JP2024542308A - ワイヤグリッド偏光子反射制御着色フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
本出願は、「着色フィルムを用いたワイヤグリッド偏光子反射制御」の名称で2021年10月18日に出願された米国仮出願第63/262679号の恩恵および優先権を主張するものであって、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
光学レンズ用の偏光機能は、眼用のレンズとして使用することから、透過性であることが要求され、一般的には、延伸ポリエステルまたはポリビニルアルコールまたはPVAフィルムを使用した後、ヨウ素または適切な有機染料などの導電性材料を吸収させることによって提供される。このような延伸フィルム偏光シートは、最大99.9%の偏光効率を有し得る。但し、このような高レベルの効率においては、光透過が通常20パーセント近いレベルまで低下する。
現在利用可能なPVAベースの偏光フィルタの実現可能な代替となり得る別のタイプの偏光フィルタは、一般的に、基板上に互いに離れてリソグラフィで堆積された微細金属ワイヤを使用するワイヤグリッド偏光子である。その高い熱安定性により、ワイヤグリッド偏光子は、一般的に、ビデオ投影システム、医療用撮像、およびデジタルカメラにおいて使用される。ワイヤグリッド偏光子は、他の一般的な偏光技術と比べて、比較的高価なため、アイウェアでの使用があまり一般的ではなく、これらの金属グリッドは、入射光を反射して着用者の眼に返す傾向があり、視覚障害を引き起こす可能性がある。そのため、ワイヤグリッド偏光子は、このような費用および好ましくない反射性能特性のため、眼鏡メーカの間ではあまり人気がないままとなっている。
しかしながら、ワイヤグリッド偏光子の後面反射および製造コストを抑制することができれば、現在利用可能なPVAベースまたはその他の同様の偏光フィルタよりもワイヤグリッド偏光子の熱安定性が高いため、このタイプの偏光子は、サングラス産業にとってより良い選択肢となるはずである。
光学レンズを含むワイヤグリッド偏光子は、ミラー積層体の追加層で偏光子をコーティングして鏡面仕上げを提供することができるか、または反射性導体金属でワイヤグリッド偏光子に反射コーティングを形成することができれば、より一層見た目が美しくなり、より望ましいものとすることができる。
しかしながら、偏光光学レンズに鏡面仕上げを適用するための既存の技術では、バッチスパッタリングまたは真空蒸着プロセスを使用する。これらのプロセスは、主に、連続プロセスに見られる規模の経済性に達することができないため、高価となる。更に、これらのプロセスでは、レンズ表面上に最後にミラー層を堆積させ残存させて偏光レンズを生成するため、レンズの使用、輸送、および保管においてつきものとなる別の危険にさらされる可能性がある。従って、ミラーコーティングは、摩耗および環境による損傷に対して脆弱であり、偏光光学レンズを劣化させる可能性がある。例えば、このようなレンズのミラー積層体に損傷(例えば、引っ掻き傷)が生じると、その損傷は比較的目立ち、光学レンズの外観を劣化させる。従来の真空蒸着法には、特に、商業的に望ましい選択肢である銀鏡をプロセスで適用するのが困難であるという点で、更なる制限がある。
従って、追加のフィルム、例えば着色フィルム、またはそれ以外の同様の機能性フィルム、例えば機能性フォトクロミックフィルムをミラー層の上に組み込んだ鏡面仕上げの偏光光学レンズを提供することが有利であり、このとき、着色フィルムまたは機能性フォトクロミックフィルムは、摩耗およびその他の環境による損傷から偏光子の鏡面仕上げを保護する層として機能し得る。
従って、レンズの後面または着用者側での反射率が低減され、良好なコスト効率で大規模に製造することができ、レンズの前面または視認者側に鏡面仕上げを有し、見た目に美しく、透明で、選択された着色フィルムまたは機能的フォトクロミックフィルムでミラー層を保護可能な、改善されたワイヤグリッド偏光子を使用するワイヤグリッド偏光光学レンズを開発する必要がある。
本明細書では、平行な複合ワイヤのアレイを備えた、入射光ビームを偏光させるためのワイヤグリッド偏光子について説明する。いくつかの例において、複合ワイヤの各々は、低屈折率金属層上にコーティングされた少なくとも1つの高屈折率材料層を有するコーティング積層体を備え、当該コーティング積層体は、ワイヤグリッド偏光子の後方反射を6%未満に低減するように構成される。
いくつかの例では、ワイヤグリッド偏光子の上面に銀ミラー層を堆積し、着色フィルムをミラー層に積層して、ミラー層を摩耗および環境損傷から保護するようにしてもよい。この着色フィルム積層鏡面仕上げワイヤグリッド偏光子を光学レンズに組み込むと、視認者に、光学レンズの美的に魅力的な着色ミラーの外観を提供することができ、ワイヤグリッド偏光子は、光学レンズの後面反射を6%未満に低減することができる。
いくつかの例において、ワイヤグリッド偏光子が着色フィルムと共に積層されている場合、ワイヤグリッド偏光子は、透過色と反射色とで異なる強度を示し得る。このような場合、着色フィルム積層ワイヤグリッド偏光子の反射色の強度は、着色フィルム積層ワイヤグリッド偏光子の透過色の強度よりも高くすることができる。
いくつかの例において、光学レンズは、構造化された表面を有する機能性フォトクロミックフィルムを備えていてもよく、ワイヤグリッド偏光子を機能性フォトクロミックフィルムの構造化された表面上に堆積させて、積層体を形成するようにしてもよい。機能性フォトクロミックフィルムおよびワイヤグリッド偏光子を含む積層体は、2つの追加の保護層の間に挟まれるようにしてもよい。いくつかの例において、保護層は、光学レンズの基材と同じ材料を含有していてもよい。
いくつかの例によれば、着色フィルム積層鏡面仕上げワイヤグリッド偏光子は、高屈折率金属層がワイヤグリッド偏光子の着用者側の方にコーティングされている場合に、光学レンズの後方反射のみを低減するように構成してもよい。いくつかの例において、着色フィルム積層鏡面仕上げワイヤグリッド偏光子は、高屈折率金属層がワイヤグリッド偏光子の視認者側の方にコーティングされている場合に、光学レンズの前面反射のみを低減するように構成される。いくつかの例において、着色フィルム積層鏡面仕上げワイヤグリッド偏光子は、高屈折率層がワイヤグリッド偏光子の視認者側と着用者側との両方にコーティングされている場合に、光学レンズの前面反射と後面反射との両方を低減するように構成される。いくつかの例によれば、着色フィルム積層鏡面仕上げワイヤグリッド偏光子は、光学レンズの後方反射を約2%まで低減するように構成される。
本発明の実施例が実現可能な、これらおよびその他の態様、特徴、および利点は、添付の図面を参照した、本発明の実施例についての以下の説明から明らかとなり、解明されるはずである。
以下、本発明の具体的な実施例について、図面を参照して説明する。但し、本発明は、多くの異なる形態で具現化可能であり、本明細書に記載する実施例に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施例は、本開示が綿密で完全なものとなり、本発明の範囲が当業者に十分に伝わるようにするために提供されるものである。添付の図面に示された実施例の詳細な説明において使用する用語は、本発明の限定を意図するものではない。図面において、同様の番号は、同様の要素を指している。様々な実施例について説明するが、各実施例の特徴は、説明されている別の実施例と互換的に使用し得る。言い換えれば、実施例のそれぞれの特徴は、いずれも、互いに混在させたり、組み合せたりし得るものであり、実施例は、必ずしも、開示または説明した特徴のみを備えると厳密に解釈されるべきではない。
本明細書の一態様は、コスト効率のために、ロールツーロール技術(ナノインプリントリソグラフィ,即ちNIL)を使用して、ウェハ内にワイヤグリッド偏光子を作成し、それらワイヤグリッド偏光子を光学レンズに適用して大量にワイヤグリッド偏光光学レンズを形成できるように、ワイヤグリッド偏光子の製造を拡大することを目的とする。
