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JP2023053820A - 二酸化炭素還元触媒の製造方法 - Google Patents

二酸化炭素還元触媒の製造方法 Download PDF

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JP2023053820A JP2021163101A JP2021163101A JP2023053820A JP 2023053820 A JP2023053820 A JP 2023053820A JP 2021163101 A JP2021163101 A JP 2021163101A JP 2021163101 A JP2021163101 A JP 2021163101A JP 2023053820 A JP2023053820 A JP 2023053820A
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Abstract

【課題】本発明の課題は、電位窓が広く水溶液の電解で水素生成反応による阻害を受け難く、耐久性にも優れた高い電流効率の二酸化炭素還元触媒を提供することである。【解決手段】導電性アモルファスカーボンをアンモニアプラズマ処理する又は窒素を含む導電性アモルファスカーボンを水プラズマ処理することにより、二酸化炭素還元触媒を得る二酸化炭素還元触媒の製造方法。導電性アモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与する方法であって、前記導電性アモルファスカーボンの表面に窒素及び酸素を導入し、前記導電性アモルファスカーボンの表面の窒素及びアミノ基並びにC=O結合を増加させることにより、前記導電性アモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与する方法。【選択図】図2

Description

本発明は、アモルファスカーボンを利用した二酸化炭素還元触媒の製造方法、及び前記二酸化炭素還元触媒を使用した二酸化炭素還元触媒電極、並びにアモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与する又はアモルファスカーボンの二酸化炭素還元活性を向上させる方法に関する。
地球温暖化抑制のためのCO排出量の削減とエネルギー消費量の増加と化石燃料の欠乏、原子力エネルギーの失速にともなうエネルギー不足は世界の直面する2つの大きな問題である。現在、人工的な光合成でCOを取り込み、燃料(アルコール)を合成する研究が活発化している。COの還元生成物としては、オレフィンや燃料などへの転換技術が確立されている一酸化炭素(CO)や蟻酸(HCOOH)が望ましい。COから燃料(アルコール)を合成する研究開発(COの固定化)は、環境と資源・エネルギーの問題を同時に解決可能となる技術である。しかし、COから一酸化炭素(CO)や蟻酸(HCOOH)への還元反応は、標準電位が-0.53Vと-0.61V(vs.NHE)であり、H生成反応の標準電位0V(vs.NHE)より卑電位側であるため、水溶液中でH生成反応の阻害を受けずにCOを電気化学的に還元することは困難である。
CO還元のための電気化学触媒電極の開発は、主としてCO還元に対する触媒活性を高め、H生成よりもCO還元過電圧を低めるアプローチで研究開発が進んでいる。COを選択的に電気化学還元可能な電極触媒として、金属、合金、炭素ナノ構造などが報告されている。金属電極では、CO還元反応の生成物がCOラジカル(反応中間体)と電極表面の吸着力で変化するとの報告がある。COラジカル吸着力の弱いHg、In、Sn、Cd、PbではHCOOHが生成し、吸着力が強すぎるPtやNiでは、生成物が脱離せずH生成反応のみが起こる。吸着力が中程度のAu、Ag、Cu、ZnはCO還元活性が高く、特にCuは還元電位をH生成電位よりも低下させることができ、H生成の阻害なくCOやCHを高効率に生成することができる。しかし、Cu電極は電極表面の腐食や生成物の付着により活性が低下する。したがって、耐久性が高く長期間利用可能な電極材料は実現できていない。また、表面構造の制御により、Au、Ag、Cu、Znと同等のCOラジカルに対する吸着力を示す界面も作製できていない。つまり高活性(H生成とCO還元の分離)と高耐久性を併せ持つCO還元電極の具現化にはいまだ至っていない。
炭素材料としては、導電性を付与したアモルファスカーボンが開発され(特許文献1参照)、センサー用のガス透過膜への使用(特許文献2参照)、セシウムの酸化還元反応等の電気化学センサーの電極、リチウム電池の集電体などへの使用(特許文献3参照)が提案されているが、COの還元に適用できるものではなかった。
特開2008-189997号公報 特開2011-185910号公報 特開2012-188688号公報
