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JP2024087545A - ビールテイスト飲料用香味改善剤 - Google Patents

ビールテイスト飲料用香味改善剤 Download PDF

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JP2024087545A JP2022202427A JP2022202427A JP2024087545A JP 2024087545 A JP2024087545 A JP 2024087545A JP 2022202427 A JP2022202427 A JP 2022202427A JP 2022202427 A JP2022202427 A JP 2022202427A JP 2024087545 A JP2024087545 A JP 2024087545A
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麻紀子 伊藤
Makiko Ito
雄司 小畑
Yuji Obata
茉莉花 力武
Marika Rikitake
唯 増田
Yui Masuda
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T Hasegawa Co Ltd
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T Hasegawa Co Ltd
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Abstract

【課題】ビールらしいキレ、飲みごたえ、刺激感を付与および/または増強し、ビールテイスト飲料の香味を改善できるビールテイスト飲料用香味改善剤、ビールテイスト飲料用香味改善組成物およびビールテイスト飲料の香味改善方法を提供する。【解決手段】3-p-メンテン-7-アールからなる、ビールテイスト飲料用香味改善剤。3-p-メンテン-7-アールを有効成分として含有する、ビールテイスト飲料用香味改善組成物。当該ビールテイスト飲料用香味改善剤または当該ビールテイスト飲料用香味改善組成物をビールテイスト飲料に添加する工程を含む、ビールテイスト飲料の香味改善方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ビールテイスト飲料用香味改善剤、ビールテイスト飲料用香味改善組成物、およびビールテイスト飲料の香味改善方法に関する。
最近の健康ブームなどを背景に、低糖質、低カロリー、低アルコール、糖質ゼロ又はノンアルコール等、機能性を訴求したビールテイスト飲料が数多く市販されている。
これらのビールテイスト飲料は、ビールに比べて使用する麦芽量を下げ、他の糖質原料(麦、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でんぷん、糖類など)を使用したり、糖質等の除去工程を加えたり、発酵方法を変えたり、アルコール度数が1vol%未満のノンアルコールビールでは発酵工程を経ずに製造される場合もあるため、ビールらしい香味が不足するという問題があり、ビールテイスト飲料の香味をビールの香味に近づける技術の開発が強く求められている。
このような課題を解決するため、例えば、ビールテイスト飲料のアルコール感付与を目的として、ウンデカトリエン類やウンデカテトラエン類を添加する方法(特許文献1)、ダバナ抽出物および/またはトルーバルサム抽出物を添加する方法(特許文献2)が提案されている。また、ビールテイスト飲料のモルト感付与を目的として、麦芽エキスを添加する方法(特許文献3)、ホップ風味付与を目的として、バニリルエチルエーテル(特許文献4)、ミルセニルメチルエーテル(特許文献5)を添加する方法が提案されている。
特開2015-50955号公報 特開2014-45712号公報 特開2005-13166号公報 特開2004-229562号公報 特開2004-187536号公報
これまで提案されている上記した方法は、発泡酒、新ジャンル、ノンアルコールビールなどのビールテイスト飲料に対して、アルコール感付与、モルト感付与、ホップ風味の付与についてはそれなりに効果を発揮しているが、ビールが本来的に有しているビールらしいキレ、飲みごたえ、刺激感の付与、増強または改良に関しては満足する結果が得られていない。
本発明の目的は、ビール、発泡酒、新ジャンル、ノンアルコールビールなどのビールテイスト飲料にビールらしいキレ、飲みごたえ、刺激感を付与および/または増強し、ビールテイスト飲料の香味を改善できるビールテイスト飲料用香味改善剤、ビールテイスト飲料用香味改善組成物およびビールテイスト飲料の香味改善方法を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、3-p-メンテン-7-アールをビールテイスト飲料に添加することにより、ビールらしいキレ、飲みごたえ、刺激感を付与および/または増強し、ビールテイスト飲料の香味を改善できることを見いだし、本研究を完成するに至った。
