[0001] 発明の分野
[0002] 本発明は、添付の独立請求項のプリアンブルに記載の火力蒸気発生器における頂部支持型(top-supported)垂直煙道ガス通路の第1の側壁を水平に支持するための装置および方法に関する。本発明のいくつかの有利な実施形態によれば、第1の側壁は、火力蒸気発生器内の2つの隣接する煙道ガス通路の共通壁である。
[0003] 関連技術の説明
[0004] 循環型流動床ボイラなどの火力蒸気発生器は、一般に、炉と、炉の上部とガス流接続する煙道ガスダクトとを備える。炉と、煙道ガスダクトとを囲む側壁は、従来、板状のフィンと一緒に溶接された並列の水チューブを含む、いわゆるチューブ・ウォール構築物(tube-wall construction)として形成される。側壁は、通常、蒸発水チューブを含み、これは動作中に水と蒸気の混合物を搬送し、それによって側壁は実質的に蒸発温度になる。この煙道ガスダクトは、一般に、複数の実質的に直線状のセクション、いわゆる煙道ガス通路を含む。煙道ガスがその中で形成され、主として上方に搬送される炉は、第1の煙道ガス通路と呼ばれることが多い。通常、煙道ガス通路の少なくとも1つは、過熱チューブ、すなわち比較的高温で蒸気を過熱蒸気に変換するために煙道ガスから熱を回収するのに使用される、蒸気搬送チューブを含む。
[0005] 特許文献GB837994Aは、一対の外向きに突出したラグ(lug)を湾曲チューブの各々に嵌め込み、このラグをウォールチューブ(wall tube)に溶接された同様の内向きに延びるラグの上に支持することによって、煙道ガス通路の対向するウォールチューブから過熱器チューブを支持することによって、湾曲過熱器チューブのバンクを煙道ガス通路に吊り下げるやり方に言及しており、ここで、ラグの係合面は、温度の変化に伴う過熱器チューブの伸縮を可能にするように適合されている。文献GB837994Aはまた、チューブのリターンベンドに取り付けられて、煙道ガス通路の対向する壁に沿って横たわるように上方から吊り下げられた直立の流体冷却チューブの対向列の内側に沿って装着された、流体冷却チューブの水平セクションと摺動接触して静止するように配設された、支持ラグによって、煙道ガス通路内に対応する過熱器チューブを支持するやり方も開示している。
[0006] 特許文献GB892639は、ガス通路を画定する反対側の直立するウォールチューブの間に配置された入れ子にされたリターンベンドチューブのプラテンで形成された、過熱器およびエコノマイザなどの、ガス通路内の水平流体ヒーターは、通常、壁に取り付けられたブラケットと、ヒーターに取り付けられたラグから構成されており、ここで、プラテンは、ラグを壁ブラケット上に静止させることによって端部支持され、プラテンの熱膨張による移動は、ラグと壁ブラケットとの間の相対的な摺動運動に収容されることに言及している。文献GB892639はまた、ボイラのガス通路におけるチューブ状過熱器を開示しており、この過熱器は、ガス通路を横切って水平に延びるチューブ脚部を有する、入れ子にされた湾曲チューブを含む直立のチューブプラテン(tube platen)を含み、ここで、入れ子にされたリターンベンドの最外部のリターンベンドはガス通路の境界に相対的に固定され、一方、内部リターンベンドを含む各チューブは、チューブ脚部間の相対的な縦方向移動を許容するように、外部リターンベンドを含むチューブから支持される。プラテンの最下部チューブ脚部は、ボイラの流体循環に接続することのできる直立型の流体冷却支持チューブを含む、支持手段によって下方から支持されてもよい。
[0007] 火力蒸気発生器内の炉および他の煙道ガス通路の、垂直のチューブ・ウォール型(tube-walled)側壁は、通常、側壁の外表面に吊るして配置された複数の強固なビーム、いわゆるバックステー(buckstay)によって、側壁の内側と外側の圧力差に抗して支持される。このようなバックステーは、この構築物の重量とコストを増大させる。米国特許第8393304B2号は、垂直の地面支持された柱に壁を接続することによってバックステーの重量を低減することを可能にするように、ボイラの頂部支持型炉を包囲する垂直のチューブ・ウォールを支持することを開示しており、ここで、接続は、ウォータ・チューブ・ウォール(water-tube wall)の動きがボイラの温度変化による動きによって引き起こされる方向にのみ可能であるように行われる。ボイラの側壁を支持するのに必要なバックステーの重量または数量をさらに最小化することのできる新しいやり方を見出すことは、当然ながら望ましい。
[0008] いくつかの蒸気発生器は、隣接する先工程の(earlier)、すなわち上流の、煙道ガス通路との共通壁を有する過熱チューブを含む、垂直煙道ガス通路を備える。一例として、流動床ボイラのいわゆるオーバー・ザ・トップ構成は、炉との共通壁を有する垂直煙道ガス通路を有してもよい。別の例として、廃棄物焼却ボイラなどの、流動床ボイラは、過熱チューブを備える下降流煙道ガス通路との共通壁を有する、空の通路を有してもよい。そのような共通壁の両側には、高温煙道ガス流の激しい流れがあるために、共通壁は、一般に、従来型のバックステーでは強化することができない。
[0009] GB1015838は、燃焼室と、燃焼室と共通の壁を有する隣接する煙道ガス通路とが、燃焼室およびガス通路の両方を囲む水平リングフレームによって補剛される、蒸気発生器を開示している。燃焼室とガス通路の共通チューブ・ウォールは、共通壁に沿って配置された、冷却された水平ストラットによって補剛され、この水平ストラットは、ガス通路を横切って配設された、冷却された横方向水平ストラットによって補強される。
[0010] 循環型流動床ボイラの炉と、隣接する裏の通路との共通壁を越えて発達することのある圧力差は、通常、比較的に大きく、例えば6000Pa、またはさらに大きいことがある。共通壁、すなわち、そのような圧力差を保持することのできるボイラ構築物における内部壁を商業的に形成するために、そのような共通壁を支持するための新規の装置と新規の方法とを開発する必要がある。炉と下降流煙道ガス通路との間に配設された空の通路と、下降流煙道ガス通路との共通壁を越えて、動作中に発生することのある圧力勾配は通常、比較的小さく、例えば、100Paのオーダーである。しかしながら、煙道ガス通路の幅および/または長さが大きい場合には、共通壁を有利に支持するには、共通壁を支持する新規の装置および新規の方法が必要となることがある。
[0011] 本発明の目的は、蒸気発生器内の壁を支持するための手段であって、上述の短所の少なくとも一部が最小化または除去される手段を提供することである。
[0012] 上記に引用した従来技術の課題は、添付の独立請求項に定義された解決手段によって解決されるか、または少なくとも最小化される。従属請求項は、本発明の有利な実施形態を定義する。
[0013] 一態様によれば、本発明は、火力蒸気発生器において、頂部支持型垂直煙道ガス通路の第1の側壁を水平に支持する装置であって、第1の側壁は、第1の温度で水と蒸気の混合物を搬送するための蒸発水チューブを備え、垂直煙道ガス通路は、第1の温度よりも高い第2の温度で蒸気を搬送するための過熱チューブを備え、過熱チューブは、煙道ガス通路内で第1の側壁の近傍から、第1の側壁と反対側の第2の側壁の近傍まで、煙道ガス通路を横切って延びる、複数の、剛性を有し水平に延びるチューブ脚部を含み、過熱チューブは、動作中は第1の温度よりも高い第3の温度にあるハンガーによって上方から支持されており、第1の側壁の剛性が、第1および第2の端部セクションを含む、剛性を有し水平に延びるチューブ脚部の各々によって増大し、第1および第2の端部セクションの各々は、取付け手段によって近接する側壁に取り付けられており、この取付け手段は、それぞれの端部セクションと近接する側壁との間の相対的移動を、端部セクションと近接する側壁との間の相対的熱移動の方向にだけ許容する、装置を提供する。
[0014] 第1の側壁の剛性は、このように、第1の取付け手段によって第1の側壁に取り付けられた第1の端部セクションと、第2の取付け手段によって第2の側壁に取り付けられた第2の端部セクションとを含む、剛性を有し水平に延びるチューブ脚部の各々によって、有利に増大し、この第1および第2の取付け手段は、端部セクションが取り付けられた側壁に対する、第1および第2の端部セクションの相対的移動を、端部セクションと、端部セクションが取り付けられた側壁との間の相対的熱移動の方向だけに許容する。
[0015] 本発明の主目的は、煙道ガス通路の第1の側壁に対する追加の水平支持を与えることである。第1の側壁に対する追加の水平支持は、本発明の実施形態によれば、過熱チューブの複数の水平脚部を使用して、第1の側壁から第2の側壁へ水平荷重を伝達することによって得られる。これは、例えば、外部水平支持構造であるゆえに、第2の側壁が第1の側壁よりも剛性が高いときに、特に有用である。側壁の剛性における差異は、第2の側壁の外部に配設されているが、第1の側壁の外部には配設されていない、複数の強固なバックステーを有することに基づくことがある。当業者にはよく知られているように、従来型のバックステーは、壁に直角の方向における壁の変形を最小化するために使用される支持要素である。しかしながら、第2の側壁のより高い剛性が、その他の任意適当な手段、例えば、第2の側壁の外部にそれを支持するために配設された、吊り下げ、または地面支持された梁などに基づく可能性もある。
[0016] 蒸発水チューブで形成された側壁によって包囲された煙道ガス通路内に蒸発熱交換器がある場合には、煙道ガス通路の剛性は、蒸発熱交換器の適当な部品を、単に、煙道ガス通路の反対側の側壁に堅固に取り付けることによって向上させることができる。しかしながら、本発明は、別の場合に関し、すなわち煙道ガス通路内部に過熱器チューブを有する場合に関する。過熱器チューブは、動作中に温度、通常は500℃超に加熱され、これは、通常は300℃程度の、側壁を含む蒸発水チューブのそれよりも明らかに高いため、過熱器チューブは、異なる熱膨張のせいで、煙道ガス通路の反対側の側壁に堅固に取り付けることができない。
[0017] 自然循環ボイラの蒸発水チューブの温度は、動作圧力に応じて、実質的に一定であるが、超臨界蒸気発生器に対しては、蒸発水チューブの温度はチューブの長さに沿って変化する。また、過熱チューブの温度は一般に、一定ではなく、チューブの長さに沿って変化する。それに対応して、上記の第1および第2の温度、ならびに第3の温度は、実際には温度の範囲を意味し得る。蒸気発生器の異なる部分の可能な動作温度および温度範囲は、蒸気発生器の設計段階で何らかの方法で決定され、水平に延びる過熱器チューブ脚部の第1および第2の端部セクションの間の取付け手段と、端部セクションが取り付けられる側壁とを設計する際に考慮することができる。
[0018] 本発明によれば、第1の側壁の剛性は、a)動作中に蒸発温度よりも高い温度であるハンガーによって、過熱チューブを上方から支持すること、およびb)隣接する側壁に対するチューブ脚部の端部セクションの相対的移動を、端部セクションと隣接する側壁の間の相対的熱移動の方向にだけ許容する取付け手段によって、過熱チューブの水平に延びるチューブ脚部を取り付けること、の組合せによって向上させられる。以下では、上記の機構b)が第1の側壁の剛性を高めることをどのように可能にするか、および機構b)を達成するために機構a)がどのように必要となるかを詳細に説明する。
