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JP2024151537A - 橋梁及びその構築方法 - Google Patents

橋梁及びその構築方法 Download PDF

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JP2024151537A
JP2024151537A JP2023064963A JP2023064963A JP2024151537A JP 2024151537 A JP2024151537 A JP 2024151537A JP 2023064963 A JP2023064963 A JP 2023064963A JP 2023064963 A JP2023064963 A JP 2023064963A JP 2024151537 A JP2024151537 A JP 2024151537A
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precast
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JP2023064963A
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Inventor
達斗 堀内
潔 桐川
Original Assignee
ピーエス・コンストラクション株式会社
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Abstract

【課題】橋脚等の下部構造体の負担を軽減でき、且つ、工期の短縮を図ることができる橋梁及びその構築方法の提供。【解決手段】この橋梁1は、各下部構造体3a,3aの上部に橋軸直角方向に向けて支持された下部工横梁4と、下部工横梁4上に支承部材5を介して支持された橋軸方向に向けた一又は複数の中空直方体状のプレキャスト縦桁部材6,6からなる縦桁部LB,LBと、橋軸直角方向で間隔をおいて隣り合う縦桁部LB,LB間に架設されたプレキャスト版7とを備え、プレキャスト縦桁部材6,6及びプレキャスト版7からなる上部工8の橋軸直角方向に挿通されたPC鋼材9,9…により上部工8の橋軸直角方向全幅に亘ってポストテンション方式によりプレストレスが導入されている。【選択図】図3

Description

本発明は、高架道路等を含む橋梁を架け替え又は新たに構築する橋梁及びその構築方法に関する。
近年、コンクリート製の橋梁は、経年劣化に加え、車両の大型化による使用環境の悪化や凍結防止剤散布の影響等による老朽化が問題となっており、橋梁の架け替え工事による大規模更新工事が進められている。
特に、RC中空床版橋は、死荷重の軽減等を目的として、橋脚等の下部構造体に支持された床版の内部に空隙部を設けているため、凍結防止剤による塩害や凍害に加え、空隙部を設けたことでかぶりが十分に確保し難いこともあり、重交通や浸透水の影響で上面部に変状が生じやすくなっており、上面部に変状を来した場合、床版全体を更新する必要がある。
また、RC中空床版橋は、高架橋の標準構造として数多く採用されており、今後、多くの更新工事が必要になると思われる。
従来、このようなRC中空床版橋等の橋梁の架け替え方法としては、支保工又はガーダーを用いて既設の上部工を撤去した後、撤去した部分に新たに中空床版や鋼鈑桁橋を構築する工法が一般に用いられている。
また、その他の工法としては、既設上部工を撤去した後、橋脚または橋台等の下部構造体上に橋軸直角方向に向けたプレキャスト横梁を設置し、そのプレキャスト横梁上に中空直方体状の複数のプレキャスト縦桁部材を橋軸直角方向に並べて敷設して中空床版を構築する方法も開発されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、この種の橋梁の架け替えにおいては、床版等の既設上部工の撤去に伴い通行規制が行われることから、通行規制による社会的損失を最小限に抑えるため、短期間で取替えを行うことが可能な工法が求められている。
