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JP2022136462A - 化粧材 - Google Patents

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JP2022136462A JP2021036086A JP2021036086A JP2022136462A JP 2022136462 A JP2022136462 A JP 2022136462A JP 2021036086 A JP2021036086 A JP 2021036086A JP 2021036086 A JP2021036086 A JP 2021036086A JP 2022136462 A JP2022136462 A JP 2022136462A
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JP2021036086A
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真次 岩田
Shinji Iwata
志穂 柴野
Shiho Shibano
優 岡本
Masaru Okamoto
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

【課題】特徴のある木目調の表現が可能であり、表現の自由度を高めることができる化粧材を提供する。【解決手段】表面に凹凸模様が形成されてなる凹凸付与層を有する化粧材であって、複数の第一凸部と、隣り合う第一凸部の間に配置された第二凸部と、を有し、平面視で第一凸部は第二凸部よりも面積が大きく、第一凸部のアスペクト比は第二凸部のアスペクト比より大きい。【選択図】図4

Description

本開示は化粧材に関する。
例えば特許文献1にはエンボス加工により凹陥模様が付され、ここにインキや塗料が配置されることで特有の外観を表現した化粧材が開示されている。このような化粧材において、嗜好性の多様化により、所望する印象が表現されるなど、外観(表現)の自由度を高めることが求められている。
特公昭58-14312号公報
本開示は、上記の問題に鑑み、従来の意匠表現に比べて特徴のある木目調の表現が可能であり、表現の自由度を高めることができる化粧材を提供することを課題とする。
本開示の1つの態様は、表面に凹凸模様が形成されてなる凹凸付与層を有する化粧材であって、複数の第一凸部と、隣り合う第一凸部の間に配置された第二凸部と、を有し、平面視で第一凸部は第二凸部よりも面積が大きく、第一凸部のアスペクト比は第二凸部のアスペクト比より大きい、化粧材である。
隣り合う第一凸部の間、隣り合う第二凸部の間、及び、第一凸部と第二凸部との間、の少なくとも一部にはインキ部が設けられてもよい。
化粧材にはさらに絵柄層が積層されてもよい。
本開示によれば、木目調、特に古木を印象付けることができ、表現の自由度を高めることができる。
図1は、化粧材10の一部を拡大して平面視した図である。 図2は、図1の一部をさらに拡大して表した図である。 図3は、化粧材10の一部を拡大して平面視した図で、凹凸付与層の凹凸の態様を濃淡で表した図である。 図4は、化粧材10の一部を拡大して斜視図で表した図で、第一凸部13及び第二凸部14の形態を説明する図である。 図5は、化粧材10の一部を拡大して平面図で表した図で、第一凸部13及び第二凸部14の形態を説明する図である。 図6は、図5における仮想線IV-IVに沿って化粧材10をz軸方向に切断した断面図である。 図7は、インキ部15が設けられた例の化粧材10の断面図である。 図8は、原稿画像としての大理石模様を表した図である。 図9は、レーザにより型に凹凸模様を形成する場面を説明する図である。
以下、本開示を図面に示す形態に基づき説明する。ただし、本開示はこれら形態に限定されるものではない。なお、以下に示す図面では分かりやすさのため部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見やすさのため説明上不要な部分の図示や繰り返しとなる符号は省略することがある。
[化粧材の構造]
図1は、化粧材10の一部を拡大して平面視した図、図2は図1の一部をさらに拡大して表した図である。図3は化粧材10の一部を拡大し、凹凸付与層12側から見た平面図で、凹凸付与層12が有する凹凸の様子を表すため凹凸の状態を白黒の濃淡で表した図である。
図4は、化粧材10の一部を拡大し、第一凸部13及び第二凸部14の形態を説明するための斜視図、図5は平面図である。
図6には、図5にIV-IVで示した仮想線に沿って化粧材10をz軸方向に切断した断面図を表した。
なお、図1~図6及び以降に示す図には必要に応じて便宜のため、方向を表す矢印(x、y、z)、即ち座標系も併せて表記した。ここでxy方向は化粧材10における面内方向、z方向は厚さ方向である。