本発明の別の態様は、ミラーコーティング層に、着色フィルム、または、例えばフォトクロミックフィルムなど、機能性フィルムのいずれかを積層して、着用者の目への後面反射を低減し、視認者には前面が着色ミラーのような外観を呈するミラーコーティングワイヤグリッド偏光子を生成しようとするものである。これは、基板、例えばスライドガラス上のポリマグリッドを構成し、このポリマグリッドを、高反射性金属層、例えばアルミニウム(Al)層でコーティングし、このアルミニウム層の上に、高吸光度を有した別の金属成分、例えばゲルマニウム(Ge)のジルコニウム(Zr)またはニッケル(Ni)を、例えば、真空蒸着法によって蒸着することによって達成することができる。ワイヤグリッド偏光子は、更に、蒸着法により、例えば銀ミラー層をコーティングすること、または反射性導体金属、例えば金、アルミニウム、銅、ニオブ、クロム、スズ、もしくは同様の金属による反射性コーティングを行うことにより、鏡面仕上げを施すようにしてもよい。最後に、鏡面仕上げ偏光子層を、選択した着色透明フィルムまたは機能性フォトクロミックフィルムと共に積層して、着色鏡面仕上げワイヤグリッド偏光子を形成するようにしてもよい。別のいくつかの実施例では、鏡面仕上げワイヤグリッド偏光子層を、着色透明フィルムおよびその他の任意の層、例えば反射防止層、防曇層、イージークリーン層、またはその他の同様の層と共に積層してもよいが、積層する層は、これらに限定されない。
本明細書において、光学物品の前面は、視認者の側を指し、光学物品の後面は、着用者の側を指す。前側および視認者側、ならびに後側および着用者側は、本明細書全体を通して互換的に使用される。
いくつかの実施例において、着色透明フィルムの厚さは、着色透明フィルムが、例えばポリカーボネートフィルムである場合、約0.1mm~0.4mmの範囲としてもよい。別のいくつかの実施例では、機能性フォトクロミック層中に色または色合いが存在し得る場合、積層体内の機能性フォトクロミックフィルムの厚さは、約10~50ミクロンの範囲内としてもよい。
本明細書において、吸光度の高い金属成分の非限定的な例としては、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、またはゲルマニウム(Ge)を含めることができ、ポリマグリッドの非限定的な例としては、ポリカーボネート、ポリウレタンアクリレート、またはポリウレタンを含めることができる。着色フィルムの色は、様々なフィルム色の入手可能性によってのみ制限され、フィルム色のいくつかの一般的な非限定的な例としては、青色、赤色、緑色、濃い麦わら色、およびラベンダー色を含めることができる。いくつかの非限定的な実施例において、着色フィルムの透明成分は、例えば、ポリカーボネートまたはトリアセチルセルロースを含む化合物から作成するようにしてもよい。
いくつかの実施例では、様々な方法により、透明フィルムに着色剤を添加することができる。いくつかの一般的な非限定的実施例において、透明フィルムは、通常、マスターバッチ内で混合された後、着色フィルムを作成するために、押出成形またはシート状に注入成形される。いくつかの非限定的な実施例では、着色と同様のプロセスを使用し、透明フィルム内に色を拡散させてもよい。いくつかの実施例では、市販の着色透明フィルムを本用途において使用するようにしてもよい。
いくつかの実施例によれば、本発明のワイヤグリッド偏光子層は、機能性フォトクロミック層と共に積層して、フォトクロミックワイヤグリッド偏光子を形成するようにしてもよい。
本明細書の特定の実施例において、着色透明フィルムまたはフォトクロミック層を有したワイヤグリッド偏光子が積層される表面は、未完成の単焦点もしくは多焦点光学レンズパックの前面もしくは後面、または完成した単焦点もしくは多焦点光学レンズの前面もしくは後面である。本明細書の特定の実施例では、注入成形または射出成形プロセス中に、所望の前面または後面構造が光学物品上に形成される。
大まかに言えば、本発明の第1の目的は、可視スペクトル内、例えば約380~780ナノメートルの波長範囲で電磁放射を偏光するワイヤグリッド偏光子の形成を達成することである。本発明の第2の目的は、着色透明フィルムまたはフォトクロミック層と共にワイヤグリッド偏光子を積層し、着色ワイヤグリッド偏光子またはフォトクロミックワイヤグリッド偏光子を形成することである。
第1の目的は、レンズ、フィルム、またはフィルム積層体などの眼科用物品または光学物品上に、構造化された表面を最初に形成することによって達成される。構造化された表面は、ナノメートルから数百ナノメートルのスケールの範囲の線形パターンまたは形状のシステムを使用してもよい。米国特許第10838128B2号も、レンズ、フィルム、またはフィルム積層体などの眼科用物品または光学用物品上において、可視範囲の電磁放射を偏光するワイヤグリッド偏光子の形成を開示しており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書の特定の実施例において、本発明のワイヤグリッド偏光子が形成される面は、未完成の単焦点もしくは多焦点光学レンズパックの前面もしくは後面、または完成した単焦点もしくは多焦点光学レンズの前面もしくは後面である。
図1は、本明細書の特定の実施例に係る、前面12および後面14を有した、完成したまたは半完成のレンズ10の立面図である。レンズ10は、レンズ成形プロセス中に形成されるか、または前面12の直接表面仕上げの結果として形成された表面構造16を、前面12に採用している。本明細書のいくつかの実施例において、表面構造16は、前面12を高反射率グリッド、例えばアルミニウム(Al)グリッドでコーティングすることを含む。
いくつかの実施例において、本明細書は、後方反射を低減可能な光学レンズで使用するためのAlグリッドを有したワイヤグリッド偏光子について説明する。この後方反射制御機能を実現するために、限定はされないがSiO2ギャップまたはスペーサ層を含む誘電体層で覆われたAlワイヤ上に、限定はされないが、例えばZr層またはNi層といった追加の吸収金属層が堆積される。Alグリッド上における追加の吸収金属層の存在は、高反射率Alグリッドで形成されたワイヤグリッド偏光子の反射率の低減に有効である。
図2は、ベースレンズブランク102(基板とも称する)と、レンズブランク102の前面に配置されたワイヤグリッド偏光子120とを備えたレンズ積層体100の一例を示している。レンズブランク102は、ポリカーボネート、ガラス、またはそれ以外で眼科用レンズとしての使用に適した材料とすることができる。
ワイヤグリッド偏光子120は、一般に、電子ビーム蒸着、標準的な熱蒸着、スパッタリング、またはリソグラフィによって、レンズブランク、即ち基板102上に、互いに平行な向きで堆積された複数の微細金属ワイヤまたは複合金属線140を備える。これらの金属ワイヤは、40~150nmの間隔で互いに離間させることができる。特定の実施例において、金属ワイヤは、約60nm離間している。
ワイヤグリッド偏光子120のワイヤまたは複合金属線140の各々は、レンズ、即ち基板102の表面上に直接堆積させた第1の金属層160と、第1の金属層160上に堆積させた誘電体層162と、誘電体層162上に堆積させた第2の金属層164とを備えている。
いくつかの実施例において、レンズブランク102を有したワイヤグリッド偏光子120は、積層体180に埋め込まれている。いくつかの実施例では、積層体の非限定的な例が、ポリカーボネートの2枚のシートの間に含まれるポリウレタン接着剤を備える。
いくつかの実施例において、第1の金属層160は、Alを含むが、これに限定されるものではない。各アルミニウム層の厚さは、10~30nmの範囲としてもよい。Al層は、堆積プロセスまたはAlの品質に応じ、550nmで約0.789~1.015の低屈折率を有する。従って、Alは、厚さが薄くても高反射率の金属である。ワイヤグリッド偏光子内のAlグリッドは、40~150の間隔で互いに離間させることができる。特定の実施例において、金属ワイヤは、約60nm離間している。
誘電体層162は、SiO2を含むが、これに限定されるものではない。SiO2層の厚さは、1~120nmの間で変化してもよい。SiO2層の厚さを変えることにより、反射を最小限に抑えることができる。この点に関して、高屈折率とは、基準波長、例えば約550nmの波長において、屈折率が約1.7よりも大きいことを意味する。低屈折率とは、基準波長、例えば約550nmの波長において、屈折率が約1.5未満であることを意味する。この実施例において、SiO2層の屈折率は、1.5である。
第2の金属層164は、NiまたはZrを含むが、これらに限定されるものではない。NiまたはZrの層の厚さは、変化してもよい。一実施例において、NiまたはZrの層の厚さの非限定的な一例は、5nmである。NiまたはZrは、高吸収金属である。550nmにおいて、Zrは、2.5315の屈折率を有し、Niは、1.8の屈折率を有する。
