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JP2023506763A - 組換えペプチド-mhc複合体結合タンパク質並びにそれらの生成及び使用 - Google Patents

組換えペプチド-mhc複合体結合タンパク質並びにそれらの生成及び使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、ペプチド-MHC(pMHC)複合体に対する結合特異性を有する組換え結合タンパク質を製造する方法に関する。本発明はまた、1個、2個又はそれより多数の設計された反復ドメイン、好ましくは設計されたアンキリン反復ドメインを含む、pMHC複合体に対する結合特異性を有する組換え結合タンパク質と、免疫細胞、好ましくはT細胞の表面上に発現するタンパク質に対する結合特異性を有する結合因子を更に含むこのような結合タンパク質とに関する。加えて、本発明は、このような結合タンパク質又は反復ドメインをコードする核酸、このような結合タンパク質又は核酸を含む医薬組成物、及びこのような結合タンパク質、核酸又は医薬組成物の、癌、感染症及び自己免疫疾患を含む疾患を処置又は診断するための方法における使用に関する。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年12月11日に出願された欧州特許第19215436.7号明細書に対する優先権の利益を主張する。この特許出願の開示は、全ての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
開示の分野
本発明は、ペプチド-MHC(pMHC)複合体に対する結合特異性を有する組換え結合タンパク質を生産する方法に関する。本発明はまた、1個、2個又はそれより多数の設計された反復ドメイン、好ましくは設計されたアンキリン反復ドメインを含む、pMHC複合体に対する結合特異性を有する組換え結合タンパク質と、免疫細胞、好ましくはT細胞の表面上に発現するタンパク質に対する結合特異性を有する結合因子を更に含むこのような結合タンパク質とに関する。加えて、本発明は、このような結合タンパク質又は反復ドメインをコードする核酸、このような結合タンパク質又は核酸を含む医薬組成物、及びこのような結合タンパク質、核酸又は医薬組成物の、癌、感染症及び自己免疫疾患を含む疾患を処置又は診断するための方法における使用に関する。
主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子は、細胞内の異常なタンパク質又は外来タンパク質の監視において重要な役割を担っている。内在性タンパク質に由来するペプチドは、MHCクラスI分子のペプチド結合溝へと装填され、次いで細胞表面上に現れる。このようなMHCクラスI複合体は、悪性細胞を含む全ての有核細胞において発現する。ペプチド-MHC(pMHC)複合体は、CD8+細胞障害性Tリンパ球(CTL)上のT細胞受容体(TCR)によって認識される。ペプチド-MHC複合体の提示は、細胞内環境のスナップショットを循環CTLに提供する(Reeves and James,Immunology 150:16-24(2016))。CTLは、異常な抗原又は外来抗原、例えば、癌タンパク質又は細菌タンパク質若しくはウイルスタンパク質を検出することに応答して活性化され、提示細胞の破壊をもたらす。CTLはまた、「自己」抗原を誤認識するとある特定の自己免疫疾患においても活性化される(Bodis et al.,Rheumatol.Ther.5:5-20(2018))。
腫瘍特異的ペプチド又は感染因子特異的ペプチドを提示するMHCクラスI複合体は、癌及び感染症の免疫療法のための独特なかつ有望なクラスの細胞表面標的として機能する。ワクチン、養子細胞療法、及びTCR様抗体を含む、この標的クラスを利用する試みにおいて、異なるアプローチが開発されてきた。感染因子特異的ペプチドのうち、B型肝炎ウイルス(HBV)ヌクレオカプシド抗原の配列18~27は、急性自己制限HBV感染症に罹患しているHLA-A2陽性患者のCTLによって広く認識されており、慢性B型肝炎患者における抗ウイルスCTL応答を刺激することを目的としたペプチド系治療ワクチンの主要な構成要素として機能する(Hepatology.1997 Oct;26(4):1027-34.c)。
ウイルス特異的又は腫瘍特異的ペプチド-MHC複合体の治療上の利用に対する1つの障害は、胸腺選択後のペプチド-MHC複合体に対するTCRの本質的に低い親和性であった。この低い親和性は、特にウイルス特異的又は腫瘍特異的ペプチド-MHC複合体が、典型的には低密度でウイルス感染細胞又は腫瘍細胞の表面上に存在することを考慮して、制限を提示する。この障害を克服するために、親和性増強TCRが開発され、このような親和性増強TCRを発現する操作されたT細胞が臨床試験において検査された。親和性増強TCRは、特異性を欠く可能性があり、いくつかの例では、親和性増強TCRを発現する操作されたT細胞は、無関係なタンパク質に由来するエピトープのTCRによる予想外の認識により、深刻な、時には死に至る可能性が高い医学的合併症を引き起こした(例えば、Linette et al.,Blood 122(6):863-871(2013))。親和性増強TCRはまた、可溶性TCRとしても開発されているが、可溶性TCR発現は困難である。
ウイルス特異的又は腫瘍特異的ペプチドを提示するMHCクラスI複合体に対する結合特異性を有するいくつかのTCR様抗体が報告されている。このTCR様抗体のうちのいくつかは、ハイブリドーマ技術を使用して単離された。しかしながら、ハイブリドーマ技術によるpMHC特異的TCR様抗体の単離は、数百又は数千さえのクローンをスクリーニングする必要性、低い免疫原性、免疫優性によるいくつかの独特なクローン、及び微細な特異性の不十分な制御を含むいくつかの因子によって妨げられている(例えば、Porgador et al.,Immunity 6:715-726(1997)、Bernardeau et al.,Eur.J.Immunol.35(10):2864-2875(2005)、Skora et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 112(32):9967-9972(2015)を参照されたい)。より多くのTCR様抗体は、ファージディスプレイを用いて単離された。しかしながら、ファージディスプレイライブラリーから単離されたTCR様抗体の親和性は一般に、比較的低く、治療目的にとって十分ではないことが多い(例えば、Chames et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:7969-7974(2000)を参照されたい)。十分に高い親和性を有するTCR様抗体を生成するために、親和性成熟のためのシステムが開発されている。例えば、TCR様抗体の親和性成熟のための1つのこのようなシステムは、突然変異誘発、ライブラリー及び酵母表示、並びに構造決定及び分子モデリングを組み合わせる(Zhao et al.,Leukemia 29(11):2238-2247(2015))。このような複合体及び労働集約的な親和性成熟アプローチのみで、Zhao et al.は、十分な親和性を有するpMHC特異的結合タンパク質を得るために、TCR様抗体の結合親和性を約100倍改善することができた。まとめると、十分な親和性を有する疾患関連ペプチド-MHC複合体を特異的に結合する分子を開発することはこれまでのところ困難であり、現行のアプローチは、一般に、多数のハイブリドーマクローン又は親和性成熟のスクリーニングなどの困難な発現システム及び/又は手間のかかる手順を包含する。
したがって、pMHC特異的結合タンパク質を生産する新たな方法に対する必要性、新たなpMHC特異的結合タンパク質の必要性、並びに癌、自己免疫疾患及び感染症を含む、pMHC特異的結合から利益を得る疾患の処置及び特性評価のための治療上及び診断上のアプローチに対する必要性が依然として存在する。
本発明は、ペプチド-MHC(pMHC)複合体に対する結合特異性を有する組換え結合タンパク質を生産する方法を提供する。本発明はまた、1個、2個又はそれより多数の設計された反復ドメイン、好ましくは設計されたアンキリン反復ドメインを含む、pMHC複合体に対する結合特異性を有する組換え結合タンパク質と、免疫細胞、好ましくはT細胞の表面上に発現するタンパク質に対する結合特異性を有する結合因子を更に含むこのような結合タンパク質とを提供する。加えて、本発明は、このような結合タンパク質又は反復ドメインをコードする核酸、このような結合タンパク質又は核酸を含む医薬組成物、及びこのような結合タンパク質、核酸又は医薬組成物の、ヒトを含む哺乳動物における、例えば、癌、自己免疫疾患及び感染症などの疾患を処置又は診断するための方法における使用を提供する。
pMHC複合体に対する結合特異性を有する組換え結合タンパク質を生産する本発明の方法は、選択された標的pMHC複合体に対して高い親和性及び/又は特異性で結合する結合タンパク質を生成する上で驚くほど効率的でありかつ有効である。これまでのところ、十分な親和性を有する疾患関連pMHC複合体を特異的に結合する分子を開発することは困難であり、現行のアプローチは、一般に、多数のハイブリドーマクローン又は親和性成熟のスクリーニングなどの困難な発現システム及び/又は手間のかかる手順を包含する。本明細書に開示される本発明の方法は、困難な発現系を包含することも、先に記載したような時間及び労力のかかる手順を必要とすることもない。更に、本発明の結合タンパク質と標的ペプチド-MHC複合体との間の結合相互作用は、予想外に、標的ペプチド中の比較的多数のアミノ酸残基を包含する。標的ペプチド中の多数の相互作用残基は、異なるpMHC複合体の大きな領域の中の標的ペプチド-MHC複合体との非常に選択的な又は特異的結合相互作用を反映すると考えられている。本発明の結合タンパク質のpMHC特異的反復ドメインは、特異的結合相互作用において複合ペプチド-MHC表面に非常に良好に立体的にフィットする結合表面を提供し得るようである。本発明の方法及び結合タンパク質は、同じ及び/又は異なるpMHC特異的反復ドメインのうちの2つ以上が1つの結合タンパク質(例えば、二価、バイパラトープな(biparatopic)又は二重特異性結合タンパク質)において容易に組み合わされることができ、それによって結合タンパク質の結合力、結合親和性、結合特異性及び/又は力価を適合させかつ最適化することを可能にするという利点を更に提供する。その上、本発明の結合タンパク質は、例えば、細胞障害性T細胞において発現するT細胞受容体複合体の一部であるタンパク質など、免疫細胞の表面上に発現するタンパク質に対する結合特異性を有する結合因子でさえも更に含み得る。このような免疫細胞エンゲージャー形式(例えば、T細胞エンゲージャー形式)における本発明の結合タンパク質は、免疫細胞(例えば、T細胞)を活性化するための、並びに/又は限局的な及び標的化された様式で免疫系と係合するための方法において有利に使用されることができる。更に、本発明の方法及び結合タンパク質は、とりわけ、細胞内タンパク質を特異的に標的とすることを可能にし、それによって、例えば、癌、感染症及び自己免疫疾患のための多くの新たな診断及び治療の機会を促す。一態様では、本発明は、ペプチド-MHC(pMHC)特異的結合タンパク質を生産する方法であって、当該結合タンパク質が、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計された反復ドメインを含む方法であって、
(a)設計された反復ドメインの集合体を提供することと、
(b)組換え標的ペプチド-MHC複合体を提供することと、
(c)当該標的ペプチド-MHC複合体への特異的結合のための設計された反復ドメインの当該集合体をスクリーニングして、当該標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する少なくとも1つの設計された反復ドメインを得ることと、を含む、方法を提供する。好ましい実施形態では、当該設計された反復ドメインは、設計されたアンキリン反復ドメインである。
別の態様では、本発明は、先の方法によって得られることができる設計された反復ドメインを含む組換え結合タンパク質を提供する。
別の態様では、本発明は、第1の設計された反復ドメインを含む組換え結合タンパク質を提供し、当該第1の反復ドメインは、第1の標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する。好ましい実施形態では、当該第1の標的ペプチドは、疾患又は障害と関係するタンパク質に由来する。例として、1つの特定の好ましい実施形態では、当該第1の標的ペプチドは、(i)腫瘍細胞において発現するタンパク質に由来するペプチド、(ii)感染因子、好ましくはウイルス感染因子のタンパク質に由来するペプチド、及び(iii)自己免疫障害と関係するタンパク質に由来するペプチドからなる群から選択される。
1つの特定の態様では、当該第1の標的ペプチドは、ウイルス感染因子のタンパク質、好ましくは、例えば、HBVコア抗原(HBcAg)などのウイルス特異的タンパク質に由来する。1つの好ましい態様では、HBcAgに由来する標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
1つの好ましい態様では、本発明は、第1の標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する第1の設計された反復ドメインを含むこのような組換え結合タンパク質を提供し、当該第1の反復ドメインは、設計されたアンキリン反復ドメインである。1つの特定の態様では、本発明は、第1の標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する第1のアンキリン反復ドメインを含むこのような組換え結合タンパク質を提供し、当該第1の標的ペプチドは、HBcAgに由来し、当該第1のアンキリン反復ドメインは、(1)配列番号27~50及び(2)配列番号27~50のうちのいずれかにおける9個までのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むアンキリン反復モジュールを含む。1つの特定の実施形態では、本発明は、第1の標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する第1のアンキリン反復ドメインを含むこのような組換え結合タンパク質を提供し、当該第1の標的ペプチドは、HBcAgに由来し、当該第1のアンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のうちのいずれか1つと少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号16~26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号16~26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号16~26の最後の位置のAは、場合によりNによって置換されている。
1つの特定の態様では、本発明は、第2の標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する第2の設計された反復ドメインを更に含む、このような組換え結合タンパク質を提供する。好ましい実施形態では、当該第2の標的ペプチドは、疾患又は障害と関係するタンパク質に由来する。例として、1つの特定の好ましい実施形態では、当該第2の標的ペプチドは、(i)腫瘍細胞において発現するタンパク質に由来するペプチド、(ii)感染因子、好ましくはウイルス感染因子のタンパク質に由来するペプチド、及び(iii)自己免疫障害と関係するタンパク質に由来するペプチドからなる群から選択される。
1つの特定の態様では、当該第2の標的ペプチドは、当該第1の標的ペプチドと同じタンパク質に由来する。一実施形態では、当該第2の標的ペプチドは、当該記第1の標的ペプチドと同じアミノ酸配列を有する。一実施形態では、当該第2の反復ドメインは、当該第1の反復ドメインと同じアミノ酸配列を有する。一実施形態では、当該第2の反復ドメインは、当該第1の反復ドメインと比較して、異なるアミノ酸配列を有する。一実施形態では、当該第2の標的ペプチドは、当該第1の標的ペプチドと比較して異なるアミノ酸配列を有する。
1つの特定の態様では、当該第2の標的ペプチドは、当該第1の標的ペプチドが由来するタンパク質とは異なるタンパク質に由来する。
1つの好ましい態様では、本発明は、第2の標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する第2の設計された反復ドメインを更に含むこのような組換え結合タンパク質を提供し、当該第2の反復ドメインは、設計されたアンキリン反復ドメインである。1つの特定の態様では、本発明は、第2の標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する第2のアンキリン反復ドメインを更に含むこのような組換え結合タンパク質を提供し、当該第2の標的ペプチドは、HBcAgに由来し、当該第2のアンキリン反復ドメインは、(1)配列番号27~50及び(2)配列番号27~50のうちのいずれかにおける9個までのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むアンキリン反復モジュールを含む。1つの特定の実施形態では、本発明は、第2の標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する第2のアンキリン反復ドメインを更に含むこのような組換え結合タンパク質を提供し、当該第2の標的ペプチドは、HBcAgに由来し、当該第2のアンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のうちのいずれか1つと少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号16~26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号16~26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号16~26の最後の位置のAは、場合によりNによって置換されている。
1つの好ましい態様において、反復ドメインのその標的ペプチド-MHC複合体への結合は、当該反復ドメインと、当該標的ペプチドの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、又は少なくとも7個のアミノ酸残基との相互作用を含む。一実施形態では、反復ドメインのその標的ペプチド-MHC複合体への結合は、それに代わるものとして又は更に、当該反復ドメインと当該MHCの少なくとも1個のアミノ酸残基との相互作用を含む。
1つの特定の態様では、本発明は、このようなpMHC特異的組換え結合タンパク質を提供し、結合タンパク質は、免疫細胞、好ましくはT細胞、より好ましくはCD8+細胞障害性T細胞の表面上に発現するタンパク質に対する結合特異性を有する結合因子を更に含む。一実施形態では、T細胞の表面上に発現する当該タンパク質は、T細胞受容体複合体の一部であるタンパク質である。一例として、1つの特定の実施形態では、本発明は、このようなpMHC特異的組換え結合タンパク質を提供し、結合タンパク質は、CD3に対する結合特異性を有する結合因子を更に含む。
1つの好ましい態様では、本発明は、免疫細胞の表面上に発現するタンパク質に対する結合特異性を有する結合因子を更に含み、当該結合因子が、設計された反復ドメイン、好ましくは設計されたアンキリン反復ドメインである、このような組換え結合タンパク質を提供する。
別の態様では、本発明は、本発明の設計された反復ドメインをコードする核酸、又は本発明のpMHC特異的組換え結合タンパク質をコードする核酸、並びに本発明のpMHC特異的組換え結合タンパク質又は核酸と、医薬として許容され得る担体及び/又は希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける、T細胞の感染症限局性活性化の方法であって、本発明のpMHC特異的組換え結合タンパク質又は核酸を哺乳動物に投与するステップを含む方法であって、当該結合タンパク質は、免疫細胞の表面上に発現するタンパク質に対する結合特異性を有する結合因子を更に含み、当該第1の標的ペプチド及び/又は、当該結合タンパク質が当該第2の反復ドメインを含む場合、当該第2の標的ペプチドは、感染因子のタンパク質に由来する。
別の態様では、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける、T細胞の感染症限局性活性化の方法において使用するための本発明によるpMHC特異的組換え結合タンパク質又は核酸を提供し、当該結合タンパク質は、免疫細胞の表面上に発現するタンパク質に対する結合特異性を有する結合因子を更に含み、当該第1の標的ペプチド及び/又は、当該結合タンパク質が当該第2の反復ドメインを含む場合、当該第2の標的ペプチドは、感染因子のタンパク質に由来する。
別の態様では、本発明は、医学的状態を処置するための方法であって、医学的状態を処置することを必要とする患者に、治療有効量の本発明のpMHC特異的組換え結合タンパク質、核酸、又は医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、医学的状態を処置する方法において使用するための、本発明のpMHC特異的組換え結合タンパク質、核酸、又は医薬組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける医学的状態を診断する方法であって、
(i)当該哺乳動物から得られた細胞試料又は組織試料を本発明のpMHC特異的組換え結合タンパク質と接触させるステップと、
(ii)当該細胞試料又は組織試料への当該結合タンパク質の特異的結合を検出するステップと、を含む、方法を提供する。
1つの特定の態様では、当該医学的状態は、癌、感染症、好ましくはウイルス感染症、又は自己免疫疾患である。一実施形態では、当該医学的状態は、癌である。一実施形態では、当該医学的状態は、感染症、好ましくはウイルス感染症である。一実施形態では、当該医学的状態は、自己免疫疾患である。
別の態様では、本発明は、感染細胞の破壊のために、ウイルス感染症に罹患している患者における感染細胞を標的とする方法であって、患者に治療有効量の本発明のpMHC特異的組換え結合タンパク質、核酸、又は医薬組成物を投与するステップを含む、方法であって、当該第1の標的ペプチド及び/又は、当該結合タンパク質が当該第2の反復ドメインを含む場合、当該第2の標的ペプチドが、感染細胞において発現するタンパク質、好ましくはウイルス特異的タンパク質に由来する、方法を提供する。一実施形態では、当該結合タンパク質は、感染細胞を殺滅することができる毒性因子を更に含む。
別の態様では、本発明は、感染細胞の破壊のために、ウイルス感染症に罹患している患者において感染細胞を標的とする方法において使用するための、本発明のpMHC特異的組換え結合タンパク質、核酸、又は医薬組成物を提供し、当該第1の標的ペプチド及び/又は、当該結合タンパク質が当該第2の反復ドメインを含む場合、当該第2の標的ペプチドは、感染細胞において発現するタンパク質、好ましくはウイルス特異的タンパク質に由来する。一実施形態では、当該結合タンパク質は、感染細胞を殺滅することができる毒性因子を更に含む。
標的ペプチド-MHC複合体への本発明の結合タンパク質の高親和性の結合。DARPin(登録商標)タンパク質#16についての多重トレースSPR測定。試験したDARPin(登録商標)タンパク質は、HBVc18pMHCに対して高親和性で結合した。 標的ペプチド-MHC複合体への本発明の結合タンパク質の高親和性の結合。DARPin(登録商標)タンパク質#17についての多重トレースSPR測定。試験したDARPin(登録商標)タンパク質は、HBVc18pMHCに対して高親和性で結合した。 標的ペプチド-MHC複合体への本発明の結合タンパク質の高親和性の結合。DARPin(登録商標)タンパク質#18についての多重トレースSPR測定。試験したDARPin(登録商標)タンパク質は、HBVc18pMHCに対して高親和性で結合した。 標的ペプチド-MHC複合体への本発明の結合タンパク質の高親和性の結合。DARPin(登録商標)タンパク質#20についての多重トレースSPR測定。試験したDARPin(登録商標)タンパク質は、HBVc18pMHCに対して高親和性で結合した。 標的ペプチド-MHC複合体への本発明の結合タンパク質の高親和性の結合。DARPin(登録商標)タンパク質#21についての多重トレースSPR測定。試験したDARPin(登録商標)タンパク質は、HBVc18pMHCに対して高親和性で結合した。 標的ペプチド-MHC複合体への本発明の結合タンパク質の高親和性の結合。DARPin(登録商標)タンパク質#22についての多重トレースSPR測定。試験したDARPin(登録商標)タンパク質は、HBVc18pMHCに対して高親和性で結合した。 標的ペプチド-MHC複合体への本発明の結合タンパク質の高親和性の結合。DARPin(登録商標)タンパク質#23についての多重トレースSPR測定。試験したDARPin(登録商標)タンパク質は、HBVc18pMHCに対して高親和性で結合した。 標的ペプチド-MHC複合体への本発明の結合タンパク質の高親和性の結合。DARPin(登録商標)タンパク質#24についての多重トレースSPR測定。試験したDARPin(登録商標)タンパク質は、HBVc18pMHCに対して高親和性で結合した。 標的ペプチド-MHC複合体への本発明の結合タンパク質の高親和性の結合。DARPin(登録商標)タンパク質#25についての多重トレースSPR測定。試験したDARPin(登録商標)タンパク質は、HBVc18pMHCに対して高親和性で結合した。 標的ペプチド-MHC複合体への本発明の結合タンパク質の高親和性の結合。DARPin(登録商標)#26についての多重トレースSPR測定。試験したDARPin(登録商標)タンパク質は、HBVc18pMHCに対して高親和性で結合した。 対照として非パルス処理T2細胞(暗灰色のバー)又はHLA-A*02+ T細胞(明灰色のバー)のみを用いたT細胞活性化と比較して、標的細胞(黒色バー)としてHBVc18パルス処理(10nM)T2細胞を使用したT細胞活性化アッセイ。3つのDARPin濃度を使用した(10,000pM、100pM、及び1pM)。試験したTCE DARPin(登録商標)タンパク質は以下のとおりであった。TCE DARPin(登録商標)タンパク質#16。T細胞中の細胞内インターフェロンγ(IFN-γ)を、FACSによって検出した。 対照として非パルス処理T2細胞(暗灰色のバー)又はHLA-A*02+ T細胞(明灰色のバー)のみを用いたT細胞活性化と比較して、標的細胞(黒色バー)としてHBVc18パルス処理(10nM)T2細胞を使用したT細胞活性化アッセイ。3つのDARPin濃度を使用した(10,000pM、100pM、及び1pM)。試験したTCE DARPin(登録商標)タンパク質は以下のとおりであった。(B)TCE DARPin(登録商標)タンパク質#17。T細胞中の細胞内インターフェロンγ(IFN-γ)を、FACSによって検出した。 対照として非パルス処理T2細胞(暗灰色のバー)又はHLA-A*02+ T細胞(明灰色のバー)のみを用いたT細胞活性化と比較して、標的細胞(黒色バー)としてHBVc18パルス処理(10nM)T2細胞を使用したT細胞活性化アッセイ。3つのDARPin濃度を使用した(10,000pM、100pM、及び1pM)。試験したTCE DARPin(登録商標)タンパク質は以下のとおりであった。TCE DARPin(登録商標)タンパク質#18。T細胞中の細胞内インターフェロンγ(IFN-γ)を、FACSによって検出した。 対照として非パルス処理T2細胞(暗灰色のバー)又はHLA-A*02+ T細胞(明灰色のバー)のみを用いたT細胞活性化と比較して、標的細胞(黒色バー)としてHBVc18パルス処理(10nM)T2細胞を使用したT細胞活性化アッセイ。3つのDARPin濃度を使用した(10,000pM、100pM、及び1pM)。試験したTCE DARPin(登録商標)タンパク質は以下のとおりであった。TCE DARPin(登録商標)タンパク質#20。T細胞中の細胞内インターフェロンγ(IFN-γ)を、FACSによって検出した。 対照として非パルス処理T2細胞(暗灰色のバー)又はHLA-A*02+ T細胞(明灰色のバー)のみを用いたT細胞活性化と比較して、標的細胞(黒色バー)としてHBVc18パルス処理(10nM)T2細胞を使用したT細胞活性化アッセイ。3つのDARPin濃度を使用した(10,000pM、100pM、及び1pM)。試験したTCE DARPin(登録商標)タンパク質は以下のとおりであった。TCE DARPin(登録商標)タンパク質#21。T細胞中の細胞内インターフェロンγ(IFN-γ)を、FACSによって検出した。 対照として非パルス処理T2細胞(暗灰色のバー)又はHLA-A*02+ T細胞(明灰色のバー)のみを用いたT細胞活性化と比較して、標的細胞(黒色バー)としてHBVc18パルス処理(10nM)T2細胞を使用したT細胞活性化アッセイ。3つのDARPin濃度を使用した(10,000pM、100pM、及び1pM)。試験したTCE DARPin(登録商標)タンパク質は以下のとおりであった。TCE DARPin(登録商標)タンパク質#22。T細胞中の細胞内インターフェロンγ(IFN-γ)を、FACSによって検出した。 対照として非パルス処理T2細胞(暗灰色のバー)又はHLA-A*02+ T細胞(明灰色のバー)のみを用いたT細胞活性化と比較して、標的細胞(黒色バー)としてHBVc18パルス処理(10nM)T2細胞を使用したT細胞活性化アッセイ。3つのDARPin濃度を使用した(10,000pM、100pM、及び1pM)。試験したTCE DARPin(登録商標)タンパク質は以下のとおりであった。(G)TCE DARPin(登録商標)タンパク質#23。T細胞中の細胞内インターフェロンγ(IFN-γ)を、FACSによって検出した。 対照として非パルス処理T2細胞(暗灰色のバー)又はHLA-A*02+ T細胞(明灰色のバー)のみを用いたT細胞活性化と比較して、標的細胞(黒色バー)としてHBVc18パルス処理(10nM)T2細胞を使用したT細胞活性化アッセイ。3つのDARPin濃度を使用した(10,000pM、100pM、及び1pM)。試験したTCE DARPin(登録商標)タンパク質は以下のとおりであった。TCE DARPin(登録商標)タンパク質#24。T細胞中の細胞内インターフェロンγ(IFN-γ)を、FACSによって検出した。 対照として非パルス処理T2細胞(暗灰色のバー)又はHLA-A*02+ T細胞(明灰色のバー)のみを用いたT細胞活性化と比較して、標的細胞(黒色バー)としてHBVc18パルス処理(10nM)T2細胞を使用したT細胞活性化アッセイ。