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JP2024062729A - 被加工物の研削方法 - Google Patents

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JP2024062729A JP2022170770A JP2022170770A JP2024062729A JP 2024062729 A JP2024062729 A JP 2024062729A JP 2022170770 A JP2022170770 A JP 2022170770A JP 2022170770 A JP2022170770 A JP 2022170770A JP 2024062729 A JP2024062729 A JP 2024062729A
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佳一 鈴木
Keiichi Suzuki
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Disco Abrasive Systems Ltd
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Abstract

【課題】被加工物の損傷を防止しつつ被加工物の処理工程を簡略化することが可能な被加工物の研削方法を提供する。【解決手段】研削砥石を含む研削ホイールで外周部に面取り部を有する被加工物を研削する被加工物の研削方法であって、チャックテーブルで被加工物を保持する保持ステップと、研削砥石で被加工物を研削して被加工物の外周部に未研削領域を残存させつつ被加工物に凹部を形成する凹部形成ステップと、研削砥石で未研削領域を研削するスライド研削ステップと、を含む。【選択図】図4

Description

本発明は、研削ホイールで被加工物を研削する被加工物の研削方法に関する。
デバイスチップの製造プロセスでは、格子状に配列された複数のストリート(分割予定ライン)によって区画された複数の領域にそれぞれデバイスが形成されたデバイス領域を表面側に備えるウェーハが用いられる。このウェーハをストリートに沿って分割することにより、デバイスをそれぞれ備える複数のデバイスチップが得られる。デバイスチップは、携帯電話、パーソナルコンピュータ等の様々な電子機器に組み込まれる。
近年では、電子機器の小型化に伴い、デバイスチップの薄型化が求められている。そこで、研削装置を用いて分割前のウェーハを研削して薄化する処理が実施されることがある。研削装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、被加工物を研削する研削ユニットとを備えており、研削ユニットには研削砥石を含む環状の研削ホイールが装着される。チャックテーブルでウェーハを保持し、チャックテーブル及び研削ホイールを回転させつつ研削砥石をウェーハの裏面側に接触させることにより、ウェーハが研削、薄化される。
なお、ウェーハには、ウェーハの外周部を研削してウェーハの側面を曲面状にする、所謂面取り加工が施されている。面取り加工が施されたウェーハを研削して薄化すると、ウェーハの外周部が鋭く尖った形状(シャープエッジ形状)となる。そして、シャープエッジ形状となったウェーハの外周部が研削砥石によってチャックテーブル側に押圧されると、ウェーハの外周部で欠けや割れが生じ、ウェーハが損傷するおそれがある。
そこで、面取り加工が施されたウェーハを研削して薄化する際には、事前にウェーハの外周部を切削ブレードによって環状に切削する、エッジトリミングと称される加工が行われることがある(特許文献1参照)。エッジトリミングを実施すると、ウェーハの面取り加工が施された領域が除去されるため、その後にウェーハを研削して薄化してもウェーハの外周部がシャープエッジ形状とならない。これにより、ウェーハの損傷が生じにくくなる。
特開2000-173961号公報
上記のように、面取り加工が施されたウェーハ等の被加工物にエッジトリミングを施す場合には、研削前の被加工物の外周部を切削ブレードで環状に切削する。そのため、被加工物を研削装置とは別の切削装置で加工する工程が必要となり、研削加工の下準備に時間とコストがかかる。
また、エッジトリミングを実施した後に被加工物を研削して薄化すると、加工の前後で被加工物の径が変動する。そのため、その後の被加工物の取り扱い(搬送、保持、加工、撮像等)に用いられる機器を研削後の被加工物の寸法に合わせて調節する作業が必要となる。さらに、被加工物の結晶方位を示すノッチやオリエンテーションフラット等の目印が被加工物の外周部に形成されている場合、エッジトリミングの実施によって目印が除去されてしまうため、被加工物の研削後は他の方法によって結晶方位を確認する必要がある。その結果、被加工物の処理工程が煩雑になる。
