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JP2024048966A - 吸収性物品及びこれに用いる吸収要素の製造方法 - Google Patents

吸収性物品及びこれに用いる吸収要素の製造方法 Download PDF

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JP2024048966A JP2022155166A JP2022155166A JP2024048966A JP 2024048966 A JP2024048966 A JP 2024048966A JP 2022155166 A JP2022155166 A JP 2022155166A JP 2022155166 A JP2022155166 A JP 2022155166A JP 2024048966 A JP2024048966 A JP 2024048966A
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晶絵 森谷
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Abstract

【課題】吸収体の形状維持性を向上させつつ、包装シートの破れを低減する。【解決手段】上記課題は、パルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子を混合・集積してなる吸収体56及びこれを包むクレープ紙からなる包装シート58を有する吸収要素を備え、吸収要素50には吸収要素50の表面から吸収体56内まで窪むように厚み方向TDに圧縮された高圧縮部51が間隔を空けて配列され、高圧縮部51以外の部分は、高圧縮部51よりも厚くかつ低密度の非高圧縮部52であり、高圧縮部51は変曲点及び屈曲点を有しない外形を有し、高圧縮部51の外形に内接する最大の内接円53の直径が2~5mmであり、その外形の周長が高圧縮部51の外形に内接する最大の内接円54の周長の1~2.5倍であり、非高圧縮部52の外形に内接する最大の内接円54の直径が6.5mm以下であることにより解決される。【選択図】図11

Description

本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品及びこれに用いる吸収要素の製造方法に関するものである。
吸収性物品では、パルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子を混合・集積してなる吸収体を用いることが一般的であり、このような吸収体は製造時及び製造後の形状維持性を高めるために、クレープ紙等からなる包装シートが巻き付けられてなる吸収要素として内蔵されることが一般的である(例えば特許文献1参照)。
吸収性物品の吸収要素は両脚の間に挟まれた状態で、歩行等の脚の動きにより幅方向両側から様々な方向の力を受けるため、股間部における良好なフィット性が求められる一方で、吸収体のヨレや割れ等の形状の崩れを防止するための形状維持性も求められている。もちろん、使い捨ておむつの吸収要素では、股間部における吸収性能の確保も要求される。
吸収体の形状維持性を改善する手法としては、エンボス加工等により吸収要素を厚み方向に圧縮した高圧縮部を格子状等のパターンで設けることが知られている(例えば特許文献1、2参照)。しかし、吸収体を包む包装シートがクレープ紙であると、高圧縮部を形成する際、高圧縮部の縁や、隣り合う高圧縮部の間でクレープ紙が破けることがある。包装シートが破けると、そこから高吸収性ポリマー粒子が抜け出して、吸収性物品の表面まで出てくることもあるため好ましくない。
特許5709584号公報
そこで、本発明の主たる課題は、吸収体の形状維持性を向上させつつ、包装シートの破れを低減することにある。
本発明者は、パルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子を混合・集積してなる吸収体に、厚み方向に圧縮された高圧縮部を形成する研究を行っていたところ、偶然にも、吸収体の形状維持性を向上させつつ、包装シートの破れを低減できる可能性に気付いた。以下に述べる吸収性物品は、この知見に基づくものである。
<第1の態様>
股間部を有しており、
前記股間部を含む前後方向範囲に設けられた吸収体、及びこの吸収体を包むクレープ紙からなる包装シートを有する吸収要素を備え、
前記吸収体は、パルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子を混合・集積してなるものであり、
前記吸収要素は、前記吸収要素の表面又は裏面から前記吸収体内まで窪むように厚み方向に圧縮された高圧縮部が間隔を空けて配列され、
前記高圧縮部の配列領域における前記高圧縮部以外の部分は、前記高圧縮部よりも厚くかつ低密度の非高圧縮部であり、
前記高圧縮部は変曲点及び屈曲点を有しない外形を有するとともに、前記高圧縮部の外形に内接する最大の内接円の直径が2~5mmであり、かつ前記高圧縮部の外形の周長が前記高圧縮部の外形に内接する最大の内接円の周長の1~2.5倍であり、
前記非高圧縮部の外形に内接する最大の内接円の直径が6.5mm以下である、
ことを特徴とする吸収性物品。
(作用効果)
本吸収性物品の特徴は、パルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子を混合・集積してなる吸収体をクレープ紙で包装してなる吸収要素に対して、特定の寸法・形状を有する高圧縮部を従来よりも密に配置したところにある。すなわち、高圧縮部は吸収要素が押圧(直接的な加圧)により厚み方向に圧縮されて厚みがほぼ等しくなった高密度部分であり、吸収要素の表面又は裏面から窪んだ窪みの底部である。一方、非高圧縮部は高圧縮部よりも厚くかつ低密度の部分であるが、非高圧縮部であっても高圧縮部の周囲近くでは、高圧縮部の変形に引っ張られるように吸収体が変形する結果、高圧縮部に近づくにつれて厚みが減少し、密度は増加する。よって、ある程度の大きさを有する高圧縮部を従来よりも密に配置すると、非高圧縮部の厚みが減少する面積が大きくなる。そしてその結果、高圧縮部の形成時に包装シートに生じる歪が小さくなり(加わる引張力が弱くなり)、包装シートが破れにくくなるのである。
さらに、非高圧縮部であっても高圧縮部の周囲近くでは、高圧縮部の変形に引っ張られるように吸収体が変形する結果、高圧縮部が無い場合と比べて吸収体が薄くなるという利点ももたらされる。
これらの観点から、高圧縮部は十分に大きな円を含みうる形状を有することは重要である。また、高圧縮部の形状が一方向に過剰に長かったり、過剰に入り組んだ外形を有していたりしないことも重要である。さらに、高圧縮部の配置が疎らとならないように(非高圧縮部が全方向に長く続かないように)、非高圧縮部の外形に内接する最大の内接円の直径が小さいことも重要となる。
従来は、高圧縮部を密に配置することはあまり好ましくないと考えられていたため、上述のような簡素な変更でこのような効果が発現することは予想外であった。
<第2の態様>
前記吸収体における前記パルプ繊維の目付けが100~500g/m2であり、
前記吸収体におけるパルプ繊維:高吸収性ポリマー粒子が、重量比で45:55~65:35であり、
前記包装シートは、JIS P 8113:2006に規定される前後方向の引張破断伸びが20~35%、かつ幅方向の引張破断伸びが4~8%のクレープ紙であり、
前記非高圧縮部の厚みは5~13mmであり、
前記高圧縮部の厚みは前記非高圧縮部の厚みの30~50%である、
第1の態様の吸収性物品。
(作用効果)
近年では、吸収体の薄型化を図る等の目的で、高吸収性ポリマー粒子の混合比率を高めることが多い。しかし、高吸収性ポリマー粒子の混合比率を高めると、高圧縮部の形状維持性が低下するだけでなく、非高圧縮部における高圧縮部の周囲近くで、高圧縮部の変形に引っ張られるように吸収体が変形しにくくなる。また、排泄液を吸収し膨張した高吸収性ポリマー粒子同士が密着し、排泄液の拡散を阻害する現象(ゲルブロッキング)が発生しやすくなるため、拡散性が低下するおそれもある。よって、吸収体におけるパルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子の配合を本態様の範囲内として、本態様の範囲内で高圧縮部の圧縮形成を行うと好ましい。
<第3の態様>
前記高圧縮部は、前記吸収要素の表面から前記吸収体内まで窪むように厚み方向に圧縮された高圧縮部のみからなる、
第1又は2の態様の吸収性物品。
(作用効果)
本吸収要素では逆戻り防止性及び拡散性の両者が向上する。すなわち、前述のように、高圧縮部は押圧(直接的な加圧)により圧縮されて厚みがほぼ等しくなった高密度部分であり、吸収要素の表面から窪んだ窪みの底部である。一方、非高圧縮部は高圧縮部よりも厚くかつ低密度の部分であるが、非高圧縮部であっても高圧縮部の周囲近くでは、高圧縮部の変形に引っ張られるように吸収体が変形する結果、高圧縮部に近づくにつれて密度は増加する。このため、高圧縮部においては毛管現象が強く発現し、液保持性が周囲よりも高くなるだけでなく、高圧縮部に向かって液が吸い寄せられる。よって、高圧縮部を従来よりも密に配置すると、より多くの排泄液を肌から遠い部分に強く保持できるため、逆戻りを起こし難くなるのである。
また、高圧縮部を従来よりも密に配置すると、吸収体内に吸収された排泄液に対して、周囲の多くの高圧縮部における毛管現象による吸引力が作用して、排泄液がより広範囲に拡散するようになる。
<第4の態様>
前記高圧縮部の配列領域に、第1方向に沿う第1仮想直線が、前記第1仮想直線に対して平面視で時計回りに80~90°傾斜した第2方向に第1間隔を空けて繰り返し配列されるとともに、前記第2方向に沿う第2仮想直線が前記第1方向に第2間隔を空けて繰り返し配列されて形成される仮想格子を定めるとともに、
前記第1仮想直線と前記第2仮想直線との交点を頂点とする最小の仮想四角形を定めたとき、
前記高圧縮部は、前記第1仮想直線と前記第2仮想直線との交点位置に配置された第1高圧縮部と、前記第1仮想直線における隣り合う第1高圧縮部の間、及び前記第2仮想直線における隣り合う第1高圧縮部の間にそれぞれ配置された第2高圧縮部と、前記仮想四角形の対角線の交点位置に配置された第3高圧縮部とからなり、
前記第1高圧縮部は、前記第1仮想直線と前記第2仮想直線との交点を中心とする円形をなし、
前記第2高圧縮部は、前記仮想四角形の各辺の中点に重心を有し、かつ各辺に沿う長軸を有する楕円形若しくは角丸矩形であり、
前記第3高圧縮部は、前記仮想四角形の対角線の交点に重心を有し、かつ前後方向に沿う長軸を有する楕円形若しくは角丸矩形、又は前記仮想四角形の対角線の交点を中心とする円形である、
第1~3のいずれか1つの態様の吸収性物品。
(作用効果)
高圧縮部の配列領域における高圧縮部の形状及び配列パターンは適宜定めればよいが、本態様のパターンであると、第2高圧縮部の長軸方向(第1方向及び第2方向)における拡散性を向上させることができるとともに、第1方向に非高圧縮部が直線的に連続する部分及び第2方向に非高圧縮部が直線的に連続する部分の両者を有することとなるため、個々の高圧縮部が硬質化するとしても、吸収体全体としては身体表面に沿うように変形しやすいものとなる。
<第5の態様>
前記第1高圧縮部は、直径が1~4mmであり、
