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JP2023094707A - 吸収性物品 - Google Patents

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JP2023094707A JP2021210166A JP2021210166A JP2023094707A JP 2023094707 A JP2023094707 A JP 2023094707A JP 2021210166 A JP2021210166 A JP 2021210166A JP 2021210166 A JP2021210166 A JP 2021210166A JP 2023094707 A JP2023094707 A JP 2023094707A
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淳 村井
Atsushi Murai
裕美 内山
Hiromi Uchiyama
奈美江 糸井
Namie Itoi
将也 金子
Masaya Kaneko
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Kao Corp
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Abstract

【課題】着用位置のずれや変形に起因する着用感の低下を抑制できる吸収性物品を提供すること。【解決手段】本発明の吸収性物品における吸収性コア40は、吸水性繊維及び合成繊維を主体とする複数の繊維塊を含有している。吸収性コア40は、排泄部対向領域Bに、前方領域A及び後方領域Cそれぞれよりも、繊維塊比率が大きい繊維塊高比率領域Rを備えている。繊維塊高比率領域Rは、該領域Rの両側縁間の幅と吸収性コア40の全幅とが等しい。繊維塊高比率領域Rは、吸収性コア40の横方向Y中央に、該両側縁間を接続して縦方向Xの前方に向けて凸の前方側凸部43、及び該両側縁間を接続して該縦方向Xの後方に向けて凸の後方側凸部44の何れか一方又は双方を有している【選択図】図5

Description

本発明は、吸収性物品に関する。
着用状態で用いられる生理用ナプキン等の吸収性物品の技術分野では、着用感を向上させるための種々の検討がなされている。例えば、本出願人は先に、吸収性コアの中間領域に、該吸収性コアの第一領域及び第二領域よりも厚みが大きい中高部を備え、該中高部の最大幅が該吸収性コアの幅と同じである、吸収性物品を開示した(特許文献1)。当該中高部は、平面視において、前記最大幅よりも幅が狭く且つ前方側に突出する前方側凸部、又は前記最大幅よりも幅が狭く且つ後方側に突出する後方側凸部を備えている。
また、本出願人は先に、合成繊維を含む繊維塊と、吸水性繊維とを含む吸収体を具備した、吸収性物品を開示した(特許文献2及び3)。これら特許文献2及び3に記載の吸収性物品は、繊維塊や吸水性繊維の含有率を所定の領域ごとに異ならせている。
特許第6221020号公報 特許第6538948号公報 特許第6763051号公報
着用状態において吸収性物品は、着用者の身体の動きによって着用位置にずれが生じたり、縒れ等の変形が生じたりすることが一般的である。斯かる位置ずれや変形は、身体へのフィット性を低下させる原因となり得、着用感が低下する虞がある。特許文献1~3は、着用感を向上させるための技術を開示するものであるが、着用位置のずれや変形に起因する着用感の低下を抑制する点に改善の余地があった。
したがって本発明の課題は、着用位置のずれや変形に起因する着用感の低下を抑制できる、吸収性物品を提供することに関する。
本発明は、着用者の前後方向に対応する縦方向とこれに直交する横方向とを有し、着用者の排泄部と対向配置される領域を含む排泄部対向領域と、該排泄部対向領域よりも着用者の腹側に位置する前方領域と、該排泄部対向領域よりも着用者の背側に位置する後方領域とを有し、吸収性コアを具備する吸収体を備えた吸収性物品に関する。
前記吸収性コアは、吸水性繊維及び合成繊維を主体とする複数の繊維塊を含有していることが好ましい。
前記吸収性コアは、前記排泄部対向領域に、前記前方領域及び前記後方領域それぞれよりも、繊維塊比率が大きい繊維塊高比率領域を備えていることが好ましい。前記繊維塊比率は、前記吸水性繊維及び前記繊維塊の合計含有質量に対する該繊維塊の含有質量の比率である。
前記繊維塊高比率領域は、該領域の両側縁間の幅と前記吸収性コアの全幅とが等しいことが好ましい。
前記繊維塊高比率領域は、前記吸収性コアの前記横方向中央に、該両側縁間を接続して前記縦方向の前方に向けて凸の前方側凸部、及び該両側縁間を接続して該縦方向の後方に向けて凸の後方側凸部の何れか一方又は双方を有していることが好ましい。
本発明の吸収性物品によれば、着用位置のずれや変形に起因する着用感の低下を抑制できる。
図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキンを模式的に示す平面図である。 図2は、図1のII-II線断面図である。 図3は、図1のIII-III線断面図である。 図4は、図1のV-V線断面図である。 図5は、図1に示す吸収性コアを非肌対向側から視た斜視図である。 図6は、図5に示す吸収性コアの繊維塊高比率領域を示す拡大平面図である。 図7は、図1に示す生理用ナプキンの着用状態における変形を模式的に示す説明図である。 図8(a)及び(b)は、本発明に係る繊維塊高比率領域の別の実施形態を示す拡大平面図である。
以下、本発明の吸収性物品をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1~図4には、本発明の吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキン(以下、単に「ナプキン1」ともいう。)が示されている。
ナプキン1は、図1に示すように、着用者の前後方向に対応し、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる縦方向Xと、これに直交する横方向Yとを有している。ナプキン1は、縦方向Xにおいて、着用時に着用者の外陰部などの排泄部と対向配置される排泄部対向部(排泄ポイント)を含む排泄部対向領域Bと、該排泄部対向領域Bよりも縦方向X前側(着用者の腹側)に配される前方領域Aと、該排泄部対向領域Bよりも縦方向X後側(着用者の背側)に配される後方領域Cとを有し、その3つの領域A、B、Cに区分される。