3つのDARPin濃度を使用した(10,000pM、100pM、及び1pM)。試験したTCE DARPin(登録商標)タンパク質は以下のとおりであった。TCE DARPin(登録商標)タンパク質#25。T細胞中の細胞内インターフェロンγ(IFN-γ)を、FACSによって検出した。 対照として非パルス処理T2細胞(暗灰色のバー)又はHLA-A*02+ T細胞(明灰色のバー)のみを用いたT細胞活性化と比較して、標的細胞(黒色バー)としてHBVc18パルス処理(10nM)T2細胞を使用したT細胞活性化アッセイ。3つのDARPin濃度を使用した(10,000pM、100pM、及び1pM)。試験したTCE DARPin(登録商標)タンパク質は以下のとおりであった。TCE DARPin(登録商標)タンパク質#26。T細胞中の細胞内インターフェロンγ(IFN-γ)を、FACSによって検出した。 アラニン走査突然変異誘発によって分析された標的ペプチド結合。HBVc18ペプチド(c18)及び一連のアラニン突然変異変異体への結合タンパク質の機能的結合を、標的細胞としてパルス処理T2細胞を、エフェクター細胞としてBK112T細胞を用いるT細胞活性化アッセイにおいて試験した。アラニンで置き換えられたHBVc18ペプチドにおけるアミノ酸残基及び位置を示す。対照として、非パルス処理T2細胞を用いた。試験したTCE DARPin(登録商標)タンパク質は以下のとおりであった。TCE DARPin(登録商標)タンパク質#16。細胞内IFN-γを、T細胞活性化の尺度として検出した。 アラニン走査突然変異誘発によって分析された標的ペプチド結合。HBVc18ペプチド(c18)及び一連のアラニン突然変異変異体への結合タンパク質の機能的結合を、標的細胞としてパルス処理T2細胞を、エフェクター細胞としてBK112T細胞を用いるT細胞活性化アッセイにおいて試験した。アラニンで置き換えられたHBVc18ペプチドにおけるアミノ酸残基及び位置を示す。対照として、非パルス処理T2細胞を用いた。試験したTCE DARPin(登録商標)タンパク質は以下のとおりであった。TCE DARPin(登録商標)タンパク質#17。細胞内IFN-γを、T細胞活性化の尺度として検出した。 アラニン走査突然変異誘発によって分析された標的ペプチド結合。HBVc18ペプチド(c18)及び一連のアラニン突然変異変異体への結合タンパク質の機能的結合を、標的細胞としてパルス処理T2細胞を、エフェクター細胞としてBK112T細胞を用いるT細胞活性化アッセイにおいて試験した。アラニンで置き換えられたHBVc18ペプチドにおけるアミノ酸残基及び位置を示す。対照として、非パルス処理T2細胞を用いた。試験したTCE DARPin(登録商標)タンパク質は以下のとおりであった。TCE DARPin(登録商標)タンパク質#18。細胞内IFN-γを、T細胞活性化の尺度として検出した。 アラニン走査突然変異誘発によって分析された標的ペプチド結合。HBVc18ペプチド(c18)及び一連のアラニン突然変異変異体への結合タンパク質の機能的結合を、標的細胞としてパルス処理T2細胞を、エフェクター細胞としてBK112T細胞を用いるT細胞活性化アッセイにおいて試験した。アラニンで置き換えられたHBVc18ペプチドにおけるアミノ酸残基及び位置を示す。対照として、非パルス処理T2細胞を用いた。試験したTCE DARPin(登録商標)タンパク質は以下のとおりであった。TCE DARPin(登録商標)タンパク質#20。細胞内IFN-γを、T細胞活性化の尺度として検出した。 アラニン走査突然変異誘発によって分析された標的ペプチド結合。HBVc18ペプチド(c18)及び一連のアラニン突然変異変異体への結合タンパク質の機能的結合を、標的細胞としてパルス処理T2細胞を、エフェクター細胞としてBK112T細胞を用いるT細胞活性化アッセイにおいて試験した。アラニンで置き換えられたHBVc18ペプチドにおけるアミノ酸残基及び位置を示す。対照として、非パルス処理T2細胞を用いた。試験したTCE DARPin(登録商標)タンパク質は以下のとおりであった。TCE DARPin(登録商標)タンパク質#21。細胞内IFN-γを、T細胞活性化の尺度として検出した。 アラニン走査突然変異誘発によって分析された標的ペプチド結合。HBVc18ペプチド(c18)及び一連のアラニン突然変異変異体への結合タンパク質の機能的結合を、標的細胞としてパルス処理T2細胞を、エフェクター細胞としてBK112T細胞を用いるT細胞活性化アッセイにおいて試験した。アラニンで置き換えられたHBVc18ペプチドにおけるアミノ酸残基及び位置を示す。対照として、非パルス処理T2細胞を用いた。試験したTCE DARPin(登録商標)タンパク質は以下のとおりであった。TCE DARPin(登録商標)タンパク質#22。細胞内IFN-γを、T細胞活性化の尺度として検出した。 アラニン走査突然変異誘発によって分析された標的ペプチド結合。HBVc18ペプチド(c18)及び一連のアラニン突然変異変異体への結合タンパク質の機能的結合を、標的細胞としてパルス処理T2細胞を、エフェクター細胞としてBK112T細胞を用いるT細胞活性化アッセイにおいて試験した。アラニンで置き換えられたHBVc18ペプチドにおけるアミノ酸残基及び位置を示す。対照として、非パルス処理T2細胞を用いた。試験したTCE DARPin(登録商標)タンパク質は以下のとおりであった。TCE DARPin(登録商標)タンパク質#23。細胞内IFN-γを、T細胞活性化の尺度として検出した。 アラニン走査突然変異誘発によって分析された標的ペプチド結合。HBVc18ペプチド(c18)及び一連のアラニン突然変異変異体への結合タンパク質の機能的結合を、標的細胞としてパルス処理T2細胞を、エフェクター細胞としてBK112T細胞を用いるT細胞活性化アッセイにおいて試験した。アラニンで置き換えられたHBVc18ペプチドにおけるアミノ酸残基及び位置を示す。対照として、非パルス処理T2細胞を用いた。試験したTCE DARPin(登録商標)タンパク質は以下のとおりであった。TCE DARPin(登録商標)タンパク質#24。細胞内IFN-γを、T細胞活性化の尺度として検出した。 アラニン走査突然変異誘発によって分析された標的ペプチド結合。HBVc18ペプチド(c18)及び一連のアラニン突然変異変異体への結合タンパク質の機能的結合を、標的細胞としてパルス処理T2細胞を、エフェクター細胞としてBK112T細胞を用いるT細胞活性化アッセイにおいて試験した。アラニンで置き換えられたHBVc18ペプチドにおけるアミノ酸残基及び位置を示す。対照として、非パルス処理T2細胞を用いた。試験したTCE DARPin(登録商標)タンパク質は以下のとおりであった。TCE DARPin(登録商標)タンパク質#25。細胞内IFN-γを、T細胞活性化の尺度として検出した。 アラニン走査突然変異誘発によって分析された標的ペプチド結合。HBVc18ペプチド(c18)及び一連のアラニン突然変異変異体への結合タンパク質の機能的結合を、標的細胞としてパルス処理T2細胞を、エフェクター細胞としてBK112T細胞を用いるT細胞活性化アッセイにおいて試験した。アラニンで置き換えられたHBVc18ペプチドにおけるアミノ酸残基及び位置を示す。対照として、非パルス処理T2細胞を用いた。試験したTCE DARPin(登録商標)タンパク質は以下のとおりであった。TCE DARPin(登録商標)タンパク質#26。細胞内IFN-γを、T細胞活性化の尺度として検出した。 pMHC特異的結合ドメインとCD3特異的結合因子とを接続するリンカーの長さに応じたTCE形式でのpMHC特異的結合タンパク質によるT細胞活性化。HLA-A2+/NY-ESO-1+腫瘍細胞(IM9)(実線)又はHLA-A2+/NY-ESO-1-腫瘍細胞(MCF-7)(破線)をPBMCとともに、異なるリンカー長のTCE DARPin(登録商標)タンパク質#78の有無の下で、48時間インキュベートした。48時間後、CD25発現をCD8+T細胞において測定した。TCE DARPin(登録商標)タンパク質の存在下で得られた結果を示す。TCE DARPin(登録商標)タンパク質の非存在下では、T細胞活性化は観察されなかった。Ag:抗原/NY-ESO-1。リンカー長:標準、XXS、XS、S、及びL(実施例5を参照されたい)。 pMHC特異的結合ドメインとCD3特異的結合因子とを接続するリンカーの長さに応じたTCE形式でのpMHC特異的結合タンパク質によるT細胞活性化。HLA-A2+/NY-ESO-1+腫瘍細胞(IM9)(実線)又はHLA-A2+/NY-ESO-1-腫瘍細胞(MCF-7)(破線)をPBMCとともに、異なるリンカー長のTCE DARPin(登録商標)タンパク質#79の有無の下で、48時間インキュベートした。48時間後、CD25発現をCD8+T細胞において測定した。TCE DARPin(登録商標)タンパク質の存在下で得られた結果を示す。TCE DARPin(登録商標)タンパク質の非存在下では、T細胞活性化は観察されなかった。Ag:抗原/NY-ESO-1。リンカー長:標準、XXS、XS、S、及びL(実施例5を参照されたい)。 pMHC特異的結合ドメインとCD3特異的結合因子とを接続するリンカーの長さに応じたTCE形式でのpMHC特異的結合タンパク質によるT細胞活性化。HLA-A2+/NY-ESO-1+腫瘍細胞(U266B1)(実線)又はHLA-A2+/NY-ESO-1-腫瘍細胞(Colo205)(破線)をPBMCとともに、異なるリンカー長のTCE DARPin(登録商標)タンパク質#78の有無の下で、48時間インキュベートした。48時間後、CD25発現をCD8+T細胞において測定した。TCE DARPin(登録商標)タンパク質の存在下で得られた結果を示す。TCE DARPin(登録商標)タンパク質の非存在下では、T細胞活性化は観察されなかった。Ag:抗原/NY-ESO-1。リンカー長:標準、XXS、XS、S、及びL(実施例5を参照されたい)。 pMHC特異的結合ドメインとCD3特異的結合因子とを接続するリンカーの長さに応じたTCE形式でのpMHC特異的結合タンパク質によるT細胞活性化。HLA-A2+/NY-ESO-1+腫瘍細胞(U266B1)(実線)又はHLA-A2+/NY-ESO-1-腫瘍細胞(Colo205)(破線)をPBMCとともに、異なるリンカー長のTCE DARPin(登録商標)タンパク質#79の有無の下で、48時間インキュベートした。48時間後、CD25発現をCD8+T細胞において測定した。TCE DARPin(登録商標)タンパク質の存在下で得られた結果を示す。TCE DARPin(登録商標)タンパク質の非存在下では、T細胞活性化は観察されなかった。Ag:抗原/NY-ESO-1。リンカー長:標準、XXS、XS、S、及びL(実施例5を参照されたい)。
本明細書に開示及び例示されるように、本開示は、ペプチド-MHC複合体を特異的に標的とする、設計されたリピートタンパク質、好ましくは設計されたアンキリンリピートタンパク質を提供する。設計されたアンキリンリピートタンパク質ライブラリー(国際公開第2002/020565号,Binz et al.,Nat.Biotechnol.22,575-582,2004;Stumpp et al.,Drug Discov.Today 13,695-701,2008)を含む設計されたリピートタンパク質ライブラリーは、高い親和性で標的に結合する標的特異的に設計された反復ドメインの選択に使用することができる。このような標的特異的に設計された反復ドメインは、ひいては疾患の処置のための組換え結合タンパク質の有益な構成要素として使用することができる。設計されたリピートタンパク質ライブラリーを使用して、ペプチド-MHC複合体によって提示されるタンパク質など、特異的にかつ高い親和性で複合エピトープに結合するタンパク質を同定することができるかどうかは示されていなかった。疾患関連ペプチド-MHC複合体を十分な親和性で特異的に結合する分子を生成することは、明らかに困難であった。
設計されたアンキリンリピートタンパク質は、モノクローナル抗体の限界を克服する可能性を有する結合分子のクラスであり、したがって新規な治療的アプローチを可能にする。このようなアンキリンリピートタンパク質は、単一の設計されたアンキリン反復ドメインを含んでもよく、又は2個、3個、4個、5個若しくはそれより多数の設計された、同一又は異なる標的特異性を有するアンキリン反復ドメインの組み合わせを含んでもよい(Stumpp et al.,Drug Discov.Today 13,695-701,2008;米国特許第9,458,211号)。単一の設計されたアンキリン反復ドメインのみを含むアンキリンリピートタンパク質は、高い親和性及び特異性で所与の標的タンパク質に結合するように選択され得る小タンパク質(14kDa)である。これらの特徴、及び1個のタンパク質における2個、3個、4個、5個又はそれより多数の設計されたアンキリン反復ドメインを組み合わせる可能性は、設計されたアンキリンリピートタンパク質を理想的なアゴニスト薬、アンタゴニスト薬及び/又は阻害薬の候補とする。更に、そのようなアンキリンリピートタンパク質は、様々なエフェクター機能、例えば細胞傷害性剤又は半減期延長剤を担持し、完全に新しい薬物フォーマットを可能にするように操作することができる。まとめると、設計されたアンキリンリピートタンパク質は、既存の抗体薬物を超える可能性を有するタンパク質治療薬の次世代の例である。
DARPin(登録商標)は、Molecular Partners AG,Switzerlandによって所有される商標である。
一態様では、本発明は、ペプチド-MHC(pMHC)特異的結合タンパク質を生産する方法であって、当該結合タンパク質が、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計された反復ドメインを含む方法であって、
(a)設計された反復ドメインの集合体を提供することと、
(b)組換え標的ペプチド-MHC複合体を提供することと、
(c)当該標的ペプチド-MHC複合体への特異的結合のための設計された反復ドメインの当該集合体をスクリーニングして、当該標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する少なくとも1個の設計された反復ドメインを得ることと、を含む、方法を提供する。
一実施形態では、当該設計された反復ドメインは、設計されたアンキリン反復ドメインであり、当該設計された反復ドメインの集合体は、設計されたアンキリン反復ドメインの集合体である。
一実施形態では、当該集合体は、固定された位置とランダム化された位置とを含む設計された反復ドメインを含み、当該集合体の設計された反復ドメインは、ランダム化された位置のうちの少なくとも1つにおいて互いに異なる。
一実施形態では、当該設計されたリピートタンパク質の集合体は、リボソームディスプレイによって提供される。
一実施形態では、方法は更に、(i)第2の組換えペプチド-MHC複合体を提供するステップであって、当該第2のペプチド-MHC複合体の当該ペプチドは、少なくとも1個のアミノ酸残基だけ当該標的ペプチドとは異なるアミノ酸配列を含む、提供するステップと、(ii)当該第2の組換えペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する負の選択設計反復ドメインによって当該集合体から除去するステップと、を含む。
一実施形態では、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する当該反復ドメインは、10-7Mを下回る、又は5×10-8Mを下回る、又は3×10-8Mを下回る、又は2×10-8Mを下回る、又は10-8Mを下回る、又は5×10-9Mを下回る、又は3×10-9Mを下回る、又は2×10-9Mを下回る、又は10-9Mを下回る、又は5×10-10Mを下回る、又は3×10-10Mを下回る、又は2×10-10Mを下回る、又は10-10Mを下回る解離定数(KD)で、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体に結合する。一実施形態では、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する当該反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体に、10-7Mを下回る解離定数(KD)で結合する。
一実施形態では、当該標的ペプチド-MHC複合体への、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する当該反復ドメインの結合は、当該反復ドメインと、当該標的ペプチドの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、又は少なくとも7個のアミノ酸残基との相互作用を含む。したがって、一実施形態では、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する当該反復ドメインの、当該標的ペプチド-MHC複合体への結合は、当該反復ドメインと当該標的ペプチドの少なくとも1個のアミノ酸残基との相互作用を含む。一実施形態では、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する当該反復ドメインの、当該標的ペプチド-MHC複合体への結合は、当該反復ドメインと当該標的ペプチドの少なくとも2個のアミノ酸残基との相互作用を含む。一実施形態では、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する当該反復ドメインの、当該標的ペプチド-MHC複合体への結合は、当該反復ドメインと当該標的ペプチドの少なくとも3個のアミノ酸残基との相互作用を含む。一実施形態では、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する当該反復ドメインの、当該標的ペプチド-MHC複合体への結合は、当該反復ドメインと当該標的ペプチドの少なくとも4個のアミノ酸残基との相互作用を含む。一実施形態では、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する当該反復ドメインの、当該標的ペプチド-MHC複合体への結合は、当該反復ドメインと当該標的ペプチドの少なくとも5個のアミノ酸残基との相互作用を含む。一実施形態では、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する当該反復ドメインの、当該標的ペプチド-MHC複合体への結合は、当該反復ドメインと当該標的ペプチドの少なくとも6個のアミノ酸残基との相互作用を含む。一実施形態では、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する当該反復ドメインの、当該標的ペプチド-MHC複合体への結合は、当該反復ドメインと当該標的ペプチドの少なくとも7個のアミノ酸残基との相互作用を含む。更なる又は代替的な実施形態では、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する当該反復ドメインの、当該標的ペプチド-MHC複合体への結合は、当該反復ドメインと当該MHCの少なくとも1個のアミノ酸残基との相互作用を含む。
タンパク質間又はタンパク質と、例えば、アラニン走査突然変異誘発などの、ペプチドとの間の結合相互作用に関与するアミノ酸残基を決定する方法は、当業者に周知である。例として、結合タンパク質又は、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計された反復ドメインと、標的ペプチド-MHC複合体との結合相互作用に関与する標的ペプチドのアミノ酸残基は、アラニン走査突然変異誘発によって決定され得る。
本発明の文脈において、結合タンパク質又は、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計された反復ドメインと、標的ペプチド-MHC複合体との結合相互作用に関与する標的ペプチドのアミノ酸残基の典型的かつ好ましい決定は、実施例4において説明されるようなアラニン走査突然変異誘発によって行われる。したがって、一実施形態では、結合タンパク質又は、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計された反復ドメインと、標的ペプチド-MHC複合体との結合相互作用に関与する標的ペプチドの当該アミノ酸残基は、アラニン走査突然変異誘発によって決定される。一実施形態では、結合タンパク質又は、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計された反復ドメインと、標的ペプチド-MHC複合体との結合相互作用に関与する標的ペプチドの当該アミノ酸残基は、実施例4において説明されるようなアラニン走査突然変異誘発によって決定される。
本発明の文脈において、「標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する当該反復ドメインの、当該標的ペプチド-MHC複合体への結合は、当該標的ペプチドの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個のアミノ酸残基との当該反復ドメインの相互作用を含む」という句又は同様の句は、アラニンへと突然変異すると、実施例4において説明されるようなアラニン走査突然変異誘発におけるT細胞活性化が、野生型ペプチドと比較して少なくとも50%ほど低減する、標的ペプチドの何らかのアミノ酸残基を指す。
本発明の発明者らは、HBVc18pMHCに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含む本発明の結合タンパク質と、HBVc18pMHC複合体におけるHBVc18標的ペプチドとの特異的相互作用にとって驚くほど多数のペプチド残基が重要であることを発見した。例えば、添付の実施例では、HBVc18pMHCに対する結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含む本発明の結合タンパク質とHBVc18pMHC複合体におけるHBVc18標的ペプチドとの特異的相互作用にとって重要であるいくつかのペプチド残基が同定されている(図3A~図3Jを参照されたい)。本発明者らは、この発見が、本発明の設計されたアンキリン反復ドメインによって形成される結合表面及び抗体などの他の結合タンパク質によって形成される結合表面と、T細胞受容体(TCR)との構造の違いを反映しているかもしれないことを理論化している。いかなる理論にも拘束されるものではないが、反復ドメインとその標的ペプチドとの結合に関与するアミノ酸残基の数が多いほど、結合特異性が高いと考えられている。
一実施形態では、当該標的ペプチドは、(i)腫瘍細胞において発現するタンパク質に由来するペプチド、(ii)細菌感染因子又はウイルス感染因子などの感染因子、好ましくはウイルス感染因子のタンパク質に由来するペプチド、及び(iii)自己免疫障害と関係するタンパク質に由来するペプチドからなる群から選択される。一実施形態では、当該標的ペプチドは、ウイルス感染因子のタンパク質、好ましくはウイルス特異的タンパク質に由来する。一実施形態では、当該標的ペプチドは、HBcAgに由来する。一実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
一実施形態では、当該MHCはMHCクラスIである。一実施形態では、当該MHCクラスIはHLA-A*02である。一実施形態では、当該HLA-A*02は、HLA-A*0201である。一実施形態では、当該HLA-A*0201は、配列番号69のアミノ酸配列を有する。或いは、別の実施形態では、当該MHCはHLA-A*02ではない。
別の態様では、本発明は、本明細書に説明される本発明の方法のうちの1つによって得ることができる設計された反復ドメインを含む組換え結合タンパク質に関する。
別の態様では、本発明は、第1の設計された反復ドメインを含む組換え結合タンパク質に関し、当該第1の反復ドメインは、第1の標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する。
好ましい実施形態では、本発明の結合タンパク質は、第1の標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する第1の設計された反復ドメインを含み、当該第1の標的ペプチドは、(i)腫瘍細胞において発現するタンパク質に由来するペプチド、(ii)細菌感染因子又はウイルス感染因子などの感染因子のタンパク質に由来するペプチド、好ましくはウイルス感染因子、及び(iii)自己免疫障害と関係するタンパク質に由来するペプチドからなる群から選択される。
一実施形態では、当該第1の標的ペプチドは、ウイルス感染因子のタンパク質、好ましくはウイルス特異的タンパク質に由来する。一実施形態では、当該第1の標的ペプチドは、ウイルス特異的タンパク質に由来する。一実施形態では、当該第1の標的ペプチドは、HBcAgに由来する。一実施形態では、当該第1の標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
好ましい実施形態では、第1のMHCはMHCクラスIである。一実施形態では、当該第1のMHCクラスIはHLA-A*02である。一実施形態では、当該HLA-A*02は、HLA-A*0201である。一実施形態では、当該HLA-A*0201は、配列番号69のアミノ酸配列を有する。或いは、別の実施形態では、当該第1のMHCは、HLA-A*02ではない。
一実施形態では、当該第1の反復ドメインは、PBS中の当該第1の標的ペプチド-MHC複合体に、10-7Mを下回る解離定数(KD)で結合する。
一実施形態では、当該第1の標的ペプチド-MHC複合体への当該第1の反復ドメインの当該結合は、当該第1の標的ペプチドの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、又は少なくとも7個のアミノ酸残基との当該第1の反復ドメインの相互作用を含む。したがって、一実施形態では、当該第1の標的ペプチド-MHC複合体への当該第1の反復ドメインの結合は、当該第1の反復ドメインと当該第1の標的ペプチドの少なくとも1個のアミノ酸残基との相互作用を含む。一実施形態では、当該第1の標的ペプチド-MHC複合体への当該第1の反復ドメインの結合は、当該第1の反復ドメインと当該第1の標的ペプチドの少なくとも2個のアミノ酸残基との相互作用を含む。一実施形態では、当該第1の標的ペプチド-MHC複合体への当該第1の反復ドメインの結合は、当該第1の反復ドメインと当該第1の標的ペプチドの少なくとも3個のアミノ酸残基との相互作用を含む。一実施形態では、当該第1の標的ペプチド-MHC複合体への当該第1の反復ドメインの結合は、当該第1の反復ドメインと当該第1の標的ペプチドの少なくとも4個のアミノ酸残基との相互作用を含む。一実施形態では、当該第1の標的ペプチド-MHC複合体への当該第1の反復ドメインの結合は、当該第1の反復ドメインと当該第1の標的ペプチドの少なくとも5個のアミノ酸残基との相互作用を含む。一実施形態では、当該第1の標的ペプチド-MHC複合体への当該第1の反復ドメインの結合は、当該第1の反復ドメインと当該第1の標的ペプチドの少なくとも6個のアミノ酸残基との相互作用を含む。一実施形態では、当該第1の標的ペプチド-MHC複合体への当該第1の反復ドメインの結合は、当該第1の反復ドメインと当該第1の標的ペプチドの少なくとも7個のアミノ酸残基との相互作用を含む。更なる又は代替的な実施形態では、当該第1の標的ペプチド-MHC複合体への当該第1の反復ドメインの結合は、当該第1の反復ドメインと当該第1のMHCの少なくとも1個のアミノ酸残基との相互作用を含む。
好ましい実施形態では、当該第1の設計された反復ドメインは、設計されたアンキリン反復ドメインである。特に好ましい実施形態では、当該第1の設計されたアンキリン反復ドメインは、本明細書の態様又は実施形態のいずれかにおいてより具体的に説明されるように、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインである。
一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、アンキリン反復モジュールを含む。
1つの特定の実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、(1)配列番号27~50及び(2)配列番号27~50のうちのいずれかにおける9個までの、又は8個までの、又は7個までの、又は6個までの、又は5個までの、又は4個までの、又は3個までの、又は2個までの、又は1個までのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むアンキリン反復モジュールを含む。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復モジュールは、(1)配列番号27~50及び(2)配列番号27~50のうちのいずれかにおける9個までのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復モジュールは、(1)配列番号27~50及び(2)配列番号27~50のうちのいずれかにおける3個までのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復モジュールは、(1)配列番号27~50及び(2)配列番号27~50のうちのいずれかにおける2個までのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復モジュールは、(1)配列番号27~50及び(2)配列番号27~50のうちのいずれかにおける1個までのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復モジュールは、配列番号27~50からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
