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JP2022130966A - 経路探索装置及びコンピュータプログラム - Google Patents

経路探索装置及びコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】ユーザが駐車場で車両を駐車した後における駐車位置から目的地までのユーザの移動に係る推奨経路を探索することを可能にした経路探索装置及びコンピュータプログラムを提供する。【解決手段】駐車場内においてユーザが車両降車後の移動手段で選択し得る経路を示したネットワークである駐車場ネットワークを取得し、建物内においてユーザが車両降車後の移動手段で選択し得る経路を示したネットワークである建物内ネットワークを取得し、駐車場ネットワークと建物内ネットワークとを連結して用いて、駐車場で車両を駐車する駐車位置から建物内にある目的地までの推奨経路を探索するように構成する。【選択図】図14

Description

本発明は、車両の駐車位置から目的地までの経路を探索する経路探索装置及びコンピュータプログラムに関する。
車両が目的地へと移動する場合には、一般的に目的地に付属する駐車場或いは目的地の周辺にある駐車場まで移動して車両を駐車し、駐車場内で車両を駐車した駐車位置から目的地となる地点まで徒歩等で移動することにより移動が完了する。特に車両を駐車する位置の候補が複数ある場合には、どの位置に駐車するかによって駐車後の移動に係るユーザの負担が大きく変化する。そのような駐車後のユーザの負担についても把握して適切な支援を行うためには、車両降車後の駐車位置から目的地となる地点までのユーザの移動に係る推奨経路を探索することが重要である。例えば特許第5420079号公報には、地図データや店舗のフロアマップを用いて駐車場の入口から目的地となる店舗までの移動距離が最も短くなる経路を探索し、探索された経路をユーザが移動する際の最適な経路として特定する技術について開示されている。
特許第5420079号公報(段落0037-0043、図16)
ここで、上記特許文献1では目的地となる店舗までの移動経路を探索する場合に、先ずフロアマップを使って目的地となる店舗へ移動するのに適した建物の入口を特定し、次に、地図データを用いて特定した建物の入口にアクセス可能な駐車場の入口を特定し、更に特定した駐車場の入口から駐車可能な駐車位置を経由して目的地となる店舗までの移動距離が最も短くなる経路を最適な経路として特定している。
しかしながら、フロアマップはそもそも建物の構造、建物内の設備、建物内の店舗の配置等を示すものであってユーザが移動するための経路を示すためのデータではない。従って、フロアマップに基づいて建物内においてユーザが移動することが可能な経路を特定することは困難であった。一方で地図データにはノードやリンクのように車両が通る経路を示すためのデータは含まれているが、駐車場内において降車後のユーザが移動するための経路を示すためのデータは含まれていない。従って、地図データに基づいて駐車場内での降車後のユーザが移動することが可能な経路を特定することは困難であった。即ち、上記特許文献1のようにフロアマップと地図データを用いたとしても実際にはユーザが通ることができない経路や通ることが難しい経路が探索される虞があり、駐車位置から目的地となる地点までのユーザの移動に係る推奨経路を探索できない問題があった。
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、ユーザが駐車場で車両を駐車した後における駐車位置から目的地までのユーザの移動に係る推奨経路を探索することを可能にした経路探索装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
前記目的を達成するため本発明に係る経路探索装置は、駐車場内においてユーザが車両降車後の移動手段で選択し得る経路を示したネットワークである駐車場ネットワークを取得する駐車場ネットワーク取得手段と、建物内においてユーザが車両降車後の移動手段で選択し得る経路を示したネットワークである建物内ネットワークを取得する建物内ネットワーク取得手段と、前記駐車場ネットワークと前記建物内ネットワークとを連結して用いて、駐車場で車両を駐車する駐車位置から前記建物内にある目的地までの推奨経路を探索する経路探索手段と、を有する。
尚、「車両降車後の移動手段」としては、例えば徒歩、車椅子などが該当する。
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、車両の駐車位置から目的地までの経路を探索するプログラムである。具体的には、コンピュータを、駐車場内においてユーザが車両降車後の移動手段で選択し得る経路を示したネットワークである駐車場ネットワークを取得する駐車場ネットワーク取得手段と、建物内においてユーザが車両降車後の移動手段で選択し得る経路を示したネットワークである建物内ネットワークを取得する建物内ネットワーク取得手段と、前記駐車場ネットワークと前記建物内ネットワークとを連結して用いて、駐車場で車両を駐車する駐車位置から前記建物内にある目的地までの推奨経路を探索する経路探索手段と、して機能させる。
前記構成を有する本発明に係る経路探索装置及びコンピュータプログラムによれば、駐車場内においてユーザが車両降車後の移動手段で選択し得る経路を示したネットワークである駐車場ネットワークと、建物内においてユーザが車両降車後の移動手段で選択し得る経路を示したネットワークである建物内ネットワークとを連結して用い、ユーザが駐車場で車両を駐車した後における駐車位置から目的地までのユーザの移動に係る推奨経路を探索するので、ユーザが通ることができない経路や通ることが難しい経路を選択することなく、駐車場と建物内の両エリアに跨る車両降車後のユーザの移動に係る推奨経路を適切に探索することが可能となる。
本実施形態に係る運転支援システムを示した概略構成図である。 本実施形態に係る運転支援システムの構成を示したブロック図である。 本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。 本実施形態に係る自動運転支援プログラムのフローチャートである。 駐車場内に車両の通路を示すノード及びリンクを設定した図である。 高精度地図情報の取得されるエリアを示した図である。 推奨駐車位置までの走行経路の一例を示した図である。 図7に示す走行経路に対して構築されたレーンネットワークの一例を示した図である。 動的走行軌道の算出方法について説明した図である。 駐車位置決定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。 目的地のある建物内に構築された建物内ネットワークの一例を示した図である。 駐車場の区画線に対して構築されるネットワークを示した図である。 車両を駐車する駐車場内に構築された駐車場ネットワークの一例を示した図である。 建物内ネットワークと駐車場ネットワークとを連結したネットワークの一例を示した図である。 駐車が推奨される駐車位置の特定方法について説明した図である。
以下、本発明に係る経路探索装置をナビゲーション装置1に具体化した一実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1を含む運転支援システム2の概略構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は本実施形態に係る運転支援システム2を示した概略構成図である。図2は本実施形態に係る運転支援システム2の構成を示したブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る運転支援システム2は、情報配信センタ3が備えるサーバ装置4と、車両5に搭載されて車両5の自動運転に関する各種支援を行うナビゲーション装置1と、を基本的に有する。また、サーバ装置4とナビゲーション装置1は通信ネットワーク網6を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。尚、ナビゲーション装置1の代わりに、車両5に搭載された他の車載器や車両5に関する制御を行う車両制御装置を用いても良い。
ここで、車両5はユーザの運転操作に基づいて走行する手動運転走行に加えて、ユーザの運転操作によらず車両が予め設定された経路や道なりに沿って自動的に走行を行う自動運転支援による支援走行が可能な車両とする。
また、自動運転支援は全ての道路区間に対して行っても良いし、特定の道路区間(例えば境界にゲート(有人無人、有料無料は問わない)が設けられた高速道路)を車両が走行する間のみ行う構成としても良い。以下の説明では車両の自動運転支援が行われる自動運転区間は、一般道や高速道路を含む全ての道路区間に加えて駐車場も含むこととし、車両が走行を開始してから走行を終了するまで(車両を駐車するまで)の間において基本的に自動運転支援が行われるとして説明する。但し、車両が自動運転区間を走行する場合には必ず自動運転支援が行われるのではなく、ユーザにより自動運転支援を行うことが選択され(例えば自動運転開始ボタンをONする)、且つ自動運転支援による走行を行わせることが可能と判定された状況でのみ行うのが望ましい。一方で、車両5は自動運転支援による支援走行のみ可能な車両としても良い。