図1は、ナプキン1を肌対向面から視た平面図である。本明細書において、「肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収体4)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側に向けられる面である。つまり、肌対向面は、着用者の肌に相対的に近い側の面であり、非肌対向面は、着用者の肌から相対的に遠い側の面である。「着用時」及び「着用状態」は、通常の適正な着用位置、すなわち吸収性物品の適正な着用位置が維持されて着用された状態を意味する。
ナプキン1は、図1に示すように、縦方向Xに長い形状の吸収性本体5を有している。吸収性本体5は、ナプキン1の主体をなす部分であり、表面シート2、裏面シート3及び吸収体4を具備している。より具体的には、吸収性本体5は、ナプキン1の主な吸液部位である吸収体4と、該吸収体4よりも肌対向面側に配され、着用者の肌と接触し得る表面シート2と、該吸収体4よりも非肌対向面側に配された裏面シート3とを備えている。
吸収体4はその長手方向を、縦方向Xに一致させた状態で、ナプキン1に組み込まれており、ナプキン1の縦方向Xの略全長に延在している。換言すると、吸収体4は、前方領域Aから排泄部対向領域Bを介して後方領域Cに延在している。
本実施形態の表面シート2は、吸収体4の肌対向面の全域を被覆している。一方、裏面シート3は、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆し、さらに吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出し、後述するサイドシート6とともにサイドフラップ部SFを形成している。
表面シート2としては、生理用ナプキン等の吸収性物品に従来使用されている各種のものを特に制限なく用いることができる。例えば、単層又は多層構造の不織布や、開孔フィルム等の液透過性シートを用いることができる。裏面シート3としては、透湿性の樹脂フィルム等の液難透過性シートを用いることができる。
ナプキン1は、吸収性本体5の両側部に、吸収体4の縦方向Xに沿う側縁よりも外方に延出したシートからなるサイドフラップ部SFを有している。サイドフラップ部SFは、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出するシート部材からなる部分である。サイドフラップ部SFを構成するシート部材は、前方領域Aから排泄部対向領域Bを介して後方領域Cに延在しており、吸収体4の両側縁それぞれから横方向Y外方に延出した延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。本実施形態のサイドフラップ部SFは、吸収体4の両側縁から横方向Yの外方に延出する裏面シート3とサイドシート6とからなる。
サイドフラップ部SFは、吸収性本体5の縦方向Xに沿う左右両側に、周辺部よりも横方向Yの外方に延出した一対のウイング部を有していてもよい。一対のウイング部の形態としては、ナプキン1を横方向Yに二分して縦方向Xに延びる縦中心線を基準として左右対称に形成されたものが挙げられる。この場合、一方のウイング部における前方側(前方領域A側)の付け根と他方のウイング部のそれとは、縦方向Xにおいて同位置に存する。
ウイング部は、その非肌対向面に、該ウイング部をショーツ等の着衣に固定する粘着部(図示せず)を有していることが一般的である。また、ウイング部は、ショーツ等といった着衣のクロッチ部の非肌対向面(外面)側に折り返されて用いられる。そのため、前記粘着部の形成面であるウイング部の非肌対向面は、その使用時に着用者の肌側に向けられ、肌対向面となる。前記粘着部は、その使用前においてはフィルム、不織布、紙等からなる剥離シート(図示せず)によって被覆されている。
サイドフラップ部SFがウイング部を有する場合、排泄部対向領域Bは、縦方向Xにおいてウイング部を有する領域である。具体的には、一対のウイング部それぞれにおける縦方向Xの前方側の付け根を通って横方向Yに延びる仮想直線と、一対のウイング部それぞれの後方側の付け根を通って横方向Yに延びる仮想直線とに挟まれた領域が、排泄部対向領域Bである。
本実施形態のサイドフラップ部SFは、ウイング部を有していない。このように吸収性物品がウイング部を有しない場合(例えば使い捨ておむつ)、排泄部対向領域Bは、排泄部と対向する領域であればよく、典型的には、該吸収性物品を縦方向Xに三等分したときの中央に位置する領域である。
本実施形態のナプキン1は、吸収性本体5の肌対向面すなわち表面シート2の肌対向面における縦方向Xに沿う両側部と重なるように、一対のサイドシート6,6が吸収性本体5の縦方向Xの略全長に亘って配されている。このサイドシート6が、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Y外方に延出して、サイドフラップ部SFの肌対向面を形成している。一対のサイドシート6,6は、接着剤や熱エンボス等の公知の接合手段によって表面シート2や他の部材に接合されている。なお、「表面シート2とサイドシート6,6とが重なる」形態には、両シート2,6が接触している形態と接触していない形態とが含まれる。
本実施形態における吸収体4は、図2及び図3に示すように、液吸収性の吸収性コア40と、該吸収性コア40の外面を被覆する液透過性のコアラップシート4aとを含んでいる。吸収性コア40は、吸収体4の主体をなしている。吸収性コア40とコアラップシート4aとの間は、ホットメルト型接着剤等の接着剤により接合されていてもよい。
本実施形態においては、コアラップシート4aは1枚の連続したシートである。斯かるコアラップシート4aは、図2及び図3に示すように、吸収性コア40の一方の面の全域を被覆するとともに、該コアラップシート4aにおいて吸収性コア40の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出した延出部が、吸収性コア40の下方に巻き下げられることによって、吸収性コア40の他方の全域を被覆している。これに代えて、コアラップシート4aは連続した1枚のシートでなくてもよく、例えば、吸収性コア40の一方の面を被覆する1枚の第1コアラップシートと、これとは別体のシートであって、該吸収性コア40の他方の面を被覆する1枚の第2コアラップシートとの2枚のシートからなるものであってもよい。