[0019] ハンガーは、有利には、動作中に蒸発チューブの温度よりも高い温度の蒸気を含む、ハンガーチューブ、またはハンガーチューブのシステムを含む。ハンガーチューブまたはハンガーチューブのシステムは、有利には、過熱チューブと蒸気流接続されている。過熱される蒸気は、好ましくは、煙道ガス通路の上方の蒸気ヘッダーから過熱チューブの最下部までハンガーチューブによって搬送され、このハンガーチューブは、過熱チューブに垂直な支持を与えるように配設される。ハンガーチューブの動作温度も、通常は、設計段階において決定されて、上述の水平に延びる過熱器チューブ脚部の端部セクションの取付け手段を設計するときに、考慮に入れることができる。
[0020] 過熱器を上方から支えるがゆえに、水平脚部の各々は、動作温度に加熱されると、垂直位置に応じて一定量だけ下降する。それに加えて、水平に延びるチューブ脚部の各々は、脚部の方向において軸方向に膨張する。一方、側壁を含む蒸発水チューブも、動作温度への加熱中に、下方および水平の両方に膨張するが、温度変化が小さいため、過熱器チューブよりも小さく膨張する。
[0021] チューブ脚部の任意の端部セクションと、端部セクションが取り付けられた側壁との間の取付けにおける垂直および水平の相対的熱移動は、それらの温度差変化および取付けの位置に依存する。ただし、垂直と水平の相対的熱移動の比は、各取付けで実質的に一定である。したがって、相対的熱移動は、各取付け位置において一定の方向を有しており、取付け手段を、それがその特定の方向への相対的移動を許容するが、その他の方向への相対的移動を防止するように、作成することができる。実際には、取付け手段の設計にはいくらかの公差がなければならないが、以下に説明するように、側壁の水平支持におけるそれらの機能を排除するものではない。
[0022] 過熱チューブのハンガーは、動作中に、煙道ガス通路の側壁よりも高い温度に加熱されるため、チューブ脚部の端部セクションと端部セクションが取り付けられた側壁との間の取付けにおける相対的熱移動は、水平方向であるだけでなく、それらの相対的熱移動は常に垂直成分も有している。したがって、取付け手段は、本発明によれば、水平方向に向けられた相対的移動を許容しないように形成される。この構築のゆえに、過熱器チューブの水平脚部は、水平方向に剛性のある構造を提供し、したがってそれらはその方向において側壁の支持を与える。
[0023] GB837994Aに記載されている以前の解決策によれば、湾曲過熱器チューブのバンクが、反対側のウォールチューブに溶接された支持ラグ上に摺動接触しており、それによって過熱器チューブは水平方向に壁を支持しない。文献GB892639は、ガス通路を横切って水平に延びるチューブ脚部を有する、入れ子にされた湾曲チューブを含む、直立型過熱器チューブプラテンを開示しており、ここで、各最外部リターンベンドはガス通路の境界に相対的に固定され、一方、内部リターンベンドを含む各チューブは、チューブ脚部間の相対的な縦方向の移動を許容するように、外部リターンベンドを含むチューブから支持される。すなわち、チューブ脚部間の許容された相対的な縦方向移動のゆえに、そのようなチューブプラテンは、水平方向において壁を支持しない。
[0024] 本発明の特徴として上記で定義した過熱チューブは、実際には、GB892639に示すのと同様に、入れ子にされた湾曲チューブを含む、直立型過熱器チューブプラテンを形成することもできるが、その場合、煙道ガス通路の側壁を水平方向に支持することを可能にする、組み合わされた、剛性のある水平に延びる脚部を形成するように、チューブプラテンの隣接する入れ子にされたチューブ脚部が、互いに固定されなければならない。
[0025] 第1の側壁に対して、追加の支持を与える必要がある理由は、第1の側壁が、煙道ガス通路を横切って水平に延びる複数のチューブ脚部を含む、前述の垂直煙道ガス通路と、垂直煙道ガス通路を含む、前述の過熱器チューブの上流の、隣接する、先工程の垂直の煙道ガス通路との間の共通壁であることである。より分かりやすくするために、過熱チューブを含む、上述の垂直煙道ガス通路は、これ以降、第2の煙道ガス通路とも呼び、隣接する、先工程の垂直煙道ガス通路を第1の煙道ガス通路と呼ぶ。そのような第1の煙道ガス通路は、過熱チューブなしのことが多いが、第1の煙道ガス通路内部に過熱チューブ、またはその他の熱回収デバイスを存在させることも可能である。本発明は、過熱チューブの水平脚部を第1の煙道ガス通路の第1および第2の側壁に、適当なやり方で取り付けることによって、共通壁を支持する新しいやり方を提供し、以下により詳細を記述する。
[0026] 本発明の実施形態によれば、第1の煙道ガス通路は、炉、例えば、オーバー・ザ・トップ構成における流動床ボイラの炉である。すなわち、その実施形態においては、第2の煙道ガス通路は、炉との共通壁を含む、ボイラの煙道ガスダクトのセクションである。第2の煙道ガス通路の中には、また炉の中にも、高温煙道ガスの激しい流れがあるので、共通壁上に配設されたバックステーまたはその他の従来型支持構造は、一般に、構造の摩耗または煙道ガス流の妨害のリスクを生じさせることになる。したがって、炉と、煙道ガス通路の間の共通壁は、一般に、従来型の外部支持構造によって支持することはできず、本発明による装置によって共通壁を支持する必要がある。
[0027] 本発明の別の実施形態によれば、第1の煙道ガス通路は、炉の下流、すなわち、炉と第2の煙道ガス通路の間にある垂直煙道ガス通路である。そのような応用の一例は、上昇対流セクション、すなわち第2の煙道ガス通路の上流の、下降流の空の通路を有し、第2の煙道ガス通路内の過熱チューブと接触する前に煙道ガスを冷却する、廃棄物焼却流動床ボイラである。そのような装置においては、空の通路、すなわち第1の煙道ガス通路と、第2の煙道ガス通路の間に共通壁があることが多い。共通壁の両側には高温の煙道ガス流の激しい流れがあるので、共通壁は、一般に、バックステー、またはその他の従来型の外部支持構造によって強化することはできず、ここでも、共通壁を、本発明の実施形態による装置によって支持する必要がある。
[0028] 本発明のさらに別の実施形態によれば、第1および第2の側壁の両方に対する追加の支持を与えるために、煙道ガス通路内部に剛性のある構造を形成するのに、過熱チューブの水平脚部が使用される。すなわち、この実施形態は、第1および第2の側壁の剛性に差異がない場合で有用であるが、第1および第2の側壁の両方を、煙道ガス通路内部の剛性支持構造によって対称に補強する必要がある。その目的に過熱チューブの複数の水平脚部を使用することは、煙道ガス通路に新規の構造が追加されないという理由で有利である。新規の構造の代わりに、いずれの場合にも煙道ガス通路内にある、過熱チューブだけが、特殊なやり方で側壁に取り付けられる。煙道ガス通路の内側のそのような剛性のある構造は、煙道ガス通路の第1および第2の側壁上の、バックステーのような、外部支持構造の数量または強度を減少させることを可能にする。それによって、この解決策は、従来型の垂直煙道ガス通路の支持構造の重量およびコストを最小化する。
[0029] 第1および第2の側壁は、上述のように、過熱チューブが、第1および第2の側壁の間の煙道ガス通路を横切って延びるチューブ脚部を含む場合に、補強することができることに留意されたい。しかしながら、一般に、垂直煙道ガス通路は、第1の温度で水と蒸気の混合物を搬送するための蒸発水チューブをそのすべてが含む、4つの側壁によって包囲されており、当然ながら、多くの応用において、この4つの側壁のすべてに追加の支持を与えるのが有利である。それに対応して、本発明のさらに別の実施形態によれば、過熱チューブは、第1および第2の側壁の間の煙道ガス通路を横切って延びる、第1の組の水平に延びるチューブ脚部と、第1の組のチューブ脚部に直角に、煙道ガス通路を横切って延びる、第2の組の水平に延びるチューブ脚部とを含む。それによって、第2の組の水平に延びるチューブ脚部は、有利には、第3の側壁と、第3の側壁と反対側の第4の側壁の間に延びて、この場合に、第3および第4の側壁の各々は、第1および第2の側壁の間に位置している。第1の組の水平に延びるチューブ脚部と同様に、第2の組の水平に延びるチューブ脚部は、次いで第3および第4の側壁に追加の支持を与えるのに使用することができる。それによって、直角の水平に延びるチューブ脚部を備えるそのような構築物は、煙道ガス通路の4つの側壁のすべてを支持するのに使用することができる。
[0030] 水平に延びるチューブ脚部の端部セクションと、端部セクションが取り付けられた側壁との間の取付け手段の各々は、有利には、側壁に取り付けられた壁部と、水平に延びるチューブ脚部に取り付けられたチューブ部とを含む。好ましくは壁部およびチューブ部は、側壁と、過熱チューブ脚部の端部セクションとに、それぞれ溶接されたスチール片である。すべての取付け手段の壁部およびチューブ部の一方、例えば壁部は、有利には、並んで配設された、各々が垂直に延びる横長の(oblong)スロットを含む、2つの垂直に延びるプレートを含む。他方の部分、例えばチューブ部は、有利には、ロッドによってチューブに取り付けられた、横方向片、例えば、強固な金属ピンまたはスラブを含み、この横方向片は、スロット内で移動可能に配設されている。有利な実施形態によれば、横方向片は、スロットと同じ方向に延びる、金属スラブである。
[0031] 取付け手段が、側壁に対する端部セクションの相対的移動を、それらの相対的熱移動の方向にだけ許容する機構は、スロットの方向、および場合によっては横方向片の方向を、前述の相対的熱移動に一致させることによって達成される。したがって、過熱チューブの水平に延びる脚部が、煙道ガス通路の側壁に、摺動支持により取り付けられ、ここで取付け手段は、相対的熱移動の方向において摺動性であるが、その他の方向には剛性がある、接続を提供する。
[0032] なお、一般に、第2の煙道ガス通路の側壁の1つを、水平方向において、熱移動基準線として使用することが可能であり、この場合に、垂直の熱移動だけが許容されることに留意されたい。そのような壁において使用される取付け手段は、したがって、垂直に延びるスロットと、場合によっては、やはり垂直に延びる横方向片とを有する。特に、第2の側壁が、外部水平支持構造のせいで、第1の側壁よりも剛性が高い場合には、第2の側壁が、熱移動基準線として有利に使用される。過熱チューブの水平に延びる脚部は必然的に水平の熱膨張を起こすので、熱移動基準線とは反対側の水平に延びる脚部の端部セクションに取り付けられた取付け手段は、必然的に、垂直方向から傾斜したスロットを有する。特に、過熱チューブの水平脚部が、第1および第2の側壁の両方への追加の支持を与えている場合には、過熱チューブの水平に延びる脚部の両端における取付け手段は、有利には、垂直方向から傾斜しているスロットを有する。