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、被加工物の損傷を防止しつつ被加工物の処理工程を簡略化することが可能な被加工物の研削方法の提供を目的とする。
本発明の一態様によれば、研削砥石を含む研削ホイールで外周部に面取り部を有する被加工物を研削する被加工物の研削方法であって、チャックテーブルで該被加工物を保持する保持ステップと、該保持ステップの後、該チャックテーブル及び該研削ホイールを回転させた状態で、該チャックテーブルと該研削ホイールとを該研削ホイールの回転軸と平行な方向に沿って相対的に移動させることにより、該研削砥石で該被加工物を研削して該被加工物の外周部に未研削領域を残存させつつ該被加工物に凹部を形成する凹部形成ステップと、該凹部形成ステップの後、該チャックテーブル及び該研削ホイールを回転させた状態で、該チャックテーブルと該研削ホイールとを該研削ホイールの回転軸と交差する方向に沿って相対的に移動させることにより、該研削砥石で該未研削領域を研削するスライド研削ステップと、を含む被加工物の研削方法が提供される。
なお、好ましくは、該被加工物の研削方法は、該凹部形成ステップの前に、該被加工物を研削して該被加工物の全体を薄化する事前研削ステップをさらに含む。また、好ましくは、該スライド研削ステップでは、該研削ホイールを該被加工物の外周縁側に相対的に移動させながら、該研削ホイールを該凹部の底面から離れる方向に相対的に移動させる。
また、好ましくは、該凹部形成ステップ及び該スライド研削ステップを複数回実施することにより該被加工物を研削する。
本発明の一態様に係る被加工物の研削方法では、研削砥石で被加工物を研削して被加工物の外周部に未研削領域を残存させつつ被加工物に凹部を形成した後、研削砥石で未研削領域を研削することにより、被加工物の外周部の損傷を防止しつつ被加工物を薄化する。これにより、被加工物の外周部を切削ブレードで切削するエッジトリミングを省略することができ、被加工物の処理工程が簡略化される。
研削装置を示す斜視図である。 チャックテーブルを示す断面図である。 被加工物を示す斜視図である。 被加工物の加工方法を示すフローチャートである。 図5(A)は保持ステップにおける研削装置を示す一部断面側面図であり、図5(B)は保持ステップにおける研削装置を示す斜視図である。 図6(A)は凹部形成ステップにおける研削装置を示す一部断面側面図であり、図6(B)は凹部形成ステップにおける研削装置を示す斜視図である。 図7(A)はスライド研削ステップにおける研削装置を示す一部断面側面図であり、図7(B)はスライド研削ステップにおける研削装置を示す斜視図である。 図8(A)は変形例に係るスライド研削ステップにおける研削装置を示す一部断面側面図であり、図8(B)は変形例に係るスライド研削ステップにおける研削装置を示す斜視図である。 図9(A)は事前研削ステップにおける研削装置を示す一部断面側面図であり、図9(B)は事前研削ステップにおける研削装置を示す斜視図である。
以下、添付図面を参照して本発明の一態様に係る実施形態を説明する。まず、本実施形態に係る被加工物の研削方法の実施に用いることが可能な研削装置の構成例について説明する。図1は、研削装置2を示す斜視図である。なお、図1において、X軸方向(第1水平方向、前後方向)とY軸方向(第2水平方向、左右方向)とは、互いに垂直な方向である。また、Z軸方向(高さ方向、鉛直方向、上下方向)は、X軸方向及びY軸方向と垂直な方向である。
研削装置2は、研削装置2による研削加工の対象物である被加工物を保持するチャックテーブル(保持テーブル)4を備える。チャックテーブル4は、SUS(ステンレス鋼)等の金属、ガラス、セラミックス、樹脂等でなる円柱状の枠体(本体部)6を備える。枠体6の上面6a側の中央部には、円柱状の凹部6bが設けられている。
枠体6の凹部6bには、ポーラスセラミックス等の多孔質材でなる円盤状の保持部材8が嵌め込まれている。保持部材8は、保持部材8の上面から下面まで連通する多数の気孔を含んでいる。保持部材8の上面は、チャックテーブル4で被加工物を保持する際に被加工物を吸引する円形の吸引面8aを構成している。
図2は、チャックテーブル4を示す断面図である。枠体6の上面6aと保持部材8の吸引面8aとによって、チャックテーブル4の保持面4aが構成される。保持面4aは、保持部材8に含まれる気孔、枠体6の内部に設けられた流路6c、バルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続される。