そして、自動運転支援における車両制御では、例えば、車両の現在位置、車両が走行する車線、周辺の障害物の位置を随時検出し、後述のようにナビゲーション装置1で生成された走行軌道に沿って、同じく生成された速度計画に従った速度で走行するようにステアリング、駆動源、ブレーキ等の車両制御が自動で行われる。尚、本実施形態の自動運転支援による支援走行では、車線変更や右左折や駐車操作についても上記自動運転支援による車両制御を行うことにより走行するが、車線変更や右左折や駐車操作等の特殊な走行については自動運転支援による走行は行わずに手動運転により行う構成としても良い。
一方、ナビゲーション装置1は、車両5に搭載され、ナビゲーション装置1が有する地図データ或いは外部から取得した地図データに基づいて自車位置周辺の地図を表示したり、ユーザの目的地の入力を行ったり、地図画像上において車両の現在位置を表示したり、設定された案内経路に沿った移動案内を行う車載機である。本実施形態では特に自動運転支援による支援走行を車両が行う場合に、自動運転支援に関する各種支援情報を生成する。支援情報としては例えば車両の走行が推奨される走行軌道(推奨される車線移動態様を含む)、目的地において車両を駐車する駐車位置の選択、走行する際の車速を示す速度計画等がある。尚、ナビゲーション装置1の詳細については後述する。
また、サーバ装置4は、ナビゲーション装置1の要求に応じて経路探索の実行を行う。具体的には、ナビゲーション装置1からサーバ装置4へと出発地や目的地等の経路探索に必要な情報が経路探索要求とともに送信される(但し、再探索の場合には目的地に関する情報は必ずしも送信する必要は無い)。そして経路探索要求を受信したサーバ装置4は、サーバ装置4の有する地図情報を用いて経路探索を行い、出発地から目的地までの推奨経路を特定する。その後、特定された推奨経路を要求元のナビゲーション装置1へと送信する。そして、ナビゲーション装置1は受信した推奨経路に関する情報をユーザに提供したり、推奨経路を使って後述のように自動運転支援に関する各種支援情報を生成することも可能である。
更に、サーバ装置4は、上記経路探索に用いる通常の地図情報とは別に、より精度の高い地図情報である高精度地図情報と施設情報を有している。高精度地図情報は、例えば道路のレーン形状(車線単位の道路形状や曲率、車線幅等)と道路に描かれた区画線(車道中央線、車線境界線、車道外側線、誘導線等)に関する情報が含まれる。また、その他に交差点に関する情報等も含まれる。一方、施設情報は、地図情報に含まれる施設に関する情報とは別に格納される施設に関するより詳細な情報であり、例えば施設のフロアマップ、駐車場の入口に関する情報、駐車場が備える通路や駐車スペースの配置情報、駐車スペースを区画する区画線の情報、駐車場の入口と車線との接続関係を示す接続情報等が含まれる。そして、サーバ装置4はナビゲーション装置1からの要求に応じて高精度地図情報や施設情報を配信し、ナビゲーション装置1はサーバ装置4から配信された高精度地図情報や施設情報を用いて後述のように自動運転支援に関する各種支援情報を生成する。尚、高精度地図情報は基本的に道路(リンク)とその周辺のみを対象とした地図情報であるが、道路周辺以外のエリアについても含む地図情報としても良い。
但し、上述した経路探索処理については必ずしもサーバ装置4で行う必要は無く、地図情報を有するナビゲーション装置1であればナビゲーション装置1で行っても良い。また、高精度地図情報や施設情報についてもサーバ装置4から配信されるのではなくナビゲーション装置1が予め有するようにしても良い。
また、通信ネットワーク網6は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。ここで、基地局はナビゲーション装置1との通信をするトランシーバー(送受信機)とアンテナを有する。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、通信ネットワーク網6の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にあるナビゲーション装置1の通信をサーバ装置4との間で中継する役割を持つ。
続いて、運転支援システム2におけるサーバ装置4の構成について図2を用いてより詳細に説明する。サーバ装置4は、図2に示すようにサーバ制御部11と、サーバ制御部11に接続された情報記録手段としてのサーバ側地図DB12と、高精度地図DB13と、施設DB14と、サーバ側通信装置15とを備える。
サーバ制御部11は、サーバ装置4の全体の制御を行う制御ユニット(MCU、MPU等)であり、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラム等が記録されたROM23、ROM23から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ24等の内部記憶装置を備えている。尚、サーバ制御部11は、後述のナビゲーション装置1のECUとともに処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。
一方、サーバ側地図DB12は、外部からの入力データや入力操作に基づいて登録された最新のバージョンの地図情報であるサーバ側地図情報が記憶される記憶手段である。ここで、サーバ側地図情報は、道路網を始めとして経路探索、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されている。例えば、道路網を示すノード及びリンクを含むネットワークデータ、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等からなる。
また、高精度地図DB13は、上記サーバ側地図情報よりも精度の高い地図情報である高精度地図情報16が記憶される記憶手段である。高精度地図情報16は、特に車両が走行対象となる道路や施設に関してより詳細な情報を格納した地図情報であり、本実施形態では例えば道路に関してはレーン形状(車線単位の道路形状や曲率、車線幅等)と道路に描かれた区画線(車道中央線、車線境界線、車道外側線、誘導線等)に関する情報が含まれる。更に、道路の勾(こう)配、カント、バンク、合流区間、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。特に本実施形態では、道路の車線数に加えて、車線毎の進行方向の通行区分や道路の繋がり(具体的には、交差点の通過前の道路に含まれる車線と交差点の通過後の道路に含まれる車線との対応関係)を特定する情報についても記憶されている。更に、道路に設定されている制限速度についても記憶されている。
一方、施設DB14は、上記サーバ側地図情報に格納される施設に関する情報よりも、より詳細な施設に関する情報が記憶される記憶手段である。具体的には、施設情報17として特に車両の駐車対象となる駐車場(施設に付随する駐車場も独立型の駐車場も含む)について、駐車場の出入口の位置を特定する情報、駐車場内の駐車スペースの配置を特定する情報、駐車スペースを区画する区画線に関する情報、車両や歩行者が通行可能な通路に関する情報が含まれる。駐車場以外の施設に関しては施設のフロアマップを特定する情報が含まれる。フロアマップには、例えば出入口、通路、階段、エレベーター、エスカレーターの位置を特定する情報が含まれる。また、複数のテナントを有する複合型商業施設では入居する各テナントの位置を特定する情報が含まれる。施設情報17は特に駐車場や施設を3Dモデルによって生成した情報としても良い。更に、施設DB14には、駐車場の入口に面した進入道路に含まれる車線と駐車場の入口との間の接続関係を示す接続情報18と、進入道路と駐車場の入口との間において車両の通行可能な領域を特定する道路外形状情報19についても含まれる。施設DB14に格納される各情報の詳細については後述する。
尚、高精度地図情報16は基本的に道路(リンク)とその周辺のみを対象とした地図情報であるが、道路周辺以外のエリアについても含む地図情報としても良い。また、図2に示す例ではサーバ側地図DB12に格納されるサーバ側地図情報と高精度地図DB13や施設DB14に格納される情報は異なる地図情報としているが、高精度地図DB13や施設DB14に格納される情報はサーバ側地図情報の一部としても良い。また、高精度地図DB13と施設DB14は分けずに一のデータベースとしても良い。
一方、サーバ側通信装置15は各車両5のナビゲーション装置1と通信ネットワーク網6を介して通信を行う為の通信装置である。また、ナビゲーション装置1以外にインターネット網や、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報の受信についても可能である。
次に、車両5に搭載されたナビゲーション装置1の概略構成について図3を用いて説明する。図3は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
図3に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部31と、各種のデータが記録されたデータ記録部32と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU33と、ユーザからの操作を受け付ける操作部34と、ユーザに対して車両周辺の地図やナビゲーション装置1で設定されている案内経路(車両の走行予定経路)に関する情報等を表示する液晶ディスプレイ35と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ36と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ37と、プローブセンタやVICSセンタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール38と、を有する。また、ナビゲーション装置1はCAN等の車載ネットワークを介して、ナビゲーション装置1の搭載された車両に対して設置された車外カメラ39や各種センサが接続されている。更に、ナビゲーション装置1の搭載された車両に対する各種制御を行う車両制御ECU40とも双方向通信可能に接続されている。
