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JP2023058321A - インプリント装置及び物品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板上の硬化したインプリント材から型を引き離す際の欠陥の低減に有利なインプリント装置を提供する。【解決手段】インプリント装置1は、型を101保持して駆動する型駆動部104と、基板102を保持して駆動する基板駆動部105と、これらの駆動部を制御する制御部106と、を有し、インプリント処理は、型と基板上のインプリント材103とを接触させた状態でインプリント材を硬化させる硬化工程と、インプリント材から型を引き離す離型工程を含み、制御部は、離型工程において、基板の表面に沿った方向における型と基板との位置関係が、硬化工程での方向における型と基板との位置関係を維持するように、型駆動部及び基板駆動部のうちの少なくとも一方の駆動をフィードバック制御するための補償器を含み、離型工程における補償器のゲインを、インプリント処理のうちの離型工程以外の工程における補償器のゲインよりも小さくする。【選択図】図2

Description

本発明は、インプリント装置及び物品の製造方法に関する。
インプリント技術は、ナノスケールの微細なパターンの転写を可能にする技術であり、半導体素子、液晶表示素子、磁気記憶媒体などの量産用のリソグラフィ技術の1つとして提案されている。インプリント技術を用いたインプリント装置は、パターンが形成された型と基板上のインプリント材とを接触させた状態でインプリント材を硬化させ、硬化したインプリント材から型を引き離すことで基板上にパターンを形成する。インプリント装置では、インプリント材を硬化させる方法として、一般的に、光(紫外線など)の照射によってインプリント材を硬化させる光硬化法が採用されている。
インプリント装置では、型と基板との位置合わせ(アライメント)に高い精度が求められている。そこで、型と基板とのアライメントでは、基板上のインプリント材と型とを接触させてから型を引き離すまでの期間、即ち、押印から離型までの期間、常に、型及び基板のそれぞれを保持して駆動する駆動部(型駆動部や基板駆動部)を制御している。
押印から離型までの期間においては、基板上に形成されるパターンに欠陥を生じさせる様々な要因がある。その1つとして、離型時に、基板上の硬化したインプリント材と型との間に大きな力がかかることによって、基板上のインプリント材のパターン(転写層)、或いは、型のパターンが破損する離型欠陥がある。このような離型欠陥を低減(抑制)するための技術が従来から提案されている(特許文献1及び2参照)。
例えば、特許文献1には、基板上の硬化したインプリント材から型を引き離す際の型と基板との相対的な速度(離型速度)や型と基板との相対的な角度(離型角度)を、基板内の位置に応じて変化させることで、離型欠陥を低減する技術が開示されている。また、特許文献2には、離型速度や離型角度を含む条件(離型条件)を可変とし、離型欠陥が少ない離型条件を用いてインプリント処理を行う技術が開示されている。
特開2012-060074号公報 特開2013-091328号公報
従来技術では、離型速度や離型角度を制御することで、基板上の硬化したインプリント材と型との間の摩擦力を低減し、離型欠陥を低減している。しかしながら、基板上の硬化したインプリント材と型との間に働いて離型欠陥の原因となる力は、摩擦力以外にも存在し、例えば、型と基板とのアライメントにおいて発生する水平力がある。
また、インプリント装置では、型と基板との高精度なアライメントを実現するために、型及び基板の少なくとも一方を、押印から光照射までの期間では、水平方向の目標位置に移動させ、光照射以降の期間では、光照射時に定まった位置に維持している。
一方、離型時において、基板駆動部には、基板上の硬化したインプリント材及び基板を介して、垂直上方向に大きな力が加わるため、基板駆動部が傾く。基板駆動部の構造にも依存するが、一般的には、基板駆動部の傾きは、基板上の硬化したインプリント材と型との離型領域が基板の端にあればあるほど大きくなる。基板駆動部が傾いても、離型領域における型と基板との水平位置は変化しない。但し、基板駆動部の端部を検出することで基板駆動部の水平位置を計測している場合、基板駆動部の水平位置は、基板駆動部の傾きによって変化する。このような場合、基板駆動部を、光照射時に定まった位置に戻そうとする制御が働いて、水平方向の力が発生する。かかる水平方向の力は、基板上の硬化したインプリント材と型との間に作用するため、インプリント材のパターンの破損や型のパターンの破損などの離型欠陥を発生させる要因となる。
