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JP2024092674A - 光硬化型インクジェット印刷用インク組成物 - Google Patents

光硬化型インクジェット印刷用インク組成物 Download PDF

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JP2024092674A
JP2024092674A JP2022208779A JP2022208779A JP2024092674A JP 2024092674 A JP2024092674 A JP 2024092674A JP 2022208779 A JP2022208779 A JP 2022208779A JP 2022208779 A JP2022208779 A JP 2022208779A JP 2024092674 A JP2024092674 A JP 2024092674A
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meth
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健司 川本
Kenji Kawamoto
良一 新田
Ryoichi NITTA
和弘 福家
Kazuhiro Fukuya
興範 中島
Okinori Nakajima
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Sakata Inx Corp
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Sakata Inx Corp
Sakata Corp
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Abstract

【課題】特定の光重合開始剤(ケトクマリン化合物)を含有し、かつ特定のオリゴマーと組合せて配合することにより、単にLED硬化性に優れるのみではなく、溶解性にも優れ、開始剤由来のマイグレーションも少なく、同時に無溶媒でも適切な粘度に調整できる光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を得ること。【解決手段】光重合性成分と光重合開始剤とを含む光硬化型インクジェット印刷用インク組成物であって:前記光重合性成分全体に対して、アミン変性オリゴマーを2.5~40.0質量%含有し、前記光重合性成分全体を100質量部としたときに、下記式(1)(Rは、炭素数10~13の分岐アルキル基を示す)で表される光重合開始剤を1.5~4 0.0質量部含有する、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を提供する。【化1】JPEG2024092674000008.jpg29170【選択図】 なし

Description

本発明は、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物に関する。
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物の光重合開始剤としては、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤(TPOやOmnirad819など)やチオキサントン系増感剤(DETXなど)が使用されているが、十分な硬化性をインク組成物に付与するには一定量以上の添加が必要となる。しかし、添加する光重合開始剤の量が増加すると光重合開始剤が重合性モノマーに溶解せず、インク粘度が高くなってしまうなど、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物にとって不都合が生じる。また、TPOなど一部光重合開始剤は安全性の観点から配合しない設計が望まれている。
一方、これらとは異なるタイプの光重合開始剤も提案されており、例えば、ケトクマリン骨格を有する光重合開始剤がある(特許文献1及び2参照)。特許文献1では、エチレン性不飽和化合物を含む光重合性組成物に、光開始剤としてケトクマリン化合物を添加することで、LED光硬化可能な光重合性組成物が得られるとしている。また、特許文献2では、インクジェット印刷用のインクについて、光開始剤としてケトクマリン化合物を配合することで、LED光源で硬化可能なインクが得られるとしている。
特表2015-536359号公報 特表2019-527199号公報
上述の通り、光重合開始剤としてケトクマリン化合物をインクジェット印刷用のインクに配合することが提案されている。しかしながら、上記特許文献は、ケトクマリン化合物を含むインクジェット印刷用インクの光重合性成分の組成について、エチレン性不飽和化合物であるモノマー、オリゴマー、プレポリマーを含むとの示唆をするにとどまり;ケトクマリン化合物を光重合開始剤としたときに、インク組成物のLED光硬化性を高めたり、その他のインクジェット印刷用インクとしての特性を改善する光重合性成分の組成を提案していない。また上記特許文献には、光重合開始剤のマイグレーション特性についても言及がない。
そこで本発明は、特定の光重合開始剤(ケトクマリン化合物)を含有し、かつ特定のオリゴマーと組合せて配合することにより、単にLED硬化性に優れるのみではなく、溶解性にも優れ、開始剤由来のマイグレーションも少なく、同時に無溶媒でも適切な粘度に調整できる光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を得ることを課題とする。
本発明者らは、上記の課題が下記の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物とすることにより解決しうることを見出した。
[1]光重合性成分と光重合開始剤とを含む光硬化型インクジェット印刷用インク組成物であって:前記光重合性成分全体に対して、アミン変性オリゴマーを2.5~40.0質量%含有し、前記光重合性成分全体を100質量部としたときに、下記式(1)で表される光重合開始剤を1.5~40.0質量部含有する、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物。
(式(1)におけるRは、炭素数10~13の分岐アルキル基を示す。)
[2]重合禁止剤として、ニトロソアミン系化合物を含有する、[1]に記載の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物。
[3]25℃における粘度が5.0~100.0mPa・sであり、かつ25℃における表面張力が20.0~36.0mN/mである、[1]又は[2]に記載の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物。
[4]前記アミン変性オリゴマーは、分子内に1以上のアミノ基と2以上の(メタ)アクリロイル基を有する、[1]~[3]のいずれかに記載の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物。
本発明によれば、LED硬化性に優れるとともに、溶解性にも優れ、開始剤由来のマイグレーションも少なく、同時に無溶媒でも適切な粘度に調整できる光硬化型インクジェット印刷用インク組成物が提供される。
[A.光硬化型インクジェット印刷用インク組成物の組成]
本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物(単に、「インク組成物」というときがある)は、光重合性成分と光重合開始剤とを含み、ここで光重合性成分としてアミン変性オリゴマーを含み、かつ光重合開始剤として特定の光重合開始剤(式(1)で表される化合物)を含む。また、インク組成物は、光重合性成分と光重合開始剤以外の成分を含むことができ、重合禁止剤、増感剤、顔料、界面活性剤、及びその他成分を含むことができる。
[A-1.光重合性成分]
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物に含まれる光重合性成分は、インク組成物に光が照射されることによって硬化する成分であり、モノマー、オリゴマー及びポリマーのいずれの形態でもあり得る。インク組成物は、光重合性成分として、少なくともアミン変性オリゴマーを含み、アミン変性オリゴマー以外の光重合性成分を含有することができる。
光重合性成分であるモノマーは、エチレン性不飽和結合を有し、光重合性成分として重合して高分子量化する成分であるが、重合する前の状態では比較的低分子量の液体成分であることが多い。モノマーは、別に配合した樹脂成分を溶解させる溶媒となったり、インク組成物の粘度を調節したりする機能も有する。
