P水ボックス中で溶媒和した。系を中和するために必要な対イオンが添加され、共役勾配アルゴリズムの6,500回反復を伴う最急降下の3,500回反復を用いて最小化段階が行われた。生産の前に、各系(すなわち、Gmzb-T1およびGzmB-H5)に対して3つの独立した複製を準備し、各複製を1fsのタイムステップを用いて標準アンサンブルで150ps(50K~150K、150K~250K、250K~298K)の3段階で加熱した。続いて、密度を2fsのタイムステップを用いてNPTアンサンブルで500psに平衡化した。Langevinサーモスタット(衝突周波数3ps-1)とMontecarloバロスタットは温度と圧力を維持するために用いた。加熱と平衡段階を通して、Ser283とプローブ中のAsp残基のカルボニルとの間の距離は平坦底拘束(k=5kcalmol-1-2)を用いて4.0Å以下に維持された。個々の複製のための生産実行は、2fs時間ステップを用いたNPTアンサンブルにおける200nsの長さのシミュレーションから成った。
組換え酵素を用いた蛍光アッセイ。GzmB、pro-GzmB、GzmAおよびHNEに対しては緩衝液-1(50mMトリス、100mMNaCl、pH7.4)中、カスパーゼおよび他の酵素に対しては緩衝液-2(25mMHEPES、0.1%CHAPS、10mMDTT、pH7.5)中において、酵素を用いた蛍光アッセイを行った。プローブ(25μM)を384ウェルプレート中の酵素(20nMまたは指示濃度)に添加し、それらの蛍光発光をSynergyH1ハイブリッドリーダー(BioTek)を用いて37℃で450nm(AMCに対して)または510nm(BODIPYに対して)で記録した。Ac-IEPD-CHO(50μM)を用いた実験では、阻害剤をプローブ添加する前にGzmBと1時間プレインキュベートした。
一次細胞分離と細胞培養。核に局在化した赤色蛍光蛋白質mKateを発現するE0771癌細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)、抗生物質(100U mL-1ペニシリンと100mgmL-1ストレプトマイシン)および2mM L-グルタミンを添加したDulbecco’s Modified Eagle Medium(DMEM)を用いて、5%CO2、37℃の加湿雰囲気中で培養した。細胞は90%のコンフルエンシーに達した時点でT-25細胞培養フラスコに定期的に継代した。初代CD8+T細胞(primary CD8+T cell)を、組織均質化、赤血球溶血および磁気ビーズ(CD8マイクロビーズキット)による精製によりマウス脾臓から単離した。
計算研究および分子動力学シミュレーション。モデルは、PDB id 1lAUを用いてMaestroおよびAMBER16で構築した。力場ff14SB,GAFF2およびTIP3Pを用いて溶媒和系をパラメータ化した。Dabcyl中のアゾベンゼン部分に対するねじりパラメータはLuque研究グループによって提供された。各系に対して、Langevinサーモスタット(衝突周波数3ps-1)を用いて298Kおよび1atmで200nsの条件で、3つの反復を実行し、モンテカルロバロスタットをPMEMDに実装した
フローサイトメトリー。E0771(5×10細胞/ウェル)をIL-2(1,000U mL-1)と共にGeltrex被覆6ウェルプレート上にまいて、あらかじめ抗マウスCD3e(2μg mL-1)、抗マウスCD28(5μL mL-1)およびIL-2(80U mL-1)を添加したE-DMEM中で2日間培養したマウスCD8+T細胞(2.5×10細胞/ウェル)のいずれかと共培養した。スタウロスポリン(1μM)による処理を1時間行った。フローサイトメトリー調製には、トリプシン-EDTA(0.05%)処理、洗浄、PBS中での再懸濁およびプローブH5(5μM)による37℃での1時間のインキュベーションを含んだ。その後、FlowJoで分析したデータを用いた5L LSRでのフローサイトメトリー分析の前に、細胞を2回洗浄し、アネキシンV-AF647(10nM)でインキュベートした。励起/発光波長:H5(488nm、525±50nm)、mKate(561nm、635±15nm)、アネキシンV-AF647(640nm、670±14nm)。
生細胞蛍光共焦点顕微鏡法。IL-2(80U mL-1)、抗マウスCD3e(2μg mL-1)および抗マウスCD28(5μL mL-1)を含む濃縮E-DMEMフェノールレッド非含有培地において、E0771(1.5×10細胞/ウェル)を、新たに単離したマウスCD8+T細胞(1.2×10細胞/ウェル)と共にGeltrex被覆8チャンバーガラススライド上にまいた。48時間後、IL-2(1,000U mL-1)の添加および3時間のインキュベーションによりT細胞の再活性化を行った。プローブH5を25μMで、Ac-IEPD-CHOを50μMで使用し、1時間のプレインキュベーションを行った。H5を37℃で1時間処理した後、細胞を培地で洗浄し、ライカTCS SP8蛍光共焦点顕微鏡下で40倍油浸対物レンズで画像を取得した。励起波長:488nm(H5)、561nm(mKate)。画像はImageJで解析した。
前臨床癌モデル。SCC腫瘍を確立し、先述のようにフローサイトメトリーで染色した。簡単に言うと、1×10SCC癌細胞をFVB/Nマウスに皮下注射し、移植後14日で屠殺し、シングルセル懸濁液を生成するために腫瘍を分離した。細胞を抗体およびプローブH5で室温で30分間染色した。フローサイトメトリー(BD Fortessa)により分析した。データ分析はFlowJoソフトウェアを用いて行った。
薬物スクリーニング。E0771(750細胞/ウェル)および新たに単離したマウスCD8+T細胞(6,000細胞/ウェル)を上記のように384ウェルプレートにプレートした。37℃で2日間共培養した後、IL-2単独(100または250U mL-1)またはIL-2(100U mL-1)と薬物(表3)を併用してさらに3時間インキュベートした。H5(20μM)およびHoechst33342(1μM)を37℃で1時間添加し、PBSで洗浄した後、培地としてKRB(10%FBS)緩衝液を用いてImageXpressTM XLS(Molecular Devices)下で画像を取得した。蛍光画像(4サイト/ウェル)を405nm(Hoechst)および488nm(H5)励起波長を用いて40×対物レンズ下で取得し、データをカスタムモジュールエディタを用いてMetaXpressソフトウェアで分析した。簡単に言えば、擬似細胞領域を作成するために核をシードとして用い、グランザイムB陽性点をトップハットフィルタ(ピクセルサイズ:10、円シェイプ)とそれに続く平均フィルタ(3×3ピクセル)を用いて検出した。
ヒト生検。組織サンプルは外科的切除を受けている未治療患者から採取した。参加者は書面によるインフォームドコンセントを提供し、研究はNHS Lothian RECによって承認され、NHS Lothian SAHSCバイオリソース(記録番号:15/ES/0094)によって進められた。新鮮なサンプルをミンチにし、1mg/mLのコラゲナーゼIV,1mg mL-1のDNase1,50U mL-1のヒアルロニダーゼが入ったDMEM中で37℃で1時間撹拌し、100および70μmのフィルターを通過させた後、赤血球溶解を行った。顕微鏡検査のために、非小細胞肺癌および対になった非癌性肺のホルマリン固定パラフィン包埋スライドを、脱パラフィン化し、再水和し、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、続いて脱水し、Zeiss AxioScan顕微鏡で画像を取得した。