1つの特定の実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、(1)配列番号29、30、37~43及び48~50、並びに(2)配列番号29、30、37~43及び48~50のうちのいずれかにおける9個までの、又は8個までの、又は7個までの、又は6個までの、又は5個までの、又は4個までの、又は3個までの、又は2個までの、又は1個までのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むアンキリン反復モジュールを含む。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復モジュールは、(1)配列番号29、30、37~43及び48~50並びに(2)配列番号29、30、37~43及び48~50のうちのいずれかにおける3個までのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復モジュールは、(1)配列番号29、30、37~43及び48~50並びに(2)配列番号29、30、37~43及び48~50のうちのいずれかにおける2個までのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復モジュールは、(1)配列番号29、30、37~43及び48~50並びに(2)配列番号29、30、37~43及び48~50のうちのいずれかにおける1個までのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復モジュールは、配列番号29、30、37~43及び48~50からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
1つの特定の実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、(1)配列番号37、38、42及び43、並びに(2)配列番号37、38、42及び43のうちのいずれかにおける9個までの、又は8個までの、又は7個までの、又は6個までの、又は5個までの、又は4個までの、又は3個までの、又は2個までの、又は1個までのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むアンキリン反復モジュールを含む。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復モジュールは、(1)配列番号37、38、42及び43、並びに(2)配列番号37、38、42及び43のうちのいずれかにおける3個までのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復モジュールは、(1)配列番号37、38、42及び43、並びに(2)配列番号37、38、42及び43のうちのいずれかにおける2個までのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復モジュールは、(1)配列番号37、38、42及び43、並びに(2)配列番号37、38、42及び43のうちのいずれかにおける1個までのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復モジュールは、配列番号37、38、42及び43からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、第1のアンキリン反復モジュールと、第2のアンキリン反復モジュールとを含む。一実施形態では、この第1のアンキリン反復モジュールは、このアンキリン反復ドメイン内のこの第2のアンキリン反復モジュールのN末端に位置する。
一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、第1のアンキリン反復モジュールと、第2のアンキリン反復モジュールと、第3のアンキリン反復モジュールとを含む。一実施形態では、この第1のアンキリン反復モジュールは、このアンキリン反復ドメイン内のこの第2のアンキリン反復モジュールのN末端に位置し、この第2のアンキリン反復モジュールは、このアンキリン反復ドメイン内のこの第3のアンキリン反復モジュールのN末端に位置する。
1つの特定の実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、第1、第2、及び場合により第3のアンキリン反復モジュールを含み、当該第1、当該第2、及び存在する場合、当該第3のアンキリン反復モジュールの各々は独立して、(1)配列番号27~50及び(2)配列番号27~50のうちのいずれかにおける9個までの、又は8個までの、又は7個までの、又は6個までの、又は5個までの、又は4個までの、又は3個までの、又は2個までの、又は1個までのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該第1、当該第2、及び存在する場合、当該第3のアンキリン反復モジュールの各々は独立して、(1)配列番号29、30、37~43及び48~50並びに(2)配列番号29、30、37~43及び48~50のうちのいずれかにおける9個までの、又は8個までの、又は7個までの、又は6個までの、又は5個までの、又は4個までの、又は3個までの、又は2個までの、又は1個までのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該第1、当該第2、及び存在する場合、当該第3のアンキリン反復モジュールの各々は独立して、(1)配列番号37、38、42及び43、並びに(2)配列番号37、38、42及び43のうちのいずれかにおける9個までの、又は8個までの、又は7個までの、又は6個までの、又は5個までの、又は4個までの、又は3個までの、又は2個までの、又は1個までのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
1つの特定の実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、第1のアンキリン反復モジュールと第2のアンキリン反復モジュールとを含み、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号37及び(2)配列番号37における9個までの、又は8個までの、又は7個までの、又は6個までの、又は5個までの、又は4個までの、又は3個までの、又は2個までの、又は1個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号38及び(2)配列番号38の9個までの、又は8個までの、又は7個までの、又は6個までの、又は5個までの、又は4個までの、又は3個までの、又は2個までの、又は1個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該第1のアンキリン反復モジュールは、当該アンキリン反復ドメイン内の当該第2のアンキリン反復モジュールのN末端に位置する。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号37及び(2)配列番号37における6個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号38及び(2)配列番号38の6個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号37及び(2)配列番号37における5個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号38及び(2)配列番号38の5個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号37及び(2)配列番号37における4個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号38及び(2)配列番号38の4個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号37及び(2)配列番号37における3個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号38及び(2)配列番号38の3個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号37及び(2)配列番号37における2個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号38及び(2)配列番号38の2個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号37及び(2)配列番号37における1個のアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号38及び(2)配列番号38の1個のアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、配列番号37のアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、配列番号38のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該第1のアンキリン反復モジュールは、当該アンキリン反復ドメイン内の当該第2のアンキリン反復モジュールのN末端に位置する。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
1つの特定の実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、第1のアンキリン反復モジュールと第2のアンキリン反復モジュールとを含み、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号42及び(2)配列番号42の9個までの、又は8個までの、又は7個までの、又は6個までの、又は5個までの、又は4個までの、又は3個までの、又は2個までの、又は1個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号43及び(2)配列番号43の9個までの、又は8個までの、又は7個までの、又は6個までの、又は5個までの、又は4個までの、又は3個までの、又は2個までの、又は1個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該第1のアンキリン反復モジュールは、当該アンキリン反復ドメイン内の当該第2のアンキリン反復モジュールのN末端に位置する。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号42及び(2)配列番号42の6個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号43及び(2)配列番号43の6個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号42及び(2)配列番号42の5個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号43及び(2)配列番号43の5個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号42及び(2)配列番号42の4個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号43及び(2)配列番号43の4個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号42及び(2)配列番号42の3個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号43及び(2)配列番号43の3個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号42及び(2)配列番号42の2個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号43及び(2)配列番号43の2個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号42及び(2)配列番号42における1個のアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号43及び(2)配列番号43の1個のアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、配列番号42のアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、配列番号43のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該第1のアンキリン反復モジュールは、当該アンキリン反復ドメイン内の当該第2のアンキリン反復モジュールのN末端に位置する。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
1つの特定の実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、第1のアンキリン反復モジュールと第2のアンキリン反復モジュールとを含み、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号29及び(2)配列番号29の9個までの、又は8個までの、又は7個までの、又は6個までの、又は5個までの、又は4個までの、又は3個までの、又は2個までの、又は1個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号30及び(2)配列番号30の9個までの、又は8個までの、又は7個までの、又は6個までの、又は5個までの、又は4個までの、又は3個までの、又は2個までの、又は1個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該第1のアンキリン反復モジュールは、当該アンキリン反復ドメイン内の当該第2のアンキリン反復モジュールのN末端に位置する。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号29及び(2)配列番号29における6個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号30及び(2)配列番号30の6個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号29及び(2)配列番号29における5個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号30及び(2)配列番号30の5個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号29及び(2)配列番号29における4個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号30及び(2)配列番号30の4個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号29及び(2)配列番号29における3個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号30及び(2)配列番号30の3個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号29及び(2)配列番号29における2個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号30及び(2)配列番号30の2個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号29及び(2)配列番号29における1個のアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号30及び(2)配列番号30の1個のアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、配列番号29のアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、配列番号30のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該第1のアンキリン反復モジュールは、当該アンキリン反復ドメイン内の当該第2のアンキリン反復モジュールのN末端に位置する。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
1つの特定の実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、第1のアンキリン反復モジュールと、第2のアンキリン反復モジュールと、第3のアンキリン反復モジュールとを含み、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号39及び(2)配列番号39の9個までの、又は8個までの、又は7個までの、又は6個までの、又は5個までの、又は4個までの、又は3個までの、又は2個までの、又は1個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号40及び(2)配列番号40の9個までの、又は8個までの、又は7個までの、又は6個までの、又は5個までの、又は4個までの、又は3個までの、又は2個までの、又は1個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号41及び(2)配列番号41の9個までの、又は8個までの、又は7個までの、又は6個までの、又は5個までの、又は4個までの、又は3個までの、又は2個までの、又は1個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該第1のアンキリン反復モジュールは、当該アンキリン反復ドメイン内の当該第2のアンキリン反復モジュールのN末端に位置し、当該第2のアンキリン反復モジュールは、当該アンキリン反復ドメイン内の当該第3のアンキリン反復モジュールのN末端に位置する。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号39及び(2)配列番号39における6個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号40及び(2)配列番号40の6個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号41及び(2)配列番号41の6個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号39及び(2)配列番号39における5個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号40及び(2)配列番号40の5個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号41及び(2)配列番号41の5個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号39及び(2)配列番号39における4個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号40及び(2)配列番号40の4個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号41及び(2)配列番号41の4個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号39及び(2)配列番号39における3個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号40及び(2)配列番号40の3個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号41及び(2)配列番号41の3個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号39及び(2)配列番号39における2個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号40及び(2)配列番号40の2個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号41及び(2)配列番号41の2個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号39及び(2)配列番号39における1個のアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号40及び(2)配列番号40の1個のアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号41及び(2)配列番号41の1個のアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、配列番号39のアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、配列番号40のアミノ酸配列を含み、当該第3のアンキリン反復モジュールは、配列番号41のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該第1のアンキリン反復モジュールは、当該アンキリン反復ドメイン内の当該第2のアンキリン反復モジュールのN末端に位置し、当該第2のアンキリン反復モジュールは、当該アンキリン反復ドメイン内の当該第3のアンキリン反復モジュールのN末端に位置する。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
1つの特定の実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、第1のアンキリン反復モジュールと、第2のアンキリン反復モジュールと、第3のアンキリン反復モジュールとを含み、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号48及び(2)配列番号48の9個までの、又は8個までの、又は7個までの、又は6個までの、又は5個までの、又は4個までの、又は3個までの、又は2個までの、又は1個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号49及び(2)配列番号49の9個までの、又は8個までの、又は7個までの、又は6個までの、又は5個までの、又は4個までの、又は3個までの、又は2個までの、又は1個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号50及び(2)配列番号50の9個までの、又は8個までの、又は7個までの、又は6個までの、又は5個までの、又は4個までの、又は3個までの、又は2個までの、又は1個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該第1のアンキリン反復モジュールは、当該アンキリン反復ドメイン内の当該第2のアンキリン反復モジュールのN末端に位置し、当該第2のアンキリン反復モジュールは、当該アンキリン反復ドメイン内の当該第3のアンキリン反復モジュールのN末端に位置する。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号48及び(2)配列番号48の6個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号49及び(2)配列番号49の6個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号50及び(2)配列番号50の6個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号48及び(2)配列番号48の5個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号49及び(2)配列番号49の5個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号50及び(2)配列番号50の5個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号48及び(2)配列番号48の4個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号49及び(2)配列番号49の4個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号50及び(2)配列番号50の4個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号48及び(2)配列番号48の3個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号49及び(2)配列番号49の3個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号50及び(2)配列番号50の3個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号48及び(2)配列番号48の2個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号49及び(2)配列番号49の2個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、並びに当該第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号50及び(2)配列番号50の2個までのアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号48及び(2)配列番号48における1個のアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号49及び(2)配列番号49の1個のアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、当該第3のアンキリン反復モジュールは、(1)配列番号50及び(2)配列番号50の1個のアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、そのようなアンキリン反復ドメインにおいて、当該第1のアンキリン反復モジュールは、配列番号48のアミノ酸配列を含み、当該第2のアンキリン反復モジュールは、配列番号49のアミノ酸配列を含み、当該第3のアンキリン反復モジュールは、配列番号50のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該第1のアンキリン反復モジュールは、当該アンキリン反復ドメイン内の当該第2のアンキリン反復モジュールのN末端に位置し、当該第2のアンキリン反復モジュールは、当該アンキリン反復ドメイン内の当該第3のアンキリン反復モジュールのN末端に位置する。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
1つの好ましい実施形態では、本明細書に説明及び言及されるような当該アンキリン反復モジュールの当該のアミノ酸置換の全ては、当該アンキリン反復モジュールのフレームワーク位置において起こり、典型的には、モジュールの全体構造は、置換によって影響を受けない。
1つの好ましい実施形態では、本明細書に説明及び言及されるような当該アンキリン反復モジュールの当該のアミノ酸置換の全ては、配列番号27~50の当該アンキリン反復モジュールのランダム化された位置3、4、6、14及び15以外の位置において生じる。
1つの特定の実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のうちのいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号16~26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号16~26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号16~26の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のうちのいずれか1つと少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号16~26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号16~26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号16~26の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のうちのいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のうちのいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26から選択されるアミノ酸配列を含み、配列番号16~26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号16~26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号16~26の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
1つの特定の実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号16~18及び20~26のうちのいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号16~18及び20~26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号16~18及び20~26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号16~18及び20~26の最後の位置のAは、場合によりNによって置換されている。
