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JP2024071535A - ポリオール組成物 - Google Patents

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JP2024071535A JP2024048531A JP2024048531A JP2024071535A JP 2024071535 A JP2024071535 A JP 2024071535A JP 2024048531 A JP2024048531 A JP 2024048531A JP 2024048531 A JP2024048531 A JP 2024048531A JP 2024071535 A JP2024071535 A JP 2024071535A
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実奈 宗政
Mina Munemasa
智運 三好
Tomokazu Miyoshi
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】フッ素系発泡剤を含有したポリオール組成物であっても、保管時に突沸することを防止できるポリオール組成物を提供する。【解決手段】ポリオール化合物、フッ素系発泡剤、及びノニオン系界面活性剤を含有するポリオール組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素系発泡剤を含有するポリオール組成物に関する。
ポリウレタン発泡体は、その優れた断熱性を利用して、マンション等の集合住宅、戸建住宅、商業ビル等の建築物の天井、屋根、壁面などの断熱や結露防止に実用されている。
ポリウレタン発泡体は、ポリオール化合物、フィラー及び発泡剤などを含むポリオール組成物とポリイソシアネート化合物とを混合し、発泡させることで得られるものである。これらポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物は、それぞれ別々に保管され、施工現場で混合し使用されることが通常である。したがって、特にポリオール組成物は、種々の成分が混合されていることに起因し、保存安定性が悪くなる場合があり、保存安定性の改善が求められている。
例えば、特許文献1では、ポリオール化合物、発泡剤、フィラー、酸化金属微粒子を含み、前記発泡剤がハイドロフルオロオレフィンであり、前記酸化金属微粒子の表面が疎水化処理されていることを特徴とするポリオール組成物、についての発明が記載されており、1か月以上長期保管した後も良好に使用できることが示されている。
特開2018-178096号公報
しかし、ハイドロフルオロオレフィンなどのフッ素系発泡剤を含有したポリオール組成物は、運搬時や現場での施工時において突沸しやすいという問題があり、特に気温が高くなる夏場にこのような問題が顕著であった。
そこで、本発明は、フッ素系発泡剤を含有したポリオール組成物であっても、保管時に突沸することを防止できるポリオール組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、ポリオール化合物、フッ素系発泡剤を含む発泡剤、及びノニオン系界面活性剤を含有するポリオール組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の[1]~[11]を提供する。
[1]ポリオール化合物、フッ素系発泡剤、及びノニオン系界面活性剤を含有するポリオール組成物。
[2]前記ノニオン系界面活性剤が、炭素数6以上の炭化水素基Xを含有する界面活性剤である、上記[1]に記載のポリオール組成物。
[3]前記ノニオン系界面活性剤が、脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及び高級アルコールからなる群から選択される少なくとも1種である、上記[1]又は[2]に記載のポリオール組成物。
[4]前記フッ素系発泡剤が、ハイドロフルオロオレフィンである上記[1]~[3]のいずれかに記載のポリオール組成物。
[5]前記フッ素系発泡剤の沸点が、45℃以下である上記[1]~[4]のいずれかに記載のポリオール組成物。
[6]前記ポリオール化合物が、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールの少なくともいずれかを含有する、上記[1]~[5]のいずれかに記載のポリオール組成物。
[7]前記ポリエステルポリオールが、フタル酸系ポリエステルポリオールである、上記[6]に記載のポリオール組成物。
[8]さらに、発泡剤として水を含有する上記[1]~[7]のいずれかに記載のポリオール組成物。
[9]さらに、整泡剤を含有する上記[1]~[8]のいずれかに記載のポリオール組成物。
[10]さらに、触媒を含有する上記[1]~[9]のいずれかに記載のポリオール組成物。
[11]さらに、難燃剤を含有する上記[1]~[10]のいずれかに記載のポリオール組成物。
本発明によれば、フッ素系発泡剤を含有したポリオール組成物であっても、保管時に突沸することを防止できるポリオール組成物を提供することができる。
[ポリオール組成物]
本発明のポリオール組成物は、ポリオール化合物、フッ素系発泡剤、及びノニオン系界面活性剤を含有するポリオール組成物である。
該ポリオール組成物と、後述するポリイソシアネート化合物を原料として、ポリウレタン発泡体を形成させることができる。
本発明のポリオール組成物に含まれる各成分について、以下詳細に説明する。
