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JP2023112282A - メルトブロー不織布、および、それを用いた積層不織布 - Google Patents

メルトブロー不織布、および、それを用いた積層不織布 Download PDF

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JP2023112282A
JP2023112282A JP2022013959A JP2022013959A JP2023112282A JP 2023112282 A JP2023112282 A JP 2023112282A JP 2022013959 A JP2022013959 A JP 2022013959A JP 2022013959 A JP2022013959 A JP 2022013959A JP 2023112282 A JP2023112282 A JP 2023112282A
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polypropylene
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melt
resin
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崇弘 山中
Takahiro Yamanaka
現 小出
Gen Koide
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】 低い圧力損失と高い捕集性能を両立したメルトブロー不織布、およびそれを用いた積層不織布を提供すること。【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂からなる繊維で構成されてなるメルトブロー不織布であって、前記繊維を構成するポリプロピレン系樹脂の分岐指数gが0.950以上0.990以下である、メルトブロー不織布。【選択図】 なし

Description

本発明は、フィルター用途や、マスク、防護服等の液体、固体バリア性を必要とする用途に好適に用いることができるメルトブロー不織布、および、それを用いた積層不織布に関する。
メルトブロー不織布は、緻密な構造から、エアフィルター等のフィルター用途や、マスク、防護服といった液体や固体のバリア性が必要な用途に多く用いられる。特にエアフィルター用途では、さらなるフィルターの高性能化が求められており、圧力損失を低くすることと捕集性能をより高くすることが重要となっている。
このエアフィルター用途のメルトブロー不織布には、従来、いくつかの提案がなされており、例えば、特許文献1では、チーグラー・ナッタ触媒を用いて作製したプロピレンホモポリマーと、高分子核剤とを含むポリプロピレン組成物であって、特定のメルトフローレートを有し、融解温度と結晶化温度との差を特定の範囲とした該ポリプロピレン組成物をメルトブロー繊維に用いることが記載されている。
また、特許文献2では、特定の平均繊維径の熱可塑性樹脂からなり、特定の範囲の嵩密度、目付、通気度であるメルトブロー不織布が記載されている。
特表2017-521522号公報 国際公開第2014/030730号
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示された方法では、特定のポリプロピレン樹脂に結晶核剤を含むことで、紡糸直後のポリプロピレンの結晶化速度を速くしていることから、メルトブロー不織布の繊維径は細くなりにくくなってしまう。そのため、メルトブロー不織布の緻密さが重要な捕集性能の向上が難しくなるという課題がある。
そこで本発明の目的は、上記の課題に鑑み、圧力損失が低いことと、捕集性能が高いこととを両立したメルトブロー不織布、および、それを用いた積層不織布を提供することにある。
本発明者らは、前記の目的を達成するべく鋭意検討を重ねた結果、メルトブロー不織布を構成する繊維のポリプロピレン樹脂について、分岐指数gを特定の範囲とすることによって軟化温度を低下させて紡糸時の繊維の細化挙動を助長し、繊維径を細くできることで、低圧力損失を維持しながら捕集性能の高いメルトブロー不織布を得られるという知見を得た。
本発明は、これら知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
本発明のメルトブロー不織布は、ポリプロピレン系樹脂からなる繊維で構成されてなるメルトブロー不織布であって、前記の繊維を構成するポリプロピレン系樹脂の分岐指数gが0.950以上0.990以下である。
本発明のメルトブロー不織布の好ましい態様によれば、前記の繊維を構成するポリプロピレン系樹脂のメソペンタッド分率(mmmm)が0.950以上0.995以下である。
また、本発明の積層不織布は、前記のメルトブロー不織布を少なくとも1層含む積層不織布であって、前記のメルトブロー不織布の他に、スパンボンド不織布を少なくとも1層含む。
本発明のメルトブロー不織布、および、それを用いてなる積層不織布は、圧力損失が低く、かつ、捕集性能も高いものであるため、フィルター用途のみならず、マスクや防護服などの液体、固体へのバリア性を必要とする用途に好適に使用することができる。
図1は、本発明のメルトブロー不織布、積層不織布の捕集性能の評価に係る、捕集効率測定装置の構成を説明する、概念図である。
本発明のメルトブロー不織布は、ポリプロピレン系樹脂からなる繊維で構成されてなるメルトブロー不織布であって、前記繊維を構成するポリプロピレン系樹脂の分岐指数gが0.950以上0.990以下である。
以下に、これら本発明の構成要素について詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する範囲に何ら限定されるものではない。
[ポリプロピレン系樹脂]
本発明のメルトブロー不織布は、ポリプロピレン系樹脂を主成分としてなる繊維で構成されてなる。ポリプロピレン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂などの他のポリオレフィン系樹脂と比較して紡糸性や強度特性に優れることから好適である。また、本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体もしくはプロピレンと各種α-オレフィンとの共重合体などが挙げられる。
本発明に係る繊維を構成するポリプロピレン系樹脂について、プロピレンの単独重合体の割合が60質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上である。このようにすることで良好な紡糸性を維持し、かつ、強度を向上させることができる。
このポリプロピレン系樹脂としては、2種以上の混合物であってもよく、またポリエチレン、ポリ-4-メチル-1-ペンテンなどのその他のオレフィン系樹脂や熱可塑性エラストマー等を含有する樹脂組成物を用いることもできる。
また、このポリプロピレン系樹脂の融点は、80℃以上200℃以下であることが好ましい。融点を好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは120℃以上とすることにより、実用に耐え得る耐熱性が得られやすくなる。また、融点を好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下とすることにより、口金から吐出された糸条を冷却し易くなり、繊維同士の融着を抑制し安定した紡糸が行い易くなる。
本発明に係る繊維を構成するポリプロピレン系樹脂には、他の特性を付与するために本発明の効果を損なわない範囲で、通常用いられる酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、帯電助剤、紡曇剤、ブロッキング防止剤、結晶核剤、および顔料等の添加物、あるいは他の重合体を必要に応じて添加することができる。