以下に、ナビゲーション装置1が有する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部31は、GPS41、車速センサ42、ステアリングセンサ43、ジャイロセンサ44等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ42は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU33に出力する。そして、ナビゲーションECU33は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記4種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
また、データ記録部32は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB45やキャッシュ46や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部32をハードディスクの代わりにフラッシュメモリやメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクを有しても良い。また、本実施形態では上述したようにサーバ装置4において目的地までの経路を探索するので、地図情報DB45については省略しても良い。地図情報DB45を省略した場合であっても、必要に応じてサーバ装置4から地図情報を取得することも可能である。
ここで、地図情報DB45は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、経路の探索や変更に係る処理に用いられる探索データ、施設に関する施設データ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
一方、キャッシュ46は、過去にサーバ装置4から配信された高精度地図情報16、施設情報17、接続情報18、道路外形状情報19が保管される記憶手段である。保管する期間は適宜設定可能であるが、例えば記憶されてから所定期間(例えば1カ月)としても良いし、車両のACC電源(accessory power supply)がOFFされるまでとしても良い。また、キャッシュ46に格納されるデータ量が上限となった後に古いデータから順次削除するようにしても良い。そして、ナビゲーションECU33は、キャッシュ46に格納された高精度地図情報16、施設情報17、接続情報18、道路外形状情報19を用いて、自動運転支援に関する各種支援情報を生成する。詳細については後述する。
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)33は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU51、並びにCPU51が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM52、制御用のプログラムのほか、後述の自動運転支援プログラム(図4参照)等が記録されたROM53、ROM53から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ54等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU33は、処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、駐車場ネットワーク取得手段は、駐車場内においてユーザが車両降車後の移動手段で選択し得る経路を示したネットワークである駐車場ネットワークを取得する。建物内ネットワーク取得手段は、建物内においてユーザが車両降車後の移動手段で選択し得る経路を示したネットワークである建物内ネットワークを取得する。経路探索手段は、駐車場ネットワークと建物内ネットワークとを連結して用いて、駐車場で車両を駐車する駐車位置から建物内にある目的地までの推奨経路を探索する。
操作部34は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)を有する。そして、ナビゲーションECU33は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部34は液晶ディスプレイ35の前面に設けたタッチパネルを有しても良い。また、マイクと音声認識装置を有しても良い。
また、液晶ディスプレイ35には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、案内経路(走行予定経路)に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ35の代わりに、HUDやHMDを用いても良い。
また、スピーカ36は、ナビゲーションECU33からの指示に基づいて案内経路(走行予定経路)に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。
また、DVDドライブ37は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB45の更新等が行われる。尚、DVDドライブ37に替えてメモリーカードを読み書きする為のカードスロットを設けても良い。
また、通信モジュール38は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやプローブセンタ等から送信された交通情報、プローブ情報、天候情報等を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。また、車車間で通信を行う車車間通信装置や路側機との間で通信を行う路車間通信装置も含む。また、サーバ装置4で探索された経路情報や高精度地図情報16、施設情報17、接続情報18、道路外形状情報19をサーバ装置4との間で送受信するのにも用いられる。
また、車外カメラ39は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたカメラにより構成され、車両のフロントバンパの上方に取り付けられるとともに光軸方向を水平より所定角度下方に向けて設置される。そして、車外カメラ39は、車両が自動運転区間を走行する場合において、車両の進行方向前方を撮像する。また、ナビゲーションECU33は撮像された撮像画像に対して画像処理を行うことによって、車両が走行する道路に描かれた区画線や周辺の他車両等の障害物を検出し、検出結果に基づいて自動運転支援に関する各種支援情報を生成する。例えば、障害物を検出した場合には、障害物を回避或いは追従して走行する新たな走行軌道を生成する。尚、車外カメラ39は車両前方以外に後方や側方に配置するように構成しても良い。また、障害物を検出する手段としてはカメラの代わりにミリ波レーダやレーザセンサ等のセンサや車車間通信や路車間通信を用いても良い。
また、車両制御ECU40は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の制御を行う電子制御ユニットである。また、車両制御ECU40にはステアリング、ブレーキ、アクセル等の車両の各駆動部と接続されており、本実施形態では特に車両において自動運転支援が開始された後に、各駆動部を制御することにより車両の自動運転支援を実施する。また、自動運転支援中にユーザによってオーバーライドが行われた場合には、オーバーライドが行われたことを検出する。
ここで、ナビゲーションECU33は、走行開始後にCANを介して車両制御ECU40に対してナビゲーション装置1で生成された自動運転支援に関する各種支援情報を送信する。そして、車両制御ECU40は受信した各種支援情報を用いて走行開始後の自動運転支援を実施する。支援情報としては例えば車両の走行が推奨される走行軌道、走行する際の車速を示す速度計画等がある。
続いて、上記構成を有する本実施形態に係るナビゲーション装置1においてCPU51が実行する自動運転支援プログラムについて図4に基づき説明する。図4は本実施形態に係る自動運転支援プログラムのフローチャートである。ここで、自動運転支援プログラムは、車両のACC電源(accessory power supply)がONされた後であって自動運転支援による車両の走行が開始された場合に実行され、ナビゲーション装置1で生成された支援情報に従って自動運転支援による支援走行を実施するプログラムである。また、以下の図4及び図10にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM52やROM53に記憶されており、CPU51により実行される。