本発明の課題は、電位窓が広く水溶液の電解で水素生成反応による阻害を受け難く、耐久性にも優れた高い電流効率の二酸化炭素還元触媒を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するためにアモルファスカーボンの利用を検討した。アモルファスカーボンは通常導電性を有さないが、不純物原子を導入して導電性を付与した導電性アモルファスカーボンが開発されている。導電性アモルファスカーボンは二酸化炭素還元活性を有さないが、これに二酸化炭素還元活性を付与できれば、電解による二酸化炭素還元のための触媒や触媒電極として利用が広がる。本発明者は検討を進めたところ、アモルファスカーボン表面の窒素、特にアミノ基が二酸化炭素還元活性サイトの形成に関与していること、アモルファスカーボン表面の酸素含有官能基が触媒表面への二酸化炭素の吸着量を増加させて二酸化炭素還元活性を促進することを見いだした。表面の窒素、特にアミノ基や酸素含有官能基を増加させ、表面でのこれらの密度を増加させた導電性アモルファスカーボンは、水素生成反応と分離して高い電流効率で二酸化炭素還元反応を引き起こすことができ、この反応の分離はグラファイトやダイヤモンド等の炭素材料では不可能である。また、二酸化炭素還元電極として知られるCu電極に比べ、非常に安定性が高かった。本発明は、こうして完成されたものである。
すなわち、本発明は以下に示す事項により特定されるものである。
(1)導電性アモルファスカーボンをアンモニアプラズマ処理する又は窒素を含む導電性アモルファスカーボンを水プラズマ処理することにより、二酸化炭素還元触媒を得る二酸化炭素還元触媒の製造方法。
(2)導電性アモルファスカーボンが窒素若しくはホウ素ドープアモルファスカーボンであり、窒素若しくはホウ素ドープアモルファスカーボンをアンモニアプラズマ処理する、又は窒素ドープアモルファスカーボンを水プラズマ処理することを特徴とする上記(1)記載の二酸化炭素還元触媒の製造方法。
(3)基材上に導電性アモルファスカーボン層を形成し、形成された前記導電性アモルファスカーボン層をアンモニアプラズマ処理する、又は基材上に窒素を含む導電性アモルファスカーボン層を形成し、形成された前記窒素を含む導電性アモルファスカーボン層を水プラズマ処理することにより、二酸化炭素還元触媒電極を得る二酸化炭素還元触媒電極の製造方法。
(4)導電性アモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与する方法であって、前記導電性アモルファスカーボンの表面に窒素及び酸素を導入し、前記導電性アモルファスカーボンの表面の窒素及びアミノ基並びにC=O結合を増加させることにより、前記導電性アモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与する方法。
(5)窒素ドープアモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与する方法であって、前記窒素ドープアモルファスカーボンの表面に酸素を導入し、前記窒素ドープアモルファスカーボンの表面のC=O結合を増加させることにより、前記窒素ドープアモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与する方法。
(6)導電性を有し、さらに表面に窒素原子及びアミノ基並びに酸素原子及びC=O結合を有し、表面における前記窒素原子の量が7atom%以上かつ前記アミノ基における窒素原子の量が1.5atom%以上であり、前記酸素原子の量が7atom%以上かつC=O結合における酸素原子の量が7atom%以上であるアモルファスカーボン二酸化炭素還元触媒。
本発明の製造方法により、電位窓が広く水溶液の電解で水素生成反応による阻害を受け難く、耐久性にも優れ高い電流効率の二酸化炭素還元触媒及び二酸化炭素還元触媒電極を製造することができる。
図1は、実施例1及び比較例1で得られた電極のサイクリックボルタモグラムを示す図である。 図2は、実施例1及び2で得られた電極のリニアスイープボルタンメトリーを示す図である。 図3は、比較例1で得られた電極のリニアスイープボルタンメトリーを示す図である。 図4(a)~(c)は、実施例1における窒素ドープアモルファスカーボン(アンモニアプラズマ照射前)のXPSスペクトルを示す図である。 図5(a)~(c)は、実施例1におけるアンモニアプラズマ照射後の窒素ドープアモルファスカーボンのXPSスペクトルを示す図である。 図6(a)~(c)は、実施例2における水プラズマ照射後の窒素ドープアモルファスカーボンのXPSスペクトルを示す図である。 図7は、実施例3及び比較例2で得られた電極のリニアスイープボルタンメトリーを示す図である。 図8は、本発明におけるCO還元の仕組みを示す図である。 図9は、実施例1で得られたアンモニアプラズマ処理したアモルファスカーボンの走査速度を変化させたときの還元ピーク電流値を示す図である。 図10は、定電位電解で得られた電解液のUV吸収スペクトルを示す図である。 図11は、実施例1で得られたアンモニアプラズマ処理したアモルファスカーボンとCu電極の電解時間に対する電流値の減少の割合を示す図である。 図12は、定電位電解後のCu電極の様子を示す写真である。