具体的な一実施例において、第1の金属層は、27.5nmの厚さを有して、他のワイヤから60nm離間したAlからなり、誘電体層162は、SiO2で構成されて、65~70nmの厚さを有し、高吸収の第2の金属層は、Zrで構成されて、7nmの厚さを有する。一実施例において、レンズ積層体は、電子ビーム蒸着、熱蒸着、またはコリメートスパッタリングにより、第1の金属層(例えば、Al)を蒸着することによって形成される。
いくつかの実施例において、反射制御のための基本構造は、ガラス/Al/SiO2/Zr層の基本構造を備え、ガラスが基板として使用され、ガラス基板の上面に、平行で細長い複合ワイヤのグリッドまたはアレイが配置されている(図示せず)。コーティング層の厚さは、ガラス/Al/SiO2/Zrの基本構成において、固定してもよいし、変化してもよい。いくつかの実施例において、基本構造のZrの厚さは、固定となっている。いくつかの実施例において、Zrの厚さには、5nmを含むが、これに限定されず、SiO2の厚さは変化する。ガラス/Al/SiO2/Zrの構成では、Al層を光学的に不透明となる厚さにすることで、後面(即ち、Alのみ)および前面(即ち、AlとZrによる反射制御)から反射を測定できるようにした。
後面反射制御のモデリングデータは、ガラス/Al/SiO2/Zr構造におけるSiO2スペーサ層の厚さを変化させることによって、ワイヤグリッド偏光子の反射を最小限に抑えられることを示している。図3のモデリングデータは、ガラス基材上にAlコーティングのみを有するガラス/Al/SiO2/Zr構造の後面が、約80の一定値の高反射率を呈することを示している。ガラス/Al/SiO2/Zr構造の前面は、Alグリッド上に、SiO2/Zrの反射制御コーティングを備える。SiO2の厚さが0~120nmの間で増加し、Zr層の厚さが固定の5nmでは、ワイヤグリッド偏光子の前面反射率が、約80から5未満に減少する。
本明細書のいくつかの実施例では、図3のモデリングデータによって得られるコーティング層の理論的概念が、ガラス基板上のAlグリッドを使用したワイヤグリッド偏光子構造に適用されている。コーティングは、小型スパッタリング装置において垂直入射で塗布される。目的は、図3のモデリングデータで予測されるように、Alグリッド上への追加の高吸収層コーティングが、十分な全体透過率を維持しながら、アルミニウム層領域における反射を低減するための、実行可能なアプローチであるか否かを評価することである。
いくつかの実施例において、コーティング内の構造は、基材と、様々な厚さのSiO2/Zr/SiO2反射制御層とを備える。いくつかの実施形態において、反射制御層内の個々の金属または金属酸化物の厚さには、基板/70nmSiO2/7nmZr/65nmSiO2が含まれるが、これに限定されるものではない。反射制御層において、最上部のSiO2層により、反射の更なる低減がなされる。
このガラスにコーティングされた構成の反射スペクトルおよび透過スペクトルを、図4および図5に示す。図4から分かるように、スライドガラス上にAlが存在しない場合、スライドガラス/70nmSiO2/7nmZr/65nmSiO2コーティング層の反射スペクトルは、可視領域において約2%から15%に増大する。一方、スライドガラス上のAlに、反射制御層、例えば70nmSiO2/7nmZr/65nmSiO2層をコーティングすると、スライドガラス-Al/70nmSiO2/7nmZr/65nmSiO2の反射率は、可視領域において約18%から2%に低下する。ガラスまたはガラス表面を通して測定される反射のスペクトルの違いは、反対側の空気に対するガラスの屈折率によるものであり、予想されるものである。図5は、スライドガラスおよび反射制御層の透過スペクトルを示しており、即ち、スライドガラス/70nmSiO2/7nmZr/65nmSiO2層(スライドガラス上にAlがない)により、可視領域において約50%のほぼ一定値まで低下する。
図4および図5から得られたガラス基板および反射制御層、並びにガラス基板およびAlおよび反射制御層の反射および透過スペクトル性能をワイヤグリッド偏光子に適用し、その結果を図6~図8にまとめた。いくつかの実施例では、コーティング層が、ポリウレタンもしくはウレタンの接着剤積層体、またはインプリント材料を含む積層体に埋め込まれるが、これに限定されるものではない。積層体に層を埋め込むことは、空気ではなく接着剤またはインプリント材料が入射媒体になるので、重要である。接着剤またはインプリント材料の屈折率は、1.5にほぼ近く、空気よりも大きい。
図6は、反射制御層(即ち、70nmSiO2/7nmZr/65nmSiO2層)がある場合、または反射制御層がない場合の透過スペクトルを示している。図6から分かるように、グリッド偏光子のAlワイヤが反射制御層を含まない場合、透過率は、可視領域において約35%から約48%に増加する。また、図6は、グリッド偏光子のAlワイヤが反射制御層を含む場合、Alワイヤ上に反射制御層が存在しない場合の透過スペクトルと比較して小さい、約15%から約35%への透過率の増加があることも示している。図6の透過スペクトルから、反射制御層を有するワイヤグリッド偏光子の透過率は、高吸収Zr層における入射光の吸収により減少すると結論付けることができる。
図7は、前面および後面がSiO2/Zr/SiO2反射制御層を備えない場合の、ワイヤグリッド偏光子の反射スペクトルを示している。前面および後面がSiO2/Zr/SiO2反射制御層を備えない場合の、反射スペクトルがほぼ重なり合った状態は、ワイヤグリッド偏光子の前面および後面の両方における反射の低減における反射制御層の重要性を強調している。
図8は、ワイヤグリッド偏光子の後面(Alのみ)と前面(Alおよび反射制御層)との反射スペクトルを示している。後面、即ち、ポリウレタン積層体を通るAl表面では、可視領域において、反射率が、約18%から約45%に増加する。しかしながら、前面については、前面がAlおよび反射制御SiO2/Zr/SiO2層を備える場合、反射率は、約18%から約12%に減少する。いくつかの実施例では、可視領域の大部分にわたり、反射率が、3~4分の1に低減される。
ワイヤグリッド偏光子の性能を決定する重要な要因は、平行グリッド素子の中心間隔(周期またはピッチと呼称される場合もある)と入射光の波長との間の関係である。グリッドの厚さが増加すると、平行グリッド間の周期またはピッチの寸法が減少する可能性がある。上述の70nmSiO2/7nmZr/65nmSiO2の反射制御層の制約は、コーティングの要求層厚および関連する複雑性である。このSiO2/7nmZr/65nmSiO2反射制御層は、反射制御層の合計厚さが約140nmとなる少なくとも2つの追加材料を必要とする。この厚さは、ワイヤグリッド偏光子構造の周期の必要な寸法よりも大きい。従って、70nmSiO2/7nmZr/65nmSiO2の反射制御層は、透過率の一部を回復するのに有用となるAlグリッドの上に、ある角度で組み込むことができない可能性がある。従って、コーティングの厚さがワイヤグリッド偏光子の周期よりも小さく、Alグリッドの上に、ある角度で反射制御層を組み込むことができる代替の反射制御コーティングが必要とされる。
文献のネイチャーマテリアル(Nature Materials;Vol 12; 2013 by M. Kats et. al)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるが、高吸収性の非金属層を使用し、ワイヤグリッド偏光子におけるAlグリッドの反射率を低減している。本発明のいくつかの実施例によれば、非金属層を含む代替的な反射制御層が、ZrOxNyを含むが、これに限定されるものではない。ZrOxNyは、ZrNのような反射性金属窒化物、ZrOxNyのような吸収性金属酸窒化物、およびZrOxのような透明金属酸化物から改質することができるので選択される。
高吸収性ZrOxNy層の光学特性は、全ての層を、準化学量論的におよび/または組成物の金属側に向けて堆積させることによって評価された。様々な酸素流量下で得られた屈折率(n)および吸光係数(k)を、図9に示している。図10は、モデル化を検討する上で重要な屈折率(n)を示している。モデリングデータに基づくと、Al-Myコーティング(SiO2/Zr/SiO2コーティング)のn値は、1.4874である。一方、ZrOxNyのn値は、窒素および酸素の様々な流量下で、Al-Myコーティングよりはるかに高くなる(2.0より大きい)。従って、n値に基づけば、Alグリッド上の高吸収ZrOxNyコーティングは、Alグリッドの低減制御層として、より良い選択肢となる。
