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JP2024524312A - アリールシクロヘキシルアミン誘導体及び精神障害の処置におけるそれらの使用 - Google Patents

アリールシクロヘキシルアミン誘導体及び精神障害の処置におけるそれらの使用 Download PDF

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JP2024524312A JP2023579587A JP2023579587A JP2024524312A JP 2024524312 A JP2024524312 A JP 2024524312A JP 2023579587 A JP2023579587 A JP 2023579587A JP 2023579587 A JP2023579587 A JP 2023579587A JP 2024524312 A JP2024524312 A JP 2024524312A
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アンドリュー・キャリー・クリューゲル
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ギルガメッシュ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
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Abstract

アリールシクロヘキシルアミン、及び精神障害の処置におけるそれらの使用が本明細書に提供される。

Description

本発明は、ケタミンと比較して有意により高い経口バイオアベイラビリティ、より高い抗うつ効力、及び/又は抗うつ作用と副作用の間のより高い治療指数を有するアリールシクロヘキシルアミン化合物、及びアリールシクロヘキシルアミンの単一の鏡像異性体又は鏡像異性的に濃縮された混合物の組成物に関する。
大うつ病性障害(MDD)を有する患者のおよそ3分の1は、選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)を含むいくつかの公知のクラスの抗うつ薬を用いた複数回の処置後であっても、症状の寛解を達成することができない(Rushら、2006)。治療抵抗性うつ病(TRD)のこの高い有病率は、新規の機序及び/又は患者集団を標的とする新規のより有効なうつ病の薬物療法に対する必要性を明確にしている。近年では、解離性麻酔薬として長年使用されている薬物であるケタミンが、TRDを有する患者においてもロバストな有効性を有する速攻型抗うつ薬としてのその二次使用のために顕著な注目を集めている(Zarateら、2006;Bermanら、2000)。この薬物の抗うつ効果は、単回投与後に数日又は数週間持続するという点でも注目に値する。重要なことに、ケタミンのS鏡像異性体(S-ket)は、うつ病の処置として米国食品医薬品局によって最近承認されている。
残念なことに、ケタミン及びS-ketの強力な解離性麻酔作用は、これらの薬物をレクリエーショナルドラッグの使用者にとって魅力的なものにしており、それらの使用を医療提供者の直接監視下の環境に制約することにより、これらの化合物の広範な臨床的有用性を制限する。ケタミンの主要な分子標的がN-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDAR)であり、その阻害が薬物の麻酔作用の原因であることを考慮して、この標的の阻害がケタミンの抗うつ作用の原因でもあるという提案が多くなされている。そのような機序は、ケタミンの抗うつ作用と解離作用が機序レベルで分離不可能であり得ることを示唆する。しかし、多くの様々なエビデンスがこの仮説に疑問を呈している(Aleksandrovaら、2017)。第一に、ケタミンのR鏡像異性体(R-ket)は、R-ketがNMDARに対してS-ketより弱い結合親和性を有するという事実にもかかわらず、齧歯類モデルにおいて抗うつ薬としてS-ketより有効であり、長時間持続することが見出されている(Zhangら、2014)。同様に、ケタミン代謝産物(2R,6R)-ヒドロキシノルケタミン(HNK)は、齧歯類モデルで抗うつ作用を誘発するが、NMDARには弱く結合するのみであり、抗うつ作用を誘発する用量レベルで、in vivoでこの受容体に会合しないことが示された(Zanosら2016;Lumsdenら2019;Morrisら2017)。したがって、R-ketとHNKの両方は、ケタミンの解離作用を制限しながら抗うつ作用を誘発する可能性がある。
しかし、例えばNMDARのNR2Bサブユニットを標的化すること、又は低い捕捉特性を有する化合物を利用することによってケタミンの解離作用を減弱するよう提案された他の方法は、不十分な結果に終わっている。例えば、そのような構造的に異なる多くのNMDARアンタゴニスト(例えば、メマンチン、MK-0657及びラニセミン)は、一部の場合で解離を低減させるが、うつ病の処置においてケタミンより有効性が低い及び/又は作用期間が短いことが示されている(Zanosら2016;Quら2017;Cerecor 2019;Kadriuら2019;Lepowら2017)。同様に、NMDARにより高い親和性を有するアゴニスト(例えば、MK-801)又はチャネルの別の結合部位を標的化するアゴニスト(例えば、ラパスチネル)も失敗に終わっている(Yangら2016;Al Idrus 2019)。したがって、ケタミンの抗うつ作用を支える正確な分子機序は依然としてあまり理解されておらず、他の未だに特定されていない標的が関与する可能性がある。更に、NMDARモジュレーターの抗うつ作用及びそれに付随する解離作用の大きさは、一般に極めて予測不可能である。同時に、これらの知見は、ケタミンの抗うつ作用が実際にはその解離性麻酔作用から分離可能であり得るという刺激的な可能性を呈している。
その解離性副作用に加え、うつ病処置のためのケタミンの使用は、薬物の不十分な経口バイオアベイラビリティによって更に制限される(Clementsら1982)。したがって、MDDの処置のために、ケタミンはほぼ完全に静脈内(i.v.)経路によって使用される。i.v.投与の実務上の課題は、ケタミンをクリニック又は病院環境で医療提供者の監視下で使用する必要性を更に高める。したがって、ケタミンを経口投与経路で使用できないことは、薬物の広範な適用を制限し、その使用に伴う医療費を増加させるという重大な欠点である。経口的にバイオアベイラブルな他のNMDARアンタゴニストも開発されているが、現在までに販売に至るものはなく、抗うつ薬としてのケタミンのロバストな臨床的有効性も実証していない。したがって、ロバストな有効性、減少した解離性副作用、及び増加した経口バイオアベイラビリティを有するケタミンクラスの新規の抗うつ薬に対する重大な必要性が依然として存在する。ケタミンの抗うつ活性を保持しながらその解離作用も減少させ、更に経口バイオアベイラビリティを増加させる薬物は、その解離作用の低減及び付随する乱用可能性の低減のために、投与がより簡単であり、在宅使用に潜在的に実行可能な処置選択肢を提供する。
Rushら、2006 Zarateら、2006 Bermanら、2000 Aleksandrovaら、2017 Zhangら、2014 Zanosら2016 Lumsdenら2019 Morrisら2017 Quら2017 Cerecor 2019 Kadriuら2019 Lepowら2017 Yangら2016 Al Idrus 2019 Clementsら1982 BERGEら、66 J. PHARM.SCI.1-19(1977)
本開示は、ケタミンと比較して有意により高い経口バイオアベイラビリティ、より高い抗うつ効力、及び/又は抗うつ作用と副作用の間のより高い治療指数を有するアリールシクロヘキシルアミン化合物、及びアリールシクロヘキシルアミンの単一の鏡像異性体又は鏡像異性的に濃縮された混合物の組成物を少なくとも部分的に提供する。
例えば、本開示は、例えばケタミンと比較して肝代謝に対する耐性の増加をもたらす構造成分を有することにより、増加した経口バイオアベイラビリティを有する化合物を提供する。これは、例えば、齧歯類及びヒトの肝臓ミクロソーム調製物におけるそれらの安定性の増加で確認することができる。重要なことに、そのような経口バイオアベイラビリティの増加にもかかわらず、開示される化合物は、肝安定性が増加するとクリアランスが緩慢になる場合があるというより典型的な観察とは対照的に、実質的に短い半減期を保持する。短い半減期は、そのような化合物の治療有効性が受容体占有率の持続に依存しない場合があるため、望ましい可能性がある。その代わりに、NMDARの(又は他の)シグナル伝達の拍動的な関与は、薬物の排出(数時間)よりはるかに(数日又は数週間)持続する治療効果を誘発し、それにより全体的な曝露を制限し、解離性又は他の負の副作用の継続期間を低減するのに十分な可能性がある。
更に、一部の実施形態では、特に経口投薬後に、ケタミンの高い脳透過性を保持しながら、曝露の増加の副次的効果として抗うつ効力の増加を有する化合物が本明細書に提供される。そのような化合物は、NMDARでのin vitroでの親和性がケタミンのものと同様又は低い場合であっても、抗うつ薬としてより効力がある可能性がある。更に、本明細書に提供される化合物は、ラットの皮質から単離されたNMDARを含有する膜からの放射性リガンド[3H]MK-801の置換によって決定される約1~5μMのNMDAR結合親和性の結果として、抗うつ作用と解離性副作用の間の治療指数の増加を示す場合がある。ある特定の実施形態では、おそらくそのような化合物の急速なオフ速度論に起因するこの親和性範囲は、抗うつ有効性と副作用の平衡を保つのに有用であり得る。例えば、NMDARで非常に高い親和性(<1μM)を有する化合物、例えばラセミ体ケタミン及びS-ketは、それらの使用を医師によって監視される環境に制約し、それらの乱用傾向を高める顕著な解離作用を示す。更に、NMDARでの高い親和性は、うつ病における治療有効性も減少させる可能性がある(例えば、MK-801とS-ketの両方は、より低い親和性を有するラセミ体ケタミン及びR-ketより弱く、且つ継続期間が短い抗うつ作用を示すように思われる)。対照的に、NMDARでの親和性が非常に低い(>5μm)化合物は、そのようなより低い親和性を考慮して用量を適切に調整する場合でも、抗うつ有効性を喪失する可能性がある。更に、有効性がある場合でも、そのような低い効力の化合物に必要とされる非常に高い用量は、毒物学的な課題を悪化させるか、又は望ましくないオフターゲットの導入をもたらす可能性がある(他の弱く結合するパートナーに対する選択性が減少するため)。
からなる群から選択される、実質的に鏡像異性的に純粋な化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に提供される。
また、
からなる群から選択される鏡像異性体化合物又はその薬学的に許容される塩であって、鏡像異性体化合物が、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%の鏡像異性体化合物を有する鏡像異性体混合物中に存在する、鏡像異性体化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に提供される。
また、
からなる群から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩の鏡像異性体混合物を含む組成物であって、鏡像異性体混合物が、NMDA受容体MK-801部位でより高い結合親和性を有する鏡像異性体の有意により多い量を有する、組成物が本明細書に提供される。
また、化合物:
又はその薬学的に許容される塩の鏡像異性体混合物を含む組成物であって、鏡像異性体混合物が、NMDA受容体MK-801部位でより低い結合親和性を有する鏡像異性体の有意により多い量を有する、組成物が本明細書に提供される。
また、それを必要とする対象におけるうつ病、不安うつ病、気分障害、不安障害、又は物質使用障害及びそれに関連する任意の症状又は障害を処置する方法であって、それを必要とする対象に、
からなる群から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を投与する工程を含む方法が本明細書に提供される。
FSTにおける無動時間を示す棒グラフである。一元配置ANOVAにより、FSTにおいて無動で費やした総時間に対する処置の有意な主効果(F(9,90)=8.953、P<0.0001)が明らかとなった。ダネット多重比較検定を使用して、群がビヒクルと有意差があるかを検定した。1mg/kgでの化合物2R以外の全ての処置は、ビヒクルと有意差があった。*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001対ビヒクル。エラーバーはSEMを表す。 経口投与後のSprague-Dawleyラットにおける2R及び7R並びにそれらの代謝産物1Rの血漿PKプロファイルを示すグラフである。エラーバーはSEMを表す。 経口投与後のSprague-Dawleyラットにおける2R及び7R並びにそれらの代謝産物1Rの脳PKプロファイルを示すグラフである。エラーバーはSEMを表す。
以下の詳細な説明では、本開示の完全な理解をもたらすために、多数の特定の詳細が記載される。しかし、本開示は、これらの詳細な説明を伴わずに実施可能であることが当業者によって理解される。他の場合では、本開示を不明瞭にしないように、周知の方法、手順及び成分は詳細に記載されていない。
からなる群から選択される、実質的に鏡像異性的に純粋な化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に提供される。
また、
からなる群から選択される鏡像異性体化合物又はその薬学的に許容される塩であって、鏡像異性体化合物が、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%の鏡像異性体化合物を有する鏡像異性体混合物中に存在する、鏡像異性体化合物又はその薬学的に許容される塩が本明細書に提供される。
一部の実施形態では、化合物は、
又はその薬学的に許容される塩である。
一部の実施形態では、化合物は、
又はその薬学的に許容される塩である。
一部の実施形態では、化合物は、
又はその薬学的に許容される塩である。
一部の実施形態では、化合物は、
又はその薬学的に許容される塩である。
一部の実施形態では、開示される化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物である。
一部の実施形態では、医薬組成物は、経口組成物である。
また、
からなる群から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩の鏡像異性体混合物を含む組成物であって、鏡像異性体混合物が、NMDA受容体MK-801部位でより高い結合親和性を有する鏡像異性体の有意により多い量を有する、組成物が本明細書に提供される。
また、化合物:
又はその薬学的に許容される塩の鏡像異性体混合物を含む組成物であって、鏡像異性体混合物が、NMDA受容体MK-801部位でより低い結合親和性を有する鏡像異性体の有意により多い量を有する、組成物が本明細書に提供される。
一部の実施形態では、それを必要とする対象におけるうつ病、不安うつ病、気分障害、不安障害、又は物質使用障害及びそれに関連する任意の症状又は障害を処置する方法であって、それを必要とする対象に開示される化合物又は組成物の有効量を投与する工程を含む方法である。
一部の実施形態では、化合物又は組成物が経口投与される、処置方法である。
一部の実施形態では、それを必要とする対象におけるうつ病又は不安うつ病を処置する方法であって、それを必要とする対象に開示される化合物又は組成物の有効量を投与する工程を含む方法である。
一部の実施形態では、うつ病又は不安うつ病を処置する方法であって、化合物又は組成物が経口投与される方法である。
また、それを必要とする対象におけるうつ病、不安うつ病、気分障害、不安障害、又は物質使用障害及びそれに関連する任意の症状又は障害を処置する方法であって、それを必要とする対象に、
からなる群から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を投与する工程を含む方法が本明細書に提供される。
一部の実施形態では、化合物又は組成物は、経口投与される。
一部の実施形態では、組成物は、医薬組成物である。
また、
からなる群から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩
(式中、Dは重水素富化H部位を表す)
が本明細書に提供される。
また、担体及び
からなる群から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩
(式中、Dは重水素富化H部位を表す)
を含む組成物が本明細書に提供される。
一部の実施形態では、各Dは重水素富化H部位を表し、化合物の各重水素富化H部位における重水素のレベルは0.02%~100%である。
一部の実施形態では、各Dは重水素富化H部位を表し、化合物の各重水素富化H部位における重水素のレベルは20%~100%、50%~100%、70%~100%、90%~100%、95%~100%、97%~100%、98%~100%、又は99%~100%である。
また、1種又は複数の本明細書に開示される化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が本明細書に提供される。
一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物(例えば、医薬組成物)は、経口組成物である。
一部の実施形態では、組成物が、その反対の鏡像異性体よりも化合物に富む方法である。
一部の実施形態では、化合物の光学純度は、>5%、>25%、>50%、>75%、>90%、>95%、>97%、>98%、又は>99%である。
また、難治性うつ病、例えば少なくとも1つ、又は少なくとも2つの他の抗うつ化合物又は治療薬の適切なコースに応答しない及び/又は応答しなかったうつ病性障害を患う患者の処置に有用な化合物、方法及び組成物が本明細書に提供される。本明細書で使用される場合、「うつ病性障害」は、難治性うつ病を包含する。
一部の実施形態では、化合物、方法及び組成物は、双極性障害及び関連障害、例えば双極I型障害、双極II型障害、気分循環性障害、物質/医薬誘発性双極性障害及び関連障害、並びに別の医学的状態による双極性障害及び関連障害を含む精神障害の処置に使用されてもよい。
