定義
別段の定めがない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または等価の任意の方法および材料を本発明の実践または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料が記載される。本発明の目的のために、次の用語が以下に定義される。
冠詞「a」および「an」は、本明細書において、冠詞の文法的目的語の一つまたは複数(すなわち少なくとも一つ)を指すために使用される。例として、「要素(an element)」は、一つの要素または複数の要素を意味する。
「約」および「およそ」という用語は、本明細書において、指定された条件に対して20%(すなわち±20%)、特に10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%まで変動する条件(例えば量、レベル、濃度、時間など)を指すために使用される。
本明細書で使用されるところの、「分析物」という用語は、対象において生じるコンディション(例えば薬物乱用)、疾患の状態(例えば感染性疾患)、障害(例えば神経障害)、もしくは正常なプロセスもしくは病理学的プロセス(例えば薬物代謝)のマーカーである天然に存在する化合物および/または合成化合物、または、薬品(疾患、障害またはコンディションの症状を処置、予防および/または緩和する物質、例えば薬物、ワクチンなど)、違法物質(例えば違法薬物)、非違法乱用物質(例えばアルコールまたは非医学的理由で服用される処方薬物)、毒物もしくは毒素(環境汚染物質を含む)、化学兵器(例えば神経剤など)もしくはそれらの代謝物など、対象中の投与または摂取された物質のレベルをモニタするために使用できる化合物を指す。「分析物」という用語は、分析手順において測定できる核酸、タンパク質、違法薬物、爆発物、毒素、医薬品、発癌物質、毒物、アレルゲン、および感染性因子を含む、分析手順において測定できる化学的および/または生物学的薬剤を含む任意の物質を指しうる。分析物は、特に真皮および/または表皮中の対象からの体液(例えば間質液)を含む生体組織などのサンプル中に直接見つけられる化合物でありうる。特定の実施形態では、分析物は、間質液中に見つけられる化合物である。一部の実施形態では、分析物は、約30Da~約100kDa、特に約50Da~約40kDaの範囲の分子量の化合物である。他の適切な分析物は、本明細書に記載される通りである。
本明細書で使用されるところの、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目の一つ以上のありとあらゆる可能な組み合わせ、ならびに代替(または)で解釈される場合の組み合わせの欠如を指し、包含する。
本明細書で使用されるところの、「アプタマー」という用語は、分析物などの特定の標的分子に結合する一本鎖オリゴヌクレオチド(例えばDNAまたはRNA)を指す。アプタマーは、約10~約200ヌクレオチドの長さ、特に約30~約100ヌクレオチドの長さなど、そのような標的分子を結合するのに適した任意のサイズでありうる。
「結合する」という用語および「結合している」などの変化形は、本明細書において、分析物とアプタマー、または分析物と分子インプリントポリマーなどの二つの物質間の相互作用を指すために使用される。相互作用は、共有または非共有相互作用、特に非共有相互作用でありうる。
本明細書および以下の特許請求の範囲全体を通して、文脈による別段の定めがない限り、「含む」という単語ならびに「含んだ」および「含んでいる」などの変化形は、記載された整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を含むことを意味するが、他の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群の排除を意味するものではないと理解される。したがって、「含んでいる」などの用語の使用は、列挙された整数が必要または必須であるが、他の整数は任意であり、存在する可能性もしない可能性もあることを示す。「からなる」とは、「からなる」という句に先行するものを含み、それに限定されることを意味する。したがって、「からなる」という句は、列挙された要素が必要または必須であり、他の要素は存在し得ないことを示す。「から本質的になる」とは、句の前に列挙された任意の要素を含み、列挙された要素につき本開示に指定された活動または作用に干渉または寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、「から本質的になる」という句は、列挙された要素が必要または必須であるが、他の要素は任意であり、列挙された要素の活動または作用に影響するか否かに応じて存在する可能性もしない可能性もあることを示す。
「複数」という用語は、本明細書において、2、10、100、1000、10000、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012、1×1013、1×1014、1×1015など(およびその間の全ての整数)を含めて2~1×1015(またはその間の任意の整数)およびそれ以上など、一より多いことを指すために使用される。
本明細書で使用されるところの、「所定の閾値」という用語は、その値を上回るまたは下回ることが疾患、障害もしくはコンディションの存在、不存在もしくは進行、違法物質もしくは非違法乱用物質の存在もしくは不存在、または化学兵器、毒物および/もしくは毒素の存在もしくは不存在を示す値を指す。例えば、本発明の目的上、所定の閾値は、健常対象などの適切な対照対象からの対応するサンプル中もしくは複数の対照対象からのプールされたサンプル中の特定の分析物のレベルもしくは濃度、または複数の対照対象の平均もしくは中央値を表しうる。したがって、閾値を上回るまたは下回るレベルまたは濃度は、本明細書に教示されるように疾患、障害もしくはコンディションの存在、不存在もしくは進行、違法物質もしくは非違法乱用物質の存在もしくは不存在、または化学兵器、毒物および/もしくは毒素の存在もしくは不存在を示す。他の例では、所定の閾値は、所定の閾値を上回るまたは下回るレベルまたは比率が疾患、障害もしくはコンディションの存在、不存在もしくは進行、違法物質もしくは非違法乱用物質の存在もしくは不存在、または化学兵器、毒物および/もしくは毒素の存在もしくは不存在を示すさらなる信頼度を組み込むために、対照対象について判定されたレベルまたは比率より大きいまたは小さい値を表しうる。当業者は、適切な対照対象からのサンプルの分析に基づいて、適切な所定の閾値を容易に判定しうる。
本明細書で使用されるところの、「選択的」および「選択性」という用語は、一つ以上の他の分析物の実質的な結合を示さずに目的の分析物を結合する分子インプリントポリマーまたはアプタマーを指す。したがって、トロポニンまたはそのサブユニットなどの分析物に対して選択的な分子インプリントポリマーまたはアプタマーは、一つ以上の他の分析物の結合と比較して約2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍より大きい、または約500倍より大きい選択性を示す。
本明細書で使用されるところの、「対象」という用語は、疾患、障害またはコンディションのモニタおよび/または診断が所望される脊椎動物対象、特に哺乳動物対象を指す。適切な対象には、霊長類、鳥類(鳥)、羊、牛、馬、鹿、ロバおよびブタなどの家畜動物、ウサギ、マウス、ラット、モルモットおよびハムスターなどの実験動物、猫および犬などのペット、コウモリならびにキツネ、鹿およびディンゴなどの捕獲野生動物が含まれるがこれらに限定されない。特に、対象はヒトである。
測定を行うためのシステム
次に、生体対象に対して測定を行うためのシステムの例を、図1を参照して説明する。
この例では、システムは、一つ以上の微細構造体112を有する少なくとも一つの基材111を含む。使用時には、微細構造体は、対象に関連する機能的バリアを突破するように構成される。現在の例では、機能的バリアは角質層SCであり、微細構造体は、角質層SCを貫通し、少なくとも生きた表皮VEに入ることによって角質層SCを突破するように構成される。一つの特定の例では、微細構造体は、生きた表皮VEと真皮Dとの間の境界を貫通しないように構成されるが、これは必須ではなく、以下でより詳細に記載するように真皮内に貫通する構造体が使用されることもできる。
この例は角質層SCを突破することに関して説明されるが、これは必須ではなく、この技術は他の機能的バリアにも同様に応用されうることが理解されよう。この点に関し、機能的バリアは、信号および/またはバイオマーカーなどの分析物の通過を妨げる物理的またはそれ以外の任意の構造体、境界、または特徴を含むものと理解される。例えば、機能的バリアは、一つ以上の層、組織の機械的特性の離散的変化などの機械的不連続性、組織の不連続性、細胞の不連続性、神経バリア、センサバリア、細胞層、皮膚層、粘膜層、内部または外部バリア、器官内の内側バリア、皮膚以外の器官の外側バリア、上皮層または内皮層などを含みうる。機能的バリアは、メラニン層などの光バリア、電気バリア、ある分子量のバイオマーカーの通過を妨げる分子量バリア、生きた表皮と真皮との間の基底層境界などを含む他の内部層または境界を含むこともできる。
微細構造体の性質は、好ましい実施態様に応じて変動する。一例では、微細構造体は針を含みうるが、これは必須ではなく、以下でより詳細に説明するように、プレート、ブレードなどの構造体がより一般的に使用される。
基材および微細構造体は、任意の適切な材料から製造されることができ、使用される材料は意図される用途に応じ得、例えば構造体が光および/または電気伝導性である必要があるか否かなどに応じうる。現在の例では、微細構造体は、信号が対象と通信されることを可能にする、例えば体内の電気信号が検出されることを可能にする、または電気信号が対象に適用されることを可能にする電極を含む。電極は、好ましい実施態様に応じて、微細構造体が伝導性である場合には微細構造体全体から形成することができ、または微細構造体の表面に施される伝導性材料から形成される表面電極とすることもできる。
基材は、対象に適用されうるパッチ110の一部を形成することができるが、例えば基材が他の構成要素を含むハウジングの一部を形成するなど、他の装備が使用されることもできる。
一例では、電極構成は測定デバイスとともに使用され、測定デバイスは一例では少なくとも一つのセンサ121を含み、センサは少なくとも一つの微細構造体112に動作可能に接続され、それによってそれぞれの微細構造体112から応答信号が測定されることができる。この点に関し、応答信号という用語は、ECG(心電計)信号などの対象内に固有の信号、またはバイオインピーダンス信号など、刺激の印加の結果として誘導される信号を包含するものと理解されよう。
センサの性質は、好ましい実施態様および行われる検知の性質に応じて変動する。例えば検知は、電気信号の検知を含みうるが、その場合にはセンサは電圧または電流センサなどでありうる。あるいは、光信号などの他の信号も検知されることもでき、その場合にはセンサはフォトダイオード、CCD(Charge Coupled Device、電荷結合素子)アレイなどの光センサも含みうる一方、温度信号はサーミスタなどを使用して検知されうる。
センサ121が微細構造体電極(単数または複数)112に接続される様式もまた、好ましい実施態様に応じて変動する。一例では、これは微細構造体電極(単数または複数)112とセンサとの間の接続部を用いて達成され、接続部の性質は検知される信号に応じて変動するため、接続部は、電気信号を伝導する電気伝導性要素、電磁信号を伝導する導波路、光ファイバもしくは他の導体、または熱信号を伝導する熱導体を含みうる。接続部はワイヤレス接続部を含み、センサが遠隔に位置することを可能にすることもできる。さらに、接続部は個別の要素として提供されることもできるが、他の例では、例えば基材が伝導性プレートから作製され、これがさらに全ての微細構造体に電気的に接続される場合には、基材が接続部を提供する。さらなる代替例として、センサは微細構造体に埋め込まれるかまたはその一部から形成されることもでき、接続部を必要としなくてもよい。
センサ121は、共同および/または独立の接続部により全ての微細構造体112に動作可能に接続されうる。例えば、一つ以上のセンサを異なる微細構造体に接続して、異なる微細構造体112の群から異なる測定応答信号を測定できるようにすることもできる。しかし、これは必須ではなく、任意の適切な装備が使用されうる。
検知を提供することに加えて、またはその代わりに、一部の例では、微細構造体112は、刺激を提供するように構成されうる。例えば、微細構造体は、以下でより詳細に説明されるように、刺激信号を生成する信号生成器に連結されうる。そのような刺激も、電圧または電流源を使用した電気刺激、LEDまたはレーザなどの可視または非可視放射線源を使用した光刺激、熱刺激などを含むことができ、好ましい実施態様に応じて応答信号を測定するために使用される同じ微細構造体または異なる微細構造体を介して送達されうる。加えておよび/または代わりに、刺激は、微細構造体およびその上または中の材料への対象の曝露を通してなど、他の技術を使用して達成されることもできる。例えば、微細構造体に被覆を施して、材料がバリアを越えて対象に送達されることを可能にし、それによって対象内の応答を刺激することができる。
これらの選択肢は、ECG信号、プレチスモグラフ信号、電磁信号、または筋肉、神経組織、血液などにより生成される電位などの体内の電気信号の検出、蛍光などのフォトプレチスモグラフィック、電磁効果の検出、応力または歪などの機械的特性の検出などを含む、様々なタイプの検知およびまたは刺激を行うことを可能にする。検知は、例えばバイオインピーダンス、バイオコンダクタンス、またはバイオキャパシタンスを測定するための印加された電気信号に対する身体の応答の検出、例えば電気的または光学的特性などを検出することによる分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度の検出を含みうる。
この点に関し、現在の装備は電極構成に関連するが、電気刺激または検出と併せて他の検知/刺激モダリティが使用されることもできることが理解されよう。例えば、電気信号を用いて光応答を刺激することなどもできる。したがって、電極は電気信号を印加および/または測定することを可能にするために提供されるが、これは追加の刺激または検知モダリティの使用を排除するものではない。
システムは、以下でより詳細に説明するように測定デバイスの一部を形成しうる一つ以上の電子処理デバイス122をさらに含み、および/または、コンピュータシステム、サーバ、クライアントデバイスなど一つ以上の処理システムの一部を形成する電子処理デバイスを含むこともできる。使用時には、処理デバイス122は、信号生成器を制御し、および/またはセンサ121からの信号を受信および分析し、信号を記憶または処理するように適合される。説明の簡単のために、残りの説明は一般に処理デバイスに言及するが、必要に応じてデバイス間で処理を分散して複数の処理デバイスが使用されうること、単数形への言及は複数の装備を包含し、逆もまた同様であることが理解されよう。
次に、これが行われる様式の例を図2を参照して説明する。
特に、この例では、ステップ200で、一つ以上の微細構造体が機能的バリアを突破し、一例では貫通するように、基材が対象に適用される。例えば、微細構造体は皮膚に適用されると図1に示すように角質層を貫通し、生きた表皮に入りうる。これは手動で、および/または良好な貫通を保証するのに役立つアクチュエータの使用を通じて達成されうる。
ステップ210で、刺激信号が対象に任意に印加され、ステップ220で対象内の応答信号が測定され、測定された応答信号を示す信号が電子処理デバイス112に提供される。これは刺激の印加後に行われうるが、これは必須ではなく、行われる検知の性質に応じて変動する。
次に、一つ以上の処理デバイスは、ステップ230で結果の測定データを分析し、および/または後の分析のために測定データに基づくデータを記憶するか、あるいは測定された応答信号に基づいて出力を提供することもできる。例えば、処理デバイスは、測定された応答信号および/またはそこから導出された値を示す指標を表示することもできる。あるいは、処理デバイスは、介入の推奨を生成し、臨床医、トレーナー、または保護者などに警告するなどのアクションをトリガすることもできる。
分析は、任意の適切な様式で行われることができ、これは行われる測定の性質に応じて変動する。例えばこれは、測定された応答信号の値を調べ、これらを用いて、一つ以上の医学的コンディションの存在、不存在、程度もしくは予後、医学的コンディションに関連する予後、バイオマーカーの存在、不存在、レベルもしくは濃度、分析物の存在、不存在、レベルもしくは濃度、癌の存在、不存在もしくはグレード、対象中の流体レベル、血液酸素化、組織炎症状態、神経、脳、筋肉もしくは心臓の活動などの生体電気活動、またはその他の様々な健康状態を含む健康ステータスを示す指標を計算することを含みうる。これは、時間に対する値の変化をモニタすることによって達成されることもでき、既知の医学的コンディションを有する参照対象について測定された値との比較を含みうる。加えておよび/または代わりに、指標は、分析物または他のバイオマーカーの測定されたレベルまたは濃度など、対象に関連する測定されたパラメータを示すこともできる。
例えば、流体レベルを測定する際には、これには印加された刺激信号および測定された応答信号の値を調べ、これらを用いて表皮内のバイオインピーダンスを計算することを含み得、これによりさらに流体レベルを示す指標を導出することができる。この点に関し、間質液などの体内の流体は、ナトリウム(Na+)、カリウム(K+)、カルシウム(Ca2+)、塩化物(Cl-)、重炭酸(HCO3-)およびリン酸(HPO4
2-)などのイオンを含むことが理解されよう。例えば対象の保水レベルが増加または減少するのに伴って流体レベルが増加または減少すると、それに対応してイオン濃度が低下または上昇し、その結果、流体の伝導率の変化が生じる。したがって、流体のインピーダンスの測定を用いてさらに流体の伝導率に関する情報を導出でき、それがさらにイオン濃度ひいては流体レベルを示す。したがって、これにより、インピーダンスの変化を用いて流体レベルの変化ひいては対象の保水状態を追跡できることが理解されよう。そのような流体レベルは、間質液レベル、間質液レベルの変化、間質液中のイオン濃度、間質液中のイオン濃度の変化、イオン濃度、イオン濃度の変化、体内総水分量、細胞内液レベル、細胞外液レベル、血漿水分レベル、流体量または保水レベルのうちのいずれか一つ以上を含みうる。
流体レベル指標はさらに、保水レベル、および/または一つ以上の医学的コンディションの存在、不存在、程度もしくは予後、医学的コンディションに関連する予後などの健康ステータスをモニタする際に使用されうる。これは、例えば長期的な保水測定を行うために時間に対する値の変化をモニタすることも含むこともでき、既知の保水レベルの参照対象について測定された値との比較を含み得、それにより対象が水分過少であるか水分過剰であるかにつき評価を行うことができる。
いずれにせよ、上述のシステムは、角質層などのバリアを突破するように構成された電極を含む微細構造体を提供し、これらを使用して表皮および/または真皮内などの対象内の応答信号を測定することを可能にすることによって動作することが理解されよう。これらの応答信号がさらに処理され、その後分析されて、特定の測定値または対象の健康の一つ以上の態様を示しうる様々な値が導出されることができる。
例えば、システムは、特定のバイオマーカーのレベルまたは濃度など、分析物のレベルまたは濃度を測定するように構成されうる。応答信号を用いて、視覚化、1次元、2次元もしくは3次元の空間マッピング、機械的特性、力、圧力、筋肉運動、血液脈波の詳細、特定のバイオマーカーの存在、不存在、レベルまたは濃度などの分析物濃度、血中酸素飽和度、バイオインピーダンス、バイオキャパシタンス、バイオコンダクタンス、またはECG(心電図)信号などの体内の電気信号を生成することもできる。
一例では、システム、特に電極は、表皮内のみ、真皮内のみなど、対象内の特定の位置で測定が行われるように構成されうる。これにより、標的分析物の検出を高精度で行うことが可能になり、分析物のより精密な測定のためのより高品質なデータが提供される。さらに、測定が行われる位置を制限することにより測定が再現可能であることが保証され、より正確な長期的モニタが可能になる。
従来のアプローチとは対照的に、角質層などの機能的バリアを突破することおよび/または少なくとも部分的に貫通することにより、バリア内またはバリア下、特に表皮および/または真皮内から測定を行うことが可能になり、その結果、検出される応答信号の品質および大きさが大幅に改善される。特にこれにより、皮膚の材料特性、毛の有無、汗、適用されるセンサの機械的動作などの皮膚表面の物理的特性など、バリアの外側の環境によって過度に影響を受ける従来の外部測定とは対照的に、応答信号がバイオマーカーの存在、不存在、レベルまたは濃度、間質液のインピーダンスなどの人体内、特に表皮および/または真皮内のコンディションを正確に反映することが保証される。加えて、角質層を貫通するが真皮は貫通しないことにより、測定を表皮のみに制限し、それにより真皮の流体レベルの変化による干渉を回避することができる。
例えばこれにより、本来なら皮膚をほとんど通過しない高分子量のバイオマーカーの正確な測定が行われることが可能になる。その好例はグルコースであり、これは汗中など外部に存在する際には通常は低濃度でしか存在せず、時間が遅延していることが多い、すなわち汗中の濃度は必ずしも現在の体内のグルコースレベルを反映していない。対照的に、バリア、この場合には角質層を突破することにより、はるかに正確な測定を行うことが可能になる。同様の考察は、広範囲の異なるバイオマーカーまたは信号および本来ならバイオマーカーまたは信号の正確な測定を妨げる関連のバリアに当てはまることが理解されよう。
例えば、インピーダンス測定の場合、微細構造体電極は標準的な表面電極と比べて異なるインピーダンスを測定する傾向があり、これは微細構造体電極が皮膚のインピーダンスを測定しないこと、つまり測定されるインピーダンスが体内のコンディションをより示していることを示す。皮膚表面のインピーダンスの寄与は大きいため、これにより覆われた体内のインピーダンスの変化が生じうる、つまり皮膚に基づく測定は意味のある変化を検出できる可能性が低くなる。
皮膚に基づくインピーダンス測定のさらなる問題は、生成される場が角質層および真皮を通過する傾向があり、表皮に制限されないことである。この一例が図16Cに示される。
この例では、皮膚に基づく電極1601は、角質層SC、生きた表皮VEPiDおよび真皮D内に延びる電場1602を生じる。対照的に、微細構造体パッチ1603は、生きた表皮VEPiD内に制限された電場1604を生じる。
皮膚に基づく測定および表皮測定で生じる等価回路の例が、図16Aおよび16Bにそれぞれ示される。この点に関し、各等価回路は、層ごとに直交方向に組織を流れる電流の寄与を表す三つの回路を含む。したがって図16Aに示す皮膚に基づく測定では、角質層のインピーダンスは回路CSC1、RSC1、CSC2、RSC2、CSC3、RSC3で表され、表皮は回路CVE1、RVE1、CVE2、RVE2、CVE3、RVE3で表され、真皮は回路CD1、RD1、CD2、RD2、CD3、RD3で表される。この例では、RSC1>>RVE1、RSC2>>RVE2およびRSC3>>RVE3である、すなわち表皮層のインピーダンスの寄与は角質層のインピーダンスの寄与と比較して非常に小さいため、皮膚に基づく測定は角質層のインピーダンスをより反映する。
対照的に、図16Bに示される表皮の検知のみの場合には、インピーダンスは回路CVE1、RVE1、CVE2、RVE2、CVE3、RVE3のみによって表され、したがって表皮の測定は表皮の流体レベルをより反映する。
加えて、一部の例では、微細構造体は測定が行われるのを可能にするのに十分な距離だけバリアを貫通する。例えば皮膚の場合には、微細構造体は通常、生きた表皮に入り、真皮層に入らないように構成される。その結果、神経の曝露によって引き起こされる痛み、紅斑、点状出血など真皮の貫通に関連する問題を回避することを含めて、他の侵襲的技術に比べていくつかの改善がもたらされる。真皮境界の貫通を回避することにより感染のリスクも大幅に減少し、微細構造体を数日などの長期間埋め込まれたままにすることが可能になり、これをさらに用いて長期間にわたる長期的モニタを行うことができる。しかし、トロポニンまたはそのサブユニットを検出する場合など、場合によっては真皮バリアの貫通が必要でありうる。
微細構造体をインサイチュにとどめられることは、それにより測定が対象内の同じ部位で行われることが保証され、従来の技術を用いて生じうる測定機器の再配置の不正確さから生じる内在する変動が抑制されることから特に有益であることが理解されよう。それにもかかわらず、本システムは、例えば単一時点のモニタなどを行うために、他の様式で使用されうることが理解されよう。
一例では、これにより装備がウェアラブルデバイスの一部として提供されることが可能になり、例えば本来ならバリアを通過できない信号またはバイオマーカーへのアクセスを提供し、しかしその一方で対象が通常の活動を行う間におよび/または長期間にわたって測定が行われることを可能にすることによって、既存の表面に基づく測定技術より大幅に優れた測定が行われることができる。これによりさらに、対象の健康またはその他のステータスをより正確に反映する測定値を取得することができる。例えばこれにより、一日の流れの中での対象のコンディションの変動が測定されることが可能になり、対象の実際の状況を典型的に示さない診療所内などの人工的な状況下で測定が行われることが回避される。これによりモニタが実質的に連続的に行われることも可能になり、それにより例えば心筋梗塞、心血管疾患、嘔吐、下痢などの場合にコンディションが生じ次第検出できるため、より迅速な介入を求めることが可能になる。
上述のシステムは、身体の任意の部分に適用することができ、したがって広範囲の異なる機能的バリアで使用することができる。例えば機能的バリアは、内部または外部バリア、皮膚層、粘膜層、器官内の内側バリア、器官の外側バリア、上皮層、内皮層、メラニン層、光バリア、電気バリア、分子量バリア、基底層または角質層でありうる。したがって微細構造体は、頬粘膜、眼、または別の上皮層、内皮層などに適用されうる。以下の例は皮膚への適用に特に焦点を当て、機能的バリアは角質層の一部または全部を含むが、これは例示を意図するものであり、限定を意図するものではないことが理解されよう。
さらなる変形例は、以下の説明から明らかになるであろう。
一例では、システムは、典型的には微細構造体に刺激信号を印加することによって刺激を印加するために少なくとも一つの微細構造体に動作可能に接続された信号生成器を含む。ここでも、信号生成器が接続される様式は好ましい実施態様に応じて変動し、これはワイヤードもしくはワイヤレス接続部などの接続部を介して、ならびに/または信号生成器を基材および/もしくは微細構造体に統合することによって達成されうる。接続のタイプの例には機械接続、磁気接続、熱接続、電気接続、電磁接続、光接続などが含まれる。
刺激信号の性質およびこれが印加される様式は好ましい実施態様に応じて変動し、これには生化学信号、化学信号、機械信号、磁気信号、電磁信号、電気信号、光信号、熱信号、または他の信号のうちのいずれか一つ以上が含まれうる。刺激信号は、応答信号の測定を可能にするために用いられることもでき、および/または生体応答をトリガするために用いられ、その後生体応答が測定されることもできる。例えば刺激信号を用いてエレクトロポレーションを引き起こし、局所炎症メディエーターを誘導することができ、それによりさらにバイオマーカーが放出され、それらのレベルまたは濃度を測定することが可能になりうる。この点に関し、エレクトロポレーションまたは電気穿孔は、細胞膜の透過性を高めて化学物質、薬物、またはDNAを細胞に導入することを可能にするために細胞に電場を印加することを含む。別の例では、対象内の境界を破壊するために刺激を用いることができ、例えば真皮境界を破壊して、微細構造体による真皮層の貫通を必要とせずに真皮層内のバイオマーカーが生きた表皮で検出されることを可能にすることができる。さらなる例では、追加の効果をトリガするために刺激を用いることができる。したがって、例えば、電気または機械信号を用いて微細構造体上の被覆を破壊して材料を放出させることもでき、これがさらに化学刺激または他の刺激。
刺激信号は、微細構造体の形態または機能を変更するために微細構造体に印加されることもできる。例えばポリマー微細構造体は、印加された電場または温度により長さまたは幅に沿って拡大または収縮するように誘導されることもできる一方で、微細構造体は、皮膚または他のバリアを貫通してから後退するために格納された平坦位置と伸長された直立位置との間で移動するように構成されることもできる。
一例では、信号生成器の動作は処理デバイスによって制御され、処理デバイスが信号生成器を制御して、例えば電気信号を印加してインピーダンス測定が行われることを可能にすることによって、測定を行わせることができる。加えておよび/または代わりに、処理デバイスは測定された応答信号にしたがって信号生成器を制御することもでき、例えばある基準が満たされたときに対象および/または微細構造体に刺激を印加させることもできる。例えば、セラノスティックの用途では、治療材料を放出するために微細構造体に印加される信号を用いうる。この例では、処理デバイスは応答信号をモニタし、これらを用いて介入が必要な時期を評価し、さらに信号生成器を制御して放出をトリガできる。一例では、そのような制御は、治療法が必要であると判定された後に、例えば用量および用量送達のタイミングを指定して投薬計画にしたがって行われうる。この例では、投薬計画は予め決定されてオンボードで記憶されることもでき、または必要に応じて臨床医または他の個人によって手動で入力されることもできる。
上述のように、信号生成器および/またはセンサは、接続部を介して微細構造体に接続されうる。接続部の性質は好ましい実施態様および信号の性質に応じて変動する。例えば信号が光信号または他の電磁信号である場合、導波路、光ファイバケーブル、または他の電磁導体を使用することができる。電気信号の場合、接続部はワイヤ、または基材上の伝導性トラックなどの伝導性接続部とすることができ、または伝導性基材によって形成されることもできる。接続部は、短距離無線周波数ワイヤレス接続部、誘導接続部などのワイヤレス接続部も含むこともできる。接続部は、機械接続部、磁気接続部、熱接続部などとすることもできる。
一例では、誘導接続部を使用して信号および電力を伝送することができ、その結果例えば誘導連結を用いて基材に装着された電子回路に給電することもできる。これを用いて、基材上の内蔵電源を必要とせずに単純な集積回路などを使用してインピーダンスの変化の増幅および処理などの基本的な処理が基材上で行われることを可能にすることもできる。
一例では、システムは、応答信号を測定するために使用される応答微細構造体および/または対象に刺激信号を印加するために使用される刺激微細構造体を含むことができる。したがって、刺激および応答が異なる微細構造体を介して測定されることもでき、その場合には基材は通常、応答信号が測定されることを可能にする応答接続部と、刺激信号が印加されることを可能にする刺激接続部とを組み込む。一部の例では、複数の刺激および応答接続部が提供されて、異なる接続部を介して異なる測定が行われることを可能にする。例えば、マルチモーダル検知を可能にするために、異なる微細構造体または所与の微細構造体の異なる部分を介して異なるタイプの測定が行われうる。加えておよび/または代わりに、例えば皮膚癌等の存在などの限局性の問題を特定するために、異なる位置および/または深さで同じタイプの測定が行われうる。他の場合には、例えば双極インピーダンス測定を行う際に、刺激および測定が同じ接続部を介して行われうる。
個々の微細構造体および/もしくは微細構造体の異なる部分に信号が印加され、または個々の微細構造体および/もしくは微細構造体の異なる部分から信号が測定されることもでき、これは体内の異なる位置および/または深さで特徴を判別するのに有用でありうる。これを用いて例えば、マッピングまたはトモグラフィを行って、例えば画像のコントラストまたは色が一つ以上の分析物のレベルもしくは濃度またはバイオインピーダンスなどの物理的特性の変化に比例する画像を産出できる。加えておよび/または代わりに、複数の微細構造体にまとめて信号が印加され、または複数の微細構造体からまとめて信号が測定されることもでき、これを用いて信号品質を改善し、または双極、四極もしくは他の多極インピーダンス測定などの測定を行いうる。加えておよび/または代わりに、微細構造体は、例えば微細構造体に信号を印加した後にそこからの応答を測定するなど、測定および刺激の両方に使用されることもできる。
一つの特定の例では、センサおよび/または信号生成器は、マルチプレクサなどの一つ以上のスイッチングデバイスを介して微細構造体に接続されて、センサまたは信号生成器と異なる微細構造体との間で信号が選択的に通信されることを可能にすることができる。処理デバイスは通常、スイッチを制御し、処理デバイスの制御下で様々な異なる検知および刺激が達成されることを可能にするように構成される。一例では、これにより少なくとも一部の電極が少なくとも一部の他の電極とは独立して使用されることができる。このように異なる電極を選択的にインテロゲートする能力により、利点が提供されうる。
例えばこれにより、例えば異なる電極を異なる被覆により機能化し、さらに必要に応じてインテロゲートまたは刺激することにより、異なる電極が異なる機能性を有することが可能になり、その結果必要に応じて異なる測定が行われることができる。加えておよび/または代わりに、これにより例えば空間識別ひいてはマッピングを行うために、異なる微細構造体を介して異なる測定が行われることが可能になる。例えば、パッチ上の異なる位置の電極をインテロゲートすることにより、異なる位置での測定マップが構築されることができ、これをさらに使用して分析物または病変もしくは癌などの特定の目的物の存在などの影響を突き止めることができる。さらに、これにより異なる微細構造体に刺激が送達されることが可能になる。例えば、セラノスティックの実施形態では、異なる微細構造体に異なる治療材料または用量が関連付けられることもできるため、異なる微細構造体を選択的に刺激することにより、様々な介入を行うことができる。一部の例では、異なる微細構造体が異なる目的に使用されることもできるため、一部の微細構造体は検知に使用され、他の微細構造体は刺激および/または治療法を送達するために使用される。
別の例では、以下により詳細に記載されるように、電極が対として提供されるときには、一部の電極対が他の対とは独立して使用されることが可能になる。一つの特定の例では、電極および/または電極の対が列に設けられることができ、それにより測定を行ごとに行うことができるが、これは必須ではなく、他の群分けが使用されることもできる。
基材および/または微細構造体の性質は、好ましい実施態様に応じて変動する。例えば、基材および/または微細構造体は、布、織布、電子布、天然繊維、絹、有機材料、天然複合材料、人工複合材料、セラミック、ステンレス鋼、セラミック、ステンレス鋼、チタンまたは白金などの金属、ドープされたポリマーを含む剛性または半剛性プラスチックなどのポリマー、シリコンまたはドープされた半導体を含む他の半導体、有機シリケート、金、銀、炭素、カーボンナノ材料などから作製されるかまたはこれらを含有しうる。基材および微細構造体は、類似するおよび/または類似しない材料から作製されることもでき、一体的に形成され、または別々に作製されて一緒に結合されることもできる。微細構造体は、一つ以上の基材上に提供されることもできるため、例えば別々の基材上の微細構造体間で信号が測定または印加されることもできる。
使用される具体的な材料は、意図される用途に応じ、したがって、例えば微細構造体が絶縁性と比べて伝導性である必要がある場合には異なる材料が使用されることが理解されよう。ポリマーおよびプラスチックなどの絶縁材料は、例えばマイクロまたはナノサイズの金属粒子でドープすることにより必要な伝導性を提供するようにドープされることもでき、またはPEDOT:PSS(ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレン)などの伝導性複合ポリマーが使用されることもできる。ドーピングが用いられる場合には、グラフェンなどの2D材料およびカーボンナノチューブを含むグラファイトまたはグラファイト派生物の使用を伴い得、これらの材料はスタンドアロン材料として、またはポリマーまたはプラスチックとブレンドしてドーパントとしても使用可能である。
基材および微細構造体は、任意の適切な技術を用いて製造されることができる。例えばシリコンベースの構造体の場合、これはエッチング技術を用いて行われることもできる。ポリマーまたはプラスチック構造体は、3D印刷などの付加製造または成形を用いて製造されることもできる。一つの特定の例では、モールドが活性化合物などの材料および/もしくはカルボキシメチルセルロース(CMC)などの糖ベースの賦形剤、または一つ以上のポリマーなどを含有する溶液などの適切な充填材料で充填され、これがその後硬化され、除去される。以下でより詳細に論じられるように、充填材料は構造内に含有されるべき任意の必要なプローブ、試薬などを含みうることも理解されよう。SU8を含むフォトレジストまたはポリイミドなどの感光性ポリマーが、基材上に電極を直接パターニングするためまたは微細構造体を作製するために使用されてもよい。感光性レジスト、ポリマー、金属などの連続層を堆積および/または選択的に除去して、特注の3D微細構造体の形状を産出することができる。
一例では、基材を対象の形状に適合させ、それにより生きた表皮、および/もしくは真皮または他の機能的バリアへの微細構造体の貫通を保証するために、基材は少なくとも部分的に可撓性とすることもできる。この例では、基材は、電極および回路が織り込まれたテキスタイルまたは布であることも考えられ、または複数の基材が可撓性バッキングに装着されて、セグメント化された基材装備が提供されることもできる。あるいは、基材は、剛性でありながらも微細構造体の貫通を保証するように、対象の形状に適合するように成形されることもできる。
好ましい例では、基材および微細構造体は、金属、ポリマーまたはシリコンのうちの一つ以上から形成される。
微細構造体は、様々な形状を有し得、畝、針、プレート、ブレード等を含みうる。この点に関し、プレートおよびブレードという用語は、幅が長さと類似の規模のサイズであるがかなり薄い微細構造体を指すために互換可能に使用される。微細構造体は、対象への挿入を容易にするためにテーパ状にされることができ、例えば使用目的に応じて異なる断面形状を有することができる。微細構造体は通常、角丸長方形の形状を有し、微細構造体の長さに沿った形状変化を含みうる。例えば微細構造体は、貫通の深さを制御するために角質層に当接するように構成されたショルダ、ならびに/または先端まで延びるシャフトであって、対象内の先端の位置を制御し、および/もしくは電極のための表面を提供するように構成されるシャフトを含むこともできる。
