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JP2023039001A - 緩衝器 - Google Patents

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JP2023039001A JP2021145914A JP2021145914A JP2023039001A JP 2023039001 A JP2023039001 A JP 2023039001A JP 2021145914 A JP2021145914 A JP 2021145914A JP 2021145914 A JP2021145914 A JP 2021145914A JP 2023039001 A JP2023039001 A JP 2023039001A
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Abstract

【課題】生産性の向上が可能となる緩衝器を提供する。【解決手段】第1通路43と、第1通路43に設けられる減衰バルブ181と、減衰バルブ181の上流側と絞り142を介して連通する第2通路192と、下室20と連通する第3通路193と、第2通路192と第3通路193とを連通可能な連通部195と、連通部195に設けられる可変部材111と、第2通路192に連通し減衰バルブ181の流路面積が減少する方向の力を生じさせるパイロット室171と、第2通路192と下室20とを連通するバイパス通路205と、バイパス通路205に設けられる第2減衰力発生機構211とを有する。可変部材111は、ゴム弾性をもった環状のシール113と、このシール113と一体的に形成される金属環112とからなっている。【選択図】図2

Description

本発明は、緩衝器に関する。
緩衝器には、ピストンの周波数に応じて減衰力を可変とする減衰力可変機構を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
特許第6722683号公報
緩衝器において、生産性を向上させることが求められている。
したがって、本発明は、生産性を向上させることが可能となる緩衝器を提供する。
本発明に係る一態様は、ピストンの移動によりシリンダ内の作動流体が流動する第1通路と、前記第1通路に設けられ、作動流体の流動により流路面積を変化させる減衰バルブと、前記減衰バルブの上流側と絞りを介して連通する第2通路と、前記減衰バルブの下流側と連通する第3通路と、前記第2通路と前記第3通路とを連通可能な連通部に設けられ、前記第2通路から前記第3通路への作動流体の流動を抑制するシール部と前記第2通路の圧力を受圧する受圧部と前記第3通路から前記第2通路への作動流体の流れを許容するリップ部とを備えるゴム弾性をもった環状のシールと該シールと一体的に形成される金属環とからなる可変部材と、前記第2通路に連通し、内部の圧力によって、前記減衰バルブに流路面積が減少する方向の力を生じさせるパイロット室と、前記第2通路と前記減衰バルブの下流側を連通するバイパス通路と、該バイパス通路に設けられ、作動流体の流動により減衰力を生じさせる減衰力発生機構と、を有する。
上述の態様によれば、生産性を向上させることが可能となる。
本発明に係る第1実施形態の緩衝器を示す断面図である。 本発明に係る第1実施形態の緩衝器の要部を示す部分断面図である。 本発明に係る第1実施形態の緩衝器の伸び側の第1,第2減衰力発生機構を示す部分片側断面図である。 本発明に係る第1実施形態の緩衝器の要部の油圧回路図である。 本発明に係る第1実施形態の緩衝器の要部における油液の流れを説明する部分断面図である。 本発明に係る第1実施形態の緩衝器の要部における油液の流れを説明する部分断面図である。 本発明に係る第1実施形態の緩衝器の要部における油液の流れを説明する部分断面図である。 本発明に係る第2実施形態の緩衝器の要部の構成を示す部分断面図である。 本発明に係る第3実施形態の緩衝器の要部の構成を示す部分断面図である。
[第1実施形態]
第1実施形態の減衰力発生機構を含む緩衝器(Shock absorber)について、図1~図7を参照しつつ以下に説明する。なお、以下においては、説明の便宜上、図1~図3,図5~図9における上側を「上」とし、図1~図3,図5~図9における下側を「下」として説明する。
図1に示すように、第1実施形態の緩衝器1は複筒型の油圧緩衝器である。緩衝器1は車両のサスペンション装置に用いられるものである。緩衝器1は、作動流体としての油液(図示略)が封入されるシリンダ2を備えている。シリンダ2は内筒3と外筒4とを有している。内筒3は円筒状である。外筒4は有底の円筒状である。外筒4の内径は内筒3の外径よりも大径である。内筒3は外筒4の径方向の内側に配置されている。内筒3の中心軸線と外筒4の中心軸線とは一致する。内筒3と外筒4との間はリザーバ室6となっている。緩衝器1はカバー5を有している。カバー5は外筒4の上部開口側を覆っている。
外筒4は胴部材11と底部材12とを有している。胴部材11は円筒状である。底部材12は有底円筒状である。底部材12は、胴部材11の下部側に嵌合されて溶接により固定されている。底部材12は胴部材11の下部を閉塞している。底部材12には、その軸方向において胴部材11とは反対となる外側に取付アイ13が固定されている。カバー5は、胴部材11の上端開口部を覆いつつ胴部材11の外周面に固定されている。
緩衝器1はピストン18を備えている。ピストン18は、シリンダ2の内筒3内に摺動可能に嵌装されている。ピストン18は、内筒3内を上室19および下室20の2つの室に区画している。シリンダ2の軸方向において上室19はピストン18よりも底部材12とは反対側にある。シリンダ2の軸方向において下室20はピストン18よりも底部材12側にある。内筒3内の上室19および下室20内には作動流体としての油液が封入されている。内筒3と外筒4との間のリザーバ室6内には作動流体としての油液とガスとが封入されている。
緩衝器1はピストンロッド21を備えている。ピストンロッド21は、その軸方向における一端側がシリンダ2の内筒3内に配置されている。ピストンロッド21は、この一端部がピストン18に連結されている。ピストンロッド21は、その軸方向における、この一端部とは反対側の他端側がシリンダ2からシリンダ2の外部に延出している。ピストン18はピストンロッド21に固定されている。このため、ピストン18およびピストンロッド21は一体に移動する。緩衝器1は、ピストンロッド21がシリンダ2からの突出量を増やす方向に移動する行程が、全長が伸びる伸び行程である。緩衝器1は、ピストンロッド21がシリンダ2からの突出量を減らす方向に移動する行程が、全長が縮む縮み行程である。緩衝器1は、伸び行程においてピストン18が上室19側へ移動する。緩衝器1は、縮み行程においてピストン18が下室20側へ移動する。
内筒3の上端開口側および外筒4の上端開口側には、ロッドガイド22が嵌合されている。外筒4にはロッドガイド22よりも上側にシール部材23が嵌合されている。ロッドガイド22とシール部材23との間には摩擦部材24が設けられている。ロッドガイド22、シール部材23および摩擦部材24は、いずれも円環状である。ピストンロッド21は、ロッドガイド22、摩擦部材24およびシール部材23のそれぞれに対して、これらの軸方向に沿って摺動する。ピストンロッド21は、シリンダ2の内部から、シール部材23よりもシリンダ2の外部側に延出している。
ロッドガイド22はピストンロッド21がシリンダ2の内筒3および外筒4に対して径方向に移動することを規制する。ロッドガイド22にピストンロッド21が嵌合されると共にピストン18が内筒3内に嵌合される。これにより、ピストンロッド21の中心軸線とシリンダ2の中心軸線とが一致する。ロッドガイド22はピストンロッド21をピストンロッド21の軸方向に移動可能に支持する。シール部材23は、その外周部が外筒4に密着する。シール部材23は、その内周部がピストンロッド21の外周部に密着する。ピストンロッド21は、シール部材23に対してシール部材23の軸方向に移動する。シール部材23は、内筒3内の油液と、リザーバ室6内の高圧ガスおよび油液とが外部に漏れ出すのを抑制する。摩擦部材24は、その内周部がピストンロッド21の外周部に接触する。ピストンロッド21は、摩擦部材24に対して摩擦部材24の軸方向に移動する。摩擦部材24はピストンロッド21に対する摩擦抵抗を発生させる。
ロッドガイド22は、その外周部が、下部よりも上部の方が大径となっている。ロッドガイド22は、小径の下部において内筒3の上端の内周部に嵌合する。ロッドガイド22は、大径の上部において外筒4の上部の内周部に嵌合する。外筒4の底部材12上にはベースバルブ25が設置されている。ベースバルブ25は外筒4に対して径方向に位置決めされている。ベースバルブ25は下室20とリザーバ室6とを区画している。ベースバルブ25に内筒3の下端の内周部が嵌合されている。外筒4の上端部は、図示は略すがその一部が外筒4の径方向における内側に加締められている。シール部材23は、この加締め部分とロッドガイド22とに挟まれることでシリンダ2に固定されている。
