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JP2024095820A - エアロゾル発生装置及びそのための加熱チャンバ - Google Patents

エアロゾル発生装置及びそのための加熱チャンバ Download PDF

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JP2024095820A
JP2024095820A JP2024066042A JP2024066042A JP2024095820A JP 2024095820 A JP2024095820 A JP 2024095820A JP 2024066042 A JP2024066042 A JP 2024066042A JP 2024066042 A JP2024066042 A JP 2024066042A JP 2024095820 A JP2024095820 A JP 2024095820A
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Abstract

【課題】エネルギー効率が改善されるエアロゾル発生装置用の加熱チャンバが提供される。
【解決手段】加熱チャンバ108は、チャンバ側壁126及びチャンバ基部112を備える。チャンバ側壁126及びチャンバ基部112は共に、加熱チャンバ108の内部容積を規定する。ヒーター124は、チャンバ側壁126と熱係合した状態で設けられる。絶縁部材152は、絶縁側壁154及び絶縁基部156を備え、チャンバ基部112を含む、加熱チャンバ108の一部分が、絶縁部材152の内側で入れ子になるように構成されている。また、電源120と、外部ケーシングと、加熱チャンバ108と、及び電源120からヒーター124への電力の供給を制御するように構成されている制御回路122とを備えるエアロゾル発生装置100も開示されている。
【選択図】図4

Description

本開示は、エアロゾル発生装置及びそのための加熱チャンバ用の絶縁体に関する。本開示は特に、自己完結型且つ低温であり得る携帯型気化装置に適用可能である。そのような装置は、タバコ又は他の好適な材料を、燃やすよりはむしろ、伝導、対流、及び/又は放射によって加熱して吸入用の蒸気を発生することができる。
(気化器としても知られる)リスク低減装置又はリスク修正装置の人気と使用は、紙巻きタバコ、葉巻、シガリロ、及びローリングタバコなどの従来のタバコ製品の喫煙を辞めようと望む常習的喫煙者を支援するための手助けとして、ここ数年で急速に成長してきた。従来のタバコ製品においてタバコを燃やすのとは対照的に、エアロゾル化可能な物質を加熱又は温める様々な装置及びシステムが利用可能である。
一般に利用可能なリスク低減装置又はリスク修正装置は、加熱式基質エアロゾル発生装置又は加熱非燃焼式(heat-not-burn)装置である。このタイプの装置は、典型的には湿った葉タバコ又は他の好適なエアロゾル化可能な材料を含むエアロゾル基質を、典型的には150℃~300℃の範囲の温度に加熱することによってエアロゾル又は蒸気を発生する。エアロゾル基質を燃焼させる又は燃やすのではなく加熱することにより、ユーザが求める成分は含むが、燃焼及び燃やすことによる有毒で発癌性の副生成物は含まないエアロゾルが放出される。更には、タバコ又は他のエアロゾル化可能材料を加熱することによって生成されるエアロゾルは、典型的には、ユーザにとって嫌な燃焼及び燃やすことに起因する焦げた又は苦い味を含まず、したがって、煙及び/又は蒸気を、ユーザにとって、より口当たりの良いものにするために、基質は、そのような材料に典型的には添加される糖及び他の添加物を必要としない。
一般論として、エアロゾル基質からエアロゾルが放出され得る温度までエアロゾル基質を急速に加熱すること、及びその温度にエアロゾル基質を維持することが望ましい。エアロゾル基質を通過する空気流がある場合にのみ、エアロゾルがエアロゾル基質から放出されユーザに送達されることになることは明らかであろう。
このタイプのエアロゾル発生装置は携帯型装置であるので、エネルギー消費は重要な設計上の考慮事項である。本発明は、既存の装置に関する問題に対処すること、並びに改善されたエアロゾル発生装置及びそのための加熱チャンバを提供することを目的とする。
本開示の第1の態様によれば、エアロゾル発生装置用の加熱チャンバが提供され、加熱チャンバは、チャンバ側壁と;チャンバ基部であって、チャンバ側壁及びチャンバ基部は共に、加熱チャンバの内部容積を規定する、チャンバ基部と;チャンバ側壁と熱接触しているヒーターと;絶縁側壁及び絶縁基部を備える絶縁部材であって、チャンバ基部を含む、加熱チャンバの一部分が、絶縁部材の内側で入れ子になるように構成されている、絶縁部材と、を備える。
任意選択で、絶縁側壁は絶縁基部よりも低い熱伝導率を有する。
任意選択で、チャンバ基部は、絶縁基部に熱伝導係合している。
任意選択で、絶縁部材は、中空の内部と開放された上部とを有するカップ形状を備える。
任意選択で、絶縁側壁は、大気圧より低い圧力のガスを含有する絶縁側壁チャンバを備える。
任意選択で、絶縁側壁チャンバは真空を含む。
任意選択で、絶縁側壁は、1mm未満、好ましくは約0.3mmの厚さを有する。
任意選択で、絶縁基部は、大気圧より低い圧力のガスを含有する絶縁基部チャンバを備える。
任意選択で、絶縁基部チャンバは真空を含む。
任意選択で、絶縁基部は、1mm未満、好ましくは0.3mmの厚さを有する。
任意選択で、絶縁基部は可撓性部材であり、電気コネクタに対してフィードスルーを可能にしている。
任意選択で、可撓性部材はシリコーンで形成されている。
任意選択で、絶縁基部と絶縁側壁とが単一のカップ形状の空洞を規定している。
任意選択で、ヒーターは、電力を受け取るための電気接続部を備え、電気接続部は、絶縁基部を通って延びている。
任意選択で、ヒーターは、電力を受け取るための電気接続部を備え、電気接続部は、絶縁側壁の上部の周辺に延びている。
任意選択で、絶縁側壁の内面は、放射率を低減させるために処理されている。
任意選択で、絶縁部材は、以下のうちの1つ以上を備える:綿、エアロゲル、発泡体、繊維材料、及びガラス繊維。
任意選択で、ヒーターは側壁の周辺に延びているが、基部の周辺には延びていない。
本開示の第2の態様によれば、エアロゾル発生装置が提供され、エアロゾル発生装置は、電源と;外部ケーシングと;外部ケーシングの内側に位置する、上述した加熱チャンバと;電源からヒーターへの電力の供給を制御するように構成されている制御回路と、を備える。
任意選択で、エアロゾル発生装置は、絶縁側壁の外向きに面する表面と外部ケーシングとの間にあって絶縁部材を所定位置に保持する弾性変形可能部材を更に備える。
任意選択で、絶縁部材は、絶縁部材と外部ケーシングとの間を伸びる支柱によって支持される。
任意選択で、加熱チャンバは、加熱チャンバの開放端においてチャンバ側壁に係合するための外部ケーシング上の係合部分によってエアロゾル発生装置に固定されている。
任意選択で、加熱チャンバはエアロゾル発生装置から取り外し可能である。
本開示の第1の実施形態によるエアロゾル発生装置の概略斜視図である。 図1のエアロゾル発生装置の側面からの概略断面図である。 図2に示す線X-Xに沿った、図1のエアロゾル発生装置の上部からの概略断面図である。 エアロゾル発生装置にエアロゾル基質の基質担体が装填されつつある、図1のエアロゾル発生装置の概略斜視図である。 エアロゾル発生装置にエアロゾル基質の基質担体が装填されつつある、図1のエアロゾル発生装置の側面からの概略断面図である。 エアロゾル発生装置にエアロゾル基質の基質担体が装填されている、図1のエアロゾル発生装置の概略斜視図ある。 エアロゾル発生装置にエアロゾル基質の基質担体が装填されている、図1のエアロゾル発生装置の側面からの概略断面図である。 基質担体と加熱チャンバ内の突出部との間の相互作用、及び空気流路への対応する影響を強調している、図6の一部の詳細な断面図である。 加熱チャンバから分離されたヒーターの平面図である。 代替の空気流配置を有する、本開示の第2の実施形態によるエアロゾル発生装置の側面からの概略断面図である。 チャンバ側壁がチャンバ基部と共に加熱チャンバを形成していることを示し、加熱チャンバは、一体構造の絶縁部材を形成する絶縁側壁と絶縁基部とによって取り囲まれている。 チャンバ側壁がチャンバ基部と共に加熱チャンバを形成していることを示し、加熱チャンバは、絶縁部材を形成する絶縁側壁と絶縁基部とによって取り囲まれ、絶縁側壁及び絶縁基部は別個の要素である。 チャンバ側壁がチャンバ基部と共に加熱チャンバを形成していることを示し、加熱チャンバは、絶縁部材を形成する絶縁側壁と絶縁基部とによって取り囲まれ、加熱チャンバは、絶縁基部に熱伝導係合している。 チャンバ側壁がチャンバ基部と共に加熱チャンバを形成していることを示し、加熱チャンバは、絶縁部材を形成する絶縁側壁と絶縁基部とによって取り囲まれ、加熱チャンバは、絶縁基部の上に載っている。 チャンバ側壁がチャンバ基部と共に加熱チャンバを形成していることを示し、加熱チャンバは、絶縁部材を形成する絶縁側壁と絶縁基部とによって取り囲まれ、絶縁基部は可撓性であって、ヒータートラックが絶縁基部の周辺に嵌まることが可能である。 チャンバ側壁がチャンバ基部と共に加熱チャンバを形成していることを示し、加熱チャンバは、絶縁部材を形成する絶縁側壁と絶縁基部とによって取り囲まれ、絶縁基部は空隙を含み、そこを加熱要素の電気接続部が通っている。 チャンバ側壁がチャンバ基部と共に加熱チャンバを形成していることを示し、加熱チャンバは、絶縁部材を形成する絶縁側壁と絶縁基部とによって取り囲まれ、加熱チャンバは電気接続部を有するヒーターを備え、電気接続部は絶縁部材の上部の周辺に延びている。
第1の実施形態
図1及び図2を参照すると、本開示の第1の実施形態によれば、エアロゾル発生装置100は、エアロゾル発生装置100の様々な構成要素を収容する外部ケーシング102を備える。第1の実施形態では、外部ケーシング102は管状である。より具体的には、外
部ケーシングは円筒形である。外部ケーシング102は、管状又は円筒状の形状を有する必要はないが、本明細書で述べる様々な実施形態に記載される構成要素に嵌まるようにサイズ決めされている限り、任意の形状であり得ることに留意されたい。外部ケーシング102は、任意の好適な材料、又は実際には材料の(複数の)層で形成することができる。例えば、金属の内層をプラスチックの外層で取り囲むことができる。これにより、外部ケーシング102は、ユーザが快適に保持できるようになる。エアロゾル発生装置100から漏れるいかなる熱も、金属層によって外部ケーシング102の周囲に分配されるので、ホットスポットが防止される一方で、プラスチックの層は、外部ケーシング102の感触を和らげる。加えて、プラスチック層は、金属層を変色又は引っ掻き傷から保護することを手助けできるので、エアロゾル発生装置100の長期的な外観を改善する。
図1~図6のそれぞれの下の方に示すエアロゾル発生装置100の第1の端部104は、便宜上、エアロゾル発生装置100の底部、基部、又は下側端部として記載されている。図1~図6のそれぞれの上の方に示すエアロゾル発生装置100の第2の端部106は、エアロゾル発生装置100の上端部又は上側端部として記載されている。第1の実施形態では、第1の端部104は、外部ケーシング102の下側端部である。使用中、ユーザは、典型的には、エアロゾル発生装置100を、第1の端部104を下向きに及び/又はユーザの口に対して遠位位置に、第2の端部106を上向きに及び/又はユーザの口に対して近接位置に向ける。
図示するように、エアロゾル発生装置100は、一対のワッシャ107a、107bを、外部ケーシング102の内部部分との締まり嵌めによって、第2の端部106の所定位置に保持している(図1、図3、及び図5では、上側ワッシャ107aだけが見える)。いくつかの実施形態では、外部ケーシング102は、エアロゾル発生装置100の第2の端部106において、上側のワッシャ107aの周囲でひだが形成されるか曲げられて、ワッシャ107a、107bを所定位置に保持する。ワッシャ107bのうちの他方の1つ(すなわち、エアロゾル発生装置100の第2の端部106から最も遠いワッシャ)は、外部ケーシング102の肩又は環状隆起部109上で支持され、それにより、下側ワッシャ107bが、エアロゾル発生装置100の第2の端部106から所定の距離を超えて着座することを防止する。ワッシャ107a、107bは、断熱材料から形成されている。本実施形態では、断熱材料は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であって、医療用装置での使用に好適である。
エアロゾル発生装置100は、エアロゾル発生装置100の第2の端部106の方に位置する加熱チャンバ108を有する。加熱チャンバ108は、エアロゾル発生装置100の第2の端部106に向かって開放されている。換言すれば、加熱チャンバ108は、エアロゾル発生装置100の第2の端部106の方に第1の開放端110を有する。加熱チャンバ108は、ワッシャ107a、107bの中央開口部を通して嵌めることにより、外部ケーシング102の内部表面から間隔を空けて保持される。この構成では、加熱チャンバ108は、外部ケーシング102と概ね同軸の構成で保持される。加熱チャンバ108は、加熱チャンバ108の開放端110に位置し一対のワッシャ107a、107bの間に把持されている、加熱チャンバ108のフランジ138によって吊り下げられている。このことは、加熱チャンバ108から外部ケーシング102への熱伝導は、一般にワッシャ107a、107bを通過し、それにより、ワッシャ107a、107bの断熱特性によって制限されることを意味する。それ以外の場所では、加熱チャンバ108を取り囲むエアギャップがあるので、ワッシャ107a、107bを介する以外の、加熱チャンバ108から外部ケーシング102への熱伝達もまた低減される。図示した実施形態では、フランジ138は、加熱チャンバ108の側壁126から約1mmの距離だけ外向きに延び、環状構造体を形成している。
加熱チャンバ108の断熱性を更に高めるために、加熱チャンバ108も絶縁体で取り囲まれている。いくつかの実施形態では、絶縁体は、繊維状材料又は発泡材料、例えば脱脂綿である。図示した実施形態では、絶縁体は、二重壁管154及び基部156を備える絶縁カップの形態の絶縁部材152を備える。いくつかの実施形態では、絶縁部材152は、間に空洞を囲む、一対の入れ子になったカップを備えてもよい。二重壁管154の壁の間に規定された空洞158は、断熱材料、例えば、繊維、発泡体、ゲル、又は(例えば、低圧の)ガスで充填することができる。場合によっては、空洞158は真空を含んでもよい。有利なことに、真空は、高い断熱性を実現するのに必要な厚さは非常に薄く、空洞158を囲む二重壁管154の壁は、僅か100μmの厚さとすることができ、総厚さ(2つの壁及びそれらの間の空洞158)は、僅か1mmにすることができる。基部156はシリコーンなどの絶縁材料である。シリコーンは柔軟なので、ヒーター124の電気接続部150は、電気接続部150の周囲に封止を形成する基部156を通過することができる。
図1~図6に示すように、エアロゾル発生装置100は、上で詳述したように、外部ケーシング102、加熱チャンバ108、及び絶縁部材152を含んでもよい。図1~図6は、絶縁側壁154の外向きに面する表面と外部ケーシング102の内部表面との間に位置して絶縁部材152を所定位置に保持する、弾性変形可能部材160を示す。弾性変形可能部材160は、絶縁部材152を所定位置に維持するために、締まり嵌めを形成するのに十分な摩擦を提供することができる。弾性変形可能部材160は、絶縁側壁154の外向きに面する表面及び外部ケーシング102の内部表面に適合する、ガスケット若しくはOリング、又は他の材料の閉ループであってもよい。弾性変形可能部材160は、シリコーンなどの断熱材料で形成されていてもよい。これにより、絶縁部材152と外部ケーシング102との間に更なる絶縁体が提供され得る。したがって、これにより、外部ケーシング102に伝達される熱は低減されるので、使用時、ユーザは外部ケーシング102を快適に保持することができる。弾性変形可能材料は、圧縮及び変形することが可能であるが、その元の形状に跳ね返る、例えば弾性材料又はゴム材料である。
