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JP2024160423A - 17-メチルアルカン化合物の製造方法 - Google Patents

17-メチルアルカン化合物の製造方法 Download PDF

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JP2024160423A JP2023075367A JP2023075367A JP2024160423A JP 2024160423 A JP2024160423 A JP 2024160423A JP 2023075367 A JP2023075367 A JP 2023075367A JP 2023075367 A JP2023075367 A JP 2023075367A JP 2024160423 A JP2024160423 A JP 2024160423A
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Hiroki Miyake
武 渡辺
Takeshi Watanabe
剛 金生
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】17-メチルアルカン化合物を効率良く製造するための合成中間体である新規な化合物およびその製造方法、ならびに17-メチルアルカン化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】下記式5(5:M=MgCl)で表される化合物と1-ブロモ-5-クロロペンタンとのカップリング反応により、下記式1(1:X=Cl)で表される17-メチルアルカン化合物を得る工程を含む製造方法とする。

【選択図】なし

Description

本発明は、17-メチルアルカン化合物の製造方法に関する。本発明はより具体的には、17-メチルアルカン化合物のうち、世界の侵略的外来種ワースト100選定種であるアルゼンチンアリ(Linepithema humile)の巣仲間認識フェロモンである17-メチルペンタトリアコンタン及び17-メチルヘプタトリアコンタンの製造方法に関する。
アルゼンチンアリ(Linepithema humile)は世界各国に侵入し、スーパーコロニーを形成して在来アリを駆逐するため生態系に及ぼす影響が大きい。また、アルゼンチンアリは、農業害虫であるアブラムシ及びカイガラムシの甘露を得る代わりに、これらの害虫を天敵から守るという共生関係を形成するため、アルゼンチンアリの密度が高い地域では天敵を用いた生物学的防除の防除効果が上がらないことが多い。さらに、僅かな隙間から人家に侵入することから、衛生害虫としての側面も併せ持つ。これまでアルゼンチンアリを防除するために殺虫剤散布による防除が行われてきたが、この様な従来型の殺虫剤散布はアルゼンチンアリに対して防除効果が低いだけでなく、環境面からも望ましくない。そのため、殺虫剤使用を極力減らした生物学的防除方法が検討されており、その中でも巣仲間認識フェロモンを用いた防除が防除方法の一つとして期待されている(下記の非特許文献1及び2)。
アルゼンチンアリ(Linepithema humile)の巣仲間認識フェロモンとしては、15-メチルペンタトリアコンタン;17-メチルペンタトリアコンタン;5,13,17-トリメチルトリトリアコンタン、5,13,17-トリメチルペンタトリアコンタン及び5,13,17-トリメチルヘプタトリアコンタン等の様々な化合物が知られている。その中でも、特に、5,13,17-トリメチルトリトリアコンタン、5,13,17-トリメチルペンタトリアコンタン及び5,13,17-トリメチルヘプタトリアコンタン等の5,13,17-トリメチルアルカン化合物、並びに17-メチルペンタトリアコンタン及び17-メチルヘプタトリアコンタン等の17-メチルアルカン化合物の活性が高いことが明らかとなっている(下記の非特許文献1、2及び3)。これらのうち、下記の説明においては、17-メチルアルカン化合物に焦点を絞って述べる。
17-メチルアルカン化合物である17-メチルペンタトリアコンタンの合成方法としては、下記に述べるように、全3工程37.32%の収率で製造する方法が報告されている(下記の非特許文献2)。例えば、2-オクタデカノンにオクタデシルマグネシウム=ブロミドを反応させて17-メチル-17-ペンタトリアコンタノールを合成(第一工程)し、該得られた17-メチル-17-ペンタトリアコンタノールを、酸触媒である-トルエンスルホン酸の存在下、ベンゼン中で脱水反応に付して、17-メチレンペンタトリアコンタンを合成(第二工程)する。続いて、該得られた17-メチレンペンタトリアコンタンを、パラジウム炭素(Pd/C)の存在下、ジエチルエーテル中で水素添加反応(第三工程)に付して、上記17-メチルペンタトリアコンタンを製造する(非特許文献2)。
また、17-メチルアルカン化合物である17-メチルヘプタトリアコンタンの合成方法としては、下記に述べるように、全3工程73.63%の収率で製造する方法が報告されている(非特許文献2)。例えば、2-オクタデカノンにエイコシルマグネシウム=ブロミドを反応させて17-メチル-17-ヘプタトリアコンタノールを合成(第一工程)し、該得られた17-メチル-17-ヘプタトリアコンタノールを、酸触媒である-トルエンスルホン酸の存在下、ベンゼン中で脱水反応に付して、17-メチレンヘプタトリアコンタンを合成(第二工程)する。続いて、該得られた17-メチレンヘプタトリアコンタンを、パラジウム炭素(Pd/C)の存在下、ジエチルエーテル中で水素添加反応(第三工程)に付して、上記17-メチルヘプタトリアコンタンを製造する。
Neil D Tsutsui et al.,BMC Biology,2009,7,71. Neil D Tsutsui et al.,J.Chem.Ecol.,2010,36,751-758. E.Sunamura et al.,Insectes Sociaux,2009,56,143-147. Dennis H. Burns et al.,J. Am. Chem. Soc.,1997,119,2125-2133.
しかしながら、非特許文献2における17-メチルペンタトリアコンタン及び17-メチルヘプタトリアコンタンのいずれの製造方法においても、人体への毒性が極めて高いベンゼンを溶媒として多量に用いていることから工業的でない。さらに、発火性のあるパラジウム炭素を特殊引火物であるジエチルエーテル溶媒中で使用しているため、工業化が難しい。さらに、第一工程において、非特許文献2の著者らも述べている通り副生成物としてグリニャール(Grignard)試薬のホモカップリング体である炭化水素が生成する。すなわち、2-オクタデカノンにオクタデシルマグネシウム=ブロミドを反応させる反応では、ヘキサトリアコンタンが、2-オクタデカノンにエイコシルマグネシウム=ブロミドを反応させる反応では、テトラコンタンが生成する。この時、ヘキサトリアコンタン(分子量:506.99)は目的化合物の17-メチル-17-ペンタトリアコンタノール(分子量:522.97)と分子量が近く沸点も近いため蒸留による精製が困難である。また、テトラコンタン(分子量:563.08)は目的化合物である17-メチル-17-ヘプタトリアコンタノール(分子量:551.03)と分子量が近くまた沸点も近いために蒸留による精製が困難である。それ故に、第一工程において著者らは蒸留による精製ではなくカラムクロマトグラフィーによる精製を行っていることから、該製造方法において、カラムクロマトグラフィーによる精製は必須である。カラムクロマトグラフィーによる精製は工業規模(100kg超)での実施は困難であることから工業的な製造に適していない。
加えて、原料として使用している2-オクタデカノンは工業的な入手(100kg超)が困難であるため、別途合成する必要があり、かつ、室温(25℃)において固体であるために、固体のまま反応器へ仕込む場合は手間であり、一方、溶液として反応器へ仕込む場合は溶液とするために多量の溶媒を加えるか又は加熱する必要があるため、生産性が低く特殊な設備を必要とする等、工業的な製造に適していない。その上、第一工程で使用しているグリニャール試薬は対応するブロモアルカンとマグネシウムとから調製していると考えられるが、対応するブロモアルカンである1-ブロモオクタデカン及び1-ブロモイコサンはいずれも固体である。しかしながら、これらブロモアルカンである1-ブロモオクタデカン及び1-ブロモイコサンは、グリニャール試薬を調製する際に溶液としてマグネシウムと反応させる必要があることから、溶液とするための溶媒が多量に必要となり、それ故に、生産性が低くかつ工業的な製造に適していない。また、17-メチルペンタトリアコンタンの製造方法は17-メチルペンタトリアコンタンの製造方法と類似しているが、17-メチルペンタトリアコンタンの収率は全3工程37.32%と著しく低い。それ故に、非特許文献2の製造方法では、工業的に収率よく17-メチルアルカン化合物を製造することが困難である。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、17-メチルペンタトリアコンタン及び17-メチルヘプタトリアコンタンを包含する17-メチルアルカン化合物を効率良く製造するための合成中間体である新規な化合物を提供することを目的とする。また、本発明は、該新規な化合物の製造方法、並びに、該新規な化合物から、17-メチルペンタトリアコンタン及び17-メチルヘプタトリアコンタンを包含する17-メチルアルカン化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に従う1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物が新規な化合物であることを見出した。該1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物は、安価かつ大量に製造することができ、蒸留のみで精製することができる。また、本発明者らは、該1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物が、17-メチルペンタトリアコンタン及び17-メチルヘプタトリアコンタンを包含する17-メチルアルカン化合物を効率良く製造することを見出した。該製造方法は、上記1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物から簡便に調製が可能である7-メチルトリコシル求核試薬と、安価かつ工業的に入手することができるアルキル求電子試薬とのカップリング反応により、高収率で製造できる。また、該製造方法は、17-メチルペンタトリアコンタン及び17-メチルヘプタトリアコンタンを製造する上で、経済的であり、また工業的に見合うことが判った。
本発明の第1の態様によれば、下記一般式(1):