特開2009-256873号公報
しかしながら、上述の特許文献1に示す如き従来技術では、橋脚または橋台等の下部構造体上に設置したプレキャスト横梁上に複数のプレキャスト縦桁部材を橋軸直角方向に並べて敷設することから、上部工全体の重量が増加し、それを支持する下部構造体の耐力不足が懸念される。
また、従来の技術では、既設上部工を撤去した後でなければプレキャスト横梁を設置することができず、既設上部工の撤去からプレキャスト横桁の設置を経て新たな床版部が形成されるまでのすべての期間において通行規制を行わなくてはならず、通行規制による社会的損失が大きくなるという問題があった。
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、橋脚等の下部構造体の負担を軽減でき、且つ、工期の短縮を図ることができる橋梁及びその構築方法の提供を目的としてなされたものである。
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、橋軸方向に間隔をおいて立設された下部構造体間に上部工が架設されてなる橋梁において、前記各下部構造体の上部に橋軸直角方向に向けて支持された下部工横梁と、該下部工横梁上に支承部材を介して支持された橋軸方向に向けた一又は複数の中空直方体状のプレキャスト縦桁部材からなる縦桁部と、橋軸直角方向で間隔をおいて隣り合う前記縦桁部間に架設されたプレキャスト版とを備えるとともに、前記下部工横梁上の間隔をおいて隣り合う前記縦桁部と前記プレキャスト版に囲まれた部分がコンクリートで充填されてなる横梁部が形成され、前記プレキャスト縦桁部材と前記プレキャスト版とからなる床版部の橋軸直角方向全幅に亘って挿通されたPC鋼材と、前記横梁部の橋軸直角方向全幅に亘って挿通されたPC鋼材とにより前記縦桁部、前記プレキャスト版及び前記横桁部からなる構造体の橋軸直角方向全幅に亘ってポストテンション方式によりプレストレスが導入されていることにある。
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記下部工横梁は、前記下部構造体の上端より所定の高さ分だけ低い位置に支持されていることにある。
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記プレキャスト版には橋軸方向に向けたPC鋼材によりプレテンション方式によるプレストレスが導入されていることにある。
請求項4に記載の発明の特徴は、橋軸方向に間隔をおいて立設された下部構造体間に上部工が架設されてなる橋梁の構築方法において、前記各下部構造体の上部に橋軸直角方向に向けた下部工横梁を支持させ、該下部工横梁上に支承部材を介して橋軸方向に向けた一又は複数の中空直方体状のプレキャスト縦桁部材を支持させて縦桁部を形成し、しかる後、橋軸直角方向で間隔をおいて隣り合う前記縦桁部間にプレキャスト版を架設し、前記下部工横梁上の間隔をおいて隣り合う前記縦桁部と前記プレキャスト版に囲まれた部分にコンクリートを打設して横梁部を形成し、前記プレキャスト縦桁部材と前記プレキャスト版とからなる床版部の橋軸直角方向全幅に亘ってPC鋼材を挿通させるとともに、前記横梁部の橋軸直角方向全幅に亘ってPC鋼材を挿通させ、該PC鋼材により前記縦桁部、前記プレキャスト版及び前記横桁部からなる構造体の橋軸直角方向全幅に亘ってポストテンション方式によりプレストレスを導入することにある。
請求項5に記載の発明の特徴は、橋軸方向に間隔をおいて立設された下部構造体間に架設された既設上部工を新たな上部工に架け替えて構築する橋梁の構築方法において、既設上部工を支持する前記下部構造体の上端より所定の距離だけ低い位置に橋軸直角方向に向けた下部工横梁を予め構築しておき、前記既設上部工を撤去した後、前記下部工横梁の前記下部構造体上端部を挟んだ両側にそれぞれ支承部材を介して橋軸方向に向けた一又は複数の中空直方体状のプレキャスト縦桁部材を支持させて縦桁部を形成し、しかる後、前記下部構造体上端部を挟んで間隔をおいて隣り合う前記縦桁部間にプレキャスト版を架設し、前記下部工横梁上の間隔をおいて隣り合う前記縦桁部と前記プレキャスト版に囲まれた部分にコンクリートを打設して横梁部を形成し、前記プレキャスト縦桁部材と前記プレキャスト版とからなる床版部の橋軸直角方向全幅に亘ってPC鋼材を挿通させるとともに、前記横梁部の橋軸直角方向全幅に亘ってPC鋼材を挿通させ、該PC鋼材により前記縦桁部、前記プレキャスト版及び前記横桁部からなる構造体の橋軸直角方向全幅に亘ってポストテンション方式によりプレストレスを導入することにある。
