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JP2024093463A - 膀胱癌に関連した変異dnaの分析方法、並びにそのためのデジタルpcr用プライマー及びプローブ - Google Patents

膀胱癌に関連した変異dnaの分析方法、並びにそのためのデジタルpcr用プライマー及びプローブ Download PDF

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Tooru Nishizuka
正和 阿部
Masakazu Abe
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Abstract

【課題】膀胱癌診療における課題のひとつとして、再発診断のバイオマーカーに乏しい点が挙げられる。再発の診断機会を増やすためには低侵襲かつ高感度なバイオマーカーの開発が急務である。【解決手段】被験者における、遺伝子の変異を分析する方法であって、変異が、膀胱癌に関連するものであり、変異の検出のためにプローブ及び/又はプライマーを準備し、準備したプローブ及び/又はプライマーを用いて、被験者から得た尿沈渣中の核酸を、デジタルPCRで分析する工程を含む、方法を提供する。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年8月5日 第2回ヘルステック・デバイス・フォーラム 学生研究成果発表コンテストにおいて公開発表 〔刊行物等〕 令和4年9月21日 https://conference-apps-online.net/web/jca2022/を通じて公開 令和4年10月1日 第81回日本癌学会学術総会(The 81st Annual Meeting of the Japanese Cancer Association)において公開発表
本発明は、膀胱癌に関連した変異DNAの分析方法、並びにそのためのデジタルPCR用プライマー及びプローブに関する。
転移の無い膀胱癌に対しては、初期治療として経尿道的膀胱腫瘍切除術(Transurethral resection of the bladder tumor, TUR-BT)が行われるが、高リスク癌(T1、high grade、上皮内癌(carcinoma in situ, CIS)、再発腫瘍など)では約75%の症例で膀胱内再発を来たし、その殆どが治療後2年以内に認められる。
膀胱癌治療後の経過観察法としては、術後3か月目の膀胱鏡検査と、その後はリスク分類に応じた間隔での膀胱鏡検査及び尿細胞診検査が推奨されている(膀胱癌診療ガイドライン2019)。しかし、尿細胞診は、特異度は高いものの感度は低く、低リスク病変においては20%程度の感度に留まる(非特許文献1)。膀胱鏡検査についても10-20%の見逃しがあるといわれており、特に高リスク病変であるCIS(carcinoma in situ)は炎症所見との判別が困難な場合や、上部尿路再発や重複癌に関しては膀胱内視鏡検査では検出困難であること、術者の主観によって評価が異なること等、様々な課題がある。NMP22(Nuclear Matrix Protein ;核マトリック蛋白質22)やBTA(Bladder tumor antigen ;膀胱腫瘍抗原) の有用性も報告されているが、それぞれ感度は高いものの特異度が低いことが報告されている。また、ウロビジョン(膀胱癌FISH(fluorescence in situ hybridization))による再発診断の補助検査として有用性が知られるが、2年に2回までと保険診療上の制限がある(非特許文献2)。前向き試験やエキスパートオピニオンにおいても、膀胱鏡および尿細胞診に代わる十分な尿中分子マーカーは今のところないと結論づけられている(膀胱癌診療ガイドライン2019)。
近年、癌患者の血液中にCirculating tumor DNA(ctDNA)が検出されることが知られ、消化器癌では、画像による再発診断よりも平均約5カ月早くctDNAが検出され、早期再発診断バイオマーカーとしての妥当性が示された(非特許文献3)。
また、腫瘍のシークエンス解析で検出対象となる固有の変異がわかっても、市販のdPCRプローブがほとんどなく、各変異に対応したプライマー・プローブの設計合成およびvalidationにおおよそ1か月の期間を要する。そこで、このタイムラグに対応するため、様々ながんに共通して高頻度に検出される変異を、COSMIC(Catalogue Of Somatic Mutations In Cancer, https://cancer.sanger.ac.uk/cosmic)等の公開されているデータベースをもとに選択し、dPCRのプローブライブラリーが作製されている(特許文献1)。
特許第6544783号(特開2020-019738号公報、国際公開WO2020/026776)
Bolenz, C., et al., Urinary cytology for the detection of urothelial carcinoma of the bladder--a flawed adjunct to cystoscopy? Urol Oncol, 2013. 31(3): p. 366-71. Sarosdy, M.F., et al., Clinical evaluation of a multi-target fluorescent in situ hybridization assay for detection of bladder cancer. J Urol, 2002. 168(5): p. 1950-4. Iwaya, T., et al., Frequent Tumor Burden Monitoring of Esophageal Squamous Cell Carcinoma With Circulating Tumor DNA Using Individually Designed Digital Polymerase Chain Reaction. Gastroenterology, 2021. 160(1): p. 463-465.e4. Hayashi, Y. and K. Fujita, A new era in the detection of urothelial carcinoma by sequencing cell-free DNA. Transl Androl Urol, 2019. 8(Suppl 5): p. S497-S501. Ward, D.G., et al., Targeted deep sequencing of urothelial bladder cancers and associated urinary DNA: a 23-gene panel with utility for non-invasive diagnosis and risk stratification. BJU Int, 2019. 124(3): p. 532-544. Markus, H., et al., Analysis of recurrently protected genomic regions in cell-free DNA found in urine. Sci Transl Med, 2021. 13(581). Umansky, S.R. and L.D. Tomei, Transrenal DNA testing: progress and perspectives. Expert Rev Mol Diagn, 2006. 6(2): p. 153-63.