(式中、Xはハロゲン原子を表す。)
で表される1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物が提供される。
本発明の第2の態様によれば、上記1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)を下記一般式(2):
(式中、Mは、Li、MgZ、CuZ又はCuLiZを表し、Zはハロゲン
原子又は7-メチルトリコシル基を表す。)
で表される7-メチルトリコシル求核試薬に変換し、その後、該7-メチルトリコシル求核試薬(2)と、下記一般式(3):
(式中、Xはハロゲン原子又は-トルエンスルホニルオキシ基を表し、nは11~13を表す。)
で表されるアルキル求電子試薬とのカップリング反応により、下記一般式(4):
(式中、nは上記で定義した通りである。)
で表される17-メチルアルカン化合物を得る工程
を少なくとも含む、上記17-メチルアルカン化合物(4)の製造方法が提供される。
本発明の第3の態様によれば、
下記一般式(5):
(式中、Mは、Li、MgZ、CuZ又はCuLiZを表し、Zはハロゲン原子又は2-メチルオクタデシル基を表す。)
で表される2-メチルオクタデシル求核試薬と、下記一般式(6):
(式中、X及びXは互いに同じであっても異なっていてもよいハロゲン原子を表す。)
で表される1,5-ジハロペンタン化合物とのカップリング反応により、上記1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)を得る工程
を更に含む、上記17-メチルアルカン化合物(4)の製造方法が提供される。該製造方法は、上記1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)を得る工程の後に、該1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)を精製する精製工程を更に含んでいてもよく、該精製工程は蒸留のみによって行われてもよい。
本発明の第4の態様によれば、
下記一般式(5):
(式中、Mは、Li、MgZ、CuZ又はCuLiZを表し、Zはハロゲン原子又は2-メチルオクタデシル基を表す。)
で表される2-メチルオクタデシル求核試薬と、下記一般式(6):
(式中、X及びXは互いに同じであっても異なっていてもよいハロゲン原子を表す。)
で表される1,5-ジハロペンタン化合物とのカップリング反応により、上記1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)を得る工程と
を含む、1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)の製造方法が提供される。該製造方法は、上記1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)を得る工程の後に、該1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)を精製する精製工程を更に含んでいてもよく、該精製工程は蒸留のみによって行われてもよい。
本発明の第5の態様によれば、
下記一般式(5):
(式中、Mは、Li、MgZ、CuZ又はCuLiZを表し、Zはハロゲン原子又は2-メチルオクタデシル基を表す。)
で表される2-メチルオクタデシル求核試薬と、下記一般式(6):
(式中、X及びXは互いに同じであっても異なっていてもよいハロゲン原子を表す。)
で表される1,5-ジハロペンタン化合物とのカップリング反応により、下記一般式(1):
(式中、Xはハロゲン原子を表す。)
で表される1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)を得る工程
を含む、上記1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)の製造方法が提供される。該製造方法は、上記1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)を得る工程の後に、該1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)を精製する精製工程を更に含んでいてもよく、該精製工程は蒸留のみによって行われてもよい。
本発明によれば、環境負荷が少なく、経済的かつ効率的に、目的化合物である、17-メチルペンタトリアコンタン及び17-メチルヘプタトリアコンタンを包含する17-メチルアルカン化合物を高収率で製造することができる。また、本発明によれば、各工程で生成する副生成物と上記目的化合物との間で十分な沸点差を得ることができるため、スケールアップに適した蒸留により精製することが可能である。さらに、本発明によれば、原料及び中間体の全てが液体であるために取扱いが容易であり、環境負荷の低減及び生産性の大幅な向上を達成することが可能である。加えて、本発明によれば、上記17-メチルアルカン化合物を製造するにあたって有用な新規合成中間体を提供できる。
<I> 下記一般式(1)で表される1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)及びその製造方法について
(i)上記の1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)について、以下に説明する。
上記一般式(1)におけるXはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子Xとして、具体的には、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、融点又は溶媒溶解性の観点から塩素原子、臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)の具体例としては、1-クロロ-7-メチルトリコサン、1-ブロモ-7-メチルトリコサン及び1-ヨード-7-メチルトリコサン等が挙げられる。
1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)として、融点又は溶媒溶解性の観点から、1-クロロ-7-メチルトリコサン、1-ブロモ-7-メチルトリコサンが好ましく、1-クロロ-7-メチルトリコサンが特に好ましい。
(ii)以下に、上記の1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)の製造方法について説明する。
1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)は例えば、下記の化学反応式で示される通り、下記一般式(5)で表される2-メチルオクタデシル求核試薬と、下記一般式(6)で表される1,5-ジハロペンタン化合物とのカップリング反応により調製することができる。
(iii)上記の2-メチルオクタデシル求核試薬(5)について、以下に説明する。
上記一般式(5)におけるMは、Li、MgZ、CuZを表し、Zはハロゲン原子又は2-メチルオクタデシル基を表す。
ハロゲン原子Zとしては、具体的には、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
2-メチルオクタデシル求核試薬(5)の具体例としては、2-メチルオクタデシルリチウム;2-メチルオクタデシルマグネシウム=クロリド、2-メチルオクタデシルマグネシウム=ブロミド及び2-メチルオクタデシルマグネシウム=ヨージド等の2-メチルオクタデシルマグネシウム=ハライド試薬(グリニャール試薬);ビス[2-メチルオクタデシル]キュープレート;並びに、リチウム=ビス[2-メチルオクタデシル]キュープレート等のギルマン(Gilman)試薬等が挙げられ、調製のしやすさ(汎用性)の観点から、2-メチルオクタデシルマグネシウム=ハライド試薬が好ましい。
2-メチルオクタデシル求核試薬(5)は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、2-メチルオクタデシル求核試薬(5)は、例えば、後述されている製造方法によって調製することができる。
(iv)次に、上記の1,5-ジハロペンタン化合物(6)について、以下に説明する。
上記一般式(6)におけるX及びXは互いに同じであっても異なっていてもよいハロゲン原子を表す。ハロゲン原子X及びXとしては、具体的には、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
及びXの組み合わせとしては、塩素原子と塩素原子、臭素原子と塩素原子、塩素原子とヨウ素原子、臭素原子と臭素原子、臭素原子とヨウ素原子、及びヨウ素原子とヨウ素原子等が挙げられる。
1,5-ジハロペンタン化合物(6)の具体例としては、1,5-ジクロロペンタン、1,5-ジブロモペンタン、1,5-ジヨードペンタン、1-ブロモ-5-クロロペンタン、1-クロロ-5-ヨードペンタン及び1-ブロモ-5-ヨードペンタン等が挙げられ、収率の観点から、1-ブロモ-5-クロロペンタン、1-クロロ-5-ヨードペンタン及び1-ブロモ-5-ヨードペンタンが好ましい。
1,5-ジハロペンタン化合物(6)は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、1,5-ジハロペンタン化合物(6)は、市販されているものであってもよく、また独自に合成したものであってもよい。
1,5-ジハロペンタン化合物(6)は、例えば、1,5-ペンタンジオールのハロゲン化で合成することができる。
(v)次に、2-メチルオクタデシル求核試薬(5)と、1,5-ジハロペンタン化合物(6)とのカップリング反応について、以下に説明する。
該カップリング反応において、2-メチルオクタデシル求核試薬(5)の使用量は、経済性の観点から、1,5-ジハロペンタン化合物(6)1モル(mol)に対して、好ましくは0.8~1.4モルである。
該カップリング反応には、必要に応じて溶媒を用いてもよい。該溶媒としては、一般的な溶媒、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、ジエチル=エーテル、ジブチル=エーテル、4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP)、シクロペンチルメチルエーテル及び1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びクメン等の炭化水素系溶媒;-ジメチルホルムアミド(DMF)、-ジメチルアセトアミド(DMAC)、-メチルピロリドン(NMP)、ジメチル=スルホキシド(DMSO)、γ-ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル、’-ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ヘキサメチルホスホリック=トリアミド(HMPA)、ジクロロメタン及びクロロホルム等の極性溶媒が挙げられるが、反応性の観点から、トルエン及びキシレン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン及び4-メチルテトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒;並びにアセトニトリルが好ましく、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、トルエン及びキシレンがより好ましい。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
