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JP2024542300A - 低加圧水型原子炉及びその制御方法 - Google Patents

低加圧水型原子炉及びその制御方法 Download PDF

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JP2024542300A
JP2024542300A JP2024507913A JP2024507913A JP2024542300A JP 2024542300 A JP2024542300 A JP 2024542300A JP 2024507913 A JP2024507913 A JP 2024507913A JP 2024507913 A JP2024507913 A JP 2024507913A JP 2024542300 A JP2024542300 A JP 2024542300A
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Abstract

Figure 2024542300000001

【課題】事故の可能性と保守管理の少ない低圧力で動作する原子炉を提供する。
【解決手段】本発明の低圧力水原子炉1は、原子炉容器100と上行管104と貯水槽200と蒸気ドラム150と注水システムと圧力1-10バールで動作する蒸気タービン161と、容器100を包囲する外側環状体を有し、上行管104は高速流を生成する下行管105を形成する。炉心101の圧力は6-15バールである。ドラム150は上行管104に接続され、貯水槽200は容器100に接続されホウ素水を貯蔵する。注水システムはホウ素水を槽200から容器100に移す。上行管104は容器100からの温水を蒸気に変換しタービン161に送る。一次冷却材は、その密度差により、上行管104,下行管105,ドラム150、炉心101内で自然循環する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、一般に原子炉の分野に関し、特に低加圧水型原子炉(LPWR)とその制御方法に関する。
エネルギーの供給源としての電気の出現以来は、人類の生活の質は大幅に向上し、その恩恵を享受している。しばしば、基本的なニーズとして、食品および水と共に、電力の入手可能性は、経済成長に直接関係する。世界的なエネルギー需要は、2011-2035年間に年率で2.5%成長すると見積もられている(非特許文献1)。化石燃料は、世界中のエネルギー構成の約87%を占めるが、次の80年で枯渇するとも予測されている。しかし全世界が米国並みの生活をする場合には、このような生活習慣は2035年までしか維持できない(非特許文献1)。
今日の発電の最も一般的な方法は、化石燃料に貯えられたエネルギーを電気エネルギーに変換することである。しかし化石燃料を電気エネルギーに変換することには問題がある。その一例は、天然資源の限られた利用可能性、有害な排出物の放出、化石燃料資源の外国への依存に起因する国家安全保障等である。他方で再生可能な資源からの発電は以下の問題に直面している。即ち、規模の経済性、技術の発達度/完成度、化石燃料の生産の代わりを提供する資源の信頼性/利用可能性である。水力発電所用の大規模なダム建設に伴う政治的議論については言うまでもない。大きな湖沼や河川は、水力発電所が必要とするエネルギーを提供するが、広く利用可能ではない。風カはエネルギー構成中の有力な候補であり、年間のエネルギー生成単位(kWh)で見た時には、多くのベースロード発電に置き換わる可能性がある。しかし風は止むことがあり、この技術は当てにならなず、大規模なオンデマンド電力(kW) を提供できない。この為、電池群や揚水式水力発電所のようなエネルギー貯蔵手段と対にならないと利用できない。これの代替物は原子力発電の利用であるが、これも再生可能な電力と同様、政治的・環境的な問題に直面し、事故に関する懸念および廃棄物の処理に係る懸念も高い。しかし原子力発電は、高エネルギー密度の核燃料の利用可能性を有し、信頼性のある連続運転を可能にし、核燃料アクセスを容易にする周知の利点を有する。再生可能な発電世代のように、原子力発電所は、温室効果ガスの排出がなく、有害な産業廃棄物を生物圏に戻す利点もある。
原子力発電は、核分裂性物質(U、Pr)からのエネルギー放出により発電するが、これは制御された連鎖反応による核分裂によってのみ可能である。この熱は、通常原子炉冷却材に伝達され、作動流体となる(BWR:沸騰水型原子炉)か、熱を二次作動流体に伝達する(PWR:加圧水型原子炉)かのいずれかである、作動流体は、タービン発電機の羽根を駆動して発電する。
原子力発電は、複雑な現代技術に依存しており、安全性が関心事である。機器の誤動作で事故が発生じ、大衆を電離放射線に曝し死に至らしめる又は土地の大規模汚染につながる。実際に、原子力技術は、広大な土地に、更には国境を超えて過酷な環境被害を引き起こすことがある。安全性の関心事は、リスクと核技術の複雑さに関連するが、世論を突き動かし、現代の民衆の意思決定に否定的な影響を及ぼす。
原子炉設計者及び関係規制官庁は、原子力発電所での事故につながる多数の事象を想定している。原子炉では、特に原子炉からの冷却材の偶発的な喪失(LOCAとして知られている)による潜在的な帰結が、炉心溶融および放射性物質の放出をもたらす(非特許文献3,4)。多くの原子力技術が、電気の利用/入手可能性(電気ポンプおよび制御装置を駆動するのに使われる)に依存することも関心事/心配事である。その証左として、2011年福島の原発事故があげられる。原子炉容器の水没が、全電源の喪失を招き、3機の原子炉容器でのメルトダウンにつながった。プラントの安全システムを作動させる高度に熟練した作業員への信頼性は、別の潜在的な欠陥であり、ヒユーマンエラーに起因する脆弱性をもたらす。この一例が、米国のスリー・マイル島の原子力発電所での1979年に事故である。
上記の安全上の問題に対処するために、原子炉設計者は、改善された原子炉設計概念を提案している。これにより、高レベルの安全性と高い信頼性を可能にしている。これらの新規な設計的特徴は、安全性と信頼性を高め、核エネルギーにおける公共の信頼性を再構築することを目的とし、原子力発電所の所有者に対する投資保護(全寿命期間中の競争力のある費用を提供すること)を保障し、経済上のリスクを減らす。新規の原子炉技術は2つのカテゴリーに大きく分けることができる(非特許文献5)。革新的設計である第3/3+世代の原子炉容器と第4世代の原子炉容器である。
第3/3+世代の設計は、現在の第2世代の原子炉に対する革新的改良に基づき、現在の改善された設計特徴を維持することに重きを置き、エンジニアリング・リスクを最小にし、次世代設計まで段階的に改善する(非特許文献6)。これらの設計は、第2世代の原子炉設計に対していくつかの利点を有する。
●金融/プロジェクト管理:運転許可の便宜の向上、建設期間の短縮、投資コストの低減、動作不具合に対する脆弱性の低減。
●設備の使用期間の延長:運転停止期間の短縮と60年超の運転寿命の延長の点。
●核燃料効率の向上:核燃料の同位体の燃焼増加、可燃性吸収材の使用増加、熱効率の向上によって達成する。
●炉心のメルトダウンの可能性の低減:炉心の損傷率が、現在の第2世代の原子炉に比べて、桁違いに下がることが求められている。
●航空機の墜落と地震による構造的損傷に対する耐性の増加。
しかし第3/3+世代で過去20年以内に建設された原子炉は、多くの問題を抱えている。最も難しいものは、投資する資本コストの大幅な上昇とプロジェクトの長期遅延である。現在建設中の欧州加圧原子炉(EPR:Europian Pressurized Reactor)の内の2つ(フィンランドのオルキルト原発とフランスのフラマビル原発)は、建築費の上昇に直面し、プロジェクトの完成予定日が何年も先延ばしされている。中国で建設中のEPRも大幅に遅れている。非特許文献7は、2014年までの世界中の原発建設コストの再検討を示唆し、大幅なコスト上昇と建設計画の遅延が、全てのプロジェクトにおいて発生すると結論づけている。その理由は以下である。
1.建設計画を加速するための過剰な資源開発の必要性。
2.基本的に非経済的な設計の採用。
3.安全強化の為の規則/規制の増加。
4.過去から学ばないプラント設計の連続する世代の複雑さの増加。
5.標準設計の欠落。
同様なコストの上昇傾向は、非特許文献8-11でも指摘されており、特に西側諸国で顕著である。
主に高い資本コストおよび関連コストの不確実性の結果として、西側諸国における原子力プラントの売電価格は、現在の卸売の電力価格よりも高く、ガス火力発電所および再生可能エネルギー(風力発電、太陽光発電)の電力価格と比較しても高い。より安いコストの不確実性に曝される傾向がある。
大型の原子炉(約600-1600MW(e)の出力を有する)の現在の発電に関連する経済的な欠点を克服するために、約300MW(e)程度の出力の小型の原子炉設計が、いくつか提案されている。これらの設計の多くは、モジュール方式で工場組立てを特徴とする。従来の大型の原子炉(高コストの可能性がある)と比較して、部品およびプロセスの標準化を進めることが可能となる。原子炉が小型になれば、全体構造の単純さ、建設速度の向上、財務上のリスクの低減の観点からの利点の可能性がある。
小型のモジュール式の原子炉は、多数の魅力的な設計特徴を有する。以下に記載する。
● 拡張可能性:企業の多くは経済的な負担に慎重である。大規模な原子力発電設備では、売電/電力販売の開始時点までに、5-10年の期間を要している。小型のモジュール式発電プラントの拡張可能性により、最初のモジュールが立ち上がり動き始めると直ぐに、売電し収益を得ることができる。これらの収益により、企業が新たなモジュールおよび他の発電プラントへの投資を開始できるようになる。
●モジュール化:これまで現場で建設されてきた大型の原子力発電設備とは対照的に、モジュール式構造で、原子力設備の構成要素を工場で組立て、現場に輸送することが可能になった。制御された環境における建設は、建設品質を向上させ、より正確な製造と品質検査が可能となる。モジュール式構造の別の利点は、異なる構成要素を世界中のどこででも同時に組み立てることができ、計画された時間に所定の場所に輸送することができるようになったことである。他のエンジニアリング分野におけるモジュール式構造の開発は、品質を損なうことなく、大幅に短縮された施工期間を可能にしている。
●簡略化: 少ない構成部品による小型でより単純な設計は、原子炉を損傷させることのある事故の発生率を低下させる(非特許文献12)。単純な設計の別の主要な利点は、複雑な安全システムの設計および建設に関連する資本コストの削減である。
●設置場所の選択:小型のモジュール式原子炉は、従来の大型の原子炉よりも建設する場所が多数ある。従ってそれらは人里離れた電力系統網から外れた場所に建設するのに適している。設置場所の一例として、淡水化プラント、石油掘削場所等の場所が上げられる。
これらの要因は、商用発電のための出力が300MW(e)以下の小型の原子炉を開発すべき場合/利点があることを示唆している。しかし、非特許文献13によれば、現在公開されている経費情報には、大型の原子炉と比較してコストを現実的に評価するための信頼できる情報はほとんどない。水冷式原子炉技術の場合、小型の原子炉設計でも、大型の原子炉で要求される多くの安全性の特徴に関連する複雑さ(大きさに換算し減らした)がある。小型のモジュール式原子炉設計のいずれもが、西側諸国ではライセンスされていないので、規制要件に応じて設計の複雑さが増すという問題はコストの上昇を招く。これは現在の大型のプラント設計で経験しているのと同様である。
従って商用発電に使用される現在の原子炉は、高圧で作動する約1000MW(e)の出力を有する水冷式原子炉である。
このようなプラントでの事故を想定すると、一例として、一次冷却材の漏洩又は炉心冷却システムの故障に起因する事故は、炉心溶融をもたらし、潜在的に壊滅的な環境破壊を伴う。このような安全上の問題に対処するために、高度な原子炉設計が開発され、炉心溶融のリスクが低減され、地震や航空機の衝突などの危険に対する耐性が向上した。しかし、これらの設計の複雑さが増したことにより、建設コストの増大と現在のプロジェクトにおける計画遅延をもたらし、西側諸国における原子力発電への投資を更に遅延させる。原子力発電の利便性を向上させるために、小型の原子炉設計がいくつか提案されているが、これらは、既存の大型原子炉の縮小版に過ぎず、安全要求に起因する設計の複雑化の問題は、高く不確定な投資コストをもたらす。従って、最小限の数の単純な安全機構しか必要としない新たな低加圧水式地下原子炉が必要である。
本発明の目的は、複雑な安全特徴への依存性を最小限にする簡単な設計で本質的に安全な約300MW(E)を発電できる冷却材が自然循環する原子炉を提供することである。この設計目的は、建設及び保守の費用を低減し、原子炉事故による環境へのリスクを低減することである。
本発明の目的は、請求項1に記載の低加圧水型原子炉と請求項9記載の方法によって達成される。
その第1態様によれば、本発明の低加圧水型原子炉は、原子炉容器と蒸気ドラムと貯水槽と自動注水システムと低圧蒸気タービンとを有する。原子炉容器は、一次冷却材(通常水である)を入れる内部空洞と、上行管と、上行管の下に配置される炉心と、原子炉容器と上行管を包囲する外側環状部とを有する。これは下行管を形成する。下行管は、所定の流路面積を有し、10000kg/秒以上の流速を生成する。炉心は、少なくとも55mの深さの地下に配置され、内部圧力が6-15バールの範囲にある。蒸気ドラムは、前記上行管にその上位端を介して接続され、地上に配置され、内部圧力が1-10バールの範囲にある。貯水槽は、原子炉容器に接続され、ホウ素含有水(以下「ホウ素水」と称する)を貯蔵する。自動注水システムは、ホウ素水を、貯水槽から原子炉容器に注入する。自動注水システムは、冷却材を原子炉内に注入する、圧力で作用する弁を有する安全システムである。制御棒駆動機構を動かす駆動力は、バネに貯えられたエネルギーと冷却材の重力作用(密度駆動流)である。低圧蒸気タービンは1-10バールの圧力で動作する。