(ノニオン系界面活性剤)
本発明のポリオール化合物は、ノニオン系界面活性剤を含有する。該ノニオン系界面活性剤を含有することにより、フッ素系発泡剤を含むポリオール組成物の突沸を抑制できる。
ノニオン系界面活性剤は、ポリオール組成物の突沸を防ぎやすくする観点から、炭素数6以上の炭化水素基Xを含むことが好ましい。該炭化水素基Xの炭素数は8以上であることがより好ましく、12以上であることが更に好ましく、16以上であることが更に好ましく、そして30以下が好ましく、20以下がより好ましい。
炭化水素基Xは、飽和炭化水素基であっても、不飽和炭化水素基であってもよい。
ノニオン系界面活性剤の種類は、特に限定されないが、エーテル基、エステル基、アルコール基から選択される少なくとも一つの基と、上記した炭化水素基Xを含むものが好ましい。ノニオン系界面活性剤としては、具体的には、脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及び高級アルコールからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記脂肪酸エステルとしては、飽和脂肪酸エステルであってもよいし、不飽和脂肪酸エステルであってもよい。
脂肪酸エステルとしては、以下の式(1)で表される化合物が好ましい。
上記式(1)において、Rは炭化水素基であり、飽和炭化水素基であっても、不飽和炭化水素基であってもよい。中でもRは上記した炭化水素基Xであることが好ましい。Rは、炭化水素基であり、飽和炭化水素基であっても、不飽和炭化水素基であってもよいが、飽和炭化水素基であることが好ましい。中でも、Rは、炭素数1~20の炭化水素基が好ましく、炭素数1~10の炭化水素基がより好ましく、炭素数1~2の炭化水素基がさらに好ましく、メチル基がさらに好ましい。
好適な脂肪酸エステルとしては、例えば、オクタン酸メチル、オクタン酸エチル、ノナン酸メチル、ノナン酸エチル、デカン酸メチル、デカン酸エチル、ウンデカン酸メチル、ウンデカン酸エチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、トリデカン酸メチル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ペンタデカン酸メチル、ペンタデカン酸エチル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、ヘプタデカン酸メチル、ヘプタデカン酸エチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ノナデカン酸メチル、ノナデカン酸エチルなどの飽和脂肪酸エステル、オクテン酸メチル、オクテン酸エチル、ノネン酸メチル、ノネン酸エチル、デセン酸メチル、デセン酸エチル、ウンデセン酸メチル、ウンデセン酸エチル、ドデセン酸メチル、ドデセン酸エチル、トリデセン酸メチル、トリデセン酸エチル、テトラデセン酸メチル、テトラデセン酸エチル、ペンタデセン酸メチル、ペンタデセン酸エチル、ヘキサデセン酸メチル、ヘキサデセン酸エチル、ヘプタデセン酸メチル、ヘプタデセン酸エチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノレン酸メチル、リノレン酸エチル、ノナデセン酸メチル、ノナデセン酸エチルなどの不飽和脂肪酸エステルが挙げられる。これらの中でも、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、リノール酸メチルがより好ましい。
脂肪酸エステルとしては、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、好ましくは下記式(2)で表される化合物である。
上記Rはアルキル基であり、該アルキル基の炭素数が6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、12以上であることが更に好ましく、16以上であることが更に好ましく、そして30以下が好ましく、20以下がより好ましい。
としては、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、パルミチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基、ノナデシル基、イコシル基などが挙げられる。中でも、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基などが好ましく、ラウリル基がより好ましい。
上記繰り返し単位であるAOは、オキシアルキレン基であり、好ましくは炭素数2~6のオキシアルキレン基であり、より好ましくはオキシエチレン基又はオキシプロピレン基である。ここで、オキシエチレン基とはエチレンオキサイドに由来する基であり、オキシプロピレン基はプロピレンオキサイドに由来する基である。
nは、特に制限されないが、好ましくは1~30の整数であり、より好ましくは3~20の整数であり、さらに好ましくは5~10の整数である。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、上記式(2)の中でも、ポリオール組成物の突沸を防ぎやすい観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテルなどが好ましく、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテルがより好ましい。なお、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテルとは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの繰り返し単位であるオキシエチレン基の一部をオキシプロピレン基に置換したものである。
