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JP2024039139A - エンドミル - Google Patents

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JP2024039139A
JP2024039139A JP2022143470A JP2022143470A JP2024039139A JP 2024039139 A JP2024039139 A JP 2024039139A JP 2022143470 A JP2022143470 A JP 2022143470A JP 2022143470 A JP2022143470 A JP 2022143470A JP 2024039139 A JP2024039139 A JP 2024039139A
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outer peripheral
flank
bottom blade
angle
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JP2022143470A
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知己 片山
Tomoki Kataoka
有輝 居原田
Yuki Iharada
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Moldino Tool Engineering Ltd
Original Assignee
Moldino Tool Engineering Ltd
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Publication date
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    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23CMILLING
    • B23C5/00Milling-cutters
    • B23C5/02Milling-cutters characterised by the shape of the cutter
    • B23C5/10Shank-type cutters, i.e. with an integral shaft
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23CMILLING
    • B23C5/00Milling-cutters
    • B23C5/16Milling-cutters characterised by physical features other than shape

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Milling Processes (AREA)

Abstract

Figure 2024039139000001
【課題】外周刃先端付近のチッピングまたは欠損が抑制された長寿命のエンドミルを提供する。
【解決手段】中心軸回りに回転される切刃部およびシャンクを備えるエンドミル。切刃部の先端面に位置する底刃と、切刃部の外周面に位置する外周刃とを有する。底刃は、中心軸に直交する平面に対して3°以下の傾斜角で、底刃の外周端から径方向内側に向かうに従って前記シャンク側へ延びる底刃外周部を有する。底刃外周部に隣接する底刃外周部第1逃げ面の逃げ角は、外周刃に隣接する外周刃第1逃げ面の逃げ角よりも大きい。底刃外周部第1逃げ面の幅は、外周刃第1逃げ面の幅よりも大きい。