吸収性コア40は、吸水性材料を含有する。吸水性材料には、吸水性繊維12Fと、吸水性ポリマー13とが含まれる。本実施形態の吸収性コア40は、吸水性材料として、吸水性繊維12Fと吸水性ポリマー13とを含有する。
吸水性繊維12Fとしては、この種の吸収性物品における吸収体(吸収性コア)の形成材料として従来使用されている吸水性繊維を用いることができる。吸水性の繊維としては、例えば、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプ、綿パルプや麻パルプ等の非木材パルプ等の天然繊維;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ;キュプラ、レーヨン等の再生繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。吸水性繊維12Fの主たる役割が吸収体4の液吸収性の向上である点に鑑みれば、吸水性繊維12Fとしては、天然繊維、再生繊維(セルロース系繊維)が好ましい。
本実施形態の吸収性コア40において、吸水性繊維12Fは、互いに交絡しているが、後述する繊維塊11の構成繊維11Fのように集積されておらず、個々独立に存在していることが好ましい。吸水性繊維12Fは主として、吸収性コア40の液吸収性の向上に寄与し、また、吸収性コア40の保形性の向上にも寄与する。
吸水性ポリマー13は、吸水性ポリマーの小片として吸収性コア40中に複数存在し、主として、吸収性コア40内の液吸収性の向上に寄与する。吸水性ポリマー13の小片の形状は特に制限されず、例えば、球状、塊状、俵状、繊維状、不定形状であり得る。
吸水性ポリマー13の平均粒子径は、好ましくは10μm以上、より好ましくは100μm以上、また好ましくは1000μm以下、より好ましくは800μm以下である。
吸水性ポリマー13としては、一般に、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合物又は共重合物を用いることができる。その例としては、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリメタクリル酸及びその塩が挙げられ、具体的には、アクアリックCA、アクアリックCAW(ともに(株)日本触媒社製)等のアクリル酸重合体部分ナトリウム塩が挙げられる。
吸収性コア40は、吸水性材料とともに、複数の繊維塊11を含有する。繊維塊11の構成繊維11Fは熱可塑性繊維を含んでいる。本明細書において「繊維塊」とは、複数の繊維がまとまって一体となった繊維集合体のことである。繊維塊の製造方法は特に限定されず、例えば、一定の大きさを有する合成繊維シート(熱可塑性繊維シート)をカッター等により切断して得られたシート片の如き、定形の繊維集合体でもよく、あるいは、熱可塑性繊維(合成繊維)を主体とする不織布を細片状に粉砕し、あるいはむしり取ったり引きちぎり取ったりして製造された不定形の繊維集合体でもよい。
本発明の吸収性コアは、i)繊維塊として定形の繊維集合体のみを含む形態でもあってもよく、ii)繊維塊として不定形の繊維集合体のみを含む形態であってもよく、あるいはiii)繊維塊として定形の繊維集合体と不定型の繊維集合体とが混ざった形態であってもよい。繊維塊11が定形の繊維集合体であると、構成繊維の配向が一定であるので、表面が滑らかになる傾向がある。このような繊維集合体は、互いに絡まり難いので、動きの自由度が高く、吸収体4の柔軟性に寄与することができる。斯かる観点から、繊維塊は、前記i)の形態であることが好ましい。本実施形態において、繊維塊11は定形の繊維集合体である。
繊維塊11は、複数の繊維11Fが塊状に集積されて一体化された繊維集合体であり、その形態を保持した状態で吸収性コア40中に複数存在する。そして繊維塊11は、その繊維集合体の形態に起因して、例えば吸収性コア40の柔軟性、クッション性、圧縮回復性、保形性の向上に寄与する。
吸収性コア40は、排泄部対向領域Bに、前方領域A及び後方領域Cそれぞれよりも、繊維塊比率が大きい繊維塊高比率領域Rを備えている(図5及び図6参照)。斯かる吸収性コア40において、排泄部対向領域Bと、前方領域A及び後方領域Cとは、互いに繊維塊比率が異なっている。以下、前方領域A及び後方領域Cにおける、繊維塊高比率領域Rよりも繊維塊比率が低い領域を、「繊維塊低比率領域R2」ともいう。
吸収性コア40は、繊維塊比率が互いに異なる繊維塊高比率領域Rと繊維塊低比率領域R2とに区分される。換言すると、本実施形態の吸収性コア40において、繊維塊高比率領域R以外の領域が繊維塊低比率領域R2となっている。本実施形態の吸収性コア40では、縦方向Xにおける前後の繊維塊低比率領域R2どうし間に、繊維塊高比率領域Rが位置している。
「繊維塊比率」は、吸収性コア40における吸水性繊維12F及び繊維塊11の合計含有質量に対する該繊維塊11の含有質量の比率であり、以下の式(1)で表される。
繊維塊比率(%)=〔繊維塊11/(吸水性繊維12F+繊維塊11)〕×100・・・(1)
繊維塊高比率領域Rは、該領域Rの両側縁間の幅W(図6参照)と吸収性コア40の全幅とが等しい。繊維塊高比率領域Rは、横方向Yにおいて吸収性コア40の全幅に連続して存在する部分を有している。以下、繊維塊高比率領域Rにおいて、吸収性コア40の全幅と等しい幅の部分を「全幅部分」ともいう。
繊維塊高比率領域Rは、吸収性コア40の横方向Y中央に、該領域Rの両側縁間を接続して縦方向Xの前方に向けて凸の前方側凸部43、及び該両側縁間を接続して該縦方向Xの後方に向けて凸の後方側凸部44を有している。換言すると、繊維塊高比率領域Rは、平面視において縦方向Xの前端縁が前方に向けて突出しており、縦方向Xの後端縁が後方に向けて突出している。この前方に向けて突出した前側部分が前方側凸部43であり、後方に向けて突出した後側部分が後方側凸部44である。繊維塊高比率領域Rは、縦方向Xにおける前方側凸部43と後方側凸部44との間の部分の幅Wが、吸収性コア40の全幅と等しい。