[0033] 一般に、過熱チューブの水平に延びる脚部が、煙道ガス通路において低く位置しているほど、垂直と水平の相対的熱移動の比が高くなり、脚部の端部セクションにおける、垂直方向とスロットの方向との間の角度が小さくなる。対応して、過熱チューブの水平に延びる脚部が、煙道ガス通路内で高く位置するほど、垂直と水平の熱移動の比が低くなり、脚部の端部セクションにおける垂直方向とスロットの方向との間の角度は大きくなる。
[0034] 過熱チューブは、動作中に、蒸発温度よりも高い温度、すなわち第1および第2の側壁の温度にあるハンガーによって上方から支持されているので、過熱チューブの各水平に延びる脚部の垂直熱移動は、隣接する側壁のそれよりも高く、それらの相対的熱移動には常に垂直成分があることに留意されたい。したがって、全スロットの方向は、水平方向から逸脱する。ハンガーと、第2の煙道ガス通路の壁とが同じ温度を有すれば、取付け手段は、水平方向に摺動接続を与え、側壁は、過熱チューブの水平に延びる脚部によって、水平方向に支持されることができない可能性がある。取付け手段のスロットの方向における垂直成分のため、水平に延びる脚部の側壁への取付けは、水平方向において剛性がある。それによって、本解決策は、側壁の法線の方向において、例えば、煙道ガス通路における過圧または低圧による、荷重に抗して側壁を支持するために、熱移動差異をその利点として使用する。
[0035] 別の態様によれば、本発明は、上述の実施形態のいずれかによる、火力蒸気発生器における、頂部支持型垂直煙道ガス通路の第1の側壁を水平に支持する方法を提供する。すなわち、この方法は、第1の側壁の蒸発水チューブ内で、第1の温度で水と蒸気の混合物を搬送するステップと、垂直煙道ガス通路内部に配設された過熱チューブ内で、第1の温度よりも高い第2の温度で蒸気を搬送するステップであって、過熱チューブが、煙道ガス通路を横切って、第1の側壁と第1の側壁と反対側の煙道ガス通路の第2の側壁との間に延びる、複数の、剛性を有し水平に延びるチューブ脚部を含む、ステップと、第1の温度よりも高い第3の温度にあるハンガーによって過熱チューブを上方から支持するステップと、取付け手段によって、複数の、剛性を有し水平に延びるチューブ脚部の各々の第1の端部セクションと第2の端部セクションとを、それぞれ、第1の側壁と第2の側壁とに取り付けることにより、第1の側壁を水平に支持することによって第1の側壁の剛性を向上させるステップとを含み、取付け手段は、端部セクションが取り付けられた側壁に対する、第1および第2の端部セクションの各々の相対的移動を、端部セクションと、端部セクションが取り付けられた側壁との間の相対的熱移動の方向にだけ許容するように形成される。
[0036] 本発明の上記の簡単な説明、ならびにさらなる目的、特徴、および利点は、添付の図面と併せて、現在好ましいが例示的である、本発明による実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって、より完全に理解されるであろう。
[0037]本発明の第1の好ましい実施形態による装置を備える、流動床ボイラを模式的に示す図である。
[0038]本発明の第2の好ましい実施形態による装置を備える、別の流動床ボイラを模式的に示す図である。
[0039]本発明の第3の好ましい実施形態による装置を備える、さらに別の流動床ボイラを模式的に示す図である。
[0040]本発明の第4の好ましい実施形態による装置を備える、流動床ボイラを模式的に示す図である。
[0041]本発明の第5の好ましい実施形態による装置を模式的に示す図である。
[0042]本発明の実施形態による装置の詳細を模式的に示す図である。
本発明の実施形態による装置の詳細を模式的に示す図である。
[0043] 図1の略図は、火力蒸気発生器、より具体的には、本発明の第1の好ましい実施形態による装置を備える、流動床ボイラ10を模式的に示す。図1は炉12を含む、従来型の循環型流動床ボイラを示し、この場合に粒子の床が、空気と共に炉に導入された燃料を燃焼させるように、空気流14で流動化される。本発明のその他の応用において、廃棄物焼却炉またはガスタービン発電所などの、流動床ボイラとは別のタイプの煙道ガス発生用火力ボイラもあり得る。図1に示す応用において、燃焼プロセスは煙道ガスを発生させ、この煙道ガスは炉の上部から粒子分離器16へ搬送され、ここで、煙道ガスに連行された粒子の部分が、煙道ガスから分離されて、リターンダクト18を経由して炉に戻される。浄化された煙道ガスが、粒子分離器16から、煙道ガスダクト20へと発出し、煙道ガスダクト20はまず炉の頂部を越えて延びる水平通路22、次いで下降流の垂直煙道ガス通路24を含み、そこから、煙道ガスは、図1には示されていないさらに別の煙道ガス処置段階へと搬送される。
[0044] 炉12の垂直側壁26、28は、これらを従来型のチューブ・ウォールとして形成することにより従来のやり方で冷却され、このチューブ・ウォール内で、水が蒸発して蒸気となる。このように、動作中の水チューブは、水と蒸気の混合物を下部ヘッダー30、30’から上部ヘッダー32、32’に搬送し、そこから、自然循環ボイラの場合には、図1には図示しない蒸気ドラムを介して循環させる。側壁26、28は、したがって、蒸発温度において動作中であり、蒸発温度は、混合物の圧力に依存する。本発明の観点においては、ボイラは、代替的に、水が徐々に蒸気に変換されるとともに、蒸気ドラムがない、超臨界貫流蒸気発生器とすることができる。
[0045] 炉12および煙道ガスダクト20の垂直煙道ガス通路24は上端支持されており、すなわちそれらは炉の上方に延びる従来型の支持構造36から適当なハンガーロッド34によって吊るされている。炉の外部側壁26は、バックステー38などの従来型の壁支持構造によって、水平荷重に抗して支持されている。当業者には知られているように、このような流動床ボイラは、例えば、燃料送給、灰排出、蒸気発生および煙道ガス洗浄に関する他の多くの要素および機構も含むが、これらは本発明にとって重要ではないという理由で、図1から省略されている。
[0046] ボイラの運転中に炉の上部に煙道ガスが流れるため、炉内を第1の煙道ガス通路と呼ぶことができる。これに対応して、下降流の垂直煙道ガス通路24は、以下では第2の煙道ガス通路と呼ぶ。第2の煙道ガス通路24は、一般に、4つの垂直な側壁によって包囲されており、そのうち、第1の側壁40と、第2の煙道ガス通路の前壁と、第2の側壁42と、第2の煙道ガス通路の後壁とを、図1において見ることができる。4つの垂直側壁はすべて従来型の蒸発式チューブ・ウォールであり、これらは、動作中に、水と蒸気の混合物を下部ヘッダー30’、44から上部ヘッダー32’、46に搬送し、そこから、自然循環の場合は、蒸気ドラムへと搬送する。すなわち、第2の煙道ガス通路の側壁は、混合物の圧力に依存する蒸発温度で動作している。
[0047] 前壁40は、炉12と共通の壁であり、すなわち第2の煙道ガス通路24の前壁40は、炉の後壁28と同じである。このように、図1に示す発明の実施形態によれば、煙道ガスの流れ方向は、共通壁40の異なる側面において実質的に反対である。炉側においては流れが実質的に上向きであり、下向流垂直煙道ガス通路24では、流れは実質的に下向きである。図1には見られない第2の通路の、第2の側壁42、ならびに第3および第4の側壁は、従来型の外壁である。
[0048] 第2の煙道ガス通路24は、先行段階、通常は、先工程の過熱段階、の温度からより高い温度まで、その温度を上昇させるために蒸気を搬送する過熱チューブ48を備える。すなわち、過熱チューブ48は、第2の煙道ガス通路24の垂直側壁40、42よりも常に高い温度となる。過熱チューブ48は、有利には、第1と第2の側壁40、42の間の煙道ガス通路24を横切って延びる、複数の水平に延びるチューブ脚部50を含む、従来の湾曲型である。水平に延びる脚部50は、第1および第2の端部セクション52、54によって、それぞれ、第2の煙道ガス通路24の第1および第2の側壁40、42の側面に直列に接続されている。過熱チューブは、代替的に、第1および第2の側壁の側の端部セクションによって直列に接続された、対応する水平に延びる脚部を有する、別のタイプのものとすることができる。
[0049] 図1に示す実施形態では、過熱チューブは、ハンガーチューブ56によって上方から垂直に支持され、ハンガーチューブ56は上方から、好ましくは支持構造36から支持され、主として垂直の煙道ガス通路24内に位置する。ハンガーチューブ56は、過熱チューブの最下部の水平に延びる脚部50’と蒸気流接続している。より具体的には、ハンガーチューブ56は、過熱チューブ48に蒸気を送給するために使用され、したがって過熱器としても機能する。したがって、ハンガーチューブ56の温度は、第2の煙道ガス通路24の垂直側壁40、42の温度よりも常に高くなる。本発明のその他の応用では、過熱チューブは、代替的に、別個の上方から吊るされた支持構築物などの、別のタイプのハンガーによって支持することができ、この支持構築物は、動作中に第2の煙道ガスダクトの側壁の温度よりも高い温度まで上昇するように、煙道ガス通路内部に配設される。
[0050] 第2の煙道ガス通路24の第2の側壁42、ならびに第3および第4の側壁は、有利には、従来型のバックステー58などの適当な壁支持構造によって水平荷重に抗して支持される。第1の側壁40は、炉と共通の壁であるため、壁の両側における高温の煙道ガスの集中的な流れのために、バックステーによって水平荷重に抗して支持することができない。したがって、本発明によれば、複数の水平に延びるチューブ脚部50のそれぞれの第1および第2の端部セクション52、54を、適当な取付け手段60、60’によって、それぞれ、第1および第2の側壁40、42に取り付けることによって、第1の側壁40を水平に支持することによって、第1の側壁40の剛性が高まる。本発明によれば、取付け手段は、それぞれ、第1および第2の側壁40、42に対する、第1および第2の端部セクション52、54の各々の相対的移動を、端部セクションと端部セクションが取り付けられる側壁との間の相対的熱移動の方向にのみに許容する。可能な取付け手段の設計の例を、図6aおよび図6bに関連して、以下に説明する。
[0051] ハンガーチューブ56は側壁40、42よりも高い温度に加熱されるため、端部セクションと、端部セクションがその中に取り付けられている側壁との間の相対的熱移動は、常に垂直成分を有する。したがって、上述したように、取付け手段は、端部セクション60、60’と、それらの隣接する側壁40、42との間の純粋に水平な移動を許容しないが、許容される移動は常に垂直方向成分を有する。このように、煙道ガス通路24において水平に延びる脚部50の配設は、水平方向に剛性がある。したがって、図1に示す本発明の実施の形態によれば、水平荷重を第1の側壁40から第2の側壁42に伝達するために、過熱チューブ48の水平脚部50を利用することによって、第1の側壁40の剛性が高まる。