本発明のポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、ポリオール組成物の突沸を防ぎやすくする観点から、上記式(2)における末端の水素原子が、Rによって置換されていることが好ましい。Rは、炭素数1~10の有機基、好ましくは炭素数1~5の有機基であることが好ましい。該有機基は、エステル基、エーテル基、アミド基、ヒドロキシル基、カルボキシル基などの基を有していてもよく、エーテル基を有していることが好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとして、特に好ましい化合物はポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンラウリルエーテルなどである。
高級アルコールとしては、炭素数6以上のアルコールであり、上記した炭化水素基Xを含有する高級アルコールが好ましい。具体例としては、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、パルミチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、イコシルアルコールなどが挙げられる。これらの中でも、高級アルコールとしては、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコールなどが好ましく、オクチルアルコール、デシルアルコールがより好ましい。
ノニオン系界面活性剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部であり、より好ましくは0.5~15質量部であり、さらに好ましくは1~10質量部である。ノニオン系界面活性剤の含有量がこれら下限値以上であると、ポリオール組成物の突沸を防ぎやすくなり、これら上限値以下であると、配合量に応じた効果が得やすくなる。
(フッ素系発泡剤)
本発明における発泡剤は、フッ素系発泡剤を含有する。フッ素系発泡剤は、フッ素原子を含有する発泡剤であり、例えば、フッ素化合物、ハイドロクロロフルオロカーボン化合物、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィンなどが挙げられる。これらの中でも、オゾン層の破壊、地球温暖化など環境に悪影響を及ぼし難いため、ハイドロフルオロオレフィンが好ましい。
上記フッ素化合物としては、例えば、CHF、CH、CHF等が挙げられる。
上記ハイドロクロロフルオロカーボン化合物としては、例えば、トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフルオロエタン、ジクロロモノフルオロエタン(例えば、HCFC141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)、HCFC22 (クロロジフルオロメタン)、HCFC142b(1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン))等が挙げられる。
上記ハイドロフルオロカーボンとしては、HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-365mfc(1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン)等が挙げられる。
上記ハイドロフルオロオレフィンとしては、例えば、HFO-1233zd(E)(トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)、HFO-1234yf(2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン)等が挙げられる。
フッ素系発泡剤の沸点は、発泡効率を高める観点から、好ましくは45℃以下であり、より好ましくは35℃以下であり、さらに好ましくは25℃以下である。
一般に、上記範囲の沸点を有するフッ素系発泡剤を含むポリオール組成物は、高温下において突沸しやすいが、本発明のポリオール組成物は、上記範囲の沸点を有するフッ素系発泡剤を含む場合であっても、突沸を防止することが可能であり、かつ発泡効率も良好にすることができる。
ポリオール化合物100質量部に対するフッ素系発泡剤の量は、特に限定されないが、好ましくは5質量部以上であり、より好ましくは10質量以上であり、さらに好ましくは15質量部以上であり、そして好ましくは100質量部以下であり、より好ましくは60質量部以下であり、さらに好ましくは50質量部以下である。
フッ素系発泡剤の量が上記下限値以上であると発泡性が高まり、上記上限値以下であると得られる発泡体の寸法安定性などが向上しやすくなる。
本発明のポリオール組成物は、上記したフッ素系発泡剤以外の発泡剤として水を含むことが好ましい。すなわち、発泡剤としてフッ素系発泡剤と水とを併用することが好ましい。水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水などを適宜用いることができる。ポリオール化合物100質量部に対する水の量は、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上であり、そして好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