かくして、本発明は、以下のものを提供する。
[1]3-p-メンテン-7-アールからなる、ビールテイスト飲料用香味改善剤。
[2]3-p-メンテン-7-アールを有効成分として含有する、ビールテイスト飲料用香味改善組成物。
[3][1]に記載のビールテイスト飲料用香味改善剤または[2]に記載のビールテイスト飲料用香味改善組成物を、ビールテイスト飲料に添加する工程を含む、ビールテイスト飲料の香味改善方法。
[4][3]に記載のビールテイスト飲料の香味改善方法において、前記工程では、前記ビールテイスト飲料の全質量を基準として、3-p-メンテン-7-アールの濃度が0.1ppt~1ppbの範囲となるように前記ビールテイスト飲料用香味改善剤または前記ビールテイスト飲料用香味改善組成物を添加する、ビールテイスト飲料の香味改善方法。
本発明によれば、ビール、発泡酒、新ジャンルまたはノンアルコールビールなどのビールテイスト飲料にビールらしいキレ、飲みごたえ、刺激感を付与および/または増強し、ビールテイスト飲料の香味を改善できるビールテイスト飲料用香味改善剤、ビールテイスト飲料用香味改善組成物、およびビールテイスト飲料の香味改善方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施の形態について、詳細に説明する。本明細書において、「~」は下限値および上限値を含む範囲を意味し、「濃度(ppm、ppb、ppt)」、「%」は特に断りのない限りそれぞれ「質量濃度」、「質量パーセント濃度」を表すものとする。また、本明細書において、「香味」とは、香気(香り)によって変化し得る1種または複数種の感覚、代表的には嗅覚および/または味覚を含む感覚を意味する。本明細書において、用語「香味付与(香味を付与する)」には、香味を新たに加える、および/または、香味を増強することを含み、香味を付与乃至増強した結果、香味が改善されるものをも含んでいる。さらには、用語「香味付与(香味を付与する)」には、香味付与の結果、嗅覚および/または味覚以外の感覚、例えば、冷感、温感、質感(のど越し、固さ、粘度など、テクスチャともいう)、炭酸や辛さなどの刺激感などを増強、抑制、または改善するものも含んでいる。また、本明細書において、飲食品の香味を風味と呼ぶこともある。また、本明細書において、「添加」とは、ある対象に噴霧、滴下などによって単に加えること、およびある対象と混ぜ合わせることの、少なくとも1つを含む。
(香味改善剤)
本発明の一実施の形態に係るビールテイスト飲料用香味改善剤(以下「本件香味改善剤」という場合がある。)は、下記式(1)で表される3-p-メンテン-7-アール(3-p-menthen-7-al、別名:4-(propan-2-yl)cyclohex-3-ene-1-carbaldehyde、CAS番号:27841-22-1)からなる。
Figure 2024087545000001
3-p-メンテン-7-アールは、当業者によってなし得る任意の方法、例えば、食品用香料化合物または試薬として購入するか、天然物から抽出するか、定法(一例として特公平4-76660号公報に記載の方法)に従い合成することができる。従来、3-p-メンテン-7-アールは、クミンシードやキウイフルーツに含まれる成分の一つとして同定されている化合物であり、柑橘様香味増強剤の有効成分として使用可能である(特許第6348555号公報)ことが知られているが、これまでビール、麦芽、ホップなどの揮発性成分として見出された報告はなく、ましてや、ビール、発泡酒、新ジャンル、ノンアルコールビールなどのビールテイスト飲料に添加することにより、ビールテイスト飲料の香味を改善できることはこれまで知られておらず、本発明者らが初めて見出したものである。
本件香味改善剤は、後述の実施例にその一例を示すように、ビール、発泡酒、新ジャンル、ノンアルコールビールなどのビールテイスト飲料に添加することにより、ビールらしいキレ、飲みごたえ、刺激感を付与および/または増強し、ビールテイスト飲料の香味を改善することができる。ここで、「ビールらしい刺激感」とは、ビールの香味の中でも、ビールを飲んだ際に口中または喉に感じる快い刺激を想起させる香味を意味する。
本件香味改善剤は、本件化合物のみからなるが、当業者が有する通常の知識に基づいて実質的に本件化合物のみからなればよく、例えば、本件化合物を試薬として購入した際に残存する不純物を含むことは香味改善に影響のない限り問題ない。