上述のnデータを用い、ZrOxNy/Al/ZrOxNyの積層体をスライドガラス上に組み立てる。このコーティング組立体の目的は、様々な条件下、例えば、様々な厚さのZrOxNyを用い、様々な酸素流量下で、コーティング層による反射率の減少を調査することである。得られたデータセットのサンプルを図11に示す。図11では、スライドガラス-Alを対照として使用し、スライドガラス-Alについては、約70%~約78%の反射率が得られた。スライドガラス-Alの高反射率のデータは、Alグリッド上にコーティングされた反射低減層が全くない場合の結果である。図11から、ZrOxNy/Al/ZrOxNyの積層体は、入射光の反射を大幅に低減することが更に分かる。反射の最も大きい低減は、ガス流量が1.25sccmでZrOxNyの厚さが550Aのときに達成された。これらのZrOxNy/Al/ZrOxNy積層体の反射率は、スライドガラス越しに測定した場合に、3.61(視感反射率)まで低くすることができる。ガラス越しの測定は、PUAおよびウレタン接着剤によって囲まれた積層構造を介した外観と模擬的に整合したものとなる。ZrOxNy/Al/ZrOxNyにおけるコーティング厚さは145nmであり、前面および後面の両方の反射の反射制御を考慮している。これは、SiO2/Zr/SiO2の金属誘電体反射制御層の半分の厚さであり、反射低減性能も向上する。
文献の薄膜光学フィルタ(Thin-Film Optical Filters; IOP Publishing; 2001 by MacLeod)は、その内容全体が本明細書に組み込まれるが、コーティング層の屈折率に基づいて、コーティング層のアドミタンスを計算する方法を示している。結果をよりよく理解するため、図10の屈折率を用い、コーティング積層体ZrOxNy/Al/ZrOxNyのアドミタンスのモデル化をMatlabで行った。図12は、ZrOxNy/Al/ZrOxNyコーティングの光アドミタンスの図である。図12から分かるように、1.25sccmの酸素のガス流に対応する指数は、光アドミッタンスの目標値の最も近くを通過している。
反射制御層の性能を最適化するには、反射制御層の厚さを薄くすることに対する屈折率の影響を考慮することが重要である。従って、アドミタンス計算を用い、Al層からの反射を最小限にするために必要な吸光係数と厚さとの組み合わせを逆算した。吸光係数(k)および厚さ(d)の逆算は、図13にまとめて示されている。図13の表の最後の行から、Al層上のコーティング厚さを最小値にするためには、可能な限り高い屈折率を有するコーティング材料が必要とされることがわかる。図13では、コーティング厚さの最小値15nmを達成するために必要な屈折率の値が5であることが、計算によって示されている。
図14は、様々な屈折率についてのアドミタンス軌跡を示している。また、図14は、反射制御層の厚さを減少させるために、高い屈折率を有したコーティング層が必要であることも裏付けている。図13および図14のモデリングデータに基づき、反射制御層として高屈折率吸収材料の追究を決定した。いくつかの材料を検討し、図15の表に示した。
図15から、材料の適切な選択は、5.226という高屈折率であることにより、ゲルマニウム(Ge)であることが分かる。しかしながら、Geの吸光係数(k、2.106)は、所望の吸光が公称0.25であることを示した図13のアドミタンス計算に基づく所望の値よりも高い。従って、電子ビーム蒸着によってAlグリッド上に堆積されたGe膜の屈折率が実際にどの程度のものであるかを確認することが重要となる。バックグラウンド酸素および多孔性の組み入れは、Geの屈折率になんらかの影響を及ぼすと予想される。
図16および図17は、電子ビーム蒸着によりGe膜をAlグリッド上に堆積させたときの、実屈折率(n)および吸光係数(k)のデータを示しており、n値およびk値は、様々な酸素流量および550nmのコーティング厚さのGe層で測定された。図16および図17から、Geの最高屈折率は約4.5であり、吸光係数は1.7であることがわかる。
上述のデータに基づいて、Ge/Al/GeおよびAl/Geの構造を、パターン化されたサンプル上に堆積させた。Alのみのコーティングの基準サンプルも含まれた。これを、パターン化され、金属化されて、前に準備したサンプル(Al 112118 対照)と比較した。得られた最大透過率および反射スペクトルを図18~図21に示す。
図18は、反射制御Geコーティングがない、2つのAlのみのコーティング(例えば、Alのみ、およびAl 112118)について、最大透過率の最高値が得られたことを示している。しかしながら、2つのAlのみのコーティングは、偏光の最大透過率のレベルが異なっている。2つのAlのみのコーティングの間の最大透過率の違いは、アルミニウムコーティングのパターン化または品質に起因する可能性がある。図18から、コーティング構造がGe/Al/Geである場合に、最大透過率の最低値が得られたことも分かる。Al/Geのコーティング構造の最大透過率は、Ge/Al/Geのコーティング構造より高かった。Geの追加層は、Ge/Al/Geにおける最大透過率の低下に寄与した可能性がある。図18から分かるように、Alのみのサンプルは、低波長で最大透過率の増加を示しており、Geの追加により、この増加が抑制される。更に、図18から、コーティング構造中に2つのGe層が存在すると、コーティング構造が1つのGe層を備える場合よりも透過率が減少することが明らかである。
図19は、対照として使用された2つのAlのみのコーティングと、Ge/Al/GeおよびAl/Geのコーティング構造との最小透過率の値を示している。図19から、Alのみの対照コーティングでは、より低い波長で最小透過率が低下することが明らかである。Ge/Al/Geのコーティング構造は、Al/Geの最小透過スペクトルと比較して、最小透過率がわずかに増加することを示している。
図20および図21は、Ge/Al/GeおよびAl/Geのコーティング構造の反射スペクトルを示している。Al/Geコーティングにおいて、Ge層は、コーティングの後側、即ち着用者の目に対向する側に存在することに留意されたい。図20は、Al/Geコーティングの反射率を示している。視認者の方に向く側となるAl側は、はるかに高い反射率を示す一方、Ge側、即ち着用者の目に対向する側は、Al側と比較してはるかに低い反射率を示す。本発明のいくつかの実施例において、このコーティング構造は、着用者の目への反射を最小限に抑える一方、視認者には、鏡のような外観を呈する。いくつかの実施例によれば、このコーティング構造は、反射を低減するために使用することができるが、適切な厚さを選択することによって、反射に特定の色または外観を付与するために使用することもできる。
図21は、スライドガラス-Alを基準として、Ge/Al/Geのコーティング構造の前面および後面からの反射率を示している。Ge層は、反射を3.5分の1に減少させる。Ge/Al/Geのコーティング構造がPUAまたはポリカーボネート積層体に埋め込まれているポリカーボネートフィルムおよびPUAを通して見ると、減少は更に大きくなる(4より大きい)。これは、積層体の形態での最終的な外観をよりよく示している。反射測定にはポリカーボネートの反射(後面測定の場合)を含むので、後面反射は、5%増加する。従って、図20および図21の反射データから、Ge/Al/Geのコーティング構造において、反射低減が非常に良好に機能すると結論付けることができる。
Ge/Al/GeおよびAl/Geのコーティング構造の透過率の低下は、図18の最大透過率スペクトルおよび図19の最小透過率スペクトルにおいて既に示したように、問題がある。Ge/Al/GeおよびAl/Geの透過率の低下を理解するために、まずAlの品質を調査し、以前の対照と比較した場合に、品質が透過率の全般的な低下を引き起こすことがわかった。Alの品質を改善するために、堆積の角度と厚さとを減少させることによって、堆積条件を修正した。これらの条件下でパターン化されたAlについて得られた透過走査は、大幅に改善されており、図22に示されている。図22は、Alのみのコーティングの透過パターン品質が、対照コーティングAl 112118と一致することを示している。
