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JP2022525339A - 有機酸血症の治療方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、有機酸血症の治療方法に関する。いくつかの実施形態では、方法は、プロピオニル-CoA、イソバレリル-CoA及びメチルマロニル-CoA生成、ならびに様々な関連代謝産物の減少を必要とする対象における、プロピオニル-CoA、イソバレリル-CoA及びメチルマロニル-CoA生成、ならびに様々な関連代謝産物を減少させることを含む。【選択図】図1E

Description

本開示は、代謝障害を治療するための新規の治療戦略に関する。
代謝障害は、酵素に機能の重大な損失を引き起こす変異が存在し、代謝経路における代謝産物の正常な流れが妨げられる場合に発症する。これにより、正常な中間代謝産物が異常に大量に蓄積し、いくつかの場合では、変異がない場合には通常形成されない異常な代謝産物が生成され、酵素の機能が大幅に失われる。
例えば、プロピオン酸血症(PA)とメチルマロン酸血症(MMA)は、代謝産物の蓄積をもたらす先天性代謝異常症である。PAの発症率は、米国では242,741人に1人、世界中では50,000~100,000人に1人であり、遺伝的にリスクが高い特定の集団(例えば、グリーンランドのイヌイット集団、一部のアーミッシュコミュニティ、サウジアラビア人、及び近親婚のコミュニティ)では1,000~2,000人に1人の発症率になる可能性があり、一方、MMAは、69,354人に1人の出生に影響を及ぼす。
PAは、プロピオニル-CoAからメチルマロニル-CoAへの変換を遮断するプロピオニル-CoAカルボキシラーゼ(EC 6.4.1.3)酵素の機能不全によって引き起こされ、細胞や代謝産物、例えば、尿中及び血液中の3-ヒドロキシプロピオン酸、2-メチルクエン酸、及びプロピオニルカルニチンにプロピオニル-CoAが蓄積する。尿素回路の阻害(3-ヒドロキシプロピオン酸またはプロピオニル-CoAによると推定される)は、血中アンモニアの臨床的に有意な上昇をもたらし、罹患率と死亡率の両方に寄与する。
MMAは、ビタミンB12依存性メチルマロニル-CoAムターゼ(EC 5.4.99.2)酵素の機能不全によって引き起こされ、メチルマロニル-CoAからスクシニル-CoAへの変換を遮断し、プロピオニル-CoA、メチルマロニル-CoA、メチルマロン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、2-メチルクエン酸、及びプロピオニルカルニチンなどの代謝産物の蓄積をもたらす。完全または部分的な酵素欠損症は、それぞれ、mutまたはmutdiseaseサブタイプを生じさせる。いくつかの場合では、MMAは、メチルマロニルラセマーゼとも呼ばれるメチルマロニル-CoAエピメラーゼ(EC 5.1.99.1)酵素の機能不全によって引き起こされ得る。さらに、MMAは、MMAA、MMAB、及びMMADHCによるアデノシルコバラミン(ビタミンB12の活性型)の合成不良によっても引き起こされ得る。PAと同様に、MMA患者に特定の毒性代謝産物が蓄積すると、尿素回路機能が低下し(3-ヒドロキシプロピオン酸またはプロピオニル-CoAによると推定される)、これが血中アンモニアの臨床的に有意な上昇をもたらし、罹患率と死亡率の両方に寄与し得る。
PAまたはMMAに罹患している患者は、欠損を有する酵素(それぞれ、プロピオニル-CoAカルボキシラーゼまたはメチルマロニル-CoAムターゼ)に起因する特定の代謝産物のレベルが上昇している。PA及びMMAの患者は、代謝性アシドーシス、脱水症、倦怠感、発作、嘔吐、及び重度の中枢神経系の機能障害を引き起こす高アンモニア血症を急性的に呈することが多い。長期的な合併症には、発作、心筋症、エピソードのような代謝性脳卒中、心不整脈、慢性腎不全、意識障害、ケトーシス、膵炎、及び視神経萎縮が含まれ、これらは生活の質に深刻な影響を及ぼし、進行性の悪化を引き起こし、時には突然死をもたらす。
PAまたはMMAに対する現時点での決定的な治療法は存在していない。ほとんどの場合、治療の選択肢は、厳格な食事とライフスタイルの変更、ならびに病状に関連する毒性代謝産物への急性及び長期の曝露によって生じる合併症と後遺症の対症療法に焦点を当てている。食事療法には、正常な成長を維持する一方で、プロピオニル-CoAの前駆体、例えば、分岐鎖アミノ酸(バリン及びイソロイシン)、スレオニン、メチオニン、奇数鎖脂肪酸、及びコレステロールを制限することが含まれる。レボカルニチン、ビオチン(PA)及び/またはコバラミン(MMA)を含む栄養補助食品も一般的である。さらに、プロピオジェニック腸内細菌を抗生レジメンで管理し、合併症をその発症時に症候的に治療する。症状の緩和にもかかわらず、これらの患者の多くは依然として疾患の長期後遺症へ進行する。
肝臓及び/または腎臓の移植が必要な場合がある。例えば、PAの一部の患者は、主に高アンモニア血症による症状を改善するために同所性肝移植(OLT)を受ける。
したがって、PAとMMAを治療するための効果的な治療方法を開発することは、疾患の臨床症状を改善し、これらの患者の生活の質と寿命を改善するために重要である。したがって、病状に関連する毒性代謝産物のレベルを低下させることによって代謝障害(例えば、PA及びMMA)を治療する必要性が存在する。本開示はこの必要性を解決する。
いくつかの実施形態では、本開示は、患者に式Iの1つ以上の化合物を投与し、それにより、患者におけるプロピオニル-CoA、イソバレリル-CoA、メチルマロニル-CoA、またはそれらの組み合わせのレベルを低下させることを含む、それを必要とする対象における有機酸血症(例えば、プロピオン酸血症(PA)、イソ吉草酸血症(IVA)、またはメチルマロン酸血症(MMA)、または本明細書に開示する任意の他の疾患)の治療方法を提供する。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、式IA、または式II、または式IIAの構造を有する。いくつかの実施形態では、式I、式IA、または式IIの化合物は、2,2-ジメチル酪酸(2,2-ジメチルブタン酸とも呼ばれる)、またはそれらの代謝産物、エステル、もしくは薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、本開示は、式Iの1つ以上の化合物、またはその補酵素Aエステルもしくはカルニチンエステル、またはその薬学的に許容されるエステル、溶媒和物、もしくは塩を投与することを含む、それを必要とする対象におけるプロピオニル-CoAもしくはメチルマロニル-CoA、イソバレリル-CoA、またはそれらの組み合わせの還元方法を提供する。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、式IA、II、またはIIAの構造を有する。いくつかの実施形態では、式I、IA、またはIIの化合物は、2,2-ジメチル酪酸、それらの補酵素Aエステルもしくはカルニチンエステル、またはそれらの薬学的に許容される代謝産物、エステル、溶媒和物、もしくは塩である。
いくつかの実施形態では、本開示の化合物(例えば、式I、IA、II、及び/またはIIA)を、医薬組成物に製剤化する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体または薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、本開示の化合物を、経口投与する。
いくつかの実施形態では、方法は、代謝障害(例えば、IVA、PA及び/またはMMAなどの有機酸血症を含む)を有する患者において、さもなければ毒性レベルまで蓄積する少なくとも1つの代謝産物の産生を低減することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの代謝産物を、少なくとも約1%~約100%、例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、及び100%(これらの間のすべての値と部分範囲を含む)低減する。いくつかの実施形態では、代謝産物は、分岐鎖アミノ酸、メチオニン、スレオニン、奇数鎖脂肪酸、及びコレステロールのうちの1つ以上の代謝産物である。いくつかの実施形態では、代謝産物は、プロピオン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、2-メチルクエン酸、メチルマロン酸、プロピオニルグリシン、もしくはプロピオニルカルニチン、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの代謝産物は、2-ケトイソカプロエート、イソバレリル-CoA、3-メチルクロトニル-CoA、3-メチルグルタコニル-CoA、3-OH-3-メチルグルタリル-CoA、2-ケト-3-メチル吉草酸、2-メチルブチリル-CoA、チグリル-CoA、2-メチル-3-OH-ブチリル-CoA、2-メチル-アセトアセチル-CoA、2-ケトイソ吉草酸、イソブチリル-CoA、メチルアクリリル-CoA、3-OH-イソブチリル-CoA、3-OH-イソブチレート、メチルマロン酸セミアルデヒド、プロピオニル-CoA、もしくはメチルマロニル-CoA、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、生成するプロピオニル-CoAの量を、少なくとも約1%~約100%減少させる。いくつかの実施形態では、生成するメチルマロニル-CoAの量を、少なくとも約1%~約100%減少させる。
プロピオン酸血症患者の初代肝細胞における13C標識イソロイシンの存在下での13C-プロピオニル-CoA及び12C-化合物-CoAエステルの濃度に対する化合物の影響を示す。すべての初代肝細胞を、0μM~1,000μMの範囲の化合物で処理した。図1Aは、化合物1で処理した初代肝細胞における13C-プロピオニル-CoAの濃度を示す。13C-プロピオニル-CoAの濃度は12.43μMのEC50であり、12C-化合物1-CoAエステルの濃度は12.47μMのEC50であった。図1Bは、化合物2で処理した初代肝細胞における13C-プロピオニル-CoAの濃度を示す。13C-プロピオニル-CoAの濃度は1.23μMのEC50であり、12C-化合物2-CoAエステルの濃度は1.24μMのEC50であった。図1Cは、化合物3で処理した初代肝細胞における13C-プロピオニル-CoAの濃度を示す。13C-プロピオニル-CoAの濃度は13.04μMのEC50であり、12C-化合物3-CoAエステルの濃度は27.41μMのEC50であった。図1Dは、化合物4で処理した初代肝細胞における13C-プロピオニル-CoAの濃度を示す。13C-プロピオニル-CoAの濃度は32.4μMのEC50であり、12C-化合物4-CoAエステルの濃度は10.29μMのEC50であった。図1Eは、化合物5で処理した初代肝細胞における13C-プロピオニル-CoAの濃度を示す。13C-プロピオニル-CoAの濃度は0.43μMのEC50であり、12C-化合物5-CoAエステルの濃度は0.95μMのEC50であった。図1Fは、化合物6で処理した初代肝細胞における13C-プロピオニル-CoAの濃度を示す。13C-プロピオニル-CoAの濃度は0.91μMのEC50であり、12C-化合物6-CoAエステルの濃度は0.48μMのEC50であった。図1Gは、化合物7で処理した初代肝細胞における13C-プロピオニル-CoAの濃度を示す。13C-プロピオニル-CoAの濃度は28.79μMのEC50であり、12C-化合物7-CoAエステルの濃度は10.15μMのEC50であった。 プロピオン酸血症患者の初代肝細胞における13C標識イソロイシンの存在下での13C-プロピオニル-CoA及び12C-化合物-CoAエステルの濃度に対する化合物の影響を示す。すべての初代肝細胞を、0μM~1,000μMの範囲の化合物で処理した。図1Aは、化合物1で処理した初代肝細胞における13C-プロピオニル-CoAの濃度を示す。13C-プロピオニル-CoAの濃度は12.43μMのEC50であり、12C-化合物1-CoAエステルの濃度は12.47μMのEC50であった。図1Bは、化合物2で処理した初代肝細胞における13C-プロピオニル-CoAの濃度を示す。13C-プロピオニル-CoAの濃度は1.23μMのEC50であり、12C-化合物2-CoAエステルの濃度は1.24μMのEC50であった。図1Cは、化合物3で処理した初代肝細胞における13C-プロピオニル-CoAの濃度を示す。13C-プロピオニル-CoAの濃度は13.04μMのEC50であり、12C-化合物3-CoAエステルの濃度は27.41μMのEC50であった。図1Dは、化合物4で処理した初代肝細胞における13C-プロピオニル-CoAの濃度を示す。13C-プロピオニル-CoAの濃度は32.4μMのEC50であり、12C-化合物4-CoAエステルの濃度は10.29μMのEC50であった。図1Eは、化合物5で処理した初代肝細胞における13C-プロピオニル-CoAの濃度を示す。13C-プロピオニル-CoAの濃度は0.43μMのEC50であり、12C-化合物5-CoAエステルの濃度は0.95μMのEC50であった。図1Fは、化合物6で処理した初代肝細胞における13C-プロピオニル-CoAの濃度を示す。13C-プロピオニル-CoAの濃度は0.91μMのEC50であり、12C-化合物6-CoAエステルの濃度は0.48μMのEC50であった。図1Gは、化合物7で処理した初代肝細胞における13C-プロピオニル-CoAの濃度を示す。13C-プロピオニル-CoAの濃度は28.79μMのEC50であり、12C-化合物7-CoAエステルの濃度は10.15μMのEC50であった。 プロピオン酸血症患者の初代肝細胞における様々な供給源由来のプロピオニル-CoAの濃度に対する化合物1の影響を示す。すべての初代肝細胞を、0μM~1,000μMの範囲の化合物1で処理した。図2Aは、1mM 13C-KIVA(ケトイソ吉草酸)の存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、14.17μMのEC50を有していた。図2Bは、3mM 13C-ILE(イソロイシン)の存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、15.01μMのEC50を有していた。図2Cは、5mM 13C-THR(スレオニン)の存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、9.2μMのEC50を有していた。図2Dは、5mM 13C-MET(メチオニン)の存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、7.14μMのEC50を有していた。図2Eは、5mM 13C-プロピオネートの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、21.18μMのEC50を有していた。図2Fは、100μMの13C-ヘプタノエートの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、48.2μMのEC50を有していた。 プロピオン酸血症患者の初代肝細胞における様々な供給源由来のプロピオニル-CoAの濃度に対する化合物5の影響を示す。すべての初代肝細胞を、0μM~1,000μMの範囲の化合物5で処理した。図3Aは、1mM 13C-KIVAの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、0.89μMのEC50を有していた。図3Bは、3mM 13C-ILEの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、0.42μMのEC50を有していた。図3Cは、5mM 13C-THRの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、1.24μMのEC50を有していた。図3Dは、5mM 13C-プロピオネートの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、15.27μMのEC50を有していた。 メチルマロン酸血症患者の初代肝細胞における様々な供給源由来のプロピオニル-CoA及びメチルマロニル-CoAの濃度に対する化合物1の影響を示す。すべての初代肝細胞を、0μM~1,000μMの範囲の化合物1で処理した。図4Aは、1mM 13C-KIVAの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoA及びメチルマロニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、30.9μMのEC50を有していた。メチルマロニル-CoAの濃度は、31.26μMのEC50を有していた。図4Bは、3mM 13C-ILEの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoA及びメチルマロニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、30.79μMのEC50を有していた。メチルマロニル-CoAの濃度は、25.53μMのEC50を有していた。図4Cは、5mM 13C-THRの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoA及びメチルマロニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、13.89μMのEC50を有していた。メチルマロニル-CoAの濃度は、25.58μMのEC50を有していた。図4Dは、5mM 13C-METの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoA及びメチルマロニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、50.71μMのEC50を有していた。メチルマロニル-CoAの濃度は、47.26μMのEC50を有していた。図4Eは、100μM 13C-プロピオネートの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoA及びメチルマロニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、68.25μMのEC50を有していた。メチルマロニル-CoAの濃度は、89.36μMのEC50を有していた。 メチルマロン酸血症患者の初代肝細胞における様々な供給源由来のプロピオニル-CoA及びメチルマロニル-CoAの濃度に対する化合物1の影響を示す。すべての初代肝細胞を、0μM~1,000μMの範囲の化合物1で処理した。図4Aは、1mM 13C-KIVAの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoA及びメチルマロニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、30.9μMのEC50を有していた。メチルマロニル-CoAの濃度は、31.26μMのEC50を有していた。図4Bは、3mM 13C-ILEの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoA及びメチルマロニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、30.79μMのEC50を有していた。メチルマロニル-CoAの濃度は、25.53μMのEC50を有していた。図4Cは、5mM 13C-THRの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoA及びメチルマロニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、13.89μMのEC50を有していた。メチルマロニル-CoAの濃度は、25.58μMのEC50を有していた。図4Dは、5mM 13C-METの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoA及びメチルマロニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、50.71μMのEC50を有していた。メチルマロニル-CoAの濃度は、47.26μMのEC50を有していた。図4Eは、100μM 13C-プロピオネートの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoA及びメチルマロニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、68.25μMのEC50を有していた。メチルマロニル-CoAの濃度は、89.36μMのEC50を有していた。 メチルマロン酸血症患者の初代肝細胞における様々な供給源由来のプロピオニル-CoA及びメチルマロニル-CoAの濃度に対する化合物5の影響を示す。すべての初代肝細胞を、0μM~1,000μMの範囲の化合物5で処理した。図5Aは、1mM 13C-KIVAの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoA及びメチルマロニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、0.93μMのEC50を有していた。メチルマロニル-CoAの濃度は、1.17μMのEC50を有していた。図5Bは、3mM 13C-ILEの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoA及びメチルマロニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、2.04μMのEC50を有していた。メチルマロニル-CoAの濃度は、1.38μMのEC50を有していた。図5Cは、100μMの13C-ヘプタノエートの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-CoAの濃度を示す。プロピオニル-CoAの濃度は、3.84μMのEC50を有していた。メチルマロニル-CoAの濃度は、0.02μMのEC50を有していた。 プロピオン酸血症患者の初代肝細胞における様々な供給源由来のプロピオニル-カルニチンの濃度に対する化合物1の影響を示す。すべての初代肝細胞を、0μM~1,000μMの範囲の化合物1で処理した。図6Aは、1mM 13C-KIVAの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-カルニチンの濃度を示す。プロピオニル-カルニチンの濃度は、44.33μMのEC50を有していた。図6Bは、3mM 13C-ILEの存在下での初代肝細胞におけるプロピオニル-カルニチンの濃度を示す。プロピオニル-カルニチンの濃度は、54.26μMのEC50を有していた。 化合物5で初代肝細胞を処理した際のHemoShear TechnologyにおけるPAドナー1及びMMAドナー1の代表的な活性データを示す。図7Aは、PA及びMMA初代肝細胞におけるプロピオニル-CoA(「P-CoA」)の用量依存的な減少を示す。図7Bは、メチルマロニル(「M-CoA」)(MMA初代肝細胞で13Cで標識)の用量依存的な減少を示す。図7Cは、PA及びMMA初代肝細胞におけるプロピオニル-カルニチン(C3)濃度の用量依存的な減少を示す。図7Dは、PA及びMMA初代肝細胞におけるプロピオニル-カルニチン/アセチル-カルニチン(C3/C2)比の用量依存的な減少を示す。図7Eは、PA及びMMA初代肝細胞におけるMCA濃度の用量依存的な減少を示す。 0.1μM~100μMの濃度の化合物5を使用した静置細胞培養におけるPA及びMMA初代肝細胞の処理の用量反応曲線を示す。図8Aは、低及び高プロピオジェニック条件下にて化合物5で処理したPA及びMMA初代肝細胞における13C-P-CoAの細胞内濃度を示す。図8Bは、低及び高プロピオジェニック条件下にて化合物5で処理したPA及びMMA初代肝細胞における13C-M-CoAの細胞内濃度を示す。図8Cは、低及び高プロピオン酸条件下で化合物5で処理したMMA初代肝細胞における13C-メチルマロン酸の細胞内濃度を示す。 低及び高プロピオジェニック条件下での、PA初代肝細胞及びMMA初代肝細胞の静置細胞培養における化合物5の薬理学を示す。図9Aは、静置細胞培養実験でPA及びMMA pHepsで測定した13C-P-CoAレベルに対する化合物5の影響を示す。図9Bは、静置細胞培養実験でPA及びMMA pHepsで測定したアセチル-CoAレベルに対する化合物5の影響を示す。図9Cは、静置細胞培養実験でPA及びMMA pHepsで測定したCoASHレベルに対する化合物5の影響を示す。図9Dは、PA及びMMA pHepsを化合物5に1.5時間曝露した場合の、化合物5-CoA形成の用量依存的な増加を示す。 PA初代肝細胞、MMA初代肝細胞、及び正常な初代肝細胞におけるHemoShear Technologyでの化合物5の薬理学を示す。図10Aは、化合物5に6日間曝露したPA及びMMA pHepsで測定した13C-P-CoAレベルに対する化合物5の影響を示す。図10Bは、化合物5に6日間曝露したPA及びMMA pHepsで測定したアセチル-CoAレベルに対する化合物5の影響を示す。図10Cは、化合物5に6日間曝露したPA、MMA、及び正常pHepsで測定したCoASHレベルに対する化合物5の影響を示す。図10Dは、PA及びMMA pHepsを化合物5に6時間曝露した場合の、化合物5-CoA形成の用量依存的な増加を示す。 HemoShear Technologyの概略図を示す。図11Aでは、初代肝細胞が、生理学的血行動態及び輸送を維持する条件下で類洞構成に基づいてモデル化された系で維持され、肝臓様の表現型、形態、機能、及び応答を保持し、回復させることを示している。図11Bは、HemoShear Technologyの断面を示す。
定義