【選択図】図3

Description

本発明は、エンドミルに関する。
従来、エンドミルの外周刃の刃先強度向上を目的として、例えば特許文献1に記載のように、外周刃の逃げ面に、微小逃げ角かつ微小逃げ面幅の逃げ面を設けることが知られている。
特開2012-091306号公報
しかし、微小逃げ面を設けて刃先強度を高めたエンドミルにおいても、外周刃先端付近のチッピングまたは欠損を十分に抑制できない場合があり、工具寿命のさらなる延長が望まれていた。特に、基材を耐欠損性に乏しいCBNとしたエンドミルにおいて、外周刃先端付近のチッピングまたは欠損が生じやすい課題があった。
本発明は、外周刃先端付近のチッピングまたは欠損が抑制された長寿命のエンドミルを提供することを目的の一つとする。
(1)本発明の一態様によれば、中心軸回りに回転される切刃部およびシャンクを備えるエンドミルが提供される。前記切刃部の先端面に位置する底刃と、前記切刃部の外周面に位置する外周刃とを有する。前記底刃は、中心軸に直交する平面に対して3°以下の傾斜角で、前記底刃の外周端から径方向内側に向かうに従って前記シャンク側へ延びる底刃外周部を有する。前記底刃外周部に隣接する底刃外周部第1逃げ面の逃げ角は、前記外周刃に隣接する外周刃第1逃げ面の逃げ角よりも大きい。前記底刃外周部第1逃げ面の幅は、前記外周刃第1逃げ面の幅よりも大きい。
上記構成によれば、底刃が3°以下のすかし角の底刃外周部を有することで、底刃の切削抵抗の向きを中心軸に平行な方向に近づけ、底刃から外周刃に向かって作用する負荷を低減できる。かつ、底刃外周部第1逃げ面の逃げ角が、外周刃第1逃げ面の逃げ角よりも大きいだけでなく、底刃外周部第1逃げ面の幅も、外周刃第1逃げ面の幅よりも大きくすることで、外周刃の刃先強度を高めるだけでなく、底刃外周部のすかし角を3°以下に抑えたにもかかわらず、底刃の切削抵抗を過大とさせることなく、エンドミル先端付近の十分な剛性も確保しながら、外周刃先端付近における底刃から外周刃に向かって作用する負荷を低減させることが可能となり、外周刃先端付近において発生していたチッピングや大きな欠けを効果的に抑制することができる。
(2)(1)のエンドミルにおいて、前記切刃部は、CBN焼結体からなる構成としてもよい。
(3)(1)または(2)のエンドミルにおいて、前記底刃外周部と前記外周刃は、コーナーR刃を介して接続され、前記エンドミルの側面視において、前記コーナーR刃に隣接するコーナーR刃第1逃げ面の幅は、前記コーナーR刃の先端側から後端側に向かって漸次減少しており、前記コーナーR刃第1逃げ面の逃げ角も、底刃側から外周刃側に向かって漸次減少している構成としてもよい。
(4)(1)から(3)のいずれか1つに記載のエンドミルにおいて、前記第1切刃の第1逃げ面の幅と前記第2切刃の第1逃げ面の幅との比は、3以上20以下の範囲内にある構成としてもよい。
(5)(1)から(4)のいずれか1つに記載のエンドミルにおいて、前記第1切刃の第1逃げ面の逃げ角と前記第2切刃の第1逃げ面の逃げ角の差は、4°以上である構成としてもよい。
(6)(5)のエンドミルにおいて、前記第1切刃の第1逃げ面の逃げ角は、15°以下であり、前記第2切刃の第1逃げ面の逃げ角は、5°以下である構成としてもよい。
本発明の一態様によれば、外周刃先端付近のチッピングまたは欠損が抑制された長寿命のエンドミルが提供される。
図1は、実施形態のエンドミルの全体を示す側面図である。 図2は、実施形態のエンドミルの切刃部を拡大して示す斜視図である。 図3は、切刃部のコーナー部分を拡大して示す斜視図である。 図4は、切刃を工具回転方向Tの前方側から見た概略図である。 図5は、エンドミルの先端面を回転軸の延在方向から見た(先端面視の)先端面図である。 図6は、外周刃第1逃げ面を回転軸の延在方向に直交する方向から見た(側面視の)側面図である。 図7は、実施例の切削評価の加工方法を示す概略図である。