モノマーは、分子内にエチレン性不飽和結合を1つ備える単官能モノマーであっても、分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上備える2官能以上の多官能モノマーであってもよい。2官能以上の多官能モノマーは、インク組成物が硬化するのに際して分子と分子とを架橋することができるので、硬化速度を速めたり、強固な皮膜を形成させたりする機能を有する。単官能のモノマーは、上記のような架橋能力を有さないが、架橋に伴う硬化収縮を低減させる機能を有する。これらのモノマーは、必要に応じて各種のものを組み合わせて用いることができる。光硬化型インクジェット印刷用インク組成物において、モノマーは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[A-1―1.アミン変性オリゴマー]
オリゴマーとは、分子内に有するエチレン性不飽和結合が重合して高分子量化する成分である。オリゴマーは、重合前に比較的高分子量の成分であるので、インク組成物に適度な粘性や弾性を付与することができる。また、オリゴマーは比較的極性が高く、硬化後のインク組成物に非吸収性媒体への接着性を付与することがある。
さらに、オリゴマーのなかでもアミン変性オリゴマーは、ケトクマリン化合物を光重合開始剤として含有する光硬化型インクジェット印刷用インク組成物のLED硬化性を顕著に高めることができる。
アミン変性オリゴマーとは、分子内に、1以上のアミノ基とともに、1以上の光重合性官能基を有するオリゴマーであり、2以上の光重合性官能基を有するオリゴマー(多官能アミン変性オリゴマー)であることが好ましい。ここで、光重合性官能基は(メタ)アクリロイル基であることが好ましく;好ましいアミン変性オリゴマーは、分子内に1以上のアミノ基とともに、2以上の(メタ)アクリロイル基を有するアミン変性(メタ)アクリレートオリゴマーである。
アミン変性(メタ)アクリレートオリゴマーが分子中に有する(メタ)アクリロイル基の数は、2以上が好ましく、3以上かつ6以下であることがより好ましく、3又は4であることがさらに好ましい。(メタ)アクリロイル基の数が2以上であるアミン変性(メタ)アクリレートオリゴマーは、重合性化合物と反応しやすくなり、インク組成物の光硬化性(LED硬化性)が高まり、また、インク組成物の粘度を適度な範囲に調整しやすい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味する。
アミン変性(メタ)アクリレートオリゴマーは、所望のモノマーを重合して合成して得てもよく、市販品であってもよい。市販品の例には、GENOMER5161、GENOMER5275(RAHN社);CN371、CN371NS、CN373、CN383、CN384、CN386、CN501、CN503、CN550、CN551(サートマー社);EBECRYL80、EBECRYL81、EBECRYL83、EBECRYL7100、EBECRYL84、EBECRYLP115(ダイセル・オルネクス社);LAROMER PO 83F、LAROMER PO 84F、Laromer LR8946、Laromer LR8956、Laromer LR8996、Laromer LR8894(BASF社);AgiSyn001、AgiSyn002、Agisyn003、Agisyn008(DSM Coating Resin社);Photomer4771、Photomer4775、Photomer4967、Photomer5096、Photomer5662、Photomer5930(コグニス社);DoublecureEPD、DoublecureOPD、Doublecure115、Doublecure225、Doublecure645、PolyQ222、PolyQ226、PolyQ224、PolyQ101(DoubleBondChemicals社);等が挙げられる。
アミン変性オリゴマーの粘度は限定されないが、特に、25℃での粘度が2000cps以下であると、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物全体の粘度を適切な範囲とするために好ましい。
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物に含まれるアミン変性オリゴマーの含有量は、インク組成物に対して、好ましくは2.0質量%超であり、より好ましくは5.0質量%以上であり;一方、好ましくは30.0質量%以下であり、より好ましくは15.0質量%以下である。また、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物に含まれるアミン変性オリゴマーの含有量は、光重合性成分の合計量に対して、2.5質量%以上であり、6.0質量%以上であることが好ましく、10.0質量%以上であることがより好ましく;一方、40.0質量%以下であり、20.0質量%以下であることが好ましい。
[A-1―2.単官能モノマー]
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物に含まれる単官能モノマーは、不飽和カルボン酸系化合物、アルキル(メタ)アクリレート系化合物、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート系化合物、ハロゲン含有(メタ)アクリレート系化合物、エーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート系化合物、その他の(メタ)アクリレート系化合物、スチレン系化合物、N-ビニル系化合物、アリレート系化合物、その他のエチレン性不飽和結合を1つ備えた化合物でありうる。
不飽和カルボン酸系化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、それらの塩及びそれらの酸無水物等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-エチルヘキシルEO変性(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノールEO変性アクリレート、p-クミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO変性(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコール変性(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
ハロゲン含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、2,6-ジブロモ-4-ブチルフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモフェノール3EO(エチレンオキサイド)付加(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、1,3-ブチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、クレジルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノフェニルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(EO繰返し単位数400、700等)、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、アルコキシ化2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート(エトキシ化2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシ化2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート等)、アルコキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート(エトキシ化(4)ノニルフェノールアクリレート等)、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、エトキシ化コハク酸(メタ)アクリレート、エトキシ化トリブロモフェニルアクリレート、エトキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート等のアルコキシ系及び又はフェノキシ系(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
カルボキシル基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート等が挙げられる。
