JP2023082289A - サーマルプリントヘッド、および、サーマルプリントヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷媒体が凸部に引っかかることを抑制できるサーマルプリントヘッドを提供する。【解決手段】サーマルプリントヘッドA1において、主面11を有し単結晶半導体からなる基材10と、絶縁層19と、x方向に配列された複数の発熱部41を含む抵抗体層4と、基材10と複数の発熱部41との間に形成され、ガラス材料からなるグレーズである蓄熱層15とを備えた。基材10は、主面11から突出し、x方向に延びる凸部12を備える。凸部12は、主面11と平行な頂面131を有する頂部13と、頂部13と主面11とにつながり、主面11に対して傾斜した傾斜部14とを備える。傾斜部14は、主面11につながり、主面11に対して第1傾斜角α1だけ傾斜した第1斜面141と、第1斜面141と頂面131との間に介在し、主面11に対して第2傾斜角α2だけ傾斜した第2斜面142とを備える。蓄熱層15は、頂面131にだけ形成されている。【選択図】 図6
Description
本開示は、サーマルプリントヘッド、および、サーマルプリントヘッドの製造方法に関する。
特許文献1には、従来のサーマルプリントヘッドの一例が開示されている。サーマルプリントヘッドは一般的に、ヘッド基板上に主走査方向に並ぶ多数の発熱部を備えている。各発熱部は、蓄熱層を介してヘッド基板に形成された抵抗体層上に、抵抗体層の一部を露出させるように上流側導電層および下流側導電層を積層することで形成されている。上流側電極層と下流側電極層との間を通電することにより、上記抵抗体層の露出部(発熱部)がジュール熱により発熱する。蓄熱層は、発熱部が発する熱を蓄えるために形成され、高速印字を可能にしている。
特許文献1に開示されたサーマルプリントヘッドは、基材としてSi(シリコン)が用いられ、異方性エッチングによって凸部が形成されている。凸部の頂面には蓄熱層が形成され、凸部にはさらに絶縁層、抵抗体層、電極層、および保護層がこの順で形成されている。凸部上で、電極層から露出する抵抗体層が発熱部を構成する。印刷媒体は、プラテンローラによって搬送され、凸部に配置された発熱部に押圧されることで印刷が行われる。凸部の頂面につながる傾斜外面の、基材の主面に対する傾斜角α1は、例えば50~60度である。印刷媒体に厚みがある場合、プラテンローラによって搬送されてきた印刷媒体の先端の下端が凸部の傾斜外面に接触して引っかかる場合がある。
本開示は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、印刷媒体が凸部に引っかかることを抑制できるサーマルプリントヘッドを提供すること、また、そのサーマルプリントヘッドの製造方法を提供することをその課題とする。
本開示の第1の側面によって提供されるサーマルプリントヘッドは、厚さ方向の一方を向く主面を有し、かつ、単結晶半導体からなる基材と、前記主面の上に形成され、かつ、主走査方向に配列された複数の発熱部を含む抵抗体層と、前記基材と前記抵抗体層との間に形成された絶縁層と、前記基材と前記複数の発熱部との間に形成され、かつ、ガラス材料からなるグレーズである蓄熱層とを備え、前記基材は、前記主面から突出し、かつ、前記主走査方向に延びる凸部を備え、前記凸部は、前記主面と平行な頂面を有する頂部と、前記頂部と前記主面とにつながり、かつ、前記主面に対して傾斜した傾斜部とを備え、前記傾斜部は、前記主面につながり、かつ、前記主面に対して第1傾斜角だけ傾斜した第1斜面と、前記第1斜面と前記頂面との間に介在し、かつ、前記主面に対して第2傾斜角だけ傾斜した第2斜面とを備え、前記蓄熱層は、前記頂面にだけ形成されている。
本開示の第2の側面によって提供されるサーマルプリントヘッドの製造方法は、単結晶半導体からなる基材を準備する準備工程と、前記基材に第1の異方性エッチングを施して、厚さ方向の一方を向く主面と、前記主面から突出した凸部と、前記凸部の前記主面に平行な天面から凹み、かつ、主走査方向に延びる2本の溝を形成する第1エッチング工程と、前記天面の前記2本の溝ではさまれた領域にガラスペーストを配置して焼成することで蓄熱層を形成する蓄熱層形成工程と、前記基材に第2の異方性エッチングを施して、前記凸部の一部を除去することで、前記凸部に、前記天面のうち前記2本の溝ではさまれた領域である頂面と、前記主面につながり、かつ、前記主面に対して第1傾斜角だけ傾斜した第1斜面と、前記第1斜面と前記頂面との間に介在し、かつ、前記主面に対して第2傾斜角だけ傾斜した第2斜面と、を形成する第2エッチング工程と、前記蓄熱層の上に、前記主走査方向に配列された複数の発熱部を形成する発熱部形成工程とを備えている。
本開示に係るサーマルプリントヘッドは、印刷媒体が凸部に引っかかることを抑制できる。
本開示のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
以下、本開示の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
本開示において、「ある物Aがある物Bに形成されている」および「ある物Aがある物B上に形成されている」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに直接形成されていること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物を介在させつつ、ある物Aがある物Bに形成されていること」を含む。同様に、「ある物Aがある物Bに配置されている」および「ある物Aがある物B上に配置されている」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに直接配置されていること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物を介在させつつ、ある物Aがある物Bに配置されていること」を含む。同様に、「ある物Aがある物B上に位置している」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに接して、ある物Aがある物B上に位置していること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物が介在しつつ、ある物Aがある物B上に位置していること」を含む。また、「ある物Aがある物Bにある方向に見て重なる」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bのすべてに重なること」、および、「ある物Aがある物Bの一部に重なること」を含む。
<第1実施形態>
図1~図6は、本開示の第1実施形態に係るサーマルプリントヘッドを示している。本実施形態のサーマルプリントヘッドA1は、ヘッド基板1、接続基板5、複数のワイヤ61,62、複数のドライバIC7、保護樹脂78および放熱部材8を備えている。サーマルプリントヘッドA1は、プラテンローラ99(図4参照)によって搬送される印刷媒体(図示略)に印刷を施すプリンタに組み込まれるものである。印刷媒体としては、たとえばバーコードシートやレシートを作成するための感熱紙が挙げられる。
図1~図6は、本開示の第1実施形態に係るサーマルプリントヘッドを示している。本実施形態のサーマルプリントヘッドA1は、ヘッド基板1、接続基板5、複数のワイヤ61,62、複数のドライバIC7、保護樹脂78および放熱部材8を備えている。サーマルプリントヘッドA1は、プラテンローラ99(図4参照)によって搬送される印刷媒体(図示略)に印刷を施すプリンタに組み込まれるものである。印刷媒体としては、たとえばバーコードシートやレシートを作成するための感熱紙が挙げられる。
図1は、サーマルプリントヘッドA1を示す平面図である。図2は、サーマルプリントヘッドA1を示す要部拡大平面図である。図3は、サーマルプリントヘッドA1を示す要部拡大平面図である。図4は、図1のIV-IV線に沿う断面図である。図5は、サーマルプリントヘッドA1の要部断面図であり、図4の一部を拡大した断面図である。図6は、サーマルプリントヘッドA1の要部拡大断面図であり、図5の一部を拡大した断面図である。図1~図3においては、理解の便宜上、後述する保護層2を省略している。図1および図2においては、理解の便宜上、保護樹脂78を省略している。また、図2においては、理解の便宜上、ワイヤ61を省略している。また、これらの図において、ヘッド基板1の長手方向(主走査方向)をx方向とし、短手方向(副走査方向)をy方向とし、厚さ方向をz方向として説明する。また、y方向については、図1~図3の下方(図4~図6の右方)を印刷媒体が送られてくる「上流」とし、図1~図3の上方(図4~図6の左方)を印刷媒体が排出される「下流」とする。また、z方向については、図4~図6の上方(z方向を示す矢印が指す方向)を「上方」とし、その反対方向を「下方」とする。以下の図においても同様である。