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、基板上の硬化したインプリント材から型を引き離す際の欠陥を低減するのに有利なインプリント装置を提供することを例示的目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としてのインプリント装置は、型を用いて基板上にインプリント材のパターンを形成するインプリント処理を行うインプリント装置であって、前記型を保持して駆動する型駆動部と、前記基板を保持して駆動する基板駆動部と、前記型駆動部及び前記基板駆動部を制御する制御部と、を有し、前記インプリント処理は、前記型と前記基板上のインプリント材とを接触させた状態で前記インプリント材を硬化させる硬化工程と、前記基板上の硬化したインプリント材から前記型を引き離す離型工程を含み、前記制御部は、前記離型工程において、前記基板の表面に沿った方向における前記型と前記基板との位置関係が、前記硬化工程での前記方向における前記型と前記基板との位置関係を維持するように、前記型駆動部及び前記基板駆動部のうちの少なくとも一方の駆動をフィードバック制御するための補償器を含み、前記離型工程における前記補償器のゲインを、前記インプリント処理のうちの前記離型工程以外の工程における前記補償器のゲインよりも小さくすることを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される実施形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、例えば、基板上の硬化したインプリント材から型を引き離す際の欠陥を低減するのに有利なインプリント装置を提供することができる。
本発明の一側面としてのインプリント装置の構成を示す概略図である。 インプリント処理のうちの接触工程及び離型工程を説明するための図である。 インプリント処理のうちの接触工程及び離型工程を説明するための図である。 基板上のショット領域の配列を示す図である。 インプリント処理のうちの離型工程を説明するための図である。 物品の製造方法を説明するための図である。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。更に、添付図面においては、同一もしくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の一側面としてのインプリント装置1の構成を示す概略図である。インプリント装置1は、物品としての半導体素子、液晶表示素子、磁気記憶媒体などのデバイスの製造工程であるリソグラフィ工程に採用され、基板にパターンを形成するリソグラフィ装置である。インプリント装置1は、基板上に供給(配置)された未硬化のインプリント材と型とを接触させ、インプリント材に硬化用のエネルギーを与えることにより、型のパターンが転写された硬化物のパターンを形成する。
インプリント材としては、硬化用のエネルギーが与えられることにより硬化する材料(硬化性組成物)が使用される。硬化用のエネルギーとしては、電磁波や熱などが用いられる。電磁波は、例えば、その波長が10nm以上1mm以下の範囲から選択される光、具体的には、赤外線、可視光線、紫外線などを含む。
硬化性組成物は、光の照射、或いは、加熱により硬化する組成物である。光の照射により硬化する光硬化性組成物は、少なくとも重合性化合物と光重合開始剤とを含有し、必要に応じて、非重合性化合物又は溶剤を更に含有してもよい。非重合性化合物は、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマー成分などの群から選択される少なくとも一種である。
インプリント材は、スピンコーターやスリットコーターによって基板上に膜状に付与されてもよい。また、インプリント材は、液体噴射ヘッドによって、液滴状、或いは、複数の液滴が繋がって形成された島状又は膜状で基板上に付与されてもよい。インプリント材の粘度(25℃における粘度)は、例えば、1mPa・s以上100mPa・s以下である。
基板には、ガラス、セラミックス、金属、半導体、樹脂などが用いられ、必要に応じて、その表面に基板とは別の材料からなる部材が形成されていてもよい。具体的には、基板は、シリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、石英ガラスなどを含む。
本明細書及び添付図面では、基板の表面に平行な方向をXY平面とするXYZ座標系で方向を示す。XYZ座標系におけるX軸、Y軸及びZ軸のそれぞれに平行な方向をX方向、Y方向及びZ方向とし、X軸周りの回転、Y軸周りの回転及びZ軸周りの回転のそれぞれをθX、θY及びθZとする。
インプリント装置1は、本実施形態では、インプリント材の硬化法として光硬化法を採用する。インプリント装置1は、図1に示すように、型駆動部104と、基板駆動部105と、制御部106と、検出系107と、照射部108と、を有する。
型駆動部104は、例えば、型101を保持する型チャックや型チャックを支持して駆動可能なヘッドを含み、型101を保持して駆動する機能を有する。基板駆動部105は、例えば、基板102を保持する基板チャックや基板チャックを支持して駆動可能なステージを含み、基板102を保持面105Aで保持して駆動する機能を有する。