本発明に係る繊維を構成するポリプロピレン系樹脂は、主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレン系樹脂からなる。主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレン系樹脂とは、ポリプロピレン主鎖骨格から枝分かれしたポリプロピレン鎖を有するポリプロピレンである。主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンを用いることで、溶融押出の段階から長鎖分岐が微結晶間を疑似架橋するタイ分子として作用し、その後の紡糸工程で特に繊維表面に優先的に微細な結晶を形成する。結晶サイズが微細で、かつ微結晶間の疑似架橋によって結晶配向が進みにくくなり、繊維表面の軟化温度を低下するため、紡糸直後から固化に至るまでの細化挙動が維持されやすく、繊維径を細くでき、捕集性能を向上することができる。
本発明において、前記の繊維を構成するポリプロピレン系樹脂の分岐指数gは、0.950以上0.990以下である。このポリプロピレン系樹脂の分岐指数gとは、ポリプロピレン系樹脂の長鎖の分岐の程度を示す指標であり、例えば「Developments in Polymer Characterization-4」(J.V.Dawkinsed.Applied Science Publishers,1983)にも記載されているものである。分岐指数gが0.950以上、好ましくは0.965以上、より好ましくは0.980以上であることで溶融張力が高くなりすぎず、溶融紡糸延伸時の延伸追従性が不足することなく、安定して細い繊維径での紡糸が可能となる。これは、主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンを含むことにより、冷却固化時には長鎖分岐が系内の微結晶を貫く非晶相のタイ分子の絡み合いを促進し(微結晶間の疑似架橋効果)、その後の熱風による延伸過程で延伸応力が系全体に均一に伝達される(延伸が均一化の傾向となる)ことにより、繊維内部に発生するボイドが減少し、糸切れが抑制され、さらには冷却固化するまでの間の細化挙動が長い時間維持されるものと推察される。
本発明において、ポリプロピレン系樹脂の分岐指数gは、以下の方法によって測定されるものとする。
(1)メルトブロー不織布から10mgのサンプルを3箇所採取する。なお、後述する積層不織布からサンプルを採取する場合は、積層されている不織布を剥がしてメルトブロー不織布を露出させてサンプルを採取してもよく、剥がしにくい場合は不織布を切断した断面におけるメルトブロー不織布部分からサンプルを採取する。
(2)上記サンプルを1,2,4-トリクロロベンゼンに溶解させる。この際の濃度は、1mg/mLとする。
(3)示差屈折計(RI)と、粘度検出器(Viscometer)とを備えたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(例えば、Waters社製「Alliance GPC/V2000」など)と、その装置に対応したGPCV解析ソフト(例えば、Waters社製「Millennium32」など)とを用いて、以下の測定条件でサンプルの固有粘度測定を行う。これによって得られる固有粘度の算術平均値の小数点以下第4位を四捨五入して、[η]brとする。
・移動相溶媒:1,2,4-トリクロロベンゼン
・流量:1mL/分
・カラム:東ソー株式会社製「GMHHR-H(S)HT」を2本連結したもの
・カラム温度、試料注入部温度、各検出器温度:140℃
・試料注入量(サンプルループ容量):上記のWaters社製「Alliance GPC/V2000」であれば、0.2175mL
(4)サンプルの重量平均分子量を、低角度レーザー光散乱光度測定法で測定する。
(5)(3)と同様の条件で、(4)で得られた重量平均分子量と同等の重量平均分子量を有する直鎖状のポリプロピレン樹脂の固有粘度測定を行う。あるいは、(4)で得られた重量平均分子量と同等の重量平均分子量を有する直鎖状のポリプロピレン樹脂の固有粘度測定が行えない場合には、直鎖状のポリプロピレン樹脂の固有粘度の対数は、分子量の対数と線形の関係があることは、Mark-Houwink-Sakurada式として公知であるから、市販の直鎖状のポリプロピレン樹脂(例えば、日本ポリプロ株式会社製「ノバテックPP(登録商標) FY6」など)の固有粘度測定を行い、その固有粘度を低分子量側や高分子量側に適宜外挿して数値を得ることができる。これによって得られる固有粘度の算術平均値の小数点以下第4位を四捨五入して、[η]linとする。
(6)以下の式(1)より、分岐指数gを算出し、得られた値の小数点以下第4位を四捨五入する
g=[η]br/[η]lin ・・・(1)。
一般に、ポリマー分子に長鎖分岐構造が導入されると、同じ分子量の直鎖状のポリマー分子と比較して慣性半径が小さくなる。慣性半径が小さくなると、固有粘度が小さくなることから、長鎖分岐構造が導入されるに従い、同じ分子量の直鎖状のポリプロピレンの固有粘度([η]lin)に対する分岐鎖状ポリマーの固有粘度([η]br)の比([η]br/[η]lin)である分岐指数gは、小さくなる傾向にある。
本発明に係る繊維を構成するポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1.0×10以上であることが好ましい。このポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)を1.0×10以上、好ましくは1.5×10以上、より好ましくは2.0×10以上とすることで、微結晶間の疑似架橋効果を十分に得ることができる。また、ポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)には、本発明の効果を奏する限り、特に上限は設けないが、例えば、溶融押出特性の観点から5.0×10以下であることが好ましい。ポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)は、例えば、マッコーネル(M.L.McConnell)、「POLYMER MOLECULAR WEIGHTS AND MOLECULAR WEIGHT DISTRIBUTIONS BY LOW-ANGLE LASER LIGHT SCATTERING」、American Laboratory、1978年5月、第10巻、p.63-75に開示されている方法、すなわち、低角度レーザー光散乱光度測定法で測定することができる。
本発明で繊維を構成するポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(以下、MFRと記載する場合がある。)は、200g/10分以上2500g/10分以下であることが好ましい。MFRを200g/10分以上、より好ましくは400g/10分以上、さらに好ましくは600g/10分以上とすることで、繊維が延伸される際の細化挙動が安定し、生産性を向上するために吐出量を増加させたとしても、安定して紡糸することができる。一方、2500g/10分以下、より好ましくは2000g/10分以下、さらに好ましくは1500g/10分以下とすることで、物理強度が低下することを抑制することができる。
ポリプロピレン系樹脂のMFRは、ASTM D1238(A法)によって測定される値を採用する。この規格によれば、ポリプロピレンは荷重:2.16kg、温度:230℃にて測定することが規定されている。