他の形状の例には、円形、長方形、十字形の形状、正方形、角丸正方形、角丸長方形、楕円形などが含まれ、これらは表面積の増加を可能にすることができ、これは被覆体積ひいては微細構造体あたりの送達される搭載物の量を最大化するように微細構造体を被覆する際に有用であるが、他の様々な形状が使用されることもできることが理解されよう。微細構造体は、粗い表面もしくは滑らかな表面を有することができ、または表面積を増加させ、および/もしくは組織を貫通または係合し、それによって微細構造体を対象内に固着するのを助けうる細孔、隆起部分、鋸歯状部などの表面特徴部を含んでもよい。これは、例えばバイオフィルムの接着ひいては蓄積を妨げることによって、バイオファウリングを低減するのを助けることもできる。微細構造体は、中空または多孔質であることも考えられ、穴などの内部構造体を含み得、その場合には断面形状も少なくとも部分的に中空でありうる。特定の実施形態では、微細構造体は多孔質であり、それにより微細構造体の有効表面積が増加しうる。細孔は、目的の分析物が細孔に入るのを可能にするが、一つ以上の他の分析物または物質を排除する任意の適切なサイズであり得、したがって目的の分析物のサイズに応じる。一部の実施形態では、細孔は直径が約10μm未満、好ましくは直径が約1μm未満でありうる。
一例では、微細構造体は、微細構造体を通って横方向に延び、基材に対して平行であるがオフセットされた平面を通る断面で見たときに、角丸長方形の形状を有する。微細構造体は、微細構造体の長さに沿った形状変化を含みうる。例えば微細構造体は、貫通の深さを制御するために角質層に当接するように構成されたショルダ、ならびに/または先端まで延びるシャフトであって、対象内の先端の位置を制御し、および/もしくは電極のための表面を提供するように構成されるシャフトを含むこともできる。
共通の基材上に異なる微細構造体が提供されることもでき、例えば異なる機能を達成するために異なる形状の微細構造体を提供することもできる。一例では、これは異なるタイプの測定を行うことを含みうる。他の例では、異なる基材上に微細構造体が提供されることもでき、例えばあるパッチ上の微細構造体を介して検知を行い、異なるパッチ上の微細構造体を介して治療法の送達を行えるようにすることもできる。この例では、これにより治療法パッチを使い切ったときに交換することが可能になり、その一方で検知パッチはインサイチュにとどめることもできる。加えて、パッチ間で測定を行うこともでき、例えば対象上の異なる位置に提供されたパッチ間で全身のインピーダンス測定を行うこともできる。
加えておよび/または代わりに、基材を対象に固着するために使用できるアンカ微細構造体が提供されうる。この点に関し、アンカ微細構造体は通常、長さが微細構造体より長いと考えられ、これは基材を対象上の適所に保持し、測定中に基材が動かないこと、または不用意に除去されないことを保証するのに役立ちうる。アンカ微細構造体は、組織の係合を助けることができる隆起部分などのアンカリング構造体を含むことができ、これらは微細構造体の形状および/または被覆の形状によって形成されうる。加えて被覆は、対象内の水分に曝露されるとまたは刺激が印加されると膨張し、それによって対象との係合をさらに容易にするヒドロゲルまたは他の類似の材料を含みうる。同様に、微細構造体は、対象内の水または水分などの物質への曝露に応答して、または印加された刺激に応答して膨潤などの形状変化を受けうる。アンカ微細構造体は皮膚に適用されると真皮に入ることができ、したがって他の微細構造体より長く、基材を適所に保持するのに役立つが、これは必須ではなく、好ましい実施態様に応じることが理解されよう。他の例では、アンカ微細構造体は他の微細構造体より粗く、他の微細構造体より表面摩擦が大きく、他の微細構造体より鈍く、または他の微細構造体より太い。
さらなる例では、基材ひいてはパッチが対象に接着することを可能にするために、基材の少なくとも一部が接着被覆で被覆されうる。
前述のように、微細構造体は皮膚に適用されると通常は生きた表皮に入り、一例では真皮に入らないが、他の例では真皮に入りうる。しかし、これは必須ではなく、一部の用途では微細構造体が真皮に入り、主に行われる検知の性質に応じて例えば生きた表皮/真皮の境界を通って短く突出し、または真皮にかなりの距離入ることが必要でありうる。一例では、皮膚の場合、微細構造体は2500μm未満、1000μm未満、750μm未満、600μm未満、500μm未満、400μm未満、300μm未満、250μm未満、100μm超、50μm超および10μm超のうちの少なくとも一つである長さを有するが、他の長さが使用されることもできることが理解されよう。より一般的には、微細構造体は機能的バリアに適用されるときには通常、機能的バリアの厚さより大きい、機能的バリアの厚さより少なくとも10%大きい、機能的バリアの厚さより少なくとも20%大きい、機能的バリアの厚さより少なくとも50%大きい、機能的バリアの厚さより少なくとも75%大きい、および機能的バリアの厚さより少なくとも100%大きい長さを有する。
別の例では、微細構造体は、機能的バリアの厚さより2000%だけ大きい、機能的バリアの厚さより1000%だけ大きい、機能的バリアの厚さより500%だけ大きい、機能的バリアの厚さより100%だけ大きい、機能的バリアの厚さより75%だけ大きい、または機能的バリアの厚さより50%だけ大きい長さを有する。これにより、好ましくない可能性のある体内の下層の深い貫通を回避でき、使用される微細構造体の長さは使用目的、および特に突破されるバリアの性質、および/または印加または測定される信号に応じて変動することが理解されよう。微細構造体の長さは不均一とすることもでき、例えばブレードの一端を他端より高くすることができ、これにより対象または機能的バリアの貫通を容易にすることができる。
同様に、微細構造体は、好ましい実施態様に応じて異なる幅を有することができる。通常、幅は、長さの25%未満、長さの20%未満、長さの15%未満、長さの10%未満、または長さの5%未満のうちの少なくとも一つである。したがって例えば、微細構造体は皮膚に適用されるときには50μm未満、40μm未満、30μm未満、20μm未満、または10μm未満の幅を有しうる。しかし、代わりに、微細構造体はブレードを含むこともでき、微細構造体の長さより幅広であることもできる。一部の例では、微細構造体は50000μm未満、40000μm未満、30000μm未満、20000μm未満、10000μm未満、5000μm未満、2500μm未満、1000μm未満、500μm未満または100μm未満の幅を有しうる。ブレードの例では、実質的に基材の幅までの幅を有する微細構造体を使用することも可能である。
一般に、微細構造体の厚さは、貫通を容易にするためにかなり小さく、通常1000μm未満、500μm未満、200μm未満、100μm未満、50μm未満、20μm未満、10μm未満、少なくとも1μm、少なくとも0.5μmまたは少なくとも0.1μmである。一般に、微細構造体の厚さは、機械的要件、特に微細構造体が貫通時に破損、破砕、または変形しないことを保証する必要性によって左右される。しかし、この問題は、微細構造体に追加の機械的強度を加える被覆の使用により軽減できる。
一つの具体例では、表皮検知の場合、微細構造体は、300μm未満、50μm超、100μm超および約150μmの長さ、ならびに微細構造体の長さより大きいかまたは長さと約等しい、通常は300μm未満、50μm超および約150μmである幅を有する。別の例では、真皮検知の場合、微細構造体は、450μm未満、100μm超および約250μmの長さ、ならびに微細構造体の長さより大きいかまたは長さと約等しく、少なくとも長さと類似の規模の、通常は450μm未満、100μm超、および約250μmである幅を有する。他の例では、より長い微細構造体が使用されることもでき、そのため例えばハイパーダーマル検知の場合、微細構造体の長さはより長くなるであろう。微細構造体は通常、幅より小さく、幅よりかなり小さく、幅より小さい規模の厚さを有する。一例では、厚さは50μm未満、10μm超、および約25μmであるが、微細構造体は通常、追加の強度のために広がったベースを含み、したがって厚さの約三倍の、通常は150μm未満、30μm超および約75μmの基材に近接するベース厚さを含む。微細構造体は通常、微細構造体の長さの50%未満、微細構造体の長さの少なくとも10%、より一般的には微細構造体の長さの約30%の長さの先端を有する。先端は、少なくとも0.1μm、5μm未満、および通常は約1μmの鋭さをさらに有する。
一例では、微細構造体は1000/cm2未満、500/cm2未満、100/cm2未満、10/cm2未満、またはさらに5/cm2未満など、10000/cm2未満などの比較的低密度である。比較的低密度の使用により、角質層を通した微細構造体の貫通が容易になり、特に、アレイが正しく適用されるために高出力アクチュエータがさらに必要になりうる高密度アレイによる皮膚の貫通に関連する問題が回避される。しかし、これは必須ではなく、50,000/cm2未満の微細構造体、30,000/cm2未満の微細構造体などを含む、より高密度の微細構造体装備が使用されることもできる。結果として、微細構造体は通常、20mm未満、10mm未満、1mm未満、0.1mm未満、または10μm未満の間隔を有する。状況によっては、微細構造体が対に設けられ、各対の微細構造体は10μm未満などの小さな間隔を有する一方で、低い全体的密度が維持されることを保証するために対同士は1mm超などの大きな間隔を有することに注意しなければならない。しかし、これは必須ではなく、状況によってはより高い密度が使用されうることが理解されよう。
一つの具体例では、微細構造体は、5000/cm2未満、100/cm2超、および約600/cm2の密度であり、1mm未満、10μm超、および約0.5mm、0.2mm、または0.1mmの間隔を生じる。
一例では、光検知が行われるときには、基材の接続部は、微細構造体の一つ以上のポートまで微細構造体を通って延びる導波路、または光ファイバなどの他の電磁伝導性経路を含み、電磁放射線がポートから放出されるかまたはポートを介して受信されることを可能にする。一例ではこれは、微細構造体を、好ましい用途に応じて可視光線、紫外線、赤外線などを含みうる印加または受信される電磁放射線の周波数に対して少なくとも部分的に透過性のポリマーまたは他の類似の材料から作製させるかまたはそれらを含有させることによって達成される。
一例では、少なくとも部分的に電磁透過性のコアが外側電磁不透過層によって取り囲まれ、ポートが不透過層を通って延び、ポートを介して電磁放射線が放出または受信されることを可能にすることができる。この例では、ポートの適切な配置によって放射線が的を絞った様式で送達または受信されることができ、例えばこれを生きた表皮内の特定の深さに、または他の場所に向けることができることが理解されよう。一例では、透過性コアは、光ファイバケーブルなどの導波路またはその一部から作製されることもできる。例えば、外側層および/または反射層を除去して、微細構造体の透過性コアを光ファイバコアで作製できるようにすることもできる。さらなる例では、微細構造体は、電磁放射線が指定されたポートとの間で伝導されることを可能にする電磁反射層を含む。
同様の装備が電気信号送信のために提供され、微細構造体は、電気伝導性材料を含み、電気信号がポートから放出されることまたはポートによって受信されることを可能にするポートを含む電気絶縁層を任意に含み、ここでもポートは異なる位置および/または深さで電気信号を測定できるように任意に異なる深さにあるようにすることもできる。
したがって微細構造体は、非伝導性(絶縁)層によって少なくとも部分的に覆われた電気伝導性材料を含み、開口部がコアへのアクセスを提供して開口部を通じた電気信号の伝導を可能にし、それによって電極を規定することもできる。一例では、絶縁層は、基材に隣接する微細構造体の近位端を含む微細構造体の表面の一部にわたって延びる。絶縁層は、微細構造体の長さの少なくとも半分、および/または微細構造体の近位端の約60μm、90μmもしくは150μm、ならびに任意に微細構造体の先端部分の少なくとも一部にわたって延びうる。一つの具体例では、これは非絶縁部分が表皮および/または真皮内に提供されて、表皮および/もしくは真皮に刺激信号が印加され、ならびに/または表皮および/もしくは真皮から応答信号が受信されるように行われる。絶縁層はまた、基材の表面の一部または全部にわたって延びることもできる。この点に関し、一部の例では接続部が基材の表面上に形成され、その場合にはこれらを対象から絶縁するために被覆が用いられうる。例えば、基材の表面上の電気トラックを使用して電極への電気接続部が提供され、接続部が測定される応答信号にさらに悪影響を与えうる対象の皮膚との電気接触を生じないことを保証するために接続部の上に絶縁層が提供されることもできる。
微細構造体は、微細構造体全体が電極を構成するように金属または他の伝導性材料から作製されることもでき、あるいは、例えば金の層を堆積して電極を形成することによって電極が微細構造体上に被覆または堆積されることもできる。さらなる例では、微細構造体は、非伝導性層で覆われた電気導電性コアを含み、開口部がコアへのアクセスを提供して開口部を通じた電気信号の伝導を可能にすることもできる。電極材料は、金、銀、コロイド銀、コロイド金、コロイド炭素、カーボンナノ材料、白金、チタン、ステンレス鋼、もしくは他の金属、または任意の他の生体適合性伝導性材料のうちのいずれか一つ以上を含みうる。
電極は、対象に電気信号を印加し、例えばECGまたはインピーダンスを測定するなど、内因性または外因性応答電気信号を測定するために使用されうる。別の例では、一つ以上の微細構造体電極は、応答信号が一つ以上の目的の分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度に依存するように一つ以上の目的の分析物と相互作用し、それにより一つ以上の分析物のレベルまたは濃度を定量化することを可能にする。
一例では、微細構造体は、上に電極を有する実質的に平面状の面を有するプレートを含む。プレート形状の使用は電極の表面積を最大化する一方で、微細構造体の断面積を最小化し、それにより微細構造体の対象への貫通を助ける。これにより電極が容量性プレートとして働くことも可能になり、容量検知を行うことが可能になる。一例では、電極は、少なくとも10mm2、少なくとも1mm2、少なくとも100,000μm2、10,000μm2、少なくとも7,500μm2、少なくとも5,000μm2、少なくとも2,000μm2、少なくとも1,000μm2、少なくとも500μm2、少なくとも100μm2、または少なくとも10μm2の表面積を有する。一例では、電極は、最大2500μm、少なくとも500μm、少なくとも200μm、少なくとも100μm、少なくとも75μm、少なくとも50μm、少なくとも20μm、少なくとも10μmまたは少なくとも1μmの幅または高さを有する。ブレード上に提供される電極の場合、電極の幅は、前に概説した幅も含めて、50000μm未満、40000μm未満、30000μm未満、20000μm未満、10000μm未満、または1000μm未満でありうる。この点に関し、これらの寸法は個々の電極に当てはまり、一部の例では各微細構造体が複数の電極を含みうることに注意しなければならない。
一つの具体例では、電極は、200,000μm2未満、少なくとも2000μm2および約22,500μm2の表面積を有し、電極は微細構造体の遠位部分の長さにわたって延び、任意に先端から離間され、任意に微細構造体の遠位端に近接して、微細構造体の先端に同様に近接して配置される。電極は、微細構造体の長さの少なくとも25%および50%未満にわたって延びうるため、電極は通常、微細構造体の約60μm、90μmまたは150μmにわたって延び、したがって使用時に対象の生きた表皮および/または真皮内に配置される。
一例では、微細構造体の少なくともいくつかは、対などの群で設けられ、応答信号または刺激が群内の微細構造体から測定されるかまたは群内の微細構造体に印加される。群内の微細構造体は、特定の測定が行われることを可能にする特定の構成を有することができる。例えば、対に設けられる場合には、分離距離を用いて行われる測定の性質に影響を与えることができる。例えばバイオインピーダンス測定を行うときには、微細構造体間の分離が数ミリメートルより大きい場合、これは電極間に位置する間質液の特性を測定する傾向がある一方で、微細構造体間の距離を減少させると、測定は微細構造体の表面に結合した材料の存在などの表面特性の影響をより受けるようになる。測定は、印加される刺激の性質によっても影響を受けるため、例えば低周波数の電流は細胞外液を通って流れる傾向がある一方で、より高周波数の電流は細胞内液の影響より受ける。
一つの特定の例では、プレート微細構造体が対で提供され、各対は対向する実質的に平面状の電極を有する離間されたプレート微細構造体を含む。これは、電極間の領域で対象中に非常に均一な場を生成するため、および/または電極間の物質の容量または伝導性検知を行うために使用されることができる。しかし、これは必須ではなく、中心電極の周りに複数の電極を円周方向に離間するなどの他の構成が使用されうる。通常、各群内の電極間の間隔は典型的に50mm未満、20mm未満、10mm未満、1mm未満、0.1mm未満または10μm未満であるが、微細構造体が複数の基材に分散される場合には、基材の寸法までの間隔および/またはそれ以上の間隔を含む、より大きな間隔が使用されることもできることが理解されよう。
したがって、一つの具体例では、微細構造体の少なくともいくつかが対に設けられ、応答信号が対内の微細構造体間で測定され、および/または刺激が対内の微細構造体間で印加される。各微細構造体の対は通常、対向する実質的に平面状の電極を有する離間されたプレート微細構造体、および/または離間された実質的に平行なプレート微細構造体を含む。
一例では、少なくともいくつかの微細構造体の対は角度がオフセットされ、一つの特定の例では直交して設けられる。したがって、プレート微細構造体の場合、少なくともいくつかの微細構造体の対は、異なった任意に直交する方向に延びる。これは、パッチの挿入に関連する応力を異なる方向に分散し、プレートが少なくとも部分的に任意の横力の方向に面することを保証することによってパッチの横向きの滑りを減らすようにも働く。挿入中または挿入後の滑りを減らすことは、不快感、紅斑などを減らすのに役立ち、パッチを長期間快適に着用できるようにするのを助けうる。加えてこれは、例えば皮膚内のフィブリンの構造、細胞異方性などの結果としての組織内の任意の電気的異方性を斟酌するのにも役立ちうる。
一つの具体例では、隣接する微細構造体の対は角度がオフセットされ、および/または直交して設けられ、加えておよび/または代わりに、微細構造体の対は列に設けられることができ、一つの列の微細構造体の対は他の列の微細構造体の対に対して直交して設けられるかまたは角度がオフセットされる。
一つの具体例では、微細構造体の対が使用されるときには、各対内の微細構造体間の間隔は通常0.25mm未満、10μm超、および約0.1mmである一方で、微細構造体の群間の間隔は通常1mm未満、0.2mm超、および約0.5mmである。このような装備は、電気信号が主に対内で印加および測定されることを保証するのに役立ち、対間のクロストークを低減して、微細構造体/電極の対ごとに独立した測定が記録されることを可能にする。
電極対のアレイを作るには、これは第一微細構造体と対応する第一口とを有する第一基材を製造することによって行われることができる。次に、第一微細構造体と反対の第一基材の側に絶縁層が提供された後、第二基材が絶縁層上に提供される。この例では、第二基材は、絶縁層および第一口を通って延びて第一および第二微細構造体の対を形成する第二微細構造体を有し、この例が以下でより詳細に説明される。一例では、第一および第二口は、第一および第二基材の間の容量連結を低減するためにオフセットされる。あるいは、基材間の容量連結のための他の機構が使用されうる。
微細構造体は、一つ以上の目的の分析物と相互作用し、特に結合してこれらを検出することを可能にするために構成されることができる。特に、一例では、一つ以上の分析物の微細構造体への結合は電荷輸送能力を変更し得、さらに電極対のキャパシタンスの変化をもたらすため、これをさらにモニタして分析物のレベルまたは濃度を導出することができる。分析物の結合は、細孔もしくは他の物理的構造体の存在などの微細構造体の機械的特性、微細構造体が製造される材料の選択、被覆の使用、または磁性微細構造体を使用するなどその他のやり方で微細構造体の特性に影響を与えることを含む、様々な技術を用いて達成することができる。
加えて、微細構造体および/または基材は、微細構造体の本体内に、または添加剤を含有する被覆の追加を通じて、一つ以上の材料または他の添加剤を組み込むことができる。材料または添加剤の性質は好ましい実施態様に応じて変動し、生体活性材料、対象中の分析物と反応するための試薬、目的の分析物と結合するための結合剤、一つ以上の目的の分析物を結合するための材料、目的の分析物を選択的に標的とするためのプローブ、バイオファウリングを低減する材料、少なくとも一つの物質を微細構造体に引き付ける材料、少なくとも一つの物質を微細構造体から反発もしくは排除する材料、少なくともいくつかの分析物を微細構造体に引き付ける材料、または分析物を反発もしくは排除する材料を含みうる。この点に関し、物質は、細胞、流体、分析物などのうちのいずれか一つ以上を含みうる。材料の例には、ポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、双性イオン、ペプチド、ヒドロゲル、および自己組織化単分子膜が含まれる。
材料は、例えば製造中に微細構造体を含浸することによって微細構造体自体の中に含有されることができ、微細構造体が形成される材料であることができ、または被覆中に提供されることもできる。したがって、微細構造体の少なくともいくつかは、一つ以上の目的の分析物を結合するための材料などの被覆で被覆されることができ、これを特定の目的の分析物を標的とするために使用して、これらの分析物が微細構造体に結合または他のやり方で付着することを可能にすることができ、その結果これらの分析物をその後、光学的特性または電気的特性の変化を検出することによってなど適切な検出機構を使用してインサイチュで検出できることが理解されよう。
一部の実施形態では、材料または添加剤は、一つ以上の目的の分析物を結合するための材料である。
特定の実施形態では、材料は、アプタマー、特に複数のアプタマーである。特定の実施形態では、アプタマーは、微細構造体上の被覆である。
アプタマーの同一性は、具体的な目的の分析物および検出方法に応じる。当業者は、それぞれの目的の分析物および検出方法に適したアプタマーを容易に同定し、使用することができるであろう。アプタマーは、目的の分析物と相互作用または結合し、分析物の結合時にコンフォメーションが変化するものである。例えば、一部の実施形態では、アプタマーは、分析物結合の不存在時の第一コンフォメーションと、分析物結合時の第二コンフォメーションとを有する。
一部の実施形態では、第二コンフォメーションの結果、アプタマーの一部分(例えば3’または5’末端などのアプタマーの第一末端)が第一コンファメーションより微細構造体(および電極)に近くなる(すなわち第二コンフォメーションではアプタマーの当該部分と微細構造体との間の間隔が減少する)。代替的実施形態では、第二コンファメーションの結果、アプタマーの一部分が第一コンフォメーションより微細構造体(および電極)から遠くなる(すなわち第二コンファメーションではアプタマーの当該部分と微細構造体との間の間隔が増加する)。このようなアプタマーの当該部分と微細構造体との間の近接度の変化はさらに、例えば第一末端などのアプタマーの関連部分に付着または近接するレドックス部分または蛍光標識などの標識部分を使用して検出されうる。特定の実施形態では、アプタマーの当該部分は、好ましくはアプタマーの第二末端(例えば3’末端)が微細構造体に直接的または間接的にコンジュゲートまたは他のやり方で付着したときの、アプタマーの第一末端(例えば5’末端)である。したがって、一部の実施形態では、第二コンフォメーションの結果、アプタマーの第一末端が第一コンフォメーションより微細構造体に近くなるか、あるいはアプタマーの第一末端が第一コンフォメーションより微細構造体から遠くなる。その結果、例えばアプタマーが第一コンフォメーションにあるときに第一信号が生じ、アプタマーが第二コンフォメーションにあるときに第二信号が生じ得、ここで第一信号は第二信号以外のものである(すなわち第一信号と第二信号とは異なる)。
任意の構造のアプタマーが企図されるが、特定の実施形態では、アプタマーは、ステムループヘアピン構造を含むかまたはそれからなる。
適切なアプタマーは当技術分野で周知であるか、またはアプタマー選択の技術分野で周知の様々な方法を用いて同定されうる。
例えば、適切なアプタマーは、ネガダリー(Negahdary)ら(2018)ジャーナルオブバイオメディカルフィジックスアンドエンジニアリング(J Biomed Phys Eng)、8(2):167‐178、ジョー(Jo)ら(2015)アナリティカルケミストリー(Anal Chem)、87:9869‐9875、米国特許出願公開第2012/0316326(A1)号、中国特許第102703455(A)号、韓国特許第20160021488(A)号、米国特許出願公開第2019/0219595(A1)号、フェフィファーおよびメイヤー(Pfefiffer and Mayer)(2016)フロンティアズインケミストリー(Front Chem)、4:25、国際公開第2017/210683(A1)号、中国特許第102660547(A)号、国際公開第2017/210683(A1)号、中国特許第105136754(A)号、国際公開第2012/130948(A1)号、米国特許第5582981号、米国特許第5595877号、米国特許出願公開第2018/0327746(A1)号、欧州特許第2532749(B1)号、米国特許出願公開第2012/0135540(A1)号、中国特許第105349545(A)号、米国特許出願公開第2011/0318846(A1)号、中国特許第104745585(A)号、ストヤノヴィチ(Stojanovic)ら(2000)ジャーナルオブアメリカンケミカルソサエティ(J Am Chem Soc)、122:11547‐11548、国際公開第2015/197706(A1)号、国際公開第2019/094315(A1)号、または米国特許出願公開第2017/0233738(A1)号に記載されるアプタマーを含みうるがこれに限定されず、これらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態では、アプタマーは、トロポニン選択的アプタマーであり、その代表的な例には、ネガダリー(Negahdary)ら(2018)ジャーナルオブバイオメディカルフィジックスアンドエンジニアリング(J Biomed Phys Eng)、8(2):167‐178、ジョー(Jo)ら(2015)アナリティカルケミストリー(Anal Chem)、87:9869‐9875、米国特許出願公開第2012/0316326(A1)号、中国特許第102703455(A)号、韓国特許第20160021488(A)号、および米国特許出願公開第2019/0219595(A1)号に記載されるものが含まれ、これらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態では、アプタマーは、AGTCTCCGCTGTCCTCCCGATGCACTTGACGTATGTCTCACTTTCTTTTCATTGACATGGGATGACGCCGTGACTG[配列番号1]、CGTGCAGTACGCCAACCTTTCTCATGCGCTGCCCCTCTTA[配列番号2]、AGTCTCCGCTGTCCTCCCGATGCACTTGACGTATGTCTCACTTTCTTTTCATTGACATGGGATGACGCCGTGACTG[配列番号3]、CGTGCAGTACGCCAACCTTTCTCATGCGCTGCCCCTCTTA[配列番号4]、CGCATGCCAAACGTTGCCTCATAGTTCCCTCCCCGTGTCC[配列番号5]、TCACACCCTCCCTCCCACATACCGCATACACTTTCTGATT[配列番号6]、CCCGACCACGTCCCTGCCCTTTCCTAACCTGTTTGTTGAT[配列番号7]、ATGCGTTGAACCCTCCTGACCGTTTATCACATACTCCAGA[配列番号8]、CGTGCAGTACGCCAACCTTTCTCATGCGCTGCCCCTCTTA[配列番号9]、CAACTGTAATGTACCCTCCTCGATCACGCACCACTTGCAT[配列番号10]、CGCATGCCAAACGTTGCCTCATAGTTCCCTCCCCGTGTCC[配列番号11]、およびAGTCTCCGCTGTCCTCCCGATGCACTTGACGTATGTCTCACTTTCTTTTCATTGACATGGGATGACGCCGTGACTG[配列番号12]、TCACACCCTCCCTCCCACATACCGCATACACTTTCTGATT[配列番号13]、CCCGACCACGTCCCTGCCCTTTCCTAACCTGTTTGTTGAT[配列番号14]、ATGCGTTGAACCCTCCTGACCGTTTATCACATACTCCAGA[配列番号15]、CGTGCAGTACGCCAACCTTTCTCATGCGCTGCCCCTCTTA[配列番号16]、CAACTGTAATGTACCCTCCTCGATCACGCACCACTTGCAT[配列番号17]、CGCATGCCAAACGTTGCCTCATAGTTCCCTCCCCGTGTCC[配列番号18]、TCACACCCTCCCTCCCACATACCGCATACACTTTCTGATT[配列番号19]、CCCGACCACGTCCCTGCCCTTTCCTAACCTGTTTGTTGAT[配列番号20]、ATGCGTTGAACCCTCCTGACCGTTTATCACATACTCCAGA[配列番号21]、CAACTGTAATGTACCCTCCTCGATCACGCACCACTTGCAT[配列番号22]、CGTGCAGTACGCCAACCTTTCTCATGCGCTGCCCCTCTTA[配列番号23]、CGCATGCCAAACGTTGCCTCATAGTTCCCTCCCCGTGTCC[配列番号24]、GGGATGGGGTGGGTGGCCAGCGATT[配列番号25]、およびTTAGGGGTGGTGTGGTTGGCAATTC[配列番号26]、特に配列番号1からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる。
本発明は、本明細書に提供される配列の変異体も企図する。したがって、一部の実施形態では、アプタマーは、配列番号1~26のいずれか一つ、特に配列番号1のヌクレオチド配列に対して少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる。
二つの核酸配列間の配列同一性のパーセンテージを判定するために、配列が最適な比較目的のためにアライメントされる(例えば最適なアライメントのために第一および第二核酸配列の一方または両方にギャップが導入されることができ、比較目的のために非相同配列は無視されうる)。一部の実施形態では、比較目的のためにアライメントされる参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも40%、より一般的には少なくとも50%または60%、さらにより一般的には少なくとも70%、80%、90%または100%である。次に、対応するヌクレオチド位置のヌクレオチドが比較される。第一配列のある位置が第二配列の対応する位置で同じヌクレオチドによって占められる場合、分子はその位置で同一である。
配列の比較および配列間のパーセント同一性の判定は、数学的アルゴリズムを使用して達成されることができる。ある実施形態では、核酸配列間のパーセント同一性は、GCGソフトウェアパッケージ(デヴロー(Devereaux)ら(1984)ヌクレイックアシッドリサーチ(Nucleic Acids Research)、12:387‐395)のGAPプログラムに組み込まれているニードルマン‐ブンシュ(Needleman and Wuensch)、(1970、ジャーナルオブモレキュラーバイオロジー(J.Mol.Biol.)、48:444‐453)アルゴリズムを用いて、Blosum62行列またはPAM250行列のいずれか、ならびに16、14、12、10、8、6、または4のギャップ重量および1、2、3、4、5、または6の長さ重量を使用して判定される。一部の実施形態では、核酸配列間のパーセント同一性は、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているメイヤーズ‐ミラー(Meyers and Miller)(1989、カビオス(Cabios)、4:11‐17)のアルゴリズムを使用して、PAM120重量残基表、12のギャップ長ペナルティおよび4のギャップペナルティを使用して判定されうる。
あるいは、指数関数的濃縮によるリガンドの系統的進化(SELEX:Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)技術(例えば米国特許第5475096号および米国特許第5270163号に記載される)ならびに国際公開第2019/067383(A1)号、米国特許第5582981号、米国特許第5595877号、および米国特許第5637459号に記載される方法を含む、アプタマー選択の技術分野で知られる様々な方法を用いて適切なアプタマーが同定および調製されることができ、それらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、アプタマーはSELEX技術を用いて同定および調製されうる。簡潔に言うと、この方法は、オリゴヌクレオチドの大きなランダムなプールを標的、例えばタンパク質などの分析物に対する負および正の選択ラウンドに体系的に供して、低親和性または非特異的バインダーを除去することを含みうる。残ったアプタマーを収集して増やし、例えばPCR増幅し、その後の選択ラウンドで使用しうる。
一部の実施形態では、アプタマーの安定性を改善することが所望されうる。アプタマーの末端をキャッピングすること、天然に生じるヌクレオチドを非天然ヌクレオチド(例えば2’‐フルオリン置換ピリミジン、2’‐アミノピリミジン、ならびに2’‐O‐メチルリボースプリンおよびピリミジンなどの2’‐F、2’‐OCH3、2’‐H、2’‐OHまたは2’‐NH2修飾ヌクレオチド)で置換すること、ホスホロチオエート、メチルホスホネートまたはトリアゾールリンケージなどの非天然ヌクレオチド間リンケージを使用すること、改変された糖部分を使用すること、ビオチンなどの分子を3’末端にコンジュゲートすること、インバートチミジン(dT)による3’末端のキャッピング、タンパク質様側鎖を例えばデオキシウリジン(dU)の5位(例えば5‐(N‐ベンジルカルボキシアミド)‐2‐デオキシウリジン)などのヌクレオチドにコンジュゲートすること、完全に非天然L‐リボ核酸バックボーンから構成される「シュピーゲルマー」を開発するなどを含む、いくつかのアプローチが当技術分野で知られる。さらなるアプローチは、例えばシュアイジャン(Shuaijian)ら(2017)インターナショナルジャーナルオブモレキュラーサイエンス(Int J Mol Sci)、18(8):1683に記載され、その内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
アプタマーは、目的の分析物に対するアプタマーの感度および結合キネティクスを増加させるように修飾されてもよい。アプタマーの安定性を改善するためのアプローチの一つ以上、特にタンパク質様側鎖を例えばデオキシウリジン(dU)の5位(例えば5‐(N‐ベンジルカルボキシアミド)‐2‐デオキシウリジン)などのヌクレオチドにコンジュゲートすることが、この結果をもたらしうることに注意されたい。目的の分析物に対するアプタマーの感度および結合キネティクスを増加させるためのさらなる修飾は、ポピュレーションシフト、アロステリー、マッチされた受容体セット、細胞内陥入および協同性を含む、リッチ(Ricci)ら(2016)アカウンツオブケミカルリサーチ(Acc Chem Res)、49(9):1884‐1892に記載される方法を使用して達成されうる。本発明によって企図されるさらなるアプローチは、分析物の結合時に一緒に結合してアプタマーを回復間隔を超えて第二構成に保持するアプタマーの末端に付着させられる相補的プライマーなどアプタマーを第二構成で保持してアプタマーの回復時間を延長する保持構造体、および分析物の結合前にプライマーが一緒に結合するのを防ぐアプタマーに結合される少なくとも一つのブロッカー、または分析物の結合時に互いに相互作用してアプタマーを回復間隔を超えて第二構成で保持する官能基を付着させること含みうる。そのようなアプローチは、国際公開第2018/031559(A1)号に記載され、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態では、アプタマーは、官能基または化合物など、好ましくは共有結合を介して微細構造体の表面上にアプタマーを付着または固定化するための部分を含む。微細構造体の表面上にアプタマーを付着または固定化するための適切な部分には、チオール、アミン、カルボン酸、アルコール、カルボジイミド、ナフィオン、アビジン、ビオチン、アジドなど、特にチオールが含まれるが、これらに限定されない。当該部分はアプタマーに直接付着させうるが、一部の実施形態では、当該部分は、C1~C20アルキル、特にC6もしくはC11アルキル、とりわけC6アルキルリンカー(すなわち(CH2)6リンカー)を含むアルキル鎖、ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー、またはDNAおよびRNA配列を含む核酸配列などのリンカーを介してアプタマーに付着させられる。特定の実施形態では、リンカーは、C1~C20アルキル、特にC6またはC11アルキル、とりわけC6アルキルリンカー(すなわち(CH2)6リンカー)などのアルキル鎖である。適切なリンカーおよびそのようなリンカーを産出するための合成経路は、ライ(Lai)ら(2006)ラングミュア(Langmuir)、22:10796‐10800など当技術分野で知られ、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
アプタマーは、化学合成など当技術分野で標準的なオリゴヌクレオチド合成技術を用いて調製されうる(例えばイタクラ(Itakura)ら(1984)アニュアルレビューオブバイオケミストリー(Ann Rev Biochem)、53:323‐356を参照されたい)。アプタマーは、米国特許第5475096号および米国特許第5270163号に記載されるようにSELEX技術を使用して調製されたアプタマーの増幅(例えばPCR)、ならびに国際公開第2019/067383(A1)号、米国特許第5582981号、米国特許第5595877号、および米国特許第5637459号に記載される方法によっても調製されうる。アプタマーは、バイオニアパシフィック(Bioneer Pacific)、バイオシンセシス(Bio‐synthesis Inc.)、およびトリリンクバイオテクノロジーズ(TriLink Biotechnologies)などいくつかのソースから市販もされている。