ピストンロッド21は主軸部27と取付軸部28とを有している。取付軸部28は、その外径が主軸部27の外径よりも小径である。取付軸部28はシリンダ2内に配置されている。取付軸部28にピストン18が取り付けられている。主軸部27は、軸段部29を有している。軸段部29は、主軸部27の取付軸部28側の端部に設けられている。軸段部29は、ピストンロッド21の中心軸線に対して直交する方向に広がっている。ピストンロッド21には、取付軸部28の外周部に通路溝30が形成されている。通路溝30は、取付軸部28の軸方向に延びている。通路溝30は、取付軸部28の周方向に間隔をあけて複数形成されている。取付軸部28には、取付軸部28の軸方向における通路溝30よりも主軸部27とは反対側の端部の外周部にオネジ31が形成されている。
ピストンロッド21には、円環状のストッパ部材32と円環状の緩衝体33とが設けられている。ストッパ部材32および緩衝体33は、いずれも、主軸部27のピストン18とロッドガイド22との間の部分に設けられている。ストッパ部材32および緩衝体33は、内周側にピストンロッド21が挿入されている。ストッパ部材32は、加締められて主軸部27に固定されている。緩衝体33は、ストッパ部材32とロッドガイド22との間に配置されている。
緩衝器1は、例えばピストンロッド21のシリンダ2から突出する部分が上部に配置されて車両の車体に連結される。その際に、緩衝器1は、シリンダ2側に設けられた取付アイ13が下部に配置されて車両の車輪側に連結される。緩衝器1は、これとは逆に、シリンダ2側が車体に連結されるようにしても良い。この場合、緩衝器1は、ピストンロッド21が車輪側に連結される。
車両においては、その走行に伴って車体に対して車輪が振動する。すると、緩衝器1は、この振動に伴ってシリンダ2とピストンロッド21との位置が相対的に変化する。この変化は、緩衝器1に設けられた流路の流体抵抗により抑制される。以下で説明するとおり緩衝器1に設けられた流路の流体抵抗は、上記した振動の速度や振幅により異なるように作られている。緩衝器1が振動を抑制することにより、車両の乗り心地が改善される。
また、車両においては、シリンダ2とピストンロッド21との間に、車輪が車体に対して発生する振動の他に、車両の走行に伴って車体に発生する慣性力や遠心力も作用する。例えばハンドル操作により走行方向が変化することにより車体に遠心力が発生する。すると、この遠心力に基づく力がシリンダ2とピストンロッド21との間に作用する。以下で説明するとおり、緩衝器1は、車両の走行に伴って車体に発生する力に基づく振動に対して良好な特性を有している。緩衝器1によって車両に高い走行安定性が得られる。
図2に示すように、ピストン18はピストン本体35と摺動部材36とを有している。ピストン本体35は、金属製であり、円環状である。ピストン18は、ピストン本体35がピストンロッド21に嵌合される。摺動部材36は合成樹脂製であり、円環状である。摺動部材36はピストン本体35の外周面に一体的に装着されている。ピストン18は、摺動部材36が内筒3に接触した状態で内筒3に対して摺動する。
ピストン本体35には、通路穴37と通路溝38と通路穴39と通路溝40とが設けられている。通路穴37は、ピストン本体35をピストン本体35の軸方向に貫通している。通路穴37は、ピストン本体35に、ピストン本体35の円周方向に間隔をあけて複数(図2においては断面とした関係上一箇所のみ図示)形成されている。通路穴39は、ピストン本体35をピストン本体35の軸方向に貫通している。通路穴39は、ピストン本体35に、ピストン本体35の円周方向に間隔をあけて複数(図2においては断面とした関係上一箇所のみ図示)形成されている。ピストン本体35には、ピストン本体35の周方向において通路穴37と通路穴39とが一箇所ずつ交互に等ピッチで形成されている。
通路溝38は、ピストン本体35に、ピストン本体35の円周方向に円環状をなして形成されている。通路溝38は、ピストン本体35の軸方向における一端部に形成されている。全ての通路穴37は、ピストン本体35の軸方向における、この一端部側が通路溝38に開口している。通路溝40は、ピストン本体35に、ピストン本体35の円周方向に円環状をなして形成されている。通路溝40は、ピストン本体35の軸方向における通路溝38とは反対側の他端部に形成されている。全ての通路穴39は、ピストン本体35の軸方向における通路溝38とは反対側の端部が通路溝40に開口している。複数の通路穴37は、ピストン本体35の軸方向における通路溝38とは反対側の端部が、ピストン本体35の径方向において通路溝40よりも外側に開口している。複数の通路穴39は、ピストン本体35の軸方向における通路溝40とは反対側の端部が、ピストン本体35の径方向において通路溝38よりも外側に開口している。ピストン18は、複数の通路穴37の内側と通路溝38の内側とが第1通路43となっている。ピストン18は、複数の通路穴39の内側と通路溝40の内側とが第1通路44となっている。
第1通路43には第1減衰力発生機構41が設けられている。第1減衰力発生機構41は、第1通路43を開閉して減衰力を発生させる。第1減衰力発生機構41は、ピストン18の軸方向における一端側である下室20側に配置されて、ピストンロッド21に取り付けられている。これにより、第1通路43は、ピストン18の上室19側への移動によって上室19から下室20に向けて作動流体としての油液が流れ出す通路となる。つまり、第1通路43は、伸び行程において上室19から下室20に向けて作動流体としての油液が流れ出す通路である。第1減衰力発生機構41は、伸び行程において生じる第1通路43から下室20への油液の流動を抑制して減衰力を発生させる伸び側の減衰力発生機構となっている。
第1通路44には第1減衰力発生機構42が設けられている。第1減衰力発生機構42は、第1通路44を開閉して減衰力を発生させる。第1減衰力発生機構42は、ピストン18の軸方向における他端側である上室19側に配置されて、ピストンロッド21に取り付けられている。これにより、第1通路44は、ピストン18の下室20側への移動によって下室20から上室19に向けて油液が流れ出す通路となる。つまり、第1通路44は、縮み行程において下室20から上室19に向けて油液が流れ出す通路である。第1減衰力発生機構42は、縮み行程において生じる第1通路44から上室19への油液の流動を抑制して減衰力を発生させる縮み側の減衰力発生機構となっている。
ピストン本体35は、その径方向の中央に挿通穴45が、ピストン本体35の軸方向に貫通して形成されている。挿通穴45は、ピストンロッド21の取付軸部28を挿通させる。挿通穴45は小径穴部46と大径穴部47とを有している。大径穴部47は、小径穴部46よりも大径である。ピストン本体35は、その小径穴部46にピストンロッド21の取付軸部28が嵌合される。挿通穴45の軸方向において大径穴部47は小径穴部46よりも下室20側にある。ピストン18の大径穴部47内の通路は、ピストンロッド21の通路溝30内の通路と連通している。
ピストン本体35の軸方向の下室20側の端部にはバルブシート部48が形成されている。バルブシート部48は円環状である。バルブシート部48は、通路溝38の下室20側の開口よりもピストン本体35の径方向における外側に配置されている。バルブシート部48は、第1減衰力発生機構41の一部を構成する。
ピストン本体35の軸方向の上室19側の端部にはバルブシート部49が形成されている。バルブシート部49は円環状である。バルブシート部49は、通路溝40の上室19側の開口よりもピストン本体35の径方向における外側に配置されている。バルブシート部49は、第1減衰力発生機構42の一部を構成する。
ピストン本体35には、ピストン本体35の径方向におけるバルブシート部48の通路溝38とは反対側に、全ての通路穴39内の下室20側の開口が配置されている。ピストン本体35には、ピストン本体35の径方向におけるバルブシート部49の通路溝40とは反対側に、全ての通路穴37の上室19側の開口が配置されている。
図3に示すように、ピストン18の軸方向におけるバルブシート部48側には、ピストン18の軸方向においてピストン18側から順に、一枚のディスク50と、一枚のディスク51と、一枚の減衰バルブ本体52と、一枚のディスク53と、一枚のディスク54と、一つのパイロットケース56と、複数枚のディスク57と、一枚のディスク58と、一枚のディスク59と、一枚の環状部材60とが設けられている。ディスク50,51,53,54,57~59、パイロットケース56および環状部材60は、いずれも金属製である。ディスク50,51,53,54,57~59および環状部材60は、いずれも一定厚さの有孔の円形平板状である。ディスク50,51,53,54,57~59および環状部材60は、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合させている。減衰バルブ本体52およびパイロットケース56は、いずれも円環状である。減衰バルブ本体52およびパイロットケース56は、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合させている。
図2に示すように、パイロットケース56は有底筒状である。パイロットケース56は焼結により全体が継ぎ目なく一体に成形されている。パイロットケース56には、その径方向における中央に貫通孔70が形成されている。貫通孔70はパイロットケース56をその軸方向に貫通している。パイロットケース56は、底部71と内側円筒状部72と外側円筒状部73と内側シート部74とバルブシート部75とを有している。
底部71は円板状である。底部71には、貫通孔70よりも径方向外側に、底部71を底部71の軸方向に貫通する通路穴81が形成されている。
内側円筒状部72は、円筒状であり、底部71の内周縁部から底部71の軸方向に沿って一側に突出している。内側円筒状部72は、底部71の径方向における通路穴81よりも内側に設けられている。