先ず、自動運転支援プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU51は、ユーザが移動目標とする目的地を取得する。基本的に目的地はナビゲーション装置1において受け付けたユーザの操作により設定される。尚、目的地は駐車場であっても良いし、駐車場以外の地点であっても良い。但し、駐車場以外の地点が目的地である場合には、目的地においてユーザが駐車を行う駐車場についても併せて取得する。目的地に専用の駐車場や提携の駐車場がある場合には、その駐車場をユーザが駐車を行う駐車場とする。一方で、専用の駐車場や提携の駐車場がない場合には、目的地の周辺にある駐車場をユーザが駐車を行う駐車場とする。尚、駐車場の候補が複数ある場合には、候補となる全ての駐車場をユーザが駐車を行う駐車場として取得しても良いし、ユーザが選択したいずれかの駐車場をユーザが駐車を行う駐車場として取得しても良い。
次に、S2においてCPU51は、後述の駐車位置決定処理(図10)を実行する。ここで、駐車位置決定処理は、駐車場で車両を駐車した後にユーザが目的地まで移動する移動経路を考慮することによって、前記S1で取得したユーザが駐車を行う駐車場内においてユーザが駐車を行うのに推奨される駐車位置(駐車スペース)を決定する処理である。但し、目的地が駐車場である場合については上記S2の駐車位置決定処理を行わずに、駐車場内で空き状態にある駐車スペースの内から、ユーザにとって停車し易い駐車スペース(例えば駐車場の入口から近い駐車スペース、左右に他車両が駐車していない駐車スペースなど)をユーザが駐車を行うのに推奨される駐車位置として決定する。
続いて、S3においてCPU51は、車両の現在位置から前記S2で決定された駐車を行うのに推奨される駐車位置(以下、推奨駐車位置という)までの車両の推奨される走行経路を探索する。前記S3の走行経路の探索は本実施形態では特にサーバ装置4によって行われる。走行経路の探索を行う場合には先ずCPU51は、サーバ装置4に対して経路探索要求を送信する。尚、経路探索要求には、経路探索要求の送信元のナビゲーション装置1を特定する端末IDと、出発地(例えば車両の現在位置)及び前記S2で決定された推奨駐車位置を特定する情報と、が含まれている。その後、CPU51は経路探索要求に応じてサーバ装置4から送信された探索経路情報を受信する。探索経路情報は、送信した経路探索要求に基づいてサーバ装置4が最新のバージョンの地図情報を用いて探索した出発地から推奨駐車位置までの推奨される走行経路を特定する情報(例えば走行経路に含まれるリンク列)である。例えば公知のダイクストラ法を用いて探索される。
また、サーバ装置4は、前記S3において特に駐車場の入口から推奨駐車位置までの駐車場内での推奨される走行経路を探索する際には、施設DB14に格納された施設情報17を用いてユーザが駐車を行う駐車場内を対象として道路と同様にリンク及びノードの構築を行う。施設情報17には、駐車場の出入口の位置を特定する情報、駐車場内の駐車スペースの配置を特定する情報、駐車スペースを区画する区画線に関する情報、車両や歩行者が通行可能な通路に関する情報等を含んでいる。それらの情報を用いて駐車場において車両が選択し得る経路を特定し、リンクやノードの構築が行われる。但し、予め全国の駐車場毎に上記リンクやノードを構築しておき、施設DB14に格納しておいても良い。
ここで、前記S3において駐車場に対して構築されるリンク及びノードの一例について図5に示す。図5に示すように駐車場ノード58は駐車場の出入口と、車両が通行可能な通路が交差する交差点と、車両が通行可能な通路の曲がり角や終点に夫々設定される。一方で駐車場リンク59は駐車場ノード58間の車両が通行可能な通路に対して設定される。また、駐車場リンク59は車両が駐車場内の通路を通行可能な方向を特定する情報についても有しており、例えば図5では駐車場内の通路を時計回りにのみ通行可能な例を示している。尚、図5に示す例では車両が通行可能な通路の曲がり角に駐車場ノード58が設定されているが、曲がり角には設定せずに、通路の交差点のように車両の進行方向が複数存在する地点のみに駐車場ノード58を設定しても良い。
また、図5に示すように構築された駐車場ノード58及び駐車場リンク59には、道路のリンクと同様にコスト及び方向(駐車場ノードを通過可能な方向)を設定する。例えば交差点、駐車場の出入口に該当する各駐車場ノード58に対して夫々駐車場ノード58の内容に応じたコストを設定し、また車両が駐車場ノード58を通過する際に通過可能な方向を設定する。更に、駐車場リンク59には移動に係る時間を基準値としてコストを設定する。即ち、移動に必要な時間が長い駐車場リンク59程、高いコストが算出される。
その後、サーバ装置4は、ダイクストラ法を用いて車両の現在位置から駐車場の入口を経由して推奨駐車位置までに到るコストの合計を算出し、合計値が最も小さい経路を推奨される車両の走行経路とする。尚、サーバ装置4は、ユーザが駐車を行う駐車場の入口に面した道路(以下、進入道路という)に含まれる車線と駐車場の入口との間の接続関係を示す接続情報18を参照し、進入道路から駐車場への進入可能な進行方向が限られている場合(例えば左折による進入のみ可)については、進入方向についても考慮して上記走行経路の探索を行う。尚、ルートの探索方法としてはダイクストラ法以外の探索手段を用いても良い。また、前記S3の走行経路の探索はサーバ装置4でなくナビゲーション装置1において行うようにしても良い。
次に、S4においてCPU51は、前記S3で取得された車両の走行経路を含むエリアを対象として高精度地図情報16を取得する。
ここで、高精度地図情報16は図6に示すように矩形形状(例えば500m×1km)に区分されてサーバ装置4の高精度地図DB13に格納されている。従って、例えば図6に示すように車両の走行経路として経路62が取得された場合には、経路62を含むエリア63~66を対象として高精度地図情報16が取得される。但し、ユーザが駐車を行う駐車場までの距離が特に遠い場合については、例えば車両が現在位置する2次メッシュのみを対象として高精度地図情報16を取得しても良いし、車両の現在位置から所定距離(例えば3km以内)内のエリアのみを対象として高精度地図情報16を取得するようにしても良い。
高精度地図情報16には例えば道路のレーン形状と道路に描かれた区画線(車道中央線、車線境界線、車道外側線、誘導線等)に関する情報が含まれる。また、その他に交差点に関する情報、駐車場に関する情報等も含まれる。高精度地図情報16は基本的にサーバ装置4から上述した矩形形状のエリア単位で取得されるが、キャッシュ46に既に格納されているエリアの高精度地図情報16が存在する場合には、キャッシュ46から取得する。また、サーバ装置4から取得された高精度地図情報16はキャッシュ46に一旦格納される。
また、前記S4においてCPU51は、前記S1で特定されたユーザが駐車を行う駐車場を対象として施設情報17についても取得する。更に、ユーザが駐車を行う駐車場の入口に面した進入道路に含まれる車線と駐車場の入口との間の接続関係を示す接続情報18と、進入道路とユーザが駐車を行う駐車場の入口との間において車両の通行可能な領域を特定する道路外形状情報19についても同様に取得する。
施設情報17には例えば駐車場の出入口の位置を特定する情報、駐車場内の駐車スペースの配置を特定する情報、駐車スペースを区画する区画線に関する情報、車両や歩行者が通行可能な通路に関する情報が含まれる。施設情報17は特に駐車場を3Dモデルによって生成した情報としても良い。また、施設情報17、接続情報18及び道路外形状情報19は基本的にサーバ装置4から取得されるが、キャッシュ46に既に該当する情報が格納されている場合にはキャッシュ46から取得する。また、サーバ装置4から取得された施設情報17、接続情報18及び道路外形状情報19はキャッシュ46に一旦格納される。
その後、S5においてCPU51は、前記S4で取得した高精度地図情報16、施設情報17、接続情報18及び道路外形状情報19に基づいて、前記S2で決定された推奨駐車位置までの車両に走行が推奨される走行軌道である静的走行軌道を生成する。尚、静的走行軌道は走行開始地点から駐車場の入口に面した進入道路までの車線に対して車両の走行が推奨される第1走行軌道と、進入道路から駐車場の入口までの車両の走行が推奨される第2走行軌道と、駐車場の入口から車両が駐車する推奨駐車位置までの車両の走行が推奨される第3走行軌道とを含む。但し、ユーザが駐車を行う駐車場までの距離が特に遠い場合には、車両の現在位置から進行方向に沿って所定距離前方までの区間(例えば車両が現在位置する2次メッシュ内)を対象とした第1走行軌道のみを生成しても良い。尚、所定距離については適宜変更可能であるが、少なくとも車外カメラ39やその他のセンサによって車両周辺の道路状況を検出することが可能な範囲(検出範囲)外を含む領域を対象として静的走行軌道を生成する。
以下に前記S5の静的走行軌道の生成処理について図を用いてより詳細に説明する。
先ず、CPU51は、前記S4で取得した高精度地図情報16に基づいて、車両の進行方向前方の静的走行軌道を生成する区間(例えば車両の現在位置を含む2次メッシュ内)を対象として、レーン形状、区画線情報、交差点に関する情報等を取得する。続いて、CPU51は、取得したレーン形状と区画線情報とに基づいて、車両の進行方向前方の静的走行軌道を生成する区間を対象としてレーンネットワークの構築を行う。ここで、レーンネットワークは車両が選択し得る車線移動を示したネットワークである。