繊維塊高比率領域Rは、以下の方法により特定する。先ず、吸収性コア40における排泄部対向領域B及びその近傍において、該吸収性コア40における繊維塊11の総質量の80%以上が集中する領域を仮領域として特定する。斯かる仮領域は、吸収性コア40の全幅と同じ幅となる全幅部分を有する。この全幅部分における縦方向Xに沿う両側縁が、仮領域の両側縁となる。次いで、仮領域における縦方向X前後の端部それぞれについて、前後端それぞれから縦方向Xの長さが5mmとなる端部範囲を設定する。次いで、この端部範囲において、繊維塊11の坪量が30g/m以上となり且つ全幅部分と連続する領域の端縁をなぞり、当該端縁を、前方側凸部43の端縁及び後方側凸部44の端縁として特定する。前記端部範囲において、繊維塊11の坪量が30g/m以上となり且つ全幅部分と連続する領域が存在しない場合は、該端部範囲に隣接し、且つ該端部範囲よりも縦方向Xの内方に位置する新たな端部範囲を設定して、前方側凸部43の端縁及び後方側凸部44の端縁を特定する作業を繰り返す。前方側凸部43の端縁は、繊維塊高比率領域Rの前端縁であり、後方側凸部44の端縁は、繊維塊高比率領域Rの後端縁となる。そして、縦方向Xにおける前方側凸部43の端縁と後方側凸部44の端縁との間の領域を、繊維塊高比率領域Rとする。
本実施形態の前方側凸部43は、縦方向Xの前方に向けて幅が漸次狭くなっており、後方側凸部44も、縦方向Xの後方に向けて幅が漸次狭くなっている。前方側凸部43及び後方側凸部44それぞれは、縦方向Xの外方に向けて凸に湾曲した突出端縁を有している。斯かる突出端縁は、横方向Y中央に頂点が位置する曲線状となっている。
図6に示すように、前方側凸部43及び後方側凸部44それぞれの幅が、全幅部分の幅W(図6参照)よりも狭くなっていることで、繊維塊高比率領域Rは、縦方向Xの前方又は後方に向けて突出した凸の形状を有している。
本実施形態の繊維塊高比率領域Rは、排泄部対向領域Bに位置しているので、ナプキン1の着用状態において、着用者の排泄部の位置に該繊維塊高比率領域Rが配される。繊維塊高比率領域Rは、繊維塊比率が前後の繊維塊低比率領域R2,R2よりも大きく且つ吸収性コア40と同じ幅の全幅部分を有するので、着用状態においてナプキン1に加えられる外力に対し、変形抑制性や変形回復性を発現できる。例えば着用者が歩行等の動作をすると、ナプキン1の対角線E1,E2を軸としたねじれ応力が加わり易くなるが(図7参照)、繊維塊比率の大きい繊維塊高比率領域Rが排泄部対向領域Bに位置していることで、該排泄部対向領域Bにおける変形(縒れ)が効果的に抑制される。また、繊維塊高比率領域Rは、繊維塊低比率領域R2,R2に比して繊維塊11が高比率で含まれているので、着用者の両脚からの圧迫や動作に伴うナプキンの変形に対し変形回復性が高く、フィット性も良好である。その結果、特に全幅部分ではシワやナプキン1と身体との隙間も生じ難いので、漏れ防止効果も得られる。さらに繊維塊高比率領域Rでは、前方側凸部43又は後方側凸部44が縦方向X外方に向けて突出しているので、全幅部分よりもこれら凸部43,44が柔らかく変形し易い。これにより、着用位置にずれが生じたとしても、前方側凸部43又は後方側凸部44が着用者の排泄部(膣口)又は臀裂に良好に追随する。
以上の効果により、本実施形態のナプキン1では、着用位置がずれたとしても優れたフィット性が奏されるので、着用位置のずれや変形に起因する着用感の低下を効果的に抑制できる。
本実施形態の繊維塊高比率領域Rは、前方側凸部43及び後方側凸部44の双方を有しているが、前方側凸部43及び後方側凸部44の何れか一方のみを有していてもよい。
フィット性をより向上させる観点から、繊維塊高比率領域Rは、前方側凸部43を有していることが好ましく、前方側凸部43及び後方側凸部44の双方を有していることがより好ましい。
着用者の排泄部(膣口)又は臀裂に対するフィット性、及び歩行等の動作時における身体への追随性をより向上させる観点から、縦方向Xにおいて前方側凸部43が前方領域Aまで延在しているか、又は後方側凸部44が後方領域Cまで延在していることが好ましい。換言すると、縦方向Xにおいて繊維塊高比率領域Rが、排泄部対向領域Bの前端縁を越えて前方領域Aの後端部まで連続しているか、又は排泄部対向領域Bの後端縁を越えて後方領域Cの前端部まで連続していることが好ましい。
繊維塊高比率領域Rにおいて、前方側凸部43の突出長さL1と後方側凸部44の突出長さL3とは同じであってもよく、異なっていてもよい。身体と生理用ナプキンとの間の隙間をより生じ難くして、身体とのフィット性をより向上させる観点から、後方側凸部44の突出長さL3が、前方側凸部43の突出長さL1よりも長いことが好ましい。
着用者の排泄部(膣口)に対するフィット性をより向上させる観点から、前方側凸部43の突出長さL1(図6参照)は、好ましくは5mm以上25mm以下、より好ましくは10mm以上20mm以下である。
着用者の臀裂に対するフィット性をより向上させる観点から、後方側凸部44の突出長さL3(図6参照)は、好ましくは5mm以上40mm以下、より好ましくは10mm以上20mm以下である。
前方側凸部43の突出長さL1(図6参照)は、縦方向Xにおける前方側凸部43の前端と全幅部分との間の長さである。
後方側凸部44の突出長さL3(図6参照)は、縦方向Xにおける後方側凸部44の後端と全幅部分との間の長さである。
フィット性をより向上させる観点から、縦方向Xにおける繊維塊高比率領域Rの長さL(図6参照)は、好ましくは60mm以上140mm以下、より好ましくは80mm以上120mm以下である。縦方向Xにおける繊維塊高比率領域Rの長さLは、縦方向Xにおける前方側凸部43の前端から後方側凸部44の後端までの長さである(図6参照)。
着用位置のずれや変形に起因する着用感の低下をより低下させる観点から、繊維塊高比率領域Rの繊維塊比率(%)は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であり、また好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下であり、また好ましくは20%以上60%以下、より好ましくは30%以上50%以下である。斯かる繊維塊高比率領域Rの繊維塊比率は、全幅部分における繊維塊比率とする。
上記と同様の観点から、繊維塊低比率領域R2,R2の繊維塊比率(%)は、好ましくは0%以上、また好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下であり、また好ましくは0%以上20%以下、より好ましくは0%以上10%以下である。