アプタマーは、一つ以上の目的の分析物の結合に対して選択的である。アプタマーは、トロポニンまたはそのサブユニット、特にトロポニンIなどの一つ以上の目的の分析物の結合に対して、サンプル中に存在する少なくとも一つの他の物質、好ましくはサンプル中に存在する他の物質の大部分と比較して選択的であるのが好ましい。
一部の実施形態では、アプタマーは、レドックス部分、蛍光標識などのような標識または標識部分を含む。そのような部分は、本明細書で論じられるような分析物の結合時のアプタマーのコンフォメーション変化を検出するのに有用である。
一部の実施形態では、アプタマーはレドックス部分を含む。適切なレドックス部分には、アプタマーにコンジュゲートまたは他のやり方で付着させることができる任意のレドックス可能な化学部分が含まれる。例えば、適切なレドックス部分には、メチレンブルー、フェロセン、ビニルフェロセン、アントラキノン、ナイルブルー、チオニン、アントラキノン‐C5、ダブシル、2,6‐ジクロロフェナール‐インドフェノール、ガロシアニン、ROX、ペンタメチルフェロセン、フェロセン‐C5、ニュートラルレッドおよび西洋ワサビペルオキシダーゼ、特にメチレンブルー、フェロセン、アントラキノンまたはナイルブルー、とりわけメチレンブルーが含まれるが、これらに限定されない。
レドックス部分は、アプタマーへの分析物の結合時に生じるコンフォメーション変化の結果、レドックス部分とアプタマーが上に固定化された微細構造体の電極との間の間隔の検出可能な変化が生じる限り、アプタマー上の任意の適切なポイントで付着させうる。一部の実施形態では、レドックス部分は、第一コンフォメーションと比較して第二コンフォメーション(すなわち分析物の結合時)においてアプタマーが上に固定化された微細構造体の電極に近い(すなわち第二コンフォメーションで間隔が減少している)。代替的実施形態では、レドックス部分は、第一コンフォメーションと比較して第二コンフォメーション(すなわち分析物の結合時)においてアプタマーが上に固定化された微細構造体の電極から遠い(すなわち第二コンフォメーションで間隔が増加している)。例えば、一部の実施形態では、レドックス部分はアプタマーの3’末端または5’末端、特にアプタマーの3’末端に付着させられ、アプタマーは5’末端およびその逆、好ましくは5’末端など反対の末端を通じて微細構造体に付着させられる。理論に拘束されることを望むものではないが、レドックス部分と電極との間の間隔が減少すると、レドックス部分からアプタマーが上に固定化された微細構造体の電極への電子移動が増加し、その逆もまた同様であり、それによって分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度と相関させられうる検出可能な変化が生じることが提案される。
一部の実施形態では、アプタマーは、蛍光標識を含む。適切な蛍光標識には、フルオレセイン、6‐カルボキシフルオレセイン(FAM)、クマリン、ローダミン、5‐TMRIA(テトラメチルローダミン‐5‐ヨードアセタミド)、(9‐(2(または4)‐(N‐(2‐マレイムジルエチル)‐スルホンアミジル)‐4(または2)‐スルホフェニル)‐2,3,6,7,12,13,16,17‐オクタヒドロ‐(1‐H,5H,11H,15H‐キサンテノ(2,‐3,4‐ij:5,6,7‐i’j’)ジキノリジン‐18‐イウム塩)(テキサスレッド)、2‐(5‐(1‐(6‐(N‐(2‐マレイムジルエチル)‐アミノ))‐6‐オキソヘキシル)‐1,3‐ジヒドロ‐3,3‐ジメチル‐5‐スルホ‐2H‐インドール‐2‐イリデン)‐1,3‐プロピルジエニル)‐1‐エチル‐3,3‐ジメチル‐5‐スルホ‐3H‐インドリウム塩(Cy3)、N、N’‐ジメチル‐N‐(ヨードアセチル)‐N’‐(7‐ニトロベンズ‐2‐オキサ‐1,3‐ジアゾール‐4‐イル)エチレンジアミン(IANBDアミド)、N‐((2‐(ヨードアセトキシ)エチル)‐N‐メチル)アミノ‐7‐ニトロベンズ‐2‐オキサ‐1,3‐ジアゾール(IANBDエステル)、6‐アクリロイル‐2‐ジメチルアミノナフタレン(アクリロダン)、ピレン、6‐アミノ‐2,3‐ジヒドロ‐2‐(2‐((ヨードアセチル)アミノ)エチル)‐1,3‐ジオキソ‐1H‐ベンズ(デ)イソキノリン‐5,8‐ジスルホン酸塩(ルシファーイエロー)、2‐(5‐(1‐(6‐(N‐(2‐マレイムジルエチル)‐アミノ)‐6‐オキソヘキシル)‐1,3‐ジヒドロ‐3,3‐ジメチル‐5‐スルホ‐2H‐インドール‐2‐イリデン)‐1,3‐ペンタジエニル)‐1‐エチル‐3,3‐ジメチル‐5‐スルホ‐3H‐インドリウム塩(Cy5)、4‐(5‐(4‐ジメチルアミノフェニル)オキサゾール‐2‐イル)フェニル‐N‐(2‐ブロモアセトアミドエチル)スルホンアミド(Dapoxyl(登録商標)(2‐ブロモアセトアミドエチル)スルホンアミド))、(N‐(4,4‐ジフルオロ‐1,3,5,7‐テトラメチル‐4‐ボラ‐3a,4a‐ジアザ‐s‐インダセン‐2‐イル)ヨードアセトアミド(BODIPY507/545IA)、N‐(4,4‐ジフルオロ‐5,7‐ジフェニル‐4‐ボラ‐3a,4a‐ジアザ‐s‐インダセン‐3‐プロピオニル)‐N’‐ヨードアセチルエチレンジアミン(BODIPY530/550IA)、5‐((((2‐ヨードアセチル)アミノ)エチル)アミノ)ナフタレン‐1‐スルホン酸(1,5‐IAEDANS)、カルボキシ‐X‐ローダミン、5/6‐ヨードアセトアミド(XRIA5,6)、BODIPY‐FL‐ヒドラジド、6‐カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)、シアン蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、および黄色蛍光タンパク質を含むが、これらに限定されない。蛍光量子ドットも企図される。他の適切な蛍光標識には、サーモフィッシャーサイエンティフィック(ThermoFisher Scientific)(2019)分子プローブハンドブック‐蛍光プローブおよび標識技術案内(The Molecular Probes Handbook‐A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies)、2019年9月29日アクセス、<https://www.thermofisher.com/au/en/home/references/molecular‐probes‐the‐handbook.html>に記載されるものが含まれる。
蛍光標識は、アプタマー上の任意の適切なポイントで付着させうる。例えば、一部の実施形態では、蛍光標識は、アプタマーの3’末端または5’末端、特にアプタマーの3’末端で付着させられる。
当業者には、還元、酸化、コンジュゲーションおよび縮合反応などの化学的手段を含む標識部分をアプタマーに付着させるための適切な方法は周知であろう。例えば、チオール反応性基を使用して標識部分、例えば蛍光標識またはレドックス部分をアプタマーに存在する天然のまたは操作されたチオール基に付着させることができる。さらなる例において、アプタマーに存在する反応性基が、蛍光標識のスクシンイミドエステル誘導体を使用して標識されうる。例えばアミンが標識部分の付着のためにアプタマーの所望の位置で導入され得、NHS標識レドックス部分(例えばNHS標識メチレンブルー)が、例えばスクシンイミドエステルカップリングを用いてアプタマーにコンジュゲートされうる。適切な方法は、リュー(Liu)ら(2010)アナリティカルケミストリー(Anal Chem)、82(19):8131‐8136、シャオ(Xiao)ら(2005)アンゲヴァンテケミーインターナショナルエディション(Angew Chem Int Ed)、44:5456‐5459、および米国特許出願公開第2016/0278638(A1)号など、当技術分野で周知であり、これらの全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
標識部分は、自家蛍光または発光標識であってもよい。
標識部分はアプタマーに直接付着させられうるが、一部の実施形態では、標識部分はリンカーを介してアプタマーに付着させられる。例えば、一部の実施形態では、当該部分は、C1~C20アルキル、特にC6もしくはC11アルキル、とりわけC6アルキルリンカー(すなわち(CH2)6リンカー)を含むアルキル鎖、ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー、またはDNAおよびRNA配列を含む核酸配列などのリンカーを介してアプタマーに付着させられる。
一部の実施形態では、蛍光標識は、アプタマーに付着させられる唯一の標識部分であってもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、そのような実施形態では、分析物の結合の結果アプタマーのコンフォメーション変化が生じ、それにより(例えば蛍光標識のコンジュゲーションの変化によって)蛍光の増加、波長シフト、および/または蛍光寿命の増加などの蛍光標識の蛍光の検出可能な変化が引き起こされることが提案される。あるいは、蛍光標識は結合された分析物と相互作用し、その結果蛍光標識の蛍光の減少が生じうる。
代替的実施形態では、アプタマーは、二つの蛍光標識など、二つの標識部分を含む。このような実施形態は、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET:Foerster resonance energy transfer)など、光出力を生成する際に特に適する。そのような実施形態は、アプタマー上の異なるポイントで付着した一対の標識部分(例えば一対の蛍光標識)を利用することができ、一方の標識が供与体分子(第一標識部分)として作用し、他方が受容体分子(すなわちクエンチャー)(第二標識部分)として作用し、受容体分子の吸収スペクトルは供与体分子の蛍光発光スペクトルと重なる。理論に拘束されることを望むものではないが、分析物の結合の結果、アプタマーのコンフォメーション変化が生じ、それにより第一および第二標識部分の近接度が変化し、したがって第一標識部分の蛍光強度および第二標識部分の発光強度が変化することが提案される。一部の実施形態では、第一および第二標識部分は、第一コンフォメーションと比較して第二コンフォメーション(すなわち分析物の結合時)において互いに近くなりうる(すなわち第二コンフォメーションでは間隔が減少している)。そのような実施形態では、第一コンフォメーションと比較して第二コンフォメーションにおいて第一標識部分の蛍光強度が減少し、第二標識部分の発光強度が増加する。代替的実施形態では、第一および第二標識部分は、第一コンフォメーションと比較して第二コンフォメーション(すなわち分析物の結合時)において互いに遠くなりうる(すなわち第二コンフォメーションでは間隔が増加している)。そのような実施形態では、第一コンフォメーションと比較して第二コンフォメーションにおいて第一標識部分の蛍光強度が増加し、第二標識部分の発光強度が減少する。
特定の実施形態では、両方の標識部分が蛍光標識であるのが好ましく、その適切な例は上述した。その例示的な組み合わせには、シアン蛍光タンパク質および黄色蛍光タンパク質、Cy3およびCy5、FAMおよびTAMRAなどが含まれる。代替的実施形態では、第一標識部分(すなわち供与体分子)は蛍光標識であり、第二標識部分(すなわち受容体分子)は非蛍光部分である。適切な非蛍光部分の非限定的な例には、4‐([4‐(ジメチルアミノ)フェニル]‐アゾ)‐安息香酸(DABCYL)、アイオワブラックRQ、4‐(4‐ジメチルアミノフェニルアゾ)ベンゼンスルホン酸(DABSYL)、アイオワブラックFQ、IRDye QC‐1、QXLクエンチャー、BHQ‐1、BHQ‐2およびBHQ‐3を含むブラックホールクエンチャーなどが含まれ、ルレステ(Le Reste)ら(2012)バイオフィジカルジャーナル(Biophysical Journal)、11(6):2658‐2668、およびクリサリおよびクール(Crisalli and Kool)(2011)バイオコンジュゲートケミストリー(Bioconj Chem)、22(11):2345‐2354)に記載される部分が含まれ、これらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
第一および第二標識部分は、アプタマー上の任意のポイントで付着させることができ、第一標識部分と第二標識部分との間の間隔は、第一アプタマーコンフォメーションと第二アプタマーコンフォメーションとで異なる。一部の実施形態では、第一標識部分と第二標識部分との間の間隔は、第一コンフォメーションでは10nm以下であり、第二コンフォメーションでは10nmより大きい。他の実施形態では、第一標識部分と第二標識部分との間の間隔は、第一コンフォメーションでは10nmより大きく、第二コンフォメーションでは10nm以下である。例えば、第一および第二標識部分は、アプタマーの各末端でまたはその近くで、例えば3’および5’末端でまたはその近くで付着させられうる。一部の実施形態では、第一標識部分は3’末端で付着させられ、第二標識部分は5’末端で付着させられ、あるいは第一標識部分は5’末端で付着させられ、第二標識部分は3’末端で付着させられる。
本発明は、受容体分子が、グラフェン、酸化グラフェンなど、微細構造体を形成する材料、または微細構造体上の被覆である実施形態も企図する。
好ましい実施形態では、アプタマーは、微細構造体上の被覆(本明細書ではアプタマー被覆とも呼ばれる)である。被覆中のアプタマーの数および/またはアプタマー密度は、目的の分析物(分析物のサイズおよび検出が予想されるレベルまたは濃度を含む)、本発明のシステムの用途および検出方法に応じる。被覆中のアプタマー密度は、分析物の結合時、特に目的の分析物濃度またはレベルでの分析物の結合時にインピーダンスまたは蛍光の変化などの測定可能な応答を生じる密度でなければならない。一部の実施形態では、被覆中のアプタマー密度は、約1×1010~約1×1014アプタマー分子/cm2、約5×1010~約5×1013アプタマー分子/cm2、約1×1011~約1×1013アプタマー分子/cm2、約5×1011~約5×1012アプタマー分子/cm2の範囲内(およびそれらの間の全ての整数)である。
微細構造体上の被覆として施される場合には、アプタマーは、化学吸着または化学的架橋などの当技術分野において慣例の任意の適切な技術を用いて被覆されうる。例えばこの技術は、微細構造体の表面上にアプタマーを付着または固定化するための部分が微細構造体の表面上に共有結合などを介して付着するのに十分な期間にわたり微細構造体の表面をアプタマーと接触させることを含みうる。適切な非限定的な方法には、金の微細構造体上のチオール化アプタマーの化学吸着、アビジン修飾微細構造体へのビオチン化アプタマーの付着、アルキン修飾微細構造体へのアジド末端アプタマーの固定化、機能化された微細構造体のカルボキシル基へのアミンカップリングによるアミン末端アプタマーの共有結合による固定化、グルタルアルデヒドを用いたアミン基を含む機能化された微細構造体へのアミン末端アプタマーの共有結合による固定化などが含まれうる。例示的な方法は、シャオ(Xiao)ら(2007)ネイチャープロトコルズ(Nat Protocols)、2(11):2875‐2880、ネガダリー(Negahdary)ら(2018)ジャーナルオブバイオメディカルフィジックスアンドエンジニアリング(J Biomed Phys Eng)、8(2):167‐178、およびミシュラ(Mishra)ら(2018)バイオセンサーズ(Biosensors)、8(2):28に記載される。アプタマーは、アプタマーの任意の適切なポイント、特にアプタマーの3’または5’末端、とりわけ5’末端を通じて微細構造体に付着させられうる。
他の実施形態では、材料は分子インプリントポリマーである。
分子インプリントポリマーの同一性は、具体的な目的の分析物および検出方法に応じる。当業者は、それぞれの目的の分析物に適した分子インプリントポリマーを容易に同定し、使用することができるであろう。例えば、適切な分子インプリントポリマーには、アミン、スルフィド、スルフヒドリル、アミド、カルボニルまたはカルボキシル基などの目的の分析物と結合または相互作用するための一つ以上の官能基を含むモノマーから形成されるものが含まれる。一部の実施形態では、分子インプリントポリマーは、一つ以上のアミンおよび/またはカルボキシル基を含む一つ以上のモノマーから形成される。
例えば、適切なモノマーには、アミノチオフェノール(p‐アミノチオフェノールおよびo‐アミノチオフェノールを含む)、メタクリル酸、ビニルピリジン、アクリルアミド、アミノフェノール(o‐アミノフェノールおよびp‐アミノフェノールを含む)、1,2‐ジメチルイミダゾール、ジメトリダゾール、o‐フェニレンジアミン、4‐アミノ‐5‐ヒドロキシ‐2,7‐ナフタレンジスルホン酸、ピロール、アミノベンゼンチオール‐co‐p‐アミノ安息香酸、ビニルピロリドン、ビニルフェロセン、ビス(2,2’‐ビチエン‐5‐イル)メタン、ピリジン、キトサン、3,4‐エチレンジオキシチオフェン、1‐メルカプト‐1‐ウンデカノール、ドーパミン、メチルメタクリレートおよびジメチルメタクリレートなどのメタクリレート、カルボキシル化ピロール、アニリン、チオフェン酢酸(例えば3‐チオフェン酢酸)ならびにチオフェンが含まれるが、これらに限定されない。
分子インプリントポリマーは、伝導性ポリマー(例えばポリマー主鎖に沿って共役パイ結合を有するポリマー)または絶縁性ポリマーでありうる。
分子インプリントポリマーが絶縁性ポリマーであるときには、ポリマーは微細構造体上の被覆である。適切な絶縁性ポリマーには、ポリ‐o‐フェニレンジアミン、ポリ‐o‐アミノフェノール、ポリメチルメタクリレートおよびポリジメチルメタクリレートなどのポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、非伝導性ポリピロール、ポリピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリ‐p‐アミノチオフェノールおよびポリドーパミン、特に非伝導性ポリピロールが含まれるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、絶縁性ポリマーはコポリマーでありうる。したがってポリマーは、ピロール、ドーパミン、メチルメタクリレートおよびジメチルメタクリレートなどのメタクリレート、メタクリル酸、アクリルアミド、カルボキシル化ピロール、o‐アミノフェノール、フェノール、p‐アミノチオフェノール(p‐アミノチオフェノールおよびo‐アミノチオフェノールを含む)、ピリジン、ビニルピロリドンおよびo‐フェニレンジアミンからなる群より選択される一つ以上のモノマーから形成されるポリマーまたはコポリマーでありうる。一部の実施形態では、絶縁性ポリマーは、メチルメタクリレートまたはジメチルメタクリレートなどのメタクリレート、およびアクリルアミド、特にメチルメタクリレートおよびアクリルアミド、またはピロールおよびカルボキシル化ピロールから形成されるコポリマーである。
分子インプリントポリマーが伝導性ポリマーである場合には、ポリマーは微細構造体上の被覆であってもよく、または微細構造体を形成する材料であってもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、一部の実施形態では、伝導性ポリマーは、分析物の結合時に構造変化を生じ、ポリマーが構造的により歪むようになると考えられる。前記構造変化の結果、ポリマーの伝導性の低下が生じ、これを定量化して、分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度と相関させることができる。他の実施形態では、伝導性ポリマーへの分析物の結合は、インピーダンスの変化を引き起こし、これを定量化して、分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度と相関させることができることが提案される。
一部の実施形態では、分子インプリントポリマーは伝導性ポリマーであり、微細構造体を形成する材料である。そのような実施形態では、微細構造体は多孔質であるのが好ましい。
適切な伝導性ポリマーには、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)およびポリチオフェン、特にポリピロールが含まれるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、伝導性ポリマーはコポリマーでありうる。したがって、ポリマーは、ピロール、カルボキシル化ピロール、アニリン、3,4‐エチレンジオキシチオフェン、チオフェン酢酸(例えば3‐チオフェン酢酸)およびチオフェンからなる群より選択される一つ以上のモノマーから形成されるポリマーまたはコポリマーでありうる。一部の実施形態では、伝導性ポリマーは、3,4‐エチレンジオキシチオフェンおよびチオフェン酢酸、またはピロールおよびカルボキシル化ピロールから形成されるコポリマーである。
分子インプリントポリマーは、被覆のまたは微細構造体を形成する唯一の成分であってもよいが、一部の実施形態では、ポリマーは、例えばポリマーの伝導性を高めるためのドーパントを含む。適切なドーパントには、硝酸ナトリウム(NaNO3)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、p‐トルエンスルホネート、コンドロイチンサルフェート、ドデシルベンゼンスルホネートおよびテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート(TBAPF6)、好ましくは過塩素酸リチウムおよびドデシルベンゼンスルホネートが含まれるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、ポリマーの伝導性は、重合溶液の溶媒を変動させる(すなわち重合中の溶媒を変動させる)ことによって高められうる。適切な溶媒には、水、リン酸緩衝食塩水、酢酸緩衝液、アセトニトリルおよびジクロロメタン、特にアセトニトリルまたはジクロロメタンが含まれるが、これらに限定されない。
特定の実施形態では、ポリマーは、トロポニンIの結合に対して選択的であるLiClO4でドープされた伝導性ポリピロール分子インプリントポリマーである。
分子インプリントポリマーは、本明細書で論じられるように一つ以上の目的の分析物またはそのフラグメントもしくはサブユニットをテンプレートとして使用して形成され、したがって一つ以上の目的の分析物の結合に対して選択的である。分子インプリントポリマーは、トロポニンまたはそのサブユニット、特にトロポニンIなどの一つ以上の目的の分析物の結合に対して、サンプル中に存在する少なくとも一つの他の物質、好ましくはサンプル中に存在する他の物質の大部分と比較して選択的であるのが好ましい。
一部の実施形態では、ポリマーは、特に分子インプリントポリマーが絶縁性ポリマーであるとき、レドックス部分をさらに含む。適切なレドックス部分には、メチレンブルー、ビニルフェロセン、および西洋ワサビペルオキシダーゼが含まれるが、これらに限定されない。当業者には、レドックス部分をポリマーに組み込むための適切な方法は周知であろう。例えば、レドックス部分は、重合の前にモノマーに付着させてもよく、またはモノマーと共重合させてもよい。
分析物は、表皮および/または真皮で検出されることができる任意の化合物でありうる。特定の実施形態では、分析物は、対象において生じる状態、疾患、障害、もしくは正常なプロセスもしくは病理学的プロセスのマーカー、または、薬品(例えば薬物、ワクチン)、違法物質(例えば違法薬物)、非違法乱用物質(例えばアルコールもしくは非医学的理由で服用される処方薬物)、毒物もしくは毒素、化学兵器(例えば神経剤など)もしくはそれらの代謝物など、対象中の投与された物質のレベルをモニタするために使用できる化合物である。適切な分析物には、
・DNAおよびmicroRNA、siRNA、snRNA、shRNAなどを含む短いRNA種を含むRNAを含む核酸、
・抗体、またはその抗原結合フラグメント、アレルゲン、抗原またはアジュバント、
・ケモカインまたはサイトカイン、
・ホルモン、
・寄生虫、バクテリア、ウイルス、もしくはウイルス様粒子、またはそれらからの表面タンパク質、内毒素などの化合物、
・DNAのメチル化状態、または特定の遺伝子/領域のクロマチン修飾などのエピジェネティックマーカー、
・ペプチド、
・多糖(グリカン)、
・ポリペプチド、
・タンパク質、および
・小分子
が含まれるが、これらに限定されない。
特定の実施形態では、目的の分析物は、核酸、抗体、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質および小分子、特にポリペプチドおよびタンパク質、とりわけタンパク質からなる群より選択される。
分析物は、疾患、障害もしくはコンディションの進行、または疾患、障害もしくはコンディションの処置の効果を測定するために使用できる生化学的特徴または様相であるバイオマーカーでありうる。バイオマーカーは、例えば、ウイルスもしくはウイルスからの化合物、バクテリアもしくはバクテリアからの化合物、寄生虫もしくは寄生虫からの化合物、癌抗原、心臓病の指標、脳卒中の指標、アルツハイマー病の指標、抗体、メンタルヘルスの指標などでありうる。
あるいは分析物は、薬品(例えば薬物、ワクチン)、違法物質(例えば違法薬物)、非違法乱用物質(例えばアルコールもしくは非医学的理由で服用される処方薬物)、毒物もしくは毒素、化学兵器(例えば神経剤など)またはそれらの代謝物など、対象中の投与または摂取された物質のレベルをモニタするために使用できる化合物でありうる。
一部の実施形態では、分析物は、トロポニンまたはそのサブユニット、酵素(例えばアミラーゼ、クレアチニンキナーゼ、乳酸脱水素酵素、アンジオテンシンII変換酵素)、ホルモン(例えば卵胞刺激ホルモンもしくは黄体形成ホルモン)、シスタチンC、C反応性タンパク質、TNFα、IL‐6、ICAM1、TLR2、TLR4、プレセプシン、D‐ダイマー、ウイルスタンパク質(例えば非構造タンパク質1(NS1))、バクテリアタンパク質、寄生虫タンパク質(例えばヒストンリッチタンパク質2(HRP2))、抗体(例えばインフルエンザ感染を含むバクテリアもしくはウイルス感染などの感染に応答して産生される抗体)、およびボツリヌス毒素またはその代謝物もしくはサブユニット、特にトロポニンまたはそのサブユニット、アミラーゼ、クレアチンキナーゼ、乳酸脱水素酵素、アンジオテンシンII変換酵素、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、シスタチンC、C反応性タンパク質、TNFα、IL‐6、ICAM1、TLR2、TLR4、プレセプシン、D‐ダイマー、ボツリヌス毒素またはその代謝物もしくはサブユニットからなる群より選択されるタンパク質である。特定の実施形態では、分析物はトロポニンまたはそのサブユニット、特にトロポニンI、トロポニンCまたはトロポニンT、とりわけトロポニンIである。
分析物は小分子であってもよく、その非限定的な例には、ホルモン(例えばコルチゾールまたはテストステロン)、神経伝達物質(例えばドーパミン)、アミノ酸、クレアチニン、アミノグリコシド剤(例えばカナマイシン、ゲンタマイシンおよびストレプトマイシン)、抗けいれん剤(例えばカルバマゼピンおよびクロナゼパム)、違法物質(例えばメタンフェタミン、アンフェタミン、3,4‐メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)、N‐エチル‐3,4‐メチレンジオキシアンフェタミン(MDEA)、3,4‐メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)、カンナビノイド(例えばデルタ‐9‐テトラヒドロカンナビノール、11‐ヒドロキシ‐デルタ‐9‐テトラヒドロカンナビノール、11‐ノル‐9‐カルボキシデルタ‐9‐テトラヒドロカンナビノール)、コカイン、ベンゾイルエクゴニン、エクゴニンメチルエステル、コカエチレン、ケタミン、およびアヘン剤(例えばヘロイン、6‐モノアセチルモルヒネ、モルヒネ、コデイン、メタドンおよびジヒドロコデイン)、抗凝固剤(例えばワルファリン)、びらん剤(例えばカンタリジン、フラノクマリン、硫黄マスタード(例えば1,2‐ビス(2‐クロロエチルチオ)エタン、1,3‐ビス(2‐クロロエチルチオ)‐n‐プロパン、1,4‐ビス(2‐クロロエチルチオ)‐n‐ブタン、1,5‐ビス(2‐クロロエチルチオ)‐n‐ペンタン、2‐クロロエチルクロロメチルスルフィド、ビス(2‐クロロエチル)スルフィド、ビス(2‐クロロエチルチオ)メタン、ビス(2‐クロロエチルチオメチル)エーテル、ビス(2‐クロロエチルチオエチル)エーテル)、ナイトロジェンマスタード(例えばビス(2‐クロロエチル)エチルアミン、ビス(2‐クロロエチル)メチルアミンおよびトリス(2‐クロロエチル)アミン)およびホスゲンオキシム)、ヒ素剤(例えばエチルジクロロアルシン、メチルジクロロアルシン、フェニルジクロロアルシンおよび2‐クロロビニルジクロロアルシン)およびイラクサ剤例えばホスゲンオキシム)、血液剤(例えば塩化シアノゲン、シアン化水素およびアルシン)、窒息剤(例えば塩素、クロロピクリン、ジホスゲンおよびホスゲン)、神経剤(例えばタブン、サリン、ソマン、シクロサリン、ノビチョク剤、2‐(ジメチルアミノ)エチル‐N,N‐ジメチルホスホルアミドフルオリデート(GV)、(S)‐(エチル{[2‐(ジエチルアミノ)エチル]スルファニル}(エチル)ホスフィネート)(VE)、O,O‐ジエチル‐S‐[2‐(ジエチルアミノ)エチル]ホスホロチオエート(VG)、S‐[2‐(ジエチルアミノ)エチル]‐O‐エチルメチルホスホノチオエート(VM)、エチル({2‐[ビス(プロパン‐2‐イル)アミノ]エチル}スルファニル)(メチル)ホスフィネート(VX)、テトロドトキシンおよびサキシトキシン)、動物毒成分(例えばテトロドトキシンおよびサキシトキシン)、シアン化物、ヒ素、トロパンアルカロイド(例えばアトロピン、スコポラミンおよびヒヨスチアミン)、ピペリジンアルカロイド(例えばコニイン、N‐メチルコニイン、コンヒドリン、プソイドコンヒドリンおよびガンマコニセイン)、クラーレアルカロイド(例えばツボクラリン)、ニコチン、カフェイン、キニーネ、ストリキニーネ、ブルシン、アフラトキシン)などの化学兵器、毒物もしくは毒素など、またはそれらの代謝物が含まれる。一部の実施形態では、小分子は、コルチゾール、テストステロン、クレアチニン、ドーパミン、カナマイシン、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、カルバマゼピン、クロナゼパム、メタンフェタミン、アンフェタミン、MDMA、MDEA、MDA、デルタ‐9‐テトラヒドロカンナビノール、11‐ヒドロキシ‐デルタ‐9‐テトラヒドロカンナビノール、11‐ノル‐9‐カルボキシデルタ‐9‐テトラヒドロカンナビノール、コカイン、ベンゾイルエクゴニン、エクゴニンメチルエステル、コカエチレン、ケタミン、ヘロイン、6‐モノアセチルモルヒネ、モルヒネ、コデイン、メタドン、ジヒドロコデイン、ワルファリン、カンタリジン、フラノクマリン、1,2‐ビス(2‐クロロエチルチオ)エタン、1,3‐ビス(2‐クロロエチルチオ)‐n‐プロパン、1,4‐ビス(2‐クロロエチルチオ)‐n‐ブタン、1,5‐ビス(2‐クロロエチルチオ)‐n‐ペンタン、2‐クロロエチルクロロメチルスルフィド、ビス(2‐クロロエチル)スルフィド、ビス(2‐クロロエチルチオ)メタン、ビス(2‐クロロエチルチオメチル)エーテル、ビス(2‐クロロエチルチオエチル)エーテル)、ビス(2‐クロロエチル)エチルアミン、ビス(2‐クロロエチル)メチルアミンおよびトリス(2‐クロロエチル)アミン)、ホスゲンオキシム、エチルジクロロアルシン、メチルジクロロアルシン、フェニルジクロロアルシン、2‐クロロビニルジクロロアルシン、ホスゲンオキシム、塩化シアノゲン、シアン化水素、アルシン、塩素、クロロピクリン、ジホスゲン、ホスゲン、タブン、サリン、ソマン、シクロサリン、ノビチョク剤、2‐(ジメチルアミノ)エチル‐N,N‐ジメチルホスホルアミドフルオリデート(GV)、(S)‐(エチル{[2‐(ジエチルアミノ)エチル]スルファニル}(エチル)ホスフィネート)(VE)、O,O‐ジエチル‐S‐[2‐(ジエチルアミノ)エチル]ホスホロチオエート(VG)、S‐[2‐(ジエチルアミノ)エチル]‐O‐エチルメチルホスホノチオエート(VM)、エチル({2‐[ビス(プロパン‐2‐イル)アミノ]エチル}スルファニル)(メチル)ホスフィネート(VX)、テトロドトキシン、サキシトキシン、シアン化物、ヒ素、アトロピン、スコポラミン、ヒヨスチアミン、コニイン、N‐メチルコニイン、コンヒドリン、プソイドコンヒドリン、ガンマコニセイン、ツボクラリン、ニコチン、カフェイン、キニーネ、ストリキニーネ、ブルシン、アフラトキシンおよびそれらの代謝物からなる群より選択される。
一部の実施形態では、分析物はペプチドであり、その非限定的な例には、ホルモン(例えばオキシトシン、ゴナドトロピン放出ホルモンおよび副腎皮質刺激ホルモン)、B型ナトリウム利尿ペプチド、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT‐proBNP)および動物毒成分(例えばクモ、ヘビ、サソリ、ハナバチ、カリバチ、アリ、ダニ、イモガイ、タコ、魚(例えばオコゼ)およびクラゲ毒のペプチド性成分)またはそれらの代謝物が含まれる。特定の実施形態では、ペプチドは、オキシトシン、ゴナドトロピン放出ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、B型ナトリウム利尿ペプチドまたはNT‐proBNPである。
一部の実施形態では、分析物は多糖(グリカン)であり、その適切な非限定的な例には、イヌリン、エンドトキシン(リポ多糖)、抗凝固剤(例えばヘパリン)およびそれらの代謝物が含まれる。
一部の実施形態では、分析物は違法物質もしくは非違法乱用物質またはそれらの代謝物である。適切な違法物質には、メタンフェタミン、アンフェタミン、3,4‐メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)、N‐エチル‐3,4‐メチレンジオキシアンフェタミン(MDEA)、3,4‐メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)、カンナビノイド(例えばデルタ‐9‐テトラヒドロカンナビノール、11‐ヒドロキシ‐デルタ‐9‐テトラヒドロカンナビノール、11‐ノル‐9‐カルボキシデルタ‐9‐テトラヒドロカンナビノール)、コカイン、ベンゾイルエクゴニン、エクゴニンメチルエステル、コカエチレン、ケタミン、およびアヘン剤(例えばヘロイン、6‐モノアセチルモルヒネ、モルヒネ、コデイン、メタドンおよびジヒドロコデイン)、またはそれらの代謝物が含まれるが、これらに限定されない。非限定的な非違法乱用物質には、アルコール、ニコチン、非医学的理由で服用される処方薬または市販薬、医学的効果のために服用される物質だが摂取が過剰または不適切になっているもの(例えばアヘン剤などの鎮痛薬、睡眠補助剤、抗不安薬、メチルフェニデート、勃起不全薬)など、またはそれらの代謝物が含まれる。
一部の実施形態では、分析物は薬品またはその成分もしくは代謝物である。癌治療薬、ワクチン、鎮痛剤、抗精神病剤、抗生剤、抗凝固剤、抗うつ剤、抗ウイルス剤、鎮静剤、抗糖尿病剤、避妊剤、免疫抑制剤、抗真菌剤、駆虫剤、刺激剤、生体応答修飾剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、コルチコステロイド剤、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)、アナボリックステロイド剤、制酸剤、抗不整脈剤、血栓溶解剤、抗けいれん剤、止瀉剤、制吐剤、抗ヒスタミン剤、抗高血圧剤、抗炎症剤、抗腫瘍剤、解熱剤、バルビツレート剤、β遮断剤、気管支拡張剤、鎮咳剤、細胞毒性剤、充血除去剤、利尿剤、去痰剤、ホルモン剤、下剤、筋弛緩剤、血管拡張剤、鎮静剤、ビタミン剤を含むがこれらに限定されない多種多様な薬品およびそれらの代謝物が適切な分析物である。これらの薬品の様々な例が本明細書に記載され、当技術分野で周知である。
一部の実施形態では、分析物は毒物、毒素、化学兵器、またはそれらの代謝物である。適切な毒物、毒素および化学兵器には、びらん剤(例えばカンタリジン、フラノクマリン、硫黄マスタード(例えば1,2‐ビス(2)‐クロロエチルチオ)エタン、1,3‐ビス(2‐クロロエチルチオ)‐n‐プロパン、1,4‐ビス(2‐クロロエチルチオ)‐n‐ブタン、1,5‐ビス(2‐クロロエチルチオ)‐n‐ペンタン、2‐クロロエチルクロロメチルスルフィド、ビス(2‐クロロエチル)スルフィド、ビス(2‐クロロエチルチオ)メタン、ビス(2‐クロロエチルチオメチル)エーテル、ビス(2‐クロロエチルチオエチル)エーテル)、ナイトロジェンマスタード(例えばビス(2‐クロロエチル)エチルアミン、ビス(2‐クロロエチル)メチルアミンおよびトリス(2‐クロロエチル)アミン)およびホスゲンオキシム)、ヒ素剤(例えばエチルジクロロアルシン、メチルジクロロアルシン、フェニルジクロロアルシンおよび2‐クロロビニルジクロロアルシン)およびイラクサ剤例えばホスゲンオキシム)、血液剤(例えば塩化シアノゲン、シアン化水素およびアルシン)、窒息剤(例えば塩素、クロロピクリン、ジホスゲンおよびホスゲン)、神経剤(例えばタブン、サリン、ソマン、シクロサリン、ノビチョク剤、2‐(ジメチルアミノ)エチル‐N,N‐ジメチルホスホルアミドフルオリデート(GV)、(S)‐(エチル{[2‐(ジエチルアミノ)エチル]スルファニル}(エチル)ホスフィネート)(VE)、O,O‐ジエチル‐S‐[2‐(ジエチルアミノ)エチル]ホスホロチオエート(VG)、S‐[2‐(ジエチルアミノ)エチル]‐O‐エチルメチルホスホノチオエート(VM)、エチル({2‐[ビス(プロパン‐2‐イル)アミノ]エチル}スルファニル)(メチル)ホスフィネート(VX)、テトロドトキシン、サキシトキシンおよびボツリヌス毒素)、動物毒成分(例えばクモ、ヘビ、サソリ、ハナバチ、カリバチ、アリ、ダニ、イモガイ、タコ、魚(例えばオコゼ)およびクラゲ毒のテトロドトキシン、サキシトキシンおよび他の成分)、シアン化物、ヒ素、トロパンアルカロイド(例えばアトロピン、スコポラミンおよびヒヨスチアミン)などのAtropa Belladonna(ベラドンナ)の成分、ピペリジンアルカロイド(例えばコニイン、N‐メチルコニイン、コンヒドリン、プソイドコンヒドリンおよびガンマコニセイン)などのドクニンジンの成分、クラーレアルカロイド(例えばツボクラリン)、ニコチン、カフェイン、アルコール、キニーネ、アトロピン、ストリキニーネ、ブルシン、アフラトキシンおよびそれらの代謝物が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、分析物は、びらん剤(例えばカンタリジン、フラノクマリン、硫黄マスタード(例えば1,2‐ビス(2)‐クロロエチルチオ)エタン、1,3‐ビス(2‐クロロエチルチオ)‐n‐プロパン、1,4‐ビス(2‐クロロエチルチオ)‐n‐ブタン、1,5‐ビス(2‐クロロエチルチオ)‐n‐ペンタン、2‐クロロエチルクロロメチルスルフィド、ビス(2‐クロロエチル)スルフィド、ビス(2‐クロロエチルチオ)メタン、ビス(2‐クロロエチルチオメチル)エーテルもしくはビス(2‐クロロエチルチオエチル)エーテル)、ナイトロジェンマスタード(例えばビス(2‐クロロエチル)エチルアミン、ビス(2‐クロロエチル)メチルアミンもしくはトリス(2‐クロロエチル)アミン)またはホスゲンオキシム)、ヒ素剤(例えばエチルジクロロアルシン、メチルジクロロアルシン、フェニルジクロロアルシンまたは2‐クロロビニルジクロロアルシン)もしくはイラクサ剤例えばホスゲンオキシム)、血液剤(例えば塩化シアノゲン、シアン化水素またはアルシン)、窒息剤(例えば塩素、クロロピクリン、ジホスゲンまたはホスゲン)、神経剤(例えばタブン、サリン、ソマン、シクロサリン、ノビチョク剤、2‐(ジメチルアミノ)エチル‐N,N‐ジメチルホスホルアミドフルオリデート(GV)、(S)‐(エチル{[2‐(ジエチルアミノ)エチル]スルファニル}(エチル)ホスフィネート)(VE)、O,O‐ジエチル‐S‐[2‐(ジエチルアミノ)エチル]ホスホロチオエート(VG)、S‐[2‐(ジエチルアミノ)エチル]‐O‐エチルメチルホスホノチオエート(VM)、エチル({2‐[ビス(プロパン‐2‐イル)アミノ]エチル}スルファニル)(メチル)ホスフィネート(VX)、テトロドトキシンおよびサキシトキシンまたはボツリヌス毒素)などの化学兵器またはそれらの代謝物である。
