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JP2024061249A - 繊維強化セメント板の製造方法 - Google Patents

繊維強化セメント板の製造方法 Download PDF

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JP2024061249A JP2022169080A JP2022169080A JP2024061249A JP 2024061249 A JP2024061249 A JP 2024061249A JP 2022169080 A JP2022169080 A JP 2022169080A JP 2022169080 A JP2022169080 A JP 2022169080A JP 2024061249 A JP2024061249 A JP 2024061249A
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哲也 島村
Tetsuya Shimamura
友喜 紀国
Tomoki Kinokuni
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Nozawa Corp
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Abstract

【課題】 繊維強化セメント板の表面に不均一な濃淡模様の素材感を持たせることができる繊維強化セメント板の製造方法を提供する。
【解決手段】 セメントと骨材と補強繊維とを含む原料を混合したセメントスラリーを抄造し、メーキングロールに所定の厚みに積層後、切断しメーキングロールから展開した生板を、プレス工程、養生工程、表面の研削工程を経て製造する繊維強化セメント板の製造方法であって、プレス工程のプレス条件、養生工程の養生条件、研削工程の研削条件の少なくとも1つを調整することにより、表面に不均一な濃淡模様を形成する。
【選択図】 図1

Description

本出願は、化粧スレート板などの繊維強化セメント板の製造方法に関する。
従来、スレート板などの繊維強化セメント板の表面化粧においては、表面をポリエステル樹脂やジアクリルフタレート(DAP)樹脂で加工したり、アクリルウレタン塗料等の塗装をする場合がある。また、繊維強化セメント板の表面に、突き板シート、オレフィンシート、ウレタンコート紙等の化粧シートをエチレン酢酸ビニル系等の接着剤で貼り付けたりする場合もある。また、繊維強化セメント板の建築材料においては、セメントの灰色(グレー)系の素材感を生かした仕上げも好まれる傾向にあり、表面に塗装を行わない場合もある。表面に塗装を行わずに繊維強化セメント板を仕上げ材として用いる場合、表面色はいわゆるセメントの色(グレー)のみであり、単調な仕上げになる。
この種の先行文献として、板材の表面にエフロレッセンスを不均一に生じさせることにより、経年変化したセメント系の建築資材のような自然な風合いを表現可能な建築資材の製造方法がある(例えば、特許文献1参照)。
また、他の先行文献として、成形体の表面にエフロレッセンスが不均一に生じるようにシーラー塗料をスプレーにより塗布し、その成形体を養生硬化し、表面にエフロレッセンスを不均一に生じさせる製造方法がある(例えば、特許文献2参照)。この製造方法では、シーラー塗料の塗布量が多い部分と少ない部分を分布させることで、経年変化したセメント系の建築資材のような自然な風合いを有し、類似の模様が発生しにくい建築資材を製造している。
特開2019-025881号公報 特開2020-121484号公報
しかし、上記先行文献で製造された板材は、表面にセメント成分が析出したエフロレッセンスによる風合いが不均一な模様となって自然な風合いに見えるものの、白い粉を吹いたようにも見えることから、仕上げとしては見栄えが良いとは言えない場合がある。
また、繊維強化セメント板は、単体では不燃性能を保有している場合が多く、表面に塗装を行ったり化粧シートを貼り付けたりした場合には、不燃性能を損なうおそれがある。