別段の定義がない限り、本出願で使用するすべての用語は、当技術分野での標準的かつ一般的な意味を与えられるべきであり、それらの用語は、本発明の時点で当業者によって使用されるであろうように使用される。
添付の特許請求の範囲を含めて、本出願では、単数形「a」、「an」、及び「the」が、便宜上、多くの場合に使用される。しかしながら、特に断りのない限り、これらの単数形には複数形が含まれることを理解すべきである。
本明細書中に数値範囲が開示される場合、本明細書中のすべての値及び部分範囲は、それぞれが明示的に開示されたかのように含まれることを理解すべきである。例えば、約1~約100の範囲は、1~100の間のすべての値、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、及び99(これらの間のすべての値と部分範囲を含む)を含むものと理解される。追加の例として、約1~約100の範囲は、その範囲内のすべての部分範囲、例えば、1~42、37~100、25~65、75~98などを含むものと理解される。
「アルキル」または「アルキル基」とは、1~12個の炭素原子を有し、単結合によって分子の残りの部分に結合している、完全飽和、直鎖または分岐の炭化水素鎖ラジカルを指す。1~12の任意の数の炭素原子を含むアルキルが含まれる。最大12個の炭素原子を含むアルキルは、C-C12アルキルであり、最大10個の炭素原子を含むアルキルは、C-C10アルキルであり、最大6個の炭素原子を含むアルキルは、C-Cアルキルであり、最大5個の炭素原子を含むアルキルは、C-Cアルキルである。C-Cアルキルには、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル及び1アルキル(すなわち、メチル)が含まれる。C-Cアルキルには、C-Cアルキルについて上述したすべての部分が含まれるが、Cアルキルも含まれる。C-C10アルキルには、C-Cアルキル及びC-Cアルキルについて上述したすべての部分が含まれるが、C、C、C及びC10アルキルも含まれる。同様に、C-C12アルキルには、前述のすべての部分が含まれるが、C11及びC12アルキルも含まれる。C-C12アルキルの非限定的な例として、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、sec-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、t-アミル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、及びn-ドデシルが挙げられる。本明細書において特に明記しない限り、アルキル基は、任意選択で置換することができる。
「アルケニル」または「アルケニル基」とは、2~12個の炭素原子を有し、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する直鎖または分岐の炭化水素鎖ラジカルを指す。各アルケニル基は、単結合によって分子の残りの部分に結合している。2~12個の任意の数の炭素原子を含むアルケニル基が含まれる。最大12個の炭素原子を含むアルケニル基は、C-C12アルケニルであり、最大10個の炭素原子を含むアルケニルは、C-C10アルケニルであり、最大6個の炭素原子を含むアルケニル基は、C-Cアルケニルであり、最大5個の炭素原子を含むアルケニルは、C-Cアルケニルである。C-Cアルケニルには、Cアルケニル、Cアルケニル、Cアルケニル、及びCアルケニルが含まれる。C-Cアルケニルには、C-Cアルケニルについて上述したすべての部分が含まれるが、Cアルケニルも含まれる。C-C10アルケニルには、C-Cアルケニル及びC-Cアルケニルについて上述したすべての部分が含まれるが、C、C、C及びC10アルケニルも含まれる。同様に、C-C12アルケニルには、前述のすべての部分が含まれるが、C11及びC12アルケニルも含まれる。C-C12アルケニルの非限定的な例として、エテニル(ビニル)、1-プロペニル、2-プロペニル(アリル)、イソ-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、1-ヘプテニル、2-ヘプテニル、3-ヘプテニル、4-ヘプテニル、5-ヘプテニル、6-ヘプテニル、1-オクテニル、2-オクテニル、3-オクテニル、4-オクテニル、5-オクテニル、6-オクテニル、7-オクテニル、1-ノネニル、2-ノネニル、3-ノネニル、4-ノネニル、5-ノネニル、6-ノネニル、7-ノネニル、8-ノネニル、1-デセニル、2-デセニル、3-デセニル、4-デセニル、5-デセニル、6-デセニル、7-デセニル、8-デセニル、9-デセニル、1-ウンデセニル、2-ウンデセニル、3-ウンデセニル、4-ウンデセニル、5-ウンデセニル、6-ウンデセニル、7-ウンデセニル、8-ウンデセニル、9-ウンデセニル、10-ウンデセニル、1-ドデセニル、2-ドデセニル、3-ドデセニル、4-ドデセニル、5-ドデセニル、6-ドデセニル、7-ドデセニル、8-ドデセニル、9-ドデセニル、10-ドデセニル、及び11-ドデセニルが挙げられる。本明細書において特に明記しない限り、アルキル基は、任意選択で置換することができる。
「アルキニル」または「アルキニル基」とは、2~12個の炭素原子を有し、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有する直鎖または分岐の炭化水素鎖ラジカルを指す。各アルキニル基は、単結合によって分子の残りの部分に結合している。2~12個の任意の数の炭素原子を含むアルキニル基が含まれる。最大12個の炭素原子を含むアルキニル基は、C-C12アルキニルであり、最大10個の炭素原子を含むアルキニルは、C-C10アルキニルであり、最大6個の炭素原子を含むアルキニル基は、C-Cアルキニルであり、最大5個の炭素原子を含むアルキニルは、C-Cアルキニルである。C-Cアルキニルには、Cアルキニル、Cアルキニル、Cアルキニル、及びCアルキニルが含まれる。C-Cアルキニルには、C-Cアルキニルについて上述したすべての部分が含まれるが、Cアルキニルも含まれる。C-C10アルキニルには、C-Cアルキニル及びC-Cアルキニルについて上述したすべての部分が含まれるが、C、C、C及びC10アルキニルも含まれる。同様に、C-C12アルキニルには、前述のすべての部分が含まれるが、C11及びC12アルキニルも含まれる。C-C12アルケニルの非限定的な例として、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルなどが挙げられる。本明細書において特に明記しない限り、アルキル基は、任意選択で置換することができる。
用語「アルコキシ」とは、式-ORのラジカルを指し、式中、Rは、1~12個の炭素原子を含む上記で定義されたアルキル、アルケニル、またはアルキルラジカルである。本明細書で特に明記しない限り、アルコキシ基は、任意選択で置換することができる。
「アリール」は、水素、6~18個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香環を含む炭化水素環系ラジカルを指す。本発明の目的のために、アリールラジカルは、単環式、二環式、三環式または四環式であり得、これは、縮合または架橋環系を含み得る。アリールラジカルには、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレン、及びトリフェニレンに由来するアリールラジカルが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で特に明記しない限り、用語「アリール」とは、任意選択で置換されるアリールラジカルを含むことを意味する。
「カルボシクリル」、「炭素環(carbocyclic ring)」または「炭素環(carbocycle)」とは、環を形成する原子がそれぞれ炭素であり、単結合によって分子の残りの部分に結合している環構造を指す。炭素環は、環内に3~20個の炭素原子を含み得る。炭素環には、本明細書で定義されるアリール及びシクロアルキル、シクロアルケニル、ならびにシクロアルキニルが含まれる。本明細書において特に明記しない限り、アルキル基は、任意選択で置換することができる。
「カルボシクリルアルキル」とは、式-R-Rのラジカルを指し、式中、Rは、上で定義されたアルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基であり、Rは、上で定義されたカルボシクリルラジカルである。本明細書において特に明記しない限り、カルボシクリルアルキル基は、任意選択で置換することができる。
「アリール」とは、水素、6~18個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香環を含み、単結合で分子の残りの部分に結合している炭化水素環系を指す。本開示の目的のために、アリールは、単環式、二環式、三環式または四環式であり得、これは、縮合または架橋環系を含み得る。アリールには、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレン、及びトリフェニレンに由来するアリールが含まれるが、これらに限定されない。本明細書において特に明記しない限り、「アリール」は、任意選択で置換することができる。
「アリールアルキル」とは、式-R-Rのラジカルを指し、式中、Rは、上で定義されたアルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基であり、Rは、上で定義されたアリールラジカルである。本明細書において特に明記しない限り、アリールアルキル基は、任意選択で置換することができる。
「シクロアルキル」とは、炭素原子及び水素原子のみからなる安定な非芳香族単環式または多環式の完全飽和炭化水素ラジカルを指し、これには、3~20個の炭素原子、好ましくは3~10個の炭素原子を有し、単結合によって分子の残りの部分に結合している縮合または架橋環系が含まれ得る。単環式シクロアルキルラジカルとして、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。多環式シクロアルキルラジカルとして、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどが挙げられる。本明細書において特に明記しない限り、シクロアルキル基は、任意選択で置換することができる。
「シクロアルケニル」とは、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有し、炭素原子及び水素原子のみからなる安定な非芳香族単環式または多環式の炭化水素ラジカルを指し、これには、3~20個の炭素原子、好ましくは3~10個の炭素原子を有し、単結合によって分子の残りの部分に結合している縮合または架橋環系が含まれ得る。単環式シクロアルケニルラジカルとして、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロクテニルなどが挙げられる。多環式シクロアルケニルラジカルとして、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エニルなどが挙げられる。本明細書において特に明記しない限り、シクロアルケニル基は、任意選択で置換することができる。
「シクロアルキニル」とは、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有し、炭素原子及び水素原子のみからなる安定な非芳香族単環式または多環式の炭化水素ラジカルを指し、これには、3~20個の炭素原子、好ましくは3~10個の炭素原子を有し、単結合によって分子の残りの部分に結合している縮合または架橋環系が含まれ得る。単環式シクロアルキニルラジカルとして、例えば、シクロヘプチニル、シクロオクチニルなどが挙げられる。本明細書において特に明記しない限り、シクロアルキニル基は、任意選択で置換することができる。
「ヘテロシクリル」、「複素環(heterocyclic ring)」または「複素環(heterocycle)」とは、2~12個の炭素原子ならびに窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される1~6個のヘテロ原子からなる安定な3~20員の芳香族または非芳香族環ラジカルを指す。ヘテロシクリルまたは複素環には、以下に定義するヘテロアリールが含まれる。本明細書で特に明記しない限り、ヘテロシクリルラジカルは、単環式、二環式、三環式または四環式で有り得、これには、縮合または架橋環系が含まれ得;ヘテロシクリルラジカル中の窒素、炭素または硫黄原子は、任意選択で酸化することができ;窒素原子は、任意選択で四級化することができ;そして、ヘテロシクリルラジカルは、部分飽和または完全飽和であり得る。そのようなヘテロシクリルラジカルの例として、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル、及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において特に明記しない限り、ヘテロシクリル基は、任意選択で置換することができる。
「ヘテロシクリルアルキル」とは、式-R-Rのラジカルを指し、式中、Rは、上で定義されたアルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基であり、Rは、上で定義されたヘテロシクリルラジカルである。本明細書において特に明記しない限り、ヘテロシクリルアルキル基は、任意選択で置換することができる。
「ヘテロアリール」とは、水素原子、1~13個の炭素原子、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される1~6個のヘテロ原子、ならびに少なくとも1個の芳香環を含む5~20員環系ラジカルを指す。本発明の目的のために、ヘテロアリールラジカルは、単環式、二環式、三環式または四環式であり得、これには、縮合または架橋環系が含まれ得;ヘテロアリールラジカル中の窒素、炭素または硫黄原子は、任意選択で酸化することができ;窒素原子は、任意選択で四級化することができる。例として、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンジンドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、ベンゾジオキソニル、1,4-ベンゾジオキソニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、カルバゾリル、シノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾ、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1-オキシドピリジニル、1-オキシドピリミジン-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、クイヌクリジニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、及びチオフェニル(すなわち、チエニル)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において特に明記しない限り、ヘテロアリール基は、任意選択で置換することができる。
「N-ヘテロアリール」とは、少なくとも1つの窒素を含み、分子の残りの部分へのヘテロアリールラジカルの結合点がヘテロアリールラジカル中の窒素原子を介する、上記で定義されたヘテロアリールラジカルを指す。本明細書で特に明記しない限り、N-ヘテロアリール基は、任意選択で置換することができる。
本明細書中で使用する用語「置換」とは、上記の基のいずれか(すなわち、アルキル、アルキレン、アルケニル、アルケニレン、アルキニル、アルキニレン、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルカルボニル、チオアルキル、アリール、アラルキル、カルボシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N-ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N-ヘテロアリール及び/またはヘテロアリールアルキル)を意味し、少なくとも1つの水素原子が、以下のような非水素原子への結合によって置き換えられている:F、Cl、Br、Iなどのハロゲン原子;ヒドロキシル基、アルコキシ基、及びエステル基などの基の酸素原子;チオール基、チオアルキル基、スルホン基、スルホニル基、及びスルホキシド基などの基の硫黄原子;アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N-オキシド、イミド、及びエナミンなどの基の窒素原子;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、及びトリアリールシリル基などの基のケイ素原子;ならびに他の様々な基の他のヘテロ原子。「置換された」とはまた、1つ以上の水素原子が、ヘテロ原子、例えば、オキソ、カルボニル、カルボキシル、及びエステル基の酸素;イミン、オキシム、ヒドラゾン、及びニトリルなどの基の窒素へのより高次の結合(例えば、二重結合または三重結合)によって置き換えられている上記の基のいずれかを意味する。例えば、「置換」は、1つ以上の水素原子が、-NR、-NRC(=O)R、-NRC(=O)NR、-NRC(=O)OR、-NRSO、-OC(=O)NR、-OR、-SR、-SOR、-SO、-OSO、-SOOR、=NSO、及び-SONRで置換されている上記の基のいずれかを含む。「置換」とはまた、1つ以上の水素原子が、-C(=O)R、-C(=O)OR、-C(=O)NR、-CHSO、-CHSONRで置換されている上記の基のいずれかを意味する。前述において、R及びRは、同じであるかまたは異なり、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロシクリル、N-ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N-ヘテロアリール及び/またはヘテロアリールアルキルである。「置換された」とはさらに、1つ以上の水素原子が、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロシクリル、N-ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N-ヘテロアリール及び/またはヘテロアリールアルキル基への結合によって置換されている上記の基のいずれかを意味する。さらに、前述の置換基のそれぞれはまた、任意選択で、上記の置換基の1つ以上で置換することができる。
本明細書中で使用する用語「脱離基」とは、異方性結合の開裂において電子対と共に離れる原子または原子の群を指す。いくつかの実施形態では、脱離基は陰イオンである。他の実施形態では、脱離基は、中性原子または原子の基である。陰イオン性脱離基の例として、ハロゲン化物(Cl、Br、I)、スルホン酸塩(例えば、トシル酸塩、メシル酸塩、トリフルオロメチルスルホン酸塩)、及びカルボン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。中性脱離基の例として、水、アンモニア、及び三級アミン(例えば、トリエチルアミン)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、脱離基は、求核置換経路の一部として、薬学的に許容されるコアから離れる。
用語「経路」または「代謝経路」とは、細胞内で発生する酵素によって触媒される一連の生化学的または化学反応を指す。
本明細書中で使用する用語「代謝産物」またはその変形は、代謝プロセス中に形成される分子を指す。用語「代謝産物」には、生物学的に生成される分子の代謝前駆体などの前駆体、及び別の化合物を生成するために生化学反応に関与する分子が含まれる。用語「代謝産物」はまた、本明細書に開示する化合物、例えば、2-プロピルペンタン酸または2,2-ジメチルブタン酸の投与及び異化の後に形成される活性部分を含む。例えば、2,2-ジメチルブタン酸のカルニチンエステルまたは補酵素Aエステルは、代謝の様々な段階で形成され得、そのようなエステルは、開示する方法の治療効果に寄与し得る。したがって、これらの代謝産物は、本開示の範囲内にある。
用語「有機酸血症患者に蓄積する代謝産物」とは、有機酸血症患者に異常なレベルで存在する代謝産物を指す。明確にするために、この用語には、健康なアシドーシス患者と有機酸血症患者の両方に、非毒性レベルで通常存在する代謝産物は包含されない。本明細書中で使用する用語「プロピオン酸血症患者に蓄積する代謝産物」とは、分岐鎖アミノ酸、メチオニン、スレオニン、奇数鎖脂肪酸、及びコレステロールのうちの1つ以上の代謝産物を指し、その場合、前記代謝産物の異常なレベル(プロピオン酸血症を有さない健康な患者と比較して)は、プロピオン酸血症の特徴である。同様に、本明細書中で使用する用語「メチルマロン酸血症患者に蓄積する代謝産物」とは、分岐鎖アミノ酸、メチオニン、スレオニン、奇数鎖脂肪酸、及びコレステロールのうちの1つ以上の代謝産物を指し、その場合、前記代謝産物の異常なレベル(メチルマロン酸血症を有さない健康な患者と比較して)は、メチルマロン酸血症の特徴である。
本明細書中で使用する用語「酵素」とは、1つ以上の化学反応または生化学反応を触媒または促進する任意の物質を指し、これには、多くの場合、完全にまたは部分的にポリペプチドからなる酵素が含まれるが、ポリヌクレオチドを含む異なる分子からなる酵素が含まれ得る。
本明細書中で使用する用語「化合物」とは、代謝障害に関連する特定の代謝産物を還元することができる分子を意味する。本明細書中で使用する場合、薬学的に許容される化合物には、その代謝産物、塩、溶媒和物、及びそれらのプロドラッグが含まれる。例えば、2,2-ジメチル酪酸への言及には、2,2-ジメチル酪酸のプロドラッグ、代謝産物、塩、及び溶媒和物が明示的に含まれる。
用語「薬学的に許容される塩」には、塩基として機能する活性化合物を無機酸または有機酸と反応させて、塩、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、樟脳スルホン酸、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、ギ酸、臭化水素酸、安息香酸、酒石酸、フマル酸、サリチル酸、マンデル酸、炭酸などの塩を形成することによって得られる塩が含まれる。当業者であれば、酸付加塩を、いくつかの既知の方法のいずれかを介して、化合物を適切な無機酸または有機酸と反応させることによって調製し得ることをさらに認識するであろう。用語「薬学的に許容される塩」には、酸として機能する活性化合物を無機または有機塩基と反応させて、塩、例えば、エチレンジアミン、N-メチル-グルカミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N-ベンジルフェネチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルアミン、ジベンジルアミン、エフェナミン、デヒドロアビエチルアミン、N-エチルピペリジン、ベンジルアミン、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、塩基性アミノ酸などの塩を形成することによって得られる塩も含まれる。無機塩または金属塩の非限定的な例として、リチウム、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム塩などが挙げられる。
用語「薬学的に許容されるエステル」には、酸性基の水素をアルキル基で置き換えることによって、例えば、酸基をアルコールまたはハロアルキル基と反応させることによって得られるエステルが含まれる。エステルの例には、-C(O)OH基上の水素をアルキルで置換して-C(O)Oアルキルを形成することが含まれるが、これに限定されない。
用語「薬学的に許容される溶媒和物」とは、溶質(例えば、活性化合物、活性化合物の塩)と溶媒との複合体を指す。溶媒が水である場合、溶媒和物は、水和物、例えば、一水和物、二水和物、三水和物などと呼ばれることがある。
本明細書に記載の用語「薬学的に許容される」とは、生物学的に望ましくない物質ではない、すなわち、その物質が、望ましくない生物学的効果を引き起こしたり、それを含む組成物の他の成分のいずれかと有害な様式で相互作用したりすることなく、患者に投与される製剤に組み込まれ得る物質のことである。用語「薬学的に許容される」を、担体などの医薬賦形剤を指すために使用する場合、担体または賦形剤が毒物学的及び製造試験の必要な基準を満たしており、及び/またはそれが米国食品医薬品局によって作成された不活性成分ガイドに含まれていることを意味する。
用語「有効量」とは、対象への投与時に治療効果を生み出すのに有効な量を指す。治療効果は、有機酸血症に関連する代謝産物レベルの低下を達成することなどであるがこれに限定されない特定の疾患の治療を含み得る。
本明細書中で使用する用語「投与する」は、任意の投与経路、例えば、経口、非経口、筋肉内、経皮、静脈内、動脈間、鼻、膣、舌下、爪下などを含む。投与はまた、例えば、特定の投与計画に従って対象に送達されるように処方するか、または、例えば、特定の投与計画に従って、対象に送達されるように処方された薬物の処方箋を記入することを含む。
用語「治療する」及び「治療(処置)」には、以下の作用が含まれる:(i)特定の疾患または障害の素因がある可能性があるが、まだそれを有すると診断されていない対象における特定の疾患または障害の発症を予防するか;(ii)疾患を、治癒、治療、または阻害する、すなわちその発症を阻止するか;または(iii)症状、病態を軽減または排除することにより、及び/または疾患の退行を引き起こすことにより、疾患を改善する。
用語「患者」、「対象」及び「個体」は、その治療が望まれるヒト対象を指すために交換可能に使用され、一般的に、本発明に従って実施する治療のレシピエントを指す。
代謝障害
