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JP2024047990A - ヒアルロン酸系ポリイオンコンプレックスと高吸収性ポリマーとを含む組成物 - Google Patents

ヒアルロン酸系ポリイオンコンプレックスと高吸収性ポリマーとを含む組成物 Download PDF

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JP2024047990A
JP2024047990A JP2022153796A JP2022153796A JP2024047990A JP 2024047990 A JP2024047990 A JP 2024047990A JP 2022153796 A JP2022153796 A JP 2022153796A JP 2022153796 A JP2022153796 A JP 2022153796A JP 2024047990 A JP2024047990 A JP 2024047990A
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Shinobu Mitsuda
健史 五十島
Takeshi Isojima
麻理子 山本
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【課題】増強された皮脂制御効果を有する、ヒアルロン酸系ポリイオンコンプレックスを含む安定な組成物を提供すること。【解決手段】本発明は、(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、(b)少なくとも1種のアニオン性ポリマーと、(c)少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸及びその塩と、(d)少なくとも1種の高吸収性ポリマーと、(e)水とを含む、組成物であって、 (b)アニオン性ポリマーが、ヒアルロン酸及びその誘導体から選択され、(d)高吸収性ポリマーが、5μm~500μm、好ましくは10μm~400μm、より好ましくは15μm~300μmの平均粒径を有する粒子の形態にある、組成物に関する。本発明による組成物は、長期間にわたって安定である。本発明による組成物は、優れた皮脂制御効果を提供することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイオンコンプレックスと高吸収性ポリマーとを含む組成物、並びに該組成物を使用する美容方法に関する。
ヒアルロン酸は、皮膚内で見出される主たるグルコサミノグリカンである。そのため、線維芽細胞は、コラーゲン、コラーゲン以外のマトリックス糖タンパク質(フィブロネクチン、ラミニン)、プロテオグリカン及びエラスチンを主に合成する。ケラチン生成細胞は、それらの部分のために、硫酸化グリコサミノグリカン及びヒアルロン酸を主に合成する。ヒアルロン酸はまた、ヒアルロナン(HA)とも呼ばれる。
ヒアルロン酸は、表皮内及び真皮内に遊離状態で存在し、皮膚の膨満状態を左右する。この多糖は、実際、その質量の1000倍までに相当する大きい体積の水を保持することができる。この意味で、ヒアルロン酸は、組織内に結合されている水の量の増加において、更には皮膚の機械的性質において、及びしわ形成において、重要な役割を果たす。
ヒアルロン酸は、その高い保湿効果に起因して、化粧成分として広く使用されてきた。
WO2021/125069は、少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマーから構成されうるポリイオンコンプレックスであって、アニオン性ポリマーがヒアルロン酸及びその誘導体から選択される、ポリイオンコンプレックスを開示している。
WO2021/125069 欧州特許出願第0080976号 仏国特許第2077143号 仏国特許第2393573号 仏国特許第1492597号 米国特許第4131576号 米国特許第3589578号 米国特許第4031307号 仏国特許第2162025号 仏国特許第2280361号 仏国特許第2252840号 仏国特許第2368508号 仏国特許第1583363号 米国特許第3227615号 米国特許第2961347号 仏国特許第2080759号 仏国特許第2080759号の追加特許第2190406号 仏国特許第2320330号 仏国特許第2270846号 仏国特許第2316271号 仏国特許第2336434号 仏国特許第2413907号 米国特許第2273780号 米国特許第2375853号 米国特許第2388614号 米国特許第2454547号 米国特許第3206462号 米国特許第2261002号 米国特許第2271378号 米国特許第3874870号 米国特許第4001432号 米国特許第3929990号 米国特許第3966904号 米国特許第4005193号 米国特許第4025617号 米国特許第4025627号 米国特許第4025653号 米国特許第4026945号 米国特許第4027020号 欧州特許出願第0122324号
CTFA辞典 文献「Hyaluronan fragments: an information-rich system」, R. Sternら、European Journal of Cell Biology 58 (2006) 699~715頁 D. Campocciaら、「Semisynthetic resorbable materials from hyaluronan esterification」、Biomaterials 19 (1998) 2101~2127頁 L. BRANNON-PAPPAS及びR. HARLAND、書籍「Absorbent polymer technology、Studies in polymer science 8」、Elsevier社刊、1990年 Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968)、Academic Press Cosmetics and Toiletries、Vol. 91、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmetics ASTM規格445附属書C
ヒアルロン酸系ポリイオンコンプレックスを含む組成物が経時的に不安定になりうること、及び該組成物が比較的限定的な皮脂制御効果を発現しうることが、見出された。
そのため、本発明の一目的は、増強された皮脂制御効果を有する、ヒアルロン酸系ポリイオンコンプレックスを含む安定な組成物を提供することである。
本発明の上記の目的は、
(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、
(b)少なくとも1種のアニオン性ポリマーと、
(c)少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩と、
(d)少なくとも1種の高吸収性ポリマーと、
(e)水と
を含む組成物であって、
(b)アニオン性ポリマーが、ヒアルロン酸及びその誘導体から選択され、
(d)高吸収性ポリマーが、5μm~500μm、好ましくは10μm~400μm、より好ましくは15μm~300μmの平均粒径を有する粒子の形態にある、組成物によって達成することができる。
(a)カチオン性ポリマーは、第一級、第二級又は第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基及びピリジル基からなる群から選択される、少なくとも1つの正電荷を有することができる及び/又は正電荷を有する部分を有してよい。
(a)カチオン性ポリマーは、アルキルジアリルアミンのシクロポリマー、及びジアルキルジアリルアンモニウムのシクロポリマー、例えば(コ)ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、(コ)ポリアミン、例えばキトサン及び(コ)ポリリジン、カチオン性(コ)ポリアミノ酸、例えばコラーゲン、カチオン性セルロースポリマー、キトサン、並びにそれらの塩からなる群から選択することができる。
本発明による組成物中の(a)カチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってよい。
本発明による組成物は、(b)アニオン性ポリマーとして、少なくとも2種の、異なる分子量を有するヒアルロン酸を、好ましくは100kDa以下の分子量を有する第1のヒアルロン酸と500kDa以上の分子量を有する第2のヒアルロン酸とを、より好ましくは50kDa以下の分子量を有する第1のヒアルロン酸と1000kDa以上の分子量を有する第2のヒアルロン酸とを含んでよい。
本発明による組成物中の(b)アニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってよい。
(c)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、有機酸又はその塩、好ましくは親水性若しくは水溶性の有機酸又はその塩、より好ましくはフィチン酸又はその塩であってよい。
本発明による組成物中の(c)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってよい。
(d)高吸収性ポリマーは、架橋(メタ)アクリル又は(メタ)アクリレートポリマー、アクリル又はアクリレートポリマーでグラフトされたデンプン、及びこれらの混合物から選択することができる。
本発明による組成物中の(d)高吸収性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.01質量%~5質量%であってよい。
本発明による組成物中の(e)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%~95質量%、好ましくは60質量%~90質量%、より好ましくは70質量%~85質量%であってよい。
本発明による組成物のpHは、3~9、好ましくは3.3~8.0、より好ましくは3.5~8であってよい。
本発明による組成物は、(f)少なくとも1種の油を更に含んでよい。
本発明による組成物は、化粧用組成物、好ましくは皮膚化粧用組成物、より好ましくはスキンケア化粧用組成物であってよい。
本発明はまた、皮膚等のケラチン物質のための美容方法であって、
ケラチン物質に、本発明による組成物を塗布する工程と、
該組成物を乾燥させて、ケラチン物質上に化粧皮膜を形成する工程と
を含む、美容方法にも関する。
鋭意検討の結果、本発明者らは、増強された皮脂制御効果を有するヒアルロン酸系ポリイオンコンプレックスを含む安定な組成物を提供することが可能であることを発見した。
そのため、本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、
(b)少なくとも1種のアニオン性ポリマーと、
(c)少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩と、
(d)少なくとも1種の高吸収性ポリマーと、
(e)水と
を含み、
(b)アニオン性ポリマーは、ヒアルロン酸及びその誘導体から選択され、
(d)高吸収性ポリマーは、5μm~500μm、好ましくは10μm~400μm、より好ましくは15μm~300μmの平均粒径を有する粒子の形態にある。
本発明による組成物は、長期間にわたって安定である。該組成物は、それが油を含んでいるときでさえ、安定である。
本発明による組成物は、優れた皮脂制御効果をもたらすことができる。例えば、本発明による組成物によって形成された皮膜は、皮脂又は油を吸収することができ、且つそれを、長期間にわたってさえ、皮膜中に維持することができる。皮脂制御効果は、皮膚等のケラチン物質上の光学的マット効果に帰着することができる。
更に、本発明による組成物は、ヌードルの形態にありうる凝集体を形成することなく塗布することができる。
更に、本発明による組成物は、ヒアルロン酸又はその誘導体をベースとして、湿潤効果等の美容効果をもたらすことができる。
加えて、本発明による組成物は、べたつきが少ないものであることが可能である。例えば、ポリイオンコンプレックスを形成する成分としてヒアルロン酸を含む本発明による組成物のべたつきは、ポリイオンコンプレックスを形成することなく、ヒアルロン酸を含む組成物と比較して低減されうる。
これ以降、本発明による組成物、方法等が、より詳細に説明されることになる。
[ポリイオンコンプレックス]
本発明による組成物は、以下に説明される、(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、(b)少なくとも1種のアニオン性ポリマーと、(c)少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩とを含む。
上記の成分(a)、(b)及び(c)は、ポリイオンコンプレックスを形成することができる。ポリイオンコンプレックスは、粒子の形態にあってよい。2つ以上の異なるタイプの粒子が組み合わせて存在してもよい。そのため、単一のタイプの粒子、又は異なるタイプの粒子の組み合わせが、本発明による組成物中に存在することができる。
ポリイオンコンプレックス粒子が粒子の形態にある場合、粒子のサイズは、5nm~100μm、好ましくは100nm~50μm、より好ましくは200nm~40μm、更により好ましくは500nm~30μmであってよい。1μm未満の粒径は、動的光散乱法によって測定することができ、1μm超の粒径は、光学顕微鏡によって測定することができる。この粒径は、数平均直径に基づかせることができる。
本発明による組成物中の粒子の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。