一部の実施形態では、化合物、方法及び組成物は、物質関連障害を含む精神障害の処置、例えば物質使用渇望の防止、物質使用渇望の減少、及び/又は物質使用の中止若しくは休止の促進に使用することができる。物質使用障害は、アルコール、カフェイン、大麻、吸入剤、オピオイド、鎮静剤、催眠剤、抗不安剤、刺激剤、ニコチン及びタバコ等の精神活性化合物の乱用を含む。本明細書で使用される場合、「物質」又は「複数の物質」は、アルコール、カフェイン、大麻、幻覚剤、吸入剤、オピオイド、鎮静剤、催眠剤、抗不安剤、刺激剤、ニコチン及びタバコ等の習慣性のあり得る精神活性化合物である。例えば、方法及び組成物は、禁煙又はオピオイド使用の中止を促進するために使用されてもよい。
一部の実施形態では、化合物、方法及び組成物は、不安障害、例えば分離不安障害、選択的緘黙症、特定恐怖症、社会不安障害(社会恐怖症)、パニック障害、パニック発作、広場恐怖症、全般性不安障害、物質/医薬誘発性不安障害、及び別の医学的状態による不安障害を含む精神障害を処置するために使用されてもよい。
一部の実施形態では、化合物、方法及び組成物は、強迫性障害及び関連障害、例えば強迫性障害、身体醜形障害、溜め込み症、トリコチロマニー(抜毛症)、皮膚むしり(スキンピッキング)症、物質/医薬誘発性強迫性障害及び関連障害、並びに別の医学的状態による強迫性障害及び関連障害を含む精神障害の処置に使用されてもよい。
一部の実施形態では、化合物、方法及び組成物は、外傷及びストレス要因関連障害、例えば反応性愛着障害、脱抑制型対人交流障害、外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、及び適応障害を含む精神障害を処置するために使用されてもよい。
一部の実施形態では、化合物、方法及び組成物は、栄養補給障害及び摂食障害、例えば神経性無食欲症、神経性過食症、むちゃ食い障害、異食症、反芻障害、及び回避/制限性食物摂取障害を含む精神障害の処置に使用されてもよい。
一部の実施形態において、化合物、方法及び組成物は、神経認知障害、例えばせん妄、重度神経認知障害、軽度神経認知障害、アルツハイマー病による重度又は軽度神経認知障害、重度又は軽度前頭側頭神経認知障害、レビー小体による重度又は軽度神経認知障害、重度又は軽度血管神経認知障害、外傷性脳損傷による重度又は軽度神経認知障害、物質/医薬誘発性重度又は軽度神経認知障害、HIV感染による重度又は軽度神経認知障害、プリオン病による重度又は軽度神経認知障害、パーキンソン病による重度又は軽度神経認知障害、ハンチントン病による重度又は軽度神経認知障害、別の医学的状態による重度又は軽度神経認知障害、並びに複数の病因による重度又は軽度神経認知障害を含む精神障害を処置するために使用されてもよい。
一部の実施形態では、化合物、方法及び組成物は、神経発達障害、例えば自閉症スペクトラム障害、注意欠陥/多動性障害、常同性運動障害、チック障害、トゥレット障害、持続的(慢性)運動性チック障害又は音声チック障害、及び暫定的チック障害を含む精神障害を処置するために使用されてもよい。
一部の実施形態では、化合物、方法及び組成物は、パーソナリティ障害、例えば境界性パーソナリティ障害を含む精神障害を処置するために使用されてもよい。
一部の実施形態では、化合物、方法及び組成物は、性的機能不全、例えば遅発性射精、勃起障害、女性オルガズム障害、女性性的関心/覚醒障害、性器-骨盤痛/侵入障害、男性性欲低下障害、早漏症(早期射精)、及び物質/医薬誘導性性的機能不全を含む精神障害の処置に使用されてもよい。
一部の実施形態では、化合物、方法及び組成物は、性別違和を含む精神障害、例えば性別違和を処置するために使用されてもよい。
用語「有効量」又は「治療有効量」は、これらに限定されないが、悲しみ又は嗜眠、抑うつ気分、不安又は悲しみの感情、全て又はほぼ全ての活動における関心低下、体重増加又は体重減少をもたらす食欲の顕著な増加又は減少、不眠症、易怒性、疲労、無価値感、無力感、集中力欠如、及び繰り返しの死又は自殺念慮の頻度又は重症度の低減を含む、特定の薬理学的及び/又は生理学的効果を達成するか、又は所望の薬理学的及び/若しくは生理学的効果、例えば、神経学的機能不全の根底にある潜在的な病理生理学的機序の1つ又は複数の低減、阻害又は逆転、ドーパミンレベル若しくはシグナル伝達のモジュレーション、セロトニンレベル若しくはシグナル伝達のモジュレーション、ノルエピネフリンレベル若しくはシグナル伝達のモジュレーション、グルタミン酸又はGABAレベル若しくはシグナル伝達のモジュレーション、特定の脳領域におけるシナプス結合性若しくは神経発生のモジュレーション、又はそれらの組合せをもたらすために有効な化合物、材料、組成物、医薬又は他の材料の量を指す。
任意の化合物並びにそれに伴う治療効果及び副作用に関連して使用される用語「治療指数」は、特定の負の副作用を誘発するために必要な前記化合物の用量の、所望の治療効果を誘発するために必要な前記化合物の用量に対する比を指す。例えば、ラセミ体ケタミンの場合、抗うつ治療効果及び解離性副作用は同様の用量で起こり、したがって、この文脈でのこの化合物の治療指数は約1:1である。対照的に、本明細書に開示される化合物は、改善された治療指数、例えば3:1を有する可能性があり、抗うつ治療効果に必要な用量に対して、解離性副作用を誘発するために3倍高い用量が必要である。
一部の実施形態では、方法は、本明細書に開示される化合物の約0.01mg~約400mgを含む医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することによって精神障害を処置する工程を含む。一部の実施形態では、用量は、例えば約0.1~300mg、0.1~250mg、0.1~200mg、0.1~150mg、0.1~100mg、0.1~75mg、0.1~50mg、0.1~25mg、0.1~20mg、0.1~15mg、0.1~10mg、0.1~5mg、0.1~1mg、10~300mg、10~250mg、10~200mg、10~150mg、10~100mg、10~50mg、10~25mg、10~15mg、20~300mg、20~250mg、20~200mg、20~150mg、20~100mg、20~50mg、50~300mg、50~250mg、50~200mg、50~150mg、50~100mg、100~300mg、100~250mg、100~200mgの範囲であってもよく、例えば約0.25mg、0.5mg、0.75mg、1mg、1.25mg、1.5mg、1.75mg、2.0mg、2.5mg、3.0mg、3.5mg、4.0mg、4.5mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、及び400mgの用量が例示される。
一部の実施形態では、投薬量は、本明細書に開示される化合物又はその薬学的に許容される塩の量を、例えば約1mg~200mg、1mg~100mg、1mg~50mg、1mg~40mg、1mg~30mg、1mg~20mg、1mg~15mg、0.01mg~10mg、0.1mg~15mg、0.15mg~12.5mg、又は0.2mg~10mgの範囲で含んでもよく、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1.5mg、1.0mg、1.75mg、2mg、2.5mg、2.75mg、3mg、3.5mg、3.75mg、4mg、4.5mg、4.75mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、8mg、8.5mg、9mg、10mg、11mg、12mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、60mg、75mg、80mg、90mg、100mg、125mg、150mg、及び200mgの用量が用量の具体例である。
典型的に、本明細書に開示される化合物又はその薬学的に許容される塩の投薬量は、それを必要とする患者に、1日1回、2回、3回又は4回、隔日、3日ごと、週1回、又は月1回投与される。一部の実施形態では、投薬量は、例えば約1~400mg/日、又は1~300mg/日、又は1~250mg/日、又は1~200mg/日、例えば300mg/日、250mg/日、200mg/日、150mg/日、100mg/日、75mg/日、50mg/日、25mg/日、20mg/日、10mg/日、5mg/日、又は1mg/日である。
一部の実施形態では、非経口又は吸入用の医薬組成物、例えば、本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩のスプレー又はミストは、約0.005mg/mL~約500mg/mLの濃度を含む。一部の実施形態では、組成物は、本明細書に開示される化合物又はその薬学的に許容される塩を、例えば約0.05mg/mL~約50mg/mL、約0.05mg/mL~約100mg/mL、約0.005mg/mL~約500mg/mL、約0.1mg/mL~約50mg/mL、約0.1mg/mL~約10mg/mL、約0.05mg/mL~約25mg/mL、約0.05mg/mL~約10mg/mL、約0.05mg/mL~約5mg/mL、又は約0.05mg/mL~約1mg/mLの濃度で含む。
一部の実施形態では、組成物は、本明細書に開示される化合物又はその薬学的に許容される塩を、例えば約0.05mg/mL~約15mg/mL、約0.5mg/mL~約10mg/mL、約0.25mg/mL~約5mg/mL、約0.5mg/mL~約7mg/mL、約1mg/mL~約10mg/mL、約5mg/mL~約10mg/mL、約5mg/mL~約15mg/mL、約5mg/mL~約25mg/mL、約5mg/mL~50mg/mL、又は約10mg/mL~100mg/mLの濃度で含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、例えば約10mL、20mL、25mL、50mL、100mL、200mL、250mL、又は500mLの総体積として製剤化される。
典型的に、投薬量は、1日1回、2回、3回若しくは4回、隔日、3日ごと、週2回、週1回、月2回、又は月1回対象に投与されてもよい。一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物は、朝に1回、又は夕方に1回対象に投与される。一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物は、朝に1回、及び夕方に1回対象に投与される。一部の実施形態では、本明細書に開示されるものは、例えば50mg/投与(例えば、150mg/日)の用量で、1日3回(例えば、朝食時、昼食時及び夕食時)対象に投与される。
一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物は、1つ又は複数の用量で25mg/日の用量で対象に投与される。一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物は、1つ又は複数の用量で50mg/日の用量で対象に投与される。一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物は、1つ又は複数の用量で75mg/日の用量で対象に投与される。一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物は、1つ又は複数の用量で100mg/日の用量で対象に投与される。一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物は、1つ又は複数の用量で150mg/日の用量で対象に投与される。一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物は、1つ又は複数の用量で200mg/日の用量で対象に投与される。一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物は、1つ又は複数の用量で250mg/日の用量で対象に投与される。
一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物の投薬量は、0.01~100mg/kg、0.5~50mg/kg、0.5~10mg/kg又は25~50mg/kgを1日1回、2回、3回又は4回である。例えば、一部の実施形態では、投薬量は、0.1mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、5mg/kg、7.5mg/kg、又は10mg/kgを1日1回、2回、3回、又は4回である。一部の実施形態では、対象は、本明細書に開示される化合物の0.01mg~500mgの1日総用量を1日1回、2回、3回、又は4回投与される。一部の実施形態では、24時間以内に対象に投与される総量は、例えば5mg、10mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、60mg、75mg、80mg、90mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mgである。一部の実施形態では、対象は低用量で開始されてもよく、投薬量が増大される。一部の実施形態では、対象は高用量で開始されてもよく、投薬量が減少される。
一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物又は組成物は、医療提供者の監視下で患者に投与される。
一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物又は組成物は、精神活性処置の提供を専門とするクリニックで医療提供者の監視下で患者に投与される。
一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物又は組成物は、医療提供者の監視下で、対象にサイケデリック体験を誘発することを意図した用量で患者に投与される。
一部の実施形態では、医療提供者の監視下での患者への投与は、患者における治療効果を維持するために定期的に行われ、例えば3日ごと、週2回、週1回、月2回、月1回、年3回、年2回、又は年1回である。
一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物又は組成物は、患者が自宅で自分自身で、又はそうでなければ医療提供者の監視から離れた場所で投与される。
一部の実施形態では、患者自身による投与は、患者における治療効果を維持するために定期的に行われ、例えば毎日、隔日、3日ごと、週2回、週1回、月2回、又は月1回である。
一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物又は組成物は、指定された間隔で投与されてもよい。例えば、処置中、患者は、例えば1年、6カ月、90日、60日、30日、14日、7日、3日、24時間、12時間、8時間、6時間、5時間、4時間、3時間、2.5時間、2.25時間、2時間、1.75時間、1.5時間、1.25時間、1時間、0.75時間、0.5時間又は0.25時間ごとの間隔で化合物又は組成物を投与されてもよい。
一部の実施形態において、本明細書に開示される化合物は、その薬学的に許容される塩の形態である。
一部の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に開示される化合物の1種又は複数を含む。
一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物の塩が、方法、使用又は組成物のいずれかに使用される。
一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物の薬学的に許容される塩が、方法、使用又は組成物のいずれかに使用される。
一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物のエステルが、方法、使用又は組成物のいずれかに使用される。
本明細書に開示される化合物のいずれも、開示される方法、使用又は組成物のいずれかに使用することができる。
開示される方法、使用又は組成物に使用される化合物のいずれも、本明細書に開示される任意の他の化合物で置き換えることができる。
開示される一般的化合物のいずれも、開示される方法、使用又は組成物のいずれかに使用することができる。
本明細書で使用される用語「約」又は「およそ」は、当業者によって決定される特定の値に対する許容誤差範囲内を意味し、これは、値が測定又は決定される方法、すなわち測定システムの限界に部分的に依存する。例えば、「約」は、当技術分野の慣行に従い、3標準偏差以内又は3標準偏差より高くを意味することができる。或いは、「約」は、所与の値の20%までの範囲、10%までの範囲、5%までの範囲、及び/又は1%までの範囲を意味することができる。或いは、特に生物学的システム又はプロセスに関して、この用語は、ある値の1桁以内、例えば5倍以内又は2倍以内を意味することができる。本明細書では、「約」と「およそ」は互換的に使用される。
本明細書に開示される化合物は、少なくとも1つの不斉中心を含むことができる。これらの中心は、キラル原子の周りの置換基の配置に応じて、記号「R」又は「S」によって指定される。構造式に別段示されない限り、本開示は、ジアステレオマー、鏡像異性体及びエピマー形態、並びにd-異性体及びl-異性体、並びにそれらの混合物を含む全ての立体化学異性体形態を包含することが理解されるべきである。化合物の個々の立体異性体は、キラル中心を含有する市販の出発材料から合成的に調製することができ、又は鏡像異性体生成物の混合物を調製し、その後ジアステレオマーの混合物に変換し、その後分離又は再結晶する等の分離、クロマトグラフィー技術、キラルクロマトグラフィーカラムでの鏡像異性体の直接分離、又は当技術分野で公知の任意の他の適切な方法によって調製することができる。特定の立体化学の出発化合物は、市販されているか、又は当技術分野で公知の技術によって作製及び分割することができる。更に、本明細書に開示される化合物は、幾何異性体として存在してもよい。本開示は、全てのシス、トランス、シン、アンチ、エントゲーゲン(E)、及びツザメン(Z)異性体、並びにそれらの適切な混合物を企図する。更に、化合物は互変異性体として存在することができ、全ての互変異性異性体が本開示によって提供される。更に、本明細書に開示される化合物は、非溶媒和形態だけでなく、水、エタノール等の薬学的に許容される溶媒による溶媒和形態で存在することができる。一般に、溶媒和形態は、非溶媒和形態と同等であると考えられる。