本開示は、分岐鎖アミノ酸の毒性代謝産物の異常な蓄積を特徴とする特定の代謝障害の治療方法を提供する。例えば、PA及びMMAなどの先天性常染色体劣性代謝障害は、分岐鎖アミノ酸(例えば、バリン及びイソロイシン)、メチオニン、スレオニン、奇数鎖脂肪酸、もしくはコレステロール、またはそれらの組み合わせの代謝産物の蓄積をもたらす酵素活性の欠陥によって引き起こされる。これらの疾患は、有機酸として知られる特定の酸の異常な蓄積につながる病態である有機酸障害として分類される。
常染色体劣性代謝障害であるPAは、プロピオン酸尿症、プロピオニル-CoAカルボキシラーゼ欠損症、またはケトン性グリシン血症としても知られている。この疾患は、有機酸として知られる特定の酸の異常な蓄積につながる病態である有機酸障害として分類される。PAは、プロピオニル-CoAからメチルマロニル-CoAへの変換を触媒するヘテロ多量体のミトコンドリア酵素であるプロピオニル-CoAカルボキシラーゼ(PCC)の機能不全によって引き起こされる。PCCは、6つのαサブユニットと6つのβサブユニット(それぞれ、PCCA及びPCCB)を含むヘテロドデカマー(α6β6)である。PCCは、体内の分岐鎖アミノ酸、スレオニン、メチオニン、奇数鎖長脂肪酸、及びコレステロールの正常な異化作用に不可欠である。
PCC酵素活性の欠損は、血漿及び尿中の他の代謝産物の中でも、プロピオニル-CoA、プロピオニル-カルニチン、プロピオニル-グリシン、3-ヒドロキシプロピオン酸、2-メチルクエン酸、グリシン、アンモニア(NH及びNH )及び乳酸の蓄積をもたらす。PCCは、それぞれPCCA及びPCCBによってコードされるαサブユニット及びβサブユニットを含む。異なる種類の変異はまた、異なる疾患の表現型をもたらし得る。例えば、PCCA(p.Arg313Ter、p.Ser562Ter)及びPCCB(p.Gly94Ter)のヌル対立遺伝子、及びいくつかの小さな欠失/挿入及びスプライシングバリアントは、より重症のPAに関連している。部分的な酵素活性が保持されているミスセンス変異(PCCA:p.Ala138Thr、p.Ile164Thr、p.Arg288Gly;PCCB:p.Asn536Asp)は、より穏やかな表現型と関連している。例外として、ヘテロドデカマー形成に影響を及ぼし、検出できないPCC酵素活性と重度の表現型に関連する3つのPCCBミスセンス変異体p.Gly112Asp、p.Arg512Cys、及びp.Leu519Proが挙げられ得る。p.Glu168Lysなどの他のPCCB病原性バリアントは、罹患した個体の間で多種多様な臨床症状を引き起こす。さらに、いくつかの例では、PCCB病原性バリアントp.Tyr435Cysは、日本での新生児スクリーニングを通じて無症候性の子供で同定されている。PCCAまたはPCCBのいずれかの二対立遺伝子変異はPAをもたらす。153個及び138個の異なるタイプのPCCA及びPCCBの変異がそれぞれ発見されている。例えば、プロピオニル-CoAカルボキシラーゼ(PCCA)のαサブユニットの1つの変異(c.937C>T/c、937C>T;pArg313Stop/p.Arg313Stopは、PCCA活性部位の喪失、及びPCCAとプロピオニル-CoAカルボキシラーゼ(PCCB)のβサブユニットとの相互作用を担うドメインの喪失をもたらし得る。PCCA変異及びPCCB変異の例の非限定的なリストは、以下のリンクに見出し得る:
それぞれ、http://cbs.lf1.cuni.cz/pcc/list_of_pcca_mutations.htm及びhttp://cbs.lf1.cuni.cz/pcc/list_of_pccb_mutations.htm。
プロピオニル-CoAをメチルマロニル-CoAに変換できないと、特定の代謝産物が蓄積し、その一部は毒性を有する。プロピオニル-CoAの供給源には、バリン、イソロイシン、スレオニン、メチオニン、奇数鎖脂肪酸、及びコレステロールが含まれる。結果として生じるこれらの代謝産物の代謝障害は、代謝産物の蓄積を引き起こし、これは、様々な標的器官、例えば、心臓、中枢神経系などに有害な影響を与え、影響を受けた患者の寿命を大幅に縮め、患者の食事とライフスタイルを大幅に制限する。
メチルマロン酸血症(MMA)は、アデノシルコバラミン(AdoCbl)を補因子として使用してメチルマロニル-CoAからスクシニル-CoAへの変換を触媒するミトコンドリア酵素であるメチルマロニル-CoAムターゼ(MM-CoAムターゼ、またはMCM)の機能不全によって引き起こされる。変換は、2つのステップを含み得る。第1のステップは、D-メチルマロニル-CoAをL-メチルマロニル-CoAに変換することであり、メチルマロニル-CoAラセマーゼによって触媒される。第2のステップは、L-メチルマロニル-CoAをスクシニル-CoAに変換することであり、メチルマロニル-CoAムターゼによって触媒される。MCMは、ロイシン及びバリンなどの分岐鎖アミノ酸、ならびにメチオニン、スレオニン、奇数鎖脂肪酸、及びコレステロールの通常の異化作用に不可欠である。MCMの機能不全は、メチルマロニル-CoA、メチルマロン酸、及び上記のPAに蓄積する代謝産物と同じ代謝産物の蓄積をもたらす。メチルマロニル-CoAの供給源には、バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、メチオニン、奇数鎖脂肪酸、及びコレステロールが含まれ得るが、これらに限定されない。
プロピオニル-CoAをメチルマロニル-CoAに適切に変換できない、またはメチルマロニル-CoAをスクシニル-CoAに適切に変換できないと、プロピオニル-CoAと、通常のクレブス回路(クエン酸回路またはトリカルボン酸(TCA)回路とも呼ばれる)の機能を破壊する誘導有機酸である2-メチルクエン酸が蓄積する。さらに、プロピオニル-CoAの蓄積により、N-アセチルグルタミン酸シンターゼ(NAGS)が阻害され、その結果、N-アセチルグルタミン酸のレベルが低下し、尿素回路機能が阻害され(アンモニアから尿素への変換が低下し)、高アンモニア血症を引き起こし得る。まとめると、この代謝調節不全は、PA及びMMAの徴候及び症状を引き起こす。
したがって、プロピオニル-CoA、メチルマロニル-CoA、及び/またはそれらの関連代謝産物、及びそれらの組み合わせの量を減らす治療戦略を使用して、PA、MMA、及びプロピオニル-CoA及びメチルマロニル-CoAの産生に関連する他の代謝障害を治療することができる。そのような代謝障害の非限定的な例、例えば、BCAA経路が関与する障害として、イソ吉草酸血症、ミトコンドリア短鎖エノイル-CoAヒドラターゼ1欠損症(OMIM616277;ECHS欠損症))、3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ欠損症(OMIM250620;HIBCH欠損症)、3-ヒドロキシイソブチレートデヒドロゲナーゼ欠損症、メチルマロネート-セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ欠損症(OMIM614105)、2-メチル-3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(OMIM300438;HSD10欠損症)、2-メチルアセトアセチル-CoAチオラーゼ欠損症(OMIM203750、ACAT1欠損症)、3-メチルクロトニル-CoAカルボキシラーゼ欠損症(MCCD)、及び3-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸尿症(HMGD)が挙げられる。
イソ吉草酸血症(IVA)は、影響を受けた個体がロイシン分解に問題を有する有機酸障害の一種であり、毒性レベルのロイシン、2-ケトイソカプロン酸(KICA)、イソ吉草酸-CoA及びイソ吉草酸の蓄積をもたらす。IVAは、IVD遺伝子の変異によって引き起こされ、また、常染色体劣性代謝障害である。徴候及び症状は、非常に軽度のものから生命を脅かすものまで様々であり得る。重症の場合、症状は出生後数日以内に始まり、摂食不良、嘔吐、発作、エネルギー不足(倦怠感)などが含まれ;これらは、発作、昏睡、場合によっては死亡など、より深刻な医学的問題に進行する可能性がある。他の場合では、徴候や症状は小児期に現れ、時間の経過と共に現れたり消えたりする場合がある。IVAの特徴的な徴候は、急性疾患時の汗をかいた足の独特の臭いである。他の特徴として、成長障害または発生の遅れが挙げられる。
ミトコンドリアの短鎖エノイル-CoAヒドラターゼ1欠損症(ECHS1D;OMIM616277)は、短鎖エノイル-CoAヒドラターゼ(ECHS1;EC4.2.1.17;以前はSCEHと呼ばれていた)の機能不全によって引き起こされる。ECHS1は、不飽和トランス-2-エノイル-CoA種から対応する3(S)-ヒドロキシアシル-CoA種への変換を触媒するミトコンドリア酵素である。ECHS1は、分岐鎖アミノ酸であるイソロイシンとバリンの正常な異化作用に不可欠であり、短鎖及び中鎖脂肪酸のβ酸化でも機能する。ECHS1欠損症の臨床表現型は、脂肪酸酸化障害の表現型と一致しておらず、これが主に分岐鎖アミノ酸代謝の障害であることを示唆している。ECHS1欠損症は、S-(2-カルボキシプロピル)システイン、S-(2-カルボキシプロピル)システアミン、N-アセチル-S-(2-カルボキシプロピル)システイン、S-(2-カルボキシプロピル)システインカルニチン、メタクリリルグリシン、S-(2-カルボキシエチル)システイン、S-(2-カルボキシエチル)システアミン、N-アセチル-S-(2-カルボキシエチル)システイン及び2,3-ジヒドロキシ-2-メチル酪酸を含む異常な代謝産物の蓄積を特徴とする。したがって、上記の代謝産物の産生を減少させる治療戦略を使用して、ミトコンドリアの短鎖エノイル-CoAヒドラターゼ1欠損症を治療することができる。
メタクリル酸尿症(OMIM250620;3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ欠損症とも呼ばれる)は、3-ヒドロキシイソブチリル-CoAから遊離3-ヒドロキシイソブチレートへの変換を触媒するミトコンドリア酵素である3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ(HIBCH;EC3.1.2.4)の機能不全によって引き起こされる。HIBCHは、分岐鎖アミノ酸バリンの通常の異化作用に不可欠である。HIBCHは、3-ヒドロキシプロピオニル-CoAに対しても反応性があり、プロピオン酸代謝の二次経路において二重の役割を果たす。ヒドロキシプロピオニル-CoAの供給源には、バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、メチオニン、奇数鎖脂肪酸、及びコレステロールが含まれ得るが、これらに限定されない。HIBCH欠損症は、(S)-3-ヒドロキシイソブチリル-L-カルニチン、S-(2-カルボキシプロピル)システイン、S-(2-カルボキシプロピル)システアミン、N-アセチル-S-(2-カルボキシプロピル)システイン、S-(2-カルボキシプロピル)システインカルニチン、メタクリリルグリシン、S-(2-カルボキシエチル)システイン、S-(2-カルボキシエチル)システアミン、N-アセチル-S-(2-カルボキシエチル)システイン及び2,3-ジヒドロキシ-2-メチル酪酸を含む異常な代謝産物の蓄積をもたらす。したがって、上記の代謝産物の産生を減少させる治療戦略を使用して、メチルアクリル酸尿症を治療することができる。
3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ(HIBADH;EC1.1.1.31)欠損症は、NAD(+)依存性の3-ヒドロキシイソブチレートからメチルマロン酸セミアルデヒドへの可逆的酸化を触媒する酵素をコードするHIBADH遺伝子の変異によって引き起こされる場合があり、ただし、この疾患を引き起こすと確認されている変異はない。3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ欠損症は、リー脳症などの呼吸鎖機能の欠損によっても引き起こされ得る。HIBADHは、分岐鎖アミノ酸バリンの通常の異化作用に不可欠である。HIBADH欠損症は、3-ヒドロキシイソ酪酸尿症の原因の1つであり、これは、電子伝達系の欠損またはメチルマロン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ欠損症によっても引き起こされ得る不均一な臨床表現型の障害である。HIBADHの機能不全は、3-ヒドロキシイソブチレートと3-ヒドロキシイソブチリルカルニチンの蓄積をもたらすことが示されている。したがって、上記の代謝産物の産生を減少させる治療戦略を使用して、3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ欠損症を治療することができる。
メチルマロン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ欠損症(MMSDHD;OMIM614105)は、酵素メチルマロン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼの欠損症(MMSDH;EC1.2.1.27)によって引き起こされる。MMSDHは、ALDH6A1遺伝子によってコードされ、メチルマロン酸セミアルデヒドからプロピオニル-CoAへの酸化的脱炭酸を触媒する。MMSDHは、分岐鎖アミノ酸のバリンとチミンの代謝の正常な異化作用に不可欠である。MMSDH欠損症は、3-ヒドロキシイソ酪酸尿症の原因の1つであり、これは、電子伝達系の欠損または3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ(HIBADH)欠損症によっても引き起こされる、不均一な臨床表現型の障害である。MMSDHの機能不全は、3-ヒドロキシイソブチレート及び3-ヒドロキシイソブチリルカルニチン、ならびに3-ヒドロキシプロピオン酸及び2-エチル-3-ヒドロキシプロピオン酸の蓄積をもたらすことが示されている。したがって、上記の代謝産物の産生を減少させる治療戦略を使用して、メチルマロン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ欠損症を治療することができる。
17-βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼX欠損症(OMIM300438)は、ヒドロキシステロイド17-βデヒドロゲナーゼ10(EC1.1.1.178;2-メチル-3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドロゲナーゼまたは3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼタイプIIとしても知られる)の欠損によって引き起こされる。ヒドロキシステロイド17-βデヒドロゲナーゼ10(HSD10)は、2-メチル-3-ヒドロキシブチリル-CoAから2-メチルアセトアセチル-CoAへの可逆的変換を触媒する多機能ミトコンドリア酵素であり、イソロイシンの分解経路に不可欠な酵素である。HSD10は、遺伝子HSD17B10(以前はHADH2として知られていた)によってコードされており、HSD10欠損症は、HSD17B10遺伝子の変異によって引き起こされる。この症候群は、β-ケトチオラーゼ欠損症と同様の生化学的表現型を有しているが、通常、より重度の臨床表現型を示すユニークな障害を表している。HSD10は、多種多様なステロイド受容体モジュレーターの酸化を触媒することが知られており、したがって、性ステロイド及び神経活性ステロイド代謝において役割を果たし、tRNA成熟に関与するミトコンドリアリボヌクレアーゼPのサブユニットでもある。イソロイシン分解におけるHSD10の機能不全は、チグリルグリシン、2-メチル-3-ヒドロキシブチレート、OH-C5カルニチン、いくつかの場合では2-エチルヒドラクリル酸、3-ヒドロキシイソブチレート及びチグリルグルタミン酸の蓄積をもたらすことが示されている。したがって、上記の代謝産物の産生を減少させる治療戦略を使用して、17-βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼX欠損症を治療することができる。
α-メチルアセト酢酸尿症(OMIM203750)は、3-メチルアセトアセチル-CoAチオラーゼ(EC2.3.1.9;より一般的にはβ-ケトチオラーゼまたはT2と呼ばれる)の欠損によって引き起こされる。β-ケトチオラーゼ(β-KT)は、K依存性ミトコンドリア酵素であり、2-メチルアセトアセチル-CoAのチオール分解による切断を触媒して、アセチル-CoAとプロピオニル-CoAを生成する。β-KTは、イソロイシンの分解経路に不可欠な酵素である。β-KTは、遺伝子ACAT1によってコードされ、β-KT欠損症は、ACAT1遺伝子の変異によって引き起こされる。この症候群は、HSD10欠損症と同様の生化学的表現型を有しているが、β-KTの喪失によるイソロイシン分解の遮断は、重度のケトアシドーシス発作に起因する神経学的後遺症を伴う少数の症例を除いて、一般的に発達障害を引き起こさないため、ユニークな障害を表す。イソロイシン分解におけるβ-KTの機能不全は、3-ヒドロキシ酪酸、アセト酢酸、2-メチルアセト酢酸及び2-ブタノンなどのケトン、ならびにチグリルグリシン、2-メチル-3-ヒドロキシブチレート、OH-C5カルニチン、ならびにいくつかの場合では2-エチルヒドラクリル酸、3-ヒドロキシイソブチレート及びチグリルグルタミン酸などの蓄積をもたらすことが示されている。したがって、上記の代謝産物の産生を減少させる治療戦略を使用して、α-メチルアセト酢酸尿症を治療することができる。
現在開示されている方法で治療することができるCoA障害の他の非限定的な例として、グルタル酸尿症I型、長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(LCHAD)、極長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(VLCAD)、及びレフサム病ならびに表1の疾患が挙げられる。
Figure 2022525339000002
Figure 2022525339000003
Figure 2022525339000004
Figure 2022525339000005
本開示は、そのような代謝障害に関連する代謝産物の形成を低減することによる代謝障害(例えば、有機酸血症)の治療方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、有機酸血症に関連する代謝産物の形成及び/または量を低減することを含む、有機酸血症の治療方法を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して、分岐鎖アミノ酸の代謝に関連する任意の疾患または障害を治療することができる。特定の実施形態では、本開示は、対象におけるイソバレリル-CoA、プロピオニル-CoA及び/またはメチルマロニル-CoA産生の低減方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、IVA、PA、及びMMAの治療方法を提供し、それにより、代謝障害治療の分野における重要なニーズに対処する。
いくつかの実施形態では、有機酸血症患者に関連する代謝産物(例えば、イソバレリル-CoA、プロピオニル-CoAまたはメチルマロニル-CoA)のレベルを、阻害剤で処理しない対応物に比べて、少なくとも約1%~約100%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%(それらの間のすべての値及び部分範囲を含む)低減する。例えば、低減するレベルは、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%であり得る。少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%であり得る。
様々な実施形態において、補酵素A(CoA)エステルまたはカルニチンエステルを形成することができる化合物を投与することを含む、有機酸血症を治療するための方法及び組成物を本明細書に開示する。いくつかの実施形態では、そのような化合物は、薬学的に許容されるコアに結合したカルボン酸(またはカルボニルもしくはイミン及び脱離基を有する同様の基)を含む。同様の基の非限定的な例として、カルボン酸エステル(RCOR’、式中、R及びR’は、例えば、アルキル、アリール、活性化エステルなどである)、チオエステル(RC(O)SR’)、アミド(RC(O)NR’R’’、例えば、一級、二級、三級、及びワインレブアミド)、酸性塩化物(RCOX、X=ハロゲン)、酸無水物(RC(O)OC(O)R’)、アシルスルホネート(RC(O)OS(O)OR’、アシルホスフェート(RC(O)OP(O)OR’)、またはカルボキシイミデート(R(C=NR’’)OR’)が挙げられる。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるコアは、電子求引基を含まない。いくつかの実施形態では、コアは、カルボン酸(または同様の基)のα位置で置換される。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるコアは、飽和または不飽和炭化水素領域を含み、これは、直鎖状、分岐状、または環状(カルボシクリル及びヘテロシクリル基を含む)であってもよく、任意選択で置換され得る。そのような炭化水素の非限定的な例として、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロアリール基が挙げられる。いくつかの実施形態では、炭化水素領域は、1つ以上のヘテロ原子を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるコアは、約2000Da以下、約1000Da以下、または約500Da以下、例えば、約450、約400、約350、約300、約250、約200、約150、約100以下(それらの間のすべての値及び部分範囲を含む)の分子量を有する。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法に適した化合物は、式(I):
Figure 2022525339000006
またはそのCoAエステルもしくはカルニチンエステル、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルによって表され、
式中:
Xが、O、NH、またはSであり;
Zが、OR、NR、SR、ハロゲン化物、または脱離基であり;
、R及びRのそれぞれが、独立して、H、ハロゲン化物、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキルであり、ただし、R、R及びRのうちの少なくとも1つがHではなく;
あるいは、R、R及びRのいずれか2つは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、カルボシクリルまたはヘテロシクリルを形成してもよく;
各Rが、独立して、H、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、-C(O)R、-SO、-P(O)(OR、または
Figure 2022525339000007
であり;
が、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、またはアリールアルキルであり;
各水素が、独立して、任意選択でハロゲン化物または重水素に置換され、そして
前記化合物の投与が、有機酸血症患者に蓄積する少なくとも1つの代謝産物を減少させる。
式(I)のいくつかの実施形態では、Xは、O、NH、またはSであり;Zは、OR、NR、またはSRであり;R、R及びRのそれぞれは、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキルであり、ただし、R、R及びRのうちの少なくとも1つはHではなく;または、R、R及びRのいずれか2つは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、カルボシクリルまたはヘテロシクリルを形成してもよく;各Rは、独立して、H、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、-C(O)R、-SO、または-P(O)(ORでありは、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、またはアリールアルキルであり;各水素は、独立して、任意選択でハロゲン化物または重水素で置換され、前記化合物の投与は、有機酸血症患者に蓄積する少なくとも1つの代謝産物を減少させる。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、CoAチオエステルであり、式中、ZはSRであり、Rは:
Figure 2022525339000008
である。当技術分野で公知のように、補酵素Aは、[[(2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノプリン-9-イル)-4-ヒドロキシ-3-ホスホノオキシオキソラン-2-イル]メトキシ-ヒドロキシホスホリル][(3R)-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-4-オキソ-4-[[3-オキソ-3-(2-スルファニルエチルアミノ)プロピル]アミノ]ブチル]水素リン酸塩である。本明細書において、2,2-ジメチル酪酸のCoAエステルの例を提供する。
いくつかの実施形態では、XはOである。他の実施形態では、XはSである。さらに別の実施形態では、XはNHである。