吸収性コア40において前方領域A及び後方領域Cよりも排泄部対向領域Bの剛性を高くすることは、該吸収性コア40を身体に沿って湾曲するように変形させる点で有効であり、フィット性に寄与し得る。斯かる観点から、吸収性コア40は、前方領域A及び後方領域Cそれぞれよりも、排泄部対向領域Bにおける吸水性繊維12Fの坪量が高いことが好ましい。
上記と同様の観点から、各領域A,B,Cにおける吸収性コア40の吸水性繊維12Fの坪量は、以下の範囲内であることが好ましい。
吸収性コア40は、排泄部対向領域Bにおける吸水性繊維12Fの坪量が、前方領域A又は後方領域Cにおける吸水性繊維12Fの坪量に対して、好ましくは100%以上500%以下、より好ましくは120%以上300%以下である。
吸収性コア40は、排泄部対向領域Bにおける吸水性繊維12Fの坪量が、好ましくは100g/m以上640g/m以下、より好ましくは150g/m以上490g/m以下である。
吸収性コア40は、前方領域A又は後方領域Cにおける吸水性繊維12Fの坪量が、好ましくは100g/m以上400g/m以下、より好ましくは150g/m以上350g/m以下である。
吸収性コア40の前方領域A、排泄部対向領域B及び後方領域Cそれぞれにおける吸水性繊維12Fの坪量は、各領域A,B,Cにおける吸水性繊維12Fの平均坪量である。
本実施形態の吸収性コア40は、前述したように吸水性ポリマー13を含有する(図2~4参照)。吸収性コア40における吸水性ポリマー13の分布は特に制限されず、吸収性コア40の全体に均一に分布していてもよく、吸収性コア40の一部に偏在していてもよい。吸収性能をより向上させる観点から、繊維塊高比率領域Rに吸水性ポリマー13が存在していることが好ましい。また、繊維塊低比率領域R2に吸水性ポリマー13が存在していてもよい。
吸収性コア40において前方領域A及び後方領域Cよりも排泄部対向領域Bの剛性を高くして、吸収性コア40を身体に沿ってより変形し易くする観点から、吸収性コア40は、前方領域A及び後方領域Cそれぞれよりも、排泄部対向領域Bにおける吸水性ポリマー13の坪量が高いことが好ましい。
上記と同様の観点から、各領域A,B,Cにおける吸収性コア40の吸水性ポリマー13の坪量は、以下の範囲内であることが好ましい。
吸収性コア40は、排泄部対向領域Bにおける吸水性ポリマー13の坪量が、前方領域A又は後方領域Cにおける吸水性ポリマー13の坪量に対して、好ましくは100%以上、より好ましくは500%以上であり、また好ましくは130%以下、より好ましくは200%以下である。
吸収性コア40は、排泄部対向領域Bにおける吸水性ポリマー13の坪量が、好ましくは15g/m以上100g/m以下、より好ましくは20g/m以上80g/m以下である。
吸収性コア40は、前方領域A又は後方領域Cにおける吸水性ポリマー13の坪量が、好ましくは10g/m以上70g/m以下、より好ましくは15g/m以上60g/m以下である。
吸収性コア40の前方領域A、排泄部対向領域B及び後方領域Cそれぞれにおける吸水性ポリマー13の坪量は、各領域A,B,Cにおける吸水性ポリマー13の平均坪量である。
本実施形態の吸収体4は、繊維塊高比率領域Rが繊維塊低比率領域R2よりも、吸収性コア40の形成材料である吸水性繊維12F及び繊維塊11の坪量が高い。これに起因して、繊維塊高比率領域Rの厚みt1(図2参照)が、繊維塊低比率領域R2の厚みt2(図3参照)よりも大きい。
ナプキン1の着用感をより向上させる観点から、繊維塊高比率領域R及び繊維塊低比率領域R2の各厚みは以下の範囲内であることが好ましい。
繊維塊低比率領域R2の厚みt2(図3参照)は、繊維塊高比率領域Rの厚みt1(図2参照)の好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上であり、また好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。
繊維塊高比率領域Rの厚みt1(図2参照)は、好ましくは3mm以上、より好ましくは4mm以上であり、また好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下であり、更に好ましくは10mm以下である。なお、吸収体4が吸収性コア40とコアラップシート4aから構成される場合は、複数のコアラップシートが部分的に重なることがある(例えば、図2の吸収性コア40の非肌対向面の横方向Y中央部でコアラップが2層重なった部分)が、そのときは、繊維塊高比率領域Rの厚みt1はコアラップシートが重なっていない位置での厚さである。
繊維塊低比率領域R2の厚みt2(図3参照)は、好ましくは2mm以上、より好ましくは3mm以上であり、また好ましくは7mm以下、より好ましくは5mm以下である。
吸収体4における繊維塊高比率領域R等の各部の厚みは、以下の方法で測定される。
<厚みの測定方法>
吸収体を水平な場所にシワや折れ曲がりがないように静置し、該吸収体から測定対象部位を切り出して測定サンプルとする。そして、測定サンプルにおける5cN/cmの荷重下での厚みを測定する。厚みの測定には、例えば、厚み計PEACOCK DIAL UPRIGHT GAUGES R5-C(OZAKI MFG.CO.LTD.製)を用いる。このとき、厚み計の先端部と測定サンプルとの間に、荷重が5cN/cmとなるように大きさを調整した平面視円形状又は正方形状のプレート(厚み5mm程度のアクリル板)を配置して、厚みを測定する。厚み測定では、測定サンプルにおける任意の10箇所を測定し、それら10箇所の厚みの平均値を算出して、測定サンプルの厚みとする。
本実施形態の繊維塊高比率領域Rは、吸収体4の厚み方向Zにおいて繊維塊11が、吸収性コア40の全体に均一に分布しておらず、肌対向面側よりも非肌対向面側に多く存在する(図2及び図4参照)。吸収性とフィット性とをより向上させる観点から、吸収性コア40は、少なくとも繊維塊高比率領域Rにおいて、非肌対向面側に、繊維塊11が偏在していることが好ましい。具体的には、繊維塊高比率領域Rを厚み方向Zに二等分して、肌対向面側の領域と非肌対向面側の領域とに区分したとき、繊維塊11が、肌対向面側の領域よりも非肌対向面側の領域に多く存在していることが好ましい。この場合、非肌対向面側の領域は、肌対向面側の領域よりも繊維塊比率が高い。斯かる構成は、肌対向面側の領域で体液を良好に吸収するとともに、体液を吸収して湿潤状態となった場合でも繊維塊高比率領域Rの保形性を良好に維持できる点で有効である。