チャックテーブル4の保持面4aは、保持面4aの中心を頂点とする円錐状に形成されており、保持面4aの径方向に対して僅かに傾斜している。そして、チャックテーブル4は、保持面4aの一部に相当し保持面4aの中心から外周縁に至る保持領域4bが水平面と概ね平行になるように、僅かに傾いた状態で配置される。被加工物のうち保持面4aの保持領域4bで保持された領域が、後述の研削ユニット10によって研削される。
なお、図2では説明の便宜上、保持面4aの傾斜を誇張して図示しているが、実際の保持面4aの傾斜は小さい。例えば、保持面4aの直径が290mm以上310mm以下程度である場合には、保持面4aの中心と外周縁との高さの差(円錐の高さに相当)は、20μm以上40μm以下程度に設定される。
チャックテーブル4には、チャックテーブル4を回転させるモータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。回転駆動源は、チャックテーブル4を回転軸4cの周りで回転させる。チャックテーブル4の回転軸4cは、保持面4aの径方向と垂直な方向に沿って設定され、Z軸方向に対して僅かに傾斜している。また、回転軸4cは、保持面4aの中心を通過しつつ保持面4aと交差している。
チャックテーブル4には、チャックテーブル4を水平方向(XY平面)に沿って移動させる移動ユニット(不図示)が連結されている。例えば移動ユニットは、チャックテーブル4をX軸方向に沿って移動させるボールねじ式のX軸移動機構によって構成される。この場合、X軸移動機構は、X軸方向に沿って配置されたボールねじ(不図示)と、ボールねじを回転させるパルスモータ(不図示)と、チャックテーブル4に連結されボールねじが螺合されるナット部(不図示)とを備える。
また、図1に示すように、研削装置2は、被加工物に研削加工を施す研削ユニット10を備える。研削ユニット10は、Z軸方向に沿って配置された円柱状のスピンドル12を備える。スピンドル12の基端部(上端部)には、スピンドル12を回転させるモータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。回転駆動源を駆動させると、スピンドル12がZ軸方向に沿って設定された回転軸12aの周りを回転する。
スピンドル12の先端部(下端部)には、金属等でなる円盤状のホイールマウント14が固定されている。ホイールマウント14の下面側には、被加工物を研削する環状の研削ホイール16が着脱可能に装着される。例えば研削ホイール16は、ボルト等の固定具によってホイールマウント14に固定される。
研削ホイール16は、アルミニウム、ステンレス等の金属でなりホイールマウント14と概ね同径に形成された環状のホイール基台18を備える。ホイール基台18の上面側がホイールマウント14の下面側に固定される。
ホイール基台18の下面側には、複数の研削砥石20が固定されている。研削砥石20の下面は、被加工物を研削する研削面20aを構成している。例えば研削砥石20は、直方体状に形成され、ホイール基台18の周方向に沿って概ね等間隔で環状に配列される。
研削砥石20は、ダイヤモンド、cBN(cubic Boron Nitride)等でなる砥粒と、砥粒を固定するメタルボンド、レジンボンド、ビトリファイドボンド等の結合材(ボンド材)とを含む。ただし、研削砥石20の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。また、研削砥石20の数も任意に設定できる。
研削ホイール16は、回転駆動源(不図示)からスピンドル12及びホイールマウント14を介して伝達される動力により、回転軸12aの周りを回転する。すなわち、スピンドル12の回転軸12aは、ホイールマウント14及び研削ホイール16の回転軸に相当する。研削ホイール16を回転させると、複数の研削砥石20がそれぞれ、回転軸12aを中心として水平面(XY平面)と概ね平行な環状の軌道(経路)に沿って旋回する。
研削ユニット10には、研削ユニット10をZ軸方向に沿って移動させる移動ユニット(不図示)が連結されている。例えば移動ユニットは、研削ユニット10をZ軸方向に沿って移動させるボールねじ式のZ軸移動機構によって構成される。この場合、Z軸移動機構は、Z軸方向に沿って配置されたボールねじ(不図示)と、ボールねじを回転させるパルスモータ(不図示)と、研削ユニット10に連結されボールねじが螺合されるナット部(不図示)とを備える。
X軸移動機構でチャックテーブル4を移動させると、チャックテーブル4と研削ホイール16とがX軸方向に沿って相対的に移動する。また、Z軸移動機構で研削ユニット10を昇降させると、チャックテーブル4と研削ホイール16とがZ軸方向に沿って相対的に移動する。