前記第2高圧縮部は、長軸の長さが3~6mmで、かつ短軸の長さが前記第1高圧縮部の直径に等しく、
前記第3高圧縮部は、長軸の向きが前後方向に沿う以外は前記第2高圧縮部と同寸及び同形状をなしており、
隣接する前記第1高圧縮部と前記第2高圧縮部との最小間隔は、1~2mmである、
第4の態様の吸収性物品。
(作用効果)
前述の仮想格子に沿って高圧縮部を配列する場合、各高圧縮部の寸法は適宜定めることができるが、本態様の範囲内であると、包装シートの破れ防止性、逆戻り防止性及び液拡散性の向上はもちろん、吸収体の変形容易性も向上するため好ましい。
<第6の態様>
前記仮想格子は、前記第1仮想直線が前後方向に対して平面視で時計回りに40~50°傾斜するとともに、前記第2仮想直線が前後方向に対して平面視で反時計回りに40~50°傾斜した斜め格子状をなしている、
第4又は5の態様の吸収性物品。
(作用効果)
前述のように仮想格子に沿って高圧縮部を配列する場合、本態様のように斜め格子状に配列されていると、着用時の吸収体の変形容易性はもちろん、液の拡散性にも優れるため好ましい。
<第7の態様>
パルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子を混合・集積してなる吸収体と、この吸収体を包むクレープ紙からなる包装シートとを有する吸収要素の製造方法であって、
前記パルプ繊維及び前記高吸収性ポリマー粒子を混合・集積してなる吸収体を形成する第1ステップと、
前記吸収体の全体を包装シートで包装してなる包装体を形成する第2ステップと、
外周面に間隔を空けて配列された突起部を有するアンビルロールと、これに対向する円筒面を有する平滑ロールとの間で前記包装体を挟み、前記アンビルロールの多数の突起部と前記平滑ロールとの間に挟まれる部分のみ前記包装体を押圧する第3ステップとを含み、
前記アンビルロールにおける前記突起部の先端面の配列を平面上に展開して表したとき、前記先端面の配列領域における前記突起部の先端面の外形に内接する最大の内接円の直径が2~5mmであり、かつ前記突起部の先端面の外形の周長が前記突起部の先端面の外形に内接する最大の内接円の周長の1~2.5倍であり、前記先端面の配列領域における前記先端面以外の部分の外形に内接する最大の内接円の直径が6.5mm以下である、
ことを特徴とする吸収要素の製造方法。
(作用効果)
第1の態様と同様の作用効果を奏する。
本発明によれば、吸収体の形状維持性を向上させつつ、包装シートの破れを低減できるようになる、等の利点がもたらされる。
展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、平面図である。 展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、平面図である。 図1の2-2断面図である。 図1の3-3断面図である。 (a)図1の4-4断面図、及び(b)図1の5-5断面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの斜視図である。 展開状態の内装体の外面を外装体の輪郭とともに示す、平面図である。 吸収体の表面を包装シートの輪郭とともに示す、平面図である。 吸収要素の断面図である。 吸収要素の平面図である。 吸収要素の表面の要部を拡大して示す平面図である。 吸収体の他の例を示す平面図である。 吸収体を包装シートで包装する前の状態の吸収要素を示す断面図である。 吸収体を包装シートで包装した後、高圧縮部を形成する前の状態の吸収要素を示す断面図である。 他の吸収要素の断面図である。 吸収要素の表面の要部を拡大して示す平面図である。 吸収要素の表面の要部を拡大して示す平面図である。 吸収要素の表面の要部を拡大して示す平面図である。 吸収要素の表面の要部を拡大して示す平面図である。 吸収要素の表面の要部を拡大して示す平面図である。 吸収要素の表面の要部を拡大して示す平面図である。 吸収要素の製造方法を示す概略図である。 高圧縮部の深さ測定方法の説明図である。
以下、吸収性物品の一例として、パンツタイプ使い捨ておむつについて添付図面を参照しつつ詳説する。厚み方向に隣接する各構成部材は、以下に述べる固定又は接合部分以外も、必要に応じて公知のおむつと同様に固定又は接合される。断面図における点模様部分は、この固定又は接合手段としてのホットメルト接着剤等の接着剤を示している。ホットメルト接着剤は、スロット塗布、連続線状又は点線状のビード塗布、スパイラル状、Z状、波状等のスプレー塗布、又はパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)等、公知の手法により塗布することができる。これに代えて又はこれとともに、弾性部材の固定部分では、ホットメルト接着剤を弾性部材の外周面に塗布し、弾性部材を隣接部材に固定することができる。ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、ポリオレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在するが、特に限定無く使用できる。各構成部材を接合する固定又は接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。厚み方向の液の透過性が要求される部分では、厚み方向に隣接する構成部材は間欠的なパターンで固定又は接合される。例えば、ホットメルト接着剤によりこのような間欠的な固定又は接合を行う場合、スパイラル状、Z状、波状等の間欠パターン塗布を好適に用いることができ、一つのノズルによる塗布幅以上の範囲に塗布する場合には、幅方向に間隔を空けて又は空けずにスパイラル状、Z状、波状等の間欠パターン塗布を行うことができる。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。
また、以下の説明における不織布としては、部位や目的に応じて公知の不織布を適宜使用することができる。不織布の構成繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維(単成分繊維の他、芯鞘等の複合繊維も含む)の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等、特に限定なく選択することができ、これらを混合して用いることもできる。不織布の柔軟性を高めるために、構成繊維を捲縮繊維とするのは好ましい。また、不織布の構成繊維は、親水性繊維(親水化剤により親水性となった繊維を含む)であっても、疎水性繊維若しくは撥水性繊維(撥水剤により撥水性となった繊維を含む)であってもよい。また、不織布は一般に繊維の長さや、シート形成方法、繊維結合方法、積層構造により、短繊維不織布、長繊維不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド(エアスルー)不織布、ニードルパンチ不織布、ポイントボンド不織布、積層不織布(スパンボンド層間にメルトブローン層を挟んだSMS不織布、SMMS不織布等を含む)等に分類されるが、これらのどの不織布も用いることができる。
図1~図6は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例を示している。本パンツタイプ使い捨ておむつは、前側の胴周り部を構成する長方形の前外装体12F及び後側の胴周り部を構成する長方形の後外装体12Bと、前外装体12Fから股間部Mを経て後外装体12Bまで延在するように外装体12F,12Bの内側に設けられた内装体200とを備えている。前外装体12Fの両側部と後外装体12Bの両側部とが接合されてサイドシール12Aが形成されており、これにより、外装体12F,12Bの前後端部により形成される開口が着用者の胴を通すウエスト開口WOとなり、内装体200の幅方向両側において外装体12F,12Bの下縁及び内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口LOとなっている。内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装体12F,12Bは着用者の身体に対して内装体200を支えるための部分である。また、符号Yは展開状態におけるおむつの全長(前身頃Fのウエスト開口WOの縁から後身頃Bのウエスト開口WOの縁までの前後方向長さ)を示しており、符号Xは展開状態におけるおむつの全幅を示している。
本パンツタイプ使い捨ておむつは、サイドシール12Aを有する前後方向範囲(ウエスト開口WOから脚開口LOの上端に至る前後方向範囲)として定まる胴周り領域Tと、脚開口LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール12Aを有する前後方向領域と後身頃Bのサイドシール12Aを有する前後方向領域との間)として定まる中間領域Lとを有する。前外装体12F及び後外装体12Bにおける胴周り領域Tに位置する部分、つまり前側の胴周り部及び後側の胴周り部は、概念的にウエスト開口の縁部を形成する「ウエスト部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下方部」Uとに分けることができる。通常、前側の胴周り部及び後側の胴周り部内に幅方向WDの伸縮応力が変化する境界(例えば弾性部材の太さや伸長率が変化する)を有する場合は、最もウエスト開口WO側の境界よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなり、このような境界が無い場合は吸収体56又は内装体200よりもウエスト開口WO側に延び出たウエスト延出部分12Eがウエスト部Wとなる。これらの前後方向の長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト部Wは15~40mm、ウエスト下方部Uは65~120mmとすることができる。一方、中間領域Lの両側縁は着用者の脚周りに沿うようにコ字状又は曲線状に括れており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。この結果、展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつは、全体として略砂時計形状をなしている。
(外装体)
外装体12F,12Bは、図示例のように、前身頃Fの少なくとも胴周り部を構成する部分である長方形の前外装体12Fと、後身頃Bの少なくとも胴周り部を構成する部分である長方形の後外装体12Bとからなり、前外装体12F及び後外装体12Bは股間側で連続しておらず、前後方向LDに離間されたものとなっていても(外装二分割タイプ)よいし、図示しないが前身頃から後身頃まで連続していても(外装一体タイプ)よい。外装二分割タイプにおける前後方向の離間距離12dは例えば全長Yの40~60%程度とすることができる。図示例では、前外装体12F及び後外装体12Bの下縁は幅方向WDに沿う直線状となっているが、前外装体12F及び後外装体12Bの少なくとも一方の下縁が脚周りに沿うような曲線状となっていてもよい。