[0052] 図2の略図は、火力蒸気発生装置、より具体的には、本発明の第2の好ましい実施形態による装置を備える、流動床ボイラ10’を模式的に示す。図2の実施形態が図1の実施形態と異なる点は、流動床ボイラ10’がwaste-to-energyボイラであり、このボイラでは、炉12から発せられる煙道ガスが、上昇流の第2の煙道ガス通路24’に入る前に、まず下降流の空の通路62で冷却されることである。図2のすべての要素は、図1の対応する要素と原理的には同一であり、図1と同じ参照番号で参照される。ただし、本発明の観点では関係のない相違がある場合には、図2で用いた参照番号、あるいはそれに対応して他の図3~6で使用される参照番号は、前の図と同じだが、アポストロフィが付加される。
[0053] 図2の実施形態では、空の通路62と上昇流煙道ガス通路24’との間に共通の壁40’がある。したがって、この場合、空の通路62が第1の煙道ガス通路であり、上昇流の煙道ガス通路24’が第2の煙道ガス通路である。共通壁40’は、第1の煙道ガス通路62の後壁であり、第2の煙道ガス通路24’の前壁である。第2の煙道ガス通路には、過熱チューブ48が配設されており、これは図1のものと原理的に同一である。
[0054] 第1の煙道ガス通路62の前壁および第2の煙道ガス通路24’の後壁は外壁であり、これらは従来型のバックステー38’、58によって外部支持されている。通常、共通壁40’の両側に大きな圧力差はないが、特に大きな幅および/または高さを有する共通壁の場合には、水平荷重に抗して壁を強化することが必要となる場合がある。共通壁40’の強化は、図1の実施形態における共通壁40の強化と同様に、過熱チューブ48の水平に延びる脚部50の第1および第2の端部セクション52、54を、前記第1および第2の側壁に、すなわち第2の煙道ガス通路の共通壁40’と後壁42とに、適当な取付け手段60、60’によって取り付けることにより、有利に実行することができる。
[0055] 図3の略図は、本発明の第3の好ましい実施形態による装置を備える、流動床ボイラ10’’を模式的に示す。図3の実施形態が図2の実施形態と異なるのは、第2の煙道ガス通路24’’が先行する煙道ガス通路と共通の壁を有さず、第2の煙道ガス通路内の過熱チューブ48が使用されて、第2の煙道ガス通路の前壁64と後壁42の両方を水平に支持する点である。
[0056] 過熱チューブ48の水平に延びる脚部によって、第2の煙道ガス通路の垂直方向の中央領域に対して提供される、水平支持のため、外部バックステーまたはその他の外部支持デバイスは、前述の領域において省略または最小化することができる。しかしながら、前述の中央領域の上下の垂直領域には、それでもなお、従来型のバックステー66、58、またはその他の適当な支持構造を設けることができる。
[0057] 図1および2に示される実施形態を含む共通壁において、共通壁40における取付け手段60は、図6aおよび6bに関して説明されるように、外壁42における取付け手段60’と有利に異なる。図3の実施形態において、第2の煙道ガス通路24’’の前壁64と後壁42の両方が外壁であり、したがって、前壁64および後壁42における取付け手段68は、好ましくは、互いに同一である。
[0058] 図4の略図は、本発明の第4の好ましい実施形態による装置を備える、流動床ボイラ10’’’を模式的に示す。図4の実施形態が、図3の実施形態と異なるのは、過熱チューブ48’が、過熱チューブ48’に蒸気を送給するハンガーチューブによって上方から支持されるのではなく、別個のハンガー56’、例えば、上方から吊るされたパイプまたはロッドによって支持されて、これは、動作中に第2の煙道ガスダクトの側壁の温度よりも高い温度まで上昇するように、煙道ガス通路内に配設される点である。図4に示されるような別個のハンガー56’は、多くのその他の実施形態、例えば、本発明の図1~3に示される実施形態においても、もちろん使用することができる。
[0059] 図5の略図は、煙道ガス通路24’’’における過熱チューブ70の配設の例を模式的に示しており、この装置は、本発明の異なる応用、例えば図1、2および3に示される実施形態のいずれにおいても使用することができる。この装置は、2つの入れ子にされた湾曲チューブ72、72’を含み、それらの各々は、ハンガーチューブ74、74’によって垂直に支持され、このハンガーチューブは、湾曲チューブ72、72’のうちの1つの湾曲チューブの最下部の水平に延びる脚部76、76’と蒸気流接続されている。当業者には明らかなように、入れ子にされた湾曲チューブの配設は、代替的に、図4に示すように、別個のハンガーによって上方から支持することができる。
[0060] 入れ子にされた湾曲チューブ72、72’の各々は、複数の水平に延びる脚部78、78’を含み、これらは、適当な取付け片80によって、互いに対にして取り付けられて、組み合わされた、剛性のある水平に延びる脚部82を形成する。この組み合わされた、剛性のある水平に延びる脚部82は、例えば図3の実施形態におけるのと同じやり方で、煙道ガス通路24’’’の側壁64、42に取り付けられ、側壁64、42に水平支持を与える。実際には、過熱チューブ70には、3つまたは4つの湾曲チューブなどの、3つ以上の入れ子にされた湾曲チューブを含めることができる。そのような組み合わされた過熱チューブの各端部セクションにおいて、最外部のチューブは、適当な取付け手段によって隣接する側壁に取り付けられるが、すべてのチューブは、隣接する側壁に水平支持を与えるように、上述のような、組み合わされた、剛性のある水平に延びる脚部を形成する。
[0061] 図6aの略図は、本発明による、過熱チューブの水平に延びるチューブ脚部の端部セクション52を、煙道ガス通路の側壁40に取り付けるのに使用される、例示的な取付け手段60の垂直断面を模式的に示す。取付け手段は、適当な方法、例えば溶接によって側壁40に取り付けられた壁部84と、適当な方法、例えば溶接によって、端部セクション52に取り付けられたチューブ部86とを含む。壁部は、有利には、並んで配設された、2つの垂直に延びる金属プレート88を備え、そのうちの1つが図6aに見えており、プレートの各々が横長のスロット90を有し、これはいくぶん垂直方向から傾いている。チューブ部86は、有利には、ロッド94によってチューブの端部セクション52に取り付けられた横方向金属スラブ92を含む。横方向金属スラブ92は、スロットと同方向に延びており、スロット内で移動可能に配設される。
[0062] 図6aは、大気温度における、すなわち過熱チューブの水平および垂直の寸法、ならびに、煙道ガス通路の側壁40の水平および垂直の寸法が、それらの低温長さを有するときの、取付け手段60を示す。蒸気発生器が、その動作温度まで過熱されるとき、過熱チューブおよび、図6aでは見えない、そのハンガーが、煙道ガス通路よりも多く熱膨張し、それによって端部セクション52が、煙道ガス通路内を下方に、かつ側壁40に向かって移動する。この相対的熱移動は、下向き方向において外向きに傾斜している、横長のスロット90のおかげで可能である。
[0063] 上記で考察したように、スロット90とスラブ92の方向は、取付け手段の場所で発生している、壁40と過熱チューブの端部セクション52との間の相対的熱移動に対応するように、配設されている。したがって、取付け手段60は、側壁40に対する端部セクション52の相対的移動を、垂直方向から傾斜する方向だけにおいて、より具体的には、それらの相対的熱移動の方向だけにおいて、許容する。したがって、この接続は、相対的熱移動の方向に摺動するが、その他の方向においては剛性があり、側壁40に対する水平支持を与える。
[0064] 略図6bは、本発明による、過熱チューブの水平に延びるチューブ脚部の端部セクション54を、煙道ガス通路の側壁42に取り付けるのに使用される、別の例示的な取付け手段60’の垂直断面を模式的に示す。取付け手段60’が図6aの取付け手段60と異なる点は、壁部84’のスロット90’とチューブ部86’のスラブ92’が傾斜しているのではなく垂直である点だけである。このように、取付け手段60’は、主に、上述したように、壁42と過熱チューブの端部54との間に、図6bには図示しないハンガーによって生じる垂直な相対的熱移動だけを可能にする。したがって、相対的な水平熱移動は、取付け手段60’によって防止され、それぞれの水平に延びるチューブ脚部の他端において、例えば図6aに示すような、取付け手段によって、完全に有効化されなければならない。取付け手段60’は、水平方向における熱移動基準線を提供するために使用される。好ましくは、垂直スロットとスラブを有する、そのような取付け手段は、過熱チューブを、図1および2の側壁42などの、外部支持された側壁に接続して、その中に水平熱基準線を設けるときに、使用される。水平熱膨張のため、純粋に垂直移動だけを可能にする取付け手段は、垂直煙道ガス通路の対向する側壁のせいぜい一方だけにしか使用できない。
[0065] 当業者に明らかなように、側壁に対する過熱チューブの端部の相対的移動を単一の所定の方向、それらの相対的熱移動の方向、だけに許容する取付け手段は、図6aおよび図6bに示すもの以外の他の設計によっても達成することができる。例えば、壁部とチューブ部の設計を切り替えることができる。これにより、スロットを有する金属プレートからなる部分は、一般的に、水平に延びるチューブ脚部の端部セクションに、または側壁に、接続することができる、第1の部分と呼ぶことができる。これに応じて、水平に延びるチューブ脚部の端部セクションに、または側壁にロッドによって取り付けられる横方向片を含む部分は、一般的に、第2の部分と呼ぶことができる。
[0066] 代替的な設計によれば、取付け手段の第1の部分は、上述のように、横長のスロットを有する、2つの垂直に延びる金属プレートを備え、第2の部分は、ロッドによって側壁に、または水平に延びるチューブの端部セクションに、取り付けられた強固な、横方向の金属ピンを備える。また、取付け手段の第1の部分には、限定された方向を有する横長のスロットを有する1つの垂直に延びる金属プレートだけを含め、第2の部分には、スロットまたは強固な横方向の金属ピンと同じ方向に延びる、横方向の金属スラブを含めて、このスラブまたはピンは、側壁に、または水平に延びるチューブの端部セクションに、取り付けられた2本のロッドの間に配設することが可能である。
[0067] 以上、本発明を、現在最も好ましい実施形態であると考えられているものに関連する実施例によって、本明細書において説明したが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、その特徴およびいくつかの他の用途の様々な組合せまたは修正を、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内に含めることを意図していることを理解されたい。
[0001] 発明の分野
[0002] 本発明は、添付の独立請求項のプリアンブルに記載の火力蒸気発生器における頂部支持型(top-supported)垂直煙道ガス通路の第1の側壁を水平に支持するための装置および方法に関する。本発明のいくつかの有利な実施形態によれば、第1の側壁は、火力蒸気発生器内の2つの隣接する煙道ガス通路の共通壁である。
[0003] 関連技術の説明