原子炉容器は、水を所定の温度まで加熱するが、飽和点(thrmodynamic saturation point)に達することはない。上行管は、加熱された水を蒸気に変換する。この蒸気は、低圧蒸気タービンに、蒸気ドラムを介して更に送られる。これにより、この蒸気への変換が、一次冷却材内に密度差を生成する。この密度差により、上行管,下行管,蒸気ドラム、炉心内で、一次冷却材が、自然循環を開始する。
単純化した自動型の低加圧水型原子炉の特徴により、多くの構成要素と安全特徴(従来の高加圧水型原子炉容器においては大きな投下資本と維持費用を必要としていた)を不要にできる。更に発電コストを高加圧水型原子炉容器のそれより下げることができる。
特に、蒸気は、上行管内のフラッシングの手段で、即ち、一次冷却材が上行管内を上昇する際、その上方への位置変化に伴う圧力低下と上行管を上昇する際の摩擦による圧力低下による減圧が発生する。フラッシングとは、従来公知のように、高圧液体が低圧領域に入る時又は管部分における圧力低下に起因して水の飽和点が低下する時に起きる蒸気の生成である。
10000kg/秒以上の流速(以下「流量」とも称する)に関しては、外側環状部での他の特徴がある。即ち、質量流速(mass flow rate)に影響を及ぼす特徴(例:入口抵抗、炉心の構造(核燃料集合体の数)、スペーサーグリッド)がある。これは外側環状部の内部特徴である。しかしその外部特徴(例:炉心制御パッケージ、保守管理と部品取り付け用の開口)は、質量流速には影響しない。
一実施例においては、上行管の中身は、空であるが、レール、パイプ、構造物、炉心内を下降する制御棒機構用のケーブル群を内蔵してもよい。
一実施例においては、原子炉炉心(以下単に「炉心」と称する)は地下100m超の深さの場所に配置される。
一実施例においては、原子炉容器は、炉心上方に制御棒駆動モジュールを有する。
一実施例においては、炉心は、在庫品のEPR核燃料集合体で構成される。他の実施例では、本発明の低加圧水型原子炉は、従来の高加圧水原子炉の核燃料集合体の上に配置される。ヨーロッパの加圧水型原子炉の核燃料集合体(EPR)が、最新で入手可能であるが故に採用されるが、本発明はこれに限定されない。
一実施例においては、炉心は、EPRを120本-180本含む。
一実施例においては、蒸気ドラムは、乾燥機と、上部蓋と、スプラッシュ板とを有し、これらは水密の部屋内に配置される。
一実施例においては、下行管は、鋼で内張されたコンクリート製シャフト(以下「筒状体」とも称する)を有する。
一実施例においては、貯水槽は、原子炉容器に、自動開閉弁(以下「自動弁」と称する)又は手動開閉弁を介して接続されている。
本発明の低圧力水原子炉容器は、シャットダウン用ロッド又はホウ酸水を溜める貯水槽のいずれかの手段で、、シャットダウン即ち停止される。
一実施例においては、貯水槽内に貯蔵されているホウ酸水はホウ酸を1000ppm含み、貯水槽の配置高さは地上20m以上である。他の実施例ではホウ酸水は、ホウ酸を1500ppm含み、更なる実施例ではホウ酸水はホウ酸を最大3000ppm含む。
一実施例においては、炉心の入口温度は100℃-150℃の間であり、その出口温度は140℃-170℃の間である。炉心の入口抵抗は静的不安定性を小さくする。他の実施例においては、蒸気ドラムの蒸気出口温度は100℃-170℃の間であり、その直径は10m以上であり、その配置高さは地上3m以上である。
第2の態様によれば、本発明は、第1の態様の低圧力水原子炉容器を制御する方法を提供する。本発明の方法は、(A)前記原子炉容器で、飽和点に達することなく、水を所定の温度まで加熱するステップと、(B)前記上行管で、加熱された水を蒸気に変換するステップとを有する。この蒸気は、低圧蒸気タービンに、蒸気ドラムを介して送られる。これにより、ステップ(B)は、一次冷却材に密度差を生成する。この密度差が、上行管,下行管,蒸気ドラム、炉心内で、一次冷却材の自然循環を開始させる。
一実施例においては、本発明の方法は、更に(C)低加圧水型原子炉容器の核燃料補給作業中に、炉心を原子炉容器から上昇させるステップを有する。
一実施例においては、本発明の方法は、更に(D)自動弁を、一次冷却材内のホウ酸濃度が所定値に達した時に、制御する又は閉鎖するステップを有する。
一実施例においては、炉心は、冷却材(減速材)で蒸気を生成しながら、低加圧水型原子炉の定常運転時に、一相冷却材(single-phase coolant modulator)で動作する。
一実施例においては、本発明の低加圧水型原子炉のパラメータは以下である。
炉心の設置深さ:地下50m以下
炉心の熱出力:1500MW-2500MW
炉心内の核燃料集合体の本数:EPR型の核燃料集合体を120-180本
炉心入口抵抗K:1-3
炉心入口圧力:6バール以上
炉心入口温度:100℃-150℃
炉心出口温度:140℃-170℃
上行管の流路面積:5m以上
蒸気ドラム圧力:1-10バール
蒸気ドラム出口温度:100℃-170℃
蒸気ドラムの直径:10m以上
蒸気ドラムの配置高さ:地上3m以上
タービン入口圧力:1-10バール
下行管の流路面積:5m以上
下行管の質量流速:10000kg/秒以上
原子炉貯水槽(RWST)内のホウ酸濃度:1000ppm以上
原子炉貯水槽(RWST)の水の海抜(高さ):20m以上
蒸気ドラム配管出口の高さ:10m―20m
本発明の一実施例による定常運転時の低加圧水型原子炉の展開図。 原子炉の定常運転時の原子炉室と核燃料プールの構造を示す図。 核燃料補給作業時の原子炉室と核燃料プールの構造を示す図。 他の実施例のDHRSのシステムを示す図。 他の実施例のFPCSのシステムを示す図。 本発明の一実施例の低加圧水型原子炉の炉心を示す図。 本発明の他の実施例の低加圧水型原子炉のシステムを示す図。 システム圧力と熱効率との関係を表す図。横軸はシステム圧力、縦軸は熱効率。 定常運転時の自然循環流(ループ)を表す図。 低加圧水型原子炉の炉心モデルで使用されるサブチャネルの形態を表す図。 炉心ピーク時と平均時のサブチャネルを表す図。
本発明は低加圧水型原子炉(以下「LPWR」とも称する)を提案する。本発明の低加圧水型原子炉は、約300MW(e)の高出力を達成するが、本質的に安全性の高い単純な設計である。本発明の低加圧水型原子炉1は、軽水冷却減速原子炉(light water cooled and moderated reactor)で、大気圧に近い圧力で動作する。本発明の原子炉は、プール型の設計であり、地下の深い場所にある筒状体(shaft)の底部に配置されている。一次冷却材の流れは、密度差で動く自然循環(density-driven natural circulation)で達成され、電動式の循環ポンプに頼ることはない。本発明の原子炉は、反応度制御(reactivity control)又は原子炉停止後の冷却(post-shutdown cooling)を行う為には、能動/電動システムへの依存度は最小限である。
図1は、本発明の低加圧水型原子炉1の実施例を示す。この低加圧水型原子炉1では、炉心101は、地中深く埋められている、コンクリートで内張された(concrete-lined)筒状体の底部に配置されている。この筒状体は、信頼性の高い自動弁である冠水弁130によって、高容量の貯水槽200(ホウ酸水を貯水している)に接続されている。この設計により、自動で動作する冠水弁130による貯水槽200への連結により、原子炉を遮断し、効果的な冷却を、数週間にわたって、全ての予測可能な故障と危険状態において、更には運転者の介入がない場合においても、提供できる。加えて、一次冷却材の喪失または通常の熱除去システムの喪失を伴う事故における核燃料損傷のリスクは、効果的に回避できる。
特に、この実施例によれば、原子炉容器100は、半球状の底部が閉じているパイプ(直径5m、長さ100m)からなる。このパイプが、100m以上の深さにまで延びる鋼で内張したコンクリート製筒状体(steel-lined concrete shaft)内に配置されている。原子炉容器100外壁と筒状体の間にある狭小環状部は、漏洩監視のために使用される。原子炉容器100の上端は、水分分離器として作用する直径15mの直立した円筒形の蒸気ドラム(以下単に「ドラム」と称する)150に接続されている。ドラム150は、乾燥機、上部蓋151、スプラッシュ板152を含む。これらは、核燃料補給作業中には外される。ドラム150は、水密室(原子炉室155)内に配置されており、この水密室は、核燃料補給作業中に冠水する(水で満たされる)。
通常の出力動作では、ドラム150内の蒸気圧は2.6バールであり、炉心101の下の入口プレナム(空間)内の圧力は11.5バールである。原子炉容器100は、同心状に配置された上行管104(直径3.5m)を含む。この上行管104は、ドラム150にその出口端で連結されている。原子炉容器100と上行管104との間の幅広環状部(0.75m幅)は、下行管105を構成し、炉心101を通り抜ける自然循環流のための駆動水頭圧(driving head)を提供する。炉心101は、上行管104の底部に配置され、120本-180本(この実施例では150本)のEPR型の核燃料集合体から構成される。これは、従来の高加圧水型原子炉で使用されるのと同じ設計である。炉心101は、核燃料集合体が全部に搭載されているが、核燃料補給作業中に、上行管104から完全に持ち上げられて、原子炉室(原子炉プールとも称する)155の床の設置区域に配置される。原子炉容器制御棒駆動機構は、炉心101の上にある核燃料集合体モジュール103内に含まれる。核燃料集合体は、核燃料補給作業中に原子炉室155内に再配置される。原子炉容器圧力回路の内部にある核燃料集合体モジュール103の使用は、現在のSMR設計(例:NUSCALE設計、mPower設計)で見られるのと同様である(非特許文献14,15)。
本発明の低加圧水型原子炉1では、原子炉運転中の一次冷却材の循環は、自然対流よって行われ、循環ポンプを使用しない。循環ポンプは、同等の電力出力を有する従来の高加圧水型原子炉の設計では使用されているが。下行管105の上部にドラム150から入る水は、ドラム圧力で飽和温度に近いが、炉心101内の水は、下行管105内の静水圧(hydrostatic pressure)によって準冷却される(subcooled)。従って、従来の高加圧水型原子炉のように、炉心101内の一次冷却材(中央の核燃料集合体の上部の沸騰する小さな領域から離れている場所の)は、主に準冷却され、ボイド(気泡)誘起反応度フィードバック(void-induced reactivity feedback)による潜在的な不安定性を回避できる。一次冷却材が上行管104に沿って上昇すると、上昇に伴って発生する圧力低下は、ある高さ以上で二相状態(フラッシング)の発生をもたらす。二相状態領域における密度の低下は、自然循環のための駆動水頭圧を大幅に向上させ、その結果、循環ボンプを使用する従来の高加圧水型原子炉と同等の炉心質量流量率(core mass flow rate)を達成できるようになる。従って、本発明の低加圧水型原子炉1は従来の高加圧水型原子炉と同等の熱出力レベルを達成できる。
ドラム150内の相分離後、蒸気は、複数の主蒸気配管173を介して、タービン建屋160内の低圧蒸気タービン(以下単に「タービン」と称する)161に達する。タービン建屋160内の凝縮器162からの凝縮液(condensate)は、ドラム150に、複数の主入配管172を介して給水ポンプ164により、戻される。動作圧力が低いため、地上にある一次冷却材回路配管の故障の機械的結末は、許容可能であり、核燃料故障を引き起こす炉心101の露出(uncovering)又はドライアウ ト(dryout)に至ることはない。地下にある圧力回路配管の故障も、許容可能であり、核燃料故障に至ることはない。本発明の低加圧水型原子炉1では、冷却材の喪失事故(LOCA)でも、環境へ放射能を大量に放出することはないので、本発明の低加圧水型原子炉1内の一次冷却材回路は、低圧配管で構成でき、通常の高加圧水型原子炉設計において必要とされる完全な鍛造部品を使用しないので、従来必要とされていた高価な製造技術および検査技術を必要としない。加えて、LOCAで放出される一次冷却材は、放射性物質を多くは含まないので、本発明の原子炉建屋は、フィルター換気設備のみを有する産業用建屋とすることができる。この産業用建屋は、従来の軽水炉(Light Water Reactor)設計で必要な高圧に耐えられる気密容器ではない。
貯水槽200は、多機能貯蔵タンクであり、核燃料搬出および移送を容易にする一方で、原子炉停止および原子炉冷却の主要安全機能を提供する自動的手段としても機能する。高容量の貯水槽200は、1500ppmのホウ素を含有する約12000mの水を貯水でき、以下の1~3の安全機能を実行する。
1.凝縮器162が利用不能となるタービン・トリップの後に生成される原子炉からの蒸気を水に戻す。
2.核燃料補給動作中に原子炉室155を浸水させる水源を提供する。
3.ホウ素水源を提供する。これにより原子炉を緊急時に冠水する(水で満たす)ことを保証する。必要に応じて、原子炉の停止および冷却と使用済核燃料貯蔵水槽ヘの補給水の供給源を確保する。
通常のプラント停止又は凝縮器は生きている予定外のトリップでは、タービンバイバス弁は、自動的に開いて、原子炉で生成された蒸気を凝縮器に迂回させ、崩壊熱除去システム(Decay Heat Removal System)(以下「DHRS」と称する)を稼働し、原子炉を冷間停止状態にする。事故状態(タービンバイパスが故障又は凝縮器が使用不能な状態)では、原子炉に注水する冠水弁130と蒸気ダンプ弁131は自動的に開き、貯水槽200を原子炉用水回路網に接続する。信頼性の高い安全確保動作を実行する為に、冠水弁130と蒸気ダンプ弁131は、原子炉運転中には、補助的に電磁石によって閉状態にしておき、緊急時(電磁石を駆動している電流が停電した時)に、自動的に(バネまたは貯蔵された圧縮空気の作用下で)開くようにする。