本実施形態の吸収性コア40は、繊維塊高比率領域Rにおいて、繊維塊層47と、吸収層48とを備えている(図2及び図4参照)。繊維塊層47は、繊維塊11を主体として含む層である。「主体として」とは、層中に占める繊維塊11の含有率が50質量%以上であることを意味する。繊維塊層47中に占める繊維塊11の含有率は、好ましくは70質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上であり、100質量%であることが最も好ましい。吸収層48は、繊維塊比率が該繊維塊層47よりも低い。
本実施形態において、繊維塊層47は繊維塊11のみで構成されており、吸収層48は吸水性繊維12Fと吸水性ポリマー13とを含んで構成されている。そして、繊維塊層47側を非肌対向面側にすることで、吸収性コア40では、上述したように厚み方向Zにおいて非肌対向面側に繊維塊11が偏在している。
着用状態において排泄部対向領域Bには、着用者の両脚間に位置するため、該両脚による圧迫や動きによって、ナプキン1と身体との間に隙間が発生し易いとともに、吸収体4にシワが発生し易い。斯かるシワや隙間の発生をより抑制して、漏れ抑制効果をより向上させる観点から、排泄部対向領域Bにおいて、繊維塊高比率領域Rと吸収性コア40との全幅が等しいことが好ましい。
本実施形態では、繊維塊高比率領域Rの全幅部分の幅が、吸収層48の全幅と同じである。この場合、繊維塊高比率領域Rの両側縁間の幅Wと吸収性コア40の全幅とは等しいため、排泄部対向領域Bにおける吸収層48の全幅も繊維塊層47の全幅も、吸収性コア40の全幅と等しい関係となる。
本実施形態の吸収性コア40には、前方領域A及び後方領域Cそれぞれに、縦方向Xに延在する複数の縦溝42と、横方向Yに延在する複数の横溝41が配されている(図5参照)。これら縦溝42と横溝41は、吸収性コア40の非肌対向面に開口を有している。
本実施形態の吸収性コア40では、前方領域Aにおける縦溝42aが該前方領域Aの縦方向Xの一端から他端に連続して配されている。また本実施形態の吸収性コア40では、後方領域Cにおける縦溝42cが該後方領域Cの縦方向Xの一端から他端に連続して配されている。これら各縦溝42a,42cは、平面視において直線状をなしており、横方向Yに所定間隔を置いて複数配されている。本実施形態の吸収性コア40は、縦溝42として、前方領域A及び後方領域Cそれぞれにおいて横方向Yに間欠配置された5本の縦溝42a,42cを有している(図5参照)。
説明の便宜上、図4では、縦溝42及び横溝41の図示を省略している。
本実施形態の吸収性コア40では、前方領域Aにおける横溝41aが該前方領域Aの両側縁間に連続して配されている。また本実施形態の吸収性コア40では、後方領域Cにおける横溝41cが該後方領域Cの両側縁間に連続して配されている。これら各横溝41a,41cは、平面視において直線状をなしており、縦方向Xに所定間隔を置いて複数配されている。本実施形態の吸収性コア40は、横溝41として、前方領域A及び後方領域Cそれぞれにおいて縦方向Xに間欠配置された3本の横溝41a,41cを有している(図5参照)。
前方領域Aにおける縦方向Xの最も内方に位置する横溝41aは、前方領域Aと排泄部対向領域Bとの境界部分に配されている。また、後方領域Cにおける縦方向Xの最も内方に位置する横溝41cは、後方領域Cと排泄部対向領域Bとの境界部分に配されている。
本実施形態において縦溝42と横溝41とは互いに直交しており、平面視において格子状をなしている。これにより、前方領域A及び後方領域Cそれぞれにおける吸収性コア40は、互いに交差する縦溝42及び横溝41によって複数の小吸収部s1に区分されている。すなわち、前方領域A及び後方領域Cそれぞれにおける吸収性コア40は、相対的に坪量が高い小吸収部s1と、該小吸収部s1を包囲し相対的に坪量が低い縦溝42及び横溝41とからなるブロック領域を複数有する、ブロック構造を有している。このように、吸収性コア40が前方領域A及び後方領域Cそれぞれにブロック構造を有していると(図5参照)、前方領域A及び後方領域Cそれぞれにおいて吸収性コア40がよりしなやかに変形し易くなり、着用者の身体への追随性がより向上される。
着用者の身体への追随性をより向上する観点から、縦溝42及び横溝41それぞれの幅は、好ましくは0.5mm以上4.0mm以下、より好ましくは1.0mm以上2.0mm以下である。
吸収性コア40における各溝41,42は、開口と反対側に底部が存する形態(いわゆる「窪み」あるいは「凹み」)である。また、各溝41,42は、吸収性コア40の肌対向面に開口を有し、該開口と反対側(非肌対向面側)に底部を有する形態であってもよい。
本実施形態の吸収性コア40の非肌対向面において、前方領域A及び後方領域Cがブロック構造を有しているのに対し、排泄部対向領域Bは平坦な面となっている。
本実施形態の吸収性コア40では、近接する繊維塊11どうしが互いに交絡している他、近接する繊維塊11と吸水性繊維12Fとが互いに交絡している。繊維塊高比率領域Rにおける複数の繊維塊11は、吸収性コア40中の構成繊維(繊維11F,12F)との絡み合いによって結合して1つの繊維塊連続体を形成していてもよい。このように複数の繊維塊11の少なくとも一部は、他の繊維塊11あるいは吸水性繊維12Fと交絡している。
吸収性コア40は、これに含有されている複数の繊維塊11の全部が互いに交絡して1つの繊維塊連続体を形成していてもよく、複数の繊維塊連続体が互いに非結合の状態で混在していてもよい。
吸収性コア40における繊維塊低比率領域R2は、繊維塊11を含んでいなくともよく、含んでいてもよい。繊維塊低比率領域R2が繊維塊11を含む場合、該領域R2において繊維塊11は、厚み方向Zに均一分布している形態、非肌対向面側に偏在している形態、及び肌対向面側に偏在している形態の何れでもよい。
図8には、本発明に係る吸収性コアの別の実施形態が示されている。図8に示す実施形態については、上述した実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、上述した実施形態についての説明が適宜適用される。