[0004] 循環型流動床ボイラなどの火力蒸気発生器は、一般に、炉と、炉の上部とガス流接続する煙道ガスダクトとを備える。炉と、煙道ガスダクトとを囲む側壁は、従来、板状のフィンと一緒に溶接された並列の水チューブを含む、いわゆるチューブ・ウォール構築物(tube-wall construction)として形成される。側壁は、通常、蒸発水チューブを含み、これは動作中に水と蒸気の混合物を搬送し、それによって側壁は実質的に蒸発温度になる。この煙道ガスダクトは、一般に、複数の実質的に直線状のセクション、いわゆる煙道ガス通路を含む。煙道ガスがその中で形成され、主として上方に搬送される炉は、第1の煙道ガス通路と呼ばれることが多い。通常、煙道ガス通路の少なくとも1つは、過熱チューブ、すなわち比較的高温で蒸気を過熱蒸気に変換するために煙道ガスから熱を回収するのに使用される、蒸気搬送チューブを含む。
[0005] 特許文献GB837994Aは、一対の外向きに突出したラグ(lug)を湾曲チューブの各々に嵌め込み、このラグをウォールチューブ(wall tube)に溶接された同様の内向きに延びるラグの上に支持することによって、煙道ガス通路の対向するウォールチューブから過熱器チューブを支持することによって、湾曲過熱器チューブのバンクを煙道ガス通路に吊り下げるやり方に言及しており、ここで、ラグの係合面は、温度の変化に伴う過熱器チューブの伸縮を可能にするように適合されている。文献GB837994Aはまた、チューブのリターンベンドに取り付けられて、煙道ガス通路の対向する壁に沿って横たわるように上方から吊り下げられた直立の流体冷却チューブの対向列の内側に沿って装着された、流体冷却チューブの水平セクションと摺動接触して静止するように配設された、支持ラグによって、煙道ガス通路内に対応する過熱器チューブを支持するやり方も開示している。
[0006] 特許文献GB892639は、ガス通路を画定する反対側の直立するウォールチューブの間に配置された入れ子にされたリターンベンドチューブのプラテンで形成された、過熱器およびエコノマイザなどの、ガス通路内の水平流体ヒーターは、通常、壁に取り付けられたブラケットと、ヒーターに取り付けられたラグから構成されており、ここで、プラテンは、ラグを壁ブラケット上に静止させることによって端部支持され、プラテンの熱膨張による移動は、ラグと壁ブラケットとの間の相対的な摺動運動に収容されることに言及している。文献GB892639はまた、ボイラのガス通路におけるチューブ状過熱器を開示しており、この過熱器は、ガス通路を横切って水平に延びるチューブ脚部を有する、入れ子にされた湾曲チューブを含む直立のチューブプラテン(tube platen)を含み、ここで、入れ子にされたリターンベンドの最外部のリターンベンドはガス通路の境界に相対的に固定され、一方、内部リターンベンドを含む各チューブは、チューブ脚部間の相対的な縦方向移動を許容するように、外部リターンベンドを含むチューブから支持される。プラテンの最下部チューブ脚部は、ボイラの流体循環に接続することのできる直立型の流体冷却支持チューブを含む、支持手段によって下方から支持されてもよい。
[0007] 米国特許第6321691B1号は、ブラケットによってボイラ壁に締結された過熱チューブを開示しており、この過熱チューブは、壁支持チューブからある距離にあり、したがって壁の剛性を実質的に増大させることがなく、ブラケットが壁支持チューブと直角であるので、水平の移動だけが可能である。
[0008] FR2557281A1は、大きい筐体の垂直壁間に重ね合わされた水平ループを形成する、小径チューブのパネルを支持するデバイスを開示している。パネルの下部は、その下方ゾーンに、チューブに溶接されたフィンによって互いに固定された一定数のチューブを含み、剛性構造を形成する。したがって、この構造は、煙道の前後の垂直壁上に存在する、耐荷重性梁を構成する。この結合(coupling)は、チューブ束と垂直チューブとの間に、水平方向に実質的に移動不能な接合をもたらす。
[0009] 火力蒸気発生器内の炉および他の煙道ガス通路の、垂直のチューブ・ウォール型(tube-walled)側壁は、通常、側壁の外表面に吊るして配置された複数の強固なビーム、いわゆるバックステー(buckstay)によって、側壁の内側と外側の圧力差に抗して支持される。このようなバックステーは、この構築物の重量とコストを増大させる。米国特許第8393304B2号は、垂直の地面支持された柱に壁を接続することによってバックステーの重量を低減することを可能にするように、ボイラの頂部支持型炉を包囲する垂直のチューブ・ウォールを支持することを開示しており、ここで、接続は、ウォータ・チューブ・ウォール(water-tube wall)の動きがボイラの温度変化による動きによって引き起こされる方向にのみ可能であるように行われる。ボイラの側壁を支持するのに必要なバックステーの重量または数量をさらに最小化することのできる新しいやり方を見出すことは、当然ながら望ましい。
[0010] いくつかの蒸気発生器は、隣接する先工程の(earlier)、すなわち上流の、煙道ガス通路との共通壁を有する過熱チューブを含む、垂直煙道ガス通路を備える。一例として、流動床ボイラのいわゆるオーバー・ザ・トップ構成は、炉との共通壁を有する垂直煙道ガス通路を有してもよい。別の例として、廃棄物焼却ボイラなどの、流動床ボイラは、過熱チューブを備える下降流煙道ガス通路との共通壁を有する、空の通路を有してもよい。そのような共通壁の両側には、高温煙道ガス流の激しい流れがあるために、共通壁は、一般に、従来型のバックステーでは強化することができない。
[0011] GB1015838は、燃焼室と、燃焼室と共通の壁を有する隣接する煙道ガス通路とが、燃焼室およびガス通路の両方を囲む水平リングフレームによって補剛される、蒸気発生器を開示している。燃焼室とガス通路の共通チューブ・ウォールは、共通壁に沿って配置された、冷却された水平ストラットによって補剛され、この水平ストラットは、ガス通路を横切って配設された、冷却された横方向水平ストラットによって補強される。
[0012] 循環型流動床ボイラの炉と、隣接する裏の通路との共通壁を越えて発達することのある圧力差は、通常、比較的に大きく、例えば6000Pa、またはさらに大きいことがある。共通壁、すなわち、そのような圧力差を保持することのできるボイラ構築物における内部壁を商業的に形成するために、そのような共通壁を支持するための新規の装置と新規の方法とを開発する必要がある。炉と下降流煙道ガス通路との間に配設された空の通路と、下降流煙道ガス通路との共通壁を越えて、動作中に発生することのある圧力勾配は通常、比較的小さく、例えば、100Paのオーダーである。しかしながら、煙道ガス通路の幅および/または長さが大きい場合には、共通壁を有利に支持するには、共通壁を支持する新規の装置および新規の方法が必要となることがある。
[0013] 本発明の目的は、蒸気発生器内の壁を支持するための手段であって、上述の短所の少なくとも一部が最小化または除去される手段を提供することである。
[0014] 上記に引用した従来技術の課題は、添付の独立請求項に定義された解決手段によって解決されるか、または少なくとも最小化される。従属請求項は、本発明の有利な実施形態を定義する。
[0015] 一態様によれば、本発明は、火力蒸気発生器において、頂部支持型垂直煙道ガス通路の第1の側壁を水平に支持する装置であって、第1の側壁は、第1の温度で水と蒸気の混合物を搬送するための蒸発水チューブを備え、垂直煙道ガス通路は、第1の温度よりも高い第2の温度で蒸気を搬送するための過熱チューブを備え、過熱チューブは、煙道ガス通路内で第1の側壁の近傍から、第1の側壁と反対側の第2の側壁の近傍まで、煙道ガス通路を横切って延びる、複数の、剛性を有し水平に延びるチューブ脚部を含み、過熱チューブは、動作中は第1の温度よりも高い第3の温度にあるハンガーによって上方から支持されており、第1の側壁の剛性が、第1および第2の端部セクションを含む、剛性を有し水平に延びるチューブ脚部の各々によって増大し、第1および第2の端部セクションの各々は、取付け手段によって近接する側壁に取り付けられており、この取付け手段は、それぞれの端部セクションと近接する側壁との間の相対的移動を、端部セクションと近接する側壁との間の相対的熱移動の方向にだけ許容する、装置を提供する。
[0016] 第1の側壁の剛性は、このように、第1の取付け手段によって第1の側壁に取り付けられた第1の端部セクションと、第2の取付け手段によって第2の側壁に取り付けられた第2の端部セクションとを含む、剛性を有し水平に延びるチューブ脚部の各々によって、有利に増大し、この第1および第2の取付け手段は、端部セクションが取り付けられた側壁に対する、第1および第2の端部セクションの相対的移動を、端部セクションと、端部セクションが取り付けられた側壁との間の相対的熱移動の方向だけに許容する。
[0017] 本発明の主目的は、煙道ガス通路の第1の側壁に対する追加の水平支持を与えることである。第1の側壁に対する追加の水平支持は、本発明の実施形態によれば、過熱チューブの複数の水平脚部を使用して、第1の側壁から第2の側壁へ水平荷重を伝達することによって得られる。これは、例えば、外部水平支持構造であるゆえに、第2の側壁が第1の側壁よりも剛性が高いときに、特に有用である。側壁の剛性における差異は、第2の側壁の外部に配設されているが、第1の側壁の外部には配設されていない、複数の強固なバックステーを有することに基づくことがある。当業者にはよく知られているように、従来型のバックステーは、壁に直角の方向における壁の変形を最小化するために使用される支持要素である。しかしながら、第2の側壁のより高い剛性が、その他の任意適当な手段、例えば、第2の側壁の外部にそれを支持するために配設された、吊り下げ、または地面支持された梁などに基づく可能性もある。
[0018] 蒸発水チューブで形成された側壁によって包囲された煙道ガス通路内に蒸発熱交換器がある場合には、煙道ガス通路の剛性は、蒸発熱交換器の適当な部品を、単に、煙道ガス通路の反対側の側壁に堅固に取り付けることによって向上させることができる。しかしながら、本発明は、別の場合に関し、すなわち煙道ガス通路内部に過熱器チューブを有する場合に関する。過熱器チューブは、動作中に温度、通常は500℃超に加熱され、これは、通常は300℃程度の、側壁を含む蒸発水チューブのそれよりも明らかに高いため、過熱器チューブは、異なる熱膨張のせいで、煙道ガス通路の反対側の側壁に堅固に取り付けることができない。
[0019] 自然循環ボイラの蒸発水チューブの温度は、動作圧力に応じて、実質的に一定であるが、超臨界蒸気発生器に対しては、蒸発水チューブの温度はチューブの長さに沿って変化する。また、過熱チューブの温度は一般に、一定ではなく、チューブの長さに沿って変化する。それに対応して、上記の第1および第2の温度、ならびに第3の温度は、実際には温度の範囲を意味し得る。蒸気発生器の異なる部分の可能な動作温度および温度範囲は、蒸気発生器の設計段階で何らかの方法で決定され、水平に延びる過熱器チューブ脚部の第1および第2の端部セクションの間の取付け手段と、端部セクションが取り付けられる側壁とを設計する際に考慮することができる。