一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、混合物がラセミ体でないように、その化合物の対応する反対の鏡像異性体に対して、本明細書に開示される任意の化合物の特定の鏡像異性体に富んでいてもよい。そのような場合、異性体の当該混合物は、>0%の鏡像異性体過剰率及び光学純度を有すると理解される。異性体混合物の鏡像異性体過剰率又は光学純度は、>0%、>5%、>25%、>50%、>75%、>90%、>95%、>97%、>98%、又は>99%であってもよい。異性体混合物の鏡像異性体過剰率又は光学純度は、5~100%、25~100%、50~100%、75~100%、90~100%、95~100%、97~100%、98~100%、又は99~100%であってもよい。したがって、例えば、R鏡像異性体を実質的に含まない化合物のS鏡像異性体、又はS鏡像異性体を実質的に含まないR鏡像異性体を含む組成物が本明細書で企図される。更に、命名された化合物が1つより多くのキラル中心を含む場合、本開示の範囲は、ジアステレオマー間の様々な割合の混合物を含む組成物、及び他のジアステレオマーの1種又は複数を実質的に含まない1種又は複数のジアステレオマーを含む組成物も含む。「実質的に含まない」とは、組成物が50%、25%、15%、10%、8%、5%、3%、2%、又は1%未満のマイナーな鏡像異性体又はジアステレオマーを含むことを意味する。
明確にするために、本開示の文脈において、くさび及びダッシュ表記によって定義されるように、任意の特定のキラル中心における特定の立体化学的配向で描かれた化合物の化学構造は、実質的に純粋な形態の前記化合物の指定の立体異性体、又は前記キラル中心において反対の配向を有する立体異性体よりも定義されたキラル中心において指定の立体化学的配向を有する立体異性体に富む混合物を表すことを意図する。
本開示はまた、任意の薬学的に許容される塩を含む、上記及び下記で本明細書に開示される化合物の任意の塩を含んでもよく、ここで本明細書に開示される化合物が正味の電荷(正又は負のいずれか)を有し、少なくとも1つの対イオン(対の負又は正の電荷を有する)がそれに加えられて前記塩を形成する。本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という語句は、哺乳動物における医薬使用に対して安全且つ有効であり、所望の生物活性を有する本明細書に開示される化合物の塩を意味する。薬学的に許容される塩は、本明細書に開示される化合物中に存在する酸性基又は塩基性基の塩を含む。薬学的に許容される酸付加塩は、これらに限定されないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンセンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩及びパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))を含む。本明細書に開示される特定の化合物は、様々なアミノ酸と薬学的に許容される塩を形成することができる。好適な塩基塩は、これらに限定されないが、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛及びジエタノールアミン塩を含む。薬学的に許容される塩に関する総説は、参照により本明細書に組み込まれるBERGEら、66 J. PHARM.SCI.1-19(1977)を参照されたい。
本開示は、本明細書に開示される化合物上に存在する原子の全ての同位体を含むことも意図する。同位体は、同じ原子番号を有するが異なる質量数を有する原子を含む。一般的な例として、また限定するものではないが、水素の同位体は、トリチウム及び重水素を含む。炭素の同位体は、13C及び14Cを含む。
本出願を通した構造中の炭素の任意の表記は、更なる表記なしに使用される場合、12C、13C又は14C等の炭素の全ての同位体を表すことを意図することが留意される。更に、13C又は14Cを含有する任意の化合物は、詳細には本明細書に開示される化合物のいずれかの構造を有してもよい。
また、本出願を通した構造中の水素の任意の表記は、更なる表記なしに使用される場合、1H、2H又は3H等の水素の全ての同位体を表すことを意図することが留意される。更に、2H又は3Hを含有する任意の化合物は、詳細には本明細書に開示される化合物のいずれかの構造を有してもよい。
同位体標識化合物は、一般に、利用される非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、当業者に公知の従来の技術によって調製することができる。
一部の実施形態では、化学構造中の各Dは重水素富化H部位を表し、化合物の各重水素富化H部位における重水素のレベルは、0.02%~100%である。
一部の実施形態では、化学構造中の各Dは重水素富化H部位を表し、化合物の各重水素富化H部位における重水素のレベルは、20~100%、50~100%、70~100%、90~100%、95~100%、97~100%、又は99~100%である。
本開示の方法で使用される化合物上の置換基及び置換パターンは、化学的に安定であり、容易に入手可能な出発材料から当技術分野で公知の技術によって容易に合成できる化合物を提供するために、当業者によって選択されてもよいことが理解される。置換基がそれ自体1つより多くの基で置換される場合、安定な構造が得られる限り、これらの複数の基は同じ炭素上にあっても、異なる炭素上にあってもよいことが理解される。
本開示の方法で使用される化合物を選択する際に、当業者であれば、様々な置換基、すなわちR1、R2等は、化学構造接続性の周知の原則に準拠して選択されるべきであることを認識する。
本明細書で使用される「処置」という用語は、疾患、障害又は状態に対抗することを目的とした患者の管理及びケアを意味する。この用語は、疾患、障害若しくは状態の進行の遅延、症状及び合併症の緩和若しくは軽減、並びに/又は疾患、障害若しくは状態の治癒若しくは排除を含むことを意図する。処置される患者は、好ましくは哺乳動物、特にヒトである。
したがって、本開示は、薬学的に許容される助剤、及び任意選択で他の治療剤と混和された、本明細書の下記及び上記に定義される化合物を含む医薬組成物にも関する。助剤は、組成物の他の成分と適合性であり、その受容者に有害でないという意味で「許容され」なければならない。
医薬組成物は、経口、直腸、鼻、局所(経皮、頬側及び舌下を含む)、膣若しくは非経口(皮下、筋肉内、静脈内及び皮内を含む)投与又はインプラントを介した投与に好適なものを含む。組成物は、薬学の技術分野で周知の任意の方法によって調製することができる。
このような方法は、本開示で使用される化合物又はその組合せを任意の助剤と会合させる工程を含む。助剤は、付属成分とも呼ばれ、当技術分野で従来的なもの、例えば担体、充填剤、結合剤、希釈剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、香味剤、酸化防止剤、及び湿潤剤を含む。このような助剤は、意図された形態及び投与経路に関して、また従来の薬学的慣行と一致するように好適に選択される。
経口投与に好適な医薬組成物は、丸剤、錠剤、ドラジェ若しくはカプセル剤等の個別投薬単位として、又は散剤若しくは顆粒剤として、又は溶液剤若しくは懸濁剤として提示されてもよい。有効成分はまた、ボーラス又はペーストとして提示されてもよい。組成物は更に、直腸投与のための坐剤又は浣腸剤に加工することができる。
錠剤は、有効成分化合物及び好適な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、流動誘発剤、及び溶融剤を含有することができる。ゼラチンカプセルは、有効成分化合物及びラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸等の粉末状担体を含有することができる。同様の希釈剤を使用して、圧縮錠剤を作製することができる。圧縮錠剤は、不快な味をマスキングし、錠剤を大気から保護するために糖衣若しくはフィルムコーティングを施すか、又は消化管内で選択的に崩壊させるために腸溶性コーティングを施すことができる。例えば、錠剤又はカプセル剤の投薬単位形態で経口投与する場合、活性薬物成分を、ラクトース、ゼラチン、寒天、デンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール等の、経口の非毒性の薬学的に許容される不活性担体と組み合わせることができる。好適な結合剤は、デンプン、ゼラチン、グルコース又はベータ-ラクトース等の天然糖類、トウモロコシ甘味料、アカシア、トラガカント、又はアルギン酸ナトリウム等の天然及び合成ガム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックス等を含む。これらの剤形に使用される滑沢剤は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等を含む。崩壊剤は、限定することなく、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム等を含む。
液体剤形で経口投与する場合、経口薬物成分は、エタノール、グリセロール、水等の任意の経口の非毒性の薬学的に許容される不活性担体と組み合わされる。好適な液体剤形の例は、水、薬学的に許容される油脂、アルコール又はエステルを含む他の有機溶媒中の溶液又は懸濁液、エマルジョン、シロップ又はエリキシル、懸濁液、溶液及び/又は非発泡性顆粒から復元された懸濁液、発泡性顆粒から復元された発泡性調製物を含む。このような液体剤形は、例えば好適な溶媒、保存料、乳化剤、懸濁剤、希釈剤、甘味料、増粘剤、及び溶融剤を含有してもよい。経口投与のための液体剤形は、患者の受容性を高めるために着色料及び香味料を含有してもよい。
非経口投与のために好適な組成物は、水性及び非水性無菌溶液を含む。一般に、水、好適な油、生理食塩水、ブドウ糖(グルコース)水溶液及び関連する糖液、並びにプロピレングリコール又はポリエチレングリコール等のグリコールが非経口溶液の好適な担体である。非経口投与用溶液は、好ましくは有効成分の水溶性塩、好適な安定化剤、及び必要に応じて緩衝物質を含有する。単独又は併用のいずれかの重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、又はアスコルビン酸等の酸化防止剤が好適な安定化剤である。また、クエン酸及びその塩、並びにEDTAナトリウムが使用される。更に、非経口溶液は、塩化ベンザルコニウム、メチル-又はプロピル-パラベン、及びクロロブタノール等の保存料を含有することができる。組成物は、単位用量又は複数用量容器、例えば密封されたバイアル及びアンプル中で提示されてもよく、使用前に無菌液体担体、例えば水を加えることのみを必要とする冷凍乾燥(凍結乾燥)状態で保存されてもよい。経皮投与の場合、例えば、ゲル、パッチ又はスプレーが企図されてもよい。例えば、鼻吸入による肺投与に好適な組成物又は製剤は、定量加圧エアロゾル、ネブライザー又は吸入器によって生成され得る微細な粉塵又はミストを含む。非経口形態及び静脈内形態は、選択された注射又は送達システムの種類に適合させるために、鉱物及び他の材料を含むこともできる。
本開示の方法で使用される化合物は、小型単層小胞、大型単層小胞、及び多層小胞等のリポソーム送達系の形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、又はホスファチジルコリン等の様々なリン脂質から形成されてもよい。化合物は、組織標的化エマルジョンの成分として投与することができる。
本開示の方法で使用される化合物は、標的化可能薬物担体として、又はプロドラッグとして可溶性ポリマーに結合させることもできる。そのようなポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノール(polyhydroxyethylasparta-midephenol)、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド-ポリリジンを含む。更に、化合物は、薬物の制御放出を達成するのに有用な生分解性ポリマーのクラス、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシブチル酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアシレート及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロックコポリマーに結合されてもよい。
本明細書の医薬組成物は、即時放出、遅延放出、持続放出、又は調節放出プロファイルを備えてもよい。一部の実施形態では、異なる薬物放出プロファイルを有する医薬組成物を組み合わせて、二相又は三相放出プロファイルを作成することができる。例えば、医薬組成物は、即時放出プロファイル及び持続放出プロファイルを備えてもよい。一部の実施形態では、医薬組成物は、持続放出及び遅延放出プロファイルを備えてもよい。このような組成物は、拍動性製剤、多層錠剤、又は錠剤、ビーズ、顆粒等を含有するカプセル剤として提供されてもよい。
本明細書の医薬組成物は、当技術分野で公知の技術、例えば、粉砕しにくい又は水に溶解しにくい錠剤を作製することにより、乱用抑止機能がもたらされてもよい。
本開示は、上記で説明したような使用のための組成物の使用説明書を含む包装材料と組み合わせた、上記で説明したような医薬組成物を更に含む。
組成物の正確な用量及び投与レジメンは、必然的に、達成すべき治療効果又は栄養効果の種類及び大きさに依存し、特定の化合物、処方、投与経路、又は組成物が投与される個々の対象の年齢及び状態等の要因によって変化し得る。
更に、一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、本明細書に開示される化合物の単一の鏡像異性体、ジアステレオマー、又は構造異性体を含んでもよい。他の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、本明細書に開示される化合物の少なくとも1種の単一の鏡像異性体、ジアステレオマー又は構造異性体と、本明細書に開示される化合物の任意の他の鏡像異性体、ジアステレオマー又は構造異性体との混合物を含んでもよい。更なる実施形態では、前記混合物はラセミ混合物である。他の実施形態では、前記混合物は非ラセミ混合物である(ここで、1種の鏡像異性体又はジアステレオマーは、前記非ラセミ混合物中で濃縮されている)。
本開示の方法で使用される化合物は、本明細書で詳述するものを含む様々な形態で投与されてもよい。化合物による処置は、併用療法又は補助療法の構成要素であってもよく、すなわち薬物を必要とする対象又は患者は、本発明の化合物のうちの1種又は複数と共に、疾患に対する別の薬物を処置又は投与される。この併用療法は、患者が最初に1つの薬物で処置され、次に他の薬物で処置される逐次療法であってもよく、又は2つの薬物が同時に投与されてもよい。これらは、利用される剤形に応じて同じ経路によって独立して、又は2つ以上の異なる投与経路で投与することができる。
本明細書に開示される各実施形態は、他の開示される実施形態のそれぞれに適用可能であると企図される。したがって、本明細書に記載された様々な要素の全ての組合せは、本開示の範囲内である。
立体化学的指定(例えば、以下で提供される特定の化合物のR-及びS-配置)は、例えば、X線結晶学による決定時に異なる場合があることを理解できる。
化合物1及び2並びにそれらのエナンチオマーの調製。
工程1:2-(4-フルオロフェニル)-2-ニトロシクロヘキサン-1-オンの調製
DCE(140mL)中の2-(4-フルオロフェニル)シクロヘキサン-1-オン(14g、72.83mmol、1当量)、CAN(79.85g、145.66mmol、72.59mL、2当量)、及びCu(OAc)2(2.65g、14.57mmol、0.2当量)の混合物を、85℃で12時間撹拌した。完了したら、混合物を濾過し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=100/1~0/1)により精製して、2-(4-フルオロフェニル)-2-ニトロシクロヘキサン-1-オン(6.1g、25.71mmol、収率35.31%)を黄色固体として得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 7.41 - 7.31 (m, 2H), 7.16 (t, J=8.4 Hz, 2H), 3.11 (ddd, J=3.6, 10.4, 14.0 Hz, 1H), 2.87 - 2.76 (m, 1H), 2.73 - 2.64 (m, 1H), 2.60 - 2.48 (m, 1H), 2.02 - 1.88 (m, 3H), 1.84 - 1.72 (m, 1H).
工程2:2-アミノ-2-(4-フルオロフェニル)シクロヘキサン-1-オン(1)の調製
AcOH(10mL)中の2-(4-フルオロフェニル)-2-ニトロシクロヘキサン-1-オン(5.6g、23.61mmol、1当量)の混合物に、Zn(15.44g、236.06mmol、10当量)を数回に分けて添加し、得られた混合物を30℃で12時間撹拌した。完了したら、混合物を濾過し、濃縮した。残留物をDCM(20mL)に溶解し、飽和NaHCO3水溶液(10mL)、H2O(5mL)、及びブライン(10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を分取HPLC(カラム:Agela DuraShell C18(250mm×80mm、10μm);移動相:A:水(NH4HCO3)、B:ACN;B%:35%、20分)により精製して、2-アミノ-2-(4-フルオロフェニル)シクロヘキサン-1-オン(2.9g、13.99mmol、収率59.28%、1)を褐色油状物として得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 7.52 - 7.40 (m, 2H), 7.32 (br s, 1H), 7.34 - 7.20 (m, 2H), 2.93 - 2.92 (m, 1H), 3.08 - 2.92 (m, 1H), 2.74 - 2.63 (m, 1H), 2.63 - 2.50 (m, 1H), 2.28 - 2.16 (m, 1H), 2.10 (br s, 2H), 2.04 - 1.85 (m, 4H).
