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JP2023110304A - 流路切替バルブ、及びその製造方法 - Google Patents

流路切替バルブ、及びその製造方法 Download PDF

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JP2023110304A JP2022011663A JP2022011663A JP2023110304A JP 2023110304 A JP2023110304 A JP 2023110304A JP 2022011663 A JP2022011663 A JP 2022011663A JP 2022011663 A JP2022011663 A JP 2022011663A JP 2023110304 A JP2023110304 A JP 2023110304A
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久雄 稲波
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Abstract

【課題】ステータとロータシールの固着を回避し、長寿命な流路切替バルブを提供する。【解決手段】この流路切替バルブは、複数の第1の貫通孔を有するステータ11と、前記ステータと接触しながら回転し複数の第2の貫通孔を有するロータシール12と、前記ロータシールを回転させるよう構成されるロータ13とを備える。前記ロータシール及び前記ステータの摺動面にダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)が成膜されており、前記DLC膜の平均粗さRaは0.05μm以上である。【選択図】図1A

Description

本発明は、流路切替バルブ、及びその製造方法に関する。
液体クロマトグラフなどの分析装置において、サンプル液や溶離液を順次分析装置に導入するために流路切替バルブが備えられている。流路切替バルブは、一般に、配管を接続するステータ、ロータシール、ロータシールを回転させるロータ、及び、それらを保持するハウジングから構成される。ロ-タはバネなどによって支持され、ロータシールはロータによりステ-タに押しつけられ、これによりロータシール流路、及びステータ流路の液密性が保たれている。ロータが回転することで、ステータとロータとの間で流路の切替が可能になる。
流路切替バルブのロータシールは、ロータによりステ-タに押しつけられながら回転し摺動するため、ステータとの接触面が摩耗して、その結果、流路切替バルブの寿命が短くなるという問題がある。この接触面の摩耗を抑制するため、ステータやロータシールの最表面にダイヤモンドライクカーボン膜(以下、「DLC膜」という)を備えた流路切替バルブが特許文献1に示されている。
特許文献1の流路切替バルブは、ステータ及びロータの間に保護被膜を有し、その保護被膜は、接着中間膜と、フィルタ処理陰極真空アーク(FCVA)蒸着によって接着中間膜上に蒸着されたDLC膜とを含む。このDLC膜により、高圧運転条件下でのバルブ寿命を延ばすことができる。
しかし、特許文献1に記載された流路切替バルブの保護被膜のDLC膜は、ステータとの接触面の平均粗さRaが0.025μm以下と鏡面状である。この場合、ステータとロータシールが「リンギング現象」とよばれる分子間結合による固着することがある。固着が発生する虞がある。
特表2014-520250号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ステータとロータシールの固着を回避し、長寿命な流路切替バルブ、及びその製造方法を提供するものである。
本発明の流路切替バルブは、複数の第1の貫通孔を有するステータと、前記ステータと接触しながら回転し複数の第2の貫通孔を有するロータシールと、前記ロータシールを回転させるよう構成されるロータとを備える。前記ロータシール及び前記ステータの摺動面にダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)が成膜されており、前記DLC膜の平均粗さRaは0.05μm以上である。
また、本発明の流路切替バルブの製造方法は、複数の第1の貫通孔を有するステータと、前記ステータと接触しながら回転し複数の第2の貫通孔を有するロータシールと、前記ロータシールを回転させるよう構成されるロータとを備えた流路切替バルブの製造方法において、アークイオンプレーティング装置に、処理対象物としての前記ステータ及び前記ロータシールを載置し、アーク放電により炭素及び金属をイオン化して、前記処理対象物の表面にダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)を、中間膜を介して製膜する工程を含む。前記DLC膜の平均粗さRaは0.05μm以上である。