図1は、本実施形態のエンドミルの全体を示す側面図である。図2は、本実施形態のエンドミル1の切刃部3を拡大して示す斜視図である。図3は、切刃部3のコーナー部分を拡大して示す斜視図である。
本実施形態のエンドミル1は、工具径Dが2mm、コーナーR半径が0.02mm、首下長Lが6mmのロングネックラジアスエンドミルである。エンドミル1は、中心軸Oに沿って延びるシャンク2と、シャンク2の先端に固定される切刃部3とを備える。エンドミル1は、中心軸O周りに回転されて使用される。したがって、中心軸Oは、エンドミル1の回転中心軸である。
本実施形態の説明では、エンドミル1の中心軸Oの延びる方向、すなわち中心軸Oに沿う方向を、軸方向と呼ぶ。軸方向のうち、切刃部3からシャンク2へ向かう方向を、後端側と呼ぶ。後端側は、図1における右側である。軸方向のうち、シャンク2から切刃部3へ向かう方向を、先端側と呼ぶ。先端側は、図1における左側である。中心軸Oに直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、中心軸Oに近づく向きを径方向の内側と呼び、中心軸Oから離れる向きを径方向の外側または外周側と呼ぶ。中心軸O回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。周方向のうち、切削加工時にエンドミル1が回転させられる向きを工具回転方向T(図2参照)と呼び、これとは反対の回転方向を、工具回転方向Tとは反対方向または反工具回転方向と呼ぶ。
シャンク2は、工作機械の主軸に取り付けられるシャンク本体部2aと、シャンク本体部2aから中心軸Oに沿って先端側へ延びる首部2bとを有する。シャンク本体部2aは、後端側が中心軸Oに沿って延びる円柱状であり、先端側が首部2bに向かって先細りのテーパー状である。首部2bは、シャンク本体部2aのテーパー状部分の先端から先端側へ延びる。首部2bはシャンク本体部2aよりも小径の円柱状である。切刃部3は、シャンク2の首部2bの先端に固定される。
切刃部3は、本実施形態では、CBN焼結体である。切刃部3は、全体が超硬合金からなる構成としてもよい。切刃部3を超硬合金製とする場合には、単一の超硬合金部材にシャンク2と切刃部3とが設けられる構成としてもよい。
切刃部3は、2枚の切刃10を有する。切刃部3は、中心軸Oを対称軸とする180°回転対称形状である。2枚の切刃10は、中心軸Oを中心とする180°回転対称に配置される。2枚の切刃10はそれぞれ、底刃11と、底刃逃げ面12と、外周刃13と、外周刃逃げ面14と、コーナーR刃15と、コーナーR刃第1逃げ面16と、すくい面17と、ネガランド18と、を備える。
底刃11は、エンドミル1の軸方向の先端部(先端面)に位置する。図4は、切刃10を工具回転方向Tの前方側から見た概略図である。図4に示すように、中心軸Oと底刃11の外周端Aとを含む基準面を正面に見て、底刃11は、底刃11の外周端Aから径方向内側に向かうに従い、中心軸Oに直交する平面Cに対し、3°以下の傾斜角(すかし角)で軸方向後端側へ向かって延びる底刃外周部11aを有する。本発明において、底刃11のうち外周端Aを含む少なくとも底刃外周部11aのすかし角αが3°以下であればよい。即ち、底刃11全体のすかし角が3°以下であってもよいし、底刃外周部11aのすかし角が3°以下で、底刃外周部11aより中心軸側の部分である底刃内周部のすかし角が3°より大きくてもよい。すかし角αは0°を超えて3°以下の角度である。本実施形態の場合、底刃外周部11aのすかし角αは1°、底刃外周部11aの径方向内側の端部から、更に径方向内側に向かって延在する底刃内周部11bのすかし角βは6°である。