膀胱癌診療における課題のひとつとして、再発診断のバイオマーカーに乏しい点が挙げられる。再発の診断機会を増やすためには低侵襲かつ高感度なバイオマーカーの開発が急務である。
膀胱癌に関しては、筋層浸潤や転移を示す膀胱癌症例では、血漿中にctDNAを検出し得るが、膀胱局所腫瘍、特に非筋層浸潤性膀胱癌の場合は「尿中DNA」のみから遺伝子変異が検出されることが知られている(非特許文献4)。また尿中DNAの分画については、尿上清と尿沈渣では、変異DNA検出の膀胱癌に対する診断感度は概ね同等であることが報告されている(非特許文献5)。一方、尿上清DNA中には、膀胱を含む尿路上皮由来のDNAのみならず、腎糸球体でろ過された130bp以下の血漿由来の二本鎖DNA断片が含まれる(非特許文献6、7)。したがって、尿上清と沈渣由来のDNAを区別しなければ検出した変異が尿路由来か血液由来か判別困難であり、尿路上皮特有の情報であれば尿沈渣由来DNAに特化した検査法が優れていると予想される。
そこで発明者らは、患者の膀胱腫瘍組織中に検出された遺伝子変異について、治療経過に合わせて尿沈渣DNA中の量をdPCR法で高感度にモニタリングしたところ、様々な情報が得られ、高感度な膀胱癌の再発診断が可能であることを見出し、本発明を完成した。
本願は、以下を提供する。
[1] 被験者における、遺伝子の変異を分析する方法であって、
変異が、膀胱癌に関連するものであり、
変異の検出のためにプローブ及び/又はプライマーを準備し、
準備したプローブ及び/又はプライマーを用いて、被験者から得た尿沈渣中の核酸を、デジタルPCRで分析する
工程を含む、方法。
[2] 変異が、下記の遺伝子又はプロモーター領域における変異から選択されるいずれかである、1に記載の方法。
[3] 変異が、下記の遺伝子又はプロモーター領域における変異から選択されるいずれかである、1に記載の方法。
[4] 血液中のctDNAの分析と組み合わせて行われる、1に記載の方法。
[5] 尿沈渣中の変異アリル頻度(VAF)の変化を分析する、1に記載の方法。
[6] 定期的に繰り返し行われる、1~5のいずれか1項に記載の方法。
[7] 膀胱癌の再発の早期発見のために行われる、1~5のいずれか1項に記載の方法。
[8] 膀胱癌の手術後のフォローアップ検査として行われる、1~5のいずれか1項に記載の方法。
[9] 1~5のいずれか1項に記載の方法に用いるための、配列番号1~134のいずれか一の配列からなる、デジタルPCR用のプライマー又はプローブである、ポリヌクレオチド。
[10] デジタルPCR用のプライマー又はプローブが、下記のいずれか一の配列(但し、小文字のaは2-アミノ-デオキシアデニンであり、小文字のcは5-メチル-デオキシシトシンである。)からなるプライマー又はプローブである、9に記載のポリヌクレオチド。
[11] デジタルPCR用のプライマー又はプローブが、下記のいずれか一の配列(但し、小文字のaは2-アミノ-デオキシアデニンであり、小文字のcは5-メチル-デオキシシトシンである。)からなるプライマー又はプローブである、9に記載のポリヌクレオチド。
[12] 1に記載の方法であって、
プローブ及び/又はプライマーを準備する工程が、複数のプローブ及び/又はプライマーで構成されるライブラリーであって、複数のプローブ及び/又はプライマーが、10に記載のポリヌクレオチドのいずれかを含む、方法。
[13] 尿沈渣に含まれるDNAの、膀胱癌のバイオマーカーとしての使用。
本発明の方法は、膀胱癌術後モニタリング検査に用いることで、侵襲が大きく低感度である膀胱鏡検査を補完しうる。
本発明の方法により、再発早期予測に基づく早期治療介入による予後改善や、再発リスクの低い症例に対する検査の省略により患者負担を軽減する等、臨床的意義の高い再発診断が期待できる。またそのためのバイオマーカーを日常診療で使用することが可能となりえる。
無再発症例における遺伝子変異モニタリング。写真は、膀胱内視鏡所見、逆三角は尿細胞診結果、下方に血漿と尿沈渣のVAF推移を示す。尿細胞診の結果は、陰性は白、偽陽性は薄い灰色で、陽性は濃い灰色で示す。 再発症例における遺伝子変異モニタリング。写真は、膀胱内視鏡所見、逆三角は尿細胞診結果、下方に血漿と尿沈渣のVAF推移を示す。尿細胞診の結果は、陰性は白、偽陽性は薄い灰色で、陽性は濃い灰色で示す。
[遺伝子の変異を分析する方法]
本発明は、下記の工程を含む、被験者における、遺伝子の変異を分析する方法を提供する。
・変異の検出のためにプローブ及び/又はプライマーを準備する工程
・準備したプローブ及び/又はプライマーを用いて、被験者から得た尿沈渣中の核酸を、デジタルPCRで分析する工程
分析は、検出すること、定量すること等を含む。また被験者は、癌患者、過去に癌であった者、癌再発のリスクのある者、癌の疑いのある者等を含む。分析方法は、癌に関連した診断や病気の状態の定量評価等の医師が行う行為を補助する方法を含む。補助する方法は、医師以外の者、例えば臨床検査技師、看護師、保健師、被験者本人等によって行われる方法を指す。
本発明の方法において、遺伝子の変異は、膀胱癌に関連するものである。膀胱癌は、膀胱にできる癌の総称である。膀胱癌は、膀胱の内部をおおう尿路上皮にできる尿路上皮癌を含み、それ以外に、扁平上皮癌、腺癌、小細胞癌等を含む。本発明の方法は、膀胱癌のうち、尿路上皮癌に適用するのに特に適している。尿路上皮癌は、癌の深達度によって、筋層非浸潤性癌と筋層浸潤性癌に分類される。本発明の方法は、どちらにも適用できる。