MFRの異なる2種類以上のポリプロピレン系樹脂を任意の割合でブレンドして、ポリプロピレン系樹脂のMFRを調整することもできる。この場合、主となるポリプロピレン系樹脂に対してブレンドする樹脂のMFRは、10g/10分以上であることが好ましく、より好ましくは20g/10分以上、さらに好ましくは30g/10分以上である。また、3000g/10分以下であることが好ましく、より好ましくは2500g/10分以下、さらに好ましくは2000g/10分以下である。上記範囲とすることにより、ブレンドしたポリプロピレン系樹脂に部分的な粘度斑を抑制し、繊維径の不均一化や紡糸性の悪化を防ぐことができる。
なお、MFRはポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量により制御することができる。ポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量は高いほど、MFRは小さくなる。また、ポリプロピレン系樹脂に有機過酸化物、アゾ系化合物およびニトロキシドからなる群から少なくとも1種のラジカル発生剤を添加し、該ポリプロピレン系樹脂を分解させることで、MFRを調整してもよい。
本発明で繊維を構成するポリプロピレン系樹脂のメソペンタッド分率(mmmm)は0.950以上0.995以下であることが好ましい。より好ましくは0.965以上0.995以下、特に好ましくは0.980以上0.995以下である。
メソペンタッド分率(mmmm)は核磁気共鳴法(NMR法)で測定されるポリプロピレンの結晶相の立体規則性を示す指標であり、数値が高いほど立体規則性が高いことを示し、結晶化度は高くなる。ポリプロピレン系樹脂のメソペンタッド分率は0.950以上であると、結晶化度が高いことによってメルトブロー不織布の繊維同士の融着が緩くなり、嵩高な不織布となって、圧力損失は低くなる。メソペンタッド分率が0.995以下であると、メルトブロー不織布の繊維同士は融着でき、風綿となることなく、不織布化することができる。
メソペンタッド分率(mmmm)は、13C核磁気共鳴(13C-NMR)を用いて測定される、ポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック分率であり、周知の方法(例えば、A.Zambelli、「マクロモレキュールス(Macromolecules)」、1973年、第6巻、p.625、あるいは、同、「マクロモレキュールス(Macromolecules)」、1975年、第8巻、p.687に記載された方法)で測定されるものであって、13C-NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中の[mmmm]ピークの強度分率により測定される。
ポリプロピレン系樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、帯電安定剤、帯電防止剤、紡曇剤、ブロッキング防止剤、滑剤、結晶核剤、および顔料等の添加物、あるいは他の重合体を必要に応じて添加することができる。特に、メルトブロー不織布をエレクトレット処理した際の帯電性を良好にし、捕集性能を向上できる観点から、帯電安定剤としてヒンダードアミン系化合物を含有することが好ましく、また、メルトブロー不織布の圧力損失を低くできることから、結晶核剤を含有することが好ましい。
ヒンダードアミン系化合物は0.1~5質量%含有することが好ましい。より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上とし、0.5質量%以上含有することが捕集性能向上効果から、特に好ましい。また、含有量は多すぎると、紡糸が不安定となることから、4質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2.5質量%以下が特に好ましい。
ヒンダードアミン系化合物としては、例えば、ポリ[(6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)](BASF・ジャパン(株)製、“キマソーブ”(登録商標)944LD)、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物(BASFジャパン(株)製、“チヌビン”(登録商標)622LD)、および2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)(BASFジャパン(株)製、“チヌビン”(登録商標)144)、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N’-ビス(2,2,6,6ーテトラメチルー4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミン・N-(2,2,6,6ーテトラメチルー4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(BASF・ジャパン(株)製、“キマソーブ”(登録商標)2020FDL)などが挙げられる。なかでも、スパンボンド不織布にエレクトレット処理した際の帯電性、電荷保持性の点から上記一般式(1)で表される化合物(ヒンダードアミン系添加剤)が好ましく、具体的にはポリ[(6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)](BASF・ジャパン(株)製、“キマソーブ”(登録商標)944LD)、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N’-ビス(2,2,6,6ーテトラメチルー4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミン・N-(2,2,6,6ーテトラメチルー4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(BASF・ジャパン(株)製、“キマソーブ”(登録商標)2020FDL)、およびこれらの複数種の混合物であってもよい。
結晶核剤の含有量は、好ましくは0.001質量%以上1質量%以下である。結晶核剤の含有量が0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上とすることで、紡糸直後のポリプロピレン系樹脂の結晶化を促進して繊維間の融着を抑制し、圧力損失を低下することができる。一方、結晶核剤の含有量が1質量%以下、より好ましくは、0.5質量%以下とすることで、紡糸を安定化することができる。
結晶核剤としては、例えば、ソルビトール系核剤、ノニトール系核剤、キリシトール系核剤、リン酸系核剤、トリアミノベンゼン誘導体核剤、およびカルボン酸金属塩核剤などが挙げられる。
ソルビトール系核剤には、ジベンジリデンソルビトール(DBS)、モノメチルジベンジリデンソルビトール(例えば、1,3:2,4-ビス(p-メチルベンジリデン)ソルビトール(p-MDBS))、ジメチルジベンジリデンソルビトール(例えば、1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(3,4-DMDBS))などが含まれ、“Millad”(登録商標) 3988(ミリケン・ジャパン(株)製)、および“ゲルオール”(登録商標)E-200(新日本理化(株)製)などが挙げられる。
ノニトール系核剤には、例えば、1,2,3―トリデオキシ-4,6:5,7-ビス-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトールなどが含まれ、“Millad”(登録商標)NX8000(ミリケン・ジャパン(株)製)などが挙げられる。