本発明に係る流路切替バルブ、及びその製造方法によれば、ステータとロータシールの固着によるステータとロータシールの接触面の摩耗を抑制し、流路切替バルブの長寿命化を図ることができる。
実施の形態に係る流路切替バルブ1の断面図である。 ロータシール12の上面図である。 ロータシール12とロータ13の接触面の上面図である。 ステータ11とロータシール12に成膜されている保護膜120(DLC膜121と中間膜122)の断面図である。 アークイオンプレーティング法による四面体アモルファスカーボンのDLC膜121の成膜方法を説明する。 図1の流路切替バルブ1を搭載した液体クロマトグラフ421の流路模式図である。 図1の流路切替バルブ1を搭載した液体クロマトグラフ421の流路模式図である。 図1の流路切替バルブ1の慣らし運転時における回転トルクの変化のグラフの一例である。 ステータ11とロータシール12の往復運動を行った場合における傷の延伸について説明する概略図である。 ステータ11とロータシール12の往復運動を行った場合における傷の延伸について説明する概略図である。 DLC膜121の膜厚、硬度と流路切替バルブ1の寿命の関係を示す。 図7に図4Aのロータシール流路の端部の断面写真を示す。 本実施の形態に従うサンプル1~3についての、慣らし運転の前後でのステータ側粗さRa1、シール側粗さRa2の変化と、流路切替バルブ1の寿命(使用可能回数)を示す。
以下、添付図面を参照して本実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
図1を参照して、実施の形態に係る流路切替バルブ1の構造を説明する。図1Aは、実施の形態に係る流路切替バルブ1の断面図であり(図1Cの破線19の断面図)、図1Bはロータシール12の上面図である。また、図1Cは、ロータシール12とロータ13の接触面の上面図である。また、図1Dは、ステータ11とロータシール12に成膜されている保護膜120(DLC膜121と中間膜122)の断面図である。
図1Aに示すように、流路切替バルブ1は、ステータ11、ロータシール12、ロータ13、及びハウジング15から構成される。
ステータ11は、例えばステンレス(以下SUS316)などの金属やセラミックを材料として構成される本体部を有し、その本体部を貫通するように形成される複数のステータ流路111~116を備えている(図1C参照)ステータ流路111~116の端部は、ステータ11において、ロータ13の回転軸を中心とした一の円周上に配置される。これらのステータ流路111~116に、図示しない配管が接続される。
ロータシール12は、SUS316など金属、セラミック、樹脂等を材料として構成される本体部を有し、その本体部は、円弧状に略等間隔に形成された複数(図1Bに図示の例では3つ)のロータシール流路131、132、133を有する。摺動面を形成するステータ11とロータシール12の表面には、耐摩耗性能を向上させるための保護膜120がコーティングされている。保護膜120は、耐摩耗性能を持たせるためDLC膜121、及び中間膜122で構成される(図1D参照)。
ロータシール12は、ロータ13のバネ(図示せず)によりステ-タ11に押しつけられている。ステータ11とロータシール12とが接触し、所定の角度関係に調整されると、図1Cのように、例えばロータシール流路131及びステータ流路111、112が連結して形成される流路、ロータシール流路132及びステータ流路113、114が連結して形成される流路、及び、ロータシール流路133及びステータ流路115、116が連結して形成される流路が形成される。ロータ13が更に回転すると、別の流路が形成され得る(詳しくは後述する)。これらの流路の間での液漏れ、及び外部への液漏れを防止するため、保護膜120が設けられ、バネによる押下がされることで、液密性が維持されている。
ロータシール12は、ピン16、17によりロータ13に固定される。ロータシール12は、ロータ13に接続されたモータ(図示せず)により、ステータ11に対し摺動しつつ回転する。ロータ13の回転角度は、例えば、モータにエンコーダ(図示せず)を備えることで計測され得る。
ロータシール12とステータ11の摺動面に成膜された保護膜120について、図1Dを参照して説明する。保護膜120は一例として、SUS316の基材123(ステータ11とロータシール12の本体部)に形成される中間膜122と、その中間膜122の上に形成されるダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)121を備える。ステータ11とロータシール12との接触面である両者の最表面にDLC膜121が成膜され、DLC膜121同士が互いに摺動するようステータ11とロータシール12が配置される。