本発明の方法は、デジタルPCRの鋳型となる核酸(通常はDNA)を、被験者の尿沈渣から得る点を特徴の一つとする。尿沈渣とは、尿を固液を分離する操作に供したときに得られる固体の画分をいう。液体の画分を上清という。一般に、尿沈渣の検査として、尿を遠心分離し、沈澱した赤血球や白血球、尿酸結晶、細胞、細菌などの固形成分の量及び種類を調べる検査が一般に行われており、尿沈渣を得るための方法は当業者にはよく知られている。
尿中DNAを得るための尿の分画に関しては、尿上清、尿沈渣、またどちらも含む場合とで期待される情報が異なると考えられる。尿上清の場合は、尿中のタンパク質の影響が少ないという利点があるが、含まれるDNA量が少なく、また血漿循環DNAを含みうる(膀胱を含む尿路上皮由来のDNAのみならず、腎糸球体でろ過された130bp以下の血漿由来の二本鎖DNA断片が含まれうる)ため、DNAが尿由来のものか血液由来のものか判別困難である。これに対し尿沈渣の場合は、十分な量のDNAが得られ、血漿循環DNAを含まない。したがって、尿路上皮特有の情報であれば尿沈渣由来DNAに特化した検査法が優れていると予想される。なお、尿路の癌に関し、上清と沈査を区別して分析している先行技術は見当たらない。
本発明の方法では、デジタルPCR(dPCR)が用いられる。癌診断では対象DNAのVAFが1%以下のことが多く、高感度の分析が行えることが望ましいからである。dPCR(Vogelstein and Kinzler, Proc. Natl. Acad. USA, 96, 9236-9241, 1999)は、従来のPCR法を発展させたものであり、標的核酸の量を直接、定量することができる。dPCRは、濃縮手順と組み合わせて用いて、極微量の変異を検出するのに適している。dPCRでは、DNAサンプルは単一反応単位まで希釈されるために、各PCR反応において出発物質はwild type又はmutantのいずれかである。濃縮は、一分子から実施され、何千もの平行濃縮反応が同時に行われる。同じ出発物質からの多数のPCR反応を実施した後、変異分子が単離され、検出される。PCR増幅後、PCRの最終産物を含むチャンバーを計数することで、核酸の絶対量を算出できる。本発明に使用可能な各種のdPCRベースのシステムが市販されている。dPCRの基本的な方法論は、例えばSykes et al., Biotechniques 13 (3): 444-449, 1992に記載されている。
(好ましい態様)
本発明の方法は、血液中のctDNAの分析と組み合わせて行うことができる。
本発明の方法は、被験者に対して定期的に繰り返し行うことができる。定期的とは、例えば、数か月ごと、半年ごと、1年ごと等をいう。定期的に継続する期間は特に制限されず、例えば1年間、3年間、5年間、10年間である。
本発明の方法は、膀胱癌の再発の早期発見のため特に適している。また、本発明の方法は、膀胱癌の手術後のfollow-up検査として行うのに特に適している。腫瘍細胞量の少ない被験者、例えばStage Iの被験者を対象とする場合、治療前、手術後、follow-up期間で被験者から得たサンプル中には腫瘍由来のDNAが検出されないことがある。ある程度の腫瘍細胞量を有する被験者、例えばStage IIの被験者からは、治療前に検出された腫瘍由来のDNAが、術後に0%へと低下することが確認できる。また、術後補助化学療法を含めたfollow-up中において、被験者から得たサンプル中の腫瘍由来のDNAの有無又は量を分析することにより、再発を予測することができる。本発明の方法により、被験者によっては、化学療法、放射線療法による腫瘍縮小に伴う腫瘍由来DNAの低下が確認できる。本発明の方法により、従来のCT診断に比較して、早期に再発が診断できる可能性がある。
本発明の方法を膀胱癌術後モニタリング検査に用いることで、従来の、侵襲が大きく低感度である膀胱鏡検査を補完しうる。今後本技術の応用により、再発早期予測に基づく早期治療介入による予後改善や、再発リスクの低い症例に対する検査の省略から患者負担を軽減する等、臨床的意義の高い再発診断バイオマーカーが日常診療で用いられることが可能となりえる。
(変異)
本発明により検出される遺伝子の変異は、膀胱癌に関連するものであれば特に限定されないが、下記の遺伝子又はプロモーター領域における変異から選択されるいずれかである。
好ましくは、変異は、下記の遺伝子又はプロモーター領域における変異から選択されるいずれかである。本発明者らの検討によると、これらの変異は、複数症例をカバーできることがわかっている。
本発明の説明において変異というときは、特に記載した場合を除き、塩基の(ヌクレオチドの、と表現されることもある。)変異をいう。ある塩基が変異するとは、他の塩基に置換されること、欠失(del)すること、重複(dup)すること等を含む。
なお、本発明に関し、遺伝子の変異を表すときは、当業者には周知の標準的なルールに従っている(https://varnomen.hgvs.org/recommendations/DNA/variant/duplication/、Hum Mutat 2016; 37: 564-569)。また、本発明に関し、変異の位置は、特に記載した場合を除き、COSMICデータベースに掲載されている情報、及び配列表に掲載した情報に従っている。
(プローブ及び/又はプライマー)