その他の(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、ベンジルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート、ジフェニル-2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、カプロラクトン変性-2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-ヒドロキシ-1-(メタ)アクリロキシ-3-メタクリロキシプロパン、アクリオロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、トリシクロデカンモノメチロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトールアクリレート、エチルジグリコールアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロライド4級塩、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、クレゾール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、1-(メタ)アクリロイルピペリジン-2-オン、2-(メタ)アクリル酸-1,4-ジオキサスピロ[4,5]デシ-2-イルメチル、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、イミドアクリレート、(メタ)アクリル酸ビニル、マレイミド等が挙げられる。
スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、p-ヒドロキシスチレン、p-クロロスチレン、p-ブロモスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-t-ブトキシスチレン、p-t-ブトキシカルボニルスチレン、p-t-ブトキシカルボニルオキシスチレン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
N-ビニル系化合物としては、例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニルカルバゾール、ビニルメチルオキサゾリジノン等が挙げられる。
アリレート系化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、イソシアヌル酸トリアリレート等が挙げられる。
エチレン性不飽和結合を1つ備えた化合物として、前記化合物以外の「その他のエチレン性不飽和結合を1つ備えた化合物」を用いることができる。そのような化合物としては、例えば、酢酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバル酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、アジピン酸ジビニル、クロトン酸ビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、三員環化合物類(例えば、ビニルシクロプロパン類、1-フェニル-2-ビニルシクロプロパン類、2-フェニル-3-ビニルオキシラン類、2,3-ジビニルオキシラン類等)、環状ケテンアセタール類(例えば、2-メチレン-1,3-ジオキセパン、ポジオキソラン類、2-メチレン-4-フェニル-1,3-ジオキセパン、4,7-ジメチル-2-メチレン-1,3-ジオキセパン、5,6-ベンゾ-2-メチレン-1,3-ジオセパン等)等が挙げられる。
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物に含まれる単官能モノマーは、(メタ)アクリレート基を有するモノマーを含むことが好ましく;(メタ)アクリレート基を有するモノマーの好ましい例には、イソボルニルアクリレート、ラウリルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、4-ヒドロキシブチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、ベンジルアクリレート等が挙げられる。
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物における単官能モノマーの含有割合は、インク組成物に対して、好ましくは30.0質量%以上、より好ましくは40.0質量%以上であり;好ましくは65.0質量%以下、より好ましくは60.0質量%以下である。また、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物における単官能モノマーの含有割合は、光重合性成分全体に対して、好ましくは40.0質量%以上、より好ましくは50.0質量%以上であり;好ましくは75.0質量%以下であり、より好ましくは65.0質量%以下である。
[A-1―3.多官能モノマー]
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物における多官能モノマー(2以上のエチレン性不飽和結合を備えたモノマー)としては、例えば下記の多官能(メタ)アクリレート系化合物やビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物等を用いることができる。
多官能(メタ)アクリレート系化合物は、2官能のジ(メタ)アクリレート系化合物、3官能のトリ(メタ)アクリレート系化合物、又はそれ以上の多官能(メタ)アクリレート系化合物であってもよい。
ジ(メタ)アクリレート系化合物の例には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールオクタンジ(メタ)アクリレート、2-エチル-1,3-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート等、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン及びジペンタエリスリトール等の多価アルコールのジ(メタ)アクリレート等が含まれる。
トリ(メタ)アクリレート系化合物の例には、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリカプロラクトネートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールヘキサントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等;及びこれらの3EO(エチレンオキサイド)変性物、6EO変性物、9EO変性物(3EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、3EO変性トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、3EO変性トリメチロールヘキサントリ(メタ)アクリレート等)が含まれる。
4官能以上の(メタ)アクリレート系化合物の例には、トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールブタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールオクタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールポリアルキレンオキサイドヘプタ(メタ)アクリレート等の4官能以上のモノマー;等を挙げることができる。
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物の例には、(メタ)アクリル酸-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-1-メチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-4-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸-1-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-1-ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸-2-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-1,1-ジメチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸-3-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸-1-メチル-2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-2-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸-4-ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸-5-ビニロキシペンチル、(メタ)アクリル酸-6-ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸-4-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸-3-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸-2-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸-p-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸-m-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸-o-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル等が挙げられる。