ここで、前記S5におけるレーンネットワークを構築する例として、例えば図7に示す走行予定経路を車両が走行する場合を例に挙げて説明する。図7に示す走行予定経路は、車両の現在位置から直進した後に次の交差点71で右折し、更に次の交差点72でも右折し、駐車対象となる駐車場73に左折して進入し、推奨駐車位置74へと移動する経路とする。図7に示す走行予定経路では、例えば交差点71で右折する場合に右側の車線に進入することも可能であるし、左側の車線に進入することも可能である。但し、次の交差点72で右折する必要があるので、交差点72の進入時点では最も右側の車線に車線移動する必要がある。また、交差点72で右折する場合においても右側の車線に進入することも可能であるし、左側の車線に進入することも可能である。但し、左折して駐車場73に進入する必要があるので、駐車場73に到達するまでには最も左側の車線に車線移動する必要がある。このような車線移動が可能な区間を対象として構築したレーンネットワークを図8に示す。
図8に示すようにレーンネットワークは、車両の進行方向前方の静的走行軌道を生成する区間を複数の区画(グループ)に区分する。具体的には、交差点の進入位置、交差点の退出位置、車線が増減する位置を境界として区分する。そして、区分された各区画の境界に位置する各車線に対してノード点(以下、レーンノードという)75が設定されている。更に、レーンノード75間をつなぐリンク(以下、レーンリンクという)76が設定されている。また、前記S4で取得した施設情報17、接続情報18、道路外形状情報19を用いることによって車両が駐車を行う駐車場73内においても同様にレーンノード75及びレーンリンク76を設定し、更に道路側のレーンネットワークとの接続を行う。
また、上記レーンネットワークは、特に交差点でのレーンノードとレーンリンクとの接続によって、交差点の通過前の道路に含まれる車線と交差点の通過後の道路に含まれる車線との対応関係、即ち交差点の通過前の車線に対して交差点の通過後に移動可能な車線を特定する情報を含んでいる。具体的には交差点の通過前の道路に設定されたレーンノードと、交差点の通過後の道路に設定されたレーンノードとの内、レーンリンクによって接続されたレーンノードに対応する車線間において車両が移動可能なことを示している。
次に、CPU51は、構築されたレーンネットワークに対して、レーンネットワークの始点に位置するレーンノードに対して車両が移動を開始する移動開始地点を設定し、レーンネットワークの終点、即ち推奨駐車位置74に対応して設けられたレーンノードに対して車両が移動する目標となる移動目標地点を設定する。
その後、CPU51は構築されたレーンネットワークを参照し、移動開始地点から移動目標地点までを連続して繋ぐルートを探索する。例えばダイクストラ法を用いてレーンコストの合計値が最小となるルートを車両が移動する際に推奨される車両の車線移動態様として特定する。尚、レーンコストは例えばレーンリンク76の長さ或いは移動に係る所要時間を基準値とし、車線変更の有無や、車線変更の回数を考慮して設定される。但し、移動開始地点から移動目標地点までを連続して繋ぐルートを探索できるのであればダイクストラ法以外の探索手段を用いても良い。
そして、CPU51は前記S4で取得した高精度地図情報16、施設情報17、接続情報18及び道路外形状情報19を用い、前記レーンネットワークで特定されたルートに沿って走行する為の具体的な走行軌道を生成する。尚、車線変更を伴う区間の走行軌道については、できる限り車線変更が連続せず、且つ交差点から離れた位置で行うように車線変更の位置を設定する。また、特に交差点での右左折や車線変更をする際の走行軌道を生成する場合には、車両に生じる横方向の加速度(横G)を算出し、横Gが自動運転支援に支障が生じることなく、また車両の乗員に不快感を与えない上限値(例えば0.2G)を超えないことを条件として、クロソイド曲線を用いてできる限り円滑に結ぶ軌道を算出する。上記処理を行うことによって、車両の現在位置から前記S2で決定された推奨駐車位置までの車両に走行が推奨される走行軌道である静的走行軌道が生成される。
次に、S6においてCPU51は、前記S4で取得した高精度地図情報16に基づいて、前記S5で生成された静的走行軌道を走行する際の車両の速度計画を生成する。例えば、制限速度情報や走行予定経路上にある速度変化地点(例えば交差点、カーブ、踏切、横断歩道など)を考慮して、静的走行軌道を走行する際に推奨される車両の走行速度を算出する。
そして、前記S6で生成された速度計画は、自動運転支援に用いる支援情報としてフラッシュメモリ54等に格納される。また、前記S6で生成された速度計画を実現する為に必要な車両の加減速を示す加速度の計画についても自動運転支援に用いる支援情報として生成するようにしても良い。
続いて、S7においてCPU51は、車外カメラ39で撮像された撮像画像に対して画像処理を行うことによって、周辺の道路状況として、特に自車両の周辺に自車両の走行に影響が生じる要因が存在するか否かを判定する。ここで、前記S7で判定対象となる“自車両の走行に影響が生じる要因”は、リアルタイムで変化する動的な要因とし、道路構造に基づくような静的な要因は除かれる。例えば、自車両の進行方向前方を走行又は駐車する他車両、自車両の進行方向前方に位置する歩行者、自車両の進行方向前方にある工事区間等が該当する。一方で、交差点、カーブ、踏切、合流区間、車線減少区間等は除かれる。また、他車両、歩行者、工事区間が存在する場合であっても、それらが自車両の今後の走行軌道と重複する虞のない場合(例えば自車両の今後の走行軌道から離れた位置にある場合)については“自車両の走行に影響が生じる要因”からは除かれる。また、車両の走行に影響が生じる可能性のある要因を検出する手段としてはカメラの代わりにミリ波レーダやレーザセンサ等のセンサや車車間通信や路車間通信を用いても良い。
また、例えば全国の道路を走行する各車両のリアルタイムの位置等を外部のサーバで管理し、CPU51は自車両の周辺に位置する他車両の位置を外部のサーバから取得して前記S7の判定処理を行うようにしても良い。
そして、自車両の周辺に自車両の走行に影響が生じる要因が存在すると判定された場合(S7:YES)には、S8へと移行する。それに対して、自車両の周辺に自車両の走行に影響が生じる要因が存在しないと判定された場合(S7:NO)には、S11へと移行する。
S8においてCPU51は、車両の現在位置から前記S7で検出された“自車両の走行に影響が生じる要因”を回避或いは追従して静的走行軌道に戻る為の新たな軌道を動的走行軌道として生成する。尚、動的走行軌道は“自車両の走行に影響が生じる要因”を含む区間を対象として生成される。また、区間の長さは要因の内容によって変化する。例えば、“自車両の走行に影響が生じる要因”が車両の前方を走行する他車両(前方車両)である場合には、図9に示すように右側に車線変更して前方車両78を追い越し、その後に左側に車線変更して元の車線に戻るまでの軌道である回避軌道が動的走行軌道79として生成される。尚、前方車両78を追い越さずに前方車両78の所定距離後方を追従して走行(或いは前方車両78と並走)する軌道である追従軌道を動的走行軌道として生成しても良い。
図9に示す動的走行軌道79の算出方法を例に挙げて説明すると、CPU51は先ずステアリングの旋回を開始して右側の車線へと移動し、且つステアリングの位置が直進方向に戻るのに必要な第1の軌道L1を算出する。尚、第1の軌道L1は車両の現在の車速に基づいて車線変更を行う際に生じる横方向の加速度(横G)を算出し、横Gが自動運転支援に支障が生じることなく、また車両の乗員に不快感を与えない上限値(例えば0.2G)を超えないことを条件として、クロソイド曲線を用いてできる限り円滑で、且つできる限り車線変更に必要な距離が短くなる軌道を算出する。また、前方車両78との間に適切な車間距離D以上を維持することについても条件とする。
次に、右側の車線を制限速度を上限に走行して前方車両78を追い越し、且つ前方車両78との間を適切な車間距離D以上とするまでの第2の軌道L2を算出する。尚、第2の軌道L2は基本的に直線の軌道であり、また軌道の長さは、前方車両78の車速と道路の制限速度に基づいて算出される。
続いて、ステアリングの旋回を開始して左側の車線へと戻り、且つステアリングの位置が直進方向に戻るのに必要な第3の軌道L3を算出する。尚、第3の軌道L3は車両の現在の車速に基づいて車線変更を行う際に生じる横方向の加速度(横G)を算出し、横Gが自動運転支援に支障が生じることなく、また車両の乗員に不快感を与えない上限値(例えば0.2G)を超えないことを条件として、クロソイド曲線を用いてできる限り円滑で、且つできる限り車線変更に必要な距離が短くなる軌道を算出する。また、前方車両78との間に適切な車間距離D以上を維持することについても条件とする。
尚、動的走行軌道は、車外カメラ39やその他のセンサで取得した車両周辺の道路状況に基づいて生成されるので、動的走行軌道が生成される対象となる領域は、少なくとも車外カメラ39やその他のセンサによって車両周辺の道路状況を検出することが可能な範囲(検出範囲)内となる。
続いて、S9においてCPU51は、前記S8で新たに生成された動的走行軌道を、前記S5で生成された静的走行軌道に反映する。具体的には、車両の現在位置から“自車両の走行に影響が生じる要因”を含む区間の終端まで、静的走行軌道と動的走行軌道の夫々のコストを算出し、該コストが最少となる走行軌道を選択する。結果的に、必要に応じて静的走行軌道の一部が動的走行軌道に置き換わることになる。尚、状況によっては動的走行軌道の置き換えが行われない場合、即ち動的走行軌道の反映が行われても前記S5で生成された静的走行軌道から変化しない場合もある。更に、動的走行軌道と静的走行軌道が同じ軌道である場合には、置き換えが行われても前記S5で生成された静的走行軌道から変化しない場合もある。