この構成の代替として、絶縁部材152は、絶縁部材152と外部ケーシング102との間を伸びる支柱によって支持されてもよい。支柱は、加熱チャンバ108が外部ケーシング102内の中央に位置するように、又は加熱チャンバが設定場所に位置するように、剛性を確実に増加させてもよい。支柱は、熱が外部ケーシング102全体に均等に分配されて、ホットスポットが生じないように設計することができる。
なお更なる代替形態として、加熱チャンバ108は、加熱チャンバ108の開放端110において側壁126と係合するための外部ケーシング102上の係合部分によって、エアロゾル発生装置100内に固定されてもよい。開放端110は、最も多くの冷気の流れに曝露され、したがって最も速く冷却されるので、加熱チャンバ108を開放端110の近くの外部ケーシング102に取り付けることにより、熱が環境に迅速に放散されること、及び堅固な嵌合を確保することが可能になる。
いくつかの実施形態では、加熱チャンバ108はエアロゾル発生装置100から取り外し可能であることに留意されたい。したがって、加熱チャンバ108を、容易にクリーニング又は交換することができる。そのような実施形態では、ヒーター124及び電気接続部150は、取り外し可能でなくてもよく、絶縁部材152中にその場に残されたままであってもよい。
第1の実施形態では、加熱チャンバ108の基部112は閉じられている。すなわち、加熱チャンバ108はカップ形状である。他の実施形態では、加熱チャンバ108の基部112は、1つ以上の穴を有するか、又は穿孔されており、加熱チャンバ108は、ほぼ
カップ形状のままであるが、基部112では閉じられていない。更に他の実施形態では、基部112は閉じられているが、側壁126は、基部112に隣接する領域、例えば、ヒーター124(又は金属層144)とケース112との間に1つ以上の穴を有するか、又は穿孔されている。加熱チャンバ108はまた、基部112と開放端110との間に側壁126を有する。側壁126と基部112とは、互いに接続されている。第1の実施形態では、側壁126は管状である。より具体的には、側壁は円筒形である。しかしながら、他の実施形態では、側壁126は、楕円形又は多角形の断面を有する管などの他の好適な形状を有する。通常、断面は、加熱チャンバ108の長さにわたって概ね均一である(突出部140を考慮せずに)が、他の実施形態では、断面が変化する場合があり、例えば、管状形状が先細りになるか又は円錐台形になるように、断面が一端に向かってサイズが低減する場合がある。
図示した実施形態では、加熱チャンバ108は単一であり、すなわち、側壁126及び基部112は、単一の材料片から、例えば深絞りプロセスによって形成されている。この結果、加熱チャンバ108全体を、より強化することができる。他の例では、基部112及び/又はフランジ138は別個の部品として形成され、次いで側壁126に取り付けられてもよい。この結果、フランジ138及び/又は基部112は、側壁126が作製される材料とは異なる材料から形成されることが可能になり得る。側壁自体126は、薄壁になるように構成されている。いくつかの実施形態では、側壁は最大で150μmの厚さである。典型的には、側壁126は、100μm未満の厚さ、例えば、約90μmの厚さ、又は更には約80μmの厚さである。場合によっては、側壁126は約50μmの厚さであってもよいが、厚さが減少するにつれて、製造プロセスにおける破損率は増加する。全体として、50μm~100μmの範囲が通常は適切であり、70μm~90μmの範囲が最適である。製造公差は約±10μmであるが、提供されるパラメータは約±5μmの精度であることを意図している。
側壁126が上で規定したように薄い場合、加熱チャンバ108の熱特性は著しく変化する。側壁126は非常に薄いので、側壁126を通る熱伝達が受ける抵抗は無視できるほどであるが、側壁126に沿った(すなわち、中心軸に平行な、又は側壁126の円周の周囲の)熱伝達は、それに沿って伝導が生じ得る小さなチャネルを有するので、加熱チャンバ108の外面に位置するヒーター124によって生成される熱は、開放端において側壁126から半径方向外向きの方向にヒーター124の近くで局所化されたままであるが、直ぐに、加熱チャンバ108の内部表面の加熱をもたらす。加えて、薄い側壁126は、加熱チャンバ108の熱質量を低減させるのに役立ち、その結果、エアロゾル発生装置100の全体的な効率が改善される。なぜなら、側壁126の加熱に使用されるエネルギーはより少ないからである。
加熱チャンバ108、具体的には加熱チャンバ108の側壁126は、50W/mK以下の熱伝導率を有する材料を含む。第1の実施形態では、加熱チャンバ108は金属、好ましくはステンレス鋼である。ステンレス鋼は約15W/mK~40W/mKの熱伝導率を有し、厳密な値は具体的な合金によって異なる。更なる例として、この用途に適した300シリーズのステンレス鋼は、約16W/mKの熱伝導率を有する。好適な例は、304、316、及び321ステンレス鋼を含み、これは、医療用途で承認されており、強度が高く、本明細書で説明する熱の局所化を可能にするように熱伝導率は十分に低い。
記載されているレベルの熱伝導率を有する材料は、より高い熱伝導率を有する材料と比較して、熱を加えた領域から、熱が伝導して去る能力を低下させる。例えば、熱はヒーター124に隣接して局所化されたままである。熱がエアロゾル発生装置100の他の部分に移動することが抑制されるので、それにより、加熱されることが意図されているエアロゾル発生装置100の部分のみが実際に加熱され、加熱されることが意図されていない部
分は加熱されないことを確実にすることによって、加熱効率は改善される。
金属は、強度が高く、可鍛性があり、成形及び形成が容易なので、好適な材料である。加えて、それらの熱特性は金属ごとに大きく異なり、必要に応じて慎重に合金化することで調整できる。本出願では、「金属」は、元素(すなわち、純粋な)金属、並びにいくつかの金属又は他の元素、例えば炭素、の合金を指す。
それに応じて、薄い側壁126を有する加熱チャンバ108の構成は、側壁126が形成される、望ましい熱特性を有する材料の選択と共に、熱が側壁126を通ってエアロゾル基質128中へと効率的に伝導され得ることを確実にする。有利には、これはまた、ヒーターの初期的な作動に続いて、温度を、周囲温度から、エアロゾルがエアロゾル基質128から放出され得る温度へと上昇させるのに要する時間が低減されるという結果をもたらす。
加熱チャンバ108は、深絞りによって形成される。これは、加熱チャンバ108を形成する効果的な方法であり、非常に薄い側壁126を設けるために使用することができる。深絞りプロセスは金属薄板ブランクをパンチツールで加圧成形して成形ダイの中へと押し込む。一連の徐々に小さくなるパンチツールとダイを使用することにより管状構造が形成され、管状構造は一端に基部を有し、管を有し、管は、管を横切る距離よりも深い(幅よりも相対的に大きい長さを有する管から、「深絞り」という用語になっている)。このように形成されていることに起因して、この方法で形成された管の側壁は、元の金属薄板と同じ厚さである。同様に、この方法で形成された基部は、最初の金属薄板ブランクと同じ厚さである。フランジは、管状壁の基部とは反対側の端部において外向きに延びる、元の金属薄板ブランクの周縁部を残すことによって(すなわち、管及び基部を形成するのに必要な量よりも多くの材料をブランクに含めて開始して)、管の端部に形成できる。代替として、フランジは後で、切断、曲げ、圧延、延伸(swaging)などのうちの1つ以上を含む別個の工程で形成できる。
記載したように、第1の実施形態の管状側壁126は、基部112よりも薄い。これは、最初に管状側壁126を深絞りし、続いて壁にしごき加工(ironing)することによって実現できる。しごき加工は、管状側壁126を加熱し、それを絞ることを指し、その結果、管状側壁は、このプロセスで薄くなる。このようにして、管状の側壁126を、本明細書に記載される寸法に作製することができる。
薄い側壁126は脆弱な可能性がある。これは、側壁126に追加の構造的支持を設けることによって、及び側壁126を管状形状に、好ましくは円筒形状に形成することによって軽減され得る。場合によっては、追加の構造的支持が別個の特徴として提供されるが、フランジ138及び基部112も、一定程度の構造的支持を提供することに留意されたい。最初に基部112を考慮すると、両端が開口している管は一般につぶれやすいが、本開示の加熱チャンバ108に基部112を設けることは支持を追加することに留意されたい。図示した実施形態では、基部112は側壁126よりも厚く、例えば、側壁126の2倍~10倍の厚さであることに留意されたい。場合によっては、この結果、200μm~500μmの厚さ、例えば約400μmの厚さの基部112が得られる場合がある。基部112はまた、基質担体114がエアロゾル発生装置100の中に過度に挿入されることを防止するという更なる目的を有する。基部112の厚さを増加させることは、ユーザが基質担体114を挿入する場合に不注意で力を入れ過ぎた場合に、加熱チャンバ108に損傷が生じることを防止するのに役立つ。同様に、ユーザが加熱チャンバ108をクリーニングする場合、ユーザは、典型的には、加熱チャンバ108の開放端110を通して細長いブラシなどの物体を挿入する場合がある。これは、細長い物体が基部112に当たる際に、ユーザは、加熱チャンバ108の側壁126に対するよりも、基部112に対し
て、より強い力を及ぼす可能性が高いことを意味する。したがって、側壁126に対する基部112の厚さは、クリーニング中の加熱チャンバ108への損傷を防止するのに役立ち得る。他の実施形態では、基部112は側壁126と同じ厚さを有し、これは、上述した有利な効果のいくつかをもたらす。
フランジ138は、側壁126から外向きに延び、加熱チャンバ108の開放端110において側壁126の周縁部の周囲全体に延びる環状形状を有する。フランジ138は、側壁126における曲げ力及び剪断力に抵抗する。例えば、側壁126によって規定される管の横方向の変形は、フランジ138が座屈する(buckle)ことを必要とする可能性が高い。フランジ138は、側壁126から概ね直角をなして延びているように示されるが、フランジ138は、上述した有利な特徴を保持しながら、例えば、側壁126と漏斗形状を形成しながら側壁126から斜めに延びることができることに留意されたい。いくつかの実施形態では、フランジ138は、環状である代わりに、側壁126の周縁部の周囲の一部分のみに位置している。図示した実施形態では、フランジ138は、側壁126と同じ厚さであるが、他の実施形態では、変形に対する抵抗力を改善するために、フランジ138は側壁126よりも厚い。エアロゾル発生装置100が全体として強固であるが効率的なままであるように、強度のために特定部分の厚さを増加させることが、導入される熱質量の増加と比較検討される。
側壁126の内部表面には、複数の突出部140が形成されている。側壁126の外周の周囲の突出部140の幅は、側壁126の中心軸に平行な(すなわち、概ね加熱チャンバ108の基部112から開放端110への方向の)その長さと比較して小さい。この例では、4つの突出部140がある。以下の議論から明らかになるように、加熱チャンバ108内の中央位置に基質担体114を保持するためには、通常、4つが突出部140の好適な数である。いくつかの実施形態では、例えば、側壁126の円周の周囲に約120度で(均等に)間隔を空けて配置されている3つの突出部で十分な場合がある。突出部140は様々な目的を有し、突出部140(及び側壁126の外部表面上の対応する窪み)の厳密な形状は、所望の効果に基づいて選ばれる。いずれにせよ、突出部140は、基質担体114に向かって延び、基質担体114と係合するので、係合要素と呼ばれることもある。実際、「突出部」及び「係合要素」という用語は、本明細書では同じ意味で用いられる。同様に、突出部140が、例えば油圧成形又は加圧成形などによって、側壁126を外側から加圧することによって設けられる場合、「窪み」という用語は、「突出部」及び「係合要素」という用語と同じ意味で用いられる。側壁126を窪ませることによって突出部140を形成することは、突出部が側壁126と一体であるという利点を有し、したがって、熱の流れへの影響が最小である。加えて、突出部140は、加熱チャンバ108の側壁126の内部表面に追加の要素が追加された場合のように何らかの熱質量を追加する、ということはない。実際、側壁126を窪ませることによって突出部140を形成した結果として、側壁126の厚さは、突出部が設けられている場所においてさえ、円周方向及び/又は軸方向に実質的に一定のままである。最後に、記載したように側壁を窪ませることは、側壁126を横切って延びる部分を導入することにより側壁126の強度を増加させるので、側壁126の曲げに対して抵抗力がもたらされる。
加熱チャンバ108は、基質担体114を収容するように構成されている。典型的には、基質担体は、タバコ、又は吸入用のエアロゾルを発生させるために加熱可能な別の好適なエアロゾル化可能材料などの、エアロゾル基質128を含む。第1の実施形態では、加熱チャンバ108は、例えば、図3~図6に示すように、「消耗品」としても知られる基質担体114の形態で、エアロゾル基質128の一服分を収容するように寸法設定されている。しかしながら、これは必須ではなく、他の実施形態では、加熱チャンバ108は、緩いタバコ又は他の方法でパッケージ化されたタバコなどの他の形態のエアロゾル基質128を収容するように構成されている。
エアロゾル発生装置100は、基質担体114の外層132と係合する突出部140の表面から熱を伝導すること、及び側壁126の内部表面と基質担体114の外部表面との間のエアギャップ内の空気を加熱すること、の両方によって機能する。すなわち、ユーザがエアロゾル発生装置100を吸引した場合、加熱された空気がエアロゾル基質128を通って引き込まれる際に、エアロゾル基質128の対流加熱が存在する(以下でより詳細に説明するように)。幅及び高さ(すなわち、各突出部140が加熱チャンバ128内へと延びる距離)は、熱を空気に伝える側壁126の表面積を増加させるので、エアロゾル発生装置100がより早く有効温度に到達することが可能になる。
基質担体114が加熱チャンバ108内へと挿入される場合、側壁126の内部表面上の突出部140は、基質担体114に向かって延びており、実際に基質担体114に接触する(例えば、図6を参照)。これにより、エアロゾル基質128は、基質担体114の外層132を通して、伝導によっても加熱される。
エアロゾル基質128内へと熱を伝導するために、突出部140の表面145は、基質担体114の外層132と相互に係合しなければならないことは明らかであろう。しかしながら、製造公差が、基質担体114の直径に小さな変動をもたらす場合がある。加えて、基質担体114の外層132及びその中に保持されたエアロゾル基質128の比較的柔らかく圧縮可能な性質に起因して、基質担体114への何らかの損傷又は乱暴な取り扱いの結果、外層132が突出部140の表面145と相互に係合することが意図されている領域において、直径が減少するか、又は形状が卵形若しくは楕円形の断面に変化する場合がある。それに応じて、基質担体114の直径のいかなる任意の変動も、基質担体114の外層132と突出部140の表面145との間の熱係合を低減させる結果となる場合があり、これにより、突出部140の表面145から基質担体114の外層132を通りエアロゾル基質128内へと至る熱伝導に悪影響を及ぼす。製造公差又は損傷に起因する基質担体114の直径のいかなる変動の影響をも軽減させるために、突出部140は、好ましくは、加熱チャンバ108内へと十分に延びるように寸法設定されて、基質担体114の圧縮を引き起こし、それにより、突出部140の表面145と基質担体114の外層132との間の締まり嵌めが確保される。基質担体114の外層132のこの圧縮はまた、基質担体114の外層132の長手方向のマーキングを生じさせ、基質担体114が使用されたことの視覚的指標を提供し得る。