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物における多官能モノマーは、多官能(メタ)アクリレート系化合物が好ましく;例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、3EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート)、ヘキサンジオールジアクリレート(例えば、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート)、ジプロピレングリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート等が好ましい。
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物における多官能モノマーの含有割合は、インク組成物に対して、好ましくは10.0質量%以上であり、より好ましくは15.0質量%以上であり;一方、好ましくは40.0質量%以下であり、より好ましくは30.0質量%以下である。光硬化型インクジェット印刷用インク組成物における多官能モノマーの含有割合は、光重合性成分全体に対して、好ましくは10.0質量%以上であり、より好ましくは20.0質量%以上であり、さらに好ましくは25.0質量%以上であり;一方、好ましくは50.0質量%以下であり、より好ましくは40.0質量%以下である。
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物が、3EO変性トリメチロールプロパントリアクリレートを含む場合には、光重合性成分全体に対して2.0質量%以上、好ましくは3.0質量%以上含有することができ;12.0質量%以下、好ましくは10.0質量%以下含有することができる。また、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物が、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートを含む場合には、光重合性成分全体に対して5.0質量%以上、好ましくは8.0質量%以上含有することができ;20.0質量%以下、好ましくは15.0質量%以下含有することができる。
[A-1―4.アミン変性オリゴマー以外のオリゴマー]
前述の通り、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物はアミン変性オリゴマーを含有するが、それ以外のオリゴマーを含有してもよい。アミン変性オリゴマー以外のオリゴマーとしては、エポキシ樹脂等といったエポキシ化合物に含まれるエポキシ基を酸や塩基で開環させた後に生じる水酸基と(メタ)アクリル酸とのエステルに例示されるエポキシ変性(メタ)アクリレート;ロジン変性エポキシアクリレート;二塩基酸とジオールとの縮重合物の末端水酸基と(メタ)アクリル酸とのエステルに例示されるポリエステル変性(メタ)アクリレート;ポリエーテル化合物の末端水酸基と(メタ)アクリル酸とのエステルに例示されるポリエーテル変性(メタ)アクリレート;ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との縮合物における末端水酸基と(メタ)アクリル酸とのエステルに例示されるウレタン変性(メタ)アクリレート;等を挙げることができる。光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、これらのオリゴマーを単独で又は2種以上を組み合わせて含有することができる。
このようなエチレン性不飽和結合を備えたオリゴマーとしては、例えば、ポリジアリルフタレート、ネオペンチルグリコールオリゴ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンオリゴ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールオリゴ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ロジン変性エポキシ(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエーテル(メタ)アクリレート、未反応の不飽和基を備えたアクリル系樹脂、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ポリウレタン、アクリル変性フェノール系樹脂、アクリル化アミン化合物のオリゴマー等が挙げられる。
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、市販のオリゴマーを含有してもよく;市販のオリゴマーは、サートマー社の「CN」、「SR」シリーズ、東亜合成社の「アロニックスM-6000」シリーズ、「7000」シリーズ、「8000」シリーズ、「アロニックスM-1100」、「アロニックスM-1200」、「アロニックスM-1600」、新中村化学工業社の「NKエステル」、「NKオリゴ」、共栄社化学工業社の「ライトアクリレート」、「ライトエステル」、「エポキシエステル」、「ウレタンアクリレート」及び「高機能性オリゴマー」シリーズ、大阪有機化学工業社の「特殊アクリルモノマー」シリーズ、三菱ケミカル社の「アクリエステル」、「ダイヤビームオリゴマー」及び「紫光」シリーズ、日本化薬社の「カヤラッド」及び「カヤマー」シリーズ、日本触媒社の「(メタ)アクリル酸/メタクリル酸エステルモノマー」シリーズ、信越酢酸ビニル社の「カルボン酸ビニルエステルモノマー」シリーズ、興人社の「機能性モノマー」シリーズ、ダイセル・オルネクス社の「EBECRYL」、「ACA」、「KRM」、「IRR」、「RDX」及び「OTA」シリーズ、BASF社「Laromer」シリーズ、コグニス社「フォトマー」シリーズ、根上工業社「アートレジン」シリーズ、日油社の「ブレンマー」シリーズ、第一工業製薬社の「ニューフロンティア」シリーズ、MIWON社の「Miramer」シリーズ、DSM社の「AgiSyn」シリーズ等の商品名で入手することができる。
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、ビスフェノールAエポキシアクリレートオリゴマーを、アミン変性オリゴマーとともに含有してもしなくてもよいが;アミン変性オリゴマーによるLED硬化性の向上効果をより発揮させるためには、ビスフェノールAエポキシアクリレートオリゴマーを含まない方が好ましい場合がある。
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、環境面を考慮すると、植物由来のジカルボン酸成分やジオール成分を使用して得たポリエステルポリオールを原料としたポリウレタンオリゴマー及び/又はポリウレタンポリウレアオリゴマーを含有することができる。植物油変性多官能ポリエステルアクリレートオリゴマーとしては、アクリレート基を分子内に2~6つ有する植物油変性ポリエステルアクリレートオリゴマーであれば制限なく用いることができる。このうち、例えば、EBECRYL 450、452、820、1622や、トール油脂肪酸変性6官能ポリエステルアクリレート(例えば、AgiSyn 716等)からなる群より選ばれる1種以上を用いると、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物のバイオマス度を高くでき好ましい。
[A-1-5.ポリマー]