本発明による組成物中の粒子の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってよい。
本発明による組成物中の粒子の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってよい。
本発明による組成物が後に説明される(f)少なくとも1種の油を含む場合、複数の粒子が、(e)水と(f)油との間の界面に存在することができる。そのため、粒子は、エマルションを安定化することができる。例えば、(e)水が連続相を構成し、(f)油が分散相を構成する場合、粒子は、いわゆるピッカリングエマルションに類似しうるO/Wエマルションを形成することができる。
或いは、複数の粒子は、中空部分を有するカプセルを形成することができる。(f)油は、中空部分内に存在することができる。換言すると、(f)油は、カプセル中に組み込まれうる。カプセルの壁は、粒子から形成された連続層又は皮膜から構成することができる。理論に拘泥するつもりはないが、粒子が、(e)水と(f)油との界面で再組織化して、(f)油を含むための中空部分を有するカプセルを自発的に形成することができると確信される。例えば、カプセル中の、(e)水で構成される連続相、及び(f)油で構成される分散相は、これもまたいわゆるピッカリングエマルションに類似しうるO/Wエマルションを形成することができる。
上記は、粒子自体が両親媒性であることを意味する。粒子自体は、油又は水に不溶性である。
(カチオン性ポリマー)
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマーを含む。2つ以上の異なるタイプのカチオン性ポリマーが、組み合わせて使用されうる。そのため、単一のタイプのカチオン性ポリマー、又は異なるタイプのカチオン性ポリマーの組み合わせを使用することができる。
(a)カチオン性ポリマーは、正の電荷密度を有する。(a)カチオン性ポリマーの電荷密度は、0.01meq/g~20meq/g、好ましくは0.05~15meq/g、より好ましくは0.1~10meq/gであってよい。
(a)カチオン性ポリマーの分子量が、500以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、更により好ましくは3000以上であることが好ましい場合がある。説明中に別段の定義がない限り、「分子量」は数平均分子量を意味する。
(a)カチオン性ポリマーは、第一級、第二級又は第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基及びピリジル基からなる群から選択される、少なくとも1つの正電荷を有することができる及び/又は正電荷を有する部分を有してよい。用語「(第一級)アミノ基」は、本明細書では、-NH2基を意味する。
(a)カチオン性ポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。用語「コポリマー」は、2種類のモノマーから得られたコポリマーと、2種類超のモノマーから得たもの、例えば3種類のモノマーから得られたターポリマーとの両方を意味すると理解される。
(a)カチオン性ポリマーは、天然及び合成カチオン性ポリマーから選択することができる。(a)カチオン性ポリマーの非限定例は、以下の通りである。
(1)アクリル酸又はメタクリル酸のエステル及びアミドに由来し、式:
(式中、
R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、水素、及び1~6個の炭素原子を含むアルキル基、例としてはメチル基及びエチル基から選ばれ、
R3は、同一であっても異なっていてもよく、水素及びCH3から選ばれ、
記号Aは、同一であっても異なっていてもよく、1~6個の炭素原子、例えば2~3個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状アルキル基、及び1~4個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基から選ばれ、
R4、R5及びR6は、同一であっても異なっていてもよく、1~18個の炭素原子を含むアルキル基、及びベンジル基、及び少なくとも1つの実施形態では1~6個の炭素原子を含むアルキル基から選ばれ、
X-は、無機又は有機酸に由来するアニオン、例えば、メト硫酸アニオン、並びにハロゲン化物イオン、例としては塩化物イオン及び臭化物イオンである)
の単位から選ばれる少なくとも1つの単位を含む、ホモポリマー及びコポリマー。
上記のファミリー(1)のコポリマーはまた、コモノマーに由来する少なくとも1つの単位も含んでよく、これは、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、窒素原子が(C1~C4)低級アルキル基で置換されているアクリルアミド及びメタクリルアミド、アクリル酸又はメタクリル酸及びそのエステルに由来する基、ビニルラクタム、例えばビニルピロリドン及びビニルカプロラクタム、並びにビニルエステルから選ぶことができる。
ファミリー(1)のコポリマーの例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:
アクリルアミドと、硫酸ジメチル又はハロゲン化ジメチルで四級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルとのコポリマー、
アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー、例えば欧州特許出願第0080976号に記載されているもの、
アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトスルフェートとのコポリマー、
四級化又は非四級化ビニルピロリドン/アクリル酸又はメタクリル酸ジアルキルアミノアルキルコポリマー、例えば仏国特許第2077143号及び同第2393573号に記載されているもの、
メタクリル酸ジメチルアミノエチル/ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドンターポリマー、
ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルジメチルアミンコポリマー、四級化ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー、並びに
架橋メタクリロイルオキシ(C1~C4)アルキルトリ(C1~C4)アルキルアンモニウム塩ポリマー、例えば塩化メチルで四級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルの単独重合によって、又はアクリルアミドと、塩化メチルで四級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルとの共重合によって、その単独重合又は共重合に続いて、オレフィン性不飽和を含有する化合物、例えばメチレンビスアクリルアミドで架橋することによって、得られるポリマー。
(2)カチオン性セルロースポリマー、例えば仏国特許第1492597号に記載されている、1つ又は複数の第四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体、例えばUnion Carbide Corporation社により名称「JR」(JR 400、JR 125、JR 30M)又は「LR」(LR 400、LR 30M)で販売されているポリマー。これらのポリマーはまた、CTFA辞典において、トリメチルアンモニウム基で置換されているエポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの第四級アンモニウムとして定義されている。
カチオン性セルロースポリマーが、少なくとも1つの第四級アンモニウム基、好ましくは第四級トリアルキルアンモニウム基、より好ましくは第四級トリメチルアンモニウム基を有することが好ましい。
第四級アンモニウム基は、化学式(I):
(式中、
R1及びR2のそれぞれは、C1~C3アルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基、より好ましくはメチル基を示し、
R3は、C1~C24アルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基、より好ましくはメチル基を示し、
X-は、アニオン、好ましくはハロゲン化物イオン、より好ましくは塩化物イオンを示し、
nは、0~30、好ましくは0~10、より好ましくは0の整数を示し、
R4は、C1~C4アルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基を示す)
で表されうる第四級アンモニウム基含有基中に存在することができる。
上記の化学式(I)中の最左のエーテル結合(-O-)は、多糖の糖環に結合することができる。
第四級アンモニウム基含有基が、-O-CH2-CH(OH)-CH2-N+(CH3)3であることが好ましい。
(3)カチオン性セルロースポリマー、例えばセルロースコポリマー、及び第四級アンモニウムの水溶性モノマーでグラフトされたセルロース誘導体、例えば米国特許第4131576号に記載されているもの、例えばヒドロキシアルキルセルロース、例としては、例えばメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム及びジメチルジアリルアンモニウムの各塩から選ばれる塩でグラフトされたヒドロキシメチル-、ヒドロキシエチル-及びヒドロキシプロピルセルロース。
これらのポリマーに相当する市販製品には、例えば、National Starch社により名称「Celquat(登録商標)L 200」及び「Celquat(登録商標)H 100」で販売されている製品が挙げられる。
(4)米国特許第3589578号及び同第4031307号に記載されている、非セルロース系カチオン性多糖、例えばカチオン性トリアルキルアンモニウム基を含むグアーガム、カチオン性ヒアルロン酸及びデキストランヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド。塩、例えば2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムの塩化物で修飾されたグアーガム(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)もまた、使用することができる。
このような製品は、例としては、MEYHALL社により商品名JAGUAR(登録商標)C13 S、JAGUAR(登録商標)C15、JAGUAR(登録商標)C17及びJAGUAR(登録商標)C162で販売されている。
(5)ピペラジニル単位、及び酸素、硫黄、窒素、芳香族環及び複素環式環から選ばれる少なくとも1つの要素により任意選択で割り込まれた直鎖又は分枝鎖を含む二価のアルキレン又はヒドロキシアルキレン基を含むポリマー、並びにまたこれらのポリマーの酸化及び/又は四級化生成物。このようなポリマーは、例えば仏国特許第2162025号及び同第2280361号に記載されている。
(6)例えば酸性化合物をポリアミンと重縮合させることによって調製される水溶性ポリアミノアミド; これらのポリアミノアミドは、エピハロヒドリン; ジエポキシド; 二無水物; 不飽和二無水物; ビス不飽和誘導体; ビスハロヒドリン; ビスアゼチジニウム; ビスハロアシルジアミン; ビスアルキルハライド; ビスハロヒドリン、ビスアゼチジニウム、ビスハロアシルジアミン、ビスアルキルハライド、エピハロヒドリン、ジエポキシド及びビス不飽和誘導体から選ばれる要素と反応性である二官能性化合物の反応から得られるオリゴマーから選ばれる要素で架橋されている場合があり; その架橋剤は、ポリアミノアミドのアミン基1つ当たり0.025~0.35molの範囲の量で使用され; これらのポリアミノアミドは、任意選択でアルキル化されているか、又はそれらが少なくとも1つの第三級アミン官能基を含む場合、それらは四級化されていてもよい。このようなポリマーは、例えば仏国特許第2252840号及び同第2368508号に記載されている。
(7)ポリアルキレンポリアミンをポリカルボン酸と縮合させ、続いて二官能性作用剤でアルキル化することから得られるポリアミノアミド誘導体、例えば、メチル、エチル及びプロピルの各基等の、アルキル基が1~4個の炭素原子を含み、エチレン基等の、アルキレン基が1~4個の炭素原子を含む、アジピン酸/ジアルキルアミノヒドロキシアルキルジアルキレントリアミンポリマー。このようなポリマーは、例としては仏国特許第1583363号に記載されている。少なくとも1つの実施形態では、これらの誘導体は、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンポリマーから選ぶことができる。
(8)2つの第一級アミン基及び少なくとも1つの第二級アミン基を含むポリアルキレンポリアミンと、ジグリコール酸、及び3~8個の炭素原子を含む飽和脂肪族ジカルボン酸から選ばれるジカルボン酸との反応によって得られるポリマー。ポリアルキレンポリアミンのジカルボン酸に対するモル比は、0.8:1~1.4:1の範囲であってよく、それから得られるポリアミノアミドを、エピクロロヒドリンと、エピクロロヒドリンの、ポリアミノアミドの第二級アミン基に対するモル比0.5:1~1.8:1の範囲で反応させる。このようなポリマーは、例えば、米国特許第3227615号及び同第2961347号に記載されている。
(9)アルキルジアリルアミンのシクロポリマー、及びジアルキルジアリル-アンモニウムのシクロポリマー、例えば、鎖の主要構成要素として、式(Ia)及び(Ib):