上述した実施形態の吸収性コア40は、前方側凸部43及び後方側凸部44の各突出端縁が曲線状であり、横方向Y中央に頂点が位置し、且つ縦方向Xの外方に向けて凸に湾曲した円弧形状を有していたが、斯かる形態に限定されない。例えば、図8(a)及び(b)に示す繊維塊高比率領域Ra,Rbのように、前方側凸部43a,43b及び後方側凸部44a,44bの各突出端縁が、横方向Yに延びる直線部分を有していてもよい。何れの形態においても、前方側凸部における縦方向Xの前端と、後方側凸部における縦方向Xの後端とは、吸収性コア40の横方向Y中央に位置している。
図8(a)に示す繊維塊高比率領域Raでは、前方側凸部43a及び後方側凸部44aの各突出端縁が、横方向Yに延びる直線部分と、該直線部分と繊維塊高比率領域Raの側縁との間を接続し且つ縦方向X及び横方向Yに交差する斜辺直線部分とにより形成されている。斯かる構成により、繊維塊高比率領域Raは略八角形の平面視形状を有している。
本実施形態において前方側凸部43a及び後方側凸部44aは、台形形状を有している。
図8(b)に示す繊維塊高比率領域Rbでは、前方側凸部43b及び後方側凸部44bの各突出端縁が、縦方向X外方に突出するように配されたコの字状の部分を含み、該コの字状の部分と、該部分の両側に位置し且つ横方向Yに延びる直線部分とにより、繊維塊高比率領域Raの側縁間が接続されている。斯かる構成により、繊維塊高比率領域Rbは略十字形の平面視形状を有している。
本実施形態において前方側凸部43b及び後方側凸部44bは、長方形形状を有している。
着用者の排泄部(膣口)及び臀裂に対するフィット性をより向上させる観点から、前方側凸部及び後方側凸部は、円弧形状、台形形状又は長方形形状であることが好ましく、円弧形状又は台形形状であることがより好ましい。
歩行等によるナプキン1の対角線E1,E2を軸とするねじれ応力に対する変形回復性をより向上させる観点から、前方側凸部及び後方側凸部は、円弧形状又は台形形状であることが好ましい。
次に、本発明に係る吸収性コアの製造方法について、上述した図1~図6に示す実施形態の吸収性コア40を例に説明する。
吸収性コア40は、回転ドラムを備えた公知の積繊装置を用いて常法に従って製造することができる。積繊装置は、典型的には、外周面に集積用凹部が形成された回転ドラムと、該集積用凹部にコア形成材料(繊維塊11、吸水性繊維12F、吸水性ポリマー13)を搬送する流路を内部に有するダクトとを備え、該回転ドラムをそのドラム周方向に沿って回転軸周りに回転させつつ、該回転ドラムの内部側からの吸引によって該流路に生じた空気流に乗って搬送されたコア形成材料を、該集積用凹部に積繊させるようになされている。斯かる積繊工程によって集積用凹部内に形成される積繊物は、吸収性コア40である。前述した吸収性コア40におけるコア形成材料の特定配置は、前記積繊装置を用いた製造方法において、各コア形成材料の回転ドラム上での積繊順序などを適宜調整することで実現可能である。吸収性コア40の坪量は、好ましくは200g/m以上、より好ましくは250g/m以上、そして、好ましくは500g/m以下、より好ましくは400g/m以下である。
吸収性コア40は、公知の積繊装置を用いて、以下の2つの方法により製造することができる。
1)2台の積繊装置を用い、一方の積繊装置で製造した積繊体と、他方の積繊装置で製造した積繊体とを重ねて一体化する方法(以下、「第1の製造方法」ともいう。)。
2)1台の積繊装置を用い、繊維塊の集積用凹部への供給タイミングと吸水性繊維のそれとを異ならせる方法(以下、「第2の製造方法」ともいう。)。
前記第1の製造方法では、先ず、コア形成材料として吸水性繊維と、必要に応じて吸水性ポリマーとを用い、これら吸水性材料を第1の積繊装置の集積用凹部に集積して吸水性繊維積繊体を製造する。またこれとは別に、繊維塊を第2の積繊装置の集積用凹部に集積して繊維塊積繊体を製造する。この繊維塊積繊体は、吸水性繊維積繊体よりも長手方向の長さを短くなるように製造する。次いで、吸水性繊維積繊体の所望の位置(例えば、長手方向の中央部)に、前記繊維塊積繊体を重ね、これを厚み方向に加圧することで吸水性繊維積繊体及び繊維塊積繊体を一体化し、積層体を得る。あるいは、公知のバキュームコンベアの如き吸引手段を用い、該吸引手段の吸引面上に吸水性繊維積繊体を置き、該吸引面の吸引力が作用している状態で、該吸水性繊維積繊体上に前記繊維塊積繊体を重ねて一体化し、積層体を得てもよい。何れの一体化方法であっても、吸水性繊維積繊体と繊維塊積繊体との界面では吸水性繊維と繊維塊とに交絡が生じる。このようにして、吸収性コア40を得る。吸収性コア40において、繊維塊積繊体が配された部分が、繊維塊高比率領域Rに相当する。また、繊維塊積繊体が、繊維塊高比率領域Rにおける繊維塊層47に対応し、吸水性繊維積繊体が、繊維塊高比率領域Rにおける吸収層48に対応する。
前記第2の製造方法では、積繊装置として、集積用凹部の吸引力が部分的に異なるものを使用する。例えば、集積用凹部が、低吸引凹部と、該低吸引凹部よりも吸引力が高い高吸引凹部とを有するものを使用する。前記低吸引凹部と前記高吸引凹部とは、積繊装置が有する回転ドラムの回転方向(周方向)に連接されている。そして、斯かる構成の積繊装置を稼働させ、回転ドラムを周方向に回転させて集積用凹部を一方向に搬送させつつ、該回転ドラムの内部側からの吸引によって該回転ドラムの外部から該集積用凹部に向かう空気流を生じさせ、該空気流によってコア形成材料を該集積用凹部に供給し集積する(集積工程)。前記集積工程においては、先ず、繊維塊11を集積用凹部に供給し集積させる。このとき、繊維塊11は前記高吸引凹部に集中的に集積され、該高吸引凹部に繊維塊積繊体が形成される。次いで、斯かる繊維塊の集積後又は集積途中に、吸水性繊維12Fと、必要に応じ吸水性ポリマー13とを集積用凹部に供給し集積させる。このとき、吸水性繊維及び吸水性ポリマーは、集積用凹部における前記低吸引凹部に集積されるとともに、前記高吸引凹部に集積された繊維塊11上にも集積される。つまり集積用凹部の全域に吸水性繊維積繊体が形成される。なお、繊維塊11は通気性を有しているので、前記高吸引凹部に繊維塊が集積された状態でも、その集積された繊維塊11上に吸水性繊維を吸引し得る吸引力が作用しており、前記高吸引凹部に集積された繊維塊11上に吸水性繊維12Fや吸水性ポリマー13を重ねて集積することができる。こうして前記高吸引凹部に、前記繊維塊積繊体と前記吸水性繊維積繊体との積層体が形成され、両積繊体の界面では、繊維塊と吸水性繊維とに交絡が生じる。このようにして、吸収性コア40を得る。吸収性コア40において、前記高吸引凹部によって繊維塊11が集中的に集積された部分が、繊維塊高比率領域Rに相当する。