本発明は、上述の方法に用いるのに適した、膀胱癌に関連する変異を検出するためのデジタルPDR用のプローブ及び/又はプライマーを提供する。なお、本発明に関し、プローブ及び/又はプライマーというときは、特に記載した場合を除き、プローブ及びプライマーの少なくとも一方を指す意である。すなわち、「プローブ及び/又はプライマー」は、プローブのみの場合、プライマーのみの場合、プローブ及びプライマーの場合を含む。
プローブは、目的の変異をしていない配列(wild type)を検出するためのものであってもよく、目的の変異後の配列(mutant)を検出するためのものであってもよい。双方のプローブを備えていてもよい。
プライマーは、サンプル中の核酸において、目的の変異の位置を含む部分を増幅するためのものであり、通常、プラス鎖に対応したフォワードプライマーと、マイナス鎖に対応したリバースプライマーとの対で用いられる。
尿沈渣中のDNAを分析するとの観点からは、プローブ及び/又はプライマーは、比較的短い核酸断片を標的配列として増幅し、目的の変異を検出できるように設計されていることが好ましい。通常のPCRでの増幅産物のサイズは100~150bpであり、感度や精度が低下することが問題になる場合がある。分析性能を向上させるためには、増幅産物のサイズをできる限り短くすることが重要だと考えられている(Antonov J,et.al. Lab Invest. 2005 Aug;85(8):1040-50、Kong H,et.al. Sci Rep. 2014 Nov 28;4:7246、Florent Mouliere et.al. PLOS ONE September 2011 Volume 6 Issue 9 e23418)。
例えば、プライマーやプローブのオリゴヌクレオチドにおいて修飾ヌクレオチドを含ませる等の手段により、比較的短い増幅産物、例えば70bp以下の増幅産物による分析を行いうる方法が開発されている。このような方法のためのプライマー、プローブは、Hypercool Primer & ProbeTM(株式会社日本遺伝子研究所、仙台市宮城野区中野一丁目5番地の2)として知られており、そのための設計方法が公開されている(http://ngrl.co.jp/wp/wp-content/uploads/2015/01/eb3607d6c1eb4174f10bb3bde67844fe.pdf)。また、大過剰な非変異配列の存在下で低い割合の変異配列を検出することに関しては、例えば特表2010-535031号公報を参照することができる。この技術は、反応混合物は、臨界変性温度又は非変異配列の融解温度Tmよりも低い温度で処理するプロトコルに基づくものである。
好ましい態様の一つにおいては、プローブ及び/又はプライマーは、修飾塩基(修飾ヌクレオチドと称されることもある。)を含む。修飾塩基は、ジアミノ-プリン類似体(例えば、2'-O-メチル-2,6-ジアミノプリン)、ウラシル、ペプチド核酸類似体、ビオチン修飾類似体、フルオロフォア修飾類似体、イノシン、7-デアザグアニン、2'-デオキシ-2'-フルオロ-β-D-アラビノ核酸(2'F-ANA)ヌクレオチド、ロックド核酸(LNAs)、ENAs:2'-O,4'-C-エチレン架橋核酸等を含む。これらの修飾は、マッチ又はミスマッチした塩基間のTmの差異を増大させることができ、高精度の分析を可能とする。
特に好ましい修飾塩基の例は、2-アミノ-デオキシアデニン(2aA)、5-メチル-デオキシシチジン(5mC)である。
プローブ及び/又はプライマーはまた、ミスマッチ(mismatched)塩基又はアンマッチ(unmatched)塩基を含むことができる。核酸技術における当業者であれば、例えば、オリゴヌクレオチドの長さ、オリゴヌクレオチドの塩基組成及び配列、イオン強度、ならびにミスマッチ塩基の含有率等の多数の変数を考慮して、二本鎖安定性を決定することができる。核酸二本鎖の安定性は、融解温度(変成温度ということもある)Tmによって表すことができる。
プローブ及び/又はプライマーにロックド核酸を導入することは、相補配列の親和性を向上させ、融解温度を何段階か増加させる(Braasch, D.A. and D.R. Corey, Chem. Biol. (2001), 8:1-7)。ロックド核酸は、立体構造的に制限されたヌクレオチド類似体のクラスを意味する(例えば、WO99/14226、Koshkin, A.A., et al., Tetrahedron (1998), 54: 3607-3630、及びObika, S. et al., Tetrahedron Lett. (1998), 39: 5401-5404参照)。
プローブは、分析が容易となるように、末端付近が修飾されていてもよい。修飾には蛍光物質を用いることができる。蛍光物質の例としては、6FAM(単にFAMと表されることもある。)