[式中、
k及びtは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1に等しく、和k+tは、1に等しく、
R12は、水素及びメチル基から選ばれ、
R10及びR11は、同一であっても異なっていてもよく、1~6個の炭素原子を含むアルキル基、アルキル基が例えば1~5個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基、及び低級(C1~C4)アミドアルキル基から選ばれ、又はR10及びR11は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環式基、例えばピペリジニル及びモルホリニルを形成してもよく、
Y'は、アニオン、例えば臭化物イオン、塩化物イオン、酢酸イオン、ホウ酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸水素イオン、亜硫酸水素イオン、硫酸イオン及びリン酸イオンである]
の単位から選ばれる少なくとも1つの単位を含むホモポリマー及びコポリマー。
これらのポリマーは、例えば仏国特許第2080759号及びその追加特許第2190406号に記載されている。
一実施形態では、R10及びR11は、同一であっても異なっていてもよく、1~4個の炭素原子を含むアルキル基から選ばれる。
このようなポリマーの例には、(コ)ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、例えばCALGON社により名称「MERQUAT(登録商標)100」で販売されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマー(及び低質量平均分子量のその類似体)、並びに名称「MERQUAT(登録商標)550」で販売されているジアリルジメチルアンモニウムクロリドとアクリルアミドとのコポリマーが挙げられるがこれらに限定されない。
(10)式(II)
{式中、
R13、R14、R15及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、1~20個の炭素原子を含む脂肪族、脂環式基及びアリール脂肪族の各基、並びに低級ヒドロキシアルキル脂肪族基から選ばれ、或いは、R13、R14、R15及びR16は、それらが結合している窒素原子と一緒になって又は別々に、窒素以外の第2のヘテロ原子を任意選択で含む複素環を形成してもよく、或いは、R13、R14、R15及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、ニトリル基、エステル基、アシル基、アミド基、-CO-O-R17-E基及び-CO-NH-R17-E基(式中、R17は、アルキレン基であり、Eは、第四級アンモニウム基である)から選ばれる少なくとも1つの基で置換されている直鎖状又は分枝状のC1~C6アルキル基から選ばれ;
A1及びB1は、同一であっても異なっていてもよく、2~20個の炭素原子を含むポリメチレン基から選ばれ、これは、直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和であってよく、且つこれは、芳香環、酸素、硫黄、スルホキシド基、スルホン基、ジスルフィド基、アミノ基、アルキルアミノ基、ヒドロキシル基、第四級アンモニウム基、ウレイド基、アミド基及びエステル基から選ばれる少なくとも1つの要素を、主鎖中に、連結されて又は挿入されて含んでもよく、
X-は、無機酸又は有機酸に由来するアニオンであり;
A1、R13及びR15は、それらが結合している2個の窒素原子と一緒になってピペラジン環を形成してもよく;
A1が、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基から選ばれる場合、B1は、
-(CH2)n-CO-E'-OC-(CH2)n-
[式中、E'は、
a)式-O-Z-O-(式中、Zは、直鎖状又は分枝状の炭化水素系基、及び式:
-(CH2-CH2-O)x-CH2-CH2-
-[CH2-CH(CH3)-O]y-CH2-CH(CH3)-
(式中、x及びyは、同一であっても異なっていてもよく、定義された独自の重合度を表す1~4の範囲の整数、及び平均重合度を表す1~4の範囲の数から選ばれる)
の基から選ばれる)のグリコール残基、
b)ビス-第二級ジアミン残基、例えばピペラジン誘導体、
c)式-NH-Y-NH-(式中、Yは、直鎖状又は分枝状の炭化水素系基及び二価基-CH2-CH2-S-S-CH2-CH2-から選ばれる)のビス-第一級ジアミン残基、並びに
d)式-NH-CO-NH-のウレイレン基
から選ばれる]}
の少なくとも1つの繰り返し単位を含む第四級ジアンモニウムポリマー。
少なくとも1つの実施形態では、X-は、アニオン、例えば塩化物イオン又は臭化物イオンである。
このタイプのポリマーは、例えば、仏国特許第2320330号、同第2270846号、同第2316271号、同第2336434号及び同第2413907号、並びに米国特許第2273780号、同第2375853号、同第2388614号、同第2454547号、同第3206462号、同第2261002号、同第2271378号、同第3874870号、同第4001432号、同第3929990号、同第3966904号、同第4005193号、同第4025617号、同第4025627号、同第4025653号、同第4026945号及び同第4027020号に記載されている。
このようなポリマーの非限定的な例には、式(III):
(式中、R13、R14、R15及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、1~4個の炭素原子を含むアルキル基及びヒドロキシアルキル基から選ばれ、n及びpは、同一であっても異なっていてもよく、2~20の範囲の整数であり、X-は、無機又は有機酸に由来するアニオンである)
の少なくとも1つの繰り返し単位を含むものが挙げられる。
(11)式(IV):
[式中、
R18、R19、R20及びR21は、同一であっても異なっていてもよく、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、β-ヒドロキシエチル基、β-ヒドロキシプロピル基、-CH2CH2(OCH2CH2)pOH基(式中、pは、0~6の範囲の整数から選ばれる)から選ばれ、但し、R18、R19、R20及びR21が同時に水素であることはなく、
r及びsは、同一であっても異なっていてもよく、1~6の範囲の整数から選ばれ、
qは、0~34の範囲の整数から選ばれ、
X-は、アニオン、例えばハロゲン化物イオンであり、
Aは、ジハライド及び-CH2-CH2-O-CH2-CH2-の基から選ばれる]
の単位を含むポリ四級アンモニウムポリマー。
このような化合物は、例としては欧州特許出願第0122324号に記載されている。
(12)ビニルピロリドンとビニルイミダゾールとの第四級ポリマー
好適なカチオン性ポリマーの他の例には、カチオン性タンパク質及びカチオン性タンパク質加水分解物、ポリアルキレンイミン、例えばポリエチレンイミン、ビニルピリジン単位及びビニルピリジニウム単位から選ばれる単位を含むポリマー、ポリアミンとエピクロロヒドリンとの縮合物、第四級ポリウレイレン、並びにキチン誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の一実施形態によれば、(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマーは、第四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体、例えばUNION CARBIDE CORPORATION社により名称「JR 400」で販売されている製品、カチオン性シクロポリマー、例としてはCALGON社により名称MERQUAT(登録商標)100、MERQUAT(登録商標)550及びMERQUAT(登録商標)Sで販売されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー及びコポリマー、2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウム塩で修飾されたグアーガム、並びにビニルピロリドンとビニルイミダゾールとの第四級ポリマーから選ばれる。
(13)ポリアミン
(a)カチオン性ポリマーとして、複数のアミノ基を有する、ホモポリマー又はコポリマーでありうる(コ)ポリアミンを使用することもまた可能である。アミノ基は、第一級、第二級、第三級又は第四級アミノ基であってもよい。アミノ基は、(コ)ポリアミンのポリマー主鎖中に、又は存在する場合はペンダント基中に存在してもよい。
(コ)ポリアミンの例として、キトサン、(コ)ポリアリルアミン、(コ)ポリビニルアミン、(コ)ポリアニリン、(コ)ポリビニルイミダゾール、(コ)ポリジメチルアミノエチレンメタクリレート、(コ)ポリビニルピリジン、例えば(コ)ポリ-1-メチル-2-ビニルピリジン、(コ)ポリイミン、例えば(コ)ポリエチレンイミン、(コ)ポリピリジン、例えば(コ)ポリ(第四級ピリジン)、(コ)ポリビグアニド、例えば(コ)ポリアミノプロピルビグアニド、(コ)ポリリジン、(コ)ポリオルニチン、(コ)ポリアルギニン、(コ)ポリヒスチジン、アミノデキストラン、アミノセルロース、アミノ(コ)ポリビニルアセタール、及びこれらの塩を挙げることができる。
(コ)ポリアミンとして、(コ)ポリリジンを使用することが好ましい。ポリリジンは、周知である。ポリリジンは、細菌発酵によって生成されうるL-リジンの天然ホモポリマーであることができる。例えば、ポリリジンは、食品中の天然保存料として典型的に使用されるε-ポリ-L-リジンであることができる。ポリリジンは、極性溶媒、例えば水、プロピレングリコール及びグリセロールに可溶性の高分子電解質である。ポリリジンは、ポリD-リジン及びポリL-リジン等の多様な形態で市販されている。ポリリジンは、塩及び/又は溶液の形態にあることができる。
(14)カチオン性ポリアミノ酸
(a)カチオン性ポリマーとして、複数のアミノ基及びカルボキシル基を有する、カチオン性ホモポリマー又はコポリマーでありうるカチオン性ポリアミノ酸を使用することが可能でありうる。アミノ基は、第一級、第二級、第三級又は第四級アミノ基であってもよい。アミノ基は、カチオン性ポリアミノ酸のポリマー主鎖中に、又は存在する場合はペンダント基中に存在してもよい。カルボキシル基は、カチオン性ポリアミノ酸の、存在する場合はペンダント基中に存在してもよい。
カチオン性ポリアミノ酸の例として、カチオン化コラーゲン、カチオン化ゼラチン、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コンキオリンタンパク、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ダイズタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク等を挙げることができる。
以下の説明は、(a)カチオン性ポリマーの好ましい実施形態に関する。
(a)カチオン性ポリマーがカチオン性デンプンから選択されることが好ましい場合がある。
カチオン性デンプンの例として、2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウム塩(例えば塩化物)で修飾されたデンプン、例えば、Ondeo社から名称SENSOMER Cl-50、又はIngredion社から名称Pencare(商標)DP 1015で販売されている、INCI名によりデンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドとして知られる製品を挙げることができる。
(a)カチオン性ポリマーがカチオン性ガムから選択されることもまた好ましい場合がある。
ガムは、例えば、カッシアガム、カラヤガム、コンニャクガム、トラガカントゴム、タラガム、アカシアゴム及びアラビアゴムからなる群から選択することができる。
カチオン性ガムの例には、カチオン性ポリガラクトマンナン誘導体、例えばグアーガム誘導体及びカッシアガム誘導体、例えばCTFA: グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド及びカッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドが挙げられる。グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドは、Rhodia Inc.社からJaguar(商標)の商標名シリーズ、及びAshland Inc.社からN-Hanceの商品名シリーズで市販されている。カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドは、Lubrizol Advanced Materials, Inc.社からSensomer(商標)CT-250及びSensomer(商標)CT-400の商標で、又はAshland Inc.社からClearHance(商標)で、市販されている。
(a)カチオン性ポリマーが、アルキルジアリルアミンのシクロポリマー、及びジアルキルジアリルアンモニウムのシクロポリマー、例えば(コ)ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、(コ)ポリアミン、例えばキトサン及び(コ)ポリリジン、カチオン性(コ)ポリアミノ酸、例えばカチオン化コラーゲン、カチオン性セルロースポリマー、並びにそれらの塩からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