外装二分割タイプのパンツタイプ使い捨ておむつでは、前外装体12F及び後外装体12Bとの間に内装体200が露出するため、内装体200の裏面に液不透過性シート11が露出しないように、内装体200の裏面には、前外装体12Fと内装体200との間から、後外装体12Bと内装体200との間にわたるカバー不織布13を備えていることが好ましい。カバー不織布13の内面及び外面は、それぞれ対向面にホットメルト接着剤を介して接着することができる。カバー不織布13に用いる不織布は、例えば外装体12F,12Bの素材と同様のものを適宜選択することができる。なお、図示しないが、外装体は前身頃Fから後身頃Bにかけて股間を通り連続していてもよい。この場合、外装体は胴周り領域Tに対応する部分のみならず、中間領域Lと対応する部分を有するものとなる。
前外装体12F及び後外装体12Bは、胴周り領域Tを構成する前胴周り部及び後側の胴周り部を有する。図1及び図2に示す例では、前外装体12F及び後外装体12Bの前後方向LDの寸法が等しく、前外装体12F及び後外装体12Bは中間領域Lと対応する部分を有していないが、図7に示すように、前外装体12Fよりも後外装体12Bの前後方向寸法が長く、前外装体12Fには中間領域Lと対応する部分を有しないが、後外装体12Bは胴周り領域Tから中間領域L側に延び出た臀部カバー部Cを有していてもよい。図示しないが、前外装体12Fにも胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る鼠蹊カバー部を設けてもよい。
外装体12F,12Bは、図4及び図5に示されるように、後述する弾性部材16~19の外側及び内側にそれぞれ隣接する外側シート層及び内側シート層がホットメルト接着剤や溶着等の接合手段により接合されたものである。外側シート層及び内側シート層は、図示例のように2枚のシート材12S,12Hにより形成する他、一枚のシート材により形成することもできる。例えば、後者の場合、外装体12F,12Bの一部又は全部において、ウエスト開口WOの縁(股間側の縁としても良い)で折り返された一枚のシート材の内側の部分及び外側の部分により内側シート層及び外側シート層がそれぞれ形成される。図示例は、前者の例であり、ウエスト下方部における外側シート層を形成するシート材12Sは、ウエスト下方部における内側シート層を形成するシート材12Hのウエスト開口WO側を回り込んでその内側に折り返されており、この折り返し部分12rは内装体200のウエスト開口WO側の端部上までを被覆するように延在されている。一方、ウエスト部では、折り返し部分12rが弾性部材の内側に隣接する内側シート層となっている。
外装体12F,12Bには、着用者の胴周りに対するフィット性を高めるために、弾性部材16~19が内蔵されており、弾性部材16~19の伸縮を伴って幅方向WDに弾性伸縮する伸縮領域A2が形成されている。この伸縮領域A2では、外装体12F,12Bは、自然長の状態では弾性部材の収縮に伴って収縮し、皺又は襞が形成されており、弾性部材の長手方向に伸長すると、皺なく伸び切る所定の伸長率まで伸長が可能である。弾性部材16~19としては、糸ゴム等の細長状の弾性部材(図示例)のほか、帯状、網状、フィルム状等、公知の弾性部材を特に限定なく用いることができる。弾性部材16~19としては合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。
図示例の弾性部材16~19についてより詳細に説明すると、外装体12F,12Bのウエスト部Wには、幅方向WDの全体にわたり連続するように、複数のウエスト弾性部材17が前後方向に間隔を空けて取り付けられている。また、ウエスト弾性部材17のうち、ウエスト下方部Uに隣接する領域に配設される1本又は複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト弾性部材17としては、太さ155~1880dtex、特に470~1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05~1.5mm2、特に0.1~1.0mm2程度)の糸ゴムを、2~12mmの間隔、特に3~7mmの間隔で、2~15本程度、特に4~10本程度設けるのが好ましく、これによるウエスト部Wの幅方向WDの伸長率は150~400%、特に220~320%程度であるのが好ましい。また、ウエスト部Wは、その前後方向LDのすべてに同じ太さの弾性部材を用いたり、同じ伸長率にしたりする必要はなく、例えば部分的に太さや伸長率が異なるようにしてもよい。
また、外装体12F,12Bのウエスト下方部Uには、細長状の弾性部材からなるウエスト下方弾性部材16,19が複数本、前後方向に間隔を空けて取り付けられて、ウエスト下方伸縮領域(ウエスト下方弾性部材16,19を有する領域)が形成されている。ウエスト下方弾性部材16,19としては、太さ155~1880dtex、特に470~1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05~1.5mm2、特に0.1~1.0mm2程度)の糸ゴムを、1~15mm、特に3~8mmの間隔で5~30本程度設けるのが好ましく、これによるウエスト下方部Uの幅方向WDの伸長率は200~350%、特に240~300%程度であるのが好ましい。また、ウエスト下方部Uは、その前後方向LDのすべてに同じ太さの弾性部材を用いたり、同じ伸長率にしたりする必要はなく、部分的に太さや伸長率が異なるようにしてもよい。
図示例のウエスト下方部Uのように、吸収体56を有する前後方向範囲に弾性部材16,19を設ける場合には、その一部又は全部において吸収体56の幅方向WDの収縮を防止するために、図4、図5及び図12等に示すように、吸収体56と幅方向WDに重なる部分の一部又は全部を含む幅方向中間が非伸縮領域A1とされ、その幅方向両側が伸縮領域A2とされている(図示例ではウエスト下方伸縮領域となる)と好ましい。非伸縮領域A1の幅方向の両側に設けられる伸縮領域A2の幅方向の寸法は、図示例のように前後方向LDにほぼ一定とするほか、図示しないが前後方向LDに変化させることもできる。また、非伸縮領域A1の幅方向WDの両側に設けられる伸縮領域A2の幅方向WDの寸法は、前身頃F及び後身頃Bでほぼ同じとするほか、異なるものとすることもできる。
このような伸縮領域A2及び非伸縮領域A1は、内側シート層と外側シート層との間に、弾性部材16~17,19を取り付けた後、非伸縮領域A1となる領域の幅方向中間の1か所又はほぼ全体にわたり、弾性部材16,19を加圧及び加熱、又は切断により細かく切断し、伸縮領域A2に伸縮性を残しつつ非伸縮領域A1では伸縮性を殺すことにより構築することができる。なお、非伸縮領域A1には伸縮性の形成に実質的に寄与しない不要弾性部材18が残ることになる。
内側シート層及び外側シート層を形成するシート材12S,12Hとしては、特に限定無く使用できるが不織布が好ましい。不織布を用いる場合、1枚あたりの目付けは10~30g/m2程度とするのが好ましい。
弾性部材16~19は、公知の方法により外装体12F,12Bに固定することができる。また、内側シート層及び外側シート層も、公知の方法により互いに接合することができる。例えば、外装体12F,12Bにおける弾性部材16~19を有する部分では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段により弾性部材16~19の外周面にのみホットメルト接着剤HMを塗布して内側シート層及び外側シート層の間に挟むことにより、当該弾性部材16~19の外周面に塗布したホットメルト接着剤HMのみで、内側シート層及び外側シート層への弾性部材16~19の固定と、内側シート層及び外側シート層の固定とを行うことができる。
(内装体接合部)
内装体200の外装体12F,12Bに対する接合は、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により行うことができる。図示例では、内装体200の裏面、つまりこの場合は液不透過性シート11の裏面及び起き上がりギャザー60の付根部分65に塗布されたホットメルト接着剤を介して外装体12F,12Bの内面に対して固定されている。この内装体200と外装体12F,12Bとを接合する内装体接合部20は、図2に示すように、両者が重なる領域のほぼ全体に設けることができ、例えば内装体200の幅方向両端部を除いた部分に設けることもできる。
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示例では前後方向LDに沿う長辺を有する長方形となっている。内装体200は、図3~図5に示されるように、身体側となるトップシート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものである。符号40は、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側部から着用者の脚周りに接するように延び出た起き上がりギャザー60を示している。
(トップシート)
トップシート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、有孔プラスチックシートなどを例示することができる。また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
トップシート30の両側部は、吸収要素50の側縁で裏側に折り返しても良く、また折り返さずに吸収要素50の側縁より側方にはみ出させても良い。
トップシート30は、裏側の部材に対する位置ずれを防止する等の目的で、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。図示例では、トップシート30はその裏面に塗布されたホットメルト接着剤により中間シート40の表面及び包装シート58のうち吸収体56の表側に位置する部分の表面に固定されている。
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体56へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート(セカンドシートとも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体56へ移行させて吸収体56による吸収性能を高め、吸収体56からの逆戻りを低減するためのものである。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド不織布又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは17~80g/m2が好ましく、25~60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.0~10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示例の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の前後方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
