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JP2022139689A - コーヒーマシン - Google Patents

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JP2022139689A
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大輔 福岡
Daisuke Fukuoka
哲也 前川
Tetsuya Maekawa
ゆり香 紀太
Yurika Kida
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Samsung Electronics Co Ltd
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Abstract

【課題】ユーザの嗜好に応じて美味しい本格的なコーヒーを安定して抽出できるコーヒーマシンを提供する。【解決手段】粉砕したコーヒー豆からコーヒーを抽出する抽出部17、コーヒーの抽出に用いる原水を加熱して抽出部17に供給する給水部14,15,16、抽出部17および給水部14,15,16の動作を制御する制御部18、および、これらを収容するケース3aを備える。制御部18が、水質調整部15を制御することにより、目標として設定されるコーヒーの風味に対応して、イオン成分のうち、複数の特定イオン成分の濃度および構成比が所定の至適範囲内に収まるように調整する。【選択図】図8

Description

開示する技術は、コーヒーの抽出が自動的に行えるコーヒーマシンに関し、その中でも特に、美味しい本格的なコーヒーを安定して抽出するための技術に関する。
開示する技術に関連する先行技術文献としては、例えば、特許文献1、2がある。
特許文献1には、貯水容器からコーヒー抽出槽に至る水経路に、無機イオン交換材フィルタを設け、抽出に用いる水に含まれる金属イオンを除去し、硬度を下げて軟水化するコーヒー抽出器が開示されている。
特許文献2には、コーヒーを抽出する水の硬度を好みに応じて調整できるようにしたコーヒーメーカーが開示されている。
特開平4-259417号公報 特開平11-276351号公報
コーヒーは、風味が繊細なうえに、嗜好性が非常に高い飲料である。ユーザがコーヒーに求める風味は様々であり、1台のコーヒーマシンで、個々のユーザの嗜好に合ったコーヒーを抽出することは難しい。
しかも、コーヒーの原料であるコーヒー豆は、産地や焙煎度合いなどの違いにより様々な種類が存在し、それによって得られるコーヒーの風味は多種多様である。また、同じコーヒー豆でも、その粉砕状態や抽出方法など、抽出条件によっても風味は変化する。
加えて、コーヒーの99%以上は水分であり、コーヒーの抽出に用いられる原水の水質は様々である。水道水も、地域によって水質は異なり、海外で特にその差が激しい。そのため、コーヒー豆の種類や抽出条件を最適な状態にしたとしても、原水の水質によっては、コーヒーが不味くなるおそれがある。従って、美味しいコーヒーを抽出するためには、原水の水質を調整するのが好ましい。
特許文献1や特許文献2では、原水の水質を調整してはいるが、原水の硬度、つまり、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンの総含有量を増減させているだけである。そのため、コーヒーが不味くなるのは低減できるかもしれないが、コーヒー豆の風味を引き立てるまでには至っていない。
それに対し、本願発明者らは、コーヒーマシンを開発する過程において、原水の硬度が同じでも、原水に含まれる特定のイオン成分の濃度および構成比の違いによって、抽出されるコーヒーの風味が変化し、コーヒーの風味の向上が可能になることを見出した。
開示する技術は、かかる知見に基づくものであり、その目的は、ユーザの嗜好に応じて美味しい本格的なコーヒーを安定して抽出できるコーヒーマシンを提供することにある。
開示する技術は、コーヒーの抽出が自動的に行えるコーヒーマシンに関する。
前記コーヒーマシンは、粉砕したコーヒー豆から前記コーヒーを抽出する抽出部と、前記コーヒーの抽出に用いる原水を加熱して前記抽出部に供給する給水部と、前記抽出部および前記給水部の動作を制御する制御部と、前記抽出部、前記給水部、および、前記制御部を収容するケースと、を備える。
前記給水部は、前記原水に含まれるイオン成分の調整が可能な水質調整部を有し、前記制御部が、前記水質調整部を制御することにより、目標として設定される前記コーヒーの風味に対応して、前記イオン成分のうち、複数の特定イオン成分の濃度および構成比が所定の至適範囲内に収まるように調整するように構成されている。
具体的には、前記特定イオン成分は、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、および、重炭酸イオンからなる。
上述したように、原水の硬度が違う場合だけでなく同じ場合でも、原水に含まれる特定のイオン成分の濃度および構成比の違いにより、抽出されるコーヒーの風味が変化する。従って、原水の硬度に加え、特定のイオン成分の濃度および構成比を、目標として設定されるコーヒーの風味に対応して所定の至適範囲内に収まるように調整することにより、抽出されるコーヒーの風味を、ユーザの嗜好に合わせることができる。
その結果、抽出に用いる原水の水質が様々であっても、ユーザの嗜好に応じて美味しい本格的なコーヒーを安定して抽出することができる。
前記コーヒーマシンはまた、前記制御部が、目標として設定される前記コーヒーの風味に対応して、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、および、重炭酸イオンの濃度および構成比が前記至適範囲内に収まるように調整するとともに、当該至適範囲内において、ユーザによって設定される前記コーヒーの風味に対応して、カルシウムイオンとマグネシウムイオンの構成比を調整する、としてもよい。