1つの特定の実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号17、21、22、23及び26のうちのいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号17、21、22、23及び26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号17、21、22、23及び26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号17、21、22、23及び26の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号17、21、22、23及び26のうちのいずれか1つと少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号17、21、22、23及び26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号17、21、22、23及び26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号17、21、22、23及び26の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号17、21、22、23及び26のうちのいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号17、21、22、23及び26のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号17、21、22、23及び26のうちのいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号17、21、22、23及び26のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号17、21、22、23及び26のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号17、21、22、23及び26から選択されるアミノ酸配列を含み、配列番号17、21、22、23及び26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号17、21、22、23及び26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号17、21、22、23及び26の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
1つの特定の実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号21及び23のうちのいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号21及び23の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号21及び23の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号21及び23の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号21及び23のうちのいずれか1つと少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号21及び23の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号21及び23の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号21及び23の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号21及び23のうちのいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号21及び23のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号21及び23のうちのいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号21及び23のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号21及び23のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号21及び23から選択されるアミノ酸配列を含み、配列番号21及び23の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号21及び23の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号21及び23の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
1つの特定の実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号17と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号17の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号17の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号17の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号17と少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号17の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号17の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号17の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号17と少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号17と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号17と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号17と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態において、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含み、配列番号17の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号17の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号17の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
1つの特定の実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号21と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号21の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号21の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号21の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号21と少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号21の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号21の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号21の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号21と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号21と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号21と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号21と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号21のアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態において、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号21のアミノ酸配列を含み、配列番号21の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号21の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号21の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
1つの特定の実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号22と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号22の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号22の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号22の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号22と少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号22の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号22の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号27の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号22と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号22と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号22と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号22と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号22のアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態において、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号22のアミノ酸配列を含み、配列番号22の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号22の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号22の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
1つの特定の実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号23と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号23の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号23の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号23の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号23と少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号23の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号23の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号23の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号23と少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号23と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号23と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号23と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号23のアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態において、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号23のアミノ酸配列を含み、配列番号23の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号23の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号23の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
1つの特定の実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、配列番号26と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号26の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号26と少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号26の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号26と少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号26と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号26と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号26と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号26のアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態において、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号26のアミノ酸配列を含み、配列番号26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号26の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、10-7Mを下回る、又は5×10-8Mを下回る、又は3×10-8Mを下回る、又は2×10-8Mを下回る、又は10-8Mを下回る、又は5×10-9Mを下回る、又は3×10-9Mを下回る、又は2×10-9Mを下回る、又は10-9Mを下回る、又は5×10-10Mを下回る、又は3×10-10Mを下回る、又は2×10-10Mを下回る、又は10-10Mを下回る解離定数(KD)で、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を結合する。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、10-7Mを下回る解離定数(KD)で結合する。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、5×10-8Mを下回る解離定数(KD)で結合する。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、3×10-8Mを下回る解離定数(KD)で結合する。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、2×10-8Mを下回る解離定数(KD)で結合する。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、10-8Mを下回る解離定数(KD)で結合する。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、5×10-9Mを下回る解離定数(KD)で結合する。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、3×10-9Mを下回る解離定数(KD)で結合する。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、2×10-9Mを下回る解離定数(KD)で結合する。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、10-9Mを下回る解離定数(KD)で結合する。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、5×10-10Mを下回る解離定数(KD)で結合する。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、3×10-10Mを下回る解離定数(KD)で結合する。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、2×10-10Mを下回る解離定数(KD)で結合する。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、10-10Mを下回る解離定数(KD)で結合する。
一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、10-7Mを下回る解離定数(KD)で結合し、配列番号16~26のうちのいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号16~26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号16~26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号16~26の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のうちのいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のうちのいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、10-7Mを下回る解離定数(KD)で結合し、配列番号16~26のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含み、配列番号16~26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号16~26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号16~26の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、10-7Mを下回る解離定数(KD)で結合し、配列番号16~18及び20~26のうちのいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号16~18及び20~26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号16~18及び20~26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号16~18及び20~26の最後の位置のAは、場合によりNによって置換されている。
一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、5×10-8Mを下回る解離定数(KD)で結合し、配列番号16~26のうちのいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号16~26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号16~26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号16~26の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のうちのいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のうちのいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、5×10-8Mを下回る解離定数(KD)で結合し、配列番号16~26のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含み、配列番号16~26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号16~26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号16~26の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、PBS中の当該第1の標的ペプチド-MHC複合体を、2×10-8Mを下回る解離定数(KD)で結合し、配列番号16~26のうちのいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号16~26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号16~26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号16~26の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のうちのいずれか1つと少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のいずれか1つと少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のうちのいずれか1つと少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のいずれか1つと少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号16~26のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、2×10-8Mを下回る解離定数(KD)で結合し、配列番号16~26のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含み、配列番号16~26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号16~26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号16~26の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、10-7Mを下回る、又は5×10-8Mを下回る、又は3×10-8Mを下回る、又は2×10-8Mを下回る、又は10-8Mを下回る、又は5×10-9Mを下回る、又は3×10-9Mを下回る、又は2×10-9Mを下回る、又は10-9M、5×10-10Mを下回る解離定数(KD)で結合し、配列番号17と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号17の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号17の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号17の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号17と少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号17と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号17と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号17と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、10-7Mを下回る、又は5×10-8Mを下回る、又は3×10-8Mを下回る、又は2×10-8Mを下回る、又は10-8Mを下回る、又は5×10-9Mを下回る、又は3×10-9Mを下回る、又は2×10-9Mを下回る、又は10-9M、5×10-10Mを下回る解離定数(KD)で結合し、配列番号17のアミノ酸配列を含み、配列番号17の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号17の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号17の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、10-7Mを下回る、又は5×10-8Mを下回る、又は3×10-8Mを下回る、又は2×10-8Mを下回る、又は10-8Mを下回る解離定数(KD)で結合し、配列番号21と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号21の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号21の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号21の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号21と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号21と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。更なる実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号21と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号21と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号21のアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、10-7Mを下回る、又は5×10-8Mを下回る、又は3×10-8Mを下回る、又は2×10-8Mを下回る、又は10-8Mを下回る解離定数(KD)で結合し、配列番号21のアミノ酸配列を含み、配列番号21の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号21の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号21の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、PBS中の当該第1の標的ペプチド-MHC複合体を、10-7Mを下回る、又は5×10-8Mを下回る、又は3×10-8Mを下回る、又は2×10-8Mを下回る解離定数(KD)で結合し、配列番号22と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号22の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号22の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号22の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号22と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号22と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号22と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号22と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号22のアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、10-7Mを下回る、又は5×10-8Mを下回る、又は3×10-8Mを下回る、又は2×10-8Mを下回る解離定数(KD)で結合し、配列番号22のアミノ酸配列を含み、配列番号22の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号22の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号22の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、10-7Mを下回る、又は5×10-8Mを下回る、又は2×10-8Mを下回る、又は10-8Mを下回る解離定数(KD)で結合し、配列番号23と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号23の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号23の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号23の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号23と少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号23と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号23と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号23と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号23のアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、10-7Mを下回る、又は5×10-8Mを下回る、又は2×10-8Mを下回る、又は10-8Mを下回る解離定数(KD)で結合し、配列番号23のアミノ酸配列を含み、配列番号23の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号23の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号23の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、PBS中の当該標的ペプチド-MHC複合体を、10-7Mを下回る、又は5×10-8Mを下回る、又は3×10-8Mを下回る、又は2×10-8Mを下回る、又は10-8Mを下回る解離定数(KD)で結合し、配列番号26と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号26の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。したがって、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号26と少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号26と少なくとも93%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、更なる実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号26と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号26と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一実施形態では、当該アンキリン反復ドメインは、配列番号26のアミノ酸配列を含む。したがって、一実施形態では、本発明による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインは、PBS中の当該第1の標的ペプチド-MHC複合体を、10-7Mを下回る、又は5×10-8Mを下回る、又は3×10-8Mを下回る、又は2×10-8Mを下回る、又は10-8Mを下回る解離定数(KD)で結合し、配列番号26のアミノ酸配列を含み、配列番号26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号26の最後の位置のAは、Nによって場合により置換されている。1つの好ましい実施形態では、当該標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。