中間シート40は、裏側の部材に対する位置ずれを防止する等の目的で、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。図示例では、中間シート40はその裏面に塗布されたホットメルト接着剤により包装シート58のうち吸収体56の表側に位置する部分の表面に固定されている。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。この他にも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることにより防漏性を強化した不織布、高吸水性樹脂又は疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができるが、後述するカバー不織布13とのホットメルト接着剤を介した接着時に十分な接着強度を得るため、樹脂フィルムを用いるのが望ましい。
液不透過性シート11は、図示のように吸収要素50の裏側に収まる幅とする他、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回り込ませて吸収要素50のトップシート30側面の両側部まで延在させることもできる。この延在部の幅は、左右それぞれ5~20mm程度が適当である。
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。吸収要素50は、股間部M、及び股間部Mの前側及び後側に延びた部分を有している。
(吸収体)
吸収体56は、パルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子を混合・集積したものであり、パルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子は吸収体56の全体にわたり略均一に存在するものである。パルプ繊維の目付けとしては、例えば100~450g/m2程度とすることができる。吸収体56はパルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子のみを混合・集積したものであることが望ましいが、後述する逆戻り防止性及び拡散性の向上を阻害しないものであれば、消臭剤や香料等の微量の添加剤を含有してもよい。
高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子としては、この種の使い捨ておむつに使用されるものをそのまま使用でき、例えば500μmの標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下のものが望ましく、また、180μmの標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん-アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん-アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が70秒以下、特に40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50~350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
吸収体56における繊維及び高吸収性ポリマー粒子の比率は特に限定されず、例えば繊維:高吸収性ポリマー粒子が重量比で40:60~65:35とすることができる。
吸収体56の厚み56tは特に限定されるものではないが、5~13mmとすることができる。
吸収体56は、股間部Mを含むように股間部Mの前後両側にわたり延びていればよい。本例のようなパンツタイプ使い捨ておむつの場合、吸収体56は、前後方向LD及び幅方向WDにおいて、内装体200の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。なお、符号56Xは吸収体56の全幅を示している。
股間部Mにおける吸収量を確保しやすくする場合、吸収体56は図8に示す例のように略長方形形状であることが好ましい。また、図12(a)に示す例のように股間部Mにおけるフィット性を向上させるために、股間部Mにおける吸収体56の幅をその前後両側よりも狭くし、括れ形状とすることも可能である。この場合に、股間部Mにおける吸収量を確保しやくするには、股間部Mにおける吸収体56の最も狭い部分の幅n1が、吸収体56の全幅56Xの0.85倍以上であることが好ましい。
なお、股間部Mとは、吸収体56が後述する括れ部56nを有する場合にはこの括れ部56nを有する前後方向LDの範囲を意味し、吸収体56が括れ部56nを有しないが、図示例のように展開状態におけるおむつの外形が括れ部を有する場合には、おむつの外形の括れ部を有する前後方向LDの範囲(図示例の場合、前外装体12Fと後外装体12Bとの間)を意味し、いずれの括れ部も有しない場合には前後方向LDの中央に位置する部分であって、かつ前後方向LDの寸法が製品全長の20~30%である部分を意味する。股間部Mより前側及び後側にそれぞれ延びた部分が前側部分及び後側部分となる。
(低目付け部)
吸収体56は、図1~4に示す例のように、股間部Mにおける幅方向WD両側等に、前後方向LDに延びた細長状の低目付け部56Lを有していてもよいし、図示しないが低目付け部56Lを有していなくてもよい。低目付け部56Lは、目付けが少ない部分を意味し、後述する高圧縮部51のように厚み方向TDに圧縮されているだけで目付けは変化しない部分を含まない。低目付け部56Lは、厚み方向TDに貫通するスリットとすることもできるが、図示例のようにパルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子の集積量の少ない凹部であると、吸収量を確保しやすくなるため好ましい。この凹部は、吸収体56の表面に形成されていても、裏面に形成されていてもよい。吸収体56にこのような低目付け部56Lを設けることにより低目付け部56Lに沿う吸収体56の屈曲を促して股間部Mにおける吸収要素50のフィット性が向上する。低目付け部56Lにおけるパルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子の総目付量は、低目付け部56L以外の部分におけるパルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子の総目付量より少なければよく、例えば、低目付け部56L以外の部分におけるパルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子の総目付量の0.1~0.5倍とすることができる。
低目付け部56Lは、前後方向LDに延びる細長状である限り、前後方向LDに沿って直線状に延びていてもよいし、図示例のように前後方向LD両側に向かうにつれて側方に位置するように曲がっていてもよい。また、低目付け部56Lの前後端は適宜の形状とすることができ、例えば図12(a)に示す例のように直線状とする他、図8に示す例のように曲線状に膨らんだ形状(半円弧状等)としたり、図示しないが両端部の角を丸くして中間の部分を直線状としたりすることができる。低目付け部56Lの幅m1は適宜定めることができ、例えば吸収体56の股間部Mにおける最も狭い部分の幅n1(長方形の場合には全幅56Xを意味)の0.04~0.1倍とすることができる。低目付け部56Lの幅m1はその長さ方向に一定であってもよいし、変化してもよい。低目付け部56Lの前後方向LDの寸法・配置は適宜定めることができる。例えば、低目付け部56Lの前後方向LDの寸法m2は股間部Mの前後方向LDの寸法の50~120%、より好ましくは50~80%とすることができる。また、低目付け部56Lは股間部Mの範囲内に収まっていても、股間部Mの前側、後側又は前後両側にはみ出していてもよい。
低目付け部56Lは、図8に示すように股間部Mにおける幅方向WDの両側に各一本設けるとともに、幅方向WDの中央に一本設ける他、図12(a)に示すように中央に一本のみ設けたり、図12(b)に示すように股間部Mにおける幅方向WDの両側に各一本設けるだけとしたりすることができる。
(包装シート)
包装シート58としては、クレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。包装シート58に用いる不織布は特に限定されるものではないが、少なくとも一層のメルトブローン層を表裏一対のスパンボンド層で挟んだSMS不織布、SSMMS不織布等を好適に用いることができる。繊維の材質は特に限定されず、例えばポリプロピレン繊維、ポリエチレン/ポリプロピレンバイコンポーネント繊維などを使用できる。包装シート58の目付けは適宜定めることができるが、5~40g/m2、特に10~30g/m2のものが望ましい。
包装シートに用いるクレープ紙は特に限定されないが、目付けは13~20g/m2、特に14~18g/m2のものが望ましい。また、JIS P 8117:2009「紙及び板紙-透気度及び透気抵抗度試験方法(中間領域)-ガーレー法」に準拠して測定されるクレープ紙の透気度は1~15秒であることが望ましい。
また、包装シート58に用いるクレープ紙としては、JIS P 8113:2006に規定される前後方向LDの引張破断伸びが20~35%、かつ幅方向WDの引張破断伸びが4~8%(特に5~7%)であるものが好ましい。
包装シート58の包装構造は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、図示例のように、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻付け、かつその前後縁部を吸収体56の前後からはみ出させ、巻き重なる部分及び前後はみ出し部分の重なり部分をホットメルト接着剤、素材溶着等の接合手段により接合するのが好ましい。
(高圧縮部)
吸収要素50においては、図3、図4、図9~図11に示すように、吸収要素50の表面から吸収体56内まで窪むように厚み方向TDに圧縮された高圧縮部51が間隔を空けて配列されている。また、高圧縮部51の配列領域(前後方向LD及び幅方向WDにそれぞれ沿う辺からなる矩形領域であって、配列された高圧縮部51の全てに外接する矩形領域)のうち、高圧縮部51以外の部分は、高圧縮部51よりも厚くかつ低密度の非高圧縮部52となっている。高圧縮部51は押圧(直接的な加圧)により圧縮されて厚みがほぼ等しくなった高密度部分であり、窪みの底部である。一方、非高圧縮部52は高圧縮部51よりも厚くかつ低密度の部分であるが、非高圧縮部52であっても高圧縮部51の周囲近くでは、高圧縮部51の変形に引っ張られるように吸収体56が変形する結果、高圧縮部51に近づくにつれて密度は増加する。非高圧縮部52は高圧縮部51よりも厚くかつ低密度である限り、高圧縮部51の形成と同時、又はその前若しくはその後に、一部又は全体が厚み方向TDに圧縮されていてもよい。非高圧縮部52は吸収要素50の表面及び裏面のいずれか一方又は両方に窪みを有しないことが好ましいが、高圧縮部51よりも厚くかつ低密度である限り、吸収要素50の表面及び裏面のいずれか一方又は両方に窪みを有していてもよい。
高圧縮部51は、吸収要素50の前後方向及び幅方向の全体にわたり設ける(つまり、吸収要素50の表面全体が高圧縮部51の配列領域となる)他、吸収要素50の前後方向の一部や幅方向の一部にのみ設けることもできる。例えば、図示しないが、股間部Mを含む前後方向LDの中間領域にのみ高圧縮部51を設けたり、反対に、股間部Mを含む前後方向LDの中間領域に高圧縮部51を設けずに、その前後両側の領域にのみ高圧縮部51を設けたりすることができる。また、図示例の高圧縮部51は、吸収要素の表側に位置するシート(図示例の場合、トップシート30及び中間シート40)の表面から吸収体56内まで窪むものとなっていないが、吸収要素の表側に位置するシートから吸収体56内まで窪むように押圧された結果、吸収要素50の表面から吸収体56内まで窪むようになっていてもよい。