基板102には、その全面に、インプリント材(転写層)103が事前に配置(供給)されていてもよい。このように、基板102の全面にインプリント材103を事前に配置する場合には、プロセスタイムを短縮することが可能となる。また、基板上の各領域(パターンを形成すべき区画領域、所謂、ショット領域)にパターンを形成する直前に、インプリント装置1が有するデイスペンサ(吐出装置)を用いて、基板上にインプリント材103を配置してもよい。この場合、基板102の部分的な凹凸に応じて、インプリント材103を配置することが可能となる。
検出系107は、インプリント装置1の各部の位置や制御力に関する情報を取得するための種々の検出器を含む。検出系107は、本実施形態では、基板駆動部105に対して設けられた検出器107aと、型駆動部104に対して設けられた検出器107bと、型駆動部104及び基板駆動部105の上方に設けられた検出器107cと、を含む。
検出器107aは、基板駆動部105を検出して、基板駆動部105の位置や傾きに関する各種情報を取得するためのセンサを含む。検出器107aは、本実施形態では、基板駆動部105の保持面105Aの端部(基板駆動部105の側面)105Bを検出することで、基板駆動部105の位置及び傾きを計測する計測部として機能する。
検出器107bは、型駆動部104を検出して、型駆動部104の位置や傾きに関する各種情報を取得するためのセンサを含む。検出器107bは、本実施形態では、型駆動部104の端部(側面)を検出することで、型駆動部104の位置及び傾きを計測する計測部として機能する。
検出器107cは、型101と基板102との位置合わせ(アライメント)に用いられる。検出器107cは、アライメントスコープなどを含み、型101に設けられたアライメントマーク(第1マーク)と、基板102に設けられたアライメントマーク(第2マーク)とを、例えば、同時に検出(観察)する検出部として機能する。
照射部108は、基板上のインプリント材103を硬化させるための光、例えば、紫外線などの光を発する光源を含む。照射部108は、基板上のインプリント材103と型101とが接触している状態において、型101を介してインプリント材103に光を照射してインプリント材103を硬化させる。
制御部106は、例えば、CPUやメモリなどを含む情報処理装置(コンピュータ)で構成され、記憶部などに記憶されたプログラムに従ってインプリント装置1の各部を統括的に制御する。制御部106は、インプリント装置1の各部の動作及び調整などを制御することで、型101を用いて基板上(の各ショット領域)にインプリント材103のパターンを形成するインプリント処理を行う。制御部106は、インプリント処理において、本実施形態では、特に、型駆動部104及び基板駆動部105を制御、詳細には、フィードバック制御する。そこで、制御部106は、型駆動部104及び基板駆動部105の少なくとも一方をフィードバック制御するための補償器を含んでいる。
インプリント処理は、一般的に、配置工程(供給工程)と、接触工程(押印工程)と、硬化工程と、離型工程と、を含む。配置工程とは、基板上に未硬化のインプリント材103を配置する工程である。なお、上述したように、基板102の全面にインプリント材103を事前に配置する場合には、基板上の各ショット領域に対するインプリント処理において、配置工程が省略されるため、プロセスタイムを短縮することができる。接触工程とは、型101と基板上のインプリント材103とを接触させる工程である。硬化工程とは、型101と基板上のインプリント材103とを接触させた状態でインプリント材103を硬化させる工程である。離型工程とは、基板上の硬化したインプリント材103から型101を引き離す工程である。
ここで、図2(a)を参照して、インプリント処理のうちの接触工程について詳細に説明する。接触工程では、基板上の特定のショット領域(特定位置)のインプリント材103に型101のパターンを転写するために、型101とインプリント材103とを接触させる。
具体的には、まず、制御部106は、検出器107cの検出結果から、水平方向(基板102の表面に沿った方向、本実施形態では、X方向)における型101と基板102との位置関係、即ち、位置ずれを求める。そして、検出器107cの検出結果から求められた位置ずれに基づいて、型駆動部104及び基板駆動部105を水平方向に駆動することで、型101(のパターン)と基板102(のショット領域)とをアライメントする。
次いで、型101と基板102とを近づけるように、型101を保持している型駆動部104を下降させて(-Z方向に駆動して)、型101と基板上のインプリント材103とを接触させる。型101と基板上のインプリント材103とを接触させた状態でも、検出器107cの検出結果から求められる位置ずれに基づいて、型101と基板102とのアライメントは継続する。
型101と基板102とのアライメントを予め定められた精度まで追い込めたら、硬化工程を行う。具体的には、型101と基板上のインプリント材103とを接触させた状態で、照射部108からの光を、型101を介して、インプリント材103に照射してインプリント材103を硬化させる。なお、基板上のインプリント材103を硬化させたら、制御部106は、水平方向に関して、インプリント材103を硬化させたときの型101と基板102との位置関係を維持するように、型駆動部104及び基板駆動部105を制御する。