本発明の二酸化炭素還元触媒の製造方法は、導電性アモルファスカーボンをアンモニアプラズマ処理する又は窒素を含む導電性アモルファスカーボンを水プラズマ処理することにより、二酸化炭素還元触媒を得る二酸化炭素還元触媒の製造方法である。アモルファスカーボンとは、ダイヤモンド結合のsp炭素とグラファイト結合のsp炭素の両方が混在したアモルファス構造のカーボン材料と定義され、sp炭素の比率が90%に近いものから30%程度のものまで幅があり、ダイヤモンドライクカーボンともいわれる。本発明における導電性アモルファスカーボンの導電性は、二酸化炭素還元のための電極材料として使用できる範囲であれば特に制限されないが、5Ωcm~0.05Ωcmが好ましい。導電性アモルファスカーボンは、アモルファスカーボンに窒素、ホウ素、リン、硫黄等を添加して得ることができ、これらを2種以上添加してもよい。導電性アモルファスカーボンとしては、アモルファスカーボンに窒素が添加された窒素を含むアモルファスカーボンである窒素ドープアモルファスカーボン及びアモルファスカーボンにホウ素が添加されたホウ素を含むアモルファスカーボンであるホウ素ドープアモルファスカーボンが好ましい。また、窒素ドープアモルファスカーボンにおける窒素原子の含有量は0.5atom%~10atom%が好ましく、ホウ素ドープアモルファスカーボンにおけるホウ素原子の含有量は0.2atom%~5atom%が好ましい。窒素ドープアモルファスカーボン及びホウ素ドープアモルファスカーボンは、窒素、ホウ素及び炭素以外の他の元素を含んでもよい。本発明に使用される導電性アモルファスカーボンの製造方法は、特に制限されるものではない。例えば、窒素ドープアモルファスカーボンは、炭素原子及び窒素原子を含む化合物である原料ガスをプラズマ化して成膜を行い製造することができ、原料ガスとしては、シアン化水素、アセトニトリル、エタンシアニド、プロパンシアニド、ホルムアミド、アセトアミド、メチルアミン、エチルアミン等の1種又は2種以上を使用することができ、特許文献1及び2に記載された製造方法を使用することができる。ホウ素ドープアモルファスカーボンは、例えば、炭素源として、炭化水素を、ホウ素源として有機ホウ素化合物を、それぞれ原料ガスとして用い、反応調整ガスとしてアルゴンガスを、原料ガスに混在させて、プラズマ化して成膜を行い製造することができる。炭化水素としては、n-ヘキサン等の飽和炭化水素を挙げることができ、有機ホウ素化合物としては、トリアルキルボロン、トリアルコキシボロン等を挙げることができ、特許文献3に記載された製造方法を使用することができる。
本発明の製造方法では、導電性アモルファスカーボンをアンモニアプラズマ処理することにより、導電性アモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与することができる。さらに、窒素ドープアモルファスカーボンの場合は、水プラズマ処理によっても二酸化炭素還元活性を付与することができる。本発明におけるアンモニアプラズマ処理とは、導電性アモルファスカーボンをアンモニアプラズマ中に暴露する、導電性アモルファスカーボンにアンモニアプラズマを照射する等の導電性アモルファスカーボンをアンモニアプラズマに接触させる処理をいう。本発明におけるアンモニアプラズマとは、アミノ基を含んだ化合物と水酸基を含んだ化合物をプラズマ化したものであり、アンモニア水、尿素水、ヒドラジン水溶液等を原料としてプラズマ化することにより形成することができる。また、これらの原料を混合させてプラズマ化してもよい。アモルファスカーボン表面に官能基をより生成させる効率を高めるためにはアンモニア水を含む原料が好ましく、アンモニア水だけを原料とするのがより好ましい。アンモニア水を原料とする場合、アンモニアプラズマ中にはNH ラジカル、窒素ラジカル、水素ラジカル、酸素ラジカル、OHラジカル等が生成することが知られている。アンモニアプラズマの形成方法としては特に制限されないが、例えば、上記原料をガス状にしてプラズマ化する方法等を挙げることができる。プラズマの励起方法としては、特に制限されず、高周波、マイクロ波、熱フィラメント等を挙げることができる。
本発明における水プラズマ処理とは、窒素ドープアモルファスカーボンを水プラズマ中に暴露する、窒素ドープアモルファスカーボンに水プラズマを照射する等の窒素ドープアモルファスカーボンを水プラズマに接触させる処理をいう。本発明における水プラズマとは、水素ラジカル、酸素ラジカルおよびOHラジカルを含むプラズマであり、水酸基を含んだ化合物をプラズマ化することにより形成できる。水酸基を含んだ化合物としては、例えば、水等を挙げることができる。水プラズマの形成方法としては特に制限されないが、例えば、水をガス状にしてプラズマ化する方法を挙げることができる。プラズマの励起方法としては、特に制限されず、高周波、マイクロ波、熱フィラメント等を挙げることができる。
本発明におけるアンモニアプラズマ処理は、例えば、窒素ドープアモルファスカーボン又はホウ素ドープアモルファスカーボン等の導電性アモルファスカーボンをプラズマ発生容器(チャンバ)内に置き、チャンバ内でアンモニアプラズマを発生させて、導電性アモルファスカーボンにアンモニアプラズマを接触させることにより行うことができる。アンモニアプラズマ処理を行うことにより、導電性アモルファスカーボンの表面に存在する窒素(N)及びアミノ基とC=O結合の量が増加する。これにより、二酸化炭素還元活性を有さない導電性アモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与することができる。本発明における水プラズマ処理は、窒素ドープアモルファスカーボンをプラズマ発生容器(チャンバ)内に置き、チャンバ内で水プラズマを発生させて、窒素ドープアモルファスカーボンに水プラズマを接触させることにより行うことができる。水プラズマ処理を行うことにより、窒素ドープアモルファスカーボンの表面に存在するC=O結合の量が増加する。