尿試料中の蛍光分析
グランザイムB緩衝液(50mMトリス、100mMNaCl、pH7.0)中のプローブ(H5またはR7)(25μM、50μM)を、一定範囲のグランザイムB濃度(20,000pg mL-1~78pg mL-1)を含む、またはグランザイムBを含まない(対照)健常ドナーからの尿試料(50μL)に直接添加した。溶液を37℃でインキュベートし、蛍光応答を経時的にモニターした(λexcem:450/510nmまたは620/660nm)。蛍光は、シナジーバイオテックH1分光光度計で読み取った。
尿中のグランザイムBによるプローブ切断のHPLC/MS分析
プローブ(H5またはR7)(25μM)をグランザイムB緩衝液中のヒト組換えグランザイムB(15nM)と37℃で1.5時間インキュベートした後、試料をMeOHで希釈し、遠心分離し、上清をHPLC/MSに注入した。試料はHO(A)中の0.1%HCOOH、およびMeCN(B)中の0.1%HCOOHで溶出され、溶出は5分間かけて0から100%Bの勾配をとり、さらに3分間のアイソクラティック時間をかけ、流速1.5mL min-1で行われた。反応は220-700nmでモニターされ、切断されたプローブのピーク面積をMassLynxソフトウェア上の無傷プローブと比較することにより、切断されたパーセンテージが決定された。
便サンプル中の蛍光分析
高結合マイクロプレート(Merck)をコーティング緩衝液(NaOAc緩衝液、pH5.5)中で50μL(2μg/ml)の抗GzmB抗体(ヒト、QuickZymeバイオサイエンス)で被覆し、加湿チャンバー中で4℃で一晩インキュベートした。プレートは洗浄緩衝液(0.01MPBS、0.05%(v/v)Tween20、pH7.5)で4回洗浄され、抗体は96ウェルプレートに100μLのChonblockが室温で1時間添加されることでブロックされた。次にプレートを洗浄緩衝液(×4)で洗浄し、Chonblock(1:1)で希釈した臨床試料を同じくChonblock(1:1)で希釈したグランザイムB標準と共にプレート(50μL)に添加した。プレートを洗浄緩衝液(×4)で洗浄する前に、試料を室温で2時間インキュベートした。最後に、プローブH5またはR7(25μM)を各ウェル(全体積50μL)に添加し、蛍光強度をSynergy H1 Biotekマイクロプレートリーダーを用いて0時間、2時間、4時間、18および24時間でモニターした。ゲイン60の設定のモノクロメータを用いてH5:λex=470nmおよびλex=510nmとし、ゲイン90設定のモノクロメータを用いてR7:λex=620nmおよびλex=660nmとした。
本研究では、GzmB基質を合理的に設計し、酵素の活性部位に最適に適合する新しいヘキサペプチド配列を同定し、高特異性GzmBプローブとしての代替の結合態様を示唆した。FRET構築物へのヘキサペプチドの最適化は、IEPDテトラペプチドのkcat/K比よりも数桁優れたプローブH5をもたらした。H5の高速性と選択性は、免疫介在性腫瘍退縮のマウスモデルにおけるT細胞の抗癌活性のリアルタイム測定を可能にした。我々はまた、H5が癌細胞に対してCD8+T細胞を再活性化することができる新薬を同定するために画像ベースのスクリーニングで使用できることを示した。最後に、我々はヒト腫瘍におけるin situ T細胞毒性活性を検出するために、癌患者からの生検においてプローブH5を最適化した。
グランザイムBのための高反応性蛍光プローブの設計
テトラペプチドIEPDは、ヒトGzmB(hGzmB)を標的とする蛍光基質と同様に、共有結合性阻害剤の調合剤として報告されている主要な足場材料である8-10。最初に、臨床アッセイに適用可能な酵素濃度に対する市販のAc-IEPD-AMC(すなわち、hGzmBとの反応により7-アミノ-4-メチルクマリンを放出する基質)の反応性を評価した。Ac-IEPD-AMCの遅い酵素切断速度(すなわち、20nM酵素2時間の反応で、1%未満の開裂、100nMで24時間の反応で、10%の開裂)と25nMの検出限界(LoD)を観察したが、これは臨床試料で見出されたGzmBのpM濃度とはかけ離れていた11。これらの結果を考慮して、IEPDベースのForster共鳴エネルギー移動(FRET)プローブがhGzmBに対する反応性の増加を示すかどうかを検討した。ドナー-アクセプタ対としてのフルオロフォアとクエンチャーを、IEPD配列の側面に配置することによりFRET基質を合成した。Ac-IEPD-AMCとは異なり、フルオロフォアをN末端に置き、クエンチャーを開裂部位の隣に置いたので、その電子吸引特性は酵素開裂に有利であった。フルオロフォア、スペーサーおよびクエンチャーの異なる組合せを合成し、テトラペプチドT1(フルオロフォアとしてBODIPY-FL、クエンチャーとしてエチレンジアミン-ダブシルを備える)を最も反応性の高い基質として同定した。それでも、hGzmBに対するT1の反応性は低く(すなわち、20nM酵素で2時間の反応で<5%開裂、100nM24時間の反応で15%開裂)、LoDは17nMであった。
したがって、hGzmBとより速く、より特異的に反応できる配列を同定することにより、FRET基質を最適化することにした。そこで、IEPD配列がP1’とP2’の位置に小さなアミノ酸で拡張されたFRETヘキサペプチドを調製した(図1a)。ヘキサペプチドH1(IEPDAG)とH2(IEPDSG)はテトラペプチドT1より著しく速い変換(例えば、それぞれ75%および80%の変換、表2)を示したが、20nM hGzmBの2時間の処理では変換は不完全であった。ペプチドH2はわずかに高い反応性を示したので、P1’位置にセリンを保持し、P2’位置により疎水性ロイシンを有するペプチドH3(IEPDSL)を調製した。この変化は反応性を改善しなかったので(例えば、80%変換、表2)、P1’およびP2’位置における代替を探索した。ヘキサペプチドH4は83%の変換を達成したが、ペプチドH5は最も高い反応性を示し、30分未満で速く完全な開裂を示した(表2および図5)。興味深いことに、この結果は、より小さいアミノ酸(すなわち、トリプトファンの代わりにアラニン)が酵素により良好に許容されることを示唆した。この観察を確認するために、H4とH5配列のネガティブコントロールペプチドを合成し、結合を阻害するためにP1’またはP2’にアルギニンを含めた。得られたヘキサペプチドH6(IEPDWR)とH7(IEPDRL)は著しく低い反応性(すなわち、それぞれ40%および60%の変換、表2)を示したが、テトラペプチドT1よりもはるかに高い反応性を示した。これらの結果は、FRETヘキサペプチド構築物が短いテトラペプチドよりもはるかに速くhGzmBと反応することを示唆する。溶液と固相合成を用いてすべてのペプチドを調整し(以下に記述するように)、95%以上の純度で調製HPLCによりそれらを単離し、高分解能質量分析によりそれらの同一性を確認した。