適切な分析物、疾患、障害もしくはコンディション、またはそれらが関連する用途、および臨床的に妥当な既知の最低血清濃度範囲を表1~3に提供する。
一部の実施形態では、分析物は上記の例示的な分析物のうちのいずれか一つの代謝物である。
分析物は結合剤に直接結合するのが好ましいが、本発明は、サンプル中に特定の目的の分析物が存在する場合にのみその存在が検出される、目的の分析物と相補的な特異的結合対メンバーなど、目的の分析物を立証する物質を検出することも企図する。したがって、分析物を立証する物質が検出される分析物となる。
一部の実施形態では、微細構造体は、目的以外の分析物の吸収を低減する材料で被覆される。材料の例には、BSA(ウシ血清アルブミン)、二官能性ポリエチレングリコール(PEG)ポリマーなどで被覆されたアルキル基が含まれる。このような材料は、非特異的分析物の吸着を低減し、これらが微細構造体から有効に反発される効果がある。
例えば、非特異的分析物を反発または排除し、目的の分析物を結合し、それにより非特異的分析物は捕捉されないままで特定の目的の分析物が選択的に捕捉されることができるように、複数の被覆が併用されうることが理解されよう。
分子インプリントポリマー被覆を含むポリマー被覆は、当技術分野で通常用いられる様々な技術を用いて施すことができる。例えば微細構造体は、浸漬被覆、スプレー被覆、デポジション被覆、電解重合、ドロップキャスティング、エレクトロスピニング、インクジェット被覆、スピン被覆などを含む様々な技術、特に電解重合を用いてポリマーで被覆されることができる。一例では、被覆溶液が微細構造体に施され、任意にガスジェットを使用してインサイチュで乾燥される。被覆がポリマー被覆である場合、ポリマーは、一部の実施形態では、例えばバルク重合を用いて被覆の前に合成されうる。代替的実施形態では、ポリマーは、電解重合を用いて合成および被覆する場合などのように、合成および被覆が同時に行われる。当業者には適切な技術が周知であろう。
分子インプリントポリマーは、様々な技術を用いて調製されることができ、その非限定的な例には、テンプレート(すなわち一つ以上の目的の分析物またはそのフラグメントもしくはサブユニット)の存在下でのバルク重合および電解重合、特に電解重合が含まれる。
例えば、分子インプリントポリマーは、(a)一つ以上の目的のモノマーと溶媒(例えばリン酸緩衝食塩水)とを含む重合溶液を調製し、(b)調製された重合溶液に一つ以上のテンプレート化合物(例えば一つ以上の目的の分析物またはそのフラグメントもしくはサブユニット)を加え、(c)任意に一つ以上の添加剤(例えばドーパント、レドックス部分など)の存在下で、テンプレート/重合溶液を重合して分子インプリントポリマーを形成し、(d)分子インプリントポリマーを一つ以上のテンプレート化合物から分離することによって調製されうる。分子インプリントポリマーの特性は、一つ以上のモノマーおよび/またはテンプレート化合物の濃度を変動させるなど、当技術分野の通常の技術を用いて最適化されうる。
ポリマーは、フィルム、粒子、繊維またはナノチューブ、特にフィルムなど、一つ以上の目的の分析物を検出するのに適した任意の形態で被覆されうる。
被覆は、分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定するのに適切な厚さ、1nm~100nm、特に10nm~20nm、とりわけ約15nmなどでありうるがこれらに限定されない。
ポリマー被覆は、電極に施される唯一の被覆であってもよいが、一部の実施形態では、電極へのポリマー被覆の結合(接着)を高めることが望ましいこともある。したがって、そのような実施形態では、被覆を加える前に、電極へのポリマー被覆の結合を高める薬剤が施されうる。適切な薬剤には、オルガノシラン、シリコーン、シロキサン、アミドおよびアミン含有化合物、有機リン化合物、自己組織化単分子膜または他のカップリング剤が含まれるが、これらに限定されない。
被覆を最適化するために、増粘剤、デタージェントまたは他の界面活性剤、およびアジュバントなどの一つ以上の他の薬剤の添加によって被覆の特性が制御されることができる。これらの成分は、様々な濃度で提供されることができる。例えば、増粘剤または界面活性剤は、被覆溶液の0%~90%の間を形成することができる。
様々な増粘剤を使用することができ、例には、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ゼラチン、寒天、およびアガロース、ならびに任意の他の粘度調整剤が含まれる。溶液の粘度は通常、10-3Pa・s~10-1Pa・sの間である。一例では、1~2%のメチルセルロースを含有する被覆溶液を使用すると、適切な均一な被覆が得られ、0.011(1%)~0.055(2%)Pa・sの範囲内の粘度が得られる。
同様に、表面張力を低下させ、低濃度で生体適合性である任意のデタージェントまたは任意の適切な薬剤などの様々な界面活性剤を使用して被覆溶液の表面張力を調整することができる。溶液の特性は通常、増粘剤、デタージェント、他の界面活性剤、または任意の他の適切な材料などの一つ以上の他の薬剤の添加によって同様に制御される。これらの成分は、様々な濃度で提供されることができる。例えば、増粘剤または界面活性剤は、被覆溶液の0%~90%の間を形成することができる。
被覆技術を使用する代わりに、微細構造体内に試薬を埋め込むこともできる。したがって、例えば、ポリマー材料を使用して製造される成形パッチの場合、試薬が構造体全体に分散されるように試薬がポリマー材料と一緒にモールドに導入されることができる。この例では、ポリマーは、硬化プロセスの間に構造体内に細孔が形成されるように設けられることができる。
各構造体上の親和性表面被覆を使用することにより、目的の分子標的の特異的抽出を容易にしながら、ISFおよび/または血液成分の非特異的吸着を低減することも可能になる。
したがって、一例では、一つ以上の微細構造体は、応答信号が目的の分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度に依存するように一つ以上の目的の分析物と相互作用する。一つの特定の例では、分析物は、微細構造体上の被覆と相互作用して被覆の電気的および/または光学的特性を変化させ、それにより分析物が検出されることを可能にする。
例えば、電極の間に電流を流すことによって測定が行われることができ、電極間の生じた信号の測定を用いて電気的特性の変化、ひいては分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度が検出される。この点に関し、電気出力信号は、電圧、電流、抵抗、キャパシタンス、コンダクタンス、もしくはインピーダンスのうちのいずれか一つ以上、またはこれらの変数のうちのいずれかの変化を示しうる。したがって信号は、ポテンショメトリック、アンペロメトリック、ボルタンメトリック、インペディメトリックなどでありうる。
例えば、電気化学インピーダンス分光法(EIS:electrochemical impedance spectroscopy)などにおけるインピーダンス測定は、結合される分析物のダイナミクス、またはMIPおよび/もしくはアプタマーのバルクもしくは界面領域における電荷移動を調べる。この点に関し、MIP(特に伝導性MIP)が標的分析物を捕捉すると、MIPの空洞が充填され、バルクポリマーにおけるイオンの拡散が妨げられる。加えて、捕捉された分析物は伝導性MIPの構造を歪め、ポリマーにおける電荷移動の増加を引き起こしうる。同様に、アプタマーが標的分析物を捕捉すると、捕捉された分析物はアプタマーの構造を変化させて、電気的特性を変化させうる。測定はサンプル中のイオンのみを必要とし、レドックス部分を用いずに行われうる。
この例では、電極は対に設けられることができるが、代わりにシステムは、例えば一方の群が作用電極として作用し、他方の群が対電極として作用する異なる電極群間のインピーダンスを測定することもできる。
さらなる例では、サイクリックボルタンメトリー(CV:cyclic voltammetry)、リニアースイープボルタンメトリー(LSV:liner sweep voltammetry)、微分パルスボルタンメトリー(DPV:differential pulse voltammetry)、矩形波ボルタンメトリー(SWV:square wave voltammetry)、およびクロノアンペロメトリー(CA:chronoamperometry)を含むボルタンメトリック/アンペロメトリック技術が使用されることができる。
この例では、伝導性材料(例えば金の微細構造体)上で生じる電気活性種(レドックス部分)のレドックス反応から電流出力が生成される。目的の分析物がMIP(特に絶縁MIP被覆)に捕捉されると、MIPの空洞が充填され、それによりレドックス部分の金表面への拡散がブロックされ/妨げられる。分析物の浸透が減少する結果、電流出力が減少する。同様に、目的の分析物がアプタマーに捕捉されると、アプタマーの構造が変化し、その結果レドックス部分が微細構造体表面に対して移動し、それによって電流出力が変更される。
このタイプの変換ではレドックス反応が必要とされるため、ポリマーマトリックスにレドックス部分を組み込む研究者もある。
この例では、参照電極も提供されることも考えられ、その場合、電極は、作用電極、対電極、および参照電極を含む三つの群に設けられうる。参照電極は、作用電極および対電極の近くにあれば足り、したがって例えば、電極が作用電極および対電極の対に設けられ、電極対の列が参照電極として使用されることもできる。
さらなる例では、ポテンショメトリック測定が行われることができ、MIPおよび/またはアプタマーにおける標的分析物の結合に応答して電気出力が生成される。ここでは、MIPおよび/またはアプタマーに結合される分析物の量に対応する電圧の変化が測定される。ポテンショメトリック技術は、イオン選択電極(ISE:ion selective electrodes)および電界効果トランジスタ(FET:field‐effect transistors)などのセンサに見られる。
他の測定技術には、弾性表面波(SAW:surface‐acoustic wave)発振器、ラブ波発振器、または水晶振動子マイクロバランス(QCM:quartz crystal microbalance)などの質量検知音響トランスデューサが含まれる。分析物の結合では、発振器表面での質量変化により生じる振動周波数の変化を介して定量化されうる。
さらなる例において、一つ以上の微細構造体は処置材料を含み、処置材料の放出を制御する少なくとも一つの処置送達機構が提供される。一つの好ましい例では、処置材料の放出は、例えば処置材料を放出するために光、熱、または電気刺激を印加することによって微細構造体(単数または複数)に刺激を印加することによって制御される。
一つの好ましい例では、処置材料は、少なくとも一つの微細構造体上の被覆に含有され、刺激は微細構造体上の被覆を溶解し、それによって処置材料を送達するために用いられる。この技術は、被覆に組み込むことができ、機械刺激、磁気刺激、熱刺激、電気刺激、電磁刺激または光刺激などの刺激を用いて選択的に放出することができる任意の処置材料に応用できることが理解されよう。
処置材料の性質は、処置が美容的であるか治療的であるかを含め、好ましい実施態様および/または行われる処置の性質に応じて変動する。処置材料の例には、ナノ粒子、核酸、抗原またはアレルゲン、寄生虫、バクテリア、ウイルス、またはウイルス様粒子、金属または金属化合物、分子、元素または化合物、DNA、タンパク質、RNA、siRNA、sfRNA、iRNA、合成生体材料、ポリマー、薬物などが含まれるが、これらに限定されない。
しかし、被覆の使用は必須ではなく、加えておよび/または代わりに処置材料が微細構造体自体に組み込まれことができることが理解されよう。
処置材料がどのように提供されるかに関わらず、基材は、異なる微細構造体が異なる処置材料および/または異なる処置用量を有する複数の微細構造体を含むことができる。この場合には、処理デバイスが治療法送達機構を制御して選択された微細構造体から処置材料を放出し、それにより対象に対して行われた測定の結果に応じて異なる処置が施されること、および/または差別的な投薬を可能にすることができる。特に、以下でより詳細に説明するように、処理デバイスは通常、測定された応答信号を少なくとも部分的に用いて分析を行い、分析の結果を用いて少なくとも一つの治療法送達機構を制御し、それにより個別化された処置が実質的にリアルタイムで実施されることを可能にする。
微細構造体は、例えば異なる微細構造体を異なる被覆で被覆することによって、および/または微細構造体の異なる部分を異なる被覆で被覆することによって、差別的に被覆されうることが理解されよう。これを用いて異なる深さで異なる分析物が検出されることを可能にすることもでき、その結果例えば、生きた表皮と比べて真皮に入る微細構造体の部分には異なる被覆が使用される。これを用いて異なる分析物、または同じ分析物の異なるレベルもしくは濃度の検出も可能にすることもできる。加えて、少なくともいくつかの微細構造体は、例えばそれらを対照として使用できるように被覆されないままとすることもでき、いくつかは部分的に被覆されてもよく、または内部被覆を備えた多孔質構造体を含んでもよい。複数の被覆が提供されることもできることが理解されよう。例えば、挿入中に機械的強度を与え、インサイチュとなったら溶解して、例えば分析物を検出できるように下の機能的被覆が露出されることを可能にする外側被覆が提供されることもできる。
被覆の性質およびこれが施される様式は、好ましい実施態様に応じて変動し、上述のように浸漬被覆、スプレー被覆、ジェット被覆などの技術を使用することもできる。被覆の厚さも、状況および被覆によって提供される意図した機能性によって変動する。例えば、被覆が機械的強度を提供するために使用される場合、または対象に送達される搭載物材料を含有する場合には、より厚い被覆が使用されることもできる一方で、被覆が他の用途を検知するために使用される場合には、より薄い被覆が必要になることも考えられる。
一例では、化学刺激、生化学刺激、電気刺激、光刺激または機械刺激などの刺激を用いて、微細構造体上の被覆から材料を放出し、被覆を破壊し、被覆を溶解し、または他のやり方で被覆を剥離することができる。
別の例では、微細構造体は、選択的に溶解可能な被覆で被覆されることができる。被覆は、微細構造体が設定された長さの時間にわたり対象内に存在した後などの定められた期間後に、対象中の一つ以上の分析物の存在、不存在、レベルもしくは濃度に応答して、機能的バリアの突破もしくは貫通時に、または電気信号、光信号などの刺激信号の印加に応答して溶解するように適合されることもできる。被覆の溶解は、例えば結合剤または他の機能的特徴を露出することによって測定プロセスをトリガするために用いられることができ、その結果、被覆が溶解した後にのみ分析物が検出される。
さらなる例では、被覆の溶解は、例えば光学的特性または電気的特性の変化を通じて検出され、被覆が溶解した後に測定が行われることもできる。したがって、応答信号の変化に基づいて被覆の溶解が検出されることもできる。
一例では、被覆は、機械的特性を提供するために使用されることができる。例えば被覆は、例えば微細構造体に滑らかなテーパ状の外側プロファイルを提供することによって、バリアの貫通を容易にするために使用できる物理的構造体を提供することができる。被覆は、微細構造体を強化して挿入中に微細構造体が破損、破砕、座屈、またはその他のやり方で損傷されるのを防ぐことができ、または微細構造体を対象内に固着するのを助けるために使用されることもできる。例えば、被覆はヒドロゲルを含むこともでき、これは水分にさらされると膨張するため、微細構造体および被覆のサイズが対象への挿入時に増加し、それにより微細構造体を除去することがより困難になる。
被覆は、例えば親水性を増加もしくは減少させるため、疎水性を増加もしくは減少させるため、および/またはバイオファウリングを最小化するために、微細構造体の表面特性を改変するために使用されることもできる。被覆は、分析物、細胞、流体などの少なくとも一つの物質を引き付け、反発し、または排除するために使用されることもできる。被覆は、溶解して微細構造体、さらなる被覆または材料を露出させることもでき、これを用いて検出プロセスを制御することができる。例えば、徐放性被覆を用いて、パッチが適用されてから設定された時間後に測定が行われることを可能にすることもできる。これは、例えば処置または治療材料などを放出することによって、対象に刺激を提供するためにも使用されることもできる。
したがって、一例では、システムは複数の微細構造体を含み、異なる微細構造体は分析物に対して差別的に応答する。例えば、異なる微細構造体は異なる分析物に応答する、異なる組み合わせの分析物に応答する、異なるレベルまたは濃度の分析物に応答するなどとすることもできる。
一例では、微細構造体の少なくともいくつかは、少なくとも一つの物質を微細構造体に引き付け、および/または少なくとも一つの物質を微細構造体から反発もしくは排除する。物質の性質は好ましい実施態様に応じて変動し、一つ以上の分析物を含んでもよく、またはISF、血液など分析物を含有する他の物質を含んでもよい。これを用いて分析物を引き付け、反発し、または排除すること、例えば目的の分析物を引き付けてこれらが濃縮および/もしくは検知されることを可能にし、または目的以外の分析物を反発もしくは排除することができる。
物質を反発または排除する能力は、バイオファウリングを防ぐのを助けることもできる。例えば、微細構造体は、一般に微細構造体の表面から物質を反発するポリエチレングリコール(PEG)などの材料を含有するかまたは被覆を含むこともできる。バイオファウリングの低減は、微細構造体の材料の選択または微細構造体の構造、例えば多孔質微細構造体の細孔内の結合剤の被覆、検知が行われるべきときに剥離して検知表面を露出させる表面被覆、多孔質ポリマーなどの透過性被覆、例えばナイロン膜、ポリフッ化ビニリデン被覆、ポリフェニレンジアミン被覆、ポリエーテルスルホン被覆、もしくはポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)もしくはPEG被覆などのヒドロゲル被覆、イソポーラスシリカミセル膜、フィブロイン膜などのタンパク質膜、セルロース膜もしくはキトサン膜などの多糖膜、もしくはジオールもしくはシラン膜、バイオファウリング物質に干渉する剥離可能被覆、ならびに/または多孔質被覆に基づいても達成されることもできる。特定の実施形態では、微細構造体は多孔質であり、微細構造体の細孔内に結合剤が被覆される。
別の例では、対照を用いてバイオファウリングを斟酌することができる。例えばパッチに、分析物検出のための機能化された微細構造体に加え、対照として働く機能化されていない微細構造体を含めることもできる。両方の微細構造体の組が類似のレベルのバイオファウリングにさらされると仮定すると、機能化されていない微細構造体を介して測定される応答信号の変化を用いて、発生しているバイオファウリングの程度を定量化できる。これをさらに、機能化された微細構造体からの信号を処理する際に、例えばバイオファウリングから生じる応答信号の任意の変化を除去することによって斟酌することができる。
一例では、システムは、基材に力を加えるように構成されたアクチュエータを含み、これは一例では微細構造体がバリアを突破するのを助けるために使用される。アクチュエータは、加えておよび/または代わりに他の目的のために使用されることもできる。
例えば、微細構造体の動きを用いて組織の機械的特性を検知することもできる。この例では、微細構造体の動きを引き起こすのに必要な電流の量などのアクチュエータの応答を用いて、病気などの健康問題をさらに示しうる弾性率などの機械的特性を検知することもできる。これはまた、機械応答信号と組み合わせて使用されて、例えば適切な検知モダリティを使用して微細構造体に対する応力または歪を測定して、アクチュエータの動きの伝達をモニタすることを可能にすることもできる。パッチの周りにリングまたは他の構造体を提供し、これが組織内に圧力波を生成して応答を測定できるようにするなど、他の外部機械刺激もまた使用されることもできる。
アクチュエータは、例えば炎症などの生体応答をトリガするために機械刺激を提供するため、または物質を引き付けもしくは反発し、もしくは排除するために使用されることができる。加えて、物理的動きを、少なくとも一部の微細構造体上の被覆から材料を放出するために用いることができ、または少なくとも一部の微細構造体上の被覆を破壊し、溶解し、取り除きまたは他のやり方で剥離するために使用することもできる。これを用いて測定プロセスをトリガすることができ、例えば被覆または材料を剥離して分析物との反応をトリガし、分析物の検出を可能にすることができる。
アクチュエータは、微細構造体にバリアを貫通させるかまたは微細構造体をバリアおよび/もしくは対象から後退させるために使用されることもできる。一例では、これにより微細構造体を必要に応じて挿入および対象から除去することができ、その結果、測定が行われていないときには微細構造体を除去することができる。これを用いて苦痛を和らげること、感染の可能性を低減すること、バイオファウリングを低減することなどができる。
微細構造体は低密度の構成で提供されるため、必要な力は通常非常に小さく、その場合にはこれは圧電アクチュエータまたはオフセットモータ、振動モータなどの機械アクチュエータなど、小さな力を提供するアクチュエータを利用して達成されることもできる。しかし、電気アクチュエータ、磁気アクチュエータ、ポリマーアクチュエータ、布または織物アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、熱アクチュエータ、油圧アクチュエータ、化学アクチュエータなどのうちのいずれか一つ以上を含む他のアクチュエータが使用されることもできる。例えば、空気、光、水または他の物質への曝露を含む化学的または生化学的反応は、エネルギーの発熱放出をトリガしうるが、これを用いて機械的インパルスを提供して、基材ひいては微細構造体を対象に押し込むことができる。作動はまた、パッチに力を加えることによって、またはストラップなどを使用してパッチを対象に押し付けることによって手動で達成されることもできることも理解されよう。
一つの具体例ではこれは、例えばばねまたは電磁アクチュエータによって提供される付勢力を、例えば微細構造体を動揺させて角質層の弾性を克服すること、および/または表皮および/もしくは真皮を貫通するための摩擦を低減すること、ならびにバリアを貫くのに必要な力を低減することによって貫通を助けることができる振動力、周期力または反復力と一緒に用いて達成される。これにより、角質層を貫通するのに必要な全体的な力が減少する。しかし、これは必須ではなく、一つの連続力または瞬間力が使用されることもできる。
使用される振動の周波数は、好ましい実施態様および場合によっては微細構造体が適用される皮膚のタイプに応じて変動し、少なくとも0.01Hz、0.1Hz、1Hz、少なくとも10Hz、少なくとも50Hz、少なくとも100Hz、少なくとも1kHz、少なくとも1kHz、または少なくとも100kHzおよび場合によっては最大数MHzのうちのいずれか一つ以上を含むこともできる。一例では、変動する周波数を使用することもできる。周波数は、加えられる時間、および特に加えるプロセスが行われている時間の長さ、貫通の深さもしくは程度、挿入に対する抵抗の程度などの様々な要因に応じて変動しうる。一例では、システムは、微細構造体が角質層を貫通したときなど、バリアが突破されたときを検出するために、微細構造体を介して測定される応答信号を用いる。したがって、良好な貫通が達成されるまで、または貫通の深さに応じて周波数を増加または減少のいずれかで連続的に変動させることもでき、貫通の達成または深さは応答信号を用いて検出でき、検出された時点でアクチュエータを停止させうる。別の例では、周波数は高周波数で開始し、微細構造体がバリア、特に角質層を貫通するに伴って徐々に減少する。
別の例では、加えられる力の大きさも制御されることができる。用いられる力は、パッチの構造、パッチが適用される様式、適用の位置、貫通の深さなどの様々な要因に応じて変動する。例えば、多数の微細構造体を備えたパッチは通常、貫通を保証するために全体的により高い力を要するが、10程度などの非常に少数の微細構造体では、基材/皮膚による減衰または損失を斟酌するためにより大きな力が必要になりうる。同様に、角質層を貫通するのに必要な力は通常、頬粘膜を貫通するのに必要な力より大きいであろう。一例では、加えられる力は、微細構造体あたりおよび/またはまとめて少なくとも0.1μN、少なくとも1μN、少なくとも5μN、少なくとも10μN、少なくとも20μN、少なくとも50μN、少なくとも100μN、少なくとも500μN、少なくとも1000μN、少なくとも10mN、または少なくとも100mNのうちのいずれか一つ以上でありうる。例えば、1000の微細構造体が存在する場合には、力は合計で100mN、または突起あたり100mNであり、全体で100Nの力になりうる。
ここでも、力は、加えられる時間、測定されるインピーダンスの変化を調べるための応答信号に基づいて判定されうる貫通の深さもしくは程度、または挿入抵抗などに応じて、増加または減少のいずれかで変動しうる。一つの具体例では、力は貫通のポイントまで徐々に増加され、貫通のポイントで力が減少される。
上述のように、力は、一つの連続力または瞬間力として加えられることもできる。しかし、より一般的には、力は周期的である。この場合、周期運動の性質は変動し得、これは例えば矩形波、正弦波、三角波、可変波形などを含む任意の波形を有しうる。この場合、力は絶対的大きさであることもでき、またはピークピークもしくは二乗平均平方根(RMS:Root Mean Square)力であることもできる。
同様に、微細構造体の動きの大きさも制御されることができる。大きさの程度は、微細構造体の長さおよび必要な貫通の程度などの要因による。大きさは、微細構造体の長さの0.001倍より大きい、微細構造体の長さの0.01倍より大きい、微細構造体の長さの0.1倍より大きい、微細構造体の長さより大きい、微細構造体の長さの10倍より大きい、微細構造体の長さの100倍より大きい、または微細構造体の長さの1000倍より大きいのうちのいずれか一つ以上を含みうる。大きさもまた、加えられる時間、貫通の深さ、貫通の程度または挿入抵抗に応じて、増加または減少のいずれかで変動しうる。ここでも、大きさは貫通のポイントまで増加してから、貫通のポイント以降は減少しうる。
上述の例では、システムは、挿入プロセスの態様を検出するように構成されることができる。一例ではこれはアクチュエータをモニタすることによって達成することができ、例えば特定の動きを達成するためにアクチュエータが必要とする電流をモニタし、これをさらに用いて貫通の深さ、貫通の程度挿入抵抗などを検出することができ、これをさらに用いてアクチュエータが制御される。
アクチュエータは、様々な目的のために用いられうる機械刺激を印加するために使用されることもできる。例えばアクチュエータは、微細構造体上の被覆を物理的に破壊しもしくは取り除き、対象を物理的に刺激し、微細構造体にバリアを貫通させ、微細構造体をバリアから後退させ、または微細構造体を対象から後退させるように構成されることができる。
アクチュエータは通常、基材に動作可能に連結され、これは機械的機構、電気機械的機構などの任意の適切な機構を用いて達成されうる。
一つの具体例では、アクチュエータは、一定の付勢を提供するためのばねもしくは電磁アクチュエータまたは電磁アクチュエータと、振動力を加えるための圧電アクチュエータおよび振動モータのうちの少なくとも一つとを含む。振動力は、少なくとも10Hz、1kHz未満、および約100~200Hzの周波数で加えられる。連続力は通常1N超、10N未満、および約5Nであり、一方で振動力は少なくとも1mN、1000mN未満、および約200mNである。アクチュエータは通常、少なくとも10μm、300μm未満、および約50μm~100μmの微細構造体の動きを引き起こすように構成される。
一例では、システムは、少なくともセンサと一つ以上の電子処理デバイスとを含み、任意に信号生成器、アクチュエータ、電源、ワイヤレストランシーバなどの他の構成要素を含むハウジングを含む。一つの特定の例では、ハウジングは、微細構造体をインテロゲートするために使用できる、統合デバイス内に提供されることができ、または基材の遠隔に提供されて読み取りが行われるときに係合されるかもしくは基材と近接して提供されることもできるリーダ機能を提供する。
統合された構成では、リーダは一般的に、通常の使用中にパッチと機械的に接続/統合されて、測定が自動的に行われることを可能にする。例えば、連続モニタが行われ、1秒毎から毎日または毎週、通常は2~60分毎、より一般的には5~10分毎に読み取りが行われることもできる。読み取りのタイミングは、行われる測定の性質および具体的状況によって変動しうる。したがって例えばアスリートは、競技で競っている間にはより高頻度なモニタを受け、競技後の回復中にはより低頻度なモニタを受けることを望むことが考えられる。同様に、医学的モニタを受けている人の場合、モニタの頻度は、コンディションの性質および/または重症度に応じて変動しうる。一例では、モニタの頻度は、ユーザ入力に基づいて選択されることができ、および/または定められたユーザプロファイルなどに基づくこともできる。
統合された装備では、リーダは従来の抵抗ブリッジ回路を使用してパッチに接続され、アナログデジタル変換を用いて測定が行われることができる。
あるいは、リーダは別個であることができ、これによりリーダを使用しないときには除去することができ、ユーザはパッチを統合された電子機器なしで着用することができるため、より邪魔にならなくなる。これは、よりかさばるデバイスの存在が活動に影響しうるスポーツ、老年医学および小児医学などの用途に特に有用である。この状況では、リーダは一般的にパッチと接触または近接させられ、必要に応じて読み取りが行われることができる。これには、ユーザ/人がインテロゲーションを推進する必要があることが理解されよう。しかし、リーダはインテロゲーションを促すために警告機能を含むこともできる。
読み取りは、以下でより詳細に説明するようにパッチに給電するとともに読み取りを行うために任意に誘導連結を用いてワイヤレスで行われることもできるが、代わりに、直接の物理的接触が代替的に使用されることもできる。この例では、微細構造体および組織が個別のインダクタンスまたはキャパシタンスをもつ共振回路の一部を形成し、周波数を用いてインピーダンスひいては流体レベル、または分析物のレベルもしくは濃度を判定することができる。加えておよび/または代わりに、リーダがパッチ上のコネクタと電気接触するオーミック接触が使用されることもできる。
いずれの場合にも、保水信号または分析物のレベルもしくは濃度の何らかの分析および解釈がリーダで行われることができ、任意にLEDインジケータ、LCDスクリーンなどの出力を用いてリーダに指標を表示させることができる。加えておよび/または代わりに、可聴アラームが提供されて、例えば対象が水分過少もしくは水分過剰であるか、または分析物のレベルもしくは濃度が許容範囲外である場合に指示を提供してもよい。リーダは、Bluetooth、Wi‐Fiなどのワイヤレス接続性を組み込み、読み取りイベントが遠隔でトリガされることを可能にし、および/またはインピーダンス値、保水もしくは分析物のレベルもしくは濃度の指標などのデータがクライアントデバイス、コンピュータシステムもしくはクラウドベースのコンピューティング装備などの遠隔デバイスに伝送されることを可能にすることもできる。
使用時には、ハウジングは一般的に基材に連結し、ハウジングと基材とを必要に応じて着脱することを可能にする。一例ではこれは、電磁連結、機械連結、接着連結、磁気連結などの任意の適切な機構を利用して達成されることもできる。これにより、ハウジング、特に検知機器を必要な場合にのみ基材に接続できる。したがって、基材が対象に適用されて固定され、検知システムは測定が行われるべきときだけ基材に取り付けられることもできる。しかし、これは必須ではなく、代わりにハウジングおよび基材が、例えば接着パッチ、パッチ/基材上の接着被覆、ストラップ、アンカ微細構造体などを使用して対象にまとめて固定されることもできることが理解されよう。さらなる例では、基材および微細構造体がハウジングに統合されるように、基材がハウジングの一部を形成することもできる。
ハウジングが基材に取り付けられるように構成されるときには、ハウジングは一般的に、基材上の基材コネクタに動作可能に接続するコネクタを含み、それにより信号生成器および/またはセンサと微細構造体との間で信号を通信する。コネクタおよび接続部の性質は、好ましい実施態様および信号の性質に応じて変動し、基材上の対応する表面を係合する伝導性接触表面を含むこともでき、または調整された誘導コイル、ワイヤレス通信アンテナなどのワイヤレス接続部を含むこともできる。
一例では、システムは、数時間、数日、数週間などの期間にわたって反復測定を行うように構成される。これを達成するために、微細構造体はその期間中対象内にとどまるように構成されることができ、あるいは、測定が行われていないときには除去されることもできる。一例では、アクチュエータは、皮膚への微細構造体の挿入をトリガし、測定が行われた後に微細構造体の除去も可能にするように構成されることができる。その場合、微細構造体は必要に応じて挿入および後退されて、皮膚を貫通し続けずに長期間にわたって測定を行うことができる。しかし、これは必須ではなく、代わりに短期間の測定を行うことができ、その場合、期間は0.01秒未満、0.1秒未満、1秒未満、または10秒未満でありうる。他の中間の時間枠も使用されうることが理解されよう。
一例では、測定が行われると、一つ以上の電子処理デバイスが測定された応答信号を分析して対象の健康および/または生理学的ステータスを示す指標を判定する。
一例ではこれは、指標を判定するためにさらに使用できる少なくとも一つのメトリックを導出することによって達成される。例えばシステムは、インピーダンス測定を行い、メトリックは特定の周波数でのインピーダンス、位相角などのインピーダンスパラメータに対応するように構成されることもできる。このメトリックをさらに用いて、細胞外または細胞内液レベルなどの流体レベルの指示などの指標を導出することができる。
これが行われる様式は、好ましい実施態様に応じて変動する。例えば電子処理デバイスはメトリックを少なくとも一つの計算モデルに当てはめて指標を判定し、計算モデルは健康ステータスと一つ以上のメトリックとの間の関係を具体化するものとすることもできる。この場合、計算モデルは、既知の健康ステータスを有する一つ以上の参照対象について測定された対象データから導出された参照メトリックに機械学習を当てはめることによって得られることもできる。この場合、健康ステータスは、器官機能、組織機能もしくは細胞機能を示すこともでき、医学的コンディションの存在、不存在、程度もしくは重症度を含むこともでき、または一つ以上の分析物の存在、不存在、レベルもしくは濃度の測定値もしくは他のバイオマーカーの測定値など、健康ステータスに別途関連する一つ以上の尺度を含むこともできる。
モデルおよび行われる訓練の性質は任意の適切な形式とすることができ、決定木学習、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰、相関ルール学習、人工ニューラルネットワーク、深層学習、帰納論理プログラミング、サポートベクターマシン、クラスタリング、ベイジアンネットワーク、強化学習、表現学習、類似性およびメトリック学習、遺伝的アルゴリズム、ルールベースの機械学習、学習分類子システムなどのうちのいずれか一つ以上を含むこともできる。これらの方式は既知であるため、これ以上詳しくは記載しない。一例ではこれは、異なる健康状態の組み合わせを有する参照対象からのメトリックを用いて指標を判定するために単一のモデルを訓練することなどを含むことができるが、これは必須ではなく、他のアプローチが用いられることもできる。
測定された信号は、他の様式で使用されることもできる。例えば、時間に対するメトリックの変化を用いて、対象の健康状態または医学的コンディションの変化を追跡できる。測定された信号は、画像を生成するためまたはマッピングを行うために分析されることもできる。例えば、トモグラフィを用いて、インピーダンス測定などに基づいて対象の領域の2Dまたは3D画像を確立することもできる。信号は、コントラストイメージングなどにも使用されうる。
一例では、システムは、応答信号または測定された応答信号から導出された値などの測定された対象データ、メトリックまたは測定データを送信する伝送機を含み、これらが遠隔で分析されることを可能にすることができる。
一つの特定の例では、システムは、基材と微細構造体とを含むウェアラブルパッチ、および測定を行うモニタデバイス(「リーダ」とも呼ばれる)を含む。モニタデバイスは、例えば必要な電子機器を基材の裏側に搭載して、パッチに取り付けられるかまたはパッチと一体的に形成されることもできる。あるいは、読み取りが行われるべきときにリーダをパッチに接触させることもできる。いずれの場合にも、モニタデバイスの間の接続は伝導性(オーミック)接触とすることもできるが、代わりに指示連結として、リーダによりワイヤレスでパッチをインテロゲートおよび/またはパッチに給電することを可能にすることもできる。
モニタデバイスは、測定を行わせるように、ならびに/または測定値を少なくとも部分的に処理および/もしくは分析するように構成されることができる。モニタデバイスは、例えば信号生成器および/またはスイッチを必要に応じて制御することによって、少なくとも一つの微細構造体に印加される刺激を制御することができる。これにより、モニタデバイスは異なる微細構造体を選択的にインテロゲートすることができるため、異なる測定が行われることが可能になり、および/または異なる位置で測定が行われることが可能になる。これにより、微細構造体が選択的に刺激されることも可能になるため、例えば異なる治療法が対象に施されることが可能になる。したがって、微細構造体を選択的に刺激し、それによって治療材料を選択的に放出することにより、これを用いて投薬量制御を提供するかまたは異なる治療材料を送達することもできる。