外側円筒状部73は、円筒状であり、底部71の外周縁部から底部71の軸方向に沿って内側円筒状部72と同側に突出している。外側円筒状部73は、内径部82および内径部83を有している。内径部82は、外側円筒状部73の軸方向において内径部83よりも底部71側に形成されている。内径部83は、外側円筒状部73の軸方向において内径部82よりも底部71とは反対側に形成されている。内径部82の内径は、内径部83の内径よりも小径である。外側円筒状部73は、底部71側の内径部82が、底部71の径方向における通路穴81よりも外側に設けられている。よって、通路穴81は、底部71の径方向における内側円筒状部72と外側円筒状部73との間に配置されている。
内側シート部74は、円環状であり、底部71の内周縁部から軸方向の内側円筒状部72とは反対側に突出している。
バルブシート部75は、内側シート部74の径方向外側で底部71の軸方向に沿って底部71から内側シート部74と同側に突出している。バルブシート部75は、円形ではない花びら型の異形シートである。バルブシート部75は、複数(図2においては断面とした関係上一箇所のみ図示)のバルブシート構成部91を有している。これらのバルブシート構成部91は、同形状であり、パイロットケース56の周方向に等間隔で配置されている。内側シート部74は、パイロットケース56の中心軸線を中心とする円環状をなしている。複数のバルブシート構成部91は、内側シート部74から放射状に延出している。
各バルブシート構成部91の内側には通路凹部92が形成されている。通路凹部92は、内側シート部74の一部とバルブシート構成部91とで囲まれて形成されている。通路凹部92は、内側シート部74の突出側の先端面とバルブシート構成部91の突出側の先端面とからパイロットケース56の軸方向に凹んでいる。通路凹部92の底面は底部71によって形成されている。すべてのバルブシート構成部91の内側に通路凹部92が形成されている。
内側シート部74には、内側シート部74を内側シート部74の径方向に貫通する通路溝95が形成されている。通路溝95は、通路凹部92内に開口している。通路穴81は、底部71の周方向において隣り合うバルブシート構成部91とバルブシート構成部91との間に配置されている。よって、通路穴81は、通路凹部92内には開口していない。
貫通孔70は、大径穴部101と小径穴部102と大径穴部103とを有している。大径穴部101および大径穴部103は、いずれも小径穴部102よりも大径である。小径穴部102は、貫通孔70の軸方向の中間位置に配置されている。大径穴部101は、貫通孔70の軸方向の一端側に配置されている。パイロットケース56の軸方向において、大径穴部101および小径穴部102は、内側円筒状部72と位置を重ね合わせている。大径穴部103は、貫通孔70の軸方向における大径穴部101とは反対側の他端部に配置されている。パイロットケース56の軸方向において、大径穴部103は、内側シート部74と位置を重ね合わせている。貫通孔70には、小径穴部102にピストンロッド21の取付軸部28が嵌合される。ピストンロッド21の軸方向において、大径穴部101,103は、ピストンロッド21の通路溝30と位置を重ね合わせている。パイロットケース56は、大径穴部101内の通路と大径穴部103内の通路とがピストンロッド21の通路溝30内の通路と連通している。
パイロットケース56内には可変部材111が設けられている。可変部材111は金属環112とシール113とからなっている。
金属環112は、金属製であり、円環状である。金属環112は固定部121と内フランジ部122とを有している。固定部121は円筒状である。内フランジ部122は、固定部121の軸方向における一端から固定部121の径方向における内側に広がっている。内フランジ部122は有孔の円板状である。金属環112は、一枚の板材からプレス成形により継ぎ目なく一体に形成されている。金属環112は、その中心軸線を含む面での断面がL字状である。
シール113は、ゴム弾性をもったゴム製であり、円環状である。シール113は、金属環112の固定部121と内フランジ部122とに焼き着けによって接着されている。よって、金属環112はシール113と一体的に形成されている。シール113は、固定部121の軸方向における内フランジ部122側の内周面と、内フランジ部122の軸方向における固定部121側の端面と、内フランジ部122の内周面とに接着されている。シール113は、固定部121および内フランジ部122の内面からこれらの径方向における内側に、内側ほど固定部121および内フランジ部122の軸方向において内フランジ部122から離れるように延出している。言い換えれば、シール113は、金属環112の軸方向において内フランジ部122から離れる方向に縮径しつつ延出している。
可変部材111は、その金属環112の固定部121がパイロットケース56の外側円筒状部73の内径部82に圧入代をもって圧入されて固定される。この状態で、金属環112は、内フランジ部122がパイロットケース56の底部71に当接する。また、この状態で、可変部材111は、シール113が、パイロットケース56の軸方向において底部71から離れる方向に縮径しつつ延出する。また、この状態で、シール113は、その内径側がパイロットケース56の内側円筒状部72の外周面に、全周にわたって締め代をもって当接する。また、この状態で、シール113は、底部71側の端面が底部71に当接する。シール113の底部71側の端面の内径は、底部71の径方向の中央から通路穴81までの最短距離の2倍よりも大きい。よって、シール113は、底部71側の端面で底部71の通路穴81を閉塞することはない。
シール113は、内側円筒状部72の外周面に当接する内径部分がシール部131となっている。シール113は、その軸方向におけるシール部131よりも底部71とは反対側の部分が第1受圧部132(受圧部)となっている。シール113は、その軸方向におけるシール部131よりも底部71側の部分が第2受圧部133となっている。シール113は、第2受圧部133とシール部131とがリップ部134を構成している。
図3に示すように、ディスク50は、ピストン18のバルブシート部48の内径よりも小径の外径となっている。ディスク50には切欠141が形成されている。切欠141は、ディスク50の取付軸部28に嵌合する内周縁部から径方向外側に延在している。切欠141内は絞り142となっている。絞り142は、ピストン18の第1通路43に常時連通している。ここで、ピストン18の大径穴部47内の通路と、パイロットケース56の大径穴部101,103内の通路と、ピストンロッド21の通路溝30内の通路とがロッド室145を形成している。第1通路43は、切欠141内の絞り142を介してロッド室145に常時連通している。
ディスク51は、ピストン18のバルブシート部48の外径よりも大径の外径となっている。ディスク51は、バルブシート部48に当接している。ディスク51は、バルブシート部48に対し離間および当接することでピストン18に形成された第1通路43の下室20側の開口を開閉する。ディスク51には、外周側に切欠151が形成されている。切欠151は、バルブシート部48を径方向に横断している。切欠151の内側が、第1通路43を下室20に常時連通させる固定オリフィス152となっている。
減衰バルブ本体52はディスク155とシール部材156とからなっている。ディスク155は、金属製であり、有孔の円形平板状である。ディスク155は、ディスク51の外径よりも若干大径の外径となっている。ディスク155は、内側にピストンロッド21の取付軸部28が嵌合される。シール部材156は、ゴム製であり、ディスク155に接着されている。シール部材156は、ディスク155の外周側に固着されており、円環状をなしている。シール部材156は、パイロットケース56の外側円筒状部73の内径部83に全周にわたり液密的に嵌合している。シール部材156は、パイロットケース56の内径部83に対し軸方向に摺動可能である。シール部材156は、減衰バルブ本体52と外側円筒状部73との隙間を常時シールする。
ディスク53は、その外径が、シール部材156の最小内径よりも小径となっている。ディスク54は、その外径が、ディスク53の外径よりも大径かつシール部材156の最小内径よりも小径となっている。ディスク54には切欠161が形成されている。切欠161は、ディスク54の取付軸部28に嵌合する内周縁部から径方向外側に延在している。切欠161内は絞り162となっている。絞り162は、ロッド室145に常時連通している。
可変部材111のシール113がシール部131において内側円筒状部72の外周面に当接した状態で、パイロットケース56の内側円筒状部72および外側円筒状部73と、減衰バルブ本体52およびディスク53,54と、可変部材111との間が、パイロット室171となる。パイロット室171は、絞り162を介してロッド室145と常時連通する。また、この状態で、パイロットケース56の内側円筒状部72および底部71と、可変部材111との間が、可変室172となる。
図2に示すように、可変室172は、通路穴81を介して下室20に常時連通している。このように、パイロットケース56は、その内側に、減衰バルブ本体52とディスク53,54と可変部材111とによってパイロット室171と可変室172とを形成する。可変部材111は、パイロットケース56内に設けられて、パイロットケース56内にパイロット室171と可変室172とを画成する。