次に、S10においてCPU51は、前記S9で動的走行軌道が反映された後の静的走行軌道について、反映された動的走行軌道の内容に基づいて前記S6で生成された車両の速度計画を修正する。尚、動的走行軌道の反映が行われた結果、前記S5で生成された静的走行軌道から変化しない場合には、S10の処理については省略しても良い。
続いて、S11においてCPU51は、前記S5で生成された静的走行軌道(前記S9で動的走行軌道の反映が行われている場合には反映後の軌道)を前記S6で生成された速度計画(前記S10で速度計画の修正が行われている場合には修正後の計画)に従った速度で車両が走行する為の制御量を演算する。具体的には、アクセル、ブレーキ、ギヤ及びステアリングの制御量が夫々演算される。尚、S11及びS12の処理についてはナビゲーション装置1ではなく車両を制御する車両制御ECU40が行うようにしても良い。
その後、S12においてCPU51は、S11において演算された制御量を反映する。具体的には、演算された制御量を、CANを介して車両制御ECU40へと送信する。車両制御ECU40では受信した制御量に基づいてアクセル、ブレーキ、ギヤ及びステアリングの各車両制御が行われる。その結果、前記S5で生成された静的走行軌道(前記S9で動的走行軌道の反映が行われている場合には反映後の軌道)を前記S6で生成された速度計画(前記S10で速度計画の修正が行われている場合には修正後の計画)に従った速度で走行する走行支援制御が可能となる。
次に、S13においてCPU51は、前記S5で静的走行軌道の生成が行われてから車両が一定距離走行したか否かを判定する。例えば一定距離は1kmとする。
そして、前記S5で静的走行軌道の生成が行われてから車両が一定距離走行したと判定された場合(S13:YES)には、S4へと戻る。その後、車両の現在位置から走行経路に沿った所定距離以内の区間を対象として、静的走行軌道の生成が再度行われる(S4~S6)。尚、本実施形態では車両が一定距離(例えば1km)走行する度に、車両の現在位置から走行経路に沿った所定距離以内の区間を対象として、静的走行軌道の生成が繰り返し行われることとしているが、目的地までの距離が短い場合には走行開始時点において目的地までの静的走行軌道の生成を一度に行うようにしても良い。
一方、前記S5で静的走行軌道の生成が行われてから車両が一定距離走行していないと判定された場合(S13:NO)には、自動運転支援による支援走行を終了するか否かを判定する(S14)。自動運転支援による支援走行を終了する場合としては、目的地に到着した場合以外に、ユーザが車両に設けられた操作パネルを操作したり、ハンドル操作やブレーキ操作などが行われることによって自動運転支援による走行を意図的に解除(オーバーライド)した場合がある。
そして、自動運転支援による支援走行を終了すると判定された場合(S14:YES)には、当該自動運転支援プログラムを終了する。それに対して自動運転支援による支援走行を継続すると判定された場合(S14:NO)には、S7へと戻る。
次に、前記S2において実行される駐車位置決定処理のサブ処理について図10に基づき説明する。図10は駐車位置決定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
先ず、S21においてCPU51は、ユーザが移動目標とする目的地の位置を取得する。尚、特に目的地が複数のテナントを有する複合型商業施設内の一テナントである場合には、複合型商業施設の建物内における目的地のテナントの位置についても取得する。
次に、S22においてCPU51は、ユーザの目的地となる施設及び前記S1で特定されたユーザが駐車を行う駐車場を対象として施設情報17を取得する。尚、特に目的地が複数のテナントを有する複合型商業施設内の一テナントである場合には、目的地を含む複合型商業施設全体の施設情報17を取得する。施設情報17には、特に駐車場について、駐車場の出入口の位置を特定する情報、駐車場内の駐車スペースの配置を特定する情報、駐車スペースを区画する区画線に関する情報、車両や歩行者が通行可能な通路に関する情報が含まれる。駐車場以外の施設に関しては施設のフロアマップを特定する情報が含まれる。フロアマップには、例えば出入口、通路、階段、エレベーター、エスカレーターの位置を特定する情報が含まれる。また、複数のテナントを有する複合型商業施設では入居する各テナントの位置を特定する情報が含まれる。施設情報17は特に駐車場や施設を3Dモデルによって生成した情報としても良い。また、施設情報17は基本的にサーバ装置4から取得されるが、キャッシュ46に既に該当する情報が格納されている場合にはキャッシュ46から取得する。
続いて、S23においてCPU51は、前記S21で取得した目的地の位置と前記S22で取得した施設情報17とに基づいて、目的地のある建物内において車両降車後の移動手段(例えば徒歩、車椅子)で選択し得る経路を示したネットワークである建物内ネットワークの構築を行う。特に目的地が複数のテナントを有する複合型商業施設内の一のテナントである場合には、目的地のテナントがある複合型商業施設の建物全体のネットワークが構築されることとなる。一方で目的地が複合型商業施設内の一テナントでない場合には、建物の入口が目的地となる(即ち、建物内の移動は目的地までの経路に含まれない)ので基本的にS23の建物内ネットワークの構築は行われないが、構築しても良い。
前記S22で取得した施設情報17には、施設のフロアマップを特定する情報が含まれる。フロアマップには、例えば出入口、通路、階段、エレベーター、エスカレーターの位置等の歩行者が通行可能な領域を特定する情報が含まれる。また、複数のテナントを有する複合型商業施設では入居する各テナントの位置を特定する情報が含まれる。それらの情報を用いて建物内でのユーザが選択し得る経路を特定し、建物内ネットワークが生成される。
前記S23において構築した建物内ネットワークの一例について図11に示す。特に図11は目的地が複数のテナントを有する複合型商業施設内の一のテナントである場合の例である。図11に示すように建物内ネットワークは、徒歩ノード81と徒歩リンク82を用いて構築される。尚、徒歩ノード81は建物内で歩行者が通行可能な通路が交差する交差点と、歩行者が通行可能な通路の終点や曲がり角と、建物の出入口、階段、エレベーター、エスカレーターなどに夫々設定される。更に、目的地となるテナントやテナントに面する通路にも設定される。一方で徒歩リンク82は徒歩ノード81間の歩行者が通行可能な領域に対して設定される。尚、歩行者が通行可能な領域としては、歩行者が通行可能な通路(階段、エスカレーター、横断歩道、歩道橋、動く歩道も含む)が該当する。また、徒歩リンク82は歩行者が通行可能な方向を特定する情報についても有している。
次に、S24においてCPU51は、前記S22で取得した施設情報17の内、ユーザが駐車を行う駐車場の駐車スペースを区画する区画線の情報を用いて、駐車スペースの区画線をユーザが通行可能な通路の一つとしてネットワーク化する。具体的には、図12に示すように駐車スペース85を区画する区画線の端点(即ち駐車スペース85の四隅)に徒歩ノード81を設定し、徒歩ノード81の間に徒歩リンク82を設定して構築される。
ここで、駐車スペースの区画線のネットワーク化については、図12に示すように実際に区画線が路面に描かれているか否かに関わらず、矩形の駐車スペース85を囲む境界(即ち長方形状)に設定される。例えば図12に示す例では区画線は駐車スペース85の左右境界のみに実際に描かれているが、駐車スペース85の前後の境界にも区画線が描かれているとみなされて徒歩リンク82は設定されることとなる。但し、実際に区画線が描かれた境界のみに徒歩リンク82を設定しても良い。また、駐車場内にある各区画線に対して歩行者がその上を通ることが可能な区画線か否かを識別する属性を予め紐づけておき、前記S24では歩行者が通ることが可能な区画線のみを対象としてネットワークを構築しても良い。
その後、S25においてCPU51は、前記S24で構築された区画線のネットワークに加えて、更にユーザが駐車を行う駐車場の施設情報17を用いて、ユーザが駐車を行う駐車場内において車両降車後の移動手段(例えば徒歩、車椅子)で選択し得る経路を示したネットワークである駐車場ネットワークの構築を行う。また、車両を駐車する駐車場から目的地のある建物までが離れており、駐車後に駐車場外の道路を徒歩で移動しなければならない場合には、その間の道路に対しても同様に駐車場ネットワークを構築することとなる。
駐車場の施設情報17には、駐車場の出入口の位置を特定する情報、駐車場内の駐車スペースの配置を特定する情報、駐車スペースを区画する区画線に関する情報、車両や歩行者が通行可能な通路に関する情報が含まれる。それらの情報を用いて駐車場内でのユーザが選択し得る経路を特定し、駐車場ネットワークが生成される。
前記S25において構築した駐車場ネットワークの一例について図13に示す。図13に示すように駐車場ネットワークは、徒歩ノード81と徒歩リンク82を用いて構築される。尚、前記S24で構築された区画線のネットワーク(図12)に加えて、徒歩ノード81は歩行者が通行可能な通路(歩行者専用の通路に加えて車両が通過可能な通路も含めても良い、以下同じ)が交差する交差点と、歩行者が通行可能な通路の終点や曲がり角などに夫々設定される。区画線のネットワークに含まれる徒歩ノード81と面する通路に対しても徒歩ノード81が設定される。一方で徒歩リンク82は徒歩ノード81間の歩行者が通行可能な領域に対して設定される。尚、歩行者が通行可能な領域としては、車両も走行可能な通路に加えて、歩行者のみが通行可能な通路(階段、エスカレーター、横断歩道、歩道橋、動く歩道も含む)、駐車スペースの区画線上が該当する。また、徒歩リンク82は歩行者が通行可能な方向を特定する情報についても有している。