、 HEX、Tide FluorTM 1、ATTO 390、ATTO 425、LC(登録商標)480Cyan500、ATTO 465、ATTO 488、Tide FluorTM 2、ATTO 495、ATTO 514、ATTO 520、TET、JOE、CAL Fluor 540、Yakima Yellow、ATTO 532、ATTO Rho6G、LC(登録商標)Yellow555、CAL Fluor 560、ATTO 542、Quasar(登録商標)570、Cy3、ATTO 550、TAMRA、Tide FluorTM 3、ATTO 565、ATTO Rho3B、ROX、ATTO Rho11、ATTO Rho12、Cy3.5、ATTO Thio12、ATTO Rho101、LC(登録商標)Red610、CAL Fluor 610、Tide FluorTM 4、ATTO 590、TexasRed(SR101)、ATTO 594、ATTO Rho13、ATTO 610、LC(登録商標)Red670、ATTO 620、LC(登録商標)Red640、ATTO Rho14、ATTO 633、ATTO 647、ATTO 647N、Quasar(登録商標)670、Tide FluorTM 5、Cy5、ATTO 655、ATTO Oxa12、ATTO 665、Tide FluorTM 6、Cy5.5、ATTO 680、LC(登録商標)Red705、Quasar(登録商標)705、ATTO 700、ATTO 725、ATTO 740、Tide FluorTM 7、Tide FluorTM 8が挙げられる。wild typeのためのプローブと、mutantのためのプローブとで異なる蛍光物質を用いることにより、それぞれの同時分析が可能となる。
プローブはまた、末端付近が消光物質(クエンチャーということもある)で修飾されていてもよい。消光物質の例としては、Dabcyl、BHQ-0(登録商標)、BHQ-1(登録商標)、BHQ-2(登録商標)、BHQ-3(登録商標)、TQTM1、TQTM2、TQTM3、TQTM4、TQTM5、TQTM6、TQTM7、TAMRA、ATTO540Q、ATTO 575Q、ATTO 580Q、ATTO 612Q、BBQ-650(登録商標)が挙げられる。
本発明により提供される、プローブ及び/又はプライマーの例を下表に示す。表中、小文字のaは修飾されたアデニンであり、小文字のcは修飾されたシトシンを表し、修飾されたアデニンの例は、2-アミノ-デオキシアデニンであり、修飾されたシトシンの例は、5-メチル-デオキシシトシンである(本発明に関して示される他の配列においても同じ。)
好ましくは、プローブ及び/又はプライマーは、下記の配列を有するプローブ及び/又はプライマーのいずれかである。本発明者らの検討によると、これらのプローブ及び/又はプライマーにより、複数症例をカバーできることがわかっている。
(dPCRの実施)
上述のプライマー、プローブをdPCRのために用いる場合の、プライマー及びプローブの量は、当業者であれば適宜設定できるが、例えば、dPCRの1チップあたり、核酸は0.5~50ng、プライマーは0.02~2.0μM、プローブは0.01~1.0μMの範囲で用いることができる。各々の変異を検出するためのプローブ及び/又はプライマーを、各々個別の容器、例えばチューブに格納されたものとして構成する場合、各々のチューブにおける典型的な濃度は、プライマーは450~3600 nM、好ましくは500~2000 nM、より好ましくは600~1200 nM、例えば900 nMであり、プローブは10~1000 nM、好ましくは50~500 nM、より好ましくは100~300 nM、例えば250 nMでありうる。なお、本発明に関し、プライマー又はプローブの濃度をいうときは、特に記載した場合を除き、1種類のプライマー、1種類のプローブの濃度として述べている。
dPCRに際し、系の組成は、核酸、プライマー及びプローブの量のほか、当業者には明らかであるように、4種のdNTP、緩衝剤、塩、界面活性剤、鎖伸長反応を触媒する酵素を含むことができる。
本発明者らの検討によると、本発明、実施態様、及び実施例に基づいて設計されたプライマーは、dPCRにおいて450~3600 nMの終濃度で使用されることが好ましい。多くのプライマーにとって、好適な濃度の一例は、900nMである。しかし場合により、その濃度ではPCR反応が効率的に進行しない。そのような場合は、より高い濃度でプライマーを用いることで、PCR反応を適切に進行させることができる。そのような場合は、具体的には、プライマーは、1000~3600 nM、好ましくは1200~3000 nM、より好ましくは1500~2100 nM、例えば1800 nMで用いるとよい。
また、dPCRでは、GC含有率が高い領域を標的とする場合、PCR反応が進行し難い場合がある。例えば、TERT promoter領域はGC含有率が高く、そのままではプライマーによる増幅が困難な場合がある。そのような場合は、7-デアザ-2′-デオキシ-グアノシン-5′-三リン酸(7-deaza dGTP)、又はジメチルスルホキシド(DMSO)を系に添加することにより、dPCRでのアニーリング温度を、通常の場合と同様の温度に揃えることができる。具体的には、7-deaza dGTPを用いる場合は、20~500 μM、好ましくは50~200 μM、より好ましくは75~150 μM、例えば100 μMとなるようにdPCRの系に添加するとよい。あるいは、DMSOを用いる場合は、0.15~3.8 %、好ましくは0.30~2.4 %、より好ましくは0.50~1.0 %、例えば0.75%となるようにdPCRの系に添加するとよい。
本発明者らの検討によると、本発明、実施態様、及び実施例に基づいて設計されたプライマー及びプローブのセットを用いたdPCRにおいては、アニーリングが55~61℃で行われる。より特定すると、ライブラリーに含まれる95%以上のセットについて、同じ温度で、例えば59~61℃で、アニーリングを行うことができる。