DLC膜121及び中間膜122は、アークイオンプレーティング法と呼ばれる技術によって形成することができる。アークイオンプレーティング法により、DLC膜121には四面体アモルファスカーボンのDLCが成膜される。四面体アモルファスカーボンは水素イオンを含まないDLCである。水素イオンを含まない四面体アモルファスカーボンのDLC膜を採用することにより、リンギングを回避しつつ寿命が長い流路切替バルブを提供することが可能になる。
アークイオンプレーティング法による四面体アモルファスカーボンのDLC膜121の成膜方法を図2を参照して説明する。図2は、アークイオンプレーティング法を実行可能なアークイオンプレーティング装置300の概略構成の一例を示している。
アークイオンプレーティング装置300は、一例として、真空チャンバ301を備え、真空チャンバ301は処理対象物310を保持するための回転テーブル311を備える。
真空チャンバ301は更に、DLC膜121の元となるグラファイト陰極のカソード302と、中間膜122を形成するために使用する金属ターゲット303とを備える。中間膜122は、主にアルミニウム、クロム、チタン、タングステンなどの金属で形成される。金属ターゲット303の材料は、ステータ11やロータシール12の材料に応じて変更することができる。
真空チャンバ301は更に、アルゴンガス3011を注入するガス注入ポート3012、及び、真空引き3013を行う真空引きポート3014を備える。処理対象物310(ステータ11やロータシール12に相当)は、回転テーブル311の上に配置され、回転テーブル311はバイアス電源312に接続される。処理対象物310は、回転テーブル311を介してバイアス電源312に電気的に接続される。これにより、バイアス電源312は、処理対象物310にバイアス電圧を印加することができる。
DLC膜121と中間膜122の成膜プロセスについて説明する。真空チャンバ301中にアルゴンガス3011を充満させる。その後、アーク放電発生装置(図示せず)によりアーク放電を実行することでグラファイト陰極のカソード302と金属ターゲット303の炭素や金属をイオン化し、バイアス電源312を用いて、DLCや金属イオンを処理対象物310の最表面に引き込む。これにより、処理対象物310にDLC膜121及び中間膜122が形成される。アークイオンプレーティング法ではドロップレットと呼ばれるDLCの塊が含まれて成膜されるため、DLC膜121は、その垂直方向の平均粗さRaが、後述する慣らし運転前の段階において0.05μm以上0.3μm以下に形成される。ステータ11のDLC膜121の平均粗さRa1(ステータ側粗さRa1)、ロータシール12のDLC膜121の平均粗さRa2(シール側粗さRa2)のいずれも0.05μm以上0.3μm以下とするのが好適である。ただし、平均粗さRa2の値が、平均粗さRa1よりも大きい値とすることが好適である。Ra2>Ra1とすることで、よりステータ11とロータシール12との間の固着が一層発生し難くなる。
流路切替バルブ1のDLC膜121は、20GPa~60GPaの硬度を有する。その硬度は、プロセス中にバイアス電源312のバイアス電圧を調整することにより得ることができる。
図1Aの流路切替バルブ1を搭載した液体クロマトグラフ421の流路模式図を図3A、図3Bに示す。図3Aは、ある回転角度において得られる流路の模式図であり、図3Bは、図3Aの状態から約60度ロータ13を回転した状態での流路の模式図である。
液体クロマトグラフ421は、送液ポンプ422、ニードル423、シリンジポンプ424、流路切替バルブ1、分離カラム426、検出器427、配管P2、及びそれらを接続する配管P1から構成される。流路切替バルブ1のステータ流路111、112、113、114、115、116は、送液ポンプ422、分離カラム426、ニードル423、シリンジポンプ424、又は配管P2に接続されている。
ロータ13が回転し、図3Aの状態になると、送液ポンプ422により送液される溶離液429が、ステータ流路111、ロータシール流路131、ステータ流路112、配管P2、ステータ流路115、ロータシール流路133、ステータ流路116を通って、分離カラム426に導入され、更に、検出器427、廃液タンク481に流れる状態が得られる。
また、図3Aの状態では、ニードル423がステータ流路113に接続され、シリンジポンプ424がステータ流路114に接続され、ステータ流路113、ロータシール流路132、ステータ流路114、シリンジポンプ424が接続された状態が得られる。