研削ユニット10の内部又は近傍には、純水等の液体(研削液)を供給するための研削液供給路(不図示)が設けられている。研削ホイール16で被加工物を研削する際には、研削液が被加工物及び研削砥石20に供給される。これにより、被加工物及び研削砥石20が冷却されるとともに、研削加工によって発生した屑(研削屑)が洗い流される。
また、研削装置2は、研削装置2を制御するコントローラ(不図示)を備える。コントローラは、研削装置2の構成要素に接続されており、各構成要素の動作を制御する制御信号を生成する。例えばコントローラは、コンピュータによって構成され、研削装置2の稼働に必要な演算を行う演算部と、研削装置2の稼働に用いられる各種の情報(データ、プログラム等)を記憶する記憶部とを含む。演算部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含んで構成される。記憶部は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリを含んで構成される。
図3は、研削装置2によって研削される被加工物11を示す斜視図である。例えば被加工物11は、単結晶シリコン等の半導体材料でなる円盤状のウェーハであり、互いに概ね平行な表面(第1面)11a及び裏面(第2面)11bと、表面11a及び裏面11bに接続された側面(面取り部)11cとを含む。
被加工物11には、被加工物11の外周部を研削して側面11cを曲面状にする面取り加工が施されている。この面取り加工により、表面11aと側面11cとの境界、及び、裏面11bと側面11cとの境界に形成されている角が除去され、側面11cが表面11aから裏面11bに至る曲面状(円弧状)に整形される。すなわち、側面11cは、面取り加工が施された曲面状の面取り部に相当し、被加工物11の径方向外側に向かって湾曲している(図5(A)等参照)。
被加工物11は、互いに交差するように格子状に配列された複数のストリート(分割予定ライン)13によって、複数の矩形状の領域に区画されている。また、ストリート13によって区画された領域の表面11a側にはそれぞれ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)、LED(Light Emitting Diode)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイス等のデバイス15が形成されている。
被加工物11は、複数のデバイス15が形成された略円形のデバイス領域17と、デバイス領域17を囲む環状の外周余剰領域19とを、表面11a側に備える。外周余剰領域19は、表面11aの外周縁を含む所定の幅(例えば2mm程度)の帯状領域に相当する。外周余剰領域19には、デバイス15が形成されておらず、又は製品に使用されないデバイス15(ダミーデバイス)のみが形成されている。図3には、デバイス領域17と外周余剰領域19との仮想的な境界を破線で示している。
なお、被加工物11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば被加工物11は、シリコン以外の半導体(GaAs、InP、GaN、SiC等)、ガラス(石英ガラス、ホウケイ酸ガラス等)、セラミックス、樹脂、金属等でなる基板(ウェーハ)であってもよい。また、デバイス15の種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。
被加工物11をストリート13に沿って分割することにより、デバイス15をそれぞれ備える複数のデバイスチップが製造される。また、被加工物11の分割前に、被加工物11の裏面11b側を研削して被加工物11を薄化しておくと、薄型化されたデバイスチップが得られる。
次に、本実施形態に係る被加工物の研削方法の具体例について説明する。図4は、被加工物の加工方法を示すフローチャートである。本実施形態では、研削装置2を用いて被加工物11の裏面11b側を研削することにより、被加工物11を薄化する。
まず、チャックテーブル4で被加工物11を保持する(保持ステップS1)。図5(A)は保持ステップS1における研削装置2を示す一部断面側面図であり、図5(B)は保持ステップS1における研削装置2を示す斜視図である。なお、図5(A)では簡略化のため、チャックテーブル4の保持面4aを平坦に図示している(図6(A)以降も同様)。ただし、前述の通り、実際の保持面4aは円錐状に形成されている(図2参照)。
保持ステップS1では、表面11a側が保持面4aに対面して裏面11b側が上方に露出するように、被加工物11がチャックテーブル4上に配置される。このとき被加工物11は、チャックテーブル4の回転軸4cが被加工物11の中心を通過するように、保持面4aと同心円状に位置付けられる。また、チャックテーブル4の吸引面8a(図1参照)の全体が被加工物11によって覆われる。この状態で、保持面4aに吸引源の吸引力(負圧)を作用させると、被加工物11がチャックテーブル4によって吸引保持される。