水の量が上記下限値以上であると発泡性が高まり、上記上限値以下であると得られるポリウレタン発泡体の寸法安定性などが向上しやすくなる。
(ポリオール化合物)
本発明のポリオール組成物に含まれるポリオール化合物は、特に限定されないが、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールの少なくともいずれかを含むことが好ましく、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールの両方を含むことがより好ましい。
<ポリエーテルポリオール>
ポリエーテルポリオールは、2個以上の活性水素原子を有する開始剤に、アルキレンオキサイドを開環付加重合させて得られたポリオキシアルキレンポリオールである。開始剤としては、具体的には例えば、脂肪族多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどのグリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリンなどのトリオール類、ペンタエリスリトールなどの4官能アルコール類、シュクロース類、ソルビトール類などの糖類)、脂肪族アミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ネオペンチルジアミンなどのアルキレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミン)、芳香族アミン(例えば、アニリン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、マンニッヒ縮合物など)などが挙げられ、これらはそれぞれ1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
ポリエーテルポリオールとしては、ウレタン発泡時に注入時における成型性や吹付け時における施工性を高める観点から、マンニッヒ系ポリエーテルポリオール、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオールが好ましい。
ポリエーテルポリオールの含有量は、ポリオール化合物全量基準において、5~90質量%であることが好ましく、10~70質量%であることがより好ましい。
上記マンニッヒ系ポリエーテルポリオールとは、マンニッヒ反応を利用して得られるものであって、分子内に2個以上の水酸基を有するマンニッヒ縮合物、又はそのようなマンニッヒ縮合物に、アルキレンオキサイドを付加させたポリエーテルポリオールである。より具体的には、フェノール及びそのアルキル置換誘導体の少なくともいずれか、ホルムアルデヒド及びアルカノールアミンのマンニッヒ反応により得られたマンニッヒ縮合物、又はこの化合物にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの少なくとも1種を開環付加重合させることによって得られるポリエーテルポリオールである。
上記エチレンジアミン系ポリエーテルポリオールとは、開始剤としてエチレンジアミンを用いて得られたポリエーテルポリオールのことである。
ポリエーテルポリオールの水酸基価は、200~2000mgKOH/gであることが好ましく、300~1000mgKOH/gであることがより好ましい。水酸基価は、JIS K1557-1:2007に準拠して測定される値である。
<ポリエステルポリオール>
ポリエステルポリオールは、芳香族ポリエステルポリオールおよび脂肪族ポリエステルポリオールなどが挙げられるが、得られるポリウレタン発泡体の難燃性を考慮した場合、芳香族ポリエステルポリオールを使用することが好ましい。芳香族ポリエステルポリオールは、o-フタル酸(フタル酸)、m-フタル酸(イソフタル酸)、p-フタル酸(テレフタル酸)、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸とグリコールの縮合物であることが好ましい。中でも、ポリウレタン発泡体の難燃性を高める観点から、ポリエステルポリオールは、フタル酸とグリコールとの縮合物である、フタル酸系ポリエステルポリオールであることが好ましく、p-フタル酸とグリコールの縮合物である、p-フタル酸系ポリエステルポリオールを含むことがより好ましい。
グリコールとしては、特に限定されるものではないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のポリエステルポリオールの構成成分として公知の低分子量脂肪族グリコールを使用することが好ましい。
ポリエステルポリオールの含有量は、ポリオール化合物全量基準において、5~90質量%であることが好ましく、10~70質量%であることがより好ましい。
ポリエステルポリオールの水酸基価は、100~500mgKOH/gであることが好ましく、150~450mgKOH/gであることがより好ましい。
(整泡剤)
発泡性ウレタン樹脂組成物は、整泡剤を含有する。整泡剤としては、例えば、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤が挙げられる。また、シリコーン整泡剤としては、ポリジメチルシロキサンとポリエチレングリコールのグラフト共重合体を含むものでもよい。
整泡剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましく、0.1~8質量部であることがより好ましく、0.5~5質量部であることが更に好ましい。整泡剤は一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