添加対象のビールテイスト飲料中の本件香味改善剤の濃度は、ビールテイスト飲料の香味特性に応じて任意に決定できるが、好ましくは、ビールテイスト飲料の全体質量に対して、0.1ppt~1ppbの範囲内が挙げられる。より具体的には、下限値を0.1ppt、1ppt、10ppt、100pptのいずれかとし、上限値を1ppb、100ppt、10ppt、1pptのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせによる範囲内とすることができるが、これらに限定されない。
本件香味改善剤の添加対象としては、前述の通り、ビール、発泡酒、新ジャンル、ノンアルコールビールなどのビールテイスト飲料が挙げられる。
(香味改善組成物)
本発明の一実施の形態に係る香味改善組成物(以下「本件香味改善組成物」という場合がある。)は、下記式(1)で表される3-p-メンテン-7-アール(以下「本件化合物」という場合がある。)を有効成分として含有する。
Figure 2024087545000002
本件香味改善組成物は、後述の実施例にその一例を示すように、ビール、発泡酒、新ジャンル、ノンアルコールビールなどのビールテイスト飲料に添加することにより、ビールらしいキレ、飲みごたえ、刺激感を付与および/または増強し、ビールテイスト飲料の香味を改善することができる。ここで、「(ビールらしい)キレ」とは、爽快感や清涼感を感じさせるとともに雑味等の後味が口の中に残らない感覚を、「(ビールらしい)飲みごたえ」とは、飲んだときに満足感を感じさせるとともに飲み込むときに喉に抵抗を感じられるような感覚を、「(ビールらしい)刺激感」とは、ビールの香味の中でも、ビールを飲んだ際に口中または喉に感じる快い刺激を想起させる香味を、それぞれ意味する。
本件香味改善組成物は、本件化合物のみで構成してもよいし、本件化合物を有効成分として所定量含んでいればそれ以外の成分を含んでいてもよい。すなわち、前述した当業者によってなし得る任意の方法、例えば、食品用香料化合物または試薬として購入するか、天然物から抽出するか、定法に従い合成することにより入手した本件化合物(他の成分を含んでいてもよい)を、そのまま本件香味改善組成物として使用するか、溶媒または他の香味付与組成物に添加して本件香味改善組成物として使用することができる。また、本件香味改善組成物が本件化合物以外の成分として溶媒および/または他の香気成分を含む場合、本件香味改善組成物自体を香料組成物として使用することもできる。
本件香味改善組成物は、以下に例示する化合物または成分を含有し得る。その例として、各種類の香料化合物または香料組成物、油溶性色素類、ビタミン類、機能性物質、魚肉エキス類、畜肉エキス類、植物エキス類、酵母エキス類、動植物タンパク質類、動植物蛋白分解物類、澱粉、デキストリン、糖類、アミノ酸類、核酸類、有機酸類、溶剤などを例示することができる。
香料化合物等の例としては、「特許庁公報、周知・慣用技術集(香料)第II部食品用香料、平成12年1月14日発行」、「日本における食品香料化合物の使用実態調査」(平成12年度厚生科学研究報告書、日本香料工業会、平成13年3月発行)、および「合成香料 化学と商品知識」(2016年12月20日増補新版発行、合成香料編集委員会編集、化学工業日報社)に記載されているものを挙げることができる。
合成香料化合物の具体例として、炭化水素化合物としては、α-ピネン、β-ピネン、γ-テルピネン、ミルセン、カンフェン、リモネンなどのモノテルペン、バレンセン、セドレン、カリオフィレン、ロンギフォレンなどのセスキテルペン、1,3,5-ウンデカトリエンなどが挙げられる。
アルコール化合物としては、ブタノール、ペンタノール、3-オクタノール、ヘキサノールなどの飽和アルコール、(Z)-3-ヘキセン-1-オール、プレノール、2,6-ノナジエノールなどの不飽和アルコール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、テトラヒドロミルセノール、ファルネソール、ネロリドール、セドロール、α-ターピネオール、テルピネン-4-オール、ボルネオールなどのテルペンアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコールが挙げられる。
アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、ヘキサナール、オクタナール、デカナールなどの飽和アルデヒド、(E)-2-ヘキセナール、2,4-オクタジエナールなどの不飽和アルデヒド、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、シトラール、ミルテナール、ペリルアルデヒドなどのテルペンアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナミルアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、p-トリルアルデヒドなどの芳香族アルデヒドが挙げられる。