[0020] 本発明によれば、第1の側壁の剛性は、a)動作中に蒸発温度よりも高い温度であるハンガーによって、過熱チューブを上方から支持すること、およびb)隣接する側壁に対するチューブ脚部の端部セクションの相対的移動を、端部セクションと隣接する側壁の間の相対的熱移動の方向にだけ許容する取付け手段によって、過熱チューブの水平に延びるチューブ脚部を取り付けること、の組合せによって向上させられる。以下では、上記の機構b)が第1の側壁の剛性を高めることをどのように可能にするか、および機構b)を達成するために機構a)がどのように必要となるかを詳細に説明する。
[0021] ハンガーは、有利には、動作中に蒸発チューブの温度よりも高い温度の蒸気を含む、ハンガーチューブ、またはハンガーチューブのシステムを含む。ハンガーチューブまたはハンガーチューブのシステムは、有利には、過熱チューブと蒸気流接続されている。過熱される蒸気は、好ましくは、煙道ガス通路の上方の蒸気ヘッダーから過熱チューブの最下部までハンガーチューブによって搬送され、このハンガーチューブは、過熱チューブに垂直な支持を与えるように配設される。ハンガーチューブの動作温度も、通常は、設計段階において決定されて、上述の水平に延びる過熱器チューブ脚部の端部セクションの取付け手段を設計するときに、考慮に入れることができる。
[0022] 過熱器を上方から支えるがゆえに、水平脚部の各々は、動作温度に加熱されると、垂直位置に応じて一定量だけ下降する。それに加えて、水平に延びるチューブ脚部の各々は、脚部の方向において軸方向に膨張する。一方、側壁を含む蒸発水チューブも、動作温度への加熱中に、下方および水平の両方に膨張するが、温度変化が小さいため、過熱器チューブよりも小さく膨張する。
[0023] チューブ脚部の任意の端部セクションと、端部セクションが取り付けられた側壁との間の取付けにおける垂直および水平の相対的熱移動は、それらの温度差変化および取付けの位置に依存する。ただし、垂直と水平の相対的熱移動の比は、各取付けで実質的に一定である。したがって、相対的熱移動は、各取付け位置において一定の方向を有しており、取付け手段を、それがその特定の方向への相対的移動を許容するが、その他の方向への相対的移動を防止するように、作成することができる。実際には、取付け手段の設計にはいくらかの公差がなければならないが、以下に説明するように、側壁の水平支持におけるそれらの機能を排除するものではない。
[0024] 過熱チューブのハンガーは、動作中に、煙道ガス通路の側壁よりも高い温度に加熱されるため、チューブ脚部の端部セクションと端部セクションが取り付けられた側壁との間の取付けにおける相対的熱移動は、水平方向であるだけでなく、それらの相対的熱移動は常に垂直成分も有している。したがって、取付け手段は、本発明によれば、水平方向に向けられた相対的移動を許容しないように形成される。この構築のゆえに、過熱器チューブの水平脚部は、水平方向に剛性のある構造を提供し、したがってそれらはその方向において側壁の支持を与える。
[0025] GB837994Aに記載されている以前の解決策によれば、湾曲過熱器チューブのバンクが、反対側のウォールチューブに溶接された支持ラグ上に摺動接触しており、それによって過熱器チューブは水平方向に壁を支持しない。文献GB892639は、ガス通路を横切って水平に延びるチューブ脚部を有する、入れ子にされた湾曲チューブを含む、直立型過熱器チューブプラテンを開示しており、ここで、各最外部リターンベンドはガス通路の境界に相対的に固定され、一方、内部リターンベンドを含む各チューブは、チューブ脚部間の相対的な縦方向の移動を許容するように、外部リターンベンドを含むチューブから支持される。すなわち、チューブ脚部間の許容された相対的な縦方向移動のゆえに、そのようなチューブプラテンは、水平方向において壁を支持しない。
[0026] 本発明の特徴として上記で定義した過熱チューブは、実際には、GB892639に示すのと同様に、入れ子にされた湾曲チューブを含む、直立型過熱器チューブプラテンを形成することもできるが、その場合、煙道ガス通路の側壁を水平方向に支持することを可能にする、組み合わされた、剛性のある水平に延びる脚部を形成するように、チューブプラテンの隣接する入れ子にされたチューブ脚部が、互いに固定されなければならない。
[0027] 第1の側壁に対して、追加の支持を与える必要がある理由は、第1の側壁が、煙道ガス通路を横切って水平に延びる複数のチューブ脚部を含む、前述の垂直煙道ガス通路と、垂直煙道ガス通路を含む、前述の過熱器チューブの上流の、隣接する、先工程の垂直の煙道ガス通路との間の共通壁であることである。より分かりやすくするために、過熱チューブを含む、上述の垂直煙道ガス通路は、これ以降、第2の煙道ガス通路とも呼び、隣接する、先工程の垂直煙道ガス通路を第1の煙道ガス通路と呼ぶ。そのような第1の煙道ガス通路は、過熱チューブなしのことが多いが、第1の煙道ガス通路内部に過熱チューブ、またはその他の熱回収デバイスを存在させることも可能である。本発明は、過熱チューブの水平脚部を第1の煙道ガス通路の第1および第2の側壁に、適当なやり方で取り付けることによって、共通壁を支持する新しいやり方を提供し、以下により詳細を記述する。
[0028] 本発明の実施形態によれば、第1の煙道ガス通路は、炉、例えば、オーバー・ザ・トップ構成における流動床ボイラの炉である。すなわち、その実施形態においては、第2の煙道ガス通路は、炉との共通壁を含む、ボイラの煙道ガスダクトのセクションである。第2の煙道ガス通路の中には、また炉の中にも、高温煙道ガスの激しい流れがあるので、共通壁上に配設されたバックステーまたはその他の従来型支持構造は、一般に、構造の摩耗または煙道ガス流の妨害のリスクを生じさせることになる。したがって、炉と、煙道ガス通路の間の共通壁は、一般に、従来型の外部支持構造によって支持することはできず、本発明による装置によって共通壁を支持する必要がある。
[0029] 本発明の別の実施形態によれば、第1の煙道ガス通路は、炉の下流、すなわち、炉と第2の煙道ガス通路の間にある垂直煙道ガス通路である。そのような応用の一例は、上昇対流セクション、すなわち第2の煙道ガス通路の上流の、下降流の空の通路を有し、第2の煙道ガス通路内の過熱チューブと接触する前に煙道ガスを冷却する、廃棄物焼却流動床ボイラである。そのような装置においては、空の通路、すなわち第1の煙道ガス通路と、第2の煙道ガス通路の間に共通壁があることが多い。共通壁の両側には高温の煙道ガス流の激しい流れがあるので、共通壁は、一般に、バックステー、またはその他の従来型の外部支持構造によって強化することはできず、ここでも、共通壁を、本発明の実施形態による装置によって支持する必要がある。
[0030] 本発明のさらに別の実施形態によれば、第1および第2の側壁の両方に対する追加の支持を与えるために、煙道ガス通路内部に剛性のある構造を形成するのに、過熱チューブの水平脚部が使用される。すなわち、この実施形態は、第1および第2の側壁の剛性に差異がない場合で有用であるが、第1および第2の側壁の両方を、煙道ガス通路内部の剛性支持構造によって対称に補強する必要がある。その目的に過熱チューブの複数の水平脚部を使用することは、煙道ガス通路に新規の構造が追加されないという理由で有利である。新規の構造の代わりに、いずれの場合にも煙道ガス通路内にある、過熱チューブだけが、特殊なやり方で側壁に取り付けられる。煙道ガス通路の内側のそのような剛性のある構造は、煙道ガス通路の第1および第2の側壁上の、バックステーのような、外部支持構造の数量または強度を減少させることを可能にする。それによって、この解決策は、従来型の垂直煙道ガス通路の支持構造の重量およびコストを最小化する。
[0031] 第1および第2の側壁は、上述のように、過熱チューブが、第1および第2の側壁の間の煙道ガス通路を横切って延びるチューブ脚部を含む場合に、補強することができることに留意されたい。しかしながら、一般に、垂直煙道ガス通路は、第1の温度で水と蒸気の混合物を搬送するための蒸発水チューブをそのすべてが含む、4つの側壁によって包囲されており、当然ながら、多くの応用において、この4つの側壁のすべてに追加の支持を与えるのが有利である。それに対応して、本発明のさらに別の実施形態によれば、過熱チューブは、第1および第2の側壁の間の煙道ガス通路を横切って延びる、第1の組の水平に延びるチューブ脚部と、第1の組のチューブ脚部に直角に、煙道ガス通路を横切って延びる、第2の組の水平に延びるチューブ脚部とを含む。それによって、第2の組の水平に延びるチューブ脚部は、有利には、第3の側壁と、第3の側壁と反対側の第4の側壁の間に延びて、この場合に、第3および第4の側壁の各々は、第1および第2の側壁の間に位置している。第1の組の水平に延びるチューブ脚部と同様に、第2の組の水平に延びるチューブ脚部は、次いで第3および第4の側壁に追加の支持を与えるのに使用することができる。それによって、直角の水平に延びるチューブ脚部を備えるそのような構築物は、煙道ガス通路の4つの側壁のすべてを支持するのに使用することができる。
[0032] 水平に延びるチューブ脚部の端部セクションと、端部セクションが取り付けられた側壁との間の取付け手段の各々は、有利には、側壁に取り付けられた壁部と、水平に延びるチューブ脚部に取り付けられたチューブ部とを含む。好ましくは壁部およびチューブ部は、側壁と、過熱チューブ脚部の端部セクションとに、それぞれ溶接されたスチール片である。すべての取付け手段の壁部およびチューブ部の一方、例えば壁部は、有利には、並んで配設された、各々が垂直に延びる横長の(oblong)スロットを含む、2つの垂直に延びるプレートを含む。他方の部分、例えばチューブ部は、有利には、ロッドによってチューブに取り付けられた、横方向片、例えば、強固な金属ピンまたはスラブを含み、この横方向片は、スロット内で移動可能に配設されている。有利な実施形態によれば、横方向片は、スロットと同じ方向に延びる、金属スラブである。
[0033] 取付け手段が、側壁に対する端部セクションの相対的移動を、それらの相対的熱移動の方向にだけ許容する機構は、スロットの方向、および場合によっては横方向片の方向を、前述の相対的熱移動に一致させることによって達成される。したがって、過熱チューブの水平に延びる脚部が、煙道ガス通路の側壁に、摺動支持により取り付けられ、ここで取付け手段は、相対的熱移動の方向において摺動性であるが、その他の方向には剛性がある、接続を提供する。
[0034] なお、一般に、第2の煙道ガス通路の側壁の1つを、水平方向において、熱移動基準線として使用することが可能であり、この場合に、垂直の熱移動だけが許容されることに留意されたい。そのような壁において使用される取付け手段は、したがって、垂直に延びるスロットと、場合によっては、やはり垂直に延びる横方向片とを有する。特に、第2の側壁が、外部水平支持構造のせいで、第1の側壁よりも剛性が高い場合には、第2の側壁が、熱移動基準線として有利に使用される。過熱チューブの水平に延びる脚部は必然的に水平の熱膨張を起こすので、熱移動基準線とは反対側の水平に延びる脚部の端部セクションに取り付けられた取付け手段は、必然的に、垂直方向から傾斜したスロットを有する。特に、過熱チューブの水平脚部が、第1および第2の側壁の両方への追加の支持を与えている場合には、過熱チューブの水平に延びる脚部の両端における取付け手段は、有利には、垂直方向から傾斜しているスロットを有する。