その後、図3Aの状態から、流路切替バルブ1を図3Aの摺動方向211に60度回転させて流路を切り替えると、図3Bの状態が得られる。図3Bの状態では、サンプルSPが、シリンジポンプ424の吸引により、ニードル423、ステータ流路113、ロータシール流路131、ステータ流路112、配管P2、ステータ流路115、ロータシール流路132、ステータ流路114へと吸引される状態が得られる。また、送液ポンプ422により送液される溶離液429が、ステータ流路111、ロータシール流路133、ステータ流路116を通って、分離カラム426、検出器427を通って廃液タンク481に流れる状態が得られる。
図3Bの状態から、流路切替バルブ1を時計回りの摺動方向212に60度回転させると、流路切替バルブ1は図3Aの状態に戻ることができる。図3Aの状態で、送液ポンプ422を駆動して、ステータ流路111、ロータシール流路131、ステータ流路112へと溶離液429を送液することにより、配管P2内にあるサンプルSPを分離カラム426に送液することができる。サンプルSPは、分離カラム426で分離された後、検出器427で検出される。検出動作の終了後、全体の流路を洗浄するため更に数秒溶離液の送液を継続する。その後、別のサンプルの分析のために図3Bの状態に戻す。以後、図3A、図3Bの状態を設定し、上記の動作を繰り返すことにより、サンプルSPの検査が継続される。
分離カラム426は、内部に数マイクロメートルの粒子が充填されていて流体抵抗が大きい。また、分離カラム426のサンプル分離性能を向上させるため、分離カラム426に接続される配管P1の流路径は0.1mm程度に設計されており、同様に流体抵抗が大きい。そのため、送液ポンプ422は数十MPaの高い圧力で溶離液429を送液するよう構成されている。一方、シリンジポンプ424には流路抵抗の大きい配管等は接続されていないので、シリンジポンプ424の送液圧力は大気圧(0.1MPa)に近い値に設定される。液体クロマトグラフの用途によっては、ポンプからは30~120MPa、又はそれを超える圧力の液体が送液されており、この高圧条件下でバルブは動作しなければならない。このように高圧送液下で、ステータ11とロータシール12の接触面にシール性を持たせるために、ステータ11とロータシール12を大きな力で押し付ける必要がある。使用する液圧に合わせて、ステータ11とロータシール12の接触面の面圧が約60~150MPaとなるよう流路切替バルブが構成される。
このようにステータ11とロータシール12の接触面の面圧が大きい場合において、ステータ11とロータシール12のそれぞれの最表面の粗さRaが、例えば0.025μm以下のような鏡面に近い値とされると、ステータ11とロータシール12がリンギング現象とよばれる分子間結合による固着を起こすことがある。この場合、流路切替バルブ1が動作しなくなる可能性がある。
そこで、本実施の形態の流路切替バルブ1は、アークイオンプレーティング法により、ステータ11とロータシール12の最表層に、保護膜120の一部としてDLC膜121を備えている。DLC膜121の、後述する慣らし運転前における最表面の平均粗さRaは0.05μm以上で、例えば0.05~0.15μmとされる。このため、ステータ11とロータシール12の固着は効果的に抑止される。これによりステータ11とロータシール12の接触面で、異常摩耗や焼き付きなども発生せず、長寿命な流路切替バルブ1を提供することができる。
また、本実施の形態の流路切替バルブ1は、ステータ11とロータシール12を接触させたのち、ロータ13を反時計回り摺動方向211、及び時計回り摺動方向212へと繰り返し回転させて慣らし運転を実行する。慣らし運転は、溶離液429を送液しながら、摺動方向211、摺動方向212に100-3000回程度ロータ13を回転(往復運動)させるものである。これにより、DLC膜121の最表面が適宜平滑化され、平均粗さRaが減少しつつも、かつステータ11とロータシール12が固着しない平均粗さとされる。すなわち、ステータ11とロータシール12が接触面で固着せず、長寿命なバルブを提供することができる。
慣らし運転に当たっては、図4に示すように、ロータ13を回転させる駆動装置の回転トルクを監視することが好適である。慣らし運転の開始直後は、大きな平均粗さに基づく静止摩擦係数の関係で大きな回転トルクが発生するが、その後は回転トルクは低下し、以後平均粗さの低下により、回転トルクも徐々に低下する。この回転トルクを監視することで、適切な平均粗さを得ることができる。
また、30~120MPaの高圧送液条件下で高圧流路と低圧流路を切替える場合に発生するキャビテーション(空洞現象)により、ステータ11とロータシール12の接触面が摩耗し、両者間のシール性が保たれず、バルブ寿命が短くなる可能性がある。このキャビテーションによる接触面の摩耗箇所について図4を参照して説明する。