注記:この化合物の遊離塩基は不安定であり、経時的に二量体化する。これを防止するためには、この化合物の遊離塩基を冷凍して貯蔵するか、又は急速にHCl塩に変換しなければならない。
工程3:(S)-2-アミノ-2-(4-フルオロフェニル)シクロヘキサン-1-オン(1S)及び(R)-2-アミノ-2-(4-フルオロフェニル)シクロヘキサン-1-オン(1R)の調製
ラセミ体1(2.9g)をSFC(カラム:DAICEL CHIRALPAK AD(250mm×30mm、10μm);移動相:A:CO2、B:ETOH中0.1%NH3H2O;B%:27%、注入の間が6分間隔の多重注入プロセス)により分離して、ENT-1遊離塩基(RT=2.266分、1.1g、1.62mmol、1S_FB)を黄色油状物として、ENT-2遊離塩基(RT=2.945分、1.1g、1.28mmol、1R_FB)を黄色油状物として得た。
各遊離塩基の一部を分取HPLC(カラム:Welch Xtimate C18(100mm×25mm、3μm);移動相:A:水(0.04%HCl)、B:ACN;B%:1%~20%、8分)により更に精製して、ENT-1 HCl(RT=2.266分、272mg、HCl塩、1S)を白色固体として、ENT-2 HCl(RT=2.945分、283mg、HCl塩、1R)を白色固体として得た。
ENT-1 HCl、RT=2.266分(ここでS異性体、1Sとして割り当てた);LCMS (RT = 1.449分, MS計算値: 207.1, [M+H]+ = 208.1); 1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 8.83 (br s, 3H), 7.50 - 7.42 (m, 2H), 7.41 - 7.32 (m, 2H), 3.03 (br dd, J=2.4, 14.0 Hz, 1H), 2.45 - 2.27 (m, 2H), 2.21 - 2.05 (m, 1H), 1.97 (td, J=2.8, 9.6 Hz, 1H), 1.81 (br d, J=11.6 Hz, 1H), 1.71 - 1.47 (m, 2H); 13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ = 206.52, 164.22, 161.76, 130.78, 130.69, 130.08, 130.05, 116.90, 116.68, 66.26, 34.75, 27.52, 21.53;ENT-2 HCl、RT=2.945分(ここでR異性体、1Rとして割り当てた);LCMS (RT = 1.449分, MS計算値: 207.1, [M+H]+ = 208.0); 1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 8.84 (br s, 3H), 7.49 - 7.42 (m, 2H), 7.40 - 7.33 (m, 2H), 3.03 (br dd, J=1.6, 14.0 Hz, 1H), 2.45 - 2.27 (m, 2H), 2.23 - 2.06 (m, 1H), 1.97 (dt, J=2.8, 6.1 Hz, 1H), 1.81 (br d, J=11.6 Hz, 1H), 1.70 - 1.46 (m, 2H); 13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ = 206.50, 164.22, 161.76, 130.78, 130.70, 130.08, 130.05, 116.89, 116.68, 66.26, 34.75, 27.51, 21.52.
エナンチオマーを同定する上記保持時間を、遊離塩基を使用し、次のキラル分析方法を使用して決定した:カラム:Chiralpak AD-3(150mm×4.6mm I.D.、3μm);移動相:A:CO2 B:EtOH(0.1%IPAm、v/v);勾配(時間(分)/A%/B%):0.0/90/10、0.5/90/10、3.5/50/50、4.5/50/50、5.0/90/10;流速:2.5mL/分;カラム温度:35℃;ABPR:2,000psi。
工程4:(S)-2-(4-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)シクロヘキサン-1-オン(2S)及び(R)-2-(4-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)シクロヘキサン-1-オン(2R)の調製
化合物1S_FB(540mg、2.61mmol、1当量)及びトリフルオロメタンスルホン酸メチル(427.59mg、2.61mmol、285.06μL、1当量)をN2雰囲気下、0℃にてヘキサフルオロイソプロパノール(40mL)中で合わせ、次いで混合物を25℃に加温するようにし、12時間撹拌した。完了したら、残留物を飽和Na2CO3水溶液(10mL)でpH7に調整し、合わせた有機相をブライン(100mL×2)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物を分取HPLC(カラム:Waters Xbridge C18(150mm×50mm、10μm);移動相:A:水(10mM NH4HCO3)、B:ACN;B%:30%~50%、10分)により精製して、2S(260mg、1.18mmol、収率45.10%)を白色固体として得た。化合物2Rをヘキサフルオロイソプロパノール(60mL)中の1R_FB(590mg、2.85mmol)(他の量はモル当量に基づいてスケーリングした)から出発して同じ手順により調製し、オフホワイトの固体(260mg、1.18mmol、収率41.27%)として得た。
2S(ここでS異性体として割り当てた)(遊離塩基);LCMS (RT = 1.427分, MS計算値: 221.1, [M+H]+ = 222.1); 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ = 7.21 (dd, J = 5.4, 8.8 Hz, 2H), 7.10 - 7.02 (m, 2H), 2.85 - 2.74 (m, 1H), 2.49 - 2.37 (m, 1H), 2.36 - 2.25 (m, 1H), 2.22 (br s, 1H), 2.03 (s, 3H), 1.96 (dt, J = 3.2, 5.8 Hz, 1H), 1.88 - 1.64 (m, 4H); 13C NMR (101 MHz, クロロホルム-d) δ = 211.25, 163.22, 160.76, 134.80, 134.77, 128.98, 128.90, 115.80, 115.59, 69.38, 39.73, 35.92, 28.92, 27.72, 22.24;2R(ここでR異性体として割り当てた)(遊離塩基);LCMS (RT = 1.415分, MS計算値: 221.1, [M+H]+ = 222.1); 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ = 7.25 - 7.17 (m, 2H), 7.11 - 7.02 (m, 2H), 2.85 - 2.75 (m, 1H), 2.48 - 2.38 (m, 1H), 2.35 - 2.19 (m, 2H), 2.04 (s, 3H), 1.97 (br dd, J = 2.8, 6.1 Hz, 1H), 1.89 - 1.66 (m, 4H); 13C NMR (101 MHz, クロロホルム-d) δ = 211.24, 163.22, 160.77, 134.78, 134.74, 128.99, 128.91, 115.81, 115.60, 69.38, 39.73, 35.91, 28.91, 27.72, 22.24.
化合物3及びそのエナンチオマーの調製。
工程1:2-(3-フルオロフェニル)シクロヘキサン-1-オールの調製
THF(150mL)中の1-ブロモ-3-フルオロベンゼン(10g、57.14mmol、6.37mL、1当量)の溶液に、n-BuLi(2.5M、25.14mL、1.1当量)をN2下、-70℃で滴下添加した。添加後、混合物を-70℃で0.5時間撹拌した。次いで、7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン(6.17g、62.86mmol、6.36mL、1.1当量)及びBF3・Et2O(18.98g、62.86mmol、25.1mL、1.1当量)を-70℃で滴下添加した。得られた混合物を-70℃で1.5時間撹拌した。完了したら、反応物をNH4Cl水溶液(800mL)で慎重にクエンチし、次いでEA(300mL×3)で抽出した。合わせた有機相をブライン(500mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=50/1~30/1)により精製して、2-(3-フルオロフェニル)シクロヘキサン-1-オール(7g、36.04mmol、収率63.06%)を無色油状物として得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 7.57 - 7.47 (m, 1H), 7.26 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.23 - 7.12 (m, 2H), 3.86 (dt, J = 4.4, 10.1 Hz, 1H), 2.73 - 2.61 (m, 1H), 2.41 - 2.28 (m, 1H), 2.12 - 2.06 (m, 2H), 2.03 - 1.96 (m, 1H), 1.72 - 1.49 (m, 4H).
工程2:2-(3-フルオロフェニル)シクロヘキサン-1-オンの調製
DCM(70mL)中の2-(3-フルオロフェニル)シクロヘキサン-1-オール(6.7g、34.49mmol、1当量)の溶液に、DMP(43.89g、103.48mmol、32.04mL、3当量)をN2下、0℃で滴下添加した。次いで、混合物を20℃に加温するようにし、16時間撹拌した。完了したら、混合物を濾過し、濾液を飽和Na2SO3水溶液(300mL)で洗浄した。次いで、混合物をNaHCO3水溶液(100mL)でpH8に調整し、混合物をDCM(50mL×3)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=50/1~40/1)により精製して、2-(3-フルオロフェニル)シクロヘキサン-1-オン(4.4g、22.89mmol、収率66.36%)を黄色油状物として得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 7.33 - 7.26 (m, 1H), 6.99 - 6.84 (m, 3H), 3.62 (dd, J = 5.6, 12.1 Hz, 1H), 2.58 - 2.40 (m, 2H), 2.34 - 2.23 (m, 1H), 2.22 - 2.11 (m, 1H), 2.07 - 1.93 (m, 2H), 1.90 - 1.77 (m, 2H).
工程3:2-(3-フルオロフェニル)-2-ニトロシクロヘキサン-1-オンの調製
DCE(40mL)中の2-(3-フルオロフェニル)シクロヘキサン-1-オン(4.2g、21.85mmol、1当量)、Cu(OAc)2(793.69mg、4.37mmol、0.2当量)、及びCAN(23.96g、43.70mmol、21.78mL、2当量)の混合物を脱気し、N2で3回パージし、次いでN2雰囲気下、85℃で16時間撹拌した。完了したら、反応混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=50/1~0/1)により精製して、2-(3-フルオロフェニル)-2-ニトロシクロヘキサン-1-オン(2.42g、10.20mmol、収率46.69%)を黄色油状物として得た。1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ = 7.50 - 7.40 (m, 1H), 7.23 - 7.11 (m, 2H), 7.11 - 7.04 (m, 1H), 3.16 - 3.05 (m, 1H), 2.84 - 2.66 (m, 2H), 2.62 - 2.51 (m, 1H), 2.06 - 1.86 (m, 3H), 1.86 - 1.73 (m, 1H).
工程4:2-アミノ-2-(3-フルオロフェニル)シクロヘキサン-1-オン(3)の調製
AcOH(20mL)中の2-(3-フルオロフェニル)-2-ニトロシクロヘキサン-1-オン(1.99g、8.39mmol、1当量)の混合物に、Zn(8.23g、125.83mmol、15当量)を数回に分けて添加し、得られた混合物を30℃で12時間撹拌した。完了したら、反応混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残留物をNaHCO3水溶液(40mL)でpH8に調整し、水性相をDCM(50mL×2)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残留物を分取HPLC(カラム:Welch Xtimate C18 250×70mm、10μm;移動相:A:水(10mM NH4HCO3)、B:ACN;B%:15%~45%、20分)により精製して、2-アミノ-2-(3-フルオロフェニル)シクロヘキサン-1-オン(1.11g、5.36mmol、収率63.85%、3)を黄色油状物として得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 7.38 - 7.31 (m, 1H), 7.04 - 6.95 (m, 3H), 2.84 - 2.72 (m, 1H), 2.54 - 2.43 (m, 1H), 2.42 - 2.31 (m, 1H), 2.07 - 1.96 (m, 1H), 1.85 - 1.61 (m, 4H).
注記:この化合物の遊離塩基は不安定であり、経時的に二量体化する。これを防止するためには、この化合物の遊離塩基を冷凍して貯蔵するか、又は急速にHCl塩に変換しなければならない。
工程5:(S)-2-アミノ-2-(3-フルオロフェニル)シクロヘキサン-1-オン(3S)及び(R)-2-アミノ-2-(3-フルオロフェニル)シクロヘキサン-1-オン(3R)の調製
ラセミ体3(1.11g、5.36mmol)をSFC(カラム:DAICEL CHIRALPAK AD(250mm×30mm、10μm);移動相:A:CO2、B:ETOH中0.1%NH3H2O;B%:30%、注入の間が5分間隔の多重注入プロセス)により分離した。それぞれの分離したエナンチオマーを含有する溶出液に1M HCl水溶液を添加して、pHを4~5に調整し、次いで各混合物を真空下で濃縮して、粗製の3S(RT=2.081分、376.4mg、HCl塩)及び粗製の3R(RT=2.791分、437mg、HCl塩)を白色固体として得た。しかし、両方の物質がNH4Clで汚染されていたので、以下の手順を行って、NH4Clを除去した。各粗エナンチオマーHClをDCM(10mL)に再溶解し、pHを9~10に調整し、有機相をH2O(5mL×3)で洗浄した。次いで、有機相を真空下で濃縮し、1mLのCH3CN及び10mLのH2Oを残留物に添加し、次いでpHを1M HCl水溶液で4~5に調整した。次いで、混合物を凍結乾燥して、純粋なエナンチオマーのHCl塩である3S(RT=2.081分、330mg、1.18mmol、HCl塩)及び3R(RT=2.791分、320mg、1.14mmol、HCl塩)を白色固体として得た。
3S、RT=2.081分(ここでS異性体として割り当てた)(HCl塩);LCMS (RT = 2.298分, MS計算値: 207.1, [M+H]+ = 208.0); 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 8.63 (br s, 3H), 7.61 - 7.53 (m, 1H), 7.38 - 7.26 (m, 2H), 7.22 - 7.16 (m, 1H), 3.00 (br dd, J = 2.0, 14.0 Hz, 1H), 2.49 - 2.29 (m, 2H), 2.12 (dt, J = 3.6, 13.4 Hz, 1H), 2.03 - 1.92 (m, 1H), 1.82 (br d, J = 10.4 Hz, 1H), 1.71 - 1.49 (m, 2H); 13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ = 206.56, 164.08, 161.65, 137.13, 137.06, 132.01, 131.93, 124.43, 124.40, 117.18, 116.97, 115.32, 115.09, 66.39, 34.94, 27.41, 21.63;3R、RT=2.791分(ここでR異性体として割り当てた)(HCl塩);LCMS (RT = 0.634分, MS計算値: 207.1, [M+H]+ = 208.1); 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 7.99 (br s, 3H), 7.58 - 7.49 (m, 1H), 7.36 - 7.23 (m, 2H), 7.20 - 7.16 (m, 1H), 2.92 (br d, J = 14.0 Hz, 1H), 2.49 - 2.41 (m, 1H), 2.40 - 2.28 (m, 1H), 2.12 - 2.01 (m, 1H), 1.96 (dt, J = 2.8, 6.2 Hz, 1H), 1.87 - 1.78 (m, 1H), 1.71 - 1.49 (m, 2H); 13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ = 206.56, 164.08, 161.65, 137.13, 137.06, 132.01, 131.93, 124.43, 124.40, 117.18, 116.97, 115.32, 115.09, 66.39, 34.94, 27.41, 21.63.
エナンチオマーを同定する上記保持時間を、遊離塩基を使用し、次のキラル分析方法を使用して決定した:カラム:Chiralpak AD-3(150mm×4.6mm I.D.、3μm);移動相:A:CO2 B:EtOH(0.1%IPAm、v/v);勾配(時間(分)/A%/B%):0.0/90/10、0.5/90/10、3.5/50/50、4.5/50/50、5.0/90/10;流速:2.5mL/分;カラム温度:35℃;ABPR:2,000psi。
化合物10及び11の調製
工程1:2-(p-トリル)シクロヘキサン-1-オールの調製
THF(200mL)中の1-ブロモ-4-メチル-ベンゼン(15g、87.70mmol、10.79mL、1当量)の溶液を、-70℃に冷却した。次いで、n-BuLi(2.5M、38.59mL、1.1当量)を添加した。混合物を-70℃で0.5時間撹拌し、次いで7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン(9.47g、96.47mmol、9.76mL、1.1当量)及びBF3・Et2O(13.69g、96.47mmol、11.91mL、1.1当量)を添加した。混合物を-70℃で1.5時間撹拌した。完了したら、反応物を飽和NH4Cl水溶液(40ml)でゆっくりとクエンチし、次いでEtOAc(50mL×3)で抽出した。合わせた有機相をブライン(50mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/1、5/1)により精製して、2-(p-トリル)シクロヘキサン-1-オール(13g、68.32mmol、収率77.9%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ= 7.18 - 7.13 (m, 4H), 3.69 - 3.61 (m, 1H), 2.44 - 2.37 (m, 1H), 2.35 (s, 3H), 2.16 - 2.09 (m, 1H), 1.91 - 1.82 (m, 2H), 1.80 - 1.73 (m, 1H), 1.55 - 1.31 (m, 4H).