図6(a)は、加熱チャンバ108及び基質担体114の拡大図を示す。図から分かるように、矢印Bは、上述した対流加熱をもたらす空気流路を示す。上述したように、加熱チャンバ108は封止され気密である基部112を有するカップ形状であってもよく、このことは、空気流が、封止され気密である基部112を通ることは不可能なので、空気流が基質担体の第1の端部134に入るためには、基質担体114の側面を下に流れなければならないことを意味する。上述したように、突出部140は、加熱チャンバ108内へと十分な距離を延びて、少なくとも基質担体114の外部表面に接触し、典型的には、基質担体の少なくともある程度の圧縮を引き起こす。その結果、図6(a)の断面図は、図の左と右にある突出部140を貫通しているので、図の平面内では、加熱チャンバ108に沿って全体にわたってエアギャップはない。代わりに、空気流路(矢印B)が、突出部140の領域に破線として示され、これは、空気流路が突出部140の前方と後方に位置することを示している。実際、図2(a)と比較すると、空気流路は、4つの突出部140の間の4つの等間隔に配置されたギャップ領域を占めることが分かる。もちろん、状況によっては突出部140が4つよりも多い又は少ないこともあり、その場合、空気流路が突出部の間のギャップ内に存在するという一般的な点は真実のままである。
また、図6(a)において強調されるのは、基質担体114が加熱チャンバ108内へ
と挿入されるにつれて、基質担体114が突出部140を強制的に通過させられることによって生じる、基質担体114の外部表面の変形である。上述したように、突出部140が加熱チャンバ内へと延びる距離は、有利には、任意の基質担体114の圧縮を生じさせるのに十分な大きさとなるように選択され得る。加熱中のこの(時には恒久的な)変形により、基質担体114の外層132の変形が、基質担体114の第1の端部134の近くにおいて、エアロゾル基質128のより高密度の領域を作り出すという意味で、基質担体114に安定性をもたらす手助けすることができる。加えて、結果として生じる、基質担体114の起伏を有する外部表面は、基質担体114の第1の端部134の近くにおいて、エアロゾル基質128のより高密度の領域のエッジに対して把持効果をもたらす。全体として、これにより、何らかの緩いエアロゾル基質が基質担体114の第1の端部134から落ちて加熱チャンバ108を汚すことになるという可能性は低減される。これは有用な効果である。なぜなら、上述したように、エアロゾル基質128を加熱するとエアロゾル基質128が収縮し、それにより、緩いエアロゾル基質128が基質担体114の第1の端部134から落ちる可能性が増加するからである。この望ましくない影響は、説明した変形効果によって軽減される。
突出部140が基質担体114に接触していることを確信するために(エアロゾル基質の伝導加熱、圧縮、及び変形を生じさせるために接触が必要である)、突出部140、加熱チャンバ108、及び基質担体114の各々の製造公差が考慮される。例えば、加熱チャンバ108の内径は7.6±0.1mmであってもよく、基質114担体は7.0±0.1mmの外径を有してもよく、突出部140は±0.1mmの製造公差を有してもよい。この例では、基質担体114が加熱チャンバ108内の中央に取り付けられている(すなわち、基質担体114の外側の周囲に均一なギャップが残っている)と仮定すると、基質担体114に接触するために、各突出部140がまたがらなければならないギャップは0.2mm~0.4mmの範囲にわたる。換言すれば、各突出部140は半径方向距離にまたがるので、この例における可能な最小値は、加熱チャンバ108の可能な最小直径と、基質担体114の可能な最大直径との差の半分、すなわち、[(7.6-0.1)-(7.0+0.1)]/2=0.2mmである。この例における範囲の上限は、(同様の理由で)加熱チャンバ108の可能な最大直径と基質担体114の可能な最小直径との差の半分、すなわち、[(7.6+0.1)-(7.0-0.1)]/2=0.4mmである。突出部140が、確かに基質担体に接触することを確実にするために、この例では、突出部はそれぞれ、加熱チャンバ内へと少なくとも0.4mm延びている必要があることは明らかである。しかしながら、これは突出部140の製造公差を考慮していない。0.4mmの突出部が必要な場合、実際に生成される範囲は0.4±0.1mmである、すなわち、0.3mm~0.5mmの間で変化する。突出部のいくつかは、加熱チャンバ108と基質担体114との間の可能な最大ギャップにまたがらないであろう。したがって、この例の突出部140は、0.5mmの公称突出距離で製作されるべきであり、結果として、0.4mm~0.6mmの値の範囲となる。この値は、突出部140が常に基質担体に接触することを確実にするには十分である。
一般に、加熱チャンバ108の内径をD±δD、基質担体114の外径をd±δd、そして突出部140が加熱チャンバ108内に延びる距離をL±δLと書くと、突出部140が加熱チャンバ内に延びることが意図される距離は、以下のように選択されるべきである:
Figure 2024095820000002
ここで|δD|は、加熱チャンバ108の内径の製造公差の大きさを指し、|δd|は、基質担体114の外径の製造公差の大きさを指し、|δL|は、突出部140が加熱チャンバ108内に延びる距離の製造公差の大きさを指す。誤解を避けるために、加熱チャンバ108の内径がD±δD=7.6±0.1mmである場合、|δD|=0.1mmである。
更には、製造公差が、基質担体114内のエアロゾル基質128の密度に僅かな変動をもたらす場合がある。エアロゾル基質128の密度における、そのようなばらつきは、単一の基質担体114内で、又は同じバッチで製造された異なる基質担体114間で、軸方向及び半径方向の両方に存在し得る。それに応じて、特定の基質担体114内のエアロゾル基質128中での比較的均一な熱伝導を確実にするために、エアロゾル基質128の密度も比較的一定であることが重要であることも明らかであろう。エアロゾル基質128の密度のいかなる不整合の影響をも軽減させるために、突出部140は、加熱チャンバ108内へと十分に延びて、基質担体114内のエアロゾル基質128の圧縮を引き起こすように寸法決めされてもよく、それにより、エアギャップが排除されることによって、エアロゾル基質128を通る熱伝導を改善することができる。図示した実施形態では、加熱チャンバ108内へと約0.4mm延びる突出部140が適切である。他の例では、突出部140が加熱チャンバ108内へと延びる距離は、加熱チャンバ108を横切る距離の百分率として定義され得る。例えば、突出部140は、加熱チャンバ108を横切る距離の3%~7%、例えば約5%の距離を延びていてもよい。別の実施形態では、加熱チャンバ108内の突出部140が外接する制限された直径は、6.0mm~6.8mm、より好ましくは6.2mm~6.5mm、特に6.2mm(±0.5mm)である。複数の突出部140の各々は、0.2mm~0.8mm、最も好ましくは0.2mm~0.4mmの半径方向の距離に及ぶ。
突出部/窪み140に関して、幅は、側壁126の外周の周囲における距離に対応する。同様に、その長さ方向は、その幅に対して直角に伸び、基部112から加熱チャンバ108の開放端まで、又はフランジ138まで広範囲に走り、その高さは、突出部が側壁126から延びている距離に対応する。隣接する突出部140、側壁126、及び基質担体114の外層132の間の空間が、空気流のために利用可能な領域を規定することに留意されたい。このことにより、隣接する突出部140間の距離及び/又は突出部140の高さ(すなわち、突出部140が加熱チャンバ108内へと延びる距離)が小さいほど、エアロゾル発生装置100を通して空気を引き込むために、ユーザはより強く吸引しなければならないという効果(引き込み抵抗の増加として知られている)がもたらされる。(突出部140が基質担体114の外層132に接触していると想定すると)、側壁126と基質担体114との間の空気流チャネルの減少を規定するのは突出部140の幅であることが明らかであろう。逆に(ここでも、突出部140が基質担体114の外層132に接触しているという想定下で)、突出部140の高さを増加させると、エアロゾル基質はより圧縮され、それによりエアロゾル基質128内のエアギャップが除去され、これもまた引き込み抵抗を増加させる。これら2つのパラメータを調整して、低過ぎることも高過ぎることもない満足できる引き込み抵抗をもたらすことができる。側壁126と基質担体114との間の空気流チャネルを増大させるために加熱チャンバ108をより大きくすることもできるが、ギャップが大き過ぎてヒーター124が有効でなくなり始める実用上の制限がある。典型的には、基質担体114の外部表面の周囲の0.2mm~0.4mm又は0.2mm~0.3mmのギャップは良好な妥協点であり、これにより、突出部140の寸法を変更することによって、引き込み抵抗を許容値内で微調整することが可能になる。基質担体114の外側の周囲のエアギャップは、突出部140の数を変更することによっても変えることができる。いかなる数の突出部140(1つ以上)も、本明細書で述べられる利点の少なくともいくつかを提供する(加熱領域の増大、圧縮の提供、エアロゾル基質128の伝導加熱の提供、エアギャップの調整など)。基質担体114を、中央で(す
なわち同軸で)加熱チャンバ108と位置合わせして確実に保持する最小の数は4である。別の可能な設計では、互いに120度の距離で分配された突出部が3つだけが存在する。突出部140が4つ未満である設計では、基質担体114が、2つの突出部140の間で側壁126の一部に押し付けられる状況を許容する傾向がある。限られたスペースでは、非常に多くの数の突出部(例えば、30個以上)を設けることにより、明らかに、突出部の間にギャップが殆どないか又は全くない状況になる傾向があり、それにより、基質担体114の外部表面と側壁126の内部表面との間の空気流路が完全に閉鎖されて、エアロゾル発生装置が対流加熱を提供する能力が大幅に低下する可能性がある。しかしながら、空気流チャネルを規定するために、基部112の中央に穴を設ける可能性に関連して、そのような設計を依然として使用することができる。通常、突出部140は、側壁126の外周の周囲に等間隔で配置されて、均等な圧縮及び加熱を提供するのに役立ち得るが、いくつかの変形形態では、所望の厳密な効果に応じて非対称な配置を有する場合がある。
突出部140のサイズ及び数はまた、伝導加熱と対流加熱との間のバランスを調整することを可能にすることが明らかであろう。基質担体114に接触する突出部140の幅(突出部140が側壁126の外周の周囲に延びる距離)を増加させることにより、空気流チャネル(図6及び図6(a)の矢印B)として機能する、側面126の利用可能な外周は低減されるので、エアロゾル発生装置100によって提供される対流加熱は低減される。しかしながら、より広い突出部140が、外周のより大きな部分にわたって基質担体114に接触するので、エアロゾル発生装置100によって提供される伝導加熱は増加する。より多くの突出部140が追加された場合に、同様の効果が見られるが、それは、対流のために利用可能な側壁126の外周が減少する一方で、突出部140と基質担体114との間の総接触表面積が増加することによって導電チャネルは増加するという点による。突出部140の長さを増加させると、ヒーター124によって加熱される加熱チャンバ108内の空気の体積も減少し、対流加熱が減少する一方で、突出部140と基質担体との間の接触表面積は増加し、伝導加熱が増加することに留意されたい。各突出部140が加熱チャンバ108内へと延びる距離を増加させることは、対流加熱を著しく低減させることなく、伝導加熱を改善することを手助けできる。したがって、エアロゾル発生装置100は、上述したように突出部140の数とサイズを変更することにより、伝導加熱と対流加熱のタイプのバランスをとるように設計することができる。比較的薄い側壁126と、熱伝導率が比較的低い材料(例えば、ステンレス鋼)の使用とに起因する熱局在化効果により、熱を基質担体114に、続いてエアロゾル基質128に伝達させる手段として伝導加熱が適切な手段となることが確保される。なぜなら、加熱される側壁126の部分は、突出部140の場所に概ね対応する可能性があり、このことは、発生した熱は、突出部140によって基質担体114に伝導されるが、基質担体から伝導して去ることはないことを意味する。加熱されるが突出部140に対応しない場所では、側面126の加熱は、上述した対流加熱につながる。
図1~図6に示すように、突出部140は細長い。すなわち、突出部はその幅よりも大きい長さで延びている。場合によっては、突出部140は、その幅の5倍、10倍、又は25倍でさえある長さを有し得る。例えば、上述したように、突出部140は、加熱チャンバ108内へと0.4mm延びていてもよく、一例では更に、幅が0.5mm、長さが12mmであってもよい。これらの寸法は、30mm~40mmの長さの加熱チャンバ108に好適である。この例では、突出部140は、加熱チャンバ108の全長にわたって延びていない。なぜなら、与えられた例では突出部は加熱チャンバ108よりも短いからである。したがって、突出部140はそれぞれ、上部エッジ142a及び底部エッジ142bを有する。上部エッジ142aは、加熱チャンバ108の開放端110に最も接近して位置し、またフランジ138にも最も接近して位置する突出部140の一部である。底部エッジ142bは、基部112に最も接近して位置する突出部140の端部である。上部エッジ142aの上方(上部エッジ142aよりも開放端に近い)、及び底部エッジ1
42bの下方(底部エッジ142bよりも基部112に近い)には、側壁126には突出部140がないことが分かる。すなわち、これらの部分では側壁126は変形しておらず窪んでもいない。いくつかの例では、突出部140はより長く、側壁126の上部及び/又は底部まで全体にわたって延び、その結果、以下の一方又は両方が当てはまる:上部エッジ142aは加熱チャンバ108(又はフランジ138)の開放端110と整列する、及び底部エッジ142bは基部112と整列する。実際、そのような場合、上部エッジ142a及び/又は底部エッジ142bは存在しない場合さえある。
突出部140が、加熱チャンバ108の長さ沿って(例えば、基部112からフランジ138まで)全体にわたって延びているわけではないことが有利であり得る。上側端部では、後述するように、ユーザが基質担体114をエアロゾル発生装置100の中へと挿入し過ぎないようにするための指標として、突出部140の上部エッジ142aを使用することができる。しかしながら、エアロゾル基質128を含む基質担体114の領域だけでなく、他の領域も加熱することが有用であり得る。これは、いったんエアロゾルが発生したら、その温度を高く(室温より高く、ただしユーザを火傷させるほどは高くなく)維持して、ユーザ体験を損なう再凝結を防止することが有益だからである。したがって、加熱チャンバ108の有効加熱領域は、エアロゾル基質128の予想される位置を超えて(すなわち、開放端に近い加熱チャンバ108の上の方まで)延びている。これは、加熱チャンバ108が突出部140の上側エッジ142aよりも上の方まで延びていること、又は同様な意味で、突出部140が加熱チャンバ108の開放端に至るまで全体にわたって延びているわけではないことを意味する。同様に、加熱チャンバ108内へと挿入された基質担体114の端部134におけるエアロゾル基質128の圧縮により、エアロゾル基質128の一部が基質担体114から落ちて加熱チャンバ108を汚すことにつながる可能性がある。したがって、突出部140の下側エッジ142bを、基質担体114の端部134の予想される位置よりも基部112から離して位置させることが有利であり得る。
いくつかの実施形態では、突出部140は細長くなく、その長さとほぼ同じ幅を有する。例えば、突出部はその高さと同じくらいの幅を有してもよく(例えば、半径方向から見た時に正方形又は円形の輪郭を有する)、又は突出部はその長さが幅の2倍~5倍であってもよい。突出部140が提供するセンタリング効果は、突出部140が細長くなくても実現できることに留意されたい。いくつかの例では、突出部140の複数のセット、例えば、加熱チャンバ108の開放端に近い上部セットと、上部セットから間隔を空けて基部112の近くに位置する下部セットとが存在してもよい。これは、同じ距離にわたる突出部140の単一セットによって導入される引き込み抵抗を低減させながら、基質担体114が同軸構成で保持されること確実にするのに役立ち得る。突出部140の2つのセットは、実質的に同じであってもよく、或いは、それらは、それらの長さ若しくは幅、又は側壁126の周囲に構成された突出部140の数若しくは配置が異なってもよい。