図1~図6よりわかるように、化粧材10は、基材11、該基材11の一方の面側に具備された凹凸付与層12、及び、凹凸付与層12に積層されたインキ部15を有して構成されている。本形態では基材11の一方の面が凹凸付与層12として機能するように構成されている。換言すれば、本形態においては、基材11自体が凹凸付与層12を兼ねた単層構成となっている。なお、これに限らず、基材11と凹凸付与層12とを別個の独立層とし、両層を積層した複数層構成とした形態とすることもできる。
以下、各構成についてさらに詳しく説明する。
<基材>
基材11は、凹凸付与層12を保持するとともに化粧材10に強度を付与する機能を有するシート状の部材である。基材11の形態としてはフィルム、シート、或いは板のいずれでも良い。一般的には、厚みが比較的薄いものから、順次、フィルム、シート、板と呼称されるが、本形態においては、これら基材の厚み形態による差異は本質的な事項ではなく重要な事項でも無い。そのため、本明細書中においてはフィルム、シート、及び板のいずれかの用語は適宜他の用語に読み換えても本発明の本質も特許請求の範囲の解釈も不変である。
基材11は従来公知の化粧材と同様の機能を有するものであればよいので、その材料は特に限定されない。例えば、基材の材料としては、通常、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アイオノマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)、スチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、2液硬化型ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂、或いは、ラジカル重合型のアクリレート系やカチオン重合型のエポキシ系等の単量体やプレポリマーで電離放射線(紫外線、電子線等)で硬化する電離放射線硬化性樹脂等が用いられる。なお、基材の材料が樹脂の場合、公知の着色剤で着色しても良い。この他、紙、不織布、金属、木等もシート、板、立体物等の形状で、適宜上記樹脂材料と積層させて、使用することもできる。
基材の厚さには特に制限は無いが、シート状の基材又はフィルム状の基材の場合は、例えば、厚さ20μm以上1000μm以下程度、板状の基材の場合は、例えば、1mm以上20mm以下程度のものが使用される。
<凹凸付与層>
凹凸付与層12は、本形態では基材11の一方の面に具備され、化粧材に凹凸模様を付与する層である。本形態では、凹凸付与層12は、第一凸部13、及び、第二凸部14を備えている。以下それぞれについて説明する。
{第一凸部13}
第一凸部13は、凹凸付与層12からz方向に突出する部位であり、凹凸付与層12にはこのような第一凸部13が複数設けられている。より具体的に、第一凸部13は次のような形態を有していることが好ましい。
第一凸部13は、図5に表したように、平面視(z方向から凹凸付与層12を見た視点)で面積及びアスペクト比が第二凸部14よりも大きい。ここでアスペクト比は図5に示したように、平面視で、最も小さい長さAに対する最も大きい長さBの割合(B/A)で表される。
第一凸部13は定性的には岩礁状、半島状、乃至は島嶼状の形態であることが好ましい。
第一凸部13のアスペクト比は特に限定されることはないが、2以上7以下であることが好ましい。
第一凸部13の平面視形状は特に限定されることはないが、上記のように岩礁状、半島状、又は島嶼状の形態が好ましいため、不定形な幾何学形状であることが好ましい。ただしこれに限らず、三角形や四角形等の多角形、円形、及び、楕円形等のような定形的な幾何学形状であってもよい。
第一凸部13の突出高さH(図6参照、第一凸部13のz方向の大きさ)は特に限定されることはない。また、複数の第一凸部13でその突出高さが同じであってもよいが、必ずしも同じである必要はなく、突出高さが異なる複数の第一凸部13が混在してもよい。突出高さHの範囲は特に限定されることはないが、化粧材における凹凸の突出高さを考慮すれば20μm乃至200μm程度であることが好ましい。
{第二凸部14}
第二凸部14はz方向に突出する部位であり、隣り合う第一凸部13の間に配置されている。好ましくは隣り合う第一凸部13に複数の第二凸部14が配置されている。
より具体的に、第二凸部14は次のような形態を有していることが好ましい。
第二凸部14は、図5に表したように、平面視(z方向から凹凸付与層12を見た視点)で面積が第一凸部13よりも小さく、アスペクト比が1に近いとともに第一凸部13より小さい。
また、第二凸部14は定性的には島嶼状の形態であることが好ましい。