アモルファスカーボンにおける二酸化炭素還元活性の発現には、表面に存在する窒素及びアミノ基とC=O結合の量が影響を与え窒素が必要であるが、窒素ドープアモルファスカーボンの場合は、ある程度の量の窒素及びアミノ基が表面に予め存在するため、水プラズマ処理だけでも二酸化炭素還元活性を付与することができる。本発明において、「窒素及びアミノ基」の窒素とは、アミノ基由来の窒素とアミノ基由来以外の窒素を含む表面における全窒素量である。また、窒素ドープアモルファスカーボンは、電気化学電極にすると、水電解によるH、Oの発生が非常に高電位でしか起こらず(H、O発生反応の過電圧が高い)、3Vに及ぶ広い電位窓を示し、窒素ドープアモルファスカーボン中の窒素はH生成触媒として機能しないため、窒素ドープアモルファスカーボンを使用することが好ましい。本発明の製造方法によると、表面に窒素原子及びアミノ基並びに酸素原子及びC=O結合を有し、二酸化炭素還元活性を発現するアモルファスカーボンを得ることができ、ダイヤモンド結合のsp炭素とグラファイト結合のsp炭素の両方が混在したアモルファス構造を有することに加え、5Ωcm~0.05Ωcm程度の導電性を有し、さらに、表面における窒素原子の量が7atom%以上かつアミノ基における窒素原子の量が1.5atom%以上であり、酸素原子の量が7atom%以上かつC=O結合における酸素原子の量が7atom%以上である二酸化炭素還元触媒を好適に得ることができる。さらに、窒素原子の量が15atom%以上かつアミノ基における窒素原子の量が4atom%以上である二酸化炭素還元触媒を好適に得ることができる。また、窒素原子及びアミノ基並びに酸素原子及びC=O結合により表面が不導体化しない範囲で、これらを表面に導入することができ、アミノ基由来の窒素原子及びC=O結合(C=O基)由来の酸素原子が、それぞれ33atom%以下である二酸化炭素還元触媒を好適に得ることができる。本発明におけるC=O結合とは、カルボニル、エステル、カルボン酸等の官能基に含まれるC=O基のことをいう。sp炭素とsp炭素の炭素組成比は、sp炭素:sp炭素が、10:90~90:10が好ましく、10:90~40:60がより好ましく、例えば25:75程度が好ましい。本発明において表面における窒素原子及びアミノ基並びに酸素原子及びC=O結合の量とは、X線光電子分光法により測定される表面における量のことであり、X線光電子分光法では表面から2~8nm程度の深度内の原子情報を測定でき、X線光電子分光法による測定により得られる深度内における窒素原子及びアミノ基並びに酸素原子及びC=O結合の量のことである。本発明において、C=O結合の量をX線光電子分光法測定による炭素のピークから求めているが、C=O結合では炭素の量と酸素の量が同じであるため、C=O結合における炭素原子の量をC=O結合における酸素原子の量としている。本発明におけるアンモニアプラズマ処理及び水プラズマ処理でのプラズマ出力、処理時間、プラズマ中での各成分の濃度等の条件は、二酸化炭素還元活性を付与できるように、これらの各条件を調整して適宜選択することができる。
本発明の製造方法により得られる二酸化炭素還元触媒は導電性と二酸化炭素還元活性を有するので、成膜、成型等してそれ自体を二酸化炭素還元触媒電極として使用することができるが、電極としての強度を維持するために基材上に二酸化炭素還元触媒の層を形成して二酸化炭素還元触媒電極として使用してもよい。具体的には、基材上に導電性アモルファスカーボン層を形成し、形成された前記導電性アモルファスカーボン層をアンモニアプラズマ処理することにより、又は導電性アモルファスカーボン層として窒素ドープアモルファスカーボン層を形成し、形成された前記窒素ドープアモルファスカーボン層を水プラズマ処理することにより、二酸化炭素還元触媒電極を製造することができる。基材としては、特に制限されるものではないが、例えば、シリコンウエハ、ステンレス、ニッケル、貴金属等の導電性と腐食耐性を有する基材を挙げることができる。基材上に導電性アモルファスカーボン層を形成する方法、アンモニアプラズマ処理する方法及び水プラズマ処理する方法としては、二酸化炭素還元触媒について上記で述べた方法と同様の方法を使用することができる。
本発明は、導電性アモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与する方法であって、前記導電性アモルファスカーボンの表面に窒素及び酸素を導入し、前記導電性アモルファスカーボンの表面の窒素及びアミノ基並びにC=O結合を増加させることにより、前記導電性アモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与する方法でもある。導電性アモルファスカーボンとは、アモルファスカーボンに導電性を付与するために、窒素、ホウ素、リン、硫黄等をアモルファスカーボンに添加したものであり、5Ωcm~0.05Ωcmの導電性を有するアモルファスカーボンのことである。本発明におけるアモルファスカーボンの導電性は、ホール効果測定を行うことにより測定することができる。本発明においては、導電性アモルファスカーボンの表面に窒素及び酸素を導入し、前記導電性アモルファスカーボンの表面の窒素及びアミノ基並びに及びC=O結合を増加させることにより、二酸化炭素還元活性を有さない導電性アモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与することができる。