冠水弁130と蒸気ダンプ弁131の動作に続いて、原子炉蒸気は、貯水槽200内に噴霧分配器(sparge header)201を介して放出される。原子炉蒸気は、原子炉がホウ素水で浸水される(flooded through)まで凝縮される。浸水後、短期崩壊熱除去(short-term decay heat removal)は貯水槽200内の水の加熱により行われ、長期崩壊熱除去は崩壊熱除去システム(DHRS)によって行われる。DHRSが故障した場合、例えば、長期間の停電に起因する故障の場合、24時間以上の時間が、貯水槽200の水が飽和温度に達するまでにかかる。その後、原子炉冷却は、DHRSが復元出来なかった場合、貯水槽200からの水の蒸発(boil-off)と貯水槽200への水の補給(makeup)によって無期限に実行できる。
核燃料貯蔵およびその取扱い
図2において、本発明の低加圧水型原子炉から取り出された使用済核燃料は、貯蔵棚191に貯蔵される。貯蔵棚191は、原子炉室(原子炉プール)155に隣接する核燃料貯蔵プール190内にある。貯蔵期間経過後、使用済み核燃料集合体は、貯蔵庫192に、移送室193(核燃料貯蔵プール190の隣にある)を介して、移送される。その後、長期貯蔵設備または再処理設備に移送される。
図3は核燃料補給作業中の建物構成を示す。核燃料補給作業を行うために、上部蓋151とスプラッシュ板152は、ドラム150から取り外されている。原子炉室は、貯水槽200からのホウ酸化水で冠水され(浸水され)る。スロットゲート195は、原子炉室155と核燃料貯蔵プール190を連絡するが、開放され、核燃料集合体を貯蔵棚191へ移送可能にする。核燃料集合体が移送される前(図3で位置157にある)に、核燃料集合体モジュール103と炉心101は、核燃料集合体を全部搭載しているが、持ち上げられ、原子炉室155内の設置区域に配置され、取り出し/収納が容易になる。新たな核燃料集合体の搭載と再使用される核燃料集合体の再配置に続いて、核燃料集合体を再装填された炉心は、原子炉容器(筒状体)内に下ろされ、核燃料集合体モジュール103は交換され、制御棒ラッチは再係合される。
作業安全特徴
原子力発電プラントは、ESF(Engineered Safety Features)即ち作業安全特徴有し、プラントがその全寿命中に経験する動作状態と事故時において、炉心の核反応状態を制御し、炉心の冷却と放射性物質による汚染を制御する。現在の水冷式原子炉容器の設計においては、主要なESFは、以下の3つを含む。
1.水密の容器構造:この容器構造は、原子炉水回路網を収納し、冷却材喪失事故(LOCA)時に放出されることのある放射性物質を入れる。
2.緊急時の炉心冷却と注水システム:このシステムは、事故時に、崩壊熱を除去し、原子炉容器を再充填する。
3.核燃料補給作業中に核燃料プール内の使用済み核燃料を冷却するシステム。
これらのESPは、緊急時(洪水、火事、爆発)に、支持機構を必要とする。この支持機構は、電力と制御の機能及び冷却/換気の機能を提供し、必須部品を保護するシステム構造と部品を提供する。ESFと支持機構は、その安全維持機能と仕様の重要性に従って、安全性の観点から分類される。原子力の安全性の観点から分類されたこの構造/システム/構成要素は、従来の装置以上の設計/建設/保守の標準を満たさなければならない。その結果、必要なESFを提供し、この支持機構は、現代の原子力プラントの建設及び維持コストに大きな影響を及ぼす。
本発明の低加圧水型原子炉1のESFは、第3世代の高加圧水型原子炉が必要とするESFより検査項目の数が遙かに少ないため、本発明の低加圧水型原子炉1の建設費と保守費は、かなり安くなる可能性がある。本発明の低加圧水型原子炉1で必要とされる主要なESFを列挙し、従来の高加圧水型原子炉の同等の要件と比較した。ESFに加えて、他の主要なシステムが、低加圧水型原子炉プラントの運転に必要とされる。例えば、冷媒化学/体積制御システム、タービン/復水器を動かす電力変換システムが、運転に必要とされる。しかし、これらは本発明の低加圧水型原子炉1では考慮する必要は無い。これらは、現在の原子力発電設備の建設と運転コストヘの寄与は比較的小さいからである。
原子炉格納構造
従来の高加圧水型原子炉の現在の設計は、過圧耐性を有する大きな密閉構造内に原子炉一次冷却材回路(reactor primary circuit)を封入する必要がある。原子炉格納建屋に厳しい要件が必要な理由は、大規模な冷却材喪失事故(LOCA)の場合、核燃料の過乾燥および過熱が発生し、核燃料ピンの破損が起こり、放射性核分裂生成物が原子炉圧力回路内へ放出されるからである。圧力回路を密閉容器内に封入することにより、自然環境へ放射能が漏洩されるはずであるが、本発明ではこれらの装置内に限定され、安全なレベルに維持できる。原子炉格納構造は、LOCA又は他の事故に際し、過酷な炉心損傷の場合(炉心冷却の回復の失敗に起因する)の放射能物質の放出に対する障壁を提供する。
本発明の低加圧水型原子炉の設計概念は、いかなる事故状況においても、核燃料故障の発生を防止することにある。この設計概念により、貯水槽200,原子炉室155、核燃料貯蔵プール190のコンクリート製壁の完全性が維持される。そのため、事故時に損傷した核燃料から放出される核分裂生成物を保持するための漏洩の無い密閉式格納建屋の必要はない。かくして本発明の原子炉は、換気システムを備えた従来の建物に収容可能である。
非常用炉心冷却システム
水冷原子炉で使用される非常用炉心冷却システムは、複数のサブシステム即ち「トレイン(群列)」から構成される。このサブシステムは、高容量ポンプ、熱交換器、貯蔵タンクからなる。これらの機器で、緊急/非常時に、冷却材を原子炉内に注入し、長期の炉心冷却を再確立する。核安全システムに適用される安全設計要件を満たすために、従来の高加圧水型原子炉の非常用炉心冷却システムは、4つの同一の「群列」で構成されている。これらの「群列」は、多様なバックアップ・システムを備え、4つ全ての「群列」の故障を引き起こす共通の原因である故障の場合もカバーしている。
本発明の低加圧水型原子炉1では、短期の非常用炉心冷却は、複数の冗長弁である冠水弁130,蒸気ダンプ弁131を開くことにより、行う。冠水弁130,蒸気ダンプ弁131は、注水配管175,蒸気ダンプ配管176に設けられている。注水配管175,蒸気ダンプ配管176は、原子炉容器100と貯水槽200とを連結している。これにより、原子炉の密度駆動された浸水は、ホウ素水で行われる。必要時に開く弁の高信頼性を確保するために、冠水弁130,蒸気ダンプ弁131は、電磁石で閉状態に維持されており、外部からの電流が遮断されると、自動的に(バネ駆動又は圧縮空気の開放により)開くようになっている。特に冗長性を達成するために、独立した2つの弁の組が多様な設計で製造されている。
原子炉容器100の浸水(注水)後、短期間の崩壊熱は、自然循環(thermosyphon)により排熱される。この自然循環は、下行管105,炉心101,上行管104、蒸気ダンプ配管174,注水配管175を通る。長期間の崩壊熱は、DHRSの手動での運転開始により排熱できる。このDHRSは、ポンプと熱交換器を有し、部品冷却系へ排熱する。最悪事故状態の場合でも、DHRSへの24時間以内の連結により、貯水槽200内の水の沸騰を回避できる。
図4において、一実施例では、冗長性と多様性を達成するために、DHRSは、3つの「群列」から構成される。そのうち2つは通常動作用(Main)であり、残りはバックアップ用(Back-up)で通常では控え状態にある。2つの通常動作用群列は、熱を淡水部品冷却材システム(CCWS)に排熱し、次にCCWSが、海水又は河川水による部品冷却材システム(SWS)により冷却され、最終的にヒートシンクになる。3番目のバックアップ用群列は、多様な冷却システム(DCS)で冷却され、熱を多様なヒートシンク(DHS)に排熱する。DHRSの設計により、3つの排熱群列の内のどの1つでも、原子炉停止後24時間は、原子炉冷却を許容温度未満に維持することができる。
核燃料プール冷却システム
核燃料プール冷却システム(FPCS)の主な目的は以下である。
1.核燃料補給作業中に、核燃料貯蔵プール190又は原子炉室(原子炉プール)155内にある使用済み核燃料からの崩壊熱を排熱すること。
2.プール内の水を浄化して放射能レベルを制御すること。
3.核燃料取扱操作のために様々な区画の間で水を移送すること。
4.代替冷却システムの故障時に、補給水(makeup water)を核燃料貯蔵プール190又は原子炉室155内に供給すること。
本発明の低加圧水型原子炉における核燃料貯蔵システムと核燃料取扱システムの設計は、従来の高加圧水型原子炉と同じである。
図5に示すよう、DHRSでも議論した冗長性と多様性を実現するために、DHRSと同様であるが、一実施例においては、FPCSは、2つの通常(メイン)動作用群列(以下「M群列」とも称する)は、CCWS/SWSのヒートシンクへ排熱し、1つのバックアップ用群列(以下「B群列」とも称する)は、種々のDCS/DHSのヒートシンクへ排熱する。FPCSの各群列は、原子炉冷却材を、使用済核燃料崩壊熱発生に起因する最大熱負荷で、100℃以下にゆとりを持って維持できるよう設計されている。
核燃料プール190および原子炉プール155(それらはFPCSの吸入用配管網と排出用配管網に接続されている)の壁部の貫通部は、高い位置にある。その結果、FPCS配管網の破損は、貯蔵棚191内の核燃料の露出に直結することはない。FPCSのM群列に接続された貫通部は、B群列の貫通部の上方にある。その結果、B群列は、M群列の配管の破損に起因する部分的なプール排水の後でも、利用可能である。FPCS群列が全部故障した場合でも、プール冷却は依然として可能である。これはプール内の蒸発に起因する捐失を補填するために、貯水槽200からの補給水を重力により供給するからである。
制御と保護システム
安全上分類された制御と保護システム(C&PS)が安全特徴機構を駆動する。安全特徴機構は、原子炉トリップシステム、冠水弁130,蒸気ダンプ弁131、崩壊熱除去システムを含む。これらの機構は、プラント運転の異常検出時又は制御室内の操作員の操作により動く。本発明の低加圧水型原子炉1の設計では、その能動的安全機構の数は比較的少ないため、本発明のC&PSは、従来の高加圧水型原子炉設計(その安全機構は数百の安全機能項目を含む)のそれよりもはるかに少ない数の安全機能に関与するだけである。
本発明の低加圧水型原子炉1のC&PSは、メイン(M)システムとそれから独立したバックアップ(B)システムとから構成される。Mシステムは最前線の安全装置を駆動する。Bシステムは、多様な設計で製造され、多様なバックアップ安全機構(例:DHRSのB群列とB発電機)を作動させる。メインとバックアップのC&PSの両方は、核安全保護機器に分類される。
非常用電力システム
通常時は、プラント機器への電力は外部送電網から供給される。非常時は、外部送電網は安全保護機器分に分類されない(使えない)と見做している。それ故、非常用発電機が、安全装置を駆動するため電力を供給する必要がある。
本発明の低加圧水型原子炉1用の非常用電力システムは、一実施例においては、2台の主ディーゼル(MD)発電機と1台のバックアップ用ディーゼル(BD)発電機とから構成される。前者は最前線の安全装置を作動させ、後者は、多様な設計で製造され、多様なバックアップ用特徴機能を動作させる。4番目のD発電機は、保守作業時に使用される。無停電バッテリバックアップ電源は、非常用発電機を全て喪失した場合に、プラント制御システムに一時的に電力を供給し、動作する。
外部電力(外部送電網から)の喪失で、原子炉は自動遮断し、冠水弁130と蒸気ダンプ弁131は自動開放する。その結果、原子炉容器100は、貯水槽200又は核燃料貯蔵プール190で沸騰が開始する前に、少なくとも24時間制御下におかれる。長期冷却は、電力供給の回復後にDHRS&FPCSを動作させることによって確立される。それが不可能な場合には、冷却は、蒸発した結果失った水を補充するために、貯水槽200へ補給水を提供することによって、無期限に維持される
ESFのみが、貯水槽200で大量の電力を必要とするので、DHRSとFPCSの冷却群列(低圧で動作する)に属する。本発明の低加圧水型原子炉1の貯水槽200内の非常用D発電機の電力要件は、従来の高加圧水型原子炉のそれに比べるとはるかに小さい。従来の高加圧水型原子炉は、沢山のESFを内蔵し、複数の高圧高電流のポンプが非常時炉心冷却用に必要である。DHRSとFPCSの冷却群列を動作させるエネルギー要件を考慮すると、本発明の低加圧水型原子炉1のD発電機に必要とされる電力は1台当たり約100kWにすぎない。
炉心の設計
本発明の低加圧水型原子炉1は、従来の高加圧水型原子炉設計と同じ核燃料を使用しているので、広範な運転経験がこの種の核燃料に生かることができる。現在のEPR設計は、U235の最大濃縮度が5w%のUO核燃料を使用する。このUO核燃料は、円筒形のペレットの形状をしたUOが、M5ジルコニウム合金製クラッドの直径9.5mmの筒内に内蔵される。筒内はヘリウムガスで加圧されている。核燃料集合体は、全長が約4.8mで核燃料部の長さが4.2mである。核燃料集合体は、265本の核燃料棒と24本の案内管を有する。案内管は、吸収棒または炉内計装物を収容するために使用される。EPRの炉心は、241本の核燃料集合体を内蔵する。
図6は、EPR型の核燃料集合体を145本含む本発明の炉心101の実施例を示す。これは、2000MW(th)の目標火力を達成するために具体的に選択されたものである。
一実施例によれば、本発明の低加圧水型原子炉1の設計に想定される核燃料棒、核燃料集合体、炉心101の主要寸法および材料特性を表1に要約する。