モニタデバイスは、指標を示す出力もしくは指標に基づく推奨などの出力を生成するために、および/またはアクションを行わせるために使用されることもできる。したがって、モニタデバイスは、通知または警告を含む出力を生成するように構成されることもできる。これは、介入をトリガするため、例えばアクションが必要であることをユーザに示すために使用できる。これは、ユーザに脱水状態であることもしくはトロポニンレベルが高いことを伝えるなどの単なる問題の指示とすることもでき、および/またはユーザに水分補給するかもしくは診察などを受けるように伝えるなどの推奨を含むこともできる。出力は、測定値などの指標の指示または指標から導出された情報を加えておよび/または代わりに含むこともできる。したがって、保水レベルまたは分析物のレベルもしくは濃度がユーザに提示されることもできる。
モニタデバイスは、他のアクションをトリガするようにも構成されることもできる。
出力を用いて介入が必要であることを介護者に警告すること、例えば介護者のクライアントデバイスおよび/またはコンピュータに通知を転送することもできる。別の例では、これは遠隔機器を制御するためにも用いられることもできる。例えば、これを用いて電子制御シリンジ注入ポンプなどの薬物送達システムをトリガして、介入を自動的にトリガすることを可能にすることもできる。さらなる例では、半自動システムが使用され、例えば臨床医に指標と推奨される介入とを含む通知が提供されて、臨床医が介入を承認することができ、その後介入が自動的に行われることもできる。
一例では、モニタデバイスは、クライアントデバイスおよび/またはコンピュータシステムなどの別個の処理システムとインタフェースするように構成される。この例では、これにより処理および分析タスクをモニタデバイスとクライアントデバイスおよび/またはコンピュータシステムとの間で分散させることができる。例えば、モニタデバイスは、測定された応答信号をフィルタおよび/またはデジタル化するなどの部分的処理を行い、処理された信号の指示を分析のために遠隔プロセスシステムに提供することもできる。一例ではこれは、処理された応答信号を含む対象データを生成し、これを分析のためにクライアントデバイスおよび/またはコンピュータシステムに転送することによって達成される。したがって、これによりモニタデバイスは、測定データから導出される対象データを生成、分析または記憶するコンピュータシステムと通信することができる。これをさらに用いて、対象に関連する健康ステータスを少なくとも部分的に示す指標を生成することができる。
これにより、臨床医または他の介護者への通知の転送を含む追加の機能性が実施されることが可能になり、データおよび/または指標の遠隔記憶も可能になることも理解されよう。一例では、これにより、記録された測定値ならびに導出された指標、印加された刺激もしくは治療法の詳細および/または他の結果的アクションの詳細などの他の情報が、電子医療記録などの電子記録に直接組み込まれることが可能になる。
一例では、これにより、本システムは、遠隔の臨床医が必要な情報を得ることができるように成長する遠隔医療セクターを支えるデータを提供して高忠実度の正確な臨床データで遠隔医療システムを強化することが可能になり、これらは中央病院でも集中研究所および地域病院から離れた地方でも高く評価されるであろう。処置までの時間は心臓発作の患者の臨床転帰の改善の強力な予測因子であるため、分散された人口が従来の大規模病院へのアクセスだけに頼ることはできない。したがって、システムは、例えば心臓発作を診断することができてしかも任意の地元の医療施設で提供され、パッチデバイスを適用する程度に簡単な、低コストの堅牢で正確なモニタシステムを提供することができる。この例では、トロポニンIの検査で陽性となった患者のために、心臓トロポニン臨床血液検査に遅れることなくリソースが迅速に送られることもできる。同様に、低リスクと判定された患者は、より早くより少ない侵襲的検査で解放されるか、または家庭医などを介して他の流れに乗せられることもできる。
さらなる例では、ウェアラブルモニタデバイスから測定データを受信し、対象データを生成し、さらにこれを処理システムに転送するためにスマートフォン、タブレットなどのクライアントデバイスが使用され、処理システムが指標を返し、これがさらに、好ましい実施態様に応じてクライアントデバイスおよび/またはモニタデバイスに表示されうる。
しかし、これは必須ではなく、測定値を分析するステップ、指標を生成するステップ、および/または指標の表現を表示するステップの一部または全部が、モニタデバイス上で行われることもできることが理解されよう。
ここでも、遠隔処理システムまたはクライアントデバイスに対してまたはそれらによっても、例えば対象またはアスリートに注意が必要であること、介入が行われるべきであることを臨床医またはトレーナーに警告する、薬物送達デバイスなどの機器を制御するなど、同様の出力が提供されることもできることが理解されよう。
リーダは、パッチに統合されたとき、または恒久的/半恒久的に取り付けられたときに自動的に測定を行うように構成されることもでき、またはリーダが別個である場合にはパッチと接触させられたときに測定を行うこともできる。この後者の例では、リーダはパッチに誘導連結されることができる。
したがって、測定された応答信号の処理、結果の分析、出力の生成、測定手順の制御、および/または治療法の送達などの機能性は、オンボードのモニタデバイスによって行われることもでき、および/または遠隔コンピュータシステムによって行われることもでき、タスクの具体的な分散および結果として生じる機能性は好ましい実施態様に応じて変動しうることが理解されよう。
一例では、本システムは、基材上に配置され、電極である微細構造体または電極を上に含む微細構造体を含みうる一つ以上の微細構造体電極に動作可能に連結された基材コイルを含む。励起および受信コイルが、通常は測定デバイスのハウジング内に提供され、励起および受信コイルは使用時に基材コイルに近接して配置される。これは、励起および受信コイルを基材コイルに誘導連結するために行われ、その結果、駆動コイルに励起信号が印加されると、これにより基材コイルに信号が誘導され、これが基材上の電極および他の反応構成要素と関連して共振回路を形成しうる。その結果、基材上の共振回路の信号周波数、振幅および減衰(Q)は、励起および受信コイルで観察される信号に反映され、これによりさらに励起および受信コイルに印加される駆動信号が例えば信号の周波数、位相または大きさを変化させることによって変更され、これが応答信号として働くことが可能になり、例えばバイオインピーダンスまたはバイオキャパシタンスが測定されることが可能になる。
これは様々な様式で用いることができるが、一例では、応答信号が目的の分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度に依存するように、一つ以上の微細構造体電極が一つ以上の目的の分析物を結合するように構成される。これは、微細構造体を結合剤で被覆する、または結合剤を含む材料から微細構造体を形成するなど上述の様々なやり方で達成することができ、その結果、分析物は微細構造体電極と相互作用してそれらの電気的特性を変化させ、それによって応答信号の特性を変化させる。例えばこれは、分析物を被覆または分子インプリントポリマーなどの微細構造体を形成する材料に結合させることを含むこともできる。
分析物の検出は、いずれの様式で行われることもでき、これは、例えば微細構造体電極の近くの分析物のレベルまたは濃度が変化する際の、時間に対する応答信号の変化を調べることを含むこともできる。あるいは、別の例では、二組の微細構造体電極が使用され、これらは独立して駆動され、一つは対照として働き、他は一つ以上の分析物に選択的に応答するため、測定される信号の差が分析物のレベルまたは濃度の変化を示す。
この例では、システムは通常、基材上に配置され、一つ以上の第一微細構造体電極に動作可能に連結された第一基材コイルと、基材上に配置され、一つ以上の第二微細構造体電極に動作可能に連結された第二基材コイルであって、第二微細構造体電極は目的の分析物と相互作用するように構成される、第二基材コイルとを含む。印加される駆動信号の減衰または位相もしくは周波数変化などの変更が応答信号として働くように、少なくとも一つの駆動コイルが第一および第二基材コイルの少なくとも一つに近接して配置される。この場合、一つ以上の電子処理デバイスは、第一および第二応答信号、特に第一および第二応答信号の間の差を用いて、目的の分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定する。
複数の基材コイルと電極の組み合わせが共振回路を形成する場合には、誘導性または容量性のいずれかの固定反応構成要素の選択によってそれぞれを異なる共振周波数を有するように意図的に設計し、それにより一つの励起および受信コイルを用いたアレイ全体の周波数に基づく多重化の手段を可能にしうる。
次に、生体対象において測定を行うためのシステムのさらなる例を、図3A~3Kを参照して説明する。
この例では、システムは、センサ321と一つ以上の電子処理デバイス322とを含むモニタデバイス320を含む。システムは、信号生成器323、メモリ324、ワイヤレストランシーバなどの外部インタフェース325、アクチュエータ326、ならびに電子処理デバイス322に接続されたタッチスクリーンもしくはディスプレイおよび入力ボタンなどの入力/出力デバイス327をさらに含む。構成要素は通常、ハウジング330内に提供されるが、これは以下で説明する。
信号生成器323およびセンサ321の性質は行われる測定により、電流源および電圧センサ、レーザまたはLEDなどの他の電磁放射線源、ならびにフォトダイオードまたはCCDセンサなどを含むこともできる。アクチュエータ326は通常、ハウジングに連結された圧電アクチュエータまたは振動モータと組み合わされたばねまたは電磁アクチュエータであり、基材を付勢してハウジングの下側に対して振動させ、それによって微細構造体を皮膚に押し込む一方で、トランシーバは通常、Bluetoothシステムオンチップ(SoC:system on a chip)などの短距離ワイヤレストランシーバである。
処理デバイス322は、信号生成器323の制御、センサ321からの信号の受信および解釈、測定データの生成およびトランシーバ325を介したクライアントデバイスまたは他の処理システムへの伝送を含む様々なプロセスが行われることを可能にするために、メモリ324に記憶されたソフトウェア命令を実行する。したがって、電子処理デバイスは通常、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロチッププロセッサ、論理ゲート構成、FPGA(Field Programmable Gate Array、フィールドプログラマブルゲートアレイ)などの論理実装に任意に関連するファームウェア、または任意の他の電子デバイス、システムもしくは装備である。
使用時には、モニタデバイス320は、接続部313を介してセンサ321および/または信号生成器323に連結された基材311と微細構造体312とを含むパッチ310に連結される。接続部は、伝導性トラックなどの物理的伝導性接続部を含むこともできるが、これは必須ではなく、代わりに誘導連結または無線周波数ワイヤレス接続部などのワイヤレス接続部が提供されることもできる。この例では、パッチは、真皮内に貫通し、それによってパッチを対象に固定するのを助けるように構成されたアンカ微細構造体314をさらに含む。
パッチ310の例が、図3Bおよび3Cにさらに詳細に示される。特に、この例では、基材311は略長方形であり、基材が対象の皮膚に適用されたときの不快感を回避するために角が丸い。基材311は、アンカ微細構造体314を含み、基材を固定するのを助けるために基材311の角に近接して提供され、その一方で測定微細構造体312は、基材上にアレイに設けられる。この例では、アレイは規則的な格子編成を有し、微細構造体312が等間隔の行および列で提供されるが、これは必須ではなく、以下でより詳細に説明するように代わりの間隔構成を用いることもできる。
例えば、図3Dおよび3Eの装備では、三つのアンカ微細構造体314.1、341.2、314.3が提供され、それぞれの円周方向に離間された微細構造体312.1、312.2、312.3に囲まれる。これは、アンカの有効性を最大化するのに有用であり得、微細構造体312が対象内で動くのを回避するために、微細構造体312を特にアンカ微細構造体314に接近して提供する。加えて、この例では、アンカ微細構造体314は、例えばグラウンド接続部として働くことなどによって、信号を測定または印加する際に使用されることもできる。
この例では、基材はまた、複数の基材層311.1、311.2から形成され、これは、以下でより詳細に説明するように、微細構造体への接続部、コイルなどの内部構造体を作るのに役立ちうる。バッキングに関して以下に説明されるのと類似の様式で、基材は、異なる材料特性などを有する異なる領域または層も含むこともできる。
この例では、アンカ微細構造体314.1は円形であり、円周方向に離間された微細構造体312.1の一つの周辺群を含む。しかし、これは必須ではなく、アンカ微細構造体314.2の場合には、アンカ微細構造体314.2は、微細構造体312.2の二つ以上の同心群に囲まれ、外側の群はより多くの微細構造体を含むことが理解されよう。これにより、より広範囲の測定が行われることが可能になる。さらなる同心群を提供する、各群に異なる数の微細構造体を提供するなど、他の装備も可能であることが理解されよう。加えて、円形の群が示されるが、これは限定を意図するものではなく、楕円形形状、正方形形状などを含む他の形状または分布が用いられることもできる。
アンカ微細構造体314.3の場合、これは六角形であり、六つのプレート微細構造体312.3があり、それぞれが六角形アンカ微細構造体314.3のそれぞれの面から半径方向外方に配置される。このようにして、アンカ微細構造体314.23の各面とそれぞれの微細構造体312.3との間で測定が行われることができ、これは、アンカ微細構造体と周辺微細構造体との間の等距離の分離を維持しながら各面およびプレート上の電極の表面積を最大化するのに有用でありうる。
上述の構成はアンカ微細構造体に関して説明されているが、これは必須ではなく、任意の駆動またはセンス微細構造体で同様の装備が使用されうることが理解されよう。したがって、一例では、一つの駆動微細構造体が複数の周辺センス微細構造体とともに使用されることもでき、または一つのセンス微細構造体が複数の周辺駆動微細構造体とともに使用されることもできる。これにより、一つのマスター駆動/センス微細構造体が複数のセンス/駆動微細構造体とともに使用される有効なマスタースレーブ装備が提供される。
このようなマスター/スレーブ関係は、例えば一つの駆動信号を用いて複数のセンス微細構造体で応答を誘導するために、広範囲の用途で使用されることができる。この例では、これをマッピングに用いて、例えば異なる位置での異なる応答を識別し、それにより分析物または病変もしくは癌などの特定の目的物の存在などの影響を突き止めることもできる。あるいは、これを例えば異なる被覆などを使用して異なる分析物を検出するために使用されるセンス微細構造体とともに使用して、一つの刺激信号が異なる分析物の検出をトリガできるようにすることもできる。
図3Bおよび3Cの例では、接続部313を介してそれぞれの微細構造体312に接続される四つのコネクタ315が提供されて、刺激信号および応答信号が二組のそれぞれの微細構造体に印加され、それらから測定されることができる。これを用いて、グラウンド基準に対して通常行われ、さらに一般にノイズがより大きくなる非対称もしくはシングルエンド印加または検出とは対照的に、信号の対称または差動印加および検出を可能にすることができる。しかし、光検出などの一部の検出モダリティではこれは重要でなく、一つの接続部315が提供されうることが理解されよう。
基材は、基材をハウジング330に取り付けるために使用できる磁石などの連結部材316も含む。
図3Fおよび3Gの例では、ハウジング330は、略長方形のハウジングである。測定デバイスは、任意に時計または他のウェアラブルデバイスと類似のフォームファクタを有することができ、その場合には、ハウジングがユーザに固定されることを可能にするストラップ331が含まれる。しかし、これは必須ではなく、他の固定機構が使用されることもできる。あるいは、測定が行われるたびにハウジングを単にパッチと係合させ、適所に保持することもできる。この例では、ハウジングは、磁石などの連結部材332を含み、これが基材上の対応する連結部材316と係合して、基材がハウジングに固定されることを可能にしうる。いずれの形態の連結部材が使用されることもできるが、磁石の使用は、磁石をハウジング330内に収容できるためハウジングを密封することができ、例えば磁石の極性により基材310とハウジング330との相対的な向きを案内させることによって基材310の正しい位置合わせを保証するように働くこともできるため、特に有利である。
しかし、この構成は、例示を目的としたものにすぎず、他の装備が使用されることもできることが理解されよう。例えば、基材は、対象に適用されて適所に保持される接着パッチの一部を形成することもできる。あるいは、基材を対象に直接接着するために、基材の表面上に接着剤が提供されることもできる。その後、ハウジング330を、例えば磁気連結を用いてパッチに選択的に取り付け、それにより必要に応じて測定を行うことを可能にすることもできる。
この例では、基材は、微細構造体が直接取り付けられる、織布もしくは不織布または他の適切な材料を使用して達成できる可撓性基材とすることもできる。しかし、より一般的には、図3Hに示されるように、可撓性バッキング319に装着されたいくつかの個別の基材311を用いてセグメント化された基材を形成することで可撓性が達成される。このような装備は、基材を対象に取り付けるためにストラップなどに装着することを含め、多種多様な状況で使用できることが理解されよう。
いくつかのさらなる変形例が、図3I~3Kに示される。
特に図3Iの例では、バッキング319は、複数のバッキング層319.1、319.2から形成され、例では二つが例示のみを目的として示される。複数の層の使用は、所望の特性を達成する上で、例えば接着剤または防水層などを提供するために有益でありうる。
図3Jの例では、バッキング層は複数の散在領域319.3を有し、これらを、基材311のより容易な取り付けを可能にするため、測定デバイス320への接続性を提供するため、基材311間の可撓性を高めるためなどの特定の目的のために使用することができる。この例では、散在領域は基材と実質的に位置が合っているが、これは必須ではなく、他の位置に提供されることもできることが理解されよう。
さらなる例が図3Kに示され、これは、可撓性を高めるために使用されうる基材間に位置するより薄い領域319.4、または強度を高めうる基材間のより厚い領域319.5を含むいくつかの形状改変部を含む。同様に、例えば強度、可撓性、測定デバイスへの接続などを強化するために、より薄い領域またはより厚い領域319.5、319.6が基材に合わせて提供されることもできる。
これらの特徴はバッキング層に関して説明されているが、基材自体に同様のアプローチが用いられることもできることが理解されよう。
次に、パッチの適用を助けるためのアクチュエータの構成の例を、図3Lを参照して説明する。
この例では、ハウジング330は、圧電アクチュエータまたは振動モータなどのアクチュエータ326が取り付けられる装着物333を含む。アクチュエータ326は、ハウジング330の下側の開口部334と位置が合わせられ、アクチュエータ326に連結されたアーム326.1が開口部334を通って延び、開口部334はOリング334.1または他の同様の装備を使用して密封されうる。
パッチ基材311は、ハウジング330の下側に隣接して配置され、基材311をハウジング330に向かって押し付けるように磁石316、332が設けられる。アーム326.1は基材を係合し、それによりアクチュエータ326から基材311に力を伝達して、基材ひいては微細構造体312、314が振動されて微細構造体の対象への挿入を補助することを可能にする。特に、この装備は基材311に直接力を伝達して、ハウジング330の振動を最小化しながら基材における力が最大化されることを可能にする。
次に、アクチュエータ装備のさらなる例を、図3Mを参照して説明する。
この例では、アクチュエータ装備は、開口部335.2を含むベース335.1を有するアクチュエータハウジング335を含む。ハウジングは、ばね336および装着物337を含み、装着物337は使用時にパッチ310(および任意の統合されたリーダ)を支持する。装着物は、圧電アクチュエータまたはオフセットモータ338も任意に含む。
使用時には、アクチュエータハウジング335は、パッチが開口部335.2を通して少なくとも部分的に突出した状態で、ハウジング335のベース335.1が対象の皮膚に当接するように配置される。一例ではこれは、操作者にアクチュエータハウジングを保持させることによって達成される。しかし、これは必須ではなく、加えておよび/または代わりにアクチュエータハウジングが上述のようにモニタデバイスに統合され、および/またはその一部を形成することもできる。
使用時には、ばね336は、装着物337に連続付勢力を加えるように構成されるため、パッチ310が対象の皮膚に対して押し付けられる。加えて、圧電アクチュエータまたはオフセットモータ338が装着物337ひいてはパッチ310を振動させ、それにより微細構造体が角質層を貫くことおよび/または貫通することを容易にすることができる。
次に、微細構造体装備の例を、図4~8を参照してより詳細に説明する。
図4Aの例では、異なる長さの微細構造体が示され、第一微細構造体412.1は角質層および生きた表皮を貫通するが、真皮は突破せず、第二微細構造体412.2は真皮に入るが真皮境界をかろうじて通過するだけであるのに対し、第三微細構造体412.3は真皮層をより遠い距離で貫通する。使用される構造体の長さは、デバイスの意図された用途、特に突破されるバリアの性質に応じて変動することが理解されよう。
図4Bの例では、微細構造体の対が提供され、第一微細構造体対412.4はより狭い間隔を有し、第二微細構造体対412.5は相対的に大きな間隔を有し、これを用いて異なる特性を検出すること、または異なる形態の刺激を行うことを可能にすることができる。
例えば、より大きな電極間隔は、電極間の間質液ならびに他の組織および流体のインピーダンス測定を行うために用いられることができるが、より狭い間隔の電極は、電極の表面上に存在する異なる分析物を検出するために容量検知を行うのにより適する。
加えて、第一および第二微細構造体対に信号を印加することによって生成される電場強度が図4Cおよび4Dに示され、間隔が増加すると電極間の場強度が減少し、それがさらに刺激を行う能力に影響することを強調する。例えば、狭い間隔の微細構造体のアレイを提供することにより、これを用いて大きな印加場を必要とせずに対象内に非常に均一な場を生成することができる。これを用いて、場を例えばエレクトロポレーションなどを行うための刺激に使用することを可能にすることができる。
プレート微細構造体の具体例が、図5A~5Cに示される。
この例では、微細構造体は、本体512.1と先端512.2とを有するプレートであり、微細構造体512の角質層への貫通を容易にするためにテーパ状である。この例では、電極プレート517が微細構造体の両側に提供され、これらは一つの接続部513を介してコネクタ515に連結されて、センサ321および/または信号生成器323にさらに接続される。これにより、信号を電極プレートからまとめて測定し、または電極プレートにまとめて印加することが可能になる。しかし、これは必須ではなく、独立した接続部が提供されて各電極が独立して駆動または検知されることを可能にすることもできることが理解されよう。加えて、各電極517は、各面が複数の電極を含むように複数の独立したセグメント517.1、517.2、517.3、517.4に細分されることもできる。
図5Cおよび5Dに示されるように、異なる装備が使用されることもできるが、一般には、微細構造体が互いに向き合って微細構造体間で信号を印加するかまたは微細構造体間で信号を測定することができるように微細構造体の対が形成される。ここでも、電極の対内の電極間の異なる分離を用いて、異なる測定を行うこと、および/または電極間の組織の刺激のプロファイルを変更することを可能にすることができる。
ブレード微細構造体のさらなる例が、図5Eおよび5Fに示される。
この例では、微細構造体は、細長本体512.1および先端512.2であり、微細構造体512の貫通を容易にするためにテーパ状である。これは、上述のプレート装備と概ね同様のプロファイルであるが、この例でははるかに幅広であり、一つの特定の例では、基材を横断して実質的に全距離に延びうる。この例では、微細構造体は、微細構造体の両側に複数の電極プレート517を含む。この場合、基材は複数の離間された平行なブレードを含み、異なるブレード上の電極を横断して信号が印加されまたは異なるブレード上の電極間で信号が測定されることを可能にすることができる。しかし、一つの電極を提供する、セグメント化された電極を提供する、または微細構造体全体を電極として働かせるなど、他の構成が使用されることもできることが理解されよう。
図示される例では、ブレード先端が基材に平行であるが、これは必須ではなく、ブレードが挿入される際にブレードの長さに沿って徐々に貫通し、これによりさらに貫通を容易にできるように、傾斜した先端を有するなど、他の構成が使用されることもできる。先端は、貫通をさらに増進するために、鋸歯状部などを含んでもよい。
上述のように、一例では、微細構造体は、規則的な格子装備で提供される。しかし、別の例では、微細構造体は、図5Gに示すように六角格子装備で提供される。これは、矢印で示すように各微細構造体が一番近い全ての隣接する微細構造体に対して等間隔である、つまりいずれの隣接する微細構造体に対しても異なる間隔を斟酌するために応答または刺激信号を修正することを必要とせずに測定が行われうるため、特に有利である。
さらなる装備の例が図5Hおよび5Iに示され、ここでは微細構造体512が対512.3に設けられ、対はオフセット列512.4、512.5に設けられる。この例では、異なる列の対は直交して設けられ、そのため微細構造体が異なる方向に延びる。これにより、全ての微細構造体が揃えられ、それによりさらにパッチが微細構造体と揃った方向への横滑りに対して脆弱になりうることが回避される。加えて、対を直交して設けることにより、異なる電極対間のクロストークなどの干渉が減少して、特に複数の微細構造体対を介して同時に測定を行う際の測定精度が向上し、組織異方性が斟酌される。
一例では、各列の微細構造体の対に、それぞれの接続部513.41、513.42;513.51、513.52を提供して、異なる列を独立してインテロゲートおよび/または刺激することを可能にしながら微細構造体対の列全体を同時にインテロゲートおよび/または刺激することを可能にすることができる。
オフセットされたプレート微細構造体の対のアレイを示す走査型電子顕微鏡法(SEM:Scanning Electron Microscopy)画像を、図5Kに示す。
表皮で測定を行うための微細構造体の具体例が、図5Lおよび5Mに示される。
この例では、微細構造体は、広がったベース512.11を備えた本体512.1を有するプレートまたはブレードであり、広がったベース512.11で本体が基材と接合して微細構造体の強度が高められる。本体は、ウエスト512.12で狭くなってショルダ512.13を規定し、この例では非テーパ状シャフト512.14を介して、テーパ状先端512.2にさらに延びる。一般的な寸法を下表4に示す。
対象への挿入時の図5Lおよび5Mの微細構造体の対の例が、図5Nに示される。
この例では、微細構造体は、先端512.2が角質層SCを貫通し、生きた表皮VEに入るように構成される。ウエスト512.12、特にショルダ512.13が角質層SCに当接し、そのため微細構造体は対象にそれ以上貫通せず、先端が真皮に入るのが阻止される。これは、痛みにつながりうる神経との接触を回避するのに役立つ。
この構成では、微細構造体の本体512.1は、先端のみが露出した状態で絶縁材料の層(図示せず)で被覆されることができる。結果として、微細構造体間で印加される電流信号は、対象内、特に生きた表皮VE内に電場Eを生成し、その結果、測定値は生きた表皮VE内の流体レベルを反映する。
しかし、他の構成を使用することができることが理解されよう。例えば、図5Oの装備では、先端512.2が真皮に入るようにシャフト512.14が延長され、真皮(および任意に表皮)の測定を行うことができる。
この例で、一般的な寸法を下表5に示す。
これらの構成の対間および対内間隔の例を下表6に示す。
さらなる装備の例が図6Aおよび6Bに示され、微細構造体はここでも概ね同様のプレート状の装備を含み、微細構造体は、電極がプロング612.2の間の面上にくるように電極617をそれぞれ上に有する離間されたプロング612.2を含み、これも非常に均一な場の印加を可能にし、または容量検知が行われるのを可能にする。
微細構造体のさらなる例が図7Aおよび図7Bに示され、これは、一例ではポリマーまたは他の材料でありうる絶縁層512.1によって覆われた伝導性のコア513を含む本体512.1を含む。この場合、コア513は開口部513.2で終端し、電気信号が出口を介して伝えられることを可能にする。加えておよび/または代わりに、絶縁層を通って延びるポート513.3も提供されて、図7Bに示されるように電気信号が構造体に沿って中途に伝えられることを可能にし、生きた表皮内および/または真皮内の目標の深さで測定が行われることを可能にしてもよい。
微細構造体の対が使用されるときには、電極は、例えば対の外面を絶縁することによって対の内面のみに提供され、それにより微細構造体の異なる対間の電気的干渉を低減することもできることも理解されよう。
次に、さらなるパッチ装備の構築を、図8A~8Lを参照して説明する。
この例では、基材810が金属、特にステンレス鋼のプレート811から形成され、その中にU字形のカットアウト815が作製され、内部セクションを矢印812.1によって示されるように下方に曲げて、それぞれの口816に隣接して構造体812を形成することができる。このプロセスが繰り返されて、同一の第一および第二基材810.1、810.2が形成され、これらがさらに介在する絶縁層810.3と組み合わされる。一例では、絶縁層810.3はプラスチックまたは他の類似の材料で作製され、第一基材810.1の裏側に取り付けられた後、第二基材の微細構造体812が絶縁層および第一基材810.1の口811.2に打ち抜かれて、電気的に絶縁された微細構造体の対を含むパッチが形成される。その結果、信号が基材810.1、810.3ひいては微細構造体の対にわたり測定され、またはこれらの間で印加されることができる。
したがって、これにより信号を印加および/または測定する際に使用されうる離間された微細構造体の対のアレイを迅速かつ安価に構築するための機構が提供されることが理解されよう。
絶縁層によって分離された基材811の対を提供する結果、大きな容量連結が生じ得、それがさらに読み取り値に影響しうる。一例では、これは、第一および第二基材811.1、811.2に追加の口を作り、それにより重なり合う基材材料の量を減らすことによって対処することができる。図8Hに示される代替的な例では、口816.1、816.2がオフセットされるように第二基材が180°回転され、それによって同様の効果が生み出される。
さらなる代替的な構成が図8Iおよび8Jに示され、ここでは一つの基材811.3が背中合わせのカットアウト815.3を有し、微細構造体812.3の対を作ることができる。
さらなる構成例が図8Kおよび8Lに示される。この例では、二つの基材811.4、811.5が提供され、第一基材811.4は、第二基材811.5の第二微細構造体812.5の対の間に配置されうる個々の第一微細構造体812.4を含む。第一および第二基材811.4、811.5、ならびに第一および第二微細構造体812.4、812.5は通常、絶縁スペーサ817によって離して保持される。この構成により、第一微細構造体が第二微細構造体812.5間の条件をインテロゲートするように働くことが可能になる。例えば、第二微細構造体812.5の間で場が印加され、第一微細構造体が同様の場強度を測定するために使用されることができる。一例では、バリアを通した挿入中に微細構造体を強化するために、微細構造体812.4、812.5に被覆818を施すこともできる。
次に、微細構造体を製造するための代替的な技術を、図8M~8Qを参照して説明する。
この例では、キャリアウェーハ891が提供され、フォトポリマー層892でスピン被覆される。フォトポリマー層892はUV照射に選択的に曝露され、架橋されて構造領域892.1が作られ、これらが本例では基材を形成する。第二フォトポリマー層893が第一層891の上にスピン被覆され、UV照射に曝露され、架橋されて第二構造領域893.1を形成し、これらが本例では基材から延びる微細構造体を形成する。キャリアウェーハおよび非架橋ポリマーを除去して、図8Pに示す微細構造体が作られる。
この積層技術を用いて広範囲の異なる微細構造体の構成を作ることができることが理解され、代替的な設計が図8Qに示される。
一例では、モニタデバイスは、分散アーキテクチャの一部として動作し、次にその例を、図9を参照して説明する。
この例では、一つ以上の処理システム910が、通信ネットワーク940および/または一つ以上のローカルエリアネットワーク(LAN)を介して、いくつかのクライアントデバイス930およびモニタデバイス920に連結される。モニタデバイス920は、ネットワークに方向を接続することもでき、またはクライアントデバイス930に接続し、クライアントデバイス930がさらにネットワーク940へのさらなる接続性を提供するように構成されることもできる。ネットワーク940の構成は、例を目的としたものにすぎず、実際には処理システム910、クライアントデバイス930およびモニタデバイス930は、モバイルネットワーク、802.11ネットワークなどのプライベートネットワーク、インターネット、LAN、WANなどを含むがこれらに限定されないワイヤードまたはワイヤレス接続を介して、ならびに直接接続またはBluetoothなどのポイントツーポイント接続を介してなど、任意の適切な機構を介して通信することができることが理解されよう。
一例では、各処理システム910は、モニタデバイス920またはクライアントデバイス930から対象データを受信し、対象データを分析して一つ以上の健康ステータス指標を生成するように構成され、これらがさらに表示のためにクライアントデバイス930またはモニタデバイス920に提供されることができる。処理システム910は一つのエンティティとして示されるが、処理システム910は、例えばクラウドベースの環境の一部として提供される処理システム910および/またはデータベースを使用することによって、地理的に離れたいくつかの位置に分散されうることが理解されよう。しかし、上述の装備は必須ではなく、他の適切な構成が使用されることもできる。
適切な処理システム910の例が、図10に示される。
この例では、処理システム910は、図のようにバス1004を介して相互接続された少なくとも一つのマイクロプロセッサ1000、メモリ1001、キーボードおよび/またはディスプレイなどの任意の入力/出力デバイス1002、ならびに外部インタフェース1003を含む。この例では、外部インタフェース1003は、処理システム910を通信ネットワーク940、データベース1011、他の記憶デバイスなどのような周辺デバイスに接続するために利用されることができる。一つの外部インタフェース1003が示されるが、これは例を目的としたものにすぎず、実際には様々な方法(例えばイーサネット、シリアル、USB、ワイヤレスなど)を用いた複数のインタフェースが提供されてもよい。
使用時には、マイクロプロセッサ1000は、必要なプロセスを行わせるためにメモリ1001に記憶されたアプリケーションソフトウェアの形態の命令を実行する。アプリケーションソフトウェアは、一つ以上のソフトウェアモジュールを含むことができ、オペレーティングシステム環境などの適切な実行環境で実行されることができる。
したがって、処理システム910は、適切にプログラムされたクライアントデバイス、PC、ウェブサーバ、ネットワークサーバなどの任意の適切な処理システムから形成されうることが理解されよう。一つの特定の例では、処理システム910は、必須ではないが、不揮発性(例えばハードディスク)ストレージに記憶されたソフトウェアアプリケーションを実行するIntel(商標)アーキテクチャベースの処理システムなどの標準的な処理システムである。しかし、処理システムは、マイクロプロセッサ、マイクロチッププロセッサ、論理ゲート構成、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)などの論理実装に任意に関連するファームウェア、または他の任意の電子デバイス、システムもしくは装備などの任意の電子処理デバイスとすることもできることも理解されよう。
適切なクライアントデバイス930の例が、図11に示される。
一例では、クライアントデバイス930は、図のようにバス1104を介して相互接続された少なくとも一つのマイクロプロセッサ1100、メモリ1101、キーボードおよび/またはディスプレイなどの入力/出力デバイス1102、ならびに外部インタフェース1103を含む。この例では、外部インタフェース1103は、クライアントデバイス930を通信ネットワーク940、データベース、他の記憶デバイスなどのような周辺デバイスに接続するために利用されることができる。一つの外部インタフェース1103が示されるが、これは例を目的としたものにすぎず、実際には様々な方法(例えばイーサネット、シリアル、USB、ワイヤレスなど)を用いた複数のインタフェースが提供されてもよい。
使用時には、マイクロプロセッサ1100は、処理システム910および/またはモニタデバイス920との通信を可能にするためにメモリ1101に記憶されたアプリケーションソフトウェアの形態の命令を実行する。
したがって、クライアントデバイス1130は、適切にプログラムされたPC、インターネット端末、ラップトップまたはハンドヘルドPCなどの任意の適切な処理システムから形成されうることが理解され、一つの好ましい例では、タブレット、スマートフォンなどである。したがって、一例では、クライアントデバイス1130は、必須ではないが、不揮発性(例えばハードディスク)ストレージに記憶されたソフトウェアアプリケーションを実行するIntel(商標)アーキテクチャベースの処理システムなどの標準的な処理システムである。しかし、クライアントデバイス1130は、マイクロプロセッサ、マイクロチッププロセッサ、論理ゲート構成、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)などの論理実装に任意に関連するファームウェア、または他の任意の電子デバイス、システムもしくは装備などの任意の電子処理デバイスとすることができることも理解されよう。