工程2:2-(p-トリル)シクロヘキサン-1-オンの調製
CH2Cl2(50mL)中の2-(p-トリル)シクロヘキサン-1-オール(13g、68.32mmol、1当量)の混合物に、デス-マーチンペルヨージナン(43.47g、102.48mmol、31.73mL、1.5当量)を0℃で(添加中、温度を0℃に維持しながら)数回に分けて添加した。次いで、混合物を20℃で12時間撹拌した。混合物を濾過した。濾液を飽和Na2SO3水溶液、飽和Na2CO3水溶液、及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(PE:EA=50:1~5:1)により精製して、2-(p-トリル)シクロヘキサン-1-オン(12.01g、63.82mmol、収率93.41%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ= 7.20 - 7.13 (m, 2H), 7.08 - 7.02 (m, 2H), 3.63 - 3.55 (m, 1H), 2.58 - 2.42 (m, 2H), 2.35 (s, 3H), 2.32 - 2.23 (m, 1H), 2.20 - 2.12 (m, 1H), 2.08 - 1.98 (m, 2H), 1.90 - 1.81 (m, 2H).
工程3:2-ニトロ-2-(p-トリル)シクロヘキサン-1-オンの調製
DCE(150mL)中の2-(p-トリル)シクロヘキサン-1-オン(11g、58.43mmol、1当量)、硝酸セリウムアンモニウム(CAN、64.06g、116.86mmol、58.24mL、2当量)、及びCu(OAc)2(2.12g、11.69mmol、0.2当量)の混合物を、85℃で12時間撹拌した。反応混合物を冷却し、濾過し、濾液を濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、PE/EA=1/0~0/1)により精製して、2-ニトロ-2-(p-トリル)シクロヘキサン-1-オン(5.98g、25.64mmol、収率43.88%)を黄色油状物として得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ= 7.36 - 7.27 (m, 4H), 3.10 (ddd, J = 3.6, 10.9, 14.4 Hz, 1H), 2.99 - 2.89 (m, 1H), 2.76 - 2.65 (m, 1H), 2.65 - 2.54 (m, 1H), 2.44 (s, 3H), 2.05 - 1.92 (m, 3H), 1.86 - 1.73 (m, 1H).
工程4:2-アミノ-2-(p-トリル)シクロヘキサン-1-オン(10)の調製
AcOH(40mL)中の2-ニトロ-2-(p-トリル)シクロヘキサン-1-オン(4.98g、21.35mmol、1当量)の溶液に、Zn(33.50g、512.38mmol、24当量)を0℃で添加した。混合物を25℃で12時間撹拌した。完了したら、混合物を濾過し、濃縮した。残留物をNa2CO3水溶液(150mL)でpH=7に調整した。水性相をDCM(200mL×2)で抽出し、合わせた有機物を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、PE/EA=1/0~0/1)により精製して、2-アミノ-2-(p-トリル)シクロヘキサン-1-オン(1.3g、6.40mmol、収率29.95%)(10)を黄色油状物として得た。LCMS (RT = 1.618分, MS計算値: 203.3, [M+H]+ = 204.1);1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ= 7.14 (q, J = 8.4 Hz, 4H), 2.90 - 2.75 (m, 1H), 2.48 - 2.35 (m, 2H), 2.32 (s, 3H), 1.96 (br s, 3H), 1.83 - 1.52 (m, 4H);13C NMR (101 MHz, クロロホルム-d)δ= 213.76, 138.92, 137.49, 129.93, 126.04, 66.28, 39.83, 39.53, 28.22, 22.76, 20.99.
工程5:2-(メチルアミノ)-2-(p-トリル)シクロヘキサン-1-オン(11)の調製
ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP、60mL)中の2-アミノ-2-(p-トリル)シクロヘキサン-1-オン(583mg、2.87mmol、1当量)の混合物に、トリフルオロメタンスルホン酸メチル(470.65mg、2.87mmol、313.76uL、1当量)を0℃で添加した。次いで、混合物をN2雰囲気下、25℃で12時間撹拌した。混合物を濾過し、濃縮した。残留物を飽和Na2CO3水溶液(100mL)でpH=7に調整した。水性相をEA(100mL×2)で抽出した。合わせた有機相をブライン(100mL×1)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物を分取HPLC(カラム:Welch Xtimate C18 250×70mm、10μm;移動相:A:水(0.05%NH3H2O)、B:ACN;B%:10%~45%、35分)により精製して、2-(メチルアミノ)-2-(p-トリル)シクロヘキサン-1-オン(398.86mg、1.84mmol、収率64.00%)(11)を黄色油状物として得た。LCMS (RT = 1.574分, MS計算値: 217.3, [M+H]+ = 218.1); 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ= 7.21 - 7.17 (m, 2H), 7.16 - 7.10 (m, 2H), 2.92 - 2.83 (m, 1H), 2.44 - 2.36 (m, 2H), 2.35 (s, 3H), 2.04 (s, 3H), 2.01 - 1.91 (m, 1H), 1.86 - 1.68 (m, 4H);13C NMR (101 MHz, クロロホルム-d)δ= 211.35, 137.45, 129.60, 127.17, 69.80, 39.76, 35.30, 28.87, 27.78, 22.31, 21.04.
化合物12の調製
工程1:2-(m-トリル)シクロヘキサン-1-オールの調製
THF(150mL)中の1-ブロモ-3-メチル-ベンゼン(15g、87.70mmol、10.64mL、1当量)の混合物を、-70℃に冷却した。次いで、n-BuLi(2.5M、38.59mL、1.1当量)を添加した。混合物を-70℃で0.5時間撹拌し、次いで7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン(9.47g、96.47mmol、9.76mL、1.1当量)及びBF3・Et2O(13.69g、96.47mmol、11.91mL、1.1当量)を添加した。混合物を-70℃で1.5時間撹拌した。混合物を飽和NH4Cl水溶液(200ml)に注ぎ入れ、EA(100ml×2)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル(PE:EA=100:1~10:1)により精製して、2-(m-トリル)シクロヘキサン-1-オール(13g、68.32mmol、収率77.9%)を無色油状物として得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ= 7.33 - 7.28 (m, 1H), 7.16 - 7.09 (m, 3H), 3.72 (dt, J = 4.0, 10.0 Hz, 1H), 2.50 - 2.44 (m, 1H), 2.41 (s, 3H), 2.22 - 2.14 (m, 1H), 1.92 (br d, J = 10.8 Hz, 2H), 1.83 (br d, J = 12.4 Hz, 1H), 1.61 - 1.36 (m, 4H).
工程2:2-(m-トリル)シクロヘキサン-1-オンの調製
DCM(50mL)中の2-(m-トリル)シクロヘキサン-1-オール(13g、68.32mmol、1当量)の混合物に、デス-マーチンペルヨージナン(43.47g、102.48mmol、31.73mL、1.5当量)を0℃で(添加中、温度を0℃に維持しながら)数回に分けて添加した。次いで、混合物を20℃で12時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を飽和Na2SO3水溶液、飽和Na2CO3水溶液、及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(PE:EA=1:0~5:1)により精製して、2-(m-トリル)シクロヘキサン-1-オン(13g、粗製)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ7.26 - 7.21 (m, 1H), 7.10 - 7.06 (m, 1H), 6.98 - 6.93 (m, 2H), 3.62 - 3.55 (m, 1H), 2.58 - 2.44 (m, 2H), 2.35 (s, 3H), 2.31 - 2.23 (m, 1H), 2.21 - 2.13 (m, 1H), 2.08 - 1.97 (m, 2H), 1.90 - 1.83 (m, 2H).
工程3:2-(m-トリル)-2-ニトロ-シクロヘキサン-1-オンの調製
DCE(200mL)中の2-(m-トリル)シクロヘキサン-1-オン(11g、58.43mmol、1当量)、硝酸セリウムアンモニウム(CAN、64.06g、116.86mmol、58.24mL、2当量)、及びCu(OAc)2(2.12g、11.69mmol、0.2当量)の混合物を、85℃で12時間撹拌した。混合物を冷却し、濾過し、濾過ケーキをEtOAc(80mL×4)により洗浄した。濾液を真空下で濃縮して、残留物を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(SiO2、PE/EtOAc=10/1)により精製して、2-(m-トリル)-2-ニトロ-シクロヘキサン-1-オン(3g、12.86mmol、収率22.01%)を黄色油状物として得た。1H NMR (400MHz, クロロホルム-d)δ= 7.39 - 7.33 (m, 1H), 7.28 (br s, 1H), 7.18 - 7.13 (m, 2H), 3.06 (ddd, J = 3.2, 10.7, 14.3 Hz, 1H), 2.96 - 2.86 (m, 1H), 2.74 - 2.64 (m, 1H), 2.62 - 2.52 (m, 1H), 2.40 (s, 3H), 1.99 - 1.88 (m, 3H), 1.78 (ddd, J = 3.6, 6.6, 10.4 Hz, 1H).
工程4:2-アミノ-2-(m-トリル)シクロヘキサン-1-オン(12)の調製
AcOH(30mL)中の2-(m-トリル)-2-ニトロ-シクロヘキサン-1-オン(2.5g、10.72mmol、1当量)の混合物に、Zn(16.82g、257.22mmol、24当量)を1時間かけて添加し、次いで混合物を20℃で12時間撹拌した。完了したら、混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残留物をDCM(10ml)で溶解し、飽和Na2CO3でpH=8に調整し、DCM(10mL×2)で抽出した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、2-アミノ-2-(m-トリル)シクロヘキサン-1-オン(1.90g、9.35mmol、収率87.21%)(12)を黄色油状物として得た。LCMS (RT = 1.629分, MS計算値: 203.3, [M+H]+ = 204.1);1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d)δ= 7.30 - 7.27 (m, 1H), 7.11 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.09 - 7.05 (m, 2H), 2.91 - 2.83 (m, 1H), 2.49 - 2.41 (m, 2H), 2.36 (s, 3H), 2.07 - 1.94 (m, 1H), 1.80 - 1.650 (m, 4H);13C NMR (101 MHz, クロロホルム-d)δ= 213.83, 141.84, 139.01, 129.14, 128.46, 126.79, 123.08, 66.50, 39.94, 39.49, 28.24, 22.78, 21.57.
化合物7Rの調製
13の調製のための手順
オーバーヘッド撹拌機及びDean-Stark装置を備えた1,000mLのジャケット付き反応器に、1,2-シクロヘキサンジオン(50.0g、428mmol)、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール(54.0g、514mmol)、p-TSA(1.66g、8.6mmol)、及びシクロヘキサン(200mL、4V)を入れ、得られた懸濁液を3時間加熱還流(80℃)して、出発物質の完全な変換を得た。次いで、これを20℃に冷却し、1N NaOH(水溶液)(1V)、続いてMTBE(2V)を入れ、撹拌した。相を分離し、水性相をMTBE(2×2V)で更に抽出し、合わせた有機物を10%ブライン(5V)で1回洗浄し、濃縮した。混合物を1Vのトルエンと1回共沸させて、113gの13(Q-NMRアッセイ:66%、収率87.6%)を得た。粗生成物を更に精製することなく次の工程に用いた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.55 (d, J = 11.1 Hz, 1H), 3.32 (d, J = 11.1 Hz, 1H), 2.38 - 2.35 (m, 2H), 1.8 - 1.79 (m, 2H), 1.67-1.63 (m, 4H), 1.06 (s, 3H), 0.55 (s, 3 H).
15の調製のための手順
オーバーヘッド撹拌機を備えた1Lの丸底フラスコに、化合物13(33.3g、60質量%、0.101mol)、(R)-t-Bu-スルフィンアミド(14、14.62g、0.121mol)、トルエン(80mL)、及びTi(OEt4)(25.31mL、0.121mol)を室温で入れた。混合物を80℃で5~6時間加熱し、続いて室温に冷却して、暗色溶液を得た。この溶液にEDTE(47.5g、2当量)を添加し、混合物を55℃で60分間加熱し、続いて室温に冷却した。25~28℃の上記溶液に12%NaCl(水溶液)(5V)を添加し、混合物を約5分間撹拌し、沈降させた。相を分離し、水性相をトルエン(5V)で2回再抽出した。合わせた有機物を水で1回洗浄した。有機相を活性炭(6%)及びSiO2(10%)のプラグに通して濾過し、濃縮して、粗生成物を黄橙色半固体(NMR質量%により18.9gの正味生成物、63%)として得た。静置すると、生成物がオフホワイトの固体として結晶化し、これを濾過し、次の工程に用いた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.83 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 3.72 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 3.44 - 3.38 (m, 2H), 3.13 - 3.07 (m, 1H), 2.89-2.83 (m, 1H), 1.98-1.85 (m, 1H), 1.81-1.71 (m, 1H), 1.31 (s, 9H), 1.21 (s, 3H), 0.72 (s, 3H).
17の調製のための手順
-5℃のTHF(70mL)中の化合物15(17.5g、58.0mmol)の撹拌溶液に、THF中4-F-フェニルマグネシウムブロミドの1M溶液(16、116mL、116mmol、2当量)を滴下添加した。得られた反応混合物を-5℃で4時間、次いで室温で14時間撹拌した。TLC(50%EtOAc/ヘキサン)は、出発物質の完全な変換を示した。次いで、反応混合物を0℃に冷却し、飽和NH4Cl水溶液(70mL)を滴下添加した。室温に加温した後、水性相をMTBE(2×35mL)で抽出し、合わせた有機層を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させて、粗生成物を得、これをヘプタンで再スラリー化し、続いて濾過して、化合物17(18.24g、79%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.72 - 7.68 (m, 2H), 6.98 - 6.94 (m, 2H), 4.51 (s, 1H), 3.67-3.60 (m, 2H), 3.35 (dd, J = 11.3 Hz及び2.6 Hz, 1H), 3.27 (dd, J = 11.3 Hz及び2.5 Hz , 1H), 2.70 - 2.63 (m, 1H), 2.33 - 2.27 (m, 1H), 2.05-2.01 (m, 1 H), 1.98-1.88 (m, 1H), 1.76-1.66 (m, 1H), 1.62-1.45 (m, 2 H), 1.17 (s, 9H), 0.84 (s, 3H), 0.69 (s, 3H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 161.9 (d, JC-F = 246.9 Hz), 136.64 (d, JC-F = 2.93 Hz), 132.5 (d, JC-F = 7.68 Hz), 113.4 (d, JC-F = 20.76 Hz), 99.8, 69.9, 69.5, 65.8, 56.3, 34.4, 29.7, 22.9, 22.87, 22.81, 22.1, 21.4; 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -116.3.
18の調製のための手順
0℃のメタノール(180mL)中の化合物17(45.0g、113mmol)の懸濁液に、メタノール中3M HClの溶液(113mL、339mmol、3当量)を滴下添加した。得られた反応混合物を室温に加温するようにし、12~14時間撹拌した。反応の完了後、混合物を0℃に冷却し、飽和NaHCO3水溶液(225mL)を滴下添加した。得られた懸濁液にCH2Cl2(90mL)を添加して生成物を溶解し、相を分離した。水性相をCH2Cl2(2×90mL)で抽出し、合わせた有機物をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、粗化合物18(27.1g、82%定量的)を白色固体として得、これを更に精製することなく次の工程に用いた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.62 - 7.52 (m, 2H), 6.99 - 6.90 (m, 2H), 3.57 (dd, J = 23.4, 11.4 Hz, 2H), 3.16 (ddd, J = 11.2, 8.4, 2.7 Hz, 2H), 2.53 - 2.36 (m, 2H), 1.86 - 1.34 (m, 8H), 0.59 (s, 3H), 0.36 (s, 3H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 162.8, 160.4, 141.5, 130.3, 130.2, 113.4, 113.2, 99.6, 70.0, 69.9, 60.4, 34.8, 29.8, 22.5, 22.3, 22.2, 22.1, 21.2; 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -118.5.