側面図では、突出部140は台形の輪郭を有するものとして示されている。これが意味するのは、各突出部140の長さに沿った輪郭、例えば、突出部140の中央の長手方向断面がおよそ台形であるということである。すなわち、上側エッジ142aは概ね平面であり、先細になっていて、加熱チャンバ108の開放端110に近い側壁126と一緒になっている。換言すれば、上側エッジ142aは、輪郭が面取りされた形状である。同様に、突出部140は下側部分142bを有し、これは概ね平面であり、先細になっていて、加熱チャンバ108の基部112に近い側壁126と一緒になっている。すなわち、下側エッジ142bは、輪郭が面取りされた形状である。他の実施形態では、上側エッジ142a及び/又は下側エッジ142bは、側壁126に向かって先細りではなく、代わりに、側壁126から約90度の角度で延びている。更に他の実施形態では、上側エッジ142a及び/又は下側エッジ142bは、湾曲した又は丸みを帯びた形状を有する。上側エッジ142aと下側エッジ142bを橋渡ししているのは、基質担体114に接触する
及び/又は基質担体114を圧縮する概ね平面の領域である。平面接触部分は、均等な圧縮及び伝導加熱を提供することに役立ち得る。他の例では、平面部分は、代わりに、例えば多角形の又は湾曲した輪郭(例えば、円の一部)を有する、外向きに曲がって基質担体128に接触する湾曲した部分であってもよい。
突出部140が上側エッジ142aを有する場合は、突出部140は、基質担体114の過剰挿入を防止するようにも機能する。図4及び図6で最も明確に示すように、基質担体114は、エアロゾル基質128を含有する下側部分を有し、これは、基質担体114に沿って、エアロゾル基質128の境界において途中で終了する。エアロゾル基質128は、典型的には、基質担体114の他の領域130よりも圧縮性が高い。したがって、基質担体114の他の領域130の圧縮性が低減したことに起因して、基質担体114を挿入しているユーザは、突出部140の上側エッジ142aがエアロゾル基質128の境界と整列した時に抵抗の増加を感じる。これを実現するために、基質担体114が接触する基部112の部分は、突出部140の上部エッジ142aから、エアロゾル基質128が占める基質担体114の長さと同じ距離だけ間隔を空けて配置されるべきである。いくつかの例では、エアロゾル基質128は、基質担体114の約20mmを占めるので、突出部140の上部エッジ142aと、基質担体114が加熱チャンバ108内へと挿入された場合に基質担体114が接触する、基部の部分との間の間隔も約20mmである。
図示するように、基部112はまた、プラットフォーム148を含む。プラットフォーム148は単一のステップによって形成され、そのステップでは、基部112が下からプレス成形されて(例えば、加熱チャンバ108の形成の一部として、油圧成形、機械的圧力によって)、基部112の外側表面(下面)上に窪みが残り、基部112の内側表面(上面、加熱チャンバ108の内側)上にプラットフォーム148が残る。プラットフォーム148が、例えば対応する窪みを伴って、このように形成される場合、これらの用語は交換可能に使用される。他の場合には、プラットフォーム148は、基部112に別個に取り付けられた別個の部品から、又は基部112の一部を削り出してプラットフォーム148を残すことにより、形成されてもよく、いずれの場合も、対応する窪みは必要ない。これらの後者の場合は、実現することができるプラットフォーム148の形状に、より多くの多様性を提供することができる。なぜなら、これは基部112の変形に依存せず、この変形は(便利な方法であるが)、形状を選ぶことができる複雑さを制限するからである。図示する形状は概ね円形であるが、もちろん、本明細書に詳細に記載されている所望の効果を実現するだろう多種多様な形状が存在し、その形状には、多角形、湾曲した形状、及びこれらのタイプのうちの1つ以上の形状を含む形状、を含むがこれらに限定されない形状が含まれる。実際に、中央に位置するプラットフォーム148として示されているが、場合によっては、例えば加熱チャンバ108のエッジなど、中央から間隔を空けて配置された1つ以上のプラットフォーム要素が存在し得る。典型的には、プラットフォーム148は概ね平坦な上部を有するが、半球状のプラットフォーム、又は上部が丸みを帯びたドーム形状を有するプラットフォームも想定される。
上述したように、突出部140の上部エッジ142aと、基質担体114が接触する基部112の部分との間の距離は、ユーザが基質担体114をエアロゾル発生装置100内へと必要なだけ十分に挿入したという指標を、ユーザに提供するように、エアロゾル基質128の長さに整合するように注意深く選択することができる。基部112上にプラットフォーム148がない場合は、このことは単に、基部112から突出部140の上部エッジ142aまでの距離がエアロゾル基質128の長さと一致しなければならないことを意味する。プラットフォーム148が存在する場合は、エアロゾル基質128の長さは、突出部140の上部エッジ142aとプラットフォーム148の最上部(すなわち、いくつかの例では加熱チャンバ108の開放端110に最も接近した部分)との間の距離に対応するべきである。更に別の例では、突出部140の上部エッジ142aとプラットフォー
ム148の最上部との間の距離は、エアロゾル基質128の長さよりも僅かに短い。これは、基質担体114の先端134がプラットフォーム148の最上部を僅かに過ぎるまで延びることにより、基質担体114の端部134においてエアロゾル基質128の圧縮が引き起こされなければならないことを意味する。実際、この圧縮効果は、側壁126の内部表面に突出部140が存在しない例においてさえ生じ得る。この圧縮は、基質担体114の端部134にあるエアロゾル基質128が加熱チャンバ108内へと落ちることを防止するのに役立ち、それにより、複雑で困難な作業であり得る、加熱チャンバ108のクリーニングの必要性を低減させることができる。加えて、この圧縮は、基質担体114の端部134を圧縮することに役立ち、それにより、上述した影響を軽減させる。すなわち、この影響があると、側壁126から延びている突出部140を使用してこの領域を圧縮することで、エアロゾル基質128が基質担体114から抜け落ちる可能性が増大する傾向があるゆえに不適切である。
プラットフォーム148はまた、基質担体114の先端134内への空気流路を妨げることなく、基質担体114から抜け落ちたいかなるエアロゾル基質128をも収集することができる領域を提供する。例えば、プラットフォーム148は、加熱チャンバ108の下側端部(すなわち、基部112に最も接近した部分)を、プラットフォーム148を形成する起立部分と、基部112の残りの部分を形成する下側部分とに分割する。下側部分は、基質担体114から抜け落ちたエアロゾル基質128の緩い小片を受け取ることができ、一方で、空気は、エアロゾル基質128のそのような緩い小片を越えて、基質担体114の端部の中へと流れることができる。この効果を実現するために、プラットフォーム148を基部112の残りの部分よりも約1mm高くすることができる。エアロゾル基質128を通って空気が流れることをプラットフォーム148が妨げないように、プラットフォーム148は基質担体114の直径よりも小さい直径を有してもよい。好ましくは、プラットフォーム148は、0.5mm~0.2mm、最も好ましくは、0.45mm~0.35mm、例えば、0.4mm(±0.03mm)の直径を有する。
エアロゾル発生装置100は、ユーザ操作可能ボタン116を有する。第1の実施形態では、ユーザ操作可能ボタン116は、ケーシング102の側壁118上に位置している。ユーザ操作可能ボタン116を、例えばユーザ操作可能ボタン116を押すことにより作動させると、エアロゾル発生装置100が起動されて、エアロゾル基質128が加熱され、吸入用のエアロゾルが発生されるように、ユーザ操作可能ボタン116は構成されている。いくつかの実施形態では、ユーザ操作可能ボタン116はまた、ユーザがエアロゾル発生装置100の他の機能をアクティブにすること、及び/又はエアロゾル発生装置100のステータスを示すように光を照らすことを可能にするように構成されている。他の例では、エアロゾル発生装置100のステータスを示すために、別個のライト(例えば、1つ以上のLED又は他の好適な光源)が提供されてもよい。これに関連して、ステータスは、バッテリー残量、ヒーターステータス(例えば、オン、オフ、エラーなど)、装置ステータス(例えば、パフを吸う準備ができているかどうか)、又は他のステータスの指標、例えば、エラーモード、消費されたパフの数、基質担体114全体が消費されたこと、又は電源が枯渇するまで残っているパフなどの指標、のうちの1つ以上を意味する場合がある。
第1の実施形態では、エアロゾル発生装置100は電気駆動式である。すなわち、電力を使用してエアロゾル基質128を加熱するように構成されている。この目的のために、エアロゾル発生装置100は、電源120、例えばバッテリーを有する。電源120は制御回路122に結合されている。制御回路122は次いでヒーター124に結合されている。ユーザ操作可能ボタン116は、制御回路122を介して電源120をヒーター124に結合及び結合解除させるように構成されている。この実施形態では、電源120は、エアロゾル発生装置100の第1の端部104の方に位置している。これにより、電源1
20を、エアロゾル発生装置100の第2の端部106の方に位置するヒーター124から間隔を空けて配置することが可能になる。他の実施形態では、加熱チャンバ108は、他の方法で、例えば、可燃性ガスを燃やすことによって加熱される。
ヒーター124は、加熱チャンバ108の外側表面に取り付けられている。ヒーター124は金属層144上に設けられ、金属層自体は側壁126の外部表面と接触して設けられている。金属層144は、側壁126の外部表面の形状に適合するように、加熱チャンバ108の周囲に帯を形成している。ヒーター124は、金属層144の中央に取り付けられ、金属層144は、ヒーター124を越えて上向き及び下向きに等しい距離だけ延びている。図示するように、ヒーター124は金属層144上に全体が位置しており、それにより、金属層144は、ヒーター124が占める領域よりも広い領域を覆っている。図1~図6に示すようなヒーター124は、基部112と開放端110との間の加熱チャンバ108の中間部分に取り付けられ、且つ金属層114で覆われた外側表面の領域に取り付けられている。他の実施形態では、ヒーター124は、加熱チャンバ108の他の部分に取り付けられてもよく、又は加熱チャンバ108の側壁126内に含まれてもよく、加熱チャンバ108の外側が金属層144を含むことは必須ではないことに留意されたい。
ヒーター124は、図7に示すように、加熱要素164、電気接続トラック150、及びバッキングフィルム166を備える。加熱要素164は、電流が加熱要素164を通過すると、加熱要素164が加熱され温度が上昇するように構成されている。加熱要素164は、鋭い角を含まないように成形されている。鋭い角は、ヒーター124にホットスポットを誘発するか、又は溶融ポイントを形成する場合がある。加熱要素164もまた均一な幅を有し、互いに接近して伸びる要素164の部分は、ほぼ等しい距離だけ離して保持されている。図7の加熱要素164は2つの抵抗経路164a、164bを示し、これらはそれぞれ、ヒーター124の領域上で曲がりくねった経路を取り、上述した基準に準拠しながら可能な限り広い領域を覆っている。これら経路164a、164bは、図7では、互いに電気的に並列に構成されている。他の数の経路、例えば、3つの経路、1つの経路、又は多数の経路を使用できることに留意されたい。経路164a、164bは、短絡しないように、交差することはない。加熱要素164は、必要とされる加熱のレベルに対して正しい電力密度を作り出すように、抵抗を有するように構成されている。いくつかの例では、加熱要素164は、0.4Ω~2.0Ω、特に有利には0.5Ω~1.5Ω、より具体的には0.6Ω~0.7Ωの抵抗を有する。
電気接続トラック150は、ヒーター124の一部として示しているが、いくつかの実施形態では、ワイヤ又は他の接続要素によって置き換えてもよい。電気接続部150は、加熱要素164に電力を供給し、電源120と回路を形成するために使用される。電気接続トラック150は、加熱要素164から垂直に下向きに延びるように示されている。ヒーター124が所定位置にある状態で、電気接続部150は、加熱チャンバ108の基部112を越えて、絶縁部材152の基部156を通って延びて、制御回路122と接続する。
バッキングフィルム166は、加熱要素164が取り付けられた単一のシートであってもよい、又は2つのシート166a、166bの間に加熱要素を挟むエンベロープを形成してもよい、のいずれかである。いくつかの実施形態では、バッキングフィルム166は、ポリイミドで形成されている。いくつかの実施形態では、バッキングフィルム166の厚さは、ヒーター124の熱質量を減少させるために最小化される。例えば、バッキングフィルム166の厚さは、50μm、又は40μm、又は25μmであってもよい。
加熱要素164は、側壁108に取り付けられる。図7では、加熱要素164は、ヒーター124のサイズを注意深く選択することによって、加熱チャンバ108の周囲に1回
巻き付くように構成されている。これにより、ヒーター124によって生成された熱が、ヒーター124によって覆われている表面の周囲にほぼ均等に分配されることが確実になる。いくつかの例では、ヒーター124は、加熱チャンバ108の周囲に、ちょうど1回だけ巻き付けるのではなく、整数回、巻き付けてもよいことに留意されたい。
ヒーター124の高さが約14mm~15mmであることにも留意されたい。ヒーター124の周長(又は加熱チャンバ108に適用される前のその長さ)は、約24mm~25mmである。加熱要素164の高さは、14mm未満であってもよい。これにより、加熱要素164を、加熱要素164の周囲に境界を有して、完全にヒーター124のバッキングフィルム166内に位置付けることが可能になる。したがって、ヒーター124によって覆われる領域は、いくつかの実施形態では、約3.75cm2であり得る。
ヒーター124によって使用される電力は、この実施形態ではセル(又はバッテリー)の形態である電源120によって供給される。電源120によって供給される電圧は、安定化電圧又は昇圧電圧である。例えば、電源120は、2.8V~4.2Vの範囲の電圧を発生するように構成されてもよい。一例では、電源120は、3.7Vの電圧を発生するように構成されている。一実施形態における加熱要素164の例示的な抵抗を0.6Ωとし、例示的な電圧を3.7Vとすると、これは、加熱要素164に約30Wの電力出力を生じさせることになる。例示的な抵抗及び電圧に基づいて、電力出力は15W~50Wであり得ることに留意されたい。電源120を形成するセルは、再充電可能なセルであってもよく、又は代わりに一回使用のセル120であってもよい。電源は典型的には、20回以上の熱サイクルに電力を供給できるように構成されている。これにより、エアロゾル発生装置100の単一の充電で、20個の基質担体114のフルパケットをユーザが使用することが可能になる。セルは、リチウムイオンセル、又は任意の他のタイプの市販のセルであってもよい。セルは、例えば、18650セル又は18350セルであってもよい。セルが18350セルである場合、エアロゾル発生装置100は、12熱サイクル又は実際には20熱サイクルに対して十分な電荷を貯蔵して、ユーザが12個又は20個の基質担体114を消費することを可能にするように構成されていてもよい。