吸収性コア40に用いられる繊維塊11は、前述したように複数の合成繊維が塊状に集積されて一体化された繊維集合体である。すなわち、複数の繊維がまとまって一体となった繊維集合体のことであり、吸水性繊維12Fとは別体に構成されているものである。斯かる繊維塊11は、例えば、合成繊維シートを一定の寸法となるように切断することで、直方体形状や円盤形状を有するシート片のような、定形の繊維集合体が得られる。斯かる繊維塊11としては、例えば、特開2019-063469号公報や特開2019-098157号公報、特開2020-188918号公報に記載の繊維塊を好適に用いることができる。
また、繊維塊11のサイズは特に制限されず、吸収性コア40のクッション性、通液性などを考慮して適宜設定し得る。例えば定形の繊維塊11が有する複数の面のうち最大面積となる面の面積が、繊維塊11のサイズの指標となり得る。繊維塊11の最大面積となる面の面積は、好ましくは1mm以上、より好ましくは5mm以上、そして、好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下である。
繊維塊11の構成繊維11Fは熱可塑性繊維等の合成繊維を含む。繊維11Fとしては熱可塑性繊維を用いることが好ましい。繊維塊11における構成繊維11Fとしての合成繊維の含有量は、繊維塊11の全質量に対して、好ましくは90質量%以上であり、100質量%すなわち繊維塊11が合成繊維のみから形成されていることが最も好ましい。
また、吸収性コア40が乾燥状態及び湿潤状態の何れの状態でも保形性、柔軟性、クッション性、圧縮回復性、ヨレにくさなどにおいて優れた効果を発現し得るようにする観点から、繊維塊11は、複数の熱可塑性繊維が互いに熱融着した3次元構造を有することが好ましい。
複数の熱融着部が3次元的に分散した繊維塊11を得るためには、複数の熱融着部が3次元的に分散した原料繊維シートを用いて繊維塊11を製造することが好ましい。斯かる原料繊維シートは、熱可塑性繊維を主体とするウエブや不織布に、熱風処理などの熱処理を施すことによって製造することができる。
合成繊維を構成する樹脂は熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、繊維11Fは、1種類の合成樹脂又は2種類以上の合成樹脂を混合したブレンドポリマーからなる単一繊維でもよく、あるいは複合繊維でもよい。ここでいう複合繊維は、成分の異なる2種類以上の合成樹脂を紡糸口金で複合し、同時に紡糸して得られる合成繊維で、複数の成分がそれぞれ繊維の長さ方向に連続した構造で、単繊維内で相互接着しているものをいう。複合繊維の形態には、芯鞘型、サイドバイサイド型等があり、特に制限されない。
以上、本発明をその実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に制限されることなく適宜変更が可能である。
例えば、繊維塊高比率領域Rにおいて、前方側凸部43の突出端縁が円弧形状であり、後方側凸部44の突出端縁が台形形状であってもよい。
本発明の吸収性物品は、人体から排出される体液(尿、軟便、経血、汗等)の吸収に用いられる物品を広く包含し、前述した生理用ナプキンの他、生理用ショーツ、止着テープを有するいわゆる展開型の使い捨ておむつ、パンツ型の使い捨ておむつ、失禁パッド等が包含される。
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
4a コアラップシート
40 吸収性コア
41 横溝
42 縦溝
43 前方側凸部
44 後方側凸部
11 繊維塊
12F 吸水性繊維
13 吸水性ポリマー
A 前方領域
B 排泄部対向領域
C 後方領域
R 繊維塊高比率領域
R2 繊維塊低比率領域
s1 小吸収部

Claims (5)

  1. 着用者の前後方向に対応する縦方向とこれに直交する横方向とを有し、着用者の排泄部と対向配置される領域を含む排泄部対向領域と、該排泄部対向領域よりも着用者の腹側に位置する前方領域と、該排泄部対向領域よりも着用者の背側に位置する後方領域とを有し、吸収性コアを具備する吸収体を備えた吸収性物品であって、
    前記吸収性コアは、吸水性繊維及び合成繊維を主体とする複数の繊維塊を含有しており、
    前記吸収性コアは、前記排泄部対向領域に、前記前方領域及び前記後方領域それぞれよりも、繊維塊比率が大きい繊維塊高比率領域を備えており、
    前記繊維塊比率は、前記吸水性繊維及び前記繊維塊の合計含有質量に対する該繊維塊の含有質量の比率であり、
    前記繊維塊高比率領域は、該領域の両側縁間の幅と前記吸収性コアの全幅とが等しく、前記吸収性コアの前記横方向中央に、該両側縁間を接続して前記縦方向の前方に向けて凸の前方側凸部、及び該両側縁間を接続して該縦方向の後方に向けて凸の後方側凸部の何れか一方又は双方を有している、吸収性物品。
  2. 前記吸収性コアは、前記前方領域及び前記後方領域それぞれよりも、前記排泄部対向領域における前記吸水性繊維の坪量が高い、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記吸収性コアは、吸水性ポリマーを含有し、前記前方領域及び前記後方領域それぞれよりも、前記排泄部対向領域における前記吸水性ポリマーの坪量が高い、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記前方側凸部が前記前方領域まで延在しているか、又は前記後方側凸部が前記後方領域まで延在している、請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記吸収性コアは、前記繊維塊高比率領域において、前記繊維塊を主体として含む繊維塊層と、前記繊維塊比率が該繊維塊層よりも低い吸収層とを備えており、
    前記排泄部対向領域において、前記繊維塊高比率領域と前記吸収性コアとの全幅が等しい、請求項1~4の何れか1項に記載の吸収性物品。
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