全てのペプチド複合体は、2-クロロトリチルクロリドポリスチレン樹脂上でFmoc/Bu戦略を用い固相ペプチド合成を用いて合成した。適切なFmoc保護アミノ酸(1.4eq)およびDIPEA(10eq)を用いて、DCM中に室温で1時間、樹脂装填を行った。その後、残りの2-クロロトリチル基をMeOH(0.8μL/mg樹脂)でキャップした。Fmoc除去は、3×5分サイクル下でアスパルチミド形成を最小化するために、ピペリジン(DMF中20%)とOxyma(1.0M)で行った。アミノ酸は、過剰のFmoc保護アミノ酸(4eq)、COMU(4eq)、Oxyma(4eq)、およびDIPEA(8eq)を用いて、DMF中で室温で1.5時間結合された。結合の完了は、Kaiser試験(およびプロリン結合後のクロラニル試験)によってモニターした。アスパラギン酸とグルタミン酸の側鎖はOBzl基で保護され、アルギニン側鎖はNO基で保護されたが、これは、これらが酸に不安定なBODIPY-FLフルオロフォアによって許容される軽度Pd触媒水素化下で除去され得るからである。フルオロフォア結合は、DMF中のBODIPY-FL(1.1eq)、COMU(1.15eq)、Oxyma(1.15eq)およびDIPEA(3eq)を用いて固相で室温で1.5時間行った。樹脂開裂は、樹脂をTFA(1% in DCM)で5×1分サイクルで処理することにより行った。次に、組合せ溶液をDCM上に注ぎ、減圧下で蒸発させた。精製は半調製HPLCによって行い、純粋な蛍光ペプチドをCbz保護1,2-ジアミノエタンに結合させた。次いで、NHS媒介カップリングを介してリンカーの末端アミンにクエンチャーであるダブシルを導入することを可能にするため、すべての保護基を除去するための触媒水素化を行った。純度>95%の最終ペプチドを半調製HPLCによって単離した。
Figure 2024527471000005
プローブH5はユニークな結合ポケットにアクセスすることによりヒトGzmBの高度に特異的な基質である。
組換えhGzmBの存在下でそれらの蛍光発光を測定することにより、すべてのヘキサペプチドH1~H7の蛍光発生応答を分析した(図1a)。予想通り、すべてのヘキサペプチドはテトラペプチドT1を上回り、シグナル対バックグラウンド比は12倍(ペプチドH6)から153倍(ペプチドH5)の範囲であった(図1b)。また、最も反応性の高い化合物が50倍の蛍光増加(t50)に達するのに要する時間を測定した。プローブH5は、すべてのペプチドの中で最も速い応答を示し、t50は7分(図1b、1c)であった。また、ヘキサペプチドH5の動力学特性を、以前に報告されたテトラペプチド構築物と比較した。ペプチドH5は、高いμM min-1範囲のVmax値と1.2×10-1-1のkcat/K比(図1e)で著しく高い触媒効率を示し、蛍光テトラペプチドよりも1000倍以上の改善を示した(表1)。これらの結果は、プローブH5の並外れた反応性を確認し、hGzmBに対して6pMという前例のないLoDを示した(図6b)。
また、不活性なプロ-hGzmBおよび他のセリンプロテアーゼ(例、グランザイムA,好中球エラスターゼ)およびアポトーシス中に活性なシステインプロテアーゼ(例えば、カスパーゼ)を含む他の酵素に対する、hGzmBへのペプチドH5の特異性を評価した。プローブH5は、いくつかのIEPDベースのプローブを切断できるカスパーゼ-3(図6)を含む他の酵素(図1d)に対して最小の応答を示した。カスパーゼ-3との交差反応性は、全体的な細胞死とT細胞介在性癌細胞死を区別することを妨げるため、これは免疫療法に対する応答を評価する際の1つの重要な利点を示す。最後に、プローブH5から発生する蛍光がhGzmBとの特異的反応によることをさらに確認するために、不可逆的なGzmB阻害剤Ac-IEPD-CHOの存在下で実験を行ったところ、H5の蛍光応答が劇的に減少した(図1d)。
モデルテトラペプチドT1と新規ヘキサペプチド間の反応性の違いを理解するために、分子動力学(MD)シミュレーションを用いて、hGzmBモデルとの複合体におけるT1とH5の好ましい結合様式を比較した。全てのヘキサペプチドはBODIPY-FLとP1-P4アミノ酸を共有したので、P1’-P2’残基とDabcylクエンチャーの解析に焦点をあてた。MDシミュレーションによってT1とH5が2つの異なるポケットにクエンチャーを収容することが明らかになった。hGmzB-T1シミュレーションでは、Dabcyl部分はループ74-84とループ146-161の間の溝に優先的に結合したが(図1f)、hGmzB-H5シミュレーションでは、クエンチャーはループ74-84とβ-バレル35-114によって描かれた触媒溝の延長線上に優先的に結合した(図1f)。軌跡の目視検査は、残基200-201のバックボーンが、短いテトラペプチドT1が触媒溝に沿ってクエンチャーを収容するのを妨げる、図1fのオレンジで強調された鞍点を形成することを明らかにした。どちらの場合も、Dabcyl部分は柔軟性を維持し、特定の蛋白質残基との長寿命相互作用を形成しない。MDシミュレーションでは、H5の反応性が他のヘキサペプチドよりも高いのは、触媒溝の小さな疎水性ポケットを満たすP1’のアラニン残基と、200~201の鞍点を縛るP2’のロイシン残基の複合効果によることも示唆されている(図1g)。この結合様式は、H5ペプチドの、以下に対する強化された反応性を説明している:1)H4とH6のペプチドは、P1’のトリプトファンが大きすぎてポケットに収まりきらない、2)ペプチドH7は、P1’のアルギニンがこのサブポケットを画定する塩基性残基によって静電的に不利である、3)ペプチドH3は、P1’のセリンが隣接する有効な水素結合ドナーを欠いている、4)H1とH2のペプチドは、P2’のグリシンが小さすぎて200~201の鞍点に対して効果的に充填できない。
プローブH5は、癌細胞との共培養においてT細胞のリアルタイム再活性化を検出する
GzmBに対するプローブH5の反応性と選択性を考慮して、癌細胞へ攻撃中のT細胞の細胞傷害活性を測定するためのその有用性を検討した。これを検討するために、マウスCD8+T細胞とE0771乳癌細胞を共培養した(図2a)。マウスGzmBの基質は、ヒト基質のプロリンの代わりにP2のフェニルアラニンを特徴とするが、マウスGzmBに対するプローブH5の良好な応答が観察され、フェニルアラニンを含むヘキサペプチド類似体(プローブH5:IEFDAL、図7)よりもわずかに良好な反応性であった。したがって、マウスとヒトの両方のアッセイにプローブH5を使用することにした。最初に、CD8+T細胞におけるGzmBのレベルを効果的に増加させるために共培養を最適化した。インターロイキンIL-2とのインキュベーションは最大の再活性化をもたらし、80%以上のCD8+T細胞がIL-2処理後に不活性なGzmBを発現していることを、抗GzmBを用いた蛍光顕微鏡で確認した(図2b)。次に、これらの条件を、検出を容易にするために赤色蛍光タンパク質mKateを発現するCD8+T細胞と遺伝子改変E0771-La2-NLR細胞の共培養に適用し、プローブH5およびアポトーシスのマーカーであるアネキシンV-AF647とインキュベートした。フローサイトメトリー分析により、活性化T細胞と共培養された癌細胞の80%以上がH5とアネキシンV-AF647で二重染色されていることが明らかになり、プローブH5の放出が免疫介在性の癌細胞死を示すことが確認された(図2c)。非再活性化T細胞と共培養された癌細胞またはアポトーシスを誘導するキナーゼ阻害剤であるスタウロスポリンで処理された癌細胞は弱い蛍光を示し、プローブH5が活性化CD8+T細胞によって殺された死んだ癌細胞を検出することが確認された(図2c)。蛍光顕微鏡実験でも、プローブH5はmKate+癌細胞の細胞質のみを染色し、T細胞は染色しなかった(図2d)。追加対照として、プローブH5は細胞毒性がなく(図8)、不活性であるT細胞との共培養または不可逆性GzmB阻害剤Ac-IEPD-CHOで前処理された共培養では癌細胞を染色しなかった(図2d)。全体として、これらの結果は、プローブH5が活性化CD8+T細胞の攻撃に起因する癌細胞死を検出できることを確認し、プローブH5の蛍光発光が生存状態での培養における免疫調節効果のバイオマーカーとして使用できることを示唆している。