更に、図22は、2つのAl堆積条件の比較を示しており、一方は、Alの外側にGeが存在し(Ge/Al、サンプル番号071719)、他方は、コーティング積層体の後面にGeが存在する(Al/Ge、サンプル番号071519)。Ge/Alの透過率は、Alの外側にGeが存在すると大幅に増加する。但し、透過率の値は、依然としてAl層のみのサンプルよりも低いままである。Alのみのサンプルと比較して、Ge/Al層の透過率の値が低い原因は、全層厚が、結合を可能にするピラー間の間隔に匹敵するという事実から生じている可能性がある。
Alのみの試料と比較して、Ge/Al層の透過率の低い値を更に理解するために、サンプルのSEM画像化を行った。SEM画像化は、反射低減のメカニズムをより良く理解する上でも有用である。3つのサンプル、(i)金属被覆またはコーティングのない複製(むき出しのパターン)、(ii)アルミニウムでコーティングされたサンプル、ならびに(iii)GeおよびAlでコーティングされたサンプルを比較した。これらのサンプルのSEM画像を図23に示す。(ii)および(iii)のサンプルは、図22に示すように、サンプル番号071719(Alのみ)およびサンプル番号071719(Ge/Al)に対応している。
図23のSEM画像は、Alコーティングしたサンプル(ii)と、Ge/Alコーティング(iii)との間で、Alの厚さが一定に保たれている一方、Ge/Al層では、GeおよびAlのコーティング厚さの増加と共に、隣接するグリッド間の間隔が減少することを明確に示している。
隣接するグリッド間の間隔の減少の問題を克服するために、パターンの周期を一定に保ちながら、パターンのデューティサイクルを変更してもよい。デューティサイクルは、パターンの全周期に対するピラー幅の比として定義することができる。デューティサイクルを減少させることによって、ピラー間の間隔を増加させることができる。このことは、4つのデューティサイクルについて、図24に概略的に示されている。図24において、ピラーの上部の暗い陰影領域は、塗布されたコーティングを表している。W1は、ピラー幅であり、W2は、ピラー間の間隔である。ピラー間の間隔を増大させると、ワイヤ間の間隔が増大する。SEM画像として図22に示すGe/Alパターンは、50%のデューティサイクルである。50%から13%にデューティサイクルが漸減するのに伴い、ピラー間の間隔(W2)およびワイヤ間の間隔が増加することは、図24から明らかである。このような隣接ワイヤ間の間隔の増加により、Ge/Al構造への追加のGe層の組み込みが可能となり、従って、透過率や効率の望ましくない低下を抑制しながら、Ge/Al/Geの反射制御コーティング構造を使用することが可能となる。
反射制御のためのGe/Al層の最適化
反射制御コーティングの可能な主要構成をより良く理解するには、最小反射率を実現するために必要となるGe層およびAl層の厚さを把握する必要がある。コンピュータモデリングによってGe層およびAl層の厚さを見出すことが可能であることは、当業者に公知であるが、Ge層およびAl層の正確な指数や、コンピュータモデリングから生じる可能性がある界面混合を予測することは不可能である。従って、最適化された条件を決定するには、実験計画法を実行する必要がある。コーティング(Ge層およびAl層)の実験計画法を、平らなスライドガラス(パターン化されていない)上で実行し、ガラスの後面から透過率および反射率を測定した。このような構成では、反射と透過の両方を最小化することが目標となる。
GeスライドガラスおよびAlスライドガラスの実験計画法は、GeおよびAlの厚さを、Geについては16~36nm、Alについては10~30nmに変えて実行した。実験計画法における重要な指標は、透過率および反射率である。結果を、図25A、図25B、図25C、図25D、図26A、図26B、図26C、図26Dに示す。Geの厚さ範囲(図25A、図25B、図25C、図25D)およびAlの厚さ範囲(図26A、図26B、図26C、図26D)についての透過スペクトルおよび反射スペクトルは、2つの方法、即ち400~800nmの平均、および特に550nmにおける値で表されている。
図25A、図25B、図25C、図25Dのデータから、最低の反射率および透過率を達成するには、目標のGeの厚さが、公称約20nmであることは明らかである。図26A、図26B、図26C、図26Dのデータから、最低の反射率および透過率を達成するには、目標のAlの厚さが、約27.5nmであることは明らかである。従って、単一表面Ge/Al反射制御の場合、コーティング積層体の総厚は、47.5nmとなる。いくつかの実施例において、このような単一表面Ge/Al反射制御は、偏光ミラー太陽レンズとして機能し得る。双方向反射制御(Ge/Al/Ge)の場合、コーティング積層体の全厚は67.5nmである。これらの最適化条件下で、平均反射率は6%未満となる。本明細書のいくつかの実施例では、4%であるスライドガラスの後面反射を除くと、平均反射率は、わずか2%となる。更に、WGPの場合、反射率は、この値の半分、即ち1%に過ぎなくなる。いくつかの実施例によれば、このような条件下で、透過率は依然として低く、400~800nmでは約1.5%の値となる。いくつかの実施例によれば、コーティングされた層の厚さの最適化により、90%を超え、好ましくは95%を超える偏光効率が得られる。
いくつかの実施例では、高屈折率/Al/高屈折率積層体の使用により、WGPからの反射率を、40~50%から5~10%に低減することができる。屈折率および吸光係数に基づき、精密なパターンとし、最適化された材料選択を行うことで、更に5%未満に低減できるようにすることが可能である。
本明細書のいくつかの実施例では、高屈折率材料を使用し、1/4波長層を形成する。高屈折率材料に求められる屈折率は、3より大きく、吸光係数は0.20より大きい。いくつかの実施例において、望ましい高屈折率材料には、Ge、Si、およびこれらの材料の合金が含まれるが、これらに限定されない。
ワイヤグリッド偏光子におけるコーティング構造により、ワイヤグリッド内のピラー(およびワイヤ)間の間隔を減少させることができる。これにより、偏光子の性能が低下する(透過率および/または偏光効率の低下、ならびに波長依存性の増大)。本明細書のいくつかの実施例では、デューティサイクルの適用によるピラー間の間隔の増加によって、ワイヤ間の間隔が増大し、ワイヤグリッド偏光子の性能が改善される。
本明細書のいくつかの実施例において、ワイヤのコーティング積層体は、反射の低減に加え、適切な厚さの選択により、反射において特定の色または外観を付与するために使用してもよい。これにより、一方の側に、着色された鏡の外観を生成し、このとき、後面には、低反射を得ることができる。
前述したように、ワイヤグリッド偏光光学レンズの着色ミラーのような外観は、見た目に美しく、従って、望ましいものとすることができる。ワイヤグリッド偏光子のミラー層は、ミラーコーティングを摩耗および環境による損傷から保護するために、透明な着色フィルムを積層してもよい。鏡面仕上げワイヤグリッド偏光子層を、着色透明フィルムと共に積層し、着色鏡面仕上げワイヤグリッド偏光子を形成することにより、より一層見た目に美しく、より望ましいものとなり、高い市場の需要が高まる可能性がある。
着色鏡面仕上げをレンズに適用するための既存の技術では、バッチスパッタリングまたは真空蒸着プロセスが使用される。真空蒸着プロセスは、このプロセスでは大規模生産の経済性が得られないことを主たる理由として、高価になる。また、真空蒸着プロセスによって生成された生成物は、表面に最上層として蒸着されたミラー層を有する。従って、ミラー層は、光学レンズの使用、輸送、および保管につきものの摩耗およびその他の危険にさらされる。従来の真空蒸着法には、特に、商業的に望ましい選択肢である銀鏡を適用するプロセスが困難であるという点で、更なる制限がある。
従来の真空蒸着プロセスの限界を克服し、大規模な鏡面仕上げワイヤグリッド偏光子の製造のために、本明細書では、蒸着プロセスを利用し、鏡面仕上げを有したワイヤグリッド偏光子を形成する。ミラー層を傷から保護するために、鏡面仕上げワイヤグリッド偏光子は、選択された透明で着色されたフィルムと共に積層される。これにより、着色された鏡面仕上げの偏光層が形成され、鏡面層は、着色層によって摩耗およびその他の危険から保護され、着色層の色は、様々なフィルム色の利用の可能性によってのみ制限される。この着色フィルム積層ワイヤグリッド偏光子の幾何学的形状は、ロールツーロール処理に適しており、レンズへの成形に適した、大量の着色鏡面仕上げワイヤグリッド偏光積層体を迅速に製造することが可能となる。この方法によって製造された着色ワイヤグリッド偏光積層体は、その後の追加の傷防止コーティングの適用に適している。従って、以下のセクションにおいて、本明細書は、光学レンズの着色フィルム積層、鏡面仕上げ、ワイヤグリッド偏光子のいくつかの非限定的な実施例について説明する。