そこで、本出願は、繊維強化セメント板の表面に不均一な濃淡模様の素材感を持たせることができる繊維強化セメント板の製造方法を提供することを目的とする。
本出願の一態様に係る繊維強化セメント板の製造方法は、セメントと骨材と補強繊維とを含む原料を混合したセメントスラリーを抄造し、メーキングロールに所定の厚みに積層後、切断し前記メーキングロールから展開した生板を、プレス工程、養生工程、表面の研削工程を経て製造する繊維強化セメント板の製造方法であって、前記プレス工程のプレス条件、前記養生工程の養生条件、前記研削工程の研削条件の少なくとも1つを調整することにより、表面に不均一な濃淡模様を形成する。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「生板」は、メーキングロールに巻き取られて所定の厚みに積層後に切断され、ボード状に展開された未硬化の状態の板材をいう。
この構成により、セメントと骨材と補強繊維とを含む原料を混合したセメントスラリーを抄造し、メーキングロールに所定の厚みに積層後、切断しメーキングロールから展開した生板より不燃性能を有する繊維強化セメント板を得ることができる。繊維強化セメント板は、プレス工程のプレス条件、養生工程の養生条件、研削工程の研削条件の少なくとも1つを調整することにより、表面に不均一な濃淡模様を形成できる。繊維強化セメント板は、不均一な濃淡模様で自然な風合いの表面とすることができ、セメントの素材感を生かした仕上げでコンクリート打放し風の内装仕上げなどを実現できる。
また、前記セメントスラリーは、前記セメントが20~85重量%、前記骨材が0~40重量%、前記補強繊維が5~10重量%、及び無機繊維、混和材を含むその他原料が0~30重量%で組み合わせて前記原料が配合されたものであり、前記プレス工程は、10乃至200kg/cmのプレス圧であり、前記養生工程は、自然養生又はオートクレーブ養生による養生であり、前記研削工程は、サンドペーパーの目の粗さが#30乃至#120であり、研削量が0.1乃至0.5mmの研削であってもよい。
このように構成すれば、セメントと骨材と補強繊維とが適切な組み合わせで配合され、無機繊維、混和材を含むその他原料が配合されたセメントスラリーで繊維強化セメント板を形成することができる。繊維強化セメント板は、プレス工程においては、メーキングロールから切断後展開した生板を10乃至200kg/cmのプレス圧で密充填することで、同じ生板内で密充填の充填に違いが生じるようにできる。養生工程においては、プレス工程で充填の違いを生じさせた板材を自然養生又はオートクレーブ養生により適切に所定の物性に硬化できる。研削工程においては、目の粗さが#30乃至#120のサンドペーパーで板材表面を0.1乃至0.5mm研削することで、密充填の違いが不均一な濃淡模様となった表面の繊維強化セメント板を形成できる。
また、前記セメントの20~85重量%の配合のうち、0~10重量%を顔料としてもよい。
このように構成すれば、繊維強化セメント板の表面に形成される濃淡模様を、顔料が混ざった複雑な濃淡模様にすることができる。また、顔料によって繊維強化セメント板の素材そのものの色合いを調整して表面仕上げをすることができる。
本出願によれば、繊維強化セメント板の表面に不均一な濃淡模様の素材感を持たせることが可能となる。
図1は、本出願に係る繊維強化セメント板の製造方法に用いる製造設備の概略構成を示す模式図である。 図2は、本出願に係る製造方法の第1条件で製造した繊維強化セメント板の表面に形成された濃淡模様を示す写真である。 図3は、本出願に係る製造方法の第2条件で製造した繊維強化セメント板の表面に形成された濃淡模様を示す写真である。 図4は、本出願に係る製造方法の第3条件で製造した繊維強化セメント板の表面に形成された濃淡模様を示す写真である。 図5は、従来の製造方法で製造した繊維強化セメント板の表面を示す写真である。 図6(A)乃至(C)は、図3と図4の実施例に示す繊維強化セメント板の使用状態を示す写真である。