本発明の文脈において、表面プラズモン共鳴(SPR)分析による標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する本発明の組換え結合タンパク質又は設計された反復ドメインの解離定数(KD)の典型的かつ好ましい決定は、実施例2に説明されている。したがって、一実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質又は設計された反復ドメインの標的ペプチド-MHC複合体に対する当該結合特異性は、表面プラズモン共鳴(SPR)によってPBS中で決定される。一実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質又は設計された反復ドメインの標的ペプチド-MHC複合体に対する当該結合特異性は、実施例2において説明されるように、表面プラズモン共鳴(SPR)によってPBS中で決定される。
本発明の一態様では、本発明の組換え結合タンパク質は更に、第2の標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する第2の設計された反復ドメインを含む。
好ましい実施形態では、当該第2の標的ペプチドは、(i)腫瘍細胞において発現するタンパク質に由来するペプチド、(ii)細菌感染因子又はウイルス感染因子などの感染因子、好ましくはウイルス感染因子のタンパク質に由来するペプチド、及び(iii)自己免疫障害と関係するタンパク質に由来するペプチドからなる群から選択される。
一実施形態では、当該第2の標的ペプチドは、感染因子、好ましくはウイルス特異的タンパク質に由来する。一実施形態では、当該第2の標的ペプチドは、ウイルス特異的タンパク質に由来する。
一実施形態では、第2の標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する当該第2の反復ドメインは、10-7Mを下回る、又は5×10-8Mを下回る、又は3×10-8Mを下回る、又は2×10-8Mを下回る、又は10-8Mを下回る、又は5×10-9Mを下回る、又は3×10-9Mを下回る、又は2×10-9Mを下回る、又は10-9Mを下回る、又は5×10-10Mを下回る、又は3×10-10Mを下回る、又は2×10-10Mを下回る、又は10-10Mを下回る解離定数(KD)で、PBS中の当該第2の標的ペプチド-MHC複合体に結合する。一実施形態では、第2の標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する当該第2の反復ドメインは、PBS中の当該第2の標的ペプチド-MHC複合体に、10-7Mを下回る解離定数(KD)で結合する。
一実施形態では、当該第2の標的ペプチド-MHC複合体への当該第2の反復ドメインの当該結合は、当該第2の標的ペプチドの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、又は少なくとも7個のアミノ酸残基との当該第2の反復ドメインの相互作用を含む。したがって、一実施形態では、当該第2の標的ペプチド-MHC複合体への当該第2の反復ドメインの当該結合は、当該第2の反復ドメインと当該第2の標的ペプチドの少なくとも1個のアミノ酸残基との相互作用を含む。一実施形態では、当該第2の標的ペプチド-MHC複合体への当該第2の反復ドメインの当該結合は、当該第2の反復ドメインと当該第2の標的ペプチドの少なくとも2個のアミノ酸残基との相互作用を含む。一実施形態では、当該第2の標的ペプチド-MHC複合体への当該第2の反復ドメインの当該結合は、当該第2の反復ドメインと当該第2の標的ペプチドの少なくとも3個のアミノ酸残基との相互作用を含む。一実施形態では、当該第2の標的ペプチド-MHC複合体への当該第2の反復ドメインの当該結合は、当該第2の反復ドメインと当該第2の標的ペプチドの少なくとも4個のアミノ酸残基との相互作用を含む。一実施形態では、当該第2の標的ペプチド-MHC複合体への当該第2の反復ドメインの当該結合は、当該第2の反復ドメインと当該第2の標的ペプチドの少なくとも5個のアミノ酸残基との相互作用を含む。一実施形態では、当該第2の標的ペプチド-MHC複合体への当該第2の反復ドメインの当該結合は、当該第2の反復ドメインと当該第2の標的ペプチドの少なくとも6個のアミノ酸残基との相互作用を含む。一実施形態では、当該第2の標的ペプチド-MHC複合体への当該第2の反復ドメインの当該結合は、当該第2の反復ドメインと当該第2の標的ペプチドの少なくとも7個のアミノ酸残基との相互作用を含む。更なる又は代替的な実施形態では、当該第2の標的ペプチド-MHC複合体への当該第2の反復ドメインの当該結合は、当該第2の反復ドメインと当該第2のMHCの少なくとも1個のアミノ酸残基との相互作用を含む。
一実施形態では、当該第2のMHCはMHCクラスIである。一実施形態では、当該第2のMHCはHLA-A*02である。一実施形態では、当該HLA-A*02は、HLA-A*0201である。一実施形態では、当該HLA-A*0201は、配列番号69のアミノ酸配列を有する。或いは、別の実施形態では、当該第2のMHCは、HLA-A*02ではない。
一実施形態では、当該第2の標的ペプチドは、当該第1の標的ペプチドと同じタンパク質に由来する。一実施形態では、当該第2の標的ペプチドは、当該記第1の標的ペプチドと同じアミノ酸配列を有する。更なる実施形態では、当該第2の反復ドメインは、当該第1の反復ドメインと同じアミノ酸配列を有する。或いは、別の更なる実施形態では、当該第2の反復ドメインは、当該第1の反復ドメインと比較して、異なるアミノ酸配列を有する。一実施形態では、当該第2の標的ペプチドは、当該第1の標的ペプチドと比較して異なるアミノ酸配列を有する。
別の実施形態では、当該第2の標的ペプチドは、当該第1の標的ペプチドが由来するタンパク質とは異なるタンパク質に由来する。
好ましい実施形態では、当該第2の設計された反復ドメインは、設計されたアンキリン反復ドメインである。特に好ましい実施形態では、当該第2の設計されたアンキリン反復ドメインは、本明細書の態様及び実施形態のいずれかにおいてより具体的に説明されるように、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインである。
本発明の一態様では、本発明の組換え結合タンパク質は更に、第3の標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する第3の設計された反復ドメインを含む。好ましい実施形態では、当該第3の設計された反復ドメインは、設計されたアンキリン反復ドメインである。特に好ましい実施形態では、当該第3の設計されたアンキリン反復ドメインは、本明細書の態様及び実施形態のいずれかにおいてより具体的に説明されるように、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインである。
本発明の文脈において、本発明の組換え結合タンパク質が第1及び第2の設計された反復ドメインを含み、当該第1及び当該第2の反復ドメインが同じ標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する、すなわち、第2の標的ペプチドが第1の標的ペプチドと同じアミノ酸配列を有するとき、並びに第1及び第2の反復ドメインが配列中で同一であるとき、当該組換え結合タンパク質は二価である。本発明の文脈において、本発明の組換え結合タンパク質が第1及び第2の設計された反復ドメインを含み、当該第1及び当該第2の反復ドメインが同じ標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する、すなわち、第2の標的ペプチドが第1の標的ペプチドと同じアミノ酸配列を有するとき、並びに第1及び第2の反復ドメインが配列中で異なるとき、当該組換え結合タンパク質はバイパラトープである(biparatopic)。本発明の文脈において、本発明の組換え結合タンパク質が第1及び第2の設計された反復ドメインを含み、当該第1及び当該第2の反復ドメインが異なる標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する、すなわち、第2の標的ペプチドが第1の標的ペプチドと比較して異なるアミノ酸配列を有するとき、当該組換え結合タンパク質は二重特異性である。異なる標的ペプチドは、同じタンパク質又は異なるタンパク質に由来してもよい。本発明の文脈において、同じ定義は、第1及び第2及び第3の設計された反復ドメインを含む本発明の組換え結合タンパク質と同様に適用され、第1、第2、及び第3の設計された反復ドメインの各々は、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する。
一実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は、一価、二価、三価、多価、モノパラトープ(monoparatopic)、バイパラトープ(biparatopic)、トリパラトープ(triparatopic)、マルチパラトープ(multiparatopic)、単一特異性、二重特異性、三重特異性、又は多重特異性である。1つの特定の実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は一価である。1つの特定の実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は二価である。1つの特定の実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は三価である。1つの特定の実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は多価である。1つの特定の実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質はモノパラトープである(monoparatopic)。1つの特定の実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は、バイパラトープ(biparatopic)であり、1つの特定の実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は、トリパラトープ(triparatopic)であり、1つの特定の実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は、マルチパラトープ(multiparatopic)である。1つの特定の実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は、単一特異性である。1つの特定の実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は、二重特異性である。1つの特定の実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は、三重特異性である。1つの特定の実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は、多重特異性である。先の実施形態は互いに組み合わせ可能であることは理解されるべきである。一例として、第1のpMHC複合体に対して特異性を有する2つの同一の反復ドメインを含み、かつ第2の異なるpMHC複合体に対して特異性を有する第3の反復ドメインを更に含む、本発明の組換え結合タンパク質は、同時に二価かつ二重特異性であろう。したがって、1つの特定の実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は、一価、二価、三価、若しくは多価であり、かつ、モノパラトープ(monoparatopic)、バイパラトープ(biparatopic)、トリパラトープ(triparatopic)、若しくはマルチパラトープ(multiparatopic)であり、かつ/又は単一特異性、二重特異性、三重特異性、若しくは多重特異性である。
一実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質が2個以上のアンキリン反復ドメインを含むとき、例えば、本発明の組換え結合タンパク質が2個又は3個のアンキリン反復ドメインを含むとき、当該2個以上のアンキリン反復ドメイン、例えば、当該2個又は3個のアンキリン反復ドメインは、ペプチドリンカーと連結されることができる。一実施形態では、当該ペプチドリンカーは、高プロリン-トレオニンペプチドリンカーである。一実施形態では、当該ペプチドリンカーは、配列番号1又は2の高プロリン-トレオニンペプチドリンカーである。一実施形態では、当該2個以上のアンキリン反復ドメイン、例えば、当該2個又は3個のアンキリン反復ドメインは、配列番号1又は2の高プロリン-トレオニンペプチドリンカーである。別の実施形態では、当該ペプチドリンカーは、高グリシン-セリンペプチドリンカーである。一実施形態では、当該ペプチドリンカーは、配列番号3の高グリシン-セリンペプチドリンカーである。一実施形態では、当該2個以上のアンキリン反復ドメイン、例えば、当該2個又は3個のアンキリン反復ドメインは、配列番号3の高グリシン-セリンペプチドリンカーと連結されている。一実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質が3個以上のアンキリン反復ドメインを含む場合、当該3個以上のアンキリン反復ドメインは、異なるペプチドリンカー、例えば、高プロリン-トレオニンペプチドリンカー及び高セリン-グリシンペプチドリンカー、例えば、配列番号1~3のぺプチドリンカーなどと連結されることができる。
一実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は、2個又は3個のアンキリン反復ドメインを含み、当該2個又は3個のアンキリン反復ドメインの各々は独立して、本明細書の態様及び実施形態のいずれかにおいてより具体的に説明されるように、アンキリン反復モジュールを含む。
一実施形態では、組換え結合タンパク質は、標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する2個のアンキリン反復ドメインを含み、当該2個のアンキリン反復ドメインの各々は独立して、本明細書の態様及び実施形態のいずれかにおいてより具体的に説明されるように、アンキリン反復モジュールを含む。
一実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は、標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する2個のアンキリン反復ドメインを含み、当該2個のアンキリン反復ドメインの各々は、本明細書の態様及び実施形態のいずれかにおいてより具体的に説明されるように、第1のアンキリン反復モジュールと、第2のアンキリン反復モジュールとを含む。
一実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は、標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する2個のアンキリン反復ドメインを含み、当該2個のアンキリン反復ドメインの各々は、本明細書の態様及び実施形態のいずれかにおいてより具体的に説明されるように、第1のアンキリン反復モジュールと、第2のアンキリン反復モジュールと、第3のアンキリン反復モジュールとを含む。
一実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は、標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する2個又は3個のアンキリン反復ドメインを含み、当該2個又は3個のアンキリン反復ドメインの各々は独立して、本明細書の態様及び実施形態のいずれかにおいてより具体的に説明されるように、アミノ酸配列を含む。
一実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は、標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有するちょうど2個のアンキリン反復ドメインを含み、当該2個のアンキリン反復ドメインの各々は独立して、本明細書の態様及び実施形態のいずれかにおいてより具体的に説明されるように、アミノ酸配列を含む。
一実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は、標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する3個のアンキリン反復ドメインを含み、当該3個のアンキリン反復ドメインの各々は独立して、本明細書の態様及び実施形態のいずれかにおいてより具体的に説明されるように、アミノ酸配列を含む。
一実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は、標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有するちょうど3個のアンキリン反復ドメインを含み、当該3個のアンキリン反復ドメインの各々は独立して、本明細書の態様及び実施形態のいずれかにおいてより具体的に説明されるように、アミノ酸配列を含む。
一実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は、本明細書の態様及び実施形態のいずれかにおいてより具体的に説明されるように、標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する単一の設計されたアンキリン反復ドメインを含むか、又は本明細書の態様及び実施形態のいずれかにおいてより具体的に説明されるように、標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する2個、3個、4個、5個若しくはそれより多数の設計されたアンキリン反復ドメインの組み合わせを含む。
本発明の一態様では、本発明の組換え結合タンパク質は更に、結合因子を含む。
1つの特定の実施形態では、当該結合因子は、免疫細胞、好ましくはT細胞、更により好ましくはCD8+細胞障害性T細胞の表面上に発現するタンパク質に対して結合特異性を有する。更なる実施形態では、T細胞の表面上に発現する当該タンパク質は、T細胞受容体複合体の一部であるタンパク質である。一例として、1つの特定の実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は更に、分化クラスター3(CD3)に対して結合特異性を有する結合因子を含む。
本発明の文脈において、結合因子は、抗体、足場タンパク質(scaffold protein)若しくはリピートタンパク質を含む抗体模倣物、設計された反復ドメイン、好ましくは設計されたアンキリン反復ドメイン、又は当該技術分野で公知のいずれかの他の適切な結合分子であることができる。一実施形態では、当該結合因子は抗体である。別の実施形態では、当該結合因子は、設計された反復ドメイン、好ましくは設計されたアンキリン反復ドメインである。
1つの特定の実施形態では、当該結合因子は、免疫細胞、好ましくはT細胞、更により好ましくはCD8+細胞障害性T細胞の表面上に発現するタンパク質に対して結合特異性を有する抗体を含むか又はそれからなる。更なる実施形態では、T細胞の表面上に発現する当該タンパク質は、T細胞受容体複合体の一部であるタンパク質である。一例として、1つの特定の実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は更に、CD3に対して結合特異性を有する抗体を含む。
1つの特定の実施形態では、当該結合因子は、免疫細胞、好ましくはT細胞、更により好ましくはCD8+細胞障害性T細胞の表面上に発現するタンパク質に対して結合特異性を有する設計された反復ドメイン、好ましくは設計されたアンキリン反復ドメインを含むか、又はそれからなる。更なる実施形態では、T細胞の表面上に発現する当該タンパク質は、T細胞受容体複合体の一部であるタンパク質である。一例として、1つの特定の実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は更に、CD3に対して結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインを含む。
一実施形態では、当該結合因子は、当該pMHC特異的アンキリン反復ドメイン又は当該2個、3個若しくはそれより多数のpMHC特異的アンキリン反復ドメインに、連結され、共役し、融合し又は別様に物理的に結合している。一実施形態では、当該結合因子は、当該pMHC特異的アンキリン反復ドメイン又は当該2個、3個若しくはそれより多数のpMHC特異的アンキリン反復ドメインに、共有結合している。一実施形態では、当該結合因子は、当該pMHC特異的アンキリン反復ドメイン又は当該2個、3個若しくはそれより多数のpMHC特異的アンキリン反復ドメインに、ペプチドリンカーを用いて共有結合している。一実施形態では、当該ペプチドリンカーは、高プロリン-トレオニンペプチドリンカーである。一実施形態では、当該ペプチドリンカーは、配列番号1又は2の高プロリン-トレオニンペプチドリンカーである。一実施形態では、当該結合因子は、当該pMHC特異的アンキリン反復ドメイン又は当該2個、3個若しくはそれより多数のpMHC特異的アンキリン反復ドメインに、配列番号1又は2の高プロリン-トレオニンペプチドリンカーを用いて共有結合している。別の実施形態では、当該ペプチドリンカーは、高グリシン-セリンペプチドリンカーである。一実施形態では、当該ペプチドリンカーは、配列番号3の高グリシン-セリンペプチドリンカーである。一実施形態では、当該結合因子は、当該pMHC特異的アンキリン反復ドメイン又は当該2個、3個若しくはそれより多数のpMHC特異的アンキリン反復ドメインに、配列番号3の高いグリシン-セリンペプチドリンカーを用いて共有結合している。
当該結合因子と当該pMHC特異的アンキリン反復ドメイン(又は当該2個、3個若しくはそれより多数のpMHC特異的アンキリン反復ドメイン)との間のリンカーが短ければ短いほど、T細胞エンゲージャー形式における構築物の力価は高いことが本発明の発明者らによって、驚くべきかつ予想外に発見された(実施例5を参照されたい)。したがって、更に好ましい実施形態では、本明細書に説明するペプチドリンカーのアミノ酸配列の長さは、アミノ酸で38個未満、好ましくは最大で37個、より好ましくは最大で24個、更により好ましくは最大で18個、更により好ましくは最大で11個、最も好ましくは最大でアミノ酸で6個である。別の好ましい実施形態では、当該ペプチドリンカーのアミノ酸配列の長さは、アミノ酸残基で1~37、1~24、1~23、1~18、1~17、1~11、1~10、1~6、6~37、6~24、6~23、6~18、6~17、又は6~11である。好ましくは、当該ペプチドリンカーは、高プロリン-トレオニンペプチドリンカーである。更に好ましい実施形態では、当該ペプチドリンカーのアミノ酸配列の長さは、アミノ酸で18個未満、アミノ酸で少なくとも1個であり、すなわち、ペプチドリンカーの長さは、アミノ酸で1~17個である。一実施形態では、当該リンカーのアミノ酸配列は、配列番号1及び74~77のいずれか1つにおいて提供されるとおりである。好ましい実施形態では、当該ペプチドリンカーのアミノ酸配列は、配列番号75において提供されるとおりである。より好ましい実施形態では、当該ペプチドリンカーのアミノ酸配列は、配列番号76において提供されるとおりである。最も好ましい実施形態では、当該ペプチドリンカーのアミノ酸配列は、配列番号77において提供されるとおりである。
本発明の一態様では、本発明の組換え結合タンパク質であって、当該結合タンパク質が、本明細書の態様及び実施形態のいずれかにおいてより具体的に説明されるような1個、2個、3個又はそれより多数のpMHC特異的アンキリン反復ドメインを含み、当該結合タンパク質が、CD3特異的結合因子を更に含む、当該結合タンパク質は、T細胞の感染症限局性又は腫瘍限局性活性化を促進することができる。そのような場合、本発明の組換え結合タンパク質は、標的ペプチド-MHC複合体提示腫瘍細胞及び/又は標的ペプチド-MHC複合体提示感染細胞に対してT細胞を局所的に活性化するためにT細胞エンゲージャー形式で使用されてもよい。
本発明の一態様では、本発明の組換え結合タンパク質は、当該第1の標的ペプチド-MHC複合体の認識を阻害することができ、かつ/又は、当該結合タンパク質が当該第2の反復ドメインを含む場合、T細胞受容体による当該第2の標的ペプチド-MHC複合体の認識を阻害することができる。言い換えれば、本発明の組換え結合タンパク質は、免疫系が標的ペプチド-MHC複合体を認識する能力を阻害することができる。そのような場合、本発明の組換え結合タンパク質は、自己免疫疾患の処置に使用されてもよい。T細胞受容体による標的ペプチド-MHC複合体の認識を測定することは、当業者に公知のいずれかの適切な方法によって、又は適切なT細胞活性化アッセイによって実施することができる。
一実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は、ポリペプチドタグを更に含む。本発明の文脈において、ポリペプチドタグは、ポリペプチド/タンパク質に結合したアミノ酸配列であって、当該アミノ酸配列は、当該ポリペプチド/タンパク質の精製、検出、若しくはターゲティングに有用であり、又は、当該アミノ酸配列は、ポリペプチド/タンパク質の物理化学的挙動を改善し、又は、当該アミノ酸配列はエフェクター機能を有する。結合タンパク質の個々のポリペプチドタグは、結合タンパク質の他の部分に、直接又はペプチドリンカーを介して結合することができる。ポリペプチドタグは当技術分野で周知であり、当業者には十分に利用可能である。ポリペプチドタグの例は、小ポリペプチド配列、例えば、Hisタグ、HAタグ、mycタグ、FLAGタグ、若しくはStrepタグ、又は酵素(例えばアルカリホスファターゼ)等のポリペプチドであり、これらにより、このポリペプチド/タンパク質、又は標的化に使用できるポリペプチド(免疫グロブリン又はそれらのフラグメント等)及び/若しくはエフェクター分子として使用できるポリペプチドの検出が可能となる。
一実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質は、ペプチドリンカーを更に含む。本発明の文脈において、ペプチドリンカーは、例えば、2つのタンパク質ドメイン、ポリペプチドタグとタンパク質ドメイン、タンパク質ドメインと非タンパク質化合物若しくはポリエチレングリコールなどのポリマー、タンパク質ドメインと生物活性のある分子、タンパク質ドメインとT細胞特異的アンキリン反復ドメイン、又は2つの配列タグ、を連結させることができるアミノ酸配列である。ペプチドリンカーは、当業者に既知である。例の一覧は、特許出願、国際公開第2002/020565号の記載に提供されている。そのようなリンカーの具体例は、グリシン-セリン-リンカー及び可変長のプロリン-トレオニン-リンカーである。グリシン-セリン-リンカーの例は、アミノ酸配列GS及び配列番号3のアミノ酸配列であり、プロリン-トレオニン-リンカーの例は、配列番号1及び配列番号2のアミノ酸配列である。