(a)カチオン性ポリマーが、ポリリジン、例えばポリ-α-リジン及びポリ-ε-リジン、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-67、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、キトサン、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが、より好ましい場合がある。
本発明による組成物中の(a)カチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。
本発明による組成物中の(a)カチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってよい。
本発明による組成物中の(a)カチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってよい。
(アニオン性ポリマー)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種のアニオン性ポリマーを含む。2つ以上の異なるタイプのアニオン性ポリマーが組み合わせて使用されうる。そのため、単一のタイプのアニオン性ポリマー、又は異なるタイプのアニオン性ポリマーの組み合わせを使用することができる。
(b)アニオン性ポリマーは、正の電荷密度を有する。(b)アニオン性ポリマーの電荷密度は、(b)アニオン性ポリマーが合成のアニオン性ポリマーである場合、0.1meq/g~20meq/g、好ましくは1~15meq/g、より好ましくは4~10meq/gであってよく、且つ(b)アニオン性ポリマーの平均置換度は、(b)アニオン性ポリマーが天然のアニオン性ポリマーである場合、0.1~3.0、好ましくは0.2~2.7、より好ましくは0.3~2.5であってよい。
本発明によれば、(b)アニオン性ポリマーは、ヒアルロン酸及びその誘導体から選択される。
ヒアルロン酸は、化学式:
により表すことができる。
本発明の文脈では、用語「ヒアルロン酸」は、具体的には、式:
のヒアルロン酸の基本的な単位を包含する。
これは、二糖ダイマー、すなわちD-グルクロン酸及びN-アセチルグルコサミンを含むヒアルロン酸の最小の部分である。
用語「ヒアルロン酸及びその誘導体」はまた、本発明の文脈では、380ダルトンから13,000,000ダルトンの間の範囲でありうる分子量(MW)を有する、交互β(1,4)及びβ(1,3)グルコシド結合を介して鎖内で一緒に結合される上記のポリマー単位を含む直鎖状ポリマーも含む。この分子量は、主に、ヒアルロン酸が得られる供給源に、及び/又は調製方法に依存する。
用語「ヒアルロン酸及びその誘導体」はまた、本発明の文脈では、ヒアルロン酸塩も含む。塩として、ナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及びこれらの混合物を挙げることができる。
自然状態では、ヒアルロン酸は、真皮及び上皮組織等の脊椎動物の臓器の結合組織の基体中の細胞周囲ゲル中に存在し、具体的には、表皮中、関節の滑液中、硝子体液中、ヒト臍帯中、及び鶏冠突起中に存在する。
そのため、用語「ヒアルロン酸及びその誘導体」は、特に上記の分子量範囲内の分子量を有するヒアルロン酸の全画分又はサブ単位を含む。
本発明の文脈では、炎症活性を有していないヒアルロン酸画分が好ましくは使用される。
様々なヒアルロン酸画分の例示として、ヒアルロン酸の列挙される生物活性をその分子量に応じて見直している、文献「Hyaluronan fragments: an information-rich system」, R. Sternら、European Journal of Cell Biology 58 (2006) 699~715頁を参照することができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明により包含される使用に好適なヒアルロン酸画分は、2,000Daから5,000,000Daの間の分子量を有する。
本発明により包含される使用にもまた好適でありうるヒアルロン酸画分は、400,000Daから5,000,000Daの間の分子量を有してよい。この場合、使用される用語は、高分子量ヒアルロン酸である。
或いは、本発明により包含される使用にもまた好適でもありうるヒアルロン酸画分は、200,000Daから400,000Daの間の分子量を有してよい。この場合、使用される用語は、中間分子量ヒアルロン酸である。
更に或いは、本発明により包含される使用にもまた好適でありうるヒアルロン酸画分は、200,000Da未満の分子量を有してよい。この場合、使用される用語は、低分子量ヒアルロン酸である。
最後に、用語「ヒアルロン酸及びその誘導体」はまた、1~20個の炭素原子を含有する、特にヒアルロン酸のD-グルクロン酸のレベルの置換度が0.5~50%の範囲である、ヒアルロン酸エステル、特にそこで酸官能基のカルボン酸基の全て又は一部がオキシエチレン化アルキル又はアルコールでエステル化されているものも含む。
特に、ヒアルロン酸のメチル、エチル、n-プロピル、n-ペンチル、ベンジル及びドデシルエステルを挙げることができる。このようなエステルは、詳細には、D. Campocciaら、「Semisynthetic resorbable materials from hyaluronan esterification」、Biomaterials 19 (1998) 2101~2127頁に記載されている。
ヒアルロン酸誘導体は、例えば、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩であってよい。
上に示した分子量はまた、ヒアルロン酸エステルにも有効である。
ヒアルロン酸は、具体的には、Hyactive社により商品名CPN(MW: 10~150kDa)で、Soliance社により商品名Cristalhyal(MW: 1.1倍、106)で、Bioland社により名称Nutra HA(MW: 820,000Da)で、Bioland社により名称Nutra AF(MW: 69,000Da)で、Bioland社により名称Oligo HA(MW: 6100Da)で、或いはVam Farmacos Metica社により名称D Factor(MW: 380Da)で供給されているヒアルロン酸であってよい。
本発明による組成物が、(b)アニオン性ポリマーのように、異なる分子量を有する少なくとも2種のヒアルロン酸を含むことが好ましい。
2種のヒアルロン酸が、高い分子量のヒアルロン酸と中程度の分子量のヒアルロン酸との組み合わせ、高い分子量のヒアルロン酸と低い分子量のヒアルロン酸との組み合わせ、又は中間の分子量のヒアルロン酸と低い分子量のヒアルロン酸との組み合わせであることが好ましい場合がある。
本発明による組成物が、100kDa以下の分子量を有する第1のヒアルロン酸と500kDa以上の分子量を有する第2のヒアルロン酸とを含むこと、より好ましくは50kDa以下の分子量を有する第1のヒアルロン酸と1000kDa以上の分子量を有する第2のヒアルロン酸とを含むことが好ましい場合がある。
第1のヒアルロン酸の量:第2のヒアルロン酸の量の比は、90:10~10:90、好ましくは80:20~20:80、より好ましくは70:30~30:70、更により好ましくは60:40~40:60であってよい。
異なる分子量を有する少なくとも2種のヒアルロン酸の組み合わせを使用することによって、本発明による組成物のテクスチャを改善することができ、且つヌードルの形成のリスクを更に低減することができる。
本発明による組成物中の(b)アニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。
本発明による組成物中の(b)アニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってよい。
本発明による組成物中の(b)アニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってよい。
(2つ以上の酸解離定数を有する非ポリマー酸)
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩、すなわち、少なくとも1種の2つ以上の酸解離定数を有する非ポリマー酸又はその塩を含む。pKa値(酸解離定数)は、当業者に周知であり、一定の温度、例えば25℃で決定されるべきである。
(c)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、粒子の形態にありうるポリイオンコンプレックス中に含むことができる。2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、(a)カチオン性ポリマーのための、又は(a)カチオン性ポリマー及び(b)アニオン性ポリマーのための、架橋剤として機能することができる。
用語「非ポリマー」は、本明細書では、酸が、2種以上のモノマーを重合することによって得られるものではないことを意味する。したがって、非ポリマー酸は、ポリカルボン酸等の2種以上のモノマーを重合することによって得られる酸には相当しない。
(c)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の分子量が、1000以下、好ましくは800以下、より好ましくは700以下であることが好ましい。
(c)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩のタイプに、限定はない。2つ以上のpKa値を有する2種以上の異なるタイプの非ポリマー酸又はその塩が、組み合わせて使用されうる。そのため、2つ以上のpKa値を有する単一のタイプの非ポリマー酸若しくはその塩、又は2つ以上のpKa値を有する異なるタイプの非ポリマー酸若しくはその塩の組み合わせを使用することができる。
用語「塩」は、本明細書では、2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸に、好適な塩基を添加することによって形成される塩を意味し、これは、当業者に公知の方法に従って、2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸と塩基との反応から得ることができる。塩として、金属塩、例えばNa及びK等のアルカリ金属との塩、並びにMg及びCa等のアルカリ土類金属との塩、並びにアンモニウム塩を挙げることができる。
(c)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、有機酸又はその塩、好ましくは親水性若しくは水溶性の有機酸又はその塩であってよい。
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、カルボン酸基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、フェノール性ヒドロキシル基、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも2つの酸基を有しうる。
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、非ポリマー多価酸であってもよい。
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、ジカルボン酸、ジスルホン酸及び二リン酸、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
(c)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、アコニット酸、オキサロ酢酸、酒石酸、及びそれらの塩; アスパラギン酸、グルタミン酸、及びそれらの塩; テレフタリリデンジカンファースルホン酸又はその塩(Mexoryl SX)、ベンゾフェノン-9; フィチン酸及びその塩; 赤色2号(アマランス)、赤色102号(ニューコクシン)、黄色5号(タルトラジン)、黄色6号(サンセットイエローFCF)、緑色3号(ファストグリーンFCF)、青色1号(ブリリアントブルーFCF)、青色2号(インジゴカルミン)、赤色201号(リソールルビンB)、赤色202号(リソールルビンBCA)、赤色204号(レーキレッドCBA)、赤色206号(リソールレッドCA)、赤色207号(リソールレッドBA)、赤色208号(リソールレッドSR)、赤色219号(ブリリアントレーキレッドR)、赤色220号(ディープマルーン)、赤色227号(ファストアシッドマジェンタ)、黄色203号(キノリンイエローWS)、緑色201号(アリザニンシアニングリーンF)、緑色204号(ピラニンコンク)、緑色205号(ライトグリーンSF黄)、青色203号(パテントブルーCA)、青色205号(アルファズリンFG)、赤色401号(ビオラミンR)、赤色405号(パーマネントレッドF5R)、赤色502号(ポンソー3R)、赤色503号(ポンソーR)、赤色504号(ポンソーSX)、緑色401号(ナフトールグリーンB)、緑色402号(ギネアグリーンB)及び黒色401号(ナフトールブルーブラック); 葉酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、及びそれらの塩; シスチン及びその塩; EDTA及びその塩;グリチルリチン及びその塩; 並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