ヒーター124に関する重要な値の1つは、ヒーターが生成する単位面積当たりの電力である。これは、ヒーター124によって、ヒーターと接触する領域(この場合、加熱チャンバ108)にどれだけの熱が供給され得るかの尺度である。記載された例では、これは4W/cm2~13.5W/cm2の範囲である。ヒーターの最大電力密度の定格は通常、設計に応じて、2W/cm2~10W/cm2である。したがって、これら実施形態のいくつかでは、銅又は他の導電性の金属層144が加熱チャンバ108上に設けられて、ヒーター124から熱を効率的に伝導し、ヒーター124への損傷の可能性を低減させてもよい。
ヒーター124によって供給される電力は、いくつかの実施形態では一定であってもよく、他の実施形態では一定でなくてもよい。例えば、ヒーター124は、デューティサイクルを介して、又はより具体的にはパルス幅変調サイクルで、可変電力を供給してもよい。これにより、電力をパルスで供給することが可能になり、ヒーター124によって出力される時間平均電力を、単に「オン」時間と「オフ」時間の比を選択することにより容易に制御することが可能になる。ヒーター124によって出力される電力のレベルはまた、電流又は電圧の操作などの追加の制御手段によって制御されてもよい。
図7に示すように、エアロゾル発生装置100は、ヒーター124の温度、又はヒーター124を取り囲む環境の温度を検出するための温度センサ170を有する。温度センサ170は、例えば、サーミスタ、熱電対、又は任意の他の温度計であってもよい。例えば、サーミスタは、抵抗性材料を封入したガラスビーズで形成されてもよく、抵抗性材料は
電圧計に接続され、抵抗性材料を流れる電流は既知である。したがって、ガラスの温度が変化すると抵抗性材料の抵抗は予測可能な形で変化し、したがって、定電流における抵抗性材料の両端の電圧降下から、その温度を確定することができる(定電圧モードも可能である)。いくつかの実施形態では、温度センサ170は、加熱チャンバ108の表面上に、例えば、加熱チャンバ108の外部表面に形成された窪み内に位置付けられている。窪みは、本明細書の他の場所で説明されるようなもの、例えば突出部140の一部であってもよく、又は、温度センサ170を保持するために特別に設けられた窪みであってもよい。図示した実施形態では、温度センサ170は、ヒーター124のバッキング層166上に設けられている。他の実施形態では、温度センサ170は、加熱要素164の抵抗の変化を監視することによって温度が検出されるという意味で、ヒーター124の加熱要素164と一体である。
第1の実施形態のエアロゾル発生装置100では、エアロゾル発生装置100の開始後の、最初のパフまでの時間が重要なパラメータである。エアロゾル発生装置100の使用者は、エアロゾル発生装置100を開始してから基質担体128からエアロゾルを吸入するまでの遅延時間を最小にして、基質担体128からのエアロゾルの吸入をできるだけ早く開始することが好ましいと理解するであろう。したがって、加熱の第1段階の間、電源120は、例えば、デューティサイクルを常にオンに設定することによって、又は電圧と電流の積をその可能な最大値に操作することによって、利用可能な電力の100%をヒーター124に供給する。これは、30秒の期間、より好ましくは20秒の期間、又は温度センサ170が240℃に対応する読み取り値を与えるまでの任意の期間であり得る。典型的には、基質担体114は180℃で最適に動作し得る。それでもやはり、ユーザが基質担体114からエアロゾルを可能な限り迅速に抽出できるように、温度センサ170を、この温度を超えるように加熱することが有利であり得る。この理由は、エアロゾル基質128は、エアロゾル基質128を通る温風の対流によって、そしてある程度は、突出部140と基質担体114の外部表面との間の伝導によって加熱されるので、エアロゾル基質128の温度は、典型的には、温度センサ170によって検出される温度よりも遅れる(すなわち、より低い)からである。対照的に、温度センサ170は、ヒーター124との熱接触が良好に保持されているので、エアロゾル基質128の温度よりもむしろ、ヒーター124の温度に近い温度を測定する。実際、エアロゾル基質128の温度を正確に測定することは困難な場合があるので、多くの場合、加熱サイクルは実験的に決定され、その場合、異なる加熱プロファイル及びヒーター温度が試され、エアロゾル基質128によって発生するエアロゾルに対して、その温度にて形成される様々なエアロゾル成分が監視される。最適なサイクルでは、エアロゾルは可能な限り迅速に供給されるが、エアロゾル基質128の過熱に起因する燃焼生成物の発生は回避される。
温度センサ170によって検出された温度を使用して、例えば、温度センサ170によって検出された温度を使用してヒーターの電力供給サイクルが制御されるフィードバックループを形成することによって、セル120によって送達される電力のレベルを設定してもよい。以下で説明する加熱サイクルは、ユーザが単一の基質担体114を消費することを望む場合のものであり得る。
第1の実施形態では、ヒーター124は、加熱チャンバ108の周囲に延びている。すなわち、ヒーター124は、加熱チャンバ108を取り囲んでいる。より詳細には、ヒーター124は、加熱チャンバ108の側壁126の周囲に延びているが、加熱チャンバ108の基部112の周囲には延びていない。ヒーター124は、加熱チャンバ108の側壁126全体にわたって延びているわけではない。むしろ、ヒーターは側壁126の周囲全体にわたって延びているが、側壁126の長さの一部のみにわたって延びている。これに関連して、この長さは、加熱チャンバ108の基部112から開放端110までの長さである。他の実施形態では、ヒーター124は、側壁126の全長にわたって延びている
。更に他の実施形態では、ヒーター124は、ギャップによって分離された2つの加熱部分を備え、それにより、加熱チャンバ108の中央部分、例えば、加熱チャンバ108の基部112と開放端110との間の中間にある側壁126の一部分が覆われないままである。他の実施形態では、加熱チャンバ108はカップ形状であるので、ヒーター110は同様にカップ形状であり、例えば、ヒーターは、加熱チャンバ108の基部112の周囲に完全に延びている。更に他の実施形態では、ヒーター124は、加熱チャンバ108に近接して分配された複数の加熱要素164を備える。いくつかの実施形態では、加熱要素164の間にスペースが存在する。他の実施形態では、加熱要素は互いに重なっている。いくつかの実施形態では、加熱要素164は、加熱チャンバ108又は側壁126の円周の周囲に、例えば横方向に、間隔を空けて配置されてもよく、他の実施形態では、加熱要素164は、加熱チャンバ108又は側壁126の長さに沿って、例えば縦方向に、間隔を空けて配置されてもよい。第1の実施形態のヒーター124は、加熱チャンバ108の外側の、加熱チャンバ108の外面上に設けられていることが理解されるであろう。ヒーター124は、加熱チャンバ108との熱接触が良好な状態で設けられて、ヒーター124と加熱チャンバ108との間の熱の良好な伝達が可能になっている。
金属層144は、銅、又は高熱伝導率を有する他の任意の材料(例えば、金属又は合金)、例えば金若しくは銀、から形成され得る。これに関連して、高い熱伝導率とは、150W/mK以上の熱伝導率を有する金属又は合金を指す場合がある。金属層144は、任意の好適な方法によって、例えば電気めっきによって適用することができる。層144を適用するための他の方法は、金属テープを加熱チャンバ108に貼り付けること、化学蒸着、物理蒸着などを含む。電気めっき法は層144を適用するための便利な方法であるが、層144をめっきする部分が導電性である必要がある。他の堆積方法では、その必要はなく、これら他の方法は、加熱チャンバ108が、有用な熱特性を有し得るセラミックなどの非導電性材料から形成される可能性を開く。また、層が金属として記述されている場合、これは通常「金属又は合金から形成される」ことを意味すると解釈されるべきであるが、これに関連して、金属は比較的高い熱伝導率の材料(>150W/mK)を指す。金属層144が側壁126に電気めっきされる場合、電気めっき層が外部表面に確実に接着するように、最初に「ストライク層」を形成する必要があり得る。例えば、金属層144が銅であり、側壁126がステンレス鋼である場合、確実に良好な接着となるようにニッケルストライク層が多くの場合に使用される。電気めっき層及び堆積層は、金属層144と側壁126の材料との間に直接接触があるので、2つの要素間の熱伝導率を改善するという利点を有する。
金属層144を形成するためにどちらの方法が使用されても、層144の厚さは通常、側壁126の厚さよりもある程度は薄い。例えば、金属層の厚さの範囲は、10μm~50μm、又は10μm~30μm、例えば、約20μmであり得る。ストライク層が使用される場合、これは金属層144よりも更に薄く、例えば、10μm、又は5μmでさえある。以下でより詳細に説明するように、金属層144の目的は、ヒーター124によって発生した熱を、ヒーター124が占める領域よりも広い領域に分配させることである。いったんこの効果が十分に達成されたら、金属層144を更に厚くすることには殆ど利点がない。なぜなら、これはただ単に熱質量を増加させ、エアロゾル発生装置100の効率を低下させるからである。
図1~図6から、金属層144は、側壁126の外部表面の一部にわたってのみ延びていることが明らかであろう。これは、加熱チャンバ108の熱質量を低減させることだけでなく、加熱領域を規定することも可能にする。概して、金属層144は側壁126よりも高い熱伝導率を有するので、ヒーター124によって生成された熱は、金属層144によって覆われている領域全体に急速に広がるが、側壁126は金属層144よりも薄く且つ比較的低い熱伝導率を有することに起因して、熱は、金属層144によって覆われてい
る側壁126の領域に比較的局所化されたままである。選択的電気めっきは、加熱チャンバ108の一部分を好適なテープ(例えば、ポリエステル又はポリイミド)又はシリコーンゴム型でマスキングすることによって実現される。他のめっき方法では、適宜、異なるテープ又はマスキング方法を使用してもよい。
図1~図6に示すように、金属層144は、突出部/窪み140が沿って延びている加熱チャンバ108の全長と重なっている。このことは、突出部140が金属層144の熱伝導効果によって加熱され、その結果、突出部140が上述した伝導加熱を提供することが可能になることを意味する。金属層144の範囲は、概ね加熱領域の範囲に対応するので、多くの場合、金属層を加熱チャンバ108の上部及び下部(すなわち、開放端及び基部112に最も近い場所)まで延ばす必要はない。上述したように、加熱されることになる基質担体114の領域は、エアロゾル基質128の境界の少し上から始まり基質担体114の端部134に向かって延びているが、多くの場合、基質担体114の端部134は含まない。上述したように、金属層144は、ヒーター124によって発生した熱が、ヒーター124自体が占める領域よりも広い領域に広がるという効果を有する。このことは、その定格W/cm2と、ヒーター124が占める表面積とに基づく名目上の電力よりも、より多くの電力をヒーター124に供給できることを意味する。なぜなら、発生した熱がより広い領域に広がるので、ヒーター124の有効領域は、ヒーター124が実際に占める表面積よりも大きいからである。
加熱ゾーンは、金属層144によって覆われている側壁126の部分によって規定され得るので、ヒーター124を加熱チャンバ108の外側に厳密に配置することはそれほど重要ではない。例えば、ヒーター124を側壁126の上部又は下部から特定の距離に位置合わせする必要がある代わりに、むしろ金属層144を極めて特定された領域に形成し、ヒーター124を金属層144の上部を覆って配置することができ、それにより、上述したように金属層144領域又は加熱ゾーンにわたって熱が広がる。電気めっき又は堆積のためのマスキングプロセスを標準化することは、多くの場合、ヒーター124を厳密に位置合わせすることよりも簡単である。
同様に、側壁126を窪ませることによって形成された突出部140がある場所では、窪みは、加熱チャンバ108の周囲に巻かれたヒーター124と接触することがない側壁126の部分を表し、代わりにヒーター124は窪みを橋渡ししてギャップを残す傾向がある。金属層144は、この効果を軽減させる手助けができる。なぜなら、ヒーター124に直接接触していない側壁126の部分でさえ、金属層144を介した伝導によってヒーター124から熱を受け取るからである。場合によっては、加熱要素164を、例えば、加熱要素164が窪みを横切るが窪みに沿って伸びることはないように構成することによって、加熱要素164と側壁126の外面上の窪みとの間の重なりを最小限にするように構成されていてもよい。他の場合では、ヒーター124は、窪みの上を覆うヒーター124の部分が、加熱要素164の間のギャップとなるように、側壁126の外面上に位置付けられている。窪みの上を覆うヒーター124の影響を軽減させるために選ばれた方法がどれであろうとも、金属層144は、窪みに熱を伝導することによって、その影響を軽減させる。加えて、金属層144は、側壁126の窪んだ領域に追加の厚さを提供し、それにより、これら領域に追加の構造的支持を提供する。実際、金属層126によって提供される追加の厚さは、金属層144によって覆われる全ての部分において薄い側壁126を強化する。
金属層144は、外部表面の側壁126に窪みが形成されて加熱チャンバ108内へと延びる突出部140が設けられるステップの前又は後に形成することができる。金属層の前に窪みを形成することが好ましい。なぜなら、いったん金属層144が形成されると、アニーリングなどの工程が金属層144を損傷する傾向があり、金属層144と組み合わ
せると側壁126の厚さが増加することに起因して、側壁126を打抜き加工して突出部140を形成することがより困難になるからである。しかしながら、金属層144が側壁126上に形成される前に窪みが形成される場合は、金属層144が窪みを越えて(すなわち、上方及び下方に)延びるように金属層144を形成することは遥かに容易である。なぜなら、金属層が窪み内へと延びるように側壁126の外部表面をマスクすることは困難だからである。マスキングと側壁126との間にいかなるギャップがあっても、金属層144がマスキングの下に堆積する可能性がある。
ヒーター124の周囲には、断熱層146が巻かれている。この層146は張力を受けているので、ヒーター124に圧縮力を提供し、ヒーター124を側壁126の外部表面に対して堅く保持する。有利には、この断熱層146は熱収縮材料である。これにより、断熱層146を加熱チャンバの周囲に(ヒーター124、金属層144などの上に)堅く巻き付けてから加熱することが可能になる。加熱すると、断熱層146は縮み、加熱チャンバ108の側壁126の外部表面に対してヒーター124を堅く押し付ける。これにより、ヒーター124と側壁126との間のいかなるエアギャップも排除され、ヒーター124は側壁との非常に良好な熱接触に保持される。その結果、良好な効率が保証される。なぜなら、ヒーター124によって生成された熱は側壁(及び続いてエアロゾル基質128)の加熱をもたらし、空気の加熱に浪費されること又は他の形で漏れることがないからである。
好ましい実施形態では、熱収縮材料、例えば、一方向にのみ収縮する処理済みポリイミドテープが使用される。例えば、ポリイミドテープの例では、テープは、長さ方向にのみ収縮するように構成され得る。これは、テープを加熱チャンバ108及びヒーター124の周囲に巻き付けることができ、加熱すると縮み、ヒーター124を側壁126に押し付けることになることを意味する。断熱層146は長さ方向に収縮するので、このようにして発生する力は均一であり、内向きに向いている。テープが横方向(幅)方向に収縮する場合には、これによりヒーター124又はテープ自体に皺が生じる可能性がある。これは次いでギャップを導入し、エアロゾル発生装置100の効率を低下させるであろう。