可変部材111は、そのシール113がシール部131において内側円筒状部72の外周面に当接する状態においては、パイロット室171と可変室172との間の油液の流通を遮断する。また、可変部材111は、そのシール113が内側円筒状部72の外周面から離間する状態では、可変室172とパイロット室171との間の油液の流通を許容する。ここで、可変部材111のシール113は、リップ部134の第2受圧部133が受ける可変室172側の圧力が、第1受圧部132が受けるパイロット室171側の圧力よりも所定値以上高くなると、可変室172からパイロット室171への油液の流通を許容する。可変部材111のシール113は、第1受圧部132が受けるパイロット室171側の圧力が、第2受圧部133が受ける可変室172側の圧力よりも高い状態では、パイロット室171から可変室172への油液の流通を規制する。よって、可変部材111のシール113とパイロットケース56の内側円筒状部72とがチェック弁175を構成している。チェック弁175は、パイロット室171側から可変室172側への油液の流れを規制する一方、可変室172側からパイロット室171側への油液の流れを許容する。
ディスク51は、ピストン18のバルブシート部48に着座可能である。ディスク51および減衰バルブ本体52が、減衰バルブ181を構成している。減衰バルブ181は、ピストン18に形成された第1通路43に設けられてピストン18の伸び側への摺動によって生じる油液の流れを抑制して減衰力を発生させる。
減衰バルブ181は、ピストン18のバルブシート部48と共に第1減衰力発生機構41を構成している。減衰バルブ181は、そのディスク51がバルブシート部48から離座して開く。すると、減衰バルブ181は、第1通路43からの油液を、バルブシート部48との間を介して下室20に流す。第1通路43は、ピストン18の上室19側への移動によって上室19内の油液が流動する伸び側の通路となる。第1通路43は、伸び行程において、一方の上室19から他方の下室20に向けて作動流体としての油液が流れ出す伸び側の通路となる。バルブシート部48と減衰バルブ181とからなる伸び側の第1減衰力発生機構41は、第1通路43に設けられており、減衰バルブ181でこの第1通路43を開閉して油液の流動を抑制することにより減衰力を発生させる。減衰バルブ181は、第1通路43に設けられ、作動流体である油液の流動により流路面積を変化させる。
第1通路43は、伸び行程における油液の流れ方向の減衰バルブ181の上流側の通路となる。ロッド室145と絞り162とが第2通路192を構成している。第2通路192は、絞り142を介して第1通路43と連通している。
パイロットケース56の通路穴81内が第3通路193を構成している。第3通路193は、伸び行程における油液の流れ方向の減衰バルブ181の下流側となる下室20と連通する。
パイロット室171および可変室172は、第2通路192と第3通路193とを連通可能な連通部195を構成している。この連通部195に可変部材111が設けられている。チェック弁175も連通部195に設けられている。可変部材111のシール113のシール部131は、第2通路192から連通部195を介する第3通路193への油液の流動を抑制する。可変部材111のシール113の第1受圧部132は、第2通路192の圧力を受圧する。シール113のリップ部134は、第2受圧部133が受ける圧力によって、第3通路193から連通部195を介する第2通路192への油液の流れを許容する。
パイロット室171は第2通路192に連通している。パイロット室171は、減衰バルブ181に、ピストン18の方向、つまりディスク51をバルブシート部48に着座させる閉弁方向に内圧を作用させる。言い換えれば、パイロット室171は、内部の圧力によって、減衰バルブ181に、その流路面積が減少する方向の力を生じさせる。減衰バルブ181は、このパイロット室171の圧力により開弁が調整される。すなわち、減衰バルブ181を含む第1減衰力発生機構41は、パイロット室171の圧力により開弁が調整される。
複数枚のディスク57は、同外径であり、バルブシート部75の先端面の最大外径よりも若干大径の外径となっている。複数枚のディスク57が、バルブシート部75に離着座可能なディスクバルブ201を構成している。パイロットケース56の通路溝95内の通路と、通路凹部92内の通路とがバイパス通路205となっている。バイパス通路205は、第2通路192と、伸び行程において油液の流れ方向の減衰バルブ181の下流側となる下室20とを連通可能となっている。バルブシート部75とディスクバルブ201とが、バイパス通路205に設けられてバイパス通路205を開閉する第2減衰力発生機構211(減衰力発生機構)を構成している。第2減衰力発生機構211は、ディスクバルブ201がバルブシート部75から離座すると、バイパス通路205を介して第2通路192と下室20とを連通させる。その際に、第2減衰力発生機構211は、第2通路192と下室20との間の油液の流れを抑制して減衰力を発生させる。第2減衰力発生機構211は、バイパス通路205に設けられて油液の流動により減衰力を発生させる。バイパス通路205は、チェック弁175の開弁時に下室20と第2通路192とを連通させる第3通路193および連通部195と並列に設けられて、第2通路192と下室20とを連通させる。
ディスク58は、その外径が内側シート部74の外径と同等である。ディスク59は、その外径が、ディスク58の外径よりも大径かつディスクバルブ201の外径よりも小径である。環状部材60は、その外径が、ディスク58の外径よりも大径かつディスク59の外径よりも小径である。環状部材60は、その剛性がディスクバルブ201の剛性よりも高い。ディスク59および環状部材60は、ディスクバルブ201の開方向への変形時にディスクバルブ201に当接してディスクバルブ201の開方向への規定以上の変形を抑制する。
チェック弁175は、上室19、第1通路43、絞り142、第2通路192およびパイロット室171から、可変室172、第3通路193および下室20への油液の流れを規制する。チェック弁175は、下室20、第3通路193および可変室172から、パイロット室171、第2通路192、絞り142、第1通路43および上室19への油液の流れを許容する。
縮み側の第1減衰力発生機構42は、ピストン18の軸方向におけるバルブシート部49側に、ピストン18の軸方向においてピストン18側から順に、一枚のディスク221と、一枚のディスク222と、複数枚のディスク223と、複数枚のディスク224と、一枚のディスク225と、一枚のディスク226と、一枚の環状部材227とを有している。ディスク221~226および環状部材227は、金属製であり、一定厚さの有孔の円形平板状である。ディスク221~226および環状部材227は、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合させている。
ディスク221は、ピストン18のバルブシート部49の内径よりも小径の外径となっている。ディスク222は、ピストン18のバルブシート部49の外径よりも若干大径の外径となっている。ディスク222は、バルブシート部49に着座可能となっている。ディスク222には、外周側に切欠231が形成されている。切欠231はバルブシート部49を径方向に横断している。
複数枚のディスク223は、同外径であり、ディスク222の外径と同等の外径となっている。複数枚のディスク224は、同外径であり、ディスク223の外径よりも小径の外径となっている。ディスク225は、ディスク224の外径よりも小径の外径となっている。ディスク226は、ディスク224の外径よりも大径かつディスク223の外径よりも小径の外径となっている。環状部材227は、ディスク226の外径よりも小径の外径となっている。環状部材227は、ディスク221~226よりも厚く高剛性となっている。この環状部材227は、ピストンロッド21の軸段部29に当接している。
ディスク222~224が、バルブシート部49に離着座可能なディスクバルブ235を構成している。ディスクバルブ235は、ピストン18のバルブシート部49と共に第1減衰力発生機構42を構成している。ディスク222の切欠231の内側は、ディスク222がバルブシート部49に当接状態にあっても上室19と下室20とを連通させる固定オリフィス238となっている。ディスクバルブ235は、バルブシート部49から離座して開く。すると、ディスクバルブ235は、第1通路44からの油液を、バルブシート部49との間を介して上室19に流す。第1通路44は、ピストン18の下室20側への移動によって下室20内の油液が流動する縮み側の通路となる。第1通路44は、縮み行程において、一方の下室20から他方の上室19に向けて作動流体としての油液が流れ出す縮み側の通路となる。バルブシート部49とディスクバルブ235とからなる縮み側の第1減衰力発生機構42は、第1通路44に設けられている。第1減衰力発生機構42は、ディスクバルブ235で第1通路44を開閉して油液の流動を抑制することにより減衰力を発生させる。ディスクバルブ235は、第1通路44に設けられ、作動流体である油液の流動により流路面積を変化させる。ディスク226および環状部材227はディスクバルブ235の開方向への規定以上の変形を抑制する。
パイロットケース56、減衰バルブ181、ディスク53,54および可変部材111は、ピストン18の往復動の周波数(以下、ピストン周波数と称す)に感応して減衰力を可変とする周波数感応機構243を構成している。周波数感応機構243は、その可変部材111のシール113が、ピストン18の往復動の周波数に応じて変形して、上室19に常時連通するパイロット室171の容量と、下室20に常時連通する可変室172の容量とを変化させる。