いくつかの実施形態では、Zは、OR、NR、SRである。特定の実施形態では、ZはORである。他の実施形態では、Zは脱離基である。本明細書で定義するような脱離基は、当技術分野で公知の任意の好適な脱離基であり得る。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、H、アルキル、カルボシクリルまたはカルボシクリルアルキルである。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、Hまたはアルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、C1-4アルキルである。いくつかの実施形態では、C1-4アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、またはt-ブチルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、RはHである。いくつかの実施形態では、カルボシクリルは、C3-6カルボシクリルである。いくつかの実施形態では、カルボシクリルはシクロプロパンである。
いくつかの実施形態では、R、R及びRのそれぞれは、独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、またはアリールアルキルである。特定の実施形態では、アルキルはC1-6アルキルであり、アルケニルはC2-6アルケニルであり、アルキニルはC2-6アルキニルであり、カルボシクリルはC3-12シクロアルキルまたはC6-12アリールであり、そしてヘテロシクリルはC3-12ヘテロシクリルである。
いくつかの実施形態では、R、R及びRのそれぞれはアルキルである。他の実施形態では、R、R及びRのうちの2つはアルキルである。特定の実施形態では、R、R及びRのうちの2つはアルキルであり、残りのR、R及びRはHである。さらに他の実施形態では、R、R及びRのうちの1つはアルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、C1-6アルキルである。いくつかの実施形態では、Rはプロピルではない。いくつかの実施形態では、Rはプロピルではない。特定の実施形態では、RがHであり、XがOであり、ZがOHである場合、R及びRのそれぞれは、プロピルではない、すなわち、化合物は、構造
Figure 2022525339000009
を有するバルプロ酸ではない。
いくつかの実施形態では、R、R及びRのうちの任意の2つは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、カルボシクリルまたはヘテロシクリルを形成する。いくつかの実施形態では、R、R及びRのうちの任意の2つは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、カルボシクリルまたはヘテロシクリルを形成し、残りのR、R及びRは、Hまたはアルキルである。特定の実施形態では、カルボシクリルは、C3-12シクロアルキルまたはC6-12アリールであり、ヘテロシクリルは、C3-12ヘテロシクリルである。特定の他の実施形態では、アルキルは、C1-6アルキルである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する方法に適した化合物は、式(IA):
Figure 2022525339000010
またはそのCoAエステルもしくはカルニチンエステル、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルによって表され、
式中:
、R及びRのそれぞれは、独立して、H、アルキル、またはカルボシクリルであり、ただし、R、R及びRのうちの少なくとも1つはHではなく;そして
は、Hまたはアルキルである。
いくつかの実施形態では、R、R及びRのそれぞれは、独立して、Hまたはアルキルであり、ただし、R、R及びRのうちの少なくとも1つはHではない。いくつかの実施形態では、R、R及びRのそれぞれは、独立して、H、アルキル、またはカルボシクリルであり、ただし、R、R及びRのうちの少なくとも2つはHではない。いくつかの実施形態では、R、R及びRのそれぞれは、独立して、Hまたはアルキルであり、ただし、R、R及びRのうちの少なくとも2つはHではない。
いくつかの実施形態では、R、R及びRのうちの少なくとも1つはアルキルである。いくつかの実施形態では、R、R及びRのうちの少なくとも2つはアルキルである。いくつかの実施形態では、R、R及びRのそれぞれはアルキルである。いくつかの実施形態では、R及びRはアルキルであり、RはHである。いくつかの実施形態では、R及びRはHであり、Rはアルキルである。いくつかの実施形態では、R及びRはHであり、Rはアルキルである。いくつかの実施形態では、R及びRはHであり、Rはカルボシクリルである。いくつかの実施形態では、R及びRはアルキルであり、Rはカルボシクリルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、C1-4アルキルである。いくつかの実施形態では、C1-4アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、またはt-ブチルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、アルキルはメチルである。いくつかの実施形態では、アルキルはエチルである。いくつかの実施形態では、アルキルはブチルである。いくつかの実施形態では、カルボシクリルはシクロプロピルである。いくつかの実施形態では、R及びRはメチルであり、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、またはt-ブチルである。いくつかの実施形態では、R及びRはメチルであり、Rはエチルである。
いくつかの実施形態では、Rはアルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、C1-4アルキルである。いくつかの実施形態では、C1-4アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、またはt-ブチルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、RはHである。
特定の実施形態では、RがHであり、XがOであり、ZがOHである場合、R及びRのそれぞれは、プロピルではない、すなわち、化合物は、構造
Figure 2022525339000011
を有するバルプロ酸ではない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する方法に適した化合物は、式(II):
Figure 2022525339000012
またはそのCoAエステルもしくはカルニチンエステル、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルによって表され、
式中:
、R及びRのそれぞれは、独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキルであり、ただし、R、R及びRのうちの少なくとも1つはHではなく;
あるいは、R、R及びRのうちの任意の2つが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、カルボシクリルまたはヘテロシクリルを形成する。
いくつかの実施形態では、R、R及びRのそれぞれは、独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、またはアリールアルキルであり、ただし、R、R及びRのうちの少なくとも1つはHである。特定の実施形態では、アルキルはC1-6アルキルであり、アルケニルはC2-6アルケニルであり、アルキニルはC2-6アルキニルであり、カルボシクリルはC3-12シクロアルキルまたはC6-12アリールであり、ヘテロシクリルはC3-12ヘテロシクリルである。
いくつかの実施形態では、R、R及びRのそれぞれはアルキルである。いくつかの実施形態では、R、R及びRのうちの少なくとも2つはアルキルである。他の実施形態では、R、R及びRのうちの2つはアルキルである。特定の実施形態では、R、R及びRのうちの2つはアルキルであり、残りのR、R及びRはHである。さらに他の実施形態では、R、R及びRのうちの1つはアルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、C1-6アルキルである。いくつかの実施形態では、Rはプロピルではない。いくつかの実施形態では、Rはプロピルではない。特定の実施形態では、RがHである場合、R及びRのそれぞれは、プロピルではない、すなわち、化合物は、構造
Figure 2022525339000013
を有するバルプロ酸ではない。
いくつかの実施形態では、R、R及びRのうちの任意の2つは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、カルボシクリルまたはヘテロシクリルを形成し、残りのR、R及びRは、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル(例えば、またはアリールアルキル)、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキルである。特定の実施形態では、アルキルはC1-6アルキルであり、アルケニルはC2-6アルケニルであり、アルキニルはC2-6アルキニルであり、カルボシクリルはC3-12シクロアルキルまたはC6-12アリールであり、そしてヘテロシクリルはC3-12ヘテロシクリルである。R、R及びRのうちの2つが一緒になって芳香環(例えば、アリールまたはヘテロアリール)を形成する場合、R、R及びRのうちの1つは存在しない。いくつかの実施形態では、カルボシクリルは、3位で1,2,4-オキサジアゾールで置換されたベンジルではない。
いくつかの実施形態では、R、R及びRのうちの任意の2つは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、カルボシクリルまたはヘテロシクリルを形成し、残りのR、R及びRは、Hまたはアルキル、カルボシクリルアルキルまたはヘテロシクリルアルキルである。特定の実施形態では、アルキルは、C1-6アルキルであり、カルボシクリルは、C3-12シクロアルキルまたはC6-12アリールであり、ヘテロシクリルは、C3-12ヘテロシクリルである。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法に適した式I、IA、またはIIの薬学的に許容される塩は、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、カリウム塩、またはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩は、ナトリウム塩である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法に適した式I、IA、またはIIの化合物は:
Figure 2022525339000014
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはそのCoA誘導体を含むエステルである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する方法に適した化合物は、式(IIA):
Figure 2022525339000015
またはその薬学的に許容される塩で表され、
式中:
、R及びRのそれぞれは、独立して、H、アルキル、またはカルボシクリルであり、ただし、R、R及びRのうちの少なくとも1つはHではなく;そして
Xは、Na、1/2Mg、1/2Ca、1/2Zn、K、またはC(CHOH)NHである。
いくつかの実施形態では、XはNaである。
いくつかの実施形態では、R、R及びRのそれぞれは、独立して、Hまたはアルキルであり、ただし、R、R及びRのうちの少なくとも1つはHではない。いくつかの実施形態では、R、R及びRのそれぞれは、独立して、H、アルキル、またはカルボシクリルであり、ただし、R、R及びRのうちの少なくとも2つはHではない。いくつかの実施形態では、R、R及びRのそれぞれは、独立して、Hまたはアルキルであり、ただし、R、R及びRのうちの少なくとも2つはHではない。
いくつかの実施形態では、R、R及びRのうちの少なくとも1つはアルキルである。いくつかの実施形態では、R、R及びRのうちの少なくとも2つはアルキルである。いくつかの実施形態では、R、R及びRのそれぞれはアルキルである。いくつかの実施形態では、R及びRはアルキルであり、RはHである。いくつかの実施形態では、R及びRはHであり、Rはアルキルである。いくつかの実施形態では、R及びRはHであり、Rはアルキルである。いくつかの実施形態では、R及びRはHであり、Rはカルボシクリルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、C1-4アルキルである。いくつかの実施形態では、C1-4アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、またはt-ブチルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、カルボシクリルはシクロプロピルである。
式I、IA、及びIIに含まれる化合物の非限定的な例を、表2A及び2Bに示す。
Figure 2022525339000016
Figure 2022525339000017
Figure 2022525339000018
Figure 2022525339000019
Figure 2022525339000020
Figure 2022525339000021
いくつかの実施形態では、式I、IA、またはIIの化合物は、2,2-ジメチル酪酸である。2,2-ジメチル酪酸は、構造(5)で表される。
Figure 2022525339000022
(5)2,2-ジメチル酪酸(2,2-ジメチルブタン酸または2,2-ジメチルブチレートとしても知られる;CAS番号595-37-9)。
いくつかの実施形態では、本開示は、in vivoで2,2-ジメチルブチリル-CoAに生体内変換される2,2-ジメチル酪酸またはその薬学的に許容される塩で患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、細胞内区画で2,2-ジメチルブチリル-CoAを形成する化合物2,2-ジメチル酪酸またはその薬学的に許容される塩で患者を治療することを含む。
理論に制限されるものではないが、本開示の化合物は、遊離酸または薬学的に許容される塩として投与することができ、化合物は、in vivoで変換(すなわち、代謝)されて、本明細書に開示する疾患、例えば、PA及びMMAを効果的に治療する1つ以上の治療的に活性な代謝産物を形成し得る。いくつかの実施形態では、開示する方法における使用に適した2,2-ジメチル酪酸の代謝産物には、2,2-ジメチルブチリル-CoA及び2,2-ジメチルブチリル-カルニチンが含まれる。
2,2-ジメチルブチリル-カルニチンの構造を以下に示す:
Figure 2022525339000023
いくつかの実施形態では、2,2-ジメチルブチリル-カルニチンは、構造:
Figure 2022525339000024
を有する2,2-ジメチルブチリル-L-カルニチンである。
2,2-ジメチルブチリル-CoAの構造を、以下に示す:
Figure 2022525339000025
そのような式I、式IA、式II、及び式IIAの化合物は、さもなければ有機酸血症患者に蓄積するであろう少なくとも1つの代謝産物を(例えば、それらの間のすべての値及び範囲を含めて約1~100%)減少させ、それにより有機酸血症レベルを治療する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの代謝産物は、2-ケトイソカプロエート、イソバレリル-CoA、3-メチルクロトニル-CoA、3-メチルグルタコニル-CoA、3-OH-3-メチルグルタリル-CoA、2-ケト-3-メチル吉草酸、2-メチルブチリル-CoA、チグリル-CoA、2-メチル-3-OH-ブチリル-CoA、2-メチル-アセトアセチル-CoA、2-ケトイソ吉草酸、イソブチリル-CoA、メチルアクリリル-CoA、3-OH-イソブチリル-CoA、3-OH-イソブチレート、メチルマロン酸セミアルデヒド、プロピオニル-CoA、もしくはメチルマロニル-CoA、またはそれらの組み合わせを含む。他の実施形態では、少なくとも1つの代謝産物は、プロピオン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、クエン酸メチル、グリシン、もしくはプロピオニルカルニチン、またはそれらの組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法を使用して、PAを治療することができる。他の実施形態では、本明細書に開示する方法を使用して、MMAを治療することができる。さらに他の実施形態では、本明細書に開示する方法を使用して、IVAを治療することができる。
いくつかの実施形態では、式I、式IA、式II、及び式IIAの化合物は、それを必要とする対象に投与する場合、1ng/mL~約500mg/mL、例えば、約1ng/mL、約10ng/mL、20ng/mL、約30ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、約60ng/mL、約70ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約100ng/mL、約110ng/mL、約120ng/mL、約130ng/mL、約140ng/mL、約150ng/mL、約200ng/mL、約300ng/mL、約400ng/mL、約500ng/mL、約600ng/mL、約700ng/mL、約800ng/mL、約900ng/mL、約1000ng/mL、約1100ng/mL、約1200ng/mL、約1300ng/mL、約1400ng/mL、約1500ng/mL、約1600ng/mL、約1700ng/mL、約1800ng/mL、約1900ng/mL、約2000ng/mL、約3100ng/mL、約3200ng/mL、約3300ng/mL、約3400ng/mL、約3500ng/mL、約3600ng/mL、約3700ng/mL、約3800ng/mL、約3900ng/mL、約4000ng/mL、約5000ng/mL、約6000ng/mL、約7000ng/mL、約8000ng/mL、約9000ng/mL、約10000ng/mL、約20000ng/mL、約30000ng/mL、約40000ng/mL、約50000ng/mL、約60000ng/mL、約70000ng/mL、約80000ng/mL、約90000ng/mL、約100000ng/mL、約100000ng/mL、約200000ng/mL、約300000ng/mL、約400000ng/mL、約500000ng/mL、約600000ng/mL、約700000ng/mL、約800000ng/mL、約900000ng/mL、約1mg/mL、約10mg/mL、20mg/mL、約30mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約80mg/mL、約90mg/mL、約100mg/mL、約110mg/mL、約120mg/mL、約130mg/mL、約140mg/mL、約150mg/mL、約160mg/mL、約170mg/mL、約180mg/mL、約190mg/mL、約200mg/mL、約210mg/mL、約220mg/mL、約230mg/mL、約240mg/mL、約250mg/mL、約260mg/mL、約270mg/mL、約280mg/mL、約290mg/mL、約300mg/mL、約310mg/mL、約320mg/mL、約330mg/mL、約340mg/mL、約350mg/mL、約360mg/mL、約370mg/mL、約380mg/mL、約390mg/mL、約400mg/mL、約410mg/mL、約420mg/mL、約430mg/mL、約440mg/mL、約450mg/mL、約460mg/mL、約470mg/mL、約480mg/mL、約490mg/mL、及び約500mg/mL(それらの間のすべての範囲及び値を含む)の範囲内の平均血漿濃度特性を提供する。
いくつかの実施形態では、式I、式IA、式II、及び式IIAの化合物は、それを必要とする対象に投与する場合、1時間*ng/mL~約50000時間*mg/mLの範囲内、例えば、約1時間*ng/mL、約10時間*ng/mL、20時間*ng/mL、約30時間*ng/mL、約40時間*ng/mL、約50時間*ng/mL、約60時間*ng/mL、約70時間*ng/mL、約80時間*ng/mL、約90時間*ng/mL、約100時間*ng/mL、約110時間*ng/mL、約120時間*ng/mL、約130時間*ng/mL、約140時間*ng/mL、約150時間*ng/mL、約200時間*ng/mL、約300時間*ng/mL、約400時間*ng/mL、約500時間*ng/mL、約600時間*ng/mL、約700時間*ng/mL、約800時間*ng/mL、約900時間*ng/mL、約1000時間*ng/mL、約1100時間*ng/mL、約1200時間*ng/mL、約1300時間*ng/mL、約1400時間*ng/mL、約1500時間*ng/mL、約1600時間*ng/mL、約1700時間*ng/mL、約1800時間*ng/mL、約1900時間*ng/mL、約2000時間*ng/mL、約2100時間*ng/mL、約2200時間*ng/mL、約2300時間*ng/mL、約2400時間*ng/mL、約2500時間*ng/mL、約2600時間*ng/mL、約2700時間*ng/mL、約2800時間*ng/mL、約2900時間*ng/mL、約3000時間*ng/mL、約3100時間*ng/mL、約3200時間*ng/mL、約3300時間*ng/mL、約3400時間*ng/mL、約3500時間*ng/mL、約3600時間*ng/mL、約3700時間*ng/mL、約3800時間*ng/mL、約3900時間*ng/mL、約4000時間*ng/mL、約5000時間*ng/mL、約6000時間*ng/mL、約7000時間*ng/mL、約8000時間*ng/mL、約9000時間*ng/mL、約10000時間*ng/mL、約20000時間*ng/mL、約30000時間*ng/mL、約40000時間*ng/mL、約50000時間*ng/mL、約60000時間*ng/mL、約70000時間*ng/mL、約80000時間*ng/mL、約90000時間*ng/mL、約100000時間*ng/mL、約100000時間*ng/mL、約200000時間*ng/mL、約300000時間*ng/mL、約400000時間*ng/mL、約500000時間*ng/mL、約600000時間*ng/mL、約700000時間*ng/mL、約800000時間*ng/mL、約900000時間*ng/mL、約1時間*mg/mL、約10時間*mg/mL、20時間*mg/mL、約30時間*mg/mL、約40時間*mg/mL、約50時間*mg/mL、約60時間*mg/mL、約70時間*mg/mL、約80時間*mg/mL、約90時間*mg/mL、約100時間*mg/mL、約110時間*mg/mL、約120時間*mg/mL、約130時間*mg/mL、約140時間*mg/mL、約150時間*mg/mL、約160時間*mg/mL、約170時間*mg/mL、約180時間*mg/mL、約190時間*mg/mL、約200時間*mg/mL、約210時間*mg/mL、約220時間*mg/mL、約230時間*mg/mL、約240時間*mg/mL、約250時間*mg/mL、約260時間*mg/mL、約270時間*mg/mL、約280時間*mg/mL、約290時間*mg/mL、約300時間*mg/mL、約310mg/mL、約320時間*mg/mL、約330時間*mg/mL、約340時間*mg/mL、約350時間*mg/mL、約360時間*mg/mL、約370時間*mg/mL、約380時間*mg/mL、約390時間*mg/mL、約400時間*mg/mL、約410時間*mg/mL、約420時間*mg/mL、約430時間*mg/mL、約440時間*mg/mL、約450時間*mg/mL、約460時間*mg/mL、約470時間*mg/mL、約480時間*mg/mL、約490時間*mg/mL、及び約500時間*mg/mL、約510時間*mg/mL、約520時間*mg/mL、約530時間*mg/mL、約540時間*mg/mL、約550時間*mg/mL、約560時間*mg/mL、約570時間*mg/mL、約580時間*mg/mL、約590時間*mg/mL、約600時間*mg/mL、約610時間*mg/mL、約620時間*mg/mL、約630時間*mg/mL、約640時間*mg/mL、約650時間*mg/mL、約660時間*mg/mL、約670時間*mg/mL、約680時間*mg/mL、約690時間*mg/mL、約700時間*mg/mL、約710時間*mg/mL、約720時間*mg/mL、約730時間*mg/mL、約740時間*mg/mL、約750時間*mg/mL、約760時間*mg/mL、約770時間*mg/mL、約780時間*mg/mL、約790時間*mg/mL、約800時間*mg/mL、約810時間*mg/mL、約820時間*mg/mL、約830時間*mg/mL、約840時間*mg/mL、約850時間*mg/mL、約860時間*mg/mL、約870時間*mg/mL、約880時間*mg/mL、約890時間*mg/mL、約900時間*mg/mL、約910時間*mg/mL、約920時間*mg/mL、約930時間*mg/mL、約940時間*mg/mL、約950時間*mg/mL、約960時間*mg/mL、約970時間*mg/mL、約980時間*mg/mL、約990時間*mg/mL、約1000時間*mg/mL、約1200時間*mg/mL、約1300時間*mg/mL、約1400時間*mg/mL、約1500時間*mg/mL、約1600時間*mg/mL、約1700時間*mg/mL、約1800時間*mg/mL、約1900時間*mg/mL、約2000時間*mg/mL、約3000時間*mg/mL、約4000時間*mg/mL、約5000時間*mg/mL、約6000時間*mg/mL、約7000時間*mg/mL、約8000時間*mg/mL、約9000時間*mg/mL、約10000時間*mg/mL、約11000時間*mg/mL、約12000時間*mg/mL、13000時間*mg/mL、約14000時間*mg/mL、約15000時間*mg/mL、約16000時間*mg/mL、約17000時間*mg/mL、約18000時間*mg/mL、約19000時間*mg/mL、約20000時間*mg/mL、約21000時間*mg/mL、約22000時間*mg/mL、23000時間*mg/mL、約24000時間*mg/mL、約25000時間*mg/mL、約26000時間*mg/mL、約27000時間*mg/mL、約28000時間*mg/mL、約29000時間*mg/mL、約30000時間*mg/mL、約31000時間*mg/mL、約32000時間*mg/mL、33000時間*mg/mL、約34000時間*mg/mL、約35000時間*mg/mL、約36000時間*mg/mL、約37000時間*mg/mL、約38000時間*mg/mL、約39000時間*mg/mL、約40000時間*mg/mL、約41000時間*mg/mL、約42000時間*mg/mL、43000時間*mg/mL、約44000時間*mg/mL、約45000時間*mg/mL、約46000時間*mg/mL、約47000時間*mg/mL、約48000時間*mg/mL、約49000時間*mg/mL、約50000時間*mg/mL(それらの間のすべての範囲及び値を含む)の平均曲線下面積(AUC0-24)血漿濃度特性を示す。