通常、異なる増幅標的をもつプライマー及びプローブのセットを用いるdPCRでは、最適な条件が異なることが多い。アニーリング温度がセットによって異なる場合、条件を同時に複数種類設定できるPCR装置を使用しない限り、複数のランに分けてPCR反応を行うこととなり、手間と時間を要する。しかし、本発明、実施態様、及び実施例に拠れば、上記プライマー濃度の調整と試薬の添加により、各セットを用いる場合のアニーリング温度を多くの場合に同じに(例えば60℃に)設定できる。例外的なセットでは、アニーリング温度を58℃、56℃等に設定することが好ましい場合がある。
[ライブラリー]
本発明に用いるプローブ及び/又はプライマーは、ライブラリーとすることができる。ライブラリーとは、プローブ及び/又はプライマーの集合体である。ライブラリーは、典型的な態様として、各々の変異を検出するためのプローブ及び/又はプライマーが各々個別の容器に格納された、容器入りプローブ及び/又はプライマーの集合体が挙げられる。
ライブラリーは複数箇所の変異を検出するために複数のオリゴヌクレオチドを備えるが、用い方は様々であり得る。典型的には、一人の被験者について目的の変異(1箇所)を分析するために用いられる。例えばある患者について、治療前原発巣で検出された変異が、治療経過中に血液中に検出されるか否かを分析するために用いられる場合があり、また、再発の有無を診断する目的で、治療後にその変異が血液中に検出されるか否かを分析するために用いられる。またライブラリーは、一人の被験者について複数個所の変異を分析するために用いられる場合がある。ライブラリーはさらに、複数の被験者について目的の変異(1箇所)を分析するために用いられる場合、及び複数の被験者それぞれについて複数個所の変異を分析するために用いられる場合等がある。
ライブラリーは、プライマーとして機能可能なオリゴヌクレオチドのみからなる場合があり、プローブとして機能可能なオリゴヌクレオチドのみからなる場合があり、双方を含む場合がある。変異を検出する際は、通常、核酸中のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により目的の変異を含む可能性のある部分をプライマーを用いて増幅し、かつ増幅産物に目的の変異があるかをプローブを用いて検出することにより行う。そのため、ライブラリーは、目的の変異に対するプローブとプライマー対とを、セットで含むことが好ましい。なお増幅産物とは、PCRにおいては、PCRで増幅されたDNAのことをいい、アンプリコン(Amplicon)と称されることもある。
ライブラリーは、がんに関連する変異を検出するためのものであるが、一態様では、対象となる遺伝子で起こりうる変異を非間歇的に検出することができるものでありうる。例えば、TP53に関し、がんに関連した変異が多く見られる195アミノ酸に対するコード領域の変異を非間歇的に検出することができるライブラリーは、具体的には、1755のプライマー・プローブのセットを含む(特許文献1、2参照)。
別の態様では、ライブラリーは、対象となる遺伝子又はそのプロモーター領域で起こりうる変異であって、高い頻度で出現する変異に対するプライマー・プローブセットを含む。本発明者らの検討によると、変異により出現(報告)頻度は大きく異なるため、ライブラリーは、頻度の高い変異を検出対象とすることにより、より網羅的な変異の検出が可能となる。
したがって、特に好ましいライブラリーの一つは、頻度が高いものから(頻度が高い順に並べたときに順位が高いものから)1種類以上、例えば2種類以上、好ましくは4種類以上、より好ましくは6種類以上、さらに好ましくは10種類以上、さらに好ましくは20種類以上を検出するように設計されたものである。
より具体的には、一態様では、ライブラリーは、下表に示す遺伝子又はそのプロモータ領域における、がんに関連する変異を検出するための、複数のプローブ及び/又はプライマーで構成される。
好ましくは、ライブラリーは、下表に示す遺伝子又はそのプロモーター領域における、がんに関連する変異を検出するための、複数のプローブ及び/又はプライマーで構成される。
一態様では、ライブラリーは、少なくとも1つのプライマー又はプローブとして、下記のいずれか一の配列(但し、小文字のaは2-アミノ-デオキシアデニンであり、小文字のcは5-メチル-デオキシシトシンである。)からなるプライマー又はプローブを含む。
好ましくは、ライブラリーに含まれるプライマー又はプローブは、下記のいずれか一の配列(但し、小文字のaは2-アミノ-デオキシアデニンであり、小文字のcは5-メチル-デオキシシトシンである。)からなるプライマー又はプローブである。
ライブラリーにより、変異の分析に際して、被験者毎にプライマーとプローブを設計し、合成する必要がなくなる。汎用性の高いプライマーとプローブ、又は非間歇的に変異を検出可能なように設計されたプライマーとプローブを含むライブラリーを用いることにより、癌の治療後の再発を早期に診断できる。また、癌患者において個別化した治療後経過観察を容易に実施することができる。
好ましい態様においては、本発明の方法は、次のように実施することができる:
予め準備されている本発明のライブラリー中から、適切だと考えられるセット(例えば原発巣の変異解析で検出された症例特異的変異を分析するためのプライマーとプローブのセット)を得て、必要に応じ、動作を確認した後、被験者から適宜採取したサンプル中の変異DNAの割合 mutant allele frequency (%)をモニタリングする。
以下に実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