次に、図2(b)を参照して、インプリント処理のうちの離型工程について詳細に説明する。基板上のインプリント材103を硬化させたら、型101を保持している型駆動部104を上昇させて(+Z方向に駆動して)、基板上の硬化したインプリント材103から型101を引き離す。この際、基板駆動部105は、型101、基板上の離型領域のインプリント材103及び基板102を介して、型101の側の方向(+Z方向)に力を受けることによって、僅かに傾く。なお、離型領域とは、基板上のインプリント処理(離型工程)が行われている領域、即ち、ショット領域を意味する。
離型工程において、基板駆動部105が傾くと、基板駆動部105の保持面105Aの端部105Bを検出する検出器107aでは、水平方向における基板駆動部105の位置の変化が計測される。一方、離型領域では、水平方向における型101と基板102との相対位置は変化していない。
そこで、本実施形態では、制御部106において、離型工程の間の検出器107aの検出結果に基づいて、水平方向における現在の離型領域の位置(型101と基板102との位置ずれ)を算出する。例えば、離型工程において、検出器107aで計測された基板駆動部105の位置及び傾きと、基板駆動部105における基板上の離型領域の位置とに基づいて、水平方向における現在の離型領域の位置を算出する。
制御部106で行われる、水平方向における現在の離型領域の位置の算出の一例について説明する。ここでは、制御部106は、基板駆動部105の位置及び傾き、及び、基板駆動部105における基板上の離型領域の位置から、水平方向における現在の離型領域の中心を算出する。離型領域の中心の基板駆動部105の遠い端部からの距離を(Ax、Ay)とし、そのときの基板駆動部105の位置及び傾きを、それぞれ、(Bx、By)及び(θx、θy)とする。基板駆動部105の位置(Bx、By)が正である場合、制御部106は、水平方向における離型領域の中心を、(Bx-Ax(1-cosθ)、By-Ay(1-cosθ))から算出する。また、基板駆動部105の位置(Bx、By)が負である場合、制御部106は、水平方向における離型領域の中心を、(Bx+Ax(1-cosθ)、By+Ay(1-cosθ))から算出する。
基板駆動部105が傾いていない場合には、制御部106で算出される、水平方向における離型領域の位置と、検出器107aで計測される、水平方向における基板駆動部105の位置とは、同値を示すことになる。従って、基板駆動部105が傾いていない場合には、制御部106は、基板駆動部105を制御する際に、制御部106で算出した離型領域の位置を採用してもよいし、検出器107aで計測した基板駆動部105の位置を採用してもよい。
但し、基板駆動部105が傾いている場合には、制御部106で算出される、水平方向における離型領域の位置と、検出器107aで計測される、水平方向における基板駆動部105の位置とは、異なる値を示すことになる。このような場合、本実施形態では、制御部106で算出した離型領域の位置に基づいて、基板駆動部105(及び型駆動部104の少なくとも一方)を制御する。これにより、離型工程において、水平方向における型101と基板102との位置関係を、硬化工程での水平方向における型101と基板102との位置関係に維持することができる。このように、離型工程での水平方向における型駆動部104と基板駆動部105との相対位置を硬化工程から変化させなければ、離型工程において、基板上の硬化したインプリント材103と型101との間に水平方向の力が作用することはない。従って、基板上の硬化したインプリント材103のパターンの破損や型101のパターンの破損などの離型欠陥を十分に低減(抑制)することができる。
上述したように、本実施形態では、離型工程において生じる基板駆動部105の傾きを、水平方向における型101と基板102との位置ずれに換算し、かかる位置ずれに基づいて、型駆動部104及び基板駆動部105の少なくとも一方を制御する。具体的には、離型工程での水平方向における型101と基板102(離型領域)との位置関係が、硬化工程での水平方向における型101と基板102との位置関係を維持するように、型駆動部104及び基板駆動部105のうちの少なくとも一方の駆動を制御する。これにより、基板上の硬化したインプリント材103から型101を引き離す際に生じる欠陥、即ち、離型欠陥を低減するのに有利なインプリント装置1を実現することができる。
<第2実施形態>
本実施形態では、検出器107cを用いて、離型欠陥を低減するのに有利なインプリント装置1を実現する場合について説明する。本実施形態において、制御部106は、離型工程においても、接触工程と同様に、検出器107cの検出結果から、水平方向における型101と基板102との位置ずれを求め、かかる位置ずれに基づいて、型駆動部104及び基板駆動部105を制御する。