キシリトール系核剤には、例えば、ビス-1,3:2,4-(5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-2-ナフトアルデヒドベンジリデン)1-アリルキシリトールなどが含まれる。また、リン酸系核剤には、例えば、アルミニウム-ビス(4,4’,6,6’-テトラ-tert-ブチル-2,2’-メチレンジフェニル-ホスファート)-ヒドロキシドなどが含まれ、“アデカスタブ”(登録商標)NA-11((株)ADEKA製)や、“アデカスタブ”(登録商標)NA-21((株)ADEKA製)などが挙げられる。
トリアミノベンゼン誘導体核剤には、例えば、1,3,5-トリス(2,2-ジメチルプロパンアミド)ベンゼンなどが含まれ、下記一般式(2)で表される、“Irgaclear”(登録商標)XT386”(BASFジャパン(株)製)などが挙げられる。さらに、カルボン酸金属塩核剤には、例えば、安息香酸ナトリウムや、1,2-シクロヘキサンジカルボキシル酸カルシウム塩などが含まれる。
[メルトブロー不織布を構成する繊維]
本発明のメルトブロー不織布を構成する繊維は、前記のポリプロピレン系樹脂からなる。そして、その繊維は、平均単繊維径が0.1μm以上10.0μm以下であることが好ましい。平均単繊維径を好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上であることにより、紡糸性の低下を防ぎ、安定して品質の良いメルトブロー不織布を形成することができる。一方、平均単繊維径を好ましくは10.0μm以下、より好ましくは8.0μm以下、さらに好ましくは7.0μm以下であることにより、物理的な粉塵に対する捕集性を向上することができる。
なお、本発明のメルトブロー不織布を構成する繊維の平均単繊維径(μm)の測定は、以下の手順によって算出される。
(1)メルトブロー不織布からランダムに小片サンプルを採取する。
(2)採取した小片サンプルの断面において、走査型電子顕微鏡等で500~2000倍の範囲で繊維の太さを計測することが可能な写真を撮影する。
(3)各小片サンプルの撮影した写真から10本繊維を任意に選び出して、その太さを測定し、小数点以下第二位を四捨五入して繊維の単繊維径とする。
(4)繊維が計100本となるよう、小片サンプル採取から測定までを行い、それらの算術平均値を平均単繊維径(μm)とする。
[メルトブロー不織布]
本発明のメルトブロー不織布の目付は、1g/m以上200g/m以下であることが好ましい。目付を好ましくは1g/m以上とし、より好ましくは3g/m以上とし、さらに好ましくは5g/m以上とすることにより、捕集性能を発現することができる。一方、目付は好ましくは200g/m以下、より好ましくは100g/m以下、さらに好ましくは50g/m以下とすることにより、圧力損失を低減したメルトブロー不織布とすることができる。
なお、本発明において、メルトブロー不織布の目付は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.2 単位面積当たりの質量」に準じ、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(1)20cm×25cmの試験片を、試料の幅1m当たり3枚採取する。
(2)標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量る。
(3)その算術平均値を1m当たりの質量(g/m)で表し、小数点以下第1位を四捨五入する。
本発明のメルトブロー不織布の厚みは、0.02mm以上10mm以下であることが好ましい。厚みが好ましくは0.02mm以上、より好ましくは0.05mm以上、さらに好ましくは0.10mm以上であることによって、高風量のエアを処理する際に濾材の形状保持性を得やすい。また、厚みが好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは1.5mm以下であることによって、エアフィルターとして用いる際の収納性が良好なメルトブロー不織布とすることができる。
なお、本発明において、メルトブロー不織布の厚み(mm)は、JIS L1906:2000「一般長繊維不織布試験方法」の「5.1 厚さ」に準じ測定される値を採用するものとする。
また、本発明のメルトブロー不織布の見掛密度は、0.05g/cm以上0.30g/cm以下であることが好ましい。メルトブロー不織布の見掛密度を好ましくは0.30g/cm3以下、より好ましくは0.25g/cm以下、さらに好ましくは0.20g/cm以下であることにより、メルトブロー不織布の強度を損なわずに、柔軟な風合いを発現することができる。
一方、メルトブロー不織布の見掛密度を好ましくは0.05g/cm以上とし、より好ましくは0.08g/cm以上とし、さらに好ましくは0.10g/cm以上とすることにより、毛羽立ちや層間剥離の発生を抑え、実用に耐え得る強度を備えたメルトブロー不織布とすることができる。
本発明において、見掛密度(g/cm)は、上記の四捨五入前の目付と厚みから、次の式に基づいて算出し、小数点以下第三位を四捨五入したものとする
見掛密度(g/cm)=[目付(g/m)]/[厚さ(mm)]×10-3
本発明のメルトブロー不織布は、後述のような積層不織布とするなどして、フィルター用途や、マスク、防護服等の液体、固体バリア性を必要とする用途に好適に用いることができる。
[積層不織布]
本発明に係る積層不織布は、前記のメルトブロー不織布を少なくとも1層含む積層不織布であって、前記メルトブロー不織布の他に、スパンボンド不織布を少なくとも1層含む。
具体的には、本発明の積層不織布の積層構成としては、前記のメルトブロー不織布からなる層(以降、単にメルトブロー不織布層(M)と略記することがある)の片面にスパンボンド不織布からなる層(以降、単にスパンボンド不織布層(S)と略記することがある)を1層積層されてなる積層不織布(例えば、SMやSMMS、SMMMSなど)、あるいは、複数層積層されてなる積層不織布(例えば、SSMなど)が挙げられる。さらに、メルトブロー不織布層の両面にスパンボンド不織布層を1層ずつ積層されてなる積層不織布(例えば、SMSなど)、あるいは、複数層積層されてなる積層不織布(例えば、SSMSなど、メルトブロー不織布層の片面に積層されるスパンボンド不織布層の積層数ともう片面に積層されるスパンボンド不織布層の積層数とは同一でも異なっていてもよい)が挙げられる。これらの積層不織布において、メルトブロー不織布層に積層されるスパンボンド不織布層の総積層枚数が複数枚の場合には、それぞれのスパンボンド不織布層は、同一の構成からなるスパンボンド不織布層であっても良く、構成が互いに異なっていても良い。構成が互いに異なるスパンボンド不織布層とは、例えば、一方のスパンボンド不織布層と他方のスパンボンド不織布層を構成する繊維の種類が異なる場合、融点が異なる場合、単成分、複合成分で異なる場合、断面形状が異なる場合、厚さ、強度、圧力損失が異なる場合、これらの組み合わせなど、本発明の目的が達成できる限り、どのような相違であってもよい。そして目的に応じて適宜選定して用いることができる。
本発明の積層不織布の目付は、6g/m以上600g/m以下であることが好ましい。目付を好ましくは6g/m以上とし、より好ましくは7g/m以上とし、さらに好ましくは8g/m以上とすることにより、捕集性能を発現しながら、不織布の強度や剛性を高めることができる。一方、目付は好ましくは600g/m以下、より好ましくは400g/m以下、さらに好ましくは200g/m以下とすることにより、圧力損失を低減した積層不織布とすることができる。
なお、本発明において、積層不織布の目付は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.2 単位面積当たりの質量」に準じ、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(1)20cm×25cmの試験片を、試料の幅1m当たり3枚採取する。