続いて、S26においてCPU51は、前記S23で構築された建物内ネットワークにおいて建物の入口に該当する徒歩ノード81と、その近傍にある前記S25で構築された駐車場ネットワークの徒歩ノード81とを新たな徒歩リンク82により接続する。尚、接続する徒歩リンク82の数は1本である必要はなく、駐車場側から建物の入口へと進入可能な経路の数だけ徒歩リンク82により接続する。その結果、図14に示すように建物内ネットワークと駐車場ネットワークとが連結される。前記S26で生成されるネットワークは駐車場と建物内の両エリアに跨る車両降車後のユーザの移動で選択し得る経路を示したネットワークとなる。
尚、目的地が複合型商業施設内の一テナントでない場合については、建物の入口が目的地となる(即ち、建物内の移動は目的地までの経路に含まれない)ので、前記S23では建物内ネットワークの構築が行われない。その場合には、前記S26においてCPU51は、建物の入口(目的地)に徒歩ノード81を追加し、追加した徒歩ノード81を近傍にある駐車場ネットワークに新たな徒歩リンク82で接続する。
続いて、S27においてCPU51は、前記S1で取得したユーザが駐車を行う駐車場内においてユーザが駐車を行う候補となる駐車位置(駐車スペース)を取得する。例えば、駐車場を管理する外部のサーバから駐車スペースの空き状態を取得し、現時点で空き状態にある駐車スペースをユーザが駐車を行う候補となる駐車位置として取得する。候補が複数ある場合には複数の駐車位置を取得する。但し、空き状態にある駐車スペースの数が極めて多い場合については、位置などを条件にしてある程度候補の数を絞っても良い。
次に、S28においてCPU51は、前記S27で取得したユーザが駐車を行う候補となる駐車位置(以下、駐車位置候補という)において車両を駐車したと仮定した場合の運転席の位置(即ち駐車位置候補に車両を駐車した際にユーザが乗降する位置であり、以下、車両乗降位置という)を推定する。尚、ユーザが駐車位置候補に対して前向き駐車を行うか後ろ向き駐車を行うかについては、例えば駐車場のハウスルールや駐車場の形状などを考慮して推定する。
続いて、S29においてCPU51は、前記S26で最終的に構築されたネットワーク(建物内ネットワークと駐車場ネットワークが連結されたもの)について、特に徒歩ノード81に対してコスト及び方向(徒歩ノードを通過可能な方向)を設定する。例えば交差点、階段、エレベーター、エスカレーターに該当する各徒歩ノード81に対して夫々徒歩ノード81の内容に応じたコストを設定し、またユーザが徒歩ノード81を通過する際に通過可能な方向を設定する。
また、徒歩リンク82に対してもコストを設定する。徒歩リンク82のコストについては徒歩リンク82の移動に係る時間を基準値とする。即ち、移動に必要な時間が長い徒歩リンク82程、高いコストが算出される。徒歩リンク82の移動に係る時間は移動速度とリンク長さの乗算によって算出され、更に移動速度については例えば徒歩の移動速度を考慮した固定値(例えば1m/s)とする。
また、特に徒歩リンク82のコストについては上記基準値に対して以下の(1)、(2)の条件で補正を行う。
(1)階段、エレベーター、エスカレーターで移動する徒歩リンク82のコストは、基準値に対して階段、エレベーター、エスカレーターの種類に応じた所定値を乗算する。ここで、乗算する所定値は、階段が最も大きく(例えば1.3)、エスカレーターが次に大きく(例えば0.9)、エレベーターを最も小さく(例えば0.8)する。また、エレベーターで移動する徒歩リンク82については移動する階層の数でコストの基準値を設定するのが望ましい。例えば、1階移動する当たり3秒を基準値とする。更に、エレベーターの待ち時間(平均待ち時間としても良い)が把握できるのであれば待ち時間についても加算するのが望ましい。
(2)徒歩リンク82のコストは、移動する通路の形状や種類によって所定値を加算又は乗算する。例えば、扉が途中にある徒歩リンク82のコストは、基準値に対して開閉に係る時間を考慮して所定値(例えば扉1箇所当たり3秒)を加算する。また、歩行者専用の通路以外を移動する徒歩リンク82のコストは、車等に注意して移動する必要があるので移動負担を考慮して所定値(例えば1.2)を乗算する。また、屋外で且つ屋根のない通路を移動する徒歩リンク82のコストは、現在の天候、時間帯、気温に基づいて補正を行う。例えば天候が雨の場合、気温が低温や高温(例えば0℃以下、30℃以上)の場合、夜間の場合には、移動に負担がかかるので所定値(例えば1.2)を乗算する。一方で、動く歩道で移動する徒歩リンク82のコストは、逆に基準値を減算する(例えば0.9を乗じる)補正を行う。
その後、S30においてCPU51は、ダイクストラ法を用いて前記S27で取得された一又は複数の駐車位置候補毎に、車両乗降位置から目的地までのルートを探索する。尚、目的地は目的地が複合型商業施設内の一テナントである場合については、建物内の該当するテナントの位置であり、目的地が複合型商業施設内の一テナントでない場合については、建物の入口となる。具体的に前記S30でCPU51は、前記S26で最終的に構築されたネットワークにおける各候補車両位置の車両乗降位置から目的地までを繋ぐルートに対して徒歩ノード81と徒歩リンク82のコストの合計値を算出する。尚、ルートの探索方法としてはダイクストラ法以外の探索手段を用いても良い。
更に、S31においてCPU51は、前記S30においてネットワークに対して算出されたコストを用い、各車両乗降位置から目的地までを繋ぐルートの内、コストの合計が最小となるルートを出力する。
前記S31において出力されたルートは、ユーザが駐車場で車両を駐車した後における駐車位置から目的地までのユーザの移動に係る負担が最も小さい推奨される経路となる。また、前記S31において出力されたルートの始点に位置する車両乗降位置に対応する候補車両位置が、車両の駐車が推奨される推奨駐車位置となる。従って、上記S21~S31の処理によって最終的に推奨駐車位置が決定されることとなる。その後、S3へと移行し、車両の現在位置から決定された推奨駐車位置までの車両の走行軌道が算出され、更に算出された走行軌道に従って車両の運転支援が実施される(S3~S12)。
ここで、前記S30においてネットワークに対して算出されたコストの合計は駐車位置からの車両降車後のユーザの移動に係るコストであるので、駐車後のユーザの移動に係る負担を考慮して推奨駐車位置が決定されることとなる。例えば、図15に示すように目的地において車両を駐車する為の駐車位置候補として駐車スペースAと駐車スペースBの2か所が存在する場合において、車両降車後の移動に係るルート91、92を比較すれば、駐車スペースAに駐車する場合のルート91の方が目的地であるテナントまでの駐車場内及び建物内の移動に係る時間が短く、駐車スペースAが駐車を行うのに適切な駐車スペースと言える。従って、駐車スペースAが推奨駐車位置として選択される。本実施形態では上述したように建物内ネットワークと駐車場ネットワークとを用い、駐車場と建物内の両エリアに跨る車両降車後のユーザの移動に係る負担を考慮したコストの合計によって推奨駐車位置を選択することにより、ユーザにとって駐車を行うのにより最適な駐車位置を選択することが可能となる。
また、上記実施例では駐車後の目的地までのユーザの移動に係る負担を考慮して推奨駐車位置を選択しているが、目的地から帰宅する際のユーザの移動に係る負担についても考慮して推奨駐車位置を選択しても良い。例えば、目的地までの行きのルートに加えて目的地から駐車位置までの帰りのルートを含めてコストの最小となるルートを探索し、推奨駐車位置を選択しても良い。その結果、目的地から帰宅する際の駐車位置までの移動に係る時間について考慮して推奨駐車位置を選択することが可能となる。
また、上記実施例では前記S23で構築した建物内ネットワークと、前記S25で構築した駐車場ネットワークをそれぞれ接続し、車両を駐車した後の駐車場内の移動と建物内での移動を全て含めたネットワークを生成し、そのネットワークに対してコスト計算を行っているが、建物内ネットワークと駐車場ネットワークに対して夫々個別にコスト計算を行っても良い。
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、駐車場内においてユーザが車両降車後の移動手段で選択し得る経路を示したネットワークである駐車場ネットワークを取得し(S25)、建物内においてユーザが車両降車後の移動手段で選択し得る経路を示したネットワークである建物内ネットワークを取得し(S23)、駐車場ネットワークと建物内ネットワークとを連結して用いて、駐車場で車両を駐車する駐車位置から建物内にある目的地までの推奨経路を探索する(S30、S31)ので、ユーザが通ることができない経路や通ることが難しい経路を選択することなく、駐車場と建物内の両エリアに跨る車両降車後のユーザの移動に係る推奨経路を適切に探索することが可能となる。
また、駐車場ネットワークは、駐車場が備える駐車スペースの区画線上を、ユーザが車両降車後の移動手段で選択し得る経路に含めるので、駐車場に関する情報に基づいて駐車場においてユーザが移動する可能性のある経路を適切に把握することが可能となる。