型101と基板102とをアライメントするために、一般的には、型101には、複数のアライメントマーク(複数の第1マーク)が設けられ、基板102には、複数のアライメントマーク(複数の第2マーク)が設けられている。型101及び基板102のそれぞれに設けられた複数のアライメントマーク(複数の第1マーク及び第2マーク)は、互いに対応して設けられており、検出器107cによって検出することが可能である。
図3(a)は、型101と基板上のインプリント材103とが接触している状態(接触工程)において、型101を上方から示した図である。接触工程では、型101と基板上のインプリント材103とは全領域で接触しており、型101の全領域が、インプリント材103と接触している領域201となる。この場合、検出器107cは、型101(及び基板102のショット領域)に設けられた全てのアライメントマーク202を検出することができる。従って、接触工程では、全てのアライメントマーク202の検出結果から、水平方向における型101と基板102との位置ずれを求め、かかる位置ずれに基づいて、型駆動部104及び基板駆動部105の少なくとも一方の駆動を制御している。このため、接触工程においては、型101と基板102とを高精度にアライメントすることができる。
図3(b)は、基板上の硬化したインプリント材103から型101を引き離している状態、詳細には、離型工程の前期において、型101を上方から示した図である。離型工程が進むにつれて、型101と基板上の硬化したインプリント材103とが接触している領域201が徐々に小さくなる。このため、アライメントマーク202は、領域201に存在するアライメントマーク202Aと、型101と基板上の硬化したインプリント材103とが接触していない領域203に存在するアライメントマーク202Bも含むことになる。このような領域203に存在するアライメントマーク202Bは、基板上の硬化したインプリント材103から引き離された領域に位置するアライメントマークであるため、検出器107cで検出しても、異常値(エラー)として検出される。一般的に、アライメントマークは完全な形で機能するものが多いため、アライメントマークの少なくとも一部でも基板上の硬化したインプリント材から引き離された領域に存在する場合には、異常値として検出される可能性が極めて高い。
そこで、本実施形態では、領域203に存在するアライメントマーク202Bの検出結果は、型101と基板102とのアライメントに採用しない。換言すれば、離型工程において検出器107cで検出されるアライメントマーク202のうち、型101と基板上の硬化したインプリント材103とが接触している領域201に存在するアライメントマーク202Aの検出結果のみを採用する。具体的には、離型工程では、アライメントマーク202Aの検出結果から、水平方向における型101と基板102との位置ずれを求め、かかる位置ずれに基づいて、型駆動部104及び基板駆動部105の少なくとも一方の駆動を制御する。これにより、接触工程と同様な基準で型101と基板102とのアライメントを行うことが可能となる。従って、離型工程での水平方向における型101と基板102との位置関係を、硬化工程での水平方向における型101と基板102との位置関係に維持することができる。なお、領域201に存在するアライメントマーク202Aと、領域203に存在するアライメントマーク202Bとは、上述した異常値に基づいた閾値を設定することによって判別することが可能である。
図3(c)は、離型工程の中期において、型101を上方から示した図である。離型工程の中期でも、離型工程の前期と同様に、型101と基板上の硬化したインプリント材103とが接触していない領域203に存在するアライメントマーク202Bの検出結果は、型101と基板102とのアライメントに採用しない。
図3(d)は、離型工程の後期において、型101を上方から示した図である。図3(d)に示すように、型101と基板上の硬化したインプリント材103とが接触している領域201に存在するアライメントマーク202Aが1つになっても、型101と基板102とのアライメントを行うことは可能である。
このように、本実施形態では、離型工程において、検出器107cの検出結果のうち、型101と基板上の硬化したインプリント材103とが接触している領域201に存在するアライメントマーク202Aの検出結果を抽出する。また、アライメントマーク202Aの検出結果から、水平方向における型101と基板102との位置ずれを求める。そして、かかる位置ずれに基づいて、離型工程での水平方向における型101と基板102との位置関係が、硬化工程での位置関係を維持するように、型駆動部104及び基板駆動部105のうちの少なくとも一方の駆動を制御する。
このように、離型工程での水平方向における型駆動部104と基板駆動部105との相対位置を硬化工程から変化させなければ、離型工程において、基板上の硬化したインプリント材103と型101との間に水平方向の力が作用することはない。従って、基板上の硬化したインプリント材103のパターンの破損や型101のパターンの破損などの離型欠陥を十分に低減(抑制)することができる。これにより、基板上の硬化したインプリント材103から型101を引き離す際に生じる欠陥、即ち、離型欠陥を低減するのに有利なインプリント装置1を実現することができる。