図4に示すように、サーマルプリントヘッドA1において、ヘッド基板1および接続基板5は、放熱部材8上で、y方向に隣接して搭載されている。ヘッド基板1には、後に詳説する構成により、x方向に配列される複数の発熱部41が形成されている。この発熱部41は、接続基板5に搭載されたドライバIC7により選択的に発熱駆動され、コネクタ59を介して外部から送信される印字信号にしたがって、プラテンローラ99によって発熱部41に押圧される印刷媒体に印字を行う。
ヘッド基板1は、図1~図6に示すように、基材10、蓄熱層15、絶縁層19、保護層2、電極層3、および、抵抗体層4を備えている。
基材10は、単結晶半導体からなる。単結晶半導体としては、Siが好適である。基材10は、図1に示すように、z方向視において、x方向を長手方向とし、y方向を短手方向とする細長矩形状である。基材10の大きさは限定されないが、一例を挙げると、x方向の寸法は、たとえば20mm以上300mm以下、y方向の寸法は、たとえば1.0mm以上5.0mm以下、z方向の寸法は、たとえば725μmである。基材10において、y方向のドライバIC7に近い側が上流側であり、ドライバIC7から遠い側が下流側である。印刷媒体は、プラテンローラ99によって、y方向の上流側から下流側に搬送される。
基材10は、図1、図2、図5および図6に示すように、主面11および凸部12を有している。主面11は、z方向の上方を向く。本開示では、主面11は、x-y平面(x方向とy方向で規定される平面、他の平面も同様)に沿って広がっており、x-y平面に略平行な平面である。主面11は、(100)面である。凸部12は、主面11からz方向に突出しており、x方向に延びている。凸部12は、主面11の下流側寄りに形成されている。凸部12は、y-z平面に沿う断面の形状が、x方向に一様である。以下では、y-z平面に沿う断面を「y-z断面」という。凸部12は、z方向下方側の端部におけるy方向の寸法W1が、たとえば500μm程度であり、z方向上方側の端部におけるy方向の寸法W2が、たとえば200μm程度である。寸法W1,W2は限定されないが、本実施形態では、寸法W1は、寸法W2の2倍以上10倍以下である。また、凸部12のz方向の寸法H1は、たとえば150μm程度である。凸部12は、図6に示すように、頂部13および一対の傾斜部14を含んでいる。
頂部13は、図5および図6に示すように、凸部12のうち、主面11からのz方向の距離が相対的に大きい部分である。頂部13は、主面11と平行な頂面131を有する。頂面131は、略平面である。頂面131は、z方向視において、x方向に長く延びる細長矩形状である。上記寸法H1は、頂面131と主面11とのz方向における離間距離である。
一対の傾斜部14は、図5および図6に示すように、凸部12のうち、頂部13からy方向に離れるほど低位となるように主面11および頂面131に対して傾斜する部分である。一対の傾斜部14はそれぞれ、主面11と頂部13とに繋がり、y方向においてこれらに挟まれている。一対の傾斜部14には、頂部13に対して上流側の傾斜部14と下流側の傾斜部14とがある。一対の傾斜部14はそれぞれ、図6に示すように、第1斜面141、第2斜面142、および第3斜面143を有する。第1斜面141、第2斜面142、および第3斜面143は、y方向に並んでいる。第1斜面141、第2斜面142、および第3斜面143は、いずれも、主面11および頂面131に対して傾斜している。
第1斜面141は、y方向において主面11および第2斜面142につながり、かつ、主面11に対して第1傾斜角α1だけ傾斜している。本実施形態では、第1斜面141は(111)面であり、第1傾斜角α1は、たとえば54.8°である。第2斜面142は、y方向において第1斜面141および第3斜面143につながり、かつ、主面11に対して第2傾斜角α2だけ傾斜している。第2傾斜角α2は、第1傾斜角α1より小さく、本実施形態では、たとえば31°である。第3斜面143は、y方向において第2斜面142および頂面131につながり、かつ、主面11に対して第3傾斜角α3だけ傾斜している。第3傾斜角α3は、第2傾斜角α2より大きい。本実施形態では、第3斜面143は(111)面であり、第3傾斜角α3は、第1傾斜角α1と同じ、たとえば54.8°である。第3斜面143は、第1斜面141および第2斜面142と比較して、x方向に直交する方向の寸法が十分小さい。なお、第1傾斜角α1、第2傾斜角α2、および第3傾斜角α3は限定されない。第2傾斜角α2は第1傾斜角α1より小さく、第3傾斜角α3は第2傾斜角α2より大きければよい。
蓄熱層15は、たとえば非晶質ガラスなどのガラス材料からなるグレーズである。当該グレーズ(蓄熱層15)は、たとえばガラスペーストを焼成することにより形成される。本実施形態では、蓄熱層15の熱膨張係数は、基材10の材料であるSiと同程度である。なお、蓄熱層15のガラス材料の特性は限定されない。図5および図6に示すように、蓄熱層15は、凸部12の頂部13の上に配置されている。蓄熱層15は、頂面131に接しており、本実施形態では、蓄熱層15は、第1斜面141、第2斜面142、および第3斜面143には接していない。蓄熱層15は、頂面131にだけ形成されている。蓄熱層15は、x方向に延びており、頂面131のy方向の全幅にわたって形成されている。
本実施形態では、後述する製造方法に示すように、蓄熱層15は、ディスペンサーを用いてガラスペーストを配置して焼成する工程により形成される。なお、ガラスペーストを配置する回数は限定されず、1回だけガラスペーストを配置して焼成してもよいし、2回以上配置してもよい。また、ガラスペーストの配置方法は限定されず、たとえば、孔版印刷(たとえばスクリーン印刷)などによって配置してもよい。
本実施形態では、蓄熱層15の厚さ寸法(z方向の寸法)H2は、たとえば10μm以上200μm以下(好ましくは15μm以上60μm以下)である。また、蓄熱層15の幅寸法(y方向の寸法)に対する厚さ寸法H2の比率(いわゆるアスペクト比)は、0.05以上0.25以下である。本実施形態では、蓄熱層15が頂面131のy方向の全幅にわたって形成されているので、蓄熱層15の幅寸法は、頂面131の幅寸法(y方向の寸法)、すなわち、凸部12のz方向上方側の端部におけるy方向の寸法W2と同じになっている。なお、蓄熱層15の各寸法は限定されない。蓄熱層15は、充分に蓄熱が可能であり、かつ、不必要に蓄熱し過ぎないように、厚さ寸法H2および幅寸法W2が設計される。蓄熱層15の必要な厚さ(またはアスペクト比)に応じて、ガラスペーストの配置回数および配置方法は設定される。
図6に示すように、蓄熱層15には、その上面において、y方向両端に一対のラウンド部151が形成されている。一対のラウンド部151はそれぞれ、盛り上がるように湾曲した部分である。一対のラウンド部151により、蓄熱層15の表面が、一対の傾斜部14(凸部12)の各第3斜面143にかけて滑らかに連続させられている。各ラウンド部151は、蓄熱層15を形成する際にガラスペーストを焼成することにより形成される。図6の例示においては、蓄熱層15の上面は、y方向において一対のラウンド部151の間に略平坦な面が介在した形状になっている。なお、蓄熱層15の上面は、この略平坦な面がなく、一対のラウンド部151同士が繋がった形状であってもよい。この場合、蓄熱層15の上面は、z方向上方に湾曲した凸面になる。
絶縁層19は、図5および図6に示すように、基材10の主面11側に形成され、基材10および蓄熱層15を覆う。絶縁層19は、主面11と、凸部12のそれぞれ一対の第1斜面141、第2斜面142、および第3斜面143と、蓄熱層15の上面とに接する。絶縁層19は、基材10を、抵抗体層4および電極層3に対してより確実に絶縁するためのものである。絶縁層19は、基材10の、抵抗体層4または電極層3が形成される領域に形成されていればよい。絶縁層19は、絶縁性材料からなり、たとえばSiO2またはSiN(窒化ケイ素)からなる。SiO2からなる絶縁層19の形成方法としては、たとえばTEOS( オルトケイ酸テトラエチル; テトラエトキシシランともいう) を原料ガスとした成膜が挙げられる。絶縁層19の厚さは特に限定されず、たとえば1μm以上10μm以下である。