(c)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩が、テレフタリリデンジカンファースルホン酸及びその塩(メギゾリルSX)、黄色6号(サンセットイエローFCF)、アスコルビン酸、フィチン酸、及びそれらの塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択されることが、好ましい場合がある。
本発明による組成物中の(c)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。
本発明による組成物中の(c)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってよい。
本発明による組成物中の(c)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってよい。
[高吸収性ポリマー]
本発明による組成物は、(d)少なくとも1種の高吸収性ポリマーを含む。2つ以上の異なるタイプの高吸収性ポリマーが、組み合わせて使用されうる。そのため、単一のタイプの高吸収性ポリマー、又は異なるタイプの高吸収性ポリマーの組み合わせを使用することができる。
用語「高吸水性ポリマー」は、その乾燥状態において、それ自体の質量の少なくとも20倍の、水性流体、特定すると水、特に蒸留水を自然に吸収することが可能であるポリマーを意味すると理解される。このような高吸収性ポリマーは、L. BRANNON-PAPPAS及びR. HARLANDによる書籍「Absorbent Polymer Technology、Studies in Polymer Science 8」、Elsevier社刊、1990年に記載されている。
これらのポリマーは、水及び水性流体の吸収及び保持について高い収容力を有する。水性流体の吸収後、水性流体とこのように含浸したポリマーの粒子は、水性流体に不溶性のまま残り、そのため、それらの分離した微粒子状態を保持する。
(d)高吸収性ポリマーは、ポリマー自体の質量の20~2000倍(すなわち吸収性ポリマー1グラム当たり20g~2000gの水が吸収される)、好ましくは30~1500倍、なおもより良好には50~1000倍の範囲の吸水能を有することができる。これらの吸水特性は、温度(25℃)及び圧力(760mmHg、すなわち100,000Pa)の標準条件下、蒸留水に対して定義されている。
ポリマーの吸水能の値は、水溶液150g中にポリマー0.5gを分散し、20分待ち、非吸収溶液を、150μmフィルターを通して20分間ろ過し、非吸収水を検量することによって決定することができる。
本発明の組成物中で使用される(d)高吸収性ポリマーは、粒子の形態にあり、これは、一旦水和されると、ソフトビーズの形態を伴って膨潤する。
(d)高吸収性ポリマーの粒子の平均粒径は、5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上である。
(d)高吸収性ポリマーの粒子の平均粒径は、500μm以下、好ましくは400μm以下、より好ましくは300μm以下である。
そのため、(d)高吸収性ポリマーの粒子の平均粒径は、5μm~500μm、好ましくは10μm~400μm、より好ましくは15μm~300μmである。
本発明による平均粒子は、数平均粒径とすることができる。数平均粒径は、顕微鏡によって決定することができる。平均粒径は、ヘイウッド径によって表すことができる。
(d)高吸収性ポリマーの粒子が一次粒子の凝集体である場合、粒径は、本明細書では、凝集体のサイズを意味する。そのため、この場合、粒径は二次粒子のサイズを意味する。
好ましくは、本発明において使用される(d)高吸収性ポリマーは、球体粒子の形態において付与されうる。
本発明において使用される(d)高吸収性ポリマーは、好ましくは、架橋アクリルホモポリマー又はコポリマーであってよく、これらは、好ましくは中性化され、且つこれらは微粒子形態において付与される。
(d)高吸収性ポリマーとして、以下を挙げることができる:
架橋(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリレートポリマー、好ましくは(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリレートの架橋ホモポリマー又はコポリマー、より好ましくは架橋ポリアクリル酸ナトリウム、例えば、Avecia社により名称Octacare X100、X110及びRM100で販売されているもの、SNF社により名称Flocare GB300及びFlosorb 500で販売されているもの、BASF社により名称Luquasorb 1003、Luquasorb 1010、Luquasorb 1280及びLuquasorb 1100で販売されているもの、Grain Processing社により名称Water Lock G400及びG430(INCI名: アクリルアミド/アクリル酸ナトリウムコポリマー)で販売されているもの、又は住友精化株式会社により付与されているAqua Keep 10 SH NF、又は住友精化株式会社により付与されているAqupec MG N40R(INCI名: ナトリウムカルボマー)、住友精化株式会社により付与されている名称Aqupec HV-501E、Aqupec 505E、Aqupec 505ED、Aqupec 801EG、Aqupec 801EG-300、Aqupec 805EG、Aqupec 805EG-300及びAqupec SW-705E、及びLubrizol社により付与されている名称Carbopol 934 Polymer、Carbopol 940 Polymer、Carbopol 941 Polymer、Carbopol 980 Polymer及びCarbopol 981 Polymer、アクリル又はアクリレートポリマーで、特定するとポリアクリル酸ナトリウムによりグラフトされたデンプン(ホモポリマー及びコポリマー)、例えば三洋化成工業株式会社により名称Sanfresh ST-100C、ST100MC及びIM-300MCで販売されているもの、又は大東化成工業株式会社により販売されているMakimousse 25及びMakimousse 12(INCI名: ポリアクリル酸ナトリウムデンプン);
アクリルポリマー(ホモポリマー又はコポリマー)、特にアクリロアクリルアミド/アクリル酸ナトリウムコポリマーでグラフトされた加水分解デンプン、例えばGrain Processing社により名称Water Lock A-240、A-180、B-204、D-223、A-100、C-200及びD-223(INCI名:デンプン/アクリルアミド/アクリル酸ナトリウムコポリマー)で販売されているもの;
デンプンをベースとする、ガムをベースとする、及びセルロース誘導体をベースとするポリマー、例えば、Lysac社により名称Lysorb 220で販売されている、デンプン、グアーガム及びナトリウムカルボキシメチルセルロースを含むもの;
並びにこれらのブレンド。
(d)高吸収性ポリマーは、架橋(メタ)アクリル又は(メタ)アクリレートポリマー、アクリル又はアクリレートポリマーでグラフトされたデンプン、及びこれらの混合物から選択することができる。
好ましくは、(d)高吸収性ポリマーは、100ミクロン以下の数平均径(又は平均直径)を有する粒子の形態、より好ましくは球状粒子の形態にある、架橋ポリアクリル酸ナトリウムから選ぶことができる。これらのポリマーは、10~100g/g、好ましくは20~80g/g、なおもより良好には50~70g/gの吸水能を好ましくは有する。
本発明による組成物中の(d)高吸収性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。
本発明による組成物中の(d)高吸収性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってよい。
本発明による組成物中の(d)高吸収性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってよい。
[水]
本発明による組成物は、(e)水を含む。
本発明による組成物中の(e)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上であってよい。
本発明による組成物中の(e)水の量は、組成物の総質量に対して、95質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下であってよい。
本発明による組成物中の(e)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%~95質量%、好ましくは60質量%~90質量%、より好ましくは70質量%~85質量%であってよい。
[pH]
本発明による組成物のpHは、3~9、好ましくは3.3~8.5、より好ましくは3.5~8であってよい。
3~9のpHにおいて、成分(a)~(c)によって形成されたポリイオンコンプレックスは、非常に安定であることができる。
本発明による組成物のpHは、(c)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩以外の、少なくとも1種のアルカリ剤及び/又は少なくとも1種の酸を添加することによって調整することができる。本発明による組成物のpHはまた、少なくとも1種の緩衝剤を添加することによっても調整することができる。
(アルカリ剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種のアルカリ剤を含んでよい。2種以上のアルカリ剤が、組み合わせて使用されうる。そのため、単一のタイプのアルカリ剤、又は異なるタイプのアルカリ剤の組み合わせを使用することができる。
アルカリ剤は、無機アルカリ剤であってもよい。無機アルカリ剤が、アンモニア; アルカリ金属水酸化物; アルカリ土類金属水酸化物; アルカリ金属リン酸塩及びリン酸一水素塩、例えばリン酸ナトリウム又はリン酸一水素ナトリウムからなる群から選択されることが好ましい。
無機アルカリ金属水酸化物の例として、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを挙げることができる。アルカリ土類金属水酸化物の例として、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムを挙げることができる。無機アルカリ剤として、水酸化ナトリウムが好ましい。
アルカリ剤は、有機アルカリ剤であってもよい。有機アルカリ剤が、モノアミン及びその誘導体、ジアミン及びその誘導体、ポリアミン及びその誘導体、塩基性アミノ酸及びその誘導体、塩基性アミノ酸のオリゴマー及びその誘導体、塩基性アミノ酸のポリマー及びその誘導体、尿素及びその誘導体、並びにグアニジン及びその誘導体からなる群から選択されることが好ましい。
有機アルカリ剤の例として、アルカノールアミン、例えばモノ-、ジ-及びトリ-エタノールアミン、並びにイソプロパノールアミン; 尿素、グアニジン及びそれらの誘導体; 塩基性アミノ酸、例えばリジン、オルニチン又はアルギニン; 並びにジアミン、例えば構造 :
(式中、Rは、ヒドロキシル基又はC1~C4アルキル基で任意選択で置換されているプロピレン等のアルキレンを示し、R1、R2、R3及びR4は、独立に、水素原子、アルキル基又はC1~C4ヒドロキシアルキル基を示し、これは、1,3-プロパンジアミン及びその誘導体によって例示することができる)
によって説明されるものを挙げることができる。アルギニン、尿素及びモノエタノールアミンが好ましい。
アルカリ剤は、それらの溶解度に応じて、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.02質量%~10質量%、より好ましくは0.03質量%~5質量%の総量で使用することができる。
(酸)
本発明による組成物は、少なくとも1種の酸を含んでよい。2種以上の酸が、組み合わせて使用されうる。そのため、単一タイプの酸、又は異なるタイプの酸の組み合わせを使用することができる。
酸として、化粧料中で一般に使用される任意の無機酸又は有機酸、好ましくは無機酸を挙げることができる。一価の酸及び/又は多価の酸を使用してもよい。クエン酸、乳酸、硫酸、リン酸及び塩酸(HCl)等の一価の酸を使用することができる。HClが好ましい。
酸は、それらの溶解度に応じて、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.02質量%~10質量%、より好ましくは0.03質量%~5質量%の総量で使用することができる。
(緩衝剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種の緩衝剤を含んでよい。2種以上の緩衝剤が、組み合わせて使用されうる。そのため、単一のタイプの緩衝剤、又は異なるタイプの緩衝剤の組み合わせを使用することができる。
緩衝剤として、酢酸緩衝液(例えば、酢酸+酢酸ナトリウム)、リン酸緩衝液(例えば、リン酸二水素ナトリウム+リン酸水素二ナトリウム)、クエン酸緩衝液(例えば、クエン酸+クエン酸ナトリウム)、ホウ酸緩衝液(例えば、ホウ酸+ホウ酸ナトリウム)、酒石酸緩衝液(例えば、酒石酸+酒石酸ナトリウム二水和物)、トリス緩衝液(例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、及びHepes緩衝液(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)を挙げることができる。
[油]
本発明による組成物は、(f)少なくとも1種の油を含んでよい。2種以上の油が使用される場合、それらは、同一であっても異なっていてもよい。