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、エチレン性不飽和結合を備えた硬化性樹脂としてのポリマーを含有してもよい。当該ポリマーは、光重合性成分であるモノマーやオリゴマーとともに高分子量化する成分であるが、活性エネルギー線が照射される前から大きな分子量を有するため、インク組成物の粘弾性の向上に役立つ成分である。このようなポリマーは、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物において、例えば、低粘度の液体であるモノマー中に溶解又は分散された状態となりうる。エチレン性不飽和結合を備えたポリマーとしては、ポリジアリルフタレート、未反応の不飽和基を備えたアクリル樹脂、アクリル変性フェノール樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、ポリジアリルフタレートは、上記モノマーやオリゴマーとの相溶性が特に優れているので好ましく用いることができる。
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、エチレン性不飽和結合を備えたポリマーを含有しなくてもよいが、含有する場合には、光重合性成分全体に対するエチレン性不飽和結合を備えたポリマーの含有量としては、0~50.0質量%が好ましく、0~30.0質量%がより好ましく、0~20.0質量%がさらに好ましい。
[A-2.光重合開始剤]
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は光重合開始剤を含むが、その少なくとも一部が、下記式(1)で示される光重合開始剤である。式(1)で示される光重合開始剤は、ケトクマリン化合物とも称され、LED光である波長350~420nmの光を吸収して、ラジカルを発生させて重合反応を開始させることができる。
式(1)におけるRはアルキル基を示し、特に炭素数10~13の分岐アルキル基を示す。
下記式(1)で示される光重合開始剤は、好ましくは下記式で示される化合物である。このような化合物は市場からも入手可能であり、Esacure3644(IGM RESINS B.V.社)として市販されている。
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物における、式(1)で示される光重合開始剤の含有割合は、インク組成物に含まれる光重合性成分の合計を100質量部としたときに1.5質量部以上であり、5.0質量部以上であることが好ましく、10.0質量部以上であることがより好ましく;一方、40.0質量部以下であり、25.0質量部以下であることが好ましく、15.0質量部以下であることがより好ましい。
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、式(1)で示される光重合開始剤以外の、他の光重合開始剤を含有してもよいししなくてもよい。他の光重合開始剤は、本発明による効果を毀損しない範囲において、活性エネルギー線を受けて重合を開始させるものであれば特に制限されず、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物に使用される光重合開始剤を用いることができる。
他の光重合開始剤の例には、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、トリアジン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等が挙げられる。これらの中でも、発光ダイオード(LED)光に対する硬化性が良好である観点から、トリアジン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤が好ましい。他の光重合開始剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
他の光重合開始剤の具体例には、ビス(2,4,6-トリメチルべンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、エトキシ(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、2-メチル-1-(4-メチルチオ)フェニル-2-モルフォリノプロパン-1-オン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス-2,6-ジメトキシベンゾイル-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2,2-ジメチル-2-ヒドロキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,4,6-トリメチルベンジル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン等が挙げられる。
[A-3.重合禁止剤]
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、光重合性成分及び光重合開始剤とともに、重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤は、インク組成物の保存時において重合反応が生じることを防止することができ、インク組成物が増粘するのを抑制することができる。
重合禁止剤としては、ブチルヒドロキシトルエン等のフェノール系化合物(キノン系化合物を含む)や、酢酸トコフェロール、ニトロソアミン系化合物、ベンゾトリアゾール、ヒンダードアミン等が含まれ;なかでも、キノン系化合物及びニトロソアミン系化合物をより好ましく例示することができる。ニトロソアミン系化合物の例には、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、アンモニウム N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等が含まれる。
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、重合禁止剤であるニトロソアミン系化合物を含むことが好ましく;キノン系化合物とニトロソアミン系化合物とを組み合わせて含むことがより好ましい。
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物における重合禁止剤の含有割合は、キノン系化合物の場合は、光重合性成分全体を100質量部としたときに0.1~1.0質量部程度であり;ニトロソアミン系化合物の場合は、光重合性成分全体を100質量部としたときに0.005~0.1質量部程度である。
[A-4.増感剤]
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、硬化性を向上させる観点から増感剤を含有してもしなくてもよい。増感剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
増感剤の例には、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ビス(2-エチルヘキシルオキシ)アントラセン等のアントラセン系増感剤;2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系増感剤等が挙げられる。前記増感剤の市販品としては、アントラセン系増感剤では、商品名「DBA」、「DEA」(以上、川崎化成工業社)、チオキサントン系増感剤では、商品名「DETX」、「ITX」(Lambson社)等が挙げられる。
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物に増感剤を含有させる場合には、過剰添加を防止する観点から、光重合性成分全体を100質量部としたときに増感剤の含有量を5.0質量部以下とすることが好ましく、4.0質量部以下とすることがさらに好ましい。また、光重合性成分全体を100質量部としたときに、光重合開始剤と増感剤との合計含有量が1.5~40.0質量部とすることが好ましい。
[A-5.顔料]
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、顔料を含有していてもよく;また、顔料を含有する場合には、顔料分散剤を含有することが好ましい。
顔料は、インク組成物に着色力や隠蔽力等を付与するために添加される成分であり、例えば着色顔料、白色顔料、金属パウダー等が挙げられる。このような顔料としては、従来からインク組成物に使用されている例えば下記の有機及び/又は無機顔料を特に制限なく挙げることができる。