該溶媒の使用量は、1,5-ジハロペンタン化合物(6)1モルに対して、反応性の観点から、好ましくは30~5000g、より好ましくは50~3000gである。
該カップリング反応には、必要に応じて触媒を用いてもよい。
該触媒としては、塩化第一銅、臭化第一銅及びヨウ化第一銅等の一価のハロゲン化銅、並びに、塩化第二銅、臭化第二銅及びヨウ化第二銅等の二価のハロゲン化銅の銅化合物が挙げられ、反応性の観点から、一価のハロゲン化銅が好ましく、ヨウ化第一銅がより好ましい。
該触媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該触媒は、市販されているものを用いることができる。
該触媒の使用量は、1,5-ジハロペンタン化合物(6)1モルに対して、反応速度及び/又は後処理の観点から、好ましくは0.0003~0.3モル、より好ましくは0.001~0.1モルである。
該カップリング反応に触媒を用いる場合は、必要に応じて補触媒を用いてもよい。該補触媒としては、亜リン酸トリエチル等の炭素数3~9の亜リン酸トリアルキル化合物;並びに、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン等の炭素数18~21のトリアリールホスフィン化合物、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(BINAP)等の炭素数22~44のアリールホスフィン化合物等のリン化合物等が挙げられるが、反応性の観点から、亜リン酸トリアルキル化合物が好ましい。
該補触媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該補触媒は、市販されているものを用いることができる。
該補触媒の使用量は、1,5-ジハロペンタン化合物(6)1モルに対して、反応性の観点から、好ましくは0.001~0.500モル、より好ましくは0.005~0.200モルである。
該カップリング反応に触媒を用いる場合は、必要に応じてハロゲン化リチウムを添加してもよい。ハロゲン化リチウムとしては、塩化リチウム、臭化リチウム及びヨウ化リチウム等が挙げられ、反応性の観点から、塩化リチウムが好ましい。
該カップリング反応におけるハロゲン化リチウムの使用量は、反応性の観点から、1,5-ジハロペンタン化合物(6)1モルに対して、好ましくは0.005~0.250モルである。
該カップリング反応における反応温度は、用いる2-メチルオクタデシル求核試薬(5)によって異なるが、反応性の観点から、好ましくは-78~70℃、より好ましくは-20~50℃、更に好ましくは5~35℃である。
該カップリング反応における反応時間は、用いる溶媒及び/又は反応スケールにより異なるが、反応性の観点から、好ましくは0.5~100時間である。
上記一般式(6)におけるX及びXが互いに異なる場合は、上記触媒又は反応温度を適宜選択することにより、反応性の高いハロゲン原子の方を優先的に反応させながらカップリング反応を行うことができる。例えば、互いに異なるX及びXの組み合わせが塩素原子と臭素原子である又は塩素原子とヨウ素原子である1,5-ジハロペンタン化合物(6)を用いれば、1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)におけるXを塩素原子とすることができる。また、互いに異なるX及びXの組み合わせが臭素原子とヨウ素原子である1,5-ジハロペンタン化合物(6)を用いれば、1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)におけるXを臭素原子とすることができる。
1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)を製造するカップリング反応の本工程においては、炭素数38の17,20-ジメチルヘキサトリアコンタンが不純物として副生する。しかしながら、該不純物と上記目的化合物である炭素数24の1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)との間で沸点差を十分に確保することができる。従って、上記目的化合物は、蒸留精製により上記不純物と容易に分離精製することが可能であり、結果として、高純度の1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)を製造することができる。
また、ハロアルカン化合物の融点は炭素数の増加に従い上昇し、例えば、1-クロロヘキサデカンは融点8~14℃、1-クロロオクタデカンは融点20℃、1-クロロエイコサンは融点37℃、1-クロロドコサンは融点41℃である。従って、20~25℃の室温においては炭素数16の1-クロロヘキサデカンまでは液体として、加熱及び溶媒への溶解を必要とせずに使用できる。一方、上記1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)の内、炭素数24である1-クロロ-7-メチルトリコサン(1:X=Cl)は予想に反して15℃においても液体状態であった。これは、直鎖のハロアルカンと異なり、程良い位置にメチル分岐があることが融点を引き下げ、液体状態を保つことができているためであると考えられる。また、当初、17-メチルアルカン化合物を合成するための中間体として1-クロロ-2-メチルエイコサンを経由する合成方法を検討していたが、1-クロロ-7-メチルトリコサン(1:X=Cl)と同じメチル分岐があるにもかかわらず、かつ、炭素数も21と1-クロロ-7-メチルトリコサン(1:X=Cl)よりも少ないにもかかわらず、15℃で固体であった。この様に、上記1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)は適切な位置にメチル分岐が導入されていることにより、大幅にその融点を低減させることに成功し、室温で液体として使用できることから簡便に17-メチルアルカン化合物を製造するための中間体として活用することが可能となった。
(vi)次に、上記の2-メチルオクタデシル求核試薬(5)の製造方法について、以下に説明する。
2-メチルオクタデシル求核試薬(5)は、常法に従い、又は下記で説明する方法に従って調製することができる。
2-メチルオクタデシル求核試薬(5)として、例えば、2-メチルオクタデシルマグネシウム=ハライド試薬(5:M=MgZ;Zは上記ハロゲン原子)の場合の製造方法について、以下に説明する。
2-メチルオクタデシルマグネシウム=ハライド試薬(5:M=MgZ;Zは上記ハロゲン原子)はグリニャール試薬である。
2-メチルオクタデシルマグネシウム=ハライド試薬(5:M=MgZ;Zは上記ハロゲン原子)は、例えば、下記の化学反応式で示される通り、下記一般式(9)で表される1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物を溶媒中、マグネシウムと反応させることにより調製することができる。
(vii)まず、上記1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物(9)について、以下に説明する。
上記一般式(9)におけるXは、ハロゲン原子を表す。ハロゲン原子Xとして、具体的には、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物(9)の具体例としては、1-クロロ-2-メチルオクタデカン、1-ブロモ-2-メチルオクタデカン及び1-ヨード-2-メチルオクタデカン等が挙げられる。
1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物(9)は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物(9)は、市販されているものであってもよく、また独自に合成したものであってもよい。
マグネシウムの使用量は、1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物(9)1モルに対して、反応完結の観点から、好ましくは1.0~2.0グラム原子である。
上記溶媒としては、一般的な溶媒、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、ジエチル=エーテル、ジブチル=エーテル、4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP)、シクロペンチルメチルエーテル及び1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びクメン等の炭化水素系溶媒が挙げられるが、上記グリニャール試薬生成の反応速度の観点から、トルエン及びキシレン等の炭化水素系溶媒;並びに、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン及び4-メチルテトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒が好ましく、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン及び4-メチルテトラヒドロピランがより好ましい。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
該溶媒の使用量は、1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物(9)1モルに対して、反応性の観点から、好ましくは30~5000g、より好ましくは50~3000gである。
上記マグネシウムとの反応における反応温度は、用いる溶媒により異なるが、反応性の観点から、好ましくは30~120℃である。
上記マグネシウムとの反応における反応時間は、用いる溶媒及び/又は反応スケールにより異なるが、反応性の観点から、好ましくは0.5~100時間である。
(viii)次に、上記の1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物(9)の製造方法について、以下に説明する。