包装シート58が前述の引張破断伸びを有するクレープ紙である場合、高圧縮部51の寸法が過度に小さかったり、高圧縮部51の形状が一方向に過剰に長かったり、過剰に入り組んだ外形を有していたりすると、高圧縮部51を形成する際、高圧縮部51の縁や、隣り合う高圧縮部51の間でクレープ紙が破れることがある。また、高圧縮部51は硬質な部分となるため、高圧縮部51の寸法が過度に大きいと、吸収体56全体としての柔軟性が不足したり、吸収体56内に異物が混入しているかのような肌触り(異物感)を生じたりするおそれもある。よって、高圧縮部51は変曲点及び屈曲点を有しない外形を有するのが好ましい。また、高圧縮部51の外形に内接する最大の内接円53の直径が2~5mmであると好ましく、2.5~3.5mmであるとより好ましい。また、高圧縮部51の外形の周長は高圧縮部51の外形に内接する最大の内接円53の周長の1.0~2.5倍であると好ましく、1.0~2.0倍であるとより好ましく、1.0~1.6倍であると特に好ましい。一方、非高圧縮部52の外形に内接する最大の内接円54の直径は6.5mm以下であると好ましく、6mm以下であるとより好ましく、5mm以下であると特に好ましい。さらに、非高圧縮部52の外形に内接する最大の内接円54の直径の下限は4mmであると好ましい。
高圧縮部51は、吸収要素50が押圧(直接的な加圧)により厚み方向TDに圧縮されて厚みがほぼ等しくなった高密度部分であり、吸収要素50の表面又は裏面から窪んだ窪みの底部である。一方、非高圧縮部52は高圧縮部51よりも厚くかつ低密度の部分であるが、非高圧縮部52であっても高圧縮部51の周囲近くでは、高圧縮部51の変形に引っ張られるように吸収体56が変形する結果、高圧縮部51に近づくにつれて厚みが減少し、密度は増加する。よって、ある程度の大きさを有する高圧縮部51を従来よりも密に配置すると、非高圧縮部52の厚みが減少する面積が大きくなる。そしてその結果、高圧縮部51の形成時に包装シート58に生じる歪が小さくなり(加わる引張力が弱くなり)、包装シート58が破れにくくなるのである。さらに、非高圧縮部52であっても高圧縮部51の周囲近くでは、高圧縮部51の変形に引っ張られるように吸収体56が変形する結果、高圧縮部51が無い場合と比べて吸収体56が薄くなるという利点ももたらされる。これらの観点から、高圧縮部51は十分に大きな円を含みうる形状を有することは重要である。また、高圧縮部51の形状が一方向に過剰に長かったり、過剰に入り組んだ外形を有していたりしないことも重要である。さらに、高圧縮部51の配置が疎らとならないように(非高圧縮部52が全方向に長く続かないように)、非高圧縮部52の外形に内接する最大の内接円54の直径が小さいことも重要となる。
また、上記範囲内であれば、高圧縮部51の配列領域における高圧縮部51の面積率(高圧縮部51の面積の総和/高圧縮部51の配列領域の面積)は適宜定めることができるが、通常の場合10~35%であると好ましく、20~35%であるとより好ましい。
一例として、個々の高圧縮部51の面積は、3~15mm2程度とすることができる。また、各高圧縮部51の長径d1(最小となる外接矩形の長辺の長さ)は4~9mm程度とすることができ、短径d2(最小となる外接矩形の短辺の長さ)は2~5mm程度とすることができる。各高圧縮部51に関して最小となる外接矩形の四辺の長さが等しいときには、その辺の長さd3は2~5mm程度とすることができる。また、最も近い他の高圧縮部51に対する最短距離d4は1.5~3.5mm程度とすることができる。
高圧縮部51の外形は特に限定されるものではなく、円形、楕円形、角丸矩形(いずれか一方の対辺が直線ではなく、それぞれ半円となるものを含む)のように、変曲点及び屈曲点を有しない形状が好ましく、三角形や雲形、X字形、V字形、U字形等は好ましくない。
近年では、吸収体56の薄型化を図る等の目的で、高吸収性ポリマー粒子の混合比率を高めることが多い。しかし、高吸収性ポリマー粒子の混合比率を高めると、高圧縮部51の形状維持性が低下するだけでなく、非高圧縮部52における高圧縮部51の周囲近くで、高圧縮部51の変形に引っ張られるように吸収体56が変形しにくくなる。また、排泄液を吸収し膨張した高吸収性ポリマー粒子同士が密着し、排泄液の拡散を阻害する現象(ゲルブロッキング)が発生しやすくなるため、拡散性が低下するおそれもある。よって、吸収体56におけるパルプ繊維の目付けが100~500g/m2である場合、吸収体56におけるパルプ繊維:高吸収性ポリマー粒子が重量比で45:55~65:35であると好ましい。
吸収要素50の厚み50t及び高圧縮部51の厚み51tは適宜定めることができるが、圧縮が不十分であると低逆戻り性及び拡散性が向上しにくくなるおそれがある。よって、上述のパルプ繊維の目付けの範囲、及びパルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子の比率の範囲を採用する場合、吸収要素50の厚み50t(非高圧縮部52の厚み)は5~13mmとすることが好ましい。この場合、高圧縮部51の厚み51t(厚みが変化する場合は最小値)は適宜定めることができるが、通常の場合、吸収要素50の厚み50tの30~50%であると好ましい。
図示しないが、高圧縮部51は吸収要素50の裏面から吸収体56内まで窪むように厚み方向TDに圧縮されたものとすることもでき、この場合、吸収要素50の裏面に窪みが形成される。しかし、図示例のように、高圧縮部51は吸収要素50の表面から吸収体56内まで窪むように厚み方向TDに圧縮されたものとすると、逆戻り防止性及び拡散性の両者が向上する。すなわち、前述のように、高圧縮部51は押圧(直接的な加圧)により圧縮されて厚みがほぼ等しくなった高密度部分であり、吸収要素50の表面から窪んだ窪みの底部である。一方、非高圧縮部52は高圧縮部51よりも厚くかつ低密度の部分であるが、非高圧縮部52であっても高圧縮部51の周囲近くでは、高圧縮部51の変形に引っ張られるように吸収体56が変形する結果、高圧縮部51に近づくにつれて密度は増加する。このため、高圧縮部51においては毛管現象が強く発現し、液保持性が周囲よりも高くなるだけでなく、高圧縮部51に向かって液が吸い寄せられる。よって、高圧縮部51を従来よりも密に配置すると、より多くの排泄液を肌から遠い部分に強く保持できるため、逆戻りを起こし難くなるのである。また、高圧縮部51を従来よりも密に配置すると、吸収体56内に吸収された排泄液に対して、周囲の多くの高圧縮部51における毛管現象による吸引力が作用して、排泄液がより広範囲に拡散するようになる。
高圧縮部51は、適宜の規則的又は不規則なパターンで配列することができる。例えば、高圧縮部51は、図17に示すように点線状に設けられた高圧縮部51が格子状に配列されたパターンや、図18及び図19に示すように点状の高圧縮部51が千鳥状や行列状に配列されたパターン等を例示することができる。また、図示しないが、直線状に延びる高圧縮部が格子状に配列されたパターンであってもよい。
一つの好ましい高圧縮部51のパターンは、図11及び図16に示す例である。この例では、高圧縮部51の配列領域に、第1方向に沿う第1仮想直線81が、第1仮想直線81に対して平面視で時計回りに80~90°傾斜した第2方向に第1間隔81dを空けて繰り返し配列されるとともに、第2方向に沿う第2仮想直線82が第1方向に第2間隔82dを空けて繰り返し配列されて形成される仮想格子を定めるとともに、第1仮想直線81と第2仮想直線82との交点を頂点とする最小の仮想四角形83を定めたとき、高圧縮部51は、第1仮想直線81と第2仮想直線82との交点位置に配置された第1高圧縮部51aと、第1仮想直線81における隣り合う第1高圧縮部51aの間、及び第2仮想直線82における隣り合う第1高圧縮部51aの間にそれぞれ配置された第2高圧縮部51bと、仮想四角形の対角線の交点位置に配置された第3高圧縮部51cとからなっている。また、第1高圧縮部51aは、第1仮想直線81と第2仮想直線82との交点を中心とする円形をなし、第2高圧縮部51bは、仮想四角形の各辺の中点に重心を有し、かつ各辺に沿う長軸を有する角丸矩形(若しくは楕円形でもよい)をなし、第3高圧縮部51cは、仮想四角形の対角線の交点に重心を有し、かつ前後方向LDに沿う長軸を有する角丸矩形(楕円形、又は仮想四角形の対角線の交点を中心とする円形でもよい)をなしている。このパターンでは、第2高圧縮部51bの長軸方向(第1方向及び第2方向)における拡散性を向上させることができるとともに、第1方向に非高圧縮部52が直線的に連続する部分及び第2方向に非高圧縮部52が直線的に連続する部分の両者を有することとなるため、個々の高圧縮部51が硬質化するとしても、吸収体56全体としては身体表面に沿うように変形しやすいものとなる。
図11及び図16に示す例の仮想格子に沿って高圧縮部51を配列する場合、各高圧縮部51の寸法は適宜定めることができるが、第1高圧縮部51aは、直径が1~4mmであり、第2高圧縮部51bは、長軸の長さが3~6mmで、かつ短軸の長さが第1高圧縮部51aの直径に等しく、第3高圧縮部51cは、長軸の向きが前後方向LDに沿う以外は第2高圧縮部51bと同寸及び同形状をなしており、隣接する第1高圧縮部51aと第2高圧縮部51bとの最短距離d4は1~2mmであると、逆戻り防止性及び液拡散性の向上はもちろん、吸収体56の変形容易性も向上するため好ましい。第1間隔81d:第2間隔82dは、0.9:1.1~1.1:0.9の範囲であると好ましく、特に第1間隔81d及び第2間隔82dは等しいことが好ましい。第1間隔81d及び第2間隔82dは、10~14mm程度とすることができる。
また、上述の仮想格子は、第1仮想直線81が前後方向LDに対して平面視で時計回りに40~50°傾斜するとともに、第2仮想直線82が前後方向LDに対して平面視で反時計回りに40~50°傾斜した斜め格子状をなしていると、着用時の吸収体56の変形容易性はもちろん、液の拡散性にも優れるため好ましい。
吸収要素は公知の方法により製造することができる。例えば、パルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子を混合・集積してなる吸収体56を形成する第1ステップと、吸収体56の全体を包装シート58で包装してなる包装体50Pを形成する第2ステップと、図22に示すように、外周面に高圧縮部51と同じパターンで間隔を空けて配列された多数の突起部91を有するアンビルロール90と、これに対向する円筒面(突起部91を有しない)を有する平滑ロール92との間に包装体50Pを通し、包装体50Pのうちアンビルロール90の多数の突起部91と平滑ロール92との間に挟まれる部分を押圧することにより高圧縮部51を形成する第3ステップとを行うことによって、高圧縮部51を有する吸収要素50を製造することができる。アンビルロール90及び平滑ロール92のいずれか一方又は両方を加熱しつつ高圧縮部51を形成しても、また非加熱で高圧縮部51を形成してもよい。第3ステップでは、包装体50Pのうちアンビルロール90の多数の突起部91と平滑ロール92との間に挟まれる部分のみを押圧してもよいし、包装体50Pの全体を押圧しつつ、アンビルロール90の多数の突起部91と平滑ロール92との間に挟まれる部分を最も深くまで押圧してもよい。