本発明において、底刃11と外周刃13との間にコーナーR刃15があっても、なくてもよい。本実施形態のエンドミル1においては、コーナーR刃15があり、底刃11の外周端Aは、コーナーR刃15の一端と繋がる。すなわち底刃外周部11aの外周端Aは、コーナーR刃15の一端と繋がる。本実施形態の場合、底刃外周部11aの径方向長さは0.25mm(0.125D)であり、底刃内周部11bの径方向長さは、0.75mm(0.375D)である。
底刃内周部11bの傾斜角βは、底刃外周部11aの傾斜角αよりも大きい角度であれば限定されないが、傾斜角βと傾斜角αとの差が3°以上あることが好ましい。すなわち、傾斜角βは、3°を超える角度であることが好ましい。傾斜角βと傾斜角αとの差は、4°以上、あるいは5°以上がより好ましい。本実施形態では、底刃内周部11bの傾斜角βは、6°である。
図3および図5に示すように、切刃10の逃げ面のうち、底刃11に沿うとともに、底刃11の工具回転方向Tとは反対方向に延在する部分は、底刃逃げ面12である。底刃逃げ面12は、切刃部3の先端面に位置する。底刃逃げ面12は、底刃外周部11aに隣接する底刃外周部第1逃げ面12aと、底刃内周部11bに隣接する底刃内周部第1逃げ面12bとを有する。尚、本明細書において、切刃の回転方向後方にて切刃に隣接する逃げ面を「第1逃げ面」、第1逃げ面と回転方向後方にて隣接する逃げ面を「第2逃げ面」と名付ける。
底刃逃げ面12は、底刃11から工具回転方向Tとは反対方向に向かうにしたがい後端側に向けて延びる。これにより底刃逃げ面12には、逃げ角が付与される。本実施形態の場合、底刃外周部第1逃げ面12aの逃げ角γおよび底刃内周部第1逃げ面12bの逃げ角は、いずれも10°である。
図5は、エンドミルの先端面を回転軸の延在方向から見た(先端面視の)先端面図である。図5に図示するように、本明細書において、底刃外周部第1逃げ面12aの幅W1は、先端面視において、底刃11の延在方向に直交する方向における底刃外周部第1逃げ面12aの最大長さを意味する。本実施形態において、底刃外周部第1逃げ面12aの幅W1は、0.12Dである。
外周刃13は、切刃10の径方向の外端部に位置する。外周刃13は、軸方向に沿って延び、コーナーR刃15の後端側の端部(接続点B)と繋がる。外周刃13の軸方向長さは、本実施形態では0.5mmである。エンドミル1を中心軸O回りに回転させたときの外周刃13の回転軌跡は、中心軸Oを中心とする円筒状である。
切刃10の逃げ面のうち、外周刃13に沿うとともに、外周刃13の回転方向後方に延在する部分が外周刃逃げ面14である。外周刃逃げ面14は、切刃部3の外周面に配置される。外周刃逃げ面14は、外周刃13から工具回転方向Tとは反対方向に向かうに従い径方向の内側に向けて延びる。これにより外周刃逃げ面14には、逃げ角が付与される。
本実施形態では、外周刃逃げ面14は、外周刃13に隣接する微小幅の外周刃第1逃げ面14aと、外周刃第1逃げ面14aの工具回転方向T後方側に隣接する幅広の外周刃第2逃げ面14bとからなる。本実施形態では、外周刃第1逃げ面14aの逃げ角εは、4°である。外周刃第2逃げ面14bの逃げ角は、外周刃第1逃げ面14aの逃げ角εよりも大きい。本実施形態では、外周刃第2逃げ面14bの逃げ角は14°である。
図6は、エンドミルの外周刃第1逃げ面14aを、中心軸の延在方向に直交する方向から見た(側面視の)側面図である。図6に図示するように、本明細書において、外周刃第1逃げ面14aの幅W2は、側面視において、外周刃13の延在方向に直交する方向の外周刃第1逃げ面14aの最大長さを意味する。
本実施形態では、図3に示すように、外周刃第1逃げ面14aの先端側部分14cが、先端側に向かって徐々に幅が狭くなる形状であるが、外周刃13に隣接する外周刃第1逃げ面14aは、外周刃13の全域にわたって所定の幅を有する。すなわち、外周刃第1逃げ面14aは、外周刃13とコーナーR刃15との接続点Bにおいても、所定の幅を有する逃げ面として形成される。本実施形態では、外周刃第1逃げ面14aの幅W2は、0.01D、外周刃第1逃げ面14aと回転方向後方側にて隣接する外周刃第2逃げ面14bの幅は、0.15Dである。