1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物(9)は、常法に従い、又は下記で説明する方法に従って調製することができる。
1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物(9)は例えば、下記の化学反応式で示される通り、下記一般式(7)で表されるペンタデシル求核試薬と、下記一般式(8)で表される1,3-ジハロ-2-メチルプロパン化合物とのカップリング反応により調製することができる。
(ix)上記のペンタデシル求核試薬(7)について、以下に説明する。
上記一般式(7)におけるMはLi、MgZ、CuZ又はCuLiZを表し、Zはハロゲン原子又はペンタデシル基を表す。ハロゲン原子Zとしては、具体的には塩素原子、臭素原子及びヨウ素等等が挙げられ、臭素原子及び塩素原子が特に好ましい。
ペンタデシル求核試薬(7)の具体例としては、ペンタデシルリチウム;ペンタデシルマグネシウム=クロリド、ペンタデシルマグネシウム=ブロミド及びペンタデシルマグネシウム=ヨージド等のペンタデシルマグネシウム=ハライド試薬(グリニャール試薬);ビス[ペンタデシル]キュープレート;並びに、リチウム=ビス[ペンタデシル]キュープレート等のギルマン(Gilman)試薬等が挙げられ、調製のしやすさ(汎用性)の観点から、ペンタデシルマグネシウム=ハライド試薬が好ましい。
ペンタデシル求核試薬(7)は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。ペンタデシル求核試薬(7)は、市販されているものであってもよく、又は、例えば、後述されている製造方法によって調製することができる。
(x)次に、上記の1,3-ジハロ-2-メチルプロパン化合物(8)について、以下に説明する。
上記一般式(8)におけるX及びXは互いに同じであっても異なっていてもよいハロゲン原子を表す。ハロゲン原子X及びXとして、具体的には、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
及びXの組み合わせとしては、塩素原子と塩素原子、臭素原子と塩素原子、塩素原子とヨウ素原子、臭素原子と臭素原子、臭素原子とヨウ素原子、及びヨウ素原子とヨウ素原子等が挙げられる。
1,3-ジハロ-2-メチルプロパン化合物(8)の具体例としては、1,3-ジクロロ-2-メチルプロパン、1,3-ジブロモ-2-メチルプロパン、1,3-ジヨード-2-メチルプロパン、1-ブロモ-3-クロロ-2-メチルプロパン、1-クロロ-3-ヨード-2-メチルプロパン及び1-ブロモ-3-ヨード-2-メチルプロパン等が挙げられ、収率の観点から、1-ブロモ-3-クロロ-2-メチルプロパン、1-クロロ-3-ヨード-2-メチルプロパン及び1-ブロモ-3-ヨード-2-メチルプロパンが特に好ましい。
1,3-ジハロ-2-メチルプロパン化合物(8)は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、1,3-ジハロ-2-メチルプロパン化合物(8)は、市販されているものであってもよく、また独自に合成したものであってもよい。
1,3-ジハロ-2-メチルプロパン化合物(8)は、例えば、2-メチル-1,3-プロパンジオールのハロゲン化で合成することができる。
(xi)次に、ペンタデシル求核試薬(7)と、1,3-ジハロ-2-メチルプロパン化合物(8)とのカップリング反応について、以下に説明する。
該カップリング反応において、ペンタデシル求核試薬(7)の使用量は、経済性の観点から、1,3-ジハロ-2-メチルプロパン化合物(8)1モルに対して、好ましくは0.8~1.4モルである。
該カップリング反応には、必要に応じて溶媒を用いてもよい。該溶媒としては、一般的な溶媒、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、ジエチル=エーテル、ジブチル=エーテル、4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP)、シクロペンチルメチルエーテル及び1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びクメン等の炭化水素系溶媒;-ジメチルホルムアミド(DMF)、-ジメチルアセトアミド(DMAC)、-メチルピロリドン(NMP)、ジメチル=スルホキシド(DMSO)、γ-ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル、’-ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ヘキサメチルホスホリック=トリアミド(HMPA)、ジクロロメタン及びクロロホルム等の極性溶媒が挙げられるが、反応性の観点から、トルエン及びキシレン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、4-メチルテトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒;並びにアセトニトリルが好ましく、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、トルエン、キシレンがより好ましい。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
該溶媒の使用量は、1,3-ジハロ-2-メチルプロパン化合物(8)1モルに対して、反応性の観点から、好ましくは30~5000g、より好ましくは50~3000gである。
該カップリング反応には、必要に応じて触媒を用いてもよい。
該触媒としては、塩化第一銅、臭化第一銅及びヨウ化第一銅等の一価のハロゲン化銅、並びに、塩化第二銅、臭化第二銅及びヨウ化第二銅等の二価のハロゲン化銅の銅化合物が挙げられ、反応性の観点から、一価のハロゲン化銅が好ましく、ヨウ化第一銅がより好ましい。
該触媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該触媒は、市販されているものを用いることができる。
該触媒の使用量は、1,3-ジハロ-2-メチルプロパン化合物(8)1モルに対して、反応速度及び/又は後処理の観点から、好ましくは0.0003~0.3モル、より好ましくは0.001~0.1モルである。
該カップリング反応に触媒を用いる場合は、必要に応じて補触媒を用いてもよい。該補触媒としては、亜リン酸トリエチル等の炭素数3~9の亜リン酸トリアルキル化合物;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン等の炭素数18~21のトリアリールホスフィン化合物;並びに、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(BINAP)等の炭素数22~44のアリールホスフィン化合物等のリン化合物等が挙げられるが、反応性の観点から、亜リン酸トリアルキル化合物が好ましい。
該補触媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該補触媒は、市販されているものを用いることができる。
該補触媒の使用量は、1,3-ジハロ-2-メチルプロパン化合物(8)1モルに対して、反応性の観点から、好ましくは0.001~0.500モル、より好ましくは0.005~0.200モルである。
該カップリング反応に触媒を用いる場合は、必要に応じてハロゲン化リチウムを添加してもよい。ハロゲン化リチウムとしては、塩化リチウム、臭化リチウム及びヨウ化リチウム等が挙げられ、反応性の観点から、塩化リチウムが好ましい。
該カップリング反応におけるハロゲン化リチウムの使用量は、反応性の観点から、1,3-ジハロ-2-メチルプロパン化合物(8)1モルに対して、好ましくは0.005~0.250モルである。
該カップリング反応における反応温度は、用いるペンタデシル求核試薬(7)によって異なるが、反応性の観点から、好ましくは-78~70℃、より好ましくは-20~50℃、更に好ましくは5~35℃である。
該カップリング反応における反応時間は、用いる溶媒及び/又は反応スケールにより異なるが、反応性の観点から、好ましくは0.5~100時間である。
上記一般式(8)におけるX及びXが互いに異なる場合は、上記触媒又は反応温度を適宜選択することにより、反応性の高いハロゲン原子の方を優先的に反応させながらカップリング反応を行うことができる。例えば、互いに異なるX及びXの組み合わせが塩素原子と臭素原子である又は塩素原子とヨウ素原子である1,3-ジハロ-2-メチルプロパン化合物(8)を用いれば、1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物(9)におけるXを塩素原子とすることができる。また、互いに異なるX及びXの組み合わせが臭素原子とヨウ素原子である1,3-ジハロ-2-メチルプロパン化合物(8)を用いれば、1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物(9)におけるXを臭素原子とすることができる。
1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物(9)を製造するカップリング反応の本工程においては、炭素数30のトリアコンタンが不純物として副生する。しかしながら、該不純物と上記目的化合物である炭素数19の1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物(9)との間で沸点差を十分に確保することができる。従って、上記目的化合物は、蒸留精製により上記不純物と容易に分離精製することが可能であり、結果として、高純度の1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物(9)を製造することができる。
また、上述の通り、ハロアルカン化合物の融点は炭素数の増加に従い上昇し、例えば、20~25℃の室温においては炭素数16の1-クロロヘキサデカンまでは液体として、加熱及び溶媒への溶解を必要とせずに使用できる。一方、別途合成した炭素数21の1-クロロ-2-メチルエイコサンは15℃で固体であったが、同じくメチル分岐を有する1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物(9)、1-クロロ-2-メチルオクタデカンは15℃においても液体状態であった。
(xii)次に、上記のペンタデシル求核試薬(7)の製造方法について、以下に説明する。
ペンタデシル求核試薬(7)は、常法に従い、又は下記で説明する方法に従って調製することができる。
例えば、ペンタデシル求核試薬(7)として、ペンタデシルマグネシウム=ハライド試薬(7:M=MgZ、Zはハロゲン原子の場合)の場合の製造方法について、以下に説明する。ペンタデシルマグネシウム=ハライド試薬(7:M=MgZ)はグリニャール試薬である。