なお、被加工物11をチャックテーブル4で保持する際には、被加工物11の表面11a側に保護部材(不図示)を固定してもよい。例えば保護部材として、被加工物11と概ね同径に形成された円形のシートが用いられる。具体的には、保護部材は、フィルム状の基材と、基材上に設けられた粘着層(糊剤)とを含む。基材はポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート等の樹脂でなり、粘着層はエポキシ系、アクリル系、又はゴム系の接着剤等でなる。なお、粘着層は、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化樹脂であってもよい。
保護部材は、被加工物11の表面11a側の全体を覆うように固定される。これにより、被加工物11の表面11a側及びデバイス15(図3参照)が保護部材によって保護される。そして、被加工物11は保護部材を介してチャックテーブル4の保持面4aで保持される。
次に、研削砥石20で被加工物11を研削して、被加工物11の外周部に未研削領域を残存させつつ被加工物11に凹部を形成する(凹部形成ステップS2)。図6(A)は凹部形成ステップS2における研削装置2を示す一部断面側面図であり、図6(B)は凹部形成ステップS2における研削装置2を示す斜視図である。
凹部形成ステップS2では、まず、チャックテーブル4と研削ホイール16との位置関係が調節される。具体的には、チャックテーブル4を移動ユニット(不図示)でX軸方向に沿って移動させ、被加工物11の中心と研削砥石20の軌道とがZ軸方向において重なるように位置付ける。
なお、研削砥石20の軌道の直径は、被加工物11の半径よりも小さい。例えば、研削砥石20の軌道の直径は、被加工物11のデバイス領域17(図3参照)の半径と概ね同一に設定される。そのため、複数の研削砥石20はそれぞれ、被加工物11の外周縁よりも被加工物11の径方向内側の領域と重なるように配置される。
次に、チャックテーブル4及び研削ホイール16を回転させた状態で、チャックテーブル4と研削ホイール16とを回転軸12aと平行な方向(Z軸方向)に沿って相対的に移動させる。これにより、被加工物11の裏面11b側が研削砥石20の研削面20aで研削され、被加工物11の裏面11b側の中央部に円形の凹部(溝)21が形成される。
具体的には、まず、チャックテーブル4を回転軸4cの周りで回転させるとともに、研削ホイール16を回転軸12aの周りで回転させる。例えば、チャックテーブル4の回転数は100rpm以上300rpm以下に設定され、研削ホイール16の回転数(スピンドル12の回転数)は2000rpm以上6000rpm以下に設定される。
次に、研削ユニット10を移動ユニット(不図示)でZ軸方向に沿って下降させる。これにより、チャックテーブル4と研削ホイール16とが回転軸12aと平行な方向(Z軸方向)に沿って相対的に移動し、被加工物11と研削砥石20とが接近する。なお、チャックテーブル4と研削ホイール16とのZ軸方向における相対的な移動速度(加工送り速度)は、例えば0.1μm/s以上5μm/s以下に設定される。
研削砥石20が被加工物11に接触すると、研削砥石20はチャックテーブル4の回転軸4cを通過するように旋回しつつ、被加工物11の裏面11b側の中央部を研削する。これにより、被加工物11の中央部のみが薄化され、被加工物11の裏面11b側の中央部に円形の凹部21が形成される。
また、被加工物11の外周部には、研削加工が施されていない領域に相当する環状の未研削領域(凸部)23が残存する。未研削領域23は、外周余剰領域19(図3参照)を含み、デバイス領域17(図3参照)及び凹部21を囲繞している。未研削領域23の幅は、研削砥石20の軌道の直径に依存し、例えば2mm以下である。
そして、凹部21の深さが所定の値に達し、被加工物11の中央部(デバイス領域17、図3参照)の厚さが所定の目標値(仕上げ厚さ)になると、研削ユニット10の下降が停止される。これにより、研削ホイール16による凹部21の形成が完了する。なお、被加工物11に形成される凹部21は、被加工物11の表面11a及び裏面11bと概ね平行な円形の底面21aと、底面21a及び裏面11bに接続された環状の側面(側壁、内壁)21bとを含む。凹部21の直径はデバイス領域17の直径と概ね同一であり、凹部21は複数のデバイス15(図3参照)と重なるように形成される。
上記のように、凹部形成ステップS2では、研削砥石20が被加工物11の外周部(未研削領域23)に接触せず、被加工物11の外周部が研削、薄化されない。そのため、面取り加工が施された被加工物11の外周部が鋭く尖った形状(シャープエッジ形状)にならず、厚い状態に維持される。これにより、シャープエッジ形状となった被加工物11の外周部が研削砥石20によって保持面4a側に押圧されることを回避でき、被加工物11の外周部における欠けや割れの発生が抑制される。