さらに、請求項6に記載の発明の特徴は、請求項4又は5の構成に加え、前記支承部材上に設置された桁受板材の橋軸直角方向両端部を、仮支承部材を介して前記下部工横梁に支持させた状態で、前記桁受板材上に複数の前記プレキャスト縦桁部材を橋軸直角方向に並べて設置し、前記PC鋼材により前記縦桁部、前記プレキャスト版及び前記横桁部からなる構造体の橋軸直角方向全幅に亘ってポストテンション方式によりプレストレスを導入した後、前記仮支承部材を撤去することにある。
請求項7に記載の発明の特徴は、請求項4又は5の構成に加え、前記プレキャスト版には橋軸方向に向けたPC鋼材によりプレテンション方式によるプレストレスが導入されていることにある。
本発明に係る橋梁は、請求項1に記載の構成を具備することによって、上部工全体の重量を軽減し、橋脚や橋台等の下部構造体の負担軽減を図ることができる。
また、本発明において、請求項2に記載の構成を具備することによって、下部構造体の上端よりプレキャスト縦桁部材を支持する位置が下がる分、プレキャスト縦桁部材の桁高を大きくとることができる。また、既存の上部工を供用に供したまま、改修工事に着手することができ、工期の短縮を図り、通行規制による社会的損失を軽減することができる。
また、本発明において、請求項3に記載の構成を具備することによって、プレキャスト縦桁部材間に架設されたプレキャスト床版の強度を高め、高強度の上部工を構築することができる。
本発明に係る橋梁の構築方法は、請求項4に記載の構成を具備することによって、上部工全体の重量を軽減し、橋脚や橋台等の下部構造体の負担軽減を図ることができる
また、本発明において、請求項5に記載の構成を具備することによって、既存の上部工を供用に供したまま、改修工事に着手することができ、工期の短縮を図り、通行規制による社会的損失を軽減することができる。
さらに、本発明において、請求項6に記載の構成を具備することによって、一の支承部材で複数のプレキャスト縦桁部材を支持させることができる。
さらにまた、本発明において、請求項7に記載の構成を具備することによって、プレキャスト縦桁部材間に架設されたプレキャスト床版の強度を高め、高強度の上部工を構築することができる。
本発明に係る橋梁の一例を示す側面図である。 図1中のA-A線矢視断面図である。 同上の上部工を支持する構造部分を示す拡大A-A線矢視断面図である。 同上の上部工を支持する構造部分を示す拡大B-B線矢視断面図である。 (a)は同上のプレキャスト縦桁部材の端部を示す平面図、(b)は同端部の側面図、(c)は同C-C線矢視断面図である。 (a)は同上のプレキャスト版を示す平面図、(b)は同側面図、(c)は同断面図である。 同上のプレキャスト版間の接合部分を示す平面図である。 本発明に係る橋梁の構築方法の手順を示す拡大断面図であって、(a)は既存の上部工が設置された状態の図、(b)は下部工横梁を構築した状態を示す図、(c)は支承部材を設置した状態を示す図である。 (d)は同上のプレキャスト縦桁部材を設置した状態を示す図、(e)は同プレキャスト版を架設した状態を示す図、(f)は同下部工横梁上の両プレキャスト縦桁部材とプレキャスト版に囲まれた部分にコンクリートを打設した状態を示す図である。 (g)は同上の上部工の全幅に亘ってプレストレスを導入した状態を示す図、(h)は完成した橋梁を示す図である。
次に、本発明に係る橋梁及びその構築方法の実施態様を図1~図10に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1は橋梁、符号2は地盤である。