また、駐車場において車両を駐車する候補となる駐車位置である駐車位置候補が複数ある場合に、複数の駐車位置候補から建物内にある目的地までの推奨経路を探索し(S30)、推奨経路の探索結果に基づいて、複数の駐車位置候補から車両の駐車が推奨される駐車位置を選択する(S31)ので、駐車を行った後の駐車場内と建物内でのユーザの移動に係るユーザの負担について考慮して、車両を駐車する為の適切な駐車位置を選択することが可能となる。
また、駐車位置で車両を駐車した状態での運転席の位置を推定し(S28)、駐車位置で車両を駐車した状態での運転席の位置から建物内にある目的地までの推奨経路を探索する(S30、S31)ので、ユーザが車両を降車した地点から目的地までのユーザの移動に係る正確な推奨経路を探索することが可能となる。
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、先ず車両を駐車する駐車位置を一に決定(S2)した後に、決定した駐車位置までの走行経路を探索している(S3)が、S2では必ずしも駐車位置を一のみに限定する必要はなく、例えば駐車位置の候補を複数残しても良い。そして、S3の走行経路の探索やS5の静的走行軌道の生成を行なうタイミングで複数の候補の内から駐車位置を最終的に決定するようにしても良い。
また、本実施形態では、車両の走行開始地点が道路上である場合を想定しているが、走行開始地点が駐車場内である場合においても適用可能である。その場合には、走行開始地点から駐車場の出口までの車両の走行が推奨される走行軌道と、駐車場の出口から駐車場の出口に面する道路までの車両の走行が推奨される走行軌道についても算出されることとなる。
また、本実施形態では、駐車場で車両を駐車する駐車位置から建物内にある目的地までの推奨経路を探索し、その探索結果に基づいて車両の駐車が推奨される駐車位置を選択する(S31)が、その後のS3以降の車両の運転支援に係る処理については省略することも可能である。例えば、ナビゲーション装置1は、走行軌道の生成や走行軌道に基づく車両の制御については行わずに、駐車の推奨される駐車位置の案内や、駐車位置から目的地までの推奨される徒歩ルートをユーザに案内する装置であっても良い。
また、本実施形態では、推奨される駐車位置として駐車場が備える複数の駐車スペースの内、駐車を行う具体的な一の駐車スペースを特定することとしているが、より広域で特定しても良い。例えば駐車場が複数のエリアからなる場合に、駐車を行うエリアを特定することとしても良い。また、駐車する候補として複数の駐車場がある場合には、駐車場を特定することとしても良い。
また、本実施形態では、最終的に生成される静的走行軌道は車両が走行する具体的な軌道(座標の集合や線)を特定する情報となっているが、具体的な軌道までは特定せずに車両が走行する対象となる道路及び車線が特定できる程度の情報としても良い。また、具体的な走行軌道まで特定せずに走行する道路と駐車場において車両を駐車する駐車位置のみを特定するようにしても良い。
また、本実施形態では、高精度地図情報16や施設情報17を用いてレーンネットワーク、建物内ネットワーク、駐車場ネットワークを生成している(S5、S23、S25)が、全国の道路、建物、駐車場を対象とした各ネットワークを予めDBに格納しておき、必要に応じてDBから読み出すようにしても良い。
また、本実施形態では、サーバ装置4が有する高精度地図情報には、道路のレーン形状(車線単位の道路形状や曲率、車線幅等)と道路に描かれた区画線(車道中央線、車線境界線、車道外側線、誘導線等)に関する情報の両方を含むが、区画線に関する情報のみを含むようにしても良いし、道路のレーン形状に関する情報のみを含むようにしても良い。例えば区画線に関する情報のみを含む場合であっても、区画線に関する情報に基づいて道路のレーン形状に関する情報に相当する情報を推定することが可能である。また、道路のレーン形状に関する情報のみを含む場合であっても、道路のレーン形状に関する情報に基づいて区画線に関する情報に相当する情報を推定することが可能である。また、「区画線に関する情報」は、車線を区画する区画線自体の種類や配置を特定する情報であっても良いし、隣接する車線間で車線変更が可能か否かを特定する情報であっても良いし、車線の形状を直接または間接的に特定する情報であっても良い。
また、本実施形態では、静的走行軌道に動的走行軌道を反映する手段として、静的走行軌道の一部を動的走行軌道に置き換えている(S9)が、置き換えるのではなく静的走行軌道を動的走行軌道に近づけるように軌道の修正を行っても良い。
また、本実施形態では、車両の操作のうち、車両の挙動に関する操作である、アクセル操作、ブレーキ操作及びハンドル操作の全てを車両制御ECU40が制御することをユーザの運転操作によらずに自動的に走行を行う為の自動運転支援として説明してきた。しかし、自動運転支援を、車両の操作のうち、車両の挙動に関する操作である、アクセル操作、ブレーキ操作及びハンドル操作の少なくとも一の操作を車両制御ECU40が制御することとしても良い。一方、ユーザの運転操作による手動運転とは車両の操作のうち、車両の挙動に関する操作である、アクセル操作、ブレーキ操作及びハンドル操作の全てをユーザが行うこととして説明する。
また、本発明の運転支援は車両の自動運転に係る自動運転支援に限られない。例えば、前記S5で特定された静的走行軌道や前記S8で生成された動的走行軌道をナビゲーション画面に表示するとともに、音声や画面等を用いた案内(例えば車線変更の案内、推奨車速の案内等)を行うことによる運転支援も可能である。また、静的走行軌道や動的走行軌道をナビゲーション画面に表示することでユーザの運転操作を支援するようにしてもよい。
また、本実施形態では、自動運転支援プログラム(図4)をナビゲーション装置1が実行する構成としているが、ナビゲーション装置1以外の車載器や車両制御ECU40が実行する構成としても良い。その場合には、車載器や車両制御ECU40は車両の現在位置や地図情報等をナビゲーション装置1やサーバ装置4から取得する構成とする。更に、サーバ装置4が自動運転支援プログラム(図4)のステップの一部または全部を実行するようにしても良い。その場合にはサーバ装置4が本願の運転支援装置に相当する。
また、本発明はナビゲーション装置以外に、携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等(以下、携帯端末等という)に適用することも可能である。また、サーバと携帯端末等から構成されるシステムに対しても適用することが可能となる。その場合には、上述した自動運転支援プログラム(図4参照)の各ステップは、サーバと携帯端末等のいずれが実施する構成としても良い。但し、本発明を携帯端末等に適用する場合には、自動運転支援が実行可能な車両と携帯端末等が通信可能に接続(有線無線は問わない)される必要がある。
1…ナビゲーション装置、2…運転支援システム、3…情報配信センタ、4…サーバ装置、5…車両、16…高精度地図情報、17…施設情報、18…接続情報、19…道路外形状情報、33…ナビゲーションECU、40…車両制御ECU、51…CPU、74…推奨駐車位置、75…レーンノード、76…レーンリンク、81…徒歩ノード、82…徒歩リンク

Claims (5)

  1. 駐車場内においてユーザが車両降車後の移動手段で選択し得る経路を示したネットワークである駐車場ネットワークを取得する駐車場ネットワーク取得手段と、
    建物内においてユーザが車両降車後の移動手段で選択し得る経路を示したネットワークである建物内ネットワークを取得する建物内ネットワーク取得手段と、
    前記駐車場ネットワークと前記建物内ネットワークとを連結して用いて、駐車場で車両を駐車する駐車位置から前記建物内にある目的地までの推奨経路を探索する経路探索手段と、を有する経路探索装置。
  2. 前記駐車場ネットワークは、駐車場が備える駐車スペースの区画線上を、前記ユーザが車両降車後の移動手段で選択し得る経路に含める請求項1に記載の経路探索装置。
  3. 前記経路探索手段は、前記駐車場において車両を駐車する候補となる駐車位置である駐車位置候補が複数ある場合に、複数の前記駐車位置候補から前記建物内にある目的地までの推奨経路を探索し、
    前記推奨経路の探索結果に基づいて、複数の前記駐車位置候補から車両の駐車が推奨される駐車位置を選択する駐車位置選択手段を有する請求項1又は請求項2に記載の経路探索装置。
  4. 前記駐車位置で車両を駐車した状態での運転席の位置を推定する運転席位置推定手段を有し、
    前記経路探索手段は、前記駐車位置で車両を駐車した状態での運転席の位置から前記建物内にある目的地までの推奨経路を探索する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の経路探索装置。
  5. コンピュータを、
    駐車場内においてユーザが車両降車後の移動手段で選択し得る経路を示したネットワークである駐車場ネットワークを取得する駐車場ネットワーク取得手段と、
    建物内においてユーザが車両降車後の移動手段で選択し得る経路を示したネットワークである建物内ネットワークを取得する建物内ネットワーク取得手段と、
    前記駐車場ネットワークと前記建物内ネットワークとを連結して用いて、駐車場で車両を駐車する駐車位置から前記建物内にある目的地までの推奨経路を探索する経路探索手段と、して機能させる為のコンピュータプログラム。
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