カルシウムイオンとマグネシウムイオンの総含有量、つまり硬度が一定であっても、カルシウムイオンとマグネシウムイオンの構成比を変更することで、コーヒーの風味を変えることができる。例えば、マグネシウムイオンの濃度を相対的に高めると酸味が低減する。従って、ユーザが酸味の低減を求めた場合、コーヒーの風味が適切な指摘範囲内で、マグネシウムイオンの濃度をカルシウムイオンの濃度に対して相対的に増やすことで、ユーザの嗜好に、より適合したコーヒーを抽出することができる。
前記コーヒーマシンはまた、前記水質調整部が、Na型陽イオン交換樹脂を主体とする第1イオン置換手段と、H型陽イオン交換樹脂を主体とする第2イオン置換手段とを有し、前記特定イオン成分の濃度および構成比の調整を行うために、前記第1イオン置換手段および前記第2イオン置換手段を併用して前記イオン成分の除去処理および置換処理を行う、としてもよい。
Na型陽イオン交換樹脂は、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオン等の陽イオンを、ナトリウムイオンに置換して除去するため、一般に、原水の硬度を低下させるために用いられている。しかし、Na型陽イオン交換樹脂では、重炭酸イオンは除去できない。
すなわち、Na型陽イオン交換樹脂では、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンが、ナトリウムイオンと置換されるのみである。そのため、他の溶液内のイオンの平衡関係には影響を及ぼさない。
対して、H型陽イオン交換樹脂は、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、および重炭酸イオンを除去することができる。すなわち、H型陽イオン交換樹脂の場合、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンが、水素イオンと置換される。従って、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンを除去できる。そして、水中の水素イオンが増加するので、水中の炭酸塩の平衡関係が崩れる。その結果、重炭酸イオン濃度が減少し、重炭酸イオンも除去できる。
しかし、H型陽イオン交換樹脂は、水素イオンに置換するので、置換量が多くなると、原水のpHが低下する。その結果、原水のpHが酸性になり過ぎて、コーヒーの抽出に適した原水のpHの範囲から逸脱してしまう。
Na型陽イオン交換樹脂とH型陽イオン交換樹脂とを併用することで、硬度の高い原水に対しても、コーヒーの抽出に適したpHの範囲を逸脱しないようにしながら、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、および、重炭酸イオンの除去および置換の処理が行える。
前記コーヒーマシンはまた、前記水質調整部は、所定のミネラル成分を固体の状態で含むイオン添加手段を有し、前記特定イオン成分の濃度および構成比の調整を行うために、前記原水を前記イオン添加手段に通水させることによって前記イオン成分の添加処理を行う、としてもよい。
原水を調整するために添加される特定イオン成分の量は僅かである。ミネラル成分を希釈した溶液を添加することも考えられるが、ミネラル成分の析出などの問題があり、安定した品質を長期間確保するのが難しい。それに対し、固体の状態であれば、比較的容易に安定した品質を長期間確保できる。取り扱いも容易なうえ、微量な濃度でも精度高く調整できる。
前記コーヒーマシンはまた、前記制御部が、前記原水の水質に関する水質情報を記憶する水質情報格納部を有し、当該水質情報格納部に記憶されている前記水質情報に基づいて、前記特定イオン成分の濃度および構成比の調整を行う、としてもよい。
水質情報格納部に記憶されている水質情報に基づいて、特定イオン成分の濃度および構成比の調整を行えば、原水の高度な調整が容易に行える。
前記コーヒーマシンはまた、前記コーヒー豆を粉砕する粉砕部と、前記制御部の制御に従って、前記コーヒー豆を収容する原料タンクから前記粉砕部に当該コーヒー豆を供給する原料供給部と、を更に備え、前記制御部が、前記コーヒー豆の種類および焙煎度合いを含む原料情報を記憶する原料情報格納部を有し、当該原料情報格納部に記憶されている前記原料情報に基づいて、前記原料供給部が供給する前記コーヒー豆の量を調整し、前記水質情報、前記原料情報、および、前記コーヒー豆の量に基づいて、前記特定イオン成分の濃度および構成比の調整を行う、としてもよい。
係るコーヒーマシンによれば、よりいっそう美味しい本格的なコーヒーを抽出できる。
前記コーヒーマシンはまた、前記ケースの外面に設けられた操作部を更に備え、前記水質情報が前記操作部を通じて前記水質情報格納部に入力可能に構成されている、としてもよい。
そうすれば、ユーザは直接操作部から水質情報を入力することができるので、利便性に優れる。
前記コーヒーマシンはまた、前記制御部が、インターネットを介して外部のデータベースとのアクセスを可能にする通信部を有し、前記水質情報が前記通信部を通じて前記水質情報格納部に入力可能に構成されている、としてもよい。
そうすれば、ユーザが水質情報を入力しなくても、水質情報を取得することができるので、よりいっそう利便性に優れる。
前記コーヒーマシンはまた、前記ケースの外面に設けられた操作部を更に備え、前記水質情報が前記操作部を通じて前記水質情報格納部に入力可能、かつ、前記原料情報が前記操作部を通じて前記原料情報格納部に入力可能に構成されている、としてもよいし、前記制御部が、インターネットとのアクセスを可能にする通信部を有し、前記水質情報が前記通信部を通じて前記水質情報格納部に入力可能、かつ、前記原料情報が前記通信部を通じて前記原料情報格納部に入力可能に構成されている、としてもよい。
そうすれば、利便性に優れるうえに、よりいっそう美味しい本格的なコーヒーの抽出が行える。
開示する技術を適用したコーヒーマシンによれば、ユーザの嗜好に応じて美味しい本格的なコーヒーを安定して抽出できる。