次に、測定を行い、指標を生成するためのプロセスの例をさらに詳細に説明する。これらの例の目的のために、一つ以上の処理システム910が、受信された対象データを分析し、結果の指標を生成するように働くと想定する。測定はモニタデバイス920によって行われ、対象データが、クライアントデバイス230を介して処理システム910に転送される。一例では、これをプラットフォームにとらわれない様式で提供して、異なるオペレーティングシステムを使用する処理能力の異なるクライアントデバイス930を使用してこれに容易にアクセスできるようにするために、入力データおよびコマンドがウェブページ経由を用いてクライアントデバイス930から受信され、結果として生じる視覚化がクライアントデバイス930によって実行されるブラウザアプリケーションまたは他の類似のアプリケーションによってローカルにレンダされる。したがって、処理システム910は通常、利用可能な特定のネットワークインフラストラクチャに応じて通信ネットワーク940などを介してクライアントデバイス930および/またはモニタデバイス920と通信するサーバである(以下ではサーバと呼称される)。
これを達成するために、サーバ910は通常、ウェブページをホストするためならびにデータの記憶、検索および処理を含む他の必要なタスクを行うためのアプリケーションソフトウェアを実行し、処理システム910によって行われるアクションは、メモリ1001にアプリケーションソフトウェアとして記憶された命令および/もしくはI/Oデバイス1002を介してユーザから受信される入力コマンド、またはクライアントデバイス1030から受信されるコマンドにしたがってプロセッサ1000によって行われる。
ユーザは、クライアントデバイス930上に提示されたGUI(Graphical User Interface、グラフィカルユーザインタフェース)などを介して、一つの特定の例ではサーバ910によってホストされるウェブページを表示するブラウザアプリケーションまたはサーバ910によって供給されるデータを表示するアプリを介してサーバ910とインタラクトすることも想定される。クライアントデバイス930によって行われるアクションは、メモリ1101にアプリケーションソフトウェアとして記憶された命令および/またはI/Oデバイス1102を介してユーザから受信される入力コマンドにしたがってプロセッサ1100によって行われる。
しかし、以下の例の目的のために想定される上述の構成は必須ではなく、他の多数の構成が使用されうることが理解されよう。モニタデバイス920、クライアントデバイス930、およびサーバ910の間の機能性の分割は、特定の実施態様に応じて変動しうることも理解されよう。
次に、対象に対して測定を行うためのプロセスの例を、図12Aおよび12Bを参照してより詳細に説明する。
この例では、基材と微細構造体とを含むパッチを適用するためのプロセスがステップ1200~1230に示されるのに対し、測定プロセスがステップ1235~1260に示される。この点に関し、ある期間にわたって複数の測定を行うために使用されるパッチの場合、ステップ1200~1230は一回だけ行われ、ステップ1235~1260は必要に応じて繰り返されることが理解されよう。
さらに、この例の目的のために、システムは、ハウジング330と関連する信号生成器、センサおよび処理電子機器とによって形成されるリーダを含むと想定される。リーダは、好ましい実施態様に応じてパッチ310と一体であることもでき、および/またはパッチ310とは別個であることもできる。
ステップ1200で、基材は、基材および微細構造体を対象に対して適所において所望の位置に提供される。ステップ1205で、リーダがパッチ310に統合されていないと想定すると、ハウジング330が、例えばハウジングと基材とを磁気もしくは他のやり方で連結することによって、またはハウジングをパッチ310と接触させて保持することによって基材311に取り付けられる。
ステップ1210で、処理デバイス322が、アクチュエータの周波数/大きさを選択する。これは標準値とすることができ、および/または突破されるバリアに応じることも考えられ、したがって対象上の異なる部位および/または異なる対象で異なる値が選択されることも考えられる。
ステップ1215で、アクチュエータ326が制御され、それにより微細構造体の振動が開始され、そのため対象内の微細構造体の動きが容易になる。
ステップ1220で、刺激が任意に印加され、応答信号がステップ1225で測定されて、処理デバイス322が機能的バリアの突破および/または貫通の深さをモニタすることができる。これを達成するための機構は、応答信号および任意の刺激の性質に応じる。例えば、微細構造体が角質層を貫通して生きた表皮に入る際にインピーダンス値が変わるため、刺激および応答を用いてインピーダンスが導出されることもできる。
ステップ1230で、処理デバイス322は、突破または貫通が完了したか否かを任意に判定し、完了していない場合、プロセスはステップ1210に戻って、異なる周波数および/または大きさを選択する。したがって、このプロセスにより、基材および微細構造体が適用される際、特に微細構造体が機能的バリアを突破し、任意に貫通する際に加えられる力の周波数および/または大きさを連続的に調節することが可能になる。一例では、これを用いて挿入中にバリアが突破されるまで力を徐々に増加させる一方で周波数を減少させ、バリアが突破されたポイントで力を減少させることができる。この点に関し、これによりバリアの貫通が容易になりうることが分かっている。
パッチが適用されると、測定が始まりうる。この点に関し、リーダがパッチに統合されている場合には、必要に応じて測定が行われうる。あるいは、リーダが別個である場合には、測定を行うことができるようにリーダをパッチに近接および/または接触させることが必要になりうる。
この例では、ステップ1235で、モニタデバイス920が対象に一つ以上の刺激信号を印加し、次いで、ステップ1240で応答信号を測定する。応答信号はセンサ321によって測定され、センサ321は測定データを生成し、これがステップ1245で処理デバイス322に提供される。この例では、モニタデバイス920は、その後、さらなる処理のために測定データをクライアントデバイス930に転送する。特に、クライアントデバイス930は、データの予備的な前処理を行うことも考えられ、例えばGPSなどのオンボードセンサから導出された追加情報を付加し、それによって時間または位置情報などを追加しうる。この情報は、感染症の蔓延の追跡などの状況で有用でありうる。
結果として得られたデータは、例えば対象データを作成することによって照合され、さらにサーバ910に転送されて、ステップ1250で分析されることができる。しかし、リーダ上で分析が行われることもでき、分析を行うことによって導出された指標がリーダ上に表示されることもできることも理解されよう。
分析の性質は、好ましい実施態様に応じて変動し、広範囲の選択肢が予想される。
流体レベルの測定を行うときには、交番電流信号が微細構造体の対を介して対象に印加され、結果として生じる電圧信号が同じ微細構造体を介して測定される。印加された電流および結果として生じた電圧の大きさおよび位相をさらに用いて、対象中の流体レベルに依存するインピーダンス値を計算することができる。したがって、測定されたインピーダンス値を流体レベルと相関させることができるため、対象の保水を判定することが可能になり、この例を以下でより詳細に説明する。
測定が行われる周波数に応じて異なる情報を導出できることがさらに理解されよう。例えば、システムは、一つの低周波数信号が対象Sに注入され、測定されるインピーダンスが生物学的パラメータの判定に直接使用されるバイオインピーダンス分析(BIA:Bioimpedance Analysis)を用いることができる。一例では、印加される信号は、100kHz未満、より一般的には50kHz未満、より好ましくは10kHz未満などの比較的低い周波数を有する。この場合、そのような低周波数信号は、細胞外液レベルを示すゼロ印加周波数でのインピーダンスの推定値として使用されることができる。
あるいは、印加される信号は、200kHz超、より一般的には500kHz超、または1000kHzなどの比較的高い周波数を有することができる。この場合、そのような高周波数信号は、細胞外液レベルおよび細胞内液レベルの組み合わせをさらに示す無限大印加周波数でのインピーダンスの推定値として使用されることができる。
加えておよび/または代わりに、システムは、複数の周波数でインピーダンス測定が行われるバイオインピーダンス分光法(BIS:Bioimpedance Spectroscopy)を使用することができ、これをさらに用いて、例えば測定されたインピーダンス値をColeモデルにフィッティングすることによって細胞内液レベルおよび細胞外液レベルの両方に関する情報を導出することができる。
分析物のレベルまたは濃度の測定を行うときには、交番電気刺激信号が微細構造体の対を介して対象に印加され、結果として生じる電気応答信号が同じ微細構造体を介して測定される。印加された信号の大きさおよび/または位相、ならびに結果として生じる応答信号の電圧をさらに用いて、対象中の分析物のレベルまたは濃度に依存するインピーダンスまたはキャパシタンス値を計算することができる。したがって、測定されたインピーダンス値を分析物のレベルまたは濃度と相関させることができるため、疾患、障害もしくはコンディションの進行をモニタすること、もしくは疾患、障害もしくはコンディションを診断すること、または薬品、違法物質もしくは非違法乱用物質、もしくは化学兵器、毒物もしくは毒素の存在、不存在、レベルもしくは濃度を判定することが可能になる。
例えば、対象データは、長期的分析を行って時間に対する測定値の変化を調べるために、以前に収集された対象データと併せて用いられることもできる。加えておよび/または代わりに、対象データは、機械学習モデルなどを用いて分析されることもできる。ステップ1255で一つ以上の指標が生成され、指標の性質およびこれらが生成される様式は、好ましい実施態様および行われる分析の性質に応じて変動する。
ステップ1260で、対象データ、指標、または測定データなどのデータが記録されて、これに後で必要に応じてアクセスできるようになる。指標は、表示できるようにクライアントデバイス930および/またはモニタデバイス920に提供されてもよい。
一例では、モニタデバイスがそれぞれのユーザに割り当てられ、この割り当てを用いて対象の測定値が追跡される。次に、モニタデバイス920を対象に割り当るためのプロセスの例を、図13を参照して説明する。
この例では、対象はまずステップ1300で評価を受け、このプロセスは臨床医によって行われる。臨床医は、評価を用いて、行う必要のあるモニタのタイプの指針とし、例えば対象が患う任意の症状または医学的疾患、障害もしくはコンディションにさらに依存しうる測定されるべき特定のバイオマーカーを識別する。このプロセスの一部として、臨床医は通常、ステップ1310で、体重、身長の測定値、年齢、性別、医学的介入の詳細などの対象の属性を入手する。これは、医療記録を照会する、質問する、測定を行うなどの組み合わせまたは技術を用いて行うことができる。
評価が完了すると、1320でモニタデバイスのタイプが選択されることができ、これは必要な測定に基づいて行われる。この点に関し、様々な測定が行われることを可能にするために微細構造体装備および検知モダリティの様々な組み合わせを使用することができ、したがって測定値を収集できるようにするために正しい選択をすることが重要であることが理解されよう。次に、ステップ1330で特定のモニタデバイス920が対象に割り当てられる。この点に関し、各デバイスは通常、MAC(Media Access Control、メディアアクセス制御)アドレスまたは他の識別子などの一意識別子を含み、これを用いてモニタデバイスを対象と一意に関連付けることができる。
ステップ1340で、モニタデバイス920は、例えばそれぞれの測定を行うために必要なファームウェアまたは命令セットを更新するように、任意に構成されることができる。ステップ1350で、対象の属性、対象データ、指標または任意の他の関連情報を含む対象に関連する詳細を記憶するために使用される対象の記録が作成される。加えて、対象の記録には通常、モニタデバイス識別子の指示も含まれ、それによってモニタデバイスが対象に関連付けられる。
次に、デバイスを使用して測定を行うプロセスの例を、図14Aおよび14Bを参照して説明する。
この例では、ステップ1400で、一つ以上の測定が行われる。測定は、上述のプロセスを利用することによって、例えばモニタデバイスに刺激信号を印加させ、応答信号を測定させることによって行われる。応答信号に基づいて測定データが記録され、これはステップ1405でクライアントデバイス930にアップロードされて、ステップ1410でクライアントデバイス930が対象データを生成することが可能になる。対象データは、単に測定データとすることもできるが、クライアントデバイス930によって提供される追加の情報も含んでもよい。これにより、クライアントデバイス930を介して、例えば症状の詳細、属性の変化などを提供するユーザ入力が提供されることが可能になる。次に、ステップ1415で対象データがサーバ910にアップロードされる。次に、ステップ1420でサーバ910が例えば対象の記録からもう一つの対象の属性を読み出し、その後ステップ1425で、サーバ910が一つ以上のメトリックを計算する。
ステップ1430で、サーバ910はメトリックを分析する。これが行われる様式は、好ましい実施態様によって変動する。例えばこれは、メトリックを関連する健康ステータスと一つ以上のメトリックとの間の関係を具体化する計算モデルに当てはめることによって達成されることもできる。あるいは、メトリックが、参照対象の集団から確立されることができ、医学的コンディションの存在または不存在など、ある疾患、障害またはコンディションを表すために用いられる定められた閾値と比較されることもできる。さらなる選択肢として、例えば健康ステータスの変化をさらに表しうるメトリックの変化を調べるために、メトリックが対象の以前のメトリックと比較されることもできる。分析の結果を用いて、ステップ1435で一つ以上の指標を生成することができる。一例では、指標は、健康ステータスを表すスコアの形態とすることができ、または疾患、障害もしくはコンディションの存在、不存在もしくは程度を示すこともできる。
ステップ1440で指標が記憶されることができ、ステップ1445で指標の指示がクライアントデバイス930に転送されて、ステップ1450でクライアントデバイス930またはモニタデバイス920のいずれかによって指標が表示されることができる。
加えておよび/または代わりに、ステップ1455で、指標を用いて、アクションが必要か否か、例えば介入を行うべきか否かが判定されることができる。アクションが必要か否かの評価は、いくつかの様式のいずれかで行われうるが、一般には指標を、所定の閾値または指標値の許容範囲を定義する評価基準と比較することを含む。例えば、保水指標を正常な保水を示す範囲と比較すること、または分析物の正常なレベルもしくは濃度を示す分析物指標を比較すること。
評価基準は、指標が許容範囲外である場合に必要なアクション、およびアクションを行うために必要な任意のステップも指定して、ステップ1460でアクションが行われることを可能にすることができる。例えば、ある分析物が検出された場合には、これは医学的状況を示し得、その場合に処理システムまたはモニタデバイスが臨床医または他の指名された人もしくはシステムに提供される通知を生成して、それらに警告できるようにすることもできる。通知には、任意の判定された指標および/または測定された応答信号を含めて、臨床医が必要な介入を迅速に識別できるようにすることもできる。セラノスティックの用途では、アクションは、印加モニタデバイスによって刺激信号を電極に印加させ、それによって一つ以上の治療剤を放出させることを含むこともできる。これは、評価基準の一部として指定されるかまたは例えば上述のように提供された通知に応答して臨床医によって手動で定められることもできる投薬計画にしたがって行われることもできる。あるいは、アクションは、ユーザに通知することを含むこともでき、したがって例えば対象が脱水状態である場合には、アクションは、モニタデバイスによってユーザに水分補給の推奨を提供させることを含むこともできる。
したがって、これにより必要に応じてアクションがトリガされることが可能になることが理解されよう。
上述のプロセスは、分析のための遠隔システムへのデータの転送を説明するが、これにはいくつかの利点がありうる。例えばこれにより、既存の処理能力によるより複雑な分析が行われることが可能になる。これにより遠隔監督も可能になり、例えば臨床医が複数の患者に関連する記録にリアルタイムでアクセスすることが可能になるため、臨床医が必要に応じて迅速に対応することができる。例えば測定データが有害な健康状態の兆候を示す場合に、臨床医に警告または通知がなされて、介入がトリガされることを可能にすることもできる。加えて、集団的モニタは公衆衛生上の利益を提供し、例えば感染症などの追跡を可能にする。さらに、集中分析により、分析プロセスを精緻化するためにデータマイニングを用い、より多くのデータが収集されるにしたがってより正確なものにすることが可能になる。
しかし、分散実施態様は必須ではなく、加えてまたは代わりに、例えばモニタデバイス920および/またはクライアントデバイス930にステップ1425~1460を行わせることによってインサイチュで分析が行われ、結果として得られた情報が例えばクライアントデバイス930または内蔵ディスプレイを使用してローカルに表示されることもできることが理解されよう。
次に、微細構造体装備および分析技術のさらなる例を、図15A~15Fを参照して説明する。
この例では、いくつかの微細構造体512を上に有する基材1511を含むパッチ1510が提供される。微細構造体の形態および構成はこの例の目的にとって重要ではなく、上述のように様々な構成が使用されうることが理解されよう。
この例では、基材1511は、基材1511上、通常は裏表面上に配置された基材コイル1515を含む。コイルは、微細構造体上に提供される電極または伝導性微細構造体自体とすることもできる一つ以上の微細構造体電極に動作可能に連結される。通常、基材コイルは二つの端を含み、各端は点線で示されるように異なる微細構造体電極に連結され、その結果、基材コイル1511の信号が微細構造体電極の間で印加される。励起および受信コイル(図示せず)が通常は測定デバイスのハウジング内に提供されて、測定が行われるべきときに、例えばハウジングが基材に取り付けられたときに励起および受信コイルが基材コイルに揃えて近接して置かれる。これは、励起および受信コイルを基材コイルに誘導連結するために行われ、その結果、信号生成器によって励起および受信コイルに励起信号が印加されると、これにより基材コイル1515に対応する信号が誘導され、これがさらに微細構造体電極を横断して印加される。
図示のように、微細構造体電極および電極を取り巻く組織および/または流体はコンデンサとして働く。その結果、励起および受信コイルならびに基材コイルは同調回路として働き、回路構成の例が図15Bに示される。これには固定インダクタンス1561ならびにキャパシタンス1562および抵抗1563が含まれ、励起コイルおよび基材コイルの固有の応答性を表す。回路は、微細構造体電極および電極間の組織または他の材料の応答性を表す可変キャパシタンスおよび可変抵抗1565、1564も含む。したがって、同調回路の周波数応答および減衰(Q)は、微細構造体電極が存在する環境にさらに依存する可変キャパシタンスおよび抵抗の値に依存して変動することが理解されよう。
一般に、励起および受信コイルに信号が印加されると、全体的な応答は、図15Cに示されるように励起および受信コイルにおける一定振幅信号になる。駆動信号が停止されると、回路は共振を続け、結果として生じる信号は点線の右側に示すように時間とともに減衰する。減衰の率および/または周波数は、可変キャパシタンスおよび抵抗の値に依存するため、対象内のコンディションに応じて異なる応答1581、1582が生じ、それによりさらに対象内のコンディションに関する情報を導出することが可能になる。例えばこれは、微細構造体電極への分析物の結合、流体レベルなどによって影響されうるため、減衰率および周波数の変化を調べることを用いて、分析物の存在、流体レベルなどに関する情報を導出することができる。
しかし、減衰信号は過渡的であるため、別の例では、異なる周波数での回路の応答が分析され、これを用いて、抵抗およびキャパシタンス値をさらに示す同調回路の共振周波数およびQ値が判定される。この点に関し、対象内の電気的状態の変化の結果、図15Dに示すように周波数応答の変化が生じる。例えば、分析物の不存在時の応答は実線で示したようになることが考えられる一方で、分析物の存在の結果、点線で示したように共振周波数および/またはQ値の増加または減少が生じることが考えられる。
一つの特定の例では、応答をより正確に解釈できるようにするために、対照参照を提供することが好ましい。この例が図15Eに示され、ここでは二つのパッチ1510.1、1510.2が提供され、各々がそれぞれの基材1511微細構造体1512と基材コイル1515とを有する。この例では、パッチ1510.2は分析物を引き付けるために結合剤で被覆される一方で、パッチ1510.1は被覆されず、対照として働く。
この場合、各基材コイルが駆動され、信号の減衰および/または周波数もしくは位相変化を含む変更が測定され、これらは共振周波数およびQ値に依存する。変更された駆動信号の例が図15Fに示され、信号1571はパッチ1510.2について得られた対照を表し、信号1571.11、1571.12および1571.21、1571.22はパッチ1510.2ついて得られた異なる応答をそれぞれ表す。この点に関し、信号1571.11、1571.21は、分析物なしで印加された信号を表し、異なるパッチが異なる同調周波数応答を有しうることを強調し、信号1571.12、1571.22は周波数の変化δ1、δ2を示し、異なる応答が測定されうることを強調し、これをさらに用いて、第二パッチ1510.2の微細構造体の近くの分析物のレベルまたは濃度に関する情報を導出することができる。
異なる分析物のレベルまたは濃度に応答して生じる周波数の変化の測定は、励起コイルにおけるリターンロスブリッジ回路の使用によって周波数領域で行われてもよい。この様式では、様々な周波数にわたって掃引される間のrf電磁信号の吸収は基材コイルの共振周波数でデシベル(dB)単位の信号損失を示す。この吸収の周波数および深さが、分析物のレベルまたは濃度を示す。
この技術は、電子的に活性な検知要素を備えないパッチを使用しながら、分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度などの対象内のコンディションに関してなされる測定が容易に判定されることを可能にすることが理解されよう。被覆を適切に適合させることにより、様々な分析物を検知することが可能になり、これを他の適切な測定を行うためにも適合させることができることも理解されよう。
次に、上述の装備の例となるさらなる詳細を説明する。
製造
次に、微細構造体を含む基材を製造するためのプロセスの例をより詳細に説明する。
図17A~17Pに示される第一の例では、基材に施される絶縁性ポリマーから微細構造体が作製され、ポリマー微細構造体の電気接続部として働くように選択的エッチングを通じて電極が基材上にパターニングされる。伝導性ポリマーが、例えば絶縁性ポリマーの適切なドーピングを通じて使用されることもできることも理解されよう。
この例では、図17A~17Gに示される第一ステップは、可撓性ポリエチレンテレフタレート(PET)基材1701上に電極アーキテクチャを選択的にパターニングすることである。微細構造体を上に規定するための電極設計がPET上にパターニングされ、この場合には酸化インジウムスズ(ITO)1702層が可撓性PET基材上に堆積され、ITO層から電極パターンが選択的にエッチングされた。基材が準備され(図17A)、その後、ポジ型フォトレジストAZ1518(マイクロケミカルズ(MicroChemicals))がフォトリソグラフィを介してITOの上にパターニングされ(図17B)、ソフトベークされた(図17C)。フォトレジストはUVに選択的に曝露されて(図17D)、電極パターンが規定され、その後、フォトレジストはベークされ、現像液AZ726MIF(マイクロケミカルズ(MicroChemicals))を用いて現像され(図17E)、露出したITO領域がウェット酸エッチングされた(図17F)。フォトレジストが除去されて、デバイスに伝導性電極を提供する最終エッチングITOパターンが現れた(図17G)。
図17H~17Pに示される第二ステップにおいて、感光性ポリマーからITO電極上に3D微細構造体が製作された。ITO電極を備えたパターニングされたPET基材が、酸素プラズマで処理されて(図17H)、濡れおよびレジスト接着が改善され、SU‐8 3005(マイクロケミカルズ(MicroChemicals))のシード接着層1704がITO‐PET基材上にスピン被覆された(図17I)。シードSU‐8層積層物のベーク(図17J)の後、SUEX SU‐8フィルムレジスト1705(DJマイクロラミネーツ(DJ MicroLaminates))が、熱ラミネートを通じて基材に結合された(図17K)。マスクアライナを通じたアライメントおよびUVへの曝露(図17L)の後、曝露されたSU‐8領域が架橋して、伝導性ITOフィンガ1702に沿って垂直壁プロファイルを備えた長方形の微細構造体1706の列を形成した(図17M)。構造体はSU‐8 1704およびSUEX1705とともにベークされた後、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)(シグマアルドリッチ(Sigma Aldrich))で現像され、その後ハードベークされる(図17N)。シャドウマスク1708が基材1701に施され、微細構造体1706が選択的堆積を通じて金1707で被覆され(図17O)、その後、マスクが除去されて(図17P)、電極として働く選択的に金属化された微細構造体が残される。
この例では、微細構造体は平坦な先端を有するが、グレースケールリソグラフィ、バックサイド回折リソグラフィ、2光子リソグラフィなどの他のUVリソグラフィ技術を用いてテーパ状微細構造体を規定することもできることが理解されよう。
得られた微細構造体を図18A~18Dに示す。
図19A~19Lに示される第二の例では、微細構造体が成形によって作製される。
この例では、シリコンウェーハ1901に窒化物の90nmの層1902が堆積された(図19A)。次に、AZ1505(マイクロケミカルズ(MicroChemicals))ポジ型レジスト1903が4000rpmでスピンされた(図19B)。マスクライタ1904を使用して、ブレードの輪郭を規定する長方形のパターンが直接書き込まれた(図19C)。書き込まれたパターンが、30秒間AZ726MIF(マイクロケミカルズ(MicroChemicals))を使用して現像された(図19D)。反応性イオンエッチングを用いて窒化物層1902が除去され(図19F)、その後、フォトレジスト1913が除去される(図1919E)。次に、ウェーハが80℃の水酸化カリウム浴に40分間垂直に保持されて、シリコンウェーハがウェーハの結晶軸に沿ってエッチングされる(図19G)。エッチングは軸111で停止して、求められる鋭い先端が規定され、これがさらに製作されるデバイスのモールドとして働く。
オムニコートがリフトオフレジストとして使用され、3000RPMで1分間のスピンレシピを使用し、次いで200℃で1分間ベークして約20nmの厚さまでウェーハ上に被覆される。これに続いて、SU8 3005の5ミクロンの層1905が3000RPMでウェーハ上にスピンされた後、65℃で1分間、次に95℃で20秒間、続いて再び65℃で1分間ベークされる(図19H)。SU8 3005のより薄い処方により、シリコンウェーハモールドにエッチングされた鋭い三角形の隙間に流れ込み易くなるであろう。次に、2000RPMで60秒間のスピンレシピを使用して、この層の上にSU8 1900の層2016が200ミクロンの厚さにスピンされる(図19I)。これに続いて、ウェーハは65℃で5分間、次に95℃で35分間、その後再び65℃で5分間ベークされた。このSU8 1900の層は、固体層の上に鋭い先端が立つことを可能にすると考えられる。
最後に、ウェーハは、15mW/cm2のパワーを送達する紫外線源1907を40秒間使用してフラッド曝露される(図19J)。ウェーハをAZ726現像液に一晩浸すことにより構造体が剥離され(図19K)、ウェーハを120℃の熱ショックに15秒間曝露した。構造体が裏返されたモールドから除去され、窒素ガスを用いて乾燥される(図19L)。
得られた微細構造体を20Aおよび20Bに示す。
図21Aおよび21Bは、エッチングによって製作されたシリコンブレードを示す。図21Aは、SU8シンナーを使用して3:2の比率で希釈され、5000RPMで40秒間スピンされたSU8 3005の1ミクロン近くの厚さの層で被覆されたブレードを示す。図21Bは、そのベースがポリマー被覆で選択的に被覆されたブレードを示す。ブレードの先端は裸であり、このエリアでのみ検出目的で使用可能である。この選択的被覆は、図21Aの被覆されたブレードを、ブレードの先端からレジストを機械的に除去するアルミホイルの薄層に押し付けて除去することによって達成される。これにより、ブレードが絶縁被覆で部分的に覆われることができ、その結果、先端部分のみが電極として働き、それにより、図5Lおよび5Mに関して上述したように表皮および/または真皮で測定を行うことができる。
保水
次に、保水の測定における微細構造体の使用の例を説明する。
この点に関し、研究は、パフォーマンスのレベルと体重の%Δとして測定される脱水症との間に強い相関関係があり、体重減少が2%を超えると有意な脱水症が発生することを示唆している。証拠は、脱水症が高強度の筋持久力、筋力およびパワーに悪影響を与えることを示唆する。さらに、筋力およびパワーの低下と怪我の発生の可能性との間には関係があり、このことは保水を正確に測定できることは、アスリートにとって、特にリスクの高いスポーツにおいて有益となりうることを示唆する。
微細構造体のインピーダンスに基づくアプローチを用いて、ブタ皮膚の保水を測定するための実験を行った。この例では、組織を名目「フレッシュ」保水ポイントで測定してから、38℃の設定ポイントで加温プレートに適用することによって脱水した。組織ブロックの体積を、実験の開始時および終了時に変位法によって測定した。全ての質量変化が、切除組織からの蒸発による水分損失によるものと仮定した。
200Hzで測定されたインピーダンスの時系列データが図22Aに示され、第二軸が、測定された質量および体積の測定値から導出された同時に生じる含水量の推定値を表す。インピーダンスと含水量との間の逆相関は予想通りであり、一次水分損失率が測定されるインピーダンスの変化に反映される。
これは、微細構造体パッチが良好に係合し、十分なレベルの精度で試料の水分損失を測定できることを示す。したがってこのアーキテクチャは、保水検知で示されるように、電気的にインタフェースする微細構造体パッチの開発のしっかりとした基盤である。
ヒトの前前腕部の生きた表皮層における間質液の調査を通じて体内水分損失(および増加)を評価する上述の装備の能力を調べるために、ヒトの水分損失および水分補給実験を実施した。4×4mmの金で被覆されたパッチを適用し、ベンチ機器(Keysight E4990A)を用いて多周波数インピーダンス測定を行った。4×4mmデバイスは、深さ150μmおよび幅260μmの15のブレード微細構造体電極を備えた二つの2×4mm領域に電気的に分割され、電極はインビボ実験でヒト組織に80μm程度の深さまで貫通したものと予想される。
三時間の期間にわたって脱水を制御し、連続ヘマトクリット(Hct)測定によって血漿水分損失の参照または「グラウンドトゥルース」測定を行った。正常な赤血球量は、成人男性の正常な保水レベルで血漿量のおよそ43%を占める。したがって、失血がない場合のHctの増加は、水分損失によるものである。
図22Bは、体内総水分量損失が1.7%に近づく際の時間に対して測定されたインピーダンス(Z)およびヘマトクリット(Hct)の結果を示すグラフである。インピーダンスの傾向は、Hctにより測定されるように脱水をたどり、回復をたどり、応答時間は分単位である。
生きた表皮の時間に対するHctおよびインピーダンスを記録することにより、脱水との良好な関連が示される。水分補給ポイントでも、測定は体内総水分量レベルの回復をたどる。体重および尿の分析を用いて、研究期間にわたる体内総水分量損失および増加を定量化した。
特に、1.7%未満の体内総水分量損失で、電気的相関を検出することができた。このレベルは、訓練された臨床医による脱水の検出の閾値を下回り、従来なら採血および実験室アッセイによる血漿浸透圧測定が必要であろう。体内水分の回復は迅速であり、センサは15分未満でISFのこの変化を検出することができた。
ベンチ機器で見られる二電極測定およびインピーダンス変化の範囲は、ウェアラブルデバイスに容易に小型化され、センサの低侵襲性により、デバイスの除去後に非常に軽度の局所紅斑が生じただけであった。
体内総水分量損失が、結果として生じる血漿浸透圧に応じて分類されうる生理応答を誘発することも注目に値する。例えば、汗および口腔液の制限による水分損失の結果、主に高張性の循環血液量減少、すなわち不均衡に高い塩(Na+、Cl-、K+)濃度により血漿量の減少が生じる。対照的に、利尿剤、嘔吐、寒さおよび高度によって誘発される水分損失は、等張性または低張性の循環血液量減少を誘発する。水分に対する塩の不均衡な損失により血漿浸透圧が低下する。間質液(ISF)の伝導率は伝導性イオンの濃度と密接に関連し、したがってインピーダンスの変化に基づいてこれらの異なった保水変化の様式を区別できる。
この例が図22Cに示され、高張性応答を引き起し、それによって伝導率が増加する(インピーダンスが低下する)運動誘発性水分損失の結果としてのインピーダンスの変化が示される。これは、図22Bの利尿剤誘発性循環血液量減少の結果が腎臓から排泄される水分に対して不均衡なイオン損失と整合するインピーダンスの増加を示すのと対照的である。
したがって、インピーダンスの変化が保水の変化を示しうるだけでなく、インピーダンス変化の方向をさらにモニタすることを用いて、水分損失の性質、特にこれが高張性であるか等張性であるかを示すことができ、任意の変化の大きさは失われた流体の量を反映することが理解されよう。同様に、保水レベルが維持されるかまたはおよそ一定である場合には、インピーダンスの変化はイオン濃度の変化を示す
セラノスティクス
一例では、上で概説したように、対象に治療法を送達するために上述の装備を使用することができる。一つの好ましい例では、治療法の送達は、一つ以上の微細構造体から皮膚内に治療物を選択的に放出することによって達成される。
一つの好ましい例では、システムは、電気刺激などの刺激に応答して皮膚内への治療物の制御放出を提供するように設計されるが、前述のように他の刺激を使用することもできる。いずれにせよ、これによりシステムは「閉ループ」セラノスティックとして動作することが可能になり、生化学的パラメータ/診断バイオマーカーの検出により治療物放出が開始され、速度が指示される。
これを達成するために、薬物を封入し、加水時に(すなわち皮膚間質液環境に挿入されたときに)膨潤し、正のバイアスの印加時に脱膨潤し、それにより治療物分子をヒドロゲル「格子」から水性環境に濃度勾配を下って能動的に放出することができる電気応答性材料が必要である。キサンタンガムおよびアルギン酸ナトリウムなど、調整可能な電気応答性薬物送達のための多数のヒドロゲル化合物が説明されている。メチルセルロースおよびスクロースも、微細構造体に被覆された場合に皮膚内への治療物のバルク送達に使用されている。
したがって、キサンタンガムおよびメチルセルロース/スクロースを含むヒドロゲル製剤を、2D金被覆電極(面積1×1cm)から溶液中への代理薬物メチレンブルー(300Da)の送達を導くそれらの能力を確認するために評価した。メチレンブルーは、665nmの波長の光を吸収するイオン性青色染料であり、したがってUV可視分光法によって検出および定量化できる。これは、1mg/kg(1%)の範囲内の臨床用量でまれな血液障害を処置するために治療的に使用されることができる。
インビトロ実験のために、以下のステップを行った:
・1×1cmのエリアが露出するようにポリアミド絶縁テープを用いてプレート電極を調製した。
・アセトン、次にイソプロパノール中で5分間超音波処理することによって電極を洗浄した後、N2を使用して乾燥した。
・脱イオン水中で混合することによって2%のキサンタンガムを調製し、これに0.8mg/mLのメチレンブルーを加え、製剤を一晩磁気撹拌した。
・電極を200uLの0.01%w/vポリ‐l‐リジンでRTで30分間処理し、これを除去してから、電極をN2で乾燥した。
・電極を製剤に複数回浸漬して1×1cmのエリアを1~2mmの膜厚で覆い、デシケータ内で一晩真空乾燥した。
・実験のセットアップは、浸漬被覆された作用電極をAg/AgCl参照電極とともに挿入した5mLのリン酸緩衝食塩水(PBS)を含むプラスチックチューブからなった。
・期間中2~5分毎に新しいチューブに交換し、665nmでの吸光度を読み取ることで溶液中に放出されたメチレンブルーの濃度を確認した。
・時間に対する累積放出量(ng)、および放出速度(ng/hr)を計算した
第一実験は、代理薬物(メチレンブルー)の受動的放出を防ぐための負のバイアスの印加を試験した。
文献は、ヒドロゲル膨潤段階中に封入された薬物の受動的放出が起こること、およびこれが負電圧の印加によって妨げられうることを示唆している。図23Aは、PBSへの浸漬時の-0.6Vの印加により、この受動的放出が15~20分以内にゼロに減少することを示す。図23Bに示されるデータ編集物は、5回の実験(電圧なし)と2回の実験(-0.6V、-3.5V)でのこの効果を示す。試験した両方の電圧が、時間に対する代理薬物の受動的放出を妨げるのに有効であったが、-3.5Vでは電極からヒドロゲルが剥がれることが分かった。これは、1)電圧の大きさを減少させること、および2)電極を0.01%ポリ‐l‐リジンでプレコートしてヒドロゲルを電極に固着することによって軽減された。
第二実験は、交番極性により調整可能な代理薬物のパルス放出を試験した。
この例では、キサンタンガムで封入されたメチレンブルーで被覆されたプレート電極を用いた二つの実験を行った。負電圧(-0.6V)の印加により、ヒドロゲルの膨潤中の受動的放出が20分以内にゼロに低下した。+0.6Vの印加の結果、図24Aおよび24Cに示されるように放出速度の上昇、および図24Bおよび24Dの対応する累積放出量の増加が生じた。-0.6Vに戻すと放出速度が劇的に低下し、ゼロに戻った。+0.6Vの第二パルスは、速度を再び上昇させた(ただし第一パルスほどではない)。このデータは、電極上に被覆されたキサンタンガムヒドロゲルからのメチレンブルーの電気的に調整可能な放出を示す。
第二実験は、治療物のバルク送達へのメチルセルロース/スクロースの適性を試験し、結果が図25に示される。
メチルセルロース/スクロース製剤を、メチレンブルーを放出するその能力について試験した。PBSに浸漬してから最初の10分以内に染料の急速な放出があった。これは15分でゼロに減少した(おそらくキサンタンガムで見られたような制御可能なヒドロゲル膨潤の特性ではなくメチレンブルーのイオン性によるものである)。パルス放出は観察されず、20分後には速度または放出量のいずれの変化も生じず、電極から被覆が一定の速度で溶解していることが示唆された。これは、この製剤が制御送達を必要としない治療物のバルク送達に適することを示す。
この後、キサンタンガムを選択してエクスビボブタ皮膚実験に進んだ。エクスビボブタ皮膚実験は、以下のステップを用いて行った:
・金で被覆された微細構造体パッチを製作し、電気接続部に接続した。
・パッチをアセトン、次にイソプロパノールを使用して洗浄し、N2を使用して乾燥した。