本発明において、底刃外周部第1逃げ面12aの逃げ角γが、外周刃第1逃げ面14aの逃げ角εよりも大きく、かつ底刃外周部第1逃げ面12aの幅W1が、外周刃第1逃げ面14aの幅W2よりも大きくなっていれば、底刃外周部第1逃げ面12aの逃げ角γおよび逃げ面の幅W1は、底刃に沿って一定であっても、変化していてもよく、また、外周刃第1逃げ面14aの逃げ角εおよび幅W2は、外周刃13に沿って一定であっても、変化していてもよい。
コーナーR刃15は、底刃外周部11aの径方向の外周端Aと、外周刃13の先端(接続点B)とを接続し、切刃部3の先端外周側へ凸となる円弧状に形成されている。エンドミル1を中心軸O回りに回転させると、一対のコーナーR刃15の回転軌跡は、ほぼ1/4円弧状を成す。本実施形態では、コーナーR刃の半径は、0.02mmである。
コーナーR刃15の工具回転方向Tと反対側には、コーナーR刃第1逃げ面16が隣接配置されている。コーナーR刃第1逃げ面16は、切刃部3の先端外周側へ向けて凸となる曲面状を成し、径方向外側かつ先端側を向いて形成されている。コーナーR刃第1逃げ面16は、コーナーR刃15から工具回転方向Tとは反対側へ向かうに従い径方向内側かつ後端側へ向かうように傾斜していて、逃げ角が付与されている。図6に図示するように、径方向の側面視において、コーナーR刃第1逃げ面16の幅は、先端側から後端側に向かって漸次変化(減少)している。また、コーナーR刃第1逃げ面16の逃げ角も、底刃11側から外周刃13側に向かって漸次変化(減少)している。このようにすることで、底刃外周部11aと外周刃13とが、それぞれの第1逃げ面の逃げ角も幅も異なっている本発明において、両切刃間における切削抵抗の急激な変化を緩和することができ、底刃11の先端部におけるチッピングや欠けをより抑制することができる。
ネガランド18は、すくい面17の周縁部に沿って形成される。ネガランド18は、工具回転方向T前方側から見てL形に形成される。ネガランド18は、L形の切刃10の全域に沿って配置される。ネガランド18は、すくい面17の周縁に向かうに従って、工具回転方向T後方側に位置する傾斜面である。底刃11、外周刃13、およびコーナーR刃15は、ネガランド18によって負のすくい角を与えられる。底刃11、外周刃13およびコーナーR刃15のすくい角は、本実施形態の場合、-30°である。
以上に説明した本実施形態のエンドミル1は、底刃11の外周端Aから径方向内側に向かって延在する底刃外周部11aのすかし角αが3°以下であり、かつ底刃外周部11aに隣接する底刃外周部第1逃げ面12aの逃げ角γおよび幅W1が、外周刃13に隣接する外周刃第1逃げ面14aの逃げ角εおよび幅W2よりも、それぞれ大きい。この作用効果について以下に説明する。
比較例としての図4に二点鎖線で示す仮想底刃11vは、底刃11の外周端Aを含む底刃外周部のすかし角αが6°である。底刃外周部11aのすかし角が1°の本実施形態の底刃11を用いる切削加工と、底刃外周部のすかし角が6°の仮想底刃11vを用いる切削加工とでは、底刃の切削抵抗の向きが互いに異なる。すなわち、すかし角(傾斜角α)が小さい底刃外周部11aの切削抵抗の向きd1は、すかし角が大きい仮想底刃11vの切削抵抗の向きd2よりも軸方向と平行な向きに近づく。これにより、エンドミル1では、外周刃先端付近において、底刃11から外周刃13に向かって作用する負荷が低減される。
更に、本発明は、底刃外周部第1逃げ面12aの逃げ角γが、外周刃第1逃げ面14aの逃げ角εよりも大きいだけでなく、底刃外周部第1逃げ面12aの幅W1も、外周刃第1逃げ面14aの幅W2よりも大きくすることで、外周刃の刃先強度を高めるだけでなく、底刃外周部のすかし角を3°以下に抑えたにもかかわらず、底刃の切削抵抗を過大とさせることなく、エンドミル先端付近の十分な剛性も確保しながら、外周刃先端付近における底刃11から外周刃13に向かって作用する負荷を低減させることが可能となり、外周刃先端付近において発生していたチッピングや大きな欠けを効果的に抑制することができる。