次に、CD8+T細胞が癌細胞を攻撃する方法をリアルタイムで画像化するためにH5を使用できるかどうかを検討した。H-2kbのコンテキストでOVA由来SIINFEKL抗原を提示する細胞を特異的に標的とするOT-Iトランスジェニック受容体を発現するCD8+T細胞を利用し、SIINFEKLを付加したEL4癌細胞と共培養した(図9)。細胞は、識別を容易にするためにCell Tracker Orangeで対比染色し、プローブH5および細胞死マーカーSytox Blueとインキュベートした後、タイムラプス顕微鏡観察を行った。当初、プローブH5は変化がなかったが、CD8+T細胞が癌細胞と免疫シナプスを形成し始めると、標的細胞内での放出は徐々に増加した(図2eおよび)。CD8+T細胞と癌細胞の間の数回の接触後、H5の緑色蛍光シグナルはSytox Blueの青色シグナルと共局在し、標的癌細胞がGzmB介在性アポトーシスを受けたことを示した。定量的フローサイトメトリー分析はまた、癌細胞におけるペプチドH5の蛍光シグナルがシトックスブルーのそれに先行することを確認した。これは免疫介在性癌細胞死の初期バイオマーカーとしての活性化型GzmB(active GzmB)を裏付けている(図2f)。並行して、CD8+T細胞から複数の接触を受ける癌細胞に見られる細胞内環境を模倣したin vitro実験を行い、GzmBのスパイク1nM増加に対するプローブH5の累積蛍光シグナルを観察した(図9)。
プローブH5は癌マウスモデルにおいてT細胞介在性腫瘍退縮を検出する。
我々はさらに、腫瘍退縮マウスモデルにおいてGzmB活性を検出するペプチドH5の能力を検討した。Serrelsらは、Focal Adhesion Kinase(FAK)の阻害が免疫抑制微小環境(図3a、図3b)の調節を介して扁平上皮癌(SCC)腫瘍のT細胞介在性退縮を促進することを報告し、FAK阻害剤は現在、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせた臨床試験中である12。SCC FAK(-/-)マウスにおける腫瘍退縮はCD8T+細胞に依存するため、この前臨床モデルは、プローブH5が腫瘍におけるT細胞介在性癌細胞死を検出できるかどうかを検討するための優れたプラットフォームである。
最初に、FVB免疫応答マウスにSCC FAK(-/-)癌細胞または野生型SCC癌細胞(陰性対照として)を投与し、腫瘍を2週間増殖させた。予想通り、SCC FAK(-/-)腫瘍は野生型SCC腫瘍よりも有意に小さく、生細胞の含有量が少なかった(図3c)。CD8+T細胞の数はSCC FAK(-/-)腫瘍で約10倍高く、これは活性化されたT細胞応答(図3d)を意味し、ELISAで測定したGzmBも高い発現レベルを示した(図3j)。SCC FAK(-/-)腫瘍の癌細胞が細胞内活性化型GzmBを含むかどうかを評価するために、腫瘍を採取し、フローサイトメトリーで分析する前にプローブH5で30分間処理した。特に、SCC FAK(-/-)腫瘍の40%以上の癌細胞はプローブH5で染色されたが、野生型SCC腫瘍はほとんど染色されなかった(図3e、3f)。さらに、プローブH5の蛍光シグナルは癌細胞のサブセットでのみ見出されるが、腫瘍(図3g、3h、3k)で見出された他の細胞(例、単球(monocyte)、線維芽細胞(Fibroblast)、CD4+T細胞)では見出されないことを観察した。全体として、これらの結果は、マウス腫瘍におけるT細胞介在性細胞死を迅速に検出するためのプローブH5の有用性を裏付けている。
プローブH5は、薬物スクリーニングおよびヒト腫瘍生検における免疫調節活性を同定する
次に、免疫調節薬のスクリーニングおよびヒト腫瘍生検における臨床アッセイにおけるプローブH5の有用性を評価した(図4a)。まず、マウスCD8+T細胞およびE0771癌細胞の共培養系を、CD8+T細胞の殺傷能力を活性化するための小分子をスクリーニングできる画像ベースの表現型アッセイのための384ウェルプレートフォーマットに適合させた。ImageXpress高含量分析システムを用いて、種々の薬理学的標的を有する抗癌剤のコレクションを試験した(表3)。E0771とCD8+T細胞を、IL-2(100U mL-1)およびそれぞれの作用濃度の個々の薬剤とインキュベーションする前に2日間共培養した(表3)。イメージングの1時間前に、プローブH5をウェルに添加し、核対比染色としてHoechst33342を含む蛍光顕微鏡画像を得た。癌細胞内のプローブH5の蛍光強度を用いて、全44薬剤の免疫調節能を比較した。高GzmBの陽性対照として高濃度のIL-2(250U mL-1)を有するウェルを、低GzmB活性の陰性対照として、100U mL-1のIL-2に加え、T細胞のIL-2誘導活性化を阻害する既知のmTOR阻害剤であるラパマイシンを有するウェルを含めた。注目すべきことに、異なる薬理学的機能(例えば、プロテインキナーゼ阻害剤、微小管(microtube)機能阻害剤、DNAアルキル化(DNA alkylating)剤、プロテアソーム(proteasome)阻害剤)を有する化合物の小セットは、IL-2による単独処理よりも優れた染色性を示し、抗癌T細胞活性を活性化する能力を示した。
(IL-2のみの対照と比較して)増加した蛍光シグナルが、IL-2と異なる小分子と組み合わせで観察された。これらの中で、異なる作用機序を有する化合物を同定した。AZD5363(C5)は蛋白質キナーゼAKT阻害剤である;ドセタキセル(C11)、ARQ-621(C12)およびエポチロンB(C13)は微小管機能の直接阻害剤である;マイトマイシンC(C18)およびテモゾロミド(C20)はDNAアルキル化剤であり、ラクタシスチン(C30)は不可逆的プロテアソーム阻害剤である。これらの化合物のいくつかはすでに抗癌薬として医療用に承認されている。ドセタキセル(タキソテール登録商標)、マイトマイシンC(ムタマイシン登録商標)およびテモゾロミド(テモダール登録商標)は、乳癌(ドセタキセル)、肺癌(マイトマイシン)および脳腫瘍(テモゾロミド)を含むいくつかのタイプの癌の治療のために確立された化学療法薬である。他の化合物は現在臨床試験で試験されている。例えば、AZD5363は、単独または他の薬剤(例えばパクリタキセル)との併用で、転移性乳癌または婦人科系の癌患者を対象とした第II相試験中である。ARQ621は、末期固形癌または血液悪性腫瘍患者を対象とした第I相試験で評価されている。同様に、エポチロンBは、特に進行性の結腸直腸癌、腎臓癌および前立腺癌の患者を対象とした第II相試験中である。
これらの中で、AKTキナーゼ阻害剤AZD5363は最も明るいH5蛍光染色を示し、さらなる研究のために選択された。AZD5363とインキュベートしたE0771癌細胞、およびIL-2のみまたはIL-2+AZD5363とインキュベートしたCD8+T細胞とE0771細胞の共培養において、細胞生存性およびH5蛍光染色の程度を解析した。AZD5363単独処理は有意な癌細胞死を誘導せず、H5染色を引き起こさなかったが、100U mL-1IL-2と組み合わせた同濃度のAZD5363は、CD8+T細胞-E0771細胞共培養において有意な癌細胞死およびH5蛍光発光を引き起こした(図10)。これらの観察は、AKT阻害がCD8+T細胞疲弊を防止し、標的細胞に対する細胞溶解活性を増強することを示唆する最近の報告と一致する。これらの結果は、IL-2と併用した場合にCD8+T細胞の抗癌活性を活性化するAZD5363の可能性を強調し、新しい免疫調節薬の同定のためのH5ベースのイメージングスクリーンプラットフォームの有効性を示す。