第二凸部14の平面視形状は特に限定されることはないが、上記のように島状の形態が好ましいため、不定形な幾何学形状であることが好ましい。ただしこれに限らず、三角形や四角形等の多角形、円形、及び、楕円形等のような定形的な幾何学形状であってもよい。
第二凸部14の突出高さも第一凸部の突出高さと同様に考えることができる。
上記のように、平面視において第一凸部13の面積が第二凸部14の面積よりも大きくされている。具体的な面積の差は限定されることはないが、10倍以上であることが好ましい。これにより古木樹皮の力強さ(割れた雰囲気)をより際立させることができる。
また、第一凸部13のアスペクト比は第二凸部14のアスペクト比よりも大きければ特に限定されることはないが、第一凸部13のアスペクト比の1.5倍以上であることが好ましい。
<他の構成>
上記の他、化粧材には次のような構成が備えられてもよい。
{インキ部}
図7に断面で表したように、隣り合う第一凸部13の間、隣り合う第二凸部14の間、及び/又は、第一凸部13と第二凸部14との間にインキ部15が設けられてもよい。これにより必要に応じた外観を演出することができる。
インキ部15を設ける場合、隣り合う凸部(第一凸部13、第二凸部14)を渡すように配置されてもよいし、隣り合う凸部を渡すことなく一部にインキ部15が存在しない部分があってもよい。
インキ部15を構成するインキの材料は特に限定されることはなく、公知のものを用いることができる。例えばベヒクルに着色顔料、艶消し顔料、染料、紫外線吸収剤等の何れか1種又は2種以上を含有するものを適用できる。ベヒクルは、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線効果型樹脂から適宜選択可能である。かかるインキ部は、公知の各種方法、例えば、特開昭52-130719号公報、特公昭59-14352号公報等に開示される、いわゆるバレープリント(valley print)法、特公昭58-14312号公報等に開示される、いわゆるワイピング(wiping)法等により形成することができる。
{絵柄層}
絵柄層は、所望の絵柄が表現された層であり、本形態では例えば古木表面を表す木目模様が表現されている。絵柄層は凹凸付与層12に積層されてもよいし、基材11の面のうち凹凸付与層12が配置された側とは反対側の面に積層されてもよい。
絵柄層は、顔料、染料等の着色剤を目的の意匠が得られるように適宜配置したものである。絵柄層は、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、スプレー印刷及びインクジェット印刷等の印刷手法、並びに、印刷された図柄を転写する転写手法等により形成される。
絵柄層の形成に用いられるインキとしては、バインダー樹脂に顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。
バインダー樹脂としては、特に制限はなく、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
着色剤としては特に制限はなく、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒等の無機黒顔料、アゾメチンアゾブラック、ペリレンブラック等の有機黒顔料(又は染料)、チタン白、アンチモン白、亜鉛華等の白顔料、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機有彩色顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、ニッケルアゾ錯体、フタロシアニンブルー等の有機有彩色顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等の中から絵柄層の所望の色を再現するに適した顔料を、1種単独又は2種以上混合した形で適宜用いることができる。
絵柄層中には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を含有してもよい。
絵柄層の厚さは、絵柄による意匠性を良好に発揮する観点から、0.1μm以上40μm以下が好ましく、0.3μm以上20μm以下がより好ましく、0.5μm以上10μm以下がさらに好ましい。
{艶消し層}
本開示の化粧材は、凹凸付与層12の上に艶消し層をさらに備えることができる。艶消し層は、これを全面に亘って設けると全面の艷を一様に低下(低光沢乃至は艷消となる)させる効果を奏し、また、部分的に設けると周辺の領域との艶差を発生させて視覚的な凹凸感を発現させることができる。
艶消し層は、凹凸付与層12の全面に設ける構成であってもよいが、周辺の領域との艶差を発生させて視覚的な凹凸感を発現させることを考慮すると、凸部(第一凸部13、第二凸部14)の間にある相対的に凹部となった領域及び近傍に設けることが好ましく、凹部の領域に限定的に設けることがより好ましい。