以下、本出願の製造方法について、実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態に示す製造設備1は一例であり、他の構成であってもよい。また、図1に示す抄造装置10の構成も一例であり、他の構成であってもよい。
<繊維強化セメント板の製造設備の構成>
図1は、繊維強化セメント板80の製造方法に用いる製造設備1の概略構成を示す模式図である。この実施形態の製造設備1は、繊維強化セメント板80を製造する抄造装置10を有する設備である。抄造装置10は、抄造用フェルト11をスラリー槽12に送り、スラリー槽12に溜められたセメントスラリー14をシリンダ13で抄造用フェルト11に抄き上げる。抄造用フェルト11は、複数のスラリー槽12において複数回の抄き上げが行われ、表面に所定の厚みのセメントスラリー層が形成された後、メーキングロール15に巻き取られる。この図では、スラリー槽12の数を簡略化している。
メーキングロール15に複数回巻き取られて所定の厚みとなった積層構造の生板70は、メーキングロール15に設けられた切断装置によって切断され、平板状に展開されて下流方向へ送られる。抄造装置10の下流方向には、プレス装置20、切断装置30、養生装置40、研削装置50が備えられている。
そして、本出願に係る繊維強化セメント板80の製造方法は、プレス装置20によるプレス工程のプレス条件、養生装置40による養生工程の養生条件、研削装置50による研削工程の研削条件、のいずれか又は複数を組み合わせて調整することで、繊維強化セメント板80の表面に不均一な濃淡模様を形成することができる。以下に、原料と各工程における調整について説明する。
<原料>
セメントスラリー14は、セメント、骨材、補強繊維などを主材とする。例えば、セメント、けい酸質原料、石灰質原料、カルシウムシリケイト、無機混和材、有機繊維、無機繊維、その他原料を用いることができる。繊維強化セメント板80の表面に濃淡模様を形成するための原料は、セメント、けい酸質原料が主である。原料の割合としては、セメントが20~85重量%、骨材が0~40重量%、補強繊維が5~10重量%の範囲で配合することが好ましい。セメント量が20重量%より少ない場合、色合いが薄くなるとともに強度が低下し、85重量%より大きいと色合いが濃くなるが弾性率が大きくなり、割れや欠けやすくなる。ここでいう色合いは、濃淡模様とは異なり、均一な色(例えばセメント色であるグレー)による繊維強化セメント板80の表面色の濃さの違いを表すものである。補強繊維は、5重量%より少ないと濃淡模様が出にくくなるとともに耐衝撃性などの性能に悪影響が生じ、10重量%より多いと不燃性能に悪影響が生じる。補強繊維には、パルプと合成繊維が含まれる。パルプと合成繊維の割合は、補強繊維の配合量に対し、パルプが80%以上の割合であることが好ましい。パルプの割合を80%以上とすることで、パルプに含まれる水分量に差異が生じ、濃淡模様が生じやすくなる。なお、その他の原料は必要に応じて配合すればよい。
<プレス工程における調整>
プレス工程では、生板70がプレス装置20によって所定のプレス圧でプレスされる。プレス工程で、生板70の水分量が調整される。プレス圧は、200kg/cm以下で行うことが好ましい。生板70を200kg/cm以下のプレス圧でプレスすることにより、抄造時の積層厚の誤差の違いから生板70内の密充填に充填の違いが生じる状態となる。繊維強化セメント板80は、この密充填の違いでセメント等の原料の硬化反応に違いが生じることで濃淡模様が生じる。なお、生板70の密充填が違う状態は、繊維強化セメント板80の諸物性に影響を及ぼすものではない。また、プレス圧は、200kg/cm以上とすると密充填が高くなり、濃淡模様が出にくくなる。
<一次養生工程>
一次養生工程では、養生装置40により繊維強化セメント板80にハンドリング強度を付与するための常圧蒸気養生が行われる。一次養生工程では、繊維強化セメント板80に調整などは行われない。
<切断工程>
切断工程では、ハンドリング強度が付与された繊維強化セメント板80が切断装置30によって規格寸法に切断される。切断工程は、ハンドリング強度が付与された繊維強化セメント板80を所定サイズの繊維強化セメント板80に切断するのみであり、調整などは行われない。