最後に、抗癌治療に対する潜在的素因をスクリーニングする方法として、プローブH5が肺癌患者からの生検で細胞傷害性T細胞機能もモニターできるかどうかを調べた。これらの実験のために、外科的切除を受ける未治療肺癌患者から対(すなわち、正常組織と癌組織、図4c)組織切除片を得た。プローブH5が健常領域と癌領域の間のCD8+T細胞再活性化の違いを検出できるかどうかを分析するために、プローブH5ですべての試料を処理し、上皮および免疫細胞マーカーの抗体ベースのパネルと共にフローサイトメトリーにより迅速に分析した。図4dに示すように、すべての患者の健康組織と癌組織の間のEpCAM+H5+細胞の割合に有意差を認め、腫瘍微小環境における肺上皮細胞に対するCD8+T細胞の活性化状態と細胞傷害活性を示した。癌患者における免疫療法の評価にプローブH5を適応させるためには、さらなる最適化研究が必要である。全体として、我々の結果は、プローブH5が、ヒト腫瘍生検の臨床的特徴づけと同様に、新しい免疫療法の組み合わせの発見を促進するための、ハイスループットスクリーニングアッセイにおいてin vitroで使用できることを示し、個別化抗癌免疫療法の開発を加速するための新しい道を開く。
結論
我々は、活性化型のマウスおよびヒトGzmBの迅速検出およびイメージングのための蛍光プローブの合理的設計について述べた。一般的なIEPD配列から出発して、我々は、前例のないkcat/K比1.2×10-1-1および検出限界6pMを有するヘキサペプチドH5を最適化するためのFRETプローブのコレクションを構築した。ペプチドの結合モードを調べるために分子動力学シミュレーションを使用し、H5が、テトラペプチド配列によってアクセスできないhGzmBのループ74-84およびβ-バレル35-114によって画定された触媒溝の延長に結合することを観察した。活性化型hGzmBに対するこの代替結合態様の発見は、イメージングプローブおよび酵素阻害剤の設計と最適化を促進し得る。H5の蛍光発光は、蛍光顕微鏡による定性的解析およびフローサイトメトリーによる定量的解析の両方で、CD8+T細胞および癌細胞の生きた状態での培養において、免疫介在性腫瘍殺傷能力を直接見るレポーターとして使用できることを示した。重要なことに、プローブH5は、GzmBが不活性であるT細胞内、または免疫介在性癌細胞死に関連しない他の薬剤(すなわち、スタウロスポリン)によって殺された癌細胞内では蛍光を発しない。我々はまた、プローブH5が扁平上皮癌のモデルにおいて免疫介在性退行を受けるマウス腫瘍を識別し、画像に基づく表現型スクリーンにおいて免疫調節応答を活性化する小分子薬剤を同定できることを示した。最後に、我々はヒト腫瘍生検の臨床的特徴づけのためにH5を使用し、抗癌免疫療法に対する初期反応の個別化検出のための潜在的応用を強調した。
近赤外グランザイムBプローブ合成
グランザイムB技術をさらに発展させるために、活性化型グランザイムBを検出するための近赤外(NIR)発光スマートプローブを開発しようとした。NIR光の使用は、皮膚を貫通するより深い浸透や、自己蛍光の減少および最小の光散乱といった、短波長の発光に対するいくつかの利点を示し、生物学的試料中のノイズに対する信号を増強する。
GzmB特異的配列の開発における上述の研究に基づき、プローブH5で見られるように、GzmB(Ile-Glu-Pro-Asp-Ala-Leu)との迅速な反応性と選択性を与える、特に有効なヘキサペプチド配列を保持することを意図した。NIR GzmBスマートプローブを製造するには、GzmBの非存在下でプローブを非蛍光化するFRETプロセスを保持するために、蛍光体だけでなく消光基も交換する必要がある。スマートプローブ成分の変化は、所望の標的との反応性を低下させる可能性があるので、2つの異なるNIR蛍光体(ケイ素ローダミンとSulfo-Cy5)、2つのリンカータイプ(疎水性と親水性)および3つの異なるNIR消光基(QSY21、BXL-670およびBHQ-3)の組み合わせを用いて、12のNIR発光スマートプローブを開発することにより、このリスクを最小化することを試みた。化学構造を以下に示す(QXL-670の化学構造は開示されておらず、入手できないことに注意)。
Figure 2024527471000006
グランザイムB活性を検出するためのNIRプローブの開発に使用されるフルオロフォア、リンカーおよびクエンチャー(QXL-670を除く)の化学構造。
NIRスマートプローブに対する合成戦略は、2-クロロトリチル結合ポリスチレン樹脂上の固相ペプチド合成から始まり、ここでは、側鎖保護を必要とする唯一の残基としてAsp(OBu)およびGlu(OBu)を用いたFmoc/Butyl戦略を採用した。OBu側鎖保護基は、Fmoc脱保護と樹脂からのペプチド切断との直交性のために利用した。各カップリングは、カップリング試薬としてCOMUとOxymaを使用し、Fmoc除去のためにDMF溶液中の20%ピペリジン、1M Oxymaを利用した(OxymaはFmoc除去中のアスパルチミド副生成物形成を最小化するために添加した)。2つのフルオロフォア(上記参照)の各々は、TFA(DCM中1%)で樹脂からペプチドを除去する前に最後にカップリングし、SiRhoとSulfoCy5をレンダリングした。
Figure 2024527471000007
グランザイムBヘキサペプチドを含むシリコンローダミンとSulfoCy5の固相ペプチド合成。
次に、リンカーをペプチドの遊離C末端に組み込んだ。利用するための2つのリンカー、すなわち、N-Boc-1,6-ヘキサンジアミンおよびtert-ブチル(14アミノ-3、6、9、12テトラオキサテトラデシル)カルバメートを選択した。これらのリンカーの各々は対照的な極性を示し、GzmBによる基質切断に対するそれらの効果をモニターするために選択された。それらは共に、側鎖butyl除去後に末端アミンを遊離するためにmono-bocで保護されており、boc除去もまた高い割合のTFAを必要とする。DCM/DMF(1:1)混合物中、PyOxim,OxymaおよびDIPEAの存在下、-20℃で1.5時間ペプチドの遊離C末端をそれぞれのリンカーと反応させることにより、リンカー結合を達成した。粗混合物は逆相半調製HPLCにより精製した。
Figure 2024527471000008
カップリング試薬としてPyOximおよびOxymaを用いたフルオロフォレペプチド試薬へのリンカー結合。
シーケンスの次のステップは、上記プローブのすべてについて、boc保護アミンとともにグルタミン酸およびアスパラギン酸の側鎖からt-ブチル保護基を除去することを含んだ。これは、プローブをDCM中に溶解し、室温で1時間TFA(50%)で処理することによって行った。次いで、溶媒を減圧下で除去し、残った非晶質固体をジエチルエーテルで洗浄することによって精製した。
Figure 2024527471000009
すべてのフルオロフォア-ペプチドリンカー複合体に対するDCM中のTFA(40%)による保護基除去
完全NIRプローブの合成の最終段階はクエンチャー部分の添加であった。各クエンチャーは脱保護後のリンカーの末端アミンへの抱合を可能にするスクシンイミドエステルとして購入された。スクシンイミドエステルは、末端アミンとアミド結合を形成するためのカップリング試薬を必要としないように十分に活性化され、したがって、ペプチド配列の側鎖カルボン酸基との潜在的な副反応を回避される。フルオロフォア-ペプチドリンカー複合体の各々に、3つのクエンチャー(QXL-670、QSY21またはBHQ-3)の各々を別々の反応で添加した。次いで、アミド結合形成を促進するためにDIPEAを添加し、反応を室温で2日間撹拌した。反応の完了後(HPLCによる測定による)、粗物を逆相半調製HPLCで精製し、最終プローブを青色非晶質固体として得た(表4)。
Figure 2024527471000010
フルオロフォア-ペプチド-リンカー複合体へのクエンチャー添加。