艶消し層は、艶消し効果を向上させる観点から、艶消し剤を含有させることが好ましい。
艶消し剤としては、無機微粒子及び有機微粒子を挙げることができる。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、カオリナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム及びガラス等からなる粒子を挙げることができる。
有機微粒子としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン-メラミン-ホルムアルデヒド縮合物等からなる粒子を挙げることができる。これらの艷消し剤の粒子径は1μmから20μm程度とされる。
艶消し剤としては、艶消し効果が高く、艶の制御が容易に行えるという観点から、シリカ粒子が好適である。また、艶消し剤としては、上述の1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
艶消し剤の粒子径は、艶消し効果及び艶の制御の観点から、1μm以上10μm以下であることが好ましく、2μm以上9μm以下であることがより好ましく、3μm以上7μm以下であることがさらに好ましい。
{保護層}
化粧材では、凹凸付与層12に対してさらに保護層を積層してもよい。これにより化粧材を汚染や傷つきから保護する。このような保護層は、透明樹脂、又は透明ガラスなどにより構成することができる。透明樹脂を用いる場合には、例えば、熱可塑性樹脂、硬化樹脂による層を挙げることができる。
なお、基材11、凹凸付与層12のみでも目的の用途において十分な耐汚染性、耐擦傷性等の表面耐久性能が確保可能な場合には、保護層は省略することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート等のアクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ弗化ビニル、ポリ弗化ビニリデン等の弗素樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステル樹脂等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。
硬化樹脂による層は、硬化性樹脂組成物が硬化した層であり、硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂を含有する組成物である。硬化性樹脂組成物としては、例えば、熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む。)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、熱硬化性樹脂の硬化反応に関与する成分、例えば、触媒、硬化剤(架橋剤、重合開始剤、重合促進剤等を含む)等を含有してもよい。
電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂である。電離放射線は、電磁波及び荷電粒子線のうち、分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものであり、紫外線(UV)及び電子線(EB)の他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も包含するが、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が使用される。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られる。
電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、電離放射線の照射により架橋可能な(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合、エポキシ基等を分子中に有するモノマー、オリゴマー、或いはプレポリマー等の1種以上を含有する組成物を使用することができる。
保護層の厚さは特に限定されることはないが、1μm以上50μm以下とすることができる。薄いと曲げ等による耐久性は高いが耐擦傷性では弱く、厚いと耐擦傷、傷には強いが曲げ等の変形に弱く割れ等が発生するため、上記範囲の厚さとすることによりバランスのよい保護層とすることができる。そのため1μm以上10μm以下としてもよい。
[化粧材10の製造方法]
次に化粧材10を例に、化粧材の製造方法の例を説明する。ただし、化粧材を製造する方法がこれに限定されることはない。
以下に説明する製造方法には、濃淡画像を作製する工程、版下画像を作製する工程、版を作製する工程、凹凸付与層を形成する工程を含んでいる。
<濃淡画像を作製する工程>