別の態様では、本発明は、本発明の設計された反復ドメインのアミノ酸配列又は本発明のpMHC特異的組換え結合タンパク質のアミノ酸配列をコードする、核酸に関する。一実施形態では、本発明は、本発明のpMHC特異的組換え結合タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、本発明の設計された反復ドメインのアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号16~26からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号16~18及び20~26からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号17、21、22、23及び26からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号21及び23からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号17のアミノ酸配列をコードする、核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号21のアミノ酸配列をコードする、核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号22のアミノ酸配列をコードする、核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号23のアミノ酸配列をコードする、核酸に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号26のアミノ酸配列をコードする、核酸に関する。更に、本発明は、本発明のいずれかの核酸を含むベクターに関する。核酸は、当業者に周知である。実施例において、核酸は、本発明の設計されたアンキリン反復ドメイン又は組換え結合タンパク質を、大腸菌(E.coli)で生産するために使用した。
別の態様では、本発明は、本発明のpMHC特異的組換え結合タンパク質、及び/又は本発明の核酸と、場合により、医薬として許容され得る担体及び/又は希釈剤とを含む、医薬組成物に関する。
医薬として許容され得る担体及び/又は希釈剤は当業者に既知であり、下記でより詳細に説明する。また更に、上述の組換え結合タンパク質及び/又は核酸、特に本発明の組換え結合タンパク質のうちの1つ以上を含む、診断用組成物が提供される。
医薬組成物は、組換え結合タンパク質及び/又は核酸、好ましくは、本明細書の態様又は実施形態のうちのいずれかにおいてより具体的に説明されるような組換え結合タンパク質及び/又は核酸と、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.,1980に説明されるような、医薬として許容され得る担体、賦形剤又は安定剤とを含む。
当業者に既知の、好適な担体、賦形剤又は安定剤としては、例えば、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、ハンクス液、固定油、オレイン酸エチル、5%デキストロース生理食塩水、等張性及び化学的安定性を高める物質、緩衝液並びに保存剤が挙げられる。他の好適な担体としては、それ自体が、組成物を投与される個体にとって有害な抗体の生産を誘発しない任意の担体、例えば、タンパク質、ポリサッカライド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸及びアミノ酸コポリマーが挙げられる。医薬組成物はまた、抗癌剤若しくは抗血管新生剤、又は更なる生物活性化合物等の、追加の有効成分を含む、合剤であってもよい。
in vivo投与に使用される製剤は、無菌でなくてはならない、又は、滅菌されていなくてはならない。これは、滅菌濾過膜で濾過することにより、容易に実施される。
一実施形態では、医薬組成物は、本明細書に説明されるような少なくとも1つの組換え結合タンパク質と、例えば、非イオン性洗剤などの洗剤、例えば、リン酸緩衝液などの緩衝液、及びショ糖などの糖とを含む。一実施形態において、このような組成物は、上記のような組換え結合タンパク質及びPBSを含む。
別の態様では、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける、免疫細胞、好ましくはT細胞の感染症限局性活性化の方法であって、第1の標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する第1の反復ドメインを含み、場合により第2の標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する第2の反復ドメインを含み、免疫細胞、好ましくはT細胞の表面上に発現するタンパク質に対して結合特異性を有する結合因子を更に含む、本発明のpMHC特異的組換え結合タンパク質を哺乳動物に投与するステップを含む方法であって、当該第1の標的ペプチド及び/又は、当該結合タンパク質が当該第2の反復ドメインを含む場合、当該第2の標的ペプチドが、感染因子のタンパク質に由来する、方法を提供する。一実施形態では、当該感染は、ウイルス感染である。一実施形態では、当該第1の及び/又は、存在する場合、当該第2の標的ペプチドは、ウイルス感染因子のタンパク質に由来する。一実施形態では、当該第1の及び/又は、存在する場合、当該第2の標的ペプチドは、ウイルス特異的タンパク質に由来する。一実施形態では、当該第1の及び/又は、存在する場合、当該第2の標的ペプチドは、HBcAgに由来する。一実施形態では、当該第1の及び/又は、存在する場合、当該第2の標的ペプチドは、配列番号51のアミノ酸配列を有する。一実施形態では、当該結合因子は、免疫細胞、好ましくはT細胞、更により好ましくはCD8+細胞障害性T細胞の表面上に発現するタンパク質に対して結合特異性を有する。一実施形態では、当該結合因子は、免疫細胞、好ましくはT細胞、更により好ましくはCD8+細胞障害性T細胞の表面上に発現するタンパク質に対して結合特異性を有する抗体である。一実施形態では、当該結合因子は、免疫細胞、好ましくはT細胞、更により好ましくはCD8+細胞障害性T細胞の表面上に発現するタンパク質に対して結合特異性を有する設計された反復ドメインである。一実施形態では、当該結合因子は、免疫細胞、好ましくはT細胞、更により好ましくはCD8+細胞障害性T細胞の表面上に発現するタンパク質に対して結合特異性を有する設計されたアンキリン反復ドメインである。好ましい実施形態では、免疫細胞の表面上に発現する当該タンパク質は、例えば、CD3などのT細胞受容体複合体の一部であるタンパク質である。一実施形態では、当該第1のアンキリン反復ドメイン及び/又は、存在する場合、当該第2のアンキリン反復は独立して、本明細書の態様及び実施形態のいずれかにおいてより具体的に説明されるような、標的ペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する独立して設計されたアンキリン反復ドメインである。
本明細書に説明する免疫細胞の感染症限局性活性化の方法において使用するための、免疫細胞、好ましくはT細胞、更により好ましくはCD8+細胞障害性T細胞の表面上に発現するタンパク質に対して結合特異性を有する結合因子を含む本発明のpMHC特異的組換え結合タンパク質、本発明の核酸、又は本発明の医薬組成物が、更に提供される。
別の態様では、本発明は、医学的状態を処置するための方法であって、医学的状態を処置することを必要とする患者に、治療有効量の本発明のpMHC特異的組換え結合タンパク質、本発明の核酸、又は本発明の医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
本明細書に説明するような医学的状態を処置する方法において使用するための、本発明のpMHC特異的組換え結合タンパク質、核酸、又は医薬組成物が更に提供される。
別の態様では、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける医学的状態を診断する方法であって、
(i)当該哺乳動物から得られた細胞試料又は組織試料を本発明の組換え結合タンパク質と接触させるステップと、
(ii)当該細胞試料又は組織試料への当該結合タンパク質の特異的結合を検出するステップと、を含む、方法を提供する。一実施形態では、当該組織は、腫瘍組織である。
本発明の文脈において、用語「医学的状態」、「疾患」、及び「障害」は、相互交換可能に使用され、癌、感染症、及び自己免疫疾患を含むが、これらに限定されない。1つの好ましい実施形態では、当該医学的状態は、癌、感染症、好ましくはウイルス感染症、又は自己免疫疾患である。一実施形態では、当該医学的状態は、癌である。一実施形態では、そのような癌は、肺癌、大腸癌、胃癌、膀胱癌、卵巣癌及び乳癌を含むがこれらに限定されない上皮性悪性腫瘍(原発性及び転移性)と、白血病、リンパ腫、及び骨髄腫を含むがこれらに限定されない血球悪性腫瘍と、骨肉腫及び軟部組織肉腫を含むこれらに限定されない肉腫と、黒色腫とからなる群から選択される。1つの好ましい実施形態では、そのような癌は、脂肪肉腫、神経芽腫、滑膜肉腫、黒色腫及び卵巣癌からなる群から選択される。別の最も好ましい実施形態では、そのような癌は、黒色腫、肺癌、肝癌、胃癌、皮膚癌、神経芽腫、軟部組織肉腫、膀胱癌、精巣癌及び卵巣癌からなる群から選択される。一実施形態では、当該医学的状態は、感染症、好ましくはウイルス感染症である。1つの好ましい実施形態では、そのような感染症は、B型肝炎ウイルス(HBV)によって引き起こされるウイルス感染症である。別の好ましい実施形態では、そのような感染症は、エプスタイン・バーウイルス(EBV)によって引き起こされるウイルス感染症である。一実施形態では、当該医学的状態は、自己免疫疾患である。1つの好ましい実施形態では、そのような自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ及びI型糖尿病からなる群から選択される。
一実施形態では、本発明は、疾患の処置のための、本発明による医薬組成物、核酸又は組換え結合タンパク質の、使用に関する。その目的のため、本発明による医薬組成物、核酸又は組換え結合タンパク質は、これらを必要とする患者に、治療有効量で投与される。投与としては、局所投与、経口投与、及び非経口投与を挙げることができる。典型的な投与経路は非経口投与である。非経口投与において、本発明の医薬組成物は、上記で定義したような医薬として許容され得る賦形剤とともに、溶液、懸濁液又はエマルション等の単位用量の注射剤形で製剤化されている。用量及び投与方法は、治療される個体及び特定の疾患によって異なる。
更に、上述の医薬組成物又は組換え結合タンパク質のいずれかは、障害の処置のためとみなされる。
一実施形態では、本明細書に説明するような当該組換え結合タンパク質又は医薬組成物は、静脈内に適用される。非経口適用のために、当該組換え結合タンパク質又は医薬組成物は、ボーラス注入として又は緩徐な点滴注入により、治療有効量で注入することができる。
一実施形態では、本発明は、医学的状態の処置方法であって、そのような処置を必要とする患者に、治療有効量の本発明の組換え結合タンパク質、核酸、又は医薬組成物を投与するステップを含む、方法に関する。一実施形態では、本発明は、医学的状態の処置のための、本発明の組換え結合タンパク質、核酸、又は医薬組成物の、使用に関する。一実施形態では、本発明は、医学的状態の処置において使用するための、本発明の組換え結合タンパク質、核酸、又は医薬組成物に関する。一実施形態では、本発明は、医学的状態の処置のための医薬品としての、本発明の医薬組成物、組換え結合タンパク質、又は核酸の、使用に関する。一実施形態では、本発明は、医薬品の製造のための、本発明の医薬組成物、組換え結合タンパク質、又は核酸の、使用に関する。一実施形態では、本発明は、医学的状態の処置のための医薬品の製造のための、本発明の医薬組成物、組換え結合タンパク質、又は核酸の、使用に関する。一実施形態では、本発明は、医学的状態の処置のための医薬品の製造のためのプロセスであって、本発明の医薬組成物、組換え結合タンパク質、又は核酸分子が、医薬品の有効成分である、プロセスに関する。一実施形態では、本発明は、本発明の医薬組成物、組換え結合タンパク質、又は核酸分子を使用して、医学的状態を処置するプロセスに関する。
更なる実施形態では、本発明は、医学的状態、好ましくは感染症、より好ましくはウイルス感染症の処置のために使用される医薬品の製造のための、本発明の組換え結合タンパク質、核酸又は医薬組成物の、使用に関する。
一実施形態では、本発明は、治療目的のための、上述の設計されたアンキリン反復ドメインのうちのいずれかを含む組換え結合タンパク質に関する。
一態様では、本発明は、本発明の組換え結合タンパク質を含むキットに関する。一実施形態では、本発明は、本発明の組換え結合タンパク質をコードする核酸を含むキットに関する。一実施形態では、本発明は、本発明の医薬組成物を含むキットに関する。一実施形態では、本発明は、本発明の組換え結合タンパク質、及び/又は本発明の組換え結合タンパク質をコードする核酸、及び/又は本発明の医薬組成物、を含む、キットに関する。一実施形態では、本発明は、本発明の1個以上のペプチド-MHC特異的アンキリン反復ドメイン、例えば、配列番号17、配列番号21、配列番号22、配列番号23若しくは配列番号26のアミノ酸配列を独立して有する1個以上のペプチド-MHC特異的アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質、及び/又は、本発明の1個以上のペプチド-MHC特異的アンキリン反復ドメイン、例えば、配列番号17、配列番号21、配列番号22、配列番号23若しくは配列番号26のアミノ酸配列を独立して有する1個以上のペプチド-MHC特異的アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質を含む核酸、及び/又は、例えば、本発明の1個以上のペプチド-MHC特異的アンキリン反復ドメイン、配列番号17、配列番号21、配列番号22、配列番号23若しくは配列番号26のアミノ酸配列を独立して有する1個以上のペプチド-MHC特異的アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質を含む医薬組成物、を含むキットに関する。
別の態様では、本発明は、感染細胞の破壊のために、ウイルス感染症に罹患している患者における感染細胞を標的とする方法であって、患者に治療有効量の本発明の結合タンパク質、核酸、又は医薬組成物を投与するステップを含む、方法であって、当該第1の標的ペプチド及び/又は、当該結合タンパク質が当該第2の反復ドメインを含む場合、当該第2の標的ペプチドが、感染細胞において発現するタンパク質、好ましくはウイルス特異的タンパク質に由来する、方法を提供する。一実施形態では、当該結合タンパク質は、感染細胞を殺滅することができる毒性因子を更に含む。
感染細胞の破壊のために、ウイルス感染症に罹患している患者において感染細胞を標的とする方法において使用するための、本発明の組換え結合タンパク質、核酸、又は医薬組成物が更に提供され、当該第1の標的ペプチド及び/又は、当該結合タンパク質が当該第2の反復ドメインを含む場合、当該第2の標的ペプチドは、感染細胞において発現するタンパク質、好ましくはウイルス特異的タンパク質に由来する。一実施形態では、当該結合タンパク質は、感染細胞を殺滅することができる毒性因子を更に含む。
好ましい実施形態では、本発明の処置方法によって、又は本発明の結合タンパク質、核酸若しくは医薬組成物によって処置される医学的状態は、B型肝炎ウイルスによって引き起こされるウイルス感染症である。
本明細書は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、添付の配列表に開示されている多くのアミノ酸配列、核酸配列、及び配列番号を参照する。
定義
本明細書において別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。
本発明の文脈において、用語「集合体」は、少なくとも2つの異なる実体又はメンバーを含む、集団を指す。好ましくは、そのような集合体は、少なくとも105個、より好ましくは107個超、及び最も好ましくは109個超の異なるメンバーを含む。「集合体」はまた、「ライブラリー」又は「複数」と称することもできる。
用語「核酸分子」は、一本鎖又は二本鎖のいずれかのリボ核酸(RNA)分子又はデオキシリボ核酸(DNA)分子であることができるポリヌクレオチド分子を指し、DNA又はRNAの修飾形態及び人工形態を含む。核酸分子は、単離された形態で存在するか、又は組換え核酸分子又はベクターに含まれているかのいずれかであることができる。
本発明の文脈において、用語「タンパク質」はポリペプチドを含む分子を指し、ここで、ポリペプチドの少なくとも一部は、単一のポリペプチド鎖内及び/又は複数のポリペプチド鎖間で二次、三次、及び/又は四次構造を形成することにより、明確な三次元配置を有する、又は、とることができる。タンパク質が2つ以上のポリペプチド鎖を含む場合、個々のポリペプチド鎖は、非共有結合又は共有結合により、例えば、2つのポリペプチド間のジスルフィド結合により、結合され得る。個々に二次及び/又は三次構造を形成することにより、明確な三次元配置を有する、又は、とることができるタンパク質の一部は、「タンパク質ドメイン」と呼ばれる。そのようなタンパク質ドメインは、当業者に周知である。
用語「組換え」は、組換えタンパク質、組換えポリペプチドなどで使用する場合、このタンパク質又はポリペプチドが、当業者に周知の組換えDNA技術の使用によって生産されることを意味する。例えば、ポリペプチドをコードする組換えDNA分子(例えば遺伝子合成によって生産される)を細菌発現プラスミド(例えばpQE30、QIAgen)、酵母発現プラスミド、哺乳動物発現プラスミド、若しくは植物発現プラスミド、又はin vitro発現を可能にするDNAにクローニングすることができる。例えば、そのような組換え細菌発現プラスミドを適切な細菌(例えば、大腸菌(Escherichia coli))に挿入すると、これらの細菌は、この組換えDNAによってコードされたポリペプチドを生産することができる。それに応じて生産されたポリペプチド又はタンパク質は、組換えポリペプチド又は組換えタンパク質と呼ばれる。
本発明の文脈において、用語「結合タンパク質」は、結合ドメインを含むタンパク質を指す。結合タンパク質はまた、2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上の結合ドメインを含んでもよい。好ましくは、この結合タンパク質は、組換え結合タンパク質である。より好ましくは、本発明の結合タンパク質は、pMHC複合体に対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含む。
更に、任意のそのような結合タンパク質は、当業者に周知の追加のポリペプチド(例えば、ポリペプチドタグ、ペプチドリンカー、結合特異性を有する他のタンパク質性ドメインへの融合、サイトカイン、ホルモン、又はアンタゴニストなど)、又は化学修飾(ポリエチレングリコール、毒素、小分子、抗生物質などへのカップリングなど)を含み得る。いくつかの実施形態では、結合タンパク質は、免疫細胞の表面上に発現するタンパク質に対して結合特異性を有する結合因子を更に含む。いくつかの実施形態では、結合タンパク質は更に、腫瘍細胞及び/又は感染細胞を殺滅することができる毒性因子を含む。毒性因子の例としては、ビンブラスチン、ドキシルビシン、トポイソメラーゼI阻害剤、カリケアマイシン、デュオカルマイシン-ヒドロキシベンズアミド-アザインドール(DUBA)、ピロロベンゾジアゼピン二量体(PBD)、並びに、アウリスタチン及びメイタンシンなどの微小管阻害剤ファミリーの誘導体、例えば、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、薬物メイタンシノイド1(DM1)及び薬物メイタンシノイド4(DM4)が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「結合ドメイン」は、標的に対する結合特異性を呈するタンパク質ドメインを意味する。好ましくは、この結合ドメインは、組換え結合ドメインである。
用語「標的」は、核酸分子、ペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質、炭水化物、又はそのような個々の分子のいずれかの部分を含むいずれかの他の天然に存在する分子などの個々の分子、或いはそのような分子の2個以上からなる複合体、或いは細胞全体の試料又は組織試料、或いはいずれかの非天然化合物を指す。好ましくは、標的は天然に存在する、若しくは、非天然のポリペプチド若しくはタンパク質、又は、例えば、天然に存在する若しくは非天然のリン酸化、アセチル化、若しくはメチル化によって修飾された、化学修飾を含むポリペプチド若しくはタンパク質である。本発明の文脈において、ペプチド-MHC複合体並びにペプチド-MHC提示細胞及び組織は、pMHC特異的結合タンパク質の標的である。更に、例えば、T細胞などのCD3及びCD3発現細胞は、CD3などの免疫細胞の表面上に発現するタンパク質に対して結合特異性を有する結合因子を更に含む、本発明のpMHC特異的結合タンパク質の標的である。
本発明の文脈において、用語「ポリペプチド」は、ペプチド結合によって結合された、複数、すなわち2つ以上のアミノ酸の鎖からなる分子に関する。好ましくは、ポリペプチドは、ペプチド結合によって結合された8個超のアミノ酸からなる。用語「ポリペプチド」はまた、システインのS-S架橋によって結合されたアミノ酸の複数の鎖も含む。ポリペプチドは、当業者に周知である。
国際公開第2002/020565号及びForrerら、2003(Forrer,P.,Stumpp,M.T.,Binz,H.K.,Pluckthun,A.,2003.FEBS Letters 539,2-6)は、リピートタンパク質の特徴と反復ドメインの特徴、技術、及び用途の一般的な説明を含む。用語「リピートタンパク質」は、1つ以上の反復ドメインを含むタンパク質を指す。好ましくは、リピートタンパク質は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つの反復ドメインを含む。更に、このリピートタンパク質は、更なる非リピートタンパク質ドメイン、ポリペプチドタグ及び/又はペプチドリンカーを含む場合がある。反復ドメインは、結合ドメインである場合がある。
用語「反復ドメイン」は、構造単位として2つ以上の連続する反復モジュールを含むタンパク質ドメインを指し、この反復モジュールは、構造相同性及び配列相同性を有する。好ましくは、反復ドメインはまた、N末端及び/又はC末端キャッピングモジュールも含む。明確にするために、キャッピングモジュールは、反復モジュールであり得る。そのような反復ドメイン、反復モジュール、及びキャッピングモジュール、配列モチーフ、並びに構造相同性及び配列相同性は、アンキリン反復ドメイン(Binz et al.,J.Mol.Biol.332,489-503,2003、Binz et al.,2004,loc.cit.、国際公開第2002/020565号、国際公開第2012/069655号)、高ロイシン反復ドメイン(国際公開第2002/020565号)、テトラトリコペプチド反復ドメイン(Main,E.R.,Xiong,Y.,Cocco,M.J.,D’Andrea,L.,Regan,L.,Structure 11(5),497-508,2003)、及びアルマジロ反復ドメイン(国際公開第2009/040338号)の例から当業者に周知である。そのような反復ドメインが反復されるアミノ酸配列を含むタンパク質とは異なることは、当業者には更に周知であり、反復されるアミノ酸配列は全て、個々のドメイン(例えば、フィブロネクチンのFN3ドメイン)を形成することができる。
用語「アンキリン反復ドメイン」は、構造単位として2つ以上の連続するアンキリン反復モジュールを含む反復ドメインを指し、当該アンキリン反復モジュールは、構造相同性及び配列相同性を有する。
設計されたリピートタンパク質、設計された反復ドメインなどにおいて使用される用語「設計された」は、そのようなリピートタンパク質及び反復ドメインがそれぞれ人工的であり、自然界では生じないという特性を指す。本発明の結合タンパク質は、設計されたリピートタンパク質であり、これらは少なくとも1つの設計された反復ドメインを含む。好ましくは、設計された反復ドメインは、設計されたアンキリン反復ドメインである。
用語「標的相互作用残基」は、標的との直接的な相互作用に寄与する反復モジュールのアミノ酸残基を指す。
用語「フレームワーク残基」又は「フレームワーク位置」は、反復モジュールのアミノ酸残基を指し、これは、フォールディングトポロジーに寄与する、すなわち、当該反復モジュールの折り畳みに寄与するか、又は隣接モジュールとの相互作用に寄与する。そのような寄与は、反復モジュール内の他の残基との相互作用、又はα-ヘリックス若しくはβ-シートに見られるポリペプチド骨格構造への影響、又は直鎖ポリペプチド若しくはループを形成するアミノ酸ストレッチへの関与であってもよい。
そのようなフレームワーク及び標的相互作用残基は、X線結晶解析、NMR及び/若しくはCD分光法などの物理化学法によって得られる構造データの分析によって、又は構造生物学及び/若しくはバイオインフォマティクスにおいて当業者に周知の既知の関連する構造情報と比較することによって同定され得る。
用語「反復モジュール」は、元々は天然に生じるリピートタンパク質の反復単位から誘導される、設計された反復ドメインの反復されたアミノ酸配列及び構造単位を指す。反復ドメインに含まれる各反復モジュールは、天然に存在するリピートタンパク質のファミリー又はサブファミリー、好ましくは、アンキリンリピートタンパク質ファミリーの1つ以上の反復単位に由来する。更に、反復ドメインに含まれる各反復モジュールは、標的上で選択された反復ドメインから得られた、同じ標的特異性を有する相同反復モジュールから推定される「反復配列モチーフ」を含み得る。
したがって、用語「アンキリン反復モジュール」は、元々天然に存在するアンキリンリピートタンパク質の反復単位に由来する反復モジュールを指す。アンキリンリピートタンパク質は、当業者に周知である。
反復モジュールは、標的特異的反復ドメインを選択する目的で、ライブラリー内でランダム化されていないアミノ酸残基を有する位置(本明細書で相互交換可能に使用される「非ランダム化された位置」又は「固定された位置」)及び標的特異的反復ドメインを選択する目的で、ライブラリー内でランダム化されたアミノ酸残基を有する位置(「ランダム化された位置」)を含み得る。非ランダム化された位置は、フレームワーク残基を含む。ランダム化された位置は、標的相互作用残基を含む。「ランダム化された」とは、例えば、反復モジュールのアミノ酸位置で2つ以上のアミノ酸が許可され、通常の20個の天然に存在するアミノ酸のいずれかが許可された、若しくはシステイン以外のアミノ酸、又はグリシン、システイン、及びプロリン以外のアミノ酸などの、20個の天然に存在するアミノ酸のほとんどが許可されたことを意味する。この特許出願の目的のために、配列番号27~50のアミノ酸残基3、4、6、14、及び15は、本発明のアンキリン反復モジュールのランダム化された位置である。
用語「反復配列モチーフ」は、1つ以上の反復モジュールから推定されるアミノ酸配列を指す。好ましくは、この反復モジュールは、同じ標的に対する結合特異性を有する反復ドメインに由来する。そのような反復配列モチーフは、フレームワーク残基の位置及び標的相互作用残基位置を含む。このフレームワーク残基の位置は、反復モジュールのフレームワーク残基の位置に対応する。同様に、この標的相互作用残基の位置は、反復モジュールの標的相互作用残基の位置に対応する。反復配列モチーフは、非ランダム化された位置及びランダム化された位置を含む。
用語「反復単位」は、1つ以上の天然に存在するタンパク質の配列モチーフを含むアミノ酸配列を指し、この「反復単位」は複数のコピーに見出され、タンパク質のフォールディングを決定する全てのこのモチーフに共通の定義されたフォールディングトポロジーを示す。そのような反復単位の例としては、ロイシンに富む反復単位、アンキリン反復単位、アルマジロ反復単位、テトラトリコペプチド反復単位、HEAT反復単位、及びロイシンに富む変異体反復単位が挙げられる。
用語「結合特異性」、「標的に対する結合特異性を有する」、「標的に特異的に結合する」、「標的に高い特異性で結合する」、「標的に対して特異的」又は「標的特異性」等は、結合タンパク質又は結合ドメインが、大腸菌マルトース結合タンパク質(MBP)等の非関連タンパク質に結合するよりも低い解離定数で、PBS中で標的に結合する(すなわち、より高い親和性で結合する)ことを意味する。好ましくは、標的に対するPBS中での解離定数(「KD」)は、MBPに対する対応する解離定数よりも、少なくとも102倍、より好ましくは少なくとも103倍、より好ましくは少なくとも104倍、又はより好ましくは少なくとも105倍低い。タンパク質-タンパク質間の相互作用の解離定数を測定するための方法、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)に基づく技術(例えば、SPR平衡解析)又は等温滴定熱量測定(ITC)は、当業者に周知である。特定のタンパク質-タンパク質相互作用のKDの測定値は、異なる条件下(例えば、塩濃度、pH)で測定された場合、変動し得る。したがって、KD値の測定は、好ましくは、タンパク質の標準化溶液及びPBS等の標準化緩衝液を使用して実施される。pMHCに対して結合特異性を有する本発明の組換え結合タンパク質の解離定数(KD)の、表面プラズモン共鳴(SPR)分析による典型的かつ好ましい決定は、実施例2に説明されている。
用語「約」は、言及した値の+/-20%を意味し、例えば、「約50」は、40~60を意味するものとする。
用語「PBS」は、137mM NaCl、10mMリン酸塩及び2.7mM KClを含み、pHが7.4であるリン酸緩衝水溶液を意味する。
主要組織適合性複合体(MHC)は、免疫系が外来物質を認識するのを助ける細胞の表面上に見られるタンパク質をコードする遺伝子の群である。主要組織適合性複合体又はそのようなタンパク質の複合体によってコードされるタンパク質は、[MHCタンパク質」又は「MHC分子」と呼ばれる。MHCタンパク質は、全てのより高次の脊椎動物に見られる。最も注目すべきことは、T細胞受容体などの免疫細胞受容体にペプチドを呈するMHCクラスI及びクラスII糖タンパク質である。ヒトにおいて、主要組織適合性複合体はまた、ヒト白血球抗原(HLA)系とも呼ばれる。