Figure 2024542300000002
表1:低加圧水型原子炉の核燃料集合体と炉心の寸法および物理的性質
以下に、本発明の低加圧水型原子炉1が蒸気源を提供する発電設備の定常状態の性能特性の分析を説明する。
熱水力学設計
前述したように、本発明の低加圧水型原子炉1は、軽水冷却方式の減速原子炉であり、大気圧近傍の圧力で動作し、放射能の環境への大量放出につながるような事故の危険性を効果的に取り除く。安全性の向上は、炉心101を長い筒状体の底に配置することで達成される。この筒状体は、地下深くに配置され、冠水弁130,蒸気ダンプ弁131を介して、地上にある大型の貯水槽200に連結されている。これにより、炉心101は、全ての予測可能な故障および危険状態でも、冷却可能となる。特に、低い動作圧力と大量の一次冷却材の貯蔵との組合せにより、本発明の低加圧水型原子炉1では、冷却材喪失事故時の核燃料過熱のリスク又はその後に起きる通常時の除熱システムの喪失のリスクは、効果的に排除できる。本発明の低加圧水型原子炉1の設計目的は、発電時のメガワット(MW)当たりの資本コストを低く抑えることである。この設計目的は、ESF即ち作業安全特性(例:従来の高加圧水型原子炉設計の資本コストの多くを占める密封閉じ込め建物のコスト)の必要性を取り払うことで達成される。
図7は、本発明の低加圧水型原子炉1の別の設計概念を図示する。上記したように、原子炉運転中に、炉心101の上方にある上行管104の上部は、フラッシュ沸騰(flush boiling)で生成された二相蒸気水流(two-phase steam-water flow)を含むが、炉心101自体は、準冷却された圧力水(sub-cooled pressurized water)で、冷却される。
予備蒸気循環分析
従来の水冷式原子炉は高い熱効率を達成するために高圧で作動するように設計されている。これに対し、本発明の低加圧水型原子炉1では、理論上、熱効率が低いことは余り問題にしない。これはウラン燃料の価格が比較的安いためである。しかし本発明の低加圧水型原子炉1の経済的実現性は、十分な熱効率を達成することにかかっている。熱効率の事前評価を以下に説明する。
本発明の低加圧水型原子炉1は、一実施例では、修正ランキンサイクル(modified Rankine Cycle)を使用する。 基本ランキンサイクルは、ボイラー、低圧蒸気で動くタービン(以下単に「タービン」と称する)161、凝縮器162,及びポンプ構成要素を含む。ボイラーへ供給された熱は、作業流体(通常は水)に伝えられ蒸気を生成する。加圧された蒸気を用いて、タービン161を駆動し、タービン161が有用な作業を行う。タービン161から出た蒸気は、冷却され、凝縮器162で液体状態に戻される。凝縮器162内で、熱は外部のヒートシンク(河川又は海水)に放熱される。凝縮器162から出た疑縮液(冷却材)は、供給ポンプで初期の動作圧力に戻される。
様々なタービン入口圧力で動作するシステムの熱効率を評価する。開始点は、簡易ランキンサイクルである。25℃の凝縮(復水)温度即ちT=T=298Kとする。凝縮器の出口では、凝縮圧力は、供給ポンプによりシステム圧力Psysまで上昇する。圧縮により、等エントロピーを仮定すると、ボイラー入口で流体温度が若干上昇する。
流体のエンタルピーとエントロピーは、供給ポンプの入口では、凝縮器の出口温度(298K)では飽和液体エンタルピーであり、(1.1)(1.2)式から得られる。
圧縮は等エントロピーと仮定するので、エンタルピーは、供給ポンプの出口では、(1.3)式で与えられる。これは、標準蒸気表(www.thermopedia.com)から得られる。
Figure 2024542300000003