<第3実施形態>
本実施形態では、制御部106に含まれている、型駆動部104及び基板駆動部105の少なくとも一方をフィードバック制御するための補償器を用いて、離型欠陥を低減するのに有利なインプリント装置1を実現する場合について説明する。
本実施形態において、制御部106は、離型工程において、水平方向における型101と基板102との位置関係が、硬化工程での位置関係を維持するように、型駆動部104及び基板駆動部105のうちの少なくとも一方の駆動をフィードバック制御する。
ここで、一般的に、フィードバック制御では、目標値と現在値との差分を、どの程度の割合で制御(制御力)に反映させるのかを規定するゲイン(ゲイン値)が設定されている。ゲインが大きい(高い)と、制御力を瞬時に出力し、高速な制御が可能になるが、制御系が発振するリスクがある。一方、ゲインが小さい(低い)と、制御力を徐々に出力し、制御系が発振するリスクは低いが、高速な制御ができない。
離型工程において、図2(b)に示すように、基板駆動部105が傾くと、上述したように、基板駆動部105の保持面105Aの端部105Bを検出する検出器107aでは、水平方向における基板駆動部105の位置の変化が計測される。従って、制御部106は、基板駆動部105に対して、基板駆動部105を元の位置に戻すための制御力を出力する。かかる制御力は、上述したように、制御部106に含まれている補償器に設定されているゲインに依存する。
接触工程においては、型101と基板102とのアライメントを高速で行うために、制御部106が含む補償器には、大きなゲインが設定されていることが多い。但し、離型工程においては、型101と基板102とのアライメントが既に終了しているため、型駆動部104及び基板駆動部105に関しては、その位置を維持するように制御すればよいため、大きなゲインは必要ない。
そこで、本実施形態では、制御部106は、離型工程における補償器のゲインを、接触工程における補償器のゲインよりも小さくする。これにより、離型工程において、制御部106から型駆動部104及び基板駆動部105に対して出力される制御力を抑えることができる。制御部106が含む補償器のゲインを小さくすることは、検出器107aの検出結果に基づいたフィードバック制御を行いたくない場合に有利となる。
このように、本実施形態では、離型工程において、水平方向における型101と基板102との位置関係が、硬化工程での位置関係を維持するように、型駆動部104及び基板駆動部105のうちの少なくとも一方の駆動をフィードバック制御する。この際、離型工程における補償器(制御部106が含む補償器)のゲインを、インプリント処理のうちの離型工程以外の工程(具体的には、接触工程)における補償器のゲインよりも小さくする。これにより、第1実施形態のように、制御部106において、水平方向における離型領域の位置を計算しなくても、離型工程での水平方向における型101と基板102との位置関係を、硬化工程での位置関係に維持することが可能となる。従って、基板上の硬化したインプリント材103のパターンの破損や型101のパターンの破損などの離型欠陥を十分に低減(抑制)することができる。
以下、本実施形態について、制御部106が、補償器として、PID補償器を含む場合について説明する。図4は、基板上のショット領域の配列を示す図である。インプリント装置1は、図4に示す基板上の各ショット領域に対してインプリント処理を行う。ここでは、図4に示すように、基板102の端部に位置するショット領域を「基板端部領域301」と称し、基板102の中央部に位置するショット領域を「基板中央領域302」と称する。また、基板駆動部105は、制御部106が含むPID補償器によって、PID制御されている。
例えば、離型工程におけるPID補償器のゲインを、インプリント処理のうちの離型工程以外の工程におけるPID補償器のゲイン(通常ゲイン)に設定した場合と、P値及びI値について通常ゲインの1/10のゲイン(緩和ゲイン)に設定した場合とを考える。このような2つの場合のそれぞれについて、基板端部領域301に離型工程を行う際に制御部106(PID補償器)から基板駆動部105に出力される制御力を図5に示す。
図5を参照するに、PID補償器に通常ゲインが設定されている場合には、基板駆動部105が短時間で目標位置に到達し、それ以降では、制御力は出力されていないが、初期に4N程度の力がかかっていることがわかる。一方、PID補償器に緩和ゲインが設定されている場合には、基板駆動部105が目標位置に到達するまで時間を要するが、離型工程の全体を通しても最大で0.5N程度の制御力しか出力されていないことがわかる。なお、基板中央領域302では、どちらの場合でも、最大の制御力は1N未満であった。
上述した2つの場合において、基板上に形成されたインプリント材103のパターンを比較する。PID補償器に通常ゲインが設定されている場合には、基板中央領域302よりも基板端部領域301に多くの欠陥が生じていた。一方、PID補償器に緩和ゲインが設定されている場合には、基板端部領域301と基板中央領域302とで、欠陥の密度に変化はなかった。