19の調製のための手順
無水酢酸(1.9mL、13.63mmol)及びギ酸-d2(0.54mL、13.63mmol)の混合物を、60℃で2時間撹拌し、続いて徐々に0℃に冷却した。次いで、0℃の上記混合物に、CH2Cl2(5mL)中の化合物18(1.0g、3.41mmol)の溶液を添加し、混合物を0℃で2時間撹拌するようにした。TLC(30%EtOAc/ヘキサン)は、出発物質の完全な変換を示した。次いで、混合物を重炭酸ナトリウムの水溶液のゆっくりとした添加により中和し(注意:ガス発生)、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機物を飽和NaHCO3(水溶液)及び水、続いてブラインで1回洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、粗製の19(1.1g、定量的)をオフホワイトの固体として得、これを更に精製することなく次の工程に用いた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.50 - 7.36 (m, 2H), 7.02 - 6.88 (m, 2H), 6.56 - 6.11 (m, 1H), 3.66 - 3.49 (m, 2H), 3.26 - 3.11 (m, 2H), 2.98 - 2.87 (m, 1H), 2.71 - 2.52 (m, 2H), 2.42 - 2.29 (m, 1H), 2.11 - 2.00 (m, 1H), 1.71 - 1.32 (m, 4H), 0.62 - 0.57 (m, 3H), 0.33 - 0.23 (m, 3H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 163.3, 163.2, 160.9, 160.8, 160.1, 138.6 (2C), 136.1, 136.0, 131.1, 131.0, 130.5, 130.4, 114.0, 113.8, 113.7, 113.5, 98.0, 97.9, 70.1, 70.0 (2C), 69.9, 65.4, 63.8, 32.5, 29.9 (2C), 29.5, 23.7, 23.1, 22.1 (2C), 21.9 (2C), 21.8, 21.2, 20.5; 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -116.6, -117.7.
20の調製のための手順
0℃のTHF(4mL)中の19(1.1g、3.42mmol)及びNaBD4(572mg、13.66mmol)の撹拌懸濁液に、THF(2mL)中のヨウ素(1.13g、4.44mmol)の溶液を滴下添加した。次いで、混合物を室温に14時間加温するようにした。次いで、混合物を0℃に冷却し、MeOH(2mL)のゆっくりとした添加によりクエンチし、続いて40℃で1時間加熱した。次いで、得られた透明な溶液を濃縮し、MTBE、続いて水及び1N NaOH(水溶液)で処理して、明確な相分離を得た。MTBE層を分離し、水性相をMTBEで更に1回抽出した。次いで、合わせた有機物を水、続いてブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。粗混合物をSiO2上でのクロマトグラフィー(100%ヘキサンから30~50%EtOAc/ヘキサン)により精製して、20(710mg、67%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.45 - 7.32 (m, 2H), 7.02 - 6.90 (m, 2H), 3.56 (dd, J = 32.3, 11.1 Hz, 2H), 3.16 - 3.03 (m, 2H), 2.51 - 2.41 (m, 1H), 2.27 (td, J = 13.3, 3.8 Hz, 1H), 1.86 - 1.57 (m, 4H), 1.55 - 1.31 (m, 2H), 0.55 (s, 3H), 0.26 (s, 3H); 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -118.7.
7R遊離塩基の調製のための手順
室温のIPA(4V)中の20(640mg、2.6mmol)の溶液に、濃HCL水溶液(4当量)を添加し、混合物を70℃で14時間加熱して、出発物質の完全な変換を得た。次いで、混合物を3N NaOHの溶液(水溶液)で塩基性化し、MTBEで抽出した。合わせた有機物を水で1回洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、粗製の7R遊離塩基(430mg、93%)を無色油状物として得、これを更に精製することなく次の工程に用いた。
7R HClの調製のための手順
MTBE(5mL)中の粗製の7R遊離塩基(430mg)の溶液に、IPA中HClの溶液(1.5当量)を室温で滴下添加した。HCl溶液の添加中に、白色懸濁液の形成が観察された。次いで、得られた白色懸濁液を室温で12~14時間撹拌するようにした。次いで、これを濾過し、MTBE(3×3V)で洗浄して、7R HCl(420mg、84%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.82 (s, 1H), 9.34 (s, 1H), 7.53 - 7.32 (m, 4H), 3.15 (dt, J = 13.8, 3.0 Hz, 1H), 2.45 - 2.27 (m, 2H), 2.16 - 2.03 (m, 1H), 2.02 - 1.79 (m, 2H), 1.72 - 1.48 (m, 2H); 13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 206.5, 164.5, 162.0, 131.6, 131.5, 126.9, 126.9, 117.2, 117.0, 70.8, 40.6, 40.4, 40.2, 40.0, 39.8, 39.6, 39.4, 39.3, 31.8, 27.5, 26.6, 26.4, 26.2, 21.5; 19F NMR (376 MHz, DMSO) δ -111.0.
ヒト肝ミクロソームにおける代謝安定性
開示される化合物をヒト肝ミクロソーム(HLM)における安定性について試験し、結果をTable1(表1)にまとめた。開示される化合物は、このモデルにおいてケタミンよりも大きな代謝安定性を示した。
薬物。化合物は、示した通り、ラセミ体又は純粋なエナンチオマーとして試験した。ケタミンは商業的に入手した。
HLM安定性。成人男性及び女性ドナーからのプールしたHLM(Corning社452117)を使用した。ミクロソームインキュベーションは、マルチウェルプレートにおいて行った。肝ミクロソームインキュベーション培地は、PBS(100mM、pH7.4)、MgCl2(1mM)、及びNADPН(1mM)、並びに1mL当たり0.50mgの肝ミクロソームタンパク質からなるものとした。対照インキュベーションは、NADPH-補因子系をPBSに置き換えることにより実施した。試験化合物(1μM、最終溶媒濃度1.0%)を、一定に振盪しながら37℃でミクロソームと共にインキュベートした。60分にわたって6つの時点を、各時点で反応混合物の60μLアリコートを抜き取って分析した。200ng/mLのトルブタミド及び200ng/mLのラベタロールを内部標準(IS)として含有する180μLの冷(4℃)アセトニトリルを添加することにより、反応アリコートを停止させ、続いて10分間振盪し、次いで4℃にて4,000rpmで20分間の遠心分離によりタンパク質を沈降させた。上清試料(80μL)を、水(240μL)で希釈し、目的に適した液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)法を使用して、残存する親化合物について分析した。
データ分析。消失定数(kel)、半減期(t1/2)及び固有クリアランス(Clint)を、線形回帰分析を使用して、時間に対するlnのプロット(AUC)において決定した。
マウス肝ミクロソームにおける代謝安定性
開示される化合物をマウス肝ミクロソーム(MLM)における安定性について試験し、結果をTable2(表2)にまとめた。開示される化合物は、このモデルにおいてケタミンよりも大きな代謝安定性を示した。
薬物。化合物は、示した通り、ラセミ体又は純粋なエナンチオマーとして試験した。ケタミンは商業的に入手した。
MLM安定性。雄性CD-1マウスからのプールしたMLM(XenoTech社M1000)を使用した。ミクロソームインキュベーションは、マルチウェルプレートにおいて行った。肝ミクロソームインキュベーション培地は、PBS(100mM、pH7.4)、MgCl2(1mM)、及びNADPН(1mM)、並びに1mL当たり0.50mgの肝ミクロソームタンパク質からなるものとした。対照インキュベーションは、NADPH-補因子系をPBSに置き換えることにより実施した。試験化合物(1μM、最終溶媒濃度1.0%)を、一定に振盪しながら37℃でミクロソームと共にインキュベートした。60分にわたって6つの時点を、各時点で反応混合物の60μLアリコートを抜き取って分析した。200ng/mLのトルブタミド及び200ng/mLのラベタロールを内部標準(IS)として含有する180μLの冷(4℃)アセトニトリルを添加することにより、反応アリコートを停止させ、続いて10分間振盪し、次いで4℃にて4,000rpmで20分間の遠心分離によりタンパク質を沈降させた。上清試料(80μL)を、水(240μL)で希釈し、目的に適した液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)法を使用して、残存する親化合物について分析した。
データ分析。消失定数(kel)、半減期(t1/2)及び固有クリアランス(Clint)を、線形回帰分析を使用して、時間に対するlnのプロット(AUC)において決定した。
ラット肝ミクロソームにおける代謝安定性
開示される化合物をラット肝ミクロソーム(RLM)における安定性について試験し、結果をTable 3(表3)にまとめた。開示される化合物は、このモデルにおいてケタミンよりも大きな代謝安定性を示した。更に、化合物1、2、及び3は、フッ素がメチル基によって置き換えられたそれらの類似体(それぞれ、化合物10、11、及び12)よりもはるかに大きな安定性を示した。
薬物。化合物は、示した通り、ラセミ体又は純粋なエナンチオマーとして試験した。ケタミンは商業的に入手した。
RLM安定性。雄性Sprague DawleyラットからのプールしたRLM(XenoTech社R1000)を使用した。ミクロソームインキュベーションは、マルチウェルプレートにおいて行った。肝ミクロソームインキュベーション培地は、PBS(100mM、pH7.4)、MgCl2(1mM)、及びNADPН(1mM)、並びに1mL当たり0.50mgの肝ミクロソームタンパク質からなるものとした。対照インキュベーションは、NADPH-補因子系をPBSに置き換えることにより実施した。試験化合物(1μM、最終溶媒濃度1.0%)を、一定に振盪しながら37℃でミクロソームと共にインキュベートした。60分にわたって6つの時点を、各時点で反応混合物の60μLアリコートを抜き取って分析した。200ng/mLのトルブタミド及び200ng/mLのラベタロールを内部標準(IS)として含有する180μLの冷(4℃)アセトニトリルを添加することにより、反応アリコートを停止させ、続いて10分間振盪し、次いで4℃にて4,000rpmで20分間の遠心分離によりタンパク質を沈降させた。上清試料(80μL)を、水(240μL)で希釈し、目的に適した液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)法を使用して、残存する親化合物について分析した。
データ分析。消失定数(kel)、半減期(t1/2)及び固有クリアランス(Clint)を、線形回帰分析を使用して、時間に対するlnのプロット(AUC)において決定した。
イヌ肝ミクロソームにおける代謝安定性
開示される化合物をイヌ肝ミクロソーム(DLM)における安定性について試験し、結果をTable 4(表4)にまとめた。開示される化合物は、このモデルにおいて中程度から高度に安定であった。化合物2Rは、そのエナンチオマー2SよりもDLMにおいて実質的に安定であった。
薬物。化合物は、示した通り、ラセミ体又は純粋なエナンチオマーとして試験した。ケタミンは商業的に入手した。
DLM安定性。雄性ビーグル犬からのプールしたDLM(XenoTech社D1000)を使用した。ミクロソームインキュベーションは、マルチウェルプレートにおいて行った。肝ミクロソームインキュベーション培地は、PBS(100mM、pH7.4)、MgCl2(1mM)、及びNADPН(1mM)、並びに1mL当たり0.50mgの肝ミクロソームタンパク質からなるものとした。対照インキュベーションは、NADPH-補因子系をPBSに置き換えることにより実施した。試験化合物(1μM、最終溶媒濃度1.0%)を、一定に振盪しながら37℃でミクロソームと共にインキュベートした。60分にわたって6つの時点を、各時点で反応混合物の60μLアリコートを抜き取って分析した。200ng/mLのトルブタミド及び200ng/mLのラベタロールを内部標準(IS)として含有する180μLの冷(4℃)アセトニトリルを添加することにより、反応アリコートを停止させ、続いて10分間振盪し、次いで4℃にて4,000rpmで20分間の遠心分離によりタンパク質を沈降させた。上清試料(80μL)を、水(240μL)で希釈し、目的に適した液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)法を使用して、残存する親化合物について分析した。
データ分析。消失定数(kel)、半減期(t1/2)及び固有クリアランス(Clint)を、線形回帰分析を使用して、時間に対するlnのプロット(AUC)において決定した。
サル肝ミクロソームにおける代謝安定性
開示される化合物をカニクイザル肝ミクロソーム(CLM)における安定性について試験し、結果をTable 5(表5)にまとめた。開示される化合物は、このモデルにおいて中程度から高度に安定であった。化合物2Rは、そのエナンチオマー2SよりもCLMにおいて実質的に安定であった。
薬物。化合物は、示した通り、ラセミ体又は純粋なエナンチオマーとして試験した。ケタミンは商業的に入手した。
CLM安定性。雄性カニクイザルからのプールしたCLM(Corning社452413)を使用した。ミクロソームインキュベーションは、マルチウェルプレートにおいて行った。肝ミクロソームインキュベーション培地は、PBS(100mM、pH7.4)、MgCl2(1mM)、及びNADPН(1mM)、並びに1mL当たり0.50mgの肝ミクロソームタンパク質からなるものとした。対照インキュベーションは、NADPH-補因子系をPBSに置き換えることにより実施した。試験化合物(1μM、最終溶媒濃度1.0%)を、一定に振盪しながら37℃でミクロソームと共にインキュベートした。60分にわたって6つの時点を、各時点で反応混合物の60μLアリコートを抜き取って分析した。200ng/mLのトルブタミド及び200ng/mLのラベタロールを内部標準(IS)として含有する180μLの冷(4℃)アセトニトリルを添加することにより、反応アリコートを停止させ、続いて10分間振盪し、次いで4℃にて4,000rpmで20分間の遠心分離によりタンパク質を沈降させた。上清試料(80μL)を、水(240μL)で希釈し、目的に適した液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)法を使用して、残存する親化合物について分析した。
データ分析。消失定数(kel)、半減期(t1/2)及び固有クリアランス(Clint)を、線形回帰分析を使用して、時間に対するlnのプロット(AUC)において決定した。
ミニブタ肝ミクロソームにおける代謝安定性
開示される化合物をGottingenミニブタ肝ミクロソーム(MPLM)における安定性について試験し、結果をTable 6(表6)にまとめた。開示される化合物は、このモデルにおいて中程度から高度に安定であった。
薬物。化合物は、示した通り、ラセミ体又は純粋なエナンチオマーとして試験した。ケタミンは商業的に入手した。
MPLM安定性。GottingenミニブタからのプールしたMPLM(Xenotech社Z6000)を使用した。ミクロソームインキュベーションは、マルチウェルプレートにおいて行った。肝ミクロソームインキュベーション培地は、PBS(100mM、pH7.4)、MgCl2(1mM)、及びNADPН(1mM)、並びに1mL当たり0.50mgの肝ミクロソームタンパク質からなるものとした。対照インキュベーションは、NADPH-補因子系をPBSに置き換えることにより実施した。試験化合物(1μM、最終溶媒濃度1.0%)を、一定に振盪しながら37℃でミクロソームと共にインキュベートした。60分にわたって6つの時点を、各時点で反応混合物の60μLアリコートを抜き取って分析した。200ng/mLのトルブタミド及び200ng/mLのラベタロールを内部標準(IS)として含有する180μLの冷(4℃)アセトニトリルを添加することにより、反応アリコートを停止させ、続いて10分間振盪し、次いで4℃にて4,000rpmで20分間の遠心分離によりタンパク質を沈降させた。上清試料(80μL)を、水(240μL)で希釈し、目的に適した液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)法を使用して、残存する親化合物について分析した。