試験に用いた原水試料の希釈液のpH、TDSを示す表である。 各原水試料を用いて作製したエスプレッソコーヒーの官能評価結果を示すグラフである。 試験に用いた各調整水の構成比率、および、各希釈液のpH、TDSを示す表である。 各調整水を用いて作製したエスプレッソコーヒーの官能評価結果を示すグラフである。 各特定イオン成分の濃度とコーヒーの風味との関係を示したグラフである。 コーヒーマシンの一例を示す概略図である。 ケースの内部の各機器の構成を簡略的に示す図である。 水質調整機構の構成を例示する概略図である。 コントローラと、その主な関連機器との関係を示すブロック図である。 コーヒーの風味調整の具体例を示すフローチャートである。 コーヒーの風味調整の主な処理の過程を説明するための図である。
以下、開示する技術の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
上述したように、開示する技術は、本願発明者らがコーヒーマシンを開発する過程で見出した知見に基づくものである。従って、最初に、その内容について説明する。
<原水中の特定のイオン成分の濃度によるコーヒーの風味への影響>
コーヒーの抽出に用いる原水中の特定イオン成分の濃度を調整した場合に、コーヒーの風味がどのように変化するか試験を行った。なお、特定イオン成分は、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、および、重炭酸イオンであるが、ここでは、マグネシウムイオンに関して行った試験について説明する(重炭酸イオンは含むが、カルシウムイオンは含まない)。
試験では、イオン成分を含まない純水(C1)、フランスの首都パリの水道水の水質を模した疑似水道水(C2)、および、マグネシウムイオンおよび重炭酸イオンの濃度および構成比を、所定のコーヒーに適した範囲に調整したうえで、マグネシウムイオンの濃度を変えて調整した調整水3種(T1~T3)、からなる5つの原水試料を作製した。
これら原水試料の各々を用いて、コーヒー豆の種類や豆量、粉砕状態、抽出方法等、その他の条件を同じにしたうえで、エスプレッソコーヒーを抽出した。抽出した各エスプレッソコーヒーに対し、味覚センサ(TS-5000Z:株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー製)を用いて、官能評価を客観的に行った。また、抽出した各エスプレッソコーヒーを4倍希釈し、pHおよびTDS(総溶解固形物)を測定した。
図1Aに、各希釈液のpH、TDSを示す。図1Bに、各エスプレッソコーヒーの官能評価結果を示す。官能評価は、コーヒーの風味を決定付ける各味覚、すなわち、酸味、苦味(先味)、渋味(先味)、旨味、コーヒー感、苦味(後味)、渋味(後味)、コク・深みについて、純水C1を基準に、数値化して表している。
疑似水道水C2は、硬度が高く、含有するイオン成分の濃度が高い。そのため、図1Bに示すように、コーヒー感、コク・深みが過度に強く、風味バランスの悪いエスプレッソコーヒーとなっている。それに対し、各調整水T1~T3は、適度なコーヒー感、コク・深みが得られ、風味バランスが改善されたエスプレッソコーヒーとなっている。純水C1は、各調整水に比べて、コーヒー感が弱く、あっさりとした、物足りないエスプレッソコーヒーとなっている。
純水C1は、硬度が低い軟水に相当し、疑似水道水C2は、硬度が高い硬水に相当する。従って、コーヒーの抽出に用いる原水に含まれるイオン成分の濃度は、適度な範囲に調整するのが好ましい。
<原水中の特定のイオン成分の構成比によるコーヒーの風味への影響>
原水中の特定イオン成分の構成比を調整した場合に、コーヒーの風味がどのように変化するか試験を行った。
本試験では、硬度を、コーヒーに適した同一の値としたうえで、マグネシウムイオンとカルシウムイオンの構成比を変えることにより、調整水S1~S6を作製した。そして、先の試験と同様に、これら調整液を用いて、コーヒー豆の種類や豆量、粉砕状態、抽出方法等、その他の条件を同じにしたうえで、エスプレッソコーヒーを抽出した。抽出した各エスプレッソコーヒーに対し、味覚センサを用いて、官能評価を客観的に行った。また、抽出した各エスプレッソコーヒーを4倍希釈し、pHおよびTDSを測定した。
図2Aに、各調整水の構成比率、および、各希釈液のpH、TDSを示す。図2Bに、各エスプレッソコーヒーの官能評価結果を示す。
図2Aに示すように、マグネシウムイオンのみからなる調整水S1に対して、カルシウムイオンを含むことでpHが上昇し、TDSが減少する傾向が認められた。また、その構成比率によっても差がある傾向が認められた。
pHおよびTDSの変化は、抽出の度合いに相当する。従って、これら結果より、抽出に用いる原水の硬度が一定であっても、特定イオン成分の構成比の違いにより、コーヒーの抽出特性が変化することが確認された。
図2Bに示すように、特定イオン成分の構成比の違いにより、コーヒーの風味も変化することが確認された。例えば、マグネシウムイオンのみからなる調整水S1に対して、カルシウムイオンの構成比率が高まることで、酸味が強くなり、旨味が弱くなる傾向が認められた。従って、これら結果より、特定イオン成分の構成比を変化させることで、コーヒーの風味調整が可能になることが確認された。
<原水中の各特定イオン成分の濃度とコーヒーの風味との関係>
カルシウムイオン、マグネシウムイオン、および、重炭酸イオンの各々の濃度を変えた原水を用いて、同じ条件の下でエスプレッソコーヒーを抽出し、抽出したエスプレッソコーヒーの風味の変化について調べた。その結果を図3に示す。
図3の上段に示すように、カルシウムイオンの場合、その濃度が高くなるほど酸味が強くなる。苦味(後味)は、カルシウムイオンが60mg/L以上で高くなるほど強くなる。また、エスプレッソコーヒーは元々苦味が強いため、数値には表れていないが、酸味が減少するほど、苦味(先味)が強く感じられる傾向が認められている。
従って、カルシウムイオンの濃度およびその他の特定イオン成分との構成比の調整により、酸味や苦味の調整が可能になる。
図3の中段に示すように、マグネシウムイオンの場合、その濃度が高くなるほど酸味が強くなる。コーヒー感は、25mg/Lの近傍で最大となるピーク(極大値)が認められた。コク・深みは、低濃度では濃度が高くなるほど強くなり、25mg/Lを超えると、濃度が高くなってもほぼ一定の強さとなっていた。