ペンタデシルマグネシウム=ハライド試薬(7:M=MgZ)は、例えば、下記の化学反応式で示される通り、下記一般式(10)で表される1-ハロペンタデカン化合物を溶媒中、マグネシウムと反応させることにより調製することができる。
まず、上記1-ハロペンタデカン化合物(10)について、以下に説明する。
上記一般式(10)におけるXは、ハロゲン原子を表す。ハロゲン原子Xとして、具体的には、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
1-ハロペンタデカン化合物(10)の具体例としては、1-クロロペンタデカン、1-ブロモペンタデカン及び1-ヨードペンタデカン等が挙げられる。
1-ハロペンタデカン化合物(10)は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、1-ハロペンタデカン化合物(10)は、市販されているものであってもよく、また独自に合成したものであってもよい。
マグネシウムの使用量は、1-ハロペンタデカン化合物(10)1モルに対して、反応完結の観点から、好ましくは1.0~2.0グラム原子である。
上記溶媒としては、一般的な溶媒、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、ジエチル=エーテル、ジブチル=エーテル、4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP)、シクロペンチルメチルエーテル及び1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びクメン等の炭化水素系溶媒が挙げられるが、上記グリニャール試薬生成の反応速度の観点から、トルエン及びキシレン等の炭化水素系溶媒;並びに、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン及び4-メチルテトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒が好ましく、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン及び4-メチルテトラヒドロピランがより好ましい。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
該溶媒の使用量は、1-ハロペンタデカン化合物(10)1モルに対して、反応性の観点から、好ましくは30~5000g、より好ましくは50~3000gである。
上記マグネシウムとの反応における反応温度は、用いる溶媒により異なるが、反応性の観点から、好ましくは30~120℃である。
上記マグネシウムとの反応における反応時間は、用いる溶媒及び/又は反応スケールにより異なるが、反応性の観点から、好ましくは0.5~100時間である。
<II> 下記一般式(4)で表される17-メチルアルカン化合物の製造方法について
本発明の目的化合物の一つである、下記一般式(4)で表される17-メチルアルカン化合物は、下記の化学反応式で示される製造方法に従って調製される。
(i)まず、上記の7-メチルトリコシル求核試薬(2)について、以下に説明する。
上記一般式(2)におけるMは、Li、MgZ、CuZ又はCuLiZを表し、Zはハロゲン原子又は7-メチルトリコシル基を表す。ハロゲン原子Zとしては、具体的には、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
7-メチルトリコシルマグネシウム=ハライド試薬(2:M=MgZ)は、グリニャール試薬である。
7-メチルトリコシル求核試薬(2)の具体例としては、7-メチルトリコシルリチウム;7-メチルトリコシルマグネシウム=クロリド、7-メチルトリコシルマグネシウム=ブロミド及び7-メチルトリコシルマグネシウム=ヨージド等の7-メチルトリコシルマグネシウム=ハライド試薬(グリニャール試薬);ビス[7-メチルトリコシル]キュープレート;並びに、リチウム=ビス[7-メチルトリコシル]キュープレート等のギルマン(Gilman)試薬等が挙げられ、調製のしやすさ(汎用性)の観点から、7-メチルトリコシルマグネシウム=ハライド試薬が好ましい。
(ii)以下に、上記の7-メチルトリコシル求核試薬(2)の製造方法について説明する。
該製造方法は、上記の1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)を用いて7-メチルトリコシル求核試薬(2)を得る工程を少なくとも含む。
7-メチルトリコシル求核試薬(2)として、例えば、7-メチルトリコシルマグネシウム=ハライド試薬(2:M=MgZ、Zは上記ハロゲン原子)の場合の製造方法について、以下に説明する。
7-メチルトリコシルマグネシウム=ハライド試薬(2:M=MgZ、Zは上記ハロゲン原子)は、例えば、下記の化学反応式で示される通り、上記1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)を溶媒中、マグネシウムと反応させることにより調製することができる。
1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。
マグネシウムの使用量は、1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)1モルに対して、反応完結の観点から、好ましくは1.0~2.0グラム原子である。
上記溶媒としては、一般的な溶媒、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、ジエチル=エーテル、ジブチル=エーテル、4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP)、シクロペンチルメチルエーテル及び1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒;並びに、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びクメン等の炭化水素系溶媒が挙げられるが、上記グリニャール試薬生成の反応速度の観点から、トルエン及びキシレン等の炭化水素系溶媒;並びに、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン及び4-メチルテトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒が好ましく、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン及び4-メチルテトラヒドロピランがより好ましい。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
該溶媒の使用量は、1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)1モルに対して、反応性の観点から、好ましくは30~5000g、より好ましくは50~3000gである。
上記マグネシウムとの反応における反応温度は、用いる溶媒により異なるが、反応性の観点から、好ましくは30~120℃である。
上記マグネシウムとの反応における反応時間は、用いる溶媒及び/又は反応スケールにより異なるが、反応性の観点から、好ましくは0.5~100時間である。
(iii)次に、上記の7-メチルトリコシル求核試薬(2)を用いた17-メチルアルカン化合物(4)の製造方法について説明する。
該製造方法は、上記の7-メチルトリコシル求核試薬(2)と、下記一般式(3)で表されるアルキル求電子試薬とのカップリング反応により、17-メチルアルカン化合物(4)を得る工程を少なくとも含む。
7-メチルトリコシル求核試薬(2)は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、7-メチルトリコシル求核試薬(2)は、市販されているものであってもよく、また独自に合成したものであってもよい。
(iv)次に、上記のアルキル求電子試薬(3)について、以下に説明する。
上記一般式(3)におけるXは、ハロゲン原子又は-トルエンスルホニルオキシ基(CH-C-SO-O(TsO)基)を表す。ハロゲン原子Xとしては、具体的には、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、臭素原子及びヨウ素原子が特に好ましい。
上記一般式(3)におけるnは、11~13を表す。
アルキル求電子試薬(3)の具体例としては、1-クロロドデカン、1-ブロモドデカン及び1-ヨードドデカン等の1-ハロドデカン化合物(n=11);ドデシル=-トルエンスルホネート(n=11);1-クロロトリデカン、1-ブロモトリデカン及び1-ヨードトリデカン等の1-ハロトリデカン化合物(n=12);トリデシル=-トルエンスルホネート(n=12);並びに、1-クロロテトラデカン、1-ブロモテトラデカン及び1-ヨードテトラデカン等の1-ハロテトラデカン化合物(n=13);テトラデシル=-トルエンスルホネート(n=13)が挙げられ、調製のしやすさ(汎用性)の観点から、1-ハロドデカン化合物(n=11)、1-ハロトリデカン化合物(n=12)及び1-ハロテトラデカン化合物(n=13)が好ましい。なお、nが11である場合には、上記の7-メチルトリコシル求核試薬(2)と、nが11である該アルキル求電子試薬(3:n=11)とのカップリング反応により生じる17-メチルアルカン化合物(4)は、本発明の目的化合物の一つである17-メチルペンタトリアコンタン(4:n=11)である。また、nが13である場合には、上記の7-メチルトリコシル求核試薬(2)と、nが13である該アルキル求電子試薬(3:n=13)とのカップリング反応により生じる17-メチルアルカン化合物(4)は、本発明の目的化合物の一つである17-メチルヘプタトリアコンタン(4:n=13)である。
アルキル求電子試薬(3)は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、アルキル求電子試薬(3)は、市販されているものであってもよく、また独自に合成したものであってもよい。
アルキル求電子試薬(3)は、例えば、1-アルカノールのハロゲン化又は1-アルカノールを塩基の存在下、-トルエンスルホニル=クロリドでトシル化することで合成することができる。
(v)次に、7-メチルトリコシル求核試薬(2)とアルキル求電子試薬(3)とのカップリング反応について、以下に説明する。
-トルエンスルホニルオキシ基であるアルキル求電子試薬(3)は、Xがハロゲン原子であるアルキル求電子試薬(3)と同様に、上記のカップリング反応に使用することが可能である。これは、-トルエンスルホニルオキシ基が臭素原子等のハロゲン原子と同様に良い脱離基となるからである(例えば、上記の非特許文献4の第2127頁、「Table 1」及びそれに関連する記載を参照されたい)。