供給ポンプの出口の流体は、炉心101からの熱エネルギーによって加熱され蒸発され、最終的に、タービン161で飽和蒸気状態に達する。タービン161の入口での蒸気エンタルピーと、温度と、エントロピーは、標準蒸気圧表から得られる。

Figure 2024542300000004







流体は、タービン161内で凝縮(復水)温度で、膨張する。一実施例においては、膨張は等エントロピーと仮定し、タービン161の非効率性を無視する。図7の位置3における蒸気品質は、式(1.7)のxで表される。
Figure 2024542300000005



凝縮器162の入口での蒸気品質から、その位置3でのエンタルピーは、式(1.8)のXで表される。
エンタルピーでの評価で、作業流体Kg当たり、システムがする仕事量は、式(1.9)(1.10)(1.11)で表される。
それ故、このサイクルの熱効率は、式(1.13)で表される。

Figure 2024542300000006










システムへのKg当たりの入力熱は、供給ポンプ164出口とタービン161入口との間の全エンタルピー変化である。式(1.12)で表される。
サイクルの熱効率は、(1.13)で表される。

Figure 2024542300000007







,h,h,hの値は、それぞれ式(1.3)(1.4)(1.8)(1.1)から得られる。これにより、サイクルの効率は、システム圧力の様々な値に対し得られる。
タービン161の入口から凝縮器162の入口までの膨張は、等エントロピーを仮定している。しかし実際には、この膨張はエントロピーの増加をもたらす。それ故、凝縮器162の入り口である位置3でのエンタルピーは、等エントロピー効率係数ηsを含めることにより、評価すると、(1.14)となる。訳者注:(1.14)の左辺はηsの誤植である。
すると、エンタルピーは、(1.15)で与えられる。