従って、マグネシウムイオンの濃度およびその他の特定イオン成分との構成比の調整により、酸味やコーヒー感、コク・深みの調整が可能になる。
図3の下段に示すように、重炭酸イオンの場合、その濃度が高くなるほどコーヒー感が強くなる傾向が認められた。また、その濃度が高くなるほど酸味が弱くなる傾向が認められた。
従って、重炭酸イオンの濃度およびその他の特定イオン成分との構成比の調整により、酸味やコーヒー感の調整が可能になる。例えば、カルシウムイオンやマグネシウムイオンの濃度や構成比を大きくすれば、酸味を強めることが可能になる。重炭酸イオンの濃度や構成比を大きくすれば、酸味を弱めることが可能になる。
<コーヒーマシン>
図4に、上述した知見に基づき、美味しい本格的なコーヒーが安定して抽出できるように工夫したコーヒーマシンを例示する。図例のコーヒーマシンは、エスプレッソコーヒーの抽出が自動的に行えるコーヒーマシンである(エスプレッソマシン1)。
このエスプレッソマシン1は、主に一般家庭での使用を想定した構成となっている。エスプレッソマシン1は、カップを載せ置くための載置台2と、その上方に配置されたマシン本体3と、を有している。そして、このエスプレッソマシン1は、スマートフォン4(携帯端末)の利用により、インターネット100を介して外部の様々なデータベース101へアクセスできるように構成されている。
マシン本体3は、箱型のケース3aを有し、その前面には、ユーザが操作する操作部5が設けられている。操作部5には、モニターや、このモニターの表示に応じてユーザが操作するボタンなどが設けられている。マシン本体3の下面には、抽出したエスプレッソコーヒーを流出させるノズル6が設けられている。ケース3aには、エスプレッソコーヒーを自動的に抽出するために用いる各種機器が収容されている。
図5に、ケース3aの内部を簡略的に示す。ケース3aには、原料タンク10、豆送り装置11(原料供給部)、ミル12(粉砕部)、原水タンク13、給水ポンプ14、水質調整機構15(水質調整部)、加熱槽16(加熱部)、抽出器17(抽出部)、コントローラ18(制御部)などの機器が収容されている。
原料タンク10、豆送り装置11、およびミル12により、抽出部にコーヒー豆を粉砕処理して供給する豆処理部7が構成されている。原水タンク13、給水ポンプ14、水質調整機構15、および加熱槽16により、抽出器17に原水を加熱して供給する給水部8が構成されている。そして、抽出器17で粉砕したコーヒー豆からコーヒーの抽出が行われる。
原料タンク10は、ケース3aから取り外し可能な容器からなる。原料タンク10の中に、原料となるコーヒー豆が収容される。豆送り装置11は、コントローラ18の制御に従って、所定のタイミングで所定量のコーヒー豆をミル12に供給する。
ミル12は、コントローラ18の制御に従って、コーヒー豆を粉砕する。このミル12は、例えば、粗挽き、中挽き、中細挽き、細挽きなど、粉砕時間や粉砕強度の調整により、コーヒー豆の粉砕度合いが変更可能に構成されている。ミル12には、コントローラ18の制御に従って開閉する払出口(不図示)が設けられている。払出口が開くことで、所定の度合いに粉砕されたコーヒー豆が、抽出器17に投入される。
原水タンク13は、ケース3aから取り外し可能な容器からなる。原水タンク13の中に、抽出に用いられる原水が収容される。原水タンク13に収容する原水は、水道水であってもよいし、市販のボトル入りの水であってもよい。飲用可能な水であればよい。
給水ポンプ14は、コントローラ18の制御に従って、原水タンク13に収容した原水を水質調整機構15に送り出す。原水が水質調整機構15を通過することにより、原水に含まれるイオン成分の調整が行われる(水質調整機構15の詳細は後述)。そして、イオン成分の調整が行われた原水(以下、調整水ともいう)は、加熱槽16に送られる。
加熱槽16には、コントローラ18の制御に従って、調整水を加熱するヒータ16aが設けられている。加熱槽16には、コントローラ18の制御に従って開閉する流水口(不図示)が設けられている。流水口が開くことで、所定温度に調整された調整水が抽出器17に投入される。
抽出器17には、図示は省略するが、粉砕したコーヒー豆を濾過するフィルタや、加熱された調整水を加圧する加圧機構などが設けられている。抽出器17は、コントローラ18の制御に従って、蒸らし時間、抽出圧力など、風味を決める条件を調整して抽出を行う。そうして抽出されたエスプレッソコーヒーが、ノズル6を通じて流出する。
(水質調整機構15)
水質調整機構15は、コントローラ18の制御によって、目標として設定されるコーヒーの風味に対応して、原水が含むイオン成分のうち、上述したカルシウムイオン、マグネシウムイオン、および、重炭酸イオンからなる3種イオン成分(特定イオン成分)の濃度および構成比が所定の至適範囲内に収まるように調整する。
図6に、水質調整機構15の構成を例示する。水質調整機構15は、イオン成分の除去処理および置換処理を行う第1処理部20と、イオン成分の添加処理を行う第2処理部30とを有している。
第1処理部20には、イオン交換樹脂が充填されているイオン除去カートリッジ21と、イオン除去カートリッジ21をバイパスする第1バイパス配管22と、イオン除去カートリッジ21または第1バイパス配管22に流路を切り替える第1切替弁23とが設けられている。イオン除去カートリッジ21は、交換できるように、着脱可能に構成されている。
イオン除去カートリッジ21には、Na型陽イオン交換樹脂21a(第1イオン置換手段)と、H型陽イオン交換樹脂21b(第2イオン置換手段)とが、所定の比率で充填されている。Na型陽イオン交換樹脂21aはイオン除去カートリッジ21の上流側に配置され、H型陽イオン交換樹脂21bはイオン除去カートリッジ21の下流側に配置されている。なお、Na型陽イオン交換樹脂21aとH型陽イオン交換樹脂21bとを、それぞれ別のカートリッジに充填し、直列に配置してもよい。
Na型陽イオン交換樹脂21aは、一般に、原水の硬度を低下させるために用いられている。Na型陽イオン交換樹脂21aは、原水に含まれるマグネシウムイオンおよびカルシウムイオン等の陽イオンを、ナトリウムイオンに置換して除去する。従って、Na型陽イオン交換樹脂21aは、これらの総含有量である硬度を低下させることができる。