・パッチを20uLの0.01%w/vポリ‐l‐リジンで30分間処理し、除去してから、N2下で乾燥した。
・パッチを2%w/vキサンタンガム0.8mg/mLメチレンブルーに浸漬被覆し、デシケータ内で真空下で一晩逆さまにして乾燥した。
・ブタ皮膚を入手し、使用までマイナス20℃で保存した。毛を切って剃り、耳介を除去した。
・銀/塩化銀参照電極を皮膚の表面のすぐ下に挿入した。
・パッチ(接続なし、電圧制御なし、またはDC電源に接続した有線パッチ)を40Nの力で10秒間皮膚に適用した。
・ポリアクリルアミドテープで絶縁された逆鉗子/金属ペグを使用して実験を通してパッチを適所に保った。
・実験の合間にKrebs Heinseleit灌流液に浸したペーパータオルを適用すること、およびエクスビボ組織中の膨潤を助けるために各実験の開始時に各パッチの上に2滴の灌流液を加えることにより、皮膚の保水状態を保った。
・モニタ期間は合計60分でその間に-0.6Vもしくは+0.6Vを印加し、または-0.6Vを20分間印加した後+0.6Vを40分間印加した。この期間の後、パッチを除去し、ボルテックスシェーカ上で5mL PBSに2時間入れて、パッチの表面上に残った全てのメチレンブルーを除去した。係合および送達の視覚的評価のために、皮膚部位の写真を撮影した。
・665nmで吸光度を測定し、放出量を計算した。「送達量」を得るために、9回浸漬被覆されてすぐに溶出されたパッチが「平均被覆量」をもたらし、これを用いて送達量およびパーセンテージを計算した。
第四実験は、ブタ皮膚内への代理薬物の電気的に調整可能な放出を試験した。
結果は、電圧を印加しない場合(赤)、-0.6Vを20分間印加してから+0.6Vを40分間印加した場合(緑)、+0.6Vを60分間印加した場合(オレンジ)または-0.6Vの電圧を60分間印加した場合(紫)の、皮膚表面から除去した直後の微細構造体パッチから溶出されたメチレンブルーの量を示す。
図26A~26Cの結果は、電圧を印加しない場合と比較して、+0.6Vを印加した場合にわずかに増加する送達を示し、+0.6Vを60分と-0.6Vの後に+0.6Vのプログラムとの間で送達のレベルは同様である(68%に対して73%および78%)。負のバイアスを印加すると皮膚内への送達が劇的に減少し、(被覆されてからすぐに溶出された九つの対照パッチからの平均読み取り値に対して)平均送達量はわずか1%であった。これは、薬物を送達してはならないときに負のバイアスを印加し、治療物放出を開始するための信号が受信されたときに除去する/正のバイアスに切り替えることができるような、治療物の送達のタイミングの厳密な制御を示唆する。
分析物の検出‐分子インプリントポリマー
分子インプリントポリマー(MIP)を使用して分析物の検出を実施している。使用した全ての化学製品および試薬は、別段の指定がない限り、例えばシグマアルドリッチ(Sigma‐Aldrich Co.LLC)から市販される。
金で被覆された微細構造体上の電解重合によって、LiClO4でドープされた伝導性MIPの分子インプリント伝導性ポリピロール(MICP)で被覆された微細構造体を調製した。モノマー(0.01Mピロール)、テンプレート(標的分析物、1.2μg/mL組み換えトロポニンI)、および支持電解質/ドーパント(0.005M LiClO4)を0.15Mリン酸緩衝食塩水(PBS)に溶解することによって重合溶液を調製した。微細構造体を作用電極、市販のAg/AgClを参照電極、白金コイルを対電極とした3電極システムを使用して電解重合を行った。サイクリックボルタンメトリーを、-0.8~1.2Vの間で、50mV/sで20サイクル行った。次に、0.005Mシュウ酸に4℃で一晩浸すことによりテンプレートをポリマーから分離して、MICPで被覆された微細構造体を産出した。
分析物検出へのMICPの有効性を示すために、上述の方法を用いて調製されたMICP被覆微細構造体を使用してトロポニンを検出するための実験を行った。
以下のステップを用いてインビトロ実験を行った。
・ウェルプレートで実験を行った。
・システムのインピーダンスの変化からMICPにおける標的分析物(組み換えトロポニンI)の結合を測定した。
・開回路電位(OCP:open circuit potential)で2電極システムを使用してインピーダンス分析を行った。10mVの振動電位振幅で100kHz~0.1Hzのインピーダンスを測定した。
・交互嵌合電極(一方の部分をMICPで被覆して作用電極とし、他方の部分は裸の金(AU)で参照/対電極とする)を0.15M PBS溶液に浸した。
・30分間5分ごとにインピーダンスを測定した。
・30分後、心筋梗塞をシミュレートするために、ある量の組み換えトロポニンIをPBS溶液に加えた。
・その後、30分間5分ごとにインピーダンスを測定した。
・30分後、ある量の組み換えトロポニンIを再び溶液に加え、5分ごとにインピーダンスをモニタした。
・溶液中のトロポニンIの濃度が100ng/mLに達するまで、組み換えトロポニンIの添加およびインピーダンスの測定を繰り返した。
測定されたインピーダンスを図27に示す。PBS中で10分後、インピーダンスが平衡化された。組み換えトロポニンIを加えて量を増やしていくと、それに応じてインピーダンスが上昇した。インピーダンスの変化は、ポリマーのインプリントへの組み換えトロポニンIの結合を示唆する。充填されたインプリントは、ポリマー内へのイオンの拡散の妨害を引き起こし、構造の歪みも促進して、システムの抵抗の増加を引き起こす。
エクスビボでの分析物検出へのMIPの有効性を、以下のステップを用いて浸漬したブタ皮膚を使用して判定した。
・ブタ耳から約8mm×16mmの皮膚組織をサンプリングした。
・皮膚組織を組み換えトロポニンI(0、300、600、および1000ng/mL)のPBS溶液に4℃で一晩浸した。皮膚組織のトロポニン濃度は、溶液中のトロポニン濃度と同じとは限らないことに注意されたい。
・測定前に、皮膚組織をパットドライした。
・微細構造体を、約40Nの力を加えることによって皮膚上に係合した。クリップを使用して微細構造体を適所に保った。
・ブタ皮膚2801、パッチ2802、2804およびそれぞれの接続部2803、2805、ならびに参照電極2806を含む図28Aに示すような2電極セットアップを使用してインピーダンス測定を行った。パッチ2802は(テンプレートの不存在下で上述の方法を用いて)非インプリント伝導性ポリピロール(NICP)で被覆したのに対し、パッチ2804は(上述の方法を用いて)分子インプリント伝導性ポリピロール(MICP)で被覆した。
・100kHz~0.1Hz内でインピーダンスを測定した。
図28Bおよび28Cは、様々な濃度のトロポニンIの存在下でのMICPおよびNICPで被覆された微細構造体の生のインピーダンス読み取り値をそれぞれ示し、異なる濃度のトロポニンでインピーダンスの変化が生じること、およびMICPとNICPとで同様の生のインピーダンスプロファイルが検出されることを強調する。これは、上述のインビトロ実験と比較して、エクスビボのインピーダンスの読み取り値は、皮膚がPBS中にあるものより多くのイオンを含むことから一般に低く、より高い伝導率(低い抵抗)が生じることも強調する。
様々な濃度のトロポニンIの存在下でのMICPおよびNICPで被覆された微細構造体の100Hzでのインピーダンスの変化の比較を図28Dに示す。このデータは、MICPで被覆された微細構造体ではトロポニンIの濃度が上昇するにしたがいインピーダンスの読み取り値により大きな変化があり、NICPで被覆された微細構造体のインピーダンスの読み取り値は、トロポニンIの濃度が上昇してもほとんど~全く変化しないことを示す。
NICPで被覆された微細構造体はトロポニン特異的空洞を含まないためMICPで被覆された微細構造体よりトロポニンに対して低い応答を有することが予想されることから、これは予測される結果と一致する。したがって、トロポニンの存在はNICPの構造に大きく影響しない。これは、分析物の検出へのMIPの有効性を示す。
灌流されたエクスビボシステムにおける分析物検出へのMIPの有効性を、以下のステップを用いて灌流したブタ皮膚を使用して判定した。
・新鮮なブタ耳全体をまず灌流した。
・電極のエリアを剃って毛を除去した。
・(上述の方法を用いて調製した)MICPで被覆された微細構造体を、約40Nの力を加えることによって皮膚上に係合した。鉗子を使用して微細構造体を適所に保った。
・鋭いAg/AgCl参照電極を微細構造体の近くに挿入した。
・皮膚の脱水を防ぐために、0.5mLのKrebs‐Heinseleit灌流液を毎分静脈に注入した。
・5分後に5mLの0.15M PBS中の600ng/mL組み換えトロポニンIをブタ耳の静脈に注入することによって、組み換えトロポニンIを皮膚に導入した。
・シリンジ2902を使用して静脈2903に灌流液を注入して灌流されたブタ皮膚2901を含む図29Aに示される2電極セットアップを使用してインピーダンス測定を行った。パッチ2904を静脈に近接して配置し、電気接続部2905に連結し、Ag/AgCl参照電極2906を静脈に近接して提供する。
・1Hzで30秒ごとにインピーダンスを測定した。
図29Bおよび29Cに示される結果は、トロポニンIが注入される前でも時間に対してインピーダンスが徐々に増加することを強調し、保水を維持するための灌流によりインピーダンスの変化が引き起こされることを強調する。それでも、トロポニンIの注入後にはインピーダンスが急上昇する。さらに、30分後にトロポニンは灌流液で洗い流されて、インピーダンスは横ばいになった。これは、トロポニンIの導入時にインピーダンスが上昇し、トロポニンIが灌流液で洗い流されたときにそれが止んだことを示す。
分析物の検出‐アプタマー
アプタマーを使用して分析物の検出を実施している。
アプタマーの有効性を示すために、トロポニンを検出するための実験を行った。使用した全ての化学製品および試薬は、別段の指定がない限り、例えばシグマアルドリッチ(Sigma‐Aldrich Co.LLC)から市販される。
過去にネガダリー(Negahdary)ら(2018)ジャーナルオブバイオメディカルフィジックスアンドエンジニアリング(J Biomed Phys Eng)、8(2):167に記載されるように、以下の配列:5’‐(SH)‐(CH2)6‐AGT CTC CGC TGT CCT CCC GAT GCA CTT GAC GTA TGT CTC ACT TTC TTT TCA TTG ACA TGG GAT GAC GCC GTG ACT G‐[メチレンブルー]‐3’のアプタマー(バイオニアパシフィック(BioneerPacific))が得られた。参照によりその内容が本明細書に組み込まれるリュー(Liu)ら(2010)アナリティカルケミストリー(Anal Chem)、82(19):8131‐8136に記載されるものなどの標準的な技術を用いて、メチレンブルー(MB)およびチオール基をアプタマーの5’および3’末端に共有的に付着させた。アプタマーを金電極に固定化して、チオール自己組織化単分子膜を形成した。これは、電極を10μMアプタマー150mM PBS溶液に80分間浸漬し、ドロップキャスティングし、80分間待機し、余分な溶液を除去することによって達成される。電極を脱イオン水で洗浄し、窒素で乾燥した後、プロセスを1mM 6‐メルカプトヘキサノール150mM PBS溶液で40分間繰り返し、その後上述のように洗浄および乾燥してから、電極を冷却したPBS溶液中に暗状態で7日間保存した。
このアプタマーは、図30Aおよび30Bに示されるように、三つの別個の要素で構成される。この例では、アプタマーは、金電極3001への接着のためのチオール基3002、トロポニンI 3005を特異的に結合するように相互作用する中央のDNAセクション3003、および3’末端に付着したメチレンブルー(MB)部分3004を含む。MBは電気化学的に活性であるため、ある電位で電極に近接すると酸化または還元して測定可能な電流を産出する。図30Bに示されるように、トロポニンIの存在下ではアプタマーは図30Aに示される非結合アプタマーとは大きく異なる空間コンフォメーションとなり、その結果、MB部分が電極と相互作用しにくくなり、したがって測定可能なレドックス電流はより小さくなる。
灌流されたブタ皮膚に提供されたアプタマーで被覆された微細構造体の電気的変化を検出するためにサイクリックボルタンメトリーを用いて実験を行った。以下のステップを用いた。
・微細構造体の前部(突出側)およびパッチエッジの一つを金で被覆し、突出側は上述のようにアプタマーの層でさらに被覆した。
・金で覆われたエッジに銅線をはんだ付けして電気接触を提供した。AgClで被覆された銀箔を擬似参照/対電極として使用し、微細構造体の近くの皮膚の下に置いた。
・40Nの圧力を用いて微細構造体を皮膚に押し込み、測定中に外科用クランプで適所に保った。
・MB基のレドックスから得られる信号をブーストするために交流ボルタンメトリーを用いてデータを測定した。
・25分で開始して、600ng/mLの組み換えトロポニンIを含有する5mLの灌流液を10分間かけて導入し、測定の合間に静脈をマッサージして周囲組織への拡散を促進した。
図31の結果は、アプタマーで機能化された微細構造体に対するブタ耳の静脈への灌流液にトロポニンIを加えることの効果を示す。0分および20分の曲線が、MBレドックスピークの大きさのベースラインを確立し、その後25分にトロポニンIを静脈に導入した。30分、60分、および120分で測定されたボルタモグラムは、トロポニンI曝露によるMBの電流応答の低下を示し、パッチが分析物に迅速に応答し、一定の信号を維持することを示す。
実験の間のこの信号の一貫性は、トロポニンIによるアプタマー層の飽和に起因し、したがってより多くの灌流液が注入されてもシステム内のトロポニンレベルの変化が見られないことが考えられる。
非特異的タンパク質と比較したトロポニンIに対するアプタマーで機能化された電極の特異性を確立するために、アプタマーで機能化されたディスク電極を使用してさらなる実験を行った。これらのデータはインビトロで測定し、溶液に加えられる組み換えトロポニンIの量を増やしながらリン酸緩衝食塩水(PBS)中のアプタマーで機能化された金ディスク電極の電流応答を測定した。以下のステップを行った。
・金のディスク電極(直径4mm)を(上述のように調製した)アプタマーの層で被覆した。コイル状白金線を対電極として使用し、Ag/AgCl線を擬似参照電極として使用した。
・MB基のレドックスから得られる信号をブーストするために交流ボルタンメトリーを用いてデータを測定した。
・150mM PBSを間質液の代わりとして使用した(pH7.4)。
結果を図32Aおよび32Bに示す。図32Aは、ベースライン測定としてのPBS中のMBの電流応答を示し、これはトロポニンIの濃度の増加とともに減少する。濃度の範囲は、溶液中のトロポニンIの0.03~50ng/mLの臨床的に関連する範囲をカバーし、弁別可能である。溶液をトロポニンIでスパイクしてから5分、10分、および15分経過後に濃度曲線データを測定し、平均した。5分、10分および15分の間でボルタマグラム(voltammagram)に系統的変化がなかったため、最初の数分でアパタマー(apatamer)‐トロポニンIの平衡が確立されたとみなされた。
図32Bのグラフは、トロポニンIに対するアプタマー応答の選択性を試験するための、PBS中および50ng/mLウシ血清アルブミンでスパイク後の同様に機能化されたディスク電極の電流応答を示す。二つのスペクトルの類似性は相互作用がほとんどないことを示し、特定の分析物を標的とするアプタマーの能力を示す。
分析物の検出‐抗体
目的のタンパク質の抗体捕捉は、広く確立された技術である。交互嵌合金基材を機能化してから、捕捉抗体を付着させる。使用した全ての化学製品、抗体および試薬は、別段の指定がない限り、例えばシグマアルドリッチ(Sigma‐Aldrich Co.LLC)またはアブカム(Abcam)から市販される。
この例が図33A~33Cに示され、電極3302を有する基材3301が、チオール基3603を介して電極に付着させたジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(DSP)3304で機能化される。その後、図33Cに示すように抗体3305をDSPに結合する。
電気化学的インピーダンス分光法(EIS:electrochemical impedance spectroscopy)などの電気化学的方法は、機能化された電極が所望の分析物に曝露されたときの抗体‐分析物捕捉相互作用を定量化する。理論に拘束されることを望むものではないが、分析物の捕捉の結果、より厚いフィルムが生じ、フィルムのキャパシタンスが増加し、システムのインピーダンスもより高くなるはずである。
以下のステップを用いてウサギモノクローナル抗トロポニンI抗体(アブカム(Abcam))を使用して実験を行った。
・DSPから自己組織化単分子膜(SAM:self assembled monolayer)を作ることによって交互嵌合金基材を機能化し、モノクローナル抗トロポニンI抗体を付着させた。
・作用電極と対電極との間のギャップを100μmとして100μm幅の金の交互嵌合アレイで測定を行った。使用した参照電極は、3M Ag/AgCl参照電極であった。使用した電解質は、5mMシアン化第一鉄/第二鉄レドックスプローブを含む0.150M PBSであった。測定前に、サンプルを溶液中で30分間平衡化した。
・電極を組み換えトロポニンIの濃度を上げながら曝露し、時間に対するインピーダンスおよびフィルムキャパシタンス(CPE)を測定した。
・50ng/mL BSA対PBSによる選択性試験は、104オーム±59.3オームの平均フィルムインピーダンス増加を示した。
結果を図34Aおよび34Bに示す。図34Aは、溶液中のトロポニンIの濃度を徐々に高くして曝露したときの電極のフィルムキャパシタンス(CPE)の測定値を示す。同じ電極を使用し、濃度が高くなっていく溶液中に置く結果、予想されるキャパシタンスの増加が生じる。
図34Bは、シミュレートされた心臓発作(心筋梗塞)に応答したインピーダンスの変化を示す。この例では、電極を平衡に達するまでPBS中で測定した後、組み換えトロポニンIのスパイクを添加して、溶液をトロポニンIの望ましい濃度にする。このグラフは、臨床的に妥当な濃度をカバーするトロポニンスパイクに対する五つの電極の応答を示し、トロポニンI濃度の増加とともにインピーダンスの変化が増加することを示す。
紅斑
ヒトにおける微細構造体パッチの忍容性および機能性を評価するための研究を行っている。
一例では、微細構造体パッチの適用後の定性的忍容性評価を行い、除去直後に適用部位に非常に軽度の局所反応を認めた。これは、明らかな紅斑または浮腫を伴わないわずかなくぼみを特徴とし、除去から15分以内に解消された。これを図35Aに示す。これは、くぼみが微細構造体パッチのエッジおよび角の周りで最も顕著であり、これらの位置に非常に軽度の発赤があり、微細構造体自体に関連する発赤はないことを示す。
走査型電子顕微鏡法(SEM)を行って、微細構造体が実際に皮膚を貫通しており、図35Bに示すように除去した微細構造体上に細胞破片が残っているのが見られることを確認し、明らかな紅斑がないにもかかわらず微細構造体が良好に貫通したことを確認した。
この観察をさらに調べるために、複数の対象で二つの紅斑に特化した研究を行った。これらの研究は、2時間の期間にわたる前前腕部の皮膚への微細構造体パッチの適用に対する局所皮膚反応を調べた。微細構造体パッチを、誘導ロードセル機構を使用して5Nの力で適用して30分間そのままにするか(研究1)、または3Nの力で適用して10分間そのままにした(研究2)。
第一ヒト紅斑研究は五人の志願者に対して行った。場合によっては脱毛クリームを使用して皮膚から毛を除去し、テープの外科用接着剤に対する過敏症による影響を避けるために適用エリアにペーパーマスクを固定した。三つの別々の非機能化微細構造体パッチをペーパーマスクの窓によって露出した皮膚に適用し、第四窓は処置せず、比較のための対照として使用した。
局所紅斑の観察を行い、下表7に示すようにスコアリングルーブリックを使用した。
第一研究の結果が図36Aに示され、適用後10分、20分、30分、60分および120分で独立して評価した本研究の対象01~05のeScoreを示す。データポイントは、時点ごとの対象あたりの三つのマイクロウェアラブルからの平均eScoreを表す。
結果は、除去直後に観察したときに全ての志願者がマイクロウェアラブル適用部位になんらかの軽度または非常に軽度の紅斑を経験したが、これは60分以内に速やかに解消したことを示す。この時点以降に紅斑は認められなかった。以前の一人の対象の観察と同様に、くぼみ/発赤はマイクロウェアラブルのエッジの周りに局在し、微細構造体自体からの影響はほとんどまたは全く見られなかった。
第二紅斑研究は三人の志願者に対して行った。二つのマイクロウェアラブルデバイスを3Nで適用し、10分間着用後に除去した。第一ヒト治験および研究1で観察された「エッジの影響」をさらに調べるために、比較のために第三皮膚部位に平らなパッチ(すなわち微細構造体のないもの)を適用した。第四窓は対照として未処置のままとした。結果は図36Bに示され、除去後120分のeScoreの観察を示す(データポイントは時点ごとの対象あたりの2つの別々の観察の平均である)。
結果は、マイクロウェアラブルを除去する直前に該当部位に「軽度の発赤」より広範囲の紅斑を経験した対象はいなかった点で研究1と同様である。この軽度の紅斑は60分以内に速やかに解消し、一人の対象が60分で0.5のスコアであったが、これはその後120分までに完全に解消した。平らなパッチの適用後に紅斑は観察されず、これは微細構造体パッチの適用後に観察された非常に軽度/軽度の紅斑が皮膚バリアの貫通(すなわち微細構造体の存在による)に関連することを示唆しうる。
微細構造体パッチのeScoreは一般に、研究1より研究2において低く、適用の適用力を弱めることにより発生する軽度の紅斑の程度が減少することを示唆する。紅斑は微細構造体パッチが除去された直後に観察され、時間とともに増加することはなかったことから、紅斑は適用イベント自体によって引き起こされ、すなわち微細構造体パッチの角およびエッジによって促進され、連続的着用によって悪化することはないように思われる。次世代の微細構造体パッチは、無視できるほどの紅斑を生じる異なるエッジおよび角構成を使用しうる。
微細構造体で覆われたエリア内に局所紅斑が観察されなかったため、SEMを行って、構造体が研究1で対象の皮膚に良好に貫通したことを確認した。皮膚への適用前の個々の微細構造体の画像(図37Aおよび37D)ならびに適用後の画像(図37B、37Cおよび37E、37F)を含む、二人の対象への適用後の個々の微細構造体のまたは微細構造体の列の画像の例が図37に示される。
全ての対象からの画像により、微細構造体の上部に位置する生体材料の存在から皮膚の良好な貫通が確認され(図37Bおよび37E)、矢印が除去時に微細構造体によって抽出された細胞破片の例を示す。
図37Cおよび37Fは微細構造体の列を示し、矢印によって示されるように乾燥した間質液を伴うエリアを示す。これらの観察から、微細構造体が皮膚の最外側の角質層を良好に突破し、その下の細胞環境にアクセスして、疾患のバイオマーカーを含む生体信号の源である間質液にアクセスすることができることが確認される。
したがって、微細構造体パッチは最悪でも適用部位の非常に軽度/軽度の紅斑を伴うだけであることは明らかである。この軽度の局所反応は一時的なものであり、適用後60~120分以内に完全に解消される。発赤はいずれも適用直後に生じ、微細構造体パッチの連続的着用とは関連しない。
紅斑はいずれも微細構造体パッチのエッジおよび角の周りに集中し、微細構造体によって覆われるエリアに紅斑はほとんどまたは全く認められないが、平らなパッチでは影響がなかったとの観察は、微細構造体パッチの適用後の紅斑が皮膚バリアの物理的突破に関連することを示唆する。
微細構造体が明らかな紅斑を引き起こさなかったとの観察にもかかわらず、微細構造体の貫通は良好であったことが確認され、角質層の突破が視認可能であり、間質液に富んだ皮膚区画へのアクセスが確認された。
システムの使用
本発明のシステムは、対象の疾患、障害もしくはコンディションの進行、違法物質もしくは非違法物質、もしくは化学兵器、毒物もしくは毒素の存在、不存在、レベルもしくは濃度、または薬品のレベルもしくは濃度を診断またはモニタすることを含む、本明細書に記載されるような広範囲の用途で一つ以上の分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定するために使用されうる。
したがって、さらなる態様では、本発明のシステムを使用して対象の生きた表皮および/または真皮中の一つ以上の分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定するステップと、一つ以上の分析物が存在するか存在しないか、または一つ以上の分析物のレベルまたは濃度が疾患、障害またはコンディションの存在、不存在または進行と相関する対応する所定の閾値を上回るか下回るかに基づいて、疾患、障害またはコンディションの存在、不存在および/または進行を判定するステップとを含む、対象の疾患、障害またはコンディションの進行を診断またはモニタするための方法が提供される。
本発明は、対象の疾患、障害またはコンディションの進行を診断またはモニタするための本発明のシステムの使用も提供する。対象の疾患、障害またはコンディションの進行を診断またはモニタする際に使用するための本発明のシステムがさらに提供される。上述の態様のいずれか一つの特定の実施形態では、システムは、対象の生きた表皮および/または真皮中の一つ以上の分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定し、疾患、障害またはコンディションの存在、不存在および/または進行は、一つ以上の分析物が存在するか存在しないか、または一つ以上の分析物のレベルまたは濃度が疾患、障害またはコンディションの存在、不存在または進行と相関する対応する所定の閾値を上回るか下回るかに基づいて判定される。
適切な疾患、障害またはコンディション、分析物、および例示的な濃度レベルは上述した。
一部の実施形態では、疾患、障害またはコンディションは、心臓ダメージ、心筋梗塞および急性冠症候群より選択され、一つ以上の分析物は、トロポニンまたはそのサブユニットである。特定の実施形態では、一つ以上の分析物はトロポニンIである。
別の態様では、本発明のシステムを使用して対象の生きた表皮および/または真皮中の一つ以上の分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定するステップと、一つ以上の分析物が存在するか否か、または一つ以上の分析物のレベルまたは濃度が疾患、障害またはコンディションの存在または進行と相関する対応する所定の閾値を上回るか下回るかに基づいて、疾患、障害またはコンディションの存在または進行を判定するステップと、疾患、障害またはコンディションのための処置を施すステップとを含む、対象の疾患、障害またはコンディションを処置する方法が提供される。
さらなる態様では、指標判定方法から得られた指標に基づいて疾患、障害またはコンディションを処置するための処置計画に対象を曝露するステップを含む、対象の疾患、障害またはコンディションを処置する方法が提供され、前記指標判定方法は、本発明のシステムを使用して対象の生きた表皮および/または真皮中の一つ以上の分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定するステップと、一つ以上の分析物が存在するか否か、または一つ以上の分析物のレベルまたは濃度が疾患、障害またはコンディションの存在または進行と相関する対応する所定の閾値を上回るか下回るかに基づいて、疾患、障害またはコンディションの存在または進行を判定するステップと含む。
関連する態様では、本発明は、指標判定方法から得られた指標に基づいて疾患、障害またはコンディションを処置するための処置計画に対象を曝露するステップを含む、対象の疾患、障害またはコンディションを管理するための方法を提供し、前記指標判定方法は、本発明のシステムを使用して対象の生きた表皮および/または真皮中の一つ以上の分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定するステップと、一つ以上の分析物が存在するか否か、または一つ以上の分析物のレベルまたは濃度が疾患、障害またはコンディションの存在または進行と相関する対応する所定の閾値を上回るか下回るかに基づいて、疾患、障害またはコンディションの存在または進行を判定するステップと含む。
上述の態様のいずれか一つにおいて、所定の閾値は、(例えば対照対象の生きた表皮および/または真皮中の)対照対象からの対応するサンプル中の分析物のレベルまたは濃度を表し、または対照対象からの対応するサンプル中の分析物のレベルまたは濃度を上回るかまたは下回るレベルまたは濃度を表し、前記閾値を上回るかまたは下回るレベルまたは濃度は、疾患、障害またはコンディションの存在、不存在または進行を示す。対照対象は、疾患、障害またはコンディションを有さない対象、疾患、障害またはコンディションを有する対象、または、疾患、障害またはコンディションの特定のステージまたは重症度を有する対象でありうる。疾患、障害またはコンディションの進行がモニタされるときには、所定の閾値は、より早い時間(例えば数分、数時間、数日、数週間または数ヶ月前)に採取された同じ対象からのサンプル中の分析物のレベルまたは濃度であってもよく、分析物のレベルまたは濃度の増加または減少は、疾患、障害またはコンディションの進行または退行を示しうる。
上述した疾患、障害またはコンディションに適した処置は当技術分野で周知であり、当業者は適切な処置を容易に選択できるであろう。例えば、適切な障害および例示的な処置には、腎不全および透析、腎臓移植、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例えばベナゼプリル、ゾフェノプリル、ペリンドプリル、トランドラプリル、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリルまたはラミプリル)、アンジオテンシンII受容体遮断剤(例えばロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、テルミサルタンまたはフィマサルタン)、利尿剤(例えばフロセミド、ブメタニド、エタクリン酸、トルセミド、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ベンドロフルメチアジドまたはトリクロルメチアジド)、スタチン(例えばアトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンまたはシンバスタチン)、カルシウム、グルコースまたはポリスチレンスルホネート、および/またはカルシウム注入による処置、心不全およびアンジオテンシン変換酵素阻害剤(例えばベナゼプリル、ゾフェノプリル、ペリンドプリル、トランドラプリル、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリルまたはラミプリル)、アンジオテンシンII受容体遮断剤(例えばロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、テルミサルタンまたはフィマサルタン)利尿剤(例えばフロセミド、ブメタニド、エタクリン酸、トルセミド、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ベンドロフルメチアジドまたはトリクロルメチアジド)、ベータ遮断剤(例えばカルベジロール、メトプロロールまたはビソプロロール)、アルドステロン拮抗剤(例えばスピロノラクトンまたはエプレレノン)、および/または循環作動薬(例えばジゴキシン、ベルベリン、レボシメンダン、カルシウム、ドーパミン、ドブタミン、ドペキサミン、エピネフリン、イソプレナリン、ノルエピネフリン、アンジオテンシンII、エノキシモン、ミルリノン、アムリノン、テオフィリン、グルカゴンまたはインスリン)による処置、本態性高血圧症およびベータ遮断剤(例えばカルベジロール、メトプロロールまたはビソプロロール)、カルシウムチャネル遮断剤(例えばアムロジピン、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピンまたはニトレンジピン)、利尿剤(例えばフロセミド、ブメタニド、エタクリン酸、トルセミド、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ベンドロフルメチアジドまたはトリクロルメチアジド)、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例えばベナゼプリル、ゾフェノプリル、ペリンドプリル、トランドラプリル、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリルまたはラミプリル)、アンジオテンシンII受容体遮断剤(例えばロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、テルミサルタンまたはフィマサルタン)、および/またはレニン阻害剤(例えばアリスキレン)による処置、バクテリア感染および抗生剤(例えばキノロン剤(例えばアミフロキサシン、シノキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、フルメキン、ロメフロキサシン、ナリジキシン酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、オキソリン酸、ペフロキサシン、ロゾキサシン、テマフロキサシン、トスフロキサシン、スパルフロキサシン、クリナフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、ゲミフロキサシン、またはガレノキサシン)、テトラサイクリン剤、グリシルサイクリン剤またはオキサゾリジノン剤(例えばクロルテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、リメサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、チゲサイクリン、リネゾリドまたはエペレゾリド)、アミノグリコシド剤(例えばアミカシン、アルベカシン、ブチロシン、ジベカシン、フォルチミシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、メノマイシン、ネチルマイシン、リボスタマイシン、シソマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシンまたはトブラマイシン)、β‐ラクタム剤(例えばイミペネム、メロペネム、ビアペネム、セファクロル、セファドロキシル、セファマンドール、セファトリジン、セファゼドン、セファゾリン、セフィキシム、セフメノキシム、セフォジジム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォタキシム、セフォチアム、セフピミゾール、セフピラミド、セフポドキシム、セフスロジン、セフタジジム、セフテラム、セフテゾール、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム、セフゾナム、セファセトリル、セファレキシン、セファログリシン、セファロリジン、セファロチン、セファピリン、セフラジン、セフィネタゾール、セフォキシチン、セフォテタン、アズトレオナム、カルモナム、フロモキセフ、モキサラクタム、アムジノシリン、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、ベンジルペニシリン、カルフェシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、メチシリン、メズロシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ピペラシリン、スルベニシリン、テモシリン、チカルシリン、セフジトレン、セフジニル、セフチブテンまたはセフォゾプラン)、リファマイシン剤、マクロライド剤(例えばアジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、オレアンドマイシン、ロキタマイシン、ロサラマイシン、ロキシスロマイシンまたはトロレアンドマイシン)、ケトライド剤(例えばテリスロマイシンまたはセスロマイシン)、クメルマイシン、リンコサミド剤(例えばクリンダマイシンまたはリンコマイシン)またはクロラムフェニコール)による処置、ウイルス感染および抗ウイルス剤(例えばアバカビルサルフェート、アシクロビルナトリウム、塩酸アマンタジン、アンプレナビル、シドフォビル、デラビルジンメシレート、ジダノシン、エファビレンツ、ファムシクロビル、フォミビルセンナトリウム、フォスカルネットナトリウム、ガンシクロビル、インジナビルサルフェート、ラミブジン、ラミブジン/ジドブジン、ネルフィナビルメシレート、ネビラピン、オセルタミビルホスフェート、リバビリン、塩酸リマンタジン、リトナビル、サキナビル、サキナビルメシレート、スタブジン、塩酸バラシクロビル、ザルシタビン、ザナミビルまたはジドブジン)による処置、自己免疫障害および免疫抑制剤(例えばプレドニゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、ブデソニド、プレドニゾロン、トファシチニブ、シクロスポリン、シクロホスファミド、ニトロソウレア、白金化合物、メトトレキサート、アザチオプリン、メルカプトプリン、フルオロウラシル、ダクチノマイシン、アントラサイクリン剤、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ミトラマイシン、抗胸腺細胞グロブリン、チモグロブリン、ムロモナブ‐CD3、バシリキシマブ、ダクリズマブ、タクロリムス、シロリムス、エベロリムス、インフリキシマブ、エタネルセプト、IFN‐β、ミコフェノール酸もしくはミコフェノレート、フィンゴリモド、アザチオプリン、レフルノミド、アバタセプト、アダリムマブ、アナキンラ、セルトリズマブ、ゴリムマブ、イセキズマブ、ナタリズマブ、リツキシマブ、セクキヌマブ、トクリズマブ、ウステキヌマブ、ベドリズマブまたはミリオシン)および/またはNSAIDs(例えばアセチルサリチル酸(アスピリン)、ジクロフェナク、ジフルシナル、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサル、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナミン酸、メフェナミン酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、ニトロフルルビプロフェン、オルサラジン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スルファサラジン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラク、セレコキシブ、デラコキシブ、エトリコキシブ、マバコキシブまたはパレコキシブ)よる処置、リウマチ性障害および上記のNSAIDs、DMARDs(例えばメトトレキサート、ヒドロキシクロロキノンまたはペニシラミン)、プレドニゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、ブデソニド、プレドニゾロン、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、アダリムマブ、アナキンラ、リツキシマブ、アバタセプト、および/または上記の他の免疫抑制剤による処置、敗血症および上記の抗生剤、上記の免疫抑制剤および/または抗低血圧剤(例えばバソプレッシン、ノルエピネフリン、ドーパミンまたはエピネフリン)、ならびに、肺塞栓および抗凝固剤(例えばヘパリン、ワルファリン、ビバリルジン、ダルテパリン、エノキサパリン、ダビガトラン、エドキサバン、リバロキサバン、アピキサバンまたはフォンダパリヌクス)および/または血栓溶解剤/フィブリン溶解剤(例えば組織プラスミノーゲン活性化因子、レテプラーゼ、ストレプトキナーゼまたはテネクテプラーゼ)による処置が含まれるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、疾患、障害またはコンディションは、心臓ダメージ、心筋梗塞または急性冠症候群であり、一つ以上の分析物は、トロポニンまたはそのサブユニットである。心臓ダメージ、心筋梗塞または急性冠症候群の適切な処置には、アスピリン、抗凝固剤(例えばヘパリン、ワルファリン、ビバリルジン、ダルテパリン、エノキサパリンダビガトラン(enoxaparin dabigatran)、エドキサバン、リバロキサバン、アピキサバンまたはフォンダパリヌクス)、ベータ遮断剤(例えばカルベジロールまたはメトプロロール)、血栓溶解剤/フィブリン溶解剤(例えば組織プラスミノーゲン活性化因子、レテプラーゼ、ストレプトキナーゼまたはテネクテプラーゼ)、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例えばベナゼプリル、ゾフェノプリル、ペリンドプリル、トランドラプリル、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリルまたはラミプリル)、アンジオテンシンII受容体遮断剤(例えばロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、テルミサルタンまたはフィマサルタン)、スタチン(例えばアトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンまたはシンバスタチン)、鎮痛剤(例えばモルヒネなど)、ニトログリセリンなど、またはそれらの組み合わせが含まれうるが、これらに限定されない。