(2)標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量る。
(3)その算術平均値を1m当たりの質量(g/m)で表し、小数点以下第1位を四捨五入する。
本発明の積層不織布の厚みは、0.05mm以上10mm以下であることが好ましい。厚みが好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.08mm以上、さらに好ましくは0.1mm以上であることによって、高風量のエアを処理する際に濾材の形状保持性を得やすい。また、厚みが好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下、さらに好ましくは5mm以下であることによって、エアフィルターとして用いる際の収納性が良好な積層不織布とすることができる。
なお、本発明において、積層不織布の厚み(mm)は、JIS L1906:2000「一般長繊維不織布試験方法」の「5.1 厚さ」に準じ測定される値を採用するものとする。
また、本発明の積層不織布の見掛密度は、0.05g/cm以上0.30g/cm以下であることが好ましい。積層不織布の見掛密度を好ましくは0.30g/cm以下、より好ましくは0.25g/cm以下、さらに好ましくは0.20g/cm以下であることにより、積層不織布の強度を損なわずに、柔軟な風合いを発現することができる。
一方、積層不織布の見掛密度を好ましくは0.05g/cm以上とし、より好ましくは0.08g/cm以上とし、さらに好ましくは0.10g/cm以上とすることにより、毛羽立ちや層間剥離の発生を抑え、実用に耐え得る強度を備えた積層不織布とすることができる。
本発明において、見掛密度(g/cm)は、上記の四捨五入前の目付と厚みから、次の式に基づいて算出し、小数点以下第三位を四捨五入したものとする
見掛密度(g/cm)=[目付(g/m)]/[厚さ(mm)]×10-3
本発明の積層不織布は、フィルター用途や、マスク、防護服等の液体、固体バリア性を必要とする用途に好適に用いることができる。
[メルトブロー不織布の製造方法]
次に、本発明のメルトブロー不織布を製造する方法の好ましい態様について、具体的に説明する。
メルトブロー不織布の製造方法としては、従来公知の方法を採用することができる。まず、ポリプロピレン系樹脂を押出機内で溶融して口金部に供給し、口金から押し出した糸条に熱風を吹きつけ、細化させた後、捕集ネット上に不織布層を形成する。メルトブロー法では、複雑な工程を必要とせず、数μmの細繊維を容易に得ることができ、高い捕集効率を達成しやすくすることができる。
本発明のメルトブロー不織布の製造方法に用いられる原料樹脂としては、主たる繰り返し単位がプロピレンであるプロピレン系樹脂である。ここで主たる繰り返し単位であるとは、その繰り返し単位が樹脂全体のうち90mol%以上を占める繰り返し単位であることをいう。そのため、原料樹脂の具体例としては、プロピレンの単独重合体、もしくはプロピレンと各種α-オレフィンとの共重合体などが挙げられる。原料樹脂として、プロピレンと各種α-オレフィンとの共重合体を用いる場合、各種α-オレフィンの共重合比率は、高強度化の観点から10mol%以下が好ましく、より好ましくは5mol%以下であり、さらに好ましくは3mol%以下である。
本発明で用いられる原料樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、他成分樹脂をブレンドして用いてもよい。他成分樹脂としては、融点がポリプロピレンに近いポリエチレンやポリ-4-メチル-1-ペンテンなどのポリオレフィン系樹脂の他、低融点ポリエステル樹脂および低融点ポリアミド樹脂が挙げられ、柔軟性付与の観点から低結晶性のオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。低結晶性のオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体等が好適に用いられる。他成分樹脂の質量比率は、ポリプロピレン系樹脂の特性を十分に発現させるため、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下である。
また、原料樹脂はマテリアルリサイクルされた、いわゆるリサイクル樹脂であってもよい。マテリアルリサイクルする樹脂原料としては、メルトブロー法で溶融紡糸できるメルトフローレートであることが必要であるため、所望のメルトフローレートであるリサイクル原料を再度溶融して用いてもよいし、所望のメルトフローレートではない場合は、原料樹脂に有機過酸化物、アゾ系化合物、および、ニトロキシドからなる群から少なくとも1種のラジカル発生剤を添加して、原料樹脂の分子量を低下させてメルトフローレートを調整して用いてもよい。なお、リサイクル樹脂を使用することで、バージンの石油化学原料の使用量を削減でき、メルトブロー不織布の製造時における環境負荷を低減することができ、望ましい。
前記の有機過酸化物としては、メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド等のケトンパーオキシド類、ジベンゾイルパーオキシド、ジ-(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、ジデカノイルパーオキシド、ジ-(2,4-ジクロロベンゾイル)パーオキシド等のジアシルパーオキシド類、t-ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類、ジ-t-ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン等のジアルキルパーオキシド類、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類、t-ブチルパーオキシオクトエート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類、ジ-(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシカーボネート類が挙げられるが、中でもMFRの制御が容易なジアルキルパーオキシド類が好ましい。
また、前記のアゾ系化合物としては、アゾビスイソブチロニトリルやアゾビスイソバレロニトリルが挙げられる。
そして、前記のニトロキシドとしては、立体障害型ヒンダードヒドロキシルアミンエステルが挙げられる。
前記の原料樹脂を直接、溶融紡糸する際には、単軸や2軸エクストルーダー型などの押出機を用いた手法を適用することができる。なお、前記のラジカル発生剤は、紡糸に供する前に押出機で混練してペレット化してポリプロピレン系樹脂としておいてもよいが、紡糸機の押出機を用いて紡糸時に原料樹脂とラジカル発生剤とを混練し、溶融紡糸と同時に前記のポリプロピレン系樹脂を得る方法を採ってもよい。
本発明において、前記の分岐指数gを前記の範囲とするためには、分岐指数gが前記の該当するポリプロピレン系樹脂を用いる方法以外に、直鎖状のポリプロピレン系樹脂に分岐構造を持つ分岐鎖状ポリプロピレン系樹脂をブレンドする方法、特開昭62-121704号公報に記載されているようにポリプロピレン分子中に長鎖分岐構造を導入する方法、あるいは特許第2869606号公報に記載されているような方法などが好ましく用いられるが、中でも分岐指数gを容易に調整できることから、直鎖状のポリプロピレン系樹脂に、分岐鎖状のポリプロピレン系樹脂をブレンドする方法が好ましい。
直鎖状のポリプロピレン系樹脂にブレンドする分岐鎖状のポリプロピレン系樹脂の添加量は、1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。添加量を好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上とすることで、繊維中の結晶成長を阻害して、