[0035] 一般に、過熱チューブの水平に延びる脚部が、煙道ガス通路において低く位置しているほど、垂直と水平の相対的熱移動の比が高くなり、脚部の端部セクションにおける、垂直方向とスロットの方向との間の角度が小さくなる。対応して、過熱チューブの水平に延びる脚部が、煙道ガス通路内で高く位置するほど、垂直と水平の熱移動の比が低くなり、脚部の端部セクションにおける垂直方向とスロットの方向との間の角度は大きくなる。
[0036] 過熱チューブは、動作中に、蒸発温度よりも高い温度、すなわち第1および第2の側壁の温度にあるハンガーによって上方から支持されているので、過熱チューブの各水平に延びる脚部の垂直熱移動は、隣接する側壁のそれよりも高く、それらの相対的熱移動には常に垂直成分があることに留意されたい。したがって、全スロットの方向は、水平方向から逸脱する。ハンガーと、第2の煙道ガス通路の壁とが同じ温度を有すれば、取付け手段は、水平方向に摺動接続を与え、側壁は、過熱チューブの水平に延びる脚部によって、水平方向に支持されることができない可能性がある。取付け手段のスロットの方向における垂直成分のため、水平に延びる脚部の側壁への取付けは、水平方向において剛性がある。それによって、本解決策は、側壁の法線の方向において、例えば、煙道ガス通路における過圧または低圧による、荷重に抗して側壁を支持するために、熱移動差異をその利点として使用する。
[0037] 別の態様によれば、本発明は、上述の実施形態のいずれかによる、火力蒸気発生器における、頂部支持型垂直煙道ガス通路の第1の側壁を水平に支持する方法を提供する。すなわち、この方法は、第1の側壁の蒸発水チューブ内で、第1の温度で水と蒸気の混合物を搬送するステップと、垂直煙道ガス通路内部に配設された過熱チューブ内で、第1の温度よりも高い第2の温度で蒸気を搬送するステップであって、過熱チューブが、煙道ガス通路を横切って、第1の側壁と第1の側壁と反対側の煙道ガス通路の第2の側壁との間に延びる、複数の、剛性を有し水平に延びるチューブ脚部を含む、ステップと、第1の温度よりも高い第3の温度にあるハンガーによって過熱チューブを上方から支持するステップと、取付け手段によって、複数の、剛性を有し水平に延びるチューブ脚部の各々の第1の端部セクションと第2の端部セクションとを、それぞれ、第1の側壁と第2の側壁とに取り付けることにより、第1の側壁を水平に支持することによって第1の側壁の剛性を向上させるステップとを含み、取付け手段は、端部セクションが取り付けられた側壁に対する、第1および第2の端部セクションの各々の相対的移動を、端部セクションと、端部セクションが取り付けられた側壁との間の相対的熱移動の方向にだけ許容するように形成される。
[0038] 本発明の上記の簡単な説明、ならびにさらなる目的、特徴、および利点は、添付の図面と併せて、現在好ましいが例示的である、本発明による実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって、より完全に理解されるであろう。
[0039]本発明の第1の好ましい実施形態による装置を備える、流動床ボイラを模式的に示す図である。
[0040]本発明の第2の好ましい実施形態による装置を備える、別の流動床ボイラを模式的に示す図である。
[0041]本発明の第3の好ましい実施形態による装置を備える、さらに別の流動床ボイラを模式的に示す図である。
[0042]本発明の第4の好ましい実施形態による装置を備える、流動床ボイラを模式的に示す図である。
[0043]本発明の第5の好ましい実施形態による装置を模式的に示す図である。
[0044]本発明の実施形態による装置の詳細を模式的に示す図である。
本発明の実施形態による装置の詳細を模式的に示す図である。
[0045] 図1の略図は、火力蒸気発生器、より具体的には、本発明の第1の好ましい実施形態による装置を備える、流動床ボイラ10を模式的に示す。図1は炉12を含む、従来型の循環型流動床ボイラを示し、この場合に粒子の床が、空気と共に炉に導入された燃料を燃焼させるように、空気流14で流動化される。本発明のその他の応用において、廃棄物焼却炉またはガスタービン発電所などの、流動床ボイラとは別のタイプの煙道ガス発生用火力ボイラもあり得る。図1に示す応用において、燃焼プロセスは煙道ガスを発生させ、この煙道ガスは炉の上部から粒子分離器16へ搬送され、ここで、煙道ガスに連行された粒子の部分が、煙道ガスから分離されて、リターンダクト18を経由して炉に戻される。浄化された煙道ガスが、粒子分離器16から、煙道ガスダクト20へと発出し、煙道ガスダクト20はまず炉の頂部を越えて延びる水平通路22、次いで下降流の垂直煙道ガス通路24を含み、そこから、煙道ガスは、図1には示されていないさらに別の煙道ガス処置段階へと搬送される。
[0046] 炉12の垂直側壁26、28は、これらを従来型のチューブ・ウォールとして形成することにより従来のやり方で冷却され、このチューブ・ウォール内で、水が蒸発して蒸気となる。このように、動作中の水チューブは、水と蒸気の混合物を下部ヘッダー30、30’から上部ヘッダー32、32’に搬送し、そこから、自然循環ボイラの場合には、図1には図示しない蒸気ドラムを介して循環させる。側壁26、28は、したがって、蒸発温度において動作中であり、蒸発温度は、混合物の圧力に依存する。本発明の観点においては、ボイラは、代替的に、水が徐々に蒸気に変換されるとともに、蒸気ドラムがない、超臨界貫流蒸気発生器とすることができる。
[0047] 炉12および煙道ガスダクト20の垂直煙道ガス通路24は上端支持されており、すなわちそれらは炉の上方に延びる従来型の支持構造36から適当なハンガーロッド34によって吊るされている。炉の外部側壁26は、バックステー38などの従来型の壁支持構造によって、水平荷重に抗して支持されている。当業者には知られているように、このような流動床ボイラは、例えば、燃料送給、灰排出、蒸気発生および煙道ガス洗浄に関する他の多くの要素および機構も含むが、これらは本発明にとって重要ではないという理由で、図1から省略されている。
[0048] ボイラの運転中に炉の上部に煙道ガスが流れるため、炉内を第1の煙道ガス通路と呼ぶことができる。これに対応して、下降流の垂直煙道ガス通路24は、以下では第2の煙道ガス通路と呼ぶ。第2の煙道ガス通路24は、一般に、4つの垂直な側壁によって包囲されており、そのうち、第1の側壁40と、第2の煙道ガス通路の前壁と、第2の側壁42と、第2の煙道ガス通路の後壁とを、図1において見ることができる。4つの垂直側壁はすべて従来型の蒸発式チューブ・ウォールであり、これらは、動作中に、水と蒸気の混合物を下部ヘッダー30’、44から上部ヘッダー32’、46に搬送し、そこから、自然循環の場合は、蒸気ドラムへと搬送する。すなわち、第2の煙道ガス通路の側壁は、混合物の圧力に依存する蒸発温度で動作している。
[0049] 前壁40は、炉12と共通の壁であり、すなわち第2の煙道ガス通路24の前壁40は、炉の後壁28と同じである。このように、図1に示す発明の実施形態によれば、煙道ガスの流れ方向は、共通壁40の異なる側面において実質的に反対である。炉側においては流れが実質的に上向きであり、下向流垂直煙道ガス通路24では、流れは実質的に下向きである。図1には見られない第2の通路の、第2の側壁42、ならびに第3および第4の側壁は、従来型の外壁である。
[0050] 第2の煙道ガス通路24は、先行段階、通常は、先工程の過熱段階、の温度からより高い温度まで、その温度を上昇させるために蒸気を搬送する過熱チューブ48を備える。すなわち、過熱チューブ48は、第2の煙道ガス通路24の垂直側壁40、42よりも常に高い温度となる。過熱チューブ48は、有利には、第1と第2の側壁40、42の間の煙道ガス通路24を横切って延びる、複数の水平に延びるチューブ脚部50を含む、従来の湾曲型である。水平に延びる脚部50は、第1および第2の端部セクション52、54によって、それぞれ、第2の煙道ガス通路24の第1および第2の側壁40、42の側面に直列に接続されている。過熱チューブは、代替的に、第1および第2の側壁の側の端部セクションによって直列に接続された、対応する水平に延びる脚部を有する、別のタイプのものとすることができる。
[0051] 図1に示す実施形態では、過熱チューブは、ハンガーチューブ56によって上方から垂直に支持され、ハンガーチューブ56は上方から、好ましくは支持構造36から支持され、主として垂直の煙道ガス通路24内に位置する。ハンガーチューブ56は、過熱チューブの最下部の水平に延びる脚部50’と蒸気流接続している。より具体的には、ハンガーチューブ56は、過熱チューブ48に蒸気を送給するために使用され、したがって過熱器としても機能する。したがって、ハンガーチューブ56の温度は、第2の煙道ガス通路24の垂直側壁40、42の温度よりも常に高くなる。本発明のその他の応用では、過熱チューブは、代替的に、別個の上方から吊るされた支持構築物などの、別のタイプのハンガーによって支持することができ、この支持構築物は、動作中に第2の煙道ガスダクトの側壁の温度よりも高い温度まで上昇するように、煙道ガス通路内部に配設される。
[0052] 第2の煙道ガス通路24の第2の側壁42、ならびに第3および第4の側壁は、有利には、従来型のバックステー58などの適当な壁支持構造によって水平荷重に抗して支持される。第1の側壁40は、炉と共通の壁であるため、壁の両側における高温の煙道ガスの集中的な流れのために、バックステーによって水平荷重に抗して支持することができない。したがって、本発明によれば、複数の水平に延びるチューブ脚部50のそれぞれの第1および第2の端部セクション52、54を、適当な取付け手段60、60’によって、それぞれ、第1および第2の側壁40、42に取り付けることによって、第1の側壁40を水平に支持することによって、第1の側壁40の剛性が高まる。本発明によれば、取付け手段は、それぞれ、第1および第2の側壁40、42に対する、第1および第2の端部セクション52、54の各々の相対的移動を、端部セクションと端部セクションが取り付けられる側壁との間の相対的熱移動の方向にのみに許容する。可能な取付け手段の設計の例を、図6aおよび図6bに関連して、以下に説明する。
[0053] ハンガーチューブ56は側壁40、42よりも高い温度に加熱されるため、端部セクションと、端部セクションがその中に取り付けられている側壁との間の相対的熱移動は、常に垂直成分を有する。したがって、上述したように、取付け手段は、端部セクション60、60’と、それらの隣接する側壁40、42との間の純粋に水平な移動を許容しないが、許容される移動は常に垂直方向成分を有する。このように、煙道ガス通路24において水平に延びる脚部50の配設は、水平方向に剛性がある。したがって、図1に示す本発明の実施の形態によれば、水平荷重を第1の側壁40から第2の側壁42に伝達するために、過熱チューブ48の水平脚部50を利用することによって、第1の側壁40の剛性が高まる。