橋梁1は、橋軸方向に間隔をおいて立設された橋脚等の下部構造体3と、下部構造体3の上部に支持された橋軸直角方向に向けた下部工横梁4と、下部工横梁4上に橋軸直角方向に間隔をおいて配置された支承部材5と、各支承部材5を介して設置された一又は複数のプレキャスト縦桁部材6,6からなる縦桁部LB,LBと、橋軸直角方向に間隔をおいて隣り合う縦桁部LB,LB間に架設されたプレキャスト版7とを備え、下部工横梁4上の隣り合う縦桁部LB,LBとプレキャスト版7に囲まれた部分がコンクリート23で充填されてなる横梁部WBが形成され、プレキャスト縦桁部材6,6及びプレキャスト版7とからなる上部工8(床版部)の橋軸直角方向に挿通させたPC鋼材9,9…と、横梁部WBの橋軸直角方向全幅に亘って挿通させたPC鋼材9,9…により縦桁部LB,LB、プレキャスト版7及び横桁部WBからなる構造体8(以下、上部工8という)の橋軸直角方向全幅に亘ってポストテンション方式によりプレストレスが導入されている。
ここで、下部構造体3とは、地盤2に立設され、上部工8を支持する構造体であって、橋梁1の両端部が支持される橋台、両橋台間にあって上部工8の下面を支持する橋脚及び橋脚を構成する複数の脚体3a,3aや分岐した部分等とを含むものとする。
橋脚3は、図1、図2に示すように、橋軸直角方向に間隔をおいてフーチング3bに支持された複数(本実施例では一対)の脚体3a,3aを備え、下部工横梁4が両脚体3a,3aに跨って支持されている。
下部工横梁4は、鉄筋コンクリート造又はプレストレストコンクリート造の直方体状に形成され、各脚体3a,3aに支持されている。
この下部工横梁4は、橋梁1の橋軸直角方向幅と略同じ長さを有し、脚体3a,3aに支持されて脚体3a,3aの両外側部及び脚体3a,3a間に少なくとも設置される一又は複数のプレキャスト縦桁部材6,6が設置可能な分の幅が確保されている。
支承部材5は、例えば、ゴム材と鋼板とが交互に積層されてなる積層ゴム支承等によって構成され、下端が下部工横梁4の上面部にボルト止め等によって固定されるとともに、上端部に鋼板等からなる桁受板材10が固定されている。
桁受板材10は、複数のプレキャスト縦桁部材6,6(本実施例では一対)が載置可能な幅、即ち、橋軸直角方向に並べられた複数のプレキャスト縦桁部材6,6の幅の合計と略同じ又はそれ以上の幅を有するとともに、構築される上部工8を支持するに足る剛性を確保できる厚みを有する矩形板状に形成されている。
また、桁受板材10には、特に図示しないが、橋軸直角方向に間隔をおいて板状の固定板が突設され、固定板にプレキャスト縦桁部材6,6をボルト締め等によって固定できるようになっている。
プレキャスト縦桁部材6,6は、図5に示すように、長手方向の両端部及び必要に応じて中間部に充実した隔壁部6b,6bを備え、この隔壁部6b,6b間に中空部6aが形成され、鉄筋コンクリート造の中空直方体状を成している。
また、プレキャスト縦桁部材6,6は、長手方向に向けて埋設された複数のPC鋼材(図示せず)によってプレテンション方式によるプレストレスが導入されている。
このプレキャスト縦桁部材6,6は、標準的なスラブ用プレストレストコンクリート橋げた(JIS A 5373)に準拠して形成されているが、下部工横梁4を下部構造体3である脚体3a,3aの上端より所定の高さh分だけ低い位置に支持させたことにより、同じ高さに床版を形成する場合、標準的なスラブ用プレストレストコンクリート橋げたよりも高さを高く形成でき、その分、耐荷力の増加を図ることができるようになっている。
また、プレキャスト縦桁部材6,6は、橋軸方向に間隔をおいて立設された複数の下部構造体3間に跨って架設される長さを有し、両端部及び中間の一又は複数個所が支承部材5を介して下部構造体3に支持されるようになっている。
また、プレキャスト縦桁部材6,6は、各縦桁部LB,LBを構成するプレキャスト縦桁部材6,6のプレキャスト版7側の側面上部に長手方向に連続するプレキャスト版受部12が一体に突設され、プレキャスト版受部12にプレキャスト版7の側縁部が支持され、各縦桁部LB,LB間にプレキャスト版7が架設されるようになっている。