(触媒)
本発明のポリオール組成物は、触媒を含有することが好ましい。触媒は、例えばウレタン化触媒及び三量化触媒の一方又は両方を含有してもよく、両方を含有することが好ましい。
ウレタン化触媒は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応を促進させる触媒である。具体的には、アミノ化合物、錫化合物、ビスマス化合物、アセチルアセトン金属塩が挙げられる。
前記アミノ化合物としては、例えば、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリンビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N-メチル-N’,N’-ジメチルアミノエチルピペラジン、イミダゾール環中の第2級アミン官能基をシアノエチル基で置換したイミダゾール化合物、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ジアザビシクロウンデセン、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1-メチルイミダゾール、トリメチルアミノエチルピペラジン、トリプロピルアミン等が挙げられる。
また、錫化合物としては、例えば、オクチル酸第一錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。ビスマス化合物としては、ネオデカン酸ビスマス、オクチル酸ビスマスなどが挙げられる。
アセチルアセトン金属塩としては、例えば、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンベリリウム、アセチルアセトンクロム、アセチルアセトンインジウム、アセチルアセトンマンガン、アセチルアセトンモリブデン、アセチルアセトンチタン、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトンバナジウム、アセチルアセトンジルコニウム等が挙げられる。
ウレタン樹脂硬化触媒は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
ポリオール組成物におけるウレタン化触媒の配合量に特に限定はないが、ポリオール化合物100質量部に対して、0.5~30質量部の範囲であることが好ましく、1~20質量部の範囲であることがより好ましく、3~15質量部の範囲であることが更に好ましい。上記範囲内とすることで、適度な反応速度で、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応を促進できる。
三量化触媒は、イソシアヌレート結合を形成する三量化を促進する触媒である。三量化が促進されることで、ポリウレタン発泡体の難燃性が向上する。
三量化触媒としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等の芳香族化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸ナトリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩、2-エチルアジリジン等のアジリジン類、ナフテン酸鉛、オクチル酸鉛等の鉛化合物、ナトリウムメトキシド等のアルコラート化合物、カリウムフェノキシド等のフェノラート化合物、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等を使用することができる。
三量化触媒は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
三量化触媒の配合量は特に限定されないが,ポリオール化合物100質量部に対して、0.1~20質量部の範囲であることが好ましく、0.3~10質量部の範囲であることがより好ましく、0.5~5質量部の範囲であることが更に好ましい。三量化触媒の量を上記範囲内とすることで、イソシアヌレート結合が適度に形成され、難燃性が向上する。
また、触媒の合計量は、ウレタンの硬化速度や難燃性を向上させる観点から、ウレタン樹脂100質量部に対して、0.5~30質量部が好ましく、1~25質量部がより好ましく、2~20質量部がさらに好ましい。
(難燃剤)
本発明のポリオール組成物は、難燃性を向上させる観点から、難燃剤を含むことが好ましい。難燃剤は、液体難燃剤であっても固体難燃剤であってもよいが、保管時に沈殿物が生じ難く、取り扱い性に優れ、かつ使用時に用いる機具などの摩耗を抑制することが可能であることより、液体難燃剤が好ましい。ここで、液体難燃剤とは23℃において液状の難燃剤であり、固状難燃剤とは23℃において固体状の難燃剤である。
液体難燃剤として、例えば、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等のリン酸エステル系難燃剤が挙げられる。
モノリン酸エステルとしては、特に限定されないが、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートなどが挙げられる。
縮合リン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(商品名CR-733S)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名CR-741)、芳香族縮合リン酸エステル(商品名CR747)などが挙げられる。