いくつかの実施形態では、方法は、2,2-ジメチル酪酸、またはそのCoAエステルもしくはカルニチンエステル、またはその薬学的に許容される塩、エステル、もしくは溶媒和物を、約2/mg/kg~50mg/kgを含む範囲の濃度で投与することを伴う。投与後の2,2-ジメチル酪酸の血漿中濃度は、用量に比例することが観察された。例えば、平均Cmax値は、30、40、及び50mg/kgの用量で、それぞれ156μg/mL、203μg/mL、及び256μg/mLとして測定された。いくつかの実施形態では、30mg/kgの2,2-ジメチル酪酸を投与した後、患者の平均Cmaxは、156μg/mLの80~125%の範囲にある。いくつかの実施形態では、40mg/kgの2,2-ジメチル酪酸を投与した後、患者の平均Cmaxは、203μg/mLの80~125%の範囲にある。いくつかの実施形態では、50mg/kgの2,2-ジメチル酪酸を投与した後、患者の平均Cmaxは、256μg/mLの80~125%の範囲にある。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する1つ以上の代謝性疾患(例えば、MMA、IVA、またはPA)を治療するために、約30~50mg/kgの2,2-ジメチル酪酸を投与した後、患者は、約150~260μg/mLの範囲の約80%~125%内、例えば、約100μg/mL、約105μg/mL、約110μg/mL、約115μg/mL、約120μg/mL、約125μg/mL、約130μg/mL、約135μg/mL、約140μg/mL、約145μg/mL、約150μg/mL、約155μg/mL、約160μg/mL、約165μg/mL、約170μg/mL、約175μg/mL、約180μg/mL、約185μg/mL、約190μg/mL、約195μg/mL、約200μg/mL、約205μg/mL、約210μg/mL、約215μg/mL、約220μg/mL、約225μg/mL、約230μg/mL、約235μg/mL、約240μg/mL、約245μg/mL、約250μg/mL、約255μg/mL、約260μg/mL、約265μg/mL、約270μg/mL、約285μg/mL、約290μg/mL、約295μg/mL、約300μg/mL、約305μg/mL、約310μg/mL、約315μg/mL、約320μg/mL、約325μg/mL、約330μg/mL、約345μg/mL、及び約350μg/mL(それらの間のすべての範囲と値を含む)の平均血漿濃度を有する。
いくつかの実施形態では、治療有効量の2,2-ジメチル酪酸を投与した後、患者は、約50~500μg/mLの範囲内、例えば、50μg/mL、約60μg/mL、約70μg/mL、約80μg/mL、約90μg/mL、約100μg/mL、約110μg/mL、約120μg/mL、約130μg/mL、約140μg/mL、約150μg/mL、約160μg/mL、約165μg/mL、約170μg/mL、約175μg/mL、約180μg/mL、約185μg/mL、約190μg/mL、約195μg/mL、約200μg/mL、約200μg/mL、約205μg/mL、約210μg/mL、約215μg/mL、約220μg/mL、約225μg/mL、約230μg/mL、約235μg/mL、約240μg/mL、約245μg/mL、約250μg/mL、約255μg/mL、約260μg/mL、約265、約270μg/mL、約285μg/mL、約290μg/mL、約295μg/mL、約300μg/mL、約305μg/mL、約310μg/mL、約315μg/mL、約320μg/mL、約325μg/mL、約330μg/mL、約335μg/mL、約340μg/mL、約345μg/mL、約350μg/mL、約355μg/mL、約360μg/mL、約365、約370μg/mL、約385μg/mL、約390μg/mL、約395μg/mL、約400μg/mL、約405μg/mL、約410μg/mL、約415μg/mL、約420μg/mL、約425μg/mL、約430μg/mL、約435μg/mL、約440μg/mL、約445μg/mL、約450μg/mL、約455μg/mL、約460μg/mL、約465、約470μg/mL、約485μg/mL、約490μg/mL、約495μg/mL、及び約500ng/mL(その間のすべての範囲と値を含む)の定常状態血漿濃度を有する。
2,2-ジメチル酪酸の平均AUC値は、30、40、及び50mg/kgの用量で、それぞれ2182、2625、及び3196時間*mg/mLであることが観察された。いくつかの実施形態では、30mg/kgの2,2-ジメチル酪酸を投与した後、患者の平均AUCは、2182μg/mLの80~125%の範囲にある。いくつかの実施形態では、40mg/kgの2,2-ジメチル酪酸を投与した後、患者の平均AUCは、2625μg/mLの80~125%の範囲にある。いくつかの実施形態では、50mg/kgの2,2-ジメチル酪酸を投与した後、患者の平均AUCは、3196μg/mLの80~125%の範囲にある。いくつかの実施形態では、約30~50mg/kgの2,2-ジメチルブタン酸を投与した後、患者は、約2000~3200μg/mL時間*mg/mLの範囲の約80%~125%以内、例えば、約1500時間*μg/mL、約1600時間*μg/mL、約1700時間*μg/mL、約1800時間*μg/mL、約1900時間*μg/mL、約2000時間*μg/mL、約2100時間*μg/mL、約2200時間*μg/mL、約2300時間*μg/mL、約2400時間*μg/mL、約2500時間*μg/mL、約2600時間*μg/mL、約2700時間*μg/mL、約2800時間*μg/mL、約2900時間*μg/mL、約3000時間*μg/mL、約3100時間*μg/mL、約3200時間*μg/mL、約3300時間*μg/mL、約3400時間*μg/mL、約3500時間*μg/mL、約3600時間*μg/mL、約3700時間*μg/mL、約3800時間*μg/mL、約3900時間*μg/mL、及び約4000時間*μg/mL、約4100時間*μg/mL、約4200時間*μg/mL、約4300時間*μg/mL、約4400時間*μg/mL、ならびに約4500時間*μg/mL(すべての値とその間の部分範囲を含む)の平均AUCを有する。
医薬組成物
本開示のさらなる実施形態では、本明細書に開示する1つ以上の化合物、またはその薬学的に許容される溶媒和物、エステル、代謝産物、もしくは塩、ならびに薬学的に許容される賦形剤またはアジュバントを含む医薬組成物を提供する。様々な目的のために、薬学的に許容される賦形剤及びアジュバントを組成物または製剤に添加する。他の実施形態では、本明細書に開示する1つ以上の化合物、またはその薬学的に許容される溶媒和物、エステル、代謝産物、もしくは塩、ならびに薬学的に許容される担体をさらに含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、薬学的に許容される賦形剤、結合剤、及び/または希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤として、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミラーゼ、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース及びポリビニルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されない。
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物に、医薬組成物に従来認められる他の補助成分を、それらの当技術分野で確立された使用レベルにおいてさらに含めてもよい。したがって、例えば、医薬組成物は、鎮痒剤、収斂剤、局所麻酔薬または抗炎症剤などの追加の適合性のある薬学的に活性な物質を含み得るか、または色素、香味料、防腐剤、抗酸化剤、乳白剤、増粘剤及び安定剤などの、本発明の組成物の様々な剤形を物理的に製剤化するのに有用な追加の物質を含み得る。しかしながら、そのような物質を加える場合、本発明の組成物の成分の生物学的活性が過度に妨害されるべきではない。製剤は、滅菌することができ、所望により、製剤のオリゴヌクレオチド(複数可)と有害に相互作用しない補助剤、例えば、潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝液、着色剤、香味料及び/または芳香物質などと混合することができる。
本開示の目的のために、本開示の化合物を、経口及び非経口を含む様々な手段によって投与するために、薬学的に許容される担体、アジュバント及びビヒクルを含む製剤中に製剤化することができる。本明細書中で使用する用語「非経口」には、様々な注入技術による皮下、静脈内、筋肉内、及び動脈内注射が含まれる。本明細書中で使用する動脈内及び静脈内注射には、カテーテルを介した投与が含まれる。
本明細書に開示する化合物は、所望の投与経路に適合された通常の手順に従って製剤化することができる。したがって、本明細書に開示する化合物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液または乳濁液などの形態をとることができ、懸濁剤、安定剤及び/または分散剤などの配合剤を含み得る。本明細書に開示する化合物はまた、移植または注射用の製剤として製剤化することができる。したがって、例えば、化合物を、好適なポリマーまたは疎水性物質(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂として、または難溶性誘導体として(例えば、難溶性塩として)製剤化することができる。あるいは、有効成分は、使用前に、好適なビヒクル、例えば、無菌のパイロジェンフリー水を用いて構成するための粉末形態であり得る。これらの投与方法のそれぞれに適した製剤は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,A.Gennaro,ed.,20th edition,Lippincott,Williams & Wilkins,Philadelphia,PAに記載されている。
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物を、混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、湿式粉砕、乳化、カプセル化、捕捉または錠剤化プロセスを含むがこれらに限定されない既知の技術を使用して調製する。
いくつかの実施形態では、好適な薬学的に許容される担体として、不活性な固体充填剤または希釈剤、ならびに滅菌水溶液または有機溶液が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される担体は当業者に周知であり、約0.01~約0.1Mのリン酸緩衝液または生理食塩水(例えば、約0.8%)が挙げられるが、これらに限定されない。そのような薬学的に許容される担体は、水溶液または非水溶液、懸濁液及び乳濁液であり得る。本出願での使用に適した非水性溶媒の例として、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが挙げられるが、これらに限定されない。
本出願での使用に適した水性担体として、水、エタノール、アルコール/水溶液、グリセロール、生理食塩水及び緩衝媒体を含むエマルジョンまたは懸濁液が挙げられるが、これらに限定されない。経口担体は、エリキシル剤、シロップ、カプセル、錠剤などであり得る。
本出願での使用に適した液体担体は、溶液、懸濁液、乳濁液、シロップ、エリキシル剤、及び加圧化合物の調製に使用することができる。活性成分は、水、有機溶媒、両方の混合物、または薬学的に許容される油脂などの薬学的に許容される液体担体に溶解または懸濁することができる。液体担体には、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、防腐剤、甘味剤、香味料、懸濁化剤、増粘剤、着色剤、粘性調節剤、安定剤、または浸透圧調節剤などの他の好適な薬学的添加剤を含有させることができる。
本出願での使用に適した液体担体として、水(上記のような添加剤、例えばセルロース誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を部分的に含む)、アルコール(一価アルコール及び多価アルコール、例えばグリコールを含む)及びそれらの誘導体、ならびに油(例えば、分別されたココナッツ油及び落花生油)が挙げられるが、これらに限定されない。非経口投与の場合、担体には、オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルなどの油性エステルを含ませることもできる。無菌液体担体は、非経口投与のための化合物を含む、無菌液体形態において有用である。本明細書に開示する加圧化合物のための液体担体は、ハロゲン化炭化水素または他の薬学的に許容される噴霧剤であり得る。
本出願での使用に適した固体担体として、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、マンニトールなどの不活性物質が挙げられるが、これらに限定されない。固体担体は、香味料、潤滑剤、可溶化剤、懸濁剤、充填剤、流動促進剤、圧縮助剤、結合剤または錠剤崩壊剤として作用する1つ以上の物質をさらに含み得;固体担体は、カプセル化物質とすることもできる。粉末においては、担体は、微細化された活性化合物と混合されている微細化された固体であり得る。錠剤においては、活性化合物を、必要な圧縮特性を有する担体と好適な割合で混合し、所望の形状及びサイズに固める。粉末及び錠剤は、好ましくは、最大99%の活性化合物を含有する。好適な固体担体として、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖類、ラクトース、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、ポリビニルピロリジン、低融点ワックス、及びイオン交換樹脂が挙げられる。錠剤は、圧縮または成形によって、任意に1つ以上の補助成分と共に作製してもよい。圧縮された錠剤は、好適な機械において、任意に、結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤と任意選択で混合する粉末または顆粒などの自由流動形態の活性成分を圧縮することによって、調製し得る。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末の化合物の混合物を好適な機械で成形することによって作製してもよい。錠剤は、任意選択でコーティングまたはスコアリングしてもよく、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを様々な比率で使用して、内部の活性成分の徐放または制御放出を提供して所望の放出特性を提供するように製剤化してもよい。錠剤は、任意選択で、腸溶コーティングと共に提供して、胃以外の腸の一部において放出を提供してもよい。
本出願での使用に適した非経口担体として、塩化ナトリウム溶液、リンガーデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸化リンガーならびに固定油が挙げられるが、これらに限定されない。静脈内担体として、液体及び栄養補充薬、電解質補充薬、例えば、リンガーデキストロースに基づく補充薬などが挙げられる。防腐剤及び他の添加剤、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、及び不活性ガスなどもまた、任意選択で存在させることができる。
本出願での使用に適した担体は、当技術分野で公知の従来の技術を使用して、必要に応じて、崩壊剤、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤などと混合することができる。当技術分野で一般的に知られているように、担体はまた、化合物と有害に反応しない方法を使用して滅菌することもできる。
本発明の製剤に希釈剤を添加してもよい。希釈剤は、固体の医薬組成物及び/または併用剤の嵩を増やし、その組成物及び/または併用剤を含む医薬品剤形を、患者及び介護者の扱いやすい剤形にし得る。固体の組成物及び/または併用剤用の希釈剤として、例えば、微結晶セルロース(例えばAVICEL)、マイクロファインセルロース、ラクトース、デンプン、アルファ化デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、第二リン酸カルシウム二水和物、第三リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリレート(例えば、EUDRAGIT(登録商標))、塩化カリウム、粉末セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトール及びタルクが挙げられる。
様々な実施形態において、医薬組成物は、固体、粉末、液体、及びゲルからなる群から選択され得る。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、固体(例えば、粉末、錠剤、カプセル、顆粒、及び/または凝集体)である。特定のそのような実施形態では、固体医薬組成物は、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、及び崩壊剤を含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の1つ以上の賦形剤を含む。
錠剤などの剤形に圧縮される固体医薬組成物は、賦形剤を含む場合があり、その機能は、圧縮後に活性成分と他の賦形剤とを互いに結合させることを補助することを含む。固体の医薬組成物及び/または併用剤用の結合剤として、アカシア、アルギン酸、カルボマー(例えば、カルボポール)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、トラガカントガム、硬化植物油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えばKLUCEL)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばMETHOCEL)、液状ブドウ糖、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン(例えば、KOLLIDON、PLASDONE)、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム及びデンプンが挙げられる。
患者の胃における、圧密した固体の医薬組成物の溶解速度は、その組成物及び/または併用剤に崩壊剤を加えることによって上昇し得る。崩壊剤として、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えば、AC-DI-SOL及びPRIMELLOSE)、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(例えば、KOLLIDON及びPOLYPLASDONE)、グアーガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポラクリリンカリウム、粉末セルロース、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム(例えば、EXPLOTAB)、ジャガイモデンプン、ならびにデンプンが挙げられる。
流動化剤は、非圧縮固体組成物及び/または組合せの流動性を改善して、投薬の正確性を改善するために添加され得る。流動化剤として機能する場合がある賦形剤として、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、タルク、及び三塩基性リン酸カルシウムが挙げられる。
粉末の組成物を圧密することによって、錠剤のような剤形を作製する場合には、その組成物に、パンチ及びダイスから圧力をかける。一部の賦形剤及び活性成分は、パンチ及びダイスの表面に付着する傾向を有し、それにより、製品に、孔食及び他の表面の不規則性が生じ得る。付着を低減し、製品のダイからの離型を容易にするために、潤滑剤を組成物及び/または併用剤に添加することができる。潤滑剤として、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、硬化ヒマシ油、水素添加植物油、ミネラルオイル、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、及びステアリン酸亜鉛が挙げられる。
香味料及び風味増強剤は、患者にとって剤形をより口当たりの良いものにする。本発明の組成物及び/または併用剤に含めてよい一般的な医薬品用香味料及び医薬品用風味増強剤として、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メントール、クエン酸、フマル酸、エチルマルトール、及び酒石酸が挙げられる。
固体及び液体組成物はまた、いずれかの薬学的に許容される着色剤を使用して着色して、それらの外観を向上させ、及び/または製品及び単位用量レベルの患者識別を容易にしてもよい。
特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、液体(例えば、懸濁液、エリキシル及び/または溶液)である。特定のそのような実施形態では、液体医薬組成物を、水、グリコール、油、アルコール、香味料、防腐剤、及び着色剤を含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の成分を使用して調製する。
液体医薬組成物は、本開示の化合物、及び成分が水、植物油、アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、またはグリセリンなどの液体担体に溶解または懸濁されている他の任意の固体賦形剤を使用して調製することができる。
例えば、非経口投与用の製剤は、一般的な賦形剤として、滅菌水または生理食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物由来の油、硬化ナフタレンなどを含み得る。特に、生体適合性、生分解性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマー、またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーは、活性化合物の放出を制御するための有用な賦形剤であり得る。他の潜在的に有用な非経口送達系として、エチレン-酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、埋め込み型注入系、及びリポソームが挙げられる。吸入投与用の製剤は、賦形剤として、例えば、ラクトースを含むか、あるいは、例えば、ポリオキシエチレン-9-オーリルエーテル、グリココール酸及びデオキシコール酸を含む水溶液、または点鼻薬の形態で、または鼻腔内に塗布するゲルとして投与するための油性溶液であり得る。非経口投与用の製剤として、頬内投与用のグリココール酸、直腸投与用のメトキシサリチル酸、または膣内投与用のクエン酸も挙げられ得る。
液体医薬組成物は、液体担体中に溶解しない活性成分または他の賦形剤を、組成物及び/または併用剤全体に均一に分散させるために乳化剤を含有させることができる。本発明の液体の組成物及び/または併用剤において有用であり得る乳化剤として、例えば、ゼラチン、卵黄、カゼイン、コレステロール、アカシア、トラガカント、ツノマタ、ペクチン、メチルセルロース、カルボマー、セトステアリルアルコール及びセチルアルコールが挙げられる。
液体医薬組成物はまた、生成物の口当たりを改善するため、及び/または胃腸管の内側をコーティングするために粘度増強剤を含有させることができる。そのような薬剤として、アカシア、アルギン酸ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウムまたはナトリウム、セトステアリルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチングアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、炭酸プロピレン、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプントラガカント、及びキサンタンガムが挙げられる。