次に、研削砥石20で未研削領域23を研削する(スライド研削ステップS3)。図7(A)はスライド研削ステップS3における研削装置2を示す一部断面側面図であり、図7(B)はスライド研削ステップS3における研削装置2を示す斜視図である。
スライド研削ステップS3では、チャックテーブル4及び研削ホイール16が回転している状態を維持したまま、チャックテーブル4と研削ホイール16とを回転軸12aと交差する方向に沿って相対的に移動させる。具体的には、チャックテーブル4を移動ユニット(不図示)でX軸方向に沿って移動させることにより、チャックテーブル4と研削ホイール16とをX軸方向に沿って相対的に移動させる。
チャックテーブル4の移動方向は、チャックテーブル4の回転軸4cが研削ホイール16の回転軸12aから離れ、被加工物11の外周縁(側面11c)が研削砥石20に近づくように設定される。これにより、研削ホイール16が被加工物11に対して水平方向に沿ってスライドし、研削砥石20の側面が被加工物11に形成されている凹部21の側面21b(図6(A)及び図6(B)参照)に押し当てられる。その結果、被加工物11に残存している未研削領域23(図6(A)及び図6(B)参照)が、凹部の側面21bから被加工物11の側面11cに向かって研削される。
なお、チャックテーブル4及び研削ホイール16の回転数は、凹部形成ステップS2と同じであっても異なっていてもよい。例えば、チャックテーブル4の回転数は100rpm以上300rpm以下に設定され、研削ホイール16の回転数(スピンドル12の回転数)は2000rpm以上6000rpm以下に設定される。また、チャックテーブル4と研削ホイール16とのX軸方向における相対的な移動速度(加工送り速度)は、例えば0.5mm/s以上5mm/s以下に設定される。
チャックテーブル4と研削ホイール16との相対的な移動距離が未研削領域23(図6(A)及び図6(B)参照)の幅に達すると、未研削領域23が除去され、被加工物11の外周部が薄化される。その結果、図7(A)及び図7(B)に示すように、被加工物11の裏面11bが平坦になり、被加工物11の全体の厚さが仕上げ厚さとなる。
上記のように、スライド研削ステップS3では、研削ホイール16を被加工物11に対して水平方向に沿ってスライドさせることにより、凹部21を囲むように残存する未研削領域23を、被加工物11の厚さ方向(Z軸方向)ではなく径方向(XY平面方向)に沿って研削して除去する。これにより、未研削領域23を除去する過程において、薄化された被加工物11の外周部に対して被加工物11の厚さ方向に大きな負荷がかかることを回避できる。その結果、被加工物11の外周部における欠けや割れの発生が抑制され、被加工物11の外周部の損傷を回避することができる。
その後、被加工物11をストリート13(図3参照)に沿って分割することにより、被加工物11のデバイス領域17(図3参照)が個片化され、デバイス15(図3参照)を備える薄型のデバイスチップが得られる。被加工物11の分割には、環状の切削ブレードで被加工物11を切削する切削装置、被加工物11にレーザー加工を施すレーザー加工装置等の各種の加工装置を用いることができる。
以上の通り、本実施形態に係る被加工物の研削方法では、研削砥石20で被加工物11を研削して被加工物11の外周部に未研削領域23を残存させつつ被加工物11に凹部21を形成した後、研削砥石20で未研削領域23を研削することにより、被加工物11の外周部の損傷を防止しつつ被加工物11を薄化する。これにより、被加工物11の外周部を切削ブレードで切削するエッジトリミングを省略することができ、被加工物11の処理工程が簡略化される。
なお、上記実施形態では、凹部形成ステップS2及びスライド研削ステップS3を1回ずつ実施して被加工物11の厚さを仕上げ厚さにする例について説明した。ただし、凹部形成ステップS2及びスライド研削ステップS3を複数回実施することにより被加工物11を研削してもよい。具体的には、凹部形成ステップS2及びスライド研削ステップS3を実施して被加工物11の全体を所定量研削した後、同一の被加工物11に対して、さらに凹部形成ステップS2及びスライド研削ステップS3を実施する。この作業を繰り返すことにより、被加工物11が仕上げ厚さになるまで薄化される。
上記のように凹部形成ステップS2及びスライド研削ステップS3を複数回に分けて実施すると、1回のスライド研削ステップS3で除去される未研削領域23の高さ(体積)が小さくなる。これにより、スライド研削ステップS3において被加工物11の外周部にかかる負荷を低減することができる。