図3~図6を参照すると、基質担体114は、外層132内に包まれたエアロゾル収集領域130と共に、事前にパッケージ化された量のエアロゾル基質128を含む。エアロゾル基質128は、基質担体114の第1の端部134の方に位置している。エアロゾル基質128は、外層132内の基質担体114の全幅にわたって延びている。エアロゾル基質はまた、基質担体114に沿って途中で互いに当接し、境界で出会う。全体として、基質担体114は略円筒形である。図1及び図2では、エアロゾル発生装置100は基質担体114なしで示されている。図3及び図4では、基質担体114はエアロゾル発生装置100の上方に示されているが、エアロゾル発生装置100内には装填されていない。図5及び図6では、エアロゾル発生装置100に装填されている基質担体114が示されている。
ユーザがエアロゾル発生装置100を使用することを望んだ場合、ユーザは最初にエアロゾル発生装置100に基質担体114を装填する。これは、基質担体114を加熱チャンバ108内へと挿入することを伴う。基質担体114は、エアロゾル基質128が位置する方にある基質担体114の第1の端部134が、加熱チャンバ108内に入るように方向付けられて、加熱チャンバ108内へと挿入される。基質担体114は、基質担体114の第1の端部134が、加熱チャンバ108の基部112から内向きに延びるプラットフォーム148に接して静止するまで、すなわち、基質担体114がそれ以上、加熱チャンバ108内へと挿入されることができなくなるまで、加熱チャンバ108内へと挿入される。示される実施形態では、上述したように、突出部140の上側エッジ142aと、エアロゾル基質128及び基質担体114の圧縮性がより低い隣接領域の境界との間の
相互作用から追加の効果があり、これにより、基質担体114がエアロゾル発生装置100内へと十分に深くまで挿入されたことがユーザに警告される。図3及び図4から、基質担体114が加熱チャンバ108内へと可能な限り深く挿入された場合、基質担体114の長さの一部分のみが加熱チャンバ108の内側にあることが分かるであろう。基質担体114の長さの残部は、加熱チャンバ108から突出している。基質担体114の長さの残部の少なくとも一部分もまた、エアロゾル発生装置100の第2の端部106から突出している。第1の実施形態では、基質担体114の長さの残部の全てが、エアロゾル発生装置100の第2の端部106から突出している。すなわち、加熱チャンバ108の開放端110は、エアロゾル発生装置100の第2の端部106と一致している。他の実施形態では、基質担体114のいかなる部分も又は実質的にいかなる部分もエアロゾル発生装置100から突出しないように、基質担体114の全て又は実質的に全てがエアロゾル発生装置100内に収容されてもよい。
基質担体114が加熱チャンバ108内に挿入された状態で、基質担体114内のエアロゾル基質128は、少なくとも部分的に加熱チャンバ108内に配置されている。第1の実施形態では、エアロゾル基質128は完全に加熱チャンバ108内にある。実際、基質担体114内の事前にパッケージ化された量のエアロゾル基質128は、基質担体114の第1の端部134から基質担体114に沿って、加熱チャンバ108の基部112から開放端110までの加熱チャンバ108の内部高さにほぼ(或いは厳密に)等しい距離だけ延びるように構成されている。これは、加熱チャンバ108の内側にある、加熱チャンバ108の側壁126の長さと実効的に同じである。
基質担体114がエアロゾル発生装置100に装填された状態で、ユーザは、ユーザ操作可能ボタン116を使用してエアロゾル発生装置100のスイッチを入れる。これにより、電源120からの電力が、制御回路122を介して(及びその制御下で)ヒーター124に供給される。ヒーター124は、突出部140を介してエアロゾル基質128内へと熱を伝導させ、エアロゾル基質128を、エアロゾル基質128が蒸気を放出し始めることができる温度まで加熱する。いったん蒸気が放出され始めることができる温度まで加熱されたら、ユーザは、基質担体114の第2の端部136を通して蒸気を吸引することにより蒸気を吸入することができる。すなわち、蒸気は、加熱チャンバ108内の基質担体114の第1の端部134に位置するエアロゾル基質128から発生し、基質担体114の長さに沿って、基質担体114内の蒸気収集領域130を通って基質担体の第2の端部136まで引き込まれ、そこでユーザの口に入る。この蒸気の流れが、図6の矢印Aで示される。
ユーザが図6の矢印Aの方向に蒸気を吸引すると、蒸気は、加熱チャンバ108内のエアロゾル基質128の近傍から流れることが理解されるであろう。この動作により、周囲空気が、エアロゾル発生装置100を取り囲む環境から(図6の矢印Bによって示され、図6(a)により詳細に示される流路を介して)加熱チャンバ108内へと引き込まれる。次いで、この周囲空気はヒーター124によって加熱され、この周囲空気は次にエアロゾル基質128を加熱してエアロゾルを発生させる。より具体的には、第1の実施形態では、空気は、加熱チャンバ108の側壁126と基質担体114の外層132との間に設けられた空間を通って加熱チャンバ108に入る。この目的のために、基質担体114の外径は、加熱チャンバ108の内径よりも小さい。より具体的には、第1の実施形態では、加熱チャンバ108は、10mm以下、好ましくは8mm以下、最も好ましくは約7.6mmの内径(例えば、突出部が設けられていない場所で、例えば、突出部140が存在しない場合、又は突出部140の間で)を有する。これにより、基質担体114は、約7.0mm(±0.1mm)の直径を有することが可能になる(突出部140によって圧縮されていない所で)。これは、21mm~22mm、より好ましくは21.75mmの外周に対応する。換言すれば、基質担体114と加熱チャンバ108の側壁126との間の
間隔は、最も好ましくは約0.1mmである。他の変形形態では、間隔は少なくとも0.2mmであり、いくつかの実施例では最大で0.3mmである。図6の矢印Bは、空気が加熱チャンバ108内へと引き込まれる方向を示す。
ユーザがユーザ操作可能ボタン116を作動させることによってエアロゾル発生装置100を起動させた場合、エアロゾル発生装置100は、エアロゾル基質128を、エアロゾル基質128の一部の気化を生じさせるのに十分な温度に加熱する。より詳細には、制御回路122は、電力を電力源120からヒーター124に供給して、エアロゾル基質128を第1の温度に加熱する。エアロゾル基質128が第1の温度に達すると、エアロゾル基質128の成分が気化し始める。すなわち、エアロゾル基質は蒸気を生成する。いったん蒸気が生成されていると、ユーザは、基質担体114の第2の端部136を通して蒸気を吸入することができる。いくつかのシナリオでは、エアロゾル発生装置100がエアロゾル基質128を第1の温度に加熱するのに、そしてエアロゾル基質128が蒸気を生成し始めるのに、一定の時間を要することをユーザは知っていてもよい。これは、ユーザがいつ蒸気の吸入を開始するかを自分で判断できることを意味する。他のシナリオでは、エアロゾル発生装置100は、蒸気が吸入のために利用可能であるという指標をユーザに発するように構成されている。実際、第1の実施形態では、エアロゾル基質128が初期の一定期間にわたって第1の温度にあった場合に、制御回路122はユーザ操作可能ボタン116を点灯させる。他の実施形態では、指標は、音声を発生させることによって、又はバイブレータを振動させることによってなど、別の指標によって提供される。同様に、他の実施形態では、指標は、ヒーター124が動作温度に達すると直ぐに、又は他の何らかの事象に続いて、起動されているエアロゾル発生装置100から、固定した一定期間の後に提供される。
ユーザは、エアロゾル基質128が蒸気を生成し続けることができる間は常に、例えば、好適な蒸気に気化させるための気化可能な成分がエアロゾル基質128に残っている間は常に、蒸気を吸入し続けることができる。制御回路122は、ヒーター124に供給される電力を調整して、エアロゾル基質128の温度が閾値レベルを超えないことを確実にしている。具体的には、エアロゾル基質128の構成に依存する特定の温度において、エアロゾル基質128は燃え始めることになる。これは望ましい効果ではなく、この温度以上の温度は回避される。これを手助けするために、エアロゾル発生装置100には温度センサ(図示せず)が設けられている。制御回路122は、エアロゾル基質128の温度の指標を温度センサから受け取り、その指標を使用して、ヒーター124に供給される電力を制御するように構成されている。例えば、1つのシナリオでは、制御回路122は、ヒーター又はチャンバが第1の温度に達するまで、初期の一定期間にわたってヒーター124に最大電力を提供する。続いて、いったんエアロゾル基質128が第1の温度に達すると、制御回路122は、エアロゾル基質128が、第1の温度よりも低い第2の温度に達するまで、第2の一定期間にわたってヒーター124への電力の供給を停止する。続いて、ヒーター124が第2の温度に達すると、制御回路122は、ヒーター124が再び第1の温度に達するまで、第3の一定期間にわたってヒーター124に電力を供給し始める。これは、エアロゾル基質128が使い尽くされる(すなわち、加熱によって発生され得る全てのエアロゾルが既に発生されている)まで、又はユーザがエアロゾル発生装置100の使用を停止するまで続いてもよい。別のシナリオでは、いったん第1の温度に達すると、制御回路122は、エアロゾル基質128を第1の温度に維持するが、エアロゾル基質128の温度を上昇させないように、ヒーター124に供給される電力を低減させる。
ユーザによる単一の吸入は、一般に「パフ」と呼ばれる。いくつかのシナリオでは、タバコの喫煙経験をエミュレートすることが望ましい。これは、エアロゾル発生装置100が、典型的には、10~15パフを提供するのに十分なエアロゾル基質128を保持することが可能であることを意味する。
いくつかの実施形態では、制御回路122は、パフをカウントし、ユーザが10~15回のパフを行った後にヒーター124をオフにするように構成されている。パフのカウントは、様々な方法のうちの1つで実行される。いくつかの実施形態では、制御回路122は、パフ中に温度がいつ低下したかを判定する。これは、新鮮で冷たい空気が温度センサ170を通過して流れるにつれて冷却が引き起こされ、これが温度センサによって検出されることによる。他の実施形態では、空気流は、流れ検出器を使用して直接検出される。他の好適な方法が、当業者には明らかであろう。他の実施形態では、制御回路は、加えて又は代わりに、最初のパフから所定の時間が経過した後にヒーター124をオフにする。これは、消費電力を低減させることと、所定の数のパフが行われたことをパフカウンターが正しく登録できなかった場合にスイッチをオフにするためのバックアップを提供することとの両方に役立つ。
いくつかの例では、制御回路122は、完了するのに所定の時間が掛かる所定の加熱サイクルに従うように、ヒーター124に電力を供給するように構成されている。いったんサイクルが完了すると、ヒーター124は完全にオフにされる。場合によっては、このサイクルは、ヒーター124と温度センサ170との間のフィードバックループを利用してもよい。例えば、加熱サイクルは一連の温度によってパラメータ化されてもよく、その温度までヒーター124(又は、より正確には温度センサ)が加熱されるか、又は冷却される。そのような加熱サイクルの温度及び持続時間は、エアロゾル基質128の温度を最適化するように経験的に決定することができる。これは必要である。なぜならば、例えば、エアロゾル基質128の外層がコアとは異なる温度である所では、エアロゾル基質の温度の直接測定は非現実的である又は誤解を招く可能性があるからである。
次の例では、最初のパフまでの時間は20秒である。この時点以降、温度が約20秒間にわたって約240℃で一定に保たれるように、ヒーター124に供給される電力のレベルは100%から低減される。次いで、ヒーター124に供給される電力は、温度センサ170によって記録される温度が約200℃となるように更に低減させることができる。この温度は約60秒間、保持される。次に、温度センサ170によって測定される温度が、この場合は約180℃である基質担体114の動作温度まで低下するように、電力レベルを更に低減させてもよい。この温度は140秒間、保持され得る。この時間間隔は、基質担体114が使用され得る時間の長さによって決定されてもよい。例えば、基質担体128は、設定された一定期間の後にエアロゾルの生成を停止してもよく、したがって、温度が180℃に設定される一定期間は、加熱サイクルがこの持続時間にわたって継続することを可能にしてもよい。この時点の後、ヒーター124に供給される電力をゼロに低減させてもよい。ヒーター124がオフにされている時でさえ、ヒーター124がオンの間に発生したエアロゾル又は蒸気は、それをユーザが吸引することによって、依然としてエアロゾル発生装置100から引き出すことができる。したがって、ヒーター124がオフにされている時でさえ、エアロゾル吸入セッションの終了に備えてヒーター124が既にオフにされているにもかかわらず、視覚的指標がオンのままであることによって、この状況がユーザに警告され得る。いくつかの実施形態では、この設定期間は20秒であってもよい。加熱サイクルの合計持続時間は、いくつかの実施形態では、約4分であってもよい。
上記の例示的な熱サイクルは、ユーザによる基質担体114の使用によって変更されてもよい。ユーザが基質担体114からエアロゾルを抽出する時、ユーザの呼吸により、冷気が加熱チャンバ108の開放端を通りヒーター124を通過して加熱チャンバ108の基部112に向かって流れることが促進される。次いで、空気は、基質担体114の先端134を通って基質担体114に入ってもよい。冷気が加熱チャンバ108の空洞内へと入ることにより、以前に存在していた熱気が冷気に置き換えられるのにつれて、温度セン
サ170によって測定される温度は低下する。温度が低下したことを温度センサ170が感知した場合、これを使用して、セルによってヒーターに供給される電力を増加させて、温度センサ170を加熱して、基質担体114の動作温度に戻してもよい。これは、ヒーター124に最大量の電力を供給することによって、又は代わりに、温度センサ170が一定の温度を読み取ることを維持するのに必要な量よりも多い量の電力を供給することによって実現されてもよい。
電源120は、少なくとも、単一の基質担体114中のエアロゾル基質128を最大で第1の温度まで上昇させ、それを第1の温度に維持して、少なくとも10~15回のパフに十分な蒸気を供給するのに十分である。より一般的には、喫煙の経験をエミュレートすることに即して、電源120は普通、このサイクルを10回又は更には20回繰り返す(エアロゾル基質128を第1の温度に上げ、第1の温度及び蒸気発生を10から15パフの間維持する)のに十分であり、これにより、電源120を交換又は再充電する必要が生じる前に、タバコのパケットを喫煙するユーザ経験がエミュレートされる。
一般に、エアロゾル発生装置100の効率は、ヒーター124によって発生する熱の可能な限り多くが、エアロゾル基質128の加熱につながる場合に改善される。この目的のために、エアロゾル発生装置100は、通常、エアロゾル発生装置100の他の部分への熱流を低減させながら、熱をエアロゾル基質128に制御された形で提供するように構成されている。特に、ユーザが取り扱う、エアロゾル発生装置100の部分への熱流は最小限に保たれ、それにより、例えば、本明細書でより詳細に説明する絶縁体によって、これらの部分は冷たく保たれ、把持することが快適に保たれる。
図1~図6、及び付随する説明から、第1の実施形態によれば、エアロゾル発生装置100用の加熱チャンバ108が提供され、加熱チャンバ108は、開放端110、基部112、及び開放端110と基部112との間の側壁126を備え、側壁126は第1の厚さを有し、基部112は第1の厚さよりも大きい第2の厚さを有することが理解できる。側壁126の厚さを低減させることは、加熱チャンバ108を所望の温度に加熱するのに必要なエネルギーを減らすので、エアロゾル発生装置100の電力消費を低減させる手助けをすることができる。
第2の実施形態
ここで、第2の実施形態を、図8を参照して説明する。第2の実施形態のエアロゾル発生装置100は、以下に説明するものを除いて、図1~図6を参照して説明した第1の実施形態のエアロゾル発生装置100と同一であり、同様の特徴を指すために同じ参照番号が使用されている。第2の実施形態のエアロゾル発生装置100は、使用中に空気を加熱チャンバ108内へと引き込むことを可能にする構成を有し、これは第1の実施形態とは異なる。