アスパルテーム、ラクトース、ソルビトール、サッカリン、サッカリンナトリウム、スクロース、アスパルテーム、フルクトース、マンニトール、及び転化糖などの甘味剤を添加して、風味を向上させてもよい。
防腐剤及びキレート剤、例えば、アルコール、安息香酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシルトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、及びエチレンジアミン四酢酸などを、摂取しても安全なレベルで添加して、保存安定性を向上させてもよい。
液体組成物にはまた、緩衝液、例えば、グルコン酸、乳酸、クエン酸もしくは酢酸、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、または酢酸ナトリウムを含有させることができる。賦形剤の選択及び使用量は、調合の専門家であれば、その技術分野における経験及び標準的な手順及び参考文献の考察に基づいて容易に決定し得る。
一実施形態では、医薬組成物は、注入による投与用に調製する(例えば、静脈内、皮下、筋肉内など)。特定のそのような実施形態では、医薬組成物は、担体を含み、水溶液、例えば、水または生理学的に相溶性の緩衝液、例えば、ハンクス溶液、リンガー溶液、または生理学的生理食塩水緩衝液中で製剤化する。特定の実施形態では、他の成分(例えば、溶解に役立つか、または防腐剤の役目を果たす成分)が含まれる。特定の実施形態では、注入可能な懸濁液を、適切な液体担体、懸濁化剤などを用いて調製する。注入用の特定の医薬組成物を、単位剤形で、例えば、アンプル内に、または多用量容器内に提供する。注入用の特定の医薬組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、またはエマルジョンであり、懸濁化剤、安定化剤、及び/または分散剤などの調合剤を含有し得る。注入用の医薬組成物における使用に好適な特定の溶媒として、親油性溶媒及び脂肪油、例えば、ゴマ油、合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド、ならびにリポソームが挙げられるが、これらに限定されない。水性注入懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの懸濁液の粘度を増加させる物質を含有し得る。任意選択で、そのような懸濁液は、好適な安定剤、または高度に濃縮された溶液の調製を可能にする医薬品の溶解度を増加させる薬剤も含有し得る。
減菌注射用調製物はまた、1,3-ブタン-ジオール中の溶液などの非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の減菌注射可能な溶液または懸濁液であるか、または凍結乾燥粉末として調製され得る。利用してもよい許容されるビヒクル及び溶媒の中には、水、リンゲル液、及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の固定油を、溶媒または懸濁媒として慣習的に用いてもよい。本目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む、任意の無刺激性固定油を利用してもよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸を、注射剤の調製において同様に使用してもよい。静脈内投与用の製剤は、無菌の等張水性緩衝液中の溶液を含み得る。必要に応じて、製剤に可溶化剤及び局所麻酔薬を含ませて、注射部位の痛みを緩和することができる。一般的に、成分を、例えば、活性薬剤の量を示すアンプルもしくはサシェなどの気密封止容器内に乾燥した凍結乾燥粉末または無水濃縮物として、単位剤形で別々に供給するか、または一緒に混合して供給する。化合物を注入によって投与する場合、それを、無菌の医薬品グレードの水、生理食塩水、またはデキストロース/水を含む注入ボトルを備えた製剤に分配することができる。化合物を注射によって投与する場合、投与前に成分を混合することができるように、注射用の十分な滅菌水または生理食塩水を提供することができる。
好適な製剤としてさらに、抗酸化剤、緩衝液、殺菌剤、殺菌性抗生物質、及び意図するレシピエントの体液と製剤を等張にする溶質を含み得る水性及び非水性無菌注射溶液;ならびに懸濁剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性の無菌懸濁液が挙げられる。
特定の実施形態では、本発明の医薬組成物を、デポー製剤として製剤化する。特定のそのようなデポー製剤は、通常、非デポー製剤よりも長時間作用する。特定の実施形態では、そのような製剤を、移植(例えば、皮下または筋肉内)または筋肉内注射によって投与する。特定の実施形態では、デポー製剤を、好適なポリマーまたは疎水性物質(例えば、許容される油中のエマルジョン)またはイオン交換樹脂を使用して、または難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として調製する。
特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、徐放系を含む。そのような徐放系の非限定的な例は、固体の疎水性ポリマーの半透性マトリックスである。特定の実施形態では、徐放系は、それらの化学的性質に応じて、数時間、数日、数週間、または数か月の期間にわたって医薬品を放出し得る。
本開示の適切な医薬組成物は、対象への組成物の臨床的に許容される投与経路に従って決定することができる。組成物の投与方法は、部分的に、病因及び/または位置に依存する。当業者であれば、特定の投与経路の利点を認識するであろう。この方法は、有効量、例えば、治療しようとする病態、例えば、代謝障害の症状を全体的または部分的に軽減、改善、または予防するのに有効な量の本開示の1つ以上の化合物(またはそのような化合物を含む組成物)を投与して、所望の生物学的応答を達成することを含む。様々な実施形態において、投与経路は、全身性、例えば、経口または注射による。
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物を、経口投与用に調製する。特定のそのような実施形態では、医薬組成物を、1つ以上の薬剤及び薬学的に許容される担体を組み合わせることによって製剤化する。特定のそのような担体により、医薬組成物を、対象による経口摂取のための錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして製剤化することができる。好適な賦形剤として、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖などの充填剤;例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/またはポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース製剤が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、そのような混合物を、任意選択で粉砕し、補助剤を任意選択で加える。特定の実施形態では、医薬組成物を、錠剤または糖衣錠コアが得られるように形成する。特定の実施形態では、崩壊剤(例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸またはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウム)を加える。
特定の実施形態では、糖衣錠コアをコーティング付きで提供する。特定のそのような実施形態では、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポルゲル、ポリエチレングリコール、及び/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに好適な有機溶媒または溶媒混合物を任意選択で含有する濃縮された糖溶液を使用してもよい。色素または顔料を、錠剤または糖衣錠コーティングに添加してもよい。
特定の実施形態では、経口投与用の医薬組成物は、ゼラチン製のプッシュフィットカプセルである。そのようなプッシュフィットカプセルのいくつかは、ラクトースなどの1つ以上の充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及び任意選択で安定剤と混合した本発明の1つ以上の医薬品を含む。特定の実施形態では、経口投与用の医薬組成物は、ゼラチン及びグリセリンまたはソルビトールなどの可塑剤でできた柔らかく密封されたカプセルである。特定のソフトカプセルでは、本明細書に開示する1つ以上の化合物を、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの好適な液体に溶解または懸濁する。さらに、安定剤を加えてもよい。
他の実施形態では、本開示の化合物を、静脈内経路によって投与する。さらなる実施形態では、非経口投与を、ボーラスまたは注入によって提供してもよい。
様々な態様において、本明細書に開示する化合物、またはその薬学的に許容される溶媒和物、エステル、代謝産物、もしくは塩の量を、約0.001mg/kg~約100mg/kg体重(例えば、約0.01mg/kg~約10mg/kgまたは約0.1mg/kg~約5mg/kg)で投与することができる。
いくつかの実施形態では、本開示の化合物を、化合物の生理学的安定性を向上させるために、米国特許第8,242,172号に開示されている組成物に製剤化する。生理学的に安定な化合物は、所望の効果を得る前の患者への導入時に、分解しないか、さもなければ効果を失わない化合物である。化合物は、異化作用に対して構造的に耐性を有し、したがって生理学的に安定しているか、または静電結合もしくは共有結合によって特定の試薬に結合して生理学的安定性が高まっている。そのような試薬として、アルギニン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジンもしくはリジンなどのアミノ酸、ヌクレオシドもしくはヌクレオチドを含む核酸、または炭水化物、糖類及び多糖類、脂質、脂肪酸、タンパク質、もしくはタンパク質断片などの置換基が挙げられる。有用なカップリングパートナーとして、例えば、ポリエチレングリコール、グルコース、グリセロール、グリセリン及び他の関連物質などのグリコールが挙げられる。
生理学的安定性は、化合物の半減期または化合物に由来する活性代謝産物の半減期など、いくつかのパラメーターから測定することができる。本発明の特定の化合物は、約15分を超える、好ましくは約1時間を超える、より好ましくは約2時間を超える、さらにより好ましくは約4時間、8時間、12時間またはそれ以上のin vivo半減期を有する。この基準を用いて、化合物は安定であるが、生理学的安定性は、患者への生物学的影響の持続時間を観察することによっても測定することができる。患者の観点から重要な臨床症状には、頻度もしくは期間の減少、または酸素、吸入薬、もしくは肺治療の必要性の排除が含まれる。
薬学的に許容される混合物中の開示する化合物の濃度は、投与しようとする化合物の用量、使用する化合物(複数可)の薬物動態学的特性、及び投与経路を含むいくつかの因子に応じて変動する。薬剤は、単回投与または反復投与で投与してもよい。本発明の化合物を利用する投薬量レジメンは、患者の種類、種、年齢、体重、性別及び医学的状態;治療しようとする病態の重症度;投与経路;患者の腎機能または肝機能;ならびに用いる特定の化合物またはその塩を含む様々な要因に従って選択される。治療は、患者の全体的な健康状態、及び選択された化合物(複数可)の製剤化及び投与経路を含む多くの要因に応じて、1日1回またはより高頻度に投与してもよい。
本開示の化合物または医薬組成物は、単一または複数の単位用量形態で製造し、及び/または投与してもよい。
治療方法
本明細書で論じるように、式I、IA、II、及び/またはIIAの化合物を患者に投与して、本明細書に開示する有機酸血症を治療することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法に従ってそれを必要とする患者に投与する式I、IA、II、及び/またはIIAの化合物を、単回用量または分割(例えば、24時間に3回)用量で提供し、3回の投与のそれぞれの量は患者の体重によって決定する。体重ベースの投薬レジメンによれば、投与する各用量は、約0.1mg/kg~約500mg/kgの範囲、例えば、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約12mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kg、約90mg/kg、約100mg/kg、約150mg/kg、約200mg/kg、約250mg/kg、約300mg/kg、約350mg/kg、約400mg/kg、約450mg/kg、及び約500mg/kg(その間のすべての値と部分範囲を含む)であってもよい。いくつかの実施形態では、用量は、約0.1mg/kg~約10mg/kgの範囲である。いくつかの実施形態では、用量は、約10mg/kg未満である。いくつかの実施形態では、用量は、約1mg~約100gの範囲、例えば、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1g、約2g、約3g、約4g、約5g、約6g、約7g、約8g、約9g、約10g、約15g、約20g、約25g、約30g、約35g、約40g、約45mg、約50g、約55g、約60g、約65g、約70g、約75g、約80g、約85g、約90g、約95g、及び約100g(その間のすべての値と部分範囲を含む)である。上記の用量のいずれも、本明細書中で使用する「治療有効」量であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する1つ以上の化合物を、1日1回以上、例えば、1日1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、または10回投与してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する1つ以上の化合物を、有機酸血症の治療に有効であるのに十分な期間、患者に投与してもよい。いくつかの実施形態では、治療レジメンは急性レジメンである。いくつかの実施形態では、治療レジメンは慢性治療レジメンである。いくつかの実施形態では、患者を、1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約20週間、約30週間、約40週間、約50週間、約60週間、約70週間、約80週間、約90週間、約100週間、約1年間、約2年間、約3年間、約4年間、約5年間、約6年間、約7年間、約8年間、約9年間、約10年間、約15年間、約20年間、約30年間、約40年間、約50年間、約60年間、約70年間、約80年間、または患者の生涯全体にわたって治療する。
いくつかの実施形態では、本明細書中で提供する方法に従って治療する患者は、新生児であるか、または約1か月~12か月、約1歳~10歳、約10~20歳、約12~18歳、約20~30歳、約30~40歳、約40~50歳、約50~60歳、約60~70歳、約70~80歳、約80~90歳、約90~100歳、またはその間の任意の年齢である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法に従って治療する患者は、新生児である。いくつかの実施形態では、本明細書中で提供する方法に従って治療する患者は、新生児~1歳である。いくつかの実施形態では、患者は、1歳~18歳である。いくつかの実施形態では、患者は、1歳~5歳である。いくつかの実施形態では、患者は、5歳~12歳である。いくつかの実施形態では、患者は、12歳~18歳である。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも1歳以上である。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも2歳以上である。いくつかの実施形態では、患者は、2歳~5歳、2歳~10歳、2歳~12歳、2歳~15歳、2歳~18歳、5歳~10歳、5歳~12歳、5歳~15歳、または5歳~18歳である。
いくつかの実施形態では、患者は、小児(12歳以下)、青年(13~17)、成人(18~65)、または老人(65歳以上)である。いくつかの実施形態では、小児患者は、例えば、0~6か月の新生児である。いくつかの実施形態では、小児患者は、6か月~1歳の乳児である。いくつかの実施形態では、小児患者は、6か月~2歳である。いくつかの実施形態では、小児患者は、2歳~6歳である。いくつかの実施形態では、小児患者は、6歳~12歳である。いくつかの実施形態では、子供は10歳未満である。
いくつかの実施形態では、本明細書中で提供する疾患の治療方法は、対象の発達または認知機能を改善する。発達機能または認知機能のそのような改善は、例えば、ベイリー乳幼児発達検査、ウェクスラー幼児用知能検査(WIPPSI)、ウェクスラー児童用知能検査(WISC)またはウェクスラー成人用知能検査(WAIS)によって評価してもよい。いくつかの実施形態では、発達機能または認知機能の改善は、米国特許出願公開第2014/0343009号の実施例に示されている方法を使用して評価してもよく、これは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に援用される。
いくつかの実施形態では、本明細書中で提供する方法は、当技術分野で周知の方法、例えば、バーク・ファーン・マースデン評価尺度によって評価されるように、患者による筋収縮の制御を改善する。特定の態様では、本明細書中で提供する方法は、例えば、嘔吐、筋緊張低下、及び意識の変化を特徴とする代謝代償不全エピソードの発症を低減する。
いくつかの実施形態では、本明細書中で提供する方法は、肝臓移植(例えば、OLT)もしくは腎臓移植または肝臓移植と腎臓移植を受けた患者に適している。
いくつかの実施形態では、本明細書中で提供する方法は、腎機能を改善する。特定の実施形態では、本明細書中で提供する方法は、腎臓移植、肝臓移植、またはその両方の必要性を減少させる。
いくつかの態様では、本明細書中で提供する方法は、入院の必要性を低下させる。特定の実施形態では、本明細書中で提供する方法は、入院の長さ及び/または頻度を減少させる。
いくつかの実施形態では、そのような方法は、対象における代謝産物の産生を減少させる。有利かつ驚くべきことに、本開示の化合物及び方法は、疾患の修復を達成するために、全身の様々な組織における毒性代謝産物の産生を低減することができる。いくつかの実施形態では、代謝産物は、肝臓で産生される代謝産物である。いくつかの実施形態では、代謝産物は、筋肉で産生される代謝産物である。いくつかの実施形態では、代謝産物は、脳で産生される代謝産物である。いくつかの実施形態では、代謝産物は、腎臓で産生される代謝産物である。いくつかの実施形態では、代謝産物は、任意の臓器組織で産生される代謝産物である。いくつかの実施形態では、代謝産物は、分岐鎖アミノ酸、メチオニン、スレオニン、奇数鎖脂肪酸、及びコレステロールのうちの1つ以上の代謝産物である。いくつかの実施形態では、代謝産物は、プロピオニル-CoAであり得る。いくつかの実施形態では、代謝産物はメチルマロニル-CoAである。いくつかの実施形態では、代謝産物は2-メチルクエン酸(MCA)である。
いくつかの実施形態では、式I、IA、II、またはIIAのうちの1つ以上の化合物(またはその誘導体、代謝産物、または薬学的に許容される塩)の投与時に、分岐鎖アミノ酸の少なくとも1つの代謝産物(例えば、プロピオニル-CoA及び/またはメチルマロニル-CoAレベル)は、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、もしくは100%、またはそれらの間の任意の値だけ低下する。いくつかの実施形態では、レベルは、少なくとも87.5%低下し得る。いくつかの実施形態では、分岐鎖アミノ酸の少なくとも1つの代謝産物(例えば、プロピオニル-CoA及び/またはメチルマロニル-CoAレベル)は、約1%~約100%の範囲、例えば、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%(それらの間のすべての値及び部分範囲を含む)の量だけ低下する。いくつかの実施形態では、代謝産物は、分岐鎖アミノ酸、メチオニン、スレオニン、奇数鎖脂肪酸、及びコレステロールのうちの1つ以上の代謝産物である。いくつかの実施形態では、プロピオニル-CoA及び/またはメチルマロニル-CoAなどの代謝産物(または複数の代謝産物)は、有機酸血症の治療において治療効果を達成するレベルまで低下する。いくつかの実施形態では、代謝産物は、プロピオニル-CoA及び/またはメチルマロニル-CoAである。いくつかの実施形態では、代謝産物は、3-ヒドロキシプロピオン酸、メチルクエン酸、メチルマロン酸、プロピオニルグリシン、もしくはプロピオニルカルニチン、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、代謝産物は、2-ケトイソカプロエート、イソバレリル-CoA、3-メチルクロトニル-CoA、3-メチルグルタコニル-CoA、3-OH-3-メチルグルタリル-CoA、2-ケト-3-メチル吉草酸、2-メチルブチリル-CoA、チグリル-CoA、2-メチル-3-OH-ブチリル-CoA、2-メチル-アセトアセチル-CoA、2-ケトイソ吉草酸、イソブチリル-CoA、メチルアクリリル-CoA、3-OH-イソブチリル-CoA、3-OH-イソブチレート、メチルマロン酸セミアルデヒド、プロピオニル-CoA、もしくはメチルマロニル-CoA、またはそれらの組み合わせである。
一実施形態では、本開示の化合物(またはその薬学的に許容される塩、エステル、代謝産物、もしくは溶媒和物)を、組成物中で、対象に投与する。本明細書に記載の「組成物」は、少なくとも1つの薬学的に許容される化合物及び少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む混合物を指す。一実施形態では、組成物は、有効量の少なくとも1つの薬学的に許容される化合物を含む。実施形態では、有効量の阻害剤を対象に投与する。
本開示の化合物を、任意の適切な投与経路によって投与してもよい。以前に定義されたように、経路には、経口、非経口、筋肉内、経皮、静脈内、動脈間、鼻、膣、舌下、及び爪下が含まれるが、これらに限定されない。さらに、経路には、耳介、頬側、結膜、皮膚、歯、電気浸透、頸管内、洞内、気管内、経腸、硬膜外、羊膜外、体外、血液透析、浸潤、間質、腹腔内、羊水内、動脈内、関節内、胆管内、気管支内(intrachronchial)、嚢内、心臓内、軟骨内、仙骨内、空洞内、腔内、脳内、槽内、角膜内、冠状動脈内、海綿体内、皮内、円板内、管内、十二指腸内、硬膜内、表皮内、食道内、胃内、歯肉内、回腸内、病変内、管腔内、リンパ管内、髄内、髄膜内、眼内、卵巣内、心膜内、腹腔内、胸膜内、肺内、鼻腔内、滑液嚢内、腱内、精巣内、くも膜下腔内、胸腔内、尿細管内、腫瘍内、鼓室内、子宮内、血管内、静脈内ボーラス、静脈内点滴、脳室内、膀胱内、硝子体内、イオントフォレーシス、灌注、喉頭、鼻、経鼻胃、閉塞性ドレッシング技術、眼、中咽頭、経皮、関節周囲、硬膜外、歯周、直腸、呼吸器、眼球後、軟部組織、くも膜下、結膜下、皮下、粘膜下、局所、経粘膜、経胎盤、経気管、経鼓膜、尿管、または尿道も含まれるが、これらに限定されない。
本開示の方法は、式I、IA、II、またはIIA(例えば、2,2-ジメチル酪酸、またはそのCoAエステルもしくはカルニチンエステル、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステル)の化合物と共に、化合物を、その後、同時に、または連続して(例えば、前または後に)投与することができる代謝性疾患(例えば、PAまたはMMAなどの有機酸血症を含む)の治療に使用する他の療法と組み合わせることができる。本明細書に開示する方法と組み合わせることができる追加の治療薬の非限定的な例として、以下が挙げられる:L-カルニチン;グルコース;L-アルギニン;;Polycal(マルトデキストリンベースの炭水化物サプリメント);N-カルバミル-グルタミン酸、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、グリセロールフェニル酪酸などの急性高アンモニア血症の治療に使用されるアンモニアスカベンジャー;メトロニダゾール、アモキシシリン、コトリモキサゾールなどの腸内細菌叢を減少させるために使用する抗生物質;ビタミンB12(B12応答性MMA患者);ビオチン;成長ホルモン療法;低タンパク食;N-アセチルシステイン、システアミンまたはα-トコトリエノールキノンなどの抗酸化療法;クエン酸塩、グルタミン、オルニチンα-ケトグルタレートまたはコハク酸塩のプロドラッグなどのアナプレロティック療法;及びノルバリン、メチオニン、イソロイシン、またはスレオニンなどの必須アミノ酸。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法と組み合わせることができる追加の治療薬は、メッセンジャーRNA治療薬である。いくつかの実施形態では、メッセンジャーRNA治療薬は、mRNA-3927またはmRNA-3704である。mRNA-3927は、ミトコンドリア酵素プロピオニル-CoAカルボキシラーゼ(PCC)のαサブユニットとβサブユニットをコードする2つのmRNAを含み、脂質ナノ粒子(LNP)内にカプセル化され、PAの原因となる欠損または機能不全のタンパク質を復元するために使用することができる。mRNA-3704は、LNP内にカプセル化された、MMAが一般的に欠損しているミトコンドリア酵素であるヒトMUTをコードするmRNAからなる。本開示の化合物は、本明細書に開示する毒性代謝産物のレベルを低下させ、一方、mRNA-3927またはmRNA-3704は、主に肝臓を標的としているため、本開示の化合物を、mRNA-3927またはmRNA-3704療法と併用することができると考えられる。いくつかの実施形態では、本開示の化合物を、有機酸血症を有する患者において、前記患者が肝移植を受けた後に使用してもよい。いくつかの実施形態では、本開示の化合物を、AAV療法、例えば、LogicBio由来のAAV療法(LB-001)と組み合わせて投与する。