特に、切刃部3の母材として、耐欠損性に劣るCBN焼結体を用いた場合や、コーナーR半径が0.1mm以下とした場合には、その課題が特に顕著であり、外周刃や底刃の逃げ角を小さくして、切刃の刃物角を大きくしたとしても、外周刃先端付近において、軸方向に工具径の20%近くに及ぶサイズの大きな欠けが発生することがあった。しかしながら、上記のような本発明の構成とすることで、切刃部3の母材として、耐欠損性に劣るに優れるCBN焼結体を用いた場合であっても、コーナーR半径が0.1mm以下とした場合であっても、外周刃先端付近における欠けやチッピングを十分に抑制することができる。
上記実施形態では、各部の寸法を具体的に例示して説明したが、エンドミル1において各部の寸法は、機能を損なわない範囲で変更可能である。
底刃外周部11aの長さは、上記実施形態では0.25mm(0.125D)としたが、底刃外周部11aの長さは、工具径Dが1mm以上である場合に、0.05D以上であることが好ましい。0.1D以上であることがより好ましい。底刃外周部11aの長さは、0.8D以下が好ましく、0.5D以下がより好ましい。底刃外周部11aが長すぎると底刃11の切削抵抗が増大する。底刃外周部11aが短すぎると切削抵抗の向きを軸方向側に近づける作用が小さくなり、外周刃13の先端付近の欠けを抑制する効果が少なくなる。
工具径Dが1mm未満のエンドミル1では、底刃11をすかし角が異なる2つの切刃に加工するのが困難になる。そこで、工具径Dが1mm未満のエンドミル1においては、底刃11全体のすかし角を3°以下としてもよい。すなわち、底刃11全体が底刃外周部11aと同じ3°以下のすかし角である構成としてもよい。
底刃外周部11aの底刃外周部第1逃げ面12aの逃げ角γと、外周刃第1逃げ面14aの逃げ角εは、それらの差が4°以上となる角度であることが好ましく、5°以上であることがより好ましい。上記実施形態では、上記逃げ角の角度差γ-εは6°である。底刃外周部第1逃げ面12aの逃げ角γは15°以下の範囲内であることが好ましく、外周刃第1逃げ面14aの逃げ角εは5°以下の範囲内であることが好ましい。
底刃外周部11aの底刃外周部第1逃げ面12aの幅(W1)と、外周刃第1逃げ面14aの幅(W2)との比(W1/W2)は、3以上20以下の範囲内であることが好ましい。比(W1/W2)の下限値は、好ましくは5以上、より好ましくは8以上である。比(W1/W2)の上限値は、好ましくは18以下、より好ましくは15以下である。
底刃外周部11aの底刃外周部第1逃げ面12aの幅(W1)は、工具径Dに対して、0.11D以上0.19D以下の範囲内であることが好ましい。幅(W1)は、0.12D以上、あるいは0.13D以上がより好ましい。幅(W1)は、0.18D以下、あるいは0.17D以下がより好ましい。工具径Dが2mmの上記実施形態では、幅(W1)は、0.22mm以上0.38mm以下の範囲内であることが好ましい。
外周刃第1逃げ面14aの幅(W2)は、工具径Dに対して、0.01D以上0.04D以下の範囲内であることが好ましい。幅(W2)は、0.15D以上、あるいは0.02D以上がより好ましい。幅(W2)は、0.035D以下、あるいは0.03D以下がより好ましい。工具径Dが2mmの上記実施形態では、幅(W2)は0.02mm以上0.08mm以下の範囲内であることが好ましい。
底刃内周部第1逃げ面12bの逃げ角は、15°以下の範囲内であることが好ましい。上記実施形態では、底刃外周部第1逃げ面12aの逃げ角γと底刃内周部第1逃げ面12bの逃げ角をいずれも10°としたが、底刃外周部第1逃げ面12aの逃げ角γと底刃内周部第1逃げ面12bの逃げ角は、互いに異なる角度であってもよい。