[方法]
1.腫瘍組織の遺伝子変異解析
膀胱癌に対する経尿道的膀胱腫瘍切除術を施行し、その際に得られた腫瘍組織切除切片のホルマリン固定(Formalin-fixed paraffin-embedded, FFPE)検体から腫瘍組織のDNAを抽出する。腫瘍組織のDNAに対して、ターゲットシークエンスによる網羅的遺伝子変異解析と、膀胱癌において70%程度の頻度で検出されるTERT promoter領域のhot spot変異(C228T, C250T)に対しては、Digital PCR(dPCR)で全例変異解析を行う。この理由は、シークエンスパネルの種類によっては、TERT promoter領域は解析領域に含まれないためである。
2.追跡対象とする遺伝子変異の選択
これら2種類の遺伝子解析によって得られた腫瘍毎の遺伝子変異解析データから、体液中の遺伝子変異モニタリングの対象とする変異を選定する。選定条件としては、データベースを参考に、がん関連遺伝子であること、多型でないこと、COSMIC(Catalogue Of Somatic Mutations In Cancer, https://cancer.sanger.ac.uk/cosmic)のデータベースで報告の多い変異であることなどを考慮する。モニタリングに用いるdPCRのプライマー及びプローブは、優先的に株式会社クオントディテクトで保有するOTSプローブを用い、ライブラリーに含まれない遺伝子変異を選択する場合は、同社にプライマー・プローブの合成を依頼する。
3.経時的遺伝子変異モニタリング
治療前後やその後の定期検査に合わせて採尿を行い、尿沈渣DNAを抽出する。先の方法で追跡対象として選択した遺伝子変異に対して、尿沈渣DNAをdPCRにより解析し、遺伝子変異のアリル頻度(Valiant allele frequency, VAF)の動態をモニタリングする。
dPCRに用いたプライマー及びプローブの配列を下表に示す。なお、製造は、株式会社日本遺伝子研究所(〒983-0013 日本国宮城県仙台市宮城野区中野1-5-28)に委託した。
表中、プライマー及びプローブ配列に含まれる小文字のaとcは、それぞれHypercool法プライマー・プローブに用いられる修飾塩基である2aAと5mCを示す。囲んだ箇所は、変異箇所又は変異に対応する箇所である。
4.尿沈渣DNAの抽出手順
尿沈渣DNAの抽出にはQuick-DNATM Urine Kit' (ZYMO RESEARCH, California, US)を用いる。尿40mlを採取後、速やかにキット付属のurine conditioning bufferを2.5ml混注し、冷所で保管する。冷所保管後5日以内に遠心分離し、尿沈渣を残して上清を破棄する。キットを用いてDNAを抽出し、-20℃で保管する。
5.dPCR解析手順
dPCR解析には、QuantStudio 3D Digital PCR System (Thermo Fisher Scientific)とQX200(Biorad)を用いた。DNAサンプルは1解析あたり10-20ng使用した。QuantStudio 3D Digital PCR Systemのサーマルサイクラーの設定は、(1)96℃で10分、(2)98℃で30秒と60℃1分で39サイクル繰り返し、(3)60℃で2分の後、10℃で終了とした。QX200のサーマルサイクラーの設定は、(1)95℃10分、(2)94℃で30秒と60℃で1分を39サイクル繰り返し、(3)98℃で10分の後、4℃で終了とした。
[結果]
実際にdPCRモニタリングを行った症例のうち、2例のVAFの推移と臨床情報のデータを図1及び2に示す。膀胱癌初期治療としてTUR-Bt(経尿道的膀胱腫瘍切除術)を行い、その後無再発で経過した症例(図1)と再発を検出した症例(図2)では、血漿中及び尿沈渣中のVAFは異なる経過を示した。無再発の症例(図1)では、術前に尿沈渣中に検出された遺伝子変異は治療後早期に検出感度以下まで低下し、その後VAFは1%以下の低値で推移した。一方、再発を検出した症例(図2)では、治療後に尿沈査中の遺伝子変異は持続的に検出され、高値で推移し、実際に再発を検出したタイミングまで変異アリル頻度は高値で推移した。
[考察]
本研究の準備段階で、尿の上清及び沈渣の双方をサンプリングし、DNA収集を試みたが、上清においてはDNA収量が少なく、腎臓でろ過された血中DNAも含まれることが懸念された。
膀胱内の腫瘍細胞が、壊死や機械的刺激などで尿中に放出された場合、遠心により尿沈渣に分離されると予想されること、また準備段階で沈渣からは十分なDNA収量が得られたことから、尿沈渣を解析すべきと考えられる。
血漿DNAは、筋層浸潤や転移を来した場合にctDNAが検出されることが知られている。以上のことから、尿沈渣、又は尿沈渣及び血漿のDNAモニタリングにより、高感度な膀胱癌の再発診断が可能である。
[他のプライマー/プローブ]
他の対象症例でのモニタリングに用いた遺伝子変異の遺伝子、変異情報(Nucleotide change, Amino acid change)、合成(株式会社日本遺伝子研究所(〒983-0013 日本国宮城県仙台市宮城野区中野1-5-28)に委託)、動作を確認したPrimer/Probeの配列情報を下表に示す。これらのPrimer/Probeを用いて同様にdPCRを実施し、動作を確認した。表中、プライマー及びプローブ配列に含まれる小文字のaとc は、それぞれHypercool法プライマー・プローブに用いられる修飾塩基である2aAと5mCを示す。囲んだ箇所 は、変異箇所又は変異に対応する箇所である。