以下の実施例は、単に例示として示すものであり、限定するために示すものではない。
Figure 2022525339000026
Figure 2022525339000027
実施例1
プロピオニル-CoAレベルの低下と化合物1~7によるCoAエステルの蓄積
プロピオン酸血症患者の外植された肝臓から初代肝細胞を分離し、標準プロトコルを使用して1日目に培養する(Chapman et al.“Recapitulation of metabolic defects in a model of propionic acidemia using patient-derived primary hepatocytes” Mol.Genet.Metab.2016,117(3),355-362を参照のこと)。およそ2×10の肝細胞を、コラーゲンでコーティングした48ウェル組織培養プレートの各ウェルにプレーティングし、低レベルの分岐鎖アミノ酸を含まない肝細胞用のカスタム修飾コーニング培地(コーニング)で72時間、前処理する。4日目に、化合物の用量を増やして(0、1、3、10、30、100、300、1000μM)肝細胞を30分間処理する。30分後、細胞を13C-イソロイシン(3mM)でチャレンジする。チャレンジ期間の終わりに、細胞を、100μLの70%アセトニトリル(MeCN)及び100μMのエチルマロニル-CoAを内部標準として含む0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)で溶解する。溶解緩衝液にこすり落とすことにより、細胞をウェルから除去する。回収した細胞試料を、マイクロフュージチューブに分注する。プレートウェルを溶解緩衝液で再度洗浄して、残りの細胞を確実にウェルから移行させる。回収した残りのすべての細胞を、次いで遠心分離管に移す。細胞試料を液体窒素で瞬間冷凍し、-80℃で保存する。処理を開始するために、凍結した細胞溶解物を氷上で解凍し、ボルテックスする。試料を20,000gで10分間、4℃で遠心分離し、上清の総量を氷上で非結合の96ウェルプレートに移す。試料を真空下で約2時間乾燥させた後、各ウェル中の150μLの水に再懸濁する。調製したDuraporeフィルタープレートを介して、試料の総量を非結合の96ウェルプレートに濾過する。濾過した試料を、HTMS/MS分析のために-80℃で保存する。
プロピオン酸血症患者の肝臓から単離した初代肝細胞を化合物1~7で処理すると、細胞内プロピオニル-CoAが用量依存的に減少した(図1A~1F)。化合物は、1時間の処理時間で13C-プロピオニル-CoAを90%以上減少させた。13C-プロピオニル-CoAの減少のEC50は、化合物CoAエステルの蓄積のEC50と同様である。
実施例2
PA初代肝細胞における化合物1処理後のすべての供給源由来のプロピオニル-CoAレベルの低下
プロピオン酸血症患者の肝臓から単離した初代肝細胞を、化合物1の用量を増やして(0、1、3、10、30、100、300、1000μM)30分間処理する。30分後、13C-ケトイソ吉草酸(KIVA)(1mM)、13C-イソロイシン(ILE)(3mM)、13C-スレオニン(THR)(5mM)、13C-メチオニン(MET)(5mM)、13C-ヘプタノエート(100μM)、または13C-プロピオネート(5mM)を含み得る、異なる供給源のP-CoAで細胞を60分間チャレンジする。チャレンジ期間の終わりに、培地を除去し、内部標準として100μMのエチルマロニル-CoAを含む70%MeCN及び0.1%TFAで細胞を溶解し、回収する。細胞溶解物を、HTMS/MS分析のために処理する。
プロピオン酸血症患者の肝臓から単離した初代肝細胞を化合物1で処理すると、調査したすべての供給源由来の細胞内プロピオニル-CoAが用量依存的に減少した(図2A~2F)。これは、化合物1による処置が、プロピオン酸血症患者の初代肝細胞における主に代謝障害(プロピオニル-CoAの蓄積)を軽減することを示している。
実施例3
PA初代肝細胞における化合物5処理後のすべての供給源由来のプロピオニル-CoAレベルの低下
プロピオン酸血症患者の肝臓から単離した初代肝細胞を、化合物5の用量を増やして(0、0.1、0.3、1、3、10、30、100μM)30分間処理する。30分後、13C-KIVA(1mM)、13C-イソロイシン(3mM)、13C-スレオニン(5mM)、13C-メチオニン(5mM)、13C-ヘプタノエート(100μM)、または13C-プロピオネート(5mM)を含み得る、異なる供給源のP-CoAで細胞を60分間チャレンジする。チャレンジ期間の終わりに、培地を除去し、内部標準として100μMのエチルマロニル-CoAを含む70%MeCN及び0.1%TFAで細胞を溶解し、回収する。細胞溶解物を、HTMS/MS分析のために処理する。
プロピオン酸血症患者の肝臓から単離した初代肝細胞を化合物5で処理すると、調査したすべての供給源由来の細胞内プロピオニル-CoAが用量依存的に減少した(図3A~3D)。これは、化合物5による処置が、プロピオン酸血症患者の初代肝細胞における主に代謝障害(プロピオニル-CoAの蓄積)を軽減することを示している。
実施例4
MMA初代肝細胞の化合物1処理後のすべての供給源由来のメチルマロニル-CoAとプロピオニル-CoAレベルの低下
メチルマロン酸血症患者の肝臓から単離した初代肝細胞を、化合物1の用量を増やして(0、0.1、0.3、1、3、10、30、100、300、1000μM)30分間処理する。30分後、13C-KIVA(1mM)、13C-イソロイシン(3mM)、13C-スレオニン(5mM)、13C-メチオニン(5mM)、13C-ヘプタノエート(100μM)、または13C-プロピオネート(5mM)を含み得る、異なる供給源のP-CoAで細胞を60分間チャレンジする。チャレンジ期間の終わりに、培地を除去し、内部標準として100μMのエチルマロニル-CoAを含む70%MeCN及び0.1%TFAで細胞を溶解し、回収する。細胞溶解物を、HTMS/MS分析のために処理する。
メチルマロン酸血症患者の肝臓から単離した初代肝細胞を化合物1で処理すると、調査したすべての供給源由来の細胞内プロピオニル-CoA及びメチルマロニル-CoAが用量依存的に減少した(図4A~4E)。これは、化合物1による処置が、メチルマロン酸血症患者の初代肝細胞における主に代謝障害(プロピオニル-CoA及びメチルマロニル-CoAの蓄積)を軽減することを示している。
実施例5
MMA初代肝細胞の化合物5処理後のすべての供給源由来のメチルマロニル-CoAとプロピオニル-CoAレベルの低下
メチルマロン酸血症患者の肝臓から単離した初代肝細胞を、化合物5の用量を増やして(0、0.1、0.3、1、3、10、30、100μM)30分間処理する。30分後、13C-KIVA(1mM)、13C-イソロイシン(3mM)、13C-スレオニン(5mM)、13C-メチオニン(5mM)、13C-ヘプタノエート(100μM)、または13C-プロピオネート(5mM)を含み得る、異なる供給源のP-CoAで細胞を60分間チャレンジする。チャレンジ期間の終わりに、培地を除去し、内部標準として100μMのエチルマロニル-CoAを含む70%MeCN及び0.1%TFAで細胞を溶解し、回収する。細胞溶解物を、HTMS/MS分析のために処理する。
メチルマロン酸血症患者の肝臓から単離した初代肝細胞を化合物5で処理すると、調査したすべての供給源由来の細胞内プロピオニル-CoA及びメチルマロニル-CoAが用量依存的に減少した(図5A~5C)。これは、化合物5による処置が、メチルマロン酸血症患者の初代肝細胞における主に代謝障害(プロピオニル-CoA及びメチルマロニル-CoAの蓄積)を軽減することを示している。
実施例6
化合物1処置後の臨床バイオマーカープロピオニルカルニチン(C3)レベルの低下
プロピオン酸血症患者の肝臓から単離した初代肝細胞を、化合物1の用量を増やして(0、1、3、10、30、100、300、1000μM)30分間処理する。30分後、13C-KIVA(1mM)及び13C-イソロイシン(3mM)で細胞を60分間チャレンジする。チャレンジ期間の終わりに、培地を除去し、細胞を氷冷PBSで洗浄する。内部標準として4nMのヘキサノイル-カルニチンを含む70%MeCN(溶解緩衝液)で細胞を溶解し、回収してHTMS/MS分析用に処理する。
プロピオン酸血症患者の肝臓から単離した初代肝細胞を化合物1で処理すると、13C-KIVAまたは13C-イソロイシンから細胞内プロピオニル-カルニチン(C3)が用量依存的に減少した(図6A~6B)。結果として生じるPAドナー肝細胞におけるC3の減少は、化合物1による処置が、プロピオン酸血症患者の初代肝細胞における一次診断臨床バイオマーカーに影響を与えることを示している。
実施例7
化合物5処置後の尿素生成への影響
この実験では、HemoShear REVEAL-Tx(商標)Technologyを導入し、これは、コーンアンドプレート構成または粘度計と、類洞内皮細胞のフィルター層を模倣する多孔質ポリカーボネート膜の組み合わせに基づいている(Dash A,Deering TG,Marukian S,et al. Physiological Hemodynamics and Transport Restore Insulin and Glucagon Responses in a Normal Glucose Milieu in Hepatocytes In Vitro. 73rd Scientific Sessions of the American Diabetes Association,2013(Chicago)、ならびに米国特許第7,811,782号及び第9,500,642号、及び第9,617,521号(これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に援用される)を参照のこと)。
プロピオン酸血症患者由来の肝細胞を、肝類洞内でin vivoで認められる分極配向を複製する膜の片側のコラーゲンゲルサンドイッチにプレーティングする。他方で、培地を継続的に灌流し、表面せん断速度を、in vivoでの類洞の流速から導出される生理学的値の範囲全体に適用し、その一方で各コンパートメントへの流入及び流出チューブを備えた系内の輸送も制御する。事実上、これにより、肝細胞が、それらがin vivoに存在しているかのように、流れの直接的な影響から保護されるフローベースの培養系が作成されるが、灌流、栄養素の勾配、及び間質液の動きは維持される。これらの条件下で、この技術におけるヒト初代肝細胞は、in vivo様の形態、代謝、輸送、及びCYP450活性を回復し、脱分化しない。
肝細胞を、HemoShear REVEAL-Tx(商標)Technologyで5日目から7日目まで、化合物5(0、0.1、0.3、1、3、10、30、100uM)の用量を増やして処理する。7日目に、膜上で増殖した細胞の島をカットして12ウェルプレートに入れ、同じ処理条件下で培養する。15N-NHClを各ウェルに加え、細胞を4時間インキュベートする。4時間後、細胞を生理食塩水で2回洗浄し、80%メタノールを使用して溶解、掻き取り、回収する。15N-尿素を、GCMSMSによって測定する。
プロピオン酸血症患者の肝臓から単離した初代肝細胞を化合物5で処理すると、15N-尿素が用量依存的に増加した。この結果は、化合物5による処置が尿素生成を改善する効果があることを示している。
実施例8
化合物5処置後のイソ吉草酸血症の初代肝細胞モデルにおけるイソバレリル-CoAの減少
初代肝細胞を、イソバレリル-CoAデヒドロゲナーゼの阻害剤の有無にかかわらず、化合物5の用量を増やして(0、0.1、0.3、1、3、10、30、100μM)30分間処理する。30分後、13C-ロイシンで細胞をチャレンジする。チャレンジ期間の終わりに、培地を除去し、内部標準として100μMのエチルマロニル-CoAを含む70%MeCN及び0.1%TFAで細胞を溶解し、回収する。細胞溶解物を、HTMS/MS分析のために処理する。
初代肝細胞を化合物5で処理すると、13C-ロイシンに由来する細胞内イソバレリル-CoAが用量依存的に減少した。これは、化合物5による処置が、イソ吉草酸血症の初代肝細胞モデルにおける主な代謝障害(イソバレリル-CoAの蓄積)を軽減することを示している。
実施例9
プロピオニル-CoAレベルの低下と化合物8及び9によるCoAエステルの蓄積
プロピオン酸血症患者の肝臓から単離した初代肝細胞を、化合物1の用量を増やして(0、0.1、0.3、1、3、10、30、100μM)30分間処理する。30分後、細胞を13C-イソロイシン(3mM)で60分間チャレンジする。チャレンジ期間の終わりに、培地を除去し、内部標準として100μMのエチルマロニル-CoAを含む70%MeCN及び0.1%TFAで細胞を溶解し、回収する。細胞溶解物を、HTMS/MS分析のために処理する。
プロピオン酸血症患者の肝臓から単離した初代肝細胞を化合物8または9で処理すると、調査したすべての供給源由来の細胞内プロピオニル-CoAが用量依存的に減少した。これは、化合物8または9による処置が、プロピオン酸血症患者の初代肝細胞における主に代謝障害(プロピオニル-CoAの蓄積)を軽減することを示している。
実施例10
PA及びMMA患者の初代肝細胞における化合物5の薬理学的活性
PA及びMMAドナー由来の初代肝細胞(pHeps)における化合物5の代表的な活性データは、HemoShear REVEAL-Tx(商標)Technologyを使用して示した(図7)。バイオマーカーレベルは、各ドナーに播種した細胞数の違いを説明するために、細胞数と細胞量に正規化している。図7Aに示すように、化合物5は、PA及びMMA pHepsのP-CoAを用量依存的に減少させ、EC50値は、それぞれ1.84μM及び3.90μMであった。化合物5は、MMA pHepsのM-CoAを減少させ、EC50値は3.25μMであった(図7B)。PA pHep細胞溶解物の分析では、LC-MS/MSで測定した場合、12C-M-CoAの見かけのバックグラウンドレベルが約25~50μMであることが示された。これは、同じ質量の試料に12C-スクシニル-CoAが存在することが原因である可能性がある。以下に記載する実験では、M-CoAを13Cで標識し、より正確な減少率を決定する。化合物5は、P-CoAの減少と同様のEC50でC3濃度とC3/C2比を減少させた (図7C、D)。MCAはPAドナーとMMAドナーの両方で劇的に減少し、EC50は、それぞれ1.96μMと1.66μMであった(図7E)。
3人のPA及び3人のMMAドナーすべての要約データを表2に示す。P-CoA減少のEC90値は、PA及びMMA pHepsでそれぞれ18.4±11.3μM及び36.1±30.1μMであった。同様に、化合物5は、PA及びMMA pHepsにおけるC3の濃度を低下させ、EC90値は、それぞれ30.8±26.4μM及び18.1±16.2μMであった。PA(7.9±3.6μM)及びMMA(7.5±6.4μM)pHepsでのMCAの減少のEC90値は、他のバイオマーカーに比べて低かった。すべてのバイオマーカーの平均EC90値は、17.1±13.4μMであり、30μMを固定濃度として選択して各バイオマーカーにわたる減少を測定し、均一な比較ができるようにした。30μMでのPA及びMMA pHepsにおけるP-CoAレベルの平均低下は、-78.8±10.9%及び-74.2±11.6%であり、C3レベルの低下は、それぞれ-68.9±14.6%及び-65.9±10.7%であった。C3/C2比の平均減少(log2倍変化として表される)は、PA pHepsで-2.1±1.2、MMA pHepsで-2.2±0.2であった。MCAは、PA pHepsで-78.6±12.9%、MMA pHepsで-66.7±14.9%減少した。全体として、バイオマーカー濃度の低下に関するEC90値は、すべてのバイオマーカーで一貫しており、このことは、化合物5が、PA及びMMAの関連する代謝異常(これらの疾患表現型を駆動する生化学的経路と一致する)の修正に「グローバル」効果を有し、両方の障害におけるその治療可能性を裏付けるものであることを示唆している(表3)。
Figure 2022525339000028
また、PA及びMMAドナー由来の初代肝細胞(pHeps)における化合物5の活性を、静置細胞培養実験を使用して示した。HemoShear Technologyとは異なり、このアッセイは、相対的な代謝安定性(低プロピオゲン培地)の期間及び急性代謝危機(高プロピオジェニック培地)の期間中のPA及びMMA患者のプロピオゲン源(アミノ酸及びケト酸)の血漿レベルを模倣するようにカスタマイズされた細胞培養培地を利用して、一定の灌流を行わずに実施する。静置細胞培養におけるPA及びMMApHepsは、化合物5(0.1μM~100μMの範囲の濃度)で低プロピオゲン培地で、30分間処理し、続いて低プロピオゲン培地を継続するか、高プロピオゲン培地に切り替えて1時間処理した。1時間のインキュベーション中に使用した培地には、細胞内で標識P-CoA及びM-CoAに代謝されるプロピオジェニックSILアミノ酸及びケト酸が含まれていた。SILアミノ酸とケト酸は13CとMeD8標識の混合物であったが、それらの異化作用により、SILのタイプに関係なく同じ質量のSIL P-CoA(簡単にするために13C-P-CoAと表記)が生成された(13C-M-CoA)。図8に示す代表的なデータは、PA pHepsが高プロピオジェニック培地で13C-P-CoAレベルをよりロバストに増加させたのに対し、MMA pHepsは13C-P-CoAをわずかに増加させ、13C-M-CoAは変化せず、そしてメチルマロン酸を増加させたことを示している(図8A~8C)。
13C-P-CoA及び13C-M-CoAの化合物5依存性還元のEC50値は類似しており、低対高のプロピオジェニック培地条件とは無関係であった(表4)。すべてのバイオマーカーの平均EC90値は11±9.6μMである。この計算のために選択した30μMの用量で(上記のように)、低プロピオジェニック培地に曝露したPA及びMMA pHepsにおける13C-P-CoAの減少率は、それぞれ-76.4±12.6%及び-77.6±9.8%であった。PA及びMMApHepsが代謝の危機を模倣するために高いプロピオゲン源に曝露した場合、化合物5は、13C-P-CoAをPA pHepsで-85.3±9.1%、MMA pHepsで-75.9±7.3%減少させた。これらの条件下で測定したMMA pHepsでの13C-M-CoAの減少は、HemoShear Technologyで測定した(-55±6.6%減少)12C-M-CoA値と比較して、いくらか大きいように見えた(低プロピオジェニック:-76.5±13.2%;高プロピオジェニック:-73±5.8%)(表2;表3)。この違いは、12C-M-CoAに比べて13C-M-CoAのバックグラウンドが低いためであると仮定される(図7Bと図8B)。P-CoAとM-CoAの減少に関するEC90値は、異なる実験計画と培地の製剤化で厳密に一致している。これらの結果は、静置培養実験の非常に短い期間中に代謝経路が悪化しないことを示している。
Figure 2022525339000029
実施例11
MMA及びPAの処置における化合物5の提唱される作用機序
いかなる特定の理論にも制限されるものではないが、化合物5の作用機序は、短鎖~中鎖脂肪酸と同様の方法での化合物5の代謝を含むと考えられる。例えば、化合物5を、化合物5-CoAとも呼ばれる、2,2-ジメチルブチリル-CoAに生物変換することができる。この反応は、CoASHを利用する。化合物5は、α炭素上にプロトンを有していないため、アシル-CoAデヒドロゲナーゼの基質となることが妨げられ、β酸化による化合物5-CoAのその後の代謝は低下するであろう。化合物5は、アシル-CoAプールの再分布を促進し、C3/C2アシルカルニチン比及び関連する有機酸代謝産物(メチルマロン酸及びMCA)の低下と共に、毒性P-CoA及びM-CoAの細胞内レベルの低下をもたらすと仮定される。P-CoAレベルに対するこの影響は、生成の遅延またはクリアランスの強化、あるいはこれらの影響の組み合わせの結果である可能性がある。
PA及びMMA pHepsの代表的なデータ(図9D;図10D)では、細胞を化合物5に1.5時間または6日にわたって曝露したかどうかにかかわらず、化合物5-CoAの形成は用量依存的であり、類似している。重要なことに、化合物5-CoA産生のEC50値は、P-CoAの減少のEC50値と相関している(図9A及び図9D;図10A及び図10D)。
P-CoA及びM-CoAレベルが非常に高いPA及びMMA pHepsでは、化合物5処理によりP-CoA及びM-CoAプールが劇的に減少する(表2及び表3)。他のアシル-CoAで観察された変化はそれほど劇的ではなく、PA及びMMAに蓄積する代謝産物に関連する標的特異性が示唆される。アセチル-CoAのレベルに対する化合物5の影響は、急性静置実験のPA及びMMA pHepsと、HemoShear Technologyでの慢性曝露後のPA、MMA pHeps及び通常のpHepsで測定された(図9B;図10B)。静置pHepsでは、化合物5への急性曝露によりアセチル-CoAが部分的に用量依存的に減少する(図9B)。全体として、HemoShear Technologyでの化合物5処理後、アセチル-CoAレベルに有意な変動があった(図10B;表4)。データは、アセチル-CoAレベルが、PA、MMA、及び通常のpHepsで増加したが、変化率全体でSDが大きかったことを示している。HemoShear Technologyのアセチル-CoAデータは決定的ではなかったが、静置細胞培養実験で観察されたアセチル-CoAの減少は示されていない(表4;表5)。これは、時間の経過に伴う化合物5の処理では、アセチル-CoAが、P-CoA及びM-CoAと比較して優先的に標的化されたアシル-CoAではないことを示唆している可能性がある。
Figure 2022525339000030
化合物5がアシル-CoAプールの再分布を促進し、P-CoA及びM-CoAの減少をもたらすという仮説をさらに評価するために、PA及びMMA疾患モデルでCoASHのレベルを測定した。低及び高プロピオジェニック培地を用いた、PA及びMMA pHepsを利用した1.5時間の静置実験では、化合物5は、CoASHレベルを部分的に低下させ、EC50値は、P-CoAの減少及び化合物5-CoAの生成に関してのEC50値と同様であった(図9C、表6)。CoASHに対する化合物5の影響は、HemoShear Technologyで化合物5に6日間曝露したPA及びMMA pHepsではそれほど顕著ではない(図10C;表4)。一般的に、化合物5の用量の増加に伴い、CoASHがわずかに減少する傾向があるが、その変化は、個々のPA及びMMAドナーの半分未満で統計的に有意である。曲線の多くは品質管理に合格しなかったため、EC50/EC90値は、1人のPAと1人のMMAドナーについてのみ計算することができた(表4)。注目すべきことに、計算したCoASHのEC50値は、疾患バイオマーカーの減少のEC50値よりも10倍高い(表2、表4)。化合物5の作用機序は、PA及びMMA pHepsに固有のものではない。HemoShear Technologyで化合物5に曝露させた通常のpHepsは、化合物5-CoAを生成し、CoASHの低下を示し、これはPA及びMMA pHepsと同様である(図10、表4)。作用機序は、実験条件に関係なく一貫していると考えられる。結果は、HemoShear Technologyで化合物5処理に慢性的に曝露させたpHepsが、静置pHepsでの化合物5の急性曝露後に観察されたCoASHレベルの大きな変化から回復または適応することを示唆している。したがって、より生理学的に適切な系では、CoASHの変化は、P-CoA及びM-CoAにおけるロバストな減少に比べて、わずかである。
Figure 2022525339000031
CoAの隔離は、PA及びMMAを含む中間代謝の多くの障害における毒性と関連することが提唱されている。P-CoA及びM-CoAの蓄積へのCoASHの隔離は、アセチル-CoA及び/またはCoASHの相互減少につながると仮定される;しかしながら、ヒトにおける組織アシル-CoA及びCoASHレベルを測定し、研究することができないため、このアイデアには裏付けとなるエビデンスがほとんどまたはまったくない。アセチル-CoA及びCoASHへのいくつかの影響が、特に静置培養条件で観察されたが、これらの影響は、他の代謝産物で観察されたほど顕著ではなかった。
結論
本明細書に記載の研究は、化合物5が、PA及びMMAのpHepベースの疾患モデルにおいて、毒性代謝産物P-CoA、M-CoA、C3、MCA、及びメチルマロン酸(MMAのみ)を減少させることを示した。全体として、バイオマーカー濃度の低下に関するEC90値は、すべてのバイオマーカーで一貫しており、このことは、化合物5が、PA及びMMAの関連する代謝異常(これらの疾患病理の根底にあると考えられる生化学的経路と一致する)の修正に効果を有し、両方の障害におけるその治療可能性を裏付けるものであることを示唆している。本開示の化合物はCoAエステルを形成することができるため、これらの化合物はまた、アシル-CoAプールの再分布によって、本明細書に記載の代謝産物の毒性レベルの蓄積を特徴とする疾患を治療することができる。
参照による援用
また、本出願で参照するすべての特許、刊行物、雑誌記事、技術文書などは、参照によりその全体が、及びあらゆる目的のために本明細書に援用されることも理解すべきである。
上記及び本明細書全体を通して記載した様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。本明細書で参照され、及び/または出願データシートに記載されているすべての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、及び非特許刊行物は、その全体が参照により本明細書に援用される。実施形態の態様は、必要に応じて、様々な特許、出願、及び刊行物の概念を使用してさらに別の実施形態を提供するように変更することができる。