抵抗体層4は、図5および図6に示すように、絶縁層19上に形成され、絶縁層19を覆う。抵抗体層4は、絶縁層19を挟んで、主面11および凸部12にわたって形成されている。抵抗体層4は、たとえばTaN(窒化タンタル)からなる。抵抗体層4の厚さは特に限定されず、たとえば0.02μm以上0.1μm以下(好ましくは0.08μm程度)である。
抵抗体層4は、図3、図5および図6に示すように、複数の発熱部41を含む。複数の発熱部41は、抵抗体層4のうち後述する電極層3に覆われずに露出する部分である。複数の発熱部41は、各々に選択的に通電されることにより、印刷媒体を局所的に加熱する。複数の発熱部41は、x方向に配列され、x方向において互いに離間している。複数の発熱部41のy方向における形成領域は、凸部12の頂部13(頂面131)のy方向の一部または全部を含んだ領域とされる。したがって、各発熱部41は、z方向視において、蓄熱層15に重なっている。
電極層3は、複数の発熱部41に通電するための導通経路を構成する。電極層3は、抵抗体層4に積層され、基材10に支持されている。電極層3は、抵抗体層4よりも抵抗値が小さい金属材料からなり、たとえばCu(銅)からなる。電極層3の厚さは特に限定されず、たとえば0.3μm以上2.0μm以下である。なお、電極層3は、Cu層と、Ti(チタン)層とが積層された構成であってもよい。この場合、Ti層は、Cu層と抵抗体層4との間に介在し、たとえば厚さ150nm程度である。
電極層3は、図1~図3、図5および図6に示すように、複数の個別電極31および共通電極32を含んでいる。抵抗体層4のうち、複数の個別電極31と共通電極32との間において電極層3から露出した部分が、複数の発熱部41となっている。
複数の個別電極31はそれぞれ、概ねy方向に延びる帯状である。各個別電極31は、各発熱部41よりもy方向上流側に配置されている。図3および図6に表れているように、本実施形態では、各個別電極31のy方向下流側の先端は、y方向上流側の傾斜部14まで延びている。各個別電極31のy方向上流側の先端には、電極パッド部311が形成されている。電極パッド部311は、接続基板5に搭載されるドライバIC7とワイヤ61により接続される部分である。
共通電極32は、図2および図3に示すように、共通部323および複数の櫛歯部324を含んでいる。共通部323は、複数の櫛歯部324を共通に繋げる。共通部323は、x方向に延びている。共通部323は、複数の櫛歯部324のy方向下流側に位置する。各櫛歯部324は、共通部323の上流側の端縁からy方向に延びる帯状である。複数の櫛歯部324は、互いに離間し、x方向に並んでいる。各櫛歯部324のy方向上流側の先端は、各個別電極31の先端に対して所定間隔を隔てて対向させられている。よって、各櫛歯部324のy方向上流側の先端と、各個別電極31のy方向下流側の先端との間において、抵抗体層4が電極層3から露出する。図3および図6に表れているように、各櫛歯部324のy方向上流側の先端は、y方向下流側の傾斜部14まで延びている。各櫛歯部324のy方向下流側部分と共通部323とは、図2に示すように、主面11上に形成されている。
なお、z方向視における各個別電極31および共通電極32の各形状、また、各個別電極31および共通電極32の形成領域は、上述したものに限定されない。例えば、共通電極32も各発熱部41よりもy方向上流側に配置されてもよい。この場合、共通部323は複数の櫛歯部324のy方向上流側に配置され、複数の櫛歯部324はそれぞれ各個別電極31の間に配置される。そして、櫛歯部324と個別電極31とを導通させるための折り返し配線が、各発熱部41のy方向下流側に配置される。
保護層2は、図5および図6に示すように、電極層3および抵抗体層4を覆っている。保護層2は、絶縁性の材料からなり、たとえばSiO2、SiN、SiC(炭化ケイ素)、AlN(窒化アルミニウム)のいずれかあるいはそれら2つ以上の積層体からなる。保護層2の厚さは特に限定されず、たとえば1.0μm以上10μm以下である。
保護層2は、図5に示すように、z方向に貫通するパッド用開口21を有する。パッド用開口21は、複数の個別電極31に設けた電極パッド部311をそれぞれ露出させている。
接続基板5は、図1および図4に示すように、ヘッド基板1に対してy方向上流側に隣接して配置されている。接続基板5は、たとえばPCB基板である。接続基板5は、たとえば、図1に示すように、z方向視において、x方向を長手方向とする細長矩形状である。接続基板5は、図4に示すように、ドライバIC7およびコネクタ59が搭載されている。
コネクタ59は、サーマルプリントヘッドA1をプリンタ(図示略)に接続するために用いられる。コネクタ59は、図4に示すように、接続基板5に取り付けられており、接続基板5の配線パターン(図示略)に接続されている。
ドライバIC7は、図1および図4に示すように、接続基板5上に搭載されており、複数の発熱部41を個別に通電させる。ドライバIC7は、図4および図5に示すように、複数のワイヤ61によって、各個別電極31の各電極パッド部311にそれぞれ接続されている。また、ドライバIC7は、複数のワイヤ62によって、接続基板5上に形成された配線パターンに接続されている。ドライバIC7にはコネクタ59を介して外部から送信される印字信号、制御信号および複数の発熱部41に供給される電圧が入力される。複数の発熱部41は、印字信号および制御信号にしたがって個別に通電されることにより、選択的に発熱させられる。
ドライバIC7および複数のワイヤ61,62は、図4および図5に示すように、ヘッド基板1と接続基板5とに跨るように形成された保護樹脂78で覆われている。保護樹脂78は、エポキシ樹脂などの黒色の絶縁性材料が用いられている。
放熱部材8は、図4に示すように、ヘッド基板1および接続基板5を支持しており、複数の発熱部41により生じた熱の一部を外部へと放熱するために設けられる。放熱部材8はたとえばアルミ等の金属製である。
次に、サーマルプリントヘッドA1の製造方法の一例について、図7~図15を参照しつつ、以下に説明する。図7は、サーマルプリントヘッドA1の製造方法の一例を示すフローチャートである。図8~図15はそれぞれ、サーマルプリントヘッドA1の製造方法の一例の一工程を示す断面図であって、図6に示す断面に対応する。なお、図8~図15に示すx方向、y方向、およびz方向は、図1~図6と同じ方向を示している。
図7に示すように、サーマルプリントヘッドA1の製造方法は、基材準備工程S10、第1エッチング工程S20、蓄熱層形成工程S30、第2エッチング工程S40、再焼成工程S50、絶縁層形成工程S60、発熱部形成工程S70、保護層形成工程S80、および切断工程S90を備えている。
基材準備工程S10は、材料となる基材10Aを準備する工程である。当該工程では、図8に示すように、基材10Aを準備する。基材10Aは、単結晶半導体からなり、たとえばSiウエハである。基材10Aは、主面11Aを有する。主面11Aは、略平坦であり、z方向の上方を向く。主面11Aは(100)面である。
第1エッチング工程S20は、基材10Aに1回目のエッチング処理を施す工程であり、図9に示すように、凸部12Aを形成する工程である。当該工程では、まず、基材10Aの主面11Aの一部に所定のマスク層91(図8および図9において2点鎖線で示す)を形成する。マスク層91は、x方向に延びており、2本のスリット92を備えている。2本のスリット92は、互いに平行にx方向に延びており、z方向においてマスク層91を貫通している。そして、たとえばアルカリ水溶液を用いた異方性エッチングを行う。このアルカリ水溶液としては、たとえばKOH(水酸化カリウム)やTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)などが挙げられる。これにより、図9に示すように、主面11および凸部12Aを有する基材10が形成される。主面11は、主面11Aと同じく(100)面である。