プレキャスト版受部12は、プレキャスト縦桁部材6,6の上面からプレキャスト版7側部の厚み分だけ低い位置に突設され、プレキャスト版7がプレキャスト縦桁部材6,6間に架設された際、プレキャスト版7の上面と、プレキャスト梁部材の上面とが同一高さになるようになっている。
尚、プレキャスト縦桁部材6,6には、上部に長手方向に間隔をおいて橋軸直角方向に貫通した多数のPC挿通孔13,13…が形成され、プレキャスト版7が両プレキャスト縦桁部材6,6間に架設された際にプレキャスト版7に形成されたPC挿通孔14,14…と連通するようになっている。
また、プレキャスト縦桁部材6,6の各隔壁部6b,6b…、即ち、プレキャスト縦桁部材6の支承部材5を介して下部工横梁4に支持される部分には、高さ方向に間隔をおいて複数のPC挿通孔15,15…が形成されている。
プレキャスト版7は、図6に示すように、コンクリート造の平板状に形成され、両側部下面にプレキャスト版受部12に支持される被支持用凸状部7a,7aが一体に突設されている。
このプレキャスト版7には、図6(c)に示すように、橋軸方向に向けた複数のPC鋼材17,17…が緊張した状態で埋設され、橋軸方向にプレテンション方式によりプレストレスが導入されている。
また、プレキャスト版7には、橋軸直角方向に貫通した多数のPC挿通孔14,14…が橋軸方向に間隔をおいて形成され、プレキャスト縦桁部材6,6のPC挿通孔13,13…と連続し、両PC挿通孔13,14を跨いでPC鋼材9,9…がプレキャスト縦桁部材6,6とプレキャスト版7とによって構成される部分(床版部)の橋軸直角方向全幅に亘って挿通されるようになっている。
尚、プレキャスト版7の橋軸方向両端部には、端面より継手用鉄筋16,16が突出し、図7に示すように、橋軸直角方向で隣り合うプレキャスト版7間に重ね継手が形成され、端面間にコンクリートが打設されることにより、橋軸直角方向で隣り合うプレキャスト版7間が接続されている。
次に、上述した橋梁1の構築方法について図8~図9に基づいて説明する。尚、本実施例では、橋軸方向に間隔をおいて立設された下部構造体3間に架設された既存上部工20を新たな上部工8に架け替えて構築する場合を例に説明し、上述の実施例と同様の構成には同一符号を付して説明する。また、図中符号2は地盤、符号20は既存の上部工(以下、既存上部工20という)である。
既存の橋梁は、橋軸方向に間隔をおいて立設された複数の下部構造体3と、複数の下部構造体3間に架設された既存上部工20とを備え、既存上部工20が橋脚等の下部構造体3上に設置された既存支承体21,21を介して各下部構造体3に支持されている。
既存上部工20は、例えば、図8(a)に示すように、内部に中空部を有する中空床版部材によって構成され、中空床版部材が複数の下部構造体3に亘って架設されている。
この橋梁の既存上部工20を架け替えて新たなに橋梁1を構築するには、まず、図8(b)に示すように、既存上部工20を供用した状態で、既存上部工20を支持する下部構造体3の上端より所定の高さhだけ低い位置に橋軸直角方向に向けた下部工横梁4を構築する。
具体的には、特に図示しないが、橋脚等の下部構造体3の周囲に足場を設置して下部工横梁4の形状に合わせて型枠を設置し、型枠内に鉄筋を配置する。尚、鉄筋は、下部構造体3と一体化させることが望ましい。
そして、型枠内に場所打ちによってコンクリートを打設し、コンクリートを養生・硬化させて下部工横梁4を構築する。
その際、下部工横梁4を下部構造体3の上端より所定の高さh分だけ低い位置に構築することによって、下部工横梁4の構築に要する期間、即ち、足場設置、型枠設置、鉄筋配置、コンクリート打設、コンクリート養生・硬化及び脱型の一連の各作業を行う間、既存上部工20を供用でき、通行規制等の社会的損失を最小限に抑えることができる。
次に、下部工横梁4が構築されたら、図8(c)に示すように、既存上部工20の供用を停止し、既存上部工20を所定の間隔に分割した後、ガーダーやクレーン(図示せず)を用いて分割した部分毎に既存上部工20を撤去する。