ケトン化合物としては、2-ヘプタノン、2-ウンデカノン、1-オクテン-3-オン、アセトイン、6-メチル-5-ヘプテン-2-オン(メチルヘプテノン)などの飽和および不飽和ケトン、ジアセチル、2,3-ペンタンジオン、マルトール、エチルマルトール、シクロテン、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンなどのジケトンおよびヒドロキシケトン、カルボン、メントン、ヌートカトンなどのテルペンケトン、α-イオノン、β-イオノン、β-ダマセノンなどのテルペン分解物に由来するケトン、ラズベリーケトンなどの芳香族ケトンが挙げられる。
フランまたはエーテル化合物としては、フルフリルアルコール、フルフラール、ローズオキシド、リナロールオキシド、メントフラン、テアスピラン、エストラゴール、オイゲノール、1,8-シネオールなどが挙げられる。
エステル化合物としては、酢酸エチル、酢酸イソアミル、酢酸オクチル、酪酸エチル、イソ酪酸エチル、酪酸イソアミル、2-メチル酪酸エチル、イソ吉草酸エチル、イソ酪酸2-メチルブチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸アリル、ヘプタン酸エチル、オクタン酸エチル、イソ吉草酸イソアミル、ノナン酸エチルなどの脂肪族エステル、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、酢酸ラバンジュリル、酢酸テルピニル、酢酸ネリルなどのテルペンアルコールエステル、酢酸ベンジル、サリチル酸メチル、ケイ皮酸メチル、プロピオン酸シンナミル、安息香酸エチル、イソ吉草酸シンナミル、3-メチル-2-フェニルグリシド酸エチルなどの芳香族エステルが挙げられる。
ラクトン化合物としては、γ-デカラクトン、γ-ドデカラクトン、δ-デカラクトン、δ-ドデカラクトンなどの飽和ラクトン、7-デセン-4-オリド、2-デセン-5-オリドなどの不飽和ラクトンが挙げられる。
酸化合物としては、酢酸、酪酸、イソ吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの飽和・不飽和脂肪酸が挙げられる。
含窒素化合物としては、インドール、スカトール、ピリジン、アルキル置換ピラジン、アントラニル酸メチル、トリメチルピラジンなどが挙げられる。
含硫化合物としては、メタンチオール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、アリルイソチオシアネート、3-メチル-2-ブテン-1-チオール、3-メチル-2-ブタンチオール、3-メチル-1-ブタンチオール、2-メチル-1-ブタンチオール、3-メルカプトヘキサノール、4-メルカプト-4-メチル-2-ペンタノン、酢酸3-メルカプトヘキシル、p-メンタ-8-チオール-3-オンおよびフルフリルメルカプタンなどが挙げられる。
天然精油としては、スイートオレンジ、ビターオレンジ、プチグレン、レモン、ベルガモット、マンダリン、ネロリ、ペパーミント、スペアミント、ラベンダー、カモミール、ローズマリー、ユーカリ、セージ、バジル、ローズ、ヒヤシンス、ライラック、ゼラニウム、ジャスミン、イランイラン、アニス、クローブ、ジンジャー、ナツメグ、カルダモン、スギ、ヒノキ、ベチバー、パチョリ、ラブダナムなどが挙げられる。
各種動植物エキスとしては、ハーブまたはスパイスの抽出物、コーヒー、緑茶、紅茶、またはウーロン茶の抽出物や、乳または乳加工品およびこれらのリパーゼまたはプロテアーゼなどの各種酵素分解物などが挙げられる。
後述の実施例に示すように、本件香味改善組成物は、本件化合物のほかに麦芽エキストラクト、ホップエキストラクトなどの天然素材、あるいはビール、麦芽、ホップ等から見出されている香料化合物などを含むことが好ましい。麦芽エキストラクトとしては、例えば、特開2011-97855号公報に記載されている麦芽の酵素処理エキストラクト、麦芽の水および/またはエタノール抽出エキストラクトなどを挙げることができ、ホップエキストラクトとしては、例えば、特開2014-82976号公報に記載されているホップの酵母処理エキストラクト、ホップの水および/またはエタノール抽出エキストラクトなどを挙げることができる。
本件香味改善組成物の形態としては、本件化合物およびその他の成分を水溶性もしくは油溶性の溶媒に溶解した溶液、乳化製剤、粉末製剤、またはその他固体製剤(固形脂など)などが好ましい。
水溶性溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、2-プロパノール、メチルエチルケトン、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどを例示することができる。これらのうち、飲食品への使用の観点から、プロピレングリコール、エタノールまたはグリセリンが特に好ましい。油溶性溶媒としては、植物性油脂、動物性油脂、精製油脂類(例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)などの加工油脂や、トリアセチン、トリプロピオニンなどの短鎖脂肪酸トリグリセリドが挙げられる。)、各種精油、トリエチルシトレートなどを例示することができる。