凸部12Aは、主面11からz方向に突出しており、x方向に延びている。凸部12Aは、頂部13Aおよび一対の傾斜部14Aを含んでいる。頂部13Aは、主面11と平行な天面131Aを有する。天面131Aは、z方向視において、x方向に長く延びる細長矩形状である。天面131Aは、(100)面である。天面131Aは、マスク層91に覆われてエッチングされずに残った主面11Aの一部である。また、頂部13Aは、マスク層91の2本のスリット92に対応する位置に、2本の溝132Aを有している。各溝132Aは、天面131Aからz方向に凹み、x方向に延びる、x方向視V字形状の溝である。各溝132Aを構成する1対の側面はそれぞれ、(111)面であり、主面11および天面131Aに対して傾斜している。各側面の第3傾斜角α3は、たとえば54.8度である。一対の傾斜部14Aは、y方向において頂部13Aを挟んで配置されている。一対の傾斜部14Aはそれぞれ、斜面141Aを有する。一対の斜面141Aはそれぞれ、(111)面であり、主面11および天面131Aに対して傾斜している。各斜面141Aの第1傾斜角α1は、たとえば54.8度である。その後、マスク層91を除去する。
蓄熱層形成工程S30は、図10に示すように、蓄熱層15を形成する工程である。当該工程では、まず、凸部12Aの天面131Aの2本の溝132Aで挟まれた領域に、ガラスペーストを配置する。本実施形態では、たとえばディスペンサーを用いてガラスペーストを配置する。配置されたガラスペーストは流動性があるが、表面張力により、天面131Aと溝132Aとの境界線を越えることが阻止される。本実施形態では、溝132Aの側面の第3傾斜角α3が相対的に大きいので、当該効果が大きい。本実施形態では、ガラスペーストを配置した後、その上に重ねてもう一度ガラスペーストを配置する。つまり、本実施形態では、ガラスペーストを2回配置する。なお、ガラスペーストを配置する回数は限定されない。ガラスペーストを2回以上配置する場合は、ガラスペーストを配置した後、乾燥工程により乾燥させて、その形状をより維持しやすい性状にしてから、次のガラスペーストを配置してもよい。また、ガラスペーストの配置方法は限定されず、たとえば、孔版印刷(たとえばスクリーン印刷)などによって配置してもよい。
その後、ガラスペーストを焼成することによって、図10に示すように、蓄熱層15が形成される。焼成時の加熱によりガラスペーストは流動化するが、表面張力により、天面131Aと溝132Aとの境界線を越えることが阻止される。本実施形態では、溝132Aの側面の第3傾斜角α3が相対的に大きいので、当該効果が大きい。ガラスペーストは、焼成後の蓄熱層15の熱膨張係数が基材10の材料であるSiと同程度になるように調整されている。なお、ガラスペーストの組成は限定されない。ガラスペーストを複数回配置した場合も、同じ組成のガラスペーストを用いることで、焼成後の蓄熱層15は、境界がなく一体となる。なお、ガラスペーストを複数回配置する場合は、ガラスペーストを配置するたびに焼成を行ってもよい。
第2エッチング工程S40は、2回目のエッチング処理を施す工程であり、図11に示すように、凸部12Aの一部を除去する工程である。当該工程では、もう一度アルカリ水溶液を用いた第2の異方性エッチングを行う。当該アルカリ水溶液は、KOHあるいはTMAHが用いられる。第2エッチング工程S40では、蓄熱層15がマスク層としての機能を有するので、別途マスク層を形成する必要がない。第2の異方性エッチングにより、図11に示すように、各傾斜部14Aおよび頂部13Aのうち2点鎖線で示す部分が除去される。これにより、第2斜面142が形成される。第2斜面142の第2傾斜角α2は、たとえば31°である。斜面141Aのうちエッチングで除去されなかった部分が第1斜面141になる。また、天面131Aのうち2本の溝132Aではさまれた領域が残って、頂面131になる。また、各溝132Aの一方の側面(蓄熱層15に近い方の側面)が残って、頂面131につながり、かつ、主面11に対して第3傾斜角α3だけ傾斜している第3斜面143になる。
再焼成工程S50は、蓄熱層15を再焼成する工程である。第2エッチング工程S40では、蓄熱層15の表面に微細な凹凸が形成される場合がある。再焼成工程S50では、蓄熱層15を溶融させたのちに固化させる再焼成を行う。これにより、蓄熱層15の表面が滑らかな面になる。なお、再焼成工程S50は省略してもよい。
絶縁層形成工程S60は、図12に示すように、蓄熱層15および基材10を覆う絶縁層19を形成する工程である。当該工程では、たとえばCVDを用いて、たとえばTEOSを原料ガスとした成膜を行う。絶縁層19は、主面11、凸部12の一対の傾斜部14(第1斜面141、第2斜面142、第3斜面143)および蓄熱層15を覆う。なお、絶縁層19の形成方法は限定されない。
発熱部形成工程S70は、絶縁層19上に、発熱部41および発熱部41に通電するための電極層3を形成する工程である。まず、図13に示すように、抵抗体膜4Aを形成する(S71)。抵抗体膜4Aの形成は、たとえばスパッタリングにより絶縁層19上にTaNの薄膜を形成することによって行う。抵抗体膜4Aは、絶縁層19の全面を覆う。次いで、図14に示すように、導電膜3Aを形成する(S72)。導電膜3Aの形成は、たとえばめっきやスパッタリングによりCuからなる層を形成することによって行う。導電膜3Aは、抵抗体膜4Aの全面を覆う。なお、導電膜3Aの形成では、絶縁層19上にTi層を形成した後、Cu層を形成した構成でもよい。次いで、図15に示すように、導電膜3Aおよび抵抗体膜4Aに選択的なエッチングを施すことにより、導電膜3Aおよび抵抗体膜4Aを部分的に除去する(S73)。これにより、x方向に分離された抵抗体層4と、複数の発熱部41を残して抵抗体層4を覆う複数の個別電極31および共通電極32とが形成される。
保護層形成工程S80は、保護層2を形成する工程である。当該工程では、たとえばCVDを用いて、絶縁層19、電極層3、および抵抗体層4のそれぞれの上に、たとえばSiNを堆積させることにより行われる。その後、パッド用開口21を形成するために、保護層2をエッチング等により部分的に除去する。
切断工程S90は、基材10を切断する工程である。当該工程では、基材10をx方向およびy方向に沿って切断し、個片に分割する。以上により、ヘッド基板1が得られる。そして、放熱部材8上へのヘッド基板1および接続基板5の組付け、接続基板5へのドライバIC7の搭載、複数のワイヤ61,62のボンディング、保護樹脂78の形成等を行うことにより、図1~図6に示したサーマルプリントヘッドA1が製造される。
上記した製造方法は一例であり、これに限定されない。たとえば、蓄熱層形成工程S30の前に、第2エッチング工程S40を行ってもよい。以下では、上記した製造方法を「第1製造方法」とし、蓄熱層形成工程S30の前に第2エッチング工程S40を行う製造方法を「第2製造方法」とする。第2製造方法は、第1製造方法において、蓄熱層形成工程S30と第2エッチング工程S40とを入れ替えた製造方法である。基材準備工程S10および第1エッチング工程S20は、第1製造方法と共通する。
第2製造方法では、第1エッチング工程S20の後に、第2エッチング工程S40を行う。第2エッチング工程S40において、エッチング処理を施す前に、図16に示すように、凸部12Aの天面131Aの2本の溝132Aで挟まれた領域を覆うマスク層93を形成する。その後、第2の異方性エッチングを行うことで、図17に示すように、各傾斜部14Aおよび頂部13Aのうち2点鎖線で示す部分が除去される。これにより、第1斜面141、第2斜面142、および第3斜面143が形成される。また、天面131Aのうちマスク層93に覆われた領域が、頂面131として残っている。その後、マスク層93を除去する。次に、蓄熱層形成工程S30で、頂面131にガラスペーストを配置して焼成することで、蓄熱層15が形成される。配置されるガラスペーストおよび焼成時に加熱されたガラスペーストは流動性があるが、表面張力により、天面131Aと第3斜面143との境界線を越えることが阻止される。第2製造方法では、蓄熱層15が形成される前に、第2エッチング工程S40が行われるので、再焼成工程S50を省略できる。その後の絶縁層形成工程S60、発熱部形成工程S70、保護層形成工程S80、および切断工程S90は、第1製造方法と共通する。
次に、サーマルプリントヘッドA1の作用について説明する。