ピストンロッド21には、取付軸部28をそれぞれの内側に挿通させて、軸段部29に、環状部材227、ディスク226、ディスク225、複数枚のディスク224、複数枚のディスク223、ディスク222、ディスク221、ピストン18、ディスク50、ディスク51、減衰バルブ本体52、ディスク53、ディスク54、パイロットケース56、複数枚のディスク57、ディスク58、ディスク59および環状部材60が、この順に重ねられる。その際に、パイロットケース56は、減衰バルブ本体52のシール部材156を外側円筒状部73に嵌合させる。なお、このようなピストンロッド21へのパイロットケース56の組み付けよりも前に、パイロットケース56には、予め可変部材111が圧入により取り付けられている。
このように環状部材227から環状部材60までの部品がピストンロッド21に配置された状態で、環状部材60よりも突出する取付軸部28のオネジ31にナット245が螺合される。これにより、上記のように重ねられた環状部材227から環状部材60までの部品が、それぞれの内周側または全部がピストンロッド21の軸段部29とナット245とに挟持されて軸方向にクランプされる。
以上の構成の緩衝器1のピストン18の周辺部分の油圧回路図は、図4に示すようになる。図4に示すように、緩衝器1には、上室19と下室20とを結んで第1通路43が設けられている。第1通路43には、いずれも第1減衰力発生機構41を構成する減衰バルブ181および固定オリフィス152が並列に設けられている。また、上室19は、絞り142を介してロッド室145に連通している。ロッド室145は、絞り162を介して連通部195のパイロット室171に連通している。ロッド室145および絞り162が第2通路192を構成している。パイロット室171の圧力が減衰バルブ181に作用する。連通部195のパイロット室171と可変室172とはシール113で仕切られている。可変室172は第3通路193を介して下室20に連通している。ロッド室145にバイパス通路205が連通している。バイパス通路205には、ディスクバルブ201を含む第2減衰力発生機構211が設けられている。下室20とパイロット室171との間にチェック弁175が設けられている。下室20と上室19とを結んで第1通路44が設けられている。第1通路44には、いずれも第1減衰力発生機構42を構成するディスクバルブ235および固定オリフィス238が並列に設けられている。
図1に示すように、内筒3と外筒4の底部材12との間には、上記したベースバルブ25が設けられている。このベースバルブ25は、ベースバルブ部材251とディスクバルブ252とディスクバルブ253と取付ピン254とを有している。ベースバルブ25は、ベースバルブ部材251において底部材12に載置されており、ベースバルブ部材251において内筒3に嵌合している。ベースバルブ部材251は、下室20とリザーバ室6とを仕切っている。ディスクバルブ252は、ベースバルブ部材251の下側つまりリザーバ室6側に設けられている。ディスクバルブ253は、ベースバルブ部材251の上側つまり下室20側に設けられている。取付ピン254は、ベースバルブ部材251にディスクバルブ252およびディスクバルブ253を取り付けている。
ベースバルブ部材251は、円環状をなしており、径方向の中央に取付ピン254が挿通される。ベースバルブ部材251には、複数の通路穴255と複数の通路穴256とが形成されている。複数の通路穴255は、下室20とリザーバ室6との間で油液を流通させる。複数の通路穴256は、ベースバルブ部材251の径方向における複数の通路穴255の外側に配置されている。複数の通路穴256は、下室20とリザーバ室6との間で油液を流通させる。リザーバ室6側のディスクバルブ252は、下室20から通路穴255を介するリザーバ室6への油液の流れを許容する。その一方で、ディスクバルブ252はリザーバ室6から下室20への通路穴255を介する油液の流れを抑制する。ディスクバルブ253は、リザーバ室6から通路穴256を介する下室20への油液の流れを許容する。その一方で、ディスクバルブ253は、下室20からリザーバ室6への通路穴256を介する油液の流れを抑制する。
ディスクバルブ252は、ベースバルブ部材251とによって減衰バルブ機構257を構成している。減衰バルブ機構257は、緩衝器1の縮み行程において開弁して下室20からリザーバ室6に油液を流すとともに減衰力を発生させる。ディスクバルブ253は、ベースバルブ部材251とによってサクションバルブ機構258を構成している。サクションバルブ機構258は、緩衝器1の伸び行程において開弁してリザーバ室6から下室20内に油液を流す。なお、サクションバルブ機構258は、主としてピストンロッド21のシリンダ2からの伸び出しにより生じる液の不足分を補うようにリザーバ室6から下室20に実質的に減衰力を発生させることなく油液を流す機能を果たす。
次に、緩衝器1の作動について説明する。
<伸び行程において、ピストン周波数が低周波数の場合>
伸び行程において、ピストン周波数が低周波数の場合、ピストン18が伸び側に大きくストロークする。このため、このストロークの初期に、上室19から、第1通路43、絞り142および第2通路192を介してパイロット室171に油液が多く導入される。すると、周波数感応機構243のシール113が第1受圧部132で受けるパイロット室171の圧力によって底部71側に大きく変形する。その結果、ピストン18のストロークの初期に、周波数感応機構243のシール113が底部71側に限界近くまで変形し、その後は変形しにくくなって、パイロット室171の容積が拡大しにくくなる。
「伸び行程において、ピストン周波数が低周波数であり、ピストン速度が第1所定値v1よりも遅い低周波微低速域x1」
この低周波微低速域x1では、上記したように、ピストン18のストロークの初期にパイロット室171の容積が一旦拡大し、その後はパイロット室171の容積が拡大しにくい状態になる。また、この状態ではパイロット室171の圧力が高く、よって第1減衰力発生機構41の減衰バルブ181が開きにくい。そして、上室19からの油液が、第1通路43から第1減衰力発生機構41の固定オリフィス152を介して下室20に流れる。その結果、緩衝器1には、オリフィス特性の減衰力が発生する。オリフィス特性は、減衰力がピストン速度の2乗にほぼ比例する特性である。この低周波微低速域x1では、ピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対して比較的減衰力の上昇率が高い特性になる。
「伸び行程において、ピストン周波数が低周波数であり、ピストン速度が第1所定値v1以上の低周波低中高速域x2」
この低周波低中高速域x2における油液の流れを図5に太線矢印で示す。この低周波低中高速域x2においても、ピストン18のストロークの初期に、上室19からの油液が、第1通路43から絞り142および第2通路192を介してパイロット室171に多く導入される。よって、パイロット室171の容積は、一旦拡大し、その後は拡大しにくい状態になる。そして、低周波低中高速域x2では、パイロット室171の背圧による力よりも第1通路43から第1減衰力発生機構41の減衰バルブ181を開弁させる力の方が高くなる。このため、上室19からの油液が、第1通路43から第1減衰力発生機構41の減衰バルブ181を開いて下室20に流れる。また、低周波低中高速域x2では、パイロット室171の圧力が高圧となることから、第2通路192およびバイパス通路205も高圧となり、よって、上室19からの油液が、第2通路192およびバイパス通路205から、第2減衰力発生機構211のディスクバルブ201を開弁させて、下室20に流れる。その結果、緩衝器1には、バルブ特性の減衰力が発生する。バルブ特性は、減衰力がピストン速度にほぼ比例する特性である。低周波低中高速域x2では、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇率が、低周波微低速域x1での上昇率よりも下がる。
<伸び行程において、ピストン周波数が上記の低周波数よりも高周波数の場合>
伸び行程において、ピストン周波数が高周波数の場合、ピストン18の伸び側へのストロークは低周波数の時よりも小さい。このため、ピストン18のストロークによって、上室19から、第1通路43、絞り142および第2通路192を介してパイロット室171に導入される油液の量も、低周波数の時よりも少ない。よって、周波数感応機構243のシール113が第1受圧部132で受けるパイロット室171の圧力によって変形する量も低周波数の時よりも小さい。その結果、周波数感応機構243のシール113が限界近くまで変形することはなく、変形し易い状態に維持される。
「伸び行程において、ピストン周波数が上記の低周波数よりも高周波数であり、ピストン速度が第2所定値v2よりも遅い高周波微低速域x3」
この高周波微低速域x3では、上室19の油液が、第1通路43から固定オリフィス152を介して下室20に流れることになるが、一方で、上室19からパイロット室171にも導入される。パイロット室171に導入された油液は、周波数感応機構243のシール113の変形で吸収される。よって、第1通路43から固定オリフィス152を介して下室20に流れる油液の液量が低周波微低速域x1よりも減る。このため、高周波微低速域x3は、低周波微低速域x1よりもソフトなオリフィス特性になる。