また、上記実施形態では、スライド研削ステップS3においてチャックテーブル4と研削ホイール16とを水平方向(X軸方向)に沿って相対的に移動させる例について説明した。ただし、スライド研削ステップS3に代えて、チャックテーブル4と研削ホイール16とを水平方向に対して傾斜する方向に沿って相対的に移動させるスライド研削ステップS3´を実施してもよい。
図8(A)はスライド研削ステップS3´における研削装置2を示す一部断面側面図であり、図8(B)はスライド研削ステップS3´における研削装置2を示す斜視図である。スライド研削ステップS3´はスライド研削ステップS3の変形例に相当する。そして、スライド研削ステップS3´では、研削ホイール16を被加工物11の外周縁側(側面11c側)に相対的に移動させながら、研削ホイール16を凹部21の底面21aから離れる方向に相対的に移動させる。
具体的には、チャックテーブル4及び研削ホイール16が回転している状態を維持したまま、チャックテーブル4を移動ユニット(不図示)でX軸方向に沿って移動させるとともに、研削ユニット10を移動ユニット(不図示)でZ軸方向に沿って上昇させる。これにより、チャックテーブル4と研削ホイール16とがX軸方向及びZ軸方向に沿って相対的に移動し、研削ホイール16がチャックテーブル4に対して斜め上方向に相対的に移動する。その結果、研削砥石20は凹部21の底面21a(図6(A)及び図6(B)参照)から離れつつ未研削領域23を研削する。
なお、チャックテーブル4及び研削ホイール16の回転数と、チャックテーブル4と研削ホイール16とのX軸方向における相対的な移動速度(第1加工送り速度)とは、スライド研削ステップS3と同様に設定できる。また、チャックテーブル4と研削ホイール16とのZ軸方向における相対的な移動速度(第2加工送り速度)は、例えば0.1μm/s以上5μm/s以下に設定される。さらに、チャックテーブル4と研削ホイール16とのZ軸方向における相対的な移動距離(研削ホイール16の上昇量)は、例えば0.5μm以上10μm以下に設定される。
上記のように、研削砥石20を凹部21の底面21aから離隔させつつ未研削領域23を研削すると、未研削領域23の研削中において研削砥石20が凹部21の底面21aに接触しない。これにより、凹部21の底面21aに多数の加工痕(ソーマーク)がランダムな方向に形成されることを回避でき、被加工物11の機械的強度の低下が抑制される。
さらに、凹部形成ステップS2の前には、被加工物11を研削して被加工物11の全体を薄化する事前研削ステップを実施してもよい。図9(A)は事前研削ステップにおける研削装置2を示す一部断面側面図であり、図9(B)は事前研削ステップにおける研削装置2を示す斜視図である。
例えば研削装置2は、研削ユニット10(図1参照)に加えて、研削ユニット30を備える。研削ユニット30はスピンドル32及びホイールマウント34を備え、スピンドル32はZ軸方向に沿って設定された回転軸32aの周りを回転する。なお、スピンドル32、ホイールマウント34の構成及び機能はそれぞれ、研削ユニット10のスピンドル12、ホイールマウント14(図1参照)と同様である。ただし、ホイールマウント34の直径はホイールマウント14の直径よりも大きい。
ホイールマウント34には、研削ホイール36が装着される。研削ホイール36は、環状のホイール基台38と、ホイール基台38に固定された複数の研削砥石40とを備える。研削砥石40の下面は、被加工物11を研削する研削面40aを構成している。スピンドル32を回転させると、研削ホイール36が回転軸32aの周りを回転し、複数の研削砥石40がそれぞれ回転軸32aを中心とする環状の軌道(経路)に沿って旋回する。
なお、研削ホイール36、ホイール基台38、研削砥石40の構成及び機能はそれぞれ、研削ホイール16、ホイール基台18、研削砥石20(図1参照)と同様である。ただし、ホイール基台38の直径はホイール基台18の直径よりも大きく、研削砥石40の軌道の直径は研削砥石20の軌道の直径よりも大きい。
例えば事前研削ステップは、保持ステップS1(図5(A)及び図5(B)参照)の後、且つ、凹部形成ステップS2(図6(A)及び図6(B)参照)の前に実施される。すなわち、チャックテーブル4で保持された被加工物11を研削ホイール36の研削砥石40で研削する。
事前研削ステップでは、まず、チャックテーブル4と研削ホイール36との位置関係が調節される。具体的には、チャックテーブル4を移動ユニット(不図示)でX軸方向に沿って移動させ、被加工物11の中心と研削砥石40の軌道とがZ軸方向において重なるように位置付ける。なお、研削砥石40の軌道の直径は、被加工物11の半径以上に設定されている。そのため、複数の研削砥石40は、被加工物11の中心から外周縁に至る円弧上の領域と重なるように配置される。