しかし、Na型陽イオン交換樹脂21aでは、重炭酸イオンは除去できない。すなわち、Na型陽イオン交換樹脂21aでは、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンが、ナトリウムイオンと置換されるのみである。そのため、重炭酸イオンを含めた他の溶液内のイオンの平衡関係には影響を及ぼさない。
そこで、このコーヒーマシンでは、Na型陽イオン交換樹脂21aとH型陽イオン交換樹脂21bとを併用している。
H型陽イオン交換樹脂21bは、原水に含まれるマグネシウムイオンおよびカルシウムイオン等の陽イオンを、水素イオンに置換して除去する。従って、マグネシウムイオンおよびカルシウムイオンを除去できる。そして、水中の水素イオンが増加するので、水中の炭酸塩の平衡関係が崩れる。その結果、重炭酸イオン濃度が減少し、重炭酸イオンも間接的に除去できる。
すなわち、H型陽イオン交換樹脂21bであれば、原水に含まれるマグネシウムイオン、カルシウムイオンに加え、重炭酸イオンも除去することができる。しかし、H型陽イオン交換樹脂21bは、水素イオンに置換するので、置換量が多くなると、原水のpHが低下する。その結果、原水のpHが酸性になり過ぎて、コーヒーの抽出に適した原水のpHの範囲(通常6~8)から逸脱してしまう。
そこで、この水質調整機構15では、Na型陽イオン交換樹脂21aとH型陽イオン交換樹脂21bとを併用することにより、硬度の高い原水に対して、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、および重炭酸イオンの除去処理および置換処理を行っても、コーヒーの抽出に適したpHの範囲を逸脱しないように構成されている。Na型陽イオン交換樹脂21aとH型陽イオン交換樹脂21bの充填比率は、予備実験等の結果に基づいて設定されている。
第2処理部30には、第1ミネラル添加カートリッジ31(イオン添加手段)、第2ミネラル添加カートリッジ32(イオン添加手段)、これらカートリッジ31,32をバイパスする第2バイパス配管33、これらカートリッジ31,32または第2バイパス配管33のいずれかに流路を切り替える第2切替弁34、第1ミネラル添加カートリッジ31または第2ミネラル添加カートリッジ32のいずれかに流路を切り替える第3切替弁35が設けられている。第1ミネラル添加カートリッジ31および第2ミネラル添加カートリッジ32は、交換できるように、着脱可能に構成されている。
第1ミネラル添加カートリッジ31には、マグネシウムを固体の状態で含むミネラルの粒体ないし粉体が充填されている。その具体例としては、例えば、MgCO、MgSO、MgCl、3MgCOMg(OH)・3HOなどが挙げられる。
第2ミネラル添加カートリッジ32には、カルシウムを固体の状態で含むミネラルの粒体ないし粉体が充填されている。その具体例としては、CaCO、CaO、CaSO、CaClなどが挙げられる。
第1ミネラル添加カートリッジ31に原水を通水させることで、ミネラルが原水に溶け出して、原水にマグネシウムイオンが添加される。第2ミネラル添加カートリッジ32に原水を通水させることで、ミネラルが原水に溶け出して、原水にカルシウムイオンが添加される。通水速度など、ミネラル成分の単位量当たりの通水量を調整することで、これらの添加量を調整できる。
第3切替弁35を制御することで、マグネシウムイオンとカルシウムイオンの構成比を調整することができる。
重炭酸イオンについても、その塩を含む粒体等を利用してその濃度を調整することができる。重炭酸イオンを含む濃縮溶液を利用してその濃度を調整してもよい。
水質調整機構15は、特定イオン成分の濃度が高く、所定の至適範囲から逸脱している場合には、第1処理部20で特定イオン成分の除去処理および置換処理を行い、かつ、第2処理部30で特定イオン成分の添加処理を行うことにより、特定イオン成分の濃度および構成比が所定の至適範囲内に収まるように調整する。
そして、水質調整機構15は、特定イオン成分の濃度が低く、所定の至適範囲から逸脱している場合には、第1処理部20をバイパスし、第2処理部30で特定イオン成分の添加処理を行うことにより、特定イオン成分の濃度および構成比が所定の至適範囲内に収まるように調整する。
水質調整機構15は、特定イオン成分の濃度が所定の至適範囲内にある場合には、第1処理部20および第2処理部30の双方をバイパスし、調整を行わない。ただし、後述するように、ユーザにより、目標とされるコーヒーの風味のカスタマイズが行われる場合には、第2処理部30で特定イオン成分の添加処理が行われる。そうすることにより、カルシウムイオンとマグネシウムイオンの構成比が所定の至適範囲内において調整される。
(コントローラ18)
図7に、コントローラ18と、その主な関連機器との関係を示す。コントローラ18は、CPUやメモリなどのハードウエアと、これらハードウエアに実装された、制御プログラムなどのソフトウエアとで構成されている。コントローラ18には、機能的な構成として、通信部40、水質情報格納部41、原料情報格納部42、基本情報格納部43、風味調整部44などが設けられている。
コントローラ18は、エスプレッソマシン1の主電源を投入した状態で、消費電力を最小限に抑制する休止状態(いわゆるスリープモード)が設定可能に構成されている。休止状態で、操作部5や後述するアプリケーションを最初に操作することで、自動的に通常の運転状態に復帰し、一定期間操作が無いと休止状態に戻るようになっている。
コントローラ18は、操作部5、給水ポンプ14、水質調整機構15、加熱槽16(ヒータ16a)、豆送り装置11、ミル12、抽出器17と電気的に接続されている。コントローラ18は、コーヒー豆の粉砕度合い等、抽出するエスプレッソコーヒーの風味の調整に関する情報(風味調整情報)の入力をユーザに促すために、操作部5に情報を出力する。
コントローラ18はまた、抽出に用いる原水の水質に関する情報(水質情報)や、抽出に用いるコーヒー豆の種類や焙煎度合いに関する情報(原料情報)の入力をユーザに促すために、操作部5に情報を出力する。