顔料の例には、染料レーキ顔料、アゾ系、ベンゾイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジコ系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリノン系、ニトロ系、ニトロソ系、フラバンスロン系、キノフタロン系、ピランスロン系、インダンスロン系の顔料及び各種無機顔料等が挙げられる。これらの顔料の中でも、ジスアゾイエロー(ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー1)、ハンザイエロー、ピグメントイエロー150等のイエロー顔料;ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウオッチングレッド、キナクリドン、ピグメントレッド122、ピグメントレッド254等のマゼンタ顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、ピグメントブルー15:4等のシアン顔料;酸化チタン(ピグメントホワイト6等)、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、鉄黒、酸化クロムグリーン、カーボンブラック(ピグメントブラック7等)、黒鉛等の有色顔料(白色、黒色等の無彩色の着色顔料も含める)アルミニウムペースト、ブロンズパウダー等の金属パウダー等が好ましく例示される。
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物における顔料の含有量は、目的とする着色の程度に応じて、インク組成物の全体に対して、例えば2.0~30.0質量%程度でありうるが、特に限定されない。なお、着色されたインク組成物を調製する場合、補色として他の色の顔料や染料を併用したり、他の色のインク組成物を添加したりすることもできる。
[A-5―1.顔料分散剤及び/又は顔料分散用樹脂]
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物が着色剤として顔料を含有する場合には、顔料分散剤及び/又は顔料分散用樹脂を配合してもよい。
顔料分散剤としては、公知のノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。界面活性剤としては、例えば、シリコーン系界面活性剤(例えば、ポリエーテル変性シリコーンオイル、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性メチルアルキルポリシロキサン等)、フッ素系界面活性剤、オキシアルキレンエーテル系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、リン系界面活性剤、スルホン酸系界面活性剤等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
顔料分散用樹脂は、高分子分散剤であり;例えば、カルボジイミド系、ポリエステル系、ポリアミン系、ポリエステルアミン系、ポリウレタン系、脂肪酸アミン系、ポリアクリレート系、ポリカプロラクトン系、ポリシロキサン系、多鎖型高分子非イオン系、高分子イオン系の分散剤等からなる群より選ばれる1種以上でありうる。
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物が顔料分散剤や顔料分散用樹脂を含む場合には、顔料の合計量を100質量部としたときに、1.0~200.0質量部の顔料分散剤や顔料分散用樹脂を含有することが好ましい。
[A-6.界面活性剤(レベリング剤)]
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、印刷に使用するインクジェット印刷装置のプリンターヘッドの形態に応じて、界面活性剤をレベリング剤として含むことができる。公知の界面活性剤を特に制限なく含有させることができ、界面活性剤の例には、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリエーテル変性シリコーンオイル、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性メチルアルキルポリシロキサン等のシリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤等が挙げられる。前記界面活性剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
シリコーン系界面活性剤としては、BYK-307、BYK-315N、BYK-331、BYK-333、BYK-347、BYK-348、BYK-349、BYK-345、BYK-377、BYK-378、BYK-3455(BYK社)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、F-410、F-444、F-553(DIC社)、FS-65、FS-34、FS-35、FS-31、FS-30(デュポン社)等が挙げられる。
アセチレン系界面活性剤としては、ダイノール607、ダイノール609、オルフィンE1004、オルフィンE1010、オルフィンE1020、オルフィンPD-001、オルフィンPD-002W、オルフィンPD-004、オルフィンPD-005、オルフィンEXP.4001、オルフィンEXP.4200、オルフィンEXP.4123、オルフィンEXP.4300(日信化学社)、サーフィノール104E、サーフィノール104H、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104DPM、サーフィノール104PA、サーフィノール104PG-50、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465(EVONIK社)等が挙げられる。
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物における界面活性剤の含有割合は、インク組成物の表面張力を低下させ、インクジェットヘッドからの吐出安定性を高める観点から、インク組成物に対して、0.005質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましく、そして、配合中に発生するインク組成物中の泡を抑制し、吐出安定性を高める観点から、1.5質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましい。
界面活性剤をレベリング剤として含有させる場合において、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物の25℃における表面張力が20.0~36.0mN/mとなるように、界面活性剤の含有量を調整することが好ましく、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物中に0.1~1.5質量%であることがより好ましい。
[A-7.その他成分]
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、その他の成分として、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、保存性向上剤、防黴剤、防錆剤、増粘剤、保湿剤、pH調整剤等の各種添加剤を含有してもよい。また、ビヒクルとして機能するが硬化性ではない樹脂を配合してもよく、配合しなくてもよい。また、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、溶剤を含有してもよいが、含有しなくてもよい。
[A-7―1.紫外線吸収剤]
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は紫外線吸収剤を含有してもよく;紫外線吸収剤の例には、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤等が挙げられる。
[A-7―2.酸化防止剤]
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は酸化防止剤を含有してもよく;酸化防止剤の例には、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が含まれる。
[A-7―3.消泡剤]
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は消泡剤を含有してもよく;消泡剤の例には、シリコーン系消泡剤、プルロニック(登録商標)系消泡剤等が含まれる。
[A-7―4.溶剤]