固体難燃剤としては、例えば、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアンチモン酸塩等のアンチモン含有難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物系難燃剤、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウムなどのホウ素含有難燃剤、ホスフィン酸系難燃剤、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、赤燐などが挙げられる。
難燃剤の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対して5~100質量部であることが好ましく、10~80質量部であることがより好ましく、15~70質量部であることがさらに好ましい。
(無機フィラー)
本発明のポリオール組成物は、無機フィラーを含有してもよい。該無機フィラーは、上記した固体難燃剤は含まれない。
無機フィラーとしては、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカリウム塩、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカパルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素パルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムポレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等が挙げられる。
ポリオール組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、その他添加剤として、例えば、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等を含むことができる。
(ポリイソシアネート化合物)
上記した本発明のポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート組成物とを混合して発泡性ウレタン樹脂組成物を作製し、該組成物を発泡及び硬化させることにより、ポリウレタン発泡体を形成させることができる。本発明のポリオール組成物は、突沸し難いため、夏場のように気温の高い場合であっても、保存安定性に優れる。そのため、ポリイソシアネート組成物と混合する際の作業性も良好になり、ポリウレタン発泡体を形成させやすくなる。
ポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系などの各種ポリイソシアネート化合物を用いることができる。好ましくは、取扱の容易さ、反応の速さ、得られるポリウレタン発泡体の物理特性が優れていること、および低コストであることなどから、液状ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いることが好ましい。液状MDIとしては、クルードMDI(ポリメリックMDIともいう)が挙げられる。液状MDIの具体的な市販品としては、「44V-10」,「44V-20」(住化コベストロウレタン株式会社製)、「ミリオネートMR-200」(日本ポリウレタン工業)などが挙げられる。また、ウレトンイミン含有MDI(例えば、市販品として「ミリオネートMTL」:日本ポリウレタン工業製)などでもよい。液状MDIに加えて、他のポリイソシアネート化合物を併用してもよく、併用するポリイソシアネート化合物としては、ポリウレタンの技術分野において公知のポリイソシアネート化合物は限定なく使用可能である。
なお、上記した難燃剤、整泡剤、触媒、及びその他添加剤は、ポリオール組成物に含有されていてもよいし、ポリイソシアネート組成物に含有されていてもよいし、ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物とは別に提供されてもよいが、ポリオール組成物に含有されることが好ましい。
発泡性ウレタン樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、予め混練して調製されたポリオール組成物、及びポリイソシアネート組成物を作製しておき、両者を混練する方法、発泡性ウレタン樹脂組成物を構成する各成分を混練する方法などが挙げられるが、通常は、ポリオール組成物、及びポリイソシアネート組成物を混練することにより製造される。混練は、公知の方法により行うことができ、例えば、高圧発泡機、低圧発泡機、吹付け発泡機及びハンドミキサー等の公知の装置を用いることにより行うことができる。
(用途)
本発明のポリオール組成物、及び上記した発泡性ウレタン樹脂組成物の用途は特に限定されないが、建築物、家具、自動車、電車、船等の構造物などの空洞に充填する用途に用いたり、該構造物に対して吹き付ける用途に用いたりすることができる。中でも、構造物に対して吹き付ける用途、すなわち、吹き付け用として用いることが好ましい。
吹き付けは、吹き付け装置(例えばGRACO社製:A-25)及びスプレーガン(例えばガスマー社製:Dガン)を利用して実施することができる。吹き付けは、別容器に入ったポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を吹き付け装置内で温度調整し、スプレーガンの先端で両者を衝突混合させ、混合液をエア圧によりミスト化することで実施できる。吹き付け装置及びスプレーガンは公知であり、市販品を使用することができる。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