本実施形態によると、サーマルプリントヘッドA1は、傾斜部14が第1斜面141および第2斜面142を備えている。第2斜面142は、y方向において、第1斜面141と頂面131との間に配置される。また、第2斜面142の第2傾斜角α2は第1斜面141の第1傾斜角α1より小さい。したがって、傾斜部14が第2斜面142を備えていない場合と比較して、プラテンローラ99によって搬送された印刷媒体が、凸部12に引っかかることを抑制できる。なお、傾斜部14は、y方向において、第2斜面142と頂面131との間に配置された第3斜面143を備えているが、第3斜面143のx方向に直交する方向の寸法が十分小さいので、印刷媒体の凸部12への引っかかりについてほとんど影響を与えない。
また、本実施形態によると、y方向において頂面131につながる第3斜面143の第3傾斜角α3は、第2斜面142の第2傾斜角α2より大きい。したがって、第2斜面142が頂面131につながる場合と比較して、製造工程におけるガラスペーストの配置時、および、焼成での加熱時に、頂面131に配置されたガラスペーストが、頂面131から流れ出すことをより抑制できる。
また、本実施形態によると、サーマルプリントヘッドA1は、基材10と抵抗体層4との間に形成された蓄熱層15を備えている。抵抗体層4の各発熱部41は、z方向視において、蓄熱層15に重なっている。したがって、各発熱部41が発する熱は、蓄熱層15に蓄えられる。蓄熱層15は、ガラスペーストを配置して焼成することで形成される。そのため、たとえば蓄熱層としてのSiO2をスパッタリングで付着させて形成する場合と比較して、蓄熱層15は、圧倒的な厚みで、かつ圧倒的に短時間で形成される。このことは、サーマルプリントヘッドA1の製造効率の向上およびコスト低減に大いに寄与する。
また、本実施形態によると、蓄熱層15は、ガラスペーストを2回配置することで形成される。したがって、ガラスペーストを1回だけ配置する場合と比較して、より厚い蓄熱層15が形成可能である。
また、本実施形態によると、蓄熱層15の幅(y方向の寸法W2)に対するz方向の寸法H2の比率は、0.05以上0.2以下である。したがって、蓄熱層15は、各発熱部41が発する熱を適切に蓄えることができる。
また、本実施形態によると、基材10が凸部12を有しており、複数の発熱部41は、凸部12の頂部13(頂面131)上に形成されている。これにより、印刷媒体は、プラテンローラ99を介して確実に発熱部41に押圧される。また、凸部12は、単結晶半導体に対して異方性エッチングを施すことにより形成されるため、そのy-z断面はx方向について一様となる。つまり、印刷媒体の発熱部41に対する押圧接触状態は、x方向各所において一定となる。このことは、ヘッド基板1の製造ロットが異なっても変わらないので、印字品質のバラツキを抑制できる。
図18~図23は、本開示の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
<第2実施形態>
図18は、本開示の第2実施形態に係るサーマルプリントヘッドA2を示す要部拡大断面図であり、図6に対応する図である。本実施形態のサーマルプリントヘッドA2は、第2斜面142と第3斜面143との間に平行面144が形成されている点で、上述した実施形態と異なっている。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1実施形態の各部が任意に組み合わせられてもよい。
図18は、本開示の第2実施形態に係るサーマルプリントヘッドA2を示す要部拡大断面図であり、図6に対応する図である。本実施形態のサーマルプリントヘッドA2は、第2斜面142と第3斜面143との間に平行面144が形成されている点で、上述した実施形態と異なっている。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1実施形態の各部が任意に組み合わせられてもよい。
本実施形態に係る基材10の各傾斜部14は、平行面144をさらに備えている。平行面144は、y方向において第2斜面142と第3斜面143との間に配置され、第2斜面142および第3斜面143につながっている。平行面144は、主面11と平行である。
本実施形態においても、傾斜部14が、第1斜面141と頂面131との間に配置された第2斜面142を備えているので、印刷媒体が凸部12に引っかかることを抑制できる。また、傾斜部14が、y方向において頂面131につながる第3斜面143を備えているので、製造工程において、ガラスペーストが頂面131から流れ出すことをより抑制できる。また、サーマルプリントヘッドA2は、サーマルプリントヘッドA1と共通する構成により、サーマルプリントヘッドA1と同等の効果を奏する。
<第3実施形態>
図19は、本開示の第3実施形態に係るサーマルプリントヘッドA3を示す要部拡大断面図であり、図6に対応する図である。本実施形態のサーマルプリントヘッドA3は、第2斜面142と第3斜面143との間に第4斜面145が形成されている点で、上述した実施形態と異なっている。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1~2実施形態の各部が任意に組み合わせられてもよい。
図19は、本開示の第3実施形態に係るサーマルプリントヘッドA3を示す要部拡大断面図であり、図6に対応する図である。本実施形態のサーマルプリントヘッドA3は、第2斜面142と第3斜面143との間に第4斜面145が形成されている点で、上述した実施形態と異なっている。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1~2実施形態の各部が任意に組み合わせられてもよい。
本実施形態に係る基材10の各傾斜部14は、第4斜面145をさらに備えている。第4斜面145は、y方向において第2斜面142と第3斜面143との間に配置され、第2斜面142および第3斜面143につながっている。第4斜面145は、主面11に対して第3傾斜角α3だけ傾斜しており、y方向において第3斜面143とは反対側に傾斜している。つまり、第3斜面143と第4斜面145とは、x方向視においてV字形状になっている。第4斜面145は、図10に示す溝132Aの他方の側面(蓄熱層15から離れた方の側面)のうち、第2エッチング工程S40によって除去されずに残った部分である。
本実施形態においても、傾斜部14が、第1斜面141と頂面131との間に配置された第2斜面142を備えているので、印刷媒体が凸部12に引っかかることを抑制できる。また、傾斜部14が、y方向において頂面131につながる第3斜面143を備えているので、製造工程において、ガラスペーストが頂面131から流れ出すことをより抑制できる。また、サーマルプリントヘッドA3は、サーマルプリントヘッドA1と共通する構成により、サーマルプリントヘッドA1と同等の効果を奏する。
第1~3実施形態は、凸部12の形状がそれぞれ異なる。これらの違いは、第1エッチング工程S20で形成された一対の溝132Aのy方向における配置位置および深さ(z方向の寸法)、第2エッチング工程S40でのエッチング処理時間などによって生じる。逆に、これらのパラメータを調整することで、凸部12の形状を所望の形状に調整することができる。
<第4実施形態>
図20は、本開示の第4実施形態に係るサーマルプリントヘッドA4を示す要部拡大断面図であり、図6に対応する図である。本実施形態のサーマルプリントヘッドA4は、絶縁層19が蓄熱層15を覆っていない点で、上述した実施形態と異なっている。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1~3実施形態の各部が任意に組み合わせられてもよい。
図20は、本開示の第4実施形態に係るサーマルプリントヘッドA4を示す要部拡大断面図であり、図6に対応する図である。本実施形態のサーマルプリントヘッドA4は、絶縁層19が蓄熱層15を覆っていない点で、上述した実施形態と異なっている。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1~3実施形態の各部が任意に組み合わせられてもよい。
本実施形態に係る絶縁層19は、主面11と凸部12の一対の傾斜部14(第1斜面141、第2斜面142、第3斜面143)のみを覆っており、蓄熱層15を覆っていない。このような絶縁層19は、絶縁層形成工程S60において、CVDを用いたSiO2の積層ではなく、たとえば基材10を熱酸化させてSiO2膜を形成する熱酸化処理によって形成される。本実施形態の場合、絶縁層19が蓄熱層15を覆っていないが、蓄熱層15自体が絶縁体なので、基材10は、抵抗体層4および電極層3に対して絶縁できる。