突起部91の先端面の寸法、形状、配列は、例えば高圧縮部51の寸法、形状、配列と同様とすることができる。アンビルロール90と平滑ロール92とのクリアランス(押圧位置の最小間隔)は、高圧縮部51の厚み以下とすることができ、一例としては0.5~1.5mmとすることができる。アンビルロール90及び平滑ロール92により高圧縮部51を形成する際の圧力は適宜定めることができるが、一例としては0.2~0.4MPaとすることができる。
包装シート58のMD方向が前後方向LDに沿うように構成されていると、製造が容易であるため好ましい。この場合、包装シート58の繊維配向が前後方向LDとなり、幅方向WDの乾燥引張強度が前後方向LDの乾燥引張強度よりも格段に弱くなるため、高圧縮部51の前後方向LDの寸法が高圧縮部51の幅方向WDの寸法の2倍以上、特に3倍以上長い(つまり高圧縮部51が前後方向LDに長い形状である)と、その幅方向WDの両側で包装シート58が破れやすい。よって、高圧縮部51の前後方向LDの寸法は高圧縮部51の幅方向WDの寸法の2倍未満、特に1.5倍以下であると、包装シート58が破れにくくなるため好ましい。
また、図15に示すように、包装シート58は、吸収体56の表側に位置する表面部分58sと、表面部分58sから続く部分であって、吸収体56の一方の側縁を回り込んで吸収体56の裏側に至る第1裏側部分58aと、表面部分58sから続く部分であって、吸収体56の他方の側縁を回り込んで吸収体56の裏側に至る第2裏側部分58bとを有し、第1裏側部分58a及び第2裏側部分58bは、互いに重なる積層部分58Wを有し、すべての高圧縮部51は、積層部分58Wに形成されていると、高圧縮部51の形成面におけるクレープ紙が二重となり、強度が向上し、高圧縮部51の形成時に破れにくくなるため好ましい。
高圧縮部51による吸収要素50の形状維持性は、高圧縮部51自体の維持性により左右され、高圧縮部51自体の維持性は高圧縮部51における包装シート58と吸収体56との接合強度や吸収体56自体の形状維持性により左右される。そして、包装シート58と吸収体56との接着をホットメルト接着剤HM1,HM2により行う場合、高圧縮部51形成による表面積増加に伴い、包装シート58と吸収体56との接合強度や吸収体56自体の形状維持性を十分に維持するために、通常より多くのホットメルト接着剤HM1,HM2が必要となる。よって、吸収体56の表面と包装シート58の内面とは、少なくとも高圧縮部を有する領域の全体にわたり、5.0~20.0g/m2、特に7.5~15.0g/m2のホットメルト接着剤HM1,HM2を介して接着されていると好ましい。
例えば、図9に示すように、吸収体56の表面に高圧縮部51による窪みが形成される場合、高圧縮部51を有する領域の全体にわたり、吸収体56の裏面に二層のホットメルト接着剤HM1,HM2を設けることにより、上述のホットメルト接着剤HM量を実現することができる。このような構造は、図13に示すように、展開状態の包装シート58の内面上に、第1ホットメルト接着剤HM1を吸収体56との対向面のほぼ全体にわたり塗布した後、この包装シート58における第1ホットメルト接着剤HM1の幅方向WDの中間部に吸収体56を配置して、吸収体56の裏面と包装シート58とを第1ホットメルト接着剤HM1を介して接着し、次いで、吸収体56の表面のほぼ全体にわたり第2ホットメルト接着剤HM2を塗布した後、図14に示すように、包装シート58のうち吸収体56の両側にはみ出た部分をそれぞれ吸収体56の表面上に折り返して、吸収体56の表面と包装シート58の折り返し部分とを第1ホットメルト接着剤HM1及び第2ホットメルト接着剤HM2を介して接着するとともに、包装シート58の重なり部分を第1ホットメルト接着剤HM1を介して接着し、その後に図9に示すように、エンボス加工により格子状高圧縮部51を形成することにより製造することができる。
吸収要素50は、コスト低減のために図9等に示すように包装シート58と吸収体56との間に紙や不織布等の他のシート層(当然に接着剤層は有していてもよい)を全く有しなくてもよいし、吸収体56の表裏少なくとも一方側に他のシート層を有していてもよい。
(起き上がりギャザー)
起き上がりギャザー60は、内装体200の側部から起き上がる起き上がり部分68を有しており、この起き上がり部分68が、着用者の鼠径部から脚周りを経て臀部までの範囲に接して横漏れを防止するものである。起き上がりギャザー60は、必要に応じて省略することもできる。図示例の起き上がりギャザー60は、付け根側部分60Bが幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側部分60Aが幅方向外側に向かって斜めに起立するものであるが、これに限定されるものではなく、全体として幅方向中央側に起立するもの等、適宜の変更が可能である。
より詳細に説明すると、図示例の起き上がりギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザーシート62を、先端となる部分で幅方向WDに折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状のギャザー弾性部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向WDに間隔を空けて複数本固定してなるものである。起き上がりギャザー60のうち先端部と反対側に位置する基端部(幅方向WDにおいてシート折り返し部分と反対側の端部)は、内装体200の側部に固定された付根部分65とされ、この付根部分65以外の部分は付根部分65から延び出る本体部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、本体部分66は、幅方向中央側に延びる付け根側部分60Bと、この付け根側部分60Bの先端で折り返され、幅方向外側に延びる先端側部分60Aとを有している。そして、本体部分66のうち前後方向両端部が倒伏状態でトップシート30の側部表面に対して固定された倒伏部分67とされる一方で、これらの間に位置する前後方向中間部は非固定の起き上がり部分68とされ、この起き上がり部分68の少なくとも先端部に前後方向LDに沿うギャザー弾性部材63が伸長状態で固定されている。
以上のように構成された起き上がりギャザー60では、ギャザー弾性部材63の収縮力により起き上がり部分68が図3に矢印で示すように肌に当接するように起き上がる。特に、付根部分65が内装体200の裏側に位置していると、股間部及びその近傍において起き上がり部分68が幅方向外側に開くように起立するため、起き上がりギャザー60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。付根部分65は内装体200の表側、例えばトップシート30の両側部の表面に固定することもできる。
図示例の起き上がりギャザー60のように、本体部分66が、幅方向中央側に延びる付け根側部分60Bと、この付け根側部分60Bの先端で折り返され幅方向外側に延びる先端側部分60Aとからなる屈曲構造では、倒伏部分67で、先端側部分60Aと付け根側部分60Bとが倒伏状態で接合されるとともに、付け根側部分60Bが倒伏状態でトップシート30に接合される。倒伏部分67における対向面の接合には、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤、及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段の少なくとも一方を用いることができる。この場合において、付け根側部分60B及びトップシート30の接合と、先端側部分60A及び付け根側部分60Bの接合とを同じ手段により行っても、また異なる手段により行っても良い。例えば、付け根側部分60B及びトップシート30の接合をホットメルト接着剤により行い、先端側部分60A及び付け根側部分60Bの接合を素材溶着により行うのは好ましい。
ギャザーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブローン不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコーンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができる。この場合の不織布の繊維目付けは10~30g/m2程度とするのが好ましい。また、図示しないが、二つに折り重ねたギャザーシート62の間に防水フィルムを介在させることもできる。
ギャザー弾性部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470~1240dtexが好ましく、620~940dtexがより好ましい。ギャザー弾性部材63の取付け状態での伸長率は、150~350%が好ましく、200~300%がより好ましい。ギャザー弾性部材63の本数は2~6本が好ましく、3~5本がより好ましい。ギャザー弾性部材63の配置間隔は3~10mmが適当である。このように構成すると、ギャザー弾性部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にもギャザー弾性部材63を配置しても良い。
起き上がりギャザー60の起き上がり部分68では、ギャザーシート62の内側層及び外側層の貼り合わせや、その間に挟まれるギャザー弾性部材63の固定に、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段の少なくとも一方を用いることができる。ギャザーシート62の内側層及び外側層の全面を貼り合わせると柔軟性を損ねるため、ギャザー弾性部材63の接着部以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。図示例では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段によりギャザー弾性部材63の外周面にのみホットメルト接着剤を塗布してギャザーシート62の内側層及び外側層間に挟むことにより、当該ギャザー弾性部材63の外周面に塗布したホットメルト接着剤のみで、ギャザーシート62の内側層及び外側層へのギャザー弾性部材63の固定と、ギャザーシート62の内側層及び外側層間の固定とを行う構造となっている。
同様に、倒伏部分67の固定についても、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤、及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段の少なくとも一方を用いることができる。
(サイドフラップ)
図1~図4等に示すように、内装体200の両側部には、吸収体56の側方に延び出たサイドフラップ70が設けられており、このサイドフラップ70に前後方向に伸縮するサイド伸縮領域SGが形成されていると好ましい。図示例のサイドフラップ70は、前後方向LDに沿ってかつ互いに間隔を空けて設けられた一本又は複数本の細長状のサイド弾性部材73と、サイド弾性部材73の外側に面する第1シート層71と、サイド弾性部材73の内側に面する第2シート層72とを有する。