<二次養生工程における調整>
二次養生工程では、切断工程で所定サイズに切断された繊維強化セメント板80が養生装置40で養生される。二次養生工程は、自然養生又はオートクレーブ養生が選択される。二次養生の工程は、繊維強化セメント板80に用いる原料や配合により調整する。例えば、原料に耐熱性のない繊維(例えば、ビニロン)が含まれている場合は自然養生とする。また、原料にセメント、珪砂が配合され、オートクレーブにより反応させる場合にはオートクレーブ養生とする。オートクレーブ養生の場合は、配合する原料によっても異なるが、温度を110℃~181℃の間で調整するのが望ましい。温度が110℃よりも低い場合、繊維強化セメント板80としての強度などの物性が低下する。温度181℃よりも高い場合、過養生となり、養生が無駄になる。養生工程では、プレス工程においてプレスされた後の繊維強化セメント板80の内部の生成成分量に違いから濃淡模様が生じる。
<研削工程における調整>
研削工程では、養生装置40で養生された繊維強化セメント板80の表面が研削装置50によって研削される。研削工程では、研削に用いるサンドペーパーの目の粗さの違い、研削する深さが調整される。研削工程では、使用するサンドペーパーとして目の粗さが#30乃至#120が用いられる。サンドペーパーは、#30より粗いと表面の平滑性が低下し、#120より細かいと濃淡が出にくく研削にも時間を要し、生産性が低下する。研削量は、0.5mm以下の範囲で行うことが望ましい。研削は深い程、濃淡の差が大きくなるが、0.5mmを超えると濃淡模様は変わりにくくなる。研削工程は、必要に応じて行えばよく、未研削の場合もある。研削工程は、養生工程を経た後の繊維強化セメント板80に対し、不均一な濃淡模様を意図的に狙って形成する場合に行われる。
<各工程の組み合わせなど>
本出願は、同じ配合組成(同じ原料配合)の繊維強化セメント板80であっても、プレス工程における条件(圧力の高低による差)、養生工程における条件(オートクレーブ養生の条件及び有無)、研削工程における条件(研削有無及び研削量)を変えることで、色合い(濃淡模様)を変化させることで、狙った濃淡模様をコントロールすることが可能となる。よって、繊維強化セメント板80の原料の配合以外の条件で、各繊維強化セメント板80の表面に異なる濃淡模様を生じさせることが可能となる。
すなわち、本出願に係る製造方法によって製造される繊維強化セメント板80の濃淡模様は、原料配合量の違い、プレス工程におけるプレス圧の違い、養生工程(生成成分量)の違い、表面研削工程の違いを各々組合せることで、繊維強化セメント板80の生板70内での残水分量の違いを生じた状態とする密充填の違いと、スラリー層内での抄造時の数ミクロン程度の範囲での厚みのばらつきから、繊維強化セメント板80内の生成成分量に違いが生じ、濃淡模様を生じさせることができる。
<顔料による色調整>
また、原料に顔料を添加することにより、色合いをセメント色(グレー)とは異なる発色とすることが可能となり、その色合いにより濃淡模様を変化させることができる。顔料としては、酸化鉄、ベンガラ、亜鉛華、群青、緑青、二酸化チタン、カーボンブラックを用いることができる。顔料は、セメント量に対して0~10%であることが望ましい。顔料が10%を超えると、強度など物性が低下するおそれがある。
<その他の変形例>
上記した実施形態は一例を示しており、抄造装置10における抄造用フェルト11の送り方法、スラリー槽12の数、各部の構成などは一例であり、上記した実施形態に限定されるものではない。また、本出願の要旨を損なわない範囲で種々の構成を変更してもよく、本出願は上記した実施形態に限定されるものではない。