[0054] 図2の略図は、火力蒸気発生装置、より具体的には、本発明の第2の好ましい実施形態による装置を備える、流動床ボイラ10’を模式的に示す。図2の実施形態が図1の実施形態と異なる点は、流動床ボイラ10’がwaste-to-energyボイラであり、このボイラでは、炉12から発せられる煙道ガスが、上昇流の第2の煙道ガス通路24’に入る前に、まず下降流の空の通路62で冷却されることである。図2のすべての要素は、図1の対応する要素と原理的には同一であり、図1と同じ参照番号で参照される。ただし、本発明の観点では関係のない相違がある場合には、図2で用いた参照番号、あるいはそれに対応して他の図3~6で使用される参照番号は、前の図と同じだが、アポストロフィが付加される。
[0055] 図2の実施形態では、空の通路62と上昇流煙道ガス通路24’との間に共通の壁40’がある。したがって、この場合、空の通路62が第1の煙道ガス通路であり、上昇流の煙道ガス通路24’が第2の煙道ガス通路である。共通壁40’は、第1の煙道ガス通路62の後壁であり、第2の煙道ガス通路24’の前壁である。第2の煙道ガス通路には、過熱チューブ48が配設されており、これは図1のものと原理的に同一である。
[0056] 第1の煙道ガス通路62の前壁および第2の煙道ガス通路24’の後壁は外壁であり、これらは従来型のバックステー38’、58によって外部支持されている。通常、共通壁40’の両側に大きな圧力差はないが、特に大きな幅および/または高さを有する共通壁の場合には、水平荷重に抗して壁を強化することが必要となる場合がある。共通壁40’の強化は、図1の実施形態における共通壁40の強化と同様に、過熱チューブ48の水平に延びる脚部50の第1および第2の端部セクション52、54を、前記第1および第2の側壁に、すなわち第2の煙道ガス通路の共通壁40’と後壁42とに、適当な取付け手段60、60’によって取り付けることにより、有利に実行することができる。
[0057] 図3の略図は、本発明の第3の好ましい実施形態による装置を備える、流動床ボイラ10’’を模式的に示す。図3の実施形態が図2の実施形態と異なるのは、第2の煙道ガス通路24’’が先行する煙道ガス通路と共通の壁を有さず、第2の煙道ガス通路内の過熱チューブ48が使用されて、第2の煙道ガス通路の前壁64と後壁42の両方を水平に支持する点である。
[0058] 過熱チューブ48の水平に延びる脚部によって、第2の煙道ガス通路の垂直方向の中央領域に対して提供される、水平支持のため、外部バックステーまたはその他の外部支持デバイスは、前述の領域において省略または最小化することができる。しかしながら、前述の中央領域の上下の垂直領域には、それでもなお、従来型のバックステー66、58、またはその他の適当な支持構造を設けることができる。
[0059] 図1および2に示される実施形態を含む共通壁において、共通壁40における取付け手段60は、図6aおよび6bに関して説明されるように、外壁42における取付け手段60’と有利に異なる。図3の実施形態において、第2の煙道ガス通路24’’の前壁64と後壁42の両方が外壁であり、したがって、前壁64および後壁42における取付け手段68は、好ましくは、互いに同一である。
[0060] 図4の略図は、本発明の第4の好ましい実施形態による装置を備える、流動床ボイラ10’’’を模式的に示す。図4の実施形態が、図3の実施形態と異なるのは、過熱チューブ48’が、過熱チューブ48’に蒸気を送給するハンガーチューブによって上方から支持されるのではなく、別個のハンガー56’、例えば、上方から吊るされたパイプまたはロッドによって支持されて、これは、動作中に第2の煙道ガスダクトの側壁の温度よりも高い温度まで上昇するように、煙道ガス通路内に配設される点である。図4に示されるような別個のハンガー56’は、多くのその他の実施形態、例えば、本発明の図1~3に示される実施形態においても、もちろん使用することができる。
[0061] 図5の略図は、煙道ガス通路24’’’における過熱チューブ70の配設の例を模式的に示しており、この装置は、本発明の異なる応用、例えば図1、2および3に示される実施形態のいずれにおいても使用することができる。この装置は、2つの入れ子にされた湾曲チューブ72、72’を含み、それらの各々は、ハンガーチューブ74、74’によって垂直に支持され、このハンガーチューブは、湾曲チューブ72、72’のうちの1つの湾曲チューブの最下部の水平に延びる脚部76、76’と蒸気流接続されている。当業者には明らかなように、入れ子にされた湾曲チューブの配設は、代替的に、図4に示すように、別個のハンガーによって上方から支持することができる。
[0062] 入れ子にされた湾曲チューブ72、72’の各々は、複数の水平に延びる脚部78、78’を含み、これらは、適当な取付け片80によって、互いに対にして取り付けられて、組み合わされた、剛性のある水平に延びる脚部82を形成する。この組み合わされた、剛性のある水平に延びる脚部82は、例えば図3の実施形態におけるのと同じやり方で、煙道ガス通路24’’’の側壁64、42に取り付けられ、側壁64、42に水平支持を与える。実際には、過熱チューブ70には、3つまたは4つの湾曲チューブなどの、3つ以上の入れ子にされた湾曲チューブを含めることができる。そのような組み合わされた過熱チューブの各端部セクションにおいて、最外部のチューブは、適当な取付け手段によって隣接する側壁に取り付けられるが、すべてのチューブは、隣接する側壁に水平支持を与えるように、上述のような、組み合わされた、剛性のある水平に延びる脚部を形成する。
[0063] 図6aの略図は、本発明による、過熱チューブの水平に延びるチューブ脚部の端部セクション52を、煙道ガス通路の側壁40に取り付けるのに使用される、例示的な取付け手段60の垂直断面を模式的に示す。取付け手段は、適当な方法、例えば溶接によって側壁40に取り付けられた壁部84と、適当な方法、例えば溶接によって、端部セクション52に取り付けられたチューブ部86とを含む。壁部は、有利には、並んで配設された、2つの垂直に延びる金属プレート88を備え、そのうちの1つが図6aに見えており、プレートの各々が横長のスロット90を有し、これはいくぶん垂直方向から傾いている。チューブ部86は、有利には、ロッド94によってチューブの端部セクション52に取り付けられた横方向金属スラブ92を含む。横方向金属スラブ92は、スロットと同方向に延びており、スロット内で移動可能に配設される。
[0064] 図6aは、大気温度における、すなわち過熱チューブの水平および垂直の寸法、ならびに、煙道ガス通路の側壁40の水平および垂直の寸法が、それらの低温長さを有するときの、取付け手段60を示す。蒸気発生器が、その動作温度まで過熱されるとき、過熱チューブおよび、図6aでは見えない、そのハンガーが、煙道ガス通路よりも多く熱膨張し、それによって端部セクション52が、煙道ガス通路内を下方に、かつ側壁40に向かって移動する。この相対的熱移動は、下向き方向において外向きに傾斜している、横長のスロット90のおかげで可能である。
[0065] 上記で考察したように、スロット90とスラブ92の方向は、取付け手段の場所で発生している、壁40と過熱チューブの端部セクション52との間の相対的熱移動に対応するように、配設されている。したがって、取付け手段60は、側壁40に対する端部セクション52の相対的移動を、垂直方向から傾斜する方向だけにおいて、より具体的には、それらの相対的熱移動の方向だけにおいて、許容する。したがって、この接続は、相対的熱移動の方向に摺動するが、その他の方向においては剛性があり、側壁40に対する水平支持を与える。
[0066] 略図6bは、本発明による、過熱チューブの水平に延びるチューブ脚部の端部セクション54を、煙道ガス通路の側壁42に取り付けるのに使用される、別の例示的な取付け手段60’の垂直断面を模式的に示す。取付け手段60’が図6aの取付け手段60と異なる点は、壁部84’のスロット90’とチューブ部86’のスラブ92’が傾斜しているのではなく垂直である点だけである。このように、取付け手段60’は、主に、上述したように、壁42と過熱チューブの端部54との間に、図6bには図示しないハンガーによって生じる垂直な相対的熱移動だけを可能にする。したがって、相対的な水平熱移動は、取付け手段60’によって防止され、それぞれの水平に延びるチューブ脚部の他端において、例えば図6aに示すような、取付け手段によって、完全に有効化されなければならない。取付け手段60’は、水平方向における熱移動基準線を提供するために使用される。好ましくは、垂直スロットとスラブを有する、そのような取付け手段は、過熱チューブを、図1および2の側壁42などの、外部支持された側壁に接続して、その中に水平熱基準線を設けるときに、使用される。水平熱膨張のため、純粋に垂直移動だけを可能にする取付け手段は、垂直煙道ガス通路の対向する側壁のせいぜい一方だけにしか使用できない。
[0067] 当業者に明らかなように、側壁に対する過熱チューブの端部の相対的移動を単一の所定の方向、それらの相対的熱移動の方向、だけに許容する取付け手段は、図6aおよび図6bに示すもの以外の他の設計によっても達成することができる。例えば、壁部とチューブ部の設計を切り替えることができる。これにより、スロットを有する金属プレートからなる部分は、一般的に、水平に延びるチューブ脚部の端部セクションに、または側壁に、接続することができる、第1の部分と呼ぶことができる。これに応じて、水平に延びるチューブ脚部の端部セクションに、または側壁にロッドによって取り付けられる横方向片を含む部分は、一般的に、第2の部分と呼ぶことができる。
[0068] 代替的な設計によれば、取付け手段の第1の部分は、上述のように、横長のスロットを有する、2つの垂直に延びる金属プレートを備え、第2の部分は、ロッドによって側壁に、または水平に延びるチューブの端部セクションに、取り付けられた強固な、横方向の金属ピンを備える。また、取付け手段の第1の部分には、限定された方向を有する横長のスロットを有する1つの垂直に延びる金属プレートだけを含め、第2の部分には、スロットまたは強固な横方向の金属ピンと同じ方向に延びる、横方向の金属スラブを含めて、このスラブまたはピンは、側壁に、または水平に延びるチューブの端部セクションに、取り付けられた2本のロッドの間に配設することが可能である。
[0069] 以上、本発明を、現在最も好ましい実施形態であると考えられているものに関連する実施例によって、本明細書において説明したが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、その特徴およびいくつかの他の用途の様々な組合せまたは修正を、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内に含めることを意図していることを理解されたい。