該カップリング反応において、7-メチルトリコシル求核試薬(2)の使用量は、経済性の観点から、アルキル求電子試薬(3)1モルに対して、好ましくは0.8~1.2モルである。
該カップリング反応には、必要に応じて溶媒を用いてもよい。該溶媒としては、一般的な溶媒、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、ジエチル=エーテル、ジブチル=エーテル、4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP)、シクロペンチルメチルエーテル及び1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びクメン等の炭化水素系溶媒;-ジメチルホルムアミド(DMF)、-ジメチルアセトアミド(DMAC)、-メチルピロリドン(NMP)、ジメチル=スルホキシド(DMSO)、γ-ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル、’-ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、ヘキサメチルホスホリック=トリアミド(HMPA)、ジクロロメタン及びクロロホルム等の極性溶媒が挙げられるが、反応性の観点から、トルエン及びキシレン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン及び4-メチルテトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒;並びにアセトニトリルが好ましく、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、トルエン及びキシレンがより好ましい。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
該溶媒の使用量は、7-メチルトリコシル求核試薬(2)1モルに対して、反応性の観点から、好ましくは30~5000g、より好ましくは50~3000gである。
該カップリング反応には、必要に応じて触媒を用いてもよい。
該触媒としては、塩化第一銅、臭化第一銅及びヨウ化第一銅等の一価のハロゲン化銅、並びに、塩化第二銅、臭化第二銅及びヨウ化第二銅等の二価のハロゲン化銅の銅化合物が挙げられ、反応性の観点から、一価のハロゲン化銅が好ましく、塩化第一銅がより好ましい。
該触媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該触媒は、市販されているものを用いることができる。
該触媒の使用量は、7-メチルトリコシル求核試薬(2)1モルに対して、反応速度及び/又は後処理の観点から、好ましくは0.0003~0.300モル、より好ましくは0.001~0.100モルである。
該カップリング反応に触媒を用いる場合は、必要に応じて補触媒を用いてもよい。該補触媒としては、亜リン酸トリエチル等の炭素数3~9の亜リン酸トリアルキル化合物;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン等の炭素数18~21のトリアリールホスフィン化合物;並びに、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(BINAP)等の炭素数22~44のアリールホスフィン化合物等のリン化合物等が挙げられるが、反応性の観点から、亜リン酸トリアルキル化合物が好ましい。
該補触媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該補触媒は、市販されているものを用いることができる。
該補触媒の使用量は、7-メチルトリコシル求核試薬(2)1モルに対して、反応性の観点から、好ましくは0.001~0.500モル、より好ましくは0.005~0.200モルである。
該カップリング反応に触媒を用いる場合は、必要に応じてハロゲン化リチウムを添加してもよい。ハロゲン化リチウムとしては、塩化リチウム、臭化リチウム及びヨウ化リチウムが挙げられ、反応性の観点から、塩化リチウムが好ましい。
該カップリング反応におけるハロゲン化リチウムの使用量は、反応性の観点から、7-メチルトリコシル求核試薬(2)1モルに対して、好ましくは0.005~0.250モルである。
該カップリング反応における反応温度は、用いる7-メチルトリコシル求核試薬(2)によって異なるが、反応性の観点から、好ましくは-78~70℃、より好ましくは-20~50℃、更に好ましくは5~35℃である。
該カップリング反応における反応時間は、用いる溶媒及び/又は反応スケールにより異なるが、反応性の観点から、好ましくは0.5~100時間である。
(vi)次に、上記の17-メチルアルカン化合物(4)について、以下に説明する。
上記一般式(4)におけるnは、上記一般式(3)で定義した通りである。
17-メチルアルカン化合物(4)の具体例としては、17-メチルペンタトリアコンタン(4:n=11)、17-メチルヘキサトリアコンタン(4:n=12)、及び17-メチルヘプタトリアコンタン(4:n=13)が挙げられる。
本発明の目的化合物の一つである17-メチルペンタトリアコンタン(4:n=11)を製造するカップリング反応の本工程においては、炭素数24のテトラコサンと、炭素数48の17,30-ジメチルヘキサテトラコンタンが不純物として副生する。しかしながら、該不純物と上記目的化合物である炭素数36の17-メチルペンタトリアコンタン(4:n=11)との間で沸点差を十分に確保することができる。また、不純物である炭素数48の17,30-ジメチルヘキサテトラコンタンは融点が非常に高いため、カップリング反応の後処理時に反応器の壁に固体として析出し有機層に溶けて混入してこないために容易に分離が可能である。従って、上記目的化合物は、蒸留精製、カラムクロマトグラフィー若しくは再結晶又はこれらの組み合わせにより上記不純物と容易に分離精製することが可能であり、結果として、高純度の17-メチルペンタトリアコンタン(4:n=11)を製造することができる。
同様に、本発明の目的化合物の一つである17-メチルヘプタトリアコンタン(4:n=13)を製造するカップリング反応の本工程においては、炭素数28のオクタコサンと、炭素数48の17,30-ジメチルヘキサテトラコンタンが不純物として副生する。しかしながら、該不純物と上記目的化合物である炭素数38の17-メチルヘプタトリアコンタン(4:n=13)との間で沸点差を十分に確保することができる。また、不純物である炭素数48の17,30-ジメチルヘキサテトラコンタンは融点が非常に高いため、カップリング反応の後処理時に反応器の壁に固体として析出し有機層に溶けて混入してこないために容易に分離が可能である。従って、上記目的化合物は、蒸留精製、カラムクロマトグラフィー若しくは再結晶又はこれらの組み合わせにより上記不純物と容易に分離精製することが可能であり、結果として、高純度の17-メチルヘプタトリアコンタン(4:n=13)を製造することができる。
以上のようにして、合成中間体である1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)から、アルゼンチンアリの巣仲間認識フェロモンである17-メチルアルカン化合物(4)を短工程で、生産性高く、かつ効率良く製造することができる。
[実施例]
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
なお、以下において、「純度」は、特に明記しない限り、ガスクロマトグラフィー(GC)分析によって得られた面積百分率を示し、「生成比」はGC分析によって得られた面積百分率の相対比を示す。また、「収率」はGC分析によって得られた面積百分率を基に算出した。
各実施例において、反応のモニタリング及び収率の算出は、次のGC条件に従って行った。
GC条件:GC:島津製作所 キャピラリガスクロマトグラフ GC-2014,カラム:DB-5,0.25μmx0.25mmφx30m,キャリアーガス:He(1.55mL/分)、検出器:FID,カラム温度:150℃ 5℃/分昇温 230℃、UA-5,0.25μmx0.25mmφx10m,キャリアーガス:He(1.55mL/分)、検出器:FID,カラム温度:230℃ 10℃/分昇温 300℃。
収率は、原料及び生成物の純度(%GC)を考慮して、以下の式に従い計算した。
収率(%)={[(反応によって得られた生成物の重量×%GC)/生成物の分子量]
÷[(反応における出発原料の重量×%GC)/出発原料の分子量]}×100
なお、THFはテトラヒドロフラン、NMPは-メチル-2-ピロリドン及びEtはエチル基を表す。
[実施例1]
1-クロロ-2-メチルオクタデカン(9:X=Cl)の原料である1-クロロペンタデカンの製造
室温で、反応器にマグネシウム(160.74g、6.61グラム原子)及びテトラヒドロフラン(1890.00g)を加えて、60~65℃にて25分間撹拌した。次に、該反応器に1-クロロドデカン(1290.12g、6.30モル(mol)、純度100%)を60~75℃にて滴下した。滴下終了後、75~80℃にて2時間撹拌することにより、ドデシルマグネシウム=クロリドを調製した。
続いて、別の反応器にヨウ化第一銅(12.00g、0.063モル)、亜リン酸トリエチル(25.12g、0.15モル)、テトラヒドロフラン(630.00g)及び1-ブロモ-3-クロロプロパン(922.44g、5.86モル)を加えて、5~15℃にて、上記調製したドデシルマグネシウム=クロリドを滴下した。滴下終了後、10~20℃にて1時間撹拌した。次に、反応液に塩化アンモニウム水溶液(塩化アンモニウム(63.00g)と水(1735.66g))及び20質量%塩酸(63.00g)、25質量%水酸化ナトリウム水溶液(32.04g)を加えて分液し、そして、得られた有機層を減圧下で濃縮し、残留物を減圧蒸留することにより、1-クロロペンタデカン(1311.04g、5.26モル、純度99.08%、b.p.=150.3~152.3℃/0.37kPa(2.8mmHg))が液体として収率89.81%で得られた。得られた1-クロロペンタデカンにはドデシルマグネシウム=クロリドのホモカップリング体であるテトラコサンは含まれていなかった(GC検出限界以下)。
上記で得られた1-クロロペンタデカンのスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):δ=0.88(3H,t,J=6.9Hz),1.21-1.34(22H,m),1.38-1.46(2H,m),1.77(2H,tt,J=6.9Hz,6.9Hz),3.53(2H,t,J=6.9Hz);13C-NMR(125MHz,CDCl):δ=14.1,22.7,26.9,28.9,29.4,29.47,29.55,29.62,29.65,29.69,31.9,32.7,45.2