本発明は、対象中の違法物質または非違法乱用物質の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定するための本発明のシステムの使用をさらに企図する。したがって、別の態様では、対象中の違法物質または非違法乱用物質の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定する方法であって、本発明のシステムを使用して対象の生きた表皮および/または真皮中の違法物質、非違法乱用物質またはそれらの代謝物の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定するステップを含む方法が提供される。
対象中の違法物質または非違法乱用物質の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定するための本発明のシステムの使用、ならびに対象中の違法物質または非違法乱用物質の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定する際に使用するための本発明のシステムも提供される。これらの態様のいずれか一つの特定の実施形態では、システムは、対象の生きた表皮および/または真皮中の違法物質、非違法乱用物質またはそれらの代謝物の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定する。
適切な違法物質は上述されており、メタンフェタミン、アンフェタミン、3,4‐メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)、N‐エチル‐3,4‐メチレンジオキシアンフェタミン(MDEA)、3,4‐メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)、カンナビノイド(例えばデルタ‐9‐テトラヒドロカンナビノール、11‐ヒドロキシ‐デルタ‐9‐テトラヒドロカンナビノール、11‐ノル‐9‐カルボキシデルタ‐9‐テトラヒドロカンナビノール)、コカイン、ベンゾイルエクゴニン、エクゴニンメチルエステル、コカエチレン、ケタミン、およびアヘン剤(例えばヘロイン、6‐モノアセチルモルヒネ、モルヒネ、コデイン、メタドンおよびジヒドロコデイン)が含まれるが、これらに限定されない。非限定的な非違法乱用物質には、アルコール、ニコチン、非医学的理由で服用される処方薬または市販薬、医学的効果のために服用される物質だが摂取が過剰または不適切になっているもの(例えば鎮痛薬、睡眠補助剤、抗不安薬、メチルフェニデート、勃起不全薬)などが含まれる。
本発明は、対象中の化学兵器、毒物および/または毒素の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定するための本発明のシステムの使用をさらに企図する。したがって、別の態様では、対象中の化学兵器、毒物および/または毒素の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定する方法であって、本発明のシステムを使用して対象の生きた表皮および/または真皮中の化学兵器、毒物および/もしくは毒素またはそれらの代謝物の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定するステップを含む方法が提供される。特定の実施形態では、この方法は、化学兵器の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定するためのものである。
対象中の化学兵器、毒物および/または毒素の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定するための本発明のシステムの使用、ならびに対象中の化学兵器、毒物および/または毒素、特に化学兵器の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定する際に使用するための本発明のシステムも提供される。これらの態様のいずれか一つの特定の実施形態では、システムは、対象の生きた表皮および/または真皮中の化学兵器、毒物および/もしくは毒素またはそれらの代謝物の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定する。
適切な化学兵器、毒物および/または毒素は上述した。
本発明のシステムは、例えば薬品の用量を最適化および/または調節するために、対象に投与される薬品のレベルまたは濃度を判定および/またはモニタするためにも使用されうる。本発明は、対象に投与される薬品のレベルまたは濃度を判定および/またはモニタするための方法であって、本発明のシステムを使用して対象の生きた表皮および/または真皮中の薬品またはその成分もしくは代謝物のレベルまたは濃度を判定するステップを含む方法を提供する。
対象に投与される薬品のレベルまたは濃度を判定および/またはモニタするための本発明のシステムの使用、ならびに対象に投与される薬品のレベルまたは濃度を判定および/またはモニタする際に使用するための本発明のシステムがさらに提供される。特定の実施形態では、本発明のシステムは、対象の生きた表皮および/または真皮中の薬品またはその成分もしくは代謝物のレベルまたは濃度を判定する。
一部の実施形態では、薬品の用量は、薬品またはその成分もしくは代謝物のレベルまたは濃度の判定の後に増加または減少される。
さらなる態様では、疾患、障害またはコンディションのある対象における処置計画の有効性をモニタする方法であって、処置計画は所望の健康状態(例えば疾患、障害またはコンディションの不存在に向かう有効性につきモニタされる、方法が提供される。そのような方法は通常、処置計画による対象の処置の後に、本発明のシステムを使用して対象の生きた表皮および/または真皮中の処置計画の有効性を示す一つ以上の分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定するステップと、一つ以上の分析物のレベルまたは濃度を、疾患、障害またはコンディションの存在、不存在またはステージと相関する一つ以上の分析物の参照レベルまたは濃度と比較し、それにより処置計画が対象の健康ステータスを所望の健康状態に変化させるために有効であるか否かを判定するステップとを含む。一部の実施形態では、一つ以上の分析物は、処置計画中に投与される薬品、またはその成分もしくは代謝物である。
関連する態様では、疾患、障害またはコンディションのある対象における処置計画の有効性をモニタする方法であって、処置計画は所望の健康状態(例えば疾患、障害またはコンディションの不存在)に向かう有効性につきモニタされる、方法が提供される。そのような方法は通常、指標判定方法にしたがって指標を判定するステップであって、前記指標判定方法は、処置計画による対象の処置の後に、本発明のシステムを使用して対象の生きた表皮および/または真皮中の一つ以上の分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定するステップと、一つ以上の分析物が存在するか否か、または一つ以上の分析物のレベルまたは濃度が疾患、障害またはコンディションの存在、不存在またはステージと相関する対応する所定の閾値を上回るか下回るかに基づいて、対象が疾患、障害またはコンディションの存在、不存在またはステージを有する可能性を評価するステップとを含む、ステップと、指標を用いて、処置計画が対象の健康ステータスを所望の健康状態に変化させるために有効であるか否かを判定するステップとを含む。一部の実施形態では、一つ以上の分析物は、処置計画中に投与される薬品、またはその成分もしくは代謝物である。
上述の態様のいずれか一つの一部の実施形態では、処置計画は、そのような方法の後に調節される。このような態様に適した所定の閾値は上述した。
本発明は、そのような方法で使用するための本発明のシステム、およびそのような方法のためのシステムの使用も提供する。
当業者は、広範囲の薬品および処置計画のレベルまたは濃度を判定およびモニタするために本発明のシステムが使用されうることを容易に理解し、適切な薬品および処置計画を容易に使用および選択できるであろう。例えば、適切な薬品には、癌治療薬、ワクチン、鎮痛剤、抗精神病剤、抗生剤、抗凝固剤、抗うつ剤、抗ウイルス剤、鎮静剤、抗糖尿病剤、避妊剤、免疫抑制剤、抗真菌剤、駆虫剤、刺激剤、生体応答修飾剤、NSAIDs、コルチコステロイド剤、DMARDs、アナボリックステロイド剤、制酸剤、抗不整脈剤、血栓溶解剤、抗けいれん剤、止瀉剤、制吐剤、抗ヒスタミン剤、抗高血圧剤、抗炎症剤、抗腫瘍剤、解熱剤、抗ウイルス剤、バルビツレート剤、β遮断剤、気管支拡張剤、鎮咳剤、細胞毒性剤、充血除去剤、利尿剤、去痰剤、ホルモン剤、下剤、筋弛緩剤、血管拡張剤、精神安定剤およびビタミン剤が含まれるがこれらに限定されない。
特定の実施形態では、薬品は、特定の抗生剤(例えばカナマイシン、ゲンタマイシンおよびストレプトマイシンを含むアミノグリコシド剤)、抗けいれん剤(例えばカルバマゼピンおよびクロナゼパム)、血管拡張剤、ヘパリンおよびワルファリンを含む抗凝固剤、ジゴキシンなど、治療域が狭いものである。そのような実施形態では、本方法および使用は、対象に投与される薬品の用量を増加または減少させるステップをさらに含みうる。
上述の態様のいずれか一つにおいて、本方法および使用は、一つ以上の分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度を判定する前に、本発明のシステムを対象の皮膚に取り付けるステップをさらに含む。そのような実施形態では、本発明のシステムは、対象の角質層を突破する。
上述のパッチは、食料品などの他の形態の対象を試験するためにも使用されうる。この例では、バクテリアなどの病原体、外毒素、マイコトキシン、ウイルス、寄生虫などの望ましくない汚染物質ならびに天然毒素の存在を試験するためにパッチが使用されることもできる。加えて、汚染物質には、農薬、環境汚染物質、殺虫剤、発癌物質、バクテリアなども含まれうる。
したがって、対象という用語は、ヒト、動物または植物などの生物対象、ならびに食料品、包装材などのような非生物材料を含みうることが理解されよう。
したがって、上述の装備は、対象に対して測定を行うために角質層内に貫通するなど、バリアを突破する微細構造体を使用するウェアラブルモニタデバイスを提供する。測定は、任意の適切な形式とすることができ、対象中のバイオマーカーまたは他の分析物の存在を測定するステップ、対象中の電気信号を測定するステップなどを含むことができる。その後、測定値を分析および使用して、対象の健康ステータスを示す指標を生成することができる。
一例では、上述のシステムは、分析物が皮膚内の特定の組織部位でインサイチュで検出されることを可能にする。微細構造体は、上述のように一つ以上の目的の分析物を結合するための材料で被覆することができ、または結合剤によって形成してもよく、これにより対象中の分析物を微細構造体に結合させ、さらに適切な光または電気測定技術を用いてこれらを検出することができる。被覆および/または微細構造体は、非常に高い特異性で分析物を捕捉するように特別に設計することができる。このような特異性により、精製または複雑な化学分析を必要とせずに、特定の目的の分析物を検出することができる。
構造体の長さは、標的組織内の特定の層を標的とすることができるように、製造中に制御することができる。一例では、これは、表皮および/または真皮層の分析物を標的とするために行われるが、毛細血管血液中の分析物を標的とすることもできる。
特定のプローブを個々の構造体または構造体のエリアに局在化させることができるため、単に2次元アレイ内のそれらの位置によって一つのアッセイで複数の標的を分析することができる。これにより、疾患固有の分析物パネルの分析が容易になり、診断結果の感度/特異性が向上しうる。
したがってパッチは、診断目的で従来の血液またはISFサンプルが採取される必要性を克服する測定デバイスを提供でき、臨床医が診断し、集中試験施設での時間および処理コストを回避するチャンスを提供する。診断機器および採血の専門知識が必要ないため、例えば発展途上国、「野戦」軍事用途、医学的対策、緊急時およびトリアージにおいて新たな市場が広がる可能性もある。
これによりパッチを、分析物をインサイチュで測定することができる非侵襲的で痛みを伴わない測定プラットフォームとして使用することが可能になる。パッチによって検出される材料のタイプは、構造体の長さによって制御されうるため、様々な領域を特異的に標的とすることができる。この実施形態は、特定の分析タイプを含まず、質量分析、マイクロアレイ、DNA/タンパク質配列決定、HPLC、ELISA、ウエスタンブロットおよび他のゲル法などを含むがこれらに限定されない多くの確立された技術を流体分析に使用することができる。
各構造体上の親和性表面被覆を使用することにより、目的の分子標的の特異的抽出を容易にしながら、物質の非特異的吸着を低減することが可能になる。
構造体を二次元フォーマットに設けることにより、複数のプローブを同じパッチに取り付けることができ、サンドイッチアッセイからの結果は個々の構造体の2Dアレイ位置に基づいて解読される。これにより、サンプルの抽出、精製、標識などを必要とせずに、アレイスタイルの処理が基本的に可能になる。
したがって、一例では、上述のシステムは、痛みを同様に伴わない皮膚に適用されるデバイスで外側皮膚層にアクセスすることによって、血液によって運ばれる疾患のバイオマーカーにアクセスするための低侵襲的で痛みを伴わないやり方を提供する。現在、血液は針/ランセットによってアクセスされるが、これは痛みを伴い、骨の折れる作業であることが多い。あるいは、センサを外科的に埋め込むことにより、体内で直接血液にアクセスがなされる。埋め込みは侵襲的手技であり、埋め込みに適した材料の選択肢は限られるため、外科的埋め込みが広く用いられる可能性は低い。
本システムは、血液サンプルを処理のために病理学研究所に送るという遅延なく、人に対する迅速な「その場」疾患検出を提供することができる。これは、血液サンプルを(例えば針によって)体外で分析することを今も通常必要とする現在のポイントオブケアデバイスに対する進歩でもある。
本システムは、実用的な疾患/健康診断のための高忠実度、低電力、低コストの身体信号(例えば生体電位信号、光信号)検知を提供することができる。一例として、微細構造体パッチの前臨床動物皮膚試験は、皮膚の表面に適用される標準的なアプローチと比較してバイオインピーダンスが100倍低下し、信号対雑音比の改善がもたらされることを示す。
本システムは、簡単な半連続的または連続的モニタを提供することができ、低コストデバイスのマイクロウェアラブルが皮膚に適用され、場合によっては数日間(またはそれ以上)着用され、その後、単に別のマイクロウェアラブルコンポーネントと交換される。したがって、マイクロウェアラブルは、体内にセンサを外科的に埋め込まずに経時的モニタを行うためのルートを提供し、これは突然のイベント(例えば心臓発作の心臓バイオマーカー)を検出する際に特に重要になりうる。
一例では、上述のアプローチによりウェアラブルが、皮膚上に置かれる現在のデバイスでは分析できない多数の健康コンディションに関し、広く普及した低コストのヘルスケアモニタを提供することが可能になりうる。
一例では、微細構造体パッチは皮膚バリアを貫通するため、今日のウェアラブルとは異なり、人に対する迅速な「その場」疾患検出のために血液によって運ばれる疾患のバイオマーカーにアクセスする。これを、血液サンプルを処理のために病理学研究所に送る現在の方法と比較されたい。これは、血液サンプルを(例えば針によって)体外で分析することを今も通常必要とする現在のポイントオブケアデバイスに対する進歩でもある。
一例では、本システムは、簡単で痛みを伴わない半連続的または連続的モニタのために皮膚に適用され、場合によっては数日間(またはそれ以上)着用され、その後、単に別の微細構造体パッチコンポーネントと交換される低コストの微細構造体パッチを提供することができる。したがって、微細構造体パッチは、体内にセンサを外科的に埋め込まずに経時的モニタを行うためのルートを提供し、これは突然のイベント(例えば心臓発作の心臓バイオマーカー)を検出する際に特に重要になりうる。
実施形態1.生体対象に対して測定を行うためのシステムとともに使用するための電極装備であって、少なくとも一つの基材と、基材から延びて構成される少なくとも一つの微細構造体であって、対象の機能的バリアを突破するように構成され、信号が対象に印加されることおよび/または対象から受信されることを可能にする電極を含む微細構造体とを含む電極装備。
実施形態2.機能的バリアは、複数の層、機械的不連続性、組織の不連続性、細胞の不連続性、神経バリア、センサバリア、細胞層、皮膚層、粘膜層、内部バリア、外部バリア、器官内の内側バリア、器官の外側バリア、上皮層、内皮層、メラニン層、光バリア、電気バリア、分子量バリア、基底層および角質層のうちの少なくとも一つである、実施形態1に記載の電極装備。
実施形態3.使用時に、電極装備は、少なくとも一つの微細構造体からの応答信号を測定するように動作可能に構成された少なくとも一つのセンサ、および少なくとも一つの微細構造体に刺激信号を印加するように構成された信号生成器のうちの少なくとも一つに動作可能に接続されるように構成される、実施形態1または実施形態2に記載の電極装備。
実施形態4.微細構造体は、応答信号を測定するために使用される応答微細構造体、および対象に刺激信号を印加するために使用される刺激微細構造体のうちの少なくとも一つを含む、実施形態3に記載の電極装備。
実施形態5.基材は、信号がそれぞれの微細構造体に印加および/またはそこから受信されることを可能にする接続部を含む、実施形態1~4のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態6.接続部は、機械接続部、磁気接続部、熱接続部、電気接続部、電磁接続部、光接続部、伝導接続部、誘導接続部およびワイヤレス接続部のうちの少なくとも一つである、実施形態5に記載の電極装備。
実施形態7.基材は、応答信号が一つ以上のそれぞれの微細構造体から受信されることを可能にする応答接続部、および刺激信号が一つ以上のそれぞれの微細構造体に印加されることを可能にする刺激接続部のうちの少なくとも一つを含む、実施形態5または実施形態6に記載の電極装備。
実施形態8.基材および微細構造体のうちの少なくとも一つは、布、織布、電子布、天然繊維、絹、有機材料、天然複合材料、人工複合材料、セラミック、ステンレス鋼、金属、ポリマー、シリコン、半導体、有機シリケート、金、銀、炭素、カーボンナノ材料、白金、およびチタンのうちの少なくとも一つを含む、実施形態1~7のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態9.基材および微細構造体は、同じ材料、および異なる材料のうちの少なくとも一つを含む、実施形態1~8のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態10.基材は、少なくとも部分的に可撓性である、機能的バリアの外面に適合するように構成される、および対象の少なくとも一部の形状に適合するように構成されるのうちの少なくとも一つである、実施形態1~9のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態11.微細構造体の少なくともいくつかは、ブレード、畝、針、およびプレートのうちの少なくとも一つである、実施形態1~10のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態12.微細構造体の少なくともいくつかは、少なくとも部分的にテーパ状である、円形、長方形、十字形、正方形角丸正方形、角丸長方形、楕円形および少なくとも部分的に中空のうちの少なくとも一つである断面形状を有する、少なくとも部分的に滑らか、鋸歯状、一つ以上の細孔を含む、一つ以上の隆起部分を含む、および粗いのうちの少なくとも一つである表面を有する、少なくとも部分的に中空である、多孔質である、ならびに内部構造体を含むのうちの少なくとも一つである、実施形態1~11のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態13.微細構造体は、基材を対象に固着するために使用されるアンカ微細構造体を含む、実施形態1~12のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態14.アンカ微細構造体は、形状が変化する、対象中の物質および印加された刺激のうちの少なくとも一つに応答して形状が変化する、膨潤する、対象中の物質および印加された刺激のうちの少なくとも一つに応答して膨潤する、アンカリング構造体を含む、他の微細構造体より長い長さを有する、および真皮に入るのうちの少なくとも一つである、実施形態13に記載の電極装備。
実施形態15.微細構造体は、機能的バリアの厚さより大きい、機能的バリアの厚さより少なくとも10%大きい、機能的バリアの厚さより少なくとも20%大きい、機能的バリアの厚さより少なくとも50%大きい、機能的バリアの厚さより少なくとも75%大きい、機能的バリアの厚さより少なくとも100%大きい、機能的バリアの厚さより2000%だけ大きい、機能的バリアの厚さより1000%だけ大きい、機能的バリアの厚さより500%だけ大きい、機能的バリアの厚さより100%だけ大きい、機能的バリアの厚さより75%だけ大きい、および機能的バリアの厚さより50%だけ大きいのうちの少なくとも一つである長さを有する、実施形態1~14のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態16.微細構造体は、対象の皮膚に適用され、微細構造体の少なくともいくつかは、角質層を貫通する、生きた表皮に入るが真皮には入らない、および真皮に入るのうちの少なくとも一つである、実施形態1~15のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態17.微細構造体の少なくともいくつかは、2500μm未満、1000μm未満、750μm未満、600μm未満、500μm未満、400μm未満、300μm未満、250μm未満、50μm超および100μm超のうちの少なくとも一つである長さを有する、実施形態1~16のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態18.微細構造体の少なくともいくつかは、50000μm未満、40000μm未満、30000μm未満、20000μm未満、10000μm未満、1000μm未満、500μm未満、100μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、20μm未満、および10μm未満のうちの少なくとも一つである最大幅を有する、実施形態1~17のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態19.微細構造体の少なくともいくつかは、1000μm未満、500μm未満、200μm未満、100μm未満、50μm未満、20μm未満、10μm未満、少なくとも1μm、少なくとも0.5μm、および少なくとも0.1μmのうちの少なくとも一つである最大厚さを有する、実施形態1~18のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態20.微細構造体は、50,000/cm2未満、30,000/cm2未満、10,000/cm2未満、1,000/cm2未満、500/cm2未満、100/cm2未満、10/cm2未満、および5/cm2未満のうちの少なくとも一つである密度を有する、実施形態1~19のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態21.微細構造体は、20mm未満、10mm未満、1mm未満、0.1mm未満、および10μm未満のうちの少なくとも一つである間隔を有する、実施形態1~20のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態22.微細構造体の少なくともいくつかは、能動的センサの少なくとも一部を含む、実施形態1~21のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態23.微細構造体は、電気伝導性コア材料を含む、実施形態1~22のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態24.微細構造体は、電気信号がポートから放出されるかまたはポートによって受信されることを可能にするポートを含む電気絶縁層を含む、実施形態23に記載の電極装備。
実施形態25.ポートは、異なる深さで提供される、実施形態24に記載の電極装備。
実施形態26.微細構造体は、少なくとも一つの電極を含む実質的に平面状の面を有するプレートを含む、実施形態1~25のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態27.少なくとも一つの電極は、少なくとも10mm2、少なくとも1mm2、少なくとも100,000μm2、少なくとも10,000μm2、少なくとも7,500μm2、少なくとも5,000μm2、少なくとも2,000μm2、少なくとも1,000μm2、および少なくとも500μm2、少なくとも100μm2、および少なくとも10μm2のうちの少なくとも一つである表面積を有する、実施形態1~26のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態28.少なくとも一つの電極は、50000μm未満、40000μm未満、30000μm未満、20000μm未満、10000μm未満、1000μm未満、少なくとも500μm、少なくとも200μm、少なくとも100μm、少なくとも75μm、少なくとも50μm、少なくとも20μm、少なくとも10μm、および少なくとも1μmのうちの少なくとも一つである幅を有する、実施形態1~27のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態29.少なくとも一つの電極は、最大2500μm少なくとも500μm、少なくとも200μm、少なくとも100μm、少なくとも75μm、少なくとも50μm、少なくとも20μm、少なくとも10μm、および少なくとも1μmのうちの少なくとも一つである高さを有する、実施形態1~28のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態30.微細構造体の少なくともいくつかは、群に設けられ、群内の微細構造体の間で応答信号が測定される、および群内の微細構造体の間で刺激が印加されるのうちの少なくとも一つである、実施形態1~29のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態31.群は、対向する実質的に平面状の電極を有する離間されたプレート微細構造体を含む微細構造体の対である、実施形態30に記載の電極装備。
実施形態32.各群内の電極間の間隔は、50mm未満、20mm未満、10mm未満、1mm未満、0.1mm未満、および10μm未満のうちの少なくとも一つである、実施形態30または実施形態31に記載の電極装備。
実施形態33.電極装備は、第一微細構造体と対応する第一口とを有する第一基材、第一微細構造体と反対の第一基材の側に提供された絶縁層、ならびに絶縁層上に提供された第二基材であって、絶縁層と第一口とを通って延びて第一および第二微細構造体の対を形成する第二微細構造体を有する第二基材を含む、実施形態1~32のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態34.第二基材は、第二口を含み、第一および第二口は、第一および第二基材の間の容量連結を制御するために少なくとも部分的にオフセットされる、実施形態33に記載の電極装備。
実施形態35.微細構造体は、生体活性材料、対象中の分析物と反応するための試薬、目的の分析物と結合するための結合剤、目的の分析物を選択的に標的化するためのプローブ、バイオファウリングを低減する材料、少なくとも一つの物質を微細構造体に引き付ける材料、少なくとも一つの物質を微細構造体から反発する材料、少なくともいくつかの分析物を突起に引き付ける材料、および少なくともいくつかの分析物を突起から反発する材料のうちの少なくとも一つを含む材料を含む、実施形態1~34のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態36.基材は、複数の微細構造体を含み、異なる微細構造体は、分析物に差別的に応答する、異なる分析物に応答する、異なる組み合わせの分析物に応答する、および異なる濃度の分析物に応答するのうちの少なくとも一つである、実施形態1~35のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態37.微細構造体の少なくともいくつかは、少なくとも一つの物質を微細構造体に引き付ける、少なくとも一つの物質を微細構造体から反発する、少なくとも一つの分析物を微細構造体に引き付ける、および少なくとも一つの分析物を微細構造体から反発するのうちの少なくとも一つである、実施形態1~36のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態38.微細構造体の少なくともいくつかは、被覆で被覆される、実施形態1~37のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態39.少なくともいくつかの微細構造体は被覆されない、少なくともいくつかの微細構造体は多孔質であり内部被覆を備える、少なくともいくつかの微細構造体は部分的に被覆される、異なる微細構造体は異なる被覆を有する、微細構造体の異なる部分は異なる被覆を含む、および少なくともいくつかの微細構造体は複数の被覆を含むのうちの少なくとも一つである、実施形態38に記載の電極装備。
実施形態40.微細構造体の少なくともいくつかは、選択的に溶解可能な被覆で被覆される、実施形態38または実施形態39に記載の電極装備。
実施形態41.選択的に溶解可能な被覆は、定められた期間後、対象中の一つ以上の試薬の存在に応答して、刺激信号の印加に応答して、分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度に応答して、および機能的バリアの突破または貫通時のうちの少なくとも一つで溶解する、実施形態40に記載の電極装備。
実施形態42.被覆は、微細構造体を選択的に固着するために形状が変化する、親水性を高めるため、疎水性を高めるため、およびバイオファウリングを最小化するためのうちの少なくとも一つのために表面特性を改質する、少なくとも一つの物質を微細構造体に引き付ける、少なくとも一つの物質を微細構造体から反発する、バリアの貫通を容易にするため、微細構造体を強化するため、および微細構造体を対象中に固着するためのうちの少なくとも一つのために物理的構造体を提供する、微細構造体を露出するため、さらなる被覆を露出するため、および材料を露出するためのうちの少なくとも一つのために溶解する、対象に刺激を提供する、材料を含有する、および材料を選択的に放出するのうちの少なくとも一つである、実施形態38~41のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態43.微細構造体は、化学刺激、機械刺激、磁気刺激、熱刺激、電気刺激、電磁刺激、光刺激、および対象中の生体応答をトリガするための刺激のうちの少なくとも一つを含む刺激を送達するように構成される、実施形態1~42のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態44.一つ以上の微細構造体電極は、応答信号が目的の分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度に依存するように一つ以上の目的の分析物と相互作用する、実施形態1~43のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態45.電極装備は、少なくとも一つの電子処理デバイスと、少なくとも一つのセンサ、および少なくとも一つの信号生成器のうちの少なくとも一つとを含むハウジングとともに使用されるように構成される、実施形態1~44のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態46.基材は、ハウジングに選択的に連結する、実施形態45に記載の電極装備。
実施形態47.基材は、機械連結、接着連結、および磁気連結のうちの少なくとも一つを用いてハウジングに連結する、実施形態46に記載の電極装備。
実施形態48.ハウジングおよび基材のうちの少なくとも一つは、対象に固定される、アンカ微細構造体を使用して対象に固定される、接着パッチを使用して対象に固定される、およびストラップを使用して対象に固定されるのうちの少なくとも一つである、実施形態46~47のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態49.ハウジングは、微細構造体と信号を通信するために基材上の基材コネクタに動作可能に接続するハウジングコネクタを含む、実施形態46~48のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態50.微細構造体は、0.01秒未満、0.1秒未満、1秒未満、10秒未満、少なくとも一時間、少なくとも一日、および少なくとも一週間のうちの少なくとも一つである期間にわたって対象内にとどまるように構成される、実施形態1~49のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態51.微細構造体は、測定が行われていないときに除去されるように構成される、実施形態50に記載の電極装備。
実施形態52.電極装備は、基材上に配置され、一つ以上の微細構造体電極に動作可能に連結された基材コイルを含む、実施形態1~51のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態53.使用時には、電極装備は、励起および受信コイルに印加される駆動信号の変更が応答信号として働くように基材コイルに近接して配置された励起および受信コイルと併せて使用される、実施形態52に記載の電極装備。
実施形態54.電極装備は、基材上に配置され、一つ以上の第一微細構造体電極に動作可能に連結された第一基材コイルと、基材上に配置され、一つ以上の第二微細構造体電極に動作可能に連結された第二基材コイルであって、第二微細構造体電極は目的の分析物と相互作用するように構成される、第二基材コイルと、少なくとも一つの励起および受信コイルに印加される駆動信号の変更が応答信号として働くように第一および第二基材コイルのうちの少なくとも一つに近接して配置された少なくとも一つの励起および受信コイルであって、一つ以上の電子処理デバイスは、目的の分析物の存在、不存在、レベルまたは濃度に対する第一および第二応答信号を使用する、少なくとも一つの励起および受信コイルとを含む、実施形態52または実施形態53に記載の電極装備。
実施形態55.各励起および受信コイルに印加される駆動信号の変更がそれぞれの応答信号として働くように第一および第二励起および受信コイルが第一および第二基材コイルのそれぞれに近接して配置される、実施形態54に記載の電極装備。
実施形態56.システムは、微細構造体および対象のうちの少なくとも一つに刺激を印加し、刺激は、生化学刺激、化学刺激、機械刺激、磁気刺激、熱刺激、電気刺激、電磁刺激、および光刺激のうちの少なくとも一つである、実施形態1~55のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態57.システムは、微細構造体の少なくとも一つからの応答を測定し、応答信号は、機械応答信号、磁気応答信号、熱応答信号、電気応答信号、電磁応答信号、および光応答信号のうちの少なくとも一つである、実施形態1~56のいずれか一つに記載の電極装備。
実施形態58.応答信号は、可視化、マッピング、機械的特性、力、圧力、筋肉運動、血液脈波、分析物濃度、血中酸素飽和度、組織炎症状態、バイオインピーダンス、バイオキャパシタンス、バイオコンダクタンス、および体内の電気信号のうちの少なくとも一つを示す、実施形態57に記載の電極装備。
実施形態59.電極装備は少なくとも部分的にウェアラブルである、実施形態1~58のいずれか一つに記載の電極装備。
当業者は、多数の変形例および修正例が明らかになることを理解するであろう。当業者に明らかになる全てのそのような変形例および修正例は、以上に広範に登場する本発明によって説明された精神および範囲内であると考えられるべきものである。