データ分析。消失定数(kel)、半減期(t1/2)及び固有クリアランス(Clint)を、線形回帰分析を使用して、時間に対するlnのプロット(AUC)において決定した。
マウスにおける経口生物学的利用能
マウスにおいて、開示される化合物は、血漿(Table 7(表7))及び脳(Table 8(表8))の両方で、ケタミンと比較して、改善した絶対経口生物学的利用能(F)、より長い半減期(t1/2)、より高い最大濃度(Cmax)(用量について補正した場合)、及びより高い絶対曝露(曲線下面積(AUC)により定量される)(用量について補正した場合)を示した。化合物2Rは、そのエナンチオマー2Sと比較して、経口投与後に実質的により高い脳曝露を示した。
方法A:
動物。雄性CD-1マウスをこれらの研究において使用した。動物を無作為に処置群に割り当て、投与前に4時間絶食させた。
薬物。試験化合物を、通常の生理食塩水に溶解し、10mg/kgの用量(遊離塩基に基づいて算出した)及び5mL/kg体重の体積で静脈内(iv)又は経口(po)投与した。化合物は、示した通り、ラセミ体又は純粋なエナンチオマーとして試験した。
試料採取及び生物分析。血液試料は、0.083、0.25、0.5、1、2、4、8及び24時間の時点(1時点当たり4匹の動物)で、2,2,2-トリブロモエタノール麻酔(150mg/kg、ip)下、眼窩洞から、K2EDTAを含有する微小容器内に採取した。血液の採取の直後に、マウスを頸椎脱臼により安楽死させ、脳試料を同じ時点で採取した。全ての試料を直ちに処理し、急速冷凍し、その後の分析まで-70℃で貯蔵した。血漿試料を全血の遠心分離により分離し、アリコート(50μL)を200μLの内部標準溶液(1:1 v/v CH3CN:MeOH中400ng/mL)と混合した。ピペッティングし、6,000rpmで4分間遠心分離することにより混合した後、0.5μLの各上清を、目的に適した液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)法を使用し、各分析物の基準試料を較正及び同定に使用して、薬物について分析した。Bullet Blender(登録商標)ホモジナイザー内にて速度8で30秒間、酸化ジルコニウムビーズ(115mg±5mg)を使用して、脳試料(質量100mg±1mg)を、500μLの内部標準溶液(4:1 v/v MeOH:水中400ng/mL)中に分散させた。均質化後、試料を14,000rpmで4分間遠心分離し、0.5μLの各上清を、目的に適したLC-MS/MS法を使用し、各分析物の基準試料を較正及び同定に使用して、薬物について分析した。
データ分析。定量下限(LLOQ)未満の試料の薬物濃度をゼロとして指定した。薬物動態データ分析は、WinNonlin 5.2(PharSight社)における非コンパートメント、ボーラス注入又は血管外インプット分析モデルを使用して実施した。LLOQ未満のデータ点は、t1/2計算の妥当性を向上させるために欠測として表した。
方法B:
動物。雄性C57BL/6マウスをこれらの研究において使用した。動物を無作為に処置群に割り当て、投与前に4時間絶食させた。
薬物。試験化合物を、通常の生理食塩水(HCl塩として使用する化合物のための)、又はHCl水溶液でわずかに酸性化した通常の生理食塩水(遊離塩基化合物のための)からなるビヒクルに溶解した。次いで、これらを、示した通り、1又は10mg/kgの用量(遊離塩基に基づいて算出した)及び5mL/kg体重の体積で静脈内(iv)又は経口(po)投与した。化合物は、示した通り、ラセミ体又は純粋なエナンチオマーとして試験した。
試料採取及び生物分析。血液試料(約60μL)は、0.08、0.25、0.5、1、2、4、8、及び24時間の時点(1時点当たり4匹の動物)で、軽いイソフルラン麻酔(Surgivet(登録商標))下、後眼窩洞から採取した。血液採取の直後に、血漿を4℃にて4,000rpmで10分間の遠心分離により回収し、試料を生物分析まで-70±10℃で貯蔵した。血液採取に続いて、動物を直ちに屠殺し、腹部大静脈を切開し、全身を、10mLの通常の生理食塩水を使用して心臓から灌流し、脳試料を全ての動物から採取した。単離した後、脳試料を氷冷の通常の生理食塩水中で3回すすぎ(各すすぎは、5~10秒間/使い捨てのペトリ皿内で約5~10mLの通常の生理食塩水を使用してすすぐ)、吸取り紙で乾燥させた。脳試料を、氷冷リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)を使用してホモジナイズした。総ホモジネート体積は、組織質量の3倍であった。全てのホモジネートを、生物分析まで-70±10℃で貯蔵した。生物分析のために、血漿/脳研究試料又はスパイクした血漿/脳較正標準の25μLアリコートを、個々の予めラベルを付けた微小遠心分離管に添加し、続いて100μLの内部標準溶液(グリピジド、アセトニトリル中500ng/mL)を添加し、未記入のものは例外として、100μLのアセトニトリルを添加した。試料を5分間ボルテックスし、次いで4℃にて4,000rpmで10分間遠心分離した。遠心分離に続いて、100μLのそれぞれの透明な上清を、96ウェルプレートに移し、目的に適したLC-MS/MS法を用い、各分析物の基準試料を較正及び同定に使用して分析した。
データ分析。薬物動態パラメーターは、Phoenix(登録商標)WinNonlinソフトウェア(Ver8.0)の非コンパートメント分析ツールを使用して推定した。
ラットにおける経口生物学的利用能
ラットにおいて、開示される化合物は、血漿(Table 9(表9))及び脳(Table 10(表10))の両方で、ケタミンと比較して、改善した絶対経口生物学的利用能(F)、より長い半減期(t1/2)、より高い最大濃度(Cmax)(用量について補正した場合)、及びより高い絶対曝露(曲線下面積(AUC)により定量される)(用量について補正した場合)を示した。化合物2Rは、そのエナンチオマー2Sと比較して、経口投与後に実質的により高い脳曝露を示した。
方法A:
動物。雄性Sprague Dawleyラットをこれらの研究において使用した。動物を無作為に処置群に割り当て、投与前に4時間絶食させた。
薬物。試験化合物を、通常の生理食塩水に溶解し、10mg/kgの用量(遊離塩基に基づいて算出した)及び5mL/kg体重の体積で静脈内(iv)又は経口(po)投与した。化合物は、示した通り、ラセミ体又は純粋なエナンチオマーとして試験した。
試料採取及び生物分析。血液試料は、0.083、0.25、0.5、1、2、4、8、及び24時間の時点(1時点当たり4匹の動物)で、2,2,2-トリブロモエタノール麻酔(150mg/kg、ip)下、眼窩洞から、K2EDTAを含有する微小容器内に採取した。血液の採取の直後に、ラットを頸椎脱臼により安楽死させた。全ての試料を直ちに処理し、急速冷凍し、その後の分析まで-70℃で貯蔵した。血漿試料を全血の遠心分離により分離し、アリコート(50μL)を200μLの内部標準溶液(1:1 v/v CH3CN:MeOH中400ng/mL)と混合した。ピペッティングし、6,000rpmで4分間遠心分離することにより混合した後、0.5μLの各上清を、目的に適した液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)法を使用し、各分析物の基準試料を較正及び同定に使用して、薬物について分析した。
データ分析。定量下限(LLOQ)未満の試料の薬物濃度をゼロとして指定した。薬物動態データ分析は、WinNonlin 5.2(PharSight社)における非コンパートメント、ボーラス注入又は血管外インプット分析モデルを使用して実施した。LLOQ未満のデータ点は、t1/2計算の妥当性を向上させるために欠測として表した。
方法B:
動物。雄性Sprague Dawleyラットをこれらの研究において使用した。動物を無作為に処置群に割り当て、投与前に4時間絶食させた。
薬物。試験化合物を、通常の生理食塩水(HCl塩として使用する化合物のための)、又はHCl水溶液でわずかに酸性化した通常の生理食塩水(遊離塩基化合物のための)からなるビヒクルに溶解した。次いで、これらを、示した通り、1又は10mg/kgの用量(遊離塩基に基づいて算出した)及び5mL/kg体重の体積で静脈内(iv)又は経口(po)投与した。化合物は、示した通り、ラセミ体又は純粋なエナンチオマーとして試験した。
試料採取及び生物分析。血液試料(約60μL)は、0.08、0.25、0.5、1、2、4、8、及び24時間の時点(1時点当たり4匹の動物)で、軽いイソフルラン麻酔(Surgivet(登録商標))下、後眼窩洞から採取した。血液採取の直後に、血漿を4℃にて4,000rpmで10分間の遠心分離により回収し、試料を生物分析まで-70±10℃で貯蔵した。血液採取に続いて、動物を直ちに屠殺し、腹部大静脈を切開し、全身を、10mLの通常の生理食塩水を使用して心臓から灌流し、脳試料を全ての動物から採取した。単離した後、脳試料を氷冷の通常の生理食塩水中で3回すすぎ(各すすぎは、5~10秒間/使い捨てのペトリ皿内で約5~10mLの通常の生理食塩水を使用してすすぐ)、吸取り紙で乾燥させた。脳試料を、氷冷リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)を使用してホモジナイズした。総ホモジネート体積は、組織質量の3倍であった。全てのホモジネートを、生物分析まで-70±10℃で貯蔵した。生物分析のために、血漿/脳研究試料又はスパイクした血漿/脳較正標準の25μLアリコートを、個々の予めラベルを付けた微小遠心分離管に添加し、続いて100μLの内部標準溶液(グリピジド、アセトニトリル中500ng/mL)を添加し、未記入のものは例外として、100μLのアセトニトリルを添加した。試料を5分間ボルテックスし、次いで4℃にて4,000rpmで10分間遠心分離した。遠心分離に続いて、100μLのそれぞれの透明な上清を、96ウェルプレートに移し、目的に適したLC-MS/MS法を用い、各分析物の基準試料を較正及び同定に使用して分析した。
データ分析。薬物動態パラメーターは、Phoenix(登録商標)WinNonlinソフトウェア(Ver8.0)の非コンパートメント分析ツールを使用して推定した。
ミニブタにおける経口生物学的利用能
ミニブタにおいて、化合物2Rは、良好な経口生物学的利用能を示した(Table 11(表11))。
方法:
動物。雄性Bamaミニブタをこれらの研究において使用した。動物を無作為に処置群に割り当て、投与前に終夜絶食させた。
薬物。化合物2Rを、通常の生理食塩水からなるビヒクルに溶解した。次いで、これを、1mg/kgの用量(遊離塩基に基づいて算出した)及び2mL/kg体重の体積で静脈内(iv)又は経口(po)投与した(1投与経路当たりn=3)。
試料採取及び生物分析。血液試料(約500μL)は、0.08、0.25、0.5、1、2、4、8、及び24時間の時点(1時点当たり4匹の動物)で、手動拘束下、橈側皮静脈からK2EDTA管内に採取し、湿潤氷上に置いた。血液採取の直後、採取の15分以内に、血漿を4℃にて3,000gで5分間の遠心分離により回収し、その後、生物分析まで-70±10℃で貯蔵した。生物分析のために、希釈血漿試料については、2μL試料のアリコートを18μLのブランクマトリックスで希釈し、希釈係数を10とした。非希釈試料については、20μL試料のアリコートを、アセトニトリル中の内部標準(ジクロフェナク、60ng/mL)300μLと共に添加した。混合物を10分間ボルテックスし、5,800rpmで10分間遠心分離した。90μLの上清を、96ウェルプレートに移し、目的に適したLC-MS/MS法を用い、各分析物の基準試料を較正及び同定に使用して分析した。
データ分析。薬物動態パラメーターは、Phoenix(登録商標)WinNonlinソフトウェア(Ver8.2)の非コンパートメント分析ツールを使用して推定した。
サルにおける経口生物学的利用能
サルにおいて、化合物2Rは、中程度の経口生物学的利用能を示した(Table 12(表12))。
方法:
動物。雄性カニクイザルをこれらの研究において使用した。動物を無作為に処置群に割り当て、投与前に終夜絶食させた。
薬物。化合物2Rを、通常の生理食塩水からなるビヒクルに溶解した。次いで、これを、1mg/kgの用量(遊離塩基に基づいて算出した)及び2mL/kg体重の体積で静脈内(iv)又は経口(po)投与した(1投与経路当たりn=3)。
試料採取及び生物分析。血液試料(約500μL)は、0.08、0.25、0.5、1、2、4、8、及び24時間の時点(1時点当たり4匹の動物)で、手動拘束下、橈側皮静脈からK2EDTA管内に採取し、湿潤氷上に置いた。血液採取の直後、採取の15分以内に、血漿を4℃にて3,000gで5分間の遠心分離により回収し、その後、生物分析まで-70±10℃で貯蔵した。生物分析のために、希釈血漿試料については、2μL試料のアリコートを18μLのブランクマトリックスで希釈し、希釈係数を10とした。非希釈試料については、20μL試料のアリコートを、アセトニトリル中の内部標準(ジクロフェナク、60ng/mL)300μLと共に添加した。混合物を10分間ボルテックスし、5,800rpmで10分間遠心分離した。90μLの上清を、96ウェルプレートに移し、目的に適したLC-MS/MS法を用い、各分析物の基準試料を較正及び同定に使用して分析した。
データ分析。薬物動態パラメーターは、Phoenix(登録商標)WinNonlinソフトウェア(Ver8.2)の非コンパートメント分析ツールを使用して推定した。
NMDA受容体結合
N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDAR)のMK-801結合部位での開示される化合物の結合親和性を、放射性リガンド結合実験において決定した(Table 13(表13))。ラセミケタミン(rac-ケタミン)について示される値は、文献(Ebertら、1997)から引用する。本開示の化合物は、(R)-ケタミンと同様の、解離性副作用が制限された有用な治療効果を達成するのに理想的な範囲の1~5μM内にある親和性を示した。試験した化合物のうち、2Rは、NMDARに対して最も弱い結合親和性を有しており、また、効力がそのエナンチオマー2Sの約3分の1未満であり、2Rは、2S及びその他の化合物よりも解離性副作用の可能性が低い場合があることを示唆した。
放射性リガンド結合。NMDARに対する試験化合物の親和性を、文献(Javittら1987;Reynoldsら1989)から適合させた方法を使用し、Table14(表14)に記載の条件下、Eurofins Panlabs社による[3H]MK-801を用いる放射性リガンド結合実験において決定した。
SERTにおける機能的活性
セロトニン輸送体(SERT)によるモノアミンの取込みを阻害する、開示される化合物の能力を、トランスフェクトされた細胞における蛍光基質取込みアッセイを使用して測定した(Table 15(表15))。化合物は、SERTを阻害するそれらの能力が様々であり、ある特定の化合物(例えば、2R)はマイクロモル範囲で実質的な阻害活性を示す一方、他の化合物(例えば、3S)は10μMで不活性であった。また、化合物2Rは、そのエナンチオマー2Sよりも活性であった。SERTの阻害剤は、抗うつ及び抗不安効果を有することが周知であり、気分障害に最も一般的に処方される薬物のうちに含まれる(例えばフルオキセチン、セルトラリン等)ことを考慮すると、本開示のある特定の化合物によるSERTの遮断が、それらのNMDAR阻害と相乗作用して、うつ病及び関連障害を処置するための治療活性を増加させることが期待される。実際に、これらの2つの作用機序の間のそのような相乗作用は、動物モデルにおいて示されている(Ates-Alagoz及びAdejare 2013)。更に、SERTとNMDARとの間の比を調整する能力は、意図される臨床適応症に応じた最適な治療プロファイルを得るのに有用である。例えば、NMDARに対してより大きな選択性を有する化合物は、SERT阻害剤の副作用に耐えられない患者にとって好ましい処置となり得る。
取込み阻害。SERTによるモノアミン取込みを遮断する、試験化合物の能力を、Molecular Devices社製の神経伝達物質輸送体取込みアッセイキット(カタログ番号R8173)を使用して決定した。簡潔には、SERTを発現する安定にトランスフェクトされた細胞を成長させ、1ウェル当たり20,000細胞の濃度で384ウェルプレートにプレーティングした。次いで、プレートを37℃及び5%CO2で16~20時間インキュベートした。次いで、培地を吸引し、適切な濃度で試験化合物を含有する25μLのアッセイ緩衝液(0.1%BSAを含有する、HBSS中20mM HEPES)で置き換えた。次いで、プレートを300rpmで15秒間遠心分離し、次いで37℃で30分間インキュベートした。この時点で、25μLの独自の蛍光色素溶液を添加し、プレートを37℃で60分間インキュベートし、次いで蛍光をプレートリーダー(励起波長=440nm、発光波長=520nm)で定量した。独自の色素溶液は、1)SERTの内因性基質を模倣し、それにより、阻害剤の非存在下で細胞内区画に能動輸送される蛍光色素と、2)細胞外区画において色素1の蛍光を阻害するマスキング色素との混合物を含有する。したがって、系の全体的な蛍光は、蛍光色素が細胞内に輸送されるにつれて増加する。SERTの阻害剤の存在下で、色素の取込みが低減し、したがって、蛍光も減少して、この阻害を定量することが可能となる。