より詳細には、図8を参照すると、加熱チャンバ108の基部112にチャネル113が設けられている。チャネル113は、基部112の中央に位置している。チャネルは、エアロゾル発生装置100の外部ケーシング102の外側の環境と流体連通するように、基部112を通って延びている。より具体的には、チャネル113は、外部ケーシング102の入口137と流体連通している。
入口137は、外部ケーシング102を貫通して延びている。チャネルは、エアロゾル発生装置100の第1の端部104と第2の端部106との間で、外部ケーシング102の長さに沿って途中まで位置している。第2の実施形態では、外部ケーシングは、制御回路122に近接し外部ケーシング102における入口137と加熱チャンバ108の基部112におけるチャネル113との間にある、空隙139を規定している。空隙139は
、入口137とチャネル113との間の流体連通を提供し、それにより、空気が、外部ケーシング102の外側の環境から、入口137、空隙139、及びチャネル113を介して、加熱チャンバ108内へと通過できる。
使用中、基質担体114の第2の端部136において、ユーザによって蒸気が吸入されるにつれて、エアロゾル発生装置100を取り囲む環境から空気が加熱チャンバ108内へと引き込まれる。より具体的には、空気は、矢印Cの方向に入口139を通過して、空隙139内へと入る。空隙139から、空気は、矢印Dの方向にチャネル113を通過して、加熱チャンバ108内へと入る。これにより、最初に蒸気が、次いで空気と混合された蒸気が、矢印Dの方向に基質担体114を通して引き込まれ、基質担体114の第2の端部136においてユーザによって吸入されることが可能になる。空気は、一般に、加熱チャンバ108に入る際に加熱され、それにより、空気は対流によって、熱をエアロゾル基質128に伝達することを支援する。
加熱チャンバ108を通る空気流路は、第2の実施形態では略線形であり、すなわち、流路は、加熱チャンバ108の基部112から加熱チャンバ108の開放端110まで、概して直線に延びていることが理解されるであろう。第2の実施形態の構成はまた、加熱チャンバ108の側壁126と基質担体との間のギャップを低減させることを可能にしている。実際、第2の実施形態では、加熱チャンバ108の直径は7.6mm未満であり、直径7.0mmの基質担体114と加熱チャンバ108の側壁126との間の間隔は1mm未満である。
第2の実施形態の変形形態では、入口137の位置は異なっている。1つの特定の実施形態では、入口137は、エアロゾル発生装置100の第1の端部104に位置している。これにより、エアロゾル発生装置100全体を通る空気の通過は概ね直線状であることが可能になり、例えば、典型的には使用中にユーザの遠位に向けられる第1の端部104において、空気がエアロゾル発生装置100に入り、エアロゾル発生装置100内のエアロゾル基質128を通って(又は越えて、通過して等)流れて、典型的には使用中にユーザの近位に、例えばユーザの口に向けられる基質担体114の第2の端部136において、ユーザの口の中に入る。
第3の実施形態
ここで、第3の実施形態を、図9を参照して説明する。第3の実施形態の加熱チャンバ108は、以下に説明するものを除いて、図1~図6を参照して説明した第1の実施形態の加熱チャンバ108と同一であってもよく、同様の特徴を指すために同じ参照番号が使用されている。第3の実施形態の加熱チャンバ108が、例えば、加熱チャンバ108の基部112にチャネル113が設けられた第2の実施形態の加熱チャンバ108に対応することも可能であるが、以下に記載されるようなことを除くものであり、これが本開示の更なる実施形態を形成する。
第3の(及び更なる)実施形態の加熱チャンバ108は、それ自体がスタンドアロン型の実施形態であってもよく、以下で強調される利点を実現するために、第4~第9の実施形態の特徴と組み合わせてもよいことに留意されたい。
図9は、エアロゾル発生装置100用の加熱チャンバ108を示す。加熱チャンバ108は、チャンバ側壁126及びチャンバ基部112を備える。チャンバ側壁126及びチャンバ基部112は、加熱チャンバ108の内部容積を規定する。ヒーター124は、チャンバ側壁126と熱接触して位置している。ヒーター124に電力が供給されると、ヒーター124は、チャンバ側壁126及び加熱チャンバ108を加熱し、ヒーターはまた、内部容積を加熱する。内部容積は、基質担体114を収容するように構成されている。
加熱チャンバ108は、基質担体114内に引き込まれた空気が、基質担体114を燃やすことなく、基質担体114のエアロゾル基質128を加熱してエアロゾルを形成するように、空気を加熱するように構成されている。図9はまた、絶縁部材152を示す。絶縁部材152は、絶縁側壁154及び絶縁基部156を備える。絶縁部材152は、チャンバ基部112を含む、加熱チャンバ108の一部分、の周囲に入れ子になっている。絶縁部材152は、加熱チャンバ108が絶縁部材152の内部容積内に位置し得るように、加熱チャンバ108を封入してもよい。絶縁部材152の使用により、ヒーター124によって生成された熱が加熱チャンバ108内に保持されることが可能になる。絶縁部材の使用はまた、絶縁部材152の外側の周囲環境が熱に曝露されないことを確実にする。例えば、いくつかの実施形態では、絶縁部材152の外側に外部ケーシング102が位置していてもよく、絶縁部材152は、外部ケーシング102に伝達される熱を低減させる場合があり、それによりユーザは外部ケーシング102を快適に保持できる。
図9では、絶縁部材152は、絶縁基部156及び絶縁側壁154から構成され、これらが単一のカップ形状の空洞を規定してもよい。実際、いくつかの実施形態では、図9に示すように、絶縁側壁154及び絶縁基部156は一体構造で形成されてもよい。これは、絶縁側壁154及び絶縁基部156が単一の連続した材料で形成されており、別個の部品ではないことを意味する。これは、効率的で効果的な断熱をもたらして、ヒーター124によって放出される熱の大部分が加熱チャンバ108内に留まることを確実にするという利点を有する。
絶縁部材152は、いくつかの材料で形成されてもよい。例えば、絶縁側壁154は、大気圧より低い圧力のガスを含有する絶縁側壁チャンバを備えてもよい。これは、絶縁側壁154はその中に空洞を有するように形成され、その空洞は低圧のガスで充填され、その結果、絶縁側壁154を通る熱の流れが低減され得ることを意味する。効果的な絶縁体として機能するように、圧力は十分に低くてもよい。一実施形態では、絶縁側壁154は真空を含んでもよい。真空は効果的な絶縁体であり、したがって加熱チャンバ108からの熱損失は確実に最小限に抑えられる。絶縁側壁152が真空を含む場合、絶縁側壁は1mm未満の厚さを有してもよい。絶縁側壁は、厚さ0.1mmの外層と、0.1mmの内層と、外層と内層との間に挟まれた厚さ0.8mmの真空とから構成されてもよい。一実施形態では、真空は0.1mmの厚さを有して、絶縁側壁154の厚さが0.3mmになってもよい。これにより、エアロゾル発生装置をより小さくすることが可能になり、したがって、ユーザがより容易に持ち運びできるようになり得る。
絶縁基部156は、大気圧より低い圧力のガスを含有する絶縁基部チャンバを備えてもよい。これは、絶縁基部156はその中に空洞を有するように形成され、その空洞は低圧のガスで充填され、その結果、絶縁基部156を通る熱の流れが低減され得ることを意味する。効果的な絶縁体として機能するように、圧力は十分に低くてもよい。一実施形態では、絶縁基部156は真空を含んでもよい。真空は効果的な絶縁体であり、したがって加熱チャンバ108からの熱損失は確実に最小限に抑えられる。絶縁基部156が真空を含む場合、それは1mm未満の厚さを有してもよい。これは、厚さ0.1mmの外層と、0.1mmの内層と、外層と内層との間に挟まれた厚さ0.8mmの真空とから構成されてもよい。一実施形態では、真空は0.1mmの厚さを有して、絶縁基部156の厚さが0.3mmになってもよい。これにより、エアロゾル発生装置をより小さくすることが可能になり、したがって、ユーザがより容易に持ち運びできるようになり得る。
絶縁側壁154及び絶縁基部156が一体構造である場合、絶縁部材152が単一の真空で形成されることが特に有利であり得る。したがって、この真空は、絶縁側壁154の周囲及び絶縁基部156を通って延びていてもよい。これにより、熱が加熱チャンバ108内に保持されることが可能になり得る。加えて、絶縁側壁154及び絶縁基部156を
このように形成することにより、絶縁側壁154と絶縁基部156との間の接合部に形成されるいかなる熱橋も防止され、熱は、組み合わされた絶縁部材152の外部境界の周囲に伝導され、それにより、熱が加熱チャンバ108から逃げるために移動しなければならない経路が伸びることにより、絶縁効果が改善される。
他の実施形態では、絶縁側壁154及び絶縁基部156は、シリコーン、綿、エアロゲル、発泡体、繊維材料、又はガラス繊維(又はそのような材料の2つ以上の混合物、又はその等価物)で形成されてもよく、又はそれらで充填されてもよい。
絶縁側壁154の内壁は、放射率を低減させるように処理されてもよい。例えば、絶縁側壁154の内壁は、加熱チャンバ108から絶縁部材152に放出された放射を、加熱チャンバ108に向けて反射して戻すために、反射材料でコーティングされてもよい。
第4の実施形態
ここで、第4の実施形態を、図10を参照して説明する。第4の実施形態の加熱チャンバ108は、以下に説明するものを除いて、図1~図6を参照して説明した第1の実施形態の加熱チャンバ108と同一であってもよく、同様の特徴を指すために同じ参照番号が使用されている。第4の実施形態の加熱チャンバ108が、例えば、加熱チャンバ108の基部112にチャネル113が設けられた第2の実施形態の加熱チャンバ108に対応することも可能であるが、以下に記載されるようなことを除くものであり、これは本開示の更なる実施形態を形成する。
しかしながら、第4の(及び更なる)実施形態の加熱チャンバ108は、それ自体がスタンドアロン型の実施形態であってもよく、以下で強調される利点を実現するために、第5~第9の実施形態の特徴と組み合わせてもよいことに留意されたい。
図10は、絶縁側壁154及び絶縁基部156が別個の部材であることを除いて、図9と類似の構成を示す。絶縁側壁154と絶縁基部156とは一緒に接合されてもよいが、図10ではそれらは一体構造ではない。いくつかの実施形態では、絶縁側壁154は、絶縁基部156よりも低い熱伝導率を有してもよい。例えば、絶縁側壁154は真空を含んでもよいが、一方で、絶縁基部156は異なる絶縁体を含んでもよい。いくつかの実施形態では、絶縁基部156は可撓性部材であって、加熱要素164用の電気接続部、例えば電気接続部150、に対してフィードスルーを可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、絶縁基部156はシリコーンで形成されてもよい。
第5の実施形態
ここで、第5の実施形態を、図11を参照して説明する。第5の実施形態の加熱チャンバ108は、以下に説明するものを除いて、図1~図6を参照して説明した第1の実施形態の加熱チャンバ108と同一であってもよく、同様の特徴を指すために同じ参照番号が使用されている。第5の実施形態の加熱チャンバ108が、例えば、加熱チャンバ108の基部112にチャネル113が設けられた第2の実施形態の加熱チャンバ108に対応することも可能であるが、以下に記載されるようなことを除くものであり、これは本開示の更なる実施形態を形成する。
第5の(及び更なる)実施形態の加熱チャンバ108は、それ自体がスタンドアロン型の実施形態であってもよく、以下で強調される利点を実現するために、第6~第9の実施形態の特徴と組み合わせてもよいことに留意されたい。
図11は、絶縁基部156に熱伝導係合している加熱チャンバ108を示す。絶縁部材152は一体構造であってもよい、又は絶縁側壁154及び絶縁基部156は別個の部材
を備えてもよい。図11は、絶縁部材152の開放端に向かって隆起した、絶縁基部156上の突出部を備える、絶縁基部156を示す。突出部は、絶縁基部156を変形させることによって形成されてもよい、又は追加の材料の一部を絶縁基部156に取り付けることによって形成されてもよい。チャンバ基部112と絶縁基部152との間の熱係合は、チャンバ基部112が過度に高い温度に到達しないことを確実にし得る。例えば、いくつかの実施形態では、チャンバ基部112での温度を加熱チャンバ108の他の場所よりも低く保つことが有益である。なぜなら、基質担体114中に位置するエアロゾル基質128のチャンバ基部112の近くに配置された場合、そのいずれかが燃える確率を低下させ得るからである。絶縁基部156からの突出部の使用は、チャンバ基部112から絶縁基部156に伝達される熱の量を制限するように機能することができ、熱は加熱チャンバ108内に保持される。
第6の実施形態
ここで、第6の実施形態を、図12を参照して説明する。第6の実施形態の加熱チャンバ108は、以下に説明するものを除いて、図1~図6を参照して説明した第1の実施形態の加熱チャンバ108と同一であってもよく、同様の特徴を指すために同じ参照番号が使用されている。第6の実施形態の加熱チャンバ108が、例えば、加熱チャンバ108の基部112にチャネル113が設けられた第2の実施形態の加熱チャンバ108に対応することも可能であるが、以下に記載されるようなことを除くものであり、これは本開示の更なる実施形態を形成する。
しかしながら、第6の(及び更なる)実施形態の加熱チャンバ108は、それ自体がスタンドアロン型の実施形態であってもよく、以下で強調される利点を実現するために、第7~第9の実施形態の特徴と組み合わせてもよいことに留意されたい。
図12は、絶縁基部156の上部に載っているチャンバ基部112によって、絶縁基部156に熱伝導係合している加熱チャンバ108を示す。これにより、チャンバ基部112と絶縁基部156との間に大きな接触領域が構築される。これを使用して、加熱チャンバ108内のチャンバ基部112の近くの温度を低下させるように、絶縁基部156に伝達される熱の量を増加させてもよい。いくつかの実施形態では、チャンバ基部112と絶縁基部156との間に小さなエアギャップがあってもよい。
第7の実施形態
ここで、第7の実施形態を、図13を参照して説明する。第7の実施形態の加熱チャンバ108は、以下に説明するものを除いて、図1~図6を参照して説明した第1の実施形態の加熱チャンバ108と同一であってもよく、同様の特徴を指すために同じ参照番号が使用されている。第7の実施形態の加熱チャンバ108が、例えば、加熱チャンバ108の基部112にチャネル113が設けられた第2の実施形態の加熱チャンバ108に対応することも可能であるが、以下に記載されるようなことを除くものであり、これは本開示の更なる実施形態を形成する。
しかしながら、第7の(及び更なる)実施形態の加熱チャンバ108は、それ自体がスタンドアロン型の実施形態であってもよく、以下で強調される利点を実現するために、第8~第9の実施形態の特徴と組み合わせてもよいことに留意されたい。
図13は、チャンバ側壁126がチャンバ基部112と共に加熱チャンバ108を形成していることを示し、加熱チャンバ108は絶縁側壁154及び絶縁基部156によって取り囲まれ、絶縁基部156は可撓性であって、加熱要素164の電気接続部150が絶縁基部156の周辺に嵌まることが可能である。ヒーター124は、ヒーター124から下方に延びる、加熱要素164の電気接続部150を備えてもよい。絶縁基部156の外
側に電源120が位置しているので、加熱要素164の電気接続部150は、したがって、絶縁基部156から出る必要がある。図13に示す実施形態では、絶縁基部156は可撓性であり、その結果、絶縁基部156と絶縁側壁154との間に空間を作り出すように絶縁基部156が処置されてもよく、そこを通して加熱要素164の電気接続部150が延びてもよい。いくつかの実施形態では、絶縁基部156と絶縁側壁154とが一緒に接合される前に、電気接続部150がその空間に置かれてもよい。
第8の実施形態