ロータ13が回転し、図3Bの状態から、図3Aの状態へと切り替えがされる場合を考える。このとき、図3Bの状態において低圧のシリンジポンプ424につながるロータシール流路131は、図3Aの状態においては、高圧の送液ポンプ422とステータ流路111を介して接続される。この場合、ステータ流路111とロータシール流路131の圧力差が大きいため、その圧力により、キャビテーションがステータ流路111及びロータシール流路131内に発生する。その後、送液ポンプ422から高圧の流体が流れるため、キャビテーションが流路内で崩壊する。キャビテーションが崩壊する際に、ステータ11とロータシール12の流路内で、衝撃圧や高速の流れが生じ、ステータ流路111とロータシール流路131の流路端部に摩耗が起きる。図5A、図5Bにキャビテーションによってできる流路端部の傷の一例を模式的に示す。ステータ流路111にはステータ流路端部の傷1111、ロータシール流路131にはロータシール流路端部の傷1311ができる。
図3A、図3Bに示した往復運動の回数が増えると、ステータ流路端部の傷1111が方向1112(図5A)に延伸し、ロータシール流路端部の傷1311は方向1312(図5B)に延伸する。そして最終的に、図5Bで示すように、高圧のロータシール流路133、ステータ流路111、ステータ流路の傷1111と、低圧のロータシール流路の傷1311と、ロータシール流路131が接続して、シール性が保たれず、液漏れが発生する虞が高まる。
このキャビテーションによるステータ流路端部の傷1111、及びロータシール流路端部の傷1311の延伸度は、ステータ11やロータシール12に成膜されるDLC膜121の膜厚や硬度により、異なることが判明した。DLC膜121の膜厚や硬度を考慮することで、キャビテーションによる摩耗に耐え、傷の延伸速度を遅くでき、バルブ寿命を延ばすことができる。
図6のグラフにより、DLC膜121の膜厚、硬度と流路切替バルブ1の寿命の関係を示す。横軸はDLC膜121の膜厚を示し、縦軸は硬度を示し、グラフ中の円の直径は、ある膜厚と硬度のDPC膜121が採用された場合における流路切替バルブ1の寿命を示す。
本出願の発明者らの検討の結果、アークイオンプレーティング法で成膜したアモルファスカーボンで、硬度20~60GPaのDLC膜を採用すると、バルブ寿命が長くなることが判明した。
硬度20GPa未満のDLC膜121が採用された際の寿命501は短い。これは、DLC膜121の硬度が小さいために、キャビテーションによるステータ流路111~116の端部の傷1111、ロータシール流路端部の傷1311の延伸速度が速いためと考えられる。
一方、硬度20~30GPaのDLC膜121が採用された場合のバルブ寿命502は、硬度が20GPa以下の場合のバルブ寿命501の1.5倍となり、硬度30~40GPaのDLC膜121が採用された場合のバルブ寿命503は、硬度が20GPa以下の場合のバルブ寿命501の2倍になり、硬度40~50GPaのDLC膜121が採用された場合のバルブ寿命504は、硬度が20GPa以下の場合のバルブ寿命501の7倍となることが判明した。また、50GPa~60GPaのDLC膜121が採用された場合のバルブ寿命505は、硬度が20GPa以下の場合のバルブ寿命501の2倍となることが判明した。
他方、硬度が60GPaを超えるDLC膜121の採用は不適切であることが判明した。60GPa超の場合、ステータ11及びロータシール12の材料であるSUS316とDLC膜121との硬度差が大きく、ステータ11とロータシール12を押し付けた際に、DLC膜121がステータ11及びロータシール12から剥がれ、接触面から液が漏れる虞が高い。
さらに、DLC膜121の膜厚に着目すると、膜厚0.5μm~1.5μmが好適であることが判明した。図7に図4Aのロータシール流路の端部の断面写真の一例を示す。この断面写真は、サンプルを樹脂に包埋して断面を作製し、顕微鏡で撮影した写真である。
図7に示されるサンプルは、サンプル作製用の樹脂603、DLC膜121、中間膜122、SUS316の基材123(ステータ11又はロータシール12)を含んでいる。このとき、DLC膜121の膜厚を1.5μmより大きくすると、図7に示すように、キャビテーションによる衝撃圧により、中間膜122に亀裂602ができ、DLC膜121及び中間膜122が、時間経過とともにSUS316の基材123から剥がれ、傷として確認される。これにより、ステータ11とロータシール12の接触面に隙間が生じ、流路切替バルブ1から液が漏れることが生じ得ることが確認された。