そして、操作部5で風味調整情報、水質情報、原料情報が入力されると、これら風味調整情報、水質情報、原料情報が、操作部5からコントローラ18に出力される。コントローラ18は、これら風味調整情報、水質情報、原料情報に基づいて、給水ポンプ14、水質調整機構15、加熱槽16、豆送り装置11、ミル12、抽出器17の各々の動作を制御する。それにより、コーヒーの抽出が自動的に行われる。
通信部40は、無線LANによる無線通信機能を有しており、コントローラ18は、通信部40を通じて、インターネット100に接続し、インターネット100を介して外部のデータベース101とのアクセスが可能になっている。このエスプレッソマシン1の場合、スマートフォン4に所定のアプリケーションを導入することにより、通信部40を介して、コントローラ18とスマートフォン4との間で、データの送受信が可能になるように構成されている。スマートフォン4は、インターネット100に接続可能であることから、その機能を利用することにより、コントローラ18は、インターネット100に接続し、外部のデータベース101にアクセスする。
従って、このエスプレッソマシン1では、コントローラ18のメモリに予め記憶されている情報や、操作部5からコントローラ18に入力される情報だけでなく、インターネット100に接続されている外部の所定のデータベース101(クラウドデータベース101a)に記憶されている情報も利用してエスプレッソコーヒーを作ることができる。
そして、エスプレッソコーヒーを作る際、操作部5を操作して、エスプレッソマシン1から直接的にコントローラ18に風味調整情報、水質情報、原料情報を入力するだけでなく、スマートフォン4を操作して、エスプレッソマシン1から離れた場所から間接的にコントローラ18にこれら風味調整情報、水質情報、原料情報を入力することもできる。
クラウドデータベース101aには、各国、各市町村など、地域別の水道水の水質に関する情報(水質情報)が記憶されている。また、ミネラルウォーターなど、市販のボトル入り飲料水の製品別の水質に関する情報(水質情報)も記憶されている。これら水質情報は、定期的に更新されるようになっている。コントローラ18は、クラウドデータベース101aから必要な水質情報の取得が可能な場合には、ユーザに入力を求めることなく、自動的に水質情報を取得する。
クラウドデータベース101aにはまた、コーヒー豆の産地、種類などの違いに基づく、コーヒー豆の品質に関する情報(原料情報)も記憶されている。また、コーヒー豆の主要なメーカーの主な製品別のコーヒー豆の品質に関する情報(原料情報)も記憶されている。これら原料情報もまた、定期的に更新されるようになっている。コントローラ18は、クラウドデータベース101aから必要な原料情報の取得が可能な場合には、ユーザに入力を求めることなく、自動的に原料情報を取得する。
水質情報格納部41は、操作部5またはスマートフォン4を通じたユーザの入力によって取得、あるいは、クラウドデータベース101aから取得される水質情報を記憶する。原料情報格納部42は、操作部5またはスマートフォン4を通じたユーザの入力によって取得、あるいは、クラウドデータベース101aから取得される原料情報を記憶する。
基本情報格納部43は、抽出するエスプレッソコーヒーの風味に対応した、原水の特定イオン成分の濃度および構成、pHを調整するための情報(水質調整情報)を記憶する。基本情報格納部43はまた、風味調整情報をユーザと紐付けするために、ユーザを特定するための情報(ユーザ情報)も記憶する。
これら情報は、基本情報格納部43とクラウドデータベース101aとで共有されている。これら情報はまた、クラウドデータベース101aにおいて定期的に更新され、基本情報格納部43は、クラウドデータベース101aを通じて最新の水質調整情報やユーザ情報を取得し、記憶する。
水質調整情報は、原水の特定イオン成分の濃度および構成、pHの最適な範囲(至適範囲)を、エスプレッソコーヒーの様々な風味に対応して調整可能にする情報を含む。至適範囲は、例えば、硬度と、重炭酸イオンの濃度と相関関係にあるアルカリ度とに基づいて設定される。エスプレッソコーヒーを作る際には、これら水質調整情報に基づき、目標とされる硬度とアルカリ度とが設定される。
風味調整部44は、上述したように、水質調整機構15、加熱槽16、豆送り装置11、ミル12、および抽出器17の動作を制御して、エスプレッソコーヒーの風味を調整する。すなわち、風味調整部44は、エスプレッソコーヒーを作る際には、風味調整情報、水質情報、原料情報、コーヒー豆の量などに基づいて、原水の水質、コーヒー豆の量、その粉砕度合い、および抽出条件を調整し、ユーザの求めに応じた風味のエスプレッソコーヒーを抽出する。
<コーヒーの風味調整の具体例>
図8に、エスプレッソマシン1を用いてエスプレッソコーヒーを作る際に行われる風味調整の流れを例示する。この例示では、スマートフォン4を利用してエスプレッソコーヒーを作る場合を示している。図9に、その主な処理の過程を示す。操作部5のモニターにも、スマートフォン4の画面と同様の情報が表示される。従って、操作部5でも、スマートフォン4と同様の操作が行える。
なお、この例示の風味調整における前提として、エスプレッソマシン1は休止状態とされ、各ノズル6の下方にはカップが載置されているものとする。そして、原水タンク13には、ローマの水道水が投入されているものとする。また、原料タンク10には、コーヒー豆のメーカー「Lavazza」の製品「スペシャルブレンド」のうち、焙煎度合いが「シティロースト」のコーヒー豆が投入されているものとする。
スマートフォン4には、予め所定のアプリケーションが導入されている。図9の表示状態(a)に示すように、ユーザがアプリケーションを立ち上げると、アプリケーションとの連動により、コントローラ18は、運転開始指示があったと判断し、自動的に、通常の運転状態に復帰する(ステップS1でYes)。
コントローラ18は、運転を開始すると、ユーザを特定する(ステップS2)。スマートフォン4を利用する場合、アプリケーションの導入時に、ユーザとスマートフォン4とが紐付けされるため、ユーザ情報が設定される。そのため、使用するスマートフォン4からユーザは特定される。