これら及び他の変更を、上記の詳細な記載に照らして実施形態に対して行うことができる。一般的に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を、明細書及び特許請求の範囲に開示される特定の実施形態に限定するものと解釈されるべきではなく、すべての可能な実施形態を、そのような特許請求の範囲に権利を与える均等物の全範囲と共に含むものと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって制限されない。
本開示の実施形態:
A1. それを必要とする対象における有機酸血症の治療方法であって:
式(I)の化合物、またはそのエステルもしくは薬学的に許容される塩を前記対象に投与するこを含み、
Figure 2022525339000032
式中:
Xが、O、NH、またはSであり;
Zが、OR、NR、SR、ハロゲン、または脱離基であり;
、R及びRのそれぞれが、独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルであり、ただし、R、R及びRのうちの少なくとも1つがHではなく;
あるいは、R、R及びRのうちの任意の2つが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、カルボシクリルまたはヘテロシクリルを形成し;
各Rが、独立して、H、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、-C(O)R、-SO、-P(O)(OR、または
Figure 2022525339000033
であり;
が、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキルであり;
前記組成物の投与が、さもなければ有機酸血症患者に蓄積するであろう少なくとも1つの代謝産物を減少させ、それによって前記有機酸血症を治療する、前記治療方法。
A2. 式中、XがOである、実施形態A1に記載の方法。
A3. 式中、ZがORである、実施形態A1またはA2に記載の方法。
A4. R、R及びRのそれぞれが、独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、またはアリールアルキルであり、ただし、R、R及びRのうちの1つのみがHである、実施形態A1~A3のいずれか1つに記載の方法。
A5. R、R及びRのうちの任意の2つが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、カルボシクリルまたはヘテロシクリルを形成する、実施形態A1~A4のいずれか1つに記載の方法。
A6. R、R及びRのうちの2つがアルキルである、実施形態A1~A5のいずれか1つに記載の方法。
A7. 前記アルキルがC1-6アルキルであり、前記アルケニルがC2-6アルケニルであり、前記アルキニルがC2-6アルキニルであり、前記カルボシクリルがC3-12シクロアルキルまたはC6-12アリールであり、そして前記ヘテロシクリルがC3-12ヘテロシクリルである、実施形態A1~A6のいずれか1つに記載の方法。
A8. Rが、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、またはカルボシクリルアルキルである、実施形態A1~A7のいずれか1つに記載の方法。
A9. Rが、独立して、H、アルキル、またはカルボシクリルである、実施形態A1~A7のいずれか1つに記載の方法。
A10. 前記式(I)の化合物が、表1Aまたは表1Bの化合物である、実施形態A1~A9のいずれか1つに記載の方法。
A11. 前記式(I)の化合物が、以下の構造を有する式(IA)の化合物であり:
Figure 2022525339000034
式中:
、R及びRのそれぞれが、独立して、H、アルキル、カルボシクリル、またはカルボシクリルアルキルであり、ただし、R、R及びRのうちの少なくとも1つがHではなく;そして
が、Hまたはアルキルである、実施形態A1~A10のいずれか1つに記載の方法。
A12. R、R及びRのそれぞれが、独立して、H、アルキル、またはカルボシクリルであり、ただし、R、R及びRのうちの少なくとも1つがHではない、実施形態A11に記載の方法。
A13. R、R及びRのうちの少なくとも1つがアルキルである、実施形態A11またはA12に記載の方法。
A14. R、R及びRのうちの少なくとも2つがアルキルである、実施形態A11またはA12に記載の方法。
A15. 前記アルキルがC1-6アルキルである、実施形態A11~A14のいずれか1つに記載の方法。
A16. 前記アルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、及びt-ブチルからなる群から選択される、実施形態A11~A15のいずれか1つに記載の方法。
A17. R、R及びRのうちの1つがカルボシクリルである、実施形態A11~A16のいずれか1つに記載の方法。
A18. 前記カルボシクリルがシクロプロピルである、実施形態A11~A17のいずれか1つに記載の方法。
A19. RがHであり、Rが、H、メチル、エチル、またはn-プロピルであり、Rが、エチル、n-プロピル、t-ブチル、またはシクロプロピルである、実施形態A11~A13のいずれか1つに記載の方法。
A20. R及びRがメチルであり、Rが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、及びシクロプロピルからなる群から選択される、実施形態A11~A16のいずれか1つに記載の方法。
A21. R及びRがメチルであり、Rがエチルである、実施形態A11~A16のいずれか1つに記載の方法。
A22. Rがアルキルである、実施形態A11~A21のいずれか1つに記載の方法。
A23. 前記アルキルがC1-4アルキルである、実施形態A22に記載の方法。
A24. 前記C1-4アルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、またはt-ブチルからなる群から選択される、実施形態A23に記載の方法。
A25. RがHである、実施形態A11~A21のいずれか1つに記載の方法。
A26. 前記式(I)の化合物が、以下の構造を有する式(II)の化合物であり:
Figure 2022525339000035
式中:
、R及びRのそれぞれが、独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキルであり、ただし、R、R及びRのうちの少なくとも1つがHではなく;
あるいは、R、R及びRのうちの任意の2つが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、カルボシクリルまたはヘテロシクリルを形成する、実施形態A1~A10に記載の方法。
A27. R、R及びRのそれぞれが、独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、またはアリールアルキルである場合に、R、R及びRのうちの1つのみがHである、実施形態A26に記載の方法。
A28. R、R及びRのうちの任意の2つが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、カルボシクリルまたはヘテロシクリルを形成し;残りのR、R及びRは、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルまたはアリールアルキルである、実施形態A26またはA27に記載の方法。
A29. 前記アルキルがC1-6アルキルであり、前記アルケニルがC2-6アルケニルであり、前記アルキニルがC2-6アルキニルであり、前記アルコキシがO-C1-6アルキルであり、前記カルボシクリルがC3-12シクロアルキルまたはC6-12アリールであり、そして前記ヘテロシクリルがC3-12ヘテロシクリルである、実施形態A26~A28のいずれか1つに記載の方法。
A30. R、R及びRのそれぞれが、独立して、H、アルキル、またはカルボシクリルであり、ただし、R、R及びRのうちの少なくとも1つがHではない、実施形態A26~A29のいずれか1つに記載の方法。
A31. R、R及びRのうちの少なくとも1つがアルキルである、実施形態A26~A30のいずれか1つに記載の方法。
A32. R、R及びRのうちの少なくとも2つがアルキルである、実施形態A26~A30のいずれか1つに記載の方法。
A33. 前記アルキルがC1-6アルキルである、実施形態A26~A32のいずれか1つに記載の方法。
A34. 前記アルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、及びt-ブチルからなる群から選択される、実施形態A26~A33のいずれか1つに記載の方法。
A35. R、R及びRのうちの1つがカルボシクリルである、実施形態A26~A34のいずれか1つに記載の方法。
A36. 前記カルボシクリルがシクロプロピルである、実施形態A26~A35のいずれか1つに記載の方法。
A37. RがHであり、Rが、H、メチル、エチル、またはn-プロピルであり、Rが、エチル、n-プロピル、t-ブチル、またはシクロプロピルである、実施形態A26~A30のいずれか1つに記載の方法。
A38. R及びRがメチルであり、Rが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、及びシクロプロピルからなる群から選択される、実施形態A26~A34のいずれか1つに記載の方法。
A39. R及びRがメチルであり、Rがエチルである、実施形態A26~A34のいずれか1つに記載の方法。
A40. 前記式(I)の化合物が、表1Aまたは表1Bから選択される、実施形態26~39のいずれか1つに記載の方法。
A41. 前記式(I)の化合物が、以下の構造を有する2,2-ジメチル酪酸またはその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、もしくは代謝産物である、実施形態A1~A30のいずれか1つに記載の方法:
Figure 2022525339000036
A42. 前記有機酸血症がプロピオン酸血症である、実施形態A1~A41のいずれか1つに記載の方法。
A43. 前記有機酸血症がメチルマロン酸血症である、実施形態A1~A41のいずれか1つに記載の方法。
A44. 前記有機酸血症がイソ吉草酸血症である、実施形態A1~A41のいずれか1つに記載の方法。
A45. 前記化合物が、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物中に存在する、実施形態A1~A44のいずれか1つに記載の方法。
A46. RがHであり、XがOであり、ZがOHである場合、R及びRのそれぞれが、プロピルではない、すなわち、前記化合物が
Figure 2022525339000037
ではない、実施形態A1~A11のいずれか1つに記載の方法。
A47. XがOであり、ZがOHである場合、R、R及びRのうちのいずれか2つが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3位で1,2,4-オキサジアゾールにベンジル置換されていない、実施形態A1~A11のいずれか1つに記載の方法。
A48. RがHであり、R及びRのそれぞれが、プロピルではない、実施形態A1~A11のいずれか1つに記載の方法。
A49. R、R及びRのうちのいずれか2つが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3位で1,2,4-オキサジアゾールにベンジル置換されていない、実施形態A1~A11に記載の方法。
B1. それを必要とする対象における有機酸血症の治療方法であって:
2,2-ジメチル酪酸、またはその薬学的に許容される塩、エステル、もしくは代謝産物を前記対象に投与し、
それにより、さもなければ有機酸血症患者に蓄積するであろう少なくとも1つの代謝産物を減少させ、それにより前記有機酸血症を治療することを含む、前記治療方法。
B2. 前記有機酸血症がプロピオン酸血症である、実施形態B1に記載の方法。
B3. 前記有機酸血症がメチルマロン酸血症である、実施形態B1に記載の方法。
B4. それを必要とする対象におけるプロピオン酸血症の治療方法であって:
2,2-ジメチル酪酸、またはその薬学的に許容される塩、エステル、もしくは代謝産物を投与し、
それにより、さもなければプロピオン酸血症患者に蓄積するであろう少なくとも1つの代謝産物のレベル、それにより、前記対象におけるプロピオン酸血症を治療することを含む、前記治療方法。
B5. それを必要とする対象におけるメチルマロン酸血症の治療方法であって:
2,2-ジメチル酪酸、またはその薬学的に許容される塩、エステル、もしくは代謝産物を投与し、
それにより、さもなければメチルマロン酸血症患者に蓄積するであろう少なくとも1つの代謝産物のレベルを低下させ、それにより、前記対象におけるメチルマロン酸血症を治療することを含む、前記治療方法。
B6. それを必要とする対象におけるプロピオニル-CoAまたはメチルマロニル-CoA生成の低減方法であって、有効量の2,2-ジメチル酪酸、またはその薬学的に許容される塩、エステル、もしくは代謝産物を前記対象に投与することを含む、前記低減方法。
B7. 2,2-ジメチル酪酸、またはその薬学的に許容される塩、エステル、もしくは代謝産物が、医薬組成物中に存在する、実施形態B4~B6のいずれかに記載の方法。
B8. 前記医薬組成物が、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤及び有効量の2,2-ジメチル酪酸、またはそのエステル、代謝産物、もしくは薬学的に許容される塩を含む、実施形態B1~B3またはB7のいずれか1つに記載の方法。
B9. 前記少なくとも1つの代謝産物が、プロピオン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、クエン酸メチル、グリシン、もしくはプロピオニルカルニチン、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態A1~B8のいずれかに記載の方法。
B10. 前記少なくとも1つの代謝産物が、2-ケトイソカプロエート、イソバレリル-CoA、3-メチルクロトニル-CoA、3-メチルグルタコニル-CoA、3-OH-3-メチルグルタリル-CoA、2-ケト-3-メチル吉草酸、2-メチルブチリル-CoA、チグリル-CoA、2-メチル-3-OH-ブチリル-CoA、2-メチル-アセトアセチル-CoA、2-ケトイソ吉草酸、イソブチリル-CoA、メチルアクリリル-CoA、3-OH-イソブチリル-CoA、3-OH-イソブチレート、メチルマロン酸セミアルデヒド、プロピオニル-CoA、もしくはメチルマロニル-CoA、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態A1~B9のいずれかに記載の方法。
B11. 前記少なくとも1つの代謝産物を、少なくとも約1%~約100%の範囲の量だけ減少させる、実施形態A1~B10のいずれかに記載の方法。
B12. 2,2-ジメチル酪酸、またはそのエステル、代謝産物、もしくは薬学的に許容される塩を投与することを含む、代謝障害の治療方法。
B13. 前記代謝障害が、プロピオン酸血症、メチルマロン酸血症、ミトコンドリア短鎖エノイル-CoAヒドラターゼ1欠損症(OMIM616277)、3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ欠損症(OMIM250620)、3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ欠損症、メチルマロン酸-セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ欠損症(OMIM614105)、2-メチル-3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(OMIM300438)、または3-メチルアセトアセチル-CoAチオラーゼ欠損症(OMIM203750)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態B12に記載の方法。
B14. 前記少なくとも1つの代謝産物を、約1%~約100%の範囲の量だけ減少させる、実施形態B9に記載の方法。
B15. 前記有機酸血症がイソ吉草酸血症である、実施形態B1に記載の方法。

Claims (36)

  1. 有機酸血症の治療を必要とする対象における前記有機酸血症の治療方法であって、
    2,2-ジメチル酪酸、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを、前記対象に投与し、
    それにより、さもなければ有機酸血症患者に蓄積するであろう少なくとも1つの代謝産物を減少させ、それにより前記有機酸血症を治療することを含む、方法。
  2. 前記有機酸血症がプロピオン酸血症である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記有機酸血症がメチルマロン酸血症である、請求項1に記載の方法。
  4. プロピオン酸血症の治療を必要とする対象における前記プロピオン酸血症の治療方法であって、
    2,2-ジメチル酪酸、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを投与し、
    それにより、さもなければプロピオン酸血症患者に蓄積するであろう少なくとも1つの代謝産物のレベルを減少させ、それにより、前記対象におけるプロピオン酸血症を治療することを含む、方法。
  5. メチルマロン酸血症の治療を必要とする対象における前記メチルマロン酸血症の治療方法であって:
    2,2-ジメチル酪酸、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを投与し、
    それにより、さもなければメチルマロン酸血症患者に蓄積するであろう少なくとも1つの代謝産物のレベルを低下させ、それにより、前記対象におけるメチルマロン酸血症を治療することを含む、方法。
  6. プロピオニル-CoAまたはメチルマロニル-CoA生成の低減を必要とする対象における前記プロピオニル-CoAまたは前記メチルマロニル-CoA生成の低減方法であって、有効量の2,2-ジメチル酪酸、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを前記対象に投与することを含む、方法。
  7. 2,2-ジメチル酪酸、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルが、医薬組成物中に存在する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記医薬組成物が、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤及び有効量の2,2-ジメチル酪酸、またはそのエステルもしくは薬学的に許容される塩を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記少なくとも1つの代謝産物が、プロピオン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、クエン酸メチル、グリシン、もしくはプロピオニルカルニチン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 少なくとも1つの代謝産物が、2-ケトイソカプロエート、イソバレリル-CoA、3-メチルクロトニル-CoA、3-メチルグルタコニル-CoA、3-OH-3-メチルグルタリル-CoA、2-ケト-3-メチル吉草酸、2-メチルブチリル-CoA、チグリル-CoA、2-メチル-3-OH-ブチリル-CoA、2-メチル-アセトアセチル-CoA、2-ケトイソ吉草酸、イソブチリル-CoA、メチルアクリリル-CoA、3-OH-イソブチリル-CoA、3-OH-イソブチレート、メチルマロン酸セミアルデヒド、プロピオニル-CoA、もしくはメチルマロニル-CoA、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記少なくとも1つの代謝産物を、少なくとも約1%~約100%の範囲の量だけ減少させる、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 2,2-ジメチル酪酸、またはそのエステルもしくは薬学的に許容される塩を投与することを含む、代謝障害の治療方法。
  13. 前記代謝障害が、プロピオン酸血症、メチルマロン酸血症、ミトコンドリア短鎖エノイル-CoAヒドラターゼ1欠損症(OMIM616277)、3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼ欠損症(OMIM250620)、3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ欠損症、メチルマロン酸-セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ欠損症(OMIM614105)、2-メチル-3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(OMIM300438)、または3-メチルアセトアセチル-CoAチオラーゼ欠損症(OMIM203750)、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸尿症及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記少なくとも1つの代謝産物を、約1%~約100%の範囲の量だけ減少させる、請求項9に記載の方法。
  15. 前記有機酸血症がイソ吉草酸血症である、請求項1に記載の方法。
  16. 前記2,2-ジメチル酪酸の薬学的に許容される塩がナトリウム塩である、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 有機酸血症の治療を必要とする対象における前記有機酸血症の治療方法であって、式(IA)
    Figure 2022525339000038
    (式中、
    、R及びRのそれぞれが、独立して、H、アルキル、カルボシクリル、またはカルボシクリルアルキルであり、ただし、R、R及びRのうちの少なくとも1つがHではなく;そして
    が、H、アルキル、またはカルニチンである)
    の化合物、またはそのエステルもしくは薬学的に許容される塩を前記対象に投与することを含む、方法。
  18. 、R及びRのそれぞれが、独立して、H、アルキル、またはカルボシクリルであり、ただし、R、R及びRのうちの少なくとも1つがHではない、請求項17に記載の方法。
  19. 、R及びRのうちの少なくとも1つがアルキルである、請求項17または18に記載の方法。
  20. 、R及びRのうちの少なくとも2つがアルキルである、請求項17または18に記載の方法。
  21. 前記アルキルがC1-6アルキルである、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記アルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、及びt-ブチルからなる群から選択される、請求項17~21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 、R及びRのうちの1つがカルボシクリルである、請求項17~22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記カルボシクリルがシクロプロピルである、請求項17~23のいずれか1項に記載の方法。
  25. がHであり、Rが、H、メチル、エチル、またはn-プロピルであり、Rが、エチル、n-プロピル、t-ブチル、またはシクロプロピルである、請求項17~22のいずれか1項に記載の方法。
  26. 及びRがメチルであり、Rが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、及びシクロプロピルからなる群から選択される、請求項17~22のいずれか1項に記載の方法。
  27. 及びRがメチルであり、Rがエチルである、請求項17~22のいずれか1項に記載の方法。
  28. がアルキルである、請求項17~27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 前記アルキルがC1-4アルキルである、請求項28に記載の方法。
  30. 前記C1-4アルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、またはt-ブチルからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
  31. がHである、請求項17~27のいずれか1項に記載の方法。
  32. 2,2-ジメチル酪酸またはその薬学的に許容される塩とカルニチンを組み合わせて併用することによる、プロピオニル-CoAまたはメチルマロニル-CoAが上昇している患者の治療方法。
  33. 2,2-ジメチル酪酸またはその薬学的に許容される塩による、肝臓、腎臓、または肝臓と腎臓の移植を受けた患者の治療方法。
  34. mRNA-3927、mRNA-3704またはLB001の前、後、またはそれらの併用による、2,2-ジメチル酪酸またはその薬学的に許容される塩による患者の治療方法。
  35. PCCまたはMUTを置き換えるように設計されたAAV送達遺伝子治療の前、後、または最中での、2,2-ジメチル酪酸またはその薬学的に許容される塩による患者の治療方法。
  36. PCCまたはMUTを置き換えるように設計された遺伝子治療処置の前、後、または最中での、2,2-ジメチル酪酸またはその薬学的に許容される塩による患者の治療方法。
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