一方で、DLC膜121の膜厚0.5μm未満においては、ステータ11とロータシール12を接触させて荷重をかけると、中間膜122に亀裂602が入り、DLC膜121及び中間膜122がSUS316の基材123(ステータとロータシール)から剥離し、流路切替バルブ1から液が漏れることが生じ得ることが確認された。
以上のように、膜厚0.5μm~1.5μmのDLC膜121を保護膜120として成膜した流路切替バルブ1は、ステータ11とロータシール12の固着やキャビテーションによるステータ11とロータシール12の接触面の摩耗を抑制し、流路切替バルブの長寿命化を図ることができることが分かる。以上より、膜厚0.5μm~1.5μmで且つ硬度が20~60GPaのDLC膜121の採用が好適である。
図8に、本実施の形態に従うサンプル1~3についての、慣らし運転の前後でのステータ側粗さRa1、シール側粗さRa2の変化と、流路切替バルブ1の寿命(使用可能回数)を示す。図8では、平均粗さRa1、Ra2に加え、ステータ11側のDLC膜121の最大粗さRz1、ロータシール12側でのDLC膜121の最大粗さRz2の慣らし運転前後での変化も示している。また、各サンプルにおけるDLC膜121の膜厚及び硬度は図8に示す通りである。
図8に示すように、サンプル1~3はいずれも慣らし運転実行前において、ステータ側粗さRa1、シール側粗さRa2がいずれも0.05~0.3μmの範囲に設定されている。実験の結果、いずれのサンプルについても、従来の鏡面状のDLC膜121の寿命を大きく上回る寿命が得られた。
[その他]
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…流路切替バルブ
11…ステータ
12…ロータシール
13…ロータ
15…ハウジング
111、112、113、114、115、116…ステータ流路
120…保護膜
121…DLC膜
122中間膜
131、132、133…ロータシール流路
300…アークイオンプレーティング装置
301…真空チャンバ
302…カソード
303…金属ターゲット
310…処理対象物
311…回転テーブル
312…バイアス電源
3011…アルゴンガス
3012…ガス注入ポート
3013…真空引き
3014…真空引きポート
421液体クロマトグラフ
422…送液ポンプ
423…ニードル
424…シリンジポンプ
426…分離カラム
427…検出器
SP…サンプル
429…溶離液
481、482…廃液タンク
P1、P2…配管

Claims (9)

  1. 複数の第1の貫通孔を有するステータと、
    前記ステータと接触しながら回転し複数の第2の貫通孔を有するロータシールと、
    前記ロータシールを回転させるよう構成されるロータと
    を備え、
    前記ロータシール及び前記ステータの摺動面にダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)が成膜されており、
    前記DLC膜の平均粗さRaは0.05μm以上である
    ことを特徴とする流路切替バルブ。
  2. 前記DLC膜の硬度が20~60GPaである、請求項1に記載の流路切替バルブ。
  3. 前記DLC膜の膜厚が0.5~1.5μmである、請求項1に記載の流路切替バルブ。
  4. 前記DLC膜の平均粗さRaは0.05μm以上0.3μm以下である、請求項1に記載の流路切替バルブ。
  5. 前記ロータシールを、前記ロータによる回転往復運動をすることで慣らし運転を行うように構成された、請求項1に記載の流路切替バルブ。
  6. 前記ロータの回転トルクを監視しつつ前記慣らし運転を実行するように構成された、請求項5に記載の流路切替バルブ。
  7. 前記DLC膜が、四面体アモルファスカーボンのDLCである、請求項1に記載の流路切替バルブ。
  8. 前記ロータシール側のDLC膜の平均粗さRaは、前記ステータ側のDLC膜の平均粗さよりも大きい、請求項1に記載の流路切替バルブ。
  9. 複数の第1の貫通孔を有するステータと、前記ステータと接触しながら回転し複数の第2の貫通孔を有するロータシールと、前記ロータシールを回転させるよう構成されるロータとを備えた流路切替バルブの製造方法において、
    アークイオンプレーティング装置に、処理対象物としての前記ステータ及び前記ロータシールを載置し、アーク放電により炭素及び金属をイオン化して、前記処理対象物の表面にダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)を、中間膜を介して製膜する工程を含み、
    前記DLC膜の平均粗さRaは0.05μm以上である
    ことを特徴とする、流路切替バルブの製造方法。
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