「伸び行程において、ピストン周波数が上記の低周波数よりも高周波数であり、ピストン速度が第2所定値v2以上の高周波低中高速域x4」
この高周波低中高速域x4における油液の流れを図6に太線矢印で示す。この高周波低中高速域x4では、上室19からの油液が、第1通路43、絞り142および第2通路192を介してパイロット室171に流れるが、その量は少ない。よって、周波数感応機構243のシール113が変形して、これを吸収する。よって、パイロット室171の圧力が低周波低中高速域x2よりも低くなる。このため、第1減衰力発生機構41の減衰バルブ181が低周波低中高速域x2よりも開き易くなる。これにより、高周波低中高速域x4では、上室19からの油液が、第1通路43から第1減衰力発生機構41の減衰バルブ181を開いて下室20に流れる際の減衰力が低周波低中高速域x2よりもソフトなバルブ特性になる。また、パイロット室171の圧力が低いことから、第2通路192およびバイパス通路205も低圧となり、第2減衰力発生機構211のディスクバルブ201は開弁しない。
<縮み行程において、ピストン周波数が低周波数の場合>
縮み行程において、ピストン周波数が低周波数の場合、ピストン18が縮み側に大きくストロークする。このため、このストロークの初期に、下室20から、第3通路193を介して可変室172に油液が多く導入される。すると、周波数感応機構243のシール113が第2受圧部133で受ける可変室172の圧力によって底部71とは反対側に大きく変形する。その結果、ピストン18のストロークの初期に、周波数感応機構243のシール113が底部71とは反対側に限界近くまで変形し、その後は変形しにくくなって、可変室172の容積が拡大しにくくなる。
「縮み行程において、ピストン周波数が低周波数であり、ピストン速度が第3所定値v3よりも遅い低周波微低速域y1」
この低周波微低速域y1では、上記したように、ピストン18のストロークの初期に可変室172の容積が一旦拡大し、その後は可変室172の容積が拡大しにくい状態になる。そして、下室20からの油液が、第1通路44から第1減衰力発生機構42の固定オリフィス238を介して上室19に流れる。その結果、緩衝器1には、オリフィス特性の減衰力が発生する。
「縮み行程において、ピストン周波数が低周波数であり、ピストン速度が第3所定値v3以上であって第4所定値v4よりも遅い低周波低速域y2」
この低周波低速域y2においても、ピストン18のストロークの初期に、下室20からの油液が、第3通路193から可変室172に多く流れる。よって、可変室172の容積は、一旦拡大し、その後は拡大しにくい状態になる。そして、下室20からの油液が、第1通路44から第1減衰力発生機構42のディスクバルブ235を開いて上室19に流れる。その結果、緩衝器1には、バルブ特性の減衰力が発生する。低周波低速域y2では、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇率が、低周波微低速域y1での上昇率よりも下がる。
「縮み行程において、ピストン周波数が低周波数であり、ピストン速度が第4所定値v4以上である低周波中高速域y3」
この低周波中高速域y3における油液の流れを図7に太線矢印で示す。この低周波中高速域y3では、下室20からの油液は、低周波低速域y2と同様、第1通路44から第1減衰力発生機構42のディスクバルブ235を開いて上室19に流れる。加えて、この低周波中高速域y3では、第3通路193を介して可変室172に導入された下室20からの油液が、シール113のリップ部134を低周波低速域y2よりも大きく変形させて、チェック弁175を開弁させる。すると、下室20からの油液は、第3通路193から可変室172、パイロット室171、第2通路192、絞り142および第1通路43を介して上室19に流れる。その結果、低周波中高速域y3では、ピストン速度の増加に対する減衰力の上昇率が、低周波低速域y2での上昇率よりも下がる。
<縮み行程において、ピストン周波数が上記の低周波数よりも高周波数の場合>
縮み行程において、ピストン周波数が高周波数の場合、ピストン18の縮み側へのストロークは低周波数の時よりも小さい。このため、ピストン18のストロークによって、下室20から、第3通路193を介して可変室172に導入される油液の量も、低周波数の時よりも少ない。よって、周波数感応機構243のシール113が第2受圧部133で受ける可変室172の圧力によって変形する量も低周波数の時よりも小さい。その結果、周波数感応機構243のシール113が限界近くまで変形することはなく、変形し易い状態に維持される。
「縮み行程において、ピストン周波数が上記の低周波数よりも高周波数であり、ピストン速度が第5所定値v5よりも遅い高周波微低速域y4」
この高周波微低速域y4では、下室20からの油液が、第1通路44から固定オリフィス238を介して上室19に流れることになるが、一方で、下室20から第3通路193を介して可変室172にも導入される。可変室172に導入された油液は、周波数感応機構243のシール113の変形で吸収される。よって、第1通路44から固定オリフィス238を介して上室19に流れる油液の液量が低周波微低速域y1よりも減る。このため、高周波微低速域y4は、低周波微低速域y1よりもソフトなオリフィス特性になる。
「縮み行程において、ピストン周波数が上記の低周波数よりも高周波数であり、ピストン速度が第4所定値v5以上の高周波低中高速域y5」
この高周波低中高速域y5でも、下室20からの油液が、第3通路193を介して可変室172に流れるが、その量は少ない。よって、周波数感応機構243のシール113が変形して、これを吸収する。これにより、高周波低中高速域y5では、下室20からの油液が、第1通路44から第1減衰力発生機構42のディスクバルブ235を開いて上室19に流れる際の減衰力が、低周波低速域y2および低周波中高速域y3よりもソフトなバルブ特性になる。この高周波低中高速域y5では、チェック弁175は開弁しない。
上記した特許文献1には、油液の流動により流路面積を変化させる減衰バルブに、高圧となる室からの圧力を背圧として閉弁方向に作用させる機構を設けた緩衝器が記載されている。特許文献1の緩衝器には、ピストンの周波数に応じて減衰力を可変とする減衰力可変機構が設けられている。緩衝器において、高機能化しつつ生産性を向上させることが求められている。例えば、ピストンの一方向の移動時に開弁する減衰バルブに、高圧となる室からの圧力を背圧として閉弁方向に作用させる機構を設ける。そして、これに加えて、ピストン周波数に応じて減衰力を可変とする機構を設ける。さらに、ピストンの逆方向の移動時に油液を流すチェック弁を設ける。このような構造とする場合においては高コストとなってしまうことが想定される。このような構造においても、生産性を向上させることが求められている。
これに対して、第1実施形態の緩衝器1は、伸び行程におけるピストン18の移動により上室19内の油液が流動する第1通路43を有している。また、緩衝器1は、第1通路43に設けられ、伸び行程における油液の流動により流路面積を変化させる減衰バルブ181を有している。また、緩衝器1は、伸び行程における減衰バルブ181の上流側と絞り142を介して連通する第2通路192を有している。また、緩衝器1は、伸び行程における減衰バルブ181の下流側である下室20と連通する第3通路193を有している。また、緩衝器1は、第2通路192と第3通路193とを連通可能な連通部195と、連通部195に設けられる可変部材111とを有している。また、緩衝器1は、第2通路192に連通し、内部の圧力によって、減衰バルブ181の流路面積が減少する方向の力を生じさせるパイロット室171を有している。また、緩衝器1は、第2通路192と、伸び行程における減衰バルブ181の下流側である下室20とを連通するバイパス通路205を有している。また、緩衝器1は、バイパス通路205に設けられ、油液の流動により減衰力を生じさせる第2減衰力発生機構211を有している。そして、可変部材111が、ゴム弾性をもった環状のシール113と、このシール113と一体的に形成される金属環112とからなっている。シール113は、伸び行程において第2通路192から第3通路193への油液の流動を抑制するシール部131と、第2通路192の圧力を受圧する第1受圧部132と、第3通路193から第2通路192への油液の流れを許容するリップ部134とを備えている。
上記のように、緩衝器1は、第1通路43の上室19から下室20への油液の流動により流路面積を変化させる減衰バルブ181に、その流路面積が減少する方向の力を生じさせるパイロット室171を有している。このパイロット室171は第2通路192と連通しており、第2通路192は第1通路43と連通している。また、緩衝器1は、下室20と連通する第3通路193と第2通路192との間に連通部195を設けている。この連通部195に、第2通路192から第3通路193への油液の流動を抑制するゴム弾性をもった環状のシール113を有している。緩衝器1は、このシール113が、シール部131で第2通路192から第3通路193への油液の流動を抑制しつつピストン周波数に応じて変形する。これにより、緩衝器1は、ピストン周波数に応じて減衰力を可変とすることができる。また、シール113は、第3通路193から第2通路192への油液の流れを許容するリップ部134を備えている。このため、緩衝器1は、シール113のリップ部134が、縮み行程において下室20から第3通路193、連通部195、第2通路192および第1通路43を介して上室19に油液を流すチェック弁175を構成する。すなわち、緩衝器1は、シール113が周波数感応機構243とチェック弁175とを構成している。このため、シール113と一体的に形成された金属環112については可動構造にする必要がなく、固定構造にすることができる。これにより、可変部材111を金属環112を用いて緩衝器1に容易に組み付けることができる。したがって、緩衝器1の生産性を向上させることができる。