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 246(M),217,203,189,175,161,147,133,119,105,71,57,43,29
〔赤外吸収スペクトル〕(D-ATR):ν=2955,2924,2854,1466,1377,1308,723,655
[実施例2]
1-クロロ-2-メチルオクタデカン(9:X=Cl)の製造
室温で、反応器にマグネシウム(120.90g、4.98グラム原子)及びテトラヒドロフラン(1421.40g)を加えて、60~65℃にて37分間撹拌した。次に、該反応器に実施例1で製造した1-クロロペンタデカン(1180.48g、4.74モル、純度99.08%)を60~75℃にて滴下した。滴下終了後、75~80℃にて2時間撹拌することにより、ペンタデシルマグネシウム=クロリド(7:M=MgCl)を調製した。
続いて、別の反応器にヨウ化第一銅(CuI)(9.02g、0.047モル)、亜リン酸トリエチル(P(OEt))(18.90g、0.11モル)、テトラヒドロフラン(947.60g)及び1-ブロモ-3-クロロ-2-メチルプロパン(8:X=Br,X=Cl)(755.52g、4.41モル、純度100%)を加えて、10~20℃にて、上記調製したペンタデシルマグネシウム=クロリドを滴下した。滴下終了後、10~20℃にて1.5時間撹拌した。次に、反応液に塩化アンモニウム水溶液(塩化アンモニウム(47.38g)と水(1305.32g))及び20質量%塩酸(90.72g)、25質量%水酸化ナトリウム水溶液(45.36g)を加えて分液し、そして、得られた有機層を減圧下で濃縮し、残留物を減圧蒸留することにより、1-クロロ-2-メチルオクタデカン(9:X=Cl)(1190.20g、3.89モル、純度98.92%、b.p.=161.1~167.0℃/0.044kPa(0.33mmHg))が液体として収率88.20%で得られた。得られた1-クロロ-2-メチルオクタデカン(9:X=Cl)には、ペンタデシルマグネシウム=クロリドのホモカップリング体であるトリアコンタンは含まれていなかった(GC検出限界以下)。
上記で得られた1-クロロ-2-メチルオクタデカン(9:X=Cl)のスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):δ=0.88(3H,t,J=6.9Hz),1.00(3H,d,J=6.9Hz),1.20-1.50(30H,m),1.76-1.84(1H,m),3.48(1H,dd,J=10.5Hz,5.4Hz),3.40(1H,dd,J=10.5Hz,6.5Hz);13C-NMR(125MHz,CDCl):δ=14.11,17.77,22.69,26.84,29.37,29.59,29.63,29.66,29.70,29.75,31.93,33.97,35.52,51.28
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 302(M),253,197,188,169,153,141,127,113,105,99,85,71,57,41
〔赤外吸収スペクトル〕(D-ATR):ν=2924,2853,1465,1378,722,688
[実施例3]
1-クロロ-7-メチルトリコサン(1:X=Cl)の製造
室温で、反応器にマグネシウム(59.35g、2.44グラム原子)及びテトラヒドロフラン(930.40g)を加えて、60~65℃にて35分間撹拌した。次に、該反応器に実施例2で製造した1-クロロ-2-メチルオクタデカン(9:X=Cl)(712.40g、2.33モル、純度98.92%、)を60~75℃にて滴下した。滴下終了後、75~80℃にて2時間撹拌することにより、2-メチルオクタデシルマグネシウム=クロリド(5:M=MgCl)を調製した。
続いて、別の反応器にヨウ化第一銅(4.43g、0.023モル)、亜リン酸トリエチル(9.28g、0.056モル)、テトラヒドロフラン(465.20g)及び1-ブロモ-5-クロロペンタン(6:X=Br,X=Cl)(409.88g、2.21モル、純度100%)を加えて、15~25℃にて、上記調製したペンタデシルマグネシウム=クロリドを滴下した。滴下終了後、20~30℃にて1.5時間撹拌した。次に、反応液に塩化アンモニウム水溶液(塩化アンモニウム(23.26g)と水(640.81g))及び20質量%塩酸(22.27g)、25質量%水酸化ナトリウム水溶液(11.83g)を加えて分液し、そして、得られた有機層を減圧下で濃縮し、残留物を減圧蒸留することにより、1-クロロ-7-メチルトリコサン(1:X=Cl)(708.34g、1.85モル、純度97.18%、b.p.=183.1~196.2℃/0.044kPa(0.33mmHg))が液体として収率83.50%で得られた。得られた1-クロロ-7-メチルトリコサン(1:X=Cl)には2-メチルオクタデシルマグネシウム=クロリド(5:M=MgCl)のホモカップリング体である17,20-ジメチルヘキサトリアコンタンは含まれていなかった(GC検出限界以下)。
上記で得られた1-クロロ-7-メチルトリコサン(1:X=Cl)のスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):δ=0.84(3H,d,J=6.5Hz),0.88(3H,t,J=6.9Hz),1.04-1.12(2H,m),1.20-1.33(35H,m),1.38-1.47(2H,m),1.77(2H,tt,J=6.9Hz,6.9Hz),3.53(2H,t,J=6.9Hz);13C-NMR(125MHz,CDCl):δ=14.11,19.68,22.70,26.90,26.93,27.09,29.25,29.37,29.66,29.71,29.74,30.02,31.93,32.68,32.71,36.95,37.06,45.17
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 357(M-14),253,224,197,169,147,111,99,85,71,57,43,29
〔赤外吸収スペクトル〕(D-ATR):ν=2924,2853,1465,1377,1304,723,656
[実施例4]
17-メチルペンタトリアコンタン(4:n=11)の製造
室温で、反応器にマグネシウム(3.31g、0.14グラム原子)及びテトラヒドロフラン(86.5g)を加えて、60~65℃にて28分間撹拌した。次に、該反応器に実施例3で製造した1-クロロ-7-メチルトリコサン(1:X=Cl)(49.87g、0.13モル、純度97.18%)を60~75℃にて滴下した。滴下終了後、75~80℃にて3.5時間撹拌することにより、7-メチルトリコシルマグネシウム=クロリド(2:M=MgCl)を調製した。
続いて、別の反応器に塩化第一銅(0.15g、0.0015モル)、亜リン酸トリエチル(1.46g、0.0088モル)、塩化リチウム(0.10g、0.0024モル)、テトラヒドロフラン(100.00g)及び1-ブロモドデカン(3:X=Br、n=11)(32.38g、0.13モル)を加えて、15~25℃にて、上記調製した7-メチルトリコシルマグネシウム=クロリド(2:M=MgCl)を滴下した。滴下終了後、20~30℃にて2.5時間撹拌した。次に、反応液に酢酸水溶液(酢酸(1.30g)及び水(35.79g))及び20質量%塩酸(2.72g)、25質量%水酸化ナトリウム水溶液(2.72g)を加えて分液し、そして、得られた有機層をそのまま減圧蒸留することにより、テトラコサンを分離した後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0)により精製することにより、17-メチルペンタトリアコンタン(4:n=11)(56.51g、0.10モル、純度93.48%)が固体として収率80.23%で得られた。得られた17-メチルペンタトリアコンタン(4:n=11)には7-メチルトリコシルマグネシウム=クロリド(2:M=MgCl)のホモカップリング体である17,30-ジメチルヘキサテトラコンタンは含まれていなかった(GC検出限界以下)。本実施例ではカラムクロマトグラフィーによる精製を行っているが、分離すべき不純物はないので蒸留及び/又は再結晶での精製も可能である。
上記で得られた17-メチルペンタトリアコンタン(4:n=11)のスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):δ=0.84(3H,d,J=6.9Hz),0.88(6H,t-like,J=6.9Hz),1.18-1.33(65H,m);13C-NMR(125MHz,CDCl):δ=14.13,19.73,22.67,22.71,27.11,29.38,29.68,29.73,29.76,30.05,31.95,32.76,37.11
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 492(M-14),280,252,224,197,183,169,155,141,127,113,99,85,71,57,43,29
〔赤外吸収スペクトル〕(D-ATR):ν=2956,2917,2850,1470,1377,720
[実施例5]
17-メチルヘプタトリアコンタン(4:n=13)の製造
室温で、反応器にマグネシウム(3.31g、0.14グラム原子)及びテトラヒドロフラン(86.5g)を加えて、60~65℃にて19分間撹拌した。次に、該反応器に実施例3で製造した1-クロロ-7-メチルトリコサン(1:X=Cl)(49.87g、0.13モル、純度97.18%)を60~75℃にて滴下した。滴下終了後、75~80℃にて5時間撹拌することにより、7-メチルトリコシルマグネシウム=クロリド(2:M=MgCl)を調製した。
続いて、別の反応器に塩化第一銅(0.15g、0.0015モル)、亜リン酸トリエチル(1.46g、0.0088モル)、塩化リチウム(0.10g、0.0024モル)、テトラヒドロフラン(100.00g)及び1-ブロモテトラデカン(3:X=Br、n=13)(36.02g、0.13モル)を加えて、15~25℃にて、上記調製した7-メチルトリコシルマグネシウム=クロリド(2:M=MgCl)を滴下した。滴下終了後、20~30℃にて2時間撹拌した。次に、反応液に酢酸水溶液(酢酸(1.30g)及び水(35.79g))及び20質量%塩酸(2.72g)、25質量%水酸化ナトリウム水溶液(2.72g)を加えて分液し、そして、得られた有機層をそのまま減圧蒸留することにより、オクタコサンを分離した後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0)により精製することにより、17-メチルヘプタトリアコンタン(4:n=13)(54.82g、0.094モル、純度91.51%)が固体として収率72.18%で得られた。得られた17-メチルヘプタトリアコンタン(4:n=13)には7-メチルトリコシルマグネシウム=クロリド(2:M=MgCl)のホモカップリング体である17,30-ジメチルヘキサテトラコンタンは含まれていなかった(GC検出限界以下)。本実施例ではカラムクロマトグラフィーによる精製を行っているが、分離すべき不純物はないので蒸留、再結晶での精製も可能である。