各実施例及び比較例において使用した各成分の詳細は次の通りである。
(1)ポリオール化合物
(i)ポリエステルポリオール
・o-フタル酸系ポリエステルポリオール(川崎化成社製、製品名:RDK133、水酸基価=315mgKOH/g)
(ii)ポリエーテル系ポリオール
・マンニッヒ系ポリエーテルポリオール(第一工業製薬社製、製品名:DK3776、水酸基価=350mgKOH/g)
・エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール(AGC社製、製品名:エクセノール750ED、水酸基価=760mgKOH/g)
(2)液状の難燃剤
・リン酸エステル系難燃剤<トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート>、(大八化学社製、製品名:TMCPP)
(3)整泡剤
・シリコーン系整泡剤(東レダウコーニング社製、製品名:SH-193)
(4)触媒
(i)三量化触媒
・4級アンモニウム塩(エボニックジャパン社製、製品名:TMR-7)
(ii)ウレタン化触媒
・イミダゾール化合物、(花王社製、製品名:KL No.390)
・ビスマス化合物、(日東化成社製、製品名:ネオスタンU-600)
(5)発泡剤
・水
・HFO-1233zd<ハイドロフルオロオレフィン>(ハネウェル製、製品名:ソルスティスLBA)
(6)ノニオン系界面活性剤
・界面活性剤A ライオン株式会社製「パステルM182」
脂肪酸エステル
・界面活性剤B 三洋化成工業社製「エマルミンFL-80」
ポリオキシエチレンプロピレンラウリルエーテル
・界面活性剤C 花王株式会社製「エマルゲン103」
ポリオキシエチレンラウリルエーテル
・界面活性剤D 花王株式会社製「カルコール0898」
オクチルアルコール
・界面活性剤E 花王株式会社製「カルコール1098」
デシルアルコール
[突沸性の評価(沸き評価)]
各実施例及び比較例で調製したポリオール組成物について、下記のとおり突沸性の評価を行った。
攪拌子が入った容量110ccの円柱状のスクリュー管(長さ12cm)に、各実施例及び比較例のポリオール組成物を30g投入し、30℃まで加温した。次いで、マグネチックスターラーで100rpmの回転速度で1分間攪拌させ、1分間の攪拌中における最大液面高さを測定した。液面高さとは、スクリュー管の底面を基準とした液面の高さである。以下の基準で突沸性の評価を行った。最大液面高さが低いほど、突沸し難いことを意味し、本発明の効果が優れることを意味する。
<評価基準>
◎・・最大液面高さが50mm以下
〇・・最大液面高さが50mm超60mm以下
△・・最大液面高さが60mm超70mm以下
×・・最大液面高さが70mm超
[実施例1]
表1の配合に従い、ポリオール化合物、難燃剤、整泡剤、触媒、発泡剤、及び界面活性剤を1000mLポリプロピレンビーカーに計りとり、20℃、10秒間ハンドミキサーで攪拌しポリオール組成物を調製した。該ポリオール組成物について、突沸性の評価を行った。結果を表1に示した。
[実施例2~5、比較例1~3]
配合を表1のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてポリオール組成物を調製した。
各実施例で示されているように、ノニオン系界面活性剤を含有する本発明のポリオール組成物は、最大液面高さが低く、フッ素系発泡剤を用いた場合であっても、突沸が生じ難いことが分かった。これに対して、ノニオン系界面活性剤を含有しない各比較例のポリオール組成物は、最大液面高さが高く、突沸が生じやすいことが分かった。

Claims (11)

  1. ポリオール化合物、フッ素系発泡剤、及びノニオン系界面活性剤を含有するポリオール組成物。
  2. 前記ノニオン系界面活性剤が、炭素数6以上の炭化水素基Xを含有する界面活性剤である、請求項1に記載のポリオール組成物。
  3. 前記ノニオン系界面活性剤が、脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及び高級アルコールからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のポリオール組成物。
  4. 前記フッ素系発泡剤が、ハイドロフルオロオレフィンである請求項1~3のいずれかに記載のポリオール組成物。
  5. 前記フッ素系発泡剤の沸点が、45℃以下である請求項1~4のいずれかに記載のポリオール組成物。
  6. 前記ポリオール化合物が、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールの少なくともいずれかを含有する、請求項1~5のいずれかに記載のポリオール組成物。
  7. 前記ポリエステルポリオールが、フタル酸系ポリエステルポリオールである、請求項6に記載のポリオール組成物。
  8. さらに、発泡剤として水を含有する請求項1~7のいずれかに記載のポリオール組成物。
  9. さらに、整泡剤を含有する請求項1~8のいずれかに記載のポリオール組成物。
  10. さらに、触媒を含有する請求項1~9のいずれかに記載のポリオール組成物。
  11. さらに、難燃剤を含有する請求項1~10のいずれかに記載のポリオール組成物。
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