米国特許第10838128B2号は、レンズ、フィルム、またはフィルム積層体などの眼科用物品または光学物品上への、可視範囲の電磁放射を偏光するワイヤグリッド偏光子の形成を開示しており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。この参考文献は、レンズ、フィルム、またはフィルム積層体の構造化された表面が、ナノメートル~数百ナノメートルのスケールの範囲の、山および谷などの線形パターンまたは形状のシステムを採用することで、ワイヤグリッド偏光子を形成し得ることを開示している。
米国特許第10838128B2号に開示されているものと同じ基本構成に従い、本明細書のいくつかの実施例において、ワイヤグリッド偏光子は、レンズ、フィルム、またはフィルム積層体のパターン化または構造化された表面上に形成してもよい。特定の実施例において、レンズ、フィルム、またはフィルム積層体のパターン化または構造化された表面のための材料には、ポリカーボネート、ポリウレタンアクリレート、またはポリウレタンを含めることができるが、これらに限定されない。
本明細書の特定の実施例では、フィルム、レンズ、または積層体が、構造化またはパターン化された表面を有して形成され、ワイヤグリッド偏光子の複合ワイヤが、パターン化された表面上に生成されると、追加の層またはコーティング、例えば着色フィルム層、ミラーコーティング、もしくはハードコーティング、および/または反射防止コーティングを、構造化された表面に積層または塗布することにより、ワイヤグリッド偏光子が埋め込まれ、偏光子の物理的および環境的保護がもたらされるようにしてもよい。
フィルム、レンズ、または積層体の構造化された表面上に適用可能なこれらの追加の層またはコーティングの中でも、鏡面コーティングされたワイヤグリッド偏光子を、選択した透明な着色フィルムと共に積層して、着色された鏡面仕上げのワイヤグリッド偏光子を形成することは、その見た目の美しさから、非常に望ましいものである。
いくつかの非限定的な実施例において、着色フィルム積層ワイヤグリッド偏光子は、少なくとも1つの追加の保護層、例えば、限定はされないが、ポリカーボネート層と共に積層されるようにしてもよいし、また、2つの追加の保護層、例えば2つのポリカーボネート層の間に積層されるようにしてもよい。
本明細書のその他のいくつかの実施例によれば、フィルムまたは積層体が、構造化またはパターン化された表面を有して形成され、ワイヤグリッド偏光子の複合ワイヤが、パターン化された表面上に生成されると、次に、機能性フォトクロミック層、例えば1種以上のフォトクロミック色素を有する接着層を、ベースフィルム層上、例えばポリカーボネート層上に堆積させて積層することにより、積層構造内にワイヤグリッド偏光子を埋め込むようにしてもよい。次に、フォトクロミック積層体を用い、本発明のワイヤグリッド偏光子を有した偏光光学物品を形成することが可能であり、射出成形または注入成形によって成形し、積層レンズ、例えば単焦点または多焦点の眼用レンズを形成することができる。いくつかの実施例において、フォトクロミック層または接着剤には、ポリウレタン接着剤を含めることができるが、これに限定されない。
いくつかの非限定的な実施例において、フォトクロミック層積層ワイヤグリッド偏光子は、2つの追加の保護層、例えば2つのポリカーボネート層の間に積層されるようにしてもよい。いくつかの実施例において、フォトクロミック層積層ワイヤグリッド偏光子は、接着剤、例えば、限定されないが、ポリウレタン接着剤によって、2つのポリカーボネート層の間に接合されるようにしてもよい。いくつかの実施例において、保護層は、レンズの基材と同じ成分を含んでいてもよい。いくつかの非限定的な実施例において、基材は、ポリカーボネートも含んでいてもよい。
いくつかの非限定的な実施例において、本発明のワイヤグリッド偏光子は、片面反射制御機能を有して形成されるようにしてもよく、例えば、偏光子の積層体の前面(着用者側)は、反射制御層、例えば、限定されないが、Ge層でコーティングされるようにしてもよく、反射層、例えばAl層を反射制御層の上に堆積させて、ミラー効果がもたらされるようにしてもよい。ミラー層は、更に、接着剤、例えばポリウレタン接着剤でコーティングされるようにしてもよい。鏡面仕上げワイヤグリッド偏光子の接着層は、更に着色フィルムと共に積層されて、着色ワイヤグリッド偏光子を形成するようにしてもよい。このような構成において、ワイヤグリッド偏光子のコーティング層は、表面材料/Ge/Al/着色フィルムの順としてもよい。いくつかの実施例において、偏光子の積層体の前面を高反射制御膜でコーティングすることは、吸光度および屈折率が高い金属または複合金属成分を堆積させることを意味する。いくつかの実施例では、高屈折率のGe層が、はるかに薄い厚さを有することができ、着色フィルム積層ワイヤグリッド偏光子の全体の厚さを大幅に低減することができる。
いくつかの実施例において、本発明のワイヤグリッド偏光子は、両面反射制御機能を有して形成されるようにしてもよく、例えば、視認者側と装着者側の両方が、吸光度および屈折率が高い金属または複合金属成分の反射制御層、例えば、限定されないが、Ge層でコーティングされ、ワイヤグリッド偏光子は、更に着色フィルムで積層されて、着色ワイヤグリッド偏光子を形成するようにしてもよい。このような構成において、ワイヤグリッド偏光子のコーティング層は、表面材料/Ge/Al/Ge/着色フィルムの順としてもよい。
いくつかの実施例において、本発明のワイヤグリッド偏光子は、片面反射制御機能を有して形成されるようにしてもよく、例えば、着用者側は、吸光度および屈折率が高い金属または複合金属成分の反射制御層、例えば、限定されないが、Ge層でコーティングされるようにしてもよく、ワイヤグリッド偏光子は、更に着色フィルムと共に積層されて、着色ワイヤグリッド偏光子を形成するようにしてもよい。このような構成において、ワイヤグリッド偏光子のコーティング層は、表面材料/Ge/Al/着色フィルムの順としてもよい。
いくつかの実施例において、本発明のワイヤグリッド偏光子は、片面反射制御機能を有した機能性フォトクロミックフィルムの構造化された表面上に形成されるようにしてもよく、例えば、着用者側は、吸光度および屈折率が高い金属または複合金属成分の反射制御層、例えば、限定されないが、Ge層でコーティングされるようにしてもよい。このような構成において、ワイヤグリッド偏光子のコーティング層は、フォトクロミック層/Ge/Al/着色フィルムの順としてもよい。
いくつかの非限定的な実施例において、本発明のワイヤグリッド偏光子は、片面反射制御機能を有して形成されるようにしてもよく、例えば、偏光子の積層体の前面(着用者側)は、反射制御層、例えば、限定されないが、Ge層でコーティングされるようにしてもよく、反射層、例えばAl層を反射制御層の上にコーティングして、ミラー効果をもたらすようにしてもよい。ミラー層は、更に接着剤、例えばポリウレタン接着剤でコーティングされるようにしてもよい。鏡面仕上げワイヤグリッド偏光子の接着層は、更に機能性フォトクロミックフィルムと共に積層されて、機能性フォトクロミックフィルム積層ワイヤグリッド偏光子を形成するようにしてもよい。このような構成において、ワイヤグリッド偏光子のコーティング層は、表面材料/Ge/Al/フォトクロミックフィルムの順としてもよい。
図27は、本明細書のワイヤグリッド偏光子の積層構造200の一例を示している。図27に見られるように、フィルム210の前面はパターン化されており、ワイヤグリッド偏光子は、片面反射制御機能(着用者側)を有して形成され、着色フィルム220は、接着剤層、例えばポリウレタン接着剤層270により、ワイヤグリッド偏光子の前面上に積層されている。この図では、反射制御材料(Ge)240を、最初に、フィルム210のパターン化された前面上に堆積させ、反射Al層230を、Ge層の上に堆積させることにより、視認者側に鏡面仕上げを有した状態で、着用者側に反射制御機能をもたらす。ミラー層は、更に接着剤層、例えばポリウレタン接着剤270層でコーティングしてもよい。鏡面仕上げワイヤグリッド偏光子の接着層270は、着色フィルム220と共に積層される。着色フィルム積層ワイヤグリッド偏光子は、更に2つの追加の保護層250および保護層260、例えば2つのポリカーボネート層の間に積層され、積層構造200を形成する。