また、乳化製剤とするためには、香味改善組成物を水溶性溶媒および乳化剤と共に乳化して得ることができる。香味改善組成物の乳化方法としては特に制限されるものではなく、従来から飲食品などに用いられている各種類の乳化剤、例えば、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、加工でん粉、ソルビタン脂肪酸エステル、キラヤ抽出物、アラビアガム、トラガントガム、グアーガム、カラヤガム、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸およびその塩類、カラギーナン、ゼラチン、カゼインキラヤサポニン、またはカゼインナトリウムなどの乳化剤を使用してホモミキサー、コロイドミル、回転円盤型ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーなどを用いて乳化処理することにより安定性の優れた乳化液を得ることができる。これら乳化剤の使用量は厳密に制限されるものではなく、使用する乳化剤の種類などに応じて広い範囲にわたり変えることができる。また、乳化状態を安定させるため、係る乳化液には水の他に、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、ショ糖、グルコース、トレハロース、糖液、還元水飴などの多価アルコール類の1種類または2種類以上の混合物を添加することができる。
また、かくして得られた乳化液は、必要に応じて乾燥することにより粉末製剤とすることができる。粉末化に際して、さらに必要に応じて、アラビアガム、トレハロース、デキストリン、砂糖、乳糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴などの糖類を適宜添加することもできる。これらの使用量は粉末製剤に望まれる特性などに応じて適宜に選択することができる。
香味改善組成物は、上記以外に、必要に応じて、香料組成物において通常使用されている成分を含有していてもよい。例えば、水、エタノールなどの溶剤や、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシルグリコール、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、ジエチルフタレート、ハーコリン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、中鎖脂肪酸ジグリセライドなどの香料保留剤を含有することができる。
本件香味改善組成物は、それ自体をビールテイスト飲料に添加してもよいし、前掲の「特許庁公報、周知・慣用技術集(香料)第II部食品用香料、平成12年1月14日発行」、「日本における食品香料化合物の使用実態調査」(平成12年度厚生科学研究報告書、日本香料工業会、平成13年3月発行)、および「合成香料 化学と商品知識」(2016年12月20日増補新版発行、合成香料編集委員会編集、化学工業日報社)に記載されている1種または2種以上の水溶性・油溶性香料、乳化香料組成物、天然精油、天然香料、合成香料(香料化合物))から選択される1種または2種以上と併せて各種飲食品に添加してもよい。
本件香味改善組成物中の本件化合物の濃度は、本件香味改善組成物の香味特性および/または本件香味改善組成物の添加対象であるビールテイスト飲料の香味特性に応じて任意に決定できるが、好ましくは、本件香味改善組成物の全体質量に対して、0.1ppb~1ppmの範囲内が挙げられる。より具体的には、下限値を0.1ppb、1ppb、10ppb、100ppbのいずれかとし、上限値を1ppm、100ppb、10ppb、1ppbのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせによる範囲内とすることができるが、これらに限定されない。
本件香味改善組成物の添加対象としては、前述の通り、ビール、発泡酒、新ジャンル、ノンアルコールビールなどのビールテイスト飲料が挙げられる。
(ビールテイスト飲料)
本発明の一実施の形態に係るビールテイスト飲料(以下「本件ビールテイスト飲料」という場合がある。)は、本件香味改善剤または本件香味改善組成物を所定量含むビールテイスト飲料である。本件ビールテイスト飲料は、後述の実施例にその一例を示すように、本件化合物からなる本件香味改善剤、または本件化合物を有効成分として含有する本件香味改善組成物が有効量添加されているため、香味が改善される。より具体的には、本件ビールテイスト飲料は、本件香味改善剤または本件香味改善組成物が添加されているため、ビールらしいキレ、飲みごたえ、刺激感が付与および/または増強され、ビールテイスト飲料の香味が改善される。