グランザイムBとのNIRプローブの反応性
これらのプローブを用いて(表4)、ヒト組換えグランザイムBとの反応性を試験し、リード候補を同定した。各プローブを20nMグランザイムBに対して25μMの濃度で試験し、蛍光を37℃で2時間にわたって記録した(λex:620nm、λem:660nm)。その結果、プローブR7は最高の性能を示し、その660nmでの蛍光強度は、グランザイムBの添加後に約80倍となった(図14A)。HPLC-MSを用いてR7とグランザイムBとの反応性を確認し、2時間以内に無傷から開裂への変換が100%完了し、アスパラギン酸残基の後ろでプローブが開裂することを示した(図14B)。次に、R7を密接に関連するプロテアーゼ、すなわち-カスパーゼ-3およびグランザイムAとインキュベートすることにより、グランザイムBに対するR7の選択性を調べた。660nmでの蛍光の増加は観察されなかった一方で、グランザイムBを既知の市販阻害剤(Ac-IEPD-CHO)とプレインキュベートすると倍率変化が減少するので、グランザイムBに対するR7の特異性がさらに確認された(図14C)。最後に、基質濃度を変化させ、酵素(20nM)の固定濃度で初期速度を計算することにより、ヒト組換えグランザイムBによるR7消費の動力学を調べた(図14Dに示す25μM基質での動力学)。これらの結果から、R7は約1.98×10-1-1のKcat/Kを有することと定めた。
アッセイ条件の最適化(プローブH5による)
プローブの最適設定を確立するために、種々の濃度(0、8.4、28、84,280,840、2800、8400、28000および84000pg/ml)のhGzmBを用いて、異なる緩衝液組成および光学設定におけるプローブH5の性能を比較した。表5に別段の記載がない限り、25μMのH5を384ウェルブラックマイクロプレート中でhGzmBと混合し、蛍光強度を定量する前に37℃でインキュベートした。プローブ濃度、緩衝液のイオン強度およびpH,ならびにSynergy H1 Biotekマイクロプレートリーダー上の光学設定を、可能な限り低いLoDを得るために変更した(表5)。
抗体捕捉活性アッセイ(プローブH5による)
抗体はそれらの基質に高度に特異的であり、イムノアッセイ技術において試料(特に複雑なマトリックスを有する試料)から材料を捕捉するために一般的に使用されるので、緩衝液および生物学的試料(例えば血清)中のGzmBを検出するために追加の抗体捕捉ステップが追加された。高結合マイクロプレート(メルク)をコーティング緩衝液中で抗GzmB抗体で被覆し、加湿チャンバー中で4℃で一晩インキュベートした。プレートを洗浄緩衝液(0.01MPBS、0.05%(v/v)Tween20、pH7.5)で4回洗浄し、1mg/mlストックからGzmB緩衝液(NaCl100mM、トリス50Mm、pH7)で様々な濃度に希釈した100ulの活性化型GzmB標準液を添加し、50rpmで振とうしながら1時間インキュベートした。サンプルを再び洗浄緩衝液で4回洗浄し、最適化GzmB緩衝液中の10mMストック溶液から希釈した100ul 25uMプローブH5を添加し、Synergy H1 Biotekマイクロプレートリーダーを用いて0時間、2時間、4時間および24時間後のλex=470nmおよびλem=510nmの蛍光強度をモノクロメータを用いて読み取った。蛍光強度をGzmB濃度に対してプロットし、検出限界(LoD)を0濃度サンプルの平均+3標準偏差に基づいて計算した。他の配位子(例えば、タンパク質、ナノボディ)を使用して、上記のようなマイクロウェルプレートの表面に酵素を捕捉することができる。
血清中で得られたLoDは40.9pg/mlであり、これは血液中のGzmBの病理学的レベルに匹敵するため、臨床試料で使用できる優れた可能性がある。
急性移植拒絶のための尿試料の検査
背景
急性移植拒絶反応を検出するためのゴールドスタンダードな検査は、コア生検と呼ばれる移植臓器から材料のサンプルを採取することである。しかし、これは患者に害を及ぼす可能性のある侵襲的な検査であり、10例に一例は診断のための十分な組織を提供しない。グランザイムB(GzmB)は急性移植拒絶に関連するタンパク質であり、その活性の測定は高い精度で拒絶の初期段階を同定することができる。
腎移植は依然として末期腎不全に対する唯一の最も効果的な治療法である。患者の約5人に1人は、腎移植を受けてから1年以内に急性拒絶反応を経験し、移植片喪失および死亡のリスク増大と関連している。したがって、急性移植拒絶反応の早期発見と効果的な治療は、患者の移植片機能と生活の質を最大化するために重要である。
GzmBは尿中に存在する可能性があるが、これを測定する現在の方法は高価な装置とサンプル処理を必要とする。ここでは、酵素活性を検出するために、組換えグランザイムBでスパイクした尿サンプルにプローブH5とR7を適用することによって、この問題に取り組んでいる。
結果
まず、プローブH5およびR7の安定性、および3人の健康なドナーからの尿中の安定性を検討し、すべての尿サンプルに存在する可能性のある他の生体分子と交差反応性が生じないことを確認した。これを行うために、スパイクグランザイムB(15nM)の有無での尿中のプローブH5およびR7の蛍光応答をモニターし、HPLC分析による安定性も評価した。結果は、プローブH5の510nmでの蛍光増加が7倍、プローブR7の660nmでの蛍光増加が90倍であることを示したが、HPLC分析は、両プローブの1%未満が尿試料中のみで切断され、グランザイムBの存在下では1時間後にH5およびR7(それぞれ)が切断プローブへの84%および99%までの変換が生じたことを明らかにした。(図11)。なお、HPLC-MSにより、アスパラギン酸残基(天然グランザイムB開裂部位)の後ろでプローブH5およびR7が開裂されることを確認した。
次に、検出限界を決定するために、3つの健常者の尿試料中のスパイク組換えグランザイムBの検出を検討した。活性化型組換えグランザイムBの濃度のダイナミックレンジ(20,000-78pg/mL)を健常者の尿試料に加え、プローブH5およびR7(25μM)と試料を37℃で3時間インキュベートした。プローブH5のLoDは6.18pM(198pg/mL)、プローブR7のLoDは3.1pM(99pg/mL)であった。
IBD患者便サンプルのグランザイムB活性の検査
背景
炎症性腸疾患(IBD)は、消化管の炎症を引き起こす慢性免疫介在性疾患である。過去十年間に、IBDは公衆衛生上の課題として浮上し、EUでは300万人がこの疾患に罹患し、世界的な有病率は0.3%を超えている。最も一般的な症例はクローン病と潰瘍性大腸炎(UC)である。
IBDの診断と治療の進歩にもかかわらず、IBDの新しいバイオマーカーは、腸の炎症、治療に対する反応および治療法の選択をモニターする方法を改良するために必要である。IBDの現在のモニタリングは、大腸内視鏡検査(数か月の待ち時間を伴う侵襲的手技)、生検の組織学的分析、または2~3週間で結果が得られるクリニックでの血液または便サンプル中の限られたタンパク質の量を測定することにより実施されている。大腸内視鏡検査は侵襲的で高価である;一方、イメージングスキャン(例、磁気共鳴画像法(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT))は腸粘膜の直接的な評価を提供しない。粘膜治癒はIBD患者における治療の有効性を評価するために使用されているが、長期にわたる侵襲的生検の組織像に大きく依存している。