本実施形態においても、傾斜部14が、第1斜面141と頂面131との間に配置された第2斜面142を備えているので、印刷媒体が凸部12に引っかかることを抑制できる。また、傾斜部14が、y方向において頂面131につながる第3斜面143を備えているので、製造工程において、ガラスペーストが頂面131から流れ出すことをより抑制できる。また、サーマルプリントヘッドA4は、サーマルプリントヘッドA1と共通する構成により、サーマルプリントヘッドA1と同等の効果を奏する。
さらに、本実施形態によると、絶縁層19は、基材10を熱酸化させることで得られるSiO2膜で構成できる。したがって、絶縁層形成工程S60において、CVDを用いてSiO2を積層する場合と比較して、製造工程を簡略化できる。なお、サーマルプリントヘッドA4は、第2製造方法によって製造される場合は、蓄熱層15と頂面131との間に、絶縁層19が形成されてもよい。
<第5実施形態>
図21~図23は、本開示の第5実施形態に係るサーマルプリントヘッドA5を説明するための図である。図21は、サーマルプリントヘッドA5を示す要部拡大断面図であり、図6に対応する図である。図22および図23は、それぞれ、サーマルプリントヘッドA5の製造方法の一例の一工程を示す断面図であって、図21に示す断面に対応する。本実施形態のサーマルプリントヘッドA5は、第3斜面143が主面11に対して略直交する面である点で、上述した実施形態と異なっている。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1~4実施形態の各部が任意に組み合わせられてもよい。
図21~図23は、本開示の第5実施形態に係るサーマルプリントヘッドA5を説明するための図である。図21は、サーマルプリントヘッドA5を示す要部拡大断面図であり、図6に対応する図である。図22および図23は、それぞれ、サーマルプリントヘッドA5の製造方法の一例の一工程を示す断面図であって、図21に示す断面に対応する。本実施形態のサーマルプリントヘッドA5は、第3斜面143が主面11に対して略直交する面である点で、上述した実施形態と異なっている。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1~4実施形態の各部が任意に組み合わせられてもよい。
図21に示すように、本実施形態に係る基材10の凸部12において、第3斜面143は主面11に対して略直交する面である。つまり、第3傾斜角α3が略直角である。サーマルプリントヘッドA5の製造方法は、サーマルプリントヘッドA1の製造方法に対して、溝132Aの形成方法が異なる。
サーマルプリントヘッドA5の製造方法では、図22に示すように、第1エッチング工程S20において主面11Aに形成されるマスク層91は、スリット92を備えていない。したがって、第1エッチング工程S20では溝132Aが形成されない。その後、図23に示すように、天面131Aに2本の溝132Aを形成する。溝132Aの形成方法は限定されず、たとえばレーザを用いて形成してもよいし、ダイシングブレードを用いていわゆるハーフカットの状態とすることで形成してもよい。その後の工程は、サーマルプリントヘッドA1の製造方法と同様である。
本実施形態においても、傾斜部14が、第1斜面141と頂面131との間に配置された第2斜面142を備えているので、印刷媒体が凸部12に引っかかることを抑制できる。また、傾斜部14が、y方向において頂面131につながる第3斜面143を備えているので、製造工程において、ガラスペーストが頂面131から流れ出すことをより抑制できる。また、サーマルプリントヘッドA5は、サーマルプリントヘッドA1と共通する構成により、サーマルプリントヘッドA1と同等の効果を奏する。
本開示に係るサーマルプリントヘッドおよびサーマルプリントヘッドの製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本開示に係るサーマルプリントヘッドの各部の具体的な構成、および、本開示に係るサーマルプリントヘッドの製造方法の各工程の具体的な処理は、種々に設計変更自在である。
〔付記1〕
厚さ方向(z方向)の一方を向く主面(11)を有し、かつ、単結晶半導体からなる基材(10)と、
前記主面の上に形成され、かつ、主走査方向(x方向)に配列された複数の発熱部(41)を含む抵抗体層(4)と、
前記基材と前記抵抗体層との間に形成された絶縁層(19)と、
前記基材と前記複数の発熱部との間に形成され、かつ、ガラス材料からなるグレーズである蓄熱層(15)と、
を備え、
前記基材は、前記主面から突出し、かつ、前記主走査方向に延びる凸部(12)を備え、
前記凸部は、
前記主面と平行な頂面(131)を有する頂部(13)と、
前記頂部と前記主面とにつながり、かつ、前記主面に対して傾斜した傾斜部(14)と、
を備え、
前記傾斜部は、
前記主面につながり、かつ、前記主面に対して第1傾斜角だけ傾斜した第1斜面(141)と、
前記第1斜面と前記頂面との間に介在し、かつ、前記主面に対して第2傾斜角だけ傾斜した第2斜面(142)と、
を備え、
前記蓄熱層は、前記頂面にだけ形成されている、
サーマルプリントヘッド。
〔付記2〕
前記第1傾斜角は、前記第2傾斜角より大きい、
付記1に記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記3〕
前記傾斜部は、前記頂面につながり、かつ、前記主面に対して第3傾斜角だけ傾斜した第3斜面(143)をさらに備えている、
付記1または2に記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記4〕
前記第1傾斜角と前記第3傾斜角とは等しい、
付記3に記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記5〕
前記第2斜面と前記第3斜面とがつながっている、
付記3または4に記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記6、第2実施形態、図18〕
前記傾斜部は、前記第2斜面および前記第3斜面につながり、かつ、前記主面と平行である平行面(144)をさらに備えている、
付記3または4に記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記7、図6〕
前記凸部の副走査方向の寸法(W1)は、前記頂部の副走査方向の寸法(W2)の2倍以上10倍以下である、
付記1ないし6のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記8〕
前記単結晶半導体は、Siからなり、
前記主面は、(100)面である、
付記1ないし7のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記9、図6〕
前記蓄熱層の副走査方向の寸法(W2)に対する前記厚さ方向の寸法(H2)の比率は、0.05以上0.25以下である、
付記1ないし8のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記10〕
前記蓄熱層の前記厚さ方向の寸法は、15μm以上60μm以下である、
付記1ないし9のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記11〕
前記蓄熱層は、前記頂面の副走査方向の全幅にわたって形成されている、
付記1ないし10のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記12、図7〕
単結晶半導体からなる基材を準備する準備工程(S10)と、
前記基材に第1の異方性エッチングを施して、厚さ方向の一方を向く主面と、前記主面から突出した凸部と、前記凸部の前記主面に平行な天面から凹み、かつ、主走査方向に延びる2本の溝を形成する第1エッチング工程(S20)と、
前記天面の前記2本の溝ではさまれた領域にガラスペーストを配置して焼成することで蓄熱層を形成する蓄熱層形成工程(S30)と、