SERT結合親和性
開示される化合物を、セロトニン輸送体(SERT)におけるそれらの結合親和性について、競合放射性リガンド結合アッセイ(Eurofins Cerep社)を使用して試験した。アッセイ条件を下記のTable 16(表16)に記載する。結果をTable 17(表17)に示す。2S及び2Rの両方が、それぞれ12及び6.2μMのKi値で、SERTに対して有意な結合を示したが、2R異性体は、約2倍強力であった。SERTの遮断が抗うつ薬の重要な機序であるため、SERTに対する2Rの親和性が2Sと比較して大きいほど、2S異性体よりも良好な抗うつ活性を有する2R異性体が得られる可能性がある。更に、2の両方の異性体は、構造的に関連する化合物である2-(2-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)シクロヘキサン-1-オン(2-F-DCK)よりもSERTリガンドとして実質的に強力であり、2-F-DCKと比較した場合、2の異性体のいずれかは抗うつ活性が優れていることを示唆した。
ラットにおける強制水泳試験
開示される化合物を、以下の手順に従って、23.5時間の前処置時間があるラットでの強制水泳試験(FST)において試験した。化合物2R及び1Sは、ビヒクル対照に比べて無動時間を低減させ、抗うつ様効果を示した(図1)。
動物。8~10週齢の雄性Sprague Dawleyラットを実験において使用した。動物を、制御された温度(22±3℃)及び相対湿度(30~70%)条件下に2匹の群で収容し、12時間の明/暗サイクルにし、食餌及び水を自由に与えた。苦痛を最小限にするためにあらゆる努力を行った。
薬物及び薬物投与。試験化合物、生理食塩水ビヒクル、及び陽性対照デシプラミンを、遊離塩基に基づいて算出した用量で皮下(s.c.)投与した。通常の生理食塩水を、HCl塩として得られた化合物のためのビヒクルとして使用した一方、1~2モル当量のHClで酸性化した生理食塩水を、遊離塩基として得られた化合物のためのビヒクルとして使用した(可溶性HCl塩をin situで形成するため)。全ての化合物を5mL/kgの体積で投与した。試験化合物及びビヒクルを、練習水泳(水泳1)の開始の0.5時間後及び試験水泳(水泳2)の23.5時間前に投与した。デシプラミンを、3回、試験水泳(水泳2)前の23.5時間、5時間、及び1時間の時点で各時点20mg/kgの用量で投与した。
強制水泳試験(FST)。動物を体重に基づいて無作為化し、確実に、群間変動を最小限にして、群間で平均体重の±20%を越えないようにした。群サイズは、1処置当たりn=10とした。実験手順の開始の前の5日間、ラットを1日1回、約2分間取り扱った。実験の最初の日(すなわち0日目)に、無作為化後、練習水泳セッション(水泳1)を、12:00時から18:00時の間に全ての動物で、深さ30cmの23~25℃の水を含有する個別のガラスシリンダー(高さ46cm×直径20cm)にラットを15分間入れることにより行った。水泳1の終わりに、動物をペーパータオルで乾燥させ、加熱した乾燥ケージに15分間入れ、次いでそれらのホームケージに戻した。次いで、動物に、適切な薬物又はビヒクル処置を上記の通り投与した。明瞭性のために、水泳2の23.5時間前の化合物投与時間は、水泳1の開始の0.5時間後及び水泳1の終了の0.25時間後(すなわち、ホームケージに戻した直後)を意味する。1日目(すなわち、水泳1の開始の24時間後)に、動物に、5分間であるが他の点では水泳1と同じ条件下で試験水泳(水泳2)を実施した。全ての水泳セッション中、各動物の間に水を交換した。
行動スコア化は、処置群に対して盲検化された観察者により行われた。動物を水泳2の間に継続して観察し、次の行動を行うことに費やした総時間を記録した:無動、水泳、及びよじ登り。ラットがもがくことなく水中に浮いたまま、その頭部を水面上に保つのに必要な動きしかしない場合に、無動であると判定した。ラットがその頭部を水面上にただ維持するのに必要とされる以上の能動的な水泳運動(例えば、シリンダー内を動き回ること)をした場合に、水泳していると判定した。ラットが通常は壁に向けて、その前肢を用いて水を出入りする能動的な動きをした場合に、よじ登っていると判定した。
統計分析。データ点は、平均±平均の標準誤差(SEM)として表した。分析は、GraphPad Prism 6を使用して実施した。群間の比較は、一元配置分散分析(ANOVA)を使用し、続いてビヒクルとの比較にダネット検定を使用して実施した。
化合物2R及びその重水素化対応物7Rの比較代謝
ラットにおける経口投与後、重水素化化合物7Rは、その非重水素化対応物2Rと比較して、血漿及び脳においてより大きな曝露(曲線下面積(AUC)により定量される)を示した(Table 18(表18))。この効果は、脳において最も顕著であった。更に、Cmaxについては、血漿及び脳の両方において、7Rからの活性代謝産物1Rの形成が、2Rからのその形成と比較して減少した(Tables 18(表18))。この効果は、より早い時点(例えば、1時間以下)で最も顕著であり、その時点では、2Rに由来する1Rのレベルが、7Rに由来する1Rのレベルよりも約2倍高かった(Tables 19(表19)及び20(表20)、図2及び図3)。
動物。雄性Sprague Dawleyラットをこれらの研究において使用した。動物を無作為に処置群に割り当て、投与前に4時間絶食させた。
薬物。試験化合物2R及び7Rを、通常の生理食塩水からなるビヒクルに溶解した。次いで、これらを、10mg/kgの用量(遊離塩基に基づいて算出した)及び5mL/kg体重の体積で経口(po)投与した。
試料採取及び生物分析。血液試料(約60μL)は、0.08、0.25、0.5、1、2、4、8、及び24時間の時点(1時点当たり4匹の動物)で、軽いイソフルラン麻酔(Surgivet(登録商標))下、後眼窩洞から採取した。血液採取の直後に、血漿を4℃にて4,000rpmで10分間の遠心分離により回収し、試料を生物分析まで-70±10℃で貯蔵した。血液採取に続いて、動物を直ちに屠殺し、腹部大静脈を切開し、全身を、10mLの通常の生理食塩水を使用して心臓から灌流し、脳試料を全ての動物から採取した。単離した後、脳試料を氷冷の通常の生理食塩水中で3回すすぎ(各すすぎは、5~10秒間/使い捨てのペトリ皿内で約5~10mLの通常の生理食塩水を使用してすすぐ)、吸取り紙で乾燥させた。脳試料を、氷冷リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)を使用してホモジナイズした。総ホモジネート体積は、組織質量の3倍であった。全てのホモジネートを、生物分析まで-70±10℃で貯蔵した。生物分析のために、血漿/脳研究試料又はスパイクした血漿/脳較正標準の25μLアリコートを、個々の予めラベルを付けた微小遠心分離管に添加し、続いて100μLの内部標準溶液(グリピジド、アセトニトリル中500ng/mL)を添加し、未記入のものは例外として、100μLのアセトニトリルを添加した。試料を5分間ボルテックスし、次いで4℃にて4,000rpmで10分間遠心分離した。遠心分離に続いて、100μLのそれぞれの透明な上清を、96ウェルプレートに移し、目的に適したLC-MS/MS法を用い、各分析物の基準試料を較正及び同定に使用して分析した。親化合物(2R又は7R)及び代謝産物1Rの濃度を全ての試料において決定した。
データ分析。薬物動態パラメーターは、Phoenix(登録商標)WinNonlinソフトウェア(Ver8.0)の非コンパートメント分析ツールを使用して推定した。
肝ミクロソームにおける安定性
化合物2R、2S、及び2-(2-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)シクロヘキサン-1-オン(2-F-DCK)を、様々な種の肝ミクロソーム調製物における安定性について試験した(Table 21(表21))。2R及び2Sの両方が、複数の種にわたって2-F-DCKよりもはるかに安定であり(より低い固有クリアランス、Clintにより示される通り)、2R及び2Sは2-F-DCKよりも高い経口生物学的利用能を示す可能性があることを示唆した。
一般手順。簡潔には、試験化合物(最終濃度1μM)を、NADPH(1mM)を含む又は含まない50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)中で、示された種の雄性動物からの肝ミクロソーム(最終タンパク質濃度0.5mg/mL)と共に2連でインキュベートした。総インキュベーション体積は500μLであった。0、5、15、30、及び60分の時点で、50μLのアリコートを抜き取り、アセトニトリル(150μL)でクエンチし、目的に適したLC-MS/MS法を使用して、残存する親化合物について分析した。固有クリアランス及び半減期を算出した。0未満のクリアランス値は0に丸めた。
NMDA受容体での非遮断動態
化合物2R、2S、及び2-(2-フルオロフェニル)-2-(メチルアミノ)シクロヘキサン-1-オン2-F-DCKを、組換えヒトNMDA受容体(GRIN1/GRIN2B)を発現するアフリカツメガエル(Xenopus laevis)卵母細胞において、NMDA受容体での非遮断動態について試験した(Table 22(表22))。2R及び2Sの両方が、2-F-DCKと比較して、非遮断についてはるかに短い半減期を示した。NMDA受容体からの急速な解離動態は、NMDA受容体アンタゴニストの間でのより大きな忍容性と相関すると考えられているため、これらの知見は、2R及び2Sが、解離性副作用の点で2-F-DCKよりも忍容性が良好である可能性があることを示唆する。
実験手順。卵母細胞を成体アフリカツメガエルから回収し、96ウェルプレート中で2~4日間インキュベートした後、記録を行った。ヒトNMDA受容体サブユニットGRIN1及びGRIN2BをコードするcDNAを含有するプラスミドを、mMessage mMachine T7転写キット(Ambion社、米国)を使用して転写した。Roboocyte自動注入システムを、1つのサブユニット当たり100ng/μLの濃度で、hNMDA受容体サブユニットをコードするcRNAの注入に使用した。卵母細胞を-70mVの保持電位に固定し、化合物適用後の誘導電流を室温にて200Hzでサンプリングした。アゴニスト誘導電流を2電極電位固定で記録した。非遮断動態を決定するために、グルタミン酸及びグリシン(それぞれ3及び10μM)を卵母細胞に適用し、電流を90秒間記録した。次いで、化合物を3×IC50で120秒間適用し、電流を記録した。
マウスにおける2R、2S、及び2-F-DCKの比較薬物動態
マウスにおける経口投与後、試験した化合物は、同様の血漿薬物動態を示した(Table 23(表23))。しかし、脳(Table 24(表24))において、化合物2R及び2Sは、2-F-DCKと比較して、実質的により長い半減期(t1/2)、より高い最大濃度(Cmax)、及びより大きな総曝露(曲線下面積(AUC)により定量される)を示した。更に、脳薬物動態において2のエナンチオマーの間で実質的な差が存在し、2Rは、そのエナンチオマー2Sと比較して、実質的により長い半減期(t1/2)及びより大きなAUCを示した。
動物。雄性C57BL/6マウスをこれらの研究において使用した。動物を無作為に処置群に割り当て、投与前に4時間絶食させた。
薬物。試験化合物を、通常の生理食塩水からなるビヒクルに溶解した。次いで、これらを、10mg/kgの用量(遊離塩基に基づいて算出した)及び10mL/kg体重の体積で経口(po)投与した。
試料採取及び生物分析。血液試料(約60μL)は、0.08、0.25、0.5、1、2、4、8、及び24時間の時点(1時点当たり4匹の動物)で、軽いイソフルラン麻酔(Surgivet(登録商標))下、後眼窩洞から採取した。血液採取の直後に、血漿を4℃にて4,000rpmで10分間の遠心分離により回収し、試料を生物分析まで-70±10℃で貯蔵した。血液採取に続いて、動物を直ちに屠殺し、腹部大静脈を切開し、全身を、10mLの通常の生理食塩水を使用して心臓から灌流し、脳試料を全ての動物から採取した。単離した後、脳試料を氷冷の通常の生理食塩水中で3回すすぎ(各すすぎは、5~10秒間/使い捨てのペトリ皿内で約5~10mLの通常の生理食塩水を使用してすすぐ)、吸取り紙で乾燥させた。脳試料を、氷冷リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)を使用してホモジナイズした。総ホモジネート体積は、組織質量の3倍であった。全てのホモジネートを、生物分析まで-70±10℃で貯蔵した。生物分析のために、血漿/脳研究試料又はスパイクした血漿/脳較正標準の25μLアリコートを、個々の予めラベルを付けた微小遠心分離管に添加し、続いて100μLの内部標準溶液(グリピジド、アセトニトリル中500ng/mL)を添加し、未記入のものは例外として、100μLのアセトニトリルを添加した。試料を5分間ボルテックスし、次いで4℃にて4,000rpmで10分間遠心分離した。遠心分離に続いて、100μLのそれぞれの透明な上清を、96ウェルプレートに移し、目的に適したLC-MS/MS法を用い、各分析物の基準試料を較正及び同定に使用して分析した。
データ分析。薬物動態パラメーターは、Phoenix(登録商標)WinNonlinソフトウェア(Ver8.0)の非コンパートメント分析ツールを使用して推定した。
本開示のある特定の特徴が本明細書に例示及び記載されているが、ここで多くの修正、置換、変更、及び均等物が当業者に想起されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が、本開示の真の精神の範囲内にある全てのそのような修正及び変更を網羅することを意図していることが理解されるべきである。

Claims (16)

  1. からなる群から選択される、単離された、実質的に鏡像異性的に純粋な化合物又はその薬学的に許容される塩。
  2. からなる群から選択される鏡像異性体化合物又はその薬学的に許容される塩であって、前記鏡像異性体化合物が、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%の前記鏡像異性体化合物を有する鏡像異性体混合物中に存在する、鏡像異性体化合物又はその薬学的に許容される塩。
  3. 又はその薬学的に許容される塩である、請求項1又は2に記載の化合物。
  4. 又はその薬学的に許容される塩である、請求項1又は2に記載の化合物。
  5. 又はその薬学的に許容される塩である、請求項1又は2に記載の化合物。
  6. 又はその薬学的に許容される塩である、請求項1又は2に記載の化合物。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
  8. 経口組成物である、請求項7に記載の医薬組成物。
  9. からなる群から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩の鏡像異性体混合物を含む組成物であって、前記鏡像異性体混合物が、NMDA受容体MK-801部位でのより高い結合親和性を有する鏡像異性体を有意により多い量で有する、組成物。
  10. 化合物:
    又はその薬学的に許容される塩の鏡像異性体混合物を含む組成物であって、前記鏡像異性体混合物が、NMDA受容体MK-801部位でのより低い結合親和性を有する鏡像異性体を有意により多い量で有する、組成物。
  11. それを必要とする対象におけるうつ病、不安うつ病、気分障害、不安障害、又は物質使用障害及びそれに関連する任意の症状又は障害を処置する方法であって、それを必要とする対象に請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物又は組成物の有効量を投与する工程を含む方法。
  12. 前記化合物又は組成物が、経口投与される、請求項11に記載の方法。
  13. それを必要とする対象におけるうつ病又は不安うつ病を処置する方法であって、それを必要とする対象に請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物又は組成物の有効量を投与する工程を含む方法。
  14. 前記化合物又は組成物が、経口投与される、請求項13に記載の方法。
  15. それを必要とする対象におけるうつ病、不安うつ病、気分障害、不安障害、又は物質使用障害及びそれに関連する任意の症状又は障害を処置する方法であって、それを必要とする対象に、
    からなる群から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を投与する工程を含む方法。
  16. 前記化合物又は組成物が、経口投与される、請求項15に記載の方法。
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