濃淡画像を作製する工程では、凹凸付与層12に表現すべき平面視における凹凸模様(第一凸部、第二凸部)を光学濃度の大小からなる濃淡画像として作成する。例えば、本形態では、アドビシステムズ社製のグラフィックデザイン描画ソフトウエア「Illustrator」を用い、TIFF形式で8bitの画像濃淡階調(256階調)で2540dpiの解像度の濃淡画像データを作成することができる。
<版下画像を作製する工程>
版下画像を作製する工程では、原稿画像を、濃度から凹凸即ちエンボス版の版深への変換プログラムによって、模様の濃度階調画像に対応して二値画像としての第一凸部、第二凸部の版深を二次元仮想平面XY平面上に生成して配置し、デジタルデータとして版下画像を得る。
その際、光学濃度の最小値(例えば、0)を凹凸データの最小値(例えば、0μm)に対応させ、光学濃度の最大値(例えば、255)を凹凸データの最大値(例えば、250μm)に対応させることにより、2次元平面上の各座標(X、Y)における光学濃度P(X、Y)の分布からなる濃淡画像データを同座標における版深D(X、Y)の分布から」なるエンボス版の版深データH(X、Y)に変換する。
本形態では、最終的に得られる化粧材は、古木調の木材板表面の意匠外観の再現を目指すが、意外なことではあるが、原稿画像として縞状の模様を呈する大理石板表面の模様(の濃淡画像)を用いることで、良好な古木調木材板の意匠外観の再現ができる。図8には一つの例にかかる大理石模様である原稿画像を示した。このように原稿画像として必ずしも木目模様を用いる必要はなく、場合によっては大理石のような石目模様を原稿画像として用いることができる。
本工程では、第一凸部及び第二凸部の生成条件に従い、二値画像として凹凸付与層の平面視画像を生成する。ここでは、当該平面視画像の濃淡がエンボス版の版深を表す(光学濃度が版深と対応付けられている)ものとなっている。このようにして版下画像が得られる。
<版を作製する工程>
版を作製する工程では、版下画像に基づいて平面視形状の凹凸模様を表面に有するエンボス版(化粧材用成形型)の作製を行う。具体的には凹凸模様の製造工程は以下の手順(1)乃至(4)を含んでなる。
(1)金属ロール準備工程
図9に示したようなエンボス版彫刻用の金属ロール20を準備した。金属ロール20は、軸方向両端部に回転駆動軸(shaft)21を有する中空の鉄製の円筒の表面に銅層をメッキ形成したものである。砥石で金属ロール20の表面を研磨して粗面化し、彫刻用レーザ光の鏡面反射による彫刻効率の低下を防止する処理をした。
(2)レーザ光彫刻工程
図9に模式的に示したように、レーザ光直接彫刻機を用い、工程(1)で用意した金属ロール20の表面を版下画像作成工程で作成した凹凸模様画像データに基づき彫刻する。これによりその表面に図3のような化粧材表面の凹凸模様と同一平面視形状で且つ逆凹凸(化粧材の凸部に対応する部分がエンボス版面上では凹となる関係)の凹凸形状を形成する。
従ってエンボス版における凹凸模様が備えるべき形状は、上記した化粧材における凹凸模様の凹凸関係が反転した態様であり、同様に考えることができる。
金属ロール20をその回転駆動軸21を介して電動機で駆動し、回転駆動軸21を中心軸として回転する。レーザーヘッド22から出射される発振波長1024nm、レーザスポット径10μm、出力360Wのファイバーレーザ光Pで金属ロール20の表面を走査する。その際には工程(1)で作成した凹凸模様画像データの濃度値に応じてレーザ光をON-OFF切換(照射又は非照射の切換)を行い、照射位置には1回のレーザ光照射による金属の蒸発で深さ10μmの凹部を形成する。本例ではかかるレーザ光による金属ロール表面に対する走査を例えば10回繰り返す。また、蒸発した金属が粉体となって金属ロール20の表面に残留又は付着することを防止するため、彫刻液吐出口23から彫刻液Tを金属ロール20の表面のレーザ光照射領域に吹き付けた状態でレーザ光照射を行う。
その際に、例えば、凹凸模様画像データ上で版深50μmに対応する画像濃度の位置座標においては、合計25回の走査のうち、最初の5回分のみレーザ光を照射(ON)し、残り20回分についてはレーザ光は非照射(OFF)となるよう制御して所望の深さを得る。
かかるレーザ光の走査を完了させ、金属ロール20の表面に所望の凹凸形状を形成する。
(3)電解研磨工程
彫刻液を洗浄した後、電解研磨を行い、金属ロール20の表面に付着した金属の残渣を除去する。
(4)クロムメッキ工程
工程(3)の後、金属ロール表面にメッキにより厚さ10μmのクロム層を形成した。
以上により凹凸付与層12の表面に形成された凹凸模様の凹凸が反転した凹凸形状を表面に備える版(化粧材用成形型、本形態ではエンボス版)を得ることができる。
<凹凸付与層を形成する工程>