本発明における付与とは、二酸化炭素還元活性を全く有さない導電性アモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与する場合、及び二酸化炭素還元活性を有する導電性アモルファスカーボンの二酸化炭素還元活性を増大させる場合を含む。本発明の方法により処理された後の導電性アモルファスカーボンは、導電性と二酸化炭素還元活性の両方の特性を有するので、二酸化炭素還元触媒及び二酸化炭素還元触媒電極として好適に使用できる。導電性アモルファスカーボンの表面に窒素及び酸素を導入する方法としては、特に制限されないが、アンモニアプラズマ処理等を挙げることができる。本発明は、窒素ドープアモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与する方法であって、前記窒素ドープアモルファスカーボンの表面に酸素を導入し、前記窒素ドープアモルファスカーボンの表面のC=O結合を増加させることにより、前記窒素ドープアモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与する方法でもある。窒素ドープアモルファスカーボンは予めアモルファスカーボン中に窒素を含んでいるため、表面にある程度の量の窒素及びアミノ基が存在する。そのため、表面のC=O結合を増加させることによって、二酸化炭素還元活性を付与することができる。窒素ドープアモルファスカーボンの表面に酸素を導入する方法としては、特に制限されないが、水プラズマ処理等を挙げることができる。本発明の方法により処理された後の窒素ドープアモルファスカーボンは、導電性と二酸化炭素還元活性の両方の特性を有するので、二酸化炭素還元触媒及び二酸化炭素還元触媒電極として好適に使用できる。窒素ドープアモルファスカーボンであっても、表面の窒素量をより増加させるために、アンモニアプラズマ処理等により表面に窒素及び酸素を導入することが好ましい。本発明のアモルファスカーボン二酸化炭素還元触媒は、本発明の二酸化炭素還元触媒の製造方法により製造された二酸化炭素還元触媒又は本発明の二酸化炭素還元活性を付与する方法により二酸化炭素還元活性が付与された二酸化炭素還元触媒である。また、本発明のアモルファスカーボン二酸化炭素還元触媒は、本発明の製造方法又は付与方法により得られたアモルファスカーボン二酸化炭素還元触媒と同じ構造及び特性を有するものであれば、他の方法で得られたものも含む。本発明の二酸化炭素還元触媒は、ダイヤモンド結合のsp炭素とグラファイト結合のsp炭素の両方が混在したアモルファス構造を有することに加え、5Ωcm~0.05Ωcm程度の導電性を有し、表面に窒素原子及びアミノ基並びに酸素原子及びC=O結合を有し、二酸化炭素還元活性を有する二酸化炭素還元触媒であり、表面における窒素原子の量が7atom%以上かつアミノ基における窒素原子の量が1.5atom%以上であり、酸素原子の量が7atom%以上かつC=O結合における酸素原子の量が7atom%以上であることが好ましく、さらに窒素原子の量は15atom%以上かつアミノ基における窒素原子の量が4atom%以上であることが好ましい。C=O結合による酸化膜でアモルファスカーボンの表面が完全に覆われてしまうと表面が不導体化し、アミノ基の水素は立体的障害となるので、窒素原子及びアミノ基並びに酸素原子及びC=O結合の量の上限は、表面を不導体化せずに、これらを表面に導入できる範囲であれば特に制限されないが、アミノ基由来の窒素原子及びC=O結合(C=O基)由来の酸素原子が、それぞれ33atom%以下であることが好ましい。本発明におけるC=O結合とは、カルボニル、エステル、カルボン酸等の官能基に含まれるC=O基のことをいう。sp炭素とsp炭素の炭素組成比は、sp炭素:sp炭素が、10:90~90:10が好ましく、10:90~40:60がより好ましく、例えば25:75程度が好ましい。本発明において表面における窒素原子及びアミノ基並びに酸素原子及びC=O結合の量とは、X線光電子分光法により測定される表面における量のことであり、X線光電子分光法では表面から2~8nm程度の深度内の原子情報を測定でき、X線光電子分光法による測定により得られる深度内における窒素原子及びアミノ基並びに酸素原子及びC=O結合の量のことである。本発明において、C=O結合の量をX線光電子分光法測定による炭素のピークから求めているが、C=O結合では炭素の量と酸素の量が同じであるため、C=O結合における炭素原子の量をC=O結合における酸素原子の量としている。本発明の二酸化炭素還元触媒における導電性アモルファスカーボンとしては、窒素ドープアモルファスカーボン又はホウ素ドープアモルファスカーボンが好ましい。
以下に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの具体的実施形態に限定されるものではない。
[実施例1]
(窒素ドープアモルファスカーボンの作製)
プラズマCVD装置として、カソードカップリング型高周波プラズマ励起化学蒸着(RF-PeCVD)装置(13.56MHz,SAMCO Co.,Ltd.Model BP-1)を用いた。原料ガスには50℃で加熱して気化させたアセトニトリルを用いて、電極に載置したシリコンウエハ上に、窒素ドープアモルファスカーボン(窒素ドープa-C)の成膜を行った。アセトニトリルの流量を1sccm、チャンバ内の圧力を10Pa、プラズマ出力を175Wとし、成膜時間は40分、反応中の基板温度は260℃で、得られた膜の膜厚は1600nm、成膜レートは40nm/minであった。