本明細書では、「油」は、大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)にて、液体又はペースト(非固体)の形態にある脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧品中で一般に使用されるものを、単独で又はそれらの組み合わせで使用することができる。これらの油は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
(f)油は、炭化水素油、シリコーン油等の非極性油; 植物油若しくは動物油、及びエステル油若しくはエーテル油等の極性油、又はこれらの混合物であってよい。
(f)油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油及び脂肪アルコールからなる群から選択することができる。
植物油の例として、例えば、アプリコット油、亜麻仁油、カメリア油、マカダミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、ベニバナ油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
合成油の例として、アルカン油、例えばイソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとの液状エステルであり、該エステルの炭素原子の総数は10以上である。
好ましくは、一価アルコールのエステルの場合、本発明のエステルが誘導されるアルコール及び酸の中からの少なくとも1種は、分枝状である。
一酸と一価アルコールとのモノエステルの中で、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、並びにモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた、使用することができる。
特に挙げることができるのは、セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールである。
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の、糖エステル及びジエステルを使用することができる。用語「糖」が、アルデヒド又はケトン官能基ありの又はなしの、少なくとも4個の炭素原子を含む、いくつかのアルコール官能基を含有する、酸素を有する炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖とすることができる。
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はショ糖)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、特に、アルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてはメチルグルコースがある。
脂肪酸の糖エステルは、特に、前述の糖と、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物を含む群から選ぶことができる。これらの化合物は、不飽和である場合、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル及びポリエステル、並びにこれらの混合物から選択することもできる。
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ油脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えば、特に、オレオパルミチン酸、オレオステアリン酸及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルでもよい。
より詳細には、モノエステル及びジエステル、特に、スクロース、グルコース又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
挙げることができる例は、ジオレイン酸メチルグルコースである、Amerchol社により名称Glucate(登録商標)DOで販売されている製品である。
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸2-エチルヘキシル/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、イソノナン酸セテアリル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
人工トリグリセリドの例として、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
シリコーン油の例として、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等; 環状オルガノポリシロキサン、例えばシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等、及びこれらの混合物を挙げることができる。
好ましくは、シリコーン油は、液状ポリジアルキルシロキサン、特に液状ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び少なくとも1つのアリール基を含む液状ポリオルガノシロキサンから選ばれる。
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてよい。本発明に使用されうる有機変性シリコーンは、上に定義した、且つそれらの構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1つ又は複数の有機官能基を含む、シリコーン油である。
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968)、Academic Pressにおいて、より詳細に定義されている。これらは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
それらが揮発性である場合、シリコーンは、より詳細には、沸点が60℃から260℃の間であるものから選ばれ、更により詳細には以下から選ばれる:
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特にUnion Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標)7207で、又はRhodia社によりSilbione(登録商標)70045 V2で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標)7158で、Rhodia社によりSilbione(登録商標)70045 V5で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社により名称Silsoft 1217で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物である。ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン等のタイプのシクロコポリマー、例えば、式:
の、Union Carbide社により販売されているSilicone Volatile(登録商標) FZ 3109もまた挙げることができる。
環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物もまた挙げることができる
並びに
(ii)2~9個のケイ素原子を含有し、25℃にて5×10-6m2/s以下の粘度を有する、直鎖状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社により名称SH 200で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。このカテゴリーに属するシリコーンはまた、Cosmetics and Toiletries、Vol. 91、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsにおいて発表された記事にも記載されている。シリコーンの粘度は、ASTM規格445附属書Cに従って、25℃にて測定される。
不揮発性ポリジアルキルシロキサンもまた使用することができる。これらの不揮発性シリコーンは、より詳細にはポリジアルキルシロキサンから選ばれ、その中で、主としてトリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンを挙げることができる。
これらのポリジアルキルシロキサンの中で、以下の市販製品を非限定的に挙げることができる:
- Rhodia社により販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70047シリーズ又はMirasil(登録商標)油、例としては70047 V 500000油、
- Rhodia社により販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば粘度が60,000mm2/sであるDC200、並びに
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油、及びGeneral Electric社製のSFシリーズの特定の油(SF 96、SF 18)。
名称ジメチコノール(CTFA)で知られる、ジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油もまた挙げることができる。
アリール基を含有するシリコーンの中で、ポリジアリールシロキサン、特にポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
フェニルシリコーン油は、式:
(式中、
R1~R10は、互いに独立して、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状のC1~C30炭化水素系基、好ましくはC1~C12炭化水素系基、より好ましくはC1~C6炭化水素系基、具体的にはメチル、エチル、プロピル又はブチルの各基であり、
m、n、p及びqは、互いに独立に、両端を含んで0~900、好ましくは両端を含んで0~500、より好ましくは両端を含んで0~100の整数であり、
但し、和n+m+qは0以外である)
のフェニルシリコーンから選ぶことができる。
挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品がある:
- Rhodia社製のSilbione(登録商標)油の70641シリーズ、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製の油Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20、
- General Electric社製のSFシリーズの特定の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
フェニルシリコーン油として、フェニルトリメチコン(上記式中、R1~R10はメチルであり、p、q及びn=0であり、m=1である)が好ましい。
有機変性液状シリコーンは、特にポリエチレンオキシ基及び/又はポリプロピレンオキシ基を含有しうる。そのため、信越化学工業株式会社によって提案されているシリコーンKF-6017、及びUnion Carbide社製のSilwet(登録商標)L722油及びL77油を挙げることができる。
炭化水素油は、以下から選ぶことができる:
- 直鎖状又は分枝状の、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンが挙げられ、並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、液状パラフィン、液状石油ゼリー、ポリデセン及び水素化ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、及びスクアラン。
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、イソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱油(例えば液状パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等; 水素化ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー; 並びにこれらの混合物を挙げることができる。
脂肪アルコールにおける用語「脂肪」は、比較的多数の炭素原子の包含を意味する。そのため、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールが、脂肪アルコールの範囲内に包含される。脂肪アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪アルコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。
脂肪アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、4~40個の炭素原子、好ましくは6~30個の炭素原子、より好ましくは12~20個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選ばれる)を有しうる。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル基及びC12~C20アルケニル基から選ぶことができる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基によって置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