次に、図9(d)に示すように、下部構造体3である脚体3a,3aを挟んで下部工横梁4の両側、即ち、下部工横梁4上の両脚体3a,3aの外側及び脚体3a,3a間に支承部材5を取り付けるとともに、支承部材5の上端に桁受板材10を固定し、桁受板材10の橋軸直角方向両端部を、仮支承部材22,22を介して下部工横梁4に支持させる。
そして、桁受板材10上に2本のプレキャスト縦桁部材6,6を橋軸直角方向に並べて設置して縦桁部LB,LBを形成し、各プレキャスト縦桁部材6,6の所定の位置を桁受板材10に固定する。
尚、縦桁部LB,LBを構成するプレキャスト縦桁部材6,6の内、プレキャスト版7側に配置されるものには、そのプレキャスト版7側の側面上部にプレキャスト版受部12を備えたものを用いる。
尚、この状態では、縦桁部LB,LB間が互いに支持されていないが、桁受板材10の橋軸直角方向両端部が仮支承部材22,22を介して下部工横梁4に支持されていることで、プレキャスト縦桁部材6,6が安定した状態で各下部構造体3に支持される。
次に、図9(e)に示すように、橋軸直角方向に間隔をおいて隣り合う縦桁部LB,LB間にプレキャスト版7を架設し、複数のプレキャスト版7を橋軸方向に敷設する。
その際、図7に示すように、橋軸方向に連なるプレキャスト版7間には、各プレキャスト版7の端面より突出した継手用鉄筋16,16が重複した状態で配置されて重ね継手が形成され、プレキャスト版7間にモルタルやコンクリートが打設されて連結される。
また、特に図示しないが、橋軸直角方向で連続するプレキャスト縦桁部材6,6及びプレキャスト版7のPC挿通孔13,13…間をシースの接続により連通させる。
次に、図9(f)に示すように、下部工横梁4上の縦桁部LB,LB(プレキャスト縦桁部材6,6)及びプレキャスト版7に囲まれた部分を閉鎖するように型枠を設置し、型枠内に必要に応じて鉄筋やシースを配置し、しかる後、場所打ちによってコンクリート23を打設して横桁部WBを形成する。
また、互いに隣接して設置されたプレキャスト縦桁部材6,6間の隙間やプレキャスト縦桁部材6,6とプレキャスト版7との隙間にモルタル等の充填材を充填する。
そして、図10(g)に示すように、プレキャスト縦桁部材6,6とプレキャスト版7とからなる床版部の橋軸直角方向全幅に亘ってPC鋼材9,9…を挿通させるとともに、横梁部WBの橋軸直角方向全幅に亘ってPC鋼材9,9…を挿通させ、このPC鋼材9,9…を緊張させた状態でその両端を縦桁部LB,LB、プレキャスト版7及び横桁部WBからなる構造体(上部工8)の両側部に定着させ、上部工8の橋軸直角方向全幅に亘ってポストテンション方式によるプレストレスを導入する。
プレストレス導入後には、図10(h)に示すように、仮支承部材22,22を撤去して上部工8を支承部材5のみで支持させ、必要に応じて側壁24,24等を設置して橋梁1の構築が完了する。
尚、上述の実施例では、既存の上部工20を新たな上部工8に架け替える場合について説明したが、下部構造体3を構築した後、下部工横梁4の構築し、その後図8(c)~図10(h)に示す手順と同様に作業を進めることによって新たに橋梁1を構築することができる。
その際、下部工横梁4は、必ずしも下部構造体3(脚体3a,3a)の上端より所定の高さh分だけ低い位置に支持させる必要はなく、下部構造体3の上端部に跨って下部構造体3の上面と下部工横梁4の上面とが同一平面となるように構築してもよく、下部構造体3に架設された状態に下部工横梁4を形成してもよい。
1 橋梁
2 地盤
3 下部構造体
4 下部工横梁
5 支承部材
6 プレキャスト縦桁部材
7 プレキャスト版
8 上部工
9 PC鋼材
10 桁受板材
11 固定板
12 プレキャスト版受部
13~15 PC挿通孔
16 継手用鉄筋
17 PC鋼材
20 既存上部工
21 既存支承体
22 仮支承部材
23 コンクリート
24 側壁
LB 縦桁部
WB 横桁部

Claims (7)

  1. 橋軸方向に間隔をおいて立設された下部構造体間に上部工が架設されてなる橋梁において、
    前記各下部構造体の上部に橋軸直角方向に向けて支持された下部工横梁と、
    該下部工横梁上に支承部材を介して支持された橋軸方向に向けた一又は複数の中空直方体状のプレキャスト縦桁部材からなる縦桁部と、