(アンモニアプラズマ処理)
窒素ドープアモルファスカーボンの成膜後、チャンバ内を排気して内部圧量を0.4Pa以下にした後、30℃に加熱して気化させたアンモニア水(濃度28質量%)を、チャンバ内に導入、排圧の調整によりチャンバ内の圧力を30Paに設定し、プラズマ化した。プラズマ出力を30Wとし、処理時間を2分とした。こうして、チャンバ内の窒素ドープアモルファスカーボンにアンモニアプラズマ処理を行い、アンモニアプラズマ処理した窒素ドープアモルファスカーボンを得た。
[実施例2]
(水プラズマ処理)
実施例1と同様に窒素ドープアモルファスカーボンを成膜し、チャンバ内を排気して内部圧量を0.4Pa以下にした後、30℃に加熱して気化させた純水(イオン交換水:電気抵抗率0.1MΩcm以上)を、チャンバ内に導入、排圧の調整によりチャンバ内の圧力を30Paに設定し、プラズマ化した。プラズマ出力を30Wとし、処理時間を1分とした。こうして、チャンバ内の窒素ドープアモルファスカーボンに水プラズマ処理を行い、水プラズマ処理した窒素ドープアモルファスカーボンを得た。
[実施例3]
(ホウ素ドープアモルファスカーボンの作製)
実施例1と同じプラズマCVD装置を用いた。原料ガスにはトリメチルボラン(TMOB)に対してn-ヘキサンを6.3体積倍で混合した液体を、常温で真空引きし気化させたものを用いて、電極に載置したシリコンウエハ上に、ホウ素ドープアモルファスカーボン(ホウ素ドープa-C)の成膜を行った。原料ガスとアルゴンを原料ガスの流量5sccm、アルゴンの流量100sccmでチャンバ内に導入し、チャンバ内の原料ガスの分圧を10Pa(全圧40Pa)、プラズマ出力を175Wとし、成膜時間は40分、反応中の基板温度は260℃温度で、得られた膜の膜厚は700nmであった。
(アンモニアプラズマ処理)
得られたチャンバ内のホウ素ドープアモルファスカーボンに対して実施例1と同様にアンモニアプラズマ処理を行い、アンモニアプラズマ処理したホウ素ドープアモルファスカーボンを得た。
[比較例1]
(ホウ素ドープダイヤモンドの作製)
プラズマCVD装置として、ASTeX製 Model.AX―5400を用いた。原料ガスには、メタノールに対してアセトンを10体積倍で混合した液体に、Bをホウ素原子(B)が混合液体中の炭素原子(C)に対して10000ppm(質量)となるように溶解した溶液中に、水素ガスをバブリングすることにより原料を気化させてチャンバ内部に導入し、電極に載置したシリコンウエハ上に、ホウ素ドープダイヤモンドの成膜を行った。水素ガスの流量を532sccm、原料ガスの流量を30sccm、チャンバ内の圧力を113Pa、プラズマ出力を5kWとし、成膜時間は8時間、反応中の基板温度は500℃で、得られた膜の膜厚は10μmであった。
[比較例2]
実施例3で得られたホウ素ドープアモルファスカーボンに、実施例2と同様に水プラズマ処理を行い、水プラズマ処理したホウ素ドープアモルファスカーボンを得た。
(電位窓の測定)
実施例1で得られたアンモニアプラズマ処理した窒素ドープa-Cと比較例1で得られたホウ素ドープダイヤモンドの電位窓の測定を行った。測定は3電極セルを使用して行い、対極にグラファイト電極、参照電極にAg/AgCl電極、電解液に二酸化炭素を溶存させた0.1M HSO水溶液を使用し、作用電極としてアンモニアプラズマ処理した窒素ドープa-C及びホウ素ドープダイヤモンドを、それぞれシリコンウエハ上に成膜された状態で使用して、100mV/sの速度で電位掃引して測定した。図1に得られたサイクリックボルタモグラムを示す。図1には、参考として多結晶白金のサイクリックボルタモグラムも示している。各電極の±0.2mA/cmに達する電位を酸素発生電位及び水素発生電位とすると、酸素発生電位は両者ともほぼ同電位だが、水素発生電位は、アンモニアプラズマ処理した窒素ドープa-Cがホウ素ドープダイヤモンドより0.46V低く、アンモニアプラズマ処理した窒素ドープa-Cは水素の発生を抑えられることを示している。表1に各電極の水素発生電位と酸素発生電位を示す。
Figure 2023053820000002
(リニアスイープボルタンメトリー)
電位窓測定と同様の3電極セルを使用し、100mV/sの速度で電位掃引してリニアスイープボルタンメトリーを行った。結果を図2に示す。図2中、(1)CO2.5mV/sは未処理の窒素ドープa-Cを使用し、COを電解液中に30分バブリングした後、測定を開始した場合を示し、(2)水プラズマArは作用電極に実施例2で得られた水プラズマ処理した窒素ドープa-Cを使用し、Arを電解液中に30分バブリングした後、測定を開始した場合を示し、(3)水プラズマCOは作用電極に実施例2で得られた水プラズマ処理した窒素ドープa-Cを使用し、COを電解液中に30分バブリングした後、測定を開始した場合を示し、(4)アンモニアプラズマArは作用電極に実施例1で得られたアンモニアプラズマ処理した窒素ドープa-Cを使用し、Arを電解液中に30分バブリングした後、測定を開始した場合を示し、(5)アンモニアプラズマCOは作用電極に実施例1で得られたアンモニアプラズマ処理した窒素ドープa-Cを使用し、COを電解液中に30分バブリングした後、測定を開始した場合を示している。図2から、アンモニアプラズマ処理及び水プラズマ処理のいずれの処理においても処理後の窒素ドープa-CがCO還元活性を有することが分かる。CO還元ピークは、水プラズマ処理した窒素ドープa-Cでは-1.5V vs Ag|AgCl付近に観測され、この電位における二酸化炭素還元の電流効率(((3)の電流値―(2)の電流値)÷(3)の電流値×100)は81%であった。アンモニアプラズマ処理した窒素ドープa-Cでは-1.2V vs Ag|AgCl付近に観測され、この電位における二酸化炭素還元の電流効率(((5)の電流値―(4)の電流値)÷(5)の電流値×100)は95%であった。なお、上記(1)、(2)等の( )内の数字は図2における丸内の数字に対応する。