また合成したPrimer/Probeのうち、1つの変異で複数症例をカバーできた変異を下表に示す。これらのPrimer/Probeは、
[配列表に掲載した配列]
SEQ ID NO:1 Forward primer, STAG2, c.646C>T
SEQ ID NO:2 Reverse primer, STAG2, c.646C>T
SEQ ID NO:3 Probe Wt, STAG2, c.646C>T
SEQ ID NO:4 Probe Mt, STAG2, c.646C>T
SEQ ID NO:5 Forward primer, TERT promoter 228C>T, Chr5:1295228 C>T on hg19, 124bp upstream of the translation start; Forward primer, TERT promotor 250C>T, Chr5:1295250 C>T on hg19, 146bp upstream of the translation start
SEQ ID NO:6 Reverse primer, TERT promoter 228C>T, Chr5:1295228 C>T on hg19, 124bp upstream of the translation start; Reverse primer, TERT promotor 250C>T, Chr5:1295250 C>T on hg19, 146bp upstream of the translation start
SEQ ID NO:7 Probe Wt, TERT promoter 228C>T, Chr5:1295228 C>T on hg19, 124bp upstream of the translation start
SEQ ID NO:8 Probe Mt, TERT promoter 228C>T, Chr5:1295228 C>T on hg19, 124bp upstream of the translation start
SEQ ID NO:9 Probe Wt, TERT promotor 250C>T, Chr5:1295250 C>T on hg19, 146bp upstream of the translation start
SEQ ID NO:10 Probe Mt, TERT promotor 250C>T, Chr5:1295250 C>T on hg19, 146bp upstream of the translation start
SEQ ID NOs:11-134 other Primers and Probes

Claims (13)

  1. 被験者における、遺伝子の変異を分析する方法であって、
    変異が、膀胱癌に関連するものであり、
    変異の検出のためにプローブ及び/又はプライマーを準備し、
    準備したプローブ及び/又はプライマーを用いて、被験者から得た尿沈渣中の核酸を、デジタルPCRで分析する
    工程を含む、方法。
  2. 変異が、下記の遺伝子又はプロモーター領域における変異から選択されるいずれかである、請求項1に記載の方法。
  3. 変異が、下記の遺伝子における変異から選択されるいずれかである、請求項1に記載の方法。
  4. 血液中のctDNAの分析と組み合わせて行われる、請求項1に記載の方法。
  5. 尿沈渣中の変異アリル頻度(VAF)の変化を分析する、請求項1に記載の方法。
  6. 被験者に対して定期的に繰り返し行われる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 膀胱癌の再発の早期発見のために行われる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  8. 膀胱癌の手術後のフォローアップ検査として行われる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  9. 請求項1~5のいずれか1項に記載の方法に用いるための、配列番号1~134のいずれか一の配列からなる、デジタルPCR用のプライマー又はプローブである、ポリヌクレオチド。
  10. デジタルPCR用のプライマー又はプローブが、下記のいずれか一の配列(但し、小文字のaは2-アミノ-デオキシアデニンであり、小文字のcは5-メチル-デオキシシトシンである。)からなるプライマー又はプローブである、請求項9に記載のポリヌクレオチド。
  11. デジタルPCR用のプライマー又はプローブが、下記のいずれか一の配列(但し、小文字のaは2-アミノ-デオキシアデニンであり、小文字のcは5-メチル-デオキシシトシンである。)からなるプライマー又はプローブである、請求項9に記載のポリヌクレオチド。
  12. 請求項1に記載の方法であって、
    プローブ及び/又はプライマーを準備する工程が、複数のプローブ及び/又はプライマーで構成されるライブラリーであって、複数のプローブ及び/又はプライマーが、請求項10に記載のポリヌクレオチドのいずれかを含む、方法。
  13. 尿沈渣に含まれるDNAの、膀胱癌のバイオマーカーとしての使用。
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