以下に、本出願の繊維強化セメント板80に関する実施例を説明する。表1は、2種類の配合で繊維強化セメント板80の生板70を抄造後、プレス工程の条件、養生工程の条件、研削工程の条件を変えて繊維強化セメント板80の表面模様の違いを確認した結果を示す。実施例1~3と実施例4~7はセメントの配合割合、その他の原料が異なるため、それぞれの濃淡変化の比較を別々に説明する。なお、比較例1と比較例2は、通常製造されている表面色が均一な薄いグレー系の繊維強化セメント板100である。実施例1は、比較例2と配合と養生条件は同じであるが表面の研削を行ったものである。実施例2と実施例3は同じ配合であるが、プレス工程におけるプレス圧を変えたものである。実施例4~実施例7は、セメント量を増やした配合であり、プレス工程におけるプレス圧と研削工程における研削条件とを変えたものである。
Figure 2024061249000002
<実施例の評価>
図2乃至図4は、本出願に係る製造方法の第1条件乃至第3条件で製造した繊維強化セメント板80の表面に形成された濃淡模様を示す写真である。図2乃至図5に示す繊維強化セメント板80及び繊維強化セメント板100は、上記表1に示された実施例及び比較例に示すものであるが、一部のみである。図2は、表1の実施例2で得られた繊維強化セメント板80の表面を示している。図3は、表1の実施例4で得られた繊維強化セメント板80の表面を示している。図4は、表1の実施例6で得られた繊維強化セメント板80の表面を示している。図5は、比較例として従来の製造方法で製造した繊維強化セメント板100の表面を示す写真である。図5は、表1の比較例2で得られた繊維強化セメント板100の表面を示している。
図5に示す繊維強化セメント板100は、従来の製造方法で製造したものであり、比較例2に示すように、プレス圧が210kg/cmと高い圧力になっている。このため、プレス工程において水分量が少なくなり、表面を目の粗さが#30のサンドペーパーで0.5mm研削しても、表面の色は「A」で示す単一のグレー色となる。比較例1は、比較例2の条件で表面研削がない例であり、表面の色は比較例2の「A」よりも若干薄い「A-」の均一となったグレー色となる。
一方、本出願に係る製造方法で製造した繊維強化セメント板80は、表1の実施例2で示す例では、比較例2と同じ原料で、プレス工程におけるプレス圧を150kg/cmとし、表面を目の粗さが#30のサンドペーパーで0.5mm研削している。実施例2では、図2に示すように、比較例2よりも濃い色の「B」となる。また、この例では、濃い色の部分と少し白い色の部分とが不均一な濃淡模様が現れている。表1の実施例1は、実施例2の条件で形成された繊維強化セメント板80の表面を目の粗さが#120のサンドペーパーで0.5mm研削した例である。この場合、表面がより細かく研削されるため、図2に示す「B」よりも若干薄い色の「AB」となる。表1の実施例3は、実施例2のプレス工程におけるプレス圧を100kg/cmとした例である。この場合、生板70の内部に残る水分量が増えて生成成分に差が出るため、図2に示す「B」よりも若干濃い色の「B+」となる。
表1の実施例4は、セメントの配合量を増やし、他の原料割合の変更と合成繊維をポリプロピレンからポリビニルアルコールに変更した例である。実施例4では、プレス工程におけるプレス圧を200kg/cmとし、表面を目の粗さが#120のサンドペーパーで0.3mm研削している。実施例4は、図3に示すように、実施例2と同等の色の「C」となる。また、この例では、実施例2よりも若干薄くなるが、濃い色の部分と少し白い色の部分とが不均一な濃淡模様が現れている。
表1の実施例6は、実施例4と同じ原料の配合で、プレス工程におけるプレス圧を150kg/cmとし、表面を目の粗さが#30のサンドペーパーで0.3mm研削している。実施例6は、図4に示すように、実施例4よりも濃い色の「D」となる。この例では、表面に濃い色の部分と少し白い色の部分とが不均一な濃淡模様が明確に現れている。表1の実施例5は、実施例6における研削工程で表面を目の粗さが#120のサンドペーパーで0.3mm研削した例である。この場合、表面がより細かく研削されるため、図4に示す「D」よりも若干薄い色の「CD」となる。表1の実施例7は、実施例6のプレス工程におけるプレス圧を100kg/cmとした例である。この場合、生板70の内部に残る水分量が増えて生成成分に差が出るため、図4に示す「D」よりも若干濃い色の「D+」となる。