Figure 2024542300000008







従って、等エントロピーでない場合の熱効率は、(1.13)から得られ、(1.16)となる。
ここで、(1.9)(1.10)から、(1.17)となる。
Figure 2024542300000009





様々なシステム圧力Psysに対するランキンサイクルの計算から、電力設備の熱効率は、システム圧力が減少すると減少する。一実施例によれば、蒸気サイクルの計算は、(1.13)(1.16)から計算される。これはMicrosoftのExcelで計算でき、熱効率がシステム圧力にどのように関係するかを解析した結果を図8に示す。
上記の関係から、電力設備の熱効率は、システム圧力が減少すると著しく減少する。しかし意外なことに、1バールの時の熱効率は、50バール(従来の高加圧水型原子炉(PWR)の公称蒸気圧)の時のそれの半分である。これは本発明の低加圧水型原子炉(LPWR)は、従来の高加圧水型原子炉に比較して大きな経済的出力が得られることを意味する。
本発明の低加圧水型原子炉1の蒸気サイクルは上記したランキンサイクルとは若干異なる。入ロプレナムでは、流体は、準冷却水(sub-cooled water)であり、ドラム150内の飽和水のエンタルピーとほぼ等しいエンタルピーを有する。この飽和水は下行管105の上部から入ってきたものである。この準冷却材は、炉心101内に入り、加熱されるが、原子炉出口においては準冷却材状態に留まる。水が上行管104内に入って上昇すると、圧力は、静水圧(hydrostatic pressure)の減少により低下し、最終的にフラッシングの開始点で飽和圧力に達する。フラッシングの開始点では、核沸騰(nucleate boiling)が開始し、二相流(two-phase flow)が、生成され、上行管104からドラム150内に流れ込む。相分離がドラム150内で生じ、飽和蒸気は、タービン161に主蒸気配管173を介して送られ、凝縮器162内で準大気圧(sub-atmospheric pressure)に膨張する。飽和凝縮液(saturated condesate)は、凝縮器162から出て、給水ポンプ164によってドラム150圧力に前加圧される。水は、次に、ドラム150内の飽和水と混合される。その後、入口プレナムに下行管105を介して戻される。
本発明の低加圧水型原子炉1内では、蒸気は、上行管104内のフラッシングにより生成され、タービン161に供給される。上行管104内における二相状態の生成は、正味圧力の駆動水頭圧(driving head)を増加させ、下行管105,上行管104内の自然循環流を得る。これにより、炉心101内の質量速度は自然循環よりはるかに大きくなる。炉心101内の質量速度は、ポンプによる流れを利用する従来の高加圧水型原子炉で達成される速度に匹敵する。予備的な計算は、様々な電力レベルおよび炉心深さの本発明の低加圧水型原子炉1で達成可能な流速に対し行われた。これは図9のモデルを使用して行われ、その結果を図8に示す。
上記のシステムで、定常状態の自然循環流速(steady state natural circulation flow rate)Wを算出するために、反復的計算が、ループの1次元エネルギーおよび運動量保存式を用いて行われた。ドラム圧力pと炉心電力Qは、境界条件とされた。
ループ流速Wがまず推定され、炉心出口エンタルピーは、エネルギー収支から (1.18)で算出される。

Figure 2024542300000010



fSATは、ドラム圧力での飽和液体エンタルピーである。これは、エネルギー保存則で得られ、炉心101に入る液体のエンタルピーに等しい。
h’は、炉心出口のエンタルピーである。
h”は、フラッシング点での液体エンタルピーである。
ただしループからの熱損失と小さな運動エネルギー項と潜在エネルギー項は無視する。
推定されたループ流を使用して、圧力低下の測定が、下記の3つ領域に対し行われた。
1.下行管105。
2.上行管104入口とフラッシングの場所の間の上行管104の一相状態領域。
3.フラッシング点上方の上行管104の二相状態領域。
これらの各領域に対し、圧力損失係数Kが計算される。これは(1.19)で定義される。

Figure 2024542300000011



ρは二相領域の平均密度である。これら3領域の圧力損失係数は、(1.20)(1.21)(1.22)で与えられる。

Figure 2024542300000012











ここで、CIN とCOUTは、構成要素の入口および出口における膨張または収縮による圧力損失係数を指す。添字DCは下行管105を,添字Cは炉心101を、添字Rは上行管104を指す、Hcoreは炉心高さを、Kinは炉心入口の流路抵抗102の係数(安定性を達成するため導入された)を指す。壁摩擦による圧力損失は、上行管104,下行管105(炉心101を除いて)では無視する。配管直径が大きい為、無視できるほど小さいからである。
フラッシング点における圧力p は、(1.18)で表される炉心出口エンタルピーh に対応する飽和圧力である。
炉心出口の圧力は、下行管105入口と炉心101出口(場所2’)の間の運動量方程式を適用することにより、計算される。

Figure 2024542300000013





抵抗係数は、(1.20)(1.21)から得られる。ループ近傍の液体密度ρの変化は、無視する。
(1.23)を用いて、炉心入口上方のフラッシング点の高さHtpは、場所2’と2”の間の運動量収支から得られる。壁摩擦による圧力損失は無視する。

Figure 2024542300000014


フラッシング点における圧力p は、(1.18)で表される炉心出口エンタルピーh に対応する飽和圧力である。これは蒸気圧表から得られる。
上行管104出口の流量品質(flow quality)Xout,Rは、二相領域のエネルギー収支から決定できる。

Figure 2024542300000015



gSATとhfSAT は、それぞれ蒸気相と水相の飽和エンタルピーである。
これらはドラム圧力における飽和値で概算できる。
out,Rが与えられると、上行管104出口のボイド割合(void fraction)と二相密度は、均質な二相流を仮定すると得られる。

Figure 2024542300000016








ρgSATとρfSAT は、蒸気相と水相の飽和密度である。これらはドラム圧力における飽和値で概算できる。
(1.27)から、上行管104の二相領域は(1.29)として概算できる。

Figure 2024542300000017








最終的に、ループ運動量収支は、フラッシング点の高さの第2方程式を演繹するために、見出される。これはループ流速Wの見積もり量と一致する。
ループ流速Wは、炉心パワーとドラム圧力に一致するが、(1.24)(1.29)により与えられるフラッシング点の場所HTPが等しくなるまで、Wの推定値を調整することにより、得られる。
定常状態炉心モデルの説明
特に、本発明の低加圧水型原子炉1の炉心モデルの場合、加熱された炉心101は、燃料ピンの開放配列で表される。核燃料ピンの間には、その間の流路によって形成されるサブチャネルが存在する。代表的なサブチャネルを図10に示す。2つの代表的なサブチャネルが炉心101内でモデル化されている。これらは、電力がピーク時と平均時のサブチャネルを図11に示す。ピーク時のサブチャネルは、最高定格の核燃料ピンに近いサブチャネルに対応し、平均時のサブチャネルは、炉心の他の核燃料ピンの状態を表す。この炉心モデルは、ピーク時と平均時の両方のサブチャネル内の各軸方向セル内の流体エンタルピー、圧力と密度、核燃料棒の温度を計算する。但しこれは、ロッドパワー、質量流速、サブチャネル入口における冷却材の圧力及びエンタルピーの境界条件が与えられた場合である。モデルの支配方程式について以下説明する。
炉心における流体条件の計算
入口質量フラックス(inlet mass flux)は、全ての炉心サブチャネルに渡って均―であると仮定している。しかし実際には、本発明の低加圧水型原子炉1においては、高パワー(ピーク)時のサブチャネル内で流体密度は低いので、自然循環のため若干高い駆動水頭圧となり、ピーク時サブチャネルの入口流Wc,PKは、平均時サブチャネルの入口流WcAVより大きくなる。従って、均―な流れを仮定することは、ピーク時サブチャネルにおける熱限界に対するマージンを計算するには、保存的である(余裕がない)。
均―な流量を仮定すると、以下となる。

Figure 2024542300000018









軸方向の出力分布は、核燃料棒の半径方向位置において同じと仮定する。ピーク時および平均時のサブチャネルの両方における軸方向の出力分布は、何もない円筒型原子炉に適用される対称コサイン分布(1.31)によって記述できると仮定する。但し局所的な炉心出力に対する温度の影響は無視した。

Figure 2024542300000019









平均時のサブチャネルに対しては、ピーク時熱フラックスは、炉心の軸方向ピーク係数(axial peaking factor)を用いて次式で得られる。

Figure 2024542300000020

炉心全体の平均時核燃料ピン熱フラックスは、全炉心出力を全熱伝導領域で割った値である。

Figure 2024542300000021








ピーク時サブチャネルに対しては、最大熱フラックスは、(1.34)で与えられる。

Figure 2024542300000022



ここで、FΔHは、所謂ホットチャネル係数である。これは、ホット時のサブチャネル内のエンタルピー上昇と炉心内の平均エンタルピーとの比率で定義される。これは、境界条件は既知であると仮定している。
(1.31)を用いて、平均時サブチャネル内の平均熱フラックスは、(1.35)で与えられる。
Figure 2024542300000023






(1.32)と比較すると、εとPfは、(1.36)の関係がある。

Figure 2024542300000024





ピーク時又は平均時のサブチャネルのいずれかのn番目のセルの中心における冷却材のエンタルピーは、(1.37)で与えられる。
これは、(1.31)を用いると(1.38)で表される。