コーナーR刃15の半径(コーナーR半径)は、特に限定されない。エンドミルの工具径Dが3mm以下である場合に、コーナーR半径が0.1mm以下であると、外周刃先端付近における欠けが生じやすい。したがって、本実施形態の構成は、工具径Dが3mmで、コーナーR半径が0.1mm以下のラジアスエンドミル、あるいは、スクエアエンドミルに好適である。
底刃11、外周刃13およびコーナーR刃15のすくい角は、-50°以上-20°以下の範囲内であることが好ましい。上記すくい角は、-45°以上、あるいは-35°以上がより好ましい。上記すくい角は、-25°以下がより好ましい。底刃11のすくい角と外周刃13のすくい角とコーナーR刃15のすくい角は、互いに異なる角度であってもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし本発明はこの実施例に限定されない。
〔エンドミルの作製及び切削試験〕
実施例1として、前述した実施形態のエンドミルを作製した。諸元を以下に示す。
切刃部 :CBN、2枚刃
シャンク :超硬合金
工具径(刃径)D :2mm
コーナーR半径 :0.02mm
首下長 :6mm
底刃外周部 :すかし角1°
底刃外周部第1逃げ面:逃げ角10°、幅0.24mm
底刃内周部 :すかし角6°
底刃内周部第1逃げ面:逃げ角10°
外周刃 :ねじれ角0°
外周刃第1逃げ面 :逃げ角4°、幅0.02mm
外周刃第2逃げ面 :逃げ角14°、幅0.30mm
ネガランド :すくい角-30°
また、表1に記載したような比較例1~4のエンドミルを作製した。
比較例1のエンドミルは、従来の一般的なCBNラジアスエンドミルの例として、外周刃第1逃げ面の逃げ角を14°、底刃外周部第1逃げ面の逃げ角を10°、外周刃第1逃げ面の幅を0.16D、底刃外周部第1逃げ面の幅を0.12D、底刃外周部のすかし角を6°とした。その他の構成は、実施例1と同様である。
比較例2は、外周刃の刃物角を比較例1よりも大きくさせたエンドミルである。
比較例3は、外周刃と底刃外周部の双方の刃物角を比較例1よりも大きくしたエンドミルである。
比較例4は、外周刃と底刃外周部の双方の刃物角を比較例1よりも大きくさせ、更に、軸直角平面に対する底刃外周部の傾斜を比較例1よりも緩くさせたエンドミルである。
尚、上記にて説明した実施例1は、外周刃の刃物角だけを比較例1よりも大きくさせつつ、軸直角平面に対する底刃外周部の傾斜を比較例1よりも緩くさせ、底刃の逃げ角だけでなく逃げ面幅も、それぞれ外周刃よりも大きくさせた。
このように作製した実施例1、比較例1~4のラジアスエンドミルを、工作機械に装着して、切削評価を行なった。図7に切削評価時の加工方法の概略を示す。被削材Wの材料としてSTAVAX材、寸法は60×60×30(mm)を用いた。被削材Wに対して、1°勾配、隅Rなし、進入傾斜角0.5°の条件で、10mm×10mm×0.6mmの等高線ポケット加工を繰り返し行った。
所定時間の加工を行う毎に、エンドミルの切刃の状態を顕微鏡観察し、チッピングや欠けの有無、摩耗状態の確認を行った。
<切削条件>
被削材 :STAVAX(52HRC)
クーラント :ミストブロー
主軸の回転数(n) :24000回転/分(Vc=150m/分)
テーブル送り(Vf) :1200mm/分(fz=0.025mm/t)
軸方向切込み量(ap):0.005mm(一定)
径方向切込み幅(ae):0.2mm(一定)
Figure 2024039139000002
表1に示すように、比較例1のエンドミルは、4時間切削後に外周刃に大きな欠けが発生した。
比較例2は、外周刃第1逃げ面の逃げ角を比較例1よりも小さくさせることで、外周刃の刃物角を大きくさせた。しかしながら、外周刃に大きな欠けは発生しなかったものの、4時間切削後に外周刃にチッピングが発生した。