一方、ユーザが特定できない場合(例えば、操作部5から直接入力する場合)には(ステップS2でNo)、この例示では、処理は終了する。なお、ユーザが特定できない場合には、コントローラ18は、操作部5のモニターなどを通じてユーザにユーザ情報の入力を促し、入力されるユーザ情報に基づいてユーザを特定すればよい。
コントローラ18は、ユーザを特定すると、原水の水質情報を取得する(ステップS3)。具体的には、図9の表示状態(b)に示すように、コントローラ18は、スマートフォン4の画面にメニューを表示し、エスプレッソマシン1の位置情報の入力をユーザに促す。ユーザはその表示に従って入力すればよい。図例では、国別の選択肢から「イタリア」が選択され、市町村別の選択肢から「ローマ」が選択されている。なお、スマートフォン4の場合、そのGPSを利用して自動的にエスプレッソマシン1の位置情報を取得してもよい。
続いて、図9の表示状態(c)に示すように、コントローラ18は、原水の種類の入力をユーザに促す。コントローラ18は、ユーザの入力を支援する情報をスマートフォン4の画面に表示するので、ユーザはそれに従って入力すればよい。図例では、ボトル入りの飲料か水道水かの選択肢から「水道水」が選択されている。コントローラ18は、これら取得した情報に基づいて、クラウドデータベース101aからその原水の水質情報を取得、水質情報格納部41に記憶する。
コントローラ18はまた、コーヒー豆の原料情報を取得する(ステップS4)。具体的には、図9の表示状態(d)に示すように、コントローラ18は、スマートフォン4の画面にメニューを表示し、コーヒー豆の品質に関する情報の入力をユーザに促す。ユーザはその表示に従って入力すればよい。
図例では、コーヒー豆のメーカー別の選択肢から「Lavazza」が選択され、更に、そのブレンド別の選択肢から「スペシャルブレンド」が選択されている。そして、更に、その焙煎度合いの選択肢から「シティロースト」が選択されている。コントローラ18は、これら取得した情報に基づいて、クラウドデータベース101aからそのコーヒー豆の原料情報を取得し、原料情報格納部42に記憶する。
続いて、図9の表示状態(e)に示すように、コントローラ18は、スマートフォン4の画面にメニューを表示し、所望するエスプレッソコーヒーの抽出方法の入力をユーザに促す。ユーザはその表示に従って入力すればよい。コントローラ18は、抽出方法のメニューの選択が行われたか否かを判断する(ステップS5)。
なお、クラウドデータベース101aには、ユーザがこれまでに選択したエスプレッソコーヒーに関する風味調整情報が記憶されている。そして、風味調整部44は、その風味調整情報に基づいて、エスプレッソコーヒーの風味について学習する機能(いわゆるAI)を有している。それにより、このコントローラ18は、ユーザの嗜好に応じたエスプレッソコーヒーの風味を自動的に選択して調整できるように構成されている。
ユーザは、メニューの中から「AI Recommended」を選択することで、その機能を利用することができる。この機能を選択した場合、ユーザの操作は終了し、コントローラ18によって自動的にエスプレッソコーヒーの抽出が行われる。
図例では、複数のエスプレッソコーヒーの抽出方法の中から「ロングブラック(Long Black))」が選択されている。この場合、コントローラ18は、ユーザがこれまでに特定の抽出方法(この場合「ロングブラック」)を選択したときの風味調整情報のうち、風味をカスタマイズした情報(ユーザ嗜好情報)が有るか否かを判断する(ステップS6)。
そして、ユーザ嗜好情報が有った場合には、図9の表示状態(f)に示すように、エスプレッソコーヒーの風味をカスタマイズするための画面(カスタマイズ画面)に、その最新のユーザ嗜好情報を反映した状態で表示する(ステップS7)。
カスタマイズ画面には、基準となるエスプレッソコーヒーの風味に対して風味を微調整するためのエリア50が表示される。そのエリア50内でポインタ51を移動させることにより、エスプレッソコーヒーの主な風味である苦味、酸味、およびコクの微調整ができるようになっている。ユーザ嗜好情報が有った場合には、図9の表示状態(f)に示すように、最新のユーザ嗜好情報に基づく位置にポインタ51が表示される。
一方、ユーザ嗜好情報が無かった場合には、スマートフォン4の画面に、エスプレッソコーヒーの風味をカスタマイズするための初期画面、つまりエリア50の中心位置にポインタ51が表示される。
そして、コントローラ18は、ユーザによってエスプレッソコーヒーの風味のカスタマイズが行われたか否かを判断する(ステップS8)。つまり、ポインタ51が移動されたか否かを判断する。カスタマイズが行われた場合には、そのポインタ51の位置に応じて目標とする風味を微調整する(ステップS9)。カスタマイズが行われなかった場合には、目標とする風味の微調整は行わない。
そうして、コントローラ18は、設定された風味に基づいて、抽出に用いるコーヒー豆の量、粉砕条件、抽出条件を決定する(ステップS10)。続いて、コントローラ18は、水質調整情報を利用し、取得した水質情報、原料情報、決定したコーヒー豆の量に基づいて、目標とする原水の水質を調整するための調整条件を決定する(ステップS11)。
続いて、コントローラ18は、決定したコーヒー豆の量、粉砕条件に基づいて、豆送り装置11、ミル12の動作を制御し、調整したコーヒー豆を抽出器17に供給する(ステップS12)。コントローラ18はまた、決定した原水の水質の調整条件に基づいて、水質調整機構15、加熱槽16の動作を制御し、水質を調整した原水、つまり調整水を抽出器17に供給する(ステップS13)。
そうして、最後に、コントローラ18は、決定した抽出条件に基づいて、抽出器17の動作を制御することにより、エスプレッソコーヒーを抽出する(ステップS14)。その結果、カップには、ユーザの嗜好に合致した、美味しい本格的なエスプレッソコーヒーが抽出される。
なお、開示する技術にかかるコーヒーマシンは、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