前記基材に第2の異方性エッチングを施して、前記凸部の一部を除去することで、前記凸部に、前記天面のうち前記2本の溝ではさまれた領域である頂面と、前記主面につながり、かつ、前記主面に対して第1傾斜角だけ傾斜した第1斜面と、前記第1斜面と前記頂面との間に介在し、かつ、前記主面に対して第2傾斜角だけ傾斜した第2斜面と、を形成する第2エッチング工程(S40)と、
前記蓄熱層の上に、前記主走査方向に配列された複数の発熱部を形成する発熱部形成工程(S70)と、
を備えている、
サーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記12-1〕
単結晶半導体からなる基材を準備する準備工程と、
前記基材に第1の異方性エッチングを施して、厚さ方向の一方を向く主面と、前記主面から突出した凸部と、前記凸部の前記主面に平行な天面から凹み、かつ、主走査方向に延びる2本の溝を形成する第1エッチング工程と、
前記基材に第2の異方性エッチングを施して、前記凸部の一部を除去することで、前記凸部に、前記天面のうち前記2本の溝ではさまれた領域である頂面と、前記主面につながり、かつ、前記主面に対して第1傾斜角(55°)だけ傾斜した第1斜面と、前記第1斜面と前記頂面との間に介在し、かつ、前記主面に対して第2傾斜角(31°)だけ傾斜した第2斜面と、を形成する第2エッチング工程と、
前記頂面にガラスペーストを配置して焼成することで蓄熱層を形成する蓄熱層形成工程と、
前記蓄熱層の上に、前記主走査方向に配列された複数の発熱部を形成する発熱部形成工程と、
を備えている、
サーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記13〕
前記第2エッチング工程では、前記凸部に、前記頂面につながり、かつ、前記主面に対して前記第1傾斜角だけ傾斜した第3斜面がさらに形成される、
付記12に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記14〕
前記第2エッチング工程と前記発熱部形成工程との間に行われ、前記蓄熱層および前記基材を覆う絶縁層を形成する絶縁層形成工程(S60)をさらに備えている、
付記12または13に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記15〕
前記第2エッチング工程と前記絶縁層形成工程との間に行われ、焼成により前記蓄熱層を溶融させたのちに固化させる再焼成工程(S50)をさらに備えている、
付記14に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
厚さ方向(z方向)の一方を向く主面(11)を有し、かつ、単結晶半導体からなる基材(10)と、
前記主面の上に形成され、かつ、主走査方向(x方向)に配列された複数の発熱部(41)を含む抵抗体層(4)と、
前記基材と前記抵抗体層との間に形成された絶縁層(19)と、
前記基材と前記複数の発熱部との間に形成され、かつ、ガラス材料からなるグレーズである蓄熱層(15)と、
を備え、
前記基材は、前記主面から突出し、かつ、前記主走査方向に延びる凸部(12)を備え、
前記凸部は、
前記主面と平行な頂面(131)を有する頂部(13)と、
前記頂部と前記主面とにつながり、かつ、前記主面に対して傾斜した傾斜部(14)と、
を備え、
前記傾斜部は、
前記主面につながり、かつ、前記主面に対して第1傾斜角だけ傾斜した第1斜面(141)と、
前記第1斜面と前記頂面との間に介在し、かつ、前記主面に対して第2傾斜角だけ傾斜した第2斜面(142)と、
を備え、
前記蓄熱層は、前記頂面にだけ形成されている、
サーマルプリントヘッド。
〔付記2〕
前記第1傾斜角は、前記第2傾斜角より大きい、
付記1に記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記3〕
前記傾斜部は、前記頂面につながり、かつ、前記主面に対して第3傾斜角だけ傾斜した第3斜面(143)をさらに備えている、
付記1または2に記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記4〕
前記第1傾斜角と前記第3傾斜角とは等しい、
付記3に記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記5〕
前記第2斜面と前記第3斜面とがつながっている、
付記3または4に記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記6、第2実施形態、図18〕
前記傾斜部は、前記第2斜面および前記第3斜面につながり、かつ、前記主面と平行である平行面(144)をさらに備えている、
付記3または4に記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記7、図6〕
前記凸部の副走査方向の寸法(W1)は、前記頂部の副走査方向の寸法(W2)の2倍以上10倍以下である、
付記1ないし6のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記8〕
前記単結晶半導体は、Siからなり、
前記主面は、(100)面である、
付記1ないし7のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記9、図6〕
前記蓄熱層の副走査方向の寸法(W2)に対する前記厚さ方向の寸法(H2)の比率は、0.05以上0.25以下である、
付記1ないし8のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記10〕
前記蓄熱層の前記厚さ方向の寸法は、15μm以上60μm以下である、
付記1ないし9のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記11〕
前記蓄熱層は、前記頂面の副走査方向の全幅にわたって形成されている、
付記1ないし10のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記12、図7〕
単結晶半導体からなる基材を準備する準備工程(S10)と、
前記基材に第1の異方性エッチングを施して、厚さ方向の一方を向く主面と、前記主面から突出した凸部と、前記凸部の前記主面に平行な天面から凹み、かつ、主走査方向に延びる2本の溝を形成する第1エッチング工程(S20)と、
前記天面の前記2本の溝ではさまれた領域にガラスペーストを配置して焼成することで蓄熱層を形成する蓄熱層形成工程(S30)と、
前記基材に第2の異方性エッチングを施して、前記凸部の一部を除去することで、前記凸部に、前記天面のうち前記2本の溝ではさまれた領域である頂面と、前記主面につながり、かつ、前記主面に対して第1傾斜角だけ傾斜した第1斜面と、前記第1斜面と前記頂面との間に介在し、かつ、前記主面に対して第2傾斜角だけ傾斜した第2斜面と、を形成する第2エッチング工程(S40)と、
前記蓄熱層の上に、前記主走査方向に配列された複数の発熱部を形成する発熱部形成工程(S70)と、
を備えている、
サーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記12-1〕
単結晶半導体からなる基材を準備する準備工程と、
前記基材に第1の異方性エッチングを施して、厚さ方向の一方を向く主面と、前記主面から突出した凸部と、前記凸部の前記主面に平行な天面から凹み、かつ、主走査方向に延びる2本の溝を形成する第1エッチング工程と、
前記基材に第2の異方性エッチングを施して、前記凸部の一部を除去することで、前記凸部に、前記天面のうち前記2本の溝ではさまれた領域である頂面と、前記主面につながり、かつ、前記主面に対して第1傾斜角(55°)だけ傾斜した第1斜面と、前記第1斜面と前記頂面との間に介在し、かつ、前記主面に対して第2傾斜角(31°)だけ傾斜した第2斜面と、を形成する第2エッチング工程と、
前記頂面にガラスペーストを配置して焼成することで蓄熱層を形成する蓄熱層形成工程と、
前記蓄熱層の上に、前記主走査方向に配列された複数の発熱部を形成する発熱部形成工程と、
を備えている、
サーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記13〕
前記第2エッチング工程では、前記凸部に、前記頂面につながり、かつ、前記主面に対して前記第1傾斜角だけ傾斜した第3斜面がさらに形成される、