ここで、第8の実施形態を、図14を参照して説明する。第8の実施形態の加熱チャンバ108は、以下に説明するものを除いて、図1~図6を参照して説明した第1の実施形態の加熱チャンバ108と同一であってもよく、同様の特徴を指すために同じ参照番号が使用されている。第8の実施形態の加熱チャンバ108が、例えば、加熱チャンバ108の基部112にチャネル113が設けられた第2の実施形態の加熱チャンバ108に対応することも可能であるが、以下に記載されるようなことを除くものであり、これは本開示の更なる実施形態を形成する。
しかしながら、第8の(及び更なる)実施形態の加熱チャンバ108は、それ自体がスタンドアロン型の実施形態であってもよく、以下で強調される利点を実現するために、第9の実施形態の特徴と組み合わせてもよいことに留意されたい。
図14は、チャンバ側壁126がチャンバ基部112と共に加熱チャンバ108を形成していることを示し、加熱チャンバ108は絶縁側壁154及び絶縁基部156によって取り囲まれ、絶縁基部156は空隙又は穴を含み、そこを加熱要素164の電気接続部150が通っている。この実施形態は、図13に示すものに類似している。主な違いは、絶縁基部156が空隙、穴、又は空洞を備え、そこを通して電気接続部150が延びてもよいことである。例えば、空隙は、絶縁基部156のほぼ中央を通るように位置してもよく、電気接続部150は、空隙を通って延びるように配置されてもよい。
第9の実施形態
ここで、第9の実施形態を、図15を参照して説明する。第9の実施形態の加熱チャンバ108は、以下に説明するものを除いて、図1~図6を参照して説明した第1の実施形態の加熱チャンバ108と同一であってもよく、同様の特徴を指すために同じ参照番号が使用されている。第9の実施形態の加熱チャンバ108が、例えば、加熱チャンバ108の基部112にチャネル113が設けられた第2の実施形態の加熱チャンバ108に対応することも可能であるが、以下に記載されるようなことを除くものであり、これは本開示の更なる実施形態を形成する。
しかしながら、第9の(及び更なる)実施形態の加熱チャンバ108は、それ自体がスタンドアロン型の実施形態であってもよいことに留意されたい。
図15は、チャンバ側壁126がチャンバ基部112と共に加熱チャンバ108を形成していることを示し、加熱チャンバ108は、絶縁側壁154及び絶縁基部156によって取り囲まれ、加熱チャンバ108は、電気接続部150を有するヒーター124を備え、電気接続部150は、絶縁部材152の上部の周辺に延びている。図15の絶縁基部156は、穴を特徴とはしていない。むしろ、電気接続部150は曲げられて、絶縁部材152の開放端に向かって延びている。次いで、電気接続部150は、絶縁部材150の上部の周辺に延びて、電源120に至る。
定義及び代替実施形態
上述した説明から、様々な実施形態の多くの特徴が互いに交換可能であることが理解さ
れるであろう。本開示は、様々な実施形態からの特徴を、具体的に言及されていない形態で一緒に組み合わせた特徴を含む、更なる実施形態に及ぶ。例えば、第3~第5の実施形態は、図1~図6に示すプラットフォーム148を持たない。このプラットフォーム148が、第3~第5の実施形態に含まれることにより、それらの図に関連して説明されたプラットフォーム148の利点がもたらされてもよい。
図9~図15は、エアロゾル発生装置100から分離された、加熱チャンバ108及び絶縁体152、154、156を示す。これにより、絶縁体152、154、156、及び加熱チャンバ108に関して記載された有利な特徴が、エアロゾル吸入装置100の他の特徴とは独立していることが強調される。特に、絶縁体152、154、156の用途は多く、その全てが、本明細書に記載される蒸気吸入装置100に結び付けられているわけではない。そのような設計は、絶縁部材152によってもたらされる改善された断熱から恩恵を受けることができる。そのような用途には、有利には、本明細書に記載される加熱チャンバが提供される。
「ヒーター」という用語は、エアロゾル基質128からエアロゾルを形成するのに十分な熱エネルギーを出力するための任意の装置を意味すると理解されるべきである。ヒーター124からエアロゾル基質128への熱エネルギーの伝達は、伝導性、対流性、放射性、又はこれら手段の任意の組み合わせであり得る。非限定的な例として、導電性ヒーターが、エアロゾル基質128に直接接触して押し付けてもよく、又は別個の構成要素に接触し、別個の構成要素自体が伝導、対流、及び/又は放射によってエアロゾル基質128の加熱を生じさせてもよい。対流加熱は、液体又は気体を加熱することを含む場合があり、その結果、熱エネルギーが(直接的又は間接的に)エアロゾル基質に伝達される。
放射加熱は、電磁スペクトルの紫外線、可視光、赤外線、マイクロ波、又は無線部分で電磁放射を放出することによって、エネルギーをエアロゾル基質128に伝達することを含むが、これに限定されない。このようにして放出された放射は、エアロゾル基質128によって直接吸収されて加熱を生じさせてもよく、又は放射は、サセプタ又は蛍光材料などの別の材料によって吸収され、その結果、放射は、異なる波長又はスペクトルの重み付けで再放出されてもよい。場合によっては、放射は材料によって吸収されてもよく、次いで材料が熱を伝導、対流、及び/又は放射の任意の組み合わせによってエアロゾル基質128に伝達する。
ヒーターは、電気的に駆動されるか、燃焼により駆動されるか、又は任意の他の好適な手段で駆動されてもよい。電気駆動ヒーターは、抵抗性トラック要素(任意選択で絶縁パッケージングを含む)、誘導加熱システム(例えば、電磁石及び高周波発振器を含む)などを含んでもよい。ヒーター128は、エアロゾル基質128の外側の周囲に構成されてもよく、エアロゾル基質128内へと途中まで又は完全に入り込んでもよく、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。
「温度センサ」という用語は、エアロゾル発生装置100の一部分の絶対温度又は相対温度を決定することが可能な要素を説明するために使用される。これは、熱電対、サーモパイル、サーミスタなどを含み得る。温度センサは、別の構成要素の一部として提供されてもよく、又は別個の構成要素であってもよい。いくつかの例では、複数の温度センサが設けられて、例えば、エアロゾル発生装置100の様々な部分の加熱を監視すること、例えば熱プロファイルを決定することができる。
制御回路122は、エアロゾル発生装置100をトリガーしてオンするための単一のユーザ操作可能ボタン116を有するものとして、全体を通して示されている。これにより、制御は単純に保たれ、ユーザがエアロゾル発生装置100を誤用する、又はエアロゾル
発生装置100を正しく制御することに失敗する可能性が低減する。しかしながら、場合によっては、ユーザが利用可能な入力制御は、例えば、温度を、例えば事前に設定された制限内で制御して、蒸気の風味バランスを変化させる、又は例えば省電力モードと急速加熱モードとを切り替えるために、これよりも複雑な場合がある。
上述した実施形態を参照すると、エアロゾル基質128は、タバコを、例えば乾燥した又はキュアした形態で含み、場合によっては、風味のための、又はより滑らかな若しくはより楽しい経験を提供する、追加の成分を有する。いくつかの例では、タバコなどのエアロゾル基質128は、気化剤で処理されてもよい。気化剤は、エアロゾル基質からの蒸気の発生を改善し得る。気化剤は、例えば、グリセロールなどのポリオール、又はプロピレングリコールなどのグリコールを含んでもよい。場合によっては、エアロゾル基質はタバコ又はニコチンさえも含まなくてもよいが、代わりに、風味付け、揮発性、滑らかさの改善、及び/又は他の満足を与える効果を提供するための天然の又は人工由来の成分を含んでもよい。エアロゾル基質128は、細断された、ペレット状の、粉末状の、粒状の、ストリップ又はシート形態、任意選択でこれらの組み合わせの固体又はペーストタイプの材料として提供されてもよい。同様に、エアロゾル基質128は、液体又はゲルであってもよい。実際、いくつかの例では、固体部分と液体/ゲル部分の両方が含まれる場合がある。
したがって、エアロゾル発生装置100を、「加熱式タバコ装置」、「加熱非燃焼式タバコ装置」、「タバコ製品気化用装置」などと等しく呼ぶことができ、これらの効果を実現するのに好適な装置として解釈される。本明細書に開示される特徴は、任意のエアロゾル基質を気化させるように設計された装置に等しく適用可能である。
エアロゾル発生装置100の実施形態は、エアロゾル基質128を、事前にパッケージ化された基質担体114内に収容するように構成されていると説明される。基質担体114は、好適な形態で構成されたエアロゾル基質を有する管状領域を有する紙巻きタバコに概ね類似していてもよい。一部の設計には、フィルター、蒸気収集領域、冷却領域、及びその他の構造も含まれる場合がある。紙の外層、又は例えばホイルなどの他の柔軟な平面材料の外層も設けて、例えば、エアロゾル基質を所定位置に保持して、紙巻きタバコなどとの類似性を更に高めてもよい。
本明細書で使用する場合、「流体」という用語は、液体、ペースト、ゲル、粉末などを含むがこれらに限定されない流動可能なタイプの非固形材料を総称して説明するものとして解釈されるものとする。それに応じて、「流動化された材料」は、本質的に流体である材料として、又は流体として振る舞うように改質された材料として解釈されるものとする。流動化は、粉末化、溶媒への溶解、ゲル化、増粘化、減粘化などを含んでもよいが、これらに限定されない。
本明細書で使用する場合、「揮発性」という用語は、固体又は液体状態から気体状態へと容易に変化することが可能な物質を意味する。非限定的な例として、揮発性物質は、周囲気圧において室温に近い沸騰又は昇華温度を有するものであり得る。したがって、「揮発する」又は「揮発する」は、(材料を)揮発させること、及び/又は蒸気中に蒸発又は分散させることを意味すると解釈されるものとする。
本明細書で使用する場合、「蒸気(vapour)」(又は「蒸気(vapor)」)という用語は、以下を意味する:(i)液体が、十分な程度の熱の作用によって自然に変換される形態;又は(ii)大気中に浮遊し、湯気/煙の雲として見える液体/湿気の粒子;又は(iii)気体のように空間を満たすが、臨界温度を下回っている時は圧力だけで液化できる流体。
この定義と整合して、「気化させる(vaporise)」(又は「気化させる(vaporize)」)という用語は、以下を意味する:(i)蒸気へと変化させる、又は蒸気への変化を生じさせる;及び(ii)粒子が物理状態を変化させる場合(すなわち、液体又は固体から気体状態へと)。
本明細書で使用する場合、「噴霧する(atomise)」(又は「噴霧する(atomize)」)という用語は、以下を意味するものとする:(i)(物質、特に液体を)非常に小さな粒子又は液滴へと変えること;及び(ii)粒子が、噴霧前と同じ物理状態(液体又は固体)のままである場合。
本明細書で使用する場合、「エアロゾル」という用語は、ミスト、霧、又は煙など、空気又はガス中に分散された粒子系を意味するものとする。それに応じて、「エアロゾル化する(aerosolise)」(又は「エアロゾル化する(aerosolize)」)という用語は、エアロゾルにすること、及び/又はエアロゾルとして分散させることを意味する。エアロゾル/エアロゾル化するの意味は、上記で定義した、揮発する、噴霧する、及び気化させるの各々と整合することに留意されたい。誤解を回避するために、エアロゾルは、霧化された、揮発された、又は気化された粒子を含むミスト又は液滴を一貫して説明するために使用される。エアロゾルはまた、噴霧された、揮発された、又は気化された粒子の任意の組み合わせを含むミスト又は液滴も含む。

Claims (16)

  1. エアロゾル発生装置(100)用の加熱チャンバ(108)であって、前記加熱チャンバ(108)は、
    チャンバ側壁(126)と、
    チャンバ基部(112)であって、前記チャンバ側壁(126)及び前記チャンバ基部(112)が共に、前記加熱チャンバ(108)の内部容積を規定する、チャンバ基部(112)と、
    前記チャンバ側壁(126)と熱接触しているヒーター(124)と、
    絶縁側壁(154)及び絶縁基部(156)を備える絶縁部材(152)であって、前記チャンバ基部(112)を含む、前記加熱チャンバ(108)の一部分が、前記絶縁部材(152)の内側で入れ子になるように構成されている、絶縁部材(152)と、を備える、加熱チャンバ(108)。
  2. 前記絶縁側壁(154)は、前記絶縁基部(156)よりも低い熱伝導率を有する、請求項1に記載の加熱チャンバ(108)。
  3. 前記チャンバ基部(112)は、前記絶縁基部(156)から間隔を空けて配置されている、請求項1又は2に記載の加熱チャンバ(108)。
  4. 前記絶縁部材(152)は、中空の内部と開放された上部とを有するカップ形状を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)。
  5. 前記絶縁側壁(154)及び絶縁基部(156)のうちの少なくとも1つは、それぞれ、大気圧より低い圧力のガスを含有する、絶縁側壁チャンバ及び/又は絶縁基部チャンバを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)。
  6. 前記少なくとも1つの前記絶縁側壁チャンバ及び前記絶縁基部チャンバは真空を含む、請求項5に記載の加熱チャンバ(108)。
  7. 前記絶縁基部(156)は可撓性部材であって、電気コネクタ(150)に対してフィードスルーを可能にしている、請求項1~6のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)。
  8. 前記可撓性部材はシリコーンで形成されている、請求項7に記載の加熱チャンバ(108)。
  9. 前記絶縁基部(156)と前記絶縁側壁(154)とが単一のカップ形状の空洞を規定している、請求項4~8のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)。
  10. 前記ヒーター(124)は、電力を受け取るための電気接続部(150)を備え、前記電気接続部(150)は、前記絶縁基部(156)を通って延びている、請求項1~9のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)。
  11. 前記ヒーター(124)は、電力を受け取るための電気接続部(150)を備え、前記電気接続部(150)は、前記絶縁側壁(154)の上部の周辺に延びている、請求項1~10のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)。
  12. 前記絶縁側壁(140)の内面は、放射率を低減させるように処理されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)。
  13. 前記ヒーター(124)は、前記側壁(126)の周辺に延びているが、前記基部(112)の周辺には延びていない、請求項1~12のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)。
  14. 電源(120)と、
    外部ケーシング(102)と、
    前記外部ケーシング(102)の内側に位置する、請求項1~13のいずれか一項に記載の加熱チャンバ(108)と、
    前記電源(120)から前記ヒーター(124)への電力の供給を制御するように構成されている制御回路(122)と、を備える、エアロゾル発生装置(100)。
  15. 前記絶縁側壁(154)の外向きに面する表面と前記外部ケーシング(102)との間にあって前記絶縁部材(152)を所定位置に保持する弾性変形可能部材(160)を更に備える、請求項14に記載のエアロゾル発生装置(100)。
  16. 前記絶縁部材(152)は、前記絶縁部材(152)と前記外部ケーシング(102)との間を伸びる支柱によって支持されている、請求項15に記載のエアロゾル発生装置(100)。
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