例えば、実施形態では、コーヒーマシンとして、エスプレッソコーヒーを抽出するエスプレッソマシンを例示したが、ドリップ式などの一般的なコーヒーを抽出するものであってもよい。コーヒーマシンは、一般家庭用でも、業務用であってもよい。
スマートフォンを介してインターネットと接続できる例を示したが、スマートフォンに限らず、タブレット端末やノートパソコンなど、他の携帯端末であってもよい。
給水は、原水タンクでなく、外部の水道配管から直接給水してもよい。粉砕部は必須でない。ユーザが抽出部に直接粉砕したコーヒー豆を投入するようにしてもよい。
1 エスプレッソマシン(コーヒーマシン)
3a ケース
4 スマートフォン(携帯端末)
5 操作部
6 ノズル
7 豆処理部
8 給水部
10 原料タンク
11 豆送り装置(原料供給部)
12 ミル(粉砕部)
13 原水タンク
14 給水ポンプ
15 水質調整機構(水質調整部)
16 加熱槽(加熱部)
17 抽出器(抽出部)
18 コントローラ(制御部)
20 第1処理部
21 イオン除去カートリッジ
21a Na型陽イオン交換樹脂(第1イオン置換手段)
21b H型陽イオン交換樹脂(第2イオン置換手段)
30 第2処理部
31 第1ミネラル添加カートリッジ(イオン添加手段)
32 第2ミネラル添加カートリッジ(イオン添加手段)
33 第2バイパス配管
40 通信部
41 水質情報格納部
42 原料情報格納部
43 基本情報格納部
44 風味調整部
100 インターネット
101 データベース
101a クラウドデータベース

Claims (11)

  1. コーヒーの抽出が自動的に行えるコーヒーマシンであって、
    粉砕したコーヒー豆から前記コーヒーを抽出する抽出部と、
    前記コーヒーの抽出に用いる原水を加熱して前記抽出部に供給する給水部と、
    前記抽出部および前記給水部の動作を制御する制御部と、
    前記抽出部、前記給水部、および、前記制御部を収容するケースと、
    を備え、
    前記給水部は、前記原水に含まれるイオン成分の調整が可能な水質調整部を有し、
    前記制御部が、前記水質調整部を制御することにより、目標として設定される前記コーヒーの風味に対応して、前記イオン成分のうち、複数の特定イオン成分の濃度および構成比が所定の至適範囲内に収まるように調整する、コーヒーマシン。
  2. 請求項1に記載のコーヒーマシンにおいて、
    前記特定イオン成分が、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、および、重炭酸イオンからなる、コーヒーマシン。
  3. 請求項2に記載のコーヒーマシンにおいて、
    前記制御部が、目標として設定される前記コーヒーの風味に対応して、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、および、重炭酸イオンの濃度および構成比が前記至適範囲内に収まるように調整するとともに、当該至適範囲内において、ユーザによって設定される前記コーヒーの風味に対応して、カルシウムイオンとマグネシウムイオンの構成比を調整する、コーヒーマシン。
  4. 請求項1に記載のコーヒーマシンにおいて、
    前記水質調整部が、Na型陽イオン交換樹脂を主体とする第1イオン置換手段と、H型陽イオン交換樹脂を主体とする第2イオン置換手段とを有し、前記特定イオン成分の濃度および構成比の調整を行うために、前記第1イオン置換手段および前記第2イオン置換手段を併用して前記イオン成分の除去処理および置換処理を行う、コーヒーマシン。
  5. 請求項4に記載のコーヒーマシンにおいて、
    前記水質調整部は、所定のミネラル成分を固体の状態で含むイオン添加手段を有し、前記特定イオン成分の濃度および構成比の調整を行うために、前記原水を前記イオン添加手段に通水させることによって前記イオン成分の添加処理を行う、コーヒーマシン。
  6. 請求項1~5のいずれか1つに記載のコーヒーマシンにおいて、
    前記制御部が、前記原水の水質に関する水質情報を記憶する水質情報格納部を有し、当該水質情報格納部に記憶されている前記水質情報に基づいて、前記特定イオン成分の濃度および構成比の調整を行う、コーヒーマシン。
  7. 請求項6に記載のコーヒーマシンにおいて、
    前記コーヒー豆を粉砕する粉砕部と、
    前記制御部の制御に従って、前記コーヒー豆を収容する原料タンクから前記粉砕部に当該コーヒー豆を供給する原料供給部と、
    を更に備え、
    前記制御部が、
    前記コーヒー豆の種類および焙煎度合いを含む原料情報を記憶する原料情報格納部を有し、当該原料情報格納部に記憶されている前記原料情報に基づいて、前記原料供給部が供給する前記コーヒー豆の量を調整し、
    前記水質情報、前記原料情報、および、前記コーヒー豆の量に基づいて、前記特定イオン成分の濃度および構成比の調整を行う、コーヒーマシン。
  8. 請求項6に記載のコーヒーマシンにおいて、
    前記ケースの外面に設けられた操作部を更に備え、
    前記水質情報が前記操作部を通じて前記水質情報格納部に入力可能に構成されている、コーヒーマシン。
  9. 請求項6または8に記載のコーヒーマシンにおいて、
    前記制御部が、インターネットを介して外部のデータベースとのアクセスを可能にする通信部を有し、
    前記水質情報が前記通信部を通じて前記水質情報格納部に入力可能に構成されている、コーヒーマシン。
  10. 請求項7に記載のコーヒーマシンにおいて、
    前記ケースの外面に設けられた操作部を更に備え、
    前記水質情報が前記操作部を通じて前記水質情報格納部に入力可能、かつ、前記原料情報が前記操作部を通じて前記原料情報格納部に入力可能に構成されている、コーヒーマシン。
  11. 請求項7または10に記載のコーヒーマシンにおいて、
    前記制御部が、インターネットとのアクセスを可能にする通信部を有し、
    前記水質情報が前記通信部を通じて前記水質情報格納部に入力可能、かつ、前記原料情報が前記通信部を通じて前記原料情報格納部に入力可能に構成されている、コーヒーマシン。
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