脂肪アルコールが飽和脂肪アルコールであることが好ましい。
そのため、脂肪アルコールは、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC6~C30アルコール、好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和のC6~C30アルコール、より好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和のC12~C20アルコールから選択することができる。
用語「飽和の脂肪アルコール」は、本明細書では、長い脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和の脂肪アルコールが、任意の直鎖状又は分枝状の、飽和のC6~C30脂肪アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の、飽和のC6~C30脂肪アルコールの中で、直鎖状又は分枝状の、飽和のC12~C20脂肪アルコールが、好ましく使用されうる。任意の直鎖状又は分枝状の、飽和のC16~C20脂肪アルコールが、より好ましくは使用されうる。分枝状のC16~C20脂肪アルコールが、更により好ましくは使用されうる。
飽和の脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はこれらの混合物(例えばセテアリルアルコール)、及びベヘニルアルコールが、飽和の脂肪アルコールとして使用されうる。
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物中で使用される脂肪アルコールは、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物から、好ましくは選ばれる。
本発明によれば、(f)油は、複数のポリイオンコンプレックス粒子によって取り囲まれていてもよく、又は(f)油は、ポリイオンコンプレックス粒子によって形成されたカプセルの中空部分内に存在してもよい。換言すると、(f)油は、ポリイオンコンプレックス粒子によって被覆されていてもよく、又はポリイオンコンプレックス粒子によって形成されたカプセルが、カプセルの中空部分内に(f)油を含む。
ポリイオンコンプレックス粒子によって取り囲まれている又はポリイオンコンプレックス粒子によって形成されたカプセルの中空部分内に存在している(f)油は、皮膚等のケラチン物質と直接接触することができない。そのため、(b)油がべたつく又は油っぽい使用感を有する場合であっても、本発明による組成物は、べたつく又は油っぽい使用感をもたらすことがない。
本発明による組成物中の(f)油の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。
本発明による組成物中の(f)油の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下であってよい。
本発明による組成物中の(f)油の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~50質量%、好ましくは0.05質量%~40質量%、より好ましくは0.1質量%~30質量%であってよい。
[任意選択の成分]
本発明による組成物は、前述の必須成分に加えて、少なくとも1種の、化粧品中に典型的に用いられる任意選択の成分を含んでよく、これは、具体的には、界面活性剤又は乳化剤、親水性又は親油性増粘剤、有機の揮発性又は不揮発性溶媒、例えばポリオール、特定すると(f)油以外のグリコール、シリコーン及びシリコーン誘導体、動物又は植物に由来する天然抽出物、ワックス、フィラー、UV遮蔽剤等を、本発明の効果を損なわない範囲内で含んでよい。
本発明による組成物は、上記の任意選択の成分を、組成物の総質量に対して、0.01質量%~50質量%、好ましくは0.05質量%~30質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%の量で含んでよい。
しかしながら、本発明による組成物が、非常に限られた量の界面活性剤又は乳化剤を含むことが好ましい。本発明による組成物中の界面活性剤又は乳化剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下であってよい。本発明による組成物が界面活性剤又は乳化剤を含まないことが特に好ましい。
[組成物]
本発明による組成物は、化粧用組成物として使用されることが意図されてよい。そのため、本発明による化粧用組成物は、ケラチン物質への塗布が意図されてよい。ケラチン物質は、本明細書では、ケラチンを主な構成要素として含有する物質を意味し、その例には、皮膚、頭皮、爪、唇、毛髪等が挙げられる。そのため、本発明による化粧用組成物が、ケラチン物質、特に皮膚のための美容方法のために使用されることが好ましい。
そのため、本発明による化粧用組成物は、皮膚化粧用組成物、好ましくはスキンケア組成物又は皮膚メイクアップ組成物、より好ましくはスキンケア組成物であってよい。
本発明による組成物は、当業者に周知である方法のいずれかに従って、上記の必須成分と任意選択の成分とを混合することによって調製することができる。
本発明による組成物は、撹拌機等の従来の混合手段を用いて、単純に又は容易に混合することによって調製することができる。そのため、例えばホモジナイザによる強力な剪断は必要ではない。また、加熱は必要ではない。
本発明による組成物が(f)油を含む場合、油は、エマルション、O/Wエマルション又はW/Oエマルションの形態にあることができる。本発明による組成物が、O/Wエマルションの形態にあることが好ましく、その理由は、O/Wエマルションの形態が、その外相を形成する(e)水に起因して、清涼感を付与できるからである。
エマルション、特定するとO/Wエマルション中の界面活性剤又は乳化剤の量が、組成物の総質量に対して、3質量%以下、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下であることがより好ましく、その理由は、界面活性剤が、耐水性に悪影響を与えうるからである。エマルション、特定するとO/Wエマルションが、界面活性剤又は乳化剤を含まないことが特に好ましい。
[皮膜]
本発明による組成物は、本発明による皮膜として称される皮膜を容易に調製するために使用することができる。ポリイオンコンプレックスを形成することができる(a)カチオン性ポリマー及び(b)アニオン性ポリマー並びに(c)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、統合して、連続皮膜を形成することができる。
そのため、本発明はまた、好ましくは0.1μm超、より好ましくは1.5μm以上、更により好ましくは2μm以上の厚さを任意選択で有する皮膜、好ましくは化粧皮膜を調製するための方法であって、
基材、好ましくはケラチン物質、より好ましくは皮膚上に、本発明による組成物を塗布する工程と、
該組成物を乾燥させる工程と
を含む方法にも関する。
本発明による皮膜の厚さの上限は、限定されない。そのため、例えば、本発明による皮膜の厚さは、1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、更により好ましくは100μm以下であってよい。
本発明による皮膜を調製するための上記方法が、本発明による組成物を、基材、好ましくはケラチン物質、より好ましくは皮膚上に塗布する工程と、該組成物を乾燥させる工程とを含むことから、本発明による方法は、スピンコーティング又はスプレーすることを一切必要とせず、したがって、比較的厚い皮膜さえ容易に調製することが可能である。そのため、本発明による皮膜を調製する方法は、スピンコーター及びスプレー機等の特殊な装置を一切用いずに、比較的厚い皮膜を調製することができる。
本発明による皮膜が比較的厚い場合であっても、該皮膜は、依然として薄く、透明であることができ、したがって、容易に知覚されない場合がある。そのため、本発明による皮膜は、好ましくは化粧皮膜として使用することができる。
基質が皮膚等のケラチン物質ではない場合、本発明による組成物は、ケラチン以外の任意の材料から作製された基質上に塗布することができる。非ケラチン基質の材料は、限定されない。2種以上の材料が、組み合わせて使用されうる。そのため、単一のタイプの材料、又は異なるタイプの材料の組み合わせを使用することができる。いずれの場合でも、基質が可撓性又は弾性であることが好ましい。
基質がケラチン物質ではない場合、該基質が水溶性であることが好ましく、その理由は、基質を水で洗浄することによって本発明による皮膜を残すことが可能であるからである。水溶性材料の例として、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、デンプン、酢酸セルロース等を挙げることができる。PVAが好ましい。
非ケラチン基質がシートの形態にある場合、該基質は、基質シートに付着した皮膜の取り扱いを容易にするために、本発明による皮膜の厚さを超える厚さを有してもよい。非ケラチン基質シートの厚さは限定されないが、1μm~5mm、好ましくは10μm~1mm、より好ましくは50~500μmであってよい。
本発明による皮膜が、非ケラチン基質から除去可能であることがより好ましい。除去の方式は、限定されない。したがって、本発明による皮膜は、非ケラチン基質から剥がしてもよく、又は基質シートを水等の溶媒中に溶解することによって除去してもよい。
本発明はまた、
(1) 好ましくは0.1μm超、より好ましくは1.5μm以上、更により好ましくは2μm以上の厚さを任意選択で有する皮膜、好ましくは化粧皮膜であって、
基質、好ましくはケラチン物質、より好ましくは皮膚上に、本発明による組成物を塗布する工程と、
該組成物を乾燥させる工程と
を含む方法によって調製される、皮膜、好ましくは化粧皮膜、
及び
(2) (a)少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、(b)少なくとも1種のアニオン性ポリマーと、(c)少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩と、任意選択で(f)少なくとも1種の油とを含む、好ましくは0.1μm超、より好ましくは1.5μm以上、更により好ましくは2μm以上の厚さを任意選択で有する、皮膜、好ましくは化粧皮膜であって、
(b)アニオン性ポリマーが、ヒアルロン酸及びその誘導体から選択される、皮膜、好ましくは化粧皮膜に関することができる。
(a)カチオン性ポリマー及び(b)アニオン性ポリマー、並びに(c)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩、並びに(f)油に関する上記の説明は、上記の皮膜(1)及び(2)におけるものに当てはめることができる。
このようにして上記で得られた本発明による皮膜は、自立性であることができる。用語「自立性」は、本明細書では、本発明による皮膜がシートの形態にあることができ、基質又は支持体の補助なしに、独立したシートとして取り扱うことができることを意味する。そのため、用語「自立性」は、「自己支持性」と同じ意味を有することができる。
本発明による上記皮膜が疎水性であることが好ましい。
本明細書における用語「疎水性」は、20~40℃、好ましくは25~40℃、より好ましくは30~40℃でのポリマーの(好ましくは1リットルの体積の)水中溶解度が、ポリマーの総質量に対して、10質量%未満、好ましくは5質量%未満、より好ましくは1質量%未満、更により好ましくは0.1質量%未満であることを意味する。ポリマーが水に可溶でないことが最も好ましい。
本発明による上記皮膜が疎水性である場合、該皮膜は、耐水特性を有することができ、したがって、該皮膜は、ケラチン物質の表面が例えば汗及び雨により濡れている場合であっても、皮膚等のケラチン物質上に残存することができる。そのため、本発明による皮膜が任意の美容効果をもたらす場合、美容効果は長時間持続することができる。
その一方で、本発明による皮膜は、8~12、好ましくは9~11のpH等のアルカリ性条件下で、皮膚等のケラチン物質から容易に除去することができる。したがって、皮膜は、水で除去することは困難であるが、このようなアルカリ性条件をもたらすことができる石けんで容易に除去することができる。
本発明による皮膜は、少なくとも1種の生体適合性及び/又は生分解性ポリマー層を含んでよい。2種以上の生体適合性及び/又は生分解性ポリマーが、組み合わせて使用されうる。そのため、単一のタイプの生体適合性及び/若しくは生分解性ポリマー、又は異なるタイプの生体適合性及び/若しくは生分解性ポリマーの組み合わせを使用することができる。
本明細書における用語「生体適合性」ポリマーは、ポリマーと、皮膚を含む生体内の細胞との間でポリマーが過度な相互作用を有さず、且つポリマーが、生体によって異物として認識されないことを意味する。
本明細書における用語「生分解性」ポリマーは、例えば生体自体の代謝、又は生体内に存在しうる微生物の代謝により、ポリマーが生体内で分解されうる又は分割されうることを意味する。また、生分解性ポリマーは、加水分解によって分解されうる。
本発明による皮膜が生体適合性及び/又は生分解性ポリマーを含む場合、該皮膜は、皮膚への刺激が少なく又は全くなく、発疹を一切起こさない。加えて、生体適合性及び/又は生分解性ポリマーの使用に起因して、本発明による皮膜は、皮膚によく接着することができる。