本件ビールテイスト飲料に対する本件香味改善剤または本件香味改善組成物の添加量は、本件化合物による香味改善効果の程度、および/またはビールテイスト飲料自体の香味などに応じて任意に決定できる。ただし、本件ビールテイスト飲料に含まれる本件化合物の濃度が、ビールテイスト飲料の全体質量に対して、0.1ppt~1ppbの範囲内であることが好ましい。より具体的には、下限値を0.1ppt、1ppt、10ppt、100pptのいずれかとし、上限値を1ppb、100ppt、10ppt、1pptのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせによる範囲内とすることができるが、これらに限定されない。
(ビールテイスト飲料の香味改善方法)
本発明の一実施の形態に係る飲食品の香味改善方法は、本件化合物からなる香味改善剤、または本件化合物を有効成分として含有する香味改善組成物を、ビールテイスト飲料に添加する工程を含む。
後述の実施例にその一例を示すように、本件香味改善剤または本件香味改善組成物をビールテイスト飲料に添加することで、そのビールテイスト飲料の香味を改善することができる。
本件香味改善剤または本件香味改善組成物をビールテイスト飲料に添加する際の、本件香味改善剤または本件香味改善組成物の濃度は、ビールテイスト飲料の香味特性に応じて任意に決定できる。ただし、本件化合物の濃度が、ビールテイスト飲料の全体質量に対して、0.01ppt以上1ppmの範囲内となるように、本件香味改善剤または本件香味改善組成物を添加することが好ましい。より具体的には、下限値を0.1ppt、1ppt、10ppt、100ppt、1ppb、10ppb、100ppbのいずれかとし、上限値を1ppm、100ppb、10ppb、1ppb、100ppt、10ppt、1pptのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせによる範囲内とすることができるが、これらに限定されない。
本実施の形態に係るビールテイスト飲料の香味改善方法において、本件香味改善剤または本件香味改善組成物をビールテイスト飲料に添加する方法は特に限定されない。また、本件香味改善剤または本件香味改善組成物をビールテイスト飲料に添加する時期(タイミング)についても特に限定されない。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]ノンアルコールビールへの添加効果(香味改善剤)
市販のノンアルコールビール(アルコール度数0.00%)および特公平4-76660号公報に記載の方法で合成した3-p-メンテン-7-アール(以下「上記合成した3-p-メンテン-7-アール」という。)を用意した。上記市販のノンアルコールビールに、3-p-メンテン-7-アールが下記表1の本発明品1-1~1-5に対応する各濃度となるように、上記合成した3-p-メンテン-7-アール、または上記合成した3-p-メンテン-7-アールを必要に応じてプロピレングリコールで希釈したものを添加し、本発明品1-1~1-5のビールテイスト飲料を調製した。同様に、上記市販のノンアルコールビールに、3-p-メンテン-7-アールが下記表1の比較品1-1~1-2に対応する各濃度となるように、上記合成した3-p-メンテン-7-アール、または上記合成した3-p-メンテン-7-アールを必要に応じてプロピレングリコールで希釈したものを添加し、比較品1-1~1-2のビールテイスト飲料を調製した。一方、3-p-メンテン-7-アールを添加していない上記市販のビールテイスト飲料を対照品1とした。
そして、得られた本発明品1-1~1-5および比較品1-1~1-2のビールテイスト飲料について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本発明品1-1~1-5および比較品1-1~1-2を対照品1と比べた際の香味の違いについてパネリストにコメントさせるとともに、対照品1と比べたキレ、飲みごたえおよび刺激感(定義は前述の通り)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<キレ、飲みごたえおよび刺激感に関する評価基準>
対照品1に比べて著しく増加した:5点
対照品1に比べて大きく増加した:4点
対照品1に比べてある程度増加した:3点
対照品1に比べてわずかに増加した:2点
対照品1と同等である:1点
本発明品1-1~1-5および比較品1-1~1-2のビールテイスト飲料に対する官能評価の結果を下記表1に示す。
Figure 2024087545000003
表1に示すように、3-p-メンテン-7-アールを添加したノンアルコールビールは、3-p-メンテン-7-アールが無添加のノンアルコールビールと比較して、香味が改善されることが確認できた。