また、緩衝器1は、パイロット室171を形成するパイロットケース56内に可変部材111が設けられている。すなわち、パイロットケース56内に可変部材111を設けることで周波数感応機構243およびチェック弁175を構成することができる。よって、緩衝器1は、周波数感応機構243およびチェック弁175を設けることによる部品点数の増大および軸方向長の増大を抑制することができる。
また、可変部材111が、パイロット室171を形成するパイロットケース56内に、金属環112において圧入により固定される。このため、可変部材111をパイロットケース56に予め組み付けてパイロットケース56と一体化しておいてから、ピストンロッド21に一部品として組み付けることができる。その結果、緩衝器1は、生産性をより一層向上させることができる。例えば、金属環112を使って可変部材111をパイロットケース56に圧入するサブ組み立ての自動化も可能になる。また、緩衝器1は、可変部材111が、パイロットケース56に圧入により確実に固定されるため、サブ組み立てされた状態での可変部材111のパイロットケース56からの脱落などの心配もない。また、緩衝器1は、パイロットケース56に圧入されて固定される金属環112でシール113を支持する構造である。このため、緩衝器1は、シール113の変形作動を安定させることができる。よって、緩衝器1は、減衰力性能の安定性を向上させることができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を主に図8に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第2実施形態の緩衝器1Aは、図8に示すように、パイロットケース56とは一部異なるパイロットケース56Aと、可変部材111とは一部異なる可変部材111Aとを有している。
パイロットケース56Aは、底部71とは一部異なる底部71Aと、内側円筒状部72とは一部異なる内側円筒状部72Aと、外側円筒状部73とは一部異なる外側円筒状部73Aとを有している。パイロットケース56Aも焼結により全体が継ぎ目なく一体に成形されている。
底部71Aは、底部71に対して、通路穴81と同様の通路穴81Aが通路穴81よりも底部71Aの径方向において外側にずれて形成されている点が異なっている。
内側円筒状部72Aは、内側円筒状部72に対して、内側円筒状部72よりも外径が大径である点が異なっている。内側円筒状部72Aは、底部71Aの径方向における通路穴81Aよりも内側に設けられている。
外側円筒状部73Aは、外側円筒状部73に対して、その内径部83Aが軸方向の全長にわたって内径部83と同等の内径となっている点が相違している。
可変部材111Aは金属環112Aとシール113Aとからなっている。
金属環112Aは、金属製であり、円環状である。金属環112Aは固定部121Aと外フランジ部122Aとを有している。固定部121Aは円筒状である。外フランジ部122Aは、固定部121Aの軸方向における一端から固定部121Aの径方向における外側に広がっている。外フランジ部122Aは有孔の円板状である。金属環112Aは、一枚の板材からプレス成形により継ぎ目なく一体に形成されている。金属環112Aは、その中心軸線を含む面での断面がL字状である。
シール113Aは、ゴム弾性をもったゴム製であり、円環状である。シール113Aは、金属環112Aの固定部121Aと外フランジ部122Aとに焼き着けによって接着されている。よって、金属環112Aはシール113Aと一体的に形成されている。シール113Aは、固定部121Aの軸方向における外フランジ部122A側の外周面と、外フランジ部122Aの軸方向における固定部121A側の端面と、外フランジ部122Aの外周面とに接着されている。シール113Aは、固定部121Aおよび外フランジ部122Aの外面からこれらの径方向における外側に、外側ほど固定部121Aおよび外フランジ部122Aの軸方向において外フランジ部122Aから離れるように延出している。言い換えれば、シール113Aは、金属環112Aの軸方向において外フランジ部122Aから離れる方向に拡径しつつ延出している。
可変部材111Aは、その金属環112Aの固定部121Aがパイロットケース56Aの内側円筒状部72Aの外周部に圧入代をもって圧入されて固定される。この状態で、金属環112Aは、外フランジ部122Aがパイロットケース56Aの底部71Aに当接する。また、この状態で、可変部材111Aは、シール113Aが、パイロットケース56Aの軸方向において底部71Aから離れる方向に拡径しつつ延出する。また、この状態で、シール113Aは、その外径側がパイロットケース56Aの外側円筒状部73Aの内径部83Aに、全周にわたって締め代をもって当接する。また、この状態で、シール113Aは、底部71A側の端面が底部71Aに当接する。シール113Aの底部71A側の端面の外径は、底部71Aの径方向の中央から通路穴81Aまでの最長距離の2倍よりも小さい。シール113Aは、底部71A側の端面で底部71Aの通路穴81Aを閉塞することはない。
シール113Aは、外側円筒状部73Aの内径部83Aに当接する外径部分がシール部131Aとなっている。シール113Aは、その軸方向における底部71Aとは反対側の部分が第1受圧部132A(受圧部)となっている。シール113Aは、その軸方向における底部71A側の部分が第2受圧部133Aとなっている。シール113Aは、第2受圧部133Aとシール部131Aとがリップ部134Aを構成している。
可変部材111Aのシール113Aがシール部131Aにおいて外側円筒状部73Aの内径部83Aに当接した状態で、パイロットケース56Aの内側円筒状部72Aおよび外側円筒状部73Aと、減衰バルブ本体52およびディスク53,54と、可変部材111Aとの間が、パイロット室171Aとなる。パイロット室171Aは、絞り162を介してロッド室145と常時連通する。また、この状態で、パイロットケース56Aの外側円筒状部73Aおよび底部71Aと、可変部材111Aとの間が、可変室172Aとなる。
可変室172Aは、通路穴81A内の第3通路193Aを介して下室20に常時連通している。このように、パイロットケース56Aは、その内側に、減衰バルブ本体52とディスク53,54と可変部材111Aとによってパイロット室171Aと可変室172Aとを形成する。可変部材111Aは、パイロットケース56A内に設けられて、パイロットケース56A内にパイロット室171Aと可変室172Aとを画成する。
可変部材111Aは、そのシール113Aがシール部131Aにおいて外側円筒状部73Aの内径部83Aに当接する状態においては、パイロット室171Aと可変室172Aとの間の油液の流通を遮断する。また、可変部材111Aは、そのシール113Aが外側円筒状部73Aの内径部83Aから離間する状態では、可変室172Aとパイロット室171Aとの間の油液の流通を許容する。ここで、可変部材111Aのシール113Aは、リップ部134Aの第2受圧部133Aが受ける可変室172A側の圧力が、第1受圧部132Aが受けるパイロット室171A側の圧力よりも所定値以上高くなると、可変室172Aからパイロット室171Aへの油液の流通を許容する。可変部材111Aのシール113Aは、第1受圧部132Aが受けるパイロット室171A側の圧力が、第2受圧部133Aが受ける可変室172A側の圧力よりも高い状態では、パイロット室171Aから可変室172Aへの油液の流通を規制する。
よって、可変部材111Aのシール113Aとパイロットケース56Aの外側円筒状部73Aとがチェック弁175Aを構成している。チェック弁175Aは、パイロット室171A側から可変室172A側への油液の流れを規制する一方、可変室172A側からパイロット室171A側への油液の流れを許容する。チェック弁175Aは、上室19、第1通路43、絞り142、第2通路192およびパイロット室171Aから、可変室172A、第3通路193Aおよび下室20への油液の流れを規制する。チェック弁175Aは、下室20、第3通路193Aおよび可変室172Aから、パイロット室171A、第2通路192、絞り142、第1通路43および上室19への油液の流れを許容する。
パイロット室171Aおよび可変室172Aは、第2通路192と第3通路193Aとを連通可能な連通部195Aを構成している。この連通部195Aに可変部材111Aが設けられている。チェック弁175Aも、連通部195Aに設けられている。可変部材111Aのシール113Aのシール部131Aは、第2通路192から連通部195Aを介する第3通路193Aへの油液の流動を抑制する。可変部材111Aのシール113Aの第1受圧部132Aは、第2通路192の圧力を受圧する。シール113Aのリップ部134Aは、第2受圧部133Aが受ける圧力によって、第3通路193Aから連通部195Aを介する第2通路192への油液の流れを許容する。
パイロット室171Aは、第2通路192に連通している。パイロット室171Aは、内部の圧力によって、減衰バルブ181に、その流路面積が減少する方向の力を生じさせる。減衰バルブ181を含む第1減衰力発生機構41は、パイロット室171Aの圧力により開弁が調整される。バイパス通路205は、チェック弁175Aの開弁時に下室20と第2通路192とを連通させる第3通路193Aおよび連通部195Aと並列に設けられて、第2通路192と下室20とを連通させる。