このように、本実施形態においても、基板上の硬化したインプリント材103から型101を引き離す際に生じる欠陥、即ち、離型欠陥を低減するのに有利なインプリント装置1を実現することができる。
なお、緩和ゲインに関しては、ゲインを極端に小さくすると、次のショット領域に対してインプリント処理を行うため基板駆動部105を再び駆動する際に、基板駆動部105の現在の位置と目標位置との乖離が大きくなる。このため、基板駆動部105が急激に加速されることになるが、このような急激な加速は、基板駆動部105の耐久寿命に影響を与えることにつながる。そこで、緩和ゲインについては、完全にゼロにするのではなく(フィードバック制御をオフにするのではなく)、通常ゲインの1/10以上1/5以下にすることが好ましい。また、同様の理由から、離型工程で小さくした補償器のゲインを元に戻す際には、補償器のゲインを徐々に戻すことが好ましい。なお、離型工程で小さくした補償器のゲインは、基板上の1つのショット領域に対するインプリント処理が終了した後、次のショット領域に対するインプリント処理を開始するまでに戻せばよい。
インプリント装置1を用いて形成した硬化物のパターンは、各種物品の少なくとも一部に恒久的に、或いは、各種物品を製造する際に一時的に、用いられる。物品とは、電気回路素子、光学素子、MEMS、記録素子、センサ、或いは、型などである。電気回路素子としては、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、MRAMなどの揮発性又は不揮発性の半導体メモリや、LSI、CCD、イメージセンサ、FPGAなどの半導体素子などが挙げられる。型としては、インプリント用のモールドなどが挙げられる。
硬化物のパターンは、上述の物品の少なくとも一部の構成部材として、そのまま用いられるか、或いは、レジストマスクとして一時的に用いられる。基板の加工工程においてエッチング又はイオン注入などが行われた後、レジストマスクは除去される。
次に、物品の具体的な製造方法について説明する。図6(a)に示すように、絶縁体などの被加工材が表面に形成されたシリコンウエハなどの基板を用意し、続いて、インクジェット法などにより、被加工材の表面にインプリント材を付与する。ここでは、複数の液滴状になったインプリント材が基板上に付与された様子を示している。
図6(b)に示すように、インプリント用の型を、その凹凸パターンが形成された側を基板上のインプリント材に向け、対向させる。図6(c)に示すように、インプリント材が付与された基板と型とを接触させ、圧力を加える。インプリント材は、型と被加工材との隙間に充填される。この状態で硬化用のエネルギーとして光を型を介して照射すると、インプリント材は硬化する。
図6(d)に示すように、インプリント材を硬化させた後、型と基板を引き離すと、基板上にインプリント材の硬化物のパターンが形成される。この硬化物のパターンは、型の凹部が硬化物の凸部に、型の凸部が硬化物の凹部に対応した形状になっており、即ち、インプリント材に型の凹凸のパターンが転写されたことになる。
図6(e)に示すように、硬化物のパターンを耐エッチングマスクとしてエッチングを行うと、被加工材の表面のうち、硬化物がない、或いは、薄く残存した部分が除去され、溝となる。図6(f)に示すように、硬化物のパターンを除去すると、被加工材の表面に溝が形成された物品を得ることができる。ここでは、硬化物のパターンを除去したが、加工後も除去せずに、例えば、半導体素子などに含まれる層間絶縁用の膜、即ち、物品の構成部材として利用してもよい。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
1:インプリント装置 101:型 102:基板 103:インプリント材 104:型駆動部 105:基板駆動部 106:制御部

Claims (12)

  1. 型を用いて基板上にインプリント材のパターンを形成するインプリント処理を行うインプリント装置であって、
    前記型を保持して駆動する型駆動部と、
    前記基板を保持して駆動する基板駆動部と、
    前記型駆動部及び前記基板駆動部を制御する制御部と、を有し、
    前記インプリント処理は、前記型と前記基板上のインプリント材とを接触させた状態で前記インプリント材を硬化させる硬化工程と、前記基板上の硬化したインプリント材から前記型を引き離す離型工程を含み、
    前記制御部は、
    前記離型工程において、前記基板の表面に沿った方向における前記型と前記基板との位置関係が、前記硬化工程での前記方向における前記型と前記基板との位置関係を維持するように、前記型駆動部及び前記基板駆動部のうちの少なくとも一方の駆動をフィードバック制御するための補償器を含み、
    前記離型工程における前記補償器のゲインを、前記インプリント処理のうちの前記離型工程以外の工程における前記補償器のゲインよりも小さくすることを特徴とするインプリント装置。
  2. 前記インプリント処理は、前記型と前記基板上のインプリント材とを接触させる接触工程を含み、