溶融紡糸延伸時の延伸追従性が不足することなく、安定して細い繊維径での紡糸が可能となる。さらには冷却固化するまでの間の細化挙動が長い時間維持され、より容易に細い繊維径を得ることができる。一方、添加量が好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下とすることで、繊維中の結晶成長を必要以上に阻害せずにメルトブローの熱接着性を適度に維持して圧力損失の低下を抑制できる。
前記の分岐鎖状ポリプロピレン系樹脂の具体例としては、Basell社製ポリプロピレン(例えば、タイプ名:「PF-814」、「PF-633」、「PF-611」、「SD-632」など)、Borealis社製ポリプロピレン(例えば、タイプ名:「WB130HMS」など)、Dow社製ポリプロピレン(例えば、タイプ名:「D114」、「D201」、「D206」など)などが挙げられる。
なお、ここでいう分岐鎖状ポリプロピレンとは、カーボン原子10000個中に対し5箇所以下の内部3置換オレフィンを有するポリプロピレンのことを指すものとする。この内部3置換オレフィンの存在はH-NMRスペクトルのプロトン比により確認することができる。
[積層不織布の製造方法]
本発明の積層不織布を製造する方法の好ましい態様について、具体的に説明する。
メルトブロー不織布の少なくとも片面に、スパンボンド不織布が積層されてなる積層不織布の製造方法としては、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布とを積層し、これらを熱接着することによって、積層不織布を得ることができる。
スパンボンド不織布とメルトブロー不織布とを積層する方法としては、オフラインで積層(スパンボンド不織布とメルトブロー不織布とを別々に製造し、これらを積層)してもよいし、スパンボンド不織布を形成した上に前記の方法でメルトブロー不織布を直接形成、積層することもできる。
また、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布とを熱接着する方法としては、上下一対のロール表面にそれぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール、片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻(凹凸部)が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロール、および上下一対のフラット(平滑)ロールの組み合わせからなる熱カレンダーロールなど、各種ロールにより熱接着する方法や、ホーンの超音波振動により熱溶着させる超音波接着などの方法が挙げられる。なかでも、生産性に優れ、部分的な熱接着部で強度を付与し、かつ、その部分的な熱接着部以外の部分(非接着部)で不織布ならではの風合いや肌触りを保持することができることから、上下一対のロール表面にそれぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール、または片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻(凹凸部)が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロールを用いることが好ましい態様である。
熱エンボスロールの表面材質としては、十分な熱接着による効果を得て、かつ片方のエンボスロールの彫刻(凹凸部)が他方のロール表面に転写することを防ぐため、金属製ロールと金属製ロールを対にすることが好ましい態様である。
このような熱エンボスロールによるエンボス接着面積率は、3%以上30%以下であることが好ましい。エンボス接着面積率を3%以上とし、より好ましくは5%以上とし、さらに好ましくは8%以上することにより、積層不織布として実用に供し得る引張強度、引裂強度、耐毛羽立ち等の機械的特性を得ることができる。一方、エンボス接着面積率を好ましくは30%以下とし、より好ましくは25%以下とし、さらに好ましくは20%以下とすることにより、特にエアフィルター用途での使用に適した適度な通気性を確保することができる。超音波接着を用いる場合でも、エンボス接着面積率は同様の範囲であることが好ましい。
ここでいうエンボス接着面積率とは、熱接着部が積層不織布全体に占める割合のことをいう。具体的には、一対の凹凸を有するロールにより熱接着する場合は、上側ロールの凸部と下側ロールの凸部とが重なって不織布層に当接する部分(熱接着部)の積層不織布全体に占める割合のことをいう。また、凹凸を有するロールとフラットロールにより熱接着する場合は、凹凸を有するロールの凸部が不織布層に当接する部分(熱接着部)の積層不織布全体に占める割合のことをいう。また、超音波接着する場合は、超音波加工により熱溶着させる部分(熱接着部)の積層不織布全体に占める割合のことをいう。
熱エンボスロールや超音波接着による熱接着部の形状としては、円形、楕円形、正方形、長方形、平行四辺形、ひし形、正六角形および正八角形などを用いることができる。また、熱接着部は、積層不織布の長手方向(搬送方向)と幅方向に、それぞれ一定の間隔で均一に存在していることが好ましい。このようにすることにより、積層不織布の強度のばらつきを低減することができる。
熱接着時の熱エンボスロールの表面温度は、使用しているポリプロピレン系樹脂の融点に対し-50℃以上-15℃以下とすることが好ましい態様である。熱エンボスロールの表面温度をポリプロピレン系樹脂の融点に対し、好ましくは-50℃以上、より好ましくは-45℃以上とすることにより、適度に熱接着させ実用に供しうる引張強度、引裂強度、耐毛羽立ち等の機械的特性の積層不織布を得ることができる。また、熱エンボスロールの表面温度をポリプロピレン系樹脂の融点に対し好ましくは-15℃以下とし、より好ましくは-20℃以下とすることにより、過度な熱接着を抑制し、積層不織布として、特にエアフィルター用途での使用に適した適度な通気性・加工性を得ることができる。
なお、2種以上のポリプロピレン系樹脂をブレンドしている場合において、二つ以上の融点が観測される場合は、それぞれのポリプロピレン系樹脂の融点のなかで最も低い温度に対して上記範囲となるよう調整とする。
熱接着時の熱エンボスロールの線圧は、10N/cm以上500N/cm以下であることが好ましい。ロールの線圧を好ましくは10N/cm以上とし、より好ましくは50N/cm以上とし、さらに好ましくは100N/cm以上とし、特に好ましくは150N/cmとすることにより、適度に熱接着させ実用に供しうる引張強度、引裂強度、耐毛羽立ち等の機械的特性の積層不織布を得ることができる。一方、熱エンボスロールの線圧を好ましくは500N/cm以下とし、より好ましくは400N/cm以下とし、さらに好ましくは300N/cm以下とすることにより、積層不織布として、特にエアフィルター用途での使用に適した適度な通気性・加工性を得ることができる。
また、本発明では、積層不織布の厚みを調整することを目的に、上記の熱エンボスロールによる熱接着の前および/あるいは後に、上下一対のフラットロールからなる熱カレンダーロールにより熱圧着を施すことができる。上下一対のフラットロールとは、ロールの表面に凹凸のない金属製ロールや弾性ロールのことであり、金属製ロールと金属製ロールとを対にしたり、金属製ロールと弾性ロールとを対にしたりして用いることができる。
また、ここで弾性ロールとは、金属製ロールと比較して弾性を有する材質からなるロールのことである。弾性ロールとしては、ペーパー、コットンおよびアラミドペーパー等のいわゆるペーパーロールや、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂および硬質ゴム、およびこれらの混合物からなる樹脂製のロールなどが挙げられる。