本発明による皮膜は、ケラチン物質、好ましくは皮膚、特定すると顔の、美容トリートメントのために使用することができる。本発明による皮膜は、任意の形状又は形態にあることができる。例えば、該皮膜は、フルフェイスマスクシート、又は頬、鼻、及び目の周り等の顔の一部用のパッチとして使用することができる。
本発明による皮膜が、少なくとも1種の親水性又は水溶性UV遮蔽剤を含む場合、該皮膜は、親水性又は水溶性UV遮蔽剤に由来するUV遮蔽効果をもたらすことができる。通常、親水性又は水溶性UV遮蔽剤は、汗及び雨等の水によって皮膚等のケラチン基質の表面から除去されうる。しかしながら、親水性又は水溶性UV遮蔽剤が皮膜中に含まれることから、親水性又は水溶性UV遮蔽剤を水によって除去することは困難であり、それにより、長時間持続するUV遮蔽効果が得られる。
[美容方法及び使用]
本発明はまた、
ケラチン物質に、本発明による組成物を塗布する工程、及び該組成物を乾燥させて、ケラチン物質上に化粧皮膜を形成する工程を含む、皮膚等のケラチン物質のための美容方法と、
本発明による組成物の、皮膚等のケラチン物質上に化粧皮膜を調製するための、使用と
にも関する。
美容方法は、本明細書では、皮膚等のケラチン物質の表面をケアする及び/又はメイクアップするための非治療的美容方法を意味する。
上記の方法と使用との両方において、上記の化粧皮膜は、7以下のpHを有する水に耐性があり、7超、好ましくは8以上、より好ましくは9以上のpHを有する水で除去可能である。
換言すると、上記の化粧皮膜は、7以下、好ましくは6以上で7以下の範囲、より好ましくは5以上で7以下の範囲のpH等の中性又は酸性条件下で耐水性であることができ、その一方で、上記の化粧皮膜は、7超、好ましくは8以上、より好ましくは9以上のpH等のアルカリ性条件下で除去することができる。pHの上限は、好ましくは13、より好ましくは12、更により好ましくは11である。
これに応じて、上記の化粧皮膜は、耐水性であることができ、したがって、該化粧皮膜は、ケラチン物質の表面が例えば汗及び雨により濡れている場合であっても、皮膚等のケラチン物質上に残存することができる。その一方で、上記の化粧皮膜は、アルカリ性条件下で、皮膚等のケラチン物質から容易に除去することができる。したがって、本発明による皮膜は、水で除去することは困難であるが、アルカリ性条件をもたらすことができる石けんで容易に除去することができる。
上記の化粧皮膜が、本発明による組成物中に存在しうるUV遮蔽剤を含む場合、上記の化粧皮膜は、UV線から皮膚等のケラチン物質を保護し、それにより、皮膚の黒ずみを抑え、肌の色及び均一性を改善し、並びに/又は皮膚の老化を処置することができる。
更に、上記の化粧皮膜は、化粧皮膜が美容有効成分を一切含まない場合であっても、化粧皮膜中のポリイオンコンプレックス粒子の特性により、皮脂を捕獲する、皮膚等のケラチン基材の外観にマット感を付与する、悪臭を吸収若しくは吸着する、及び/又は例えば汚れ若しくは汚染物質からケラチン物質を保護する等の美容効果を有しうる。
加えて、上記の化粧皮膜は、化粧皮膜が化粧有効成分を一切含まない場合であっても、皮膚上の光反射を変化させること等によって皮膚の外観を即座に変化させる又は修正することができる。したがって、上記の化粧皮膜が毛穴又はしわ等の皮膚の欠陥を隠すことが可能でありうる。更に、上記の化粧皮膜は、皮膚上の表面粗さ等を変化させることによって、皮膚の触感を即座に変化させる又は修正することができる。更に、上記の化粧皮膜は、環境ストレス、例えば汚染物質、夾雑物等から、バリアーとして、皮膚の表面を被覆し、皮膚を遮蔽することによって、皮膚を即座に保護することができる。
上記の化粧効果は、上記の化粧皮膜の化学組成、厚さ及び/又は表面粗さを変化させることによって調整することができる又は制御することができる。
上記の化粧皮膜が、(f)油以外の少なくとも1種の追加の化粧有効成分を含む場合、該化粧皮膜は、その追加の化粧有効成分によってもたらされる化粧効果を有することができる。例えば、化粧皮膜が、抗老化剤、皮脂抑制剤、デオドラント剤、発汗抑制剤、白色剤、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化粧有効成分を含む場合、該化粧皮膜は、皮膚の老化を処置し、皮膚上の皮脂を吸収し、皮膚上の匂いを制御し、皮膚上の発汗を制御し、及び/又は皮膚を白色化することができる。
皮膚上に塗布した後に、本発明による化粧皮膜又は美容シート上にメイクアップ化粧用組成物を塗布することもまた可能である。
本発明は、実施例によって、より詳細に記載されることになる。しかしながら、それらは、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
(実施例1~3及び比較例1~4)
[調製]
実施例1~3及び比較例1~4による組成物のそれぞれを、表1に示す成分を混合することによって、以下の工程1~8に従って調製した。
1.相Aのための成分を混合し、75℃+/-5℃にて均質化して、相Aの混合物を得た。
2.相Bのための成分を、工程1によって得た相Aの混合物に添加し、75℃+/-5℃にて均質化して、相A及び相Bの混合物を得た。
3.相Cのための成分を、工程2によって得た上記相A及び相Bの混合物に添加し、75℃+/-5℃にて均質化して、相A、B及びCの混合物を得た。
4.相Dのための成分を、工程3によって得た上記相A、B及びCの混合物に添加し、75℃+/-5℃にて均質化して、相A、B、C及びDの混合物を得た。
5.相Eのための成分を、工程4によって得た上記相A、B、C及びDの混合物に添加し、75℃+/-5℃にて均質化して、相A、B、C、D及びEの混合物を得た。
6.相Fのための成分を、工程5によって得た上記相A、B、C、D及びEの混合物に添加し、75℃+/-5℃にて均質化して、相A、B、C、D、E及びFの混合物を得た。
7.相Gのための成分を、工程6によって得た上記相A、B、C、D、E及びFの混合物に添加し、室温にて均質化して、相A、B、C、D、E、F及びGの混合物を得た。
8.相Hのための成分を、工程7によって得た上記相A、B、C、D、E、F及びGの混合物に添加し、室温にて均質化して、均質な組成物を得た。
表1中の成分の量についての数値は全て、活性材料の「質量%」に基づく。
表1の(a)~(f)は、特許請求の範囲におけるものに相当する。
粒径: 顕微鏡により決定される数平均粒径
[評価]
(皮脂の制御)
実施例1~3及び比較例1~4による組成物のそれぞれを、自動式皮膜塗布器によってコントラストシート全体に塗り広げて、100μmの層を形成し、37℃にて24時間放置して乾燥させた。その後、以下の表2に示す配合を有する人工皮脂/汗組成物を、室温にて、コントラストカード上の上記層の上にスプレーした。上記層のそれぞれの上にスプレーした人工皮脂/汗組成物の量は、互いに同一とした。
24時間後、上記層の表面粗さを、共焦点顕微鏡により観察した。表面粗さを以下の基準により評価した。
良好: 高い表面粗さ
不良: 低い表面粗さ
高い表面粗さは、層が人工皮脂/汗組成物を吸収し、それを長期間その中に維持したことを意味する。高い表面粗さはまた、マット効果を示して良好である。そのため、高い表面粗さは、良好な皮脂制御効果を反映している。
実施例1~3による組成物は、十分に粗い表面を形成することができた。その一方で、比較例1~4による組成物は、十分に粗い表面を形成することができなかった。これらの結果は、ポリイオンコンプレックスと高吸収性ポリマーとの組み合わせが、増強された抗皮脂効果をもたらすことができ、これがマット外観に寄与できることを反映している。
(ヌードル)
上記表2に示す人工皮脂/汗組成物をバイオスキン上に塗布した。次に、実施例1~3及び比較例1~4による組成物のそれぞれをバイオスキン上に塗布し、指で広げ、続いて40℃にて乾燥させた。次に、ファンデーションをその上に塗布してこすった。ファンデーションのヌードルの形成を、以下の基準により評価した。
良好: ヌードルを全く又はわずかしか観察しなかった
不良: ヌードルを顕著に観察した
ヌードル: 塗布中に生成した消去剤残渣として出現する凝集体
実施例1~3による組成物は、ヌードルを全く又はほとんど引き起こさなかった。その一方で、比較例1~3による組成物は、顕著な量のヌードルを引き起こした。これらの結果は、ポリイオンコンプレックスがヌードルの形成を抑制できることを反映している。
(安定性)
実施例1~3及び比較例1~4による組成物のそれぞれを、45℃で2か月間、透明な容器中で保存した。組成物の安定性を目視で観察し、以下の基準に従って評価した。
良好: 組成物の均一性は維持された。
不良: 組成物の均一性は維持されなかった(水の放出又は相分離が顕著に見られた)。
結果を表1に示す。
実施例1~3による組成物は、安定であった。その一方で、比較例4による組成物は、不安定であった。これらの結果は、高吸収性ポリマーが、ポリイオンコンプレックスを含む組成物の安定性を増強できることを反映している。

Claims (15)

  1. (a)少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、
    (b)少なくとも1種のアニオン性ポリマーと、
    (c)少なくとも1種の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩と、
    (d)少なくとも1種の高吸収性ポリマーと、
    (e)水と
    を含む、組成物であって、
    (b)アニオン性ポリマーが、ヒアルロン酸及びその誘導体から選択され、
    (d)高吸収性ポリマーが、5μm~500μm、好ましくは10μm~400μm、より好ましくは15μm~300μmの平均粒径を有する粒子の形態にある、
    組成物。
  2. (a)カチオン性ポリマーが、第一級、第二級又は第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基及びピリジル基からなる群から選択される少なくとも1つの正電荷を有することができる及び/又は正電荷を有する部分を有する、請求項1に記載の組成物。
  3. (a)カチオン性ポリマーが、アルキルジアリルアミンのシクロポリマー、及びジアルキルジアリルアンモニウムのシクロポリマー、例えば(コ)ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、(コ)ポリアミン、例えばキトサン及び(コ)ポリリジン、カチオン性(コ)ポリアミノ酸、例えばコラーゲン、カチオン性セルロースポリマー、並びにそれらの塩からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. (a)カチオン性ポリマーの量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. (b)アニオン性ポリマーとして、少なくとも2種の、異なる分子量を有するヒアルロン酸を、好ましくは100kDa以下の分子量を有する第1のヒアルロン酸と500kDa以上の分子量を有する第2のヒアルロン酸とを、より好ましくは50kDa以下の分子量を有する第1のヒアルロン酸と1000kDa以上の分子量を有する第2のヒアルロン酸とを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. (b)アニオン性ポリマーの量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. (c)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩が、有機酸又はその塩、好ましくは親水性若しくは水溶性の有機酸又はその塩、より好ましくはフィチン酸又はその塩である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. (c)2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. (d)高吸収性ポリマーが、架橋(メタ)アクリル又は(メタ)アクリレートポリマー、アクリル又は(メタ)アクリレートポリマーでグラフトされたデンプン、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. (d)高吸収性ポリマーの量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
  11. (e)水の量が、組成物の総質量に対して、50質量%~95質量%、好ましくは60質量%~90質量%、より好ましくは70質量%~85質量%である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
  12. pHが、3~9、好ましくは3.3~8.0、より好ましくは3.5~8である、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
  13. (f)少なくとも1種の油を更に含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
  14. 化粧用組成物、好ましくは皮膚化粧用組成物、より好ましくはスキンケア化粧用組成物である、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
  15. 皮膚等のケラチン物質のための美容方法であって、
    ケラチン物質に、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物を塗布する工程と、
    組成物を乾燥させてケラチン物質上に化粧皮膜を形成する工程と
    を含む、美容方法。
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