上記で得られた17-メチルヘプタトリアコンタン(4:n=13)のスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):δ=0.84(3H,d,J=6.5Hz),0.88(6H,t,J=6.9Hz),1.03-1.12(2H,m),1.20-1.33(67H,m);13C-NMR(125MHz,CDCl):δ=14.12,19.73,22.71,27.10,29.38,29.68,29.72,29.75,30.05,31.94,32.75,37.11
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 519(M-1),463,393,351,308,252,183,169,155,141,71,57
〔赤外吸収スペクトル〕(D-ATR):ν=2958,2918,2850,1473,1464,1377,729,719
[実施例6]
1-ブロモ-7-メチルトリコサン(1:X=Br)の製造
室温で、反応器に1-クロロ-7-メチルトリコサン(1:X=Cl)(10.00g、0.26モル、純度97.18%)、1-ブロモプロパン(CHCHCHBr)(19.02g、0.15モル)、臭化ナトリウム(NaBr)(0.53g、0.0052モル)、-メチル-2-ピロリドン(NMP)(19.00g)を加えて、110~120℃に加熱した。反応中に生成する1-クロロプロパンを反応系外に留出し、GCにより反応率>99%を確認した後、25℃まで冷却した。次に、反応液に水(35.16g)及びヘキサン(10.31g)を加えて分液し、そして、得られた有機層を濃縮した後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:1)により精製することにより、1-ブロモ-7-メチルトリコサン(1:X=Br)(10.93g、0.26モル、純度100%)が液体として収率100%で得られた。
上記で得られた1-ブロモ-7-メチルトリコサン(1:X=Br)のスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):δ=0.84(3H,d,J=6.5Hz),0.88(3H,t,J=6.9Hz),1.03-1.14(2H,m),1.18-1.36(35H,m),1.39-1.47(2H,m),1.86(2H,tt,J=6.9Hz,6.9Hz),3.41(2H,t,J=6.9Hz);13C-NMR(125MHz,CDCl):δ=14.11,19.68,22.70,26.87,27.09,28.23,29.13,29.37,29.66,29.71,29.74,30.02,31.93,32.71,32.86,34.02,36.94,37.06
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 403(M-13),337,253,191,169,155,127,111,99,85,71,57,43,29
〔赤外吸収スペクトル〕(D-ATR):ν=2923,2853,1465,1377,1259,722,648,566
加えて、原料として使用している2-オクタデカノンは工業的な入手(100kg超)が困難であるため、別途合成する必要があり、かつ、室温(25℃)において固体であるために、固体のまま反応器へ仕込む場合は手間であり、一方、溶液として反応器へ仕込む場合は溶液とするために多量の溶媒を加えるか又は加熱する必要があるため、生産性が低く特殊な設備を必要とする等、工業的な製造に適していない。その上、第一工程で使用しているグリニャール試薬は対応するブロモアルカンとマグネシウムとから調製していると考えられるが、対応するブロモアルカンである1-ブロモオクタデカン及び1-ブロモイコサンはいずれも固体である。しかしながら、これらブロモアルカンである1-ブロモオクタデカン及び1-ブロモイコサンは、グリニャール試薬を調製する際に溶液としてマグネシウムと反応させる必要があることから、溶液とするための溶媒が多量に必要となり、それ故に、生産性が低くかつ工業的な製造に適していない。また、17-メチルペンタトリアコンタンの製造方法は17-メチルヘプタトリアコンタンの製造方法と類似しているが、17-メチルペンタトリアコンタンの収率は全3工程37.32%と著しく低い。それ故に、非特許文献2の製造方法では、工業的に収率よく17-メチルアルカン化合物を製造することが困難である。
本発明の第4の態様によれば、
下記一般式(7):
(式中、M は、Li、MgZ 、CuZ 又はCuLiZ を表し、Z はハロゲン原子又はペンタデシル基を表す。)
で表されるペンタデシル求核試薬と、下記一般式(8):
(式中、X 及びX は互いに同じであっても異なっていてもよいハロゲン原子を表す。)
で表される1,3-ジハロ-2-メチルプロパン化合物とのカップリング反応により、下記式(9):
(式中、X はハロゲン原子を表す。)
で表される1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物を得る工程と、
上記1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物(9)から上記2-メチルオクタデシル求核試薬(5)を調製する工程と
を更に含む17-メチルアルカン化合物(4)の製造方法が提供される。
(ix)上記のペンタデシル求核試薬(7)について、以下に説明する。
上記一般式(7)におけるMはLi、MgZ、CuZ又はCuLiZを表し、Zはハロゲン原子又はペンタデシル基を表す。ハロゲン原子Zとしては、具体的には塩素原子、臭素原子及びヨウ素が挙げられ、臭素原子及び塩素原子が特に好ましい。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1):
    (式中、Xはハロゲン原子を表す。)
    で表される1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物。
  2. 下記一般式(1):
    (式中、Xはハロゲン原子を表す。)
    で表される1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)を下記一般式(2):
    (式中、Mは、Li、MgZ、CuZ又はCuLiZを表し、Zはハロゲン原子又は7-メチルトリコシル基を表す。)
    で表される7-メチルトリコシル求核試薬に変換し、その後、該7-メチルトリコシル求核試薬(2)と、下記一般式(3):
    (式中、Xはハロゲン原子又は-トルエンスルホニルオキシ基を表し、nは11~13を表す。)
    で表されるアルキル求電子試薬とのカップリング反応により、下記一般式(4):
    (式中、nは上記で定義した通りである。)
    で表される17-メチルアルカン化合物を得る工程
    を少なくとも含む、前記17-メチルアルカン化合物(4)の製造方法。
  3. 下記一般式(5):
    (式中、Mは、Li、MgZ、CuZ又はCuLiZを表し、Zはハロゲン原子又は2-メチルオクタデシル基を表す。)
    で表される2-メチルオクタデシル求核試薬と、下記一般式(6):
    (式中、X及びXは互いに同じであっても異なっていてもよいハロゲン原子を表す。)
    で表される1,5-ジハロペンタン化合物とのカップリング反応により、前記1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)を得る工程
    を更に含む、請求項2に記載の、17-メチルアルカン化合物(4)の製造方法。
  4. 下記一般式(7):
    (式中、Mは、Li、MgZ、CuZ又はCuLiZを表し、Zはハロゲン原子又はペンタデシル基を表す。)
    で表されるペンタデシル求核試薬と、下記一般式(8):
    (式中、X及びXは互いに同じであっても異なっていてもよいハロゲン原子を表す。)
    で表される1,3-ジハロ-2-メチルプロパン化合物とのカップリング反応により、下記式(9):
    (式中、Xはハロゲン原子を表す。)
    で表される1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物を得る工程と、
    前記1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物(9)から前記2-メチルオクタデシル求核試薬(5)を調製する工程と
    を更に含む、請求項3に記載の17-メチルアルカン化合物(4)の製造方法。
  5. 下記一般式(5):
    (式中、Mは、Li、MgZ、CuZ又はCuLiZを表し、Zはハロゲン原子又は2-メチルオクタデシル基を表す。)
    で表される2-メチルオクタデシル求核試薬と、下記一般式(6):
    (式中、X及びXは互いに同じであっても異なっていてもよいハロゲン原子を表す。)
    で表される1,5-ジハロペンタン化合物とのカップリング反応により、下記一般式(1):
    (式中、Xはハロゲン原子を表す。)
    で表される1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)を得る工程
    を含む、前記1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)の製造方法。
  6. 下記一般式(7):
    (式中、Mは、Li、MgZ、CuZ又はCuLiZを表し、Zはハロゲン原子又はペンタデシル基を表す。)
    で表されるペンタデシル求核試薬と、下記一般式(8):
    (式中、X及びXは互いに同じであっても異なっていてもよいハロゲン原子を表す。)
    で表される1,3-ジハロ-2-メチルプロパン化合物とのカップリング反応により、下記式(9):
    (式中、Xはハロゲン原子を表す。)
    で表される1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物を得る工程と、
    前記1-ハロ-2-メチルオクタデカン化合物(9)から前記2-メチルオクタデシル求核試薬(5)を調製する工程と
    を更に含む、請求項5に記載の、1-ハロ-7-メチルトリコサン化合物(1)の製造方法。
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