[実施例2]発泡酒への添加効果(香味改善剤)
市販の発泡酒(アルコール度数5%)および上記合成した3-p-メンテン-7-アールを用意した。上記市販の発泡酒に、3-p-メンテン-7-アールが下記表2の本発明品2-1~2-5に対応する各濃度となるように、上記合成した3-p-メンテン-7-アール、または上記合成した3-p-メンテン-7-アールを必要に応じてプロピレングリコールで希釈したものを添加し、本発明品2-1~2-5のビールテイスト飲料を調製した。同様に、上記市販の発泡酒に、3-p-メンテン-7-アールが下記表2の比較品2-1~2-2に対応する各濃度となるように、上記合成した3-p-メンテン-7-アール、または上記合成した3-p-メンテン-7-アールを必要に応じてプロピレングリコールで希釈したものを添加し、比較品2-1~2-2のビールテイスト飲料を調製した。一方、3-p-メンテン-7-アールを添加していない上記市販のビールテイスト飲料を対照品2とした。
そして、得られた本発明品2-1~2-5および比較品2-1~2-2のビールテイスト飲料について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本発明品2-1~2-5および比較品2-1~2-2を対照品1と比べた際の香味の違いについてパネリストにコメントさせるとともに、対照品2と比べたキレ、飲みごたえおよび刺激感(定義は前述の通り)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<キレ、飲みごたえおよび刺激感に関する評価基準>
対照品2に比べて著しく増加した:5点
対照品2に比べて大きく増加した:4点
対照品2に比べてある程度増加した:3点
対照品2に比べてわずかに増加した:2点
対照品2と同等である:1点
本発明品2-1~2-5および比較品2-1~2-2のビールテイスト飲料に対する官能評価の結果を下記表2に示す。
Figure 2024087545000004
表2に示すように、3-p-メンテン-7-アールを添加した発泡酒は、3-p-メンテン-7-アールが無添加の発泡酒と比較して、香味が改善されることが確認できた。
[実施例3]発泡酒への添加効果(香味改善組成物)
<実施例3-1>
表3に示す処方により、本発明品3-1~3-5および比較品3-1の香味改善組成物を調製した。
Figure 2024087545000005
<実施例3-2>
実施例3-1で調製した本発明品3-1~3-5および比較品3-1の香味改善組成物を実施例2で使用したものと同じ市販の発泡酒(アルコール度数5%)に対してそれぞれ0.1%の濃度で添加し、本発明品3-6~3-10および対照品3のビールテイスト飲料を調製した。
そして、得られた本発明品3-6~3-10のビールテイスト飲料について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本発明品3-6~3-10を対照品3と比べた際の香味の違いについてパネリストにコメントさせるとともに、対照品3と比べたキレ、飲みごたえおよび刺激感(定義は前述の通り)について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
<キレ、飲みごたえおよび刺激感に関する評価基準>
対照品3に比べて著しく増加した:5点
対照品3に比べて大きく増加した:4点
対照品3に比べてある程度増加した:3点
対照品3に比べてわずかに増加した:2点
対照品3と同等である:1点
本発明品3-6~3-10のビールテイスト飲料に対する官能評価の結果を下記表4に示す。
Figure 2024087545000006
表4に示すように、3-p-メンテン-7-アールを含む香味改善組成物を添加した発泡酒は、3-p-メンテン-7-アールが無添加の発泡酒と比較して、香味が改善されることが確認できた。

Claims (4)

  1. 3-p-メンテン-7-アールからなる、ビールテイスト飲料用香味改善剤。
  2. 3-p-メンテン-7-アールを有効成分として含有する、ビールテイスト飲料用香味改善組成物。
  3. 請求項1に記載のビールテイスト飲料用香味改善剤または請求項2に記載のビールテイスト飲料用香味改善組成物を、ビールテイスト飲料に添加する工程を含む、ビールテイスト飲料の香味改善方法。
  4. 請求項3に記載のビールテイスト飲料の香味改善方法において、
    前記工程では、前記ビールテイスト飲料の全質量を基準として、3-p-メンテン-7-アールの濃度が0.1ppt~1ppbの範囲となるように前記ビールテイスト飲料用香味改善剤または前記ビールテイスト飲料用香味改善組成物を添加する、ビールテイスト飲料の香味改善方法。
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