比較例3は、外周刃第1逃げ面の逃げ角だけでなく、底刃外周部逃げ面の逃げ角も、比較例1よりも小さくさせることで、外周刃および底刃外周部の双方の刃物角を大きくさせた。しかしながら、比較例3も比較例2と同様に、4時間切削後に外周刃にチッピングが発生した。このことから、底刃や外周刃といった切刃の刃物角を大きくさせる(刃先強度を向上させる)だけでは、外周刃先端付近のチッピングを十分には抑制できないことが分かった。
実施例1は、外周刃第1逃げ面の逃げ角を比較例1よりも小さくさせ、言い換えると、外周刃第1逃げ面の逃げ角を、底刃外周部第1逃げ面の逃げ角よりも小さくさせつつ、底刃の切削抵抗の向きと大きさに着目し、底刃の軸直角平面に対する傾斜角を比較例1よりも小さくさせつつ、底刃外周部第1逃げ面の幅についても、外周刃第1逃げ面の幅よりも大きくさせた。このような実施例1は、10時間切削することができ、比較例1と比べて寿命は2.5倍となった。また、比較例4は、実施例1をベースにしつつ、外周刃の刃物角だけでなく底刃の刃物角も大きくさせるべく、底刃外周部第1逃げ面の逃げ角γを、実施例1よりも小さくし、実施例1の外周刃第1逃げ面の逃げ角εと等しくさせた点のみ実施例1と異なる。しかしながら、比較例4は、4時間切削後、外周刃にチッピングが発生し寿命となった。このことから、底刃の切削抵抗の向きをより中心軸側へシフトさせて、外周刃先端付近における外周刃の負荷を低減させるだけでなく、底刃の切削抵抗の大きさも過大とさせないようにすることも重要であることが分かった。
1…エンドミル、2…シャンク、3…切刃部、10…切刃、11…底刃、11a…底刃外周部、12a…底刃外周部第1逃げ面、13…外周刃、14a…外周刃第1逃げ面、15…コーナーR刃、16…コーナーR刃第1逃げ面 A…底刃の外周端、B…外周刃の先端(接続点)、C…中心軸Oに直交する平面、D…工具径、W1…底刃外周部第1逃げ面の幅、W2…外周刃第1逃げ面の幅、α,β…傾斜角(すかし角)、O…中心軸

Claims (6)

  1. 中心軸回りに回転される切刃部およびシャンクを備えるエンドミルであって、
    前記切刃部の先端面に位置する底刃と、前記切刃部の外周面に位置する外周刃とを有し、
    前記底刃は、中心軸に直交する平面に対して3°以下の傾斜角で、前記底刃の外周端から径方向内側に向かうに従って前記シャンク側へ延びる底刃外周部を有し、
    前記底刃外周部に隣接する底刃外周部第1逃げ面の逃げ角は、前記外周刃に隣接する外周刃第1逃げ面の逃げ角よりも大きく、前記底刃外周部第1逃げ面の幅は、前記外周刃第1逃げ面の幅よりも大きい、
    エンドミル。
  2. 前記切刃部は、CBN焼結体からなる、
    請求項1に記載のエンドミル。
  3. 前記底刃外周部と前記外周刃は、コーナーR刃を介して接続され、
    前記エンドミルの側面視において、前記コーナーR刃に隣接するコーナーR刃第1逃げ面の幅は、前記コーナーR刃の先端側から後端側に向かって漸次減少しており、
    前記コーナーR刃第1逃げ面の逃げ角も、底刃側から外周刃側に向かって漸次減少している、
    請求項1または2に記載のエンドミル。
  4. 前記底刃外周部第1逃げ面の幅と前記外周刃第1逃げ面の幅との比は、3以上20以下の範囲内にある、
    請求項1または2に記載のエンドミル。
  5. 前記底刃外周部第1逃げ面の逃げ角と前記外周刃第1逃げ面の逃げ角の差は、4°以上である、
    請求項1または2に記載のエンドミル。
  6. 前記底刃外周部第1逃げ面の逃げ角は、15°以下であり、
    前記外周刃第1逃げ面の逃げ角は、5°以下である、
    請求項5に記載のエンドミル。
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