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、必要に応じて溶剤を含有してもよい。溶剤の例には、エステル系有機溶剤、エーテル系有機溶剤、エーテルエステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、芳香族炭化水素溶剤、含窒素系有機溶剤等が挙げられる。また、溶剤としては、1気圧下における沸点が150~220℃であるものが挙げられる。ただし、インク組成物の硬化性、環境問題などの観点からは、含有しないことが好ましい場合があり;インク組成物における溶剤の含有割合は、インク組成物中、5.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることがより好ましく、含有しなくてもよい。
[B.光硬化型インクジェット印刷用インク組成物の物性]
本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、インクジェット装置によって印刷可能であり、LED硬化性などの本発明の効果が損なわれない物性を有していればよい。
[B-1.粘度]
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物の、25℃における粘度は、好ましくは5.0mPa・s以上、より好ましくは10.0mPa・s以上、さらに好ましくは15.0mPa・s以上であり;好ましくは100.0mPa・s以下、60.0mPa・s以下、より好ましくは46.0mPa・s以下、さらに好ましくは25.0mPa・s以下である。インク組成物の粘度は、主に光重合性化合物や光重合開始剤の組成によって調整可能であり、また、必要に応じて粘度調整剤等を配合して調整してもよい。なお、本願明細書に記載の粘度は、E型粘度計(RE100L型粘度計、東機産業社製)を用いて、25℃、10rpmの条件で測定した粘度である。粘度が5.0mPa・s未満又は100.0mPa・sを超えると、インクジェット印刷による吐出安定性が低下する場合がある。
[B-2.表面張力]
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物の25℃における表面張力は20.0~36.0mN/mであることが好ましい。インク組成物の表面張力は、必要に応じて界面活性剤(レベリング剤)を配合することで調整することができる。表面張力は、動的濡れ性試験機(例えば、商品名:WET-6000、レスカ社製)を使用して、温度25℃で測定することができる。
[C.光硬化型インクジェット印刷用インク組成物の調製]
本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、従来公知の手法に準じて調製することができる。例えば、湿式サーキュレーションミル、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、DCPミル、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー(マイクロフルイダイザー、ナノマイザー、アルティマイザー、ジーナスPY、DeBEE2000等)、パールミル等の分散機を使用して各成分を分散混合し、必要により粘度を調整して、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を得ることができる。
なお、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物が顔料を含有する場合には、顔料、顔料分散剤及び光重合性モノマーを混合することにより、予めベースインク組成物(顔料分散物ともいう)を得て、それに所望の組成となるよう上記成分の残余の分を添加して、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を調製することもできる。
[D.光硬化型インクジェット印刷用インク組成物による印刷]
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、インクジェット印刷装置による印刷に用いることができる。使用可能なインクジェット印刷装置の方式は特に限定されず、ラインヘッド方式(シングルパス方式)であってもよいし、シリアルヘッド方式(マルチパス方式)であってもよい。また、コンティニュアスタイプのインクジェット印刷装置であってもよく、その場合には、さらに導電性付与剤を加えてインク組成物の電導度を調整することができる。
光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、インクジェット印刷装置のプリンターヘッドに供給され、このプリンターヘッドからインク組成物を印刷対象の基材に吐出する。プリンターヘッドからのインク組成物の基材への吐出(画像の印字)は、基材に対して塗膜の膜厚が、例えば、1~60μmとなるように行えばよい。
基材に着弾したインク組成物は、活性エネルギー線で露光されて硬化する。活性エネルギー線としては、発光ダイオード(LED)や各種ランプや電極から照射される紫外線、電子線、可視光線等が挙げられる。環境面からは、発光ピーク波長が350~420nmの範囲の紫外線を発生する発光ダイオード(LED)を光源とすることが好ましいが、本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は特に発光ダイオード(LED)を光源とした紫外線に対する硬化性に優れる。
印刷対象となる基材も特に限定されず、従来公知の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物が適用可能な基材であれば特に限定されない。基材の例には、プラスチック、紙、カプセル、ジェル、金属箔、ガラス、木材、布等が挙げられる。本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、いずれの材質の基材を印刷対象としても、光重合開始剤のマイグレーションが生じにくいという効果を発現しうる。基材を構成するプラスチックとしては、例えば、ポリエステル系ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等)、セルロース系ポリマー(例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)等)、ポリカーボネート系ポリマー、ポリアクリル系ポリマー(例えば、ポリメチルメタクリレート等)、塩化ビニル系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状又はノルボルネン構造を有するポリオレフィンポリマー、エチレン・プロピレン共重合体ポリマー等)、ポリアミド系ポリマー(例えば、ナイロン、芳香族ポリアミドポリマー等)、ポリスチレン系ポリマー(例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体ポリマー等)、ポリイミド系ポリマー、ポリスルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニルスルフィド系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリ塩化ビニリデン系ポリマー、ポリビニルブチラール系ポリマー、ポリアリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、及びポリエポキシ系ポリマー、これらのポリマーのブレンド物等からなる群より選ばれる1種以上等が挙げられる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味するものである。
<光硬化型インクジェット印刷用インク組成物の調製>
下記表1及び2に記載の実施例1~9及び比較例1~7の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を調製した。具体的には、表1及び表2に記載の配合組成(質量%)となるように各成分を配合し、攪拌混合して各組成物を調製した。調製に用いた成分を以下に示す。
[顔料分散用樹脂]
Solsperse 56000:ソルスパーズ56000,日本ルーブリゾール社
[アミン変性オリゴマー]
CN371NS:SartomerCN371NS、サートマー社、分子内に2つのアミノ基と2つのアクリル基を有するオリゴマー、粘度1488cps(25℃)、重量平均分子量1600
[ビスフェノールAエポキシアクリレートオリゴマー]
Miramer PE-210:MiramerPE210,MIWON社
[光重合開始剤]
Esacure 3644:ケトクマリン化合物(下記構造式参照)、IGM RESINS B.V.社
Omnirad 184:1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、IGM RESINS B.V.社
Omnirad 819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイド)、IGM RESINS B.V.社
[増感剤]
DETX:2,4-ジエチルチオキサントン、Lambson社
[重合禁止剤]