図3は、比較例1で得られたホウ素ドープダイヤモンドについて図2の測定と同様にリニアスイープボルタンメトリーを行った結果を示す図である。ホウ素ドープダイヤモンドでは、CO還元に由来する顕著な電流増加は観測されなかった。ホウ素ドープダイヤモンドを用いてCO存在下でのリニアスイープボルタンメトリー測定において、得られた還元電流値にCO還元反応に由来する還元電流が含まれている可能性もあるが、COの存在しない条件でのリニアスイープボルタンメトリー電流値に対する増加量が極めて少ないことから、CO還元反応に対する電流効率は極めて低い(―1.5Vにおける電流効率9.9%)ものである。
実施例1で得られた成膜後(アンモニアプラズマ処理前)の窒素ドープa-C、実施例1で得られたアンモニアプラズマ処理した窒素ドープa-C及び実施例2で得られた水プラズマ処理した窒素ドープa-Cについて、X線光電子分光測定(測定装置名:Model. K-AlphaTM + X-ray Photoelectron Spectrometer System、メーカー;Thermo Scientific)を行った。X線源には、Al Kα(1468.6eV)を用いた。試料表面とX線検出器のなす角度を90°とし、走査速度1eV min-1で測定を行った。測定におけるbinding energyの分解能は0.5eVである。得られたXPSスペクトルを図4~6に示す。図4(a)~(c)はアンモニアプラズマ処理前の窒素ドープa-Cの結果であり、図5(a)~(c)はアンモニアプラズマ処理後の窒素ドープa-Cの結果であり、図6(a)~(c)は水プラズマ処理後の窒素ドープa-Cの結果である。アンモニアプラズマ処理後では、XPS C1sピークのC=O付近の強度が1.4倍に増加した。また、アンモニアプラズマ処理後では、XPS N1sピーク全体の強度(3ピークとも)が2.5倍に増加し、特にAmine(アミノ基)が増加した。表2~4に各結合状態の元素の存在割合を示す。表2及び3からアンモニアプラズマ処理することにより、Nのatom%が処理前の約2倍になっていること、特にAmine(アミノ基)のatom%の増加が大きいことが分かる。表4からアンモニアプラズマ処理することにより、C=Oのatom%が処理前の約2倍に増加していること、水プラズマ処理によってもC=Oのatom%が処理前の約2倍に増加していることが分かる。
Figure 2023053820000003
Figure 2023053820000004
Figure 2023053820000005
ホウ素ドープa-Cについて、窒素ドープa-Cと同様にリニアスイープボルタンメトリーを行った。結果を図7に示す。図7中、(1)CO2.5mV/sは未処理のホウ素ドープa-Cを使用し、COを電解液中に30分バブリングした後、測定を開始した場合を示し、(2)Ar2.5mV/sは未処理のホウ素ドープa-Cを使用し、Arを電解液中に30分バブリングした後、測定を開始した場合を示し、(3)アンモニアプラズマCOは作用電極に実施例3で得られたアンモニアプラズマ処理したホウ素ドープa-Cを使用し、COを電解液中に30分バブリングした後、測定を開始した場合を示し、(4)アンモニアプラズマArは作用電極に実施例3で得られたアンモニアプラズマ処理したホウ素ドープa-Cを使用し、Arを電解液中に30分バブリングした後、測定を開始した場合を示し、(5)水プラズマArは作用電極に比較例2で得られた水プラズマ処理したホウ素ドープa-Cを使用し、Arを電解液中に30分バブリングした後、測定を開始した場合を示し、(6)水プラズマCOは作用電極に比較例2で得られた水プラズマ処理したホウ素ドープa-Cを使用し、COを電解液中に30分バブリングした後、測定を開始した場合を示す。ホウ素ドープa-Cについても、アンモニアプラズマ処理することによりCO還元活性が得られることが分かる。CO還元ピークは、アンモニアプラズマ処理したホウ素ドープa-Cでは-1.3V vs Ag|AgCl付近に観測され、この電位における二酸化炭素還元の電流効率(((3)の電流値―(4)の電流値)÷(3)の電流値×100)は91%であった。一方、水プラズマ処理ではCO還元活性の発現が認められなかった。なお、上記(1)、(2)等の( )内の数字は図7における丸内の数字に対応する。
図8は、本発明で製造された二酸化炭素還元触媒における二酸化炭素還元のメカニズムを示す図である。C=O等の酸素含有官能基に二酸化炭素が吸着され、吸着された二酸化炭素が窒素及びアミノ基が形成する活性サイトに供給され、電気化学還元が行われると推察される。