C反応性蛋白質やカルプロテクチンなど、IBDのバイオマーカーのいくつかはすでに存在しており、これらは血液/便サンプルで検出できる。しかし、これらのバイオマーカーは炎症の一般的な指標であり、IBD活性を特異的に報告することはできない。したがって、臨床医が自由に使える追加のマーカーまたはより特異的なマーカーを持つことが望ましい。
グランザイムBは炎症性疾患に直接関与しており、IBD患者の血清を用いた研究(R. Kalla et al., J. Crohn’s. Colitis. 2020, 15, 699-708)や腸組織生検で示されているように、慢性腸炎の間に非常に活性である。非常に高レベルの活性化型グランザイムBは腸を損傷し、炎症が消失しない理由の1つとなる。IBD患者の腸は、グランザイムB依存的に腸損傷を誘発することができる免疫細胞(T細胞)の高い浸潤を有する。我々の蛍光化学プローブを用いたグランザイムBのための最初のIVDの開発は、大腸内視鏡を介したIBD診断およびモニタリングの現在のプロセスを激変させる可能性がある。ここでは、グランザイムB活性もまた健康と疾患を区別できるかどうかを確立するために、カルプロテクチンレベルに基づく臨床便サンプルにおいてプローブH5およびR7を利用する。
結果
本研究では、独自に開発した抗体捕捉アッセイを用いて、各便検体中のグランザイムB活性を評価した(図12)。まず、高結合96ウェルプレートを37℃で2時間グランザイムB抗体で被覆し、結合した抗体をChonblockを用いてブロック(室温で2時間)し、洗浄し、臨床便検体を添加して室温で2時間インキュベートした。次にプレートを洗浄し、プローブH5とR7を添加し、蛍光を37℃で18時間モニターした。検出したグランザイムBシグナルを定量化するために、各96ウェルプレート上に検量線を設け、既知濃度のヒト組換えグランザイムBを各ウェルに添加した。
48検体の‘高カルプロテクチン’と46検体の‘低カルプロテクチン’の便上清を分析し、プローブH5とR7の蛍光倍率変化を比較した。この倍率変化を定量化し、検量線に沿った濃度値を得た(図13AとB)。これを定量化すると、プローブH5を用いた低カルプロテクチン試料と高カルプロテクチン試料の平均濃度は、それぞれ4802pg/mLと11636pg/mLであった(図13A)。一方、プローブR7を用いた低カルプロテクチン試料と高カルプロテクチン試料の平均濃度は、それぞれ3318pg/mLと5687pg/mLであった(図13B)。
Figure 2024527471000011
Figure 2024527471000012
Figure 2024527471000013
Figure 2024527471000014
Figure 2024527471000015
Figure 2024527471000016
REFERENCES

1.Mouchacca, P., Schmitt-Verhulst, A. M. & Boyer, C. Visualization of cytolytic T cell differentiation and granule exocytosis with t cells from mice expressing active fluorescent granzyme B. PLoS One 8, e67239(2013).
2.Thornberry, N. A. et al. A combinatorial approach defines specificities of members of the caspase family and granzyme B: functional relationships established for key mediators of apoptosis. J. Biol. Chem. 272, 17907-17911(1997).
3.Mac, Q. D. et al. Non-invasive early detection of acute transplant rejection via nanosensors of granzyme B activity. Nat. Biomed. Eng. 3, 281-291(2019).
4.He, S., Li, J., Lyu, Y., Huang, J. & Pu, K. Near-infrared fluorescent macromolecular reporters for real-time imaging and urinalysis of cancer immunotherapy. J. Am. Chem. Soc. 142, 7075-7082(2020).
5.Espargaro, A. et al. On the binding of Congo Red to amyloid fibrils. Angew. Chem. Int. Ed. 59, 8104-8107(2020).
6.Gotz, A. W. et al. Routine microsecond molecular dynamics simulations with AMBER on GPUs. 1. generalized born. J. Chem. Theory. Comput. 8, 1542-1555(2012).
7.Serrels, A. et al. Nuclear FAK controls chemokine transcription, Tregs, and evasion of anti-tumor immunity. Cell 163, 160-173(2015).
8.Janiszewski, T. et al. Noninvasive optical detection of granzyme B from natural killer cells with enzyme-activated fluorogenic probes. J. Biol. Chem. 295, 9567-9582(2020).
9.Mahrus, S. & Craik, C. S. Selective chemical functional probes of granzymes A and B reveal granzyme B is a major effector of natural killer cell-mediated lysis of target cells. Chem. Biol. 12, 567-577(2005).
10.Harris, J. L., Peterson, E. P., Hudig, D., Thornberry, N. A. & Craik, C. S. Definition and redesign of the extended substrate specificity of granzyme B. J. Biol. Chem. 273, 27364-27373(1998).
11.Kok, H. M. et al. Systemic and local granzyme B levels are associated with disease activity, kidney damage and interferon signature in systemic lupus erythematosus. Rheumatology 56, 2129-2134(2017).
12.Canel, M., Taggart, D., Sims, A. H., Lonergan, D. W., Waizenegger, I. C. & Serrels, A. T-cell co-stimulation in combination with targeting FAK drives enhanced anti-tumor immunity. eLife 9, e48092(2020).