第1シート層71及び第2シート層72をなすシート材は特に限定されず、前述の起き上がりギャザー60や前述の外装体12F,12Bで利用可能な不織布等、適宜の不織布を選択することができる。図示例では、後述するように起き上がりギャザー60のギャザーシート62を延長して第1シート層71及び第2シート層72を形成している。この場合、サイドフラップ70の前後端は起き上がりギャザー60の前後端(つまりこの場合内装体200の前後端)に一致する。
サイド弾性部材73も特に限定されず、前述のギャザー弾性部材63と同様の細長状の弾性部材を使用することができる。サイド弾性部材73の取付け状態での伸長率は、150~350%が好ましく、200~270%がより好ましい。サイド弾性部材73の本数は2~16本が好ましく、6~10本がより好ましい。サイド弾性部材73の配置間隔は5~10mmが適当である。
サイド弾性部材73は、第1シート層71及び第2シート層72に固定されている。第1シート層71及び第2シート層72の貼り合わせや、その間に挟まれるサイド弾性部材73の固定に、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤HMや、ヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段を用いることができる。第1シート層71及び第2シート層72の接合面積が大きいと柔軟性を損ねるため、サイド弾性部材73の接着部以外の部分は接合しないか、又は弱く接合するのが好ましい。図示例では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段によりサイド弾性部材73の外周面にのみホットメルト接着剤HMを塗布して第1シート層71及び第2シート層72の間に挟むことにより、当該サイド弾性部材73の外周面に塗布したホットメルト接着剤HMのみで、第1シート層71及び第2シート層72へのサイド弾性部材73の固定と、第1シート層71及び第2シート層72間の固定とを行う構造となっている。
また、図示例では、第1シート層71をなすシート材及び第2シート層72をなすシート材はサイドフラップ70の側縁で折り返されるとともに、この折り返し部分が液不透過性シート11の裏面に固定されている(袋閉じされている)。この固定は、図示例のようにホットメルト接着剤HMにより行う他、素材の溶着により行うことができる。
サイドフラップ70は省略することもできる。
<効果確認試験1>
表1に示す各種条件で吸収要素のサンプルを作製し、包装シートの破れの評価、拡散挙動確認試験、非加圧下逆戻り試験、加圧下逆戻り試験、吸収速度試験を行った。なお、表1及び表3中の包装シートの目付け、包装シートの乾燥引張強度、包装シートの引張破断伸びは押圧部を形成する前の素材の測定値である。
サンプル1の各部の寸法は、以下のとおりとした。
第1高圧縮部51aの長さd3:3mm
第2高圧縮部及び第3高圧縮部の長径d1:4.82mm
第2高圧縮部及び第3高圧縮部の短径d2:3mm
第1間隔81d:12.63mm
第2間隔82d:12.63mm
第1仮想直線81と第2仮想直線82との交差角度:90度
サンプル1の各部の寸法は、以下のとおりとした。
第1高圧縮部51aの長さd3:2mm
第2高圧縮部及び第3高圧縮部の長径d1:3.82mm
第2高圧縮部及び第3高圧縮部の短径d2:2mm
第1間隔81d:12.63mm
第2間隔82d:12.63mm
第1仮想直線81と第2仮想直線82との交差角度:90度
サンプル1~7において、高圧縮部は0.4MPaの圧力で吸収要素の表面の全体にわたり形成した。また、サンプル8は高圧縮部を有しない比較例とした。また、表1に示す仕様以外の条件は、各サンプル共通とした。
(包装シート破れの評価)
吸収要素のサンプルの表面を目視で観察し、吸収要素の表面のほぼ全体にわたり高圧縮部に対して同様の位置に破れが発生した場合を×と評価し、吸収要素の表面の一部に小さな破れが発生したものの殆どの部分で破れが発生しなかった場合を△と評価し、破れが全く発生しない場合を〇と評価した。
(拡散挙動確認試験)
本試験は以下の手順で行った。
(1)サンプルを、表面(高圧縮部の窪みを有する面)が上となる向きで、水平に設置した平板上に乗せ、展開状態でサンプルの四隅を平板に粘着テープで固定した。
(2)キリヤ社の食用青色1号(Brilliant Blue FCF)(荷姿:紛体)約5gを人工尿約300mlに溶解して青色試験液を調整した。
(3)サンプル表面の中心(幅方向の中央かつ前後方向の中央)位置に、注入筒(内径23mm、外形25mm、高さ100mmのアクリル製円筒)を載せて鉛直に保持し、注入筒の上端開口にメスシリンダーを用いて青色試験液1.5cm3を一度に注入した。
(4)5分経過後、注入筒を取り除き、サンプル表面及び裏面の静止画像を撮影し、撮影した画像データを画像解析ソフトウエアで読み込み、サンプル表面及び裏面における青色部分の面積をそれぞれ計測した。
(吸収速度試験)
本試験は以下の手順で行った。
(1)サンプルを、表面(高圧縮部の窪みを有する面)が上となる向きで、水平に設置した平板上に乗せ、展開状態でサンプルの四隅を平板に粘着テープで固定した。
(2)サンプル表面の中心(幅方向の中央かつ前後方向の中央)位置の上方に、注入筒(内径3mm、外形6mm、高さ220mmのアクリル製円筒)を鉛直に保持し、注入筒下端とサンプル表面との距離を10mmとした。
(3)注入筒の上端開口にメスシリンダーを用いて上記青色試験液70cm3を7cm3/秒の速度で注入し、注入開始からサンプル表面に人工尿が無くなる(完全に吸収される)までの吸収時間(秒)をストップウォッチを用いて計測し、この時間を1回目の吸収速度とした。なお、完全に吸収されたか否かは作業者の目視観察により判断した。
(4)30分放置後に、再度上記(3)の操作を行い、2回目の吸収速度を計測した。
(非加圧下逆戻り試験)
本試験は以下の手順で行った。
(1)サンプルを、表面(高圧縮部の窪みを有する面)が上となる向きで、水平に設置した平板上に乗せ、展開状態でサンプルの四隅を平板に粘着テープで固定した。
(2)サンプル表面の中心(幅方向の中央かつ前後方向の中央)位置に、注入筒(内径23mm、外形25mm、高さ100mmのアクリル製円筒)を載せて鉛直に保持した。
(3)注入筒の上端開口にメスシリンダーを用いて上記青色試験液50cm3を7cm3/秒の速度で注入し、注入開始からサンプル表面に人工尿が無くなる(完全に吸収される)まで待った。
(4)ADVANTEC社の定性濾紙No.2(縦100mm×横100mm正方形)の10枚の重量(g)を電子天秤で小数第3位まで測定した。
(5)上記(3)の注入による人工尿が完全に吸収されてから30分後に、人工尿の注入個所に、上記濾紙10枚を向きを合わせて重ねて載せ、更にその上1kgの錘を載せて放置した。この際、錘は縦100mm×横100mmの正方形の平坦な底面を有するものとした。また、濾紙及び錘の縦方向及び横方向がサンプルの前後方向及び幅方向に沿うように、かつ濾紙及び錘の中心がサンプル表面の中心に位置するように、濾紙及び錘をサンプル表面に載せた。
(6)上記(5)の錘を載せてから1分後に全濾紙を取り出してその重量(g)を小数第2位まで測定し、この吸収後重量の測定値から上記(4)の吸収前重量の測定値を引いて非加圧下逆戻り量とした。
(加圧下逆戻り試験)
本試験は以下の手順で行った。
(1)サンプルを、表面(高圧縮部の窪みを有する面)が上となる向きで、水平に設置した平板上に乗せ、展開状態でサンプルの四隅を平板に粘着テープで固定した。
(2)サンプル表面の中心(幅方向の中央かつ前後方向の中央)位置に、注入筒(内径23mm、外形25mm、高さ100mmのアクリル製円筒)を載せて鉛直に保持した。
(3)注入筒の上端開口にメスシリンダーを用いて上記青色試験液50cm3を7cm3/秒の速度で注入し、注入開始からサンプル表面に人工尿が無くなる(完全に吸収される)まで待ち、そこから30分空けて、再度注入筒の上端開口にメスシリンダーを用いて上記青色試験液50cm3を7cm3/秒の速度で注入した。
(4)2回目の注入による人工尿が完全に吸収されてから20分後に、人工尿の注入個所に3kgの錘を載せて10分間放置した。錘は、縦100mm×横100mmの正方形の平坦な底面を有するものとし、錘の縦方向及び横方向がサンプルの前後方向及び幅方向に沿うように、かつ錘の中心がサンプル表面の中心に位置するように、錘をサンプル表面に載せた。
(5)ADVANTEC社の定性濾紙No.2(縦100mm×横100mm正方形)の30枚の重量(g)を電子天秤で小数第3位まで測定した。
(6)上記(4)の後、錘とサンプル表面との間に、中心及び向きを合わせて上記濾紙30枚を重ねて挟み、20秒間後に全濾紙を取り出してその重量(g)を小数第2位まで測定し、この吸収後重量の測定値から上記(5)の吸収前重量の測定値を引いて加圧下逆戻り量とした。
Figure 2024048966000002
試験結果を表2に示した。
Figure 2024048966000003
サンプル1,2は、サンプル3~7と同様にサンプル8と比較して拡散性に優れる(拡散面積が十分に大きい)だけでなく、サンプル3~8と比較して非加圧下逆戻り量及び加圧下逆戻り量が少ない結果となった。また、サンプル1,2は、サンプル3~6と同様にサンプル7,8と比較して吸収速度にも優れる結果となった。さらに、サンプル1,2は、クレープ紙の破れ防止性にも優れる結果となった。
<効果確認試験2>
表3に示す各種吸収要素を用いて図1~6に示すパンツタイプ使い捨ておむつのサンプルを作製し、上述の非加圧下逆戻り試験、加圧下逆戻り試験、及び吸収速度試験を行った。なお、サンプル9の高圧縮部の各部の寸法・配列はサンプル1と同様とした。また、サンプル10,11は高圧縮部を有しない比較例とした。また、表3に示す仕様以外の条件は、各サンプル共通とした。
Figure 2024048966000004
試験結果を表4に示した。
Figure 2024048966000005
おむつのサンプルを対象とする本試験においても、吸収要素のみで測定した効果確認試験1と同様の傾向が見られた。すなわち、サンプル9はサンプル10,11と比較して、非加圧下逆戻り量及び加圧下逆戻り量が少なく、吸収速度にも優れる結果となった。
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前後方向」とは図中に符号LDで示す方向(縦方向)を意味し、「幅方向」とは図中にWDで示す方向(左右方向)を意味し、前後方向と幅方向とは直交するものである。
・「表側」とは、着用した際に着用者の肌に近い方を意味し、「裏側」とは、着用した際に着用者の肌から遠い方を意味する。
・「表面」とは、着用した際に着用者の肌に近い方の面を意味し、「裏面」とは、着用した際に着用者の肌から遠い方の面を意味する。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。例えば、伸長率が200%とは、伸長倍率が2倍であることと同義である。
・「人工尿」は、尿素:2wt%、塩化ナトリウム:0.8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.03wt%、硫酸マグネシウム七水和物:0.08wt%、及びイオン交換水:97.09wt%を混合したものである。