    前記制御部は、前記離型工程における前記補償器のゲインを、前記接触工程における前記補償器のゲインよりも小さくすることを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
  3. 前記制御部は、前記離型工程における前記補償器のゲインを、前記離型工程以外の工程における前記補償器のゲインの1/10以上1/5以下にすることを特徴とする請求項1又は2に記載のインプリント装置。
  4. 前記制御部は、前記基板上の1つの領域に対するインプリント処理が終了した後、次の領域に対するインプリント処理を開始するまでに、前記1つの領域に対するインプリント処理における前記離型工程で小さくした前記補償器のゲインを徐々に戻すことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載のインプリント装置。
  5. 前記補償器は、PID補償器を含むことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載のインプリント装置。
  6. 型を用いて基板上にインプリント材のパターンを形成するインプリント処理を行うインプリント装置であって、
    前記型を保持して駆動する型駆動部と、
    前記基板を保持して駆動する基板駆動部と、
    前記型駆動部及び前記基板駆動部を制御する制御部と、を有し、
    前記インプリント処理は、前記型と前記基板上のインプリント材とを接触させた状態で前記インプリント材を硬化させる硬化工程と、前記基板上の硬化したインプリント材から前記型を引き離す離型工程を含み、
    前記制御部は、
    前記離型工程において生じる前記基板駆動部の傾きを、前記基板の表面に沿った方向における前記型と前記基板との位置ずれに換算し、
    前記位置ずれに基づいて、前記離型工程での前記方向における前記型と前記基板との位置関係が、前記硬化工程での前記方向における前記型と前記基板との位置関係を維持するように、前記型駆動部及び前記基板駆動部のうちの少なくとも一方の駆動を制御する、
    ことを特徴とするインプリント装置。
  7. 前記制御部は、前記離型工程において計測された前記基板駆動部の位置及び傾きと、前記インプリント処理が行われている前記基板上の領域の位置とに基づいて、前記位置ずれを算出することを特徴とする請求項6に記載のインプリント装置。
  8. 前記基板駆動部は、前記基板を保持する保持面を含み、
    前記基板駆動部の前記保持面の端部を検出することで前記基板駆動部の位置及び傾きを計測する計測部を更に有し、
    前記制御部は、前記離型工程において前記計測部で計測された前記基板駆動部の位置及び傾きを取得して前記位置ずれを算出することを特徴とする請求項7に記載のインプリント装置。
  9. 前記制御部は、前記離型工程において、前記型駆動部及び前記基板駆動部のうちの少なくとも一方の駆動をフィードバック制御することを特徴とする請求項6乃至8のうちいずれか1項に記載のインプリント装置。
  10. 型を用いて基板上にインプリント材のパターンを形成するインプリント処理を行うインプリント装置であって、
    前記型を保持して駆動する型駆動部と、
    前記基板を保持して駆動する基板駆動部と、
    前記型に設けられた第1マークと、前記基板に設けられた第2マークとを検出する検出部と、
    前記型駆動部及び前記基板駆動部を制御する制御部と、を有し、
    前記インプリント処理は、前記型と前記基板上のインプリント材とを接触させた状態で前記インプリント材を硬化させる硬化工程と、前記基板上の硬化したインプリント材から前記型を引き離す離型工程を含み、
    前記制御部は、
    前記離型工程における前記検出部の検出結果から、前記基板の表面に沿った方向における前記型と前記基板との位置ずれを求め、
    前記位置ずれに基づいて、前記離型工程での前記方向における前記型と前記基板との位置関係が、前記硬化工程での前記方向における前記型と前記基板との位置関係を維持するように、前記型駆動部及び前記基板駆動部のうちの少なくとも一方の駆動を制御する、
    ことを特徴とするインプリント装置。
  11. 前記検出部は、前記型に設けられた複数の第1マークのそれぞれと、前記基板に設けられた複数の第2マークのそれぞれとを検出し、
    前記制御部は、前記離型工程において前記検出部で検出される前記複数の第1マーク及び前記複数の第2マークのうち、前記型と前記基板上の硬化したインプリント材とが接触している領域に存在する第1マーク及び第2マークの検出結果から前記位置ずれを求めることを特徴とする請求項10に記載のインプリント装置。
  12. 請求項1乃至11のうちいずれか1項に記載のインプリント装置を用いてパターンを基板に形成する工程と、
    前記工程で前記パターンが形成された前記基板を処理する工程と、
    処理された前記基板から物品を製造する工程と、
    を有することを特徴とする物品の製造方法。
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