次に、チャックテーブル4及び研削ホイール36を回転させた状態で、チャックテーブル4と研削ホイール36とを回転軸32aと平行な方向(Z軸方向)に沿って相対的に移動させる。これにより、被加工物11の裏面11b側が研削砥石40で研削される。
具体的には、まず、チャックテーブル4を回転軸4cの周りで回転させるとともに、研削ホイール36を回転軸32aの周りで回転させる。次に、研削ユニット30を移動ユニット(不図示)でZ軸方向に沿って下降させる。これにより、チャックテーブル4と研削ホイール36とが回転軸32aと平行な方向(Z軸方向)に沿って相対的に移動し、被加工物11と研削砥石40とが接近する。そして、研削砥石40が被加工物11に接触すると、研削砥石40はチャックテーブル4の回転軸4cを通過するように旋回しつつ、被加工物11の裏面11b側の全体を研削する。これにより、被加工物11の全体が薄化される。
被加工物11の厚さが所定の目標値になると、研削ユニット30が上昇して研削砥石40が被加工物11から離れる。これにより、研削ホイール36による被加工物11の研削が完了する。なお、事前研削ステップにおける被加工物11の研削は、被加工物11の外周部がシャープエッジ形状となり被加工物11の外周部において割れや欠けが発生する前に停止される。
事前研削ステップを実施すると、被加工物11の全体が薄化される。これにより、凹部形成ステップS2における被加工物11の中央部の研削量と、スライド研削ステップS3における被加工物11の外周部の研削量とが削減される。
なお、研削装置2は2個以上のチャックテーブル4を備えていてもよい。この場合、事前研削ステップで被加工物11を保持するチャックテーブル4と、凹部形成ステップS2及びスライド研削ステップS3で被加工物11を保持するチャックテーブル4とは、異なるチャックテーブルであってもよい。また、事前研削ステップは、研削装置2とは別途準備された他の研削装置で実施してもよい。上記の場合には、事前研削ステップが保持ステップS1の前に実施される。
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
11 被加工物
11a 表面(第1面)
11b 裏面(第2面)
11c 側面(面取り部)
13 ストリート(分割予定ライン)
15 デバイス
17 デバイス領域
19 外周余剰領域
21 凹部(溝)
21a 底面
21b 側面(側壁、内壁)
23 未研削領域(凸部)
2 研削装置
4 チャックテーブル(保持テーブル)
4a 保持面
4b 保持領域
4c 回転軸
6 枠体(本体部)
6a 上面
6b 凹部
6c 流路
8 保持部材
8a 吸引面
10 研削ユニット
12 スピンドル
12a 回転軸
14 ホイールマウント
16 研削ホイール
18 ホイール基台
20 研削砥石
20a 研削面
30 研削ユニット
32 スピンドル
32a 回転軸
34 ホイールマウント
36 研削ホイール
38 ホイール基台
40 研削砥石
40a 研削面

Claims (4)

  1. 研削砥石を含む研削ホイールで外周部に面取り部を有する被加工物を研削する被加工物の研削方法であって、
    チャックテーブルで該被加工物を保持する保持ステップと、
    該保持ステップの後、該チャックテーブル及び該研削ホイールを回転させた状態で、該チャックテーブルと該研削ホイールとを該研削ホイールの回転軸と平行な方向に沿って相対的に移動させることにより、該研削砥石で該被加工物を研削して該被加工物の外周部に未研削領域を残存させつつ該被加工物に凹部を形成する凹部形成ステップと、
    該凹部形成ステップの後、該チャックテーブル及び該研削ホイールを回転させた状態で、該チャックテーブルと該研削ホイールとを該研削ホイールの回転軸と交差する方向に沿って相対的に移動させることにより、該研削砥石で該未研削領域を研削するスライド研削ステップと、を含むことを特徴とする被加工物の研削方法。
  2. 該凹部形成ステップの前に、該被加工物を研削して該被加工物の全体を薄化する事前研削ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の被加工物の研削方法。
  3. 該スライド研削ステップでは、該研削ホイールを該被加工物の外周縁側に相対的に移動させながら、該研削ホイールを該凹部の底面から離れる方向に相対的に移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の被加工物の研削方法。
  4. 該凹部形成ステップ及び該スライド研削ステップを複数回実施することにより該被加工物を研削することを特徴とする請求項1又は2に記載の被加工物の研削方法。
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