図9は、電位窓測定と同様の3電極セルを使用し、作用電極をアンモニアプラズマ処理した窒素ドープa-Cとして、掃引速度を変化させたときの-1.5Vでの還元ピーク電流値を示す図である。還元ピーク電流値は、掃引速度の1/2乗に比例した。COが飽和した0.2M NaSOのpHは5.6であり、COとHCO がおよそ8:2で存在する。飽和COは33.6mMであるので、CO:HCO =26.88mM:6.72mMとなる。可逆反応と仮定し、HCO が反応しているとすると、以下の式から反応電子数nは0.517となり、HCO が関与する反応電子数n=1の還元反応が生じている可能性が高いと考えられる。
(Randles-Sevcik式)
=2.69×101.5AD0.5Cv0.5
:還元ピーク電流(A)、n:反応電子数、A:電極面積(cm)、D:拡散係数(cm/s)、C:濃度(mol/cm)、v:掃引速度(V/s)
図10は、電位窓測定と同様の3電極セルを使用し、作用電極をアンモニアプラズマ処理した窒素ドープa-Cとした場合と、アンモニアプラズマ処理前の窒素ドープa-Cとした場合で、COをバブリングしながら-1.6Vで定電位電解(平均電流密度-223.78μAcm-2)した後の電解液のUV吸収スペクトルを示す図である。UV吸収スペクトルの測定は、紫外可視近赤外分光光度計(装置名:V-670、メーカー:日本分光)を使用して行った。図10において、ギ酸由来の吸収ピークが一番高いスペクトルがアンモニアプラズマ処理した窒素ドープa-Cで6時間電解を行った場合、二番目に高いスペクトルがアンモニアプラズマ処理した窒素ドープa-Cで3時間電解を行った場合、一番低いスペクトルがアンモニアプラズマ処理前の窒素ドープa-Cで3時間電解を行った場合である。
図11は、電位窓測定と同様の3電極セルを使用し、作用電極を実施例1で得られたアンモニアプラズマ処理した窒素ドープa-Cとした場合と、銅(Cu)板とした場合で、COをバブリングしながら、窒素ドープa-Cにおいては-1.6V、銅(Cu)板においては-1.5Vで定電位電解を6時間行った場合の電解時間に対する電流値の減少の割合の変化を示した図である。Cu電極では6時間の定電位電解でCO還元電流値が大きく低下するが、アンモニアプラズマ処理した窒素ドープa-C電極では定電位電解電流値がほぼ一定であり、アンモニアプラズマ処理した窒素ドープa-C電極は高い耐久性を示している。図12は、定電位電解後のCu電極の様子を示す写真であり、Cu電極には腐食がみられる。図12の右側の写真は左側の写真の円内を拡大した写真であり、点線の円内は緑色になっており腐食している。
本発明の製造方法により製造される二酸化炭素還元触媒及び二酸化炭素還元触媒電極は、水溶液の電解で水素生成反応による阻害を受け難く、耐久性にも優れるので、電気化学処理による二酸化炭素還元の触媒として好適に利用でき、例えば、一酸化炭素又はギ酸製造のための電気化学処理設備等に使用することができる。

Claims (6)

  1. 導電性アモルファスカーボンをアンモニアプラズマ処理する又は窒素を含む導電性アモルファスカーボンを水プラズマ処理することにより、二酸化炭素還元触媒を得る二酸化炭素還元触媒の製造方法。
  2. 導電性アモルファスカーボンが窒素若しくはホウ素ドープアモルファスカーボンであり、窒素若しくはホウ素ドープアモルファスカーボンをアンモニアプラズマ処理する、又は窒素ドープアモルファスカーボンを水プラズマ処理することを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素還元触媒の製造方法。
  3. 基材上に導電性アモルファスカーボン層を形成し、形成された前記導電性アモルファスカーボン層をアンモニアプラズマ処理する、又は基材上に窒素を含む導電性アモルファスカーボン層を形成し、形成された前記窒素を含む導電性アモルファスカーボン層を水プラズマ処理することにより、二酸化炭素還元触媒電極を得る二酸化炭素還元触媒電極の製造方法。
  4. 導電性アモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与する方法であって、前記導電性アモルファスカーボンの表面に窒素及び酸素を導入し、前記導電性アモルファスカーボンの表面の窒素及びアミノ基並びにC=O結合を増加させることにより、前記導電性アモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与する方法。
  5. 窒素ドープアモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与する方法であって、前記窒素ドープアモルファスカーボンの表面に酸素を導入し、前記窒素ドープアモルファスカーボンの表面のC=O結合を増加させることにより、前記窒素ドープアモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与する方法。
  6. 導電性を有し、さらに表面に窒素原子及びアミノ基並びに酸素原子及びC=O結合を有し、表面における前記窒素原子の量が7atom%以上かつ前記アミノ基における窒素原子の量が1.5atom%以上であり、前記酸素原子の量が7atom%以上かつC=O結合における酸素原子の量が7atom%以上であるアモルファスカーボン二酸化炭素還元触媒。




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