本発明の積層不織布の製造方法では、得られた積層不織布に対して機能性薬剤を付与してもよい。機能性薬剤としては、親水剤、撥水剤、撥油剤、帯電防止剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、防臭剤、芳香剤、冷感剤等が挙げられるが、特に限定はない。
機能性薬剤の付与方法は特に限定はなく、含浸、スプレー、キスロール等を用いることができる。
次に、実施例に基づき、本発明のメルトブロー不織布、および、積層不織布について具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各物性の測定において、特段の記載がないものは、前記の方法に基づいて測定を行ったものである。
[測定方法]
(1)ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)(g/10分):
JIS K7210-1(2014)に準拠して230℃、2.16kgの条件で測定した。
(2)ポリプロピレン系樹脂の分岐指数g(-):
ポリプロピレン系樹脂の分岐指数gは、示差屈折計(RI)と、粘度検出器(Viscometer)とを備えたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置として、Waters社製「Alliance GPC/V2000」を、GPCV解析ソフトとして、Waters社製「Millennium32」を、移動相溶媒として、1,2,4-トリクロロベンゼンにBASFジャパン株式会社製の酸化防止剤「Irganox1076」を0.5mg/mLの濃度で添加したものを、直鎖状のポリプロピレン樹脂として、日本ポリプロ株式会社製「ノバテックPP(登録商標) FY6」を用い、試料注入量(サンプルループ容量)を0.2175mLとして、前記した方法に従って測定を行った。
(3)ポリプロピレン系樹脂のメソペンタッド分率(mmmm)(-)
ポリプロピレン系樹脂試料を溶媒に溶解し、13C-NMRを用いて、以下の条件にてメソペンタッド分率(mmmm)を求めた。なお、測定に当たっては、前記した文献の他、社団法人日本分析化学会・高分子分析研究懇談会編「新版 高分子分析ハンドブック」、紀伊國屋書店、1995年1月、p.609~611を参考にした。
A.測定条件
・装置:Bruker社製「DRX-500」
・測定核:13C核(共鳴周波数:125.8MHz)
・測定濃度:10質量%
・溶媒:ベンゼン/重オルトジクロロベンゼン=質量比1:3混合溶液
・測定温度:130℃
・スピン回転数:12Hz
・NMR試料管:5mm管
・パルス幅:45°(4.5μs)
・パルス繰り返し時間:10秒
・データポイント:64K
・換算回数:10000回
・測定モード:complete decoupling
B.解析条件
LB(ラインブロードニングファクター)を1.0としてフーリエ変換を行い、mmmmピークを21.86ppmとした。WINFITソフト(Bruker社製)を用いて、ピーク分割を行う。その際に、高磁場側のピークから以下のようにピーク分割を行い、さらに付属ソフトを用いてピークの自動フィッティングを行った。ピーク分割の最適化を行った上で、mmmmのピーク分率の合計を求めた。なお、上記測定を5回行い、その平均値を本試料のメソペンタッド分率(mmmm)とした。
・ピーク
(a)mrrm
(b)mrrr
(c)rrrr
(d)rmrm
(e)rmrr
(f)mmrm
(g)mmrr
(h)rmmr
(i)mmmr
(j)mmmm。
(4)平均単繊維直径(μm):
走査型電子顕微鏡(SEM)として、株式会社キーエンス製「VHX-D500」を用い、前記の方法によって測定した。
(5)目付(g/m):
JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の6.2「単位面積当たりの質量」に基づき、20cm×25cmの試験片を、試料の幅1m当たり3枚採取し、標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m当たりの質量(g/m)で表した。
(6)厚み(mm):
JIS L1906:2000「一般長繊維不織布試験方法」の「5.1 厚さ」に準じ測定される値を採用する。
(7)見掛密度(g/cm):
前記の四捨五入前の目付と厚みから、次の式に基づいて算出し、小数点以下第三位を四捨五入した値を見掛密度とした
見掛密度(g/cm)=[目付(g/m)]/[厚さ(mm)]×10-3
(8)捕集性能(捕集効率(%)、単位目付当たりの圧力損失(Pa)、ならびに、QF値(Pa-1)):
メルトブロー不織布、あるいは、積層不織布の幅方向5カ所で、タテ×ヨコ=15cm×15cmの測定用サンプルを採取し、それぞれのサンプルについて、図1に示す捕集効率測定装置を用いて捕集効率を測定した。この図1の捕集効率測定装置には、測定サンプル(M)をセットするサンプルホルダー(1)の上流側に、ダスト収納箱(2)を連結し、下流側に流量計(3)、流量調整バルブ(4)、および、ブロワ(5)が連結されている。また、サンプルホルダー(1)にパーティクルカウンター(6)を使用し、切替コック(7)を介して、測定サンプル(M)の上流側のダスト個数と下流側のダスト個数とをそれぞれ測定することができる。さらに、サンプルホルダー(1)は圧力計(8)を備え、測定サンプルMの上流と下流での静圧差を読み取ることができる。
捕集効率の測定にあたっては、ポリスチレン0.309U 10%溶液(メーカー:ナカライテスク株式会社)を蒸留水で200倍まで希釈し、ダスト収納箱(2)に充填する。次に、測定サンプル(M)を、サンプルホルダー(1)にセットし、風量をフィルター通過速度が6.5m/分になるように、流量調整バルブ(4)で調整し、ダスト濃度を1万個/(2.83×10-4)以上4万個/(2.83×10-4)以下の範囲(2.83×10-4は0.01ftに等しい)の範囲で安定させ、測定サンプル(M)の上流のダスト個数(D)および下流のダスト個数(d)をパーティクルカウンター(6)(リオン株式会社製、「KC-01D」)で1個の測定サンプル当り3回測定し、JIS K0901:1991「気体中のダスト試料捕集用ろ過材の形状、寸法並びに性能試験方法」の「5.2 捕集率試験」および「5.3 圧力損失試験」に準拠して、下記の計算式を用いて、0.3~0.5μmの粒子の捕集効率(%)を求めた。3個の測定サンプルの平均値を、最終的な捕集効率とした
捕集効率(%)=〔1-(d/D)〕×100
(ただし、dは下流ダストの3回測定トータル個数を表し、Dは上流のダストの3回測定トータル個数を表す。)。
上記の式から分かるように、高捕集の不織布ほど、下流ダスト個数が少なくなるため、捕集効率の値は高くなる。
また、圧力損失(Pa)は、捕集効率測定時の測定サンプル(M)の上流と下流の静圧差を圧力計(8)で読み取り求めた。5個の測定サンプルの平均値を最終的な圧力損失(Pa)とし、(5)で得られた目付で除した値を小数点以下第3位で四捨五入して、単位目付当たりの圧力損失とした。
なお、捕集性能の評価に当たっては、下記式に従って算出される捕集性能の指数であるQF値を算出した。
QF値(Pa-1)=-ln(1-捕集効率(%)/100)/圧力損失(Pa)。
[実施例1]
(ポリプロピレン系樹脂)
直鎖状ポリプロピレン系樹脂として、MFRが1100g/10分、分岐指数gが1.000、メソペンタッド分率(mmmm)が0.990のポリプロピレンを用いた。また、分岐鎖状ポリプロピレン系樹脂として、MFRが4g/10分、分岐指数gが0.600、メソペンタッド分率(mmmm)が0.940のポリプロピレン(Basell社製「Profax PF-814」)を用いた。これらの樹脂について、直鎖状ポリプロピレン系樹脂が97質量%、分岐鎖状ポリプロピレン系樹脂が3質量%となるように混合し、MFRが1000g/10分、分岐指数gが0.988、メソペンタッド分率が0.989のポリプロピレン系樹脂を得た。