    橋軸直角方向で間隔をおいて隣り合う前記縦桁部間に架設されたプレキャスト版とを備えるとともに、
    前記下部工横梁上の間隔をおいて隣り合う前記縦桁部と前記プレキャスト版に囲まれた部分がコンクリートで充填されてなる横梁部が形成され、
    前記プレキャスト縦桁部材と前記プレキャスト版とからなる床版部の橋軸直角方向全幅に亘って挿通されたPC鋼材と、前記横梁部の橋軸直角方向全幅に亘って挿通されたPC鋼材とにより前記縦桁部、前記プレキャスト版及び前記横桁部からなる構造体の橋軸直角方向全幅に亘ってポストテンション方式によりプレストレスが導入されていることを特徴としてなる橋梁。
  2. 前記下部工横梁は、前記下部構造体の上端より所定の高さ分だけ低い位置に支持されている請求項1に記載の橋梁。
  3. 前記プレキャスト版には橋軸方向に向けたPC鋼材によりプレテンション方式によるプレストレスが導入されている請求項1又は2に記載の橋梁。
  4. 橋軸方向に間隔をおいて立設された下部構造体間に上部工が架設されてなる橋梁の構築方法において、
    前記各下部構造体の上部に橋軸直角方向に向けた下部工横梁を支持させ、
    該下部工横梁上に支承部材を介して橋軸方向に向けた一又は複数の中空直方体状のプレキャスト縦桁部材を支持させて縦桁部を形成し、
    しかる後、橋軸直角方向で間隔をおいて隣り合う前記縦桁部間にプレキャスト版を架設し、
    前記下部工横梁上の間隔をおいて隣り合う前記縦桁部と前記プレキャスト版に囲まれた部分にコンクリートを打設して横梁部を形成し、
    前記プレキャスト縦桁部材と前記プレキャスト版とからなる床版部の橋軸直角方向全幅に亘ってPC鋼材を挿通させるとともに、前記横梁部の橋軸直角方向全幅に亘ってPC鋼材を挿通させ、
    該PC鋼材により前記縦桁部、前記プレキャスト版及び前記横桁部からなる構造体の橋軸直角方向全幅に亘ってポストテンション方式によりプレストレスを導入することを特徴としてなる橋梁の構築方法。
  5. 橋軸方向に間隔をおいて立設された下部構造体間に架設された既設上部工を新たな上部工に架け替えて構築する橋梁の構築方法において、
    既設上部工を支持する前記下部構造体の上端より所定の距離だけ低い位置に橋軸直角方向に向けた下部工横梁を予め構築しておき、
    前記既設上部工を撤去した後、
    前記下部工横梁の前記下部構造体上端部を挟んだ両側にそれぞれ支承部材を介して橋軸方向に向けた一又は複数の中空直方体状のプレキャスト縦桁部材を支持させて縦桁部を形成し、
    しかる後、前記下部構造体上端部を挟んで間隔をおいて隣り合う前記縦桁部間にプレキャスト版を架設し、
    前記下部工横梁上の間隔をおいて隣り合う前記縦桁部と前記プレキャスト版に囲まれた部分にコンクリートを打設して横梁部を形成し、
    前記プレキャスト縦桁部材と前記プレキャスト版とからなる床版部の橋軸直角方向全幅に亘ってPC鋼材を挿通させるとともに、前記横梁部の橋軸直角方向全幅に亘ってPC鋼材を挿通させ、
    該PC鋼材により前記縦桁部、前記プレキャスト版及び前記横桁部からなる構造体の橋軸直角方向全幅に亘ってポストテンション方式によりプレストレスを導入することを特徴としてなる橋梁の構築方法。
  6. 前記支承部材上に設置された桁受板材の橋軸直角方向両端部を、仮支承部材を介して前記下部工横梁に支持させた状態で、前記桁受板材上に複数の前記プレキャスト縦桁部材を橋軸直角方向に並べて設置し、
    前記PC鋼材により前記縦桁部、前記プレキャスト版及び前記横桁部からなる構造体の橋軸直角方向全幅に亘ってポストテンション方式によりプレストレスを導入した後、前記仮支承部材を撤去する請求項4又は5に記載の橋梁の構築方法。
  7. 前記プレキャスト版には橋軸方向に向けたPC鋼材によりプレテンション方式によるプレストレスが導入されている請求項4又は5に記載の橋梁の構築方法。
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