次に、凹凸付与層を形成する工程では、作製された版(エンボス版)を用いて、基材11にエンボス加工を行えば化粧材10が得られる。エンボス加工は、適宜な公知の方法によれば良く、特に制限はない。エンボス加工の代表的な方法は例えば次のようなものである。
基材としてポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂からなる樹脂シートを用いる。この基材を加熱軟化させ、その表面にエンボス版を押圧して該樹脂シート表面にエンボス版表面の凹凸模様を賦形する。そして樹脂シートを冷却して固化させて樹脂シート上の凹凸模様を固定する。その後に凹凸模様が賦形された樹脂シートをエンボス版から離型する。
ここで、各種エンボス加工法について、さらに説明すると例えば次の(A)乃至(E)のような方法がある。
(A)基材となる樹脂シートを加熱軟化させ、エンボス版を押圧して、エンボス加工する。
(B)エンボス版を押圧する時の熱圧で表面シートとなる樹脂シート(基材)とベースシートとする樹脂シート(第2の基材)とを熱融着することにより、エンボス加工とラミネートとを同時に行うダブリングエンボス法によりエンボス加工する。
(C)表面シートとする樹脂シート(基材)を、Tダイから溶融押出しをし、冷却ローラを兼ねるシリンダ状のエンボス版上に接触させて表面シートの成膜と同時にエンボス加工する。このとき、さらに表面シートの裏面側に挿入したベースシートとする樹脂シート(第2の基材)を熱融着させてダブリングエンボスを成膜と同時に行う。
(D)特開昭57-87318号公報、特開平7-32476号公報等に開示の如く、シリンダ状のエンボス版の表面に電離放射線硬化性樹脂の未硬化液状物を塗工する。さらにその上に、樹脂シート等からなるベースシートを重ねた状態で電離放射線を照射して未硬化液状物を硬化させて硬化物とする。その際、該硬化物をベースシートと接着させた後、エンボス版から離型して、ベースシートと該ベースシート上の硬化物とからなる基材とすることで、基材にエンボス加工する。
(E)チタン紙等の紙にメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂の未硬化物を含浸した含浸紙を、コア紙、木材合板上等の裏打材上に載置して、これら載置した複数層を熱プレス成形することによって各層を積層一体化して熱硬化性樹脂化粧材を作製する。そのとき、含浸紙表面側にエンボス版を挿入することによって、熱硬化性樹脂を含浸硬化させて化粧材とする際にその表面に熱プレスと同時にエンボス加工する。
なお、(A)乃至(C)のエンボス加工法で用いる基材の材料としては代表的には熱可塑性樹脂が使用され、(D)のエンボス加工法で用いる基材の材料としては代表的には電離放射線硬化性樹脂が使用され、(E)のエンボス加工法で用いる基材の材料としては代表的には熱硬化性樹脂が使用される。
<インキを充填する工程>
化粧材がインキ部15を備える場合には、インキを充填する工程を含めることができる。この工程では、基材11の表面に形成された凹凸付与層12の凸部(第一凸部13、第二凸部14)の間の凹部に、いわゆるワイピング法にて、インキを充填してインキ部15を形成する。これは、基材11の面のうち凹凸付与層12が形成された側の面にインキ部15となるべき材料のインキ(未硬化状態)を供給し、その上をドクターブレードで掻く(ワイピングする)ことにより行う。これにより、余分なインキを除去することができるとともに凸部の間の凹部にインキを押し込むことができる。そしてドクターブレードを移動することで行う。
そして、適切な方法によりインキを硬化させることでインキ部15となる。
[化粧材の用途]
以上説明した化粧材の用途は特に制限は無いが、例えば、壁、床、天井等の建築物の内装材、建築物の外壁、屋根、門扉、塀、柵等の外装、扉、窓枠、扉枠等の建具、廻り縁、幅木、手摺等の造作部材の表面材、テレビ受像機、冷蔵庫等の家電製品や複写機等の事務機器の筐体の表面材、箪笥等の家具の表面材、箱、樹脂瓶等の容器の表面材、車両等の内装材又は外裝材、船舶の内装材又は外裝材等である。
10 化粧材
11 基材
12 凹凸付与層
13 第一凸部
14 第二凸部
15 インキ部

Claims (3)

  1. 表面に凹凸模様が形成されてなる凹凸付与層を有する化粧材であって、
    複数の第一凸部と、
    隣り合う前記第一凸部の間に配置された第二凸部と、を有し、
    平面視で前記第一凸部は前記第二凸部よりも面積が大きく、
    前記第一凸部のアスペクト比は前記第二凸部のアスペクト比より大きい、
    化粧材。
  2. 隣り合う前記第一凸部の間、隣り合う前記第二凸部の間、及び、前記第一凸部と前記第二凸部との間、の少なくとも一部にはインキ部が設けられている、請求項1に記載の化粧材。
  3. さらに絵柄層が積層されている請求項1又は2に記載の化粧材。
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