Figure 2024542300000025
(1.38)から得られたエンタルピーを用いると、局所流量品質(local flow quality)Xは、二相流がサブチャネル内に存在する時の状態で、(1.40)を用いて得られる。

Figure 2024542300000026


ここで、hg,satとhf,satは、それぞれ局部圧力時において、蒸気相と水相の飽和エンタルピーである。
流量品質を用いると、セル中心部における冷却材密度ρc,nは次式(1.41)で決まる。
流量品質は、局所ボイド(空隙、欠損)率の項で表される(非特許文献16)

Figure 2024542300000027












ボイド率は、流量品質Xgnから、ドリフトフラックス校正(drift flux correlation)を用いて得られる。炉心101の解析には、広く使用されているドリフトフラックス校正(非特許文献17)が、チャネル内の撹拌乱流二相ガス流体流(churn-tubulant two-phase gas liquid flow)用であるが、適用され、(1.42)となる。

Figure 2024542300000028
余裕(allowance)が、壁摩擦と重力に起因するサブチャネル内の圧力低下の為、炉心モデル内で得られる。n番目のセル内の圧力は、(1.43)から計算される。

Figure 2024542300000029
が与えられると、(1.40)(1.41)の飽和相密度とエンタルピーは、標準蒸気圧表から得られる。
特に(1.38)(1.43)は、炉心の入口から始めて、マーチング法(ピーク時と平均時の両方のサブチャネル内)で解ける。
核燃料温度の計算
本発明において、各炉心セル内のUO2および核燃料棒クラッドの温度を計算するために、核燃料棒は、UO2の核燃料ペレットを同心状に内蔵する筒として処理した。円座標における一次元定常状態熱伝導方程式を適用して、ペレットおよびクラッド内の半径方向温度分布を決定した。ただし以下を仮定した。
●クラッドの外側表面は各セルにおける局所冷却材温度であると仮定した。この仮定が合理的な理由は、水冷式原子炉では強制対流沸騰で得られる熱伝導係数が高い為である。
●クラッド間の温度降下とガス空隙(クラッドと核燃料ペレットとの間の空隙)の温度降下の計算は、クラッドとガス空隙の熱コンダクタンス値(入カデータとして与えられる)が一定であると仮定して行った。クラッド対し使用される値は段落0114の表2で与えられる。ガス空隙のコンダクタンスに使用される値については後述する。
● 核分裂および核分裂生成物減衰による均―な体積熱源は、核燃料ペレット内にあると仮定した。クラッド内での発熱は無視した。
上記の仮定により、の円筒形状内の熱伝導方程式の定常状態解(非特許文献18)から、核燃料ペレット内の半径方向温度勾配が(1.44)で得られる。

Figure 2024542300000030
炉心101の高さzのペレット内の局部体積熱源(local volumetic heat source)は、(1.31)と(1.45)で与えられる局部ピン表面熱フラックス(local pin surface heat flux)に関係づけられる。
Figure 2024542300000031



クラッドの厚さとガス空隙の厚さは、核燃料棒の直径に比べると小さい。その結果、湾曲効果(curvature effect)は、ペレット外表面とクラッド外表面との間の温度低下を決める際は、無視できる。
クラッドとガス空隙にかけての一次元の定常状態の熱伝導を仮定し、クラッドの外表面温度は局所流体温度Tに近いと仮定すると、ペレットの外表面の温度Tpoは、以下の方程式(1.46)で与えられる。この式は、冷却材に流れ込む単位長さ当たりの(排)熱と、ペレット内で生成される単位長さ当たりの(発)熱とを等しいとすることにより得られる。
Figure 2024542300000032
ペレットの中心と外側表面との間の関係式(1.44)は、Tpo対する上記の式(1.46)を用いると、半径方向の場所rでのペレット温度は、(1.47)になる。
(1.47)から、ペレット内の平均温度は、(1.48)となる。
ガス空隙内の平均温度は、(1.49)となる。

Figure 2024542300000033
















平均ペレット温度即ち(1.48)の左辺は、平均時サブチャネル内の各セルに対し計算され、炉心101内のUOの平均温度は(1.50)から得られる。

Figure 2024542300000034
同様に、炉心101内の冷却材の平均密度(即ち平均減速材温度)は、平均時サブチャネル内の全てのセルの平均をとることにより、得られる。
ここで、セル内の冷却材密度ρcjは、平均時サブチャネルに対する(1.41)から得られる。

Figure 2024542300000035




ガス空隙のコンダクタンスのモデル化
UOの温度は、核燃料ペレットとクラッド(両者は原子炉運転中に常に変動する)の間の隙間の熱抵抗(核燃料ピン内のガスと熱伝導率(コンダクタンス)および空隙幅に主に依存する)の影響を受ける。低加圧水型原子炉1の核燃料ピン内の空隙熱伝導率を決定する方法(非特許文献19)は、低加圧水型原子炉1の核燃料ピンは、通常ヘリウムガスで予め圧縮され、炉心101の寿命中の核分裂過程で生成される他のガス(特にキセノンガス)と混合される。非特許文献19によれば、充填ガスの熱伝導率は、温度及びガス組成によって大きく変わる。更に空隙幅は、原子炉の作動圧力及び温度で、核燃料クラッドヘの外圧負荷及び核燃料ペレットの熱膨張に起因して、減少する。最初に核燃料ピンが低温である時のガス空隙幅は、核燃料ピンの直径の1-2%であるが、原子炉運転状態では、クラッドが核燃料ペレットと接触して、空隙幅は、核燃料ペレットの表面粗さで決まる。
本発明の低加圧水型原子炉1は、大気圧近傍の圧力で動作する。このような原子炉の核燃料内の内部ピン圧力は、下方に調整され(下がり)、核燃料にかかる圧力負荷を減らすことがある。それ故「閉鎖空隙」状態は、原子炉が動作状態になった時も継続して存在する。これはクラッドに対する核燃料の熱膨張が原因である。一実施例において、空隙熱伝導率(gap conductance)の定数Cgap=1.5x104W/m2Kは、現在の解析に採用されている。この値は、空隙幅が小さい時に、通常の動作温度と動作圧力での従来の高加圧水型原子炉核燃料の一般的な値である(非特許文献19)。本発明の低加圧水型原子炉の平均核燃料温度は、従来の高加圧水型原子炉のより200℃低い。それは冷却材の温度が低いからである。非特許文献19の方程式によると、これは、充填ガスの導電性を20%減らし、空隙コンダクタンス(熱伝導率)も同程度に減らす。しかし、この補正は、モデルの他の不確実性に比べると、小さいため無視できる。
核沸騰比率(Nucleate Boling Ratio)からの隔離の計算
臨界熱流束(Critical Heat Flux)は水冷式原子炉の運転における重要な安全限界である。核燃料表面の局所熱流束がCHFを超えた場合、熱伝導領域は核沸騰系(nuclear boiling regime)から膜沸騰系(film boling regime)に移り、熱伝導係数の大幅な低下とクラッドの温度上昇をもたらす。その結果、クラッドの構造上の不具合や放射性核分裂生成物の原子炉用水回路網内への放出が発生する。所定の原子炉状態におけるCHFに対するマージンは、炉心101内の任意の点において、到達した核沸騰率(Nuclear Boiling Ratio)からの隔離(DNBR)の最小値で表される。これは(1.52)で定義される。

Figure 2024542300000036
CHFは、サブチャネル内における局所熱水圧条件(流量品質および質量速度等)に依存する。従って、特定の炉心状態に関連するDNBRの最小値を見つけるために、(1.52)のDNBRは、ピークパワー時のサブチャネル内の各炉心セルにおいて評価される。
核燃料ピンの集合体におけるCHFの値は、特定の核燃料の幾何学形状、出力時の形態、流れ障害物(例:スペーサグリッド)の存在に対し固有の値である。従って、CHFの正確な予測は、電気加熱された核燃料ピン模擬装置を使用し、実際の核燃料集合体の試作品モデルを試験することによってのみ、得られる。しかし、多数の汎用工学相関が開発され、チャネルおよびロッド束内のCHF値を推定している。核燃料の特定のモデルが存在しない場合には、管およびロッド束におけるCHF用のCroeneveld法で広く使用されている相関を、本発明の低加圧水型原子炉の炉心で使用し、DNBRを計算している(非特許文献20)。Groeneveld相関は、三次元の表の形態をとり、CHF値がバラメータの形で記載されている。
P=圧力(N/m
G=質量速度(kg/m/秒)
X=熱力学品質=(h-hf,sat)/(hg,sat-hf,sat
非特許文献20にある補正の有効範囲は、
P=1~200バール、
G=0~7500kg/m/秒、
X=-0.5~10である。
これらは、本発明の低加圧水型原子炉の低圧動作状態をカバーする。
非特許文献20にある表をMicrosoft Excelにコピーし、Excel関数を作成し、表からの線形補間により、P,G,Xの所定値に対するCHFを計算した。
Croeneveldらにより提案されたCHF補正係数を、表のCHF値に適用し、スペーサグリッド、ロッド束形状等の効果を補正することができる。しかしこの補正は、本発明の解析には適用しなかった。
Croeneveldらにより提案されたCHF表のデータ解析は、低い圧力(他のパラメータは同一として)では、高いCHFマージンを予測した。従って、本発明の低加圧水型原子炉に対するDNBR値は、欧州型の加圧水型原子炉より大幅に高いと予測される。
炉心反応度の計算
炉心反応度(core reactivity)は、(1,29)で定義されるが、一実施例において、本発明の低加圧水型原子炉炉心モデルによって、予め定義された反応度係数を用いて、計算される。反応度は、(1.53)から求められる。