Claims (22)

  1. グランザイムBの検出に使用するためのプローブであって、検出可能な部分に連結または結合したグランザイムB切断可能ペプチドを含み、前記グランザイムB切断可能ペプチドが下記の配列を有するヘキサペプチド配列を含む、あるいは前記ヘキサペプチド配列から本質的に成る、あるいは前記ヘキサペプチド配列からなるものであり、
    P4-P3-P2-P1-X1-X2
    ここで、P4はIまたはVであり;P3はE、QまたはMであり;P2は任意のアミノ酸であり;P1はDであり、X1はA、S、W、またはRであり;X2はG、L、またはRである、
    プローブ。
  2. 下記の配列:
    I-E-P/F-D-X1-X2
    を有し、ここで、X1はA、S、WまたはRであり、X2はG、LまたはRである、
    請求項1に記載のプローブ。
  3. 前記検出可能な部分が、同位体標識もしくは放射線標識、常磁性造影剤、常磁性もしくは超常磁性粒子、または光学的に検出可能な部分である、請求項1または2のいずれかに記載のプローブ。
  4. 前記光学的に検出可能な部分が、蛍光部分である、請求項3に記載のプローブ。
  5. クエンチャー部分をさらに含む、請求項4に記載のプローブ。
  6. 検出可能部分および/またはクエンチャー部分が、共有結合を介して前記ペプチドに連結される、請求項3~5のいずれか一項に記載のプローブ。
  7. 前記検出可能部分が、前記ペプチドのNまたはC末端アミノ酸に連結され、クエンチャー部分が存在する場合には前記クエンチャー部分が、蛍光部分が連結されるそれぞれのCまたはN末端に連結される、前記のいずれかの請求項に記載のプローブ。
  8. 前記検出可能部分、蛍光部分および/またはクエンチャー部分が、ナノ粒子内に連結、結合および/または埋め込まれ、前記ナノ粒子がペプチドに連結される、請求項3~5のいずれか一項に記載のプローブ。
  9. 前記検出可能部分、蛍光部分、クエンチャー部分および/またはナノ粒子が、リンカー分子を介して前記ペプチドに連結される、前記のいずれかの請求項に記載のプローブ。
  10. リンカー分子が、アルキル、アルケニル、またはポリエーテル鎖であり、場合によってはC2~C24反復単位を有し、または、1つ以上の天然もしくは非天然のアミノ酸もしくはイミノ酸である、請求項9に記載のプローブ。
  11. 1nM、500pM、250pm、100pm、または50pm未満など、10nM未満の量のサンプル中のグランザイムBを検出することができる、前記のいずれかの請求項に記載のプローブ。
  12. グランザイムBのKmが30μM、25μM、20μM、15μMまたは10μM未満である前記のいずれかの請求項に記載のプローブ
  13. kcat/KM値が1×10、1×10、1×10または1×10より大きい前記のいずれかの請求項に記載のプローブ。
  14. 前記プローブが、装置の表面に結合され、接着され、またはその他の方法で捕捉されている、前記のいずれかの請求項に記載のプローブを含む検出装置。
  15. 前記表面は、スライド、マイクロタイタープレート、横流デバイス、または流体デバイスの壁の表面である、請求項14に記載の検出装置。
  16. 前記表面は、ビーズ、マイクロ粒子またはナノ粒子の表面である、請求項14に記載の検出装置。
  17. 細胞および/または体液試料中のグランザイムBのレベルのex vivoまたはin vitro検出における、前記いずれかの請求項に記載のプローブの使用。
  18. 細胞含有試料または体液若しくは排泄物中のグランザイムBを検出する方法であって、請求項1~13のいずれかに記載のプローブまたは請求項14~16のいずれかに記載の検出装置を、細胞含有試料または体液/排泄物試料若しくはその処理された一部とex vivo、in vivoまたはin vitroで接触させることと、前記ペプチドの開裂および前記検出可能部分を含む開裂ペプチドの放出によりグランザイムBのレベルを検出することとを含む方法。
  19. 前記体液が血液、血清または血漿試料である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記体液が尿または肺洗浄液である、請求項18に記載の方法。
  21. 前記体液/排泄物が、サンプル中の他の成分からグランザイムBを濃縮および/または分離するために処理された、便または尿サンプルのようなサンプルである、請求項18または19に記載の方法。
  22. 前記処理されたサンプルは、抗グランザイムB抗体またはグランザイムBに特異的に結合することができるその結合断片のような、結合剤に接触され、任意で前記結合剤は、プローブを接触させ希釈便サンプル中に存在するグランザイムBのレベルを検出する前に、表面に結合、接着、またはその他の方法で付着されている、請求項21に記載の方法。
JP2023575535A 2021-06-11 2022-06-13 グランザイムb検出 Pending JP2024527471A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
GB2108355.5 2021-06-11
GBGB2108355.5A GB202108355D0 (en) 2021-06-11 2021-06-11 Granzyme B detection
PCT/GB2022/051477 WO2022258997A1 (en) 2021-06-11 2022-06-13 Granzyme b detection

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024527471A true JP2024527471A (ja) 2024-07-25

Family

ID=76954628

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023575535A Pending JP2024527471A (ja) 2021-06-11 2022-06-13 グランザイムb検出

Country Status (5)

Country Link
EP (1) EP4352076A1 (ja)
JP (1) JP2024527471A (ja)
CA (1) CA3221464A1 (ja)
GB (1) GB202108355D0 (ja)
WO (1) WO2022258997A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116199675B (zh) * 2021-11-30 2024-08-20 中国科学院大连化学物理研究所 一类罗丹明荧光淬灭剂及其合成和应用
CN116983436B (zh) * 2023-04-27 2024-07-09 深圳市儿童医院 一种载药纳米分子探针及其制备方法、应用

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5696953B2 (ja) * 2010-07-28 2015-04-08 カンバックス バイオテック エスエル 新しい超高感度な細胞ベースのセンサーおよびその使用
EP3467119B1 (en) * 2011-11-11 2022-02-23 Promega Corporation Mutant protease biosensors with enhanced detection characteristics
WO2018064383A1 (en) * 2016-09-28 2018-04-05 Georgia Tech Research Corporation Methods and compositions for noninvasive detection of organ transplant rejection
CA3194956A1 (en) * 2020-09-11 2022-03-17 Glympse Bio, Inc. Ex vivo protease activity detection for disease detection/diagnostic, staging, monitoring and treatment

Also Published As

Publication number Publication date
EP4352076A1 (en) 2024-04-17
WO2022258997A1 (en) 2022-12-15
CA3221464A1 (en) 2022-12-15
GB202108355D0 (en) 2021-07-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Cheng et al. Dual-targeted peptide-conjugated multifunctional fluorescent probe with AIEgen for efficient nucleus-specific imaging and long-term tracing of cancer cells
Liu et al. Peptide-based biosensors
de Jong et al. Ubiquitin‐based probes prepared by total synthesis to profile the activity of deubiquitinating enzymes
Vellaisamy et al. A long-lived peptide-conjugated iridium (iii) complex as a luminescent probe and inhibitor of the cell migration mediator, formyl peptide receptor 2
US8623995B2 (en) Peptide conjugates and fluorescence detection methods for intracellular caspase assay
Scott et al. A fluorogenic probe for granzyme B enables in-biopsy evaluation and screening of response to anticancer immunotherapies
JP2024527471A (ja) グランザイムb検出
Linder et al. Synthesis, in vitro evaluation, and in vivo metabolism of fluor/quencher compounds containing IRDye 800CW and Black Hole Quencher-3 (BHQ-3)
KR101524915B1 (ko) 타이로신 인산화효소를 감지하는 형광 프로브 및 이의 용도
Mahalingam et al. Evaluation of a centyrin-based near-infrared probe for fluorescence-guided surgery of epidermal growth factor receptor positive tumors
Wang et al. Near-infrared squaraine dye as a selective protein sensor based on self-assembly
Zhou et al. Design and characterization of PROTAC degraders specific to protein N-terminal methyltransferase 1
JP7093110B2 (ja) 分子動態評価方法及びスクリーニング方法
Kasperkiewicz Peptidyl activity-based probes for imaging serine proteases
Na et al. Microarray-guided discovery of two-photon (2P) small molecule probes for live-cell imaging of cysteinyl cathepsin activities
US20140243429A1 (en) Enzyme-Degradable Polymer and Application Thereof
JP5977355B2 (ja) ペプチダーゼの蛍光発生基質
Margarucci et al. Chemical proteomics reveals bolinaquinone as a clathrin-mediated endocytosis inhibitor
US20240376517A1 (en) Granzyme b detection
KR101452775B1 (ko) 단백질 분해 효소 활성 측정용 인 비트로 키트 및 그 제조방법
Brennecke et al. DOTAM-based, targeted, activatable fluorescent probes for the highly sensitive and selective detection of cancer cells
Wu et al. Multi-modal imaging for uptake of peptide ligand specific for CD44 by hepatocellular carcinoma
Kim et al. Design and synthesis of dye-conjugated hepsin inhibitors
Nguyen et al. Dual‐Sensing Nanoreporter for Dynamic and High‐Throughput Monitoring of Immune Checkpoint Inhibitor Responses in Tumor‐Derived Organoids
US20170096699A1 (en) Method for evaluating suitability of duodenal fluid sample as sample for detecting pancreatic fluid-derived components