本明細書で使用される用語「MHC」は、主要組織適合性複合体、好ましくは哺乳動物の主要組織適合性複合体、更により好ましくはヒトの主要組織適合性複合体を指す。本明細書で使用される用語「HLA」は、ヒト白血球抗原系を指す。MHC分子はペプチドを示し、脊椎動物の免疫系に提示する。用語「ペプチド抗原」及び「MHCペプチド抗原」は、本明細書で相互交換可能に使用され、MHC分子のペプチド結合溝において結合することができるMHCリガンドを指す。ペプチド抗原は、典型的には、ペプチド結合を介して連結された8~25のアミノ酸を有する。MHCペプチド抗原は、自己ペプチド又は非自己ペプチドのいずれかであることができる。ペプチド抗原は、典型的には、MHC分子によって免疫系に提示されることができる。MHCクラスI分子は、典型的には、CD8陽性T細胞にペプチド抗原を呈するのに対し、MHCクラスII分子は、典型的には、CD4陽性T細胞にペプチド抗原を呈する。本発明の文脈において、ペプチド抗原がMHC分子に結合したときに、本発明の結合タンパク質によって特異的に結合されるペプチド抗原は、「標的ペプチド」とも呼ばれる。したがって、用語「ペプチド-MHC複合体」、「pMHC複合体」、「ペプチド-MHC」、及び「pMHC」は、本出願において相互交換可能に使用され、MHC分子へのペプチド抗原の結合によって形成される複合体を指す。好ましくは、MHC分子は、MHCクラスI分子である。また好ましくは、ペプチドは、腫瘍細胞において発現するタンパク質に由来するペプチド、感染因子のタンパク質に由来するペプチド、例えば、ウイルス感染因子、又は自己免疫障害と関係するタンパク質に由来するペプチドである。1つの好ましい実施形態では、腫瘍細胞において発現する当該タンパク質は、腫瘍特異的タンパク質である。
用語「腫瘍特異的タンパク質」は、腫瘍細胞において発現し、かつ多くの若しくは全ての非腫瘍形成組織において発現しないか又はより低いレベルでのみ発現するか、又は腫瘍組織に加えて限られた数の非腫瘍形成組織においてのみ発現するタンパク質を意味する。好ましくは、腫瘍特異的タンパク質は、癌特異的である免疫応答を誘発する能力を有する。腫瘍特異的タンパク質の例は、当業者に公知であり、MAGE-A1、MAGE-A3、MAGE-A4、NY-ESO-1、PRAME、CT83、SSX2などを含むが、これらに限定されない。
1つの好ましい実施形態では、感染因子の当該タンパク質又は当該感染細胞において発現する当該タンパク質は、ウイルス特異的タンパク質である。
用語「ウイルス特異的タンパク質」は、ウイルス感染細胞においてウイルスゲノムから発現し、かつ非感染宿主細胞においては発現しないタンパク質を意味する。ウイルス特異的タンパク質の例は、当業者に公知であり、EBNA-1、EBNA-2、EBNA-3、LMP-1、LMP-2、NSP1、NSP2、NSP4、NSP5、NSP6、E1、E2、HBx、HBsAg、HBcAgなどを含むが、これらに限定されない。自己免疫障害と関係するタンパク質の例は、当業者に公知であり、カルボキシペプチダーゼH、クロモグラニンA、インスリン、β-アレスチン、アクアポリン-4、シトルリン化タンパク質などが挙げられるが、これらに限定されない。
「標的ペプチド-MHC複合体」は、ペプチド抗原が標的ペプチドであるペプチド-MHC複合体を指す。
より好ましくは、ペプチド抗原は、感染因子のタンパク質、更により好ましくはウイルス感染因子のタンパク質に由来する。更により好ましくは、ウイルス感染因子は、B型肝炎ウイルス(HBV)である。最も好ましくは、HBVの当該タンパク質は、ウイルス特異的タンパク質である。
最も好ましくは、ペプチド抗原は、B型肝炎コア抗原(HBcAg)に由来する。好ましくは、HBcAgに由来するペプチド抗原は、本明細書で「HBVc18」又は「c18ペプチド」と略される、HBVコア抗原の配列18~27であり、アミノ酸配列FLPSDFFPSV(配列番号51)を有する。
「腫瘍特異的タンパク質に由来するペプチド」、「細胞内タンパク質に由来するペプチド」、「感染因子のタンパク質に由来するペプチド」、「自己免疫障害と関係するタンパク質に由来するペプチド」などにおいて使用されるような用語「に由来するペプチド」は、個々のタンパク質の分子画分又はペプチドフラグメントを指す。そのようなペプチドフラグメントは、T細胞などのある特定のリンパ球による認識に対して、細胞の表面上のMHC分子との関係で提示される、すなわち示されるために、正常タンパク質又は病原性タンパク質の分解に起因し得る。提示されたペプチドは、自己又は非自己のいずれかであることができ、生物体の免疫系は、通常、自己と非自己を区別することができ、したがって生物の免疫系がそれ自体の細胞を標的とすることを防止することができる。或いは、そのようなペプチドフラグメントは、当該技術分野において公知の方法によって生産され得る。好ましくは、ペプチドは、細胞内タンパク質に由来する。
用語「結合因子」は、標的分子を特異的に結合することができるいずれかの分子を指し、例えば、抗体、抗体フラグメント、アプタマー、ペプチド(例えば、Williams et al.,J Biol Chem 266:5182-5190(1991))、抗体模擬体、リピートタンパク質、例えば、設計されたアニクリンリピートタンパク質、受容体タンパク質、及び標的分子のいずれかの他の天然に存在する相互作用パートナーを含み、天然タンパク質と、例えば、非天然残基を含むように、及び/又は天然残基を欠いているように修飾され又は遺伝子操作されたタンパク質とを含むことができる。
結合ドメインの用語「負の選択」又は「選択解除」は、結合ドメインの集合体からの本発明の目的に適切ではないか又はあまり適していない結合ドメインの選択的除去を意味する。本発明の文脈において、負の選択又は選択解除は、好ましくは、標的ペプチド-MHC複合体以外のペプチド-MHC複合体に対して結合特異性を有する、又は異なるpMHC複合体の共通HLA-A足場に対して結合特異性を有する望ましくない設計された反復ドメインの、設計された反復ドメインの集合体からの選択的除去を意味する。例えば、結合ドメインの集合体の望ましくない結合ドメインなどの、集合体の望ましくないメンバーを負に選択するか又は選択解除するための方法は、当業者に公知である。
本明細書で使用される用語「ペプチド-MHC提示細胞」は、細胞表面上にペプチド-MHCを発現することができるか又は示すことができるいずれかの細胞を指す。これには、腫瘍細胞、感染細胞、自己免疫障害と関係する細胞、樹枝細胞、マクロファージ、及びB細胞などの従来からの抗原提示細胞、並びにペプチドをパルス処理したT2細胞など、外側から投与されたペプチドに結合したMHC分子を示すために作製された細胞が挙げられるが、それらに限定されない。
本明細書で使用される用語「CD3発現細胞」は、細胞障害性T細胞(CD8+T細胞)及びTヘルパー細胞(CD4+T細胞)などのT細胞を含むがこれらに限定されない、細胞表面上にCD3(分化クラスター3)を発現するいずれかの細胞を指す。
用語「T細胞の腫瘍限局性活性化」は、非腫瘍組織と比較して、T細胞が腫瘍組織において優先的に活性化されることを意味する。
用語「T細胞の感染症限局性活性化」は、非感染組織と比較して、T細胞が感染組織において優先的に活性化されることを意味する。
用語「医学的状態」(又は「障害」又は「疾患」)には、自己免疫障害、炎症性障害、網膜症(特に増殖性網膜症)、神経変性障害、感染症、代謝性疾患、及び腫瘍性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に説明する組換え結合タンパク質のいずれかを、そのような障害、特に、自己免疫障害、炎症性障害、感染症(例えば、ウイルス性感染症又は細菌性感染症)、及び腫瘍性疾患を含む群から選択される障害の処置のための医薬品の調製に使用することができる。「医学的状態」は、不適切な細胞増殖を特徴とするものである場合がある。医学的状態は、過剰増殖状態である場合がある。本発明は、特に、医学的状態を処置する方法であって、そのような処置を必要とする患者に、治療有効量の本発明の組換え結合タンパク質又は医薬組成物を投与するステップを含む、方法に関する。好ましい実施形態では、当該医学的状態は腫瘍性疾患である。用語「腫瘍性疾患」は、本明細書で使用する場合、急速に増殖する細胞増殖又は腫瘍を特徴とする、細胞又は組織の異常な状態(state or condition)を指す。一実施形態では、当該医学的状態は、悪性腫瘍性疾患である。一実施形態では、当該医学的状態は、癌である。別の好ましい実施形態では、当該医学的状態は、感染症である。別の好ましい実施形態では、当該医学的状態は、自己免疫疾患である。用語「治療有効量」は、患者において所望の効果をもたらすのに十分な量を意味する。
用語「抗体」は、インタクトな抗体分子だけでなく、免疫原結合能力を保持する抗体分子の任意のフラグメント及び変異体も意味する。そのようなフラグメント及び変異体もまた、当技術分野において周知であり、in vitro及びin vivoの両方で常時使用されている。したがって、用語「抗体」は、インタクトな免疫グロブリン分子、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、及び単鎖V領域フラグメント(scFv)などの抗体フラグメント、二重特異性抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、抗体融合ポリペプチド、並びに非従来型抗体を包含する。
用語「癌」及び「癌性」は、本明細書では、典型的には、調節されていない細胞増殖によって特徴付けられる哺乳動物における生理学的状態を指すか、又は記載するために使用される。癌は、固形腫瘍及び液性腫瘍、並びに原発性腫瘍及び転移性を包含する。「腫瘍」は、1つ以上の癌性細胞を含む。固形腫瘍は、典型的には、腫瘍間質も含む。癌の例としては、原発癌及び転移癌、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、骨髄腫黒色腫及び白血病、並びにいずれかの他の上皮悪性腫瘍及び血球系悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。そのような癌のより特定の例としては、脳癌、膀胱癌、乳癌、卵巣癌、腎癌、大腸癌、胃癌、頭頚部癌、肺癌、膵癌、前立腺癌、悪性黒色腫、骨肉腫、軟部組織肉腫、癌腫、扁平上皮細胞癌、明細胞腎癌、頭頚部扁平上皮癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、腎細胞癌、小細胞肺癌(SCLC)、三重陰性乳癌、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫(HL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、頭頚部扁平上皮癌(SCCHN)、慢性骨髄性白血病(CML)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、悪性中皮腫、脂肪肉腫、神経芽腫、又は滑膜肉腫が挙げられる。
用語「治療有効量」は、対象において所望の生物学的、薬理学的、又は治療上の結果を誘導するのに十分な量を指す。本発明の文脈における治療有効量は、いずれかの医学的処置に適用可能な妥当な利益/リスク比で疾患又は障害を処置又は予防するための結合タンパク質の十分量を意味する。
用語「処置」又は「処置すること」は、治療手段と、予防手段又は防止手段とをいずれも指す。処置を必要とするものとしては、既に障害に罹患しているもの、及び障害が防止されるべきものが挙げられる。
処置の目的のための用語「哺乳動物」は、ヒト、家畜及び農場動物、非ヒト霊長類、並びにイヌ、ウマ、ネコ、ウシなどのような、動物園動物、スポーツ動物、又はペット動物を含む哺乳動物として分類されるいずれかの動物を指す。用語「自己免疫疾患」及び「自己免疫障害」は、哺乳動物の免疫系が、哺乳動物自体の組織に対する又は哺乳動物に対して本質的に有害ではない抗原に対する体液性又は細胞性の免疫応答を開始し、それによりそのような哺乳動物において組織損傷を生じる障害を指すか又は説明するために本明細書で使用される。自己免疫障害の例は多く、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ及びI型糖尿病が挙げられるが、これらに限定されない。自己免疫疾患としてはまた、急性糸球体腎炎、アジソン病、成人発症特発性副甲状腺機能不全(AOIH)、完全脱毛症、筋萎縮性側索硬化症、強直性脊椎炎、自己免疫性再生不良性貧血、自己免疫性溶血性貧血、ベーチェット病、セリアック病、慢性活動性肝炎、CREST症候群、クローン病、皮膚筋炎、拡張型心筋症、好酸球増多・筋痛症候群、後天性表皮水疱症(EBA)、巨細胞性動脈炎、グッドパスチャー症候群、グレーヴス病、ギラン・バレー症候群、ヘモクロマトーシス、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、特発性IgA腎症、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、若年性関節リウマチ、ランバート・イートン症候群、線状IgA皮膚症、エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋炎、ナルコレプシー、壊死性血管炎、新生児ループス症候群(NLE)、ネフローゼ症候群、類天疱瘡、天疱瘡、多発性筋炎、原発性硬化性胆管炎、乾癬、急速進行性糸球体腎炎(RPGN)、ライター症候群、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群、全身強直症候群、甲状腺炎、及び潰瘍性大腸炎が挙げられる。
用語「感染症」及び「感染」は、特に病理学的症状を引き起こす、体組織における微生物の浸潤及び増殖を指すか又は説明するために、本明細書で使用される。感染症の例としてはとりわけ、例えば、HIV感染症、ウェストナイル熱ウイルス感染症、A型、B型、及びC型肝炎、痘瘡、結核、水疱性口内炎ウイルス(VSV)感染症、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症、SARS、インフルエンザ、エボラウイルス病、ウイルス性髄膜炎、疱疹、炭疽、ライム病、及び大腸菌感染症などのウイルス性疾患及び細菌性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
以下に開示される出発材料及び試薬は、当業者に既知であり、市販されている、及び/又は周知の技術を使用して調製することができる。
材料
化学物質はSigma-Aldrich(USA)より購入した。オリゴヌクレオチドはMicrosynth(Switzerland)より購入した。特に明記しない限り、DNAポリメラーゼ、制限酵素及び緩衝液は、New England Biolabs(USA)又はFermentas/Thermo Fisher Scientific(USA)より購入した。誘導性大腸菌発現株は、クローニング及びタンパク質生産に使用した。例えば、大腸菌のXL1-blue(Stratagene、USA)又はBL21(Novagen、USA)。
分子生物学
特に明記しない限り、方法は既知のプロトコルに従って行う(例えば、Sambrook J.,Fritsch E.F.and Maniatis T.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory 1989,New Yorkを参照されたい)。
設計されたアンキリンリピートタンパク質ライブラリー
設計されたアンキリンリピートタンパク質ライブラリーを生成する方法は、例えば、米国特許第7,417,130号;Binz et al.2003,loc.cit.;Binz et al.2004,loc.cit.に記載されている。そのような方法により、ランダム化されたアンキリン反復モジュール及び/又はランダム化されたキャッピングモジュールを有する設計されたアンキリンリピートタンパク質ライブラリーを構築することができる。例えば、そのようなライブラリーはしたがって、固定化N末端キャッピングモジュール(例えば、配列番号5、6又は7のN末端キャッピングモジュール)、又は配列番号8によるランダム化N末端キャッピングモジュール、配列番号9、10又は11の配列モチーフによる1個以上のランダム化反復モジュール、及び固定化C末端キャッピングモジュール(例えば、配列番号12、13又は14のC末端キャッピングモジュール)又は配列番号15によるランダム化C末端キャッピングモジュールに基づいて組み立てることができた。好ましくは、そのようなライブラリーは、反復又はキャッピングモジュールのランダム化された位置にアミノ酸C、G、M、N(G残基の前)及びPのいずれも有さないように組み立てられる。加えて、配列番号9、10、又は11の配列モチーフによるランダム化反復モジュールは、位置10及び/又は位置17で更にランダム化することができ、配列番号8の配列モチーフによるランダム化N末端キャッピングモジュールは、位置7及び/又は位置9で更にランダム化することができ、配列番号15の配列モチーフによるランダム化C末端キャッピングモジュールは、位置10、11、及び/又は17において更にランダム化することができた。
そのようなライブラリー内のそのようなランダム化されたモジュールは、ランダム化されたアミノ酸位置を有する追加のポリペプチドループ挿入を含んでもよい。そのようなポリペプチドループ挿入の例は、抗体の補体決定領域(CDR)ループライブラリー又は新規に生成されたペプチドライブラリーである。例えば、そのようなループ挿入は、誘導として、ヒトリボヌクレアーゼL(Tanaka,N.,Nakanishi,M,Kusakabe,Y,Goto,Y.,Kitade,Y,Nakamura,K.T.,EMBO J.23(30),3929-3938,2004)のN末端アンキリン反復ドメインの構造を使用して設計することができる。2個のアンキリン反復の境界近くに存在するベータターンの中に10個のアミノ酸が挿入されているこのアンキリン反復ドメインと同様に、アンキリンリピートタンパク質ライブラリーは、アンキリン反復ドメインの1個以上のベータターンの中に挿入された可変長(例えば、1個~20個のアミノ酸)のランダム化されたループ(固定された位置及びランダム化された位置を有する)を含有することができる。
アンキリンリピートタンパク質ライブラリーのいずれかのそのようなN末端キャッピングモジュールは、好ましくは、RELLKAモチーフ、RILLKAモチーフ、又はRILLAAモチーフを有し(例えば、配列番号16の位置21~26に存在)、アンキリンリピートタンパク質ライブラリーのいずれかのそのようなC末端キャッピングモジュールは、好ましくは、KLNモチーフ、KLAモチーフ、又はKAAモチーフを有する(例えば、配列番号16における最後の3個のアミノ酸に存在)。
そのようなアンキリンリピートタンパク質ライブラリーの設計は、標的と相互作用するアンキリン反復ドメインの既知の構造によって誘導され得る。Protein Data Bank(PDB)の独自の受託コード又は識別コード(PDB-ID)によって識別される、そのような構造の例は、1WDY、3V31、3V30、3V2X、3V2O、3UXG、3TWQ-3TWX、1N11、1S70、及び2ZGDである。
N2C及びN3Cで設計されたアンキリンリピートタンパク質ライブラリーなどの、設計されたアンキリンリピートタンパク質ライブラリーの例が説明されている(米国特許第7,417,130号、Binz et al.2003,loc.cit.;Binz et al.2004,loc.cit.)。N2C及びN3Cの数字は、N末端キャッピングモジュールとC末端キャッピングモジュールの間に存在するランダム化された反復モジュールの数を記載している。
反復単位及びモジュールの内側の位置を定義するために使用される命名法は、Binz et al.2004,loc.cit.に基づいており、アンキリン反復モジュール及びアンキリン反復単位の境界が1つのアミノ酸位置によってシフトされる変更を有する。例えば、Binz et al.2004(loc.cit.)のアンキリン反復モジュールの位置1は、本開示のアンキリン反復モジュールの位置2に対応し、結果として、Binz et al.2004,loc.cit.のアンキリン反復モジュールの位置33は、本開示の以下のアンキリン反復モジュールの位置1に相当する。
全てのDNA配列は、Sanger配列決定によって確認された。
実施例1:HBVc18ペプチド-MHC複合体(HBVc18pMHC)に対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含む結合タンパク質の選択
概要
リボソームディスプレイ(Hanes,J.and Pluckthun,A.,PNAS 94,4937-42,1997)を用いて、HBVc18ペプチド-MHC複合体(HBVc18pMHC)に対して結合特異性を有する複数のアンキリン反復ドメインを、Binz et al.2004(loc.cit.)によって説明されているものと同様の方法で、DARPin(登録商標)ライブラリーから選択し、具体的な条件及び追加の選択解除ステップは以下に説明するとおりであった。組換えHBVc18pMHC及び他のpMHC複合体に対する選択されたクローンの結合及び特異性を、大腸菌の粗抽出物の均一時間分解蛍光(HTRF)によって評価し、複数のHBVc18pMHC特異的結合タンパク質が正常に選択されたことを示した。例えば、配列番号16~26のアンキリン反復ドメインは、HBVc18pMHCに対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含む、選択された結合タンパク質のアミノ酸配列を構成する。HBVc18pMHCに対して結合特異性を有するそのようなアンキリン反復ドメインからの個々のアンキリン反復モジュールは、例えば、配列番号27~50に提供されている。
標的及び選択材料としてのビオチン化pMHC複合体の生産
HLA-A*0201のビオチン化した3成分複合体(配列番号69)、ヒトベータ2-ミクログロブリン(hβ2m、配列番号70)及び表1に列挙したペプチドのうちの1つを、確立されたプロトコル(Garboczi et al,1992、Celie et al,2009)によって生産した。
Figure 2023506763000002
HBVc18ペプチドに対して相同性を有するアミノ酸には下線が付されている。
実験で使用される全てのpMHC複合体は、事前の品質管理試験を受けた。
リボソームディスプレイによるHBVc18pMHC特異的アンキリンリピートタンパク質の選択
pMHC特異的アンキリンリピートタンパク質の選択を、標的としてのHBVc18pMHC複合体、先に説明したようなアンキリンリピートタンパク質のライブラリー、及び確立されたプロトコルを用いるリボソームディスプレイ(Hanes and Pluckthun,loc.cit.)によって行った(例えば、Zahnd、C.,Amstutz,P.and Pluckthun,A.,Nat.Methods 4,69-79,2007を参照されたい)。各選択回の後の逆転写(RT)-PCRサイクルの数を、結合剤の濃縮により、収率に合わせて調整して、一定に減少させた。最初の4回又は5回の選択は、標準的なリボソームディスプレイ選択を採用し、標的濃度を低下させ、洗浄ストリンジェンシーを上昇させて、第1の回から第4の回への選択圧力を上昇させた(Binz et al.2004,loc.cit.)。以下に説明するように、異常な選択解除ステップを選択戦略へと組み込んだ。
リボソームディスプレイの回の間、選択解除(又は負の選択)ステップが組み込まれ、この中で、三元複合体を、別のペプチドを含有する対応するアイソタイプHLA分子とともにプレインキュベートし、次いで、共通のHLA-A足場から離れて、ペプチドを埋め込まれたエピトープへとアンキリンリピートタンパク質を結合させるよう特定するために、標的HBVc18pMHC複合体へと移した。言い換えれば、埋め込まれたペプチド組み込みペプチドによって提供される特異的エピトープではなく、pMHC複合体の共通のHLA-A足場に主に結合するアンキリンリピートタンパク質を選択解除するために、選択解除(又は負の選択)を行った。更に、選択解除に使用される埋め込まれたペプチドによって提供されるエピトープと交差反応するアンキリンリピートタンパク質もまた、選択解除した。ここで、ペプチドHBe183(FLLTRILTI)、HBe183mut(FLLRILTI)、EBNA-1(FMVFLQTHI)及びNY-ESO-1(SLLMWITQV)を選択解除に使用した。
詳細には、Nunc MaxiSorpプレートを、PBS中66nMニュートラビジンの100μl溶液でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。翌日、MaxiSorp96ウェルマイクロプレートを、1ウェルあたり300μlのPBSTで3回洗浄し、300μlのPBST-BSAで4℃で1時間ブロッキングし、選択解除ステップの前に700rpmで回転させた。ウェルを空にした後、PBST-BSA中の50nMのビオチン化pMHC選択解除標的溶液100μlを各ウェルに入れ、4℃、700rpmで1時間回転させた。このインキュベーションステップ中、mRNAインビトロ翻訳を行った。翻訳及び三元複合体混合物の生成直後に、pMHC-PBST-BSA溶液を廃棄し、Nunc MaxiSorpマイクロプレートウェルを300μlのPBSTで3回洗浄し、最後にWBT-BSAとともにインキュベートした。実際の選択解除ステップについては、WBT-BSA溶液を廃棄し、100μlの一定分量(2~5の選択回向け、第1の選択回についてはそれぞれ150μl)の翻訳三元複合体をその後、固定された選択解除pMHC標的を含有する調製したNunc MaxiSorpウェルへ3回移し、3つのウェルの各々において4℃で20分間インキュベートした。選択解除プロセスの終了時に、各選択プールの100μlの三元複合体の一定分量を再度合わせ、一致している体積を、実際の標的の選択へと進めた。
4回目及び5回目のリボソームディスプレイ選択回の後、このプールをBamHI及びPstIで細菌発現ベクターへとクローン化し、大腸菌XL-1ブルーに形質転換し、LB/Glu/Amp寒天プレート上に播種した。
選択されたクローンは、粗抽出物HTRFによって決定されるHBVc18pMHC複合体に特異的に結合する(データ非表示)。
更に、タンパク質を従来のクロマトグラフィー法で精製した。
実施例2:表面プラズモン共鳴(SPR)分析によるHBVc18pMHCに対して結合特異性を有するアンキリンリピートタンパク質の解離定数(KD)の決定
免疫細胞エンゲージャー形式で機能しかつ、当該フォーマットでHBVc18pMHCに結合する、HBVc18pMHCに対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインの能力を試験するために、選択されたアンキリン反復ドメインを、従来のクローン化法を使用して、免疫細胞の表面上に発現するタンパク質に対して結合特異性を有する結合因子へ遺伝的に連関させた。この手順によって、HBVc18pMHCに対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含みかつ、CD3に対して結合特異性を有する結合因子を更に含む結合タンパク質を生成した。これらのタンパク質を従来のクロマトグラフィー法で精製した。
HBVc18pMHC標的上の精製されたアンキリンリピートタンパク質の結合親和性を、ProteOn表面プラズモン共鳴(SPR)機(BioRad)を用いて分析し、当業者に公知の標準的な手順に従って測定を行った。
簡単に説明すると、ビオチン化HBVc18pMHCを、PBST(PBS、pH7.4、0.005% Tween 20(登録商標)含有)中に希釈し、NLCチップ(BioRad)上に、約1000共鳴単位(RU)のレベルまで被覆した。次いで、アンキリンリピートタンパク質とpMHC複合体との相互作用を、マルチトレースSPR測定については1.2nM~100nM、2.5nM~200nM、又は6.2nM~500nMの濃度範囲を網羅する連続希釈のアンキリンリピートタンパク質を含有する150μLの泳動用緩衝液(0.005% Tween 20(登録商標)を含有するPBS、pH7.4)を注入すること(オンレート測定)、続いて100μL/分の一定流量で少なくとも60分間、泳動用緩衝液流を注入すること(オフレート測定)によって測定した。標的再生は行わなかった。スポット間のシグナル(すなわち、共鳴単位(RU)値)を、アンキリンリピートタンパク質の注入後に得られたRUトレースから減算した。オンレート測定及びオフレート測定から得られたSPRトレースに基づいて、対応するアンキリンリピートタンパク質の、pMHC複合体に対するオンレート及びオフレートを決定した。
代表的な例として、図1A~図1Jは、DARPin(登録商標)タンパク質#16~#18及び#20~#26のHBVc18pMHCへの結合についてそれぞれ得られたSPRトレースを示す。
解離定数(KD)を、当業者に既知の標準的な手順を用いて、推定されたオンレート及びオフレートから算出した。HBVc18pMHCによる選択されたアンキリンリピートタンパク質の結合相互作用のKD値を、低ナノモル濃度範囲以下にあると決定した。これらの選択されたアンキリンリピートタンパク質のいずれも、対照ペプチドとの測定可能な結合相互作用を示さなかった。表2は、いくつかの選択されたアンキリンリピートタンパク質のKD値を例として提供している。
Figure 2023506763000003
これらの実験データは、特異的pMHC複合体に対して高い結合親和性及び特異性を有する設計されたアンキリンリピートタンパク質、すなわちHBVc18pMHC複合体が、実施例1に説明されるように、スクリーニング及び選択手順を使用して生成されたことを実証している。
実施例3:パルス処理T2細胞を使用して、HBVc18pMHCに対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含むタンパク質を結合することによるT細胞の活性化
免疫細胞エンゲージャー形式で機能するHBVc18pMHCに対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインの能力を試験するために、選択されたアンキリン反復ドメインを、従来のクローン化法を使用して、免疫細胞の表面上に発現するタンパク質に対して結合特異性を有する結合因子へ遺伝的に連関させた。この手順によって、HBVc18pMHCに対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含みかつ、CD3に対して結合特異性を有する結合因子を更に含む結合タンパク質を生成した。
HBVc18pMHC表示標的細胞への結合時にT細胞を活性化する、T細胞エンゲージャー(TCE)形式のHBVc18pMHC特異的アンキリン反復ドメインの能力を、T細胞活性化アッセイで分析した。
HBVc18ペプチドでパルス処理したT2細胞を、HBVc18pMHC表示標的細胞として使用した。エフェクター細胞は、BK112 T細胞であったが、これは健康なドナーから増殖したモノクローナルCD8+T細胞である(Levitsky et al.,J.Immunol.161:594-601(1998))。T細胞活性化アッセイについて、T2細胞を10μMのペプチドとともに37℃で一晩パルス処理した。エフェクターBK112 T細胞を、異なる濃度(例えば、1pM)のTCE DARPin(登録商標)タンパク質の存在下で、1:5のエフェクター対標的細胞比で添加し、37℃で4~5時間インキュベートした。次いで、CD8+T細胞における細胞内IFN-γを、T細胞活性化の手段として蛍光活性化細胞選別(FACS)によって決定した。FACSに使用される試薬は、BD Biosciences製のAPCマウス抗ヒトIFN-γ及びPacific Blue(商標)マウス抗ヒトCD8を含んでいた。