Figure 2024542300000037



ここで、△Rは、初期基準状態に対する反応度の変化である。初期基準状態とは、原子炉が臨界状態(IR=0、keff=11)である。
(1.54)の4つの左項は、上から順に、下記の項目の基準状態からの変化からの反応度の変化への寄与度である。
*核燃料温度、
*減速材(冷却材)、
*ホウ素濃度、
*制御棒位置。
(1.53)おける反応度寄与は、(1.54)から求めることができる。
Figure 2024542300000038






ここで、
Figure 2024542300000039












炉心内の平均UO温度と平均減速材密度は、それぞれ、(1.48)(1.51)を用いて炉心モデルで計算される。炉心内の冷却材中のホウ酸濃度はモデルの境界条件として与えられる。反応係数は、本発明の低加圧水型原子炉解析で使用されるが、下記の表2から選択される。
Figure 2024542300000040







一実施例においては、炉心の熱力学状態と核反応状態を計算するために、流体圧力、エンタルピー、核燃料温度が、各セルについて、ピーク時と平均時のサブチャネルの両方に対し、マーチング方法で、炉心の入口から開始して、得られた。計算に際しての境界条件は、炉心の出力、炉心入口質量流速(特に(1.55)から得られた)、炉心入口エンタルピー、炉心入口圧力である。
Figure 2024542300000041
核燃料形状特性、熱特性の入力データと、軸方向と半径方向のパワー分布は、表1と表3で与えられる。
Figure 2024542300000042















多数の計算が、Microsoft Excelで行え、全ての計算において、炉心101は、軸方向に20の部分に分割される。Ncell=20である。


Figure 2024542300000043
Figure 2024542300000044
本明細書において使用されるバールは絶対圧である。以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない(特許法施行規則24条の4及び様式29の2の「備考」14のロ)。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。「少なくとも1つ或いは複数」、「と/又は」は、それらの内の1つに限定されない。例えば「A,B,Cの内の少なくとも1つ」は「A」、「B」、「C」単独のみならず「A,B或いはB,C更には又A,B,C」のように複数のものを含んでもよい。「A,B,Cの内の少なくとも1つ」は、A,B,C単独のみならずA,Bの組合せA,B,Cの組合せでもよい。「A,Bと/又はC」は、A,B,C単独のみならず、A,Bの2つ、或いはA,B,Cの全部を含んでもよい。本明細書において「Aを含む」「Aを有する」は、A以外のものを含んでもよい。特に記載のない限り、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。
1: 低加圧水型原子炉容器
100:原子炉容器
101:炉心
104:上行管
105:下行管
150:蒸気ドラム
151:上部蓋
152:スプラッシュ板
161:低圧蒸気タービン
200:貯水槽

Claims (15)

  1. 低加圧水型原子炉容器において、
    原子炉容器(100)と蒸気ドラム(150)と貯水槽(200)と自動注水システムと低圧蒸気タービン(161)とを有し、
    *前記原子炉容器(100)は、上行管(104)と、前記上行管(104)の下に配置される炉心(101)と、前記原子炉容器(100)を包囲する外側環状体を有し、
    前記上行管(104)は、下行管(105)を形成し、前記下行管(105)は、前記環状部は、所定の流路面積を有し、10000kg/秒以上の流速を生成し、
    前記炉心(101)は、少なくとも55mの地下深さに配置され、内部圧力が6-15バールの間にあり、
    *前記蒸気ドラム(150)は、前記上行管(104)の上位端に接続され、地上に配置され、内部圧力が1-10バールの間にあり、
    *前記貯水槽(200)は、前記原子炉容器(100)に接続され、ホウ素水を貯蔵し、
    *前記自動注水システムは、前記ホウ素水を、前記貯水槽(200)から前記原子炉容器(100)に注入し、
    *前記低圧蒸気タービン(161)は、1-10バールの圧力で動作し、
    前記原子炉容器(100)は、水を所定の温度まで、飽和点に達することなく加熱し、
    前記上行管(104)は、加熱された水を蒸気に変換し、この蒸気は前記低圧蒸気タービン(161)に、前記蒸気ドラム(150)を介して、更に送られ、これにより、
    この蒸気への変換が、一次冷却材の密度差を生成し、この密度差が、前記上行管(104),下行管(105),蒸気ドラム(150)、炉心(101)内の一次冷却材の密度駆動による自然循環を開始させる
    ことを特徴とする低加圧水型原子炉容器。
  2. 前記蒸気は、前記上行管(104)内のフラッシング手段により生成される
    ことを特徴とする請求項1記載の低加圧水型原子炉容器。
  3. 前記炉心(101)は、核燃料集合体を120本-180本内蔵する
    ことを特徴とする請求項1-2のいずれか1項に記載の低加圧水型原子炉容器。
  4. 前記蒸気ドラム(150)は、ドライヤーと、上部蓋(151)と、スプラッシュ板(152)とを有し、水密の部屋内に配置される
    ことを特徴とする請求項1-3のいずれか1項に記載の低加圧水型原子炉容器。
  5. 前記下行管(105)は、鋼で内張されたたコンクリート製筒状体を有する
    ことを特徴とする請求項1-4のいずれか1項に記載の低加圧水型原子炉容器。
  6. 前記貯水槽(200)は、前記原子炉容器(100)に、自動弁を介して接続されている
    ことを特徴とする請求項1-5のいずれか1項に記載の低加圧水型原子炉容器。
  7. 前記低加圧水型原子炉容器(1)は、シャットダウン用ロッド又は前記貯水槽(200)のいずれかの手段で、停止される
    ことを特徴とする請求項1-6のいずれか1項に記載の低加圧水型原子炉容器。
  8. 前記貯水槽(200)内に貯蔵されているホウ酸水は、ホウ酸を1000ppm含み、
    前記貯水槽(200)は、地上20mの高さに配置される
    ことを特徴とする請求項1-7のいずれか1項に記載の低加圧水型原子炉容器。
  9. 低加圧水型原子炉容器を制御する方法において、
    前記低加圧水型原子炉容器は、原子炉容器(100)と蒸気ドラム(150)と貯水槽(200)と自動注水システムと低圧蒸気タービン(161)とを有し、
    *前記原子炉容器(100)は、上行管(104)と、前記上行管(104)の下に配置される炉心(101)と、前記原子炉容器(100)を包囲する外側環状体を有し、前記上行管(104)は、所定の流路面積を有し、10000kg/秒以上の流速を生成する下行管(105)を形成し、前記炉心(101)は、少なくとも55mの地下深さに配置され、内部圧力が6-15バールの間にあり、
    *前記蒸気ドラム(150)は、前記上行管(104)の上位端に接続され、地上に配置され、内部圧力が1-10バールの間にあり、
    *前記貯水槽(200)は、前記原子炉容器(100)に接続され、ホウ素水を貯蔵し、
    *前記自動注水システムは、前記ホウ素水を、前記貯水槽(200)から前記原子炉容器(100)に注入し、
    *前記低圧蒸気タービン(161)は、1-10バールの圧力で動作し、
    (A)前記原子炉容器(100)で、水を所定の温度まで、飽和点に達することなく加熱するステップと、
    (B)前記上行管(104)で、前記ステップ(A)で加熱された水を蒸気に変換するステップと、を有し、
    前記ステップ(B)で生成された蒸気は、前記低圧蒸気タービン(161)に、前記蒸気ドラム(150)を介して、更に送られ、
    前記ステップ(B)で、一次冷却材の密度差を生成し、この密度差が、前記上行管(104),下行管(105),蒸気ドラム(150)、炉心(101)内の一次冷却材の密度駆動による自然循環を開始させる
    ことを特徴とする低加圧水型原子炉容器を制御する方法。
  10. 前記炉心(101)の入口温度は、100℃-150℃の間であり、
    前記炉心(101)の出口温度は、140℃-170℃の間であり、
    前記炉心(101)の入口抵抗は、静的不安定性を減衰させ、
    前記蒸気ドラム(150)の蒸気出口温度は、100℃-170℃の間である
    ことを特徴とする請求項9記載の方法。
  11. (C)蒸気を、前記上行管(104)内のフラッシングにより、生成するステップ
    を更に有する
    ことを特徴とする請求項9,10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記炉心(101)は、核燃料集合体を120~180本内蔵し、
    (D)前記炉心(101)を、前記低加圧水型原子炉容器(1)の核燃料交換作業の間に、前記原子炉容器(100)から引き上げるステップ
    を有する
    ことを特徴とする請求項9-11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記貯水槽(200)内に貯蔵されているホウ酸水は、ホウ酸を1000ppm含み、
    前記貯水槽(200)は、地上20mの高さに配置される
    Figure 2024542300000045
    ことを特徴とする請求項9-12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記貯水槽(200)は、前記原子炉容器(100)に、自動弁又は手動弁を介して接続されており、
    (E)前記一次冷却材内のホウ酸の濃度が所定値に達した時に、前記自動弁を制御するステップ
    を更に有する
    ことを特徴とする請求項9-13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記低加圧水型原子炉容器(1)の安定状態操作の間、一次冷却材で蒸気を生成しながら、前記炉心(101)は、単一相の一次冷却材で動作する
    ことを特徴とする請求項9-14のいずれか1項に記載の方法。
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