図28は、本明細書のワイヤグリッド偏光子の積層構造300の別の例を示している。図28に見られるように、フィルム310の前面はパターン化されており、ワイヤグリッド偏光子は、両面反射制御機能(着用者側および視認者側の両方)を有して形成され、着色フィルム320は、接着剤層370によりワイヤグリッド偏光子の前面上に積層されている。この図では、第1の反射制御材料(Ge)340を、最初に、フィルム310のパターン化された前面上に堆積させ、次に、反射Al層330を堆積させ、第2の反射制御材料(Ge)340を、Al層330の上に堆積させることにより、両面反射制御機能をもたらす。ワイヤグリッド偏光子の上面は、更に接着剤、例えばポリウレタン接着剤370でコーティングされる。鏡面仕上げワイヤグリッド偏光子の接着層370は、着色フィルム320と共に積層されている。着色フィルム積層ワイヤグリッド偏光子は、更に2つの追加の保護層350および保護層360、例えば2つのポリカーボネート層の間に積層されて、積層構造300を形成する。
図29は、本明細書のワイヤグリッド偏光子の積層構造400の別の例を示している。図29に見られるように、フィルム410の前面はパターン化されており、ワイヤグリッド偏光子は、片面反射制御機能(着用者側)を有して形成され、着色フィルム420は、接着剤層470によりワイヤグリッド偏光子の前面上に積層されている。この図では、反射制御Ge層440を、最初に、フィルム410のパターン化された前面上に堆積させ、反射Al層430を、Ge層440の上に堆積させることにより、視認者側に鏡面仕上げを有した状態で、着用者側に反射制御機能をもたらす。ミラー層は、更に接着剤、例えばポリウレタン接着剤470でコーティングされる。鏡面仕上げワイヤグリッド偏光子の接着層470は、着色フィルム420と共に積層される。着色フィルム積層ワイヤグリッド偏光子は、保護層460、例えばポリカーボネート層が後面上に積層されて、積層構造400を形成する。この実施例において、着色フィルム420は、ワイヤグリッド偏光子の積層構造400のための保護層として機能することができる。
図30は、本明細書のワイヤグリッド偏光子の積層構造500の別の例を示している。図30に見られるように、フィルム510の後面はパターン化されており、ワイヤグリッド偏光子は、片面反射制御機能(着用者側)を有して形成され、着色フィルム520は、接着剤層570によりワイヤグリッド偏光子の前面(視認者側)上に積層されている。この図では、反射Al層530を、最初に、フィルム510のパターン化された後面上に堆積させ、反射制御材料540を、Al層530の上に堆積させることにより、後面側または着用者側に反射制御機能がもたらされる。反射制御材料540は、更に接着剤、例えばポリウレタン接着剤570でコーティングされる。鏡面仕上げワイヤグリッド偏光子の接着層570は、着色フィルム520と共に積層される。着色フィルム積層ワイヤグリッド偏光子は、保護層560、例えばポリカーボネート層が後面上に積層されて、積層構造500を形成する。
図31は、本明細書のワイヤグリッド偏光子の積層構造600の別の例を示している。この例において、ワイヤグリッド偏光子は、着色フィルムと共に積層する代わりに、フォトクロミック層と共に形成される。図31に見られるように、フィルム610の後面はパターン化されており、ワイヤグリッド偏光子は、片面反射制御機能(着用者側)を有して形成される。この図では、反射Al層630を、最初に、フィルム610のパターン化された後面上に堆積させ、反射制御材料640を、Al層630の上に堆積させることにより、後面側または着用者側に反射制御機能がもたらされる。フォトクロミック色素および接着層620は、ベースフィルム層660と共に後面(着用者側)上に積層されて、積層構造600を形成する。この非限定的な実施例では、フォトクロミックフィルム積層ワイヤグリッド偏光子が、2つの保護層650および保護層660、例えば2つのポリカーボネート層の間に積層されて、積層構造600を形成する。
図32は、本明細書のワイヤグリッド偏光子の積層構造700の別の例を示している。この例においても、ワイヤグリッド偏光子は、接着剤層770を有した着色フィルムと共に積層される代わりに、フォトクロミック層720と共に積層される。図32に見られるように、フィルム710の前面はパターン化されており、ワイヤグリッド偏光子は、片面反射制御機能(着用者側)を有して形成され、フォトクロミックフィルムなどの機能性フィルム720が、接着剤層770を用いてワイヤグリッド偏光子の前面上に積層される。この図では、反射制御Ge層740を、最初に、フィルムのパターン化された前面上に堆積させ、反射Al層730を、Ge層740の上に堆積させることにより、視認者側に鏡面仕上げを有した状態で、着用者側に反射制御機能をもたらす。ミラー層は、更に接着層770、例えばポリウレタン接着層でコーティングされる。鏡面仕上げワイヤグリッド偏光子の接着層770は、着色フィルム720と共に積層される。フォトクロミックフィルム積層ワイヤグリッド偏光子は、2つの追加の保護層750および保護層760、例えば2つのポリカーボネート層の間に積層されて、積層構造を形成する。
いくつかの実施例において、積層体中の着色透明フィルムの厚さは、0.1~0.4mmの範囲であってもよい。いくつかの実施例において、積層体中の機能性フォトクロミックフィルムの厚さは、10~50ミクロンの範囲であってもよい。
図27~図32に示す上述の全ての実施例において、積層体の層の線状の特徴は、わかりやすくするために、拡大されたかのように示されており、積層体の実際の寸法に対して縮尺どおりには示されていない。
本明細書のいくつかの実施例において、ワイヤグリッド偏光子上に積層される着色フィルムに選択される色の非限定的な例には、青色、赤色、緑色、黄色、およびラベンダー色を含めることができる。本明細書のいくつかの実施例において、着色フィルム積層ワイヤグリッド偏光子のいくつかは、積層着色フィルムのないワイヤグリッド偏光子と比較し、可視範囲(400~790nm)で同等の透過率を示す。これらの実施例において、着色フィルムを積層したワイヤグリッド偏光子の反射制御構造は、Ge層およびAl層に基づくものである。
図33から分かるように、積層着色フィルムのないワイヤグリッド偏光子は、380~790nmの範囲内で、20~40%の透過率を有し得る。一方、青色のフィルム積層ワイヤグリッド偏光子は、530~570nmの範囲内で約18%、740nmを超える波長で35%以上の透過率を有することができ、赤色のフィルム積層ワイヤグリッド偏光子は、390nmで10%を超え、620~790nmの波長範囲内で30%以上の透過率を有し、緑色のフィルム積層ワイヤグリッド偏光子は、540~550nmの波長範囲内で約15~18%、750~790nmの波長範囲内で30%以上の透過率を有し、黄色のフィルム積層ワイヤグリッド偏光子は、約390nmで約16%、600~790nmの波長範囲内で30%以上の透過率を有し、ラベンダー色のフィルム積層ワイヤグリッド偏光子は、約440nmで20%を超え、670~790nmの波長範囲内で30%以上の透過率を有することができる。着色フィルムと共に積層されたワイヤグリッド偏光子の高い透過率の値により、スペクトルフィルタリングによるダイナミックレンジおよびコントラスト強調を改善することができる。従って、所望の波長の高い透過率を得ることで、視認性および色コントラストを最大限にすることが可能となる。
本明細書のいくつかの実施例において、着色フィルム積層ワイヤグリッド偏光子のいくつかは、積層着色フィルムのないワイヤグリッド偏光子と比較して、可視範囲(400~790nm)で同等の反射率を示す。これらの実施例において、着色フィルムを積層したワイヤグリッド偏光子の反射制御構造は、Ge層およびAl層に基づくものである。