図2A~図2Jは、このT細胞活性化アッセイにおいて、TCE形式(1pM、100pM及び10’000pM)で異なるHBVc18pMHC特異的アンキリン反復ドメインのパネルを試験した結果を示す。TCE形式のHBVc18pMHC特異的アンキリン反復ドメインは(図2の図面番号に対応しており)、(A)TCE DARPin(登録商標)タンパク質#16、(B)TCE DARPin(登録商標)タンパク質#17、(C)TCE DARPin(登録商標)タンパク質#18、(D)TCE DARPin(登録商標)タンパク質#20、(E)TCE DARPin(登録商標)タンパク質#21、(F)TCE DARPin(登録商標)タンパク質#22、(G)TCE DARPin(登録商標)タンパク質#23、(H)TCE DARPin(登録商標)タンパク質#24、(I)TCE DARPin(登録商標)タンパク質#25、及び(J)TCE DARPin(登録商標)タンパク質#26であった。対照として、本実験はまた、非パルス処理T2細胞及びT細胞のみ(HLA-A*02+)を用いても実施した。4時間のインキュベーション後、T細胞における細胞内IFN-γをFACSによって決定した。
10個のTCE DARPin(登録商標)タンパク質は全て、パルス処理T2細胞において標的ペプチド-MHC複合体の存在下でT細胞活性化に特異的に介在したが、非パルス処理T2細胞では又はT細胞のみの存在下では、標的ペプチド-MHC複合体の非存在下で介在しなかった(又ははるかに少なかった)。TCE形式のこれらのHBVc18pMHC特異的アンキリン反復ドメインの全ては、非パルス処理T2細胞と比較して、パルス処理T2細胞の存在下で、エフェクターT細胞の少なくとも100倍高い活性化を達成した。したがって、TCE形式のこれらのHBVc18pMHC特異的アンキリン反復ドメインの全ては、HBVc18pMHC表示標的細胞の存在に依存するエフェクターT細胞を特異的に活性化することができた。
実施例4:アラニン走査突然変異誘発によって分析される、HBVc18pMHCに対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含む結合タンパク質による標的ペプチド結合の特異性
HBVc18pMHCに対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインとHBVc18pMHC標的の間の特異的相互作用を分析するために、アラニン走査突然変異誘発を行った。この目的のために、HBVc18(HBVコア抗原タンパク質18-27)(配列番号51)ペプチド及び、各々においてHBVc18ペプチドの1個のアミノ酸をアラニンで置き換えた当該ペプチドの一連の変異体を、T細胞活性化アッセイにおいて試験した。本アッセイは、本質的に実施例3に説明したように、パルス処理T2細胞を標的細胞として、BK112T細胞をエフェクター細胞として用いた。HBVc18ペプチドにおけるアミノ酸残基がHBVc18pMHCに対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインと、HBVc18pMHC標的の間の結合相互作用にとって重要である場合、このアミノ酸残基がアラニンと置き換えられていれば、T細胞活性化が低減したり又はなかったりすることが観察される。
アラニン突然変異ペプチドは、Genscriptから入手し、以下の配列を有した。ALPSDFFPSV(配列番号61、位置1におけるF→A)、FLASDFFPSV(配列番号62、位置3におけるP→A)、FLPADFFPSV(配列番号63、位置4におけるS→A)、FLPSAFFPSV(配列番号64、位置5におけるD→A)、FLPSDAFPSV(配列番号65、位置6におけるF→A)、FLPSDFAPSV(配列番号66、位置7におけるF→A)、FLPSDFFASV(配列番号67、位置8におけるP→A)、及びFLPSDFFPAV(配列番号68、位置9におけるS→A)。T2細胞をHBVc18ペプチド及び突然変異したペプチド(10μM)の各々でパルス処理した。パルス処理T2細胞を、TCE DARPin(登録商標)タンパク質の存在下で、1:5のエフェクター対標的細胞比で、エフェクターBK112T細胞とともにインキュベートした。
アラニン走査突然変異誘発分析は、どのペプチド残基がTCE DARPin(登録商標)タンパク質とHBVc18pMHC標的の間の結合相互作用にとって重要であるかを示した(図3A~図3J)。これらのデータは、各場合において、この結合相互作用にとって少なくとも2個のペプチド残基が重要であったので、アラニンに突然変異したときのHBVc18ペプチドと比較して、T細胞活性化の少なくとも50%の低下を引き起こしたことを実証している。驚くべきことに、いくつかの場合において、少なくとも4個のペプチド残基との相互作用が、アンキリン反復ドメインの標的ペプチド-MHC複合体への結合にとって重要であり、すなわち、そのアラニンへの突然変異は、野生型ペプチドと比較してT細胞活性化を少なくとも50%の低減をもたらした。一例として、DARPin(登録商標)タンパク質#23について、HBVc18標的ペプチドの少なくとも位置5、6、7、及び8は、T細胞活性化につながる機能的結合相互作用にとって重要であった(図3G)。別の例として、DARPin(登録商標)タンパク質#21について、HBVc18標的ペプチドの少なくとも位置5、6、7、及び8は、T細胞活性化につながる機能的結合相互作用にとって重要であった(図3E)。別の例として、DARPin(登録商標)タンパク質#22について、HBVc18標的ペプチドの少なくとも位置3、6、7、及び8は、T細胞活性化につながる機能的結合相互作用にとって重要であった(図3F)。
結論として、これらのデータは、HBVc18pMHCに対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含む結合タンパク質とHBVc18標的ペプチドの間の特異的相互作用にとって驚くほど多数のペプチド残基が重要であることを示す。このことは、設計されたアンキリン反復ドメインによって形成される結合表面と、抗体及びT細胞受容体(TCR)などの他の結合タンパク質によって形成される結合表面の間の構造的な違いを反映し得る。
実施例5:NYESOpMHCに対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含むタンパク質を結合することによる免疫細胞の活性化に対するリンカー長の影響
T細胞エンゲージャー(TCE)形式での本発明の結合タンパク質における、TCE形式におけるそのような結合タンパク質の力価に対するpMHC特異的結合ドメインとCD3特異的結合因子の間のリンカー長の長さの影響を試験するために、様々な長さのリンカーでCD3結合ドメインに接続されたNYESOpMHC結合ドメインを含む異なる構築物を、異なる腫瘍細胞株を用いたT細胞活性化アッセイにおいて試験した。
リンカー長設計及び略語
TCE形式における以下の結合タンパク質を、DARPin(登録商標)タンパク質#78(配列番号78)又はDARPin(登録商標)タンパク質#79(配列番号79)をNYESOpMHC特異的結合ドメインとして含んで、生成した。
Figure 2023506763000004
Figure 2023506763000005
T細胞活性化アッセイにおけるTCE形式での結合タンパク質の力価及び特異性
異なるリンカーで生成されたTCE形式における結合タンパク質の力価及び特異性を、T細胞活性化アッセイにおいて異なる腫瘍細胞株を使用して試験した。腫瘍細胞株(IM9及びU266B1)のいくつかは、NY-ESO-1を内在的に発現し、それらの細胞表面上のpMHC複合体においてNY-ESO-1標的ペプチドを提示する。他の腫瘍細胞株(MCF7及びColo205)は、NY-ESO-1を発現せず、この故に、それらの細胞表面上のpMHC複合体中にNY-ESO-1標的ペプチドを提示しない。
T細胞活性化アッセイは、当該技術分野で公知の方法によって実施した。簡潔には、標的腫瘍細胞及びエフェクターPBMCを、5:1のエフェクター対標的細胞比で組み合わせ、TCE形式のNYESOpMHC特異的アンキリン反復ドメインを異なる濃度で添加し(表3の構築物を参照されたい)、この混合物を37℃で48時間インキュベートした。CD8+T細胞における活性化マーカーCD25のレベルを、FACS(CD25モノクローナル抗体(BC96)、PerCP-シアニン5.5,eBioscience(商標)、及びBD Biosciences製のAlexa Fluor(登録商標)488マウス抗ヒトCD8を使用)によって決定した。免疫細胞の活性化を、HLA-A2及びNY-ESO-1を内在的に発現し、その表面上にNYESOpMHCを示す腫瘍細胞株(IM9)と、HLA-A2を発現するがNY-ESO-1を発現せず、その表面上にNYESOpMHCを示さない腫瘍細胞株(MCF-7)とを用いて比較した。ドナーから単離されたPBMCをエフェクター細胞として使用した。同様のT細胞活性化アッセイはまた、HLA-A2及びNY-ESO-1を内在的に発現し、かつNYESOpMHCをその表面上に示す別の腫瘍細胞株(U266B1)と、HLA-A2を発現するがNY-ESO-1を発現せず、かつNYESOpMHCをその表面に示さない別の腫瘍細胞株(Colo205)とを用いて行った。対照として、エフェクターPBMCを同じように処理したが、例外は、標的細胞を添加しなかったことであった。
結合タンパク質の存在下で得られたT細胞活性化のレベルを、図4~図7に示す。リンカー長が短くなると、力価の増強が観察された。最も高い力価は、最短のリンカー(XXS)で設計された構築物について観察され、2番目に最短のリンカー(XS)で設計された構築物の力価も、より長いリンカーで設計された構築物と比較して強く増強された。試験した細胞株のいずれについても、非特異的活性化のレベルの上昇は観察されなかった。
図4に示すデータから得られたEC50値を以下の表5に列挙する。
Figure 2023506763000006
図5に示すデータから得られたEC50値を以下の表6に列挙する。
Figure 2023506763000007
図6に示すデータから得られたEC50値を以下の表7に列挙する。
Figure 2023506763000008
図7に示すデータから得られたEC50値を以下の表8に列挙する。
Figure 2023506763000009
本データから、TCE形式におけるpMHC特異的結合ドメインについて、好ましくは、Lリンカーと少なくとも同じように短い、より好ましくは、少なくとも標準リンカーと同じように短い、より好ましくは、少なくともSリンカーと同じように短い、より好ましくは、少なくともXSリンカーと同じように短い、より好ましくは、少なくともXXSリンカーと同じように短い、最も好ましくは、XXSリンカーと同じように短いリンカーが使用されると結論付けることができる。この実施例で提供される特定のリンカーは、好ましい長さを有するそのようなリンカーの例である。
HBVc18pMHCと、本発明のTCE形式(TCE結合タンパク質)におけるHBVc18pMHC特異的アンキリン反復ドメインとを用いて実施した同様の実験では、リンカー長の同様の効果が観察される。

Claims (67)

  1. ペプチド-MHC(pMHC)特異的結合タンパク質を生産する方法であって、前記結合タンパク質が、標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する設計された反復ドメインを含む、方法であって、
    (a)設計された反復ドメインの集合体を提供するステップと、
    (b)組換え標的ペプチド-MHC複合体を提供するステップと、
    (c)前記標的ペプチド-MHC複合体に対する特異的結合について前記設計された反復ドメインの集合体をスクリーニングして、前記標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する少なくとも1個の設計された反復ドメインを得るステップと、を含む、方法。
  2. 前記設計された反復ドメインが、設計されたアンキリン反復ドメインである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記集合体が、固定された位置とランダム化された位置とを含む設計された反復ドメインを含み、前記集合体の設計された反復ドメインが、前記ランダム化された位置のうちの少なくとも1つにおいて互いに異なる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記設計されたリピートタンパク質の集合体が、リボソームディスプレイによって提供される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記方法が更に、(i)第2の組換えペプチド-MHC複合体を提供するステップであって、前記第2のペプチド-MHC複合体の前記ペプチドが、少なくとも1つのアミノ酸残基だけ前記標的ペプチドとは異なるアミノ酸配列を含む、提供するステップと、(ii)前記第2の組換えペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する負の選択設計反復ドメインによって前記集合体から除去するステップと、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する前記反復ドメインが、PBS中の前記標的ペプチド-MHC複合体に、10-7Mを下回る解離定数(KD)で結合する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する前記反復ドメインの前記標的ペプチド-MHC複合体への結合が、前記標的ペプチドの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、又は少なくとも7個のアミノ酸残基との前記反復ドメインの相互作用を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する前記反復ドメインの、前記標的ペプチド-MHC複合体への結合が、前記反復ドメインと前記MHCの少なくとも1つのアミノ酸残基との相互作用を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記標的ペプチドが、ウイルス感染因子のタンパク質、好ましくはウイルス特異的タンパク質に由来する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記MHCが、MHCクラスIである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる設計された反復ドメインを含む、組換え結合タンパク質。
  12. 第1の設計された反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、前記第1の反復ドメインが、第1の標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有し、好ましくは、前記第1の標的ペプチドが、(i)腫瘍細胞において発現するタンパク質に由来するペプチド、(ii)感染因子、好ましくはウイルス感染因子のタンパク質に由来するペプチド、及び(iii)自己免疫障害と関係するタンパク質に由来するペプチドからなる群から選択される、組換え結合タンパク質。
  13. 前記第1の標的ペプチドが、ウイルス感染因子のタンパク質、好ましくはウイルス特異的タンパク質に由来する、請求項12に記載の結合タンパク質。
  14. 前記第1の反復ドメインが、PBS中の前記第1の標的ペプチド-MHC複合体に、10-7Mを下回る解離定数(KD)で結合する、請求項12又は13に記載の結合タンパク質。
  15. 前記第1の標的ペプチド-MHC複合体への前記第1の反復ドメインの結合が、前記第1の標的ペプチドの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、又は少なくとも7個のアミノ酸残基との前記第1の反復ドメインの相互作用を含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  16. 前記第1の標的ペプチド-MHC複合体への前記第1の反復ドメインの結合が、前記第1の反復ドメインと前記第1のMHCの少なくとも1個のアミノ酸残基との相互作用を含む、請求項12~15のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  17. 前記第1のMHCが、MHCクラスIである、請求項12~16のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  18. 前記MHCクラスIが、HLA-A*02である、請求項17に記載の結合タンパク質。
  19. 前記第1の標的ペプチドが、HBVコア抗原(HBcAg)に由来する、請求項12~18のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  20. 前記第1の標的ペプチドが、配列番号51のアミノ酸配列を有する、請求項12~19のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  21. 前記第1の反復ドメインが、設計されたアンキリン反復ドメインである、請求項12~20のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  22. 前記第1のアンキリン反復ドメインが、(1)配列番号27~50及び(2)配列番号27~50のうちのいずれかにおける9個までのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むアンキリン反復モジュールを含む、請求項21に記載の結合タンパク質。
  23. 前記第1のアンキリン反復ドメインが、配列番号16~26のうちのいずれか1つと少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号16~26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号16~26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号16~26の最後の位置のAは、場合によりNによって置換されている、請求項21又は22に記載の結合タンパク質。
  24. 前記結合タンパク質が更に、第2の設計された反復ドメインを含み、前記第2の反復ドメインが、第2の標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有し、好ましくは前記第2の標的ペプチドが、(i)腫瘍細胞において発現するタンパク質に由来するペプチド、(ii)感染因子、好ましくはウイルス感染因子のタンパク質に由来するペプチド、及び(iii)自己免疫障害と関係するタンパク質に由来するペプチドからなる群から選択される、請求項11~23のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  25. 前記第2の標的ペプチドが、ウイルス感染因子のタンパク質、好ましくはウイルス特異的タンパク質に由来する、請求項24に記載の結合タンパク質。
  26. 第2の標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する前記第2の反復ドメインが、PBS中の前記第2の標的ペプチド-MHC複合体に、10-7Mを下回る解離定数(KD)で結合する、請求項24又は25に記載の結合タンパク質。
  27. 前記第2の標的ペプチド-MHC複合体への前記第2の反復ドメインの結合が、前記第2の標的ペプチドの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、又は少なくとも7個のアミノ酸残基との前記第2の反復ドメインの相互作用を含む、請求項24~26のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  28. 前記第2の標的ペプチド-MHC複合体への前記第2の反復ドメインの結合が、前記第2の反復ドメインと前記第2のMHCの少なくとも1個のアミノ酸残基との相互作用を含む、請求項24~27のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  29. 前記第2のMHCが、MHCクラスIである、請求項24~28のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  30. 前記第2の標的ペプチドが、前記第1の標的ペプチドと同じタンパク質に由来する、請求項24~29のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  31. 前記第2の標的ペプチドが、前記第1の標的ペプチドと同じアミノ酸配列を有する、請求項24~30のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  32. 前記第2の反復ドメインが、前記第1の反復ドメインと同じアミノ酸配列を有する、請求項24~31のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  33. 前記第2の反復ドメインが、前記第1の反復ドメインと比較して異なるアミノ酸配列を有する、請求項24~31のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  34. 前記第2の標的ペプチドが、前記第1の標的ペプチドと比較して異なるアミノ酸配列を有する、請求項24~30のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  35. 前記第2の標的ペプチドが、前記第1の標的ペプチドが由来するタンパク質とは異なるタンパク質に由来する、請求項24~29のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  36. 前記第2のMHCが、HLA-A*02である、請求項24~35のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  37. 前記第2のMHCが、HLA-A*02ではない、請求項24~35のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  38. 前記第2の反復ドメインが、設計されたアンキリン反復ドメインである、請求項24~37のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  39. 前記第2のアンキリン反復ドメインが、(1)配列番号27~50及び(2)配列番号27~50のうちのいずれかにおける9個までのアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むアンキリン反復モジュールを含む、請求項38に記載の結合タンパク質。
  40. 前記第2のアンキリン反復ドメインが、配列番号16~26のうちのいずれか1つと少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号16~26の位置1のG及び/又は位置2のSが場合により失われており、かつ配列番号16~26の最後から2番目の位置のAは、場合によりLによって置換されており、及び/又は配列番号16~26の最後の位置のAは、場合によりNによって置換されている、請求項38又は39に記載の結合タンパク質。
  41. 前記結合タンパク質が更に、免疫細胞の表面上に発現するタンパク質に対する結合特異性を有する結合因子を含む、請求項11~40のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  42. 前記免疫細胞がT細胞である、請求項41に記載の結合タンパク質。
  43. 前記T細胞が、CD8+細胞障害性T細胞である、請求項42に記載の結合タンパク質。
  44. 前記免疫細胞の表面上に発現するタンパク質が、前記T細胞受容体複合体の一部であるタンパク質である、請求項41~43のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  45. 前記T細胞受容体複合体の一部である前記タンパク質が、分化クラスター3(CD3)である、請求項44に記載の結合タンパク質。
  46. 前記結合因子が、抗体、抗体模倣物、足場タンパク質、リピートタンパク質、又は設計された反復ドメインである、請求項41~45のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  47. 前記結合因子が、設計されたアンキリン反復ドメインである、請求項41~46のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  48. 前記結合因子が、前記第1の反復ドメイン及び/又は、存在する場合、前記第2の反復ドメインにペプチドリンカーを用いて共有結合している、請求項41~47のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  49. 前記ペプチドリンカーが、高プロリン-トレオニンペプチドリンカーである、請求項48に記載の結合タンパク質。
  50. 前記ペプチドリンカーのアミノ酸配列が、1~17個のアミノ酸の長さを有する、請求項48又は49に記載の結合タンパク質。
  51. 前記結合タンパク質が、前記第1の標的ペプチド-MHC複合体の認識を阻害することができ、かつ/又は前記結合タンパク質が前記第2の反復ドメインを含む場合、T細胞受容体による前記第2の標的ペプチド-MHC複合体の認識を阻害することができる、請求項11~50のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
  52. 請求項11~51のいずれか一項に定義されるような、第1若しくは第2の標的ペプチド-MHC複合体に対する結合特異性を有する前記設計された反復ドメイン、をコードする、又は請求項11~51のいずれか一項に記載の結合タンパク質をコードする、核酸。
  53. 請求項11~51のいずれか一項に記載の結合タンパク質又は請求項52に記載の核酸と、医薬として許容され得る担体及び/又は希釈剤と、を含む、医薬組成物。
  54. 哺乳動物、好ましくはヒトにおけるT細胞の感染症限局性活性化の方法であって、前記哺乳動物に、請求項11~50のいずれか一項に記載の結合タンパク質又は請求項52に記載の核酸を投与するステップを含む方法であって、前記第1の標的ペプチド及び/又は、前記結合タンパク質が前記第2の反復ドメインを含む場合、前記第2の標的ペプチドが、感染因子のタンパク質に由来する、方法。
  55. 前記第1の標的ペプチド及び/又は、前記結合タンパク質が前記第2の反復ドメインを含む場合、前記第2の標的ペプチドが、感染因子のタンパク質に由来する、哺乳動物、好ましくはヒトにおけるT細胞の感染症限局性活性化の方法における使用のための、請求項11~50のいずれか一項に記載の結合タンパク質又は請求項52に記載の核酸。
  56. 医学的状態を処置する方法であって、医学的状態を処置することを必要とする患者に、治療有効量の請求項11~51のいずれか一項に記載の結合タンパク質、請求項52に記載の核酸、又は請求項53に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
  57. 医学的状態を処置する方法における使用のための、請求項11~51のいずれか一項に記載の結合タンパク質、請求項52に記載の核酸、又は請求項53に記載の医薬組成物。
  58. 哺乳動物、好ましくはヒトにおける医学的状態を診断する方法であって、
    (i)前記哺乳動物から得られた細胞試料又は組織試料を請求項11~51のいずれか一項に記載の結合タンパク質と接触させるステップと、
    (ii)前記細胞試料又は組織試料への前記結合タンパク質の特異的結合を検出するステップと、を含む、方法。
  59. 前記医学的状態が、癌、感染症、好ましくはウイルス感染症、又は自己免疫疾患である、請求項56若しくは58に記載の方法、又は請求項57に記載の使用のための結合タンパク質。
  60. 前記医学的状態が癌である、請求項56若しくは58に記載の方法、又は請求項57に記載の使用のための結合タンパク質。
  61. 前記医学的状態が、感染症、好ましくはウイルス感染症である、請求項56若しくは58に記載の方法、又は請求項57に記載の使用のための結合タンパク質。
  62. 前記医学的状態が自己免疫疾患である、請求項56若しくは58に記載の方法、又は請求項57に記載の使用のための結合タンパク質。
  63. 感染細胞の破壊のために、ウイルス感染症に罹患している患者における感染細胞を標的とする方法であって、前記患者に治療有効量の請求項11~51のいずれか一項に記載の結合タンパク質、請求項52に記載の核酸、又は請求項53に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法であって、前記第1の標的ペプチド及び/又は、前記結合タンパク質が前記第2の反復ドメインを含む場合、前記第2の標的ペプチドが、前記感染細胞において発現するタンパク質、好ましくはウイルス特異的タンパク質に由来する、方法。
  64. 前記結合タンパク質が更に、感染細胞を殺滅することができる毒性因子を含む、請求項63に記載の感染細胞を標的とする方法。
  65. 前記第1の標的ペプチド及び/又は、前記結合タンパク質が前記第2の反復ドメインを含む場合、前記第2の標的ペプチドが、感染細胞において発現するタンパク質、好ましくは前記感染細胞において発現するウイルス特異的タンパク質に由来する、前記感染細胞の破壊のために、ウイルス感染症に罹患している患者において前記感染細胞を標的とする方法において使用するための、請求項11~51のいずれか一項に記載の結合タンパク質、請求項52に記載の核酸、又は請求項53に記載の医薬組成物。
  66. 前記結合タンパク質が更に、感染細胞を殺滅することができる毒性因子を含む、請求項65に記載の使用のための結合タンパク質、核酸、又は医薬組成物。
  67. 前記医学的状態が、B型肝炎ウイルスによって引き起こされるウイルス感染症である、請求項56、58~60、62及び63のいずれか一項に記載の方法、又は請求項57、65及び66のいずれか一項に記載の結合タンパク質、核酸若しくは医薬組成物。
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