Lunacure 500:N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、DKSH社
UV-22:キノン系重合禁止剤、BASF社
[レベリング剤]
BYK-UV3500:アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、BYK社
<光硬化型インクジェット印刷用インク組成物の評価>
各実施例及び比較例で得られた光硬化型インクジェット印刷用インク組成物について、以下の項目の評価を行い、その結果を、表1及び表2に示した。
[粘度]実施例及び比較例で得られた光硬化型インクジェット印刷用インク組成物をE型粘度計(商品名:RE100L型粘度計、東機産業社製)を使用して、温度25℃、ローター回転速度10rpmの条件で、粘度を測定した。
[表面張力]実施例及び比較例で得られた光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を動的濡れ性試験機(商品名:WET-6000、レスカ社製)を使用して、温度25℃で測定した。
[LED硬化性]実施例及び比較例で得られた光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を、PETフィルムの表面にバーコーターNo.6(φ0.15mm)を用いて塗布し、各塗工物を得た。次いで、フォセオンテクノロジー社製LEDランプを用いて積算光量80mJ/cmの照射条件にて波長395nmのLEDを照射し、硬化するまでのパス回数を下記評価基準に従って評価した。
〇:パス回数1(積算光量80mJ/cm)の場合に綿棒で擦ってもインク塗膜の取られなし
△:パス回数1(積算光量80mJ/cm)の場合に綿棒で擦るとインク塗膜の取られがあるが、パス回数2(積算光量160mJ/cm)の場合に綿棒で擦るとインク塗膜の取られなし
×:パス回数2(積算光量160mJ/cm)の場合に綿棒で擦るとインク塗膜の取られあり
[保存安定性]実施例及び比較例で得られた光硬化型インクジェット印刷用インク組成物を密閉したガラス瓶に入れ、25℃及び60℃の環境下で3週間静置した後、E型粘度計(商品名:RE100L型粘度計、東機産業社製)を使用して粘度を測定した。以下の計算式により増粘率(%)を算出し、以下の評価基準にしたがって評価した。
式: {(60℃3週間静置後の粘度値/25℃ 3週間静置後の粘度値)×100}-100
○:増粘率は10%未満
△:増粘率は10%以上20%未満
×:増粘率は20%以上
[溶解性]光重合開始剤と、多官能モノマーと、単官能モノマーと、を表1及び2の配合比率にて混合し(他の成分は配合しない)、室温で1時間攪拌した後、2000メッシュを通液し、メッシュ上の残渣を目視にて確認し、下記評価基準に従って評価した。
〇:残渣なし
×:固形残渣あり
[開始剤由来のマイグレーション]実施例及び比較例で得られた光硬化型インクジェット用インク組成物を、2軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:P2161、東洋紡社製)の表面に、シングルパスのインクジェットプリンターにて印刷速度48m/minで印刷し、次いで照射エネルギー500mJにてLED照射して硬化して、各塗工物を得た。これらの塗工物を13mm×13mmにカットし、試験片を得た。
マイグレーション評価用セルに50%エタノール水溶液を200m入れ、試験片の印刷面の裏側に50%エタノール水溶液が接する状態で、40℃にて10日間静置した。10日後にエタノール水溶液を回収し、回収した200mのエタノール水溶液中に内部標準液(テルフェニル)を0.2mg添加した。内部標準液添加後のエタノール水溶液を固相抽出カートリッジに通した後、保持された成分をメタノール1mで抽出した。これにより、試験片からエタノール水溶液中に溶出した成分が200倍に濃縮されたメタノール溶液を得た。
各メタノール溶液に対し、GC/MS分析にて、内部標準液(1000ppb)のピーク面積と、マイグレーション成分のピーク面積を比較した。GC/MSの結果から、ろ液中の光重合開始剤由来成分のマイグレーション成分の濃度を算出し、下記評価基準に従って評価した。マイグレーション成分として検出した成分は、インク組成物に配合した光重合開始剤の化合物そのもの、及びその分解物、とした。
○:10ppb以下
△:10ppbより多く1ppm以下
×:1ppmより多い
アミン変性オリゴマーの含有量が、光重合性成分の合計に対して約2.3質量%である比較例1のインク組成物では、LED硬化性が十分でないことがわかる。また、LED硬化性が十分でないため、マイグレーションの評価もできなかった。一方、アミン変性オリゴマーの含有量が、光重合性成分の合計に対して約46.8質量%である比較例2のインク組成物は粘度が高すぎる(110.3mPa・s)ため、インクジェット印刷による吐出安定性が低下する。また、アミン変性オリゴマーを含まず、ビスフェノールAエポキシアクリレートオリゴマーを含有する比較例7のインク組成物は、LED硬化性が十分でない。これに対して、アミン変性オリゴマーの含有量が、光重合性成分の合計に対して、約2.9質量%(実施例4)~33.2質量%(実施例2)の範囲にある各実施例のインク組成物では、十分なLED硬化性を有しつつ、吐出安定性が得られる粘度を有している。
光重合開始剤であるEsacure3644の含有量が、光重合性成分の合計100質量部に対して約1.1質量部である比較例3のインク組成物は、LED硬化性が十分でないことがわかる。一方、光重合開始剤であるEsacure3644の含有量が、光重合性成分の合計100質量部に対して約57.9質量部である比較例4のインク組成物については、溶解性の評価からわかるように、Esacure3644の含有量が多すぎて、インク組成物中で十分に溶解することができず、均一なインク組成物とならないため、粘度と表面張力を測定できず、LED硬化性、保存安定性、マイグレーションを評価できなかった。これに対して、光重合開始剤であるEsacure3644の含有量が、光重合性成分の合計100質量部に対して約1.6質量部(実施例5)~35.7質量部(実施例3)の範囲にある各実施例のインク組成物では、十分なLED硬化性を有している。
光重合開始剤としてOmnirad184又はOmnirad819(これらは、ケトクマリン化合物ではない)を含む、比較例5又は6のインク組成物は、LED硬化性が十分でないことがわかる。特に、Omnirad819を含む比較例6のインク組成物では、重合開始剤のマイグレーションが生じている。これに対して、光重合開始剤であるEsacure3644を含む各実施例のインク組成物では、十分なLED硬化性を有し、かつ光重合開始剤のマイグレーションが生じない。
表1に示す通り、各実施例のインク組成物はいずれも、LED硬化性が高く、光重合開始剤のマイグレーションも生じておらず、かつ他の特性もよい。実施例1と実施例4との対比からわかるように、光重合性成分におけるアミン変性オリゴマーの含有割合が一定以上であると、よりLED硬化性が高まることがわかる。また、実施例1と実施例5との対比からわかるように、光重合性成分に対する、ケトクマリン化合物である光重合開始剤の含有割合が一定以上であると、よりLED硬化性が高まることがわかる。
本発明の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物は、保存安定性が高く、かつインクジェット印刷法によって、特にLED光によってインクを硬化させるインクジェット印刷法によって、高画質な画像を印刷することができる。また、光重合開始剤のマイグレーションを抑制することができる。

Claims (4)

  1. 光重合性成分と光重合開始剤とを含む光硬化型インクジェット印刷用インク組成物であって、
    前記光重合性成分全体に対して、アミン変性オリゴマーを2.5~40.0質量%含有し、
    前記光重合性成分全体を100質量部としたときに、下記式(1)で表される光重合開始剤を1.5~40.0質量部含有する、光硬化型インクジェット印刷用インク組成物。
    (式(1)におけるRは、炭素数10~13の分岐アルキル基を示す。)
  2. 重合禁止剤として、ニトロソアミン系化合物を含有する、請求項1に記載の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物。
  3. 25℃における粘度が5.0~100.0mPa・sであり、かつ25℃における表面張力が20.0~36.0mN/mである、請求項1又は2に記載の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物。
  4. 前記アミン変性オリゴマーは、分子内に1以上のアミノ基と2以上の(メタ)アクリロイル基を有する、請求項1又は2に記載の光硬化型インクジェット印刷用インク組成物。
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