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter-MAX ME-500)でゲル強度を測定する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、100倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・吸収体56、吸収要素50等の厚い部材の「厚み」は、株式会社尾崎製作所の厚み測定器(ピーコック、ダイヤルシックネスゲージ、型式H(測定範囲:0~10mm、測定子:直径10mmの円形加圧平面、測定力:約1.7N、圧力:約21.7KPa))を用い、供試部材と厚み測定器を水平にして、測定する。吸収要素50(非高圧縮部52)の厚みは次のようにして求める。すなわち、吸収要素50の非高圧縮部52のうち、非高圧縮部52の外形に内接する内接円が最大となる領域を10か所選定し、その領域の内接円の中心に上記厚み測定器の測定子の中心を合わせて測定される厚みを、吸収要素50(非高圧縮部52)の厚みとする。
・高圧縮部51の「厚み」は、吸収要素50(非高圧縮部52)の厚みから高圧縮部51の深さを差し引いて求める。
・高圧縮部51の「深さ」は、株式会社キーエンス社製ワンショット3D測定マクロスコープ VR-3200又はその相当機と、画像解析ソフトウエア「VR-H2A」又はその相当ソフトウエアにより測定する。原則として、測定の際の倍率は12倍、視野面積は24mm×18mmとするが、倍率と視野面積は、高圧縮部51の大きさによって変更することができる。具体的な測定手順について図23を参照して説明すると次のとおりである。すなわち、上記ソフトウエア等を用いて、平面視点で示される画像部(図中X部分)中の一つの高圧縮部51の中心(円形以外の場合は重心)を通る線分Q1における深さ(測定断面曲線)プロファイルを得る。このエンボス深さプロファイルの断面曲線からλc:800μm(但し、λcはJIS-B0601「3.1.1.2」に記載の「粗さ成分とうねり成分との境界を定義するフィルタ」)より短波長の表面粗さの成分を低域フィルタによって除去して得られる断面視点で示される画像部(図中Y部分)の「輪郭曲線Q2」のうち、曲がりがほぼ平坦になる位置、又は上に凸で最も曲がりが強くなる位置を2つの境界点P1,P2とし、この境界点P1,P2で挟まれる範囲の高さの最小値を求める。さらに、境界点P1,P2の高さの値の平均値を高さの最大値とする。そして、高さの最大値から高さの最小値を差し引いて、高圧縮部51の深さを求めることができる。また、2つの境界点P1,P2は目視にて選択する。なお、その選択にあたっては、当該測定中の高圧縮部51の平面視点の画像を参考としてよい。以上の測定を、表面の任意の10個の高圧縮部51について行い、結果はその平均値とする。
・不織布等の薄いシートの「厚み」は、自動厚み測定器(KES-G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:0.098N/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
・「面積率」とは単位面積あたりの対象部分の面積の割合を意味し、対象領域(例えば吸収要素50の裏面)全体に占める対象部分(例えば高圧縮部51)の総和面積を当該対象領域の面積で除して百分率で表すものである。高圧縮部51の寸法、面積等は、吸収要素50における高圧縮部51を有する面の静止画像を撮影し、撮影した画像データを画像解析ソフトウエアで読み込んで計測する。この際、高圧縮部51の計測対象部位を陰影に基づいて自動選択するか、又は自動選択できない場合には目視で選択する。
・「吸水量」は、JIS K7223-1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・「吸水速度」は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
・「展開状態」とは、収縮(弾性部材による収縮等、あらゆる収縮を含む)や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。
本発明は、パンツタイプ使い捨ておむつ、テープタイプ使い捨ておむつ、パッドタイプ使い捨ておむつ等の使い捨ておむつの他、生理用ナプキン等、股間部を有する(好ましくは股間部より前側及び後側のいずれか一方又は両方にそれぞれ延びた部分も有する)吸収性物品全般に利用できるものである。
11…液不透過性シート、12A…サイドシール、12B…後外装体、12E…ウエスト延出部分、12F,12B…外装体、12F…前外装体、12S,12H…シート材、13…カバー不織布、16,19…ウエスト下方弾性部材、17…ウエスト弾性部材、18…不要弾性部材、20…内装体接合部、200…内装体、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、50P…包装体、51…高圧縮部、51a…第1高圧縮部、51b…第2高圧縮部、51c…第3高圧縮部、52…非高圧縮部、56…吸収体、56L…低目付け部、58…包装シート、60…起き上がりギャザー、60A…先端側部分、60B…付け根側部分、62…ギャザーシート、63…ギャザー弾性部材、67…倒伏部分、68…起き上がり部分、70…サイドフラップ、71…第1シート層、72…第2シート層、73…サイド弾性部材、81…第1仮想直線、82…第2仮想直線、90…アンビルロール、91…突起部、92…平滑ロール、A1…非伸縮領域、A2…伸縮領域、B…後身頃、C…臀部カバー部、F…前身頃、HM…ホットメルト接着剤、HM1…第1ホットメルト接着剤、HM2…第2ホットメルト接着剤、L…中間領域、LD…前後方向、LO…脚開口、M…股間部、SG…サイド伸縮領域、T…胴周り領域、TD…厚み方向、U…ウエスト下方部、W…ウエスト部、WD…幅方向、WO…ウエスト開口。

Claims (7)

  1. 股間部を有しており、
    前記股間部を含む前後方向範囲に設けられた吸収体、及びこの吸収体を包むクレープ紙からなる包装シートを有する吸収要素を備え、
    前記吸収体は、パルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子を混合・集積してなるものであり、
    前記吸収要素は、前記吸収要素の表面又は裏面から前記吸収体内まで窪むように厚み方向に圧縮された高圧縮部が間隔を空けて配列され、
    前記高圧縮部の配列領域における前記高圧縮部以外の部分は、前記高圧縮部よりも厚くかつ低密度の非高圧縮部であり、
    前記高圧縮部は変曲点及び屈曲点を有しない外形を有するとともに、前記高圧縮部の外形に内接する最大の内接円の直径が2~5mmであり、かつ前記高圧縮部の外形の周長が前記高圧縮部の外形に内接する最大の内接円の周長の1~2.5倍であり、
    前記非高圧縮部の外形に内接する最大の内接円の直径が6.5mm以下である、
    ことを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記吸収体における前記パルプ繊維の目付けが100~500g/m2であり、
    前記吸収体におけるパルプ繊維:高吸収性ポリマー粒子が、重量比で45:55~65:35であり、
    前記包装シートは、JIS P 8113:2006に規定される前後方向の引張破断伸びが20~35%、かつ幅方向の引張破断伸びが4~8%のクレープ紙であり、
    前記非高圧縮部の厚みは5~15mmであり、
    前記高圧縮部の厚みは前記非高圧縮部の厚みの30~50%である、
    請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記高圧縮部は、前記吸収要素の表面から前記吸収体内まで窪むように厚み方向に圧縮された高圧縮部のみからなる、
    請求項1又は2記載の吸収性物品。
  4. 前記高圧縮部の配列領域に、第1方向に沿う第1仮想直線が、前記第1仮想直線に対して平面視で時計回りに80~90°傾斜した第2方向に第1間隔を空けて繰り返し配列されるとともに、前記第2方向に沿う第2仮想直線が前記第1方向に第2間隔を空けて繰り返し配列されて形成される仮想格子を定めるとともに、
    前記第1仮想直線と前記第2仮想直線との交点を頂点とする最小の仮想四角形を定めたとき、
    前記高圧縮部は、前記第1仮想直線と前記第2仮想直線との交点位置に配置された第1高圧縮部と、前記第1仮想直線における隣り合う第1高圧縮部の間、及び前記第2仮想直線における隣り合う第1高圧縮部の間にそれぞれ配置された第2高圧縮部と、前記仮想四角形の対角線の交点位置に配置された第3高圧縮部とからなり、
    前記第1高圧縮部は、前記第1仮想直線と前記第2仮想直線との交点を中心とする円形をなし、
    前記第2高圧縮部は、前記仮想四角形の各辺の中点に重心を有し、かつ各辺に沿う長軸を有する楕円形若しくは角丸矩形であり、
    前記第3高圧縮部は、前記仮想四角形の対角線の交点に重心を有し、かつ前後方向に沿う長軸を有する楕円形若しくは角丸矩形、又は前記仮想四角形の対角線の交点を中心とする円形である、
    請求項1又は2記載の吸収性物品。
  5. 前記第1高圧縮部は、直径が1~4mmであり、
    前記第2高圧縮部は、長軸の長さが3~6mmで、かつ短軸の長さが前記第1高圧縮部の直径に等しく、
    前記第3高圧縮部は、長軸の向きが前後方向に沿う以外は前記第2高圧縮部と同寸及び同形状をなしており、
    隣接する前記第1高圧縮部と前記第2高圧縮部との最小間隔は、1~2mmである、
    請求項4記載の吸収性物品。
  6. 前記仮想格子は、前記第1仮想直線が前後方向に対して平面視で時計回りに40~50°傾斜するとともに、前記第2仮想直線が前後方向に対して平面視で反時計回りに40~50°傾斜した斜め格子状をなしている、
    請求項5記載の吸収性物品。
  7. パルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子を混合・集積してなる吸収体と、この吸収体を包むクレープ紙からなる包装シートとを有する吸収要素の製造方法であって、
    前記パルプ繊維及び前記高吸収性ポリマー粒子を混合・集積してなる吸収体を形成する第1ステップと、
    前記吸収体の全体を包装シートで包装してなる包装体を形成する第2ステップと、
    外周面に間隔を空けて配列された突起部を有するアンビルロールと、これに対向する円筒面を有する平滑ロールとの間で前記包装体を挟み、前記包装体における前記アンビルロールの多数の突起部と前記平滑ロールとの間に挟まれる部分を前記包装体の表面又は裏面から前記吸収体内まで窪むように押圧する第3ステップとを含み、
    前記アンビルロールにおける前記突起部の先端面の配列を平面上に展開して表したとき、前記先端面の配列領域における前記突起部の先端面の外形に内接する最大の内接円の直径が2~5mmであり、かつ前記突起部の先端面の外形の周長が前記突起部の先端面の外形に内接する最大の内接円の周長の1~2.5倍であり、前記先端面の配列領域における前記先端面以外の部分の外形に内接する最大の内接円の直径が6.5mm以下である、
    ことを特徴とする吸収要素の製造方法。
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