このように、繊維強化セメント板80の製造工程におけるプレス工程のプレス圧、養生工程の養生方法、研削工程の研削条件のいずれかを調整することにより、繊維強化セメント板80の表面に不均一な濃淡模様を生じさせることができる。よって、繊維強化セメント板80の表面を、不均一な濃淡模様で自然な風合いの表面とすることがでる。
図6(A)乃至(C)は、図3と図4の実施例に示す繊維強化セメント板80の使用状態を示す写真である。図6(A)は、図3に示す第2条件で製造した「C」の濃淡模様となった繊維強化セメント板80の使用状態を示す表面の写真である。図6(B)は、図4に示す第3条件で製造した「D」の濃淡模様となった繊維強化セメント板80の使用状態を示す表面の写真である。いずれの写真も、照明が反射して繊維強化セメント板80の表面に形成された濃淡模様が明確でない部分もあるが、全体的にまだらな濃淡模様の表面を形成することができる。図6(C)は、図6(A)に示す第2条件で製造した「C」の濃淡模様となった繊維強化セメント板80と、図6(B)に示す第3条件で製造した「D」の濃淡模様となった繊維強化セメント板80とを、1つの部屋の壁面に使用した例である。図6(C)は、部屋の角部を示している。図6(C)も、照明が反射して繊維強化セメント板80の表面に形成された濃淡模様が明確でない部分もあるが、まだらな濃淡模様を生じた壁面を形成することができる。このように、上記繊維強化セメント板80によれば、セメントの素材感を生かした仕上げでコンクリート打放し風の内装仕上げなどを実現できる。
<まとめ>
以上のように、本出願に係る繊維強化セメント板80の製造方法によれば、繊維強化セメント板80に塗装などをすることなく、そのまま仕上げ材として用いる場合などにおいて、表面が単調なグレーでなく、表面に不均一な濃淡模様が生じたグレー色系の繊維強化セメント板80として仕上げることができる。
また、本出願に係る製造方法で製造した繊維強化セメント板80は、セメントの素材感を生かした仕上げとなり、コンクリート打放し風の内装仕上げを実現することができる。さらに、同じ原料を配合した場合でも、表面が異なる色合いの濃淡模様となった繊維強化セメント板80を造り出すことができるため、製造工程におけるセメントスラリーを変化させずに異なる濃淡模様の繊維強化セメント板80の製造が可能となる。
1 製造設備
10 抄造装置
11 抄造用フェルト
12 スラリー槽
13 シリンダ
14 セメントスラリー
15 メーキングロール
20 プレス装置
30 切断装置
40 養生装置
50 研削装置
70 生板
80 繊維強化セメント板

Claims (3)

  1. セメントと骨材と補強繊維とを含む原料を混合したセメントスラリーを抄造し、メーキングロールに所定の厚みに積層後、切断し前記メーキングロールから展開した生板を、プレス工程、養生工程、表面の研削工程を経て製造する繊維強化セメント板の製造方法であって、
    前記プレス工程のプレス条件、前記養生工程の養生条件、前記研削工程の研削条件の少なくとも1つを調整することにより、表面に不均一な濃淡模様を形成する、
    繊維強化セメント板の製造方法。
  2. 前記セメントスラリーは、前記セメントが20~85重量%、前記骨材が0~40重量%、前記補強繊維が5~10重量%、及び無機繊維、混和材を含むその他原料が0~30重量%で組み合わせて前記原料が配合されたものであり、
    前記プレス工程は、10乃至200kg/cmのプレス圧であり、
    前記養生工程は、自然養生又はオートクレーブ養生による養生であり、
    前記研削工程は、サンドペーパーの目の粗さが#30乃至#120であり、研削量が0.1乃至0.5mmの研削である、
    請求項1に記載の繊維強化セメント板の製造方法。
  3. 前記セメントの20~85重量%の配合のうち、0~10重量%を顔料とした、
    請求項2に記載の繊維強化セメント板の製造方法。
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