パイロットケース56A、減衰バルブ181、ディスク53,54および可変部材111Aは、ピストン周波数に感応して減衰力を可変とする周波数感応機構243Aを構成している。周波数感応機構243Aは、その可変部材111Aのシール113Aが、ピストン18の往復動の周波数に応じて変形して、上室19に常時連通するパイロット室171Aの容量と、下室20に常時連通する可変室172Aの容量とを変化させる。
以上の構成の緩衝器1Aのピストン18の周辺部分の油圧回路図は、図4に示す緩衝器1と同様になる。よって、緩衝器1Aは緩衝器1と同様に作動する。
緩衝器1Aは、第2通路192と第3通路193Aとを連通可能な連通部195Aに、シール113Aと金属環112Aとからなる可変部材111Aを有している。そして、緩衝器1Aは、可変部材111Aのシール113Aが弾性変形することで、伸び行程において上室19からの油液を連通部195Aに導入させることができ、これによりピストン周波数に感応して減衰力を可変とすることができる。このように、シール113Aと、このシール113Aと一体的に形成される金属環112Aとからなる可変部材111Aを有して周波数感応機構243Aが構成されている。よって、緩衝器1Aは、緩衝器1と同様の効果を奏する。
また、緩衝器1Aは、可変部材111Aが、パイロット室171Aを形成するパイロットケース56A内に設けられるため、緩衝器1と同様の効果を奏する。
また、可変部材111Aが、パイロット室171Aを形成するパイロットケース56A内に、金属環112Aにおいて圧入により固定されるため、緩衝器1と同様の効果を奏する。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態を主に図9に基づいて第2実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第2実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第3実施形態の緩衝器1Bは、図9に示すように、パイロットケース56Aとは一部異なるパイロットケース56Bを有している。
パイロットケース56Bも焼結により全体が継ぎ目なく一体に成形されている。パイロットケース56Bは、底部71Aとは一部異なる底部71Bと、外側円筒状部73Aとは一部異なる外側円筒状部73Bと、バルブシート部75とは一部異なるバルブシート部75Bとを有している。
底部71Bは、底部71Aに対して、通路穴81Aにかえて通路切欠81Bが形成されている点が異なっている。通路切欠81Bは底部71Bの外周側に形成されている。外側円筒状部73Bは、外側円筒状部73Aに対して、その軸方向における底部71B側に、この通路切欠81Bが形成されている点が異なっている。通路切欠81Bは、底部71Bの外周部を底部71Bの軸方向に貫通して外側円筒状部73Bの軸方向における底部71B側の部分まで延びている。
バルブシート部75Bは、円環状であり、内側シート部74と同軸状に形成されている。バルブシート部75Bと内側シート部74との間は、通路凹部92Bとなっている。通路凹部92Bは、内側シート部74の突出側の先端面とバルブシート部75Bの突出側の先端面とからパイロットケース56Bの軸方向に凹んでいる。通路凹部92Bは円環状である。通路切欠81Bは、底部71Bの径方向におけるバルブシート部75Bよりも外側に形成されている。
可変部材111Aは、その金属環112Aの固定部121Aがパイロットケース56Bの内側円筒状部72Aの外周部に圧入代をもって圧入されて固定される。この状態で、シール113Aの底部71B側の端面の外径は、底部71Bの径方向の中央から通路切欠81Bまでの最短距離の2倍よりも小さい。よって、シール113Aは、底部71B側の端面で底部71Bの通路切欠81Bを閉塞することはない。
可変部材111Aのシール113Aがシール部131Aにおいて外側円筒状部73Bの内径部83Aに当接した状態で、パイロットケース56Bの内側円筒状部72Aおよび外側円筒状部73Bと、減衰バルブ本体52およびディスク53,54と、可変部材111Aとの間が、パイロット室171Aとなる。また、この状態で、パイロットケース56Bの外側円筒状部73Bおよび底部71Bと、可変部材111Aとの間が、可変室172Aとなる。可変室172Aは、通路切欠81B内の第3通路193Bを介して下室20に常時連通している。
可変部材111Aのシール113Aとパイロットケース56Bの外側円筒状部73Bとがチェック弁175Aを構成している。チェック弁175Aは、パイロット室171Aから可変室172Aへの油液の流れを規制する。チェック弁175Aは、可変室172Aからパイロット室171Aへの油液の流れを許容する。可変部材111Aのシール113Aのシール部131Aは、第2通路192から連通部195Aを介する第3通路193Bへの油液の流動を抑制する。シール113Aのリップ部134Aは、第2受圧部133Aが受ける圧力によって、第3通路193Bから連通部195Aを介する第2通路192への油液の流れを許容する。
複数枚のディスク57からなるディスクバルブ201は、その外径が、円環状のバルブシート部75Bの先端面の外径よりも大径である。ディスクバルブ201は、バルブシート部75Bに離着座可能である。パイロットケース56Bの通路溝95内の通路と、通路凹部92B内の通路とがバイパス通路205Bとなっている。バイパス通路205Bはディスクバルブ201で閉塞されている。バイパス通路205Bは、第2通路192と、伸び行程において油液の流れ方向の減衰バルブ181の下流側となる下室20とを連通可能となっている。バルブシート部75Bとディスクバルブ201とが、バイパス通路205Bに設けられてバイパス通路205Bを開閉する第2減衰力発生機構211Bを構成している。第2減衰力発生機構211Bは、ディスクバルブ201がバルブシート部75Bから離座すると、バイパス通路205Bを介して第2通路192と下室20とを連通させる。その際に、第2減衰力発生機構211Bは、第2通路192と下室20との間の油液の流れを抑制して減衰力を発生させる。第2減衰力発生機構211Bは、バイパス通路205Bに設けられて油液の流動により減衰力を発生させる。バイパス通路205Bは、チェック弁175Aの開弁時に下室20と第2通路192とを連通させる第3通路193Bおよび連通部195Aと並列に設けられて、第2通路192と下室20とを連通させる。
パイロットケース56B、減衰バルブ181、ディスク53,54および可変部材111Aは、ピストン周波数に感応して減衰力を可変とする周波数感応機構243Bを構成している。周波数感応機構243Bは、その可変部材111Aのシール113Aが、ピストン18の往復動の周波数に応じて変形して、上室19に常時連通するパイロット室171Aの容量と、下室20に常時連通する可変室172Aの容量とを変化させる。
以上の構成の緩衝器1Bのピストン18の周辺部分の油圧回路図は、図4に示す緩衝器1と同様になる。よって、緩衝器1Bは緩衝器1,1Aと同様に作動する。
緩衝器1Bは、緩衝器1Aと同様の効果を奏することができる。また、緩衝器1Bは、パイロットケース56Bが円環状のバルブシート部75Bを有する。このため、パイロットケース56Bを容易に形成することができる。したがって、パイロットケース56Bの製造コストを低減することができる。
1,1A,1B…緩衝器、2…シリンダ、18…ピストン、19…上室、20…下室、43…第1通路、56,56A,56B…パイロットケース、111,111A…可変部材、112,112A…金属環、113,113A…シール、131,131A…シール部131、132,132A…第1受圧部132(受圧部)、134,134A…リップ部、171,171A…パイロット室、181…減衰バルブ、192…第2通路、193,193A,193B…第3通路、195,195A…連通部、205,205B…バイパス通路、211,211B…第2減衰力発生機構(減衰力発生機構)。

Claims (2)

  1. 作動流体が封入されるシリンダと、
    前記シリンダ内に嵌装され、該シリンダ内を区画するピストンと、
    前記ピストンの移動により前記シリンダ内の作動流体が流動する第1通路と、
    前記第1通路に設けられ、作動流体の流動により流路面積を変化させる減衰バルブと、
    前記減衰バルブの上流側と絞りを介して連通する第2通路と、
    前記減衰バルブの下流側と連通する第3通路と、
    前記第2通路と前記第3通路とを連通可能な連通部に設けられ、前記第2通路から前記第3通路への作動流体の流動を抑制するシール部と前記第2通路の圧力を受圧する受圧部と前記第3通路から前記第2通路への作動流体の流れを許容するリップ部とを備えるゴム弾性をもった環状のシールと該シールと一体的に形成される金属環とからなる可変部材と、
    前記第2通路に連通し、内部の圧力によって、前記減衰バルブに流路面積が減少する方向の力を生じさせるパイロット室と、
    前記第2通路と前記減衰バルブの下流側を連通するバイパス通路と、
    該バイパス通路に設けられ、作動流体の流動により減衰力を生じさせる減衰力発生機構と、
    を有する緩衝器。
  2. 前記可変部材は、前記パイロット室を形成するパイロットケース内に設けられる請求項1に記載の緩衝器。
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