図34から分かるように、積層着色フィルムのないワイヤグリッド偏光子は、380~790nmの範囲内で、約30~40%の反射率を有し得る。一方、青色の着色フィルム積層ワイヤグリッド偏光子は、420~460nmの範囲内で約30~32%、750nmを超える波長で約40%以上の反射率を有し、赤色の着色フィルム積層ワイヤグリッド偏光子は、390nmで20%を超え、600nmを超える波長で40~42%の反射率を有し、緑色の着色フィルム積層ワイヤグリッド偏光子は、540~550nmの範囲内で約20~22%、750nmを超える波長で約40%以上の反射率を有し、黄色の着色フィルム積層ワイヤグリッド偏光子は、390nmで約30%、580~790nmの波長範囲内で40~45%の反射率を有し、ラベンダー色の着色フィルム積層ワイヤグリッド偏光子は、約420nmで30%を超え、700~790nmの波長範囲内で約40%の反射率を有することができる。着色フィルム積層ワイヤグリッド偏光子では、反射率によって、視認者から見たミラーの外観が制御される。着色フィルムと共に積層されたワイヤグリッド偏光子の特定の波長における高い反射率の値により、魅力的な偏光光学物品の非常に鮮やかで刺激的な色を提供することができる。
図35は、様々な着色フィルムと組み合わせたワイヤグリッド偏光子、および積層着色フィルムなしの基準ワイヤグリッド偏光子の透過色(T)および反射色(R)のL*値、a*値、およびb*値のデータを表1に示している。これらのデータは、着色フィルムと組み合わせたワイヤグリッド偏光子の透過色および反射色が、異なる着色フィルムを使用することによって変更可能であることを示している。L*は明度、a*は赤/緑座標、b*は黄/青座標を示すことが知られている。従って、ワイヤグリッド偏光子を、例えば、青色フィルムまたは赤色フィルムまたは緑色フィルムと組み合わせると、青色フィルムの明度は、青色-T(42.10)と青色-R(43.38)との間で変化し、青色-Tよりも青色-Rの方が明るくなり、赤色フィルムの明度は、赤色-T(41.71)と赤色-R(44.89)との間で変化し、赤色-Tよりも赤色-Rの方が明るくなり、緑色フィルムの明度は、緑色-T(40.88)と緑色-R(46.01)との間で変化し、緑色-Tよりも緑色-Rの方が明るくなる。ワイヤグリッド偏光子を、黄色フィルムまたはラベンダー色フィルムのいずれかと組み合わせた場合にも、同様の結論を導き出すことができる。また、表1から、青色、赤色、緑色、黄色、またはラベンダー色のフィルムと組み合わせたワイヤグリッド偏光子の透過色(T)の値は、有色フィルムを組み合わせていないワイヤグリッド偏光子の透過色より明るいことが分かる。これらの実施例において、より明るい色の外観は、着色フィルム中の追加の染料の存在に起因する可能性のある光透過率の低下を意味する。光が着色フィルムを通過するとき、光の一部が染料によって吸収されることで、透過率が減少する可能性がある。
本発明のいくつかの実施例において、着色フィルムまたはフォトクロミック層を積層したワイヤグリッド偏光子の構成により、偏光子のミラーの外観を調整できるようにすることが可能となる。例えば、Alミラー層の前方に赤色染料を有することによって、ミラーは、赤色に見え、積層構造を透過した可視光も赤色になる。あるいは、ミラー層の後方に色合または色を加え、着用者の目に到達する色を、ミラー色とは関係なく調整することもできる。本発明では、これにより、現在の既存の技術で得られる通常の真空ミラーコーティングを用いた場合よりも多くの制御性が得られる。
本発明のいくつかの実施例では、銀鏡仕上げワイヤグリッド偏光子を、着色フィルムまたは機能性フォトクロミック層を有した積層体に埋め込むことによって、ミラー層を傷から保護することができる。コントラスト変化によって、傷がミラー層上で非常に目立つので、ミラー層の保護は重要になる場合がある。これにより、耐久性の向上という明確な利点を有する優れた製品が生成される。
本発明のいくつかの実施例では、銀ミラーコーティングを、着色フィルムまたは機能性フォトクロミック層を有した積層体に埋め込むことにより、ミラー層の前方に着色することで、ミラーの色を調整することが可能となる。偏光光学レンズに鏡面仕上げを適用する既存の技術では、レンズの前面にバッチスパッタリングまたは真空コーティングを使用する。これらの既存のプロセスでは、真空コーティングの構成を調整することによって、ミラーの色を制御することができる。一方、本発明では、ミラーの外観を制御するために、フォトクロミック染料を含有する様々な着色フィルムまたは接着剤層に銀ミラーを取り付けることができる。
特定の実施例および用途に関して本発明を説明したが、当業者は、この教示に照らし、特許請求される本発明の趣旨から逸脱することなく、または特許請求される本発明の範囲を超えることなく、更なる実施例および変形を生成することができる。従って、本明細書の図面および説明は、本発明の理解を促進するための一例として提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでないことを理解されたい。
Claims (20)
- 光学レンズ用の積層体であって、
少なくとも1つの高屈折率材料層および低屈折率金属層を有し、更にミラー層を備えるワイヤグリッド偏光子と、
前記ワイヤグリッド偏光子に積層された透明フィルムとを備え、
前記ワイヤグリッド偏光子の後面反射率は、6%未満であり、前記ミラー層は、前記透明フィルムによって保護されるように構成される、
積層体。 - 前記透明フィルムは、着色透明フィルムである、請求項1に記載の積層体。
- 前記光学レンズは、前記ミラー層が前記着色透明フィルムと共に積層される場合に、視認者に着色ミラーの外観を呈する、請求項2に記載の積層体。
- 前記透明フィルムは、少なくとも1つのフォトクロミック化合物を含有する機能性フィルムである、請求項1に記載の積層体。
- 少なくとも1種のフォトクロミック化合物を含有する前記機能性フィルムは、接着剤である、請求項4に記載の積層体。
- 前記接着剤は、ポリウレタン接着剤である、請求項5に記載の積層体。
- 前記ワイヤグリッド偏光子は、前記透明フィルムが前記着色透明フィルムである場合に、透過色と反射色とで強度が異なる、請求項2に記載の積層体。
- 反射色の強度が透過色の強度よりも高い、請求項7に記載の積層体。
- 前記ワイヤグリッド偏光子は、3より大きい屈折率を有した少なくとも1つの高屈折率材料層を備える、請求項1に記載の積層体。
- 3より大きい屈折率を有した前記少なくとも1つの高屈折率材料層は、ゲルマニウム層を備える、請求項9に記載の積層体。
- 前記ゲルマニウム層は、約20nmの厚さを有する、請求項10に記載の積層体。
- 前記積層体は、少なくとも1つの追加の保護層によって保護される、請求項1に記載の積層体。
- 前記少なくとも1つの追加の保護層は、ポリカーボネート層である、請求項12に記載の積層体。
- 構造化された表面を有するポリマフィルムと、
少なくとも1つの高屈折率材料層および低屈折率金属層を有し、前記ポリマフィルムの前記構造化された表面上に堆積されたワイヤグリッド偏光子と、
前記ポリマフィルム上に堆積されて積層体を形成するフォトクロミック層とを備え、
前記積層体は、2つの保護層の間に封入される、
光学レンズ。 - 前記フォトクロミック層の厚さは、約10~50ミクロンの範囲内にある、請求項14に記載の光学レンズ。
- 構造化された表面を有するポリマフィルムと、
少なくとも1つの高屈折率材料層と、ミラー層としての低屈折率金属層とを有し、前記ポリマフィルムの前記構造化された表面上に堆積されたワイヤグリッド偏光子と、
前記ワイヤグリッド偏光子の前記ミラー層上に積層された着色透明フィルムとを備え、
前記着色透明フィルムは、視認者に光学レンズの着色ミラーの外観を呈する、
光学レンズ。 - 前記ワイヤグリッド偏光子が、前記低屈折率金属層上に堆積された1つの高屈折率材料層を備える場合に、前記ワイヤグリッド偏光子は、片面反射制御機能を提供する、請求項16に記載の光学レンズ。
- 前記ワイヤグリッド偏光子が、前記低屈折率金属層の両面にコーティングされた2つの高屈折率材料層を備える場合に、前記ワイヤグリッド偏光子は、両側反射制御機能を提供する、請求項16に記載の光学レンズ。
- 前記着色透明フィルムの厚さは、0.1~0.4mmX-Ynmの範囲内にある、請求項16に記載の光学レンズ。
- 前記着色透明フィルムが積層された前記ワイヤグリッド偏光子の反射色の強度は、前記着色透明フィルムが積層された前記ワイヤグリッド偏光子の透過色の強度よりも高い、請求項16に記載の光学レンズ。
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