(メルトブロー不織布)
前記のポリプロピレン系樹脂を紡糸機の原料ホッパーに投入し、直径が0.4mmと0.6mmの吐出孔を交互に一直線上に配置した口金(孔ピッチ:1.6mm、孔数:94ホール、幅:150mm)を用いて、メルトブロー法により、ポリマー吐出量が32g/分、ノズル温度が265℃、エア温度が290℃、エア圧力が0.10MPaの条件で噴射し、捕集コンベア速度を調整することによって、構成する繊維の平均単繊維直径が3.7μm、目付が30g/mのメルトブロー不織布Aを得た。メルトブロー不織布の各測定値と算出値を表1に示す。
[実施例2]
実施例1の(ポリプロピレン系樹脂)において、直鎖状ポリプロピレン系樹脂として、MFRが1100g/10分、分岐指数gが1.000、メソペンタッド分率(mmmm)が0.960のポリプロピレンを用い、MFRが950g/10分、分岐指数gが0.988、メソペンタッド分率が0.959のポリプロピレン系樹脂を得たこと以外は実施例1と同様にして、構成する繊維の平均単繊維直径が3.9μm、目付が30g/mのメルトブロー不織布Bを得た。メルトブロー不織布の各測定値と算出値を表1に示す。
[実施例3]
実施例1の(ポリプロピレン系樹脂)において、直鎖状ポリプロピレン系樹脂が92質量%、分岐鎖状ポリプロピレン系樹脂が8質量%となるように混合するように変えて、MFRが850g/10分、分岐指数gが0.968、メソペンタッド分率が0.986のポリプロピレン系樹脂を得たこと以外は実施例1と同様にして、構成する繊維の平均単繊維直径が4.3μm、目付が30g/mのメルトブロー不織布Cを得た。メルトブロー不織布の各測定値と算出値を表1に示す。
[実施例4]
実施例1の(ポリプロピレン系樹脂)において、直鎖状ポリプロピレン系樹脂として、MFRが1100g/10分、分岐指数gが1.000、メソペンタッド分率(mmmm)が0.940のポリプロピレンを用い、直鎖状ポリプロピレン系樹脂が90質量%、分岐鎖状ポリプロピレン系樹脂が10質量%となるように混合するように変えて、MFRが700g/10分、分岐指数gが0.960、メソペンタッド分率が0.940のポリプロピレン系樹脂を得たこと以外は実施例1と同様にして、構成する繊維の平均単繊維直径が4.4μm、目付が30g/mのメルトブロー不織布Dを得た。メルトブロー不織布の各測定値と算出値を表1に示す。
[比較例1]
実施例1の(ポリプロピレン系樹脂)において、直鎖状ポリプロピレン系樹脂として、MFRが1100g/10分、分岐指数gが1.000、メソペンタッド分率(mmmm)が0.960のポリプロピレンのみを用い、分岐鎖状ポリプロピレン系樹脂を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、構成する繊維の平均単繊維直径が4.6μm、目付が30g/mのメルトブロー不織布Eを得た。メルトブロー不織布の各測定値と算出値を表1に示す。
[比較例2]
実施例1の(ポリプロピレン系樹脂)において、直鎖状ポリプロピレン系樹脂として、MFRが1100g/10分、分岐指数gが1.000、メソペンタッド分率(mmmm)が0.940のポリプロピレンを用い、直鎖状ポリプロピレン系樹脂が85質量%、分岐鎖状ポリプロピレン系樹脂が15質量%となるように混合するように変えて、MFRが600g/10分、分岐指数gが0.940、メソペンタッド分率が0.940のポリプロピレン系樹脂を得たこと以外は実施例1と同様にして、構成する繊維の平均単繊維直径が5.3μm、目付が30g/mのメルトブロー不織布Fを得た。メルトブロー不織布の各測定値と算出値を表1に示す。
Figure 2023112282000001
実施例1~4のメルトブロー不織布は、ポリプロピレン系樹脂の分岐指数gが0.950以上0.990以下であることで、単位目付あたりの圧力損失と捕集効率から算出されるQF値は0.36~0.40Pa-1となり、低い圧力損失と高い捕集効率を両立したメルトブロー不織布を得た。
一方、比較例1のメルトブロー不織布は、ポリプロピレン系樹脂の分岐指数gが0.990より大きいことで、単位目付あたりの圧力損失は1.50Pa/(g/m)と良好であったが、捕集効率は33.2%と低く、単位目付あたりの圧力損失と捕集効率から算出されるQF値は0.27Pa-1のメルトブロー不織布となった。また、比較例2のメルトブロー不織布は、ポリプロピレン系樹脂の分岐指数gが0.950より小さいことで、単位目付あたりの圧力損失は2.20Pa/(g/m)で低く、捕集効率も30.3%となり、単位目付あたりの圧力損失と捕集効率から算出されるQF値は0.16Pa-1のメルトブロー不織布となった。
[実施例5]
繊維径16.7μm、目付30g/mのポリプロピレン系樹脂を用いたスパンボンド不織布2枚と、その中間層として、メルトブロー不織布Aを用い、上ロールに金属製で水玉柄の彫刻がなされた接着面積率16%のエンボスロールを、下ロールに金属製フラットロールで構成される上下一対の熱エンボスロールを用いて、線圧を300N/cm、熱接着温度を140℃の条件で熱接着し、本発明の積層不織布を得た。積層不織布の各測定値と算出値を表2に示す。
[実施例6~8、比較例3、4]
用いるメルトブロー不織布をB~Fとした以外は実施例5と同様にして本発明の積層不織布、および比較となる積層不織布を得た。積層不織布の各測定値と算出値を表2に示す。
Figure 2023112282000002
実施例5~8の積層不織布は、ポリプロピレン系樹脂の分岐指数gが0.950以上0.990以下であるメルトブロー不織布を用いたことで、単位目付あたりの圧力損失と捕集効率から算出されるQF値は0.36~0.42Pa-1となり、低い圧力損失と高い捕集効率を両立した積層不織布を得た。
一方、比較例3の積層不織布は、ポリプロピレン系樹脂の分岐指数gが0.990より大きいメルトブロー不織布を用いたことで、単位目付あたりの圧力損失は1.66Pa/(g/m)と良好であったが、捕集効率は36.5%と低く、単位目付あたりの圧力損失と捕集効率から算出されるQF値は0.27Pa-1の積層不織布となった。また、比較例4の積層不織布は、ポリプロピレン系樹脂の分岐指数gが0.950より小さいメルトブロー不織布を用いたことで、単位目付あたりの圧力損失は2.37Pa/(g/m)で低く、捕集効率も34.0%となり、単位目付あたりの圧力損失と捕集効率から算出されるQF値は0.18Pa-1の積層不織布となった。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更及び変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。
1:サンプルホルダー
2:ダスト収納箱
3:流量計
4:流量調整バルブ
5:ブロワ
6:パーティクルカウンター
7:切替コック
8:圧力計
M:測定サンプル

Claims (3)

  1. ポリプロピレン系樹脂からなる繊維で構成されてなるメルトブロー不織布であって、前記繊維を構成するポリプロピレン系樹脂の分岐指数gが0.950以上0.990以下である、メルトブロー不織布。
  2. 前記繊維を構成するポリプロピレン系樹脂のメソペンタッド分率(mmmm)が0.950以上0.995以下である、請求項1に記載のメルトブロー不織布。
  3. 請求項1または2に記載のメルトブロー不織布を少なくとも1層含む積層不織布であって、前記メルトブロー不織布の他に、スパンボンド不織布を少なくとも1層含む、積層不織布。
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