付記12に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記14〕
前記第2エッチング工程と前記発熱部形成工程との間に行われ、前記蓄熱層および前記基材を覆う絶縁層を形成する絶縁層形成工程(S60)をさらに備えている、
付記12または13に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記15〕
前記第2エッチング工程と前記絶縁層形成工程との間に行われ、焼成により前記蓄熱層を溶融させたのちに固化させる再焼成工程(S50)をさらに備えている、
付記14に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
A1~A5:サーマルプリントヘッド
1 :ヘッド基板
10 :基材
11 :主面
12 :凸部
13 :頂部
131 :頂面
14 :傾斜部
141 :第1斜面
142 :第2斜面
143 :第3斜面
144 :平行面
145 :第4斜面
15 :蓄熱層
151 :ラウンド部
19 :絶縁層
2 :保護層
21 :パッド用開口
3 :電極層
31 :個別電極
311 :電極パッド部
32 :共通電極
323 :共通部
324 :櫛歯部
4 :抵抗体層
41 :発熱部
5 :接続基板
59 :コネクタ
61 :ワイヤ
62 :ワイヤ
7 :ドライバIC
78 :保護樹脂
8 :放熱部材
99 :プラテンローラ
10A :基材
11A :主面
12A :凸部
13A :頂部
131A :天面
132A :溝
14A :傾斜部
141A :斜面
3A :導電膜
4A :抵抗体膜
91,93:マスク層
92 :スリット
1 :ヘッド基板
10 :基材
11 :主面
12 :凸部
13 :頂部
131 :頂面
14 :傾斜部
141 :第1斜面
142 :第2斜面
143 :第3斜面
144 :平行面
145 :第4斜面
15 :蓄熱層
151 :ラウンド部
19 :絶縁層
2 :保護層
21 :パッド用開口
3 :電極層
31 :個別電極
311 :電極パッド部
32 :共通電極
323 :共通部
324 :櫛歯部
4 :抵抗体層
41 :発熱部
5 :接続基板
59 :コネクタ
61 :ワイヤ
62 :ワイヤ
7 :ドライバIC
78 :保護樹脂
8 :放熱部材
99 :プラテンローラ
10A :基材
11A :主面
12A :凸部
13A :頂部
131A :天面
132A :溝
14A :傾斜部
141A :斜面
3A :導電膜
4A :抵抗体膜
91,93:マスク層
92 :スリット
Claims (15)
- 厚さ方向の一方を向く主面を有し、かつ、単結晶半導体からなる基材と、
前記主面の上に形成され、かつ、主走査方向に配列された複数の発熱部を含む抵抗体層と、
前記基材と前記抵抗体層との間に形成された絶縁層と、
前記基材と前記複数の発熱部との間に形成され、かつ、ガラス材料からなるグレーズである蓄熱層と、
を備え、
前記基材は、前記主面から突出し、かつ、前記主走査方向に延びる凸部を備え、
前記凸部は、
前記主面と平行な頂面を有する頂部と、
前記頂部と前記主面とにつながり、かつ、前記主面に対して傾斜した傾斜部と、
を備え、
前記傾斜部は、
前記主面につながり、かつ、前記主面に対して第1傾斜角だけ傾斜した第1斜面と、
前記第1斜面と前記頂面との間に介在し、かつ、前記主面に対して第2傾斜角だけ傾斜した第2斜面と、
を備え、
前記蓄熱層は、前記頂面にだけ形成されている、
サーマルプリントヘッド。 - 前記第1傾斜角は、前記第2傾斜角より大きい、
請求項1に記載のサーマルプリントヘッド。 - 前記傾斜部は、前記頂面につながり、かつ、前記主面に対して第3傾斜角だけ傾斜した第3斜面をさらに備えている、
請求項1または2に記載のサーマルプリントヘッド。 - 前記第1傾斜角と前記第3傾斜角とは等しい、
請求項3に記載のサーマルプリントヘッド。 - 前記第2斜面と前記第3斜面とがつながっている、
請求項3または4に記載のサーマルプリントヘッド。 - 前記傾斜部は、前記第2斜面および前記第3斜面につながり、かつ、前記主面と平行である平行面をさらに備えている、
請求項3または4に記載のサーマルプリントヘッド。 - 前記凸部の副走査方向の寸法は、前記頂部の副走査方向の寸法の2倍以上10倍以下である、
請求項1ないし6のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。 - 前記単結晶半導体は、Siからなり、
前記主面は、(100)面である、
請求項1ないし7のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。 - 前記蓄熱層の副走査方向の寸法に対する前記厚さ方向の寸法の比率は、0.05以上0.25以下である、
請求項1ないし8のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。 - 前記蓄熱層の前記厚さ方向の寸法は、15μm以上60μm以下である、
請求項1ないし9のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。 - 前記蓄熱層は、前記頂面の副走査方向の全幅にわたって形成されている、
請求項1ないし10のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。 - 単結晶半導体からなる基材を準備する準備工程と、
前記基材に第1の異方性エッチングを施して、厚さ方向の一方を向く主面と、前記主面から突出した凸部と、前記凸部の前記主面に平行な天面から凹み、かつ、主走査方向に延びる2本の溝を形成する第1エッチング工程と、
前記天面の前記2本の溝ではさまれた領域にガラスペーストを配置して焼成することで蓄熱層を形成する蓄熱層形成工程と、
前記基材に第2の異方性エッチングを施して、前記凸部の一部を除去することで、前記凸部に、前記天面のうち前記2本の溝ではさまれた領域である頂面と、前記主面につながり、かつ、前記主面に対して第1傾斜角だけ傾斜した第1斜面と、前記第1斜面と前記頂面との間に介在し、かつ、前記主面に対して第2傾斜角だけ傾斜した第2斜面と、を形成する第2エッチング工程と、
前記蓄熱層の上に、前記主走査方向に配列された複数の発熱部を形成する発熱部形成工程と、
を備えている、
サーマルプリントヘッドの製造方法。 - 前記第2エッチング工程では、前記凸部に、前記頂面につながり、かつ、前記主面に対して前記第1傾斜角だけ傾斜した第3斜面がさらに形成される、
請求項12に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。 - 前記第2エッチング工程と前記発熱部形成工程との間に行われ、前記蓄熱層および前記基材を覆う絶縁層を形成する絶縁層形成工程をさらに備えている、
請求項12または13に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。 - 前記第2エッチング工程と前記絶縁層形成工程との間に行われ、焼成により前記蓄熱層を溶融させたのちに固化させる再焼成工程をさらに備えている、
請求項14に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021195945A JP2023082289A (ja) | 2021-12-02 | 2021-12-02 | サーマルプリントヘッド、および、サーマルプリントヘッドの製造方法 |
CN202211526891.5A CN116215084A (zh) | 2021-12-02 | 2022-12-01 | 热敏打印头及热敏打印头的制造方法 |
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2021
- 2021-12-02 JP JP2021195945A patent/JP2023082289A/ja active Pending
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2022
- 2022-12